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2017年3月24日 平成28年度第10回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成28年度化学物質審議会第4回安全対策部会 第172回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会 【第一部】 議事録

○日時

平成29年3月24日(金)13:00~14:40


○場所

中央合同庁舎5号館 18階 専用第22会議室


○出席者

(五十音順、敬称略)

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会委員

石田 誠一 小川 久美子 菅野 純
高橋 祐次 田中 博之 能美 健彦(座長)
平塚 明 平林 容子 広瀬 明彦

化学物質審議会安全対策部会委員

浅野 哲 大石 美奈子 近藤 元好
恒見 清孝 東海 明宏 原田 房枝
林 真(部会長)

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展 菅野 純 日下 幸則
小山 次朗 白石 寛明(委員長) 鈴木 規之
田中 嘉成 田辺 信介 山本 裕史
吉岡 義正 和田 勝

事務局

厚生労働省  日下部化学物質安全対策室長
経済産業省  飛騨化学物質安全室長
環  境  省  新田化学物質審査室長      他

参考人

山田 隆志 (国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部 室長)
吉川 榮一 (一般社団法人日本塗料工業会 漁網防汚剤安全使用協議会 アドバイザー)

○議題

1.優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIにおける評価について
2.化審法における優先評価化学物質に関するリスク評価の基本的な考え方及びリスク評価手法の改訂について(案)
3.リスク評価IIのスケジュールについて(案)


○議事

 

○MHLW事務局 それでは、時間がまいりましたので、ただいまから平成28年度第10回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会 平成28年度化学物質審議会第4回安全対策部会 第172回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の合同審議会を開催したいと思います。


本日はいずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会は成立していることを御報告いたします。なお、国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部の山田隆志室長に参考人として御出席いただいていますので、よろしくお願いいたします。


○METI事務局 また、本日はリスク推計結果の審議が予定されている亜鉛ピリチオンについては、そのリスク推計に海域中濃度推計モデルを使用しており、当該モデルによる推計に当たり、パラメータの設定の検討に協力いただきました日本塗料工業会の吉川榮一アドバイザーに参考人として出席いただいております。


○MHLW事務局 本合同審議会は第1部と第2部に分けて実施します。本日は13時から14時半までを第1部として、優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIの審議などを公開で行います。終了後、休憩を挟みまして、1450分より第2部を行いますので、よろしくお願いいたします。


 それでは、お手元にお配りした資料について確認を行います。一番上に議事次第、その次に資料1-1「リスク評価(一次)評価IIにおけるキシレンの評価結果について()」、資料1-2「優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価II リスク評価書簡易版()[キシレン]」、資料2-1「リスク評価(一次)評価IIにおける亜鉛ピリチオンの評価結果について()」、資料2-2「優先評価化学物質のリスク評価(一次)生態影響に係る評価II リスク評価書簡易版()[亜鉛ピリチオン]」、資料3「化審法に基づく優先評価化学物質のリスク評価の基本的な考え方及び優先評価化学物質のリスク評価手法についての改訂()について」、資料4「リスク評価II全体スケジュール()」です。参考資料については、お手元のパソコンのほうに入っております。過不足などありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。


 これより議事に入ります。本日の全体の議事進行につきましては、化学物質安全対策部会化学物質調査会の能美座長にお願いいたします。能美座長、どうぞよろしくお願いいたします。


○能美座長 それでは、これより議事に移ります。はじめに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。各審議会の公開については、それぞれ規定のあるところですが、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、又は、特定な者に不当な益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合等、非公開とすべき場合には該当しないと考えますので、原則公開としたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は秘匿することを認めることとしたいと思います。これでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日の会議は公開といたします。議事録については、後日、ホームページ等で公開されますので、あらかじめ御承知置き願います。


 それでは議題1に入ります。本日はリスク評価IIに進んでいる優先評価化学物質のうち2物質の審議を行うことといたします。もともと3物質の審議が予定されていましたが、d-リモネンについての審議は行わないこととなりました。この経過について、事務局より説明をお願いいたします。


○METI事務局 本日、生態影響の観点でリスク評価IIの評価結果を御審議いただく予定でしたd-リモネンについて、審議会に先立ちましてd-リモネンに関係の工業会にリスク評価の現状を御説明させていただきました。その際、d-リモネンはそのほとんどが天然物由来で、柑橘類の皮から油を抽出し、その後、分留・精製しているだけであるとの情報が得られました。その後、d-リモネンの輸入数量の届出を行っている事業者に、その実態を確認したところ、工業会の御指摘のとおり、そのほとんどが化学反応を伴わない製造工程によって製造されていることが判明しました。つまり、d-リモネンは当審議会での審議対象である化審法上の化学物質に該当しないということが判明いたしました。


 このことにより、d-リモネンは現状では化審法のリスク評価(一次)評価IIを実施する必要がないと判断いたしました。今後、更なる精査の後、しかるべきタイミングでd-リモネンの優先評価化学物質の指定取消しの手続を進めていく予定です。


 なお、今般のリスク評価の実施に伴い、d-リモネンの物理化学性状データ、有害性情報などの収集は行ってまいりましたが、当該情報については、今後、ウェブサイトなどで公表させていただきたいと考えております。


○能美座長 ただいまのd-リモネンについての事務局の説明について、御質問、御意見がありましたら、お手元のネームプレートを立ててください。


○菅野委員 こういう機会ですから伺います。情報を見る限りにおいては、特段すぐに懸念されるような有害性のデータはないという認識でよろしいのでしょうか。それとも、そういう情報は手元に今はないというお話なのでしょうか。


○METI事務局 直前まででしたので、簡易版のリスク評価書を作成しておりました。これはPRTRデータがないので、化審法のデータに基づいてリスク推計しておりますので、若干、不確実性は高いのですが、懸念地点としてはありました。ただ、この化審法のリスク推計の中で、天然物というのは化学物質の対象にならないものです。


○菅野委員 理由はよく分かりますが、一度俎上に載った物質でありながら、サッと消えてしまうというのはもったいないという意味で、今の御返答で十分です。ありがとうございます。


○METI事務局 そういう意味では、有害性情報等はウェブページに載せる予定ではございます。


○大石委員 今の御質問とも関連するのですが、これは消費者としての実感で申し上げます。このリモネンという物質は結構いろいろな所で使われていて、香りとしてすぐに思い浮かべられるほど洗剤や芳香剤などに存在するものです。確かに天然物由来なので、今回の俎上に載らないということは理屈では分かるのですが、天然物由来であっても、もともと国内ではそれほど使われていなかったものが輸入により増え、暴露量が増えているということについて、本当に大丈夫なのだろうかという不安は少なからず消費者にはあると思います。そういう意味で、リモネンに関して調べた情報を、きちんと分かりやすく出していただくということを是非お願いしたいと思います。


 それから、自然由来の化学物質なので対象とならないし大丈夫ですということなのかと思いますが、同じ化学物質として、量が多ければ影響は出るのではと不安に思いますので、本当に大丈夫なのだろうかという消費者の疑問に対して、是非その辺りの説明も加えていただけると有り難いです。


○能美座長 では事務局、その点よろしくお願いします。


○METI事務局 はい。


○能美座長 ほかにはございませんか。ありがとうございます。それでは、ただいまの御意見、ウェブサイトで公表していただければと思います。


 それでは、本日の課題、次はキシレンの評価に移ります。まず、キシレンの評価の生態影響の観点でのリスク評価IIの評価結果及び今後の対応について、事務局より説明をお願いいたします。


