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2017年6月23日 第2回医療放射線の適正管理に関する検討会

医政局

○日時

平成29年6月23日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○議事

○稲木課長補佐 それでは、ただいまから「第2回医療放射線の適正管理に関する検討会」を開会させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 本日は、小田正記構成員、神田玲子構成員、瀬古口精良構成員、古川浩構成員から欠席との御連絡をいただいております。

 御欠席の小田構成員、瀬古口構成員、古川構成員から代理人の御連絡をいただいております。つきましては、小田構成員の代理として熊代正行参考人を、瀬古口構成員の代理として三井博晶参考人を、古川構成員の代理として小田雄二参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○稲木課長補佐 ありがとうございます。

 なお、本日は、医薬・生活衛生局総務課の勝山課長補佐、原子力規制委員会原子力規制庁長官官房放射線防護グループ放射線対策・保障措置課の奥課長補佐にもオブザーバーとして御参加いただいております。

 また、椎葉審議官におかれましては、別途公務がございますので、途中退席をさせていただくことを御了承いただけたらと思います。

 それでは、もし報道の方で冒頭カメラ撮りをしている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行は、米倉座長、お願いいたします。

米倉座長 それでは、これから始めたいと思います。暑い中を、検討会の構成員の皆様にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 では、最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 議事次第、座席表、構成員名簿、資料1~資料3、参考資料、それから、構成員、参考人の皆様には机上配付資料をお配りしております。こちらの机上配付資料は、検討会終了後に回収させていただきますので、よろしくお願いいたします。不足がございましたら、お知らせください。

○米倉座長 よろしいでしょうか。それでは、この議事次第に従って議論を進めていきたいと思います。

 まず、議題1「開催要綱の修正について」、こちらも事務局より説明をお願いいたします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 それでは、お手元の資料1及び参考資料に沿いまして説明いたします。参考資料としまして、前回検討会、第1回、4月19日における主な意見が一覧となっております。この中で、構成員の先生より1点、開催要綱の修正について発議がございました。資料1をごらんください。

 「2 検討事項」の3番目です。「適正な医療被ばくの管理のあり方について」、この検討事項に関しまして、「適正な」の位置が、お示しのとおり、「管理」の前に置いたほうがよいのではないかという御意見がございました。事務局で検討いたしまして、こちらに関しまして、御指摘のとおり、「適正な医療被ばくの管理のあり方」を変更いたしまして、「医療被ばくの適正管理のあり方」、管理に対して適正を掛けるという形にさせていただきたいと考えております。

 1枚めくっていただきますと、修正案として作成したものを入れております。

 以上が議題1の修正案の御提示につきましての説明となります。

○米倉座長 ありがとうございました。

 この点は、前回のときに御指摘をいただいて、少し議論させていただきましたが、このような形での訂正を加えたいということですが、御意見ございますか。これは青木先生から御指摘いただいた点ですが、よろしいですね。

(「異議なし」と声あり)

○米倉座長 それでは、このような形で訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、議題2に入ります。「可搬型PET装置の運用について」という議題で、こちらも事務局より御説明をお願いいたします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 それでは、お手元の資料2に沿いまして御説明いたします。お手元の資料2「新たな技術への対応について(可搬型PET装置)」という資料をごらんください。

 1枚めくっていただきまして、まず、PET検査の概要という形で御説明したいと思います。4ページになります。PET検査と申しますのは、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素(以下「PET検査薬」という。)を患者に投与いたしまして、患者体内から放出されます放射線を陽電子放射断層撮影装置(以下「PET装置」という。)で撮影するものでございます。これは、PET検査薬が、がん細胞などに集まる性質を利用しているものでして、がんの診断等に幅広く利用されているものでございます。

 下にございますのが代表的なPET検査薬です。左側がガラスバイアル、右側がそれを入れる鉛容器です。これを投与された患者は、1時間ほど待機の上で、隣のPET装置の中に入っていただきまして、右の画像が得られます。右側の写真は悪性リンパ腫の患者で、治療前、全身に多数の転移があったのが、治療後には消失していると、こういった、がんに対する治療効果判定として非常によく用いられている検査法でございます。

 5ページになります。複合装置というものも、この後、開発されてきまして、複合装置と申しますのは、PETと従来のCT装置、あるいはPETと従来のMRI装置を組み合わせることによって、下に記載がございますような写真を得るというものでございます。PET装置はそもそもがんの病変に集まったものを写真化する、機能画像といいますが、こういったものに対しまして、従来のエックス線CT装置や磁気共鳴装置、MRI装置等は、臓器、体内の形のように解剖学的な情報を得ることによって形態画像を撮影するものでございます。この両者を複合して撮影することによりまして、より正確な診断を行うことが可能となります。

 例えば、下の画像は肺がんの患者の写真になっておりますが、一番左の写真がPETの写真で、右の肺の病変に強く集まっていて、真ん中の写真は、CTでわずかに病変が見られる。それを融合することによって正確な位置を把握することができます。

 次に、PET検査に関しまして、医療法施行規則においてはどのような取り扱いになっているかについて御説明いたします。7ページとなります。PET検査は、放射性物質であるPET検査薬を投与いたしますので、患者本人からの放射線は出ております。患者への投与後の放射線源は、基本的に患者本人に限られております。

PET検査薬中の放射性同位元素は非常に半減期が短いですので、患者は投与後、放射線が減衰する十分な時間が経過した後には、下にございますとおり、放射線の管理区域から退出が可能となります。

 ただし、放射線は患者から出ますので、PET検査薬の投与を受けた患者から発せられる放射線に対して放射線診療従事者が防護すべきであるという観点から、PET検査薬の投与からPET装置による撮影、下の絵でいいますと右から2番目の段階までは一体的に管理区域として規制されている、放射線の防護として規制されます。

 8ページにまいります。PET検査は、医療法施行規則におきまして、PET検査薬の届出、使用室の構造設備、PET検査薬に対しまして汚染物が発生いたしますが、これの取り扱いなどについて規定されております。

PET検査における、先ほど申し上げたようなPET-CT装置やPET-MRI装置の取り扱い等につきましては、新規技術として開発された段階それぞれに、科学的根拠に基づきまして改正を実施して対応してきたという歴史がございます。

 下の括弧にございますのが、施行規則の改正等に関しての記載でございます。

 次にまいります。それでは、今回の議題でございます可搬型PET装置の話にまいりたいと思います。

 可搬型PET装置は、移動式のPET装置、移動が可能な装置です。これに関しまして、もともとこういった移動式のPET装置は想定されておりませんでした。PET装置は、先ほど申し上げましたとおり、使用室内での使用に制限されておりますので、PET-MRI等の最先端医療機器の開発が進まないということがございました。すなわち、従来のMRI室の中では、PETの撮像はできないとなっております。

 これに関しまして、昨年の3月に京都府から規制緩和の提案がございました。下の表にございますとおり、平成28年3月24日に関西圏国家戦略特別区域会議(第8回)の中で、京都府の提案内容として、PET装置の診断機器等との複合化推進で提示がございました。これは、上の括弧内の提案内容に書いてございますけれども、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室(以下「PET使用室」という。)のみに制限されている装置の使用につきまして、放射性物質でありますPET検査薬はこれまで同様に、従来のPET使用室で行いまして、可搬型PETによる撮影のみをMRI室で可能とするというものでございます。

 こういった提案内容を受けまして、平成28年8月、提案主体であります京都府から国家戦略特区ワーキンググループでヒアリングを行いました。その後、1017日には関係省庁のヒアリングとしまして、厚生労働省、それに加えまして提案者でございます京都府、京都大学医学部附属病院、そして機器の製造企業でございます島津製作所を交えてヒアリング等を行っております。

 その際、厚生労働省からの意見としましては、提案主体や関連学会の協力のもとで、かつ放射線防護の観点から、科学的根拠に基づいて可搬型PET装置をMRI室等で使用する場合の具体的な条件を整備すると回答いたしております。

