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2017年5月19日 第4回心血管疾患に係るワーキンググループ 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年5月19日(金)15:00〜17:00


○場所

三田共用会議所3階大会議室(A〜E会議室)


○議事

 

○岡田がん・疾病対策課長補佐 第4回心血管疾患に係るワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐の岡田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は10名の構成員に御参集いただいております。公立大学法人奈良県立医科大学公衆衛生学講座の今村知明構成員、公益社団法人日本看護協会の川本利恵子構成員、公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院看護部の三浦稚郁子構成員からは、御欠席の連絡を頂いております。

 なお、私どものがん・疾病対策課長の渡辺、課長補佐の石上については、急遽国会対応業務が入りましたので、後ほどこちらに参る予定です。

 続いて、資料の確認をいたします。議事次第、座席表、心血管疾患に係るワーキンググループ構成員名簿、資料1「心血管疾患の回復期〜維持期の医療提供体制構築に向けた考え方()」、資料2「心血管疾患の医療提供体制のイメージ」、参考資料1「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成29331日厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)別表より抜粋「心筋梗塞等の心血管疾患における医療提供体制構築に係る現状把握のための指標例」です。また、羽鳥構成員より追加の資料を頂いておりますので、併せて配布しております。

 貸出資料として、第1回検討会及び第1回、第2回、第3回のワーキンググループの資料を配布しております。こちらは、会議終了後机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませんよう、よろしくお願いいたします。資料に不足、落丁等がありましたら、事務局までお申出ください。

 以上をもって撮影を終了し、カメラを納めていただきますようお願いいたします。これからの進行は永井座長にお願いいたします。

○永井座長 議事に入ります。最初に資料1「心血管疾患の回復期〜維持期の医療提供体制構築に向けた考え方()」、資料2「心血管疾患の医療提供体制のイメージ」について、事務局から説明をお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 資料1「心血管疾患の回復期〜維持期の医療提供体制構築に向けた考え方()」を御覧ください。スライド2を御覧ください。心血管疾患の回復期〜維持期の医療提供体制構築に向けた検討の方向性の案として、前回までに出された主な意見として、まず、「心血管疾患の回復期〜維持期の医療提供体制を検討するに当たっては、心血管疾患患者の再発予防・再入院予防の観点が重要ではないか」「心血管疾患の中でも慢性心不全患者は、心不全増悪による再入院を繰り返しながら、身体機能が悪化していく悪循環に陥ることが多く、今後の患者数増加も予想されるため、対策が特に重要ではないか」というものがありました。このような主な御意見を踏まえ、検討の方向性の案の1つ目として、心血管疾患患者の再発予防、再入院予防に必要な対策について整理を行う。2つ目として、その上で、特に重要と考えられる慢性心不全の対策について検討を行う。このように提示しています。

 スライド3を御覧ください。こちらは、回復期〜維持期における心血管疾患患者の再発予防・再入院予防に関する検討の方向性の案を提示しています。こちらに関しての前回までに出された主な意見としては、「関連学会から提唱されている心血管疾患リハビリテーションは、再発・再入院・死亡を減少させ、快適で活動的な生活を実現することを目指した疾病管理プログラムであり、そのプログラム内容が再発予防・再入院予防につながることが示されている」「心血管疾患リハビリテーションとして提唱されているプログラム内容を、現状の医療資源を有効に活用してどのように実施するかについて検討するべきではないか」というものでございました。このような御意見を踏まえて検討の方向性の案として、心血管疾患リハビリテーションにて提唱されているプログラム内容を、地域でどのように実施するべきかについて検討を行うとしています。

 スライド4を御覧ください。こちらは、「心血管疾患患者の再発予防・再入院予防 疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションについて」という題で提示しています。こちらの1つ目の●は、心血管疾患におけるリハビリテーションは、再発・再入院・死亡を減少させ、快適で活動的な生活を実現することを目指した運動療法、冠危険因子是正、患者教育及びカウンセリング等を含む多職種チームによる多面的・包括的な疾病管理プログラムとされています。2つ目の●、実施時期に応じて、第I(急性期)、第II(回復期)、第III(維持期)に分類され、対象疾患及び実施時期に応じたプログラムが提供されます。

 下の表に、疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションの実施時期と主な内容を、日本循環器学会のガイドラインを参考に作成しております。このように、急性期から回復期、維持期にかけて、第I相では主に機能評価や理学療法、30100mの短距離の歩行試験から始めて、回復期になると社会生活への復帰を目指し、生活一般・食事・服薬指導等の患者教育や運動療法、こちらは有酸素運動を基本に、必要に応じてレジスタンス・トレーニング等が併用されます。ほか、カウンセリングや復職支援を行い、その後に後期回復期では、社会生活への復帰や新しい生活習慣を目的に、同様に患者教育や運動療法、カウンセリングが継続されます。最終的に、維持期の第III相においては、快適な生活や再発予防を目的に、よりよい生活習慣の維持や冠危険因子の是正、運動療法や定期的に外来を受診するような形で、管理をするようなイメージになっています。

 スライド5を御覧ください。こちらは、同じく疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションについて、疾病管理プログラムとしての例として、心不全に対する心血管疾患リハビヒリテーションを提示しています。こちらは心不全により入院された後、急性期のリハビリテーションを開始され、ある程度状態が安定し退院準備に入ると、前期回復期のリハビリテーションが提供されます。このように、入院中に退院指導や教育、運動療法や医学管理が継続され、第II相の途中の落ち着いた段階で退院となります。その後、退院後も引き続き後期回復期というphaseで、生活指導や教育、運動療法、医学管理が継続され、慢性の安定期になると維持期として、自己管理や定期外来受診、運動療法で引き続き疾病の管理が行われます。このように、疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションは、急性期入院中から開始され、回復期のリハビリテーションへ移行しますが、状態安定後の回復期リハビリテーションは主に外来において行われます。

 これらを踏まえてスライド6です。回復期〜維持期における心血管疾患患者の再発予防・再入院予防に向けた考え方()として、1つ目として、疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションのプログラム内容は、運動療法、患者教育、冠危険因子の管理等が含まれており、非常に多岐にわたっています。また、状態が安定した回復期以降の心血管疾患リハビリテーションは、主に外来において行われることが想定されています。このような特徴を踏まえると、疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションを提供する体制の検討に当たっては、地域の医療資源を効率的に用いて多職種が連携できる体制を検討する必要があるのではないかということを提示しています。

 これを受けてスライド7です。疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーション提供体制のイメージを提示しています。こちらは今までの表に提示した区分、目的、主な内容の中に、主に入院管理から外来管理で行われるphaseを図示し、一番下の部分に、実際のプログラム提供場所の例を提示しています。このプログラム提供場所の例として、まず第I相の急性期は、急性期の専門的医療を行う施設の急性期治療病棟で、CCUICUを含むような病棟が考えられます。その後、状態が安定した後、前期回復期は入院の一般病棟、後期回復期は外来で行われますが、これらを行う施設の場所のイメージとしては、急性期の専門的医療を行う施設が、そのまま入院中若しくは外来で継続することが想定されます。なお、この中で、必要に応じて急性期の専門的医療を行う施設の中でも、外科的治療やPCIが可能な施設から内科的治療が中心の施設へ移行するなど、柔軟な連携が必要かと考えています。

 最後に、第III相の維持期においては、地域のかかりつけ医、運動に関しては地域の運動施設等で行い、こちらの管理は急性期の専門的医療を行う施設と連携して提供することが想定されます。このように、地域の医療資源を効率的に用いて、疾病管理プログラムとしての心血管疾患リハビリテーションを提供する体制を構築することをイメージしています。

 スライド8では、慢性心不全に関する検討の方向性を案として提示しています。まず、前回までに出された主な意見としては、「今後の増加が予想される慢性心不全患者については、地域全体で管理することを検討するべきではないか」「慢性心不全患者は、心不全増悪による再入院を繰り返すため、回復期〜維持期における再入院の予防の対策と、増悪時の医療についても検討が必要ではないか」というものでございました。このような御意見を踏まえて検討の方向性の案として、心不全を地域全体で管理するために必要な回復期〜維持期における医療提供体制について、急性期診療との連携体制も含めて検討するとしています。

 スライド9は、本邦における心不全患者の現状➀として、現状のデータを提示しています。まず、左のグラフは日本循環器学会の循環器疾患診療実態調査報告書の2016年度実施・公表分から作成したものです。心不全入院患者数の推移として赤いグラフで提示していますが、心不全入院患者は、年間約1万人のペースで増加しており、2016年度の入院患者は約25万人となっております。一方、急性心筋梗塞患者はほぼ横ばいで推移しています。

 右のグラフは、日本における高齢者(65歳以上)の新規心不全発症者の推計数です。こちらはアメリカの疫学において、65歳以上の100人に1人が心不全であるということと、今後の日本の高齢化の比率の人口の推計を基に、推計したデータを、東北大が論文として発表したものです。このように、2010年、2020年、2030年と、新規発症患者が35万人近く、心不全患者は増加傾向にあり、このように特に高齢者における新規発症の増加が予想されています。

