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2017年5月22日 2017年5月22日 第3回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会 議事録

医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室

○日時

平成29年5月22日(月)
15:00~17:00


○場所

経済産業省別館312会議室


○議題

(1)歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の進め方について
(2)歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の方法について

○議事

○和田歯科保健課長補佐 ただいまより、第3回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。はじめに、濱谷審議官より御挨拶申し上げます。
○濱谷審議官 皆さん、こんにちは。担当審議官の濱谷と申します。本日、委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃から厚生労働行政に御協力・御支援いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 さて、健康長寿・生涯現役社会を実現するためには、生活習慣病の予防をはじめといたします健康づくりの推進、特に栄養バランスの取れた食事をおいしく食べるための口腔機能の維持・増進など、口腔の健康の保持・増進が重要だと考えております。昨今では医療・介護分野におきましても、口腔機能の維持・増進が健康づくり、あるいは介護予防にとっても重要であるということが、様々な研究からエビデンスが出てきているところです。御案内のとおり、口腔の健康の保持・増進につきましては、健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているということで、平成23年に歯科口腔保健の推進に関する法律が公布・施行されました。この法律に基づきまして、平成24年に策定した「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」においては、口腔の健康の保持・増進に関する健康格差を縮小するという大きな目標を掲げ、歯科疾患の予防や社会環境の整備に係る様々な施策を行っているところでございます。
 基本的事項におきましては策定後5年をめどに、中間評価を行うとともに、10年をめどに最終評価を行うことになっております。これを受けて本委員会におきましては、この「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の中間評価に向けまして、まずは各目標項目の進捗状況を評価していただき、併せて目標達成に向けた取組等についても、幅広く御意見を頂きたいと考えております。平成30年は様々な施策において節目の年でございます。そういったところもにらみまして、御議論いただければと考えております。厚生労働省におきましては、今後も歯科口腔保健の推進に係る施策を着実に推進するよう、取り組んでいくこととしておりますので、委員の皆様方におかれましては、どうぞこの委員会におきまして、忌憚のない御意見を頂ければ有り難いと存じます。簡単ではございますが、冒頭の御挨拶とさせていただきます。
○和田歯科保健課長補佐 濱谷審議官は他の公務のため、ここで退席となりますので御了承願います。
 続いて、本専門委員会に御就任いただいた委員の皆様方の御紹介をいたします。はじめに、本委員会の委員長については、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会運営細則第3条に基づき、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の部会長が指名することとなっております。部会長の指名により、委員長は国立保健医療科学院国際協力研究部長の三浦宏子先生に御就任いただいております。
 続いて委員の御紹介をいたします。お手元の名簿を御覧いただきたいと思います。広島大学名誉教授の赤川委員です。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野教授の和泉委員です。健康保険組合連合会保健部専任部長の岩崎委員です。大分県福祉保健部健康づくり支援課母子保健班課長補佐の大津委員です。神奈川歯科大学大学院口腔統合医療学講座小児歯科学分野教授の木本委員です。公益社団法人日本歯科医師会常務理事の高野委員です。公益社団法人日本歯科衛生士会会長の武井委員です。読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員の田中委員です。富山県理事・厚生部次長の前田委員です。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野教授の森田委員です。九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野教授の山下委員です。
 続いて、委員の出欠について御報告いたします。日本医師会常任理事の温泉川委員が御欠席です。
 続いて、事務局の紹介をいたします。医政局歯科保健課長の田口です。医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室長の重元です。医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室歯科口腔保健専門官の本田です。健康局健康課たばこ対策専門官の吉見です。最後になりましたが、私は医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室長補佐の和田でございます。よろしくお願いいたします。
 続いて、配布資料の確認をお願いいたします。まず、お手元に議事次第、委員名簿、座席表があります。このほかの資料は1~4まで、参考資料は1と2を御用意しております。乱丁・落丁などがありましたら、事務局までお申し付けいただきますようお願い申し上げます。
 続いて、本専門委員会の位置付けについて御説明いたします。参考資料2、「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会歯科口腔保健の推進に関する専門委員会設置要綱」を御覧ください。本委員会は、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の策定のため、平成23年から24年にかけて2回開催されておりましたが、その後は開催されておりませんでした。基本的事項については策定後5年をめどに、中間評価を行うこととされており、中間評価を行うため、専門委員会設置要綱を改正し、その改正内容について昨年12月16日に行われた厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で、御了承いただいたところです。今御覧いただいている参考資料2が、そのときに御了承いただいた設置要綱となっております。
 まず、1.の目的です。平成24年に策定した歯科口腔保健の推進に関する基本的事項については、策定後5年をめどに中間評価を行うこととされています。基本的事項の進捗状況を確認し、着実に推進することを目的として、本専門委員会を設置することとなっております。
 2.の検討事項については、基本的事項の進捗状況や目標の在り方等に関する事項、その他基本的事項に策定されていた目標達成のための歯科口腔保健の推進に関する事項について、科学的知見に基づき検討を行っていただくことになっております。
 3.の構成です。委員会の委員については、裏側にある名簿のとおりとなっております。委員長については先ほども御説明いたしましたが、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の細則に基づき、専門委員会委員の中から部会長が指名することになっております。さらに(3)ですが、副委員長は委員長が指名することになっております。
 4.の委員会の運営等です。専門委員会は委員長が召集することになっており、委員長が必要と認めるときには適宜、有識者の参考人招致、また専門委員会の下に作業部会を置くことができるということになっております。簡単ですが、以上です。
 それでは、以降の進行については三浦委員長にお願いしたいと思います。
○三浦委員長 皆様方、委員長を仰せつかりました三浦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。今、事務局から御説明があったとおり、本委員会は歯科口腔保健の推進・向上を目指すために、PDCAサイクルを回し、更なる進化を遂げるために、非常に重要な委員会です。これまで国・自治体等で行ってきた活動を適切に評価し、次に何をなさなければいけないのか、委員の皆様方より忌憚のない御意見を頂き、より良い方向性を見いだしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 早速、議事の本題に行きたいところですけれども、その前に、先ほど事務局から御案内のあった委員長代理を指名したいと思います。要綱の(3)によると、「委員長に事故があるときには、専門委員会委員のうちから、あらかじめ委員長が指名した者がその職務を行う」とされております。この委員長代理について、森田委員が適任かと思いますが、よろしいでしょうか。