 これを踏まえまして、平成29年から厚生労働科学研究・細野班の中で、臨床研究におけるMRI室内での可搬型PET装置の適正使用マニュアルの作成が開始されております。

 次の11ページにございますのは、製造企業でございます島津製作所から御提供いただきましたマルチモダリティ対応フレキシブルPET装置の概要図になっております。

 中段の一番左の写真がCT装置とPET装置、マルチモダリティ対応フレキシブルPET可搬型といいますが、可搬型PET装置の組み合わせた状態になっております。後ろ側のリング型がCT装置になっておりまして、前のコの字型がフレキシブルPET装置となっておりまして、このような形で並列にすることによって、PET画像と形態画像を同じ室内で撮影できるというコンセプトでございます。

 ところが、先ほど少し申し上げましたとおり、そもそも従来の規制といいますのは据え置き型、固定型のPET装置のみを想定しておりましたので、可搬型PET装置を既存のMRI装置に組み合わせて撮像するという新規技術に関しましては、規制の整理が必要となります。

 これに関しまして省内で検討いたしまして、今回、提案主体であります京都府からの提案を精査しまして、医療機関の承認後の全国的な規制の検討に先立ちまして、国家戦略特区内で特例を設け、可搬型PET装置を使用していただきまして、実証的に取り扱いを整理してはどうかという方針となりました。

PET装置の使用の場所の制限に関する特例を設けるに当たりましては、これまではPET装置をPET使用室内で使用しておりましたので、今回の提案自体に関しましては、MRI室のみでの可搬型PET装置の使用に限定いたしまして、放射線診療従事者及び医療機関内の他の患者に対する放射線防護という観点から、「適切な防護措置及び汚染防止措置」を求めた上で運用してはどうかという方針となっております。

13ページが実際の運用の概念図になっております。7ページのイラストと比較しながらになりますけれども、従来ですと、PET装置の撮影までがPET使用室かつ放射線管理区域ということでございました。今回は、PET装置を搬入しますMRI室は、PET使用室の規定から省くという形にしまして、ただし、放射線診療従事者の被ばく管理をする必要がございますので、これのために一時的管理区域という形で管理区域を設定する。それによって放射線診療従事者の職業被ばくの管理を担保しつつ、従来のPET使用室外であるMRI室での使用を認めるという形にしたいと考えております。それに対しましては、適正使用マニュアルの遵守を必須条件とするという方針でおります。

14ページから16ページには、現在の医療法施行規則におけるPET使用室の規定が挙げられております。このうち、14ページの一番上になりますけれども、主要構造部等は、耐火構造又は不燃材料を用いた構造にすることとなっております。なぜこのような規定があるかといいますと、従来、むき出しのPET検査薬もこのPET使用室内にございますので、むき出しといいますか、置いてあるPET検査薬が火災によって飛散することを防ぐことを目的とした規定になっております。今回の撮像はMRI室で行うことになりますので、既に患者に投与した後のものしかございませんので、PET検査薬がMRI室内に存在することはないということから、耐火構造もしくは不燃材料を用いた構造にする規定は不要となります。

 そして、陽電子準備室、陽電子診療室、陽電子待機室といいまして、PET検査薬の調剤を行う部屋、診療を行う部屋、そして患者が待機していただく部屋は、陽電子準備室、陽電子待機室については、従来どおりの室を使用する。そして、投与後の撮像だけをMRI室で行うことを明記していただく。つまり、陽電子準備室、陽電子待機室は従来どおりに運用していただくという形にしたいと思います。

 そして、3番目、画壁等の規定もございまして、室の外側における実効線量が1週間あたり1ミリシーベルトを超えないように規制しております。これに関しましては、医療法施行規則で、管理区域外の敷地内に関しまして、3カ月あたり1.3ミリシーベルトを超えないという規定がございます。ですので、1週間、3カ月間の撮影できる患者数を計算していただきまして、それ以上の患者の撮影をしないという規定をする。かつ適切な場所に線量計を設けまして、一定期間の積算線量を測定いたしまして、これらの規定が遵守されていることを確認することになります。

15ページにまいります。人が常時出入りする出入口は1カ所という規定もございます。これに関しましては、複数出入口がある場合は、常時出入りする出入口1カ所以外は施錠することを明記する。

PET使用室の標識の付与も明記されておりますので、これに関しましても明記していただく。

PET装置の操作場所は室内に設けないという規定がございますので、これに関しましてもMRI室外で行うことを明記いたします。

 次に、内部の壁、床の構造は、突起物、くぼみ等のすきまの少ない、平滑である、気体、液体が浸透しにくい構造であることという規定がございます。これは、もともとの理由としましては、PET検査薬が漏えいして床にこぼれた際に簡単にしみ込まないようにということ、かつそれを取り除くことが容易であるという条件を設定するために、こういった規定がございます。

 今回の想定では、MRI室内においてPET検査薬は存在いたしませんので、汚染の可能性は非常に低いと考えられます。患者の排尿による万が一の汚染が考えられますので、汚染時の対処に関しましては適正使用マニュアルに明記するという形になります。放射線診療従事者の汚染防護措置を万全として、除染方法、除染の記録をしていただくことを明記するという形になります。

 さらに、汚染検査のためには放射線測定器が必要になりますので、それに関しましても明記していただくという形になります。

 洗浄設備は、規定の排水設備の連結も義務づけられておりますし、廃棄設備に関しましても義務づけられておりますが、それぞれ陽電子準備室の規定でございますので、今回は不要となります。

16ページにまいります。注意事項の掲示もございまして、これに関しましても、実際撮影する患者以外の方が立ち入らないような処置を明記していただくという形になります。

 さらに、放射線診療従事者の被ばく防護という観点から、呼吸する空気中の放射性同位元素の濃度が濃度限度を超えないことという規定がございます。これに関しましては、MRI室内には放射性同位元素はございませんので、投与前のPET検査薬が空気中に漏れることはございませんが、問題となりますのは、患者の呼気からそういったものが出る可能性が否定はできません。ついては、MRI室内の空気中の放射性同位元素につきましては、唯一考えられるのは患者の呼気由来のものでございますので、患者の呼気中の放射性同位元素につきましては、患者がMRI室に行く前、陽電子待機室、すなわち管理区域の中で事前に呼気を測定して、その中に放射性同位元素が含まれていないことを確認していただく形になります。

 また、人に触れるものの表面密度に関しまして、表面密度限度を超えないことという規定もございます。これに関しましても、検査終了時にMRI室内の汚染検査をするという形で担保されます。

 さらに、取扱者の遵守事項の規定もございまして、作業衣等の着用、これらを着用したままみだりに室等を出ないということもございますので、これに関しましては、除染時の適切な防護措置を明記するという形になります。

17ページにまいります。放射線診療従事者の被ばくに関しましては、先ほど申し上げましたとおり、一時的管理区域というものを設定させていただきます。これによって、放射線診療従事者等の職業被ばく、医療機関内の他の患者の公衆被ばくの防護策を講じることを担保いたします。管理区域の規定も医療法施行規則にございまして、医療法施行規則の第30条の16から182022に規定がございまして、それぞれにおきましても、適正使用マニュアルに記載しまして、重ね重ね明記して、遵守を徹底していただくという形になります。このような適正使用マニュアルでの担保をとることによって、MRI室でのPET装置の使用を認めるという流れにしたいと考えております。

18ページには今後のスケジュールがございます。まずは、今、お手元にございます適正使用マニュアルを作成いたしまして、それを本検討会にこのような形で報告させていただきます。構成員の先生方からの御意見がございましたら、それを適正使用マニュアルに反映させる。その上で関係学会における承認を得ます。その後、パブリックコメントを実施いたします。それらをした上で実際の改正命令の公布、ここの時点で初めて国家戦略特区内でのMRI室内での機器の運用が可能となります。

 それ以後につきましては、具体的な日取りは未定でございますけれども、機器運用に当たって出てきた点につきましては報告いただきまして、今後の全国的な措置に向けた検討に生かしていくという形にしたいと思います。当然ながら、適宜適正使用マニュアル等の改訂もお願いする形になります。最終的には、機器の承認にあわせまして、全国的な措置として、医療法施行規則の改正を実施していくという形になります。

