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2017年6月9日 第5回ジョブ・カード制度推進会議

人材開発統括官

○日時

平成29年6月9日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室
(千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館20階)


○議題

1 新ジョブ・カード制度推進基本計画のフォローアップ等について
2 その他

○議事

○樋口座長
 ただいまから、第5回ジョブ・カード制度推進会議を開催いたします。まず、事務局から出席状況について説明をお願いします。

○伊藤課長
 事務局を仰せつかっておりますキャリア形成支援課長の伊藤です。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日の委員の出席状況について報告いたします。本日は、小沢横須賀商工会議所名誉会頭の代理として、菊池同商工会議所専務理事に代理出席していただいております。また、加藤全国中小企業団体中央会常務理事の代理として、菱沼労働政策部部長代理に代理出席していただいております。これ以外の委員の皆様については、全員御出席していただいていることを報告申し上げます。

 また、私ども事務局の職業能力開発局長の宮野が、急な国会業務対応のために不在で、今の時点の予定では16時頃からの出席となることを併せて報告いたします。よろしくお願いいたします。

○樋口座長
 それでは、早速議事に入ります。本日2つほど議題が用意されております。(1)「新ジョブ・カード制度推進基本計画のフォローアップ等について」、「その他」です。

 まず、最初に1番目の議題について、資料2を用いて厚生労働省及び文部科学省から説明をお願いいたします。

○松瀬室長
 資料2です。1ページです。これは前回の推進会議でも紹介した新ジョブ・カード制度(平成2710月~)の新しい仕組みを特記したものです。目的です。キャリア・プランニグツール、職業能力証明ツールという2つの目的を掲げて現在推進しているところです。2ページです。これは、今回新たに作った資料で新制度の沿革を紹介したものです。平成206月の日本再興戦略改訂2014で見直しの検討が打ち出され、新ジョブ・カード制度推進基本計画の策定、この推進会議の第2回会議で御議論いただき、平成2710月から新制度に移行している。以降、関連の施策などを紹介しておりますので、御参考までに御覧いただければと思います。
 3ページからは、新計画のフォローアップです。四角囲みの左の部分が、計画そのものを転記した該当部分です。対して右の部分が、それに対応する実績の部分です。まず、最初に職業生涯を通じた活用の中のポートフォリオ型での活用です。これについては最初の○ですが、ジョブ・カード制度総合サイトを開設し、作成支援ソフトウェア、支援アプリなどを既に提供しております。

 中ほどの○ですが、昨年7月からはメール相談サービスの機能も付加したところです。また、一番下の○です。今年度は学生に使っていただけるように、作成支援ソフトウェアにエントリーシート作成支援機能も付加する予定です。
 4ページです。○の2在職労働者における活用です。これは商工会議所にお願いしている事業の助成金の申請件数を実績として掲げております。下の○の3業界検定等に係る活用です。残念ながら、全体として業界検定は今のところ広まっているという状況ではありません。右側は、国家資格のキャリアコンサルタント試験の実務要件の際に、実務経験証明書としてジョブ・カードを活用していただくという取組を行っているということを書いています。
5ページの一番上です。議題(2)でも改めて紹介しますが、本年度の新規事業として、ジョブ・カードの効果的活用方策の調査研究を行っております。企業については、ホテル業界とスーパーマーケット業界に対して、御協力していただき実施するところとしております。

 ○の4専門実践教育訓練における活用ということで御案内のことと思いますが、これについては、受講前にキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティング及びジョブ・カードの作成、提出を要件としております。○の5離職予定者を対象とした活用です。これは下線の所を御覧いただければ分かると思います。高年齢者雇用安定法に基づく求職活動支援書としての活用ができるということにしております。
6ページです。○の6、在職労働者のキャリアコンサルティングの推進です。平成27年度から企業内人材育成促進助成金、昨年度はキャリア形成促進助成金、今年度から人材開発支援助成金と名前が変わっております。この中でキャリアコンサルティング制度導入の支援を行っており、その実績を掲げております。
 7ページです。求職者への活用です。○の1、ハローワークにおける活用で○の2つ目です。昨年度の秋口に、ハローワークの職業相談業務等においても、ジョブ・カードをより積極的に活用するように重ねて指示しております。また、○の後段の下線です。本年度よりハローワークのマッチング業務に係る目標管理の中で、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを目標管理の項目の1つに付加して、更なる推進を図っております。

 下の○の2、SNSでの活用ということは右側に書いてありますが、現在のところ進んではおりません。下線の所は、主に人材サービス会社などに登録検索ソフトウェアも提供しています、という旨を書いております。
8ページです。(3)教育訓練の場面とありますが、これは日本商工会議所様にお願いしております雇用型訓練、そして、当方の公的職業訓練の実績を書いております。最初の雇用型訓練については、本年2月末時点で1万人を超える実績が上がっているというところです。2)公共職業訓練の委託訓練は、前回も紹介しましたが昨年度から委託訓練も原則としてジョブ・カードの作成をお願いするとして、これも実績の上乗せに貢献しているところです。
9ページです。中ほど、求職者支援訓練です。これも制度当初よりジョブ・カードの作成、キャリアコンサルティングをセットで実施しているものです。雇用情勢が非常に良くなっておりますので、これはある意味慶賀すべきことなのですが、受講者数全体も減少傾向にあるということです。ここに2月末時点と出ておりますが3月末で32,000人ぐらいという数字になっておるというところです。
10ページです。(4)学生を対象とした活用です。2つ目の○です。前回の第4回の推進会議でも、この好事例を紹介したところですが、その後、私どもや文部科学省でフォローアップをしたので、この後、また別の資料で紹介したいと思います。また、文部科学省におかれましては当省等と連携しての文書発出や、全国キャリア就職ガイダンスにおいてジョブ・カードの紹介などをやっていただいております。
11ページです。これは私が申し上げた好事例のことを書いてあります。下から2つ目の○です。本年度の新規事業、ジョブ・カードの効果的活用方策の調査研究については、先ほどはホテル業界、スーパーマーケット業界の紹介をしましたが、加えて専修学校にも御協力いただいて、学生に対するジョブ・カードの活用の調査も行っております。12ページです。中ほどの下線を引いている所は周知広報の部分ですが、厚生労働省においてはFacebookTwitterによる掲載などを行っております。下の文部科学省の所の説明については、先ほど10ページで紹介した全国キャリア就職ガイダンスの再掲ですので、割愛させていただきます。
1314ページについては、日本商工会議所様にお願いしております訓練のキャリアアップ助成金の支給実績等々が記されておりますので、これも詳細を割愛します。15ページです。新ジョブ・カードの目標という項目です。これまでの実績を紹介します。2020年までに300万人というところですが、昨年度の2月末時点で172万を超えるというところです。また、単年度についても年度目標の23.2万人を超えて、24万人を超えているということが確実になっております。
16ページです。ジョブ・カード制度支援総合サイトのことなのですが、総合サイトを利用された方にアンケートを取っており、そのアンケートの状況をここに書いてあります。イですが、自らの職業能力の向上などに貢献しましたかというもの、7割を目標としておりましたが9割を達成しているということ。また、応募書類として活用しますかということについては、前年度以上を目標としておりますが僅かながら増加を達成しているということがここに書いてあります。
17ページです。キャリアコンサルティング施策との関連をここで紹介しております。最初の○です。改正能開法に基づき、キャリアコンサルタント又はジョブ・カード作成アドバイザー、学校の場合は教員もということですが、こういう方々にジョブ・カードの記入支援を行っていただくことを規定しているということを書いてあります。また、3つ目の○です。今般のキャリアコンサルタントの10月からの分ですが、専門実践教育訓練給付の対象にキャリアコンサルタント養成講座が該当するので、これの対象になります。したがって、この給付を活用してキャリアコンサルタントが増大すれば、ジョブ・カードの支え手も増えていくということが見込まれるところです。
18ページです。職業能力評価基準については、現在、54業種について作成しており、シートで言うと3-3以降にコンバージョンできるということで、これも引き続き取組を進めてまいりたいと思います。下の○ですが、業界検定のスタートアップ事業を平成2627年度とやりました。4業種4業種で合計8業種やっており、対人サービス業務、小売やフィットネス、塾などの分野ですが、これも業界検定を広めていこうということで取り組んでいるところです。
1921ページまでは、先ほど説明した雇用型訓練と公的訓練の実績の詳細な表を付けておりますので、これは割愛します。22ページです。キャリア教育・職業教育です。キャリア教育推進連携シンポジウムということで、文部科学省、厚生労働省、経済産業省ということで共同開催しております。また、下の○ですが、当推進会議でも度々議論になっている「地方創生インターンシップ事業」については、引き続きジョブ・カードの活用等について検討事項としいるところです。
 続いて、23ページの推進体制です。これは、ア、文部科学省、イ、厚生労働省、ウ、経済産業省という順に並べて書いております。文部科学省については主にキャリア教育場面での活用ということで、例えば、右の欄の一番下ですが、前回の推進会議以降の動きとしては、生涯学習政策局のメールマガジンで好事例を御紹介いただいているということです。厚生労働省については、求人・求職時、労働者等のキャリア形成支援等の場面での活用を推進しておりますが、これまで、私が説明したことをやっております。また、ウの経済産業省については、そこに書いてあるように文部科学省と当省の取組と連携して推進していただいているところです。
24ページです。(2)会議の運営です。下の欄に書いてあるのが、ジョブ・カード制度推進会議のことです。25ページです。地域におけるジョブ・カード運営本部、これは労働局が主催する開催実績を書いております。一番下の○です。昨年度の途中から地域ごとの推進計画について目標を掲げて、その目標を達成するように具体的に行動するようにという指示を行っております。
26ページです。都道府県労働局については日本商工会議所様の事業ですが、地域ジョブ・カードセンターとの連携を推進しているという旨をここで書いております。27ページです。公共職業安定所については、先ほども言いましたが、今年度より目標管理をしながらジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを推進している旨を書いております。28ページです。下の(6)ジョブ・カードセンターです。これは日本商工会議所様にお願いしている事業です。
2930ページです。平成2728年度の実績等々を紹介しております。中央ジョブ・カードセンターにおいては全国会議、ブロック会議等を行っていただいており、また、訪問指導等も的確に実施していただいているところです。3132ページは、これまでの再掲等が出ているので割愛します。
33ページです。(11)の地域若者サポートステーションです。そこに書いてあるように、これまでも必ずしも実績が伸びてきておりませんので、今年度については会議や業務指導の中で強めの指導、働き掛けに取り組んでいこうと考えているところです。
34ページからの参考1という資料です。前回、紹介した大学等における活用事例の紹介です。まず、私から岐阜経済大学、創造社の紹介をした後、文部科学省に御説明をお願いしたいと思います。34ページ上の岐阜経済大学ですが、教職員からは、現在、我々は総合サイトの推進をやっておりますが、実際学生に振り返りを促すためには紙媒体も引き続き有効であるということがありました。また、キャリアコンサルティングとセットでなければいけませんので、体制の確保には苦労しているということです。

