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2017年6月2日 第68回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年6月2日(金)13:00~16:00


○場所

厚生労働省 12階 専用第15会議室


○議題

(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
(2)その他

○議事

○門田会長 定刻になりましたので、ただいまより第68回「がん対策推進協議会」を開催したいと思います。

 最終回ということになりますが、本日も最終回、取りまとめるという意味で、どうぞよろしく御協力のほどお願いしたいと思います。

 それでは、事務局よりお願いいたします。

○事務局(濱) 本日の委員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、大江委員、北川委員、檜山委員、松村委員、湯澤委員より御欠席の連絡をいただいております。なお、松村委員からは、欠席に当たりまして、御意見を頂戴してございます。

 なお、委員総数15名の皆様に御出席いただいておりますので、協議会開催の定足数に達していることを御報告申し上げます。

 以上をもちまして、傍聴される方におかれましては撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

 また、携帯電話等、音の出る機器につきましては、電源を切るか、マナーモードに設定いただくなど、会議の妨げにならないよう、静粛にしていただきますようお願いいたします。

 続きまして、資料の御確認をお願いいたします。

 資料1 がん対策推進協議会委員名簿

 資料2 第3期がん対策推進基本計画案(案)(概要)

 資料3 第3期がん対策推進基本計画案(案)

 資料4 委員提出資料

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 事務局からは以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

 本日は、がん対策推進基本計画の見直しということで、特にたばこの部分についての議論をするということで、前回もお話をしておりましたが、そういうように進めたいと思います。

 先ほども申しましたけれども、本日は現在の協議会委員での最後の協議会ということになります。本日も限られた時間内に進めていく必要がございますが、できましたら15時ぐらいまでに議題を進めて、15時からは委員の皆様に今までの委員としての感想及び今までの総括並びに今後の期待ということについての御意見を順番にいただきたいと考えています。そういうことですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、事務局より資料2、資料3の説明をお願いします。

○事務局(濱) 事務局より資料2、資料3の説明をさせていただきます。

 まず、資料2をごらんください。「第3期がん対策推進基本計画案(案)(概要)」でございます。前回の合意をもとに修正してございますので、ポイントを御説明させていただきます。

 「第2 分野別施策」の「2.がん医療の充実」におきまして「がんのリハビリテーション」の記載場所を変更してございます。また、「3.がんとの共生」では(3)を「社会連携に基づくがん対策・がん患者支援」に変更してございます。

 また「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」におきましては、1番目に「関係者等の連携協力の更なる強化」を項目立てしてございます。また「ロードマップの作成」につきましては、6番目の「目標の達成状況の把握」に統合してございます。

 資料2につきましては、以上でございます。

 続きまして、資料3「第3期がん対策推進基本計画案(案)」につきまして、御説明させていただきます。

 まず、本日御議論いただきますたばこの部分につきまして、今回新たにお示しする案でございます。その記載場所についてですが、9ページ目の11行目から10ページ目の23行目まで、こちらに(現状・課題)について記載してございます。また、11ページ目の2行目から15行目には(取り組むべき施策)について記載してございます。また、13ページ目の21行目から32行目まで【個別目標】について記載してございます。

 なお、受動喫煙の目標値の部分につきましては、今回の協議の場では、もろもろの状況を考慮しまして、事務局としましては、この協議会で御議論いただきたく(P)として提示させていただくこととなりました。その点、御理解のほどいただければと存じます。

 また、たばこ以外の部分につきましては、前回の御議論を踏まえまして、会長と御相談の上、委員の間で御意見が一致した部分を反映いたしましたほか、日本語として不明瞭な部分を明確化する等の修正を行って、本日資料として提示させていただいております。

 簡単ではございますが、事務局からは以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 それでは、たばこのところを中心にまずディスカッションしていただき、それから、後からまた全体のことについて御意見があればいただくことにしたいと思いますが、約1時間、14時ごろまでにたばこの部分の議論をしたいと思います。今、事務局から説明がありましたように、受動喫煙の部分には(P)がついておりますが、ここについては、多分皆さんいろいろな御意見をお持ちかと思います。その意見をしっかりいただいて進めたいと思いますので、ぜひ意見を頂戴したいと思います。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。若尾です。