 以上が資料2の説明になります。構成員の先生方には、お手元に机上配付資料としまして、現在、厚生労働科学研究・細野班で作成しております臨床研究におけるMRI室内での可搬型PET装置の適正使用マニュアル案を配付してございます。

 2枚めくっていただきまして、IVいう項目になります。こちらに関しまして、先ほど資料2で申し上げました種々の条件を規定しております。この適正使用マニュアルを遵守することによって、放射線診療従事者の職業被ばく及び実際に検査を受ける患者以外の方の公衆被ばくの安全性を担保するという形になります。

 以上となります。

○米倉座長 どうもありがとうございました。

 今、御説明いただいた内容につきまして、これから議論していただくわけですけれども、今回、この検討会の役割としては、これに対して、いろいろな御意見があれば、それを出していただいて、それを受けた上で、こちらで利用を考えている京都大学、あるいは先ほど話があります厚生労働科学研究・細野班でこの適正使用マニュアルについて再度検討していただくという形をとりますので、そのための意見を皆様から頂戴したいということです。それでは、ただいま説明がありました資料2、それから、机上配付になっています参考資料、どちらでも結構ですが、それについて皆様からの御意見をいただきたいと思います。

 それでは、山口一郎構成員、お願いします。

○山口(一)構成員 山口でございます。

 今の考え方に賛成いたします。ルール整備のあり方に関しましては、先週の放射線審議会でも議論ございました。そこでは、規制影響分析ですとか、基準策定の作法に関して議論ございました。ここでは、研究班で実際の検討をして、こういった公開の場で、いろいろな方が入った場で議論するというのはとても望ましいことではないかと思います。この検討もこの開催要綱に沿っているもので、望ましいものだと思います。

 基本的な考え方についてなのですけれども、資料の8ページでこれまでの経緯が書かれてございますように、新しい技術が開発されるごとにこういった議論を繰り返しておりますので、方向性としては、より一般的な原則に従って行うようにするのがよいだろうと思います。

 少し個別のことをお話ししたいと思います。16ページに書いてございますが、今の御説明では、使う核種を想定した上で、空気中濃度の測定に関して議論ございましたけれども、こういったことも核種の物質の種類によって話は変わってまいりますので、一般的なルールを決めておいて、使う核種によってそれを適用するという、大枠を決めておいて、今後柔軟に対応できるようにするといいのだろうと思います。個人線量測定のことも議論されていますけれども、国際原子力機関のBSSでは、Supervised areaという考え方を使っておりまして、そこに立ち入る方の個人線量測定に関しましては、管理区域にたまに立ち入る方と同じ扱いをするような区分に入れておりますので(3.101)、BSSの線量拘束値ですとか、Supervised areaの考え方を、これは放射線審議会の議論になるかもしれませんけれども、国際的なルールと整合性をとるという観点では、そういったものも念頭に置くとよいのではないかと思います。国際的にはモバイルPETに関してルールがあるようですが、ここで示されているものはより新しいものですので、日本が放射線安全に関する議論でもリードしていけるとよいだろうと思いました。

 1つ、今回、16ページの一番下のところの説明をスキップされたかと思うのですけれども、説明としては、そもそも今の想定では、表面の放射性同位体の表面密度限度を超えることが生じ得ないからという理由ではどうかと思いました。

 以上です。

○米倉座長 ありがとうございました。

 国際的な基準を念頭に置いた上で、より一般的にいろいろな薬剤が使えるように考えてはどうかというお話でした。現在のところ、あくまで18F-FDGを想定して、一定の時間、待機室で患者に待っていただいてというのですが、例えば、もう少し半減期の短いものが出てくる、あるいはもっと長いものもあるかな、一旦外に出るという選択肢はないかな、恐らくそのあたりのことを考えて、とりあえずは非常にシンプルでわかりやすいものを例示として示されて、データをどんどん取っていきますので、それを踏まえた上で、より一般的な応用にという考え方だと思いますが、事務局のほうで何か御意見ありますか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 先ほど山口先生がおっしゃられましたとおり、今回、18F-FDGを用いるという形になっておりますので、18F-FDGに関しまして、もしこれまで呼気の濃度に関して何らかの研究があって、もうバックグラウンドといいますか、それ未満であることが担保されているのであるならば、こういった規制が、場合によってはなかったのかもしれませんけれども、ただし、今回、そういったデータはございませんし、それ以後の、18F-FDG以外の11C等を用いたPET検査薬に関しても何らデータがあるものではございませんので、まずはこういった形でしっかりと実測値で担保するという流れが1つ必要ではないかと考えております。

○米倉座長 いかがでしょう。ほかにどなたか御意見ありますか。

 渡邉委員、お願いします。

○渡邉構成員 渡邉でございます。

 説明のところで3つほど理解が不足しているところがございまして、御説明いただければと思います。ちょっと長くなりますけれども、1つ1つのほうがよろしいでしょうか。

 まずは、スライド13のところで、可搬型PET装置を据え置き型のMRI室で撮像するときに、MRI室を一時的管理区域にするという概念でございますけれども、これは具体的にはどういうことを想定されていますでしょうか。

○米倉座長 では、説明をお願いします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 一時的管理区域と申しますのは、現在において、医療法施行規則内に一時管理区域という規定はございません。それに類似するものとしましては、事務連絡、あるいは通知等で、診療用放射性同位元素につきまして、188号通知というものがございまして、その中で一時的管理区域という規定がございます。これに関しましては、従来の規定ですと、例えば、エックス線診療装置に関しまして、その使用をエックス線診療室の外側で行うに当たっての規定として、特別な防護措置を施した上であるならば、それの使用を認めるという規定がございます。

 これに関しましては、医療法施行規則第30条の14にも、室の例外として、エックス線装置は通常はエックス線診療室で行いますが、例えば、ICUであるとか、手術室とか、あとは患者が動けない状態である場合には、例外的に、十分な防護措置を担保した上で認めるという規定がございます。今回はそれに類似する形になります。

 ですので、放射線診療従事者が適切な防護措置を施した上で、本来、PET使用室で行わなければならない使用という行為を使用室外で行うに当たって、放射線診療従事者の安全性確保、被ばく量の管理のために管理区域を設定する。と申しますのも、医療法施行規則内におきましては、放射線診療従事者の被ばく線量、外部被ばくの管理に関しましては、管理区域内で行うという規定がございまして、管理区域外ですと、施行規則上線量が管理できないという形になります。そうなりますと、放射線診療従事者の被ばく管理においては非常に差し支えがございますので、適切な防護措置をした上で一時的に管理区域を設定する、一時的に管理区域を設定することによって、その室内で診療行為を行う放射線診療従事者の被ばく線量を管理できるという形になります。

○米倉座長 いかがでしょうか。

○渡邉構成員 ありがとうございます。

 基本的には、そうしますと、時間的管理区域の設定と考えてよろしいのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 そのとおりでございます。まず、患者が入る前の時点においては管理区域ではございません。患者が入る前に一時的管理区域として規定します。先ほど申し上げたような掲示等を行うという形になります。そして、患者の撮影を実際に行いまして、その後は、適正使用マニュアルにございますとおり、汚染をしていないかをしっかりとモニタリングした上で、問題ないことを確認した上で、また管理区域から解除するという形になっております。

 先ほどの御質問に関しまして、26ページ、27ページに参照条文としまして規定の記載がございますので、また御参照いただけましたら幸いでございます。

 話戻りますが、そういった形で、患者様が使用する、その一定期間だけ限定的に管理区域として設定するという立てつけになります。

○米倉座長 私の感じでは、一例ごとに検査するのであれば、検査のときだけを一時的な管理区域にする。複数の患者を1日のうちに続けて撮ることもあり得るので、そのときには、その検査が始まる前から終了までという形にするのではないかと思います。