 森田委員、よろしくお願いをいたします。併せて議論に入る前に、委員が欠席の際に、代わりに出席される方の取扱いについてです。事前に事務局を通して委員長の了承を得ること、及び当日の専門委員会において了承を得ることによって、参考人として参加し、御発言を頂くことを認めるという取扱いにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、これより議事に入りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。次第のページを御覧になってください。本日の議題は審議事項が2件、報告事項が1件です。審議事項については、この専門委員会が召集された最も大きい案件である、基本的事項の中間評価について、まず(1)のその進め方についてです。(2)は歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の方向について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。併せて、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項は、健康日本21(第二次)の中間評価の進め方と関わり合いを持ちますので、報告事項として、健康日本21(第二次)の中間評価を挙げています。議題の審議に当たっては、報告事項も含めて参考としていただきたいので、最初に事務局より一括して、資料の説明をお願いしたいと思います。それでは資料1より事務局側、よろしくお願いをいたします。
○本田歯科口腔保健専門官 資料1を御覧ください。こちらは歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の進め方(案)です。こちらには検討方法、検討内容、今後のスケジュールということで案を書かせていただいております。
 1.の検討方法です。中間評価に向けた検討会については、この委員会の親部会に当たる厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において行うこととし、検討に当たってはこの部会と連携しながら、また検討状況に応じて専門委員会を追加するなどしながら、作業を進めることでどうかと思っております。
 2.の検討内容です。(1)の指標ごとの評価については、目標は全て19項目ありますが、目標項目ごとの直近実績値に係るデータ分析、目標値に達している場合には目標値の見直し等を実施いたします。(2)の領域ごとの評価については、指標全体の評価、国・自治体、企業や団体等の取組成果の評価を行ってはどうかと考えております。
 3.は今後のスケジュールです。ここに具体的なスケジュールをお示ししております。部会でもお諮りしたものですが、左が部会の日程、右が専門委員会の予定ということで書いております。本日5月22日の専門委員会において、中間評価の評価方法等を行い、6月に予定している次回に実績値の評価等を行います。その後、秋をめどに報告書骨子案を作成し、平成30年の2月から3月頃に報告書案を作成します。最終的には平成30年夏前の地域保健健康増進栄養部会にお諮りし、中間評価報告書の最終審議に入っていただくことを想定しております。
 左側に「参考」と書かれておりますが、こちらが歯科口腔保健の推進に関する基本的事項です。この中に目標の設定の評価ということで、下から3行目に下線を引いております。「歯科口腔保健の推進に係る施策の成果については、基本的事項の策定後5年を目途に中間評価を行うとともに、10年後を目途に最終評価を行う」とあります。この「目標設定後5年を目途に」という所が、今回の中間評価に当たるものとなっております。資料1について、事務局からは以上です。
○三浦委員長 続きで御説明していただいたほうが、多分分かりやすいかと思いますので、関連しているところとして、資料2の説明もお願いいたします。
○本田歯科口腔保健専門官 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の方法(案)です。1.の評価・検討の方法については、基本的な考え方として、目標に対する実績や取組の評価を行うとともに、その評価を通して値の動きや特徴的な取組について、“見える化・魅せる化”ということで、工夫を行いながら示していくことでどうかと思っております。これらの評価結果を踏まえ、今後の社会状況の変化等も見据えた上で、重点的に取り組むべき事項について検討してはどうかと考えております。
 (1)の指標ごとの評価については先ほど申し上げたとおり、19項目ありますが、計画策定時の値と直近の値を比較して、分析上の課題や関連する調査・研究のデータの動向も踏まえ、目標に対する数値の動きについて分析・評価を行うこととしてはどうかということです。その具体の方法としては、以下の(1)(2)の手順です。(1)は直近時に係るデータ分析で、直近値が目標値に対してどのような動きになっているか、留意点を含めながら分析をしていただきます。それを踏まえて(2)の評価ということで、直近の実績値が目標に向けて改善したか、不変又は悪化した等を簡潔に記載する形式でどうかと考えております。分析・評価の結果としては、指標ごとに別添の評価シートに記載することでどうかということです。
 3ページに横紙で、「参考1」と右側に四角で示しているものを御覧ください。こちらの左側のシートです。「指標(目標項目)ごとの評価シートの例」ということで、目標項目、ベースライン値、直近の実績値、コメント、評価をこちらにお示ししております。また、この評価については、目標に向けて改善したか悪化したかは、a1、a2、b、c、dの5段階で評価してはどうかと御提案しております。
 また、資料2の1ページを御覧ください。こちらが案となっております。a1が「改善しており、目標を達成している」、a2が「改善しているが、目標は達成していない」です。この中では目標達成の見込みについても記載する形でどうかと思っております。bが「変わらない」、cが「悪化している」、dが「設定した指標又は把握方法が異なるため評価が困難」といった評価をすることでどうでしょうか。
 2ページを御覧ください。次に、歯科疾患の予防における目標、生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上における目標等の領域ごとに、指標全体の評価とともに関連した取組を整理し、今後の課題を検討することにしてはどうかということです。
 3ページの参考1のシートに戻ってください。先ほど左が目標項目ごとの評価シートの例と申し上げましたが、領域ごとの評価の取りまとめは右側になっております。指標の状況について、具体的にはa1、a2、b、c、dの5段階で評価した項目数を整理し、指標全体の評価を簡潔に記載することとしてはどうかということで、こちらの評価シートをお示ししております。関連した取組においては、国・自治体、団体等、様々な立場での取組がありますけれども、特徴的なものを整理して評価することとしてはどうかと考えております。口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小に向けた取組や、社会環境の整備については、複合的な取組が一体となって進んでいきますので、必要に応じて取組全体が理解できるような整理をしてはどうかと考えています。
 先ほどの資料1の4ページ、参考2を御覧ください。参考2では社会環境の整備の取組例の1つとして、う蝕予防の推進を例に、地域格差の解消を目指した社会環境の整備について記載しております。参考2の資料は、次に報告がある健康日本21(第二次)推進専門委員会の資料にもなっておりますが、学会や国の取組が基にあって、各自治体での取組、専門職種の取組、住民の取組が連携してう蝕予防が推進されるということで、左側に目標値があります。3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加ということで、そういった地域を増やそうという目標がもともと立てられており、それを達成するためにいろいろな立場での取組が連携するという事例を、こちらで示しております。
 参考2では各項目等でまとめられるものがあったら、そういう形で見える化でお示しすることでどうかと考えております。
 資料2の2ページの最後、今取り組むべき課題についてです。実績値の評価、関連した取組、諸活動の評価を踏まえながら、今後の社会状況の変化を見据え、重点的に取り組むべき課題について検討し、整理をしていくことでどうかと考えています。また、取り組むべき課題として調査や研究も必要ということも含めてはどうかと考えております。最後になりますが、冒頭に御説明した基本的事項については、健康日本21(第二次)と調和を保ち作成されており、この中間評価においても健康日本21(第二次)の中間評価と連携を図りながら、検討を進めていることになっております。事務局からの説明は以上です。
○三浦委員長 今、ちょうど参考資料の御説明があったところですが、参考資料の下の2ページを御覧いただきたいと思います。歯科口腔保健の推進に関する基本的事項は、健康日本21(第二次)と緊密な連携を取って、目標項目等が設定されています。最初の立て付けとしては、健康日本21(第二次)の目標項目を全て包含する形で、基本的事項の中に取り入れているという形になっております。意識的に重複させたわけですが、両方に重複している項目にはマル印が付いています。
