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2017年5月31日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第39回議事録

○日時

平成29年5月31日(水)9:00~10:03

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 中村洋部会長代理 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
日色保専門委員 昌子久仁子専門委員 上出厚志専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○部会長代理の指名について
○総合的評価(アプレイザル)について

○議事

 

 

 

○荒井部会長

 

 ただいまより、第39回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 

 費用対効果評価専門部会に属する委員に異動がございましたので御報告いたします。

 

 3月31日付で印南委員、田村専門委員が退任され、その後任といたしまして4月1日付で中村委員、日色専門委員が発令されております。

 

 また、4月25日付で花井委員が退任され、その後任といたしまして4月26日付で間宮委員が発令されております。

 

 続きまして、本日の委員の出欠状況について報告します。

 

 本日は、榊原委員が御欠席です。

 

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

 

(カメラ退室)

 

○荒井部会長

 

 それでは、議事に入ります。

 

 まず初めに、部会長代理の指名を行いたいと思います。

 

 部会長代理については、社会保険医療協議会令第1条第9項の規定によりまして、部会長があらかじめ指名する者が部会長代理をすることとされております。

 

 中村委員に部会長代理をお願いすることにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございます。

 

 それでは、部会長代理は中村委員にお願いいたします。

 

 次に「総合的評価(アプレイザル)について」を議題といたします。

 

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 おはようございます。企画官でございます。

 

 それでは「中医協 費-2」及び参考資料を用いまして、「総合的評価(アプレイザル)について(2)」ということで御説明をさせていただきたいと思います。

 

 1枚目の「1.」でございます。前回の議論から2カ月ほど経過しておりますので、振り返りも含めて記載をさせていただいております。

 

 「1.費用対効果に関するこれまでの議論について」というところでございますけれども、1つ目の丸におきまして、2月8日の当部会におきまして、医薬品、医療機器等につきまして、平成30年度改定時に制度化することをお示しし、そして、今年の夏を目途に中間的な取りまとめを行うということでお示しをしたところでございます。

 

 次の○でございますが、前回3月15日の部会におきまして、総合的評価等のアプレイザルにつきまして検討していただきました。その際に、倫理的、社会的影響等に関する観点の最終的な反映方法につきまして、さらに検討が必要との指摘があったところでございます。

 

 点線の四角囲みは、2月8日にお示しした検討事項の一覧でございます。(1)から(4)までございますけれども、本日御議論いただきますのは「(2)総合的評価(アプレイザル)等のあり方」の部分でございます。

 

 1枚おめくりいただきまして「2.総合的評価(アプレイザル)について」と書いてございますけれども、3月15日の当部会における主な指摘事項は次のとおりでございました。四角で囲っておりますが

 

○ 倫理的・社会的影響等の観点での評価を最終的にどのように反映するのか、さらに検討が必要ではないか。

 

○ 増分費用効果比(ICER)の値があまり数字としては良くなくても、倫理的・社会的影響が大きい場合には、数字だけをもってマイナスの評価はしない、費用対効果は受け入れ可能であるというように評価する、そういう仕組みにすべきではないか。

 

というものでございます。

 

 これらを踏まえまして、このアプレイザルの過程のうち「倫理的、社会的影響等に関する観点からの検証」及び「総合評価」について、これからお示ししますとおり検討してはどうかとするものでございます。

 

 ここで、参考資料を御参照いただければと思いますけれども、「費-2参考」でございますが、まず2コマ目に「費用対効果について(概要)」ということでございますけれども、下に2つのチャートがございます。左側に<費用効果分析の手順>ということでございますが、まずは費用が増加する、そして効果が増加するものを科学的に分析を行いまして、増分費用効果比を出すということでございますけれども、この右側に<評価の一連の流れ(イメージ)がございまして、企業によるICERの提出、そして再分析グループによるICERの検証を経まして、その後、総合的評価を行い、その後で中医協で御了承をいただくという流れを考えております。

 

 そして、3枚目に行きますけれども、本日、御議論をいただきますのが、総合的評価(アプレイザル)の中におきまして、これを分解したものを3枚目のスライドの右側に書かせていただいておりますが「科学的な観点からの検証」「倫理的・社会的影響等に関する検証」、そして「総合評価」のうち、下2つの「倫理的・社会的影響等に関する検証」と「総合評価」について本日は御議論をいただこうと思っております。

 

 そして、そのアプレイザルの実施について、参考資料の4コマ目でありますけれども、諸外国における例を参考とすべしということでございましたので、これは過去に中医協にもお示ししている資料でございますが、それを再掲しております。

 

 以上を踏まえまして、こちらの費-2に戻らせていただきます。3ページをごらんください。

 

 「(1)倫理的、社会的影響等に関する観点」ということでございまして、1つ目の丸は、3月15日にお示ししたものを抜粋してございます。部分的に読ませていただきますけれども「その際に考慮すべき要素については、増分費用効果比(ICER)の分析結果のみでは評価が困難と考えられる要素、具体的には」云々ということを書かせていただいております。さらに検討することとし、また諸外国の例を多岐に項目を広く参考にしつつ、議論を続けていくとされたところでございまして、先ほど、参考資料でお示ししましたような諸外国の例を参考といたしまして、下に6つ、事務局で案を取りまとめさせていただいてございます。

 

 きょう御議論いただきまして、御指摘はまた中間取りまとめに生かしていただきたいと思いますが、私のほうからお示しするものは6つございます。こちらに表がありまして、番号1から6までございます。そのうち、ICERという一つの科学的な評価軸に置きかえた場合に、何か配慮すべき点があるのではないかと考えられるものが1~3、「その他の要素」として4~5でございます。

 

 1つ目が「感染症対策といった公衆衛生的観点での有用性」ということでございまして、右側に理由を書かせていただいてございます。こちらに関しましては、3月15日にお示ししたものをそのまま1つ目の要素としてお示ししております。

 