○渡邉構成員 ありがとうございました。あと2つございますので、続けてお願いいたします。

 スライド15ページですね。これはまさしく文言の御理解をさせていただきたいのですけれども、◎の上から3番目、右側の「PET装置の操作を原則的にMRI室外で行うことを明記」とございますけれども、これは具体的に何を意味するのでしょうか。

○米倉座長 それでは、事務局、お願いします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 この可搬型PET装置につきましては、操作パネルというものが別途ございますので、その操作パネル自体は外部に設置していただいて、外から操作する。なぜかと申しますと、患者から放射線が出ていますので、その間ずっと室内におりますと、放射線診療従事者が被ばくすることになります。ですので、距離を保つという観点から、コンソールは外に置いていただくという形で放射線診療従事者の被ばくの防護を担保することになります。

○米倉座長 これは恐らく、現在のPETの撮影室と操作室を分けるという規則をそのまま準用しているということでよろしいのかと思います。

○稲木課長補佐 そのとおりでございます。医療法施行規則の中で、PET使用室につきましては、操作パネルは最初から外に置くようにという規則になっておりまして、それを準用した形になっております。

○米倉座長 渡邉構成員。

○渡邉構成員 ありがとうございます。

 それでは、最後に、16ページの質問をさせてください。ここが一番ネックになるかなと、実は私、今回思っておりまして、医療法施行規則における規定、上から3番目ですね。色つきの2番目。呼気中の放射性同位元素の濃度が濃度限度を超えないこと。今度は適正使用マニュアルの考え方ということで、これは多分、データを集めるためだと思うのですけれども、初期、国家戦略特区でこのプログラムを展開されるときにデータを集めるものだと基本的には解釈しておるのですけれども、1つは、これは一人一人の患者について、1ケース1ケース、呼気測定をするのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 現在の考えとしましては、データ収集というよりは、放射線診療従事者の安全管理という観点になってしまいますので、その観点から考えますと、例えば、最初の患者が出なかったからといって、次の患者が出ないとも限りません。ですので、今回の運用におきましては、個別の患者に関しまして、呼気の線量を測定せざるを得ないのではないかと現在は考えております。

○米倉座長 よろしいでしょうか。

○渡邉構成員 将来的にデータが蓄積されて、そんなに健康に影響がないようなレベルという知見が得られた場合には、将来的には可搬型PET、マルチモダリティフレキシブルPETの応用ということで、ほかのモダリティ、CT装置、放射線治療装置等の応用はございますけれども、そういうところでこういう過程はスキップできるようなことは可能なのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 それに関しましては、そういった知見が現時点でございませんので、今回の国家戦略特区内において、どのようなデータが得られるかに依存するのではないかと考えております。

○渡邉構成員 ありがとうございます。

○米倉座長 それでは、市川構成員、お願いします。

○市川構成員 29のポンチ絵のところで、PET使用室の中で薬剤を投与する。アイソトープを使っているからなのですけれども、その後でMRICT、放射線。CTなどは特に放射線管理区域内で行いますから、どっちかというと、可搬型のPETを使うときに、先にCTをやったほうが、だから、MRIを先になさった意味合いをお教えいただければ。

○米倉座長 それでは、事務局からお願いします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 これに関しましては、当初の提案主体の御意見でございますが、本可搬型PET装置の運用に関しましては、基本的にはMRIとの組み合わせを想定しているという形になっております。といいますのは、PET-CT装置といいますのは既に市販されておりまして、かなりの普及台数になっております。ところが、PET-MRIにつきましては、非常に高額ということもございまして、それを導入するためにもランニングコストがかかるというのが現状でございます。それを踏まえまして、費用対効果の面から、非常に効率のよいのがPET-MRIではないかというのが提案主体の京都府からの御提案でございましたので、今回の国家戦略特区内におきましては、あくまでも現在の実施主体の京都大学につきましては、MRI室での使用を何とかしてほしいという御提案でございました。

○市川構成員 要するに、MRIのほうがCTよりもインパクトがあると。わかりました。

○米倉座長 今、ほとんどのPET装置がPET-CTになってしまっているぐらいの状況なので、新たな機器開発という意味でのインパクトはそれほど大きくないと思います。ただ、PET-MRIのほうは、定価ベースで言いますと、1台何十億というとんでもない金額であるということもあって、なかなか一般の施設で導入はできないので、患者の診療により簡便に使うために、こういう可搬型のPET装置を開発して、既存のMRI室で使いたいというのが今回の国家戦略特区の申請の狙いのようです。

 それでは、渡部構成員、お願いします。

○渡部構成員 渡部です。幾つか質問させてください。

 1つは、今回、可搬型PET装置というふうに、可搬型というと、いろいろ運べるようなイメージがあるのですが、先ほど、MRI室で、コンソールは外に置くという話ですと、簡単にケーブルを引っ張れるわけではなくて、ある程度据え置き的な使い方を想定されているのかなと思ったのですが、その点は。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 実施主体、提案主体であります京都大学附属病院からの御意見となっておりますけれども、これに関しましては技術的な問題がございまして、通常想定しておりますのは、機能画像であるPETと形態画像であるMRIの組み合わせになっておりますけれども、位置を正確に合わせるためには、かなり事前に準備が必要であると承っております。通常、2~3カ月は機器の調整に時間がかかるのではないかという御意見がございまして、可搬型とは申しておりますけれども、簡単に移動して、どこでも使えるようになるというわけではなくて、あくまでも既存の装置との組み合わせによって診断能の向上を図るという目的があると聞いております。

○渡部構成員 わかりました。そうなると、今回御提案の一時管理区域の設定が肝かなと思うのですが、この場合は、可搬型のPET装置の検証というよりは、一時管理区域の運用でどの程度被ばくがあって、管理区域として成り立つかというところがございますので、もしこれがうまくいけば、可搬型PET装置だけではなくて、例えば、今、放医研とかで開発しているMRIのコアにPETのディティクターをつけて、通常のMRIPETを持っていこうとか、そういう装置の開発もあるのですが、波及効果というか、ほかの装置へもう少しこれがうまくいくことがわかれば、そういうところにも波及できるのかというところを御意見いただければと思います。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 提案主体の可搬型PET装置の運用という形で今回の適正使用マニュアルを作成していただきまして、それに関しまして、法的立てつけが問題ないかどうかを検討したわけでございます。もし仮にそういった新規の機器開発等があって、例えば、医療法施行規則においてこれが妥当であるかどうか等がございましたら、その際は検討会等で評価するという形も一つの考え方ではないかと思っております。

○渡部構成員 ありがとうございます。

 それでは、最後、今回、18F-FDGを投与して、そのまま患者をMRIの部屋に案内する。検査が終わった後、患者はどういう形で、通常、PETの検査の場合には、ある程度減衰を待ってから退出されるというルールがあると思うのですが、この場合にはどう考えていらっしゃるでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 それに関しましては、7ページの上から2ポツ目になっておりますけれども、患者は投与後、放射線が減衰する十分な時間が経過した後に管理区域から退出というのが現在の立てつけになっております。それを踏まえまして、患者からの放射線量につきましては、十分な減衰、少なくとも従来どおりに運用していただくという形になるかとは思います。

○渡部構成員 では、MRIの検査が終わったら、もう一回、RIの管理区域に戻るということですね。

○稲木課長補佐 それに関しまして、各施設においてどのような運用をなされているかというのは非常に難しいところでございますけれども、放射線が減衰する十分な時間が経過した後にということに関しましては、0801001号通知というものがございまして、その中でこういった記載がございますので、それを遵守していただくという形になるかと思います。

