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2017年6月7日 第2回ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会

医政局研究開発振興課

○日時

平成29年6月7日(水)13:00~14:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

【委員】

戸口田委員長 梅澤委員 柘植委員 前川委員 松山委員
南 委員 山口委員

【事務局】

厚生労働省研究開発振興課 森光課長
厚生労働省研究開発振興課 本間専門官
文部科学省ライフサイエンス課 神崎専門職

○議題

1 ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認

○議事

○森光課長 
 それでは、傍聴の皆様方にお知らせをいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますようにお願いいたします。定刻になりましたので、ただいまから「第2回ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会」を開催したいと思います。本日は、委員会の定数9名に対しまして、現時点で6名の委員の方々に御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。

 それでは、本日の会議資料の御確認をお願いいたします。議事次第、座席表、委員名簿、資料1はヒトES細胞樹立計画変更書、資料1-2は「ヒトES細胞株樹立計画書」、資料1-3は新規追加で、提供機関におけるヒト受精胚の取扱関連資料、資料1-4は事前質問及び回答、資料1-5は「ヒトES細胞の樹立に関する指針」となっております。不足等はありますでしょうか。ありましたらお知らせいただきたいと思います。  

○梅澤委員長代理 
 座席表はありますか。

○森光課長 
 すみません、議事次第の次のページにはありますでしょうか。

○梅澤委員長代理 
 ありました。ありがとうございます。

○森光課長
 ありました。すみません。よろしいでしょうか。そうしましたら、円滑な議事進行のため頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。 以後の進行につきましては戸口田委員長にお願いいたします。

○戸口田委員長 
 よろしいですか。議事1「ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認」に移ります。樹立計画の提出者より、樹立計画内に個別利害に関する事項が存在するということでしたので、私と事務局とで相談した結果、当委員会運営細則第4条に基づき審議は非公開といたしますので、一般の傍聴の方は御退室願います。

○森光課長 
 なお、委員会閉会後のブリーフィングに参加することを希望される方は、この会及び再生医療等評価部会のほうが終了した後に御案内をいたしますので、会議室前での待機をお願いします。

○戸口田委員長 
 それでは今回、当委員会で扱うヒトES細胞の樹立計画は1件ですが、委員会運営細則第6条の規程に基づき、私、戸口田は退室いたします。以後の進行につきましては、委員長代理の梅澤先生にお願いします。よろしくお願いします。

○梅澤委員長代理 
 委員長代理の梅澤でございます。進行を引き継ぎまして本日の議題に入ります。事務局より御説明をよろしくお願いします。

○森光課長 
 本件は、特定胚等研究専門委員会、旧特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会で、第2回から第5回まで4回にわたって審議され、第5回、平成14327日に承認された樹立計画での変更になります。本委員会では、先月に第1回の審査を行っていただいている状況です。樹立計画の名称は「ヒトES細胞株の樹立と特性解析に関する研究」です。樹立機関の名称は「京都大学ウイルス再生医科学研究所」です。資料1-1から資料1-5を机上に紙媒体で配布しておりますが、樹立計画のその他の書類等につきましてはお手元のタブレットに格納されておりますので、適時御活用をお願いします。

○梅澤委員長代理 
 それでは、提出者の方にお入りいただきます。事前質問に対する回答を中心に、提出者の方から10分程度で御説明をお願いします。よろしくお願いします。

○提出者 
 お手元に、指摘事項、意見等についての回答のペーパーが。

○梅澤委員長代理 
 資料1-4になりますか。

○提出者 
 1-4です、あるかと思いますが、それに従って御説明していこうと思います。

○梅澤委員長代理 
 そうですね、御説明いただけると有り難いです。お願いします。

○提出者 
 では質問事項について、質問番号の順にお答えしていきたいと思います。質問事項1、インフォームド・コンセントに関わる説明書について、2点御意見と言いますか御質問を頂いております。指針第2532号に「ヒトES細胞が樹立過程で滅失することその他提供されるヒト受精胚の取扱い」を記載することが規定されており、そのうち「ヒト受精胚の取扱い」については指針ガイダンスに「指針第4条及び第8条の規定に沿って記載すること」とされています。この点について回答をいたします。