 2~3つ目でございますけれども「公的医療の立場からの分析には含まれない追加的な費用」ということでございます。右側に理由がございますけれども「公的介護費用・生産性損失」。

 

 生産性損失と申しますのは、その疾病にかかることによりまして、例えば、収入がなくなるですとか、そういうなくなる費用の評価ですけれども、もともと分析手法の問題の観点から、基本分析には含めないこととしております。これはガイドライン上、そのように定めておりますけれども、例えば、突然、働けなくなってしまうとか、その影響が非常に大きい場合もあるということでございまして、そういう場合には考慮する場合もあってよろしいのではないかということでございます。

 

 次に「長期にわたり重症の状態が続く疾患での延命治療」ということでございます。「重症な疾患等でQOLが低い場合」でございますが、こういった場合「延命につながる治療の費用対効果が適切に評価できない」。つまり、これはICERの値が非常に高く出てしまい、悪く出てしまうということですけれども、その重篤な疾患で延命という効果についての評価がおろそかになってしまう場合があるのではないかと考えられるためでございます。

 

 「その他の要素」といたしまして、4~6を掲げさせていただいておりますが「代替治療が十分に存在しない疾患の治療」ということでございまして、こちらは「安全で有効な代替治療がない疾患に対する治療の開発を阻害しないため」。「イノベーション」あるいは将来性と言ってもいいのかもしれませんけれども「画期性、新規性に富む医薬品、医療機器の開発を阻害しないため」。そして「小児の疾患を対象とする治療」ということで「成人の疾患と比較して一般に市場規模が小さい小児の疾患に対する治療の開発を阻害しないため」という理由を掲げさせていただいております。

 

 4ページをごらんください。

 

 このように、一応、私どもとしては6つの要素を掲げさせていただきまして、これらのものに該当するかどうかは専門組織のほうで御議論いただくということでございますけれども、まだ試行的導入の段階でございますので、個別の品目を評価する中で考慮すべきと考える要素が出てきた場合には、適宜、検討することにしてはどうかと考えております。

 

 次に、総合評価についてでございます。ICERの評価の軸といたしまして「支払い意思額」を基本といたしまして、5段階で評価するとされております。この四角囲みが3月15日にお示ししたものでございますけれども、1つ目の丸をかいつまんで御説明いたしますと、支払い意思額を基本とし、その支払い意思額は、きょう、参考で出していただいていますけれども「国内の支払い意思額に関する調査」の結果を参考にするとしております。

 

 また、2つ目の丸でございますけれども、この評価につきましては、支払い意思額を基本にするのですが、それに加えて、国民1人当たりのGDP等の他の目安も勘案しつつ、5段階の評価とするということで、前回の部会でおおむね合意が得られたと考えております。1ポツから5ポツまでございまして、それぞれ1が「費用対効果がとても良い」、5が「費用対効果がとても悪い」となります。そして、真ん中の段階の表現ぶりは非常に苦労したと申し上げましたけれども、「費用対効果は受け入れ可能である(支払い意思額等の観点から受け入れ可能な範囲の中にある)」というものでございまして、これは1~5につきましてそれぞれ幅があるものでございます。

 

 下から2つ目の丸でございますけれども「支払い意思額」という言葉自体はテクニカルタームということでして、学術的用語なのですけれども、もう少し解説を加えてございます。一定の割合の方々が1QALY、1人の方が完全に健康な1年をどのように価値を置くか、そういう価値を獲得するために支払うことを許容する額という解説をつけさせていただいておりまして、そういうものでございますけれども、これを調査の結果を参考にするというものです。

 

 そして、一番下の丸でございますが、ICERについての5段階の評価になりますけれども、これを「一定の割合の方が1QALYを獲得するために支払うことを許容する額」、ここで「支払い意思額」という言葉を使わせていただきますけれども、分布等から次のように定義することとしてはどうかとしております。

 

 5ページの上に、その表のイメージを書かせていただいております。段階1~5ということで、上から「費用対効果がとても良い」、5が「費用対効果がとても悪い」ということでございます。

 

 まず、1についてでありますが、こちらはICERではなくて、このような表現でどうかと思っております。つまり、新しい医薬品や医療技術によりまして、介入の効果が増加する、患者さんにとってメリットがあると同時に、費用が削減されるということでございます。ですから、これはいいものであり、なおかつ安いというものでございます。こういうものに関しましては、費用対効果の分野の学術用語では「ドミナント」と表現されることでございますけれども、そのようなものが「費用対効果がとても良い」と分類されるものではないか。

 

 そして、2~5に関しましては、ICERの値で決まってくるものではないかということで考えております。2が「費用対効果が良い」ということでございまして、その右側に「定義(案)」とありますが、この増分費用効果比(ICER)の値が、多くの人が支払いを許容する額ということでございます。ですので、比較的この中で出てくる値としては小さい額になろうかと思っております。

 

 翻って5について申し上げます。「費用対効果がとても悪い」というものに関しましては、右側に「定義(案)」とありますが、このICERの値がわずかな人のみが支払いを許容する額、しかもそれを超えているものを「費用対効果がとても悪い」として定義してはどうかと考えてございます。

 

 そして、その中間的な対応をこちらは「△」とお示ししておりますけれども、この「○」「△」「□」の値をもちまして、それぞれこの段階の一定の閾値としてはどうかというものでございます。当然、ここでお示ししておりますように、1~5とありますが、それぞれ幅を持った値となります。

 

 下にグラフをつけさせていただいております。縦軸に「支払いを許容する人の割合」という軸を持ってまいりまして、横軸に「1QALYを獲得するために支払う金額」ということでございます。こういった支払い意思額に関する調査におきましては、このようなカーブが想定されるわけでございますけれども、高い割合、つまり○%の方々が支払ってもいいと、非常に多くの方々が、これだったら支払ってもよいであろうという額に関しましては、横軸の「1QALYを獲得するために支払う金額」としては低い値になろうかということでございます。そこから右に行くにしたがって、少ない割合の方々が支払いを許容するということでございまして、このような軸でこの費用対効果の5段階を定義させていただければというものでございます。ごらんいただいたらわかりますとおり、先ほども申し上げましたが、2~5に関しましては、それぞれ幅を持った値になるということでございます。