○渡部構成員 わかりました。ありがとうございます。

○米倉座長 どうぞ、中村構成員、お願いします。

○中村構成員 先ほどの呼気の件でちょっと確認させていただきたいのですけれども、恐らくこれは実証的に、この臨床研究においてということになっていますので、データ取りという意味もあると思うのですけれども、しかしながら、ここに規定されている主な目的というのは、やはり一時的管理区域、すなわちMRI室において放射線診療従事者等が内部被ばくである限度が、言ってみると空気中濃度以下であることは確実に確認したいと。ところが、向こうではかるのは難しいから、ここで事前にはかってやりましょうねと、そこだと思うのですね。例えば、待機室でルームモニターのようなものではかっても、余り意味がないわけですね。部屋が違うのですから。つまり、患者の呼気からどのぐらい出てくるのだということがわかって、それをMRI室の、例えば、換気量とか何とかに当てはめて、それで空気中濃度が限度以下であるということが全て毎回毎回確認されていって、データが積み上がっていくと思うのですね。そういったことがはっきりしないと、何をはかるのかというのはちょっと意味が薄いかと思うのです。それについても、恐らく、この適正使用マニュアル、今、案になっていますけれども、そこに具体的に書かれるのだと思うのですが、今はまだそこに対する記載はないのですけれども、そこはちゃんと正確に、何をはかる、どういう目的で、どのようにしてはかるかということがわかるようにされるつもりなのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 今いただきました御意見につきましては、そちらを集めた上で、実施主体でございます京都大学に、構成員の先生の御意見という形で反映といいますか、お返しいたしまして、実施主体で一度検討していただくという形にしたいと思います。ありがとうございます。

○中村構成員 わかりました。ありがとうございました。

○米倉座長 先ほど御指摘いただいた点は、机上配付になっているところの、被験者の呼気中の放射能を測定し、MRI室における空気中の放射能濃度を評価するとなっていますので、恐らくMRI室の換気量等は当然計算上の項目として入れるのだと思われます。ただ、現在問題となっている18F-FDGそのものは呼気中には全く出てこない薬剤なので、多分、こういう取り扱いでいいかと思うのですが、これを拡張して新しい薬剤が出てきたときには、常に何らかの評価をしていかなければいけないのだろうというのが、私が今、感じたところです。

 眞島構成員、お願いします。

○眞島構成員 ありがとうございます。

 私自身が今から5年前にPETを受けて膵臓がんが見つかったという経緯があり、また、先週、PETとヒトモノクローナル抗体を使うと微小な転移がんが見つかるというニュースがありました。PETはこれからのがん医療には非常に有望だという話がありました関係で、非常に楽しみにしてまいりました。この可搬型のPETを使うことによって、例えば、今、400からのがん診療拠点病院がありますが、すべての施設にPETを入れることが可能になるのか知りたいと思います。そのためにはやはりコストが非常に問題になってくるのだろうと思います。今から5年前、PET検診を受けられたのは本当に一部の患者さんだけでした。何故ならPET検診は全額自費で、非常に高いという問題がありました。この可搬型PETでは機械自体が通常型のPETに比較してどれくらいコストダウンが図れそうなのか、また、それによって日本でかなり普及が見込めるのか、そのあたりについて、すこし論点が違うのかもしれないのですが、御意見いただければと思います。

○佐々木地域医療計画課長 大変難しい点もある御質問だと思います。まず、費用に関しましては、先ほど稲木からも御説明いたしましたが、PET-MRIの装置は、相当高額でございまして、もし今回の方式が安全にできるということであれば、PET-MRIが必要な診療にとっては、費用が安くなると言えるかもしれません。ただし、保険診療という中でどう位置づけていくかということになると、関係学会からさまざまな知見データを出していただいて、保険診療上の費用対効果の判断が必要になると思います。もし非常に有用性が高く、必要であるということであれば、広く保険診療で用いられるよう整えられていくと思っております。

○眞島構成員 ありがとうございます。

○米倉座長 ありがとうございます。

 その他、御意見等ございますか。渡邉構成員、どうぞ。

○渡邉構成員 渡邉でございます。

 会議後回収資料の適正使用マニュアルについて御質問させてください。3ページでございます。「(2)被験者が滞在した各部屋の累積線量」からの計算で、3)の4(まる4)でございます。これは、被ばく管理というところから考えて3カ月間の実効線量が1.3ミリシーベルトを超えないことということで計算されておるのですけれども、1週間で平均9名、そして3カ月で126名を超えない、こういう数値が出ておりますけれども、実際にこの可搬型PETMRIの組み合わせが非常にいいということになって、MRIから得られる知見が患者マネージメントに関して非常によいものであるとなったときに、1週間で9名という、これはいわゆる限度枠になりますけれども、こういう9名というものはかえって活動の足かせにならないか。そして、3月で126名を超えないこと、これも足かせにならないかということなのですけれども、いかがなのでしょう。

 というのは、多分、京都大学、京都府のプログラムでは、がん患者を想定していると思うのですけれども、将来的にアミロイドPETの活用につながっていくと思うのですね。認知症の患者、そして、フロルベタピルがもう厚生労働省で認可していただいて、使えるのはもう秒読みになってきましたから、こういうことで、がん患者、そして認知症疑いの患者のマネージメントを考えたときに、当然2種類の流れが入ってくるということになってまいりますと、9名という枠でいけるのかどうかというのがちょっと心配になるのですね。そういうところから、実際の患者マネージメント、それから、核医学診断のあり方から、この9名枠というのはどう考えるのか。そして、規制緩和という視点から、こういうものがもう少し上限がないような形でできるのかどうか、そういうようなストラテジーがあるのかどうかをお聞きしたいのですけれども、よろしくお願いします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 こちらの計算式につきましては、その前に記載がございますとおり、患者1人当たり185メガベクレル、かつ1時間待機後にMRI室に入って撮影時間40分という、幾つかの前提条件があった上で、1週間9人という規定になっております。したがいまして、18F-FDG以外のPET検査薬においては、投与量も違いますし、体内動態も違いますので、それに関しましては、恐らく違った計算になってくると考えますし、先ほどもございましたとおり呼気の問題もございますので、それに関しましては、恐らくそれが十分に放射線診療従事者の安全性が担保されているというエビデンスがあって初めて、この人数等の考えは規定し得るものと考えております。

○渡邉構成員 ありがとうございました。

○米倉座長 山口構成員、お願いします。

○山口(一)構成員 今の点ですけれども、この計算は前提がありまして、今、御説明ありましたように、前提の1つの大きなものは遮蔽を考慮していませんので、もしも数が多いのであれば、遮蔽を考えるのが有効だと思います。その観点では、先ほどの説明で放射線診療に関して、使用室外では行えないとおっしゃられたのですけれども、ルールで書いてあることは、使用室の中で診療を行う場合にそこで行えということであって、放射線診療は恐らくいろいろな形態があり得ると思われます。今も少し長い半減期の核種に関しては、投与した後、一旦管理区域から外に出て、検査は再び管理区域に戻ってきて中で行いますけれども、要は、患者が集まって滞在し線量が高いときには防護するというのであるので、今の議論に関連する部分としては、量を考えて防護するという一般原則を当てはめるのがよいと思います。

○米倉座長 この点に関して、いかがですか、ほかの方々。よろしいですか。ここに書かれているのは一つの計算式で、これについても恐らく実証はする、線量率、特に外での確認はこれはするのでしたかね。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 医療法施行規則では、管理区域に関しましては、出入口と室の外側に関しまして測定するという規定がございますので、それは遵守していただく必要がございますので、室における外部線量につきましては、やはり実証していただくという形になると思います。

○米倉座長 よくわかりました。

 茂松構成員、お願いします。

○茂松構成員 13ページの図ですけれども、投与室、待機室を管理区域で、PET室は一時的管理区域に移るのですけれども、投与室、待機室とMRI室が大変離れていて、管理区域外を通ったり、公道を通ったりする場合もあり得ると思うのですけれども、そこはどういうふうに。

○米倉座長 これは事務局からお願いします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 患者の投与後の動線という形になるかと思います。そこに関しましては、適正使用マニュアル等には記載がございませんので、恐らく各医療機関において異なってくることでございますので、実施主体になります京都大学に、どのような形で室外において担保できるのか等につきましては、そういった構成員の先生方の御意見があったという形で、一度戻したいと考えております。