○METI事務局 資料1-2です。1ページですが、本物質はキシレンですが、キシレンは、オルト、メタ、パラの3異性体がございます。物理化学的性状のモデルに使うデータについては、それぞれ同時に使うことはできませんので、出荷量等を踏まえて一番多い p -キシレンのデータを用いて物化性状値を求めました。その物化性状に基づくデータが表2、表3に係るデータです。


 3ページです。排出源情報ですが、この物質は、製造量と輸入数量の合計が約500万~600万tで推移している物質です。化審法の届出情報に基づく評価IIに用いる推計排出量を求めたものが表4です。実はこの表ですが、大気、水域に行くもの全て求めていますが、今回記載漏れをしましたが、水域に行く分としては、製造としては5t、中間物としては53t、02-aとしては4t、そのほかに07-aの工業用溶剤、合成反応用溶剤として3t、これらが1tを超える水域の排出推計となっています。


 この物質についてはPRTR情報がありますので、図2ですが、水域に排出しているものが6t、そのほかに推計対象業種、非対象業種にプラスアルファとして数トンが排出されているものと思われます。


 5ページです。PRTRの届出外の排出量の内訳ですが、例えばその移動体については化審法対象外ですが、ほぼ大気だと思うのですが約13,000tあります。ここで対象になってくるものとして、殺虫剤、接着剤、塗料、漁網防汚剤等、あと、対象業種のすそ切り、ここに当たるものの水域の部分がリスク推計の対象となってきます。


 ○MOE事務局 続きまして、有害性評価について御説明いたします。表6に、収集しまして信頼性があると判定された有害性情報についてお示ししております。なお、有害性情報の詳細な資料ですが、パソコンに保存している資料1-2の参考2にありますので、そちらも適宜御覧ください。


 7ページです。有害性情報のまとめを示しております。冒頭に経産省から御説明がありましたとおり、オルト、メタ、パラ異性体それぞれについて有害性情報を集めておりますが、今回はエンドポイントごとに最低値を採用するという方法についても検討いたしましたが、異性体ごとの作用機序等が明らかでないということから、オルト、メタ、パラそれぞれについてPNECを算出しまして、その結果、最もPNECが小さくなった p -キシレンを採用しております。


 なお、参考として、混合キシレンについてもPNEC値を出しておりますが、1つのエンドポイントのデータしか得られないということで、非常に不確実性も大きく、かつ、混合キシレンに関してはエチルベンゼンが含まれているという情報もありますので、そちらを採用するのも適当でないという観点から、 p -キシレンのPNECを採用したということです。


 その結果、2栄養段階の慢性毒性値が得られており、そのうち小さかったほうの藻類の生産者のほうの慢性データを種間のUF5で割り、0.088。一方、慢性データが得られなかった二次消費者の急性毒性値4.7mg/L、こちらを慢性・急性の毒性の比率ACRで除しまして、0.047mg/Lとなっています。こちらを比較しまして小さいほうであった二次消費者の急性毒性値から求めた値、0.047mg/Lを屋内から屋外への不確実係数10で割り、0.0047mg/Lを得ております。


 続いて底生生物です。冒頭の表2で示しましたとおり、オクタノール水分配係数が3以上となっていますので、底生生物についても評価を行っております。こちらについては、信頼できる有害性データは得られていませんので、水生生物から得られたPNECwaterから平衡分配法を用いて底生生物へのPNECを導出しております。その結果、0.18mg/kgということになっております。有害性評価については以上です。


○METI事務局 続いてリスク推計結果です。8ページですが、5-1「排出源ごとの暴露シナリオの評価」です。この物質はPRTRの届出情報がありますので、PRTRの届出情報に基づいてPRAS-NITEを回しましてリスク評価を行いました。排出源の数としては4,800ありますが、実際に排出量があった事業所は115か所、これは下水道の終末施設も含めて115か所ですが、いずれもリスク懸念箇所はありませんでした。底生生物についてもリスク懸念はございませんでした。


 13ページの表17は、実際のリスク推計した結果の上位です。一番懸念というか、PEC/PNEC0.72というのが比率として一番高かったところで、いずれも懸念地点はなかったという結果になっております。以上です。


○MOE事務局 続きまして、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価を行っております。こちらの物質はPRTRの対象化学物質となっていますので、これを用いて様々な排出源影響を含めた暴露シナリオによる推計モデル、G-CIMESと言いますが、これにより水質濃度の計算を行いました。水域における評価対象地点3,705流域のリスク推計の結果が表9にお示しするとおりです。表9はPRTRの届出外排出量全量を含めています。次のページにPRTR届出外排出量のうち、化審法の対象とならない農薬及びプレジャーボート等を除いた格好で示しております。その結果、表9においては懸念地点が水生生物で69地点、底生生物で12地点となっています。PRTR届出外排出量のうち農薬及びプレジャーボートを含めない場合においては、水生生物で4地点で懸念あり、底生生物で2地点で懸念ありとなっています。


 続いて環境モニタリングデータによる評価です。こちらについてはかなり多くの測定結果が得られているのですが、こちらが人健康影響の観点の水質要監視項目となっており、その指針値に合わせた検出下限が設定されており、こちらの指針値が0.4mg/Lということで、この10分の1程度で行われているのがほとんどということです。PEC/PNECが1以上のところに検出下限が設定されているということで、表11の括弧内にお示ししていますがNDが非常に多くなっているという状況です。


 資料1-1にお戻りください。リスク評価(一次)評価IIにおけるキシレンの評価結果について御紹介いたします。キシレンについては排出源ごとの暴露シナリオによるリスク評価推計結果では、PECPNECを超えた地点はありませんでした。また、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオの評価ではPECPNECを超える地点が見られたものの、地点数は限られていました。また、製造・輸入数量の経年変化は平成24年度以降、ほぼ横ばいでした。このことから、現在、化審法対象となる排出源からの排出量により推計される暴露濃度では、キシレンによる環境の汚染により広範な地域での生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがあるとは認められないと考えられます。


 ただし、御紹介のとおり大部分の環境モニタリング地点においては、検出下限値よりPNECのほうが低いということですので、評価IIの判断の根拠に至る暴露評価結果が得られていないと判断いたしまして、検出下限値を下げた上で環境モニタリングによる実測データを収集することとさせていただきたいと思います。説明は以上です。


○能美座長 ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見等ありましたらお手元のネームプレートを立ててください。順に指名させていただきます。いかがでしょうか。


○鈴木()委員 資料1-1の評価結果なのですが、5-1の排出源ごとの暴露シナリオでも確かにリスク懸念数ゼロですがPEC/PNEC比がかなり1に近い所があり、5-2のシナリオでは、これも1以上になる所が少なくとも存在して、0.1以上の範囲もかなりの数がある。いずれもモデルの結果ですので不確実であるため、これで判断できないということはそのとおりだと思いますが、「生ずるおそれがあるとは認められない」という結論も書きにくいのではないかと私は思います。ここは「生ずるおそれがある可能性は余り高くはなさそうだけれども」というぐらいが、多分このデータから言えるせいぜいの事柄で、この結果がもっと本当に、幾つかの地点はありましたが、非常に低ければ、あるいはこういうこともあり得るかもしれませんが、恐らくこのぐらいのPEC/PNEC比が推定で出てくるのであれば、やはり下の環境モニタリングをしっかりやらなければいけないということを含めて、「おそれがあるとは認められない」というのは少し判断として適切でないかなと思いますが、いかがでしょうか。