 スライド10は、同様に本邦における心不全患者の現状➁として、左側の円グラフで、平成26年の患者調査において、心不全患者において75歳以上の後期高齢者が占める割合を提示しています。このように、心不全患者の約70%は75歳以上です。また、高齢心不全患者(75歳以上)の治療に関するステートメントとして、日本心不全学会から提示されていますが、ここに提示されている高齢心不全患者の特徴を右に記載しています。この箱の中に記載があるように、根治が望めない予後不良の患者群である。高齢者の心不全管理については、エビデンスと言えるデータは非常に限られている。併存症が多く、例えば脳血管障害、認知症、腎機能障害、骨関節疾患などが考えられます。運動機能障害を有する患者が多く、低体力やフレイルの存在も認められます。服薬管理などの自己管理能力に限界があることも多く、非常に個体差が大きいという特徴もあります。

 このような特徴からステートメントにおいては、心不全患者の多くを占める高齢心不全患者では、個別の対応を余儀なくされることが多い。このため、かかりつけ実地医家などの総合的診療と支援が中心になる必要があると記載されています。

 少しまとめると、下の2つの●です。1つ目に記載があるように、この高齢心不全患者の治療に関するステートメントでは、心不全患者の多くを占める75歳以上の高齢心不全患者の管理方針は、個々の症例の重症度、併存症の状態、社会的背景などの全体像を踏まえた上で検討することが推奨されています。また、本ステートメントでは高齢心不全患者の管理体制として、かかりつけ実地医家などが地域で形成する診療体制を中心に、循環器の専門医が所属するような基幹病院が急性増悪時の入院治療、心血管疾患リハビリテーション等で連携・支援する体制を提言しています。

 スライド11は、慢性心不全患者の急性増悪による入院患者の現状を提示したものです。こちらは本邦における慢性心不全患者の急性増悪による入院患者に関する論文です。左ですが、慢性心不全の急性増悪による入院患者の心不全入院既往割合は、約50%であり、慢性心不全の急性増悪の方は入院を繰り返すことが示唆されます。右ですが、慢性心不全の急性増悪による入院患者のCCU管理及び侵襲的治療の実施割合を論文から抜粋したものですが、CCU管理は約30%の方で行われています。以下にあるような人工呼吸管理、冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術、ペースメーカー、大動脈バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置、左室補助心臓など、侵襲的な治療の割合は多くても10%以下で、慢性心不全患者の急性増悪による入院患者の多くは、内科的治療による管理が行われているという現状があります。

 スライド12です。このような現状を踏まえて、実際に地域において、どのように心不全患者を管理しているかの例を提示しています。スライド12は広島県における取組で、広島県においては、広島大学病院心不全センターを中心に、各2次医療圏に回復期リハビリテーションを実施する心臓いきいきセンターを整備し、かかりつけ医、薬局等と連携し、心不全患者をサポートする体制を構築しています。こちらの中では、広島大学病院心不全センターが事業の推進の中心となり、調査研究や、心臓リハビリテーションに重要な役割を担うとされる心臓リハビリテーション指導士や慢性心不全認定看護師の人材育成や養成に、携わっております。その中で心臓いきいきセンターにおいては、多職種介入による包括的管理によるチームアプローチを行っており、全体の流れをスライドに提示しています。

 急性期病院で手術等が行われた後、回復期の病院において、主治医が医学的治療方針・併存症や栄養状態の評価を行い、多職種チームの介入の指示を行います。右に示すように、多職種の視点での評価・介入・指導の実施および多職種間での情報の共有を行い、退院時に総合評価、情報共有を行い、管理方針を決定し、調整を行った後に退院へとつなげていきます。

 退院後は、在宅患者は地域の病院や診療所で療養指導を行い、地域の病院や診療所は心臓いきいきセンターと連携しながら普段の管理を行い、また薬局等とも連携して服薬指導も行われている状況です。このスライドの例にあるように、多職種による様々な視点から患者への方針を相談、決定しております。

 スライド13は、もう1つの地域における心不全患者の管理例として、長野県の北信州における北信州心臓血管病地域連携パスによる地域連携システムを提示しています。こちらは医療資源に乏しく、高齢化率も高い長野県北信地域において構築されている地域連携システムで、心血管疾患の再発・増悪を防止し、高齢者がその人らしい在宅生活を継続できるよう支援することを目的に、北信総合病院と地元医師会が共同開発した地域連携パスを運用し、構築されています。

 こちらでは、心血管疾患を発症された患者が、循環器医療チームがいる、北信総合病院で治療を受けます。治療の中では、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、社会福祉士がチームとなり、治療を行い、退院前には合同カンファレンスを行い、循環器医療チームと本人・家族・在宅生活支援チームを交じえた退院後の生活について協議します。右にあるのが、在宅生活支援チームで、介護支援専門員等の様々な職種からなるチームが、多職種による地域での包括的な生活支援を行っております。こちらは、医療チームと包括的メディカルスタッフ連携パスで、治療や支援内容の情報共有をしています。

 病院から退院された後は、かかりつけ医で定期受診を行いますが、北信総合病院には6か月ごとに定期受診するような形、また急性増悪時には北信総合病院が受け入れるような形で、連携体制を整えており、かかりつけ医と北信総合病院の間は北信州心臓血管病地域連携パスで、治療内容の情報の共有を常に行っているという形で、地域連携システムを構築しています。

 このような例も踏まえて、慢性心不全対策の考え方として、スライド14に案を提示しています。1つ目ですが、心血管疾患の専門的治療を行う施設のみではなく、地域のかかりつけ医なども含めた幅広い施設での対応を検討する必要があるのではないか。2つ目は、心不全増悪時の医療については、内科的治療が中心であり、心血管疾患の急性期内科的治療を行うことができる施設との連携が基本となるのではないか。3つ目として、慢性心不全の主な治療目標は、年齢、併存症の有無、心不全の重症度などの状況により、適切に設定される必要があるのではないか。これらを踏まえた上で、地域全体で慢性心不全患者を管理する体制について、検討する必要があるのではないかとしています。

 これらを踏まえて、資料2「心血管疾患の医療提供体制のイメージ」を御覧ください。スライド3は、心血管疾患から心不全への臨床経過と各Stageにおける主な治療目標イメージです。一番上段には、AHA/ACCの心不全のStage分類を提示しており、心不全患者は、無症状のリスク状態から症候性心不全へと進行・悪化を続けており、それぞれのStageにおける主な治療目標は異なります。StageAは、危険因子はありますが、器質的心疾患はなく、心不全症状はない状態ですが、StageBになると器質的心疾患が発症します。この状態では、まだ心不全症状はありませんが、心不全症状が発現するとStageCとなり、器質的心疾患と心不全症状も併存するようになります。StageDでは、非常に心不全治療が難治化し、難治性心不全となります。この中の経緯を下の絵で図示しています。

StageAでは、高血圧や糖尿病などの危険因子のある状態から、StageBに移るときに、虚血性心疾患等の器質的心疾患を発症します。その際には、治療により身体機能を改善する事ができますが、場合によっては赤の点で示しているような、突然死を来すこともございます。StageBの中でも、心血管疾患を再発することもあり、その際にも突然死のリスクはございます。心不全を発症すると、慢性心不全と言われるような心不全を持つ状態になり、その中で慢性心不全増悪による入院治療を繰り返しながら、その中で更に身体機能が悪化することで難治性の心不全へと進行していきます。このような経過のイメージを提示しています。

 それぞれの治療目標は下にあるように、StageAでは心臓によい生活習慣、器質的心疾患の予防、StageBでは心不全症状の予防をするとともに器質的心疾患の進行抑制、StageCになると症状のコントロールやQOLの改善、入院や死亡を回避し、急性増悪時の治療を行います。StageDになると症状のコントロールや再入院回数の減少はもちろんですが、場合によっては終末期ケア的なことを考える必要も出てくると考えています。また、年齢と適応があれば、心臓移植、補助人工心臓を考慮する形にもなります。このように、それぞれのStageで主な治療目標は違うということを提示し、全体の経過を示しています。

 このような心血管疾患から心不全への臨床経過の全体のイメージを踏まえて、心血管疾患の医療提供体制のイメージをスライド4に提示しています。基本は患者情報の共有に基づく地域に応じた疾病管理とさせていただいており、主に入院管理と外来管理の2つの観点から、心血管患者を管理するというイメージを提示しています。

 入院管理では、まず急性期の医療です。疾患や重症度に応じた適切な急性期治療で、内容的には外科的治療が必要な場合もあれば、PCI、若しくは内科的治療だけで対応できるケースもあるかとは思われます。急性期のリハビリテーションを急性期の医療から開始し、回復期の医療への円滑な移行を行い、回復期の医療へとつなげていきます。回復期の医療においては、亜急性期の治療(基礎疾患・危険因子の管理、合併症への対応等)が挙げられます。また、退院に向けた疾病管理としての入院回復期リハビリテーション(患者教育、食事・服薬指導、運動療法等)が提供されることが想定されます。

 この中で、急性期と回復期の入院管理においては、場合によっては同じ病院で行われるケースもあれば、病院が変わるケースなどいろいろなケースが考えられ、院内連携及び病院間連携で、円滑に提供されることが必要と考えられます。