○米倉座長 ありがとうございます。

 青木構成員、お願いします。

○青木構成員 大変すばらしい、画期的なもので、ぜひ普及していただきたいと思うのですが、呼気を調べるのは今後の普及にはかなり大変なことだと思うのですけれども、今のPET室やPET-MRI室で既にそのデータはあると思いますので、そこに入って一般の医療従事者はもう作業しているわけですから、この場合、それをモニターする必然性がどういうところにあるのか、ちょっとわかりにくい。特に出る前にはかるのは余り意味がないような気もするのです。既にもうデータはある。PET室やPET-MRI室で行っているのだったら、もうそこにデータはあるし、MRI室でははからないのでしたら、余り必要がないような気もするのです。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

18F-FDG-PETは非常に普及しているのですけれども、実際、 18 F-FDGを投与された患者に関しまして、呼気中の放射能の濃度に関して、実測して論文化したというデータは、研究班の先生方に検討していただいていますけれども、今のところないようでして、あった場合に、バックグラウンドレベルであるのであるならば、これはエビデンスとして担保されているとなるのですけれども、そこに関しまして、呼気で実証したというデータがないという状況でございましたので、今回に関しましては、やはり実測して放射線診療従事者の安全性は担保していただくほかないと考えております。

○米倉座長 青木構成員、お願いします。

○青木構成員 そうすると、今やっている検査に関しては全くデータがないということになるのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 そちらに関しましては、PET使用室に関しましては、どういった計算式を用いているかといいますと、想定される18F-FDG、最大で、その室で用いる18F-FDGPET検査薬に関しまして、計算式に基づきまして、それが0.1%、必ず空気中に流れ出ると、そういう条件のもとで、通常のPET使用室に関しましては、換気設備等も、必要な時間当たりの換気設備の処理量というものが計算で担保するという形になっております。

○米倉座長 あえて言えば、計算で担保しながら、実際にはエリアモニターできちっと測定をして、それが担保されていることを今は保証しているという状況になっています。MRI室について同じものを求めて、エリアモニターなり、換気回数をどうするとかということをあえて求めるのかどうかというところの判断で、こういった方法がとられていると私は理解しています。それでよろしいでしょうか。

○青木構成員 要は、少し楽になるように、エリアモニターがなくていいように呼気を調べようということですね。

 もう2点いいでしょうか。MRIを撮像可能なのは、診療放射線技師以外に臨床検査技師が可能です。ただ、PETが入ってくると、それは使えなくなるのでしょうかということが1点です。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 先ほど申し上げましたとおり、今回の可搬型PET装置につきましては、機械自体はそこに置かれることになりますけれども、患者の出入りに、それぞれ個別に一時的管理区域を設定するという形になりますし、一時的管理区域を解除する時点で室内の汚染は問題ないことを担保するという形になります。したがいまして、一時的管理区域が解除した後は通常どおりのMRI室として用いますので、臨床検査技師も被ばく等に関しては考慮する必要がないという形になります。

○青木構成員 了解しました。PET検査薬を使った検査の場合は、診療放射線技師が行って、それの前後、普通に使うときは臨床検査技師でも問題ないと。

○稲木課長補佐 放射線診療に関しましては、医師、歯科医師、診療放射線技師に限定されておりますので、PET装置を使用する以上は、いずれかである必要はございます。

○米倉座長 どうぞ。

○青木構成員 あと、適正使用マニュアルに関して1点、「はじめに」のところに、ファンクショナルMRIなどが出てきて、「同時に取得する」などの文言があるのですが、今回、FDGに絞っていると思いますので、かなり違和感があると思いますので、この辺、まだ案の段階でしたら、御考慮いただいたほうがいいのではないかと思います。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 こちらに関しましては、適正使用マニュアル作成主体に持ち帰って御検討していただく形にしたいと思います。ありがとうございます。

○米倉座長 貴重な意見ありがとうございました。

 ほかにどなたか御意見ありますか。渡部構成員、どうぞ。

○渡部構成員 先ほどの渡邉委員の質問に関連するところなのですが、累積線量の計算のところなのですけれども、実際想定される京大病院などは、RIの管理区域で投与して、恐らく、自分のところのRI管理区域の中にあるPET装置で全身PETを撮った後にMRIの部屋に持っていくという流れになるのではないかと思うのです。だから、実際に処理室とかMRI室で被ばくする線量は、RI施設で撮っている内数になるのではないかなと思って、実際計算しなければいけないのは、部屋の外での線量ですね。あと、廃棄の放射能線量であって、実証にMRI室で技術者、診療放射線技師とかが被ばくする線量は、RI管理区域の中で被ばくする線量と同じものと考えていいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○米倉座長 事務局、何か御意見ありますか。

○稲木課長補佐 そこに関しましては、現在、PET検査薬の使用に関しましては、PET装置の使用も放射性同位元素の使用に当たるという解釈になっております。したがいまして、PET検査薬の使用というものに、PET装置の使用も使用として当たるという形になります。したがいまして、現在の解釈では、PET装置の使用自体がPET検査薬の使用に当たりますので、それである以上は、そこでの被ばく線量は管理する必要がある。外部線量に関しましては、やはり医療法施行規則の規定によって、管理区域内での管理をするという形になっておりますので、今回に関しましては、一時的管理区域として設定して、PET装置の使用はPET検査薬の使用であるので、そこでの被ばく線量も管理するという形になります。

○渡部構成員 意味はわかるのですけれども、もしRI、核医学のセッションで働いている方が全て線量を評価しているということであれば、RIの管理区域のPETの検査数が例えば1週間100件ということであれば、それの内数として今回のMRIの検査数があるのではないか。あるいは、もしかしたら、RIの放射線診療従事者管理をされていない方がMRIの検査に携わることも想定されている場合には、それはまた別途、被ばく管理ということはあると思います。

○米倉座長 要するに、放射線診療従事者は一人一人、個人の線量はきちっと管理されています。多分、全体を通して、これが加わったからといって特に変わるわけではない。ただし、施設管理という視点から、一時的な管理区域にする以上は、個々の線量がどれぐらいあるのかということを出さなければいけないと、そういうことでよろしいのでしょうか、事務局。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 今、米倉座長から御発言があったとおりでございます。

○米倉座長 渡邉構成員、お願いします。

○渡邉構成員 技術的なところをちょっとお聞きしたいのですけれども、このフレキシブルPET装置の品質管理、検出器の品質管理で、外部線源とか、必要になるのでしょうか。先ほどの渡部委員からの御質問にもありましたけれども、可搬型であるけれども、動かせないとなると、MRI室で品質管理をやっていかなければいけないですから、外部線源管理、また、検出器、シンチレーターを照射するときは当然漏れますので、そういうことも考えて適正使用マニュアルをつくるべきなのかなと思うのですけれども、技術的に、例えば、コンピューター、ソフトウェアで感度補正とかしているなら別なのですけれども、いかがなのでしょうか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 お手元の参考資料、机上配付の適正使用マニュアルでございますけれども、この1ページのIIにございますが、第2パラグラフの下から2番目に、「また、放射線管理区域外で使用できない外部線源やX線源を装備しない装置とする。」という形になっておりまして、本装置に関しましては、こういった外部線源やX線源を装備しない装置であるという形になっております。

○米倉座長 一切、外部線源がなさそうな装置のようです。ただし、これは何らかの形で、ファントムなりを使った校正をしなければいけないのでしょうが、そのときには、一時的な管理区域として設定することになるのだと思いますが、いかがでしょうか。

○稲木課長補佐 恐らく、クオリティーアシュアランスという観点から、ファントムにおいて、そういったクオリティーが担保されているかどうかについては、これは機器の性能評価上、せざるを得ないと考えておりますので、ここに関しましては、やはり一時的管理区域を設定する必要があるかと考えております。

○米倉座長 中村構成員、お願いします。

○中村構成員 線源が、届出だったら、一時的管理区域では使えないので、装置を使えるところに持っていって、そこで校正するしかないと思います。一時的管理区域では線源は使えませんから。患者は許されても。そう思っています。