 説明文書の3の所が中心になるかと思います。説明文書の3に、「胚盤胞を提供していただく際に御理解いただきたいこと」ということ、その冒頭で胚盤胞を壊すことについて述べております。その後、そのプロセスを含めまして、取扱いに関しては指針に定められていることではなく、行動基準等を定めて胚盤胞を大切に取り扱うという趣旨での記載をしております。指針のその文言をそのまま引用するのではなく、指針に規定された内容について、より提供者は理解しやすいだろうというような記述をするようにしております。これに関しては、現在、他のと言いますか、従来のヒトES細胞の樹立において用いております説明文書でも、この項目に関しては指針の文言を直接引用するのではなく、胚盤胞に関しては、当然、ES細胞も含めてですが、RAをもって取り扱いますという趣旨の記載を行っていることで、ガイダンスの要求と言いますか、それに記載されている内容は満たしているのではないかと考えます。

 質問番号12については、再同意の手続のときに、再同意の説明後の同意後に30日間の撤回期間があって、その間、当該目的、再同意の内容に関わる研究を行わない、取扱いを行わないことということについて記載がないということです。この再同意の内容についての同意後の同意の撤回期間に関しては、これは再同意の問合せ、説明をする際の説明文書の中で、再同意の内容に同意を頂いた場合でも30日間の撤回期間がありますということを説明するのが適切で、最初のと言いますか、胚盤胞の提供のための説明時点でこの再同意の手続があります。その再同意のための連絡を受けますか受けませんか、その他の説明に合わせて、再同意の内容に同意した後の30日間の撤回期間があるよという説明を付け加えることは、非常に混乱を招くのかと考えますし、同意後に30日間の撤回期間があることについては、再同意の手続を進める中で行っていくのが適切かと考えております。質問番号1については以上です。

 質問番号2です。同意の撤回書に夫婦の署名欄がありますが、どちらか一方の署名で撤回可能かという質問です。同意は、御夫婦双方の同意をもって成立するということですので、どちらか一方から同意を撤回するという連絡を頂ければ、同意は撤回されると考えていただいて結構です。

 質問番号3です。説明文書に「医療研究」という表現があって、研究のみで使われるのではないかという誤解を提供者に与えるのではないかという御指摘かと思います。説明文書本文では、臨床研究等の文言は直接的には用いておりません。樹立された細胞株の使用の形態に関しては、どのように使用されるかという内容についての説明を行うときに、研究だけではなく、医薬品としてES細胞から作った細胞が利用される、あるいは、医薬品のスクリーニングや安全性試験等に使われる等の、実用化の可能性があるという記載をしておりますので、提供者から見た場合に、いわゆる臨床研究や臨床以外の研究のみに使われるのではないかという誤解は、恐らく生じないだろうと思います。説明文書を含めて研究という文言が出てきておりますが、これは指針上と言いますか、ヒトES細胞、臨床基礎、臨床を含めてですが、あくまで我々がユーザーと言いますか、使用研究機関に提供した細胞というのは、それぞれの機関で認められた使用研究計画の中で使用される。これは目的が応用、実用化であっても、使用研究計画の中で使われるということで研究という文言が一部残っております。

 質問番号4です。京大及び提供医療機関の倫理委員会関係の情報を提示してくださいということです。これに関しては、事務局を通じて提出されていると思いますので、そのとおりです。何か御質問があれば後で頂ければと思います。

 質問番号5、新規ES細胞の樹立を20株程度としていることの根拠を示せということです。単純に、臨床研究だけではなく基礎研究も含めて一般論で言えば、細胞株は多ければ多いほど利用と言いますか、実用上の可能性が高まることはあります。ただ、胚を濫用すべきではないということで、最小限にしましょうということで考えますと、当初、以前の研究計画では10株程度としておりまして、それは適切であろうという判断がされておりましたが、今回、臨床目的も含んでの樹立ということで、実際臨床に使用する場合には、より厳密に細胞株の選別が進められるだろうと考えております。そのため、より多くの細胞株が必要になるだろうという想定で、おおよそ2倍の20株程度という算出をしました。この20株程度ですが、今回、新規に余剰胚の提供を頂く提供医療機関が年間廃棄している胚盤胞の数であったり、我々の細胞培養施設で樹立ストック可能な年間の株数の想定は、おおよそ年間4株程度から5株がマキシマムかと思っています。そのペースでいくと、5年ないし7年ぐらいで20株程度になるかと考えております。この本計画は10年としておりますが、20株樹立した段階で、それで十分かどうかを検討しつつ、残り、樹立をやめた後でも、臨床研究機関を含めてフォローアップ等々が必要だろうということで、10年という研究機関に対して20株という算出をしています。加えて、記載しておりますようにランダムに20株を樹立しますと、移植時のHLA1座ミスマッチで大体6分の110数%ぐらい、2座ミスマッチを許容すると大体7080%ぐらいのカバレッジが期待できるということがありますので、移植に対してもこれぐらいの株数が相当であろう。2座ミスマッチぐらいですと、20株ぐらいまではほぼリニアーにマッチング率が上昇していくのですが、そこから伸びが悪くなることもありますので、まず20株としております。