 また、領域ごとの横ぐしを刺した評価もするという御案内が先ほどありましたが、ちょうど目標項目の上のほうにタイトルがあります。歯科疾患の予防、生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上、定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する目標、そして社会環境の整備という大きな領域が組まれて、最終的にこの4領域が向上することによって、大目標である口腔の健康の維持・保持・増進に関する健康格差の縮小を図ろうという流れなので、それに合った形の中間評価をしてはどうかという御提案でした。
 今申し上げたとおり、この基本的事項の内容というのは、健康日本21(第二次)の中間評価と関わり合いが深いので、資料3、4の御説明をお願いしたいと思います。
○吉見たばこ対策専門官 私のほうから、健康日本21(第二次)の中間評価の進め方及び方法等について、簡単に御説明させていただきます。しかしながら、先ほど御説明があったとおり、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の進め方及び中間評価の方法と、全く一緒と言っていい形で連携を取らせていただいております。ちなみに、健康日本21(第二次)は健康寿命の延伸と健康格差の縮小を一番上の目標として、53の指標を掲げております。その中で今回、歯科口腔保健の推進に係る19項目のうちの10項目が重なる指標として位置付けております。
 今日は歯科専門委員会ですが、先ほど専門官から紹介があったとおり、同じ厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の下に、健康日本21(第二次)推進専門委員会という同じ作業部会があり、そちらでパラレルで現在、検討を始めようとしているところです。歯科の評価については、こちらの専門委員会での評価を基にして、若干我々のほうがこだまをするような形で専門委員会を開き、同じ部会にそろえて報告するという流れになっております。
 資料3の1枚目は本当に同じですので、資料3の3ページのスケジュールを御覧いただければと思います。同じような図に見えるのですけれども、部会は同じ地域保健健康増進栄養部会です。ただ、作業委員会が専門委員会ということで別なものになっており、既に2月に一度、こういう方法でどうかということを議論しております。個別の53の指標について評価を進めていくのは2回に分けておりますけれども、5月30日及び6月29日に予定しております。口腔保健、口の健康に関する目標については6月29日に扱おうと思っておりますので、歯科専門部会での御議論の様子等をまとめてはめ込ませていただく形で考えております。
 5月、6月と53の幅広い範囲で歯科も含めて検討した後に、平成29年7月に中間評価の進捗状況として、同じ部会に取りまとめて報告させていただく予定です。その後、報告書の骨子のようなところで、見える化と言いますか。「地域格差の縮小を目指したう蝕予防の推進」という図がありましたけれども、このような図の示し方によって、口腔保健の推進であったり、もちろん健康寿命の延伸ということであったり、そういうことにつながる施策部分や概念をこのような形で整理し、報告書に取り込むような形でまとめていきたいと思いますので、中身的には今回のように連携を取って進めさせていただければと思っております。
 先ほどの資料の3ページに戻ってください。口腔保健、歯科専門委員会のほうは平成30年の2、3月辺りで取りまとめになるのですけれども、健康日本21(第二次)については、健康寿命の数字が出てくるのが平成30年度に入って、ちょうど今の時期ぐらいになることが予想されています。その健康寿命の数字の取りまとめをもって、最終的な報告書に持っていきますので、ちょっと回数が多いですけれども、最終的には平成30年6月、7月に中間評価という形で取りまとめをする予定にしております。スケジュール上と委員会の関係だけに焦点を当てて説明いたしましたが、健康日本21(第二次)及び口腔保健の推進に関しては、連携を取って進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○三浦委員長 資料4のご説明はどうしましょうか。
○吉見たばこ対策専門官 資料4は、評価・検討の方法についても既に御説明いただいたとおりです。ただ、1点細かいことを申し上げますと、2ページの健康日本21(第二次)の評価はaを達成している、達成していないで、あえて分けておりません。というのは、あくまでも中間ですので、達成したかに見えて下がったりとか、いろいろなことがあり得ますので、恐らくここは最終評価では達成した、達成していないときちんと分けていくかとは思うのですが、現時点では改善傾向は一緒くたにして、かなり緩めでの分類にしております。ですので、歯科口腔保健での評価は、a1とa2を合算して、改善しているとまとめさせていただければと思っております。
 その他、微妙な様式などが少し違うかもしれませんが、取組の見える化の図示は、例えば減塩や民間の取組なども含めて、健康日本21(第二次)のほうは示しておりますので、御参考までに御覧いただければと思います。簡単ですが以上です。
○三浦委員長 ちょうど、この健康日本21の基本的事項を立案したときから見える化を非常に強調していたところです。中間評価になって、更にハードルが上がり、魅せる化も入ってきたところです。このようにパワーポイントで分かりやすい図を作ることによって、国民の皆様方にこの政策の重要性や、どういった成果が得られたのかを説明できるのではないかという御説明でした。
 今、お話をしたとおり、両者は非常に密接な関連性を持っているということは、余りドラスティックに枠組みを変えることはなかなか難しいような状況です。ただ、やはり歯科口腔保健の特殊性や特異性もありますので、先生方に御議論をしていただきたいと思います。これより、皆様方から忌憚のない御意見を頂きたいと思いますが、幾つか論点を絞って順番に討議を進めていきたいと思いますので、御協力をお願いいたします。とはいっても非常にシンプルな流れで、資料2に記載があるとおり、指標ごとの評価と領域ごとの評価、そして全体を通して今後取り組むべき課題の3つが大きな論点になります。1つ目の指標ごとの評価が最も数が多いので、少し時間を頂いて、30分程度先生方から御意見を頂けたらと思っております。引き続き、領域ごとの評価について25分程度、そして最後の今後取り組むべき課題についても20分程度の時間を設定して、キックオフミーティングの意味合いもありますので、是非思われていることを述べていただければ幸いです。
 それでは、まず指標ごとの評価について、御意見を頂きたいと思います。19項目の指標が設定されておりますが、お気付きの点などはいかがでしょうか。委員長側が特に先生方に御意見を頂きたいのは、資料2の(1)「指標ごとの評価について」の最初の○の3行目からです。「また、既に目標を達成している項目については、目標値の見直しを行うこととしてはどうか」。これは、実は今日の委員会で決めなければいけない案件になります。歯科口腔保健は、関係者の努力によって、良いスピードで目標を達成しつつあります。歯科疾患実態調査の最新の値は、ただいま集計中です。リリースが6月の初旬で、そこでデータ等は提示されますが、現時点でかなりの改善が見込まれている項目もありますし、もちろんそうではない項目もあります。そのような状況を踏まえ、既に中間評価の段階において、ベースラインで設定した値より改善をしているものについて、どのようなアプローチをしていけばいいのかについて御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。高野先生、健康日本21(第二次)の専門委員会で委員を務められていらっしゃいますが、その辺りの経験も踏まえて、何か御意見はありますか。
○高野委員 私は、もう1つの部会と親会に参加しております。その中で、この前も健康日本21についての中間評価が出ていたと思うのです。それにおいてもかなり改善する点があって進んでいます。歯科の場合は、どちらかというと数値的なものは出やすいところが多いのですが、出やすいだけに逆に言うと、数値だけに頼らずに将来的には数値ではなくて改善がいいというあやふやな状態。要するに、向こうで言われる改善を示すような項目も、将来においては盛り込むべきではないかと常々思うことがありますので、それはまた順次お伝えしたいと思います。
 作業のときには、歯科は項目がある程度絞られた状態ですので、かなり専門家の先生方に揉んでいただくような形になろうかと思いますので、よろしくお願いします。
○三浦委員長 状況も踏まえての御説明を頂きまして、どうもありがとうございました。歯科の場合は、かなり項目も絞られていて成果を出しやすいような状況にあるのではないでしょうか。そのまま目標値を変えずに定性的な表現で書き込むというやり方もあります。更に高みを目指して、目標値を再設定して、歯科口腔保健の推進を図るというやり方もあります。どちらも一長一短いろいろあろうかと思いますが、その点は実は作業量に影響を与えます。目標値の再設定となりましたら、ベースラインの時と同様に、目標値の設定にそれなりの根拠を求められます。今は健康日本21(第二次)でも、この基本的事項でも、エビデンスがないものは採択されない方向にあります。この辺りが、基本的事項と健康日本21の最初の目標値設定のときに、大変苦しんだところです。それも踏まえて御意見を頂けたらと思います。いかがでしょうか。