 まず1点、たばこに関してということなので、11ページの8行目を見ていただきたいと思います。これは7行目から続くのですが「「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」や海外のたばこ対策の状況を踏まえつつ、必要な対策を検討する」とあるのですが、昨今、このたばこの範囲もすごく広がりまして、電子たばことか、いろいろなものも出てきています。今後、私たちが今ここで協議しているがん対策推進基本計画、6年間の間には状況が変わってくると思います。そこで、この「必要な対策を検討する」というような文言ではなくて「たばこのない社会を構築する」というような形にしていただき、そのための検討会が設置された場合、これは省庁を越えてです。厚生労働省だけではなく、ほかに農水省とか財務省とか、いろいろな関係機関があると思いますけれども、今後そういうような検討会を設置していただき、今この協議会の中で、たばこについて検討したメンバーを少なくとも1人は入れるという方向性が見えると、とてもありがたいと思いますので、御検討をお願いいたします。

○門田会長 ありがとうございました。

 必要な対策を検討というよりは、もう少し将来に向けての内容を含めて、つながっていくように考えたらという御意見です。そのあたりは、果たしてこの協議会の委員云々という細かいことまではどうかと思いますすけれども、その方向性に向けてということは文章化できますかね。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 私のところでは働く患者さんを対象とした無料の電話相談等々をしているのですけれども、自分ががんになったのは職場がたばこを吸える環境だったからなのではないかとか、あるいは、そばで吸っている方がいらっしゃると腫瘍マーカー等々が上がって再発するのではないかということで本当に不安に感じている方もいらっしゃる。長年勤められた会社、あるいは飲食店の方だったのですけれども、煙のある環境は二度と嫌だと言って、お店をたたむ人もいるのです。がんの患者にとって、たばこの煙というのは本当に不安をかき立てる根源になっているのです。

 ですから、今回この報告書の13ページは(P)、ペンディングということになっていますけれども、私は改めて2020年、ここまでに行政機関、医療機関、飲食店も含めて、職場も含めて、ここは「受動喫煙を0%にすること」ということを、この協議会としてしっかりと刻むことが大切なのではないかと思っています。

 働かなければいいというような発言をされた議員もいらっしゃいますけれども、そういう問題ではないのです。これは受動喫煙を防止するということをしっかりやれば問題ないことですので、ここの部分をしっかり刻んでいただきたいと思っております。今、勤めていらっしゃる方はその選択というのがなかなかできなくはなりますけれども、新しく新規で仕事を探すという人にとっては、例えば前回も言いましたけれども、求人票に明示すべき労働条件は6つほどあるのですが、ここに7つ目の項目というものをつくっていただきたい。要は、職場の受動喫煙の環境、喫煙していいのかとか、あるいは完全分煙なのかとか、そういうことも書いていく取り組みというようなものも、これは安定局と調整をすればできるような話だと思いますので、ぜひ今後に向けて検討していただきたいと思っています。

 以上です。

○門田会長 やり方はともかくとして、【個別目標】のところでは、ここで職場、飲食店を含めて、まずゼロとすべしという御意見ですか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 馬上です。

 私はこの受動喫煙に関して、小児がんの患者家族の立場から、そして、子どもの親の立場から少し申し上げさせていただきたいと思います。

 きょう、檜山委員がいらっしゃらないのですけれども、日本小児科学会のホームページでは、もう2002年から子どもの受動喫煙を減らすための提言をずっと唱え続けています。そこに書いてあることを申し上げますと「たばこの煙は直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子です。あまりに小さいため、気流とともに浮遊します」、そして「こどもの受動喫煙といえば、家族が吸っているたばこの煙を直接、吸い込むことだけを考えがちです。その結果、こどもの前でたばこを吸わなければ受動喫煙を減らせると誤解されています。しかし、受動喫煙の大半は、室内空気中に滞留している、たばこの煙を知らず知らず、長時間にわたって吸うことによって起きています」。そして、エビデンスとして、気道アレルギーが悪化、乳幼児突然死症候群がふえるなど、しっかりしたエビデンスが出ております。子どもの親としても、この受動喫煙というのは、必ずゼロとするべきだと思っております。ぜひ、お願いしたいと思います。

○門田会長 馬上委員の意見は、ここで「家庭においては3%」、これに異議ありですか。

○馬上委員 ごめんなさい。言い忘れました。そうです。実はこのホームページを見てみますと、家庭で子どもが受動喫煙に接する機会が非常に多いということが書かれていまして、多くは親御さんが吸っているということなのですけれども、子どもは知らず知らずのうちに、その煙をずっと吸って育つことになるのです。そして、疾病を発症してしまう。これは本当になくしていただきたいと思っておりますので、「家庭においては0%」にしていただきたいと思っております。