 質問番号6、提供医療機関での個人情報保護法での立ち位置はということです。提供医療機関は、この研究計画の中では提供を仲介する医療機関と位置付けられていると考えておりますので、医療機関としての範囲での個人情報の保護の責任を負うと考えております。

 質問番号7、提供者と言いますが、候補者の選別を行うことは、薬機法その他の告示等々を満たしていますかということかと思います。現状、我々が把握している範囲では、全員と言いますか、凍結胚を廃棄しますという回答をされた方全員に、説明を聞いていただけますかという問合せをするわけではないということそれ自体で、法律その他の通知等に反することはないと考えております。現実的な問題ということで申しますと、提供者の医療上の問題だけではなくて、例えば居住地です。非常に遠隔地から治療に通われている方もおりますので、例えばそういう方は、提供をお願いする優先順位からはちょっと低いところに位置するであろうということで、そういった振り分けというのも考えております。いずれにしましても、廃棄される方全員に、胚盤胞提供のためのお願いをしないということは指針その他に反することはないものと思います。

 質問番号8、樹立方法に関して、基礎研究と応用のための細胞調整とが混ざっているのではないか。続きまして、フィーダーフリー法が安全なのか、安全でないのかという質問を頂いております。この細胞調整ですが、樹立した細胞株は、基礎、応用どちらの研究にも使用していただくことになります。また、フィーダーフリー法での樹立法が未確定ではないかという御指摘がありますが、既に樹立されているようなES細胞を用いたフィーダーフリー培養法というものは既に確立されているところですが、ES細胞の場合は、iPS細胞と違って、内部細胞塊の状態をそのまま増殖させるという特性がありますので、ES細胞を安定的に増やせる条件であれば樹立にも十分使えるものだろうと考えております。樹立の初期段階では研究的なところが発生しますが、十分に成功率の高いものと考えておりますし、この部分、フィーダーフリー、あるいは臨床対応の樹立法それ自体を切り出して研究することは、ヒト胚の浪費にもつながるかと考えております。フィーダーを用いる場合の用法でも、もちろん臨床対応は可能ですが、より安全性等々を考えますと、フィーダーフリー法のほうが、種々の規制であったり、安全性を確保するための要件を満たしやすいと考えており、まずフィーダーフリー法で行うと考えております。

質問番号9、民法上の同意文書の契約形態についてということです。いわゆる13類型についてということだと思います。対価を伴わない移転型の契約ということになると思います。いわゆる、民法上の契約の中での類型には恐らく当てはまるものはなく、契約の自由に基づく相互の同意に基づく契約となると考えております。

 質問番号10、樹立機関の者が説明するのは適切なのか、臓器移植のコーディネーター、コーディネーションは参考にならないのかということです。これは、回答に記載しているとおり、指針の要求で、インフォームド・コンセントに関わる説明は樹立機関が行い、説明者は樹立機関長、樹立機関の長が指名するとされていることから、樹立機関の者が説明するとなっております。もちろんこの際には、樹立責任者である私は説明者にはなれないという規則も当然遵守した上で、適切な説明者を選任するという予定になっております。ちょっと駆け足で、しかも長くなりましたが、御質問については以上のように回答させていただきます。

○梅澤委員長代理 
 ありがとうございました。まず、提出者に対する御質問があればお願いいたします。

○柘植委員 
 追加の質問でもよろしいですか。今、お返事頂いたのですが。

○梅澤委員長代理 
 結構です。この質問に関しては、提出者の方々にも前回お願いしましたように、本委員会は樹立に関する指針適合性についてのことです。同時に様々な議論をしておきたいということもありますので、お願いいたします。