○米倉座長 こちらに書いているように、外部線源とかX線源、校正線源はどうも持たない装置のようなのですが、私がお聞きしたのは、この装置のキャリブレーションのためにファントムを持ち込むことはできるのでしょうか。

○中村構成員 ファントムの中で、御存じかと思いますけれども、表示付認証機器というものだったら、それなりのことをしてあればいいのですが、そうはいかないので、届出の線源を使うとなると、これは障害防止法上、使用室が決まりますので、一時的はあり得ないのですね。でよろしいですね。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 そちらに関しましては、放射性同位元素等に係る放射線障害防止に関する法律(以下「RI法」という。)の中での線源という形になるかと思いますので、こちらの線源を用いた校正がもしこの機器において必要であるならば、恐らく放射線障害防止法に基づいた管理区域内での校正等が必要になると考えております。

○米倉座長 ありがとうございます。

 畑澤構成員、お願いします。

○畑澤構成員 畑澤でございます。

 このフレキシブルPETというのは、MRIで同時撮像ができるという大変優れたコンセプトの装置で、診断の上では大変役に立つとは思うのです。今の議論は、PETの側から見た議論がほとんどだったと思うのですけれども、これを設置することによって、MRIの検査の精度であるとか、それから、リスク管理であるとか、そういうところに影響がないのかどうかという視点も必要なのではないかと思いまして、そういう検討がなされているかどうかをお聞きしたかったのですけれども、いかがでしょうか。MRI自体の検査にも、特に高磁場になってまいりますとリスクがありますので、それに対する、これを置くことによる影響はないのかどうか、そこだけ少し教えていただければと思います。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 適正使用マニュアルのIIIのところに「可搬型PET装置とMRI装置の使用に関する安全管理」という項目がございまして、MRI検査につきましては、個別要求事項に対して医療の安全確保を求められております。したがって、これに関しましても、MRIの装置として安全基準を満たしているという形では、この適正使用マニュアルにおいて、それが担保されていることをもって、この機器の使用を認めるという形になっております。

○米倉座長 ほかにいかがですか。そろそろ御意見が出尽くしてきたような気もしますが、よろしいでしょうか。

 それでは、きょうの御意見を踏まえて、この後、どのような形で進めていただくのか、事務局からお願いできますか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 本検討会で大変たくさんの御意見をいただきました。こういった御意見を踏まえまして、この適正使用マニュアル作成主体でございます厚生労働科学研究・細野班にこういった御意見をお返しした上で、規制合理化等をしていきたいと考えております。

○米倉座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局におかれましては、今後必要な対応をお願いしたいと思います。

 それでは、次の3番目の議題に移りたいと思います。「医療分野における放射性廃棄物の規制合理化について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 次は資料3になります。「医療分野における放射性廃棄物について」という資料をごらんください。

 4ページになります。現在の医療分野における放射性廃棄物の現状について、これから御説明したいと思っております。4ページには、医療放射線管理に係る関連法令の図がございます。これに関しましては、第1回の検討会においても出させていただきました。医療分野における放射線の管理につきましては、医療法等の4つの法令が関係しております。点線の枠で囲っておりますとおり、RI法が1つですね。それに加えて、医療用放射線管理に関しましては医療法と右にございます医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)、左にございます労働安全衛生法、この4つの法律によって管理されております。

 次のページに移ります。5ページになります。放射性医薬品という観点から見ますと、放射性医薬品につきましては、下のような流れで法律が関与しているという形になります。

 まず、一番左の青枠でございますけれども、原材料につきましては、RI法で搬入されます。これが製薬工場に搬入されますと、その中で医薬品医療機器等法に規制が変わります。その後、医療機関への運搬は医薬品医療機器等法によって管理されておりまして、病院内においては医療法及び医薬品医療機器等法の二重規制となっております。患者に投与された後は医療法で管理されていくという形になっております。

 そうなりますと、下の赤枠にございますとおり、RI法においては、RI法におけるRI廃棄物、医薬品医療機器等法におきましては、医薬品医療機器等法におけるRI廃棄物、医療機関内におきましては、医療法に基づくRI廃棄物がそれぞれ個別に発生するという形になっております。これに関しては、関連する法令が全て違いますので、現状は全て別々に管理されているという状態になっております。

 6ページに移ります。医療法施行規則の規定におきましては、診療用放射性同位元素、あとは、先ほどから出ておりますPET検査薬等によって汚染されたものにつきましては、以下のとおりの規定がございます。

 まず、廃棄施設につきましては、構造設備の基準がございます。

 また、廃棄物が発生いたしますけれども、その廃棄物に関しましては、医療機関内にずっと置いておくわけではございません。廃棄の指定委託業者がございます。現在は公益社団法人日本アイソトープ協会が指定されております。

 また、PET検査薬、PET検査薬の汚染物につきましては、別途、院内での特定の条件において原子数が1を下回る期間保管した後は、通常の産廃として廃棄可能という形になっております。

 7ページ、8ページには、現状の医療放射性汚染物の廃棄の流れがございます。まず、患者に打った後の廃棄物は、可燃物、難燃物、不燃物に仕分けされまして、それぞれ個別にドラム缶等に入って指定委託業者に移ります。

 その後、8ページになりますけれども、焼却可能なもの、可燃物、難燃物に関しましては、焼却して目方を減らすという形になります。不燃物に関しましては、そのまま保管廃棄となりまして、右下の写真にございますとおり、大量のドラム缶としてこのまま保管されている状態という形になります。

 9ページになります。こちらは、これまでの過去10年間のRI廃棄物の数量の推移となっておりまして、2006年が約2万本弱であったのが、2015年度の時点においては2万6,000本、約1.5倍になっております。こういったものに関しましては出口がございませんので、一方的にふえ続ける状態という形になっております。

 廃棄物に関しましては、以前より、こういった廃棄物は、昭和20年代と書いてございますけれども、発生・累積している状況になっておりまして、これに関しまして、医療法ではなくて、放射性廃棄物全体の流れとしましては、平成20年に日本原子力研究開発機構というふうに独立法人化しましたので、その際にその業務の一つとして、放射性廃棄物の埋設処分というものが記載されております。

12ページにまいります。先ほどから申し上げましたとおり、医療用放射性汚染物につきましては、現在出口がない状態で、日本アイソトープ協会で保管しているものがたまっていくという形になっております。これにつきまして、今年度の4月にRI法が改正されました。改正によって廃棄に係る特例が設けられまして、RI廃棄物、ここで言うところのRI法における廃棄物に関しましては、 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「 炉規法」という。)の廃棄事業者において処理・処分ができることとなりました。そして、炉規法につきましては、埋設処分が規定されておりまして、結果的にRI法における廃棄物については、炉規法に移管した上で埋設処分という道筋ができたという状態になっております。

13ページに移ります。RI法が改正された際に、廃棄に係る附帯決議が付されておりまして、そこにはどのような内容が書いてあるかといいますと、緑枠内にございますけれども、放射性同位元素、放射線発生装置及び核燃料物質等は、研究機関、大学、医療機関、民間企業において幅広く使用されている現状がございまして、その結果として、多様な放射性廃棄物が発生している状況にございます。こういったものに関しましては、これらの施設を所管する関係各法律においても早期に処理・処分の合理化に係る規定を整備することという形になっております。

 このような附帯決議がございまして、医療機関等から発生するものに関しましては、現在のところ、医療機関内においては主に医療法、薬機法における製造販売業者につきましては医薬品医療機器等法、また、臨床検査技師法におけるRI廃棄物もございます。こういったものに関しましては、現在は医療法と医薬品医療機器等法によってそれぞれ個別に保管されている状況でございますので、こういった廃棄物につきましても、処理・処分の合理化を行うことが適当ではないかというのが現在の考えになっております。今回はこういった形で、廃棄物につきまして、こういった流れを御説明した上で、この流れにつきまして、検討会の先生方に妥当性につきまして御意見いただけたらと考えまして、今回、掲載させていただきました。