○門田会長 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 若尾です。ありがとうございます。

 この【個別目標】に関して言えば、どこどこでは何%、どこどこでは何%となっていますが、2020年までにという一定の区切りをもって受動喫煙の機会を有する者の割合をゼロにするという「2020・ゼロ運動」みたいな明記にしていただきたい。そういった形で、どこどこは何%でいいけれども、どこどこは何%、そのどこどこは何平米などというような、細かいことは書かずに、シンプルに「受動喫煙を有する者の割合をゼロにする」というようにしていただきたいと思います。

 もう2年間、予防ということでたばこ対策を私たちは考えてきたわけです。ここにこれが載らなかったら協議会委員をしていた意味がないくらいに思っていますので、載らなかったら、協議会の委員を辞任させていただきたいなと思うぐらいのつもりで発言させていただきました。

○門田会長 ありがとうございました。

 この(P)と書かれている四角の中での意見になっていますが、ここに焦点を絞って御意見をいただきたいと思います。

 田中委員、お願いします。

○田中委員 私も今までの桜井委員を初め各委員の御意見に賛成です。計画案の本文にも、受動喫煙を原因として死亡する人が年間1万5,000人を超えるであるとか、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて競技大会開催地における受動喫煙法規制の整備状況を踏まえつつ、受動喫煙防止対策を強化すると書かれているのですから、これを踏まえれば飲食店を含めて受動喫煙をゼロにするというのが、当然の結論だと思います。

 若尾委員はどこそこと書かずにとおっしゃいましたが、そのとおりだと思うのですけれども、今、非常に問題になっているのは飲食店ですので、飲食店での受動喫煙をゼロにするということは明記する必要があると思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 健康被害が受動喫煙で起こるということはよく知られていますが、先ほど馬上委員が子どもに対する影響と。子どもに対する影響はより強く出るわけですが、それだけではなくて、学力も下がるのです。そういうデータがあります。特に数学や読解力が下がる。つまり、喫煙率というのは所得等が低い方に多く見られるわけですが、結局たばこを通して格差が固定されてしまうという問題があります。そういう点では、格差是正という観点からも、受動喫煙はゼロにする。飲食店もゼロにする。家庭内もゼロですね。ぜひそうしていただきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 ここに絞って意見をお聞きしたいと思います。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 皆さんと重複した意見ですけれども、がん研究に携わってきた者の立場からしても、喫煙が健康被害、がん等に実際に大きな影響があるということはもう間違いのない事実だと思うのです。同時に、最近のがんゲノムの解析からも、喫煙に関係すると言われているがんにおいては、喫煙に特徴的なゲノムの変化が見えるわけですね。それは肺がんとか、よく知られている口腔領域のがんだけではなくて、それ以外の非常に幅広い臓器のがんにおいてもたばこ喫煙に特徴的な、あるいはそれに関連するゲノム異常という形で証拠として残っているわけです。しかも、それが特に受動喫煙においては、御自身が喫煙されない方がそういう被害、リスクを受ける。実際、肺がんのリスクも疫学的な調査では1.3倍上がるという事実も出ているわけです。協議会のこれまでの議論を踏まえても、総意として具体的な目標として、例えば当面の目標とされている東京オリンピック、2020年については受動喫煙をなくすというところをきちんと書き込むことは必要ではないかと思います。

○門田会長 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 勢井です。

 私も皆さんの意見と全く同じです。ただ、この協議会の中の委員の方で、たばこを吸われる方がもしおられたら、その方の意見を聞いてみたいと思ったので、お願いできないでしょうか。事務局の方も含めておられましたら、お願いいたします。門田会長、お願いします。

○門田会長 これはなかなか手が挙げにくいと思いますが、どなたかそのあたりの話はしていただける方はいらっしゃいますか。私はここの関係者は多分いらっしゃらないのだろうと思うのですけれども。

 よろしいですか。

○勢井委員 ありがとうございました。

○門田会長 余り発言が。

 癌学会理事長、お願いします。

○宮園委員 癌学会としても、喫煙の問題というのは非常に重要な問題で、今、中釜委員から言っていただいたようなことで、肺がんはもちろんですけれども、多くのがんに対して重要な影響があるというのは明らかになっているわけでして、そこをはっきりと踏まえた上で対策をすべきではないかと思います。多分、ここにおられる方は、飲食店15%とか、家庭3%という数字よりは、はっきりと0%を目指すとしていただきたいということかと思います。

 実は、どこの記事かわかりませんけれども、たまたま塩崎大臣のインタビューを読みまして、受動喫煙防止は政治家の責務であると厚労大臣としてもはっきり書いておられますので、余りここでちゅうちょする必要はないのではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 そうしたら、違う角度から細川委員、緩和的なところで云々というのがあるのかないのか、そのあたりはいかがですか。