 今回は、口腔衛生分野から学会関係者の山下先生、森田先生に出ていただいておりますが、口腔衛生の見地から何かコメント等はありますか。
○山下委員 まず根拠としての乳幼児、学童期は、被健診者数が多いので、かなり安定した指標や目標が設定できると思います。今回の評価でも改善していることについては、5年間の改善で仮に目標を達成しているのであれば、この5年間の改善した数値をもう一回積み上げて、再度5年後に同じ値の改善が期待できるのではないかという気がします。その辺りは、かなりデータに基づいた評価ができるかと思います。ただ、成人期や高齢期のデータに関しては、十分なサンプリングができていないのではないかと思います。特に、歯科疾患実態調査などの標本数を見ますと、バイアスなのか、本当の改善なのかの判断が難しく、どこまで客観的にものが言えるのかが非常に悩ましいところですので、その辺りを今後どうするのか考える必要があると思います。データを歯科疾患実態調査だけに頼るのか、あるいはいろいろな所で大規模なコホート調査などもされていますので、そういった調査結果をある程度参考データとして組み入れていくことを考えていかないといけない時期にきているのかもしれない気がします。
○三浦委員長 非常に重要な御指摘ではないかと思います。後ほど総合的なところで追加の意見が出てくるかもしれませんが、データをどうするのか。特に、今御指摘がありました成人期以降です。今は高齢期の口腔機能の向上については主観的な評価になりますが、国民健康・栄養調査を使っており、ある程度のサンプル数は一応獲得できていますが、なかなか悩ましいのが成人期の歯周病です。ただいま御指摘の点は中間評価の段階ではいかようにもしようがないのですが、次のステップに向けて考えておかなければいけない問題点かと思います。今から考えてちょうどいいぐらいの事柄になってくるかなと思いますので、貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。
 それから、う蝕に関しては御指摘のとおりではないかと思います。学校保健統計調査がほぼ全数に近いデータで出てきます。それから3歳児歯科健診についても、十分なサンプル数が獲得できますので、ある程度蓋然性のあるデータを出せるかなということで、目標値の再設定を必要とする場合も、比較的推計等がしやすいかなと考えるところです。推計しづらい部分がなかなか悩ましいところで、全然データがなかった定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に関しては、前回のベースラインでデータがないので、データを取るところから厚労科研でやったというような背景要因があります。少なくともう蝕に関しては、目標値の再設定をある一定のエビデンスをもってできるのではないかというようなところでしょうか。
○森田委員 いや、それはそれでいいのだろうと思うのですが、以前に目標値を設定したときに、どのような根拠でやったのか。それが、今回予想よりも外れたというか、ちょっとずれていたと。では、何がずれた原因なのかも分からないと、同じ推計をしても同じことになるのではないかと思うのです。数学的な、統計学的なスキルがあるならばいいのですが、私もよく勉強していないので、その辺りがどのような根拠で前回されたのか分からないので、むし歯に関してもそれがクリアになったらそれを是正されたらいいのかなと思います。
○三浦委員長 この辺りの経緯については、健康日本21(第二次)の一般向けの指標設定の説明書が、厚労省のホームページからもダウンロードできますが、そこにも記載をさせていただいているとおりです。歯科関係に関しては、回帰直線を用いた推計をもとに目標値を設定しました。一部の指標については、対数モデルを用いた推計を行っています。基本的には直線回帰による推計値を用いたところですが、これはあながち捨てたものではなく、ほぼ妥当な推計結果となっているかと思います。当初、う蝕の有病率はこんなに下がるのでしょうかというような意見も出ましたが、その後も若干傾きは落ちましたが、継続的に低下しています。それから、歯の現在歯数においても、こんなに高い目標は大丈夫でしょうかと言っていたところですが、概ね妥当なレベルまできています。このようにサンプル数が一定以上あり、継続的な傾向が認められたものに関しては、推計結果と大幅にずれてはないかなというような認識ではいます。
 ただ、推計は非常に難しいもので、完璧な推計はなかなかできないと言われていますので、その点はあらかじめある程度織り込み済みで対応していただくことになろうかと思います。その他、お気付きの点はありますか。
○前田委員 富山県の前田と申します。私自身は歯科医師でないので、数字は皆さんに感覚を教えていただければと思います。例えば、乳幼児期で3歳児のう蝕のない者のといいますと、現場の実感としては、う蝕を持っていらっしゃる方の数は減ってきています。他の健康日本21(第二次)の指標の中でも、非常に優秀な数字ではないかなという感覚ではおります。例えば、数字を単純に引き上げるのが、より理想に近付いている話なのか、これ以上上げようがない数字を更に上げようとしているのか、その感覚が読めなかったもので、数字の見直しの場合に1つの議論になるかなと思ったのが1点目です。
 特に、今目標としている数字を単純に引き上げるのが非現実的であれば、例えば3歳でう蝕のない方を目指して、各県なり各職種なりがいろいろな取組をされていると思いますので、もし効果的な取組があれば(2)にも入るかもしれませんが、そこの評価に入れるのみならず、例えば指標の中で少しにおわせていただくのも、公衆衛生をやっていますと、こういう施策をやるとより効果が高いのかというのが勉強になりますので、そういった御示唆を頂けると、より面白いかと思いました。
○三浦委員長 非常に重要な御指摘かと思います。やはり上げる余地があるのか、またそもそも論として、目標値を上げた結果、何を目指すのかというところと密接に関わってくるかと思います。その辺りも含めていかがでしょうか。領域によって違ってくるところはあろうかと思います。かなり成熟した領域であるう蝕予防と、ある意味チャレンジングな新しい歯科口腔保健法ができたことによって設定された目標値もあります。その領域の特色によって、アプローチを変えざるを得ないところもあろうかと思いますが、その点も含めていかがでしょうか。
○大津委員 大分県庁の大津と申します。大分県庁も含め行政機関においては、目標値はやはり必要になります。というのは、毎年の歯科保健等の予算折衝においては目標値を定め、それに何パーセント近付いたかという数値を出さないといけないのです。それで、目標値を達成したら、それより上の値を設定するのか、あるいは今、前田委員が言われたように、ある程度上限値に近い部分に対しては、それを何年継続させるといったような目標値は新たに考えていただいたほうが、地方から言えばやりやすいかなと思っております。
○三浦委員長 地方自治体の状況も非常に重要な決定要因の1つかなと思います。その他、何かありますか。
○山下委員 地域格差の問題はよく言われますが、日本の都道府県レベルでの地域格差等がよくクローズアップされると思います。しかし、都道府県単位の平均値で見ると低い所でも、同じ都道府県内で見ますと、実はかなり地域差が出てきています。そういう意味では都道府県内における、狭い範囲内での格差是正をもう少し強調して貰うと良いのではないかと思います。福岡県でもフッ化物洗口などがなかなか広がっていません。しかし、福岡県の全ての地域でう蝕がかなり抑えられているかというと、抑えられている地域もあれば、そうでもない地域もあります。そのような地域格差の中で危機感をきちんと感じてもらうことで、もっとモチベーションを上げて貰えるような問い掛けができるのではないかと思います。都道府県内での地域内格差をきちんと評価して、その地域内格差をきちんと是正していくような問題解決の方向性が大切と思うのです。地域格差というと、日本レベルの格差で終わってしまっていて、平均値で全ての話が済まされていますが、狭い範囲の中にも格差があるので、そういうものにもう少し目を配って、その中で問題を是正していくと全体の問題点が徐々に解決に向かうはずなので、そういう観点をもってもらうことが必要かなと思います。
○三浦委員長 一応流れとしては、ここでは国全体のことを討議するということで、各自治体内、各都道府県内の格差は、それぞれの自治体が作成する歯科口腔保健推進計画において、地方の自治体版の基本的事項で目標設定をしてもらうという形になっています。各自治体でそのような視点を向けて目標設定をされているかどうかは、ある程度この中間評価で目配りをさせることはできるかなと思います。多分、細かいミクロのところになると、それぞれの自治体の役目になろうかなと思います。その他、何かお気付きの点はありませんか。大丈夫でしょうか。そうしますと、今お話をお伺いしていますと、更に上げる余地があり、その必要性が高いものは、分析の結果目標値の見直しをしてもいいかもしれないけれども、分析の結果既に十分上がり切っていると判断された場合は、新規の目標値というよりは、それを維持していくことも立派な目標なので、そのようなアプローチでもいいのではないかというような御意見が出ていますが、いかがでしょうか。