 学生については、これまで意識してこなかった自分の強みなどが分かって非常に有益であったと、また、就職に向けて自分の希望がはっきりして自信になったというプラスの評価を頂いております。一方、仕事を通じて達成したい目標等々、一部、なかなか学生には書きにくい欄もあったという指摘があります。
35ページ、創造社です。教職員からはインターンシップで用いる評価シートが非常に振り返りに役に立つと。一方で、応募書類としては、まだなかなか業界に浸透していないため使いにくいということ、また、弾力的な様式が認められれば有り難いという御意見がありました。また、学生からは先ほどの岐阜経済大学と同じですが、将来のビジョン・進路等を意識することができたという肯定的な意見もありました。

 それでは、文部科学省からよろしくお願いいたします。

○文部科学省高等教育局学生・留学生課小代課長補佐
 それでは1枚戻っていただいて、34ページです。下段の富山大学について説明いたします。こちらは昨年度から始めた取組で、まず、教育課程内の取組としては、こちらに書いてあるとおり10月に教育担当の副学長が担当する1年生対象の教養教育科目において、ジョブ・カードを使用しながらキャリアビジョンを考えていくという授業を実施したというものです。こちらは1年生対象と書いてありますが、他学年の受講もこのときは受け付けて、20%程度が他学年の学生ということで合計で200人以上が受講したということです。この授業のほかにも、12月に3年次対象の教育課程外での取組でも活用しているというところです。

 教育課程内で行った授業の中身について少し説明します。最初にジョブ・カード作成アドバイザーである職員から職業と生活、暮らしを考える中で、どのようにキャリア・プランニングをするのかという観点で導入の説明を行いました。その後、様式の1-2のキャリア・プランシートを作成するために、作成支援ツールの1つである学生への質問や「深めるシート」を学生に考えさせる時間を取り、それを記述させました。それを基に様式の1-23-13-2を実際に作成してみるという形で、この授業を進めていったということです。特に答えを出すという話ではなく、学生が考えてどうだったのかということをやってみたという形です。

 その授業について、教職員から様々な御意見があったところですが、有用性を認めた上で、ここにもあるとおり「深めるシート」についての御意見、あるいは様式1-2の中での取り組みたい仕事というところでは、これを考えさせるためにやっているので、最初から記述するのは少し難しかったかという御意見などがありましたが、おおむね有用性はあるという御意見でした。それから、学生についてもおおむね好評で、アンケートによれば95%が肯定的、能動的な回答であったということです。大学としては、今後、更にどのように活用していくのかということを検討しているということです。

○文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室星川室長補佐
 専修学校室です。35ページです。下のほうの秋葉学園千葉情報経理専門学校の所について説明します。まず、活用の概要として書いておりますが、これまでも、千葉情報経理専門学校については、既に数年にわたってジョブ・カードを導入してきている。ただ、それまでは教員の個人の指導が中心だったのだけれど、今年度からは、それをきちんと学校の仕組みの中でジョブ・カードを作成していくという方向に切り換えたと聞いております。

 概要です。1年次については、人生全般にわたるキャリアを念頭にジョブ・カードを作成する。2年次については、個別指導を中心にジョブ・カードの記載内容を見直すという形になっております。当然、この間も12年次の一斉の指導という間にも個別の相談を日々行っております。教職員からの主な意見として書いておりますが、非常にこのカードの作成は有効であるという御意見を頂いております。

 ただ、学生の主な意見とも関係してくるのですが、教職員の意見の○の3つ目にあるとおり、学生と個別に面談しアドバイスするのは多くの時間と熱意が必要ということで、一斉指導については140分の時間を取っているのですが、やはり書き切れないという生徒が多くいらっしゃるということだそうです。

 学生からの主な意見としては、おおむね高評価と聞いております。一方、○の2番目にありますが、ジョブ・カードを作成した後に具体的にどのように活用すればよいのか分からないと。作るのはいいのだけれど、それの活用場面についても併せて周知していく、また、企業側への普及なども必要ではないかと聞いております。おおむね以上です。

○松瀬室長
 ありがとうございました。それでは、36ページに移ります。前回の推進会議の後、これは労働局を通じて把握した大学等におけるジョブ・カードの活用事例です。そこにあるように大学で5大学、専修学校で2学校の事例を把握しております。冒頭の福島大学は五十嵐先生に取り組んでいただいているものと承知しております。

 まず、入学してすぐの段階で、キャリア教育の一環としてやると、その後、大学、学校で学ぶ目的意識が非常にはっきりするという教育的な効果が1つです。もう1つは、就職の前段階で自分の強みをしっかり振り返り、エントリーシートに書くことがはっきりする、就職面接のときに売るPRがはっきりした自信につながるというものです。大きくこの2つが、学校等におけるジョブ・カードの活用のその効果ではなかろうかと考えているところです。
3738ページです。先ほどもフォローアップの中で紹介した作成実績です。一番右の端を御覧ください。本年2月末現在で172万を超えているというところです。38ページについても棒グラフは同じことを示しているのですが、下の表を御覧いただければ、それぞれの作成の内訳がお分かりいただけるかと思います。下から2つ目の○の3助成金を活用した企業での取得者です。これは紹介したように企業内人材育成推進助成金は平成27年度から創設されているのですが、たまたま計上のタイミングで平成28年度に計上しているということで、こういう数字になっているというところです。
39ページです。都道府県別の交付実績です。東京、大阪を中心に大体高くなっているということがお分かりいただけるかと思います。40ページです。前回の推進会議からお付けしている属性分析です。これは前回とほぼ変わらないです。大体、男女比も女性は委託訓練の受講者が多いものですから、どうしても女性が多くなるということです。また、203040代が非常に多くなるということ、それを反映した一番右ですが、求職者等の作成割合が多くなるということです。学生・生徒については、若干パーセントが上がって今は2.6%というところです。私の説明は以上です。

○樋口座長
 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○菊池代理(小沢委員)
7ページの「(2)求職者に特化した活用」という部分の○の1の右側にある「これまでの実績」の○の2つ目の2番目の下線の箇所には、「ハローワークのマッチング業務に係る目標管理の中で」という表現があります。私ども商工会議所に設置している地域ジョブ・カードセンターでは、それぞれジョブ・カード普及サポーター企業とか、訓練計画が労働局長(または厚生労働大臣)に確認または認定された企業の数を年度当初に設定して、期中に進捗状況を確認しながら目標管理を徹底し、その結果はこの資料にも記載されていますけれども、その年度は何件だったかという形できちんと公表しています。しかし、この資料を見ると、ハローワークがマッチング業務で目標管理という表現がありますが、何に対して目標を設定し、その結果はどうだったのかというのは、この資料では分からないので、そういう目標管理をやられるのであれば、当初の目標設定の状況とその結果を公表していただかないと、なかなか外部評価が分からないのではないかと思ったのが1点です。

 もう1点は、大学とか、専修学校での採用が非常に多くなってきたということは、新ジョブ・カードになって、様々な場面での活用ということで非常に良くなってきたと思いますが、学生の意見の中には、様式の項目でどう書いていいか分からないということが幾つかあったと思います。実際、活用の場面が広がった以上、求職者の場合はこういうことを書く、それから、学生の場合は、この項目にはこのように書いてほしいとか、就業中の方はこういうことを書いてほしいという「注記」のようなものがあったほうがよいのではないかと思います。それぞれの判断に任せるのではなくて、学生の思いがそこに反映されて、教授とか先生といった方々も、標準的に学生の思いを評価できるのではないかと思いました。その辺の手直しが必要ではないのかという、これは感想です。

○樋口座長
 ありがとうございます。それでは、前者の7ページの上のほうの2つ目の○の所について、厚生労働省からお願いします。

○松瀬室長
 御指摘のとおりであろうかと思います。目標管理の結果、どのような目標が設定され、それに対してどのような結果であったかというのは次年度からになりますけれども、これは必ず、この推進会議でも御報告できるように整えたいと思います。ありがとうございます。

○伊藤課長
2点目について、大学等のキャリア教育等におけるジョブ・カードの積極的活用のための、言わば、条件整備の部分について具体的な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。

 先ほど、松瀬からも御報告を申し上げましたように、前回のこの会議での御指示を踏まえまして、私どもは教職員だけではなく、学生からも直接聞取りを行わせていただきました。その概要を今回の資料の中で報告させていただいております。このジョブ・カードを活用したキャリア教育の事業、あるいは、キャリアコンサルティングを通じて、自らの職業選択の意識の明確化等が図られた。こういったジョブ・カードの初期の目的に沿った成果が徐々に表れているということでの手応えを感じる一方、今ほど委員からも御指摘いただきましたように、今の様式、あるいはその書き方に関わる指導体制等の中で、どう書いたらいいか分からないというような声を、改めて私どももつぶさに耳にさせていただいたところです。