○細川委員 ありがとうございます。

もちろん発がんに関しましての喫煙の関与ということは間違いのないところです。麻酔科領域に起きましても、患者さんの手術の後に、肺炎その他の感染症や合併症などのトラブルが起こる確率が喫煙者に多いことと、すでに研究で示されています。また、7月に行われますペインクリニック学会において、2時間のシンポジウムが、「喫煙と痛み」というテーマで組まれています。これは、術後の傷の痛みの遷延(術後遷延性創部痛)の発症におきましても、喫煙は大きく関係している。それから、御指摘の緩和ケアの中でも、がんの痛みの緩和が重要であることは、もちろんずっと言われているわけですが、実は、このがん患者さんのがんの痛みに関しましても、喫煙者の患者さんでは圧倒的に痛みが強いという研究データがございます。ですので、緩和ケア的観点からも、喫煙はもう完全に止めるべきという方向で、動いていただきたいと私も思っています。

○門田会長 どなたに聞いても、これはなかなか反対する意見が出てくるような感じがないのですが。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 今、細川委員のお話を聞いて思い出したのですけれども、緩和ケア病棟とか、末期になった方の望まれる喫煙をどうすべきかというようなことをどこかで聞いたことがあるのです。その方は、末期としての緩和ケアとして、自分は晩酌もしたいしたばこも吸いたい。だけれども、その周りにいる御家族や医療者の方は、たばこの煙を吸いたくない。もしかしたら、今後煙ではないものも出てくるかもしれませんが。そういったものに対して、何か指針とか、検討しているというようなことがあったら教えてください。

○細川委員 かつての原則では、緩和ケアを終末期ケアと捉えたときには、ずっと喫煙されていた方が最期の段階まで来て、そのまま喫煙を続けたいという希望がある場合に関しては、ほぼ盲目的にオーケーという姿勢でした。ところが、おっしゃるように、受動喫煙と言う観点からは、当然、御家族とかには、小さいお子さんたちも病棟に来ておられますので、病棟の中での無制限の喫煙ということは困るということになってきました。ただ、どうしても最期まで吸いたいという方に関しましては、院内に喫煙場所がある場合はそこで、我々の施設では、一応、院外に出ていただいて、必要なら車椅子ででも出ていただいて、そこで吸っていただくということまではオーケーとしています。かつてのように緩和病棟、ホスピス内での盲目的に喫煙OKということに関しましては、今は否定的という動きになっております。

○若尾委員 ありがとうございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 皆さん、ほぼ同じトーンで、もう何々はという表現ではなくて受動喫煙をゼロにする、あるいは、職場なら職場、飲食店ならば飲食店と、あえて強くさせるためにそういう単語は盛り込むけれども、入れながら全部ゼロにするという表現にする。皆さんの意見、そのように聞こえるのですが、そういう形でまとめるということで異議はないですか。

(「異議なし」と声あり)

○門田会長 では、満場一致でここは事務局には少々負担をかけるのかもしれませんが、我々とすれば、受動喫煙は2020年までに完全にゼロと。

 では、皆さんの意見としてさせていただきました。あとは事務局、周辺のことを頑張っていただきたいと思います。この受動喫煙につきましては、そういうようにさせていただきます。ありがとうございました。

 それ以外にまた聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。たばこについて、それ以外です。

 道永委員、お願いします。

○道永委員 9ページの生活習慣についてというところで、少し文章を追加していただければと思います。保険局のほうに、保険者による健診・保健指導等に関する検討会というものが設置されております。その中で、特定健診の際の問診票の集計結果が報告されていますが、これは約2,600万人のデータとなっています。それを、この中に入れていただければと思っています。読ませていただきます。

 「厚生労働省の保険者による健診・保健指導等に関する検討会に報告された特定健康診査の際の質問票の分析では、受診者の喫煙率は男性34.2%、女性9.4%であり、特に40歳から44歳の男性の喫煙率は41.1%と非常に高いという結果が示されている。中でも全国健康保険協会、協会けんぽの喫煙率40歳台はさらに高いという結果であり、職場において、受動喫煙を受ける機会の高さを示しているとも言える。このことから、将来的な喫煙率の減少のため、職場における受動喫煙対策を強化するなどの取り組みが求められる」、こういった内容の文章を追加していただければと思います。

 もう一つ、これを踏まえて、11ページになりますが「特定保健指導等の機会を通じて、禁煙希望者に対する禁煙支援を図る」という文章を入れていただきたいと思います。普及啓発活動だけでは、今までの取り組みと変わらない印象がありますので、ぜひ、よろしくお願いします。