○能美座長 事務局、いかがですか。


○MOE事務局 評価結果について、○の2つ目でお示ししているとおり、「現在、化審法対象となる排出源からの排出量により推計される暴露濃度では」ということで、非常に限定的に書いておりますので、必ずモニタリングを行って確認はしていくということですので、今回はその限定した上で「おそれがあるとは認められないと考える」という表現にしております。


○鈴木()委員 この日本語をどう読むのかはあれですが、この暴露濃度というもの自体の信頼性が、多分、推計ですので完全ではないということが前提になる判断だと思いますので、そこから「おそれがあるとは認められない」というのは書きすぎではないかと思います。おそれが生じる可能性が低いということを何か示唆しているということはそうだと思いますが、少なくとも、明らかにPEC/PNEC比1を超える地点がかなりの数存在するという計算結果が出ている、それ以外の情報がないということであるならば、「認められない」と書くのは少し書きすぎではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。


○MOE事務局 ○の2つ目に「広域な地域での」ということになっておりまして、ですが、少し事務局で調整いたしまして、また御回答させていただきたいということでもよろしいでしょうか。


○鈴木()委員 はい。ありがとうございます。


○恒見委員 GG-CIEMSの計算で、14ページなのですが、全国排出量の内訳のデータですが、届出排出量、届出外排出量、その後の15ページの「農薬、プレジャーボートを含めない場合」ということで、3つの水域排出量を比べてみると、結局、水域排出量で見てみると、メインは農薬とプレジャーボートと考えてよろしいのでしょうか。


 そして、その中でどちらの寄与が大きいのか。プレジャーボートに関しては恐らく河川というよりは海での使用なのではないかと思うのですが、その辺りはどういうふうに排出をメッシュに振り分けているのか。その辺りを教えていただければと思います。


○MOE事務局 5ページの表5を御覧ください。こちらにPRTR届出外排出量の内訳について示しております。農薬に関しては904t、これが水田であれば水域、それ以外は土壌ということで、土壌から水に染み出てくるということで、その比率は今は正確なものを把握しておりませんが、1対5ぐらいで、水が1ぐらいで土壌が5ぐらいであったと記憶しております。一方、プレジャーボートに関しては、船舶の中に含まれておりまして、この中での一部分であるということです。ですので、多くのものが農薬由来であるということです。


 配分指標ですが、農薬であれば、その農地の面積などで割り振りをしております。プレジャーボートですが、すみません、これは失念してしまいまして、後ほど御回答させていただきたいと思います。


○恒見委員 ありがとうございます。


○能美座長 ほかには何かございますか。


 分析の、資料1-1の3つ目の○の結論のところですが、「検出下限値を下げた上で」ということになっているわけですが、技術的なところで下げられるのかという、その点はいかがなのでしょうか。


○MOE事務局 既に検出下限値を下げた分析方法を開発できておりますので、測定は可能となっております。


○能美座長 ほかにはよろしいですか。それでは、キシレンについては資料1-1で○の2つ目については鈴木()先生からコメントを頂きまして、事務局のほうで文言をもう少し練っていただいた上で、この評価及び対応とさせていただきたいと考えます。


 続いて、3番目の課題として亜鉛ピリチオンの評価に進みます。亜鉛ピリチオンの評価の生態影響の観点でのリスク評価IIの評価結果及び今後の対応について、事務局より説明をお願いいたします。


○METI事務局 資料2-2を御参照ください。1ページの表1、これが今回対象となっている亜鉛ピリチオンの構造式です。この物質は水中で光に当たり、速やかに分解しますので、変化物として表2と表3の性状も同時に求めました。表4が亜鉛ピリチオンの物理化学的性状データのまとめです。


 次ページの表5では、先ほど申し上げた水中での光分解の半減期を見ていただくと、0.14日、時間数で換算すると約3時間ほどで分解してしまう物質となります。表6、7、8、9は、それぞれの分解物の物理化学的性状データのまとめと、分解に係るデータのまとめです。


 7ページです。排出源情報ですが、この物質は製造・輸入数量を合計すると約800900tで推移しています。表10は、化審法の届出情報に基づく評価に用いる推計排出量です。この物質の推計排出量ですが、上から4番目の船底塗料、さらに25-jの合成繊維の繊維処理剤、抗菌剤、変色防止剤、これらが推計排出量として大きく出ています。


○MOE事務局 有害性評価について御説明いたします。亜鉛ピリチオン及びその分解物の有害性情報は表1112にお示ししているとおりです。なお、冒頭に御紹介がありましたとおり、銅イオンの存在下では、亜鉛ピリチオンは迅速に銅ピリチオンに変化するという知見がありまして、亜鉛ピリチオンの評価に当たっては、銅を含む試験用水を用いた試験は除外しております。こちらは除外したデータも含めまして、資料2-2の参考2のほうに示しておりまして、最後のほうのページに一覧表がありますので、そちらも適宜御覧いただければと思います。


 PNECの導出です。亜鉛ピリチオンに関するPNECの導出ですが、2栄養段階(一次消費者、二次消費者)に対する慢性毒性値が得られており、このうち小さいほうの魚類の値を種間外挿5で除し、0.000244を得ております。生産者については信頼できる毒性値が、先ほど御説明しましたとおり得られていないという扱いとなりまして、慢性毒性値から得られた0.000244を更に室内から室外、野外への外挿係数で除しまして、0.024μg/Lとなっています。分解生成物に関しては以下にお示しするとおりでして、まとめとしましては表14にお示ししています。なお、冒頭で御紹介しましたとおり、オクタノール水分配係数が3未満となっていますので、底生生物の評価は行っておりません。有害性評価については以上です。


○METI事務局 11ページです。排出源ごとの暴露シナリオの評価です。この物質は化管法指定の物質でないため、化審法の届出データを用いて、排出源ごとの暴露シナリオの推計モデルのPRAS-NITEを用いて仮想的排出源ごとのリスク推計を行いました。


 仮想的排出源は、化審法届出情報で都道府県と用途別に届出情報がありますので、仮想的排出源は都道府県ごと用途別の排出源として45点を排出源とし、そこからリスク評価値を用いて計算した結果、亜鉛ピリチオンでリスク懸念地点が3地点ございました。


 5-2です。今回初めて船底塗料のモデル推計を行った物質です。この物質は化審法届出情報の中に船底塗料防汚剤に係る用途があったため、海域中濃度の推計モデルであるMAMPECを用いて船底塗料防汚剤シナリオによるリスク推計を実施しました。手法の概要は参考3-1にあります。今回は紙ではなくてパソコンの中に入っておりますので開いていただけますでしょうか。資料2-(参考1)でございます。


 これまで化審法では、船底塗料防汚剤使用による港湾における海域中濃度の推計をする手法がありませんでした。そのため、日本塗料工業会、NITE及び国で推計手法を共同で検討してまいりました。もともとは日本塗料工業会が自主管理制度に利用するための手法として使っていたものです。当初から化審法の評価II以降の暴露評価に用いるために検討してまいりました。


 2.です。排出量の推計手法です。化審法の出荷数量と船底塗料の防汚剤の長期使用の排出係数が0.9ありますので、全国の合計排出量を算出ができます。それを日本各地の港湾に碇泊する船舶の船底面積に比例するように、各港に排出量を按分するという形を取っております。使いましたデータにつきましては、主な統計データとして港湾の統計年報、漁業センサスの統計データを用いて、以下に示す按分手順で按分していったという形です。