 また、状態が安定、外来管理へ移ると、回復期の外来管理としては、疾病管理としての外来回復期リハビリテーションを継続し、内容としては再発予防に向けた生活指導、危険因子の是正、運動療法等が挙げられます。慢性期の状態が安定すると、維持期の医療へと円滑な移行を行い、維持期の医療は維持期の治療、疾病管理としての維持期のリハビリテーション、定期的な外来受診による基礎疾患、危険因子の管理、よりよい生活習慣の維持が考えられ、この維持期の医療はかかりつけ医と専門的医療を行う施設が連携して提供することを想定しています。入院管理と外来管理の両点から、真ん中にある心血管疾患患者の社会生活、すなわち自己疾病管理、悪循環の防止のための管理、心血管疾患患者への社会的支援等をサポートするような体制を想定しています。

 スライド5を御覧ください。このような医療提供体制を構築するに当たって、心血管疾患の医療提供体制の評価指標をどのように考えるかの案として提示しています。こちらは、まず赤い部分が地域全体の評価として例えば厚生労働省の医政局地域医療計画課長通知における指標例などが挙げられます。それに加えて、心血管疾患の診療を行う施設に係る指標(医療機能に応じた各施設の評価)と記載していますが、例えば急性期の専門的医療を包括的に行う施設であるとか、急性期の専門的医療を行う施設に必要な役割に応じた指標を考え、回復期に移行した場合にも、回復期の医療として必要な機能を基にした指標の例が考えられます。

 このような考え方として、スライド6を御覧ください。心血管疾患の医療提供体制の評価は、地域全体の評価に加えて、各医療施設の役割が果たせているかの観点も必要なため、地域の評価指標に加えて、各施設に対する評価指標も必要ではないか。各施設が担うべき医療機能は地域により異なるため、各施設の評価指標は地域の実状を踏まえて設定する必要があるのではないか。具体的な指標を含めて、評価指標については、引き続き検討していく必要があるのではないかとしています。

 最後に、スライド7とスライド8です。スライド7は現在の心不全の分類です。上の表は日本循環器学会ガイドラインにおける心不全の分類及び定義で、急性心不全と慢性心不全を記載しています。急性心不全は、心臓に器質的及び/あるいは機能的異常が生じて急速に心ポンプ機能の代償機転が破綻し、心室拡張末期圧の上昇や主要臓器への灌流不全を来し、それに基づく症状や徴候が急性に出現、あるいは悪化した病態です。ガイドライン内では、新規発症や慢性心不全の急性増悪により起こるが、症状や徴候は軽症のものから致死的患者まで極めて多彩であるという記載があります。慢性心不全については、慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり、肺体静脈系又は両系にうっ血を来たし日常生活に障害を来たした病態と記載されています。

 下のほうは、慢性心不全の重症度、進行度から見たStage分類で、ACCF/AHAのガイドラインです。こちらは先ほどの資料で提示したように、心不全のリスク状態から症候性心不全と、StageAからDへと進展していく状態を分類しています。このように心不全には幅広い病態が包括されており、各学会のガイドラインにおいて、症状の出現様式や病態の進行度など、異なる視点からの分類が提唱されています。心不全分類については、心血管疾患の医療提供体制の在り方を踏まえた上で、今後検討を行う必要があるのではないか。こちらは、このように幅広い心不全の概念を医療職以外の方にも共通のイメージを持っていただくための分類が必要ではないかという観点から考えております。

 そちらを踏まえてスライド8です。こちらは、先ほど申しましたように、医療職以外の方も幅広い経過を持つ心不全の全体像を共有できるよう、現在の心不全分類を補完するような心不全分類イメージを永井座長と御相談の上、事務局で作成したものです。こちらは、心不全の身体機能の推移と想定される主な管理方針を記載しており、上に、無症状期から初めて症状が発現し、その後慢性心不全のような状態で、慢性安定期の中で急性の増悪を繰り返しながら、治療抵抗期へ入っていくような流れをイメージしております。

 身体機能の推移の絵の中に、いわゆるどのような経過をたどるかのイメージを記載しており、まず無症状期から初回の症状発現期においては、一番上の実線の青い部分は、徐々に心不全が発症して、気付いてみると慢性心不全の症状が起きているような状態を想定しています。その中で、一方初回の症状発現が、急激に発現する、例えば赤色の突然死になるような方もいれば、緑色の非常に重症な症状を来たして治療を行われる方もいれば、ある程度軽症な状態で症状が改善する方もいらっしゃいます。このように落ち込む程度は幅広いですが、急激に落ち込む状態が、学会ガイドラインにおける急性心不全であると考えられます。

 このように、一度心不全を発症し、その後学会ガイドラインにおける慢性心不全の状態になり、急性増悪等を繰り返しながら、徐々に全体の身体機能が悪化していきます。このように、慢性心不全の中で、急性増悪で急に症状が増悪したケースも、オレンジの枠で示すように、急性心不全の状態として今まで提示されているような状態です。それぞれの発作の中でも、赤色でしめす突然死が起きるリスクを常にはらんでいる状態です。その中で、治療抵抗期に進んでいくような状態をイメージしています。

 それぞれの期において想定される主な管理方針は少し異なるということを一番下の部分に記載しており、無症状期では器質的心疾患の予防や進行抑制、心不全症状の予防という形ですので、いわゆる初期の危険因子の管理になるので、どちらかというと普段のかかりつけ医における管理等が中心になると考えます。心疾患を発症したような状態では循環器医による管理が中心になると考えます。初回症状発現期を受けて心不全を呈した場合には、その症状の程度に応じて、非常に重症な場合には急性期に侵襲的な治療も行われると思いますが、状態に応じては外来等の管理でも可能なケースもあると思います。同時に心不全の原因疾患の評価も、初回の症状発現の状態は必要かと考えます。

 その後、慢性安定期と急性増悪期を行き来するような状態では、再入院予防に向けた日常管理、急性増悪時には症状の程度においた適切な急性期治療という形で、こちらは日常の管理と専門的な管理の連携が重要であるかと考えています。治療抵抗期になると症状のコントロールとともに、終末期ケア的なことも視点に入ってくるような状態であると考えています。適応があれば心臓移植や補助人工心臓も考えられるところですが、こちらは少し特殊なケースであると考えています。このように、全体で心血管疾患の医療提供体征の在り方を踏まえ、想定される主な管理方針に沿った心不全分類を医療職以外の方も共有できるような形のイメージを提示しています。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。追加資料がございまして、ただいま事務局からの資料にもございましたが、心血管疾患リハビリテーションの提供体制に関係して羽鳥構成員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○羽鳥構成員 横長の表を御覧ください。日本医師会では健康スポーツ医制度を持っています。健康スポーツ運動療法に関わる、日本体育協会のスポーツドクター、整形の先生たちの整形スポーツ医とならんで、この日本医師会の健康スポーツ医の3つは、運動に係る資格です。

1ページ、日本医師会認定健康スポーツ医制度には、25科目のカリキュラムを修了して実地の活動と講習会の更新をしていきます。この中にありますように循環器疾患の勉強もして資格を取るということです。もちろん、整形外科の膝故障、腰故障など骨、筋肉疾患もありますが、内科的な勉強もしているということです。延べ人数としては22,000名ぐらいです。全国で1万名近くの方が今も勉強しております。2ページ目が取得者の推移です。

3ページ目、内科系の先生が5,000、循環器内科を標榜されている先生が250、整形の先生が1,000、このぐらいのイメージで、外科、整形の先生が2、内科、循環器の先生が1ぐらいの比率かなというイメージでいいかもしれません。内科の数が多いですが、内科の中で循環器をやっている先生の比率はこのぐらいです。もちろん、内科標榜で循環器のことが詳しい先生もいらっしゃるので、もうちょっといるかもしれません。4ページに各都道府県別に見た数が出ていますが、内科、循環器、心臓外科などの先生の比率をお示しします。

5ページが健康スポーツ医学委員会の答申で、主な運動施設ということですが、スポーツクラブもありますしフィットネスクラブもあります。いろいろな施設があるわけですが、下から2番目、医療法42条施設というのがあります。磯部先生にもよく調べていただいたことがありますが、内科系の先生で循環器をやっている非常に熱心な先生が、こういう施設を御自分の医療施設の中に持っていることがあります。都会ですと150平米を超えるような大きな運動施設を、自分のクリニックの中に持つのは難しいですが、地方に行くとこういう施設を持って地域の運動療法に携わっている方もいらっしゃいます。こういうふうにして、いわゆる開業の先生であってもスポーツ医学に熱心な先生もいらっしゃる。その全体の状況がお分かりかと思います。

 その1例を次の7ページ目にお示ししたいと思います。これは藤沢市保健医療センターという所ですが、小堀先生という運動療法に大変熱心な先生がいらっしゃいます。女子医大で循環器内科を修められ、この藤沢市保健医療センターにお勤めになった先生です。2行目にありますように「地域において医科学的根拠に基づいた身体活動を指導する施設は少ない」ということを前提に、藤沢市では医師会と市の行政が一緒になって保健医療センターを作り、その中で運動療法の施設をやってきたということです。2つ目のカラムの中にありますように、運動トレーニング室(257平米)および多目的室などを利用して、一次予防、二次予防を主要な事業(健康づくりトレーニング事業)を行っているということです。