 

 そして、6ページ目でございます。

 

 このように、5段階に分類される評価でございますけれども、この5段階の評価をもって、総合評価としてはどうかということです。ただし、5段階の評価が、例えば「費用対効果が悪い」あるいは「費用対効果がとても悪い」に分類される場合であっても、先ほどお示ししたような「倫理的・社会的影響等に関する観点から考慮すべき要素」がある場合には、例えば、総合評価を引き上げて、これは「費用対効果は受け入れ可能である」とするなど一定の配慮を可能としてはどうかということでございます。

 

 3ポツで、まとめ方についてお示しをしてございます。1つ目の〇で、この評価結果自体は、薬価算定組織または保険医療材料等専門組織におきまして、それぞれの医薬品や医療材料の値づけに活用されることになりますけれども、その具体的な方法につきましては、それぞれの薬価専門部会、保険医療材料専門部会で今後、検討するとされているところでございます。

 

 「○ 評価結果として記載する事項については、以下を基本としてはどうか」と書かせていただいておりまして、この太い点線の中でございますが、「1.費用効果分析の概要」は、企業が行う分析、そしてまた再分析を行うものをまず記載し、「2.総合的評価(アプレイザル)の概要」で、(1)は上の1ポツを「科学的な観点から検証する観点」、(2)といたしまして「倫理的・社会的影響に関する観点」、そして「3.総合評価」ということで、2ポツの結果を総合評価としてお示しするということでいかがと思っております。

 

 最後の丸でございますが、これは薬価部会と保険医療材料部会でございますけれども「ただし、両部会における価格調整の具体的な反映方法」におきましては、もう少しこの費用効果分析の中で、こういう項目もないかという御要望、要請があるかもしれませんので、それは適宜、反映する、必要に応じて見直すことを考えているところでございます。

 

 御説明は以上でございます。

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございました。

 

 ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。

 

 では、松本委員、お願いします。

 

○松本委員

 

 質問をお願いいたします。この支払い意思額なのですけれども、これは今、企画官から御説明がありましたように、1QALYを獲得するために支払うことを許容する額ということですので、これはそれぞれの医薬品あるいは医療技術について決定される額と理解してよろしいでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 こちらの支払い意思額に関しましては、例えば、今、試行導入で13品目をやらせていただいておりますけれども、それぞれの品目共通に1つに決まるものと考えております。

 

○荒井部会長

 

 松本委員、お願いします。

 

○松本委員

 

 そして、5ページの下のイメージ図ですけれども、これの「○」「△」「□」は具体的な数値が入るということになると思うのですが、これはそれぞれの医薬品、医療技術も全て同じ数値と考えてよろしいわけですか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 この「○」「△」「□」の数字でございますが、これは同じ数値、1つの値と考えております。

 

○松本委員

 

 大体その数値はどれぐらいかというのは今、ありますか。

 

○荒井部会長

 

 では、企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 参考資料のほうに、一つの目安でございますけれども、6枚目でございますが、この2に「国民がいくらまでなら支払ってもよいと考えるか」という調査がございまして、これは2010年の古い調査でございますけれども、「例えば」ということでございますが「500600万程度という調査がある」ということでございますけれども、より精緻なものでこれから調査していただきまして、一に決まっていくものと考えてございます。今、私がこれから「○」「△」「□」が幾らかを申し上げることはなかなかできないと思っております。

 

○荒井部会長

 

 いいですか。安部委員、お願いします。

 

○安部委員

 

 6ページの上から2つ目の丸に「倫理的・社会的影響等に関する観点」から調整するということが書いてございますが、1つには、分析の結果、科学的な評価をして、その後に倫理的・社会的な観点から検証する。科学的な評価をやった結果にファジーな要素を加えて評価をし直すことについては、薬価算定の透明性確保ということがずっと言われ続けておりますので、その透明性をいかにして図るかが重要だということがあろうかと思います。

 

 それと、3ページにその社会的・倫理的なところで考慮すべき要素の例が書いてございますけれども、これはどちらかというと科学的評価をしてから初めてわかるものではなくて、その製品、医薬品、さまざまな評価すべきものについて事前にわかっているものではないでしょうか。

 

 そういった意味では、費用対効果評価については相当な時間やコストをかけてやる。そして、当面それほどたくさんのものができないとすれば、やるべき品目をきちんと選択しなければいけない。そういったときに、わざわざこの3ページの考慮すべき品目というのが、そもそも対象となるのか。むしろ、こういうものは対象から最初から外してしまったほうが良いのではないか。費用対効果評価の専門家でもない一般的な感覚からすると、そういう順序ではないかと私は個人的に感じましたので、意見として述べさせていただきます。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 2つ、重要なポイントを御指摘いただいたと思っております。

 

 まず、透明性の確保ということで、これは非常に私どもも大事だと思ってございます。そういうこともありまして、前回お示しした考慮すべき要素から、諸外国の例を参考にこういったものが考えられるのではないかというものをお示ししたところでございます。また、この考慮すべき要素に関しましては、ICERにまとめて評価を求めてしまった場合に、どうしても配慮すべき要素が残ってしまうことから、フェールセーフのような形で活用されるべきものだと考えておりまして、そのうちの5要素を示したものという透明性を確保しようという努力であることは御説明させていただきたいと思っております。

 

 それから、要素につきまして、確かに御指摘のようなところはあるかと思っております。今回、諸外国の要素から私どもはこういうものを候補として挙げさせていただきますけれども、今いただいた御指摘も含めて、今後、また対象基準とか対象とする品目の考え方も今後、議論をいただくことになると思いますけれども、その際にまた参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

○荒井部会長

 

 松本委員、お願いします。

 

○松本委員

 