 まず、最初に港湾統計、漁業センサスのデータから、各々の漁港で船の総トン数、入港隻数を集計いたします。総トン数に入港隻数を除すことによって、1隻当たりの平均総トン数を求めることができます。その平均総トン数からFroudeの式を用いることによって、1隻当たりの船底面積に換算しました。1日当たりの碇泊隻数を求めるために1年間の入港隻数を365日で割り、掛ける入港1回当たりの平均碇泊時間を24時間で割ることによって、1日当たりの碇泊隻数を求めることとしました。1日当たりの碇泊の船底面積は、1日当たりの碇泊隻数×1隻当たりの平均船底面積で出しました。


 港湾ごとの全船底面積を求めるために、1日当たりの船底面積を碇泊率で除すことによって算出しております。それぞれの全国船底面積を合計し、日本に寄港する船の全船底面積を算出しております。船底面積と日本寄港の全船底面積に比例するように各港湾の船底面積分の日本寄港船の船底面積を求めることによって、港湾毎の排出量を按分することといたしました。


 2ページです。濃度を推計する対象港湾としては、甲種港湾、乙種港湾、漁港から上位5港湾を選び、その海中濃度を推計対象としました。濃度推計手法については、欧米やOECDの加盟国等のリスク評価での使用実績があり、船底塗料防汚剤の環境中濃度の推計として推奨されている数理モデルのMAMPECモデルを用いて海域中濃度を推計いたしました。


 MAMPECは、定常状態における2次元モデルで、下の図1ですが、環境タイプとして商港か河口港、マリーナ、外海航路、開放系の港、4つの区分があり港湾のサイズや海洋条件の環境パラメータをユーザーで入力することができるようになっております。今回の船底塗料防汚剤のシナリオでは、閉鎖性の高い商港モデルを利用することとしております。防汚塗料の排出量と環境中の分配、水温、塩分、分解、吸着、海洋環境を入力することにより、計算に必要な物理化学的性状については分子量、飽和蒸気圧、溶解度、logKowKoc、ヘンリー係数のデータを入力することによってグリッドごとに推計計算が行われます。


 グリッドのサイズは港のサイズによって変えることができますが、2ページの表を見ていただくと、X2Y1という港の大きさを10分割にして、周辺部というのは同じ面積でグリッドに分割するように計算しております。推計結果はトータル濃度、溶存態濃度、DOC吸着態濃度、SS濃度、底質濃度、各々そういう濃度で出すことができ、最大値、95パーセンタイル、平均値、中央値、最小値が出力されることになっております。今回の推計では、それぞれの平均値を求めております。


 戻っていただいて、これらの手法に基づいてリスク推計したところ、港湾部では、濃度が高くなると思われる15港湾中1港湾でリスク推計懸念箇所が出ました。その周辺部としては0か所という推計結果になっております。分解物については、いずれもリスク懸念箇所はありませんでした。以上です。


○MOE事務局 続いて、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオの評価について紹介いたします。化審法の届出排出量と排出係数から推計した排出量を用いて、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる推計モデルのGG-CIEMSにより、水質濃度及び底質濃度の計算を行い、3,705流域のリスク推計を行っております。水質濃度の推計は以下の表7のとおりです。こちらは淡水域を中心とした結果となっており、PEC/PNECが1以上となるのが19流域ありました。


 続いて、環境モニタリングデータによる評価です。直近5年及び過去10年分の亜鉛モニタリングをする分解物に関する水質モニタリングデータは得られておりませんので、環境モニタリングデータによる評価は実施しておりません。なお、こちらに誤植があり、5地点全てのND、括弧の中ですが、検出下限の最大値0.02が下限の最大となっておりますが、0.02μg/L未満ということです。


 その1行下のNDの後もμg/L未満ということで、過年度において測定結果がありますが、2004年度の結果においては5地点全がND0.02μg/LですのでPNECをやや下回っているという状況です。また、1999年度は0.05未満ですが、こちらはPNECを上回ったところに検出下限が設定されているということです。


 続いて、次のページに追加調査が必要と考える不確実性事項等について、本物質は少し詳細に記載しております。調査の必要性ありの箇所に関して説明いたします。評価対象物質ですが、これについては調査の必要性ありとしており、環境中での銅ピリチオンへの変換速度について調査が必要ということです。これについては既に紹介しているとおり、環境中に存在する銅イオンにより速やかに銅ピリチオンに変換されます。また、銅ピリチオン自体も船底塗料として亜鉛ピリチオン以上に使用されている知見がありますので、こういう知見を集めていこうということです。


 有害性です。こちらについてもありとしており、試験用水について銅を添加した試験を除外しております。生産者(藻類)の信頼できるデータが得られていないという状況になっておりますので、環境中で速やかに銅ピリチオンに変換されるということであるならば、最も影響がある藻類データの採用を検討する必要があるのではないかとしております。


 続いて、排出量推計です。多くの仮想的排出源においてリスク懸念と予測された詳細用途の排出実態です。本物質はPRTRの情報が得られておりませんので、化審法の届出情報を用いて排出量の推計をしております。そういうことから、化審法の製造数量に排出係数を掛けている不確実性ということについて、排出実態に関する情報を収集しなければならないのではないかということです。


 また、本物質について長期使用段階からの排出実態もあり、特に排出量が多くなっていたものが、合成繊維、繊維処理剤からの排出量についてということです。こちらの長期排出量のシナリオについては30ページを御覧ください。表40に、亜鉛ピリチオンについて取り扱っていると考えられる事業者から情報を頂いて、こういう格好で設定しているということです。


 一番下の所に合成繊維、繊維処理剤があります。これは白衣、シーツ、カーテンに含浸して使用しているという情報が得られておりますので、これが海外のOECD、ESDの情報を用いて10年で65%出てくるということで、製造数量は一定を仮定して、毎年、製造数量の65%というか6.5%がどの段階からも出るということにしております。これは特に亜鉛ピリチオンに限ったデータですが、その辺りをはっきりさせる必要があるのではないかということにしております。


 続いて、暴露シナリオです。船底塗料用の防汚剤シナリオについて、本物質は海域のモニタリングデータが存在しておりませんので、モデルの推計結果の検証はできておりません。港湾の海域のモニタリングデータが必要としております。また、様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオです。冒頭にも紹介しましたが、亜鉛ピリチオンは光分解、加水分解、生分解によって多種の分解物に分解されるということもあり、銅イオンの存在下では毒性の強い銅ピリチオンに変化するということが分かっておりますので、この辺りについても、より知見を集めていかなければならないとしております。


 また、今回についてはPRTRの情報ではありませんので、フレーム情報でメッシュに割り振って推計をしているところもありますので、こういう実態に合わせた配分が必要ではないかということです。また、環境モニタリングデータについては、高濃度と予測された地点における水質モニタリングデータが得られておりませんので、亜鉛ピリチオンの環境中の存在状況について分解物も一緒に把握する必要があるとしております。


 資料2-1にお戻りください。リスク評価(一次)評価IIにおける亜鉛ピリチオンの評価結果について紹介します。今後の対応です。化審法の届出排出量に基づく予測環境中の濃度PECの計算を行っており、排出源ごとの暴露シナリオによるリスク評価結果ではPECPNECを超えた地点が見られました。


 また、船底塗料用の防汚剤シナリオによるリスク推計結果では、PECPNECを超えた港湾も見られております。さらに様々な排出源の影響を含めた暴露シナリオによる評価ではPECPNECを超える地点が見られております。なお、製造・輸入数量については、平成24年度以降ほぼ横ばいとなっております。