○武井委員 日本歯科衛生士会の武井と申します。目標値を設定したときに、エビデンスに基づいて設定しており、中間で達成したとしても、例えば歯の寿命を延伸するということは、いろいろな理由があって延伸しているわけで、これをまた見直すのではなく、歯磨き習慣や歯周病等が5年後にどうなったかを見ていけば、せっかく設定した目標を変える必要がないという考え方もあると思います。
○三浦委員長 その他、いかがでしょうか。何か御意見はありますか。
○高野委員 個々のことなのですが、参考資料1の下のほうの3の「生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上」の(1)乳児期における具体的指標として、3歳児における不正咬合等が認められる者の減少とあります。結構これは難しいと思うのですね。対応として、早めに処置しても不正咬合が軽減できるとは限らないものもありますし、また発生自体をどうするのかということもありますので、かなりの努力と病院で何とかなるものと、少し違う項目が入っているので厳しいかなと思います。この辺りの設定は継続なのかと思いますが。
○三浦委員長 これを作ったときの苦しい状況が、今フラッシュバックのように訪れてまいりました。この19項目の中で最も大変だった目標が、こちらです。今、高野委員の御指摘のとおりかとは思いますが、なぜこの指標が置かれているかといいますと、小児期における口腔機能の育成の必要性は、ベースラインの基本的事項を作るときの専門委員会でも、ほぼどの委員の皆様からも満場一致で、それは重要だということになりました。しかし、小児期の口腔機能の評価データが本当になく、全国データがそろっていたものは咬合機能のデータしかなかったというようなところもあり、苦肉の策で目標を置いているようなところではあります。これは御指摘のとおり、中間評価は粛々と評価をするしかないと思うのですが、その次に向けて、先ほど言いました今後の課題です。全国規模レベルのデータがないと、幾ら重要なマターであっても具体的な項目に落とし込めないので、これも今後少し考えていかなければいけないところです。御指摘ありがとうございました。その他、お気付きの点はありますか。
○岩崎委員 健保連保健部の岩崎です。保険者の中では、このような指標を作ったとき、PDCAサイクルを展開し評価をすることが非常に大切だと言われています。アウトカムが達成できたときにどうするかという話だと思いますが、先ほど、森田委員や前田委員がおっしゃっていたとおり、どういうことを実施したからアウトカムが達成できたというところを明確化しないといけないと思います。ただ単にアウトカムを変えるのではなく、どうして達成できたか分析し明確化して、さらにいろいろなアウトプットを投入できれば、アウトカムを変えてもいいのではないかと思っています。
○三浦委員長 これも基本的事項を立てたときに御指摘を受けていた所ですが、どちらかというとアウトカム中心型のインディケーターが並んでいます。評価はアウトカム以外に、アウトプットストラクチャー評価をバランスよくやらなければいけないとは言われているのです。どうしても設定できる項目数に限りがあるということで、アウトカム中心になっているのですが、分析をするときにはおっしゃったとおり、例えばう蝕に関して提言している理由はこうである、歯科検診の受診率について向上しているところは、実際にこういった取組があるといったような書き込みをきちんとやることによって、見直し案が実現可能性を帯びてくるかどうかにつながってくるかと思います。御指摘ありがとうございました。その他、お気付きの点はありませんか。
○木本委員 私は今の御意見に強く賛同させていただきます。実際のアウトカムがどのような形に出てきたかというところに、どういう介入をしたのかというところが何も語られていないと、ただ自然に減少したのですか、それは何か行政が働き掛けてやったのですか、それは専門性のある職種がこういう活動をしたからこうなったというのが見えてこないと、やはり社会の中で何を改善して、どう改善していくかというところまでの議論に進まないのではないかと思いますので、そこは必要だと思います。
 1点、先ほど山下先生がおっしゃっていましたけれども、地域間格差というのは確かにあります。市町村のデータを見ましても、同じ都道府県内でもかなりその地域によって、随分平均値に差が出てきております。集団というように今1つのくくりを作っていますが、我々が現場で診療している中で、これは、取りも直さず大きい地域の中での世帯間格差と言わざるを得ないと。
 例えば、言い方は悪いですが、片親世帯のお子さん方の中には、社会経済的な要因があって、検診に定期的に来られない方もおられます。そういう方々を見ていますと、明らかにその格差が広がっているなというのが、我々の診療している現場の中での声です。確かに平均値は減っていますし、1人平均う歯数も減っています。その一方で、口腔崩壊と言われるような、処置を受けていない、未処置のう蝕が10歯以上あるような患者さんが歴然としているというこの世の中で、では、そういう方々が定期的な検診を受けているかというと、やはりその中で集団として捉えたときの平均値としてそのアウトカムを捉えていくのか。では、我々はどう働き掛けて、その全体を減らしていく活動をしていくべきなのかというところの議論が少し足りないのかなという感があります。今、私どもの小児歯科学会でも、そこは何らかの形で地域を巻き込んだ形に包括的に取り組んでいくという中で、小児期を取り残さないというところで取り組んでいきたいと思っています。
 もう一点は、確かに口腔機能の評価が非常に難しいと私どもは痛感しております。今現在、小児期の口腔機能発達評価マニュアルというのを作り始めております。なかなか低年齢のお子さんの口腔機能の評価が難しいものですから、器具の開発から始まって、今そこの評価を始め、そろそろデータが少しずつ出てきているところです。是非、エビデンスをそろえまして、御提示させていただこうと考えております。以上でございます。
○三浦委員長 非常に力強い御発言をありがとうございます。今、国の政策では、一番用いられるデータは国が実施している統計データです。それ以外に学会のデータは専門家がきちんと吟味して出していただけるというところで、それなりの重みを持ってこういった国の政策にも使えるという形になっていますので、学会側がそのようなエビデンスを出していただけると、本当に有り難い限りです。是非、引き続いてお願いしたいと思います。
 ポンチ絵というか、概念図としてパワーポイントの図が添付で付いております。資料2の最後のページを参考にもう一遍見ていただきたいのですが、この中に、下に学会の取組がしっかりと明記されています。先ほど申し上げたとおり、いろいろな関係者が連携し合って進めていくところで、それは専門職だけの取組ではなく、地域住民自身の取組、これは歯科口腔保健法でそのようにうたっています。それを支える自治体の取組も、非常に大きなウエイトを持っています。国の取組、そして、エビデンスを提供する側の取組として学会の取組も非常に大きなウエイトを持っております。是非、今後も先生方が所属している学会で何かそういったエビデンスや政策宣言、そういったものも情報共有していただけると、更に継続的に実りの多いアプローチができるのではないかと思います。
 健康格差はおっしゃるとおりで、実は、健康日本21(第二次)を立てたときに、健康格差の専門家も多数専門委員の中にいらっしゃいました。本来、健康格差は社会経済的な格差がもたらす健康状態の差を見るというのが学術的な定義なのですが、なかなか日本において、そこをきちんとフォローするのが難しいので、まず、アプローチしやすい地域差からいきましょうというようなところでした。
 ただ、その後も国民健康・栄養調査では、経済的な格差が食生活に与える影響等をフォローしているので、歯科のほうも実はそういった基礎データを日常から蓄積していくことが非常に求められているのかと思います。中間評価ではなかなかそこまで反映できないのですが、貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。
 あと、指標ごとの評価についてお気付きの点はありませんでしょうか。先ほど事務局側からも説明がありましたが、健康日本21(第二次)の中間評価と大きな違いとしては、歯科の項目は比較的、達成している項目も見られます。資料2の1ページ目の下の図で、aの部分を1と2に分けて、健康日本21(第二次)の中間評価では「改善している」だけだったのを、あえて「改善していて、目標を達成している」、2では「改善しているけれども、目標は達成していない」という置き方をしています。こちらについてはいかがでしょうか。目標値の見直しと若干リンクするところがありますけれども、この点について御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。むしろ、書きぶりで変えたほうがよければ、健康日本21(第二次)の中間評価と同じようなaをあえて分けないという方法も選択することができます。ここは重要なところだと思いますので、委員の皆様方の御意見を伺いたいと思います。和泉先生、何か御意見はありますでしょうか。歯周病はとても重要なところなので宜しくお願いします。
○和泉委員 この目標値を見て、例えば20歳代で歯肉に炎症所見を有する者31.7%の目標値がなぜ25%なのだろうというようなことを考えていたのですが、直帰回線によって導き出された数字なのですね。このような評価をすることは、具体的に見やすく、非常に分かりやすいので、目標値の設定は続けていただきたいと思います。あと、ここにいろいろな補足する内容が入ってくればと考えております。