 今、安部委員の懸念は共感できるものでありまして、倫理的・社会的な側面も重要な課題であるとは思います。ただ、3ページの1~6の考慮すべき要素というのは、情緒的といいますか、かなり主観的なもので、いわゆるICERで見られる客観性には欠けるのではないかと思います。ということで、数値化するような方法を示していただきたいと要望します。すなわち、この1~6の要素をどのように評価するかをあらかじめ決めておかないと、せっかくのICERの分析結果を台なしにしてしまうのではないかと懸念いたします。

 

○荒井部会長

 

 今のは御意見ですね。

 

○松本委員

 

 いや、数値化するということはできますか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 この倫理的・社会的要素の反映の仕方に関しましても、数値化が必要ではないかという御指摘だと承りました。ICERでなかなか評価し切れない、あるいはICERの分析において、なかなか反映し切れないところについてどのように修正するかという観点だと思っております。具体的にできるかどうかも含めて、ここは専門家の御意見も聞きながら検討させていただきたいと思っております。

 

○荒井部会長

 

 特に、参考人のほうはよろしいですか。

 

 では、宮近委員、お願いします。

 

○宮近委員

 

 資料の5ページの上の1~5段階の表なのですけれども、1段階の「費用対効果がとても良い」の定義が「効果が増加し、同時に費用が削減される」。2以下は、具体的に「ICERの値が○%の人が」云々ということで、下は数値化されているのですけれども、先ほどの松本先生の話ではないですが、段階1のところだけが非常に抽象的な定義になっているのです。※1を見てみますと、「ICERの値は算出できない」ということになっているのですけれども、ここのところが理解できなくて、単純に2~5と要素を合わせて、ICERの値が○%以上といった形で表現できないのかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 この1に関しましては、抽象的という御指摘でございましたが、逆にここは非常にクリアに決まってくるものでございます。効果が増加するというのは、得られるQALYがある。つまり、それなりにいいものである。従来の治療法に比べて、効果が増しているということですから、患者にとってメリットはあるということでございます。これは、QALYを計算すれば出てくるものでございますし「同時に費用が削減される」というのは、医療費を計算したときにコストが下がるというものでございまして、定義自体は非常に私どもは明確と思っております。

 

 こういったものに関しましては、ICERは算出しないことが一般的でございまして、こういう定義で私どもはやらせていただきたいと思っております。

 

○荒井部会長

 

 よろしいですか。追加でお願いします。

 

○宮近委員

 

 例えば、下のグラフの縦軸でいきますと、段階値は○%以上の部分に入っていくのではないかと思うのですけれども、そうでもないのですか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 下のグラフで申し上げますと、専門的な話になって大変恐縮でございますが、これは費用もふえ、効果もふえることを前提したグラフでございます。ですから、今回、効果もふえて費用もふえるときの前提のグラフでございますので、1のドミナントのように、効果がふえますけれども、費用は安くなるといった場合には、このグラフは当てはまらないことになります。

 

○荒井部会長

 

 参考人はよろしいですか。お願いします。

 

○福田参考人

 

 よろしければ、追加で御説明させていただきます。参考人の福田でございます。

 

 御指摘の点なのですけれども、今のグラフでいいますと、段階1に相当するドミナントといいますのは、効果が増加して、費用が削減になりますので、ICERの定義どおりに計算すると、マイナスの値が出てくることになります。マイナスということは、このグラフでいうと、縦軸のさらに左側の領域に入ってくることをあらわしています。

 

 マイナスが出た場合なのですが、通常、この計算は手法上はいたしません。この理由といたしましては、マイナスになる場合が、効果が増加して費用が削減される場合と同じ定義式ですので、効果が減少して費用が増加する場合もマイナスの値が出てきて、区別がつかなくなる。

 

 あとマイナスの値が出てしまった場合に、実はこれは絶対値を比較しても優劣がつけられないという制約がありまして、マイナスの値そのものが全く意味がない数字になってしまいます。そのため、マイナスになる場合にはこのような表記で「効果が増加し、同時に費用が削減される」、手法上はドミナントという表記だけでカテゴライズするのが一般的なアプローチでございます。

 

○宮近委員

 

 ありがとうございました。

 

○荒井部会長

 

 吉森委員、お願いします。

 

○吉森委員

 

 ありがとうございます。

 

 先ほど、安部委員からもありました、この倫理的・社会的影響に関する観点の6つの項目ですが、現在、専門組織で試行的にやっていただいているのは、この1~6には該当していないのでしょうか。この考え方は理解できますけれども、非常に定性的でありますし、どういうイメージでどういうものになるのか。イノベーションは特に、社会的影響が大きい革新的なイノベーションでも費用対効果は悪いといったときにどう判断するかということなのだろうと理解しますけれども、具体的にどのようなイメージでどう理解したらいいのか、そのときにそれは影響が大きいからよしとするのかというイメージを持てないものですから、まずはこの13品目はこの6つに該当しているか、していないのか。していないならば、次のステップでそういう薬品があって、それを試行的にやるのかどうか。最終的には費用対効果をどこまで取り入れるのかという判断にもつながるのだろうと思いますので、その辺がわかれば教えていただければと思います。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 現在の試行対象の13品目と、この要素の関係についての質問でございました。こちらの13品目に関しましては、現在まだ企業の再分析が行われておりまして、これからアプレイザルというところでございますので、それぞれ13品目について何が当てはまる、当てはまらないというのは、私どもとして今、言えるものは本日はございません。そこは申しわけございません。

 

 ただ、こちらでお示ししましたのは、一般的にアプレイザルといった場合には、こういう要素を勘案するのではないかとお示しをしているものでございます。確かに、当てはめてみないと、具体的にこれがどのようにインパクトを持つか、あるいはどのように勘案するべきかの感覚的なものがつかめないというところは御指摘のとおりかと思っておりますけれども、試行導入の段階ということで、まずは一定のルールを設定させていただいて、なるべく抑制的に精査させていただいて、そこを実際の例をもって当てていくという段階をとっているということで御理解いただければと思います。