 こういった部分に関わる今後の対応ですが、1つは、キャリア教育事業を担う、あるいはキャリアセンター等で個別のキャリアコンサルティングを通じ、このジョブ・カード作成支援、ひいては、就職活動支援というものを、当然きめ細かく行っていかなければいけない。そういう中で、個々のキャリアコンサルタントが学生、あるいは非正規雇用労働者等々、ジョブ・カードを作成する方、キャリコンの対象者の課題、属性に応じ、きめ細かいガイダンスができる能力を備えるということが不可欠であると、私どもも再認識しているところですので、今後のキャリアコンサルタントの養成の中で、こうしたターゲット別のジョブ・カード作成も含めた、きめ細かなキャリア支援の能力を高めるための養成講習の拡充を図るとともに、ジョブ・カード作成をされる方は、最初に今日も御紹介申し上げた作成支援ソフトウェアを使って、作成するという方も当然多いわけですので、こうした方に関し、この間、この会議でも御意見を頂戴しておりますように、サイト上での様々なガイダンス機能、その中には、今御指摘を頂戴したように、典型的な書き方、記入例とか、あるいは書き方に迷った場合には、言わば、ヘルプ機能といったものの充実も大変重要ではないかと改めて考えているところです。ジョブ・カード制度総合サイトの機能についても毎年必要な予算を確保し、順次拡充を図っていく計画ですので、本日のこの会議での御意見も踏まえた形で必要な措置、できるだけ早期に講じていきたいと考えております。

○樋口座長
 よろしいですか、菊池さん。

○菊池代理(小沢委員)
 はい。

○樋口座長
 では、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員
 ありがとうございました。ただ今、お答えいただいた中で、追加で御説明いただける部分があればということでお尋ねさせてください。

 まず、ハローワークにおける担当者制の取扱いですが、求職者支援制度の中では必須になっているのに対して、ハローワークについては希望があればという理解をしています。

 今後、PDCAサイクルで目標管理をされていくということですが、現時点で対象になり得る層はどのぐらいの規模感を持たれているのか、教えていただきたいのが1点目です。

 それから、希望という形、あるいは予約制・担当者制という形とは別の要件として、例えば、求職活動期間が一定期間以上長くなっている、長期にわたって求職活動しているといった方たちは、課題対応としては優先順位が高いと考えるのですけれども、そういった方々に対しても、今後そういう形でジョブ・カードを交付しながら、適正な就職活動を支援していくこともお考えになっていらっしゃるのかどうか、併せてお尋ねできればと思います。

○樋口座長
 では、1点目の規模感の話です。

○伊藤課長
 それでは、7ページでお示ししているハローワーク職業相談業務に関わる活用の規模感、今後の方針等についてお尋ねいただきましたので、まず初めに、私からお答え申し上げた上で、必要に応じ、本日は首席職業指導官も出席しておりますので、補足いただければと思っております。

 まず、今現在のハローワークの職業相談業務におけるジョブ・カードの活用の考え方です。ジョブ・カードの作成、支援等に相当程度の時間を要するという点も踏まえ、ジョブ・カードの作成を通じ、就職可能性が高まることが期待されている層として、今、ハローワークで展開しております予約制・担当制窓口、分かりやすい例で申し上げると、例えば、マザーズハローワーク、新卒応援、わかものハローワークといった、特にきめ細かな時間を掛けての継続的なキャリアコンサルティング的手法を用い、職業相談を行うことで就職可能性が高まるというように思われる方に対する専門の窓口において、キャリアコンサルタント資格を有した職員等による窓口体制を設定。まずは、ここを重点に取り組みつつ、必要に応じ、それ以外の一般相談窓口においてもジョブ・カードの活用を拡大していくということを、私ども職業安定局から各ハローワークに指導しているところです。

 遠藤委員のただいまの規模感のお尋ねですが、これに関して率直に申し上げますと、定量的にハローワーク、この数百万に及ぶ毎年の新規求職者の中で、ジョブ・カード作成を希望する方、あるいは、今、申し上げたような意味で、ジョブ・カードを活用することによって就職可能性が高まる方がどのぐらいいるのかということを確信を持って申し上げることはもちろん困難ですが、ジョブ・カードを担当する立場、あるいは、過去に職業相談業務についても担当していた立場で言うと、少なくとも、10万人のオーダーではそういう方はいるのではないかという、そういう感覚は持っております。

 それに対し、今日の資料でも御説明申し上げておりますように、訓練場面を除いてのハローワーク相談窓口でのジョブ・カード新規作成実績については、万のオーダーのまだ下のほうの数字にとどまっているということは、まだ潜在的にはこうしたジョブ・カードを活用することが望まれる層がいらっしゃるのではないかと。更に加えて言えば、ジョブ・カードを作成した上で結果的に求職者支援訓練のほうに移行している方もおりますので、そうした方も含めて、まずは職業相談窓口でジョブ・カードを作成した方については、実はもう少し多いという点についても併せて付言させていただきたいと思います。全体の構造については、そのようなことではないかと思っておりますけれども、実際のハローワークの窓口の展開としては、そうした専門窓口では、当然最初からキャリアコンサルティングを行うわけですが、ジョブ・カードを使うかどうかということについては、相談の過程でごく簡単にジョブ・カードの趣旨、書き方について御案内をした上で、求職者の方が希望する。正に今、御指摘がありましたように、では、ジョブ・カード作成をしますということで、ごく簡単なガイダンスをし、一旦お持ち帰りいただき、2回目の予約相談の中でジョブ・カードに基づいて相談を行うというのが通例です。ただ、中にはお渡ししたけれども、やはり私はジョブ・カードを書くことは難しいですと言って作成には至らない、そのようなケースもあるのかと。

 このように、ジョブ・カードの作成の過程というのは極めて多様であり、また、今後のジョブ・カードの活用ニーズ、後半のほうの御質問にも関わってまいりますけれども、非常に多様であって、この辺りについて、私ども職業能力開発局と、ハローワーク職業相談業務を所管する職業安定局でよく協力しながら、相談窓口におけるジョブ・カード活用、顕在化しているニーズと、潜在ニーズをともによく分析をし、本会議にも御報告した上で、ハローワークにおいてもっと活用促進が必要ということは、この間、多くの委員から御指摘を頂いているところですので、その方向に沿って両局が連携し取り組んでいきたいと思っております。藤浪さん、もし何かありましたらお願いいたします。

○藤浪首席職業指導官
 職業安定局でございます。今、伊藤課長からきめ細かな説明がありましたので、特段付加するものはありませんけれども、当然ながら職業能力開発局と連携して、しっかりと取り組んでいこうと思っております。

 また、1点補足させていただくならば、予約制・担当者制について、先ほど新卒応援ハローワーク等々の例示がありましたけれども、予約制・担当者制については、雇用保険受給者を主に対象として、早期の再就職支援という観点での予約制・担当者制というものも行っております。今、景気が良くなって、雇用保険受給者が減っているとは言え、相当数いらっしゃいますので、そういった方々に対する予約制・担当者制の中でのキャリアコンサルティングの実施、その場合においてのジョブ・カードの活用という観点については、今後も労働局に対して指導等はしていきたいと考えております。

○樋口座長
 もう一点は、長期失業求職者についての回答ですが、大体、今の説明であったかと思いますが、付け加えることがあったら、よろしいですか。

○伊藤課長
 基本的には、その点も含めてお答えを申し上げたつもりでしたが、不十分であったかと思います。若干、補足を申し上げます。

 長期の失業の方に関しては、一定の職業資産を有するものの、求職活動の過程で様々な困難に遭遇し、言わば、求職活動に向けてディスカレッジされている可能性も多い層である。あるいは、長期失業状態であること自体について、求人事業者との関わりで言うと、ネガティブに評価される可能性がある。そういった意味で、よりきめ細かな職業相談対応が必要な層であると考えているところです。

 そうした中で、こうした長期失業者に対し、ジョブ・カードを活用する意義としては、その方がこれまでの間、長期失業するまでの間に培った様々な職業資産について、今ほど申し上げたのは、ある種の心理プロセスを経て自信を失い、せっかくポジティブな市場価値のある職業経験を有しているのに、そのことについての本人の意識が希薄化しているといった可能性があるというように思っております。

 そうした意味では、長期失業者に対し、ジョブ・カードを使い、正にジョブ・カードの目的である職務経歴の棚卸しをすることによって、忘れかけていた職業資産について再度認識をし、それを求人事業所に対してしっかりアピールをする自信と、また、その自信の前提として、自分自身としての市場価値認識を明確化するといった積極的な意義があるのではないかと思っております。

 こうした点に関しても、具体的な場面としては、先ほど申し上げたような予約制・担当者制窓口が典型ということになるかと思いますが、仮にそういった方が一般職業相談窓口に来所されたとしても、求職者の方の抱える課題に応じて個別に、あるいはセミナーなどを通じ、ジョブ・カードの活用特例にしていくといった取組についても、併せて今後の重点と位置付けていきたいと考えております。

○樋口座長
 よろしいですか。では、大久保委員、どうぞ。

○大久保委員
 ジョブ・カードの進捗状況について細かく報告いただきましたが、ジョブ・カードは新ジョブ・カードになったときに、ジョブ・カードとして柱を立てました。キャリア・プランニングの支援ツールとしてのジョブ・カードとしての性格と、職業能力証明ツールとしてのジョブ・カードということで大きな方向性を決めたので、11個の項目もさることながら、その2つの軸で考えたときに、ジョブ・カードは、どのように進んで、何を課題として残しているのかといった辺りを聞きたいのです。

 私なりにその2つの軸で今、報告を聞いておりまして感じたところを申し上げると、1つは、キャリア・プランニングの支援ツールとしてというところですが、既にお話が出ているとおり、目的に応じたガイダンス機能の整備がもっと必要なのだろうということ。実際にやっていく中で、どういう場面で使われ得るのかということが少し見えてきているところもありますし、1つは、学生ジョブ・カードに出てきているように、初年時教育の中で、キャリア教育のスタートラインとしてガイダンスを作るところからスタートしていく。その後、どのように4年間使っていくかということも含めてのそのガイダンスの問題もあるでしょうし、あとは、これは働き方改革の中でも出てきたとおり、非正規の人たちの正社員の転換、不本意非正規の中で正社員になっている人たちの比率は残念ながら低いのですけれども、そのときのジョブ・カードはどういうように自分なりに整理して作ったらいいだろうかとか、あるいは、高齢者、60歳から64歳の人たちも就業希望者のうちで、実際に就業できている人の比率はすごく低いのです。では、そういうときはどうなのだろうか。