○三浦委員長 ありがとうございます。目標値の設定については、先ほどと同じ答えとなります。
○和泉委員 はい。
○三浦委員長 要するに、今までの状況から、この状況が維持されるならば、ここまで下がりそうというのを直線回帰から推計した結果で、目標値としています。
○和泉委員 直線回帰ですね。
○三浦委員長 う蝕と同様に、比較的シンプルなやり方でやっています。
○和泉委員 ただ、この25%がこの次の10年でどう変わっていくか、その20代の方が30代のときにどうなってくるか、どう変わってくるか。この場合には、30代ではなくて40代で進行した歯周炎を有する者になっていますけれども、そこにどう影響があるのか少し考える必要があると思います。そのようなことも含めて、この目標値というのは設定すべきだと考えます。
○三浦委員長 御指摘のとおりかと思います。ただ、ベースとなるデータや知見がなかったというのが大きな問題点でした。
○和泉委員 特に歯周病は無いと思います。
○三浦委員長 疫学データについては、あまりない状況でしょうか。
○和泉委員 はい。
○三浦委員長 健康日本21(第二次)では、高血圧目標などは、日本人を対象とした疫学研究からの知見にて、オッズが出ています。こういうことをやると、どのように変化するのか、オッズで判断できるので、逆算することができたのですが、歯科の場合は残念ながらなかった状況でした。そのため、過去の経緯からそれが継続して続くとどうなるかという推計をもとに、ここまでは到達してほしいという考え方で目標値を定めております。ですから、より高い所を目指すというよりか、今の努力を続けていけば、ここぐらいになるであろうというところから目標値を設定しています。エビデンスが少し不足していたというところも事実としてあるのです。その辺りも例えば、歯周病がこれぐらいある程度まで増えると、生命予後に影響を与えるとか何かそういうようなエビデンスがあると、逆算して説得力がある目標値設定ができると考えるところです。この辺りは最後で討議しようと思っていた(3)「今後検討すべき課題」に深く関わるのですが、う蝕以外、エビデンスが若干薄いのかなというのが正直な今の現状なのかと思います。
○山下委員 それに関して発言してもよろしいですか。
○三浦委員長 はい。
○山下委員 今は余り受診率が高くないので、余り建設的なことは言いにくいのですが、歯周疾患検診を予防事業と想定した場合「60歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少」には、そのための歯止めとしての方策があると言えると思います。しかし、20歳代、40歳代では、そこに何も予防的なアプローチがされていない気がします。そこでの何か保健対策というか、歯周病に対するきちんとした事業がないと、こういう数値を設定する根拠が見えてこないと思います。市町村によっては35歳で歯周疾患検診を実施している所もありますが、国のレベルで40歳以下の若年者についての歯周組織に対する保健事業の実施指導があればと思いますが、いかがでしょうか。
○三浦委員長 その辺りで、事務局から何かありますか。今、健康増進法に基づく歯周病検診ですが、昔は歯周疾患検診と言っていましたが、10歳ごとですけれども、制度として担保はしているところなのですが、何か追加でありますか。
○本田歯科口腔保健専門官 健康増進法に基づく歯周疾患検診では、40歳、50歳、60歳、70歳で行っており、そこは自治体のほうで取り組んでいただいています。今、御指摘のとおり、では、そこにはまらない年代というか、20代、30代に対しては、どのように取り組んでいくかというのが一つの課題になっております。また、40代、50代、60代等の10歳刻みで十分かということなど、そこについて具体的にというのは、今申し上げられるものはないのですが、そこに対しての問題意識というのは、私どものほうでも持っています。
○三浦委員長 では、時間がかなりたちましたので、ここで確認をしたいと思います。一応、目標を達成しているものについては、状況にもよりますが、必要があれば目標値の見直しを図るということでよろしいですか。
 併せて、この評価のカテゴリーですが、ここも一応、事務局の提案の形で行うという、特に問題ないでしょうか。そうしましたら、このような形で歯科のほうは、aのグレードを2つの階層に分けて提示する形を取りたいと思います。
 健康日本21(第二次)のほうでも、歯・口腔の健康に関する指標として報告しなければいけないのですが、これはカテゴリーを2つに分けていても、まとめることは可能ですので、健康日本21(第二次)の中間評価のほうには影響を及ぼさないかと思います。ではそのような形で歯科に関しては、指標についてのアプローチ、評価について行いたいと思います。どうもありがとうございました。
 引き続きまして、領域ごとの評価についてです。これは実は難しい面もあり、やりづらい分野もあり、いろいろな御意見があろうかと思います。資料2の3ページ目に記載されている右側のほうですが、「領域ごとの評価の取りまとめの例」で、領域面は先ほど申し上げたとおり、参考資料1の下のほうの目標一覧で掲げられている領域名がここに入るという形であります。サマライズした形で、領域によっては項目数といっても2個ぐらいしかないのもあるので、なかなかやりづらいというような感覚を持たれている先生方もおられると思いますが、策定時の値と直近値を比較するというところです。改善した、改善しないというところは各指標の評価において検定を掛けます。片側検定を掛けるのが標準パターンのはずですので、そこから得られた結果を項目数として記載し、同じ領域のものは相互に関連し合っている可能性が高いので、関連した取組等々、先ほどのアウトプットとか、プロセスに関わるところを書き込んでいただきます。
 今後の課題として、やらなければいけないのに不足しているものを書き入れていただくというような全体の流れになっているのが、この参考1と書いてある「領域ごとの評価の取りまとめの例」になりますが、この辺りの御意見はいかがですか。田中委員、何か御意見はありますでしょうか。
○田中委員 これは日本の医療とか、健康政策全体に言えると思いますが、例えばアメリカやヨーロッパだと、ある治療や健康政策を導入するときに、本当に効果があるのかどうかを、臨床試験をしたりして調べたうえで導入することが多いと思いますが、日本は余りそういうことがありません。これは健康診断もそうですし、がん検診などもそうです。
 対策について評価して、今後の課題を書く場合に、例えば、これは余り達成できていないから、もっと対策を進めなければいけませんということを書かなければいけないのだろうと思うのですが、そもそもその対策がどの程度効果があるものなのかどうなのかというデータがないと、なかなか判断が難しいわけです。そういったデータはどの程度示していただくことができるのでしょうか。
○三浦委員長 事務局側、いかがでしょうか。むしろ専門委員のほうから提示してもらうという感じですか。ベースラインのときは専門委員のほうからかなりデータを提示したところでした。
○本田歯科口腔保健専門官 後ほど御説明させていただく予定でしたが、各項目の評価については、先生方の御専門の分野の中で項目・領域などを分析と評価をしていただくことでお願いをさせていただく予定です。先生方には健康日本21(第二次)の評価シートを参考に事前にお渡ししてりますが、各専門の先生方に評価・分析を依頼しまして、進めようかと予定しておりました。ですので、そういう意味では、やはり専門委員の先生方の専門の分野においての情報や、若しくは学会の活動も含めてこちらに御提示頂くような形でお願いするということを今は想定しています。検討の内容によっては新たな調査とか、先ほどの説明の中にありました調査や研究というところが含められてくるのかと思っています。今回の議論の中で、今後、課題を検討した上でということになろうかと思っております。
○三浦委員長 今の事務局側からの発言にありましたとおり、分析が必要になってきて、そこで御協力いただく委員の先生方にお願いですけれども、そういったエビデンスもピックアップして出していただければと思います。領域によっては、質の高いシステマティックレビュー等がまとめられている領域もあろうかと思います。そういったものがありましたら、そのデータ、論文の内容等を書き記していただくと、非常に説得力を持った作業になりますので、その点も併せてよろしくお願いします。貴重な御意見をありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○前田委員 度々すみません。私は全体の議論のときに、先ほどアウトプットという話が結構ありましたけれども、それぞれの指標で、良かった、悪かったという結果が出てきたときに、何が良くて、何が悪かったのか、特に遅れている状況は何かということを関連する項目の中で、特にこういう取組が良かったというところを示していただければと思います。
 この場が口腔保健の推進に関する専門委員会なので、検診なり、そういったところに対する重みが大きいとは思っているのですが、例えば分析するときに、歯科医療も含めてこういう取組をしているところが良かったと。検診も含めて良くて、この場では検診の話をしっかりすると、チョイスもあると思いますが、広くそういった指標を議論・検討していただければ、何か面白いかなと思います。