 

○荒井部会長

 

 では、幸野委員、お願いします。

 

○幸野委員

 

 まず質問がございます。私は、支払い意思額に関する調査が重要になると思っています。この調査の結果、受諾確立曲線が引かれ、今は○や△で表されている支払いを許容する人の割合が具体的に決まると思うのですが、調査方法や調査対象など、どういう調査をされるのかについて、お教えいただけないでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 企画官でございます。

 

 こちらに関しましては、一般の方々を対象に、これだけの効果が得られるものに対して、医療費として幾らお支払いすることを、あなたはいいと思いますか、どうですかということを聞いていく調査と伺っております。専門的なことは専門委員に御補足いただければと思っております。

 

○荒井部会長

 

 参考人、いかがでしょうか。

 

○福田参考人

 

 この調査の対象なのですけれども、日本国内全域からとるということで、今、説明がありましたが、一般の方を対象としてランダムに抽出することを想定していますので、全国で100地点以上の場所を無作為に抽出して、その中で住民基本台帳から無作為抽出を行った上で、調査を行うということでございます。

 

○荒井部会長

 

 よろしいですか。追加ですか。

 

○幸野委員

 

 その上で意見がございます。全ての対象品目に対して、○、△、□には同じパーセンテージを使うということですが、調査対象となる人の年齢や性別、健康状態、所得、価値観などが異なるので、さまざまな結果が出ると思います。そういった中で正確にこれらの数値を出せるのかについては非常に疑問を感じています。最初から完璧な結果を導くことは難しいと思うので、再調査を行うなど、見直しながら進めていく方がよいのではないかと思いますし、なぜこのような調査で正しい結果が得られるのかなどについて、もう少しわかりやすく示していただきたいと思います。調査については、無作為の抽出でなくて、多様な方から意見を選ぶ調査をしていただきたいと思います。 また、倫理的・社会的影響等に関する観点からの検証について、これは科学的な検証のみでは評価が困難な要素を補完するものだと思うのですが、3ページに記載されている要素は、例示と理解してよろしいのでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 3ページのこちらの要素に関しましては、お示ししておりまして、ここできょうの御意見を踏まえて、また中間取りまとめでお示ししたいと思いますけれども、そこで整理したものに関しましては、まず該当するかどうかということも含めて、ここは費用対効果評価専門組織で御検討いただく個別品目について、それぞれ該当するかどうかは検討いただくことになると思っております。

 

○幸野委員

 

 この要素も、全ての対象品目に対して、共通して考慮するものになるのでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 どうぞ。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 共通した物差しというのが、例えば、何か評価軸を持ったものかどうかということであれば、そうではないと思っていますが、途中で私も御説明したように、ICERというのは一つの値で、一つの評価軸として決まってくるものである。その中で、ICERでは十分評価し切れない、あるいはほかに考慮すべきものがあれば、修正を可能とする一つの要素という位置づけでございます。

 

○荒井部会長

 

 幸野委員、どうぞ。

 

○幸野委員

 

 これに対して意見がございます。やはり我々にとってはわかりにくいので、誰が見ても納得できるような評価軸にしてほしいと思います。例えば、3ページの考慮すべき要素の5番目にある「イノベーション」や、4番目の「代替治療が十分に存在しない疾患の治療」は、薬価算定の際に既に評価されている要素ではないかと思うので、なぜ、倫理的・社会的影響等の視点においても考慮する必要があるのかが疑問です。

 

 国民が納得できるようなものとなるように、考慮すべき要素などはあまり固定することなく、これについても適宜見直しながら進めていただきたいと思います。

 

 以上です。

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございました。

 

 松本委員、どうぞ。

 

○松本委員

 

 先ほどの答弁の中で、企画官が支払い意思額のところで、この医薬品、医療技術はこんな効果がある。それには幾ら払っていいですかという聞き方をすると言われました。私のその前の質問は、金額を決めて、何%の人がそれを払えるか、払う意思があるかないかということで金額を決めるのですねということに対して、あなたはそうだと答えられた。ですので、先ほどの幸野委員の質問に対しては、幾らなら出せる、出せないということで、幾らかを聞くのではないと思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。金額を決めるのですよね。もう一度、確認です。

 

○荒井部会長

 

 参考人、お願いします。

 

○福田参考人

 

 今の調査の方法について少し御説明をさせていただこうと思いますが、今回、この支払い意思額の調査に関しては、手法としては2段階選択法という手法をとるのですが、具体的には特定の疾患などを決めずに、1QALYも「QALY」という言葉ではなくて、1年元気に長生きできるということで御説明しますけれども、これに対して幾ら払うかというのを、御指摘のとおりで、金額を提示した上でそれを払うつもりがあるかどうかを、金額を変えて2回繰り返して聞くという手法をとるということでございます。

 

○荒井部会長

 

 企画官、補足があれば。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 参考人、ありがとうございました。

 

 そのように各人に支払い意思の有無をお聞きするのですけれども、その支払う意思のある人の割合が高いか、あるいはその割合が低いかというところでこのパーセントが決まってくると考えております。

 

○荒井部会長

 

 万代委員、どうぞ。

 

○万代委員

 

 3ページのところでございますが「(1)倫理的・社会的影響等に関する観点」ということで、とりあえず6項目を事務局からお示しいただいて、総論的にはこれでいいと思いますし、必死に考えればこれ以外にも出てくるとは思いますけれども、その次のページで今後、検討していくということで、その方向性についてはそれでいいのかなと思っております。

 

 総論的ということで、確かに具体性は少ないと思いますけれども、現時点ではそれで仕方がないと思いますし、試行的な作業の中で、特に専門組織のほうで議論が進んでいくと、その中でアプレイザルもされるということですので、そういった専門組織での検討結果を見ながら、具体性がきっと出てくるのだろうという作業手順で十分ではないかと思っております。

 