つまり、ジョブ・カードの書き方ではなくて、キャリアガイダンスはあくまでもキャリア・プランニングのための支援であり、それがジョブ・カードともつながっているという状態が必要なのだろうと思います。そこはまだ十分にできていないところがあるのではないかということ。

 職業能力の証明ツールのほうは、いろいろな資格、検定等、あるいは、講座等々と連携を図っているのですが、そこで修了した段階の評価をジョブ・カード書式にコンバージョンする形の部分が、やはりまだできていないと思っています。つまり、どうやってジョブ・カードに落とし込んでいいのか分からないというか、どのようにジョブ・カードを足していったらいいか分からないという状態は、まだ続いていると思っています。そこは急がなければいけないのではないかと思います。今、申し上げたところについて、お話を聞きたいと思います。

○樋口座長
2点について、お願いします。

○伊藤課長
 これも大変重要な点について御指摘を頂戴いたしました。先ほど、松瀬から御説明申し上げた個々の取組を、言わば時間軸でつなげるような観点で職業生涯を通じたキャリア・プランニング、また、能力評価ツールという観点で、全体としてどのようなことが言えるか、事務局としてどのような問題意識を持っているのかということについて御説明、お答え申し上げたいと思います。

 まず、生涯を通じたキャリア・プランニングツールという観点で申し上げると、職業キャリアの出発点、大学、専修学校をはじめとする大学等学校在学中からということになろうかと思いますが、この部分については先ほど事例も御紹介申し上げましたように、キャリア教育という観点ではまだ少数ではありますけれども、かなりリアルなジョブ・カードの趣旨に沿ったキャリア教育、キャリアコンサルティング&ジョブ・カード活用事例は生まれつつあると私どもは思っております。ただ、これが実際に学校を卒業する、就職活動の段階でキャリア教育等ツールとして使われたジョブ・カードをしっかり携えた形で労働市場につなげていくという部分の仕組みについて、若干まだ弱い部分があるのではないか。先ほども御紹介申し上げたジョブ・カード入力内容のエントリーシートへのコンバート機能といったことも、そういった狙いを持っているものです。こうしたことが、まず1つの課題であろうということ。
2つ目の課題としては、生涯を通じたということで、企業内での活用、それぞれの職場においてキャリアの節目で、キャリアコンサルティング&ジョブ・カード活用ということも大変重要な点であると思っております。これに関しても、今日、ジョブ・カード作成実績の中で申し上げておりますように、昨年度、かなり実績が伸びた部分ではありますが、ただ、雇用型訓練の領域でのジョブ・カード作成については、その中身までジョブ・カードセンター事業を通じ、つぶさに分析は相当程度できているわけですけれども、それ以外の企業内でのキャリアコンサルティング&ジョブ・カードについては、私どもも残念ながらまだ個別の事例、どのような使われ方、どのような課題があるのかといった点について、十分な分析に至っていないというのが率直なところです。この点については、今、私どもが取組を進めているセルフ・キャリアドックといった取組の中で、個別の企業のキャリアコンサルティング&ジョブ・カード作成事例について研究を深め、ジョブ・カードの在り方という観点で、またこの場にもフィードバックする形で御報告、御審議いただければと思っております。

 また、既に御指摘いただいておりますようなハローワーク等における再就職場面、更に、今、大久保委員から御指摘がありましたように、高齢者の方、シニアの方の就職活動、あるいはキャリアチェンジの場面からジョブ・カードの作成を始めるということも当然あり得、その場合には、書き方というよりは、正にジョブ・カードをツールとしてのキャリア・プランニング支援、そのものの問題ということになってくるのではないかと思っております。キャリアコンサルタント、大学のキャリアセンター、ハローワーク等では、相当程度活動領域として浸透し、一定のパフォーマンスは上げているというように考えておりますが、今、御質問の中にあった正規化を希望している非正規の方とか、あるいは、シニアの方に対する非常に多様なキャリコンニーズに対応したスキルを、今のキャリコンが十分備えているかどうかと言うと、これもいささか反省すべき点があります。今年度の全く別途の事業の中で、こうした働き方改革実現上の課題となる方々に対するキャリアコンサルティングの技法開発のための事業にも、現在取り組んでいるところです。今年度中にその成果を取りまとめた上で、是非ともキャリアコンサルティング、ジョブ・カードの活用にもつなげていきたいという考え方です。能力証明ツールとしても、まだまだ課題が多いものというように思っております。

 特に、今ほど大久保委員からも御指摘がありましたように、もともと業界検定も含めた各種の検定、能力評価とジョブ・カードの結び付け、大変親和性の高いものということで、私ども所管の能力評価課などとも連携して取り組みを進めているところですが、この部分についても、検定の仕組みの整備は、今、順次前に進んでいるところですが、それをジョブ・カードにつなげていくという部分では、まだまだ私どもも含め関係者の意識、あるいは、取組が薄い面があると思っております。検定とジョブ・カードの結び付けに関しては、検定等々、取った成果をジョブ・カードにそのまま盛り込んで、それを求人企業、在職企業に評価してもらうというのはもとよりですけれども、検定だけでは評価が難しい実践能力に関し、職場、OJTでの仕事ぶりをジョブ・カードの様式3シリーズの中で、しっかり本人と企業で共有するということがジョブ・カードの王道の使い方ではないかと考えているところです。

 この点に関して、先ほど松瀬からも御紹介申し上げましたし、また、後ほど私からも触れさせていただきますが、今年度のジョブ・カード活用促進のための新たな事業の中で、非正規雇用労働者のキャリアアップ、人材確保の必要性の高い業界ということで、ホテル業界、スーパーマーケット業界において、正に今、申し上げたような観点からのジョブ・カードの一層効果的な活用方法、事例開発を行うといった取組にも今、着手しているところです。この事業に関しても、今年度中に一定の成果を取りまとめるということで、これら取組の中においてもキャリア・プランニングツール、能力評価ツールというジョブ・カードの本来の目的に沿った形での成果、あるいは、成果につながるような事例開発を積極的に進めていきたいと考えております。

○大久保委員
 分かりました。この1年間で、24万人強の人たちがジョブ・カードを作ったと。新ジョブ・カードという新しい形に変えてみて、実際に、その後に作ったこれだけの数の人がいるわけですよね。そのような事業展開を踏まえて、ジョブ・カードの場面における、あと何が足りないのかという情報が集まってきているというように思うのです。

○伊藤課長
 はい、おっしゃるとおりです。

○大久保委員
 それを十分に踏まえて、あと、2020年まで残り3年ぐらいしかないので、どういう形でそれを発展させて、300万人を達成していくのかというその作戦というか戦略というか。この1年間の活動の情報を分析の中で作っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○伊藤課長
 しっかり取り組んでまいります。

○樋口座長
 関口委員、どうぞ。

○関口委員
 先ほど、菊池委員からお話があった学生向けの様式の話は、今してよろしいのですか。

○樋口座長
 はい、どうぞ。

○関口委員
 今日頂いたいろいろなデータで、大学生、専修学校生の数字がやや上がっているということ、また、いろいろな取組に着手されているということは大変結構なことだと思います。しかし、数としてはまだ少ないですよね。

もっと数を増やすためには、様式のカスタマイズが必要です。学生向けということで大学生と専門学校生向けの様式を、一括りにはできない。まず専門学校のジョブ・カード活用の時期について、一定の学習を終えて、就職活動開始前と、卒業直前の時点という辺りが有効かと思います。

様式としては、卒業時点の到達目標を書く。これはイメージもあるし、具体的な能力要件というようなものも必要でしょうけれども、そういったゴール。それからゴールに向けて現状の知識と技能と、それから知識・技能を統合した能力の棚卸しができること。

そして到達目標と棚卸しをした現状とのギャップについて、最後にこれからの残された学習時間でどのようにそれを埋めていくかというプランを立てるというような、おおざっぱに言うと、そのような様式の在り方が、単に学習歴を書くのではなくて、様式3の在り方としては専門学校にはふさわしいのではないかと考えております。

○樋口座長
 御意見を賜りましたので、御検討させていただきたいと思います。大学側から何かありますでしょうか。専修学校からお話でしたけれども、文部科学省から何かありますか。

○文部科学省高等教育局学生・留学生課小代課長補佐
 それでは、先ほど教育の中でどのように使っていくかということで、キャリア・プランニングツールとしての役割も重要だというお話がありました。正にジョブ・カードを作成するということが目的ではなく、おっしゃるとおりかと思います。先ほど、富山大学の事例を少し御紹介しましたけれども、その中でもキャリア・プランニングの視点で使用したということであり、その意味でも先ほどの作成支援というのは大変重要な御指摘であったかと思っております。

 一方で、作成支援に関しては、教員のほうからの意見として、様式の記入例がウェブサイトの中にもありますが、それを示すと、今の学生は、それにすぐ引きずられるということがあるという懸念も一つありまして、富山大学では、そのときは使用していないということがありました。そういった中で、今、実際に大学で使用されている例、好事例等、こういったことを集めて展開していくという取組を通じて、各大学において、キャリア教育の観点でこれをツールとしてどのように使っていただくかということを考えていく。そういう段階を着実に踏んでいくしかないのかなと思っているところです。

○樋口座長
 求人側というか、企業側というか、何か御意見がありましたら頂きたいと思います。よろしいでしょうか。

○五十嵐委員
 企業ではありませんが、大学側からです。併せてということなのですが、私自身が授業で使っている事例が、今回たまたま私、地域ジョブ・カードセンターにも関わっているものですから、労働局で上げていただいたわけなのですが、やはり2つの方向性で、自分の中でジレンマがあります。1つは、書きやすさを追求すると、実は深まりがなくなるのです。ですから、キャリアコンサルティングをする場合も、何か早く、手っ取り早くゴールにマッチングさせていこうとするような動きになると、ジョブ・カードの機能としてどうなのかなと。ですから、今、説明があったように、ツールとして教育課程で使うものなのか、正に就職活動等でどう使うのかというときに、使う側のある程度の裁量権というか柔軟性がないと、よく言う、学生がマニュアルどおりのエントリーシートしか書けないような結果になって、結局、企業に入ってから早期離職に結び付くような深まりのなさになってしまう問題があるのかと。