 以上です。

○米倉座長 ありがとうございました。

 各検討委員の先生方にはよく御存じ、御承知のことではありますけれども、再度ここで説明をしていただきました。特に医療関係においては、先ほど来、説明がありましたように、幾つもの違った法律のもとに違った規制の形で、現在、廃棄物が扱われているという状況があります。実際、医療用で使われている、極めて寿命の短い廃棄物、これがずっとため続けられているのですけれども、実態としては完全に壊変してしまって、先ほどのPET検査薬については、原子数1になればいいという形がとられているのに対して、特にその下限を下回ってしまっているものが延々とため続けられているという状況にあることが背景にあります。ぜひ皆さんの御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 山口構成員、お願いします。

○山口(一)構成員 今回、埋設処分に関してお話ございました。それも一つの解決策だと思うのですけれども、今、座長からも発言ありましたように、医療では半減期が短い核種を用いておりますので、各国ではクリアランスですとか、減衰保管という制度を導入しております。日本でもRI法でクリアランス制度が導入されておりますので、そういったことを検討するのも必要だと思うのですが、RI法に関しても、制度ができても運用できていないという実態がございますので、この問題は難しいということを念頭に置いて、でも、私たちみんなの問題ですので、皆さんで問題に向き合い取り組んでいくという覚悟を持って行っていけば道は開けると思います。

○米倉座長 ありがとうございます。

 渡部構成員、お願いします。

○渡部構成員 先ほどの山口構成員のクリアランスの問題もそうなのですが、埋設処分に関しても、最終処分所はJAEAがやると書かれていますが、実際にいつそれができるかというのがまだ全然見えていない状況ですので、いろいろなところから最終処分所が必要だという声を上げていただいて、早く最終処分所を、最終場所を決めていただいて動いていただければと思います。

○米倉座長 ありがとうございます。

 その他、いかがでしょうか。畑澤構成員、お願いします。

○畑澤構成員 畑澤でございます。

 医療施設からの廃棄物の量もどんどんふえている状況で、このままで行けば、どんどんふえていく。それを最終の埋設が可能なところに行けるような道筋をつくるという、これは一つ理解できるのですけれども、例えば、短半減期のものは、放射性核種が1個以下になれば、一般の医療廃棄物として廃棄できるというPETの4核種の道筋もあるので、例えば、 99m Tcとか、6時間の半減期のものはそういうものを適用して、放射性医療廃棄物をそもそも少なくするような道筋も一つはあるのではないかと思うのです。そういうことは今回の議論とは少し違うとは思うのですけれども、全体の放射性医療廃棄物を減らすという意味では、そういうことも視野に入れていいのではないかと思った次第です。全て今のものを、炉規法の埋設処分に最終的には至るようなものにすると、量がふえて、将来大変なのではないかと思いました。

○米倉座長 ありがとうございます。

 その他、いかがですか。皆さん、考えていらっしゃることは同じような方向だと思うのですが、どうすれば合理的に、しかも国民の皆さんが納得できるような形でこれを処理していけるのかというところなのだと思います。実際にここに書かれている貯蔵本数は、いわゆる可燃物に関してはどんどん減容して燃やして灰にして、量を減らした上で、現在、2万5,000本当たりのところでプラトーになっているのですが徐々にふえ続けています。当然その中に不燃物がありますので、こういう状況になっているということかと思います。

 海外の状況について、もし可能であれば、各国がどういう対応をとっているのかを整理していただくというのもあるかなと感じてはいるのですが、御意見ありますか。先ほどお話があったように、RI法からは、炉規法との一体化ができるという、今回、規則の改正があったわけなのですけれども、例えば、医療法をRI法なり炉規法なりに一体化して、処分する、当然、そういう考え方もあると思うのですが、それを進めるのがいいのか、あるいは、進める場合に、どちらに一体化させるのがいいのか。あるいは逆に医療法で使われている、いわゆる短寿命のものだけは別途、PETに近いような核種と同じような扱いをして、半減期が6時間の99mTcに関しては、半減期2時間の18Fに比べると3倍の時間がかかっているわけですけれども、そういう考え方をとるのか、そのあたりの整理も必要かなと思いました。いかがですか。よろしいですか。

 特に御意見がなさそうですが、放射線治療のほうで使われている放射化物に関しては幾つかの議論がありましたが、茂松先生、何か御意見ありませんか。

○茂松構成員 今、放射化物は、サイクロトロン含め、放射線治療もエネルギーが上がってきて、非常に大問題になっていて、それをどう処分するかというのは、これからいろいろ検討していただかないといけないなと、私は発言しようかなと思っていたところですけれども、特に私からは、これからそれが大きな問題になってくるということしかございません。

○米倉座長 その他、いかがですか。余り意見が出てこないようですけれども、事務局のほうからどなたかありますか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 先ほど申し上げました各国の廃棄物の状況につきましては、こちらで整理するという形でお示しできるかと思います。

 あと、先ほどのサイクロトロン等、放射化物に関しましては、こちらは医療法ではございませんので、RI法の立てつけになっておりますので、こちらの議題に上がることはなかなか難しいのではないかと考えておりますので、あくまでもRI法を所管している省庁においての関係かと考えております。

○米倉座長 よろしいでしょうか。先ほどの流れを見ていますと、原材料から始まって、医薬品がつくられて、それが患者に投与されて廃棄物が残ると、そのプロセスの中では、基本的にはRI法と医療法という扱いが大きな2本の柱ですので、例えば、この2つを一体として考えるというのは、そう抵抗がないのかなと思うのですが、片方、炉規法というのはやはり扱っているものが全く違うので、これと一緒にするというのは、かえって面倒なことをしているような感じもするのですけれども、いかがでしょうか。最終的にきちっと処分できれば、それにこしたことはないのですが。

 どうぞ、渡部構成員。

○渡部構成員 確かに炉規法とかなり距離があるかなと思うのですが、実は病院は電顕があって、ウランの線源を持っていらっしゃるところは結構あるのですね。皆さん、だんだんウランを使わなくなってきていまして、単に持っているだけというところもありまして、廃棄がなかなかできないという状況で、今、皆さん、古いウランの線源をそのまま持ち続けているという状況がございますので、これで一歩前進すればいいなと思っております。

○米倉座長 ありがとうございます。

 それでは、きょう検討いただきました御意見を踏まえて、医療分野における放射性廃棄物の規制の合理化については、今後、原子力規制庁とも御相談させていただきながら検討を進める必要があるかと思いますが、規制庁から何か特に御意見ございますか。

○原子力規制庁奥課長補佐 ありがとうございます。

 今回のRI法の改正におきましては、特徴としまして、炉規法に廃棄を委託した放射性汚染物を核燃料物質によって汚染されたものとみなすという規定、これはRI法のみの改正によってこういう特例を設けたというのが一つ特徴になっておりまして、RI法の中で、皆様御案内のとおり、廃棄に関する規定がありまして、それに穴をあけるという意味で、RI法の中に特例という形で今回の措置を規定したわけです。ただ、医療法においては、放射性廃棄物の廃棄については、法律自体の条文には規定がなくて、医療法施行規則において廃棄施設を有するものに委託できるということが規定されている状況になっておりますので、若干条文の構成が違っているのかなと思います。そういう意味で、医療法をRI法、あるいは炉規法とくっつけるに当たって、どういう改正が必要なのかという点については、今後、法制的な議論が必要になると考えているところでございます。

○米倉座長 ありがとうございました。よく理解できました。

 その他、よろしいでしょうか、御意見。

 それでは、全体を通しまして、きょうの議論、あるいはそれ以外でも結構ですけれども、何か御意見等あればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。それでは、予定の時間よりも早いのですけれども、事務局におかれましては、きょうの検討会の質問、御意見を踏まえて論点の整理をしていただいて、さらに検討をお願いしたいと思います。本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思いますが、最後に事務局から何かございますか。

○稲木課長補佐 事務局でございます。

 第3回医療放射線の適正管理に関する検討会につきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○米倉座長 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。暑い中を起こしいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課
直通電話:03-3595-2194

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