 例えば、先ほどありましたように、5番目の「イノベーション」と一言書いてございますけれども、参考にした参考資料のイギリスのほうの文言では「イノベーションの大きさ」と書いてございますので、言葉尻を捉えるつもりはございませんけれども、そういったより具体的な範囲につきましても、今後、検討の材料が専門組織から出てくると考えております。

 

 その上で、1つ質問です。アプレイザルも専門組織でやるというお話でございました。もちろんそれはやっていただいて結構ですが、それがそのまま、例えば総会なり専門部会に出てきて、意見としてほぼ最終という形は明らかにおかしいと思います。アプレイザルこそが、特に社会的影響に関しましてはいろいろなステークホルダーの意見を取り上げるべきでありますし、もちろん専門委員の方からも御意見をいただきたいと思いますし、そういった場です。中医協だけの範囲がいいのか、もうちょっと広げたほうがいいのかは、それも議論するべきだと思いますけれども、アプレイザルこそはもうちょっと上位の組織で議論することが必要ですし、仕組みとしてはそのようにやるものだと私自身は認識しておりますが、その点、事務局の見解はどうかということ。

 

 もう一つは、スケジュール感でございますけれども、夏までに中間取りまとめという予定が示されております。夏までといいますと、もうそれほど期間がないので、夏のところの中間取りまとめに、例えば、アプレイザルも含めて多くのことが専門組織から出てくるわけですけれども、一遍に出てくるのはつらいと思いまして、できれば中間取りまとめの中間ぐらいのところで一度、あらあらの御報告をいただくことをしていただきたいと思います。それが2番目の質問でございます。

 

 事務局のほうにお答えいただければと思います。

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございました。

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 2つほど質問をいただいてございます。

 

 まず、スケジュール感について、後段のほうからお答えをさせていただきたいと思いますが、いきなり最終的なものが出てくるのではなく、途中途中できちんと議論ができる段階で、修正を加えられる段階でお示しをすべしという御指摘があったと受けとめました。私どもとしては、検討すべきリスト自体はこの2月8日の当部会の取りまとめで、この資料で申し上げたら、費-2の1~2ページにおきまして示されております。それぞれにつきまして、どのように取りまとめるかを適宜、きちんとお示ししながら、十分に御議論いただける時間をとりたいと思ってございます。

 

 アプレイザルに関しましては、当部会で定めましたルールによりまして、それをもとに専門的な費用対効果評価専門組織におきましてアプレイザルを行うとなってございます。当然、最終的な結果自体は他の、例えば、薬価なり材料の算定組織が最後にこちらで御承認いただくようにこちらに御報告をさせていただいて、御承認いただくべきものと承知しておりますが、途中で申し上げられた、途中の段階あるいはもう少し大きな場でということは、今のところは想定してございません。やはりこの部会で定めていただいたルールによりまして、この費用対効果評価専門組織において、まずは組織としての結論まで出していただくべきものと思ってございます。

 

 ただ、その組織の結論におきまして、この中医協におきましてはちゃんと報告をし、そしてまたそれも認めていただくというプロセスは当然入るものと思っております。

 

○荒井部会長

 

 万代委員、お願いします。

 

○万代委員

 

 承認とおっしゃいましたけれども、先ほど来、申し上げましたように、承認ではないと思うのです。専門部会でもいいですし、総会でもいいですけれども、そこでさらにアプレイザルにつきましては、もちろん次の反映方法もそうだと思いますけれども、十分に討議するなりいろいろな意見が多分あると思いますので、そこは承認ではなくて、十分討議した後、最終的に承認という手続でないとやはりおかしいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 医療課長、お願いします。

 

○迫井医療課長

 

 医療課長でございます。

 

 これは私からお答えしますが、これは全体的に中医協の運用ルールといたしまして、薬価もそうですし、デバイスもそうですけれども、部会で基本ルールを議論していただいて、個々の品目の価格設定については、もちろん言ってみれば総会のスーパーバイズのもとにはなりますけれども、一定の専門組織で整理をした上で、包括的に総会で承認していただくシステムをとっております。

 

 これらの理由は、恐らく多岐にわたる医薬品やデバイスなどの個別の価格設定を、もちろん筋論からいくと、個々に総会で審議するのが考え方としては正しいかもしれませんが、診療報酬項目は非常に多岐にわたりますので、一定のルールを定めて、ルールを運用する範囲においては包括的に総会で承認していただくという運用が基本的な考え方なのだろうと思います。ですから、医薬品やデバイス、個々の報酬項目を原則的には中医協がもちろん承認はいたしますけれども、ルールを設定して、ルールの運用で一定程度の価格設定ができるものについては、そういう運用をしていこうというのが原則でございます。

 

 もちろん、これから御議論いただくことだと思いますけれども、費用対効果にしても現にこうやってルールの議論をしていただいておりますが、ルールを一定程度議論して設定していただいた上は、基本的には一定の範囲は算定組織なり評価する専門組織に委ねる運用でやっていただくことが現実的であり、現時点で少なくとも事務局としては、そういった形の運用していったらどうかという考え方で御提案しているということでございます。

 

○荒井部会長

 

 万代委員、どうぞ。

 

○万代委員

 

 考え方はわかりましたが、それを承服するものではないと思いますし、そうでないと今まで皆さんがおっしゃっていたことに答えられないのではないかと思いますので、今後の議論だと思います。

 

 以上です。

 

○荒井部会長

 

 松原委員、どうぞ。

 

○松原(謙二)委員

 

 「(1)倫理的・社会的影響等に関する観点」の6つを見ますと、やはり何か、違和感があります。本当にこれでいいのかなと。十分に議論していかなければならないのではないかと思います。

 