2つ目の●ですが、健診結果に基づいて健康運動指導士の人たちと一緒に、ドクターが中心になって運動療法を行っていくということで、有酸素運動およびレジスタンストレーニングを組み合わせるということです。数は1年間で700名近く、新規参加の方も130名ぐらいいらっしゃるということです。

3つ目の●の9行目ぐらいの所に、利用者の心血管因子保有割合として、高血圧症が38%、耐糖能異常が46%、脂質異常症が57%ということで、いわゆる特定健診、特定保健指導に相当するような方をやっているということがあります。重症の心筋梗塞後の人を診ているというわけではなく、むしろ予防的な方が多いかなと思います。リスクの層別化を行い、運動療法の効果を実際に論文として作っているわけですが、8ページ目の下にありますように、こういうイメージでやっている所もあります。これから始まる地域包括ケアという中でも、これらはかなり応用できるのではないかと思いましたので、藤沢の例を提示させていただきました。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。これまで事務局と羽鳥構成員から御説明いただきましたので、心血管疾患の医療提供体制について御議論いただきたいと思います。どこからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○羽鳥構成員 高血圧とか心臓病は心房細動の話など講演会が、日医の生涯教育として多数あります。しかし、慢性心不全の話というのはなかなか出てこない。サムスカなど、お願いして講演会をしてもらっています。クローズドな会、要するに大学とか循環器専門の施設ではやってくれますが、開業の先生たちを相手にメーカーさんが乗ってくれることはあまりない。その辺、医師会としてメーカーさんなしでやる講演会を主催していけばいいのですが、そういうのも何か呼び掛けていただけたらと思います。

 もう1つは、外来で利尿剤を使うということだけでなく、心不全の増悪期に2時間、3時間かけて、ハンプの注射も微量点滴のキットを使いながらだったらできないことはないと思うので、その辺の講義も受けたいなと思うのですが、なかなか講義を聴く機会がありません。循環器学会としても各都道府県で、今、そういう講演会を主催したいと思うので、是非、お願いしたいなと思います。

○永井座長 恐らく慢性心不全の治療の考え方というのは、2000年頃から随分変わりました。それ以前は、βブロッカーは禁忌だったのが、2000年頃から使用する方向に変わってきました。ACE阻害薬、βブロッカーなどの専門家好みの話が、この10何年か先行していたのだと思います。概念が変ったということの普及を、まず専門医からということだったのではないかと思います。しかし、現実には心不全の患者さんの予防にしても急性増悪にしても、全部、専門医に押し寄せるとパンクしてしまうのです。そういう意味ではプライマリー・ケアからきちっと教育指導、あるいは医師のほうも研修を受けておく必要があると思います。この辺の体制について磯部先生、心不全学会の理事長としていかがでしょうか。

○磯部構成員 永井先生がおっしゃるとおりで、これだけ慢性心不全の数が急増するというのは、循環器医も想像を絶する状況が、今、起きつつあり、心不全パンデミックという言葉を使っているぐらいの状況です。もちろん、まずは前回の議論でもあったと思いますが、心不全ということの認知、特に慢性心不全をどういうふうに捉えるか。まず我々のほうで定義をちゃんとしなければいけない。そこからだと思います。

 社会的には慢性心不全という疾患そのものをよく認知してもらうということです。羽鳥先生もおっしゃったようにまず医師の認識、それから、これから一番大切な部分は社会的に啓発活動をするということだと思いますので、日本心不全学会では私が理事長だった時代に市民公開講座を各地域で始めまして、スポンサーなしで10か所以上やっています。そういったことから始めて心不全の認知予防できる疾患であることと命を取られる疾患であるということ、それから本人はもちろんのこと、家族、社会、地域が非常に疲弊する疾患であると認知していただくための活動が必要です。それも学会レベルではなかなか難しいことだと思います。今の循環器疾患対策基本法の骨子にもありますけれども、社会的な活動として自治体あるいは学校教育まで含めた活動をしていくことが、まず必要かなと思います。

 この内容についてはとてもよくまとめていただいて私は非常に期待を持って拝見、拝聴していました。前半のほうの1つのポイントは、心血管疾患リハビリテーションという概念だと思います。リハビリと言うと世の中一般、あるいはほとんどのドクターもそうだと思いますが、運動療法とイコールと思っていて、この厚労省からお示しいただいたスライドにも明瞭に示されているように、これは単に運動療法ではなく、疾患の多職種介入を伴う疾病管理プログラムであり、その中の運動療法は一部であるという認識を持つ必要があると思います。なかなか一般に通用し難い概念だと私は思います。ですから、タイトルに心血管リハビリテーションとうたってしまうと、イコール運動療法というイメージになるので、もう少し社会一般あるいは医療界へのメッセージを伝える方法、言葉がないかなと思っています。

 内容的には、是非、こういう方向でリハビリテーションあるいは多職種介入を進めていただきたいと思います。もう一点多職種介入には具体的にどういう職種が、どういうふうに関わるか。単に外来で運動療法をやってナースが関わるだけでは、良いリハビリテーション、疾病管理プログラムにならないと思いますので、その辺の定義付けと言いますか、内容を伴う管理体制を少し例示するなりしていただくといいのかなと思いました。

 ちょっと宣伝かもしれませんが、榊原記念病院は非常に大きなリハビリのプログラムと、外来の一番いい所にガラス張りのリハビリ施設を持っていて、そこでナースだけでなく医師、理学療法士、栄養士、薬剤師といった方たちが関与して運動療法と疾病管理をやっています。

○永井座長 これは、リハビリテーションという言葉を避けたほうがいいということですか。

○磯部構成員 避けるというのはなかなか難しいと思います。リハビリと言うと誰の頭にも運動療法とくるのですが、それは多職種介入で疾病プログラムの1つだと思います。私は正直言いますと、リハビリテーションとここで括ってしまうことには抵抗がありますから、新しい何かいい用語なり分かりやすい概念として、国民に浸透しやすくて誤解を招かないような言葉を使うといいのかなと思います。

○永井座長 一言で言えば、心血管疾患の疾病管理プログラムということですか。

○磯部構成員 おっしゃるとおりです。

○永井座長 そこだけでもよいのかもしれません。それから、先ほど羽鳥構成員からもお話があった慢性心不全ということの概念です。先ほどもお話しましたが病態や治療の考え方が随分変わってきて、βブロッカーを使う、ACE阻害薬を使う、ハンプを使う、運動リハビリを行うなどがあるのですが、もう1つの大きな変更はジギタリスを使わなくなった。急性期は強心薬がいいときが多いわけですが、慢性期に強心薬を使うとかえって悪化することがあるなどが90年代から次第に明らかに大きくなってきました。慢性心不全の自然経過がだんだんみえてきました。事務局の岡田さんと一緒に作らせていただいた資料2の最後の図、心血管疾患の医療提供体制の在り方を踏まえた心不全分類のイメージが重要です。こういうダイナミックな心不全の病態の変化を書いていただいたのですが、こんな絵はいかがでしょうか。

 一般の方が心不全と聞くと、すごく悪化した急性心不全を思い描きがちです。急性増悪してもまた元へ戻るなどは、あまり御存じない。急性増悪を繰り返すとよくないとか、こういうダイナミックな見方が重要で、一直線で悪くなるものでもないわけです。そういう意味でこの絵を活用いただければと思いますが、ご意見いかがでしょうか。上田先生、いかがですか。

○上田構成員 全く賛成です。このイメージが一般の方にはいいかと思います。1つは、がんと聞くと命に関わる大変な病気だと思うのですが、心不全の症状が出てきましたと言うと、患者さんは案外、入院して治療すれば治ると。今、永井先生がおっしゃったようにちょっと戻る部分もあるけど、用心しないと再発を繰り返すんですよということを示すのに非常に明快で、だんだんと効きが悪くなる。あなたの自己管理によって、この傾斜が緩やかになるんですよという説明をするには、イメージ的に非常によくできたものです。しっかり管理しても突然死もあり得るんですよということで、全てのものを含んでいただいた絵かなと思います。

○永井座長 無症状のStageAからでも、実は一気に悪くなることはあり、そこが怖いわけです。ただし、そこをうまくしのげばきちっと前の状態に戻りますよという啓発も非常に重要と思います。小川先生、いかがですか。

○小川構成員 非常に難しいのをよくまとめられたと思って、これでいいのではないかと。

○永井座長 こういう絵を使いながら一般の方の啓発、あるいは普段、心不全をそれほど見慣れていない一線の先生方にも、この考え方を広めていただければと思います。ほかにどの点でも結構です。患者さんの立場から御覧になって井上さん、いかがですか。

○井上構成員 はい、まず心不全と聞いてしまいますと、私どもは、もう終わりかもしれないというショックを受けます。あなたは慢性心不全の状態ですと、病院で診断を受けると、もう私は駄目なのではないかというイメージを持ち、がっくりしてしまうということを、患者の殆どが口を揃えて言います。本日の資料の、心不全分類のイメージの図表は大変解り易く、私ども患者も、テキストとして活用させていただきながら、具体的に学習していきたいと思って、拝見いたしておりました。