 このことから現在推計される暴露濃度では、亜鉛ピリチオンによる環境汚染により広域な地域での生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがないとは言えないと考えられております。本物質に関しては、先ほど6で紹介したとおりPRTR対象物質ではないためPRTR情報が得られておりませんので、地理的な分配方法に不確実性があるということ、水中で分解しやすく環境中での挙動に不確実性があるということであり、環境モニタリングについても得られていないということで、評価IIの判断に足る暴露評価結果が得られていないと判断して、環境モニタリングによる実測データを収集することとしたいと思います。


 また、得られた実測データを用いてシミュレーションによる予測結果の検証も行うこととしたいと考えております。また、本物質に関しては、銅イオンの存在下では容易に銅ピリチオンに変化され、銅ピリチオンについても相当量が船底塗料として使用されておりますので、今後、本物質と銅ピリチオンとの関係も整理した上で、リスク評価やモニタリング方法について検討を行ってまいりたいと考えております。以上です。


○能美座長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。順に指名いたします。


○菅野委員 2点質問と1つコメントがあります。PNEC等計算したときに、今回は亜鉛を培地に入れないで実施できた試験だけ使っておられますが、銅ピリチオンに変換してしまったときのデータもお持ちで、その場合のPNECも計算しておられると思います。その値を使ったときは、大体、超える点が何倍ぐらい増えますか。第2点は、藻類を対象にした試験で、現実的に培地から銅を除去した試験は可能なのでしょうか。


 第3点はコメントなので最後でもいいのですが、今まで分解物が出た場合、速やかに分解する場合は原体でなく分解物でやるということが当然な作法です。この場合は、自然界に出た瞬間に転換するものが分かっているということですので、それに準じて、今後はこういうものが分かった時点で、あえて亜鉛を使わない銅を除いた無理をした試験のデータを環境に応用するのではなくて、最初から自然界転換物という分類を設けて素直にやったほうがいいのではないかというコメントです。今の段階では、最初の2つをお答えいただければ有り難いです。


○MOE事務局 培地に銅が含まれている藻類の試験を含めた計算結果はしておりませんので、計算をして後ほどお知らせしたいと思います。ただ、培地に銅が含まれている試験結果に関しては、パソコンの中の資料2-2の参考2の17ページ以降にお示ししております。表の上の辺りの備考欄に培地に銅が含まれていると書いてあるデータです。毒性値自体は、かなり小さめの値になっております。


 また、培地から銅を完全に除去できるのかということに関して、明らかに高濃度で含まれているものに関しては除去しているのですが、幾分含まれているものは若干残っているということで分解物のところ等には、そのデータが少し残っている状態となっており、現実問題として完全に除去することはなかなか難しいのかと思っております。


○能美座長 菅野先生、よろしいですか。


○菅野委員 はい。


○能美座長 ほかに何か御質問、御意見はございますか。


○小山委員 今の環境省のお答えですが誤解されていて、銅を除いたときに藻類の試験ができるのかという御質問だったと思います。基本的には、多分、増殖が抑制されてしまって試験ができないということだと思います。


 ここからは私の質問です。資料2-2の2122ページの亜鉛ピリチオンピリチオンの港湾でのリスク評価です。濃度を推定するのに港湾部とその周辺部ということで、濃度計算をされていらっしゃいます。例えば、表27を見ていただくと、上にある港は確かに面積が小さいですから、船底から溶出した後の亜鉛ピリチオンピリチオンは速やかに港湾の中で均一になるであろうということは予測できますが、k_A港が73km2と非常に広い面積を持った港湾で、ここでも均一な濃度を使ってリスク評価をするというのはいかがなものかと考えます。


 なぜかというと、表28を御覧ください。PEC/PNECの値が大きい所から小さいほうへ流れてきておりますが、ぱっと見ると港湾の面積とPEC/PNEC比にある一定の関係がある。つまり、港湾の面積が広いとPEC/PNEC比が小さくなる。これは港湾での希釈が非常に大きく効いているのではないか。例えば、ほかのバラスト水の環境リスク評価をやっている場合には、港湾全体の濃度が均一になった場合のリスク評価も行いますが、船の周辺部での濃度を推定してリスク評価も行っております。亜鉛ピリチオンピリチオンでそれをやっていないのは、どういうことなのかお聞きしたいと思います。以上です。


○能美座長 事務局、いかがでしょうか。


○METI事務局 化審法において、そもそも船の局所を見るものであるのかというところだと思います。化審法の第二種特定化学物質に指定する要件としては、相当広範な地域の環境において、当該化学物質が相当程度残留しているのかを見ております。「船の周辺部を限定的に見ることは、化審法では必ずしも適切ではないかと思っております。


○小山委員 ここで濃度を推定してリスク評価をしている場合は、例えば、河川や港湾という広い所で均一な濃度でやっているわけではなくて、排出源近傍での濃度を推定しているのではないのですか。


○METI事務局 例えば、大気で言うと5キロメッシュで推計しております。要するに工場の真下で推計しているわけではありません。多分、それと同様だと思っております。


○小山委員 大気の場合は拡散が非常に早いので、それはあり得るかもしれませんが、水について拡散が早いとは考えられないので、私が申し上げたのは、ごく船の近傍ということではなくて船を中心にして1km周辺とか、そういう所でのリスク評価はあり得ないのでしょうかということをお聞きしたのです。


○METI事務局 今回の推計のパラメータの出し方では、今おっしゃった方法の推計は難しいかと思っております。


○小山委員 先ほど私が申し上げたバラスト水のリスク評価をするときには同じMAMPECを使っています。同じMAMPECで船の周辺部と港湾全体というリスク評価を行っておりますので、できないことはないと思います。


○METI事務局 参考人から御説明をお願いいたします。


○吉川参考人 MAMPECのモデル自体を説明いたします。資料2-2の2ページです。


○METI事務局 先ほどの資料2-2の参考3-1の電子ファイルです。「船底塗料用防汚剤の暴露評価手法について」という題名です。


○吉川参考人 一番下の図表2です。そこに書いてある黄色の部分ですが、これは四角いモデルなのですが港湾としてY1、X2の縦横の長さの区画を100メッシュに分けてモデル計算をしております。このモデルで投下点はどこかというとX2に従った下の横軸の線に投下されると計算した上で、全体の濃度分布を100メッシュに分けた形で99パーセンタイル、95パーセンタイル、平均値、中央値、最低値という具合に統計的に濃度を算出するというモデルです。


 ただ、99パーセンタイルの所に関しては、モデルの中での99パーセンタイル、このメッシュにそのままになっているわけではないのですが、濃度分布の高い所として99という最大値が算出値として出てきます。ただし、メッシュの大きさはモデル水域によって変わってきます。対象とする所をどこに選ぶのか、例えば、初めから1キロメッシュで切るのかという使い方は、このモデルではできない。モデルの中の最大値を算出することはできます。


 ちなみに、今、御紹介のありましたバラスト水条件でも、このモデルを使って最大値、若しくは95パーセンタイル値で評価が行われておりますが、実際のリスク評価にはこの値を使用しない。その方法としては、ほかに実際の装置を試験する実機の試験があり、そこから排出される濃度を基にその装置の評価を行っているということです。たとえ、最大値、若しくは95パーセンタイル値のPEC/PNECが1を超える、あるいはリスクがあるという判断が出たとしても、その数値は使わずに実際の測定値で判定しているということをお聞きしております。


○小山委員 バラスト水では、実際、実機で出てきた濃度をこのモデルを使って船の周辺と港湾全体でリスク評価を行っています。


○吉川参考人 そうです。


○小山委員 ですから、出てきた所の濃度ではなくて、そこから港湾での希釈が行われていく過程をこのモデルで計算して、その推定した濃度とハザードの値を使ってリスク評価をしているはずです。