 今回の費用対効果を数値化すること、あるいは指標とすることについては、必要であるのはよく理解できますけれども、数値あるいは何かの指標が出ますとひとり歩きして、本来考えねばならないことが離脱してしまって、ある日、これは一体誰がどう決めたのだという話が出たときに、大変な責任を負うことになります。十分に議論していただかないと、これがひとり歩きして、これによって全てが決まるようなことがなきように。つまり、ある意味ではこれは単なる指標であって、数値的に絶対的なものではないということをよく確認していただきたいと思います。

 

 また、どれだけ払えばということについてですけれども、立場によって評価の仕方が違うと思います。ランダムに集めて調べれば済むのではなくて、むしろ逆にある程度のことがわかっている人たちを一定の集団として、その中でお話を聞くべきです。先ほど、人数と手法について説明をされましたけれども、これは選挙の投票先を聞くのとは異なり、かなりの基本的な知識がないと正しく答えられないのではないかと大変危惧いたします。そのことを十分御議論いただきたいと思います。

 

 以上です。

 

○荒井部会長

 

 それでは、幸野委員、お願いします。

 

○幸野委員

 

 様々な御意見がありましたが、我々には、どのように費用対効果評価が進んでいくのかといったイメージが湧かないので、何か具体的な例を挙げて、シミュレーションを行った結果を示していただければ、また違った問題点が見えてくるのではないかと思います。そういった具体例を示して議論する機会をぜひ設けていただきたいと思います。

 

○荒井部会長

 

 吉森委員、お願いします。

 

○吉森委員

 

 そもそも費用対効果というのは、薬価を抜本的に改革しようとか、今まで歴史的に薬価の算定の方法についてもかなり課題が出てきた。さらには、イノベーションとか新薬の開発について画期的な新薬がどんどん出てきた。そういう中でこの費用対効果というのは非常に重要な算定方式なのだろう、それを試行して、今後に生かそうということなので、今、委員の皆さんから出ていますように、非常に慎重にかつ丁寧に議論すべきだと思いますので、ぜひいろいろな13品目をわざわざ試行して、「わざわざ」というのは妥当な言葉ではないかもわかりませんが、専門組織に時間をかけてやっていただいているわけですから、それを参考に、さらには足して加えて、倫理的・社会的な影響は当然加味しないといけないのもよく理解できますので、基本的に言いたいことは、費用対効果という考え方はやはりだめだとならないようにしなければいけないと思いますので、ぜひこの辺は丁寧に議論したいことを御理解いただきたいと思います。

 

○荒井部会長

 

 間宮委員、どうぞ。

 

○間宮委員

 

 支払い意思額の調査の対象ですけれども、これは一般の人ということですが、一般の人の中にはもちろん患者の立場である人もいるのかもしれませんけれども、やはり医療とか医薬品での恩恵を受けた人、いわゆる患者の立場にある人がどれくらい支払いができるかということを言うのが一番わかりやすいと思いますし、全く健康な人がこれに対して幾ら払いますかと聞かれたところで、余り確実というか、適切な金額が言えるのかなと思っています。そういう意味では、やはり対象を細かく考えていただいて調査をしていただければいいと思います。

 

 それから、3ページにあります「小児の疾患に対する治療」。これで言うと、小児を対象とすることになると、評価的というか、数値としては低くなるからということなのかなと思っていて、その救済策としてこういう要素を入れたほうがいいのではないかということで提案されていると思うのですけれども、そもそもここで一旦評価して、こういう要素で引き上げるというか、救済する感じが合っているのかどうかは疑問に思いました。

 

○荒井部会長

 

 では、企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 今後の運営の部会の進め方等につきまして、慎重にすべきである。そして納得感をちゃんと得られる形でという御指摘をいただきまして、ぜひそのように私どもも進めたいと思っております。大事な取り組みだと思っておりますので、そこは私どもも誠実にやらせていただきたいと思っております。

 

 幾つかコメントをさせていただきますけれども、先ほどの間宮委員からのこちらの承認ですが、安部委員からも、これは除外項目とすべきではないかという御指摘もありましたけれども、まずICERを出したときに、数値として悪く出てしまうことがあるかもしれない。そういった場合に、何か修正をするための配慮とする要素はあるのではないかとお示ししたものでございます。小児だから悪く出るとお示ししたものではございません。

 

 そこはぜひ御理解をいただきたいということと、私の答弁で1つ、明確でなかったという指摘が事務局内からもありましたので申し上げます。これは松本委員からの御質問に対しまして、医薬品あるいは機器ごとに閾値を変えるのかという御質問におきまして、私のほうから、それは1つに決めるのですと申し上げました。これは医薬品ごとに決めるのではなくて、この費用対効果評価の一つの軸として、共通の値を決めていくということで御理解いただければと思っております。

 

 以上です。

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございました。

 

 遠藤委員、お願いします。

 

○遠藤委員

 

 先ほどから、支払い意思額に関してはいろいろな意見が出ていると思うのですけれども、この調査についてお尋ねしたいのですが、これは1回限りの調査なのですか。それとも、経年的に行う調査なのでしょうか。というのは、1回目の調査は、調査を受けるほうもイメージがほとんど湧いていない状態での調査で、数値としては出ると思うのですけれども、その数値が意味を持つかどうかはかなり疑問があるように思うのですが、これを経年的にやっていけば、当然1回目が公表されて、それが国民の目に見えたときにだんだん収斂されていくこともあろうかと思うのですけれども、この調査の回数は間隔をおいてやるのか、その辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 では、参考人、お願いします。

 

○福田参考人

 

 御質問ありがとうございます。

 

 今年度取り組んでいる調査に関しては今年度だけの調査になると思います。今後、いろいろな対象とか、継続してやっていくかどうかについてはこれから検討が必要だと思います。

 

 ただ、逆に過去において類似の調査をされていますので、今回の調査に関しても、過去のものと比較してどうかとか、それは、例えば統合するとか、そういうところは必要ではないかと考えています。

 

○荒井部会長

 

 松本委員、どうぞ。

 

○松本委員

 