○永井座長 ほかに、どの点でも結構です。

○小川構成員 羽鳥先生がおっしゃったのはそのとおりで、まだ画期的な心不全のお薬がないということもあって、最近、講演会などでは慢性心不全の講演が減っていると思います。そういう研究も進んでいますから、もうじき出ればまたあると思いますが、今の時点でしばらく出ていませんので、そういうのは先生がおっしゃったように医師会の、いわゆるスポンサーなしの講演会とかでやっていただいたらいいと思います。

 それと、もう1点、岡田さんがまとめられた先ほどのスライド9ですが、心不全の患者数の推移と書いてありますけれども、この日本循環器学会のJROADのデータは入院した患者さんの心不全のデータです。今、25万人ぐらいになっていますけれども、恐らく全体の数というのはつかめていないのです。全く根拠はないのですが、恐らく100万人ぐらいいるのではないかと思いますので、あとの75万人は恐らく開業医の先生が外来で診られているのが多いのではないか。そういう意味でも非常な重要なことになっています。永井先生がおっしゃったように心不全の方が全部専門病院に来られたら、とても外来はやっていけないし、開業医の先生が恐らく慢性心不全を診られると思いますから、そういう意味で治療のポイントは押さえて、永井先生がおっしゃったように治療の方針が変わってきて進歩していますので、そういうのは開業医の先生の所でやっていただいたら、一番いいのではないかと思います。

 それから、心不全の数はなかなかつかめませんので、しつこいですけど循環器疾患対策基本法などで、強制的にこういう心不全がどのくらいいるのか集めていくことが必要ではないかと思います。何でも推計というのはよくありませんので、きちっとした法律ができ、そういう心不全の数が分かれば皆さんも現実味を帯びてきて、治療の大切さも分かっていただけるのではないかと思います。

○永井座長 慢性心不全は、非常にダイナミックな経過で、かつ長い経過を取ります。多職種連携も必要ですので、今度は情報共有が非常に重要になります。初めて患者さんが救急で来られても、前にもこういうことがあって、そのときにどういう治療をして良くなったか分かっていれば対応する医師も各医療職も非常に楽になるわけです。その辺の情報共有のネットワークづくりというのは何か考えておられるのでしょうか。例えば心不全手帳などがあるとよいと思いますが、学会としていかがですか。

○磯部構成員 手帳は作っていますが、なかなか普及に至りません。

○永井座長 ペースメーカーの方は、皆さん、持っておられますけど。

○磯部構成員 あと、私ども学会として真剣に考えているのは専門医です。アメリカは心不全のプラクティショナーがいますし、ナースは、日本では慢性心不全認定ナースという制度があります。2つあった学校の1つが閉校になってしまい、今、1か所だけ残っています。今、循環器領域では不整脈、インターベンション、それぞれ専門医がいて診療内容の向上に寄与していると思いますが、心不全もそういった方向でやっていきたいという議論はございます。

○永井座長 美原構成員、どうぞ。

○美原構成員 表の話ですが、資料1のスライド7、第II相の一番下の所でPCIが可能な施設から内科的治療中心の施設へ移行が可能と書いてありますが、資料24ページでは病棟内の移行もというのが書いてあって、ここの所は「施設ないし病棟」と2つ書くべきだと思います。ケアミックスの病院が結構ありますので、7ページですと資料から施設の動ききだけになって、病棟内の動きというのがあって然るべきだと思うので、それを書き入れたほうがいいかと思いました。

 もう1つ、資料1のスライド7、第III相の維持期の所で先ほど追加資料で羽鳥先生からお示しいただいた医師会のことというのは、いわゆる診療報酬とは関係なくてお金でできているだろうと思います。実際に私がここの所で思ったのは、先ほどリハビリテーションの話がありましたけれども、心血管リハビリテーションというのは予防的にやるからずっと行うわけです。ストロークの場合にはゴールが決められていて、それから後のいわゆるリハビリテーションは介護保険に移行するわけです。しかしながら、これはずっとやっていくので一体誰が払って、どこでやるのかという問題があったときに、ある意味、藤沢市では診療報酬外で行われている。今後、もし藤沢市のこういう試みを広げていくとしたら、一体、どこからお金が出るのだろうかと私は思いました。

 それから、重ねてお話してしまうと、先ほど磯部先生がおっしゃったけれども、私はリハビリテーションという言葉に非常に抵抗を持ちました。というのは、私たちは全然知らなかったです。つい診療報酬上の話にいってしまいますが、これは、いわゆる生活指導というような加算的な問題なのかなぐらいに私は思ったわけです。ただ、リハビリテーションという言葉を使うのであったら、ドクターに対しても国民同様、こういうのを心臓血管リハビリテーションと言うんだよという啓発的な教育が、とても必要だろうと思います。この場に来るまで恥ずかしながら私は全然知りませんでした。

 もう1つ、これまた非常に思ったのですが、もう1つのワーキンググループで脳卒中のワーキンググループがあり、そこで急性期はどこで診るかという議論が一昨日もありました。急性期は急性期の病院で診るのだと。そこでどのような治療が必要か判断し、そこでまず分けるのだという議論がありました。私自身はそれに対して多少反対の立場で、むしろ循環器と同じような立場ですが、ある程度何回も繰り返した人が専門病院に来るのはなかなか大変だろうなというのは当然です。ストロークに関してもすごく数が多くなっている。

 そこで私の質問というか、どういうふうにしたらいいかと思うのですが、循環器の場合、心不全の患者さんが再発し、それが非常に高度な治療が必要な場合に、誰がどこの病院に行くかを、どうやって選別していったらいいのかに関して、どのようにお考えになっているか聞きたいと思いました。

○永井座長 今の点はいかがでしょうか。まずはリハビリ、特に運動療法の場合のゴールというのはどのように設定されているでしょうか。

○磯部構成員 美原先生がおっしゃったように、明確なゴールというのはなくて、今行っているのは、厚生労働省が示した表にもありますように、まず入院中に始めて、それから外来に移行して、ある程度のところで保険が効かなくなります。現在の考え方としては、ずうっと続けるという考え方です。私どもの病院でも、藤沢市の例でもそうだと思うのですけれども、有料で続けています。それでも週23回来る固定のリピーターが結構な数います。

 だから、それをどこで誰が補償していくかというのは大問題なのです。保険の診療内でやっていくのか、あるいは自己負担にするのか、自治体でケアしていくのか。ここでやめていいというゴールはないのです。そういうことを議論していく必要があると思います。これを国の税金で賄っていくのは大変なことだと思います。

○永井座長 今、そこまで議論するのはなかなか大変です。基本的な考え方ぐらいでしょうか、その辺は何か述べてよいのではないかと思います。早期離床という問題もあります。運動リハビリを早く始めれば、それによって早期離床が可能になる。それから継続的に運動することによって、再発を防ぐことができる、重症化を防ぐことができるのですが、確かにゴールはないのだろうと思います。ただ保険は限界がありますので、それは今後新しい社会の仕組みを作らなければいけないのだろうと思います。

○磯部構成員 先ほど美原先生が御指摘になった、資料1のスライド7です。第III相のゴールをどこまでやるかということにも関連します。ロコモの問題とか、認知の問題が出てきて、病院になかなか来られないという方には、在宅心臓リハビリをされている先生方がいます。スライド7の第III相の所に、定期外来受診に加えて、やはり在宅でのということを1つ入れていただくと、議論の今後の方向としてはいいのかと思います。

○永井座長 どこでしょうか。

○磯部構成員 スライド7の一番右側です。第III相の維持期の所に、定期外来受診というのがあります。それに加えて、外来リハビリ、外来運動療法でしょうか。実際にそういうことを先進的にやっている在宅医の先生がいます。

○永井座長 7に盛り込む内容について、もう少し御意見を頂きたいのですが、いかがでしょうか。この程度でよろしいのか。先ほど美原構成員からお話があった、施設だけではなくて、病棟単位の移動ということも大事なポイントであるということです。それから磯部先生からお話があった外来や在宅への移行ということ。その他に何かありますか。

○羽鳥構成員 国のほうは、いわゆるスマートライフ・プロジェクトとか、まちづくりというのが大きな課題になっていると思うのです。そうすると、心不全の方に、いわゆる家の中の閉じ籠り外に出てきて体を動かしてもらうことも、とても大事だと思います。スライド7の中で第III相、やはり先ほどの健康スポーツ医も、あるいは運動療法指導士たちとタッグを組んでやる、という言葉も中に盛り込めたら盛り込んでいただきたいと思います。もし地域包括ケアでこれから何か始めるといったときには、この運動療法に関してはリーダーになれるのではないかと思います。