○柘植委員 
 ありがとうございます。添付資料の7-10になると思うのですけれども、9ページと31ページと打ってあるのですが、お分かりになりますでしょうか。これは教えていただきたいのですが、11は胚盤胞を提供してくださった場合のお願いで、「健康状態を教えてもらうこと」というのがあります。この提供された胚盤胞からES細胞が樹立されて、その提供された方たちは受精卵ですから、多分、御夫婦の遺伝的な重篤な病気を気にされていると思うのです。これを「足立病院の担当者に連絡を頂ければ幸いです」と書いてあります。かなり遺伝的な個人情報ですが、そこから樹立されているかもしれないES細胞をどうされるかまでの流れというのは、どうなっているのでしょうか。

○提出者 
 遺伝的に何かしら疾患があったときに樹立した細胞株を、どうするかということでしょうか。

○柘植委員 
 というよりも、情報の流れのほうを気にしているのですが。

○提出者 
 情報の流れ方としましては、まず提供医療機関に、任意で情報の提供を頂くということになります。病院に提供いただいた情報を病院のほうで検討して、これは樹立機関に伝えたほうがよい、あるいは必要がないというような判断を、まず第一義的にしていただくことになるかと思います。その上で必要性が高いと考えた疾患に関しましては、樹立機関あるいは必要に応じて主要機関への情報提供が行われるという流れになると思います。

○柘植委員 
 そうなると、連結可能匿名化なわけですよね。その管理はどこがされているのか。

○提出者 
 連結情報の管理は、提供医療機関で行います。

○柘植委員 
 提供医療機関で連結可能匿名化で、この患者さんというか提供者の方の個人情報を、ということですね。

○提出者 
 連結情報の個人情報そのほかに関する一切は提供医療機関で管理されるとお考えいただいて結構です。

○柘植委員 
 そこからES細胞が樹立されているかどうかは、今度は樹立機関のほうが確認されるということですよね。

○提出者 
 それに関しては、どの提供者からの胚盤胞で樹立が成功しました、しませんでしたということは、現時点ではといいますか、足立病院では情報をフィードバックしない方針でおります。ですから、病気等に関する情報を提供医療機関のほうで把握をしたときに、この人のESの樹立はうまくいっているから伝えよう、あるいは伝えないという判断はしていただくことはなく、単純にヒトの疾患の重篤性だけを判断していただくと、現時点では考えております。

○山口委員 
 フィーダーフリーとか、フィーダーは有りと確定しているわけではないということなのですけれども、今後、基本的にはフィーダーフリーで、正直言うとトライしていくというイメージで受け取っているのですが。

○提出者 
 どうしてもトライ、すみません。

○山口委員 
 いや、ある程度やむを得ないというのは理解できます。しかもここではその議論を余りする所ではないのは分かるのですが、ちょっと心配しているのは、例えば製品化というか、最終的に企業に渡すとか、あるいはそれをもって薬事開発をしようとすると、PMDAに申請をしていくなど、あるいは治験をやっていくときに、生物由来原料基準にもしそれが提供していないとなると、ひょっとしたら舞い戻らないといけないのではないかと、ちょっと逆に心配しています。その場合には、もう少し保存する細胞が更に必要になってくるのか。その辺の心配をしているわけなのですが。

○提出者 
 実際どれぐらいうまくいくのか、あるいはほかにどういう手段を導入しないといけないかというのは、現時点では難しく、判断し難いところもありますが、現時点での、過去の経験からすると、現状、我々が未分化細胞を培養している条件で、樹立がうまくいかないことはないだろうという想定でおります。今後、何らかの新しい成分であったり、フィーダーであったりを導入する必要があるという判断をした場合には、いわゆる生物由来原材料基準等、それらに適合させるような形で導入するのが前提になります。

○梅澤委員長代理 
 ほかに御質問はいかがでしょうか。

○松山委員 
 実はこの委員会はヒトES細胞の樹立に関する指針の適合性を見ています。これから質問することが、指針の内容とちょっと違うことかもしれないということをまず述べさせていただいた上でヒトES細胞を樹立した後、バンク化されると思うのですけれども、そのバンクが、例えば使命を終えたというときには、どのように処理をされるのか。今、現状の計画のままだと、半永久的にというか、永久的に続けなければいけないことになるのです。これは実は、この指針には記載されていないのですが、計画上は、もしかしたら頭の片隅で体操しておかなければいけないのかもしれないと思います。コメントを頂けましたらと思います。

○提出者 
 これはもう単純にといいますか、指針上規定されていることをそのまま申し上げます。樹立計画を終了する場合は、原則として分配機関というものがありますから、そこに細胞を寄託しなさいということになっています。現状の指針では、分配機関は臨床目的での分配はできないということになっているので、そういう制約はありますが、樹立した細胞株に関しては、樹立機関として、臨床目的なのか何なのかということは別にして、役割を終える、あるいは樹立計画をやめた段階で、分配機関に移転され、そこで保存、維持されると考えています。