○吉川参考人 そうではなくて、このモデルは実態の想定をするということであって、あくまで、PEC/PNECは実機の試験から得られた実際の薬剤の濃度で行っているとお聞きしております。実測値を用いているということだそうです。


○小山委員 そのようなことはあり得ないです。


○能美座長 今回については、このモデルで出した値に基づいてPNECを超えている所があるかどうかを調べておられるという理解でよろしいのですか。


○吉川参考人 はい、現状ではモデル以上のデータがないので、現状まで調査した内容を報告しております。


○東海委員 今の論点に対して意見があります。大体、今の質疑で分かったところがあるのですが、先ほどの結論の、資料2-2の13ページの6「追加調査が必要となる不確実性事項等」という所で、排出量推計、暴露シナリオのところに関して、今後、不確実性を低減していくための作業が必要であるということはそのとおりだと思います。このことと先ほどのMAMPECの適用手順はよく分かったのですが、どの程度安全側に立った評価をしているのかどうかというところが、もう1つ分かりづらかったです。


 確か、これまでモデルを使った暴露評価をするときには淡水域、陸域に関してはGG-CIEMSを使って進めてきた経緯もあるでしょうし、そういったモデルを使って暴露のデータを補完する際の考え方のようなところを、今回、海域で初めてのケースとして出てきたわけですから、海域のモデルを使う際の考え方をどこかで整理した上で、その考えにのっとってこのパラメータはこのように決めるとか、あらかじめ、そういうことがあった上で結果を議論するという順番で、今回のデータを読み取るというプロセスがあったほうがいいのではないかと思いました。


 細かい質問になるのですが、先ほど御説明いただいた参考資料3-1の排出量の按分の所のやり方が、最終的な暴露濃度の結果に随分影響してくると思います。図1のフローの最後のボックスを見ると、日本寄港船の全船底面積分の各港湾の碇泊船底面積で割り振りするということは、外国からの船が余り往来しない、そして、そこの漁業活動が比較的活発な所が相対的に割り振り、按分される比率が多くなるような算出をしているのではないかと想像いたしました。


 そうすると比較的小さな漁村が現実の漁業活動をどれぐらい反映した暴露解析になっているのかというところが、1つ注意されるべき点ではなかろうかと感じた次第です。以上です。


○METI事務局 ありがとうございました。


○能美座長 ほかに御意見はございますか。


○鈴木()委員 全体としては東海先生が言われた最初のほうの御意見には賛同で、よく分からないし、どのように使うのか、あるいは推定結果を位置付けることがいいのかよく分からないので、取りあえずパッと出てきてびっくりしているのが正直なところです。もう少し検討したほうがいいと思います。


 具体的なところは、資料2-2の参考3-1の所に、港の選定について、甲種と乙種と漁港から、船底面積と港湾面積の比率の上位5港湾を選ぶと書いてあるのですが、資料2-2の11ページの下のほうの注釈3を見ると甲種が160港、乙種が500港、漁港が2,000何地域と書いてあって、漁港に関しては「2,000地域から50地域を抽出した」と書いてあるのです。そうすると、この上位港湾5港を選ぶというプロセスは、具体的にはどういう手順で行われたのか、もう少し御説明をいただければ有り難いと。全部の港湾について、船底面積、港湾面積の比率を計算されたのでしょうか。された上で上位を選ばれたのか、それとも抽出した上でそこから選んだという話なのか、そうであれば話が変わってくると思うので、抽出法自体が議論の対象になると思われます。


 もう1点です。これも技術的な点ですが、MAMPECのモデルは一定程度使われているのでいいと思いますが、こういうモデルはどのようにデータを使うかが勝負ですので、ザッと見ると、港湾の形が「委員限り」と書いている絵で見る港湾の形と、書いてある長さのX1とかX3というものが、私が見て素直に納得できる感じが直感的にはしないのです。私が言っているだけで違う意見もあるかもしれませんが、少なくともその議論はこの場で1度もされたことがないです。


 このモデル対象地域は、このボックスのモデルをどう設定するかという議論をきちんとしないで、結果を評価することは非常に難しいと思いますので、その意味において、この推計法はまだ相当に検討の余地があると思います。そこについて、既に別のお考えが確立されているというのであれば、お聞かせいただきたいと思います。


 それを受けると、13ページ、14ページに「不確実性事項等」というのがありますが、モニタリングデータがないということは書いてありますが、このモデル推定の排出排からMAMPECのモデル推定に至る手法全体について、恐らく不確実性というよりも検討段階だと思いますので、そこに不確実性があるということは当然言明すべきであると思いますので、そのことを追加調査が必要なら、不確実性事項等の中に追加すべきだと思います。3点です。


○METI事務局 最初の御質問ですが、私の説明が少し舌足らずの部分がありました。甲種については、全て160港、乙種については523港で、これは全てやっております。ただ、漁港については大変数が多いのと、データとしては甲種港湾、乙種港湾同様のデータは得られておりません。実際には一つ一つ面積を求めていかなければいけないという、相当時間のかかる作業ですので、全てやるというのは難しいので、50地域を無作為に抽出し、リスク推計を行ったという形になっています。


 2つ目の御質問です。確かに、商港、河口港のような、モデル的なこのような形のものはありません。ただ、商港、河口港、マリーナのようなものは、一番安全サイドというか、ここに無理矢理当てはめることが、そういう意味で言うとリスク懸念としては高めに出ますものですから、我々としてはこの値を使うのは、必ずしも不適切だとは思っておりません。


○吉川参考人 モデルの設定の仕方に関しては、MAMPECというのは真四角なモデルで実際の港湾と違うというのは、御指摘のとおりだと思います。ただ、実際に各港湾ごとにモデル設定を作り直すというのは、非常に手間暇がかかるというか、実質的に不可能なので、このモデルを適用しています。


 考え方としては、マスバランスをベースに考えています。要するに、投下したもの自体はそのモデルの中にいる、その中では分解しない限りはいるという基に、物理化学的性状で分配を計算したものということで、マスバランス的にはそう間違ったモデルではないと確信しております。


 適用法に関しては、確かにかなり実際の港湾と違うところがあるのですが、考え方としては、この商港モデルというのは、三方を完全に遮蔽して、しかも出口が狭まった場合は、その河口だけの長さを指定するというモデルです。


 実際の港湾は、確かに歪ではあるものの、中には出口だけしか海面に面していないという所もありますが、大抵の所はこの三方のうちのどこかが開いている所がほとんどですので、それに関して三方を遮蔽して、かつまた出口の入口を狭めているというモデルを適用しているということに関しては、実際よりもかなりワーストに設定していると思っています。


 御指摘のように、個別のモデルをどう見るかということは調整の必要があると思いますけれども、それはまた今後追って御指摘があれば対応は考えていくと同時に、もう1つの問題としてモニタリングとの比較というのがありますが、このモデルはTBTに関してかつて実際のモニタリングのデータ、そのほか2、3の化合物に関して、既にモニタリングとの比較をして、実際のデータよりもよりワーストに出てくるということの実証は得ています。


 ただし、対象物質に関しては、モニタリングの感度自体がかなり厳しいということで、今後のモニタリングデータ等が出てくれば、それは比較はできると思いますが、現状ではこのモデルを使うのがより実際に近いデータが得られるという可能性が高いという下に、この手法を取ってきた次第です。