○永井座長 それは患者さんをはじめ、いろいろな医療職種の方々に対する教育ということも含めてのリーダーですね。心不全が悪化するときは、のどが乾く。交感神経が緊張してきてのどが乾いてくる、そしてまた水を飲む、のどが乾く、汗もかく、それでまた悪くなるという悪循環に入るという点が難しいのです。患者さんは、自覚的にのどが乾くからどんどん水を飲んでしまう。でも、それは心臓には負荷になるため、状態が一気に悪くなるわけです。その辺の教育もしておかないといけない。普段飲むお茶の量とか、水の量、体重の管理、尿の出方に対する観察を、きめ細かく地域で教育指導、研修教育してくれる方がやはり必要なのだと思います。

○宮崎構成員 この図の中で、だんだん悪くなっていって、最後に終末期という言葉が出ています。心臓の場合は終末期の緩和ケア的な考え方というのは、どのようにされておられるのでしょうか。幾ら努力しても、そのまま一生懸命治療するのが本当に患者さんにとっていいのかどうか。今は、とにかく元に戻す、心不全から回復させることが中心なのでしょうけれども、言葉は悪いのですけれども、どこかで諦めざるを得ないような場合に、無理やりやることがいいのかどうか。その辺は実際問題としてどのようにやられているのか。

○小川構成員 国立循環器病研究センターでは、安西先生が先進的に取り組んでいて、緩和ケアというのは非常に重要だと。磯部先生が、いつもおっしゃいますけれども、全部人工心臓になったらとても大変だと。患者さんが非常に理解があって、家族も理解があるというようなときには、緩和ケアをやっています。これからは、割とそういう人が増えてくるのではないかと思います。心不全の緩和ケアというのは非常に大事になってくるのではないかと思っています。

 先生がおっしゃるとおり、心不全の最期の医療費はものすごく莫大になりますので、そういうことをしてでも、本当にそれが有益かどうかというのを考えると、緩和ケアというのは非常に大事で、ある程度のところは緩和ケアをしていかなければいけないのではないかと思っています。それは研究が結構進んでいて、データも結構取り始めています。どういう人が緩和ケアの適応かというのを今明らかにしています。

○永井座長 ここに緩和ケアという言葉を入れてもよろしいですよね。

○小川構成員 はい。

○永井座長 実際に行われておりますので。

○小川構成員 行われています。

○上田構成員 今おっしゃった終末期のことですが、循環器病研究センターの野々木先生が在籍されていた頃に、日本循環器学会で議論しました。いわゆる急性増悪したり、急性期の心不全の方に、どの程度まで循環器医療を継続するか、先ほどおっしゃったように、とても回復は無理と見込まれ、たとえば、人工呼吸をしていても、補助循環をしていて、改善が見られない場合です。簡略してPCPSと言うのですけれども、足から血液を導き出して、ポンプで全身へ血液を送る治療を導入した場合、次の一歩進んだ治療を提供するか、どこかで治療限界が来るのです。それに対するコンセンサスを形成しようといろいろ班で議論しました。心臓の手術の後も同じです。心不全が治らず、1か月低空飛行の状態の方を、どの状態で次の補助人工心臓の適用になるかと考える拠り所となるものです。

 やはり、治療の限界という考え方を議論した結果を提言として学会のホームページに出ております。外科治療の限界とか、内科治療の限界等の項目があります。それはまだ大きく広まってはないと思うのですけれども、ここで書かれたように大変重要な問題だと思います。

○小川構成員 今、思い出しましたけれども、日本循環器学会のホームページに、そういう終末期医療の提言というので、初めはガイドラインにしようとしたら、ガイドラインという言葉は不適だろうということで提言となりました。一般の人が読めるように書いてあります。余り普及していないのですけれども、日本循環器学会のガイドラインの所を見ていくと、その中に循環器疾患における末期医療に関する提言としてまとめてあります。先生がおっしゃるように、非常に重要な問題ではないかと思います。

○磯部構成員 私も、緩和ケアのことはこの中にしっかりと盛り込んでいただきたいと思います。先ほど御紹介のあった、日本心不全学会で私どもが作った、高齢者の心不全のステートメントの中に緩和ケアの概念について紹介してあります。厚生労働省の検討会でもそういうことをやっていますし、研究会があります。そういうことをきちんと議論する土壌は既に出来上がっていると思いますので、やはり施策として概念を盛り込んでいただくことはとても大事ではないかと思います。

○美原構成員 現実的に緩和ケアというのは、どのようなことをなされるのですか。それはCCUだとか……だとか。

○磯部構成員 それがなかなか難しくて、結局心不全の方は急性増悪で、先ほどの図にもありますように、戻る方が多いのです。ですから、私たちはどうしても戻そうとして治療をしてしまうのですけれども、結局駄目ということです。なかなか諦めが医者の側も付かない。でも、現実には経験的にこの人は難しいということになると、緩和ケアをやりましょうかという議論を実際にはすることがあります。今、塩酸モルヒネは保険が通らないのです。

○美原構成員 シンセイは通らないのですか。

○磯部構成員 たしかまだ通っていないです。

○美原構成員 それはCCUでということですか。

○磯部構成員 いいえ、普通は一般病棟です。

○美原構成員 緩和ケア病棟は対象ではないのですよね。

○磯部構成員 現状では、心不全の緩和ケア病棟というのはまだないです。

○小川構成員 国立循環器病研究センターでもかなりやっていますけれども、一般病棟でやっています。

○永井座長 医療が進歩すれば、昔ならば救命・延命できなかった方が、助かるようになっています。それでも急性増悪を何度も何度も繰り返して、もう手術もできず、本当に限界まで頑張ってこられた方が、だんだん増えています。そういうときに、これは医療のほうももっと勉強しないといけないと思うのですが、我々自身も経験のない世界に入っていくところがあります。そういう意味から、終末期医療、緩和ケアを含めてしっかり体制を考えないといけない。膨大な数の患者さんが生まれています。でも、永遠に皆さん生きるわけではないですから、最期のところでどうするかという問題があります。

○磯部構成員 そういう観点からすると、資料1のスライド7ですけれども、第I相、第II相、第III相とあって、維持期であたかもこれで維持できるようなイメージが何となくある。その一番右側に終末期というような欄があってもいいのかというような気もします。

○永井座長 患者さんは苦しむのです。本当にお気の毒な状態になるので、そこをいかに楽にしてあげるかということです。

○美原構成員 なぜそんな話をしたかというと、ALSは決して良くならないのです。今はモルフィンは通っていますので、人工呼吸器を付けないで、麻薬を使う方は少しずつ増えてきているような印象があります。ここの所には終末期とは書いてないですけれども、今は終末期というのはなかなか言葉として使い難いです。人生の最期のときでしたか、最終段階とか何とか。だから、なかなかこういう言葉も難しいと。私は安易に終末期と言いますけれども。

○羽鳥構成員 呼吸器学会では最近、肺炎を繰り返している方の治療中止を視野に入れる選択というふうに出ていますので、循環器も提言していかなければいけないのだろうと。要するに、患者さんの痛みを取る、苦しみを取るという目的だと思いますけれども、どこかで治療をやめるという選択をしていかなければならない。

○永井座長 体制の問題はいかがでしょうか。チーム医療としても、もっとこの辺を作っていかないといけないと思いますが。

○宮崎構成員 結局リハビリというのは運動だけではないということですけれども、運動はかなり大きな要素だと思うのです。施設によって、心臓を専門にやるPTというのは少ないと思うのです。それは施設基準の中で、心臓の場合は脳と比べても人だけではなくて、いろいろな道具、エルゴメーターなどは高い機械も無いとなかなか取れない。そうすると、そこで実際にやっても、その施設基準も認められていないと診療報酬も付きません。PTが付いてやることができないと、本人にやってもらって、それを見ているぐらいのことが多いように思うのです。それは私の病院だけなのかもしれません。しかし施設基準が脳卒中に比べると、私はちょっと難しいのかなと思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○永井座長 この点についてはいかがでしょうか。

○上田構成員 少ない範囲の経験で申し上げると、やはり副院長を含めた病院長クラスに循環器の専門医がいると、関西近辺では、外来心臓リハも実施されています。そういう所を見学して勉強して、どのように導入したらいいかという先行事例があります。やはり、ないところから作るのは大変で、本日お示しのあった広島県のやり方とか、藤沢市もそうですけれども、成功事例をもとに、心臓リハを導入するには病院の執行部に循環器専門の先生方がおられるとうまくいくのだけれども、外科系の先生だけの場合には難しいという印象を持っています。

○宮崎構成員 言葉は悪いですけれども、ある程度報酬が付いていると、当然病院としては力を入れることになります。ある程度のものがなくてもせざるを得ない場合はもちろんあるのですけれども、リハに対する報酬が、心臓の場合はコストの割に報酬が低く押さえられているように思いますけれども、いかがですか。ちょっと細かいことですけれども、私はよく分かりませんので。

○磯部構成員 やはりスペースと、専門のスタッフが必要になります。先生がおっしゃったように、器材もそれなりのものを用意しなければいけないと思います。現実には、循環器の専門病院であっても、専門の科があっても心臓大血管のリハビリテーションが行えていないのが現実なのです。診療報酬がきちんと付く形で導入できるような体制にしていただきたいというのが私どもの願いです。