 あとは、相当労力を必要としますので、1回だけで書き終えること自体がまず無理ですので、私は授業でのシャトルペーパー、出席確認をしながら、絶えずフィードバックしながら積み重ねて書いていくような形を取って、昨年度から始めたものですから、これが今度、3年生、4年生の就職活動になったときにどのようにまた関わっていくかというのを、これから自分なりに検証していきたいと思っています。情報提供ということです。

○樋口座長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○安永委員
 連合の安永です。12ページの周知広報・普及促進に関連して2点、それからヒアリングの結果について1点申し上げます。周知広報の関係については、皆さんの御努力もあって、検索サイトなどで「ジョブ・カード」で検索すると、厚生労働省はもちろんですが、労働局とか商工会議所とか、様々な所でジョブ・カードについての説明が出てきます。これは非常にいいことだと思うのですが、「ジョブ・カード」という言葉を知らずに、例えば「職探し」とか「スキルアップ」とか「キャリアアップ」でいろいろと検索しても、なかなか「ジョブ・カード」にたどり着かない状況があります。検索サイトへの対応ということになるのだろうと思いますが、もし今日まで対応されていれば、その紹介もいただきたいと思いますが、今後の必要性について申し上げておきたいと思います。

 それと関連して、厚生労働省のホームページも見させていただきました。粗探しをするようで非常に申し訳ないのですが、厚生労働省ホームページのトップページにはいろいろなバナーが貼ってあります。しかし、私は残念ながら、ここでは「ジョブ・カード」を探すことができませんでした。

 次に試してみたのは、分野別の政策「雇用・労働」の中から「雇用」が選択できるので、ここには掲載されているだろうと思って、「雇用」を選択したら、「仕事をお探しの方へ」、「事業主の方へ」という所が出てきますが、残念ながら、「仕事をお探しの方へ」の所も「事業主の方へ」の所にも「ジョブ・カード」はありませんでした。真ん中にある「スキルアップを狙う方へ」という所を押したら、やっと「ジョブ・カード」が出てくるという感じでしたので、いろいろなページから関連する所にはバナーがあるのかどうか分かりませんが、「ジョブ・カード」のバナーを選択すれば、そこに飛んでいくという工夫も必要ではないかと思っております。関連をして、就職情報サイトなどにも、そういうバナーを貼っていただく依頼というか、今日までもされていたら、その実績などの御紹介を頂ければと思います。
2点目は、サポーター企業についてです。メリットとしては厚生労働省ホームページで紹介するということで、既に厚生労働省のホームページにも掲載されているのは知っておりますが、もう少し何かできないかという思いがあります。特に人手不足の企業がサポーター企業として登録していらっしゃると思っていますが、先ほど言いましたように、バナーに使うマークを、それぞれのサポーター企業が活用できるとか、就職説明のときに、我が社はこういうことをやっていますというような、統一的なマークなども活用ができることにしたらどうかと思います。

 最後、3点目、ヒアリング結果についてです。今回、学生に対するヒアリングは非常に参考になると思っていますし、それに基づいてその評価なども高いということですので、是非、追跡をしてほしいと思います。今回、説明をし、ヒアリングをされた方々が、その後どのように活用されたのか、それとも残念ながら活用しなかった人はなぜ活用しなかったのかというところを追跡することによって、より課題とか、そういうものも浮かび上がってくるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。以上です。

○樋口座長
 ありがとうございました。

○伊藤課長
 今後のジョブ・カードの幅広い普及浸透という観点で、これはまた大変重要な点を具体的に御指摘いただいたものと思っております。ジョブ・カード制度総合サイトへのアクセシビリティ向上という観点から、幾つかの御提言を頂いたところです。これに関しては、別の委員の方からも、今のジョブ・カード制度総合サイトへの、言わばシステム上の、サイト上の行動分析をすることがアクセシビリティ向上のヒントにつながるのではないかという御指摘も頂き、今回は詳細にお示しはできませんが、次回に向けてそういった準備もしてみたいと考えているところです。

 今、手元にある情報の範囲内で申し上げますと、現在、このジョブ・カード制度総合サイトへのアクセス件数については、おおむね3万人フラット。じり貧でもないけれども爆発的に伸びるというところまでは行っていないと。このジョブ・カード制度サイトトップページへのアクセス元という観点で見ますと、半分以上があらかじめお気に入り登録をされている、あるいはURLを知って直接アクセスをされている方、ですから、繰り返し活用されている方が半数強です。それ以外の方ですが、2割弱が検索エンジンでジョブ・カード等といって入力をされる。それから、もちろん厚生労働省ホームページからの方もおりますし、固有名詞はありませんが、人材ビジネス系の総合リンクバナーを貼っている所からお入りいただいている、そういった方も少数いらっしゃると、こういうことです。

 ただいまの御指摘のポイントは、少なくとも厚生労働省ホームページからのアクセシビリティは高めるべきという御指摘と心得ております。厚生労働省ホームページのバナーも、何分所管制度が極めて多数でして、言わば枠みたいなものがあり、制度を立ち上げる時点では確保できるけれども、その後は新しい制度に一旦譲らないといけないといった慣行もあります。

 そういった中で私どもは、言わば政策課題からジョブ・カードも含めて、いろいろな制度に適切に入っていただけるような分かりやすさが非常に重要と考えておりますが、私ども職業能力開発局の様々な情報は、個々のコンテンツとしては相当充実しているという自負もありますが、サイト上の構造が分かりにくいので、なかなかたどりにくいという声も、利用者・関係者からお聞きしたり、あるいは私どもは自覚的にそういう問題意識も持っており、職業能力開発局関係の厚生労働省サイトのアクセシビリティ向上に関しては、今、和田審議官をトップとする局内のプロジェクトにおいて、具体的なその改善策について検討中でして、そういった中で、今、委員から御指摘いただいた点についても、少しでも分かりやすくなったという御評価を頂ける改善を図っていきたいと考えているところです。

 そういった中で、せっかくのサポーター企業のメリットとか分かりやすさは、現状でも「ジョブ・カードくん」といったシンボルマークは用いておりますが、十分浸透しているかと言うと、残念ながら、関係者以外の方で存在を明確にしている方はさほど多くないと自己認識をしているところです。ジョブ・カードセンターとも協力をしながら、また、地域ジョブ・カード運営本部とも協力をしながら、こうしたサポーター企業の認知度を高めるとともに、ヒアリングについても重要な御指摘を頂きました。せっかく取組の実相についてかなり見えてきたところですので、使い出だけではなくて、実際に就職、その後の能力アップにどのように役立ったかという点についても、言わば定点観測を試み、また、どこかのタイミングで本会議においても御報告を申し上げたいと考えているところです。

○樋口座長
 ありがとうございます。

○小杉委員
 皆様の御質問とほとんど重なって、今の御回答にひょっとしたら含まれているかもしれないことですが、先ほどいろいろな場面での作成事例などを研究されているということですが、研究すべきは作成事例ではなくて、それを使ってどのように結果につながったか、あるいはキャリアコンサルティングの中でそれをどう使ったらより効果が高まったかとか、そういうツールとしてのこのカードをどう使ったら、いろいろな場面での成果がどう現れたかという事例、効果分析までは難しいかと思いますが、そういうグッドプラクティスの事例を集める。

 大学の事例もとても良かったと思うのですが、これから広めたいというサポステの話とか、業務としてかなり広めようとしているハローワークでの事例とか、結局、現場のコンサルタントがそれを使うことによって、どういう効果が得られるのかを実感しなければいけませんし、あるいは専門職としてのコンサルタントとして、それをどう使うことがより効果の高いコンサルティングにつながるか、むしろそれを研究していただきたいのです。そういう発想で、既にやられていると思いますが、事例を研究するだけではなくて、効果的なコンサルティングの中にどう使ったらいいか、そういう資料作りでもしていただけたら有り難いと思います。

○樋口座長
 御要望としてお伺いしました。効果あるジョブ・カードにしていくにはどうしたらいいかということと、もう1つは、KPIがどうしても気になるわけで、2020年に300万人の取得ということになると、今のスピードで言うと少し足りないかと。少しスピードアップして、単純計算で年間30万人ぐらいプラスしていくというためには、どうしたらいいかと。いろいろな提案があったと思いますので、是非、そういったものも実行していただきたいと思います。経済産業省のほうで何かありますか。

○経済産業省経済産業政策局産業人材政策室関室長補佐
 経済産業省のほうからも、ジョブ・カード促進に向けた取組として、中小企業庁のメールマガジンとか、あとは地方の経済産業局の広報活動を通じて、約13万社ぐらいの方々に対して広報周知を行っているところです。

○樋口座長
 協力・連携して進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。もし、よろしければ、次の資料3-13-23-3について、事務局から説明をお願いします。

○伊藤課長
 議題(2)に関わり、お手元の資料3に関して、それぞれ御報告を申し上げます。その前に、ただいまの議題(1)を集約する形で、座長から今後の長期目標達成に向けての取り組むべき姿勢、また数字の構造についてお話がありました。

 今日の資料では、数字として完全に取りまとめているものが平成292月までということで、その数字について資料で御説明申し上げているところです。こちらは242,000人です。今、3月、平成28年度計の数字、最終精査中ですが、見込みとしては、大体平成28年度の最終実績が25万人ぐらいになるのではないかという見込みを持っているところです。そこから翻って考えますと、今年度から4年間で120万人余り達成をした場合には、300万人目標達成。ということは、年間30万人強程度と。

 昨年度単年で言いますと、過去最高の実績になる見込みですが、それでもまだ若干足りないという状況の中で、前半のほうでいろいろ御指摘いただきましたそれぞれの領域別、あるいは全体を通じての活用促進のプラットフォーム整備等を通じ、この作成実績にもどのように結び付けていくかが非常に重要な課題であることを、議題(1)の御指摘を通じ、私ども事務局としても再認識をしたところです。