○松山委員 
 もう1つよろしいでしょうか。分配期間を超えた後で、例えば何年たったら実は廃棄されるとかということが、もし分かっているのであれば、インフォームド・コンセントの中でリファレンスする必要性があるかもしれません。あるいは今のところ、そこまでイメージができないのであれば、この指針上はどこまでいくかという規定がないわけなので、もしかしたら触れる必要性がないのかもしれませんが。

○提出者 
 説明文書の中では、曖昧な形の表現にはなりますが、非常に長い間、樹立機関であったり、バンクあるいは利用者の研究室といいますか、そういう所で保存され、利用されるという表現で、特に年限を定めて何年間使用しますというような制約は、現時点では掛けておりません。これは実際に必要になる期間というものが、どれぐらいになるか、現時点で想定しておく、あるいは期限を切っておくというのは、逆に将来、様々な問題を生じかねないかなと考えております。

○梅澤委員長代理 
 いかがでしょうか。

○柘植委員 
 もう1件ありますが、よろしいでしょうか。

○梅澤委員長代理 
 お願いいたします。

○柘植委員 
 足立病院の倫理委員会を、ほんの少し拝見させていただいたのですが、そこでどなたか委員の方が、ここから樹立されたES細胞から卵子や精子が、もし分化されるのであれば、それを書いておかないといけないのではないかということに対して、ここからは樹立しませんと、配偶子は樹立しませんというお答えになられているのですが、それはどのように規定されているのですか。

○提出者 
 これも指針上に規定されていますけれども、配偶子を生殖細胞の作製実験を行う場合は、説明文書に記載して、提供者の同意を得ることとされております。今回、我々が実施します樹立研究では、配偶子作製は余り視野に入れていないということで、説明文書にも書かないということで、生殖細胞を作製しないということは担保されると考えています。

○柘植委員 
 ほかの機関の方が、樹立されたES細胞を使って、作製するという可能性もないわけですね。

○提出者 
 現状、樹立機関が成育医療センターと京大の2か所になっていますが、将来ほかの樹立機関が現れて、そこでの樹立計画で生殖細胞の作製について同意を得るということで樹立を行えば、樹立されることはある。あくまでここでの説明に関しては、我々が行う樹立ということになって、使用機関のほうで生殖細胞を使用したいのですがどうなっていますかという問合せがあれば、できませんとお答えすることになります。

○柘植委員 
 そのようになるわけですね。分かりました。

○梅澤委員長代理 
 それでは、ヒトES細胞の樹立に関する指針の適合性確認についての審議を行いますので、提出者の方は御退室をお願いいたします。
(提出者退室)

○梅澤委員長代理 
 それでは、樹立計画のヒトES細胞の樹立に関する指針、お手元の資料1-5ですが、この指針の適合性確認につきましての審議を行います。御意見等ありましたらお願い申し上げます。様々な御意見を提出者から頂戴したところです。一方、ヒトES細胞の樹立に関する指針への適合性といった観点からいたしますと、今のところ問題ありませんでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。事務局のほうから文部科学省での審議状況に関して、何かありますでしょうか。

○松山委員 
 一言、コメントを。

○梅澤委員長代理 
 お願いいたします。

○松山委員 
 この委員会で議論されたことは、ヒトES細胞の樹立に関する指針の適合性を見ているということですので、このほかの法令、通知等加えて条例等に関しては、ここでは見ていないということを議事録に残しておいていただければ、我々も安心して合議できると思います。よろしくお願いいたします。

○梅澤委員長代理 
 今の松山委員に関しては、それでよろしいですよね。私もそのとおりだと思いますけれども、そういう理解ですよね。

○森光課長 
 この委員会では指針に関する適合性を見るということで、そのほかの各自治体で作っている条例などに関しては、それぞれ提出期間等はしっかり守っていただくということになるかと思います。

○梅澤委員長代理 
 何か文科省のほうでの審議につきまして、事務局からお願いできますでしょうか。

○神崎専門職 
 文部科学省のほうから説明させていただきます。文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の神崎と申します。とじてあるものとは別の「ヒトES細胞の樹立計画変更申請の概要及び特定胚等研究専門委員会における審査経過について」という資料に基づいて、御説明させていただきます。この資料の3ポツの「本申請に対する審査経過」を御覧ください。丸1樹立計画の変更申請について、特定胚等研究専門会の委員会の運営規則に基づいて、平成2944日から411日まで、まず書面審査を行いました。書面審査の結果、3名の委員より条件ありで書面審査にて承認するとの回答がありました。また、2名の委員より専門委員会で審査をすべきとの意見があったことから、専門委員会を開催して、審査することといたしました。