○鈴木()委員 まず設定について実際の値を見ると、MAMPECの資料の概要に出ている、「商港」「マリーナ」と書いている、緑はこうなっているのですが、入れられた寸法から見ると、緑のような形になっていないということが私の申し上げていることで全く違う形をしています。Xは狭まっているとおっしゃいましたが、全く狭まっていない港湾がたくさんありますから、必ず安全側に推定しているという言明が正しいとは、私には正直言って思えません。安全側の場合もあるとは思います。


 もう1つは、MAMPECのモデルが安全側に推定するのではなくて、それは入力する値によって変わるのです。MAMPECのモデル自体は正しいモデルで、確かに正しく計算していますが、それは種も仕掛けもないので、入力する値で結果は変わると思います。ですから、MAMPECのモデルは正しいというのは科学的ではなくて、どのように安全側になるように入力値を設定し、扱ったかということが問題ですので、それについて議論がされていないというのが私の意見です。その設定にはいろいろな考え方があるのですが、個別にいちいち言ってもと。


 ただ、少なくとも、この緑と青の絵のような、入口が狭まった商港をここで計算しているわけではないというのは資料からはっきり読めますので、それは申し上げておきます。したがって、今、提示された計算が必ず安全側に結果を出しているというのは、私は承服することはとてもできません。


○能美座長 事務局から付け加えることはありますか。


○METI事務局 御指摘を踏まえて検討させていただきます。


○能美座長 時間も押してきている点もありますし、非常に重要な指摘を頂いたと思います。


 資料2-1の「今後の対応」の○の3つ目の一番下の所に、「また、得られた実測データを用いてシミュレーションによる予測結果の検証も行う」という文言もありますので、今の検証モデルが万能だということではなく、先ほど参考人がおっしゃられたように、この物質についての実測値というのはまだまだないということのようですから、シミュレーションの仕方についても改良していただければと思うところです。


○原田委員 まとめの方向については、そちらで賛成です。


 1つ申し上げたいのが、シミュレーションモデルはこれから非常に重要になってくると思っています。その中で、今まで使ってきたモデルのGG-CIEMSに関しても、先ほどのキシレンのデータを見ていても、モデルを一部修正して使っているというような記載がありますので、そちらも透明性を高めるような仕組みがあってもいいと思います。今回の審議とは違いますが、時間がないのでこの場で言わせていただきました。


○能美座長 前のキシレンのモデルですが、シミュレーションの一層の高度化と言いますか、実態に近いような形にしていただきたいというコメントだと思いますので。


○原田委員 高度化もそうですが、データの透明性という点です。何を修正したのかとか。


○能美座長 ああ、そういう意味ですね。


○原田委員 失礼しました、言葉足らずでした。


○能美座長 環境省の事務局でも検討をよろしくお願いいたします。


○MOE事務局 承知しました。


○青木委員 資料2-1の4番目の○に関わることです。結論から申しますと、単純になぜ銅ピリチオンが優先評価化学物質にならなかったのかという疑問を持ちます。製品として使われているわけですが、そこに関して何かありましたら。


○MOE事務局 優先にはなっておりまして、評価にも着手になっております。


○青木委員 ああ、そうですか。では、その中でまとめてやるということですね。


○MOE事務局 そうです。


○青木委員 失礼しました。


○菅野委員 銅ピリチオンと最終的にはドッキングすると聞こえたのですが、最初の質問の最後のコメントに戻ってしまうのですが、藻類のほうは試験法が銅イオンを添加しない培地では成立しなさそうだという話を委員から伺ったものですから、やはり銅イオンがなくても育つような藻類を探すなどの無駄なことはやめて単純に自然界転換物というような定義を導入して、遅滞なく少なくとも環境については銅ピリチオンで評価するというような作法を作ることも重要なのではないかと思うのです。さらに論議を重ねてもはっきりとした事態が進んでいるように思うので、是非今後御考慮願えたらと思います。


○林部会長 事務局に確認です。この物の評価単位、要するに、今の亜鉛、銅といろいろ出てきていて、最終的にそれは評価単位としては別個になるのか、ドッキングして1つにまとめていく方向を持つのか、もし分かれば教えてください。


○METI事務局 今後は銅ピリチオンと一緒にすることというような、決まったような言い方になっていますが、そこも含めて検討するということです。速やかにということなのですが、速やかにというのもどのぐらいなのかというのは我々もまだよく分からない部分もございますので、ゆえに一緒にするかどうかも含めて検討するという段階だと思っております。それらを踏まえて、評価単位としてどうするのかという話になると思っております。


○菅野委員 私の意見は、物は別ですけれども、環境の有害性のところはそちらのデータを使うという作法を作るべきだと申し上げたもので、最初から物を一緒にすべきということではございません。


○METI事務局 亜鉛ピリチオンを銅ピリチオンに変換するという方向で話は進んでいますが、必ずしもそうでないという話もありますので、そこも含めて検討した上で、銅ピリチオンと亜鉛ピリチオンを一緒にしたほうがいいのか、それとも別にしたほうがいいのかというところを含めて、検討はこれからする必要はあるかなと思っています。


○林部会長 今日の資料2-1の評価結果というのは、亜鉛ピリチオンの評価として、今認めていただけるのであれば生きるという解釈でよろしいですね。


○能美座長 資料2-1の4つ目の○では、亜鉛ピリチオンと銅ピリチオンとの関係を整理した上で、リスク評価やモニタリング方法について検討を行う必要があるということなので、そこの中におっしゃられたように、100%銅ピリチオンになるのか、それともそれは60%なのかとか、環境によって、この港湾では80%だけれども、こちらでは40%だとか、そういう点も含まれるのかなと思っているのですけれども。評価結果としてここまできているということで、こういう文言としてまとめられているのだろうと思うのです。ですから、「今後の対応」と書かれているように、これで全て終わったので何もする必要はないとまとめが出ているわけではなくて、むしろこうした方向で今後対応したいというのが、3省の事務局のまとめなのかなというところです。


 そういう中に、今の銅ピリチオンと亜鉛ピリチオンの関係、実測データとモデルとの関係、それをどのようにもう一回更に精緻化していくかとか、そういうことも含まれるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。もし、そういう形で皆様方に御賛同いただけるようでしたら、この文章として認めていただいて、更に各省庁で、こうした委員からの貴重な意見を踏まえて、更に検討を進めていただければと思うところです。よろしいでしょうか。


 座長の不手際で時間が押してしまったのですが、議題2「化審法における優先評価化学物質に関するリスク評価の基本的な考え方及びリスク評価手法の改訂について」ということで、説明をお願いします。


○MHLW事務局 化審法に基づく優先評価化学物質のリスク評価の基本的な考え方及び優先評価化学物質のリスク評価手法についての改訂について御説明いたします。資料3を御覧ください。1.改訂の背景です。基本的な考え方及びリスク評価手法に基づいて、現在リスク評価を行っているところですが、平成29年1月の審議会において、スクリーニング評価、リスク評価の合理化、加速化方策について御了承いただいたことから、人健康影響に係るリスクIIのリスク評価書の合理化について検討を進めてきました。


 今回、その際に有害性評価値の導出について見直せる部分があるのではないかと考え、それに伴い基本的な考え方及びリスク評価手法の改訂を行いたいと考えている次第です。


 まず、具体的な評価書の改訂内容について御説明いたします。パソコンの中の資料3参考3を御覧ください。左側に現行版、右側に改訂案を記載しています。現在、リスク評価書では一般毒性、生殖発生毒性、発がん性、変異原性の項目ごとに、有害性評価値及び評価をしているところです。これを改訂案では、有害性評価値のまとめの項で、各項目をまとめる形で記載させていただければと考えております。