 あとは、例えば歯科医師あるいは歯科衛生士の中で、歯科保健活動に非常に協力的な都道府県のほうが指標が良いとか、もしそういうのが出てくれば、また先生方に御尽力いただければ、より良いという結果が出てくるので、お願いしますと我々も言いやすいので、そういったことがもしできればうれしいというのが1点目です。
 県や自治体の中で予算要求するときに非常に難しいのが、普及・啓発と、県独自で何かしようというときに非常にハードルが高いということがあります。普及・啓発を非常に熱心にされている県や自治体が、こういう指標で非常に効果が高いということであれば、それを全国展開していくというときに、国の会議でそういったデータが出てくれば、それを基にやっていない所も一生懸命宣伝できると思います。あとは、本県であれば、障害者に対する歯科医療や歯科健診というのは、当県の歯科医師会が非常に熱心にやっていただいています。
 あとは、先ほどの職域、若年者の歯周病対策では、本県でも20歳、30歳の歯周病がちょっと全国よりも高いということがあります。今年からなのですが、職域の歯科健診を少しモデル的に推進してみようというのを県の独自事業でやり始めました。本県の事業を今年から始めたのでこの場ではデータは出てきませんが、そういった独自にやっておられる事業で非常に効果が高いものがあれば、例えばこういうのは寄与が高かった可能性があるといった形で、こういう場で披露していただけると、他県が実施できるのではないかと期待しております。是非、その視点で御議論させていただければと思います。
○三浦委員長 ありがとうございます。具体的にアプローチしていくときに、グッドプラクティスをきちんと、特に良い取組を、今回、魅せる化ですから、見える化を更に進めて魅せる化になっておりますので、書き記すときに、やはりそういったグッドプラクティスを情報として持っておくことでかなり実現の可能性があると示すことができる。ちょっと遅れている所でもアプローチができるような取組、きっかけづくりになる可能性があるというところで、非常に参考になる御意見を、どうもありがとうございます。ほかに何かありますでしょうか。
○高野委員 かなり議論が進んでいる中で、基本的なことに戻らせていただきます。領域についてという評価において、例えば参考資料1の下のほうの表で、歯周疾患の予防というレベルで一くくりなのか、それとも、個々の具体的な指標が書いてある具体的項目ぐらいのレベルでの領域としてのまとめなのか、そもそものところで申し訳ありませんが、領域というのはどのぐらいのことを1つの固まりとしているのか。領域としている一覧がなかったものですから、すみません。
○三浦委員長 ありがとうございます。作業をするときに非常に重要ですし、特に多数の全ライフステージの項目がラインナップされている歯科疾患の予防は、非常に悩ましいところかと思いますので、その辺り、事務局はいかがですか。この1個でいくのか、例えば、少し分けて領域の捉え方なのか。
○本田歯科口腔保健専門官 領域ごとに対しては、確かにライフステージごとに分けるという視点もありますが、今の想定としては、ライフステージではなく全体として捉えた形でを想定しております。
○三浦委員長 立て付けとすると、例えば、最も多くの指標がラインナップされている歯科疾患の予防についても、ここで一領域としてカウントするという流れですね。
○本田歯科口腔保健専門官 一領域ごとの評価では、細かい議論等は出てくるかと思いますが、一くくりの領域の評価をしていただくような形を想定しております。
○三浦委員長 この点はいかがでしょうか。歯科は割合ライフステージごとで、ターゲットとしているものが異なる傾向があるので、そういったところの確認だったと思います。いろいろな作業をしていく上でも、ここは結構重要かもしれません。それで今の事務局の説明のとおりで大丈夫でしょうか。それとも、ライフステージ別に分けるか。ただ、ライフステージ別に分けられない項目も出てきてしまうので、取扱いをどうするかということも重要な点かと考えます。
○本田歯科口腔保健専門官 ライフステージが関わってくる内容となると、各項目の中でそれぞれ分析・評価というのがありますので、そこの中での分析・評価というものにかかってくるのかと思うのですが、ここで先生方からの御意見を頂ければと思います。
○三浦委員長 この件についてはいかがでしょうか。事務局案は基本的事項でカテゴライズした趣旨をいかして、カテゴライズした領域ごとでいくという初期案です。ライフステージを反映させるという方法も、あると言えばあるところです。この辺り、縦軸と横軸の関係のような、表現は悪いですが、そういうところだろうと思います。
○山下委員 第1段階では、各項目ごとで、それを大きくまとめるときにライフステージという発想でまとめられればよろしいのではないですか。
○三浦委員長 ありがとうございます。しっかりとまとめていただいた意見で助かります。今、山下委員から、取りあえず中間評価の作業をこのカテゴリーで進めていって、最終的に報告書等に落とし込むときに、そのようなライフステージ別の書き込みにするということの整理ではどうだろうかという御意見でしたが、そのような整理でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 あと、関連した取組ですが、これは先生方のネットワークを活用させていただいて、いろいろな効果的な取組等々を拾い上げていただくというところになろうかと思います。赤川先生、高齢者の目標等々も口腔機能等で設定されていますが、評価の取りまとめについて、御意見はございますでしょうか。
○赤川委員 さきほどから議論を聞いていまして、既に最初のスタートの時にこのように1から5と分類をしたわけですから、今更ここで切り口を変えるのは少し難しいのではないかなと率直に思います。2から5にはもっと下に付いているのに、1が付いてないのは、よく分からないところがありますが、おそらくそれはいろいろな議論でそうなったのだろうと思います。したがって、先ほどのように各1、2、3、4、5で評価をしたらいいのではないかと。問題は、その直近値を見てからかも分かりませんが、関連した取組と言われても、本当にそのことにより直近値が出てきたのか、そであるかはどうやって分かるのかな、というのが気になっています。その論文を採用すればいいのだろうけれども、もし論文等がなければ、その直近値が出たのと取組とが直接関係していた、と言えるのかと。
○三浦委員長 因果関係ですね。
○赤川委員 はい、そういうことが本当に分かるのかなというのが素朴な疑問です。まずは直近値を見させていただいて、そして自分たちなりに先ほど言われた専門の論文のレビューや、学会のやっていること、地域でやっていることなど整理したうえで評価して、今度の会議に臨むのかな、と感じていたところです。
○三浦委員長 この因果関係のところは非常に学術的にも押さえておかなければいけないので、書きぶりは慎重にしなければいけないところですね。それで最初の大目標のところにインディケーターがないのはなぜかについては、歯科における健康格差を評価するいいインディケーターが実はなかったということにつきます。健康日本21(第二次)では、この健康格差のインディケーターとして健康寿命を当て込むことができたのですけれども、それに相当するようなオーバオールな指標がなく設定できなかったところです。大目標としては健康日本21(第二次)と調和を保つということで健康格差の縮小を歯科においても目指そうとうたいあげたところですが、ここにぶらさがる指標は設定はしておらず、2から5の活動を通じて格差縮小に向けたアプローチを行っていきましょうというような構成になっています。
 この辺りもその先を見据えると考えなければいけないところです。データとか研究を進展させて、そうした丸めたインディケーターを作らなければいけないとか、そうしたところにも話が及ぶようなことになろうかと思います。ほかに何かございますか、よろしいでしょうか。では、少し書きぶりには気を付けなければいけないところはあるのですけれども、この事務局案の、領域ごとの評価の取りまとめの案でもっていくということにしたいと思います。ただ、関連した取組に関しては、因果関係がある程度報告されているものとかを中心に書き込んでいただいて、学術的なところも担保するというようなことで御対応をお願いしたいと思います。
 あと、今後の課題です。これまでの議論でも今後の課題をなぜこのようにしたのですかという御質問に対して答えて、それはこういう事情があったからというようなお話もしたところです。これは次に解決しなければいけない課題なので、そのような課題もそのまま放置しておくと、すぐにまた5年たってしまいますので、ここでしっかりと挙げておいて、文言化していただくというのが大変重要です。文言化していただきますと、より反映させやすくなるので、そのような視点で作業をしていただくことをお願いしたいということです。
 先生方の御協力でほぼほぼ時間どおりに議事が推移しています。一部議論をさせていただいた(3)、資料2の2ページ目の最後です。今後取り組むべき課題について、今回中間評価で実績値の評価、そして様々な諸活動の評価ですが、自治体で非常に効果が上がったグットプラクティスもここに入るかと思います。こうしたものを踏まえつつ、今後の社会状況の変化を見据えて重点的に取り組むべき課題について検討をし、整理していくのですけれども、具体的に特にどのような領域を検討しなければいけないのか。また次回の会議のときにもお伺いをするお時間はあろうかと思います。今、委員の先生方でお気付きの点がありましたら是非御発言をお願いしたいと思います。