○美原構成員 そうなるとPTOTも元気が出ると思うのです。やっていても、それが報酬に結び付かないと元気が出ないところがあります。

○小川構成員 私も具体的な点数は知らなかったのですけれども、確かに低いかもしれないです。先生がおっしゃった器具に関しては、榊原記念病院などは特別です。そうでなくても、循環器専門医がいて、リハビリをやっている病院で、器具は余りなくて、美原先生の先ほどの御質問のお答えにもなると思うのですけれども、リハビリテーションとするとその時点で早く悪い状態が分かります。そういうときには専門の病院に送るというような意味でも、心臓リハビリテーション施設はもう少し増えてもいいのではないか。基準は余り厳しくなかったと思うのです。循環器専門医がいれば。

○磯部構成員 専門医ではなくて、理学療法士やナースでもよいので資格を持っている方が要るのです。

○小川構成員 そうですね、割と簡単に取れるのです。ですから、それは点数が付きます。そこに設備がなくても、専門病院に送るというようなシステムがあればリハビリをやると状態が早く分かりますので、それはいいのではないかと思います。

 追加ですが、羽鳥先生のデータで、スポーツの専門医というのは知っていたのですけれども、循環器内科医がかなり多いです。これもうまいこと使えば、整形の先生が別に心臓のリハビリをしても、知識さえあれば何とかできるのではないかと思うのです。

○羽鳥構成員 この健康スポーツ医は、国体選手をけがなく、あるいは安全にということもあって、例えば国体の選手にトレッドミルをかけて、耐えられるかどうかのチェックをしているということもあります。そういう意味で循環器の先生が非常に多いということがあります。この先生たちを是非活用していただけたらと思います。

 それから、先ほど多職種の話がありましたけれども、地域包括ケアでは、多職種連携がとても肝になっていると思います。薬剤師とか運動療法指導士という人たちとスーパーバイズするという意味で、循環器の先生、あるいは内科系の先生が上に立って見ていくという運動療法。例えば公園でもいいと思うのです。公園で心電図のモニターを付けて30分やって、何かあったら途中でストップをかけるとか、いろいろなやり方があると思うのです。そういう検討も提言していただけると有り難いと思います。

○永井座長 正にこれは資料17ページの右の第III相の維持期の所の地域の運動施設という、これをどう活用するかという問題なのでしょうね。そう考えると、この図7には、大体いろいろなことが盛り込まれていますが、幾つか足りない言葉をここに補って完成させたいと思います。その他にはいかがでしょうか。

○磯部構成員 追加して申し上げます。スライド7ですけれども維持期、心不全と一旦なると根治はなかなかできない疾患です。薬物療法、あるいは生活の注意をずうっと続けるわけです。今の書き方ですと、第III相のところは薬の指導がなくなって、より良い生活、習慣の維持で終わってしまっていますので、やはり食事、服薬を第III相にも入れていただいたほうがいいのではないかと思います。治療が、薬物療法も含めて継続されるという意味です。

○小川構成員 そうですね、確かにそうです。

○磯部構成員 何か治ってしまうような意味に思われてしまいますので。

○小川構成員 そうですね。

○永井座長 慢性期の管理体制についてスライド144項目挙げられていますので、この辺りについて御意見をお願いします。今のお話とも関係あります。

○羽鳥構成員 もし付け加えるとしたら、先ほどからある患者さん教育です。食事、運動、塩分のこと、薬をきちんと飲むということが一番大きなことで、良くなったと思ってやめてしまう方もたくさんいらっしゃいます。卑近な例ですが、うちでも心不全の方でBNP1万近くまであり、どうしても入院できないという事情で、半年何とか投薬で頑張り取りあえず1,000台まで下がって、今はニコニコ通院してくださっております。

 やはり、その方も薬をきちんと飲むことができたからだと思いますので、患者さんの教育、もう1つは、かかりつけ医というか医師への教育、スタッフへの教育、多職種への教育もどこかにうたっていただきたい。

○美原構成員 私はスライド142番目が、とても難しいところだと思います。先ほども少しお話しましたが、増悪期に専門病院に突然来てはパンパンになってしまう。そのことで、ここで「心不全増悪時の医療については、内科的治療が中心であり、急性期内科治療を行うことができる施設との連携が基本になる」ということ。これは、主語は内科的治療が中心の病院は急性期が、患者さんはどこにくるのでしょうかということがとても問題のように思っております。

 ストロークで、例えば在宅の人は、そのまま地域の病院に来るかもしれない。でも、そういう人が、例えば、施設に入っている人が半分ヨイヨイノ、実はこういう話がありました、昨日施設の患者さんがゲロゲロ吐いていて、いわゆる内科の病院というか地域の病院に運ばれたのです。そうしたら、脳幹出血でうちに回って来ました。でも、もうその人にはほとんどやることがないのです。それまでほとんど寝たきりだった人で、脳幹出血だから専門病院ということでうちに来たわけです。

 来ていただいても、余り地域の病院はやることがない、変わらないように思うわけです。何が言いたいのかというと、このように繰り返し、繰り返しだんだん悪くなっていく患者さんを、悪くなったときにどこで診るのか、誰が選択するのかということをしっかりしていないととても難しいのではないかと。思わず心臓の病気、心不全になったら榊原に行くのだとか循環器病センターへ行くのだという状況では、きっとないのかあるいはどうなのかよく分からないのです。

 どのようにしたら、その辺りは少しこういう病院へ行くのですという住民に対する啓発、あるいは救急車で心不全が行くのであれば、消防隊に対する連携みたいなことも少し入れてもいいのではないかと思います。実際に患者さんを運ぶ救急隊が来るのであれば、救急隊に対するアプローチも少し入れてもいいかもしれないと思います。

○永井座長 多分、状態にもよるのでしょう。ショックになって、冷汗をかいていて血圧もほとんど触れないというときは、かかりつけ医の段階ではないでしょう。同じStageであっても、そのときの状態の教育も含めておこなわないといけない。心臓の急性増悪は刻々と変わっていきます。この辺りはどのように指導したらよいのでしょうか。

早めに、少し息苦しいとかゼコゼコいうときに、かかりつけ医に診てもらうのがよいのですが、往々にして手遅れになりがちです。

○磯部構成員 やはり、心不全の場合は急性期治療ができるので、急性心筋梗塞に伴って心不全が増悪するときに、すぐに再灌流治療、バルーン治療が適用になります。前回、急性期の治療の救急体制のところでも議論したと思いますが、きちんと救急隊の教育も含めて具合の悪い方、循環動態に問題のある方は、高度な急性期治療を行う施設に運んでいただくという体制のほうがよいと思います。

○永井座長 それから、初めての胸痛のような不安定狭心症という概念があります。そういう方はたとえ軽くても非常に危ないのです。安定期の狭心症であれば、まずはプライマリーの所で対応できると思います。その辺りも含めて、教育体制やチーム医療、地域での見方をよく考えていかないといけないのです。

 ほかにいかがでしょうか。

○羽鳥構成員 もう1つ、先ほど手帳の話がありました。磯部先生の所で作っていらっしゃる心不全手帳を一度見せていただきました。心不全だけでなくてもいいかもしれないのですが、糖尿だと糖尿病手帳があったり、高血圧だと高血圧の数字だけ書くものがあるので、心臓の手帳があってもいいような気がします。

 患者さんも見れば分かる、その手帳を持って行けば分かる。もちろん、いずれはITICTになるのでしょうけれど、何と何がいい指標になるのかを見極めていくためにも、みんなに持ってもらうという仕組みを作っていただいたらいかがでしょうか。

○永井座長 確かに、すぐに全国一斉は無理としても、地域でモデルとなるような活動をしていただくことはよろしいでしょうね。

○荒木構成員 そのことについて少し、岡山県も急性期病院の循環器病をしっかり取り扱っている病院と、地域の開業医をどのように連携させるのかということが重要です。その中で、これまでは医療計画においては急性心筋梗塞についての医療連携体制でしたので、それに基づいて急性心筋梗塞の医療連携パスということで安心ハート手帳を県で作り、患者さんに持っていただいて各病院ともに運営しています。

 実は、昨年度、それだけでは不十分ということで、先ほど心不全パンデミックという話もあり、これまでは、まず急性のAMIをサバイブすることが医療計画上も重要だったのですが、新たに心不全が大きなトピックとして患者人口も増えるということで、これと似た心不全手帳を県で作っており、今後、開業医の先生方とともに患者さんに使っていただこうかと考えているところです。

 地域においては、座長がおっしゃられましたように動いているところというか、少しずつ動いている所もあります。やはり、まず心不全が認知されることが重要かと思っております。

○永井座長 ありがとうございます。そうすると、スライド14、慢性心不全対策の考え方()、かかりつけ医の問題、教育の問題、手帳の問題を少し考えてみたいと思います。

 もう一点、御意見をお聞きしたいのは、医療提供体制の全体像です。事務局から資料2の提示がありました。スライド128辺りを御覧いただいて御意見いただければと思います。体制をどのように作るのか、急性期、急性増悪、慢性期時期、体制の全体像について御意見をお願いいたします。

 例えば、スライド128についていかがでしょうか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 スライド番号の提示が34になっており、資料2のスライド34が全体像のイメージです。申し訳ございません、番号の記載がずれております。最後にスライド8です。