 時間がないところ申しわけないのですけれども、幸野委員の質問の中で、例えば、3ページの「考慮すべき要素の案」のところですけれども、「イノベーション」に関しては薬価のときにも考慮しているではないかというのがありました。「小児の疾患を対象とする治療」というのは、これは対象人数の問題だと思うのですけれども、これも薬価は当然、反映されています。それと、この6段階は違うという理解をしていたのですけれども、それでよろしいのですか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 こちらの考慮すべき要素としてのイノベーションなり小児の評価要素ということと、薬価なり材料なりのイノベーション、小児のところの評価の関係に関するお尋ねでございますけれども、まず、直接的にリンクするものではないと考えております。ICERをお示しするときに何か考慮すべきものとして、要素としてあるものでございまして、結局これをどのようにそれぞれの価格算定に生かすかということに関しましては、それぞれの部会、そしてその組織で検討いただくものと考えております。

 

○荒井部会長

 

 松本委員、どうぞ。

 

○松本委員

 

 では、結局また薬価にそれは反映されるという理解でよろしいのですか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 必ず個々でイノベーションなり小児ということで配慮したからといって、薬価なり材料の価格に反映されるかどうかはわからない。それはそれぞれの部会でルールを決めていただくことかと思っております。

 

 ただ、ここでお示ししておりますのは、ICERの解釈といたしまして、ICERではこう出ます。その上で、例えばその5段階を動かすときの一つの要素として、こういうものがありますというものをお示ししているものでございまして、直接は関係ないと思っております。

 

○荒井部会長

 

 どうでしょうか。専門委員、お願いします。

 

○上出専門委員

 

 ありがとうございます。

 

 スケジュールについて1点、質問させていただきたいと思います。

 

 資料の5ページ目の○、△、□の数字は、案がこの部会で提案されるものと理解しておりますけれども、いつごろこの案がこの場で提案されるのか。また、支払い意思額の調査結果が出ないと○、△、□の数字の案が固まらないかと思いますが、いつごろ調査が終了するのか、可能な範囲で教えていただきたいと思います。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 これも重要な御指摘だと思います。こちらの案でございますけれども、こちらは今、調査をこれから始めていただきまして、恐らく夏から秋に値が出てくるものと思っております。その調査の手法、そしてその結果、そして値がどのようになるか。そしてまた、1人当たりGDPと比較してどうかということに関しては、当然この部会で御議論いただくと考えているところでございます。

 

○荒井部会長

 

 よろしいですか。

 

○上出専門委員

 

 ありがとうございました。

 

○荒井部会長

 

 中村委員、お願いします。

 

○中村委員

 

 1点、念のため、再確認したいのですが、支払い意思額を調査するときには、特定の疾患を想定せずに調査される、ということでよろしいですか。もしかすると私のほうで誤解しているかもしれないので。

 

○荒井部会長

 

 福田参考人、お願いします。

 

○福田参考人

 

 御指摘のとおりでありまして、特定の疾患とか治療法を想定せずに聞く予定です。

 

○荒井部会長

 

 専門委員、お願いします。

 

○日色専門委員

 

 専門委員の立場から、医療機器の立場から発言させていただきます。コメントが1点と質問が1点です。

 

 医療機器の場合、これまでのさまざまな具体例の検討等からも、ICERを算出するのが非常に困難な場合があるのがわかっております。その場合、ICERが算出できないので、費用対効果が悪いと直ちに評価がされることがないように、今後の方法には議論させていただきたいというのをコメントとしてまず申し上げたいと思います。

 

 2つ目はそれにも少しかかわりまずが、先ほどから随分議論になっております、この倫理的・社会的影響等に対する考慮すべき要素の案でございますけれども、そういった医療機器の特性もありますので、ICERの値のみならず、何らかの形で考慮する枠組み自体は、医療機器専門委員の立場からは理解ができるものと考えております。

 

 例えば、ここに長期にわたり重症の状態が続くという例がありますけれども、医療機器の場合、短期間で1回限りの疾患治療において、大きなメリットが出せるものがあります。例えば、1カ月の入院が必要なものが1週間で済んでしまうといったケースなどでは、期間が大変短いものですから、QALYを計算しますと、値としては非常に相対的に小さくなってしまって、ICERでは適切に評価できないケースも想定されます。

 

 その上で質問なのですけれども、4ページの一番上の丸で「考慮すべきと考えられる要素が新たに出てきた場合には、適宜検討する」とありますが、これはそういった、今、申し上げたようなケースが出てきたときに、都度、考慮していただけるものなのか。それか、何らかの枠組みがしっかりできた上で考慮されるプロセスになるのか。プロセスの質問をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 個別の考慮要素に関する御質問でございます。

 

 4ページの一番上の丸に書いてあるとおりでございまして、今後、個別の品目を組織で見ていただくわけでございますけれども、考慮すべきものがあった場合には、それを考慮していただくことになるのだろうと思います。また、それをこの項目のようにきちんとルール化すべきものであろうという場合には、きちんとこの部会において御議論をいただくことを考えております。

 

○荒井部会長

 

 ほかに意見はないですね。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 よろしいでしょうか。

 

○荒井部会長

 

 企画官、お願いします。

 

○眞鍋医療課企画官

 

 さまざまな御議論をいただいておりました。途中で、私も十分答弁できなかった分もあったかと思いますけれども、この費用対効果評価のルールに関して御議論いただきまして、今後、試行導入から制度化へと進んでいくわけでございますけれども、そこの途中におきまして、総会のメンバーでどのように御議論いただくかに関しましては、一度、事務局のほうでもよく整理をさせていただいて、議論させていただきたいと思っております。

 

○荒井部会長

 

 ほかに御意見はないということでよろしいでしょうか。

 

 そうしたら、ほかに御意見等もないようでしたら、本件につきましては、費用対効果評価専門部会として了承するということでよろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○荒井部会長

 

 ありがとうございました。

 

 それでは、本件につきましては、費用対効果評価専門部会として了承したいと思います。

 

 本日の議題は以上です。

 

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。

 

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

(了)
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