 その上でお手元の資料3-1からです。言わば今後のジョブ・カード活用促進に関わる現時点での政府方針、あるいは具体的な事業の取組等に関しての追加的な御説明です。資料3-1は、働き方改革実現会議の議論を通じ、昨年度末に同会議において決定をされました、働き方改革実行計画の中でこのジョブ・カードがどのように位置付けられているのかを、御確認いただくための資料です。

 同実行計画の中では、この大きな柱の1つである同一労働同一賃金など、非正規雇用の処遇改善の中でその実効性を確保するガイドライン整備等々の中で、幾つかの主要な取組について掲げられており、更にその中で、同一労働同一賃金の言わばベースメントとなる職務・能力等の明確化と公正な評価という観点から、ジョブ・カードに関して、技能検定などと併せ職業能力評価制度の整備などの関連施策の連携推進の必要性があるといった点について、本計画の中で位置付けがなされ、言い換えれば、この働き方実行計画の中で、取り分け、能力見える化という観点での一層の活用促進が期待をされている状況と、私ども厚生労働省は認識をしているところです。

 今日は実行計画のそれ以外の部分については割愛をしておりますが、実行計画全体を見た場合には、人材育成強化、あるいはIT・女性リカレント等の分野での能力開発の取組強化といった観点で、議題(1)の説明でも若干触れさせていただいております専門実践教育訓練給付及び同講座の拡充、あるいは公的職業訓練に関しまして、IT・女性リカレント、資格取得に結び付く、こうした訓練の拡充といった方向性が示されているところでして、これら取組、当然キャリアコンサルティング、ジョブ・カード等により、対象者特定、あるいはその成果を見える化することが可能になるものです。そうした意味では、働き方改革実行計画全体の中でのジョブ・カードが担うべき役割は極めて重要、そうした観点からの活用促進策に関して、本会議の議論を踏まえ、強化を図っていく必要があるという基本認識です。

 こうした基本認識の下での当面の取組の1つですが、ジョブ・カードに関しましては、予算事業としては、雇用型訓練実施企業支援事業、いわゆるジョブ・カードセンター事業や、議題(1)の中でも触れておりますジョブ・カード制度総合サイトの改修・運営といった継続的に取り組んでおります事業に加え、ジョブ・カードの企業・学校における効果的活用方策の調査研究事業に今年度は取り組んでいるところです。

 この資料にもありますように、企業・学校におけるジョブ・カードの一層効果的な活用促進を図るという観点から、1つには、先ほども触れましたように、企業・業界としては、人材確保・非正規雇用労働者のキャリアアップが、取り分け重要な課題となっている「ホテル」「スーパーマーケット」などの業界の協力を得、また、専門学校にも全面的な御協力を頂き、業界・企業にあっては、ジョブ・カードを活用しての能力開発評価、これをキャリアアップに結び付けていくという観点。また、専修学校における専門的職業教育の成果を、先ほど関口委員から「ギャップ」という御表現もありましたが、修得すべき能力目標との関わりで、今、足元で修得できている能力水準、ここまでといったことを、生徒又は学校教員として共有するための仕組み、このような位置付けになるのではないかと私ども考えているところです。具体的な活用促進のための御協力も業界又は幾つかの専修学校に頂きながら、改めてそこでの単なる事例ということではなく、ジョブ・カードの活用の効果や残された課題、こういったものを今年度のこの事業の中で改めて把握・検証することにより、上の枠の中でも書かせていただいておりますように、こうした活用状況を踏まえた上で、今後のジョブ・カードそのものの様式や活用などの改善策にも結び付けを図る、そういったヒントを得ていくことも企図した事業です。

 既に議題(1)の中でも、今後のジョブ・カード促進に関わる各事業、制度の中での一層の改善という観点に加え、ジョブ・カード様式、あるいは活用方法そのものについて、言わば弾力化の方向での見直しの必要性について、何人かの委員の方から御指摘を頂戴しているところです。

 資料3-3では、前回の本会議における委員の、また、それに対する私ども厚生労働省・文部科学省の説明の中で、ただいま申し上げましたジョブ・カードの様式、活用方法の見直しに連なる御指摘・御発言について、要約をする形で取りまとめをさせていただいたものです。ジョブ・カード活用ニーズの中で、例えば「弱点を克服した」「問題点を解決した」といった経験談を引き出し、分かりやすく書ける、そういう欄があると、このジョブ・カードがより有用なものではないかといった視点。

 ジョブ・カード、この作成内容を踏まえ、実際の就職活動に結び付けるという意味でのエントリーシート、大学生における就職活動の言わばデファクトになっているエントリーシートへの結び付けといった点が大変重要ではないか。そうした点も踏まえ、学生時代の活用プラットフォームと社会人になってからの言わば企業活動の中でのプラットフォーム、先ほどの大久保委員などの御指摘にも関わる点と考えておりますが、そこがつながるような仕組みが必要ではないかといった点。

 五十嵐委員からは、大学の立場で見た場合に、ジョブ・カードの活用は非常に様々なパターンがあり得て、そういった多様なニーズ、選択肢に応じ、個人・大学の実情に応じ、有効にジョブ・カードが活用可能な様式あるいは活用方法であるべきではないかという点。

 さらには、前回、大久保委員からは、通常こうした様式は、入力様式も出力様式もなく、1つの様式に収斂するものですが、このジョブ・カードに関しては、本会議での御意見も踏まえた形で、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアにより、書きやすい入力様式があり、それが告示で定められた典型、ジョブ・カード出力様式にも反映可能、あるいは履歴書、職務経歴書の典型様式にもコンバート可能、これは既に実装している機能です。

 さらに、先ほども申し上げましたように、大学生を念頭に置き、エントリーシートひな型へのコンバートも可能、こういったことも計画をしているわけですが、大久保委員からも、前回、このように用途により様々な出力形態があり得るということで、ジョブ・カードとして入力した情報を、このように用途に応じた多様なコンバートができる機能、それをサポートする機能が重要ではないかという御指摘を頂き、本日も同様の観点から多くの委員からの具体的な御意見を頂いているものと、私どもは認識をしているところです。

 本会議での様々な具体的な御指摘・御提案、また、大学などをはじめとするそれぞれの活用場面におけるジョブ・カードの活用成果と課題、さらには、まだ私どもは分析途上ということで、本会議での御報告には至っておりませんが、それ以外の様々な場面でのジョブ・カードの活用実態とか、逆にジョブ・カードを活用して然るべきというふうに思われるのだけれども、様式としてはジョブ・カードを作成していない機関からのヒアリング、こうした多様な取組をこの間の本会議における御提言・方向性を踏まえた上で、私ども事務局として関係部局と協力をしながら、今、地道に進めている段階です。

 本日も大きな方向性としては、ジョブ・カードがそれぞれの場面でも、またキャリア・プランニングツール、能力評価ツールとしてもつながっていくようなプラットフォーム整備、そのためには、場面場面に応じた様式や活用方法の弾力化が必要ということではないかと私どもは改めて受け止め、本日、この議題(2)の中で、ただいま申し上げた観点から、今後、私ども事務局が具体的な作業を進めていく上での留意点、いろいろなリサーチをするのであれば、こういうところ、あるいはこういう観点からしっかり分析すべし、そういう御指示も頂きながら、私どもは事務局として、更にただいま申し上げた観点からの作業を進め、もし準備が整った場合には座長とも御相談を申し上げた上で、次回以降の本会議において、そうした見直しの方向性に係る具体的な案について御説明・御提案を申し上げ、さらに、それに対して御意見を頂戴できれば有り難く思っているところです。議題(2)に係る事務局からの説明は、以上です。よろしくお願い申し上げます。

○樋口座長
 今の資料3-13-3までについて、御意見・御要望をお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

○小杉委員
 資料3-2について、もう少し詳しく教えてください。例として「ホテル」「スーパーマーケット」ですが、既に業界がもっと決まっているなら教えてほしい。

 それから、そのときに学校というのは、「ホテル」「スーパーマーケット」に対応して、ある意味ではホテルだったら、ホテルの人員を養成するタイプの専門学校がありますが、職種が接続した形で企業と学校はセットで考えているのかどうか、そこを教えてください。

○松瀬室長
 この事業を担当しております私からです。協力企業群は、先ほど申し上げたスーパーマーケット群とホテル群ですが、具体的には、事業では3社ずつを予定しており、必ずしも業界と対応しているわけではありませんが、専修学校については大所を押さえているということです。

 ですから、逆に言えば、企業と協力校を連携してセットしたというよりは、企業は企業で課題を抱えている業界を中心に、専修学校は専修学校として学生に使ってもらう観点から、一番広くカバーできる所という感じで選んでいるということです。

○小杉委員
 先ほど伊藤さんの説明を聞いたときには、同じプラットフォームというお話だったので、能力観が連続していることが大事のではないかと思ったので、ひょっとして。

○伊藤課長
 説明不足で申し訳ありません。

○小杉委員
 いえいえ。そういうところまで踏み込んだのかと思ったら、そうではなかったのですね。

○樋口座長
 むしろ同じ専門学校でも、例えばホテルに多く送っている専門学校とやったほうがいいのではないか。

○小杉委員
 やったほうがいい。そうすると、能力観を共有するという議論ができるので、そういう例も入っていたほうがいいのではないかと思います。

○伊藤課長
 この業態の選定に当たりましては、まずジョブ・カード様式は当然活用ということですので、能力評価基準といったプラットフォームがあらかじめ整備されていないと、実際に御協力いただくとしても、なかなか現実問題としては難しいということで、能力評価基準が既に整備をされている分野で、先ほど申し上げましたように、人材確保ニーズが高く、特にその中で非正規雇用労働者のキャリアアップニーズが高い。そういう問題意識を持っている業界を幾つかアプローチをする中で、「よっしゃ」ということで御協力いただくことになったのがこの2つの業界というのが率直な経過です。