 次のページの丸2をご覧下さい。平成29522日に、第99回特定胚等研究専門委員会を開催して審査を行いました。書面審査における3名からの条件、新規医療機関のみ連結可能匿名化とする理由の説明など、各条件について申請者から説明がありました。その他の条件として、再同意が必要になる場合の提供者に連絡を取るための仕組みに関する説明が求められていましたが、例外措置として、指針上認められている再同意手続について議論がありました。

 審査の結果ですが、一部条件付きで基本的に承認することが確認されました。その条件については、樹立計画書の樹立後の使用の方針について、臨床利用する機関が1機関に限られているかのような記載となっておりましたので、インフォームド・コンセントの内容と異なるおそれがあるため、ほかの機関でも臨床利用が想定されることが明確になるよう、文面を修正することとされ、主査一任で承認するとの結果になりました。文面の修正につきましては、申請者より526日に修正された文書の提出がありました。

 別添を御覧ください。最後のページです。青字、網掛けで追記されておりますが、この部分を読み上げます。「現在、使用研究を実施している大学や製薬企業などの研究機関のほか、新たな研究機関の成果が期待される一例として」として、このあとの限定されている記載内容に続きます。ここで青字を追加することによって、ほかの臨床機関でも臨床利用ができるような記載に修正されております。これについては主査の確認が取れているという状況です。以上です。

○梅澤委員長代理 
 ありがとうございました。

○松山委員 
 文部科学省様にちょっと質問をさせてください。今回の申請前が平成144月から平成30年、変更後は平成14年から平成39年という形で25か年にわたる非常に長い計画になっています。この期間の適切性に関しては、委員の先生方から御意見がなかったでしょうか。一般的に臨床研究を大学等で見る場合、多くの大学では3年とか5年とか区切って、それを区切った場合には、やはりサイエンスは進歩するものですから、リバイスではなく新規で出して運用されていると思います。新規で出さなければいけないという規定が多分ないので、これに関して受け付けないという判断は多分行政的にないと思うのですけれども、こういうものが適切かどうかという御議論はなかったのでしょうか。

○神崎専門職 
 特に文科省の委員会では、そういった議論はありませんでした。

○松山委員 
 ありがとうございます。

○梅澤委員長代理 
 よろしいですか。

○山口委員 
 松山先生の気にされていることはよく分かるのですが、多分、文科省のスタンスと、厚労省のスタンスがちょっと違うと、期間の捉え方が少し違うのではないかと思いました。

○松山委員 
 樹立のほうは余り変わらないので、それで内容的には問題ないと思っていて、ちょっとお聞きしただけです。

○森光課長 
 今、文科省さんのほうからの御指摘を受けて、一部文章が変更されておりますが、厚生労働省のほうも、この文科省さんの御指摘によって一部修正されたものを受け入れた形で、同じような変更の下に了承ということであれば、それで進めさせていただきます。よろしいでしょうか。

○梅澤委員長代理 
 そのとおりですね。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、提出者から適切に対応する旨の回答がありましたので、ヒトES細胞の樹立に関する指針に適合していると認めることにいたします。私のほうからは議事1の審議に関しては以上になります。

○森光課長 
 戸口田先生が来られますので、待っていただいて閉会とさせていただきます。少々お待ちください。
(委員長入室)

○戸口田委員長 
 それでは以上で、予定されていた議事が全て終了いたしましたが、その他事務局から何かありますでしょうか。

○森光課長 
 次回の開催につきましては、また新しい申請があった場合ですとか修正等がありましたときには、皆様の日程、場所等について調整させていただいた上で、御連絡をしたいと思います。事務局からは以上となります。

○戸口田委員長 
 それでは本日は、これで閉会といたします。ありがとうございました。

○森光課長 
 ありがとうございました。そうしましたら、少しレイアウト変更をいたします。レイアウト変更をした後に、再生医療等評価部会を続けて開催させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


(了)

備考
平成29年6月7日時点では審議を非公開としていましたが、今般、個別利害に関する事項が解消されたため、議事録を全て公開しています。

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