○永井座長 これまで御議論いただいたような地域での体制作りから少し角度を変えて提供体制の側から整理をしております。いずれにしても集学的で、かつ、多職種のチーム医療で非常に地域の総力を上げたシステムが必要なのだと思います。

○馬場構成員 回復期という言葉が、普通の地域医療構想で言う回復期と混同しがちな感じがあり気になりますが、スライド4のようになると、大分、分かりやすくなったのかと思っております。ここで言う外来管理での回復期の医療が疾病管理としての外来回復期リハであったり、再発予防に向けた生活指導、危険因子の是正、運動療法等であれば、外来でなくて開業医、専門医の部分でもできると理解していいのですか。それとも、急性期の医療を担った所の外来が担当するという考えなのですか。

○永井座長 いかがでしょうか。微妙なところがあるかと思います。

○小川構成員 私は開業医の先生に担ってもらうべきと思っています。

○馬場構成員 そうであれば、資料1の表7のプログラム提供場所の例が、第II相、前期回復期も後期回復期も急性期の専門的医療を行う施設が、ここに例として挙げられているので、実際には後期回復期の外来部分に関しても、提供の場所は急性期の専門的医療を行う施設、若しくは内科的治療中心の施設へ移行ということですので、ここはもう少し、開業医の先生方が活躍できる余地があったほうがいいのではないでしょうか。

○永井座長 そうですね。専門的医療は、主に前期回復期を指しているのかと思いました。後期回復期は、あえて急性期専門医療でなくてもよろしいと思いますので、少しここの書き方も工夫が必要かと思います。

○馬場構成員 ということを踏まえてスライド5を見たときに、回復期の医療を行う施設の所のイラストが大きい病院になっています。

○永井座長 絵がですね。

○馬場構成員 はい、診療所を想起させるようなものを加えていただくと、有り難いと思います。本来はこの図の中に維持期の部分も入っていたほうがいいのではないかという気がします。

○磯部構成員 私も今の議論に賛成です。先ほど言ったように急性期のデバイス治療とか、非常に特殊な治療が必要になるような急性増悪心不全症例については、やはりそれなりに高度で大きな救急施設で診るべきだと思います。ある程度、心不全は数日で状況が落ち着いてきますので、それからリハビリへ移っていく過程で、ほとんどの急性期病院も院内でCCUから23日で一般病棟へ移っていくのが普通だと思います。

 更に回復期に病院を移っていく体制にしていただいたほうが急性期を診る病院にとっても負担が減り、患者さんにとってもよろしいかと思います。また、実地でやっていらっしゃる開業医も、施設も多いと思います。今、どうしても急性期の病院で抱え込みがちになりますが、患者さんがシームレスに流れていく方向で、こういう図を書き換えていただくといいのかと思います。

 もう一点だけ申し上げます。今話題になっている資料2のスライド4です。先ほども指摘しましたが、外来管理のときに在宅はとても大事だと思うので、在宅という言葉をどこかに入れていただきたいと思います。スライド5の評価の指標ですが、件数、件数、件数、件数と書いてあり、いつも指摘するのですが、やはり件数だけで施設を認定していくと、また今までの轍を踏んでしまうのではないかという気がします。

 やはり、診療の質を反映させるような指標も併せていただいたほうがよいと思います。質を中心として、QIという概念も最近使われるので、そういう概念も導入していただきたいと思います。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 先ほどの御意見の確認をいたします。資料17枚目、全体の心血管疾患リハビリテーションの提供体制のイメージという形で、後期回復期を行う施設の御議論があったと考えております。このスライド上は後期回復期後の、維持期の所で、ある程度落ち着いてかかりつけ医に移る状態を記載しております。後期回復期の時期も、地域のかかりつけ医がその役割を担いうる。恐らく、患者様の状態によっては、引き続き急性期の施設で行う方もいらっしゃると思いますが、その方の状態に応じて、地域のかかりつけ医も参加するようなイメージになるという理解でよろしいでしょうか。

○永井座長 はい、そうだったと思います。多少この辺りは経験が必要なところはあると思います。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 それに引き続いて、資料2のスライド5の施設のイメージも、これに加えて診療所もイメージできる部分を追加して、状態に応じて適切な所で管理するというイメージで記載したいと思います。

○永井座長 是非イラストも、クリニックも対象になるということですね。あとは、最初に御議論いただいたスライド8です。心不全分類とあるのですが、心不全の疾患概念の分類というよりも対応策の分類みたいな視点で作られていると思いますが、心不全分類とまで言っていいのかどうかです。心不全のStage分類みたいなことでしょうか。磯部先生、言葉はいかがでしょうか。

○磯部構成員 難しいです。確かに分類のイメージではないです。心不全の臨床経過というか、自然歴というか、経過ですか。

○永井座長 そういうことです、経過のイメージです。

○磯部構成員 分類は病態の違いを言うと思いますが、これは患者さんの一般的な経過を表している図だと思います。この図ですが、急性増悪は落ち込んだ所で入院になるのです。だから「急性増悪(入院)」とか、先ほどの資料1の同じ図には入院が入っていました。こういうときに、急性増悪で入院しているというイメージなのだと思いますが、付け加えていただいたほうが分かりやすいかと思いました。

○永井座長 (入院)ですね。

○磯部構成員 「急性増悪(入院)」としておけばいいように思います。この黄色い点々の枠内の部分が入院ですよね。あと件数だけではなくて質も大事なのですが、前回少し議論に施設の指標があります。ただ、一方で、余りそれを表に出しても弊害があります。地域全体でやっていくわけですから、その辺りをどのように考えるのか、いかがでしょうか。ある程度は必要だと思うのですが、地域全体の指標は大事です。

 施設ごとに指標というと、この前も意見がありましたが、実は重症の方が運び込まれてきますので、高度急性期ほど死亡率が高いです。その辺りの施設ごとの指標は気を付けないといけないと思います。でも、地域としての指標はいつも見ていたほうがよろしいです。大きな格差があれば体制に問題があるということになります。

○荒木構成員 指標については、参考資料で出していただいている「心筋梗塞等の心血管疾患の医療提供体制構築に係る現状把握のための指標例」があります。これも指標で、どちらかというと地域全体の指標という意味合いで、多分、医政局から出されているものです。こちらの中には、例えば、地域でプロセス指標として件数を幾らしたかということが分かるのですが、今回、本委員会で提案されようとしている施設ごとの指標の中には、今、永井座長がおっしゃられたようにプロセス指標としての件数もありますが、やはり地域で重要なのは、例えば、急性増悪を普通に受け入れてくれた地域包括ケア病棟がある病院との連携パスをどれくらい使っているのか、患者さんをどれだけ紹介したのかとか、そういうものも、多分、個別施設における指標としては重要になってくるのかと思っております。

○永井座長 いかがでしょうか。

○羽鳥構成員 4疾病5事業のときの指標は、急性心筋梗塞ですよね。

○荒木構成員 これまではそうです、今度。

○羽鳥構成員 今度新しくできるものに心疾患は全て入ってくるのですか。

○荒木構成員 という理解で、今、各県では地域医療計画を作り直しているところです。

○羽鳥構成員 そうしたら、パスはすごく重要ですよね。

○荒木構成員 御指摘のとおりですので、この委員会でそういうものを1つの指標の例として出していただければ、各県もそれに対して取り組むのかという気がします。

○永井座長 初めはそのようなところからでしょうね。非常にこれまでにない新しいことを進めようとしていますから、新しい施策が混乱を起こしてはいけないわけです。本当に全体で力を合わせて向き合う体制ができるまでは、プロセス指標のようなものを中心に出していくということなのだろうと思います。

 ほかに何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。少し時間が早めですが、事務局から、まだ議論の足りないところ等はありますか。

○磯部構成員 少し追加です。前のページのイラストが出ているスライド5です。これもリハビリテーションの実施件数等となっていますので、やはり疾病管理プログラムの実施率とかそういうことだと思いますので、疾病管理プログラムとして御検討いただきたいと思います。

○永井座長 随分、時代も変わったのですね、それだけ運動療法が徹底してきたということかもしれません。昔は余りそういう感じではありませんでした。事務局と相談して言葉を詰めたいと思います。よろしいでしょうか。

 またいろいろな御意見がある場合は、追って事務局へ御連絡いただきたいと思います。取りあえず、これまでの4回のワーキンググループでいただいた御意見をまとめて、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告し、最終的に検討会で、もう一度議論が予定されております。御意見は事務局にメール等でお寄せいただき、最終的に私が取りまとめをさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。事務局から、これからの進め方について説明をお願いします。

○石上がん・疾病対策課長補佐 構成員の皆様には、活発な御議論をありがとうございました。座長からお話がありましたとおり、第1〜第4回ワーキンググループでいただいた御意見をまとめ、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」に御報告いただきます。

 並行して開催している脳卒中に係るワーキンググループからの報告と合わせ、第2回検討会において最終的に議論を取りまとめる予定です。次回の第2回検討会の日程については、追って連絡いたします。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○永井座長 第4回心血管疾患に係るワーキンググループを終了いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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