 もともとの考え方としては、小杉委員から御指摘がありましたように、そこがつながる事例もあったほうがより望ましいという問題意識、仮説が、私どももちろんなかったわけではありませんが、この事業に関して、予算の仕組み方として協力いただく事業に採択といった形で、潤沢に経済的な御支援ができる予算のセットになっていないものですから、要は、本当に問題意識を持ってジョブ・カード活用促進に協力をしたいという業界・専修学校があって、はじめて成り立つスキームということで、結果としては、今、松瀬から申し上げましたように、必ずしも企業・業界という形で分野としてはつながらない。それぞれセパレート型での検証をこれから進めていく形になった、というのが正直なところです。

○小杉委員
3つの委員会があって、それに親委員会があるので、親委員会の中では、少し育てる側の持っている能力観と使う側の持っている能力観をどう説明するかみたいなお話は、多分親委員会でされると思うので、是非、その辺も検討していただければと思います。

○伊藤課長
 また、つなげた議論にしていきたいと思います。

○樋口座長
 学校側と企業側と独立して調査するのではなくて、こちらで出した問題とかこちらの提案を片方に投げて、それが受け入れられるものなのかどうかというフィードバックというのをやらないと、それぞれ別個にやりましたというとなかなか妥協点が見いだしにくい。先ほどのお話に出てきたように、答えやすいものは逆に深みがなくなるとかいうところがあるので、そこは少し気をつけて、全て調査しなくても、例えば持って行ってヒアリングをしてくるということはやっていただいたほうがいいと思います。

○伊藤課長
 承知いたしました。

○関口委員
 この調査事業が仮に56年続けば、卒業生をずっとフォローしていくという形で関係性を見るということもあり得るのではないかと思います。卒業後どのようにそのステップアップを順調にしているかということ自体は、初期キャリアそのものが学修成果であるという考え方から言っても、専門学校として把握したいところです。

○五十嵐委員
 ジョブ・カードなので、正にジョブに焦点を合わせるとその継続性は必要だと思うのですが、実際の日本の雇用を考えたら、例えばホテルで、ホテル業について専門で学んできた人たちが、果たしてどのぐらい採用者の割合を占めているのかが、ふと疑問だったのですね。というのは大卒者ですと、実は8割以上が人文系だったり、理工系だったりして、正に学生時代にホテル業を学んでいない、入ってからベルボーイから始まっていろいろ身に付けていく、典型的な日本のスペシャリストではない採用というのがある部分を、今回このジョブ・カードがどこまで考えるのかなと、今、やり取りを聞いて思ったところです。

○樋口座長
1つの意見。

○五十嵐委員
 はい、そうですね。

○樋口座長
 それでは、そこはもう一度検討していただいて。

○伊藤課長
 分かりました。今の各委員の御指摘を踏まえた上で、この事業についてより実効性を高めていきたいと思います。今、五十嵐委員からジョブ型と言えるのかどうかということの御指摘があり、私も定量的にその点について今お答えできる材料を持ち合わせているわけではございませんけれども、この業界、技能検定なども存在する中で、そういう立場では、労働市場の実態などについても関係団体からしばしばヒアリングを行っている、そういう立場での範疇で申し上げますと、我が国の労働市場の実態に鑑みるならば、比較的ジョブ型労働市場が成立している分野の1つではないだろうかと。もちろんホテルの業態も、申し上げるまでもなく、シティー、リゾート、ビジネス、それぞれの類型により人材と職務も違ってくるということで、そこの仕切りはそれぞれありますけれども、今申し上げました3業態の中では、A社での経験を積んだ上で様々な理由でB社というような、ジョブ型での中での転職の事例は一定ある。そういう意味では比較的ジョブ・カードがなじみやすい、親和性が高い分野の1つでもあるという認識も併せ持っているところです。

○樋口座長
 今ちょうど21世紀出生児縦断調査という厚生労働省がずっとやってきた縦断調査が文部科学省に行って、ちょうど高校2年生に今なってきて、そうした人たちが段々就職していくということで、ずっと追跡しているわけです。そうしたところにそういう質問項目を加えると、その後どうなっていくのかというのは、25歳までは追うというように文部科学省は言っていますので、だから協力してやると、もしかしたらコストが関係ないところでできるかもしれないようなこともあるかもしれないと思いますけれども。大久保さんからどうぞ。

○大久保委員
 資料3-1の、働き方改革実行計画にジョブ・カードが載るときの文脈が、同一労働同一賃金などの非正規雇用の処遇改善として載っているわけです。「技能検定やジョブ・カード等による職業能力評価制度の整備など」ということなので、この働き方改革実行計画の文脈で書いた内容について、やはりしっかりやっていかなければいけないと思うのです。具体的にどのような方法があるだろうかと。これはジャストアイディアなのですが、技能検定については最近エントリーレベルとして3級を普及させるということをやっていますよね。一方で、3級レベルだと、割と短い時間でも取れる。例えば、求職者支援訓練の中にも技能検定と分野が重なっている所もあると思うのです。非正規の人が求職者支援訓練を受けて、そこで一定時間講座で学習をしたり訓練を受けて終了すると、そこに一定の評価ができると思うのです。その上で技能検定の3級を受けて、例えば学科であるとか実技とかについて、こういう内容のものの試験を受けて、それに合格をしたと。そういうことを組み合わせると、それで1つの非常に立派な能力評価シートができるはずだと思うのです。このガイドブックにもありますけれども、確か以前に議論したときに、その職業能力証明シートに関しては、今後様々な形のものを開発していくということを言って終わっているはずなので、手始めにそういうところを実際に作っていただけないかと。技能検定の接続の部分は、この能開局の内部で一番やりやすいはずのところなので、手始めにでも、それをまずきちんと形にしていただくことから始めてはどうかなと思いまして、御提案です。

○伊藤課長
 大変重要な御提案、ありがとうございます。先ほど資料3-1と資料3-2の関連性についても少し説明が不足をしていたのかと思っております。資料3-1については、平成293月末に取りまとめをされたものです。資料3-2については今年度の予算事業ですので、昨年夏から年末までのプロセスで取りまとめられたものです。したがいまして、この資料3-2に掲げさせていただきました今年度の新規の調査研究事業に関しては、働き方改革におけるジョブ・カードの位置付けとも関連をする、先取りする内容を包含したものではありますけれども、必ずしもこの働き方実行計画を前提とした当面の取組は3-2という構造にはなっておらず、したがいまして、この実行計画におけるジョブ・カードの位置付けに鑑みるならば、ジョブ・カードの2つの側面のうち、この能力評価、見える化ツールという観点での一層の機能強化が必要ではないかという問題意識を私どもとして持っているところです。

 そうした中で今、大久保委員から技能検定、現在学校在学中でも取得可能な3級、エントリーレベルに関して、補助金等の措置により、受験料を軽減するという形で学校などと連携をしながら、学校在学中も含めての若年者の早期のエントリー資格取得、それを就職してからの2級、1級、垂直体系の中でのより上位の能力評価修得目標に向けてのインセンティブとしても活用していくという意図ですけれども、今申し上げたような能力評価の仕組みの使い方とジョブ・カード、言うまでもなく極めて親和性が高いと私どもも思っております。

 そうした検定取得も含めた能力強化の制度、このジョブ・カードという仕組みの中でより分かりやすく表現し求人・給与等にもそれを評価してもらうような仕組みツールというものについての補強が必要ではないかということ。今の大久保委員の御指摘も踏まえ、私ども再認識しているところですので、この実行計画に対する対応という観点でも、また今後本会議において御審議いただく、ジョブ・カード関連制度の在り方の観点でも私どもとしての対応、検討具体化を図っていきたいと考えております。

○樋口座長
 働き方改革の中でも提言された。やはり非正規から正規への転換の促進のところでジョブ・カードというような趣旨で言ったと思うので、是非そこは実効性ある計画にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○伊藤課長
 はい。

○樋口座長
 ほかにどうでしょうか。

○久貝委員
 商工会議所でございます。2点申し上げます。1点は、先ほど伊藤課長から再三御紹介いただきましたように、私どもでは、雇用型訓練を普及するための事業を厚生労働省からの委託事業としてやっております。今までの累計では、中小企業を中心に4万社強が実施し、雇用型訓練を修了した方が68,000人、そのうち54,000人が正規雇用です。正規雇用率が80%と非常に高くなっています。非常にいいことは、そういう訓練を実施した企業で3か月から2年余り、訓練期間はいろいろ幅があるのですが、その間に訓練生の適性とか、あるいは能力の向上等を判断できるということで、採用した後の定着率が非常に高いということがございます。もちろん助成金も頂くというので、コスト負担も軽減されているのですけれども、非常にメリットがあるということで、中小企業では、雇用型訓練を使おうという意欲が強いと思います。ただ、実際にはそういう手続の中では、いろいろな書類を作成するための事務負担があります。大概の中小企業では、担当者がおりませんので、社長自らやっていることがありまして、そういう事務負担をできるだけ減らしていただきたい。政府全体で行政手続の簡素化ということで、いろいろな分野で2割減らせということを聞いておりますので、そういう点を少し改善していただきますと、雇用型訓練を活用する中小企業が更に増えると思います。

 もう1点は、中小企業の代表ということで、企業側のことで申し上げます。先ほど五十嵐委員からも御指摘がありましたように、早期離職を防ぐことがやはり大事です。最近は大変な人手不足ですので、売り手市場ということで、就職内定率が99%とか、全学部を足しても非常にいい数字が出ております。ただ一方で、そこまではいいのですけれども、3年以内で3割ぐらいお辞めになるという。1年以上かけて就活されて、結局、辞めてしまったということをどう考えるのか、やはりミスマッチがあるのだろうと。雇用型訓練をやりますと、非常に濃厚なコミュニケーションがありますので、そこはうまくいくかもしれません。

 どのぐらいの適性かとか、本人が志望しているものといかにマッチしているかどうかという、本人に関する情報の整理というか、資料の3-2には、学校の取組が書いてありますけれども、どっちかというと専門学校や専修学校のほうで、大学はどうかというところが課題ではないかと。大学はどうしてやっているのかというのは分かりませんけれども、就職内定率が高いということは、入学者を増やすという点では非常に効果があるわけですけれども、そこから後、フォローされているかというのは、大学の例で果たして全部言えるかどうか分かりませんけれども、「就職したらあとは頑張ってね」ということではないかと。本当は、エントリーシートをもう少しうまく大学のほうで御活用いただくと、離職率が減ってくると。それが学生さんのためにもなるし、受け入れる企業側にとっても有り難い。離職率の観点で、こういうエントリーシートの活用というのを考えていただきたい。