 最後のセンテンスは非常に重要だと思うのですが、最初に計画を立ち上げるときに、目標値の設定を大変苦労しました。それはひとえにデータがなかったからということです。したがいまして、取り組むべき課題には調査研究も当然入ってくるでしょうし、先ほど小児歯科学会から非常に力強い御発言がありました。学会で今計画されている研究活動といったものについて、先生方の御協力があると、学会でデータがあるというのは非常にエビデンス的にも満足いくものになる可能性があるので、是非お願いしたいなと思います。
 厚労科研等々活用できるものもあるかもしれないということです。予算が今大変厳しいので、確約はできないですけれども、それなりの説明が立つならば考えていただける可能性はありますので、その辺りの御意見いただけたら大変有り難いです。
○山下委員 ここは本来、保健を語る場だと思いますので、私の発言はこの場にふさわしくないかもしれません。今回このような指標達成を目標にすることに関して一番効果的なのはかかりつけ歯科医を作って、小児から高齢者に至るまで定期的に、検診ということではなくて、歯科医院で管理をしてもらうことだと思います。そういうシステムができればこのような数値は飛躍的に向上するのは明らかだと思います。この点に関して、ここはヘルスの場所でしょうけれど、インシュランスの保険も含めて、医療の、融合点という発想はないのでしょうか。今は周術期の口腔ケアとか予防的なところにもきちんと保険に入ってきていますから、政策的にもそうした議論が考えられる余地があるのでしょうか。
○三浦委員長 事務局、いかがでしょうか。
○田口歯科保健課長 今日午前中に、実は歯科医師の資質向上等に関する検討会というのをやっていました。その中では幾つかの課題を少し議論していただいていたのですが、今年の秋口をめどに、将来のあるべき歯科保健医療のビジョンと言いますか有り様と言いますか、そうしたものをきちんと議論をした中で、将来的な歯科保健施策に対して、いろいろなものを提言していくという、そういう段取りで今進んでいます。その中で先生が正におっしゃったように、かかりつけ歯科医の部分につきましても、今までどちらかというとインシュランスの部分で少し先行してきていた部分があります。医療提供体制の中で、そのかかりつけ歯科医機能、あるいはかかりつけ医の定義とは何ぞやというのが、きちんとしたものがなかったのです。できればそういうものを役割も含めてきちんと定義をした上で、そういうものができてくれば、そういう役割の中でインシュランスの部分で、診療所の中で手当をしていただけるようなものがあれば、それはうちから保険局のほうに、逆に提案をさせていただいて、そういうものをインシュランスの中で評価していただく、そういう流れで今は考えています。今まではどちらかというと、ヘルスとインシュランスが少し分断した形で政策的にやられてた部分を、できれば今後、インシュランスとヘルス両輪で連携を取りながらやっていくのが非常に大事なのではないかなと考えております。
○木本委員 結局私どもの小児の領域はライフステージ別に分かれて、もちろん診療科としては成長発育期の子供を対象にしています。歯科疾患を1つの生活習慣病と考えたときに、ライフステージではなくて、今は生活習慣病を考えればライフコースという考え方です。その起源は乳幼児期から始まる。遡れば胎児から入ります。成長発育期を押さえないと将来の健康長寿を支える高齢期の機能維持にならないというところを押さえていくというのが、先ほどのかかりつけ歯科医の在り方とか地域包括ケアの考え方もそうですけれども、そこは高齢者だけ押さえても駄目で、成長発育期を含めたトータルの地域保健が必要になってくると。それはつながってくるものではないかなと思います。そこにいかすものでないと口腔保健でもいきてこないのではないかと考えています。今の口腔機能の発達から維持、そして低下のところを押さえて、いかにQOLを高めていくかというところは常にライフコース的に考えていったほうがよろしいのではないかと。その歯科疾患も生活習慣病という捉え方ではいかがかと、私たちもそういう考えです。
○三浦委員長 生活習慣病的なアプローチですと、御指摘のライフコースアプローチの視点というのは重要です。あとコモンリスクファクターの視点も非常に重要かと思います。非常に共通しているところが多く、特に歯周病と生活習慣病の代表である糖尿病等々、エビデンスとしてはほぼ確実なので、そうした視点も踏まえて、報告書に落とし込む必要があろうかと思います。
○和泉委員 全体を踏まえて、ここで歯周病に関するデータが少ないということを実感して、学会としてお恥ずかしい限りだと思っています。ただし、その在り方、今日の課題の中で今後の調査研究を含めてですが、是非これは加えていただきたいと思います。と言いますのは、我々の学会としては、全国的な疫学調査というのは国がやっているのだろう、厚労省がやっているのだろう、だから我々学会は余り必要ではないのだと、そのようなスタンスだったのですね。
 もう1つは例えば医療技術評価提案書を出して、保険診療等のことで厚労省にお願いをするような見方しかなかったわけです。それで歯科口腔保健の推進に関する専門委員会のような所で、目標値等まとめて、そして今後こういうところが必要だということがより明確に現れてきましたら、今度は厚労省側から学会に、こういうところが不足だから、疫学調査等を行って欲しいという提案もしていただければ、もう少し学会側と厚労省側との協同作業も可能になってくるのではないかと思います。今後取り組むべき課題についての調査研究ということを是非加えていただいて、そういう提案をしていただければと思います。
○三浦委員長 そうなのですね。国の統計は確かにあるのですけれども、山下委員から御発言があったとおり、歯科疾患実態調査はサンプル数の確保に苦しんでおります。各都道府県別のデータを提示するのがちょっと難しい状況で、地域格差とかは歯周病では今は見ることができないですので、この辺りはまた学会と厚労省の連携が必要になってくるかと思います。
 そのほかお気付きの点とか、全体を通して何かございますでしょうか。御発言していただければ有り難いと思います。
○大津委員 今、健康分野では、健康経営とか、企業へのアプローチとか、それに加えてICTと言いますか、コンピュータやスマホを使った取組についていろいろなところで取り組まれております。保健医療2035でも企業などを取り込み、ICTを活用し、全体で取り組んでやっていくというような考え方になってきていると思います。
 歯科保健ではそういうことは今のところ余り言われていないので、大分県でも健康づくりの分野では、そういう所と連携を取ってやっていっておりますので、将来的に歯科でも何かいい施策ができればと、今、考えているところです。
○三浦委員長 この健康経営とか、あとICT活用のアプローチは非常に重要で、生活習慣病対策において、かなり効果があるような報告も出始めているところです。今後いわゆるアウトプットに多分関わってくると思いますけれども、どのように効率よく、例えば口腔管理の習慣をどれだけ位置付けられるか、そういうことでも使えるようなところかと思います。貴重な御発言、ありがとうございます。あと、何かございますか、大丈夫でしょうか。
○高野委員 ここでの議論ではないことは十分承知しているのですけれども、かかりつけ歯科医がライフコースに対応するために、義務教育期間は学校保健安全法でしょうがないと思うのですが、高校のときに集団だけではなくて、かかりつけ歯科医があればそこでの健診はOKというような。高校ぐらいはトライアルするような形で、かかりつけ歯科医を使うことを体験させるような制度に。文科省の問題かもしれませんが、そのようにすると、18歳以上でかかりつけ医があれば、そこで続いていくという、体験なり経験が重要かと思いますので、そういう施策も、できたら行政の中で何とかしていただけたらと思います。
○三浦委員長 かかりつけ歯科医の周知徹底を図るところで、非常に身近な所から具体的な御提言だと思います。どうもありがとうございました。ほかに何かありますか、大丈夫でしょうか。そうしましたら、先生方の御協力をもちまして、ほぼ時間どおりに議事を終えることができそうな状況です。本日はこの辺りで議論を終了させていただきます。また、御議論いただいた事柄は今後のこの検討会での検討内容に反映させていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
 最後に、今後のスケジュール等について、事務局からよろしくお願いいたします。
○本田歯科口腔保健専門官 本日はありがとうございました。次回の専門委員会の開催日程については、6月26日を予定しております。また、先ほど話をさせていただきました評価作業につきましては、事務局より個別に御担当いただく先生方に御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○三浦委員長 今回、5月のこのタイミングで、次回は6月26日と大変短い期間での開催となりまして、先生方におかれましては、作業の時間が余りないというようなことで、非常にタイトなスケジュールの中のお願いとなりますけれども、是非よろしく御協力をお願いいたします。本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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