 記載の内容としては、全項目について概略的に示して、そのうち有害性評価値が最も低い項目については、その有害性評価値の選定理由及び導出の過程を詳細に記載していきたいと考えております。


 その他の国内外の評価や各項目の試験の記載については、従来のものと変わるものではなく、データとの比較はできるものとしていくものと考えております。また、本改訂により有害性評価値が導出されるプロセス等は変わらないので、従前の有害性評価値が変わるといったことはないものと考えています。


 このように評価書の改訂を考えており、基本的な考え方及びリスク評価手法の記載と少し整合性が取れなくなることから、今回基本的な考え方及びリスク評価手法の改訂を行わせていただきたいと思っております。


 資料3の2ページを御覧ください。丸1は基本的な考え方のリスク評価(一次)評価IIに記載されているところですが、現行では、評価IIの有害性評価については、エンドポイントごとに精査した有害性評価値を導出するとしているところを、改訂案では、評価IIの有害性評価については有害性項目ごとに精査し、原則としてリスク推計に用いる単一の有害性評価値を導出すると改訂を考えているところです。丸2です。同様の文言がリスク評価手法についてにもあり、こちらも合わせて修正させていただきたいと考えております。


 丸3です。リスク評価手法に用いられている表で、こちらの項目ごとのリスク評価IIについて個別に精査し、有害性評価値を導出する、また定量的な情報を収集し、得られれば有害性評価値を導出ということになっているので、「必要に応じて」という言葉を補い、整合性を取らせていただけたらと考えております。


 最後に資料3の1ページに戻っていただいて、3.その他の文書の改訂です。リスク評価の手法の詳細については、「化審法における有害性評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス」を改訂して検討していきたいと考えています。以上です。


○能美座長 ただいまの内容について、御意見、コメント等はございますか。


○広瀬委員 分かりにくいかもしれませんが簡単に解説すると、例えば一般毒性のNOAEL100で、発がん性が0.1ぐらいの評価値が出るような所で、100の一般毒性について、いちいちTDIを計算してという文書が前は入っていて、そこでこの評価値の導出についてという議論がときどきあるのですが、それは意味がないので、最終的には一番低い所で環境モニタリングと比較するので、評価値自体の最後の算出は1回でいいのではないかという意図です。


○能美座長 何か御意見はございますか。


○恒見委員 確認です。結果的にリスク懸念はなしとなった場合は、それで十分だと思うのですが、評価I段階でリスク懸念はありとなった場合に、それは例えば発がんのエンドポイントだけなのか、ほかの一般毒性のエンドポイントもリスク懸念ありになるのか、その辺は逆によく分からなくなってしまうのかなというところで。


○広瀬委員 最後に全部見直すので、リスク評価Iはリスク評価IIで見直すので、Iの結果をいちいち引きずってこないようにしたいというのが意図です。


○能美座長 ほかには御意見はございますか。よろしいですか。それでは、資料3については、事務局案で了承いただくということにさせていただきます。事務局から説明していただいたとおりの対応といたします。


 続いて、議題3「リスク評価IIのスケジュールについて」です。資料4について説明をお願いいたします。

 ○METI事務局 リスク評価IIの全体スケジュールは、昨年の3月の審議会で出したまま、1年間出しておりませんでしたので、今回評価スケジュールを組み直しました。組み直すに当たって、2020年の目標の具体化について、その方針の中で、より二特になりそうな物質を優先的に、他方で管理済みの物質については後回しにする等がありましたので、それらを踏まえて、あと複雑な化学物質でデータを入手するのは難しい物質については、これから省令改正等をして入手しやすくしますので、そういう物質については後回しにするという形で、今回物質を組み直しました。


 年間約10物質ずつ、より現実的に評価できるように組み直した結果が、これらの物質のスケジュールです。例えばベンゼンであれば他の法令で管理されているので、前回の方針に基づくと後回しということで平成32年ですし、界面活性剤の一部については、これからデータを得やすくした上で後に回して実施すると、評価は平成33年以降に行う形にしております。

○能美座長 ただいまの内容について、御意見、コメント等はございますか。


○青木委員 スケジュール自体は御説明等でよく納得するのですが、この場で指摘したいのは例えば評価単位の問題です。例えば平成31年度に二塩化ニッケルと硫酸ニッケルが、それぞれ別の物質として評価されることになっているのですが、環境経由のばく露としたときに、塩化ニッケルと硫酸ニッケルを分けてリスク評価するという意味がよく分からないです。それは化学に詳しい高校生でも思うことです。


 つまり、環境経由というのは、1回環境中に出て、いわゆる水溶液になって、それを摂取するという、人が摂取するというシナリオなわけですから、そこで区別する意味というのが、化審法ならよけいに不思議なことというか、意味がよく分からないことになりますので、その点は年はまだ先ですので、御検討いただきたいと思います。


 もう1つは、三酸化クロム、これは六価ですが、いわゆる重クロム酸カリウムとかナトリウムというのは、優先評価物質になっていませんよね。いわゆる六価クロムとして、三酸化クロムだけでやるということになると思うのですが、物性が塩と酸化物は違うので、違うと言えばそれでいいのですが、些か違和感は感じます。後者はコメントです。御検討いただければと思います。


 ほかに、評価単位はこれでいいのかという議論は必要なものもある可能性はあると思いますので、その点は御検討いただきたいと思います。


○能美座長 事務局で検討いただければと思いますが、何かお考えはございますか。


○METI事務局 検討させていただきます。


○能美座長 ほかに何かございますか。


○菅野委員 今の件についてではなくて、「最後に」でよろしいでしょうか。


○能美座長 そうですね。


○菅野委員 d-リモネンの件です。最初にここで扱わなくしたものですが、大石委員もおっしゃられているとおり、消費者や環境から見ると少し懸念が残るという話でしたが、ある意味では、ここまではあたかも普通の工業製品のように見えていたという話だと思うのです。


 質問は、これは排出源を特定してシナリオを書けるところまで情報があるのでしょうか。


○METI事務局 この物質はPRTRの対象の物質ではないので、あくまでも化審法の都道府県別の用途までしかなく、そこから仮想でしか出していないので、PRTRの物質のようには詳細は分かっておりません。


○青木委員 これは製造、抽出業者という概念になるのでしょうか、製造販売。どこかで作業はしているわけですよね。


○METI事務局 主にミカンの採れる中南米の国やアメリカ、そういった地域からオレンジの皮からリモネンを濃縮したものを輸入しているとのことでした。ただ、輸入業者によっては、その形が化審法の届出対象の化学物質かをよく検討せずに届出をしていたということが実態でございました。輸入事業者はリモネンという名称で輸入しているものですから、化学物質とみて届出を実施してきたということでございます。


○青木委員 そうすると国内での製造はほとんどないということですか。


○METI事務局 国内の届出実績はありません。


○能美座長 よろしいでしょうか。スケジュールについては、先ほど青木委員からコメントがありましたので、事務局で考えていただければと思います。その他については、こちらのスケジュールを御承認いただいたとさせていただきたいと思います。


 最後に、議題4「その他」に移ります。事務局から何かございますか。


○MHLW事務局 合同審議会第二部については、約20分の休憩を挟み、15時から開始したいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。


 なお、第二部からは、化学物質審議会については審査部会として審議会を開催することとします。


○能美座長 以上をもちまして、合同審議会第一部を終了いたします。なお、第二部については、新規化学物質の審査等ですので、非公開とさせていただきます。傍聴者の方は御退室いただきますようお願い申し上げます。第二部員の皆様は、開始時間の15時までにお席にお戻りいただきますよう、お願い申し上げます。どうもありがとうございました。

 


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