○樋口座長
 大学院についてはその後のフォローアップの追跡調査が始まっているのですよね。マスターですけれども、そこまで落としたいというような話も生涯局でやっている調査でありますので、ただ、すぐにはなかなかということで、特定の大学でやっているとかいうことにならざるを得ないのかもしれないですね。

○今野委員
 まず、文部科学省の方にお聞きしたいのですが、私は大学のことに興味があるので。大学でキャリア教育はどの程度浸透しているかということが1つです。どうでしょうか。もし非常に浸透してきたとすると、にもかかわらず、大学でなぜ使われないのかを、きちんと原因を考えたほうがいいかと思います。

 ちなみに私がこの前までいた学習院は多分8,000人ぐらいしかいないですけれども、キャリアの授業を受けているのが4,000人ぐらいいますから。ですからほかの大学もキャリア教育がどんどん普及しているとすると、ある種のキャリアについてのニーズはあるのに、これが使われていないというのは、何か原因があるだろうということで、それを少し分析されて、そこで使いやすくなればマーケットは大きいと思いますので、御検討いただければと思います。

○樋口座長
 これは文部科学省のどなたに。

○文部科学省高等教育局学生・留学生課小代課長補佐
 キャリア教育を行っているという意味では、その数は今の大学の中で相当に広まってきています。多分キャリア教育をやっていないところは本当に少ない、多分ないと言ってもいいぐらいだと思っています。それは、教育課程の中でやっているもの、教育課程外でやっているものといろいろな形のものがありますので、そのやり方は様々ですけれども、取り組んでないというところはないと思います。

その中で、実際になぜこれが広まっていないかを詳しく分析をしたものはございませんが、私が幾つか事例を探す中で聞いてきた話によりますと、大学独自でこれまでに使っているものがあるようです。たくさんの大学でそれなりにキャリア教育をやっていますので、授業の中でやっていくと、その先生が使われていたものがあるとか、あるいはこれまでに使ってきた様式がいろいろあるとか、そういうことがありますので、それを変えていくという、そのインセンティブが働くところまではいっていないと。ただ、ジョブ・カードについては、個々の先生が使っているという事例は幾つか出てくるのですけれども、なかなか組織的に使っているというところまで辿り着いていないということだと思います。今回、例えば富山大学の中でも使っていただいたというところがあって、その中で先ほどありましたように、教員からもこうやったほうがいいのではないかという意見はあるにしても、その有用性については肯定的な意見があったということもありますので、そうしたものは広げていくというのでしょうか、大学の中でそれが広まっていくのを我々としては勧めていく、そういう立場かと思っております。

 キャリア教育に関する実際の数字ですが、例えば勤労観、職業観の育成を目的とした授業科目を開設している大学というところでは、国公私合わせて84.4%です。あといろいろな形がございますけれども、将来の設計を目的とした授業科目、こうしたものでも77%で実施しています。これは重なっている部分、あるいはそれだけのものもありますので、ほぼ、ほとんどの大学で行われているということです。

○伊藤課長
 私のほうからも補足を申し上げます。現在労働局の地域ジョブ・カード運営本部を通じて、地方の都道府県ですと県内の大学は大体1桁の所が多いですので、ある程度個別にフォロー可能ということで、それぞれの大学等のキャリア教育、ジョブ・カード活用の実態、あるいは活用できていないとするならばその理由ということも、できるだけ今個別にフォローしているところですが、今の文部科学省の説明とも一部重なりますけれども、多くの大学キャリア教育に取り組む中で、既に独自のキャリアシートを用いていて、それをわざわざジョブ・カードに切り換えるだけの積極的なインセンティブ、理由がないというところがかなり多数に及んでいるという、そういう感触をもっております。ただ、先ほど申し上げましたように私ども事務局として、ジョブ・カードを使っていてもおかしくないのにジョブ・カードを使っていない所のリサーチも今は一部始めていますけれども、個々に見た場合には、項目的には、ほぼジョブ・カードそのもの、それを○○大学キャリアシートとして、それに更に様々な、言わばワークシートを付けているタイプの所が多いと思っております。

 逆に申しますと、今のジョブ・カード、能開法に位置付け告示様式にしたことによって、位置付けが明確化し普及が図られている部分もあるかもしれませんけれども、その様式を固定的に捉えることによって、実質はイコールなのですが、それはジョブ・カードというように今は位置付けられていないというような部分もあるのかなというような問題意識も、私ども個々の事案に触れる中で改めて思っているところです。そうした意味では、先ほど申しました様式活用方法の弾力化の中で、そのように、ニアイコールジョブ・カードを活用している大学も含めた事例について、せっかくジョブ・カードの趣旨に実質的に賛同してもらっているけれども、ジョブ・カードを活用していることに外形上なっていないところをどのような形で御理解いただくのか。あるいはそれにジョブ・カードの側から、仕組みとしてどのようにアプローチをしていくのかという点についても是非とも文部科学省ともよく相談しながら検討してみたいと考えているところです。

○菊池代理(小沢委員)
 ちょっと話題が変わってしまうのですが、先ほど久貝委員から指摘がありました離職率ということに多少関わってくると思います。ジョブ・カードの活用の最大のモチベーションとしては、就職活動があって、これは非常に分かりやすい。企業に就職したあとに、これがどのように活用されるかということが重要だと思っています。現状は、セルフ・キャリアドック制度のように、どちらかというと作成者である社員が自分のキャリアアップのために役立てるようなツールとして活用されていますけれども、やはり企業内での活用を普及させるためには、企業がどれだけその価値を認めて導入するかというところに関わってくるのではないかと思います。その離職率と多少関わってくるかもしれないのですが、企業内のコミュニケーションは非常に重要な潤滑油ですので、そこが欠けているところは離職率が高かったりします。1つの例として、今は人事評価制度を導入していない企業は少ないと思います。ほとんどの企業が導入していると思うのですが、その中で、面接という1つのコミュニケーションをしている。だとすると、それだけではなくて、コミュニケーションのツールとしてジョブ・カードを活用するような提案をしていくことによって、企業がこの価値を認めて全社員に適用して、本人の持っているモチベーションと企業が求めているものとをすり合わせしながら常々やっていけば、いい材料になると思っています。また、業界検定、資格検定を含めてそういうものも人事評価制度の中で(主観と客観が網羅され)立体的に評価されるようなことがあれば、社員としても、キャリアアップにつながるような、それが明文化された資料として毎年更新されていくというような活用方法を提案することも1つの案かと思っています。

○遠藤委員
 ただ今の意見に関連してですが、企業にとって誰を採用して、どのような育成をして、どのような評価をして職業人生を全うしてもらうかというのは、正に企業の戦略であり、その戦略の1つのツールとして、何を使うかというのは企業の裁量であります。もちろん幾つかある選択肢の中で、企業がこれを使いたいというのであれば、その企業を支援する仕組みはあってもいいかと思いますが、そもそもの判断というのは、企業の裁量の中にあるべきだというのが経済界の考え方です。すみません、ただ今の御提案については、このような御意見をさせていただきました。

○樋口座長
 義務付けるという話ではないですね。

○菊池代理(小沢委員)
 一切そういうことではないです。これは義務付ける話ではなくて、企業が独自の判断で活用する、促進するということです。いわゆるコミュニケーションのツールとして使っていただくようなプロモーションをしていくという話です。

○今野委員
 今の点に関連して、多分、ジョブ・カードの性格からすると、毎年の評価とか面談で使うものではないです。企業が今はどんどん増えていますけれども、時点、時点でキャリア研修をやっていますので、そこで使うほうが親和性があるかなと思うのですが、これもまた同じで、そういう企業はどんどん増えているにもかかわらず、なぜこれが使われないのか考えたほうがいいですよという。企業はそういうニーズは非常に出ていて、企業としては、いいものは、使えるものは使いたいと思うと思いますので、その辺で、どうして企業がそうしたボランタリーに使うようにならないのかということは考えたほうがいいかなと。それは先ほどの大学と一緒で、逆に言うと潜在的マーケットは広がっていますよということだけは言えますので。

○菊池代理(小沢委員)
 こういうものが何でも使えますということの裏腹は、何も使えませんよという捉え方にもなるので、そのサービスを提供する側がそのシーンごとにこういう使い方がありますということを提案することも大事だと思っています。様式がそれに合わないのであれば、様式をフレキシブルに変えていく。それで企業がこれを使いたいということであれば、それに合わせて使いやすいような形に変化させていくことも大事だと思います。画一的に考えていくと、恐らく広がりはないのではないかと思います。

 ですから、あらゆる活用方法、シーンごとに考えられる提案をしていって、それを使う側が判断するという形が、この制度がこれから広がっていく1つのポイントだと思っています。

○樋口座長
 ほかにいかがでしょうか。

○相原委員
 この推進会議には、ジョブ・カードの基本計画の全ての項目を対象にその進捗を確認する重要な意味があります。一方、今野先生から「なぜ、利用が拡大しないのか」などのご発言もあった通り、目標達成に向けた質的な課題など、本日の意見交換を通じ、フォローアップを図る上で意味ある幾つかのフラッグも掲げられたと思います。ジョブ・カードの推進にあたっては、そうした課題を潰していくための会議としていくことも重要な役割ではないかと思います。

○樋口座長
 ありがとうございました。いろいろ御議論いただいて、また参考にさせていただいて、取り入れることのできるものについてはそのように実行していただきたいと思っております。

 それでは、その他、次回の会議についてお願いします。

○松瀬室長
 次回の会議につきまして、ジョブ・カード制度を取り巻く状況の変化などを見つつ、座長とも御相談の上、開催日程を決めたいと思っております。具体的な開催日時が決まりましたら、各委員に日程調整の御案内を差し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

○樋口座長
 皆様から何かございますでしょうか。よろしければ、以上で本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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