○門田会長 これは、先ほどの議論でのデータを追加していくというようなことは、リスクをはっきりと見えるようにするということだと思いますが。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 それは事実なので、書くべきだと思います。

○門田会長 事務局、お願いします。

○健康局長 事実でそれはいいのですけれども、喫煙率に関しては、国民健康・栄養調査で国民全体の年齢階級別のデータがありまして、特定保健指導・特定健診の対象自体がある限られた集団なので、それよりも、同じデータを書くのであれば健康・栄養調査のデータをそのままと。実際、年代別に見ると、30代、40代、50代が多くて、60代になると下がってくるというデータがあります。斜めに見てもです。そのデータと、その状況にあって、その年代をターゲットとすべきだということについては御指摘のとおりなので、そこの部分を踏まえつつ、データとしてはもう少し国民全体のサンプリングのほうがいいのではないかということで考えています。施策の観点についてはおっしゃるとおりで、特定保健指導という非常に貴重な機会について、ここについては記載を追加したいと考えます。

○門田会長 よろしいですか。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 受動喫煙の部分は、家庭も含めて0%ということで、非常に強いメッセージになると思います。その上で、受動喫煙のお話が随分盛り上がってきたために、本来の直接喫煙、能動喫煙についての警告が薄まっている印象があると思います。国民に対して誤ったメッセージを出すことを恐れております。ここに書いてある目標値の設定とか、それはさまざまなデータに基づいて出てきたもので、そこを変更するということまでは申し上げていないのですけれども、受動喫煙について書いた文言にあわせて、直接喫煙のデータも提示すべきなのではないかと思います。

 例えば危険度から言いますと、全てのがんを対象にしたときのがん罹患リスクは、たばこの場合、間接喫煙が多分1.05とか1.03とか、そのレベル。一方で、直接喫煙は1.6倍と圧倒的に違いますし、肺がんに限っても、間接喫煙が1.3倍なのに対して、直接喫煙は4倍以上というのは、よく知られた事実だと思うのです。ですから、その文章を全て見比べた上で、例えば9ページから10ページにかけて、間接喫煙の年間の死亡数は1万5,000人という数字が出てくるのですけれども、これは、直接喫煙の場合、同じような研究で十数万人という数字が出ているはずなので、そのことを並べて書かないと、受動喫煙だけをこの協議会は一生懸命やったと思われるのではないかということを危惧します。

 直接喫煙と間接喫煙は法的には全く違う問題です。直接喫煙は20歳未満は法律で禁止されていますが、20歳を超えれば本人の嗜好ですので、そこは法律で縛れない部分があります。しかし、受動喫煙のほうは意思に反してというところがあるので、法律で縛れるという仕掛けで、だから、受動喫煙が法的な議論をされているわけです。けれども、最大の被害は直接喫煙ですから、がん対策推進協議会としては、法律を超えて、その害をしっかり訴えていく文章に特に前段の部分(現状・課題)等のあたりで変更していただきたいと思います。

 また、この計画は6年間の計画で、別にオリンピックのためにつくっている計画ではありませんから、オリンピック終了後もしっかりとこれは反映されていくはずなので、若干文言を、そういう意識をして書いていただくことが必要かなと、そのように思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 おっしゃるように、つい受動喫煙に偏ったかなというあたりを、バランスのとれる文章にしたらということをおっしゃっていただきました。それはそうですね。文章そのものを検討させていただくことにしたいと思います。

 そのほか、いかがでしょうか。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 先ほどの繰り返しになりますが、今、山口委員がおっしゃったことは、もっともなのです。それで、11ページの8行目のとき、先ほど申し上げましたけれども、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約というものを批准しているわけですから、今後たばこのない社会を構築するということ目指すことはとても大切なことだと思います。

 それは急にできることではなく、6年間でも無理だと思いますし、次の12年間でも無理かもしれません。でも、そういった受動喫煙だけではなく、たばこを吸っている御本人もむしろ被害者ということで、知らずに吸って依存症になっているわけですので、そういったことを検討する場合に、省庁を越えた検討会のようなものを設置して、徐々に日本からたばこというものの存在をなくしていく方向性を本協議会の中で話し合ったということは残していただきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 重要な、少し長いスパンに向けてどうしていくのかということですから、これも文書を少し工夫はできるのではないでしょうか。よろしいですか。

 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。

 たばこについては、もうよろしいですか。最初は1時間ほどを予定しましたが、一番のポイントが簡単に満場一致になってしまいましたので、たばこについてはひとまずここで、主に(P)のところが、はっきりとゼロということで、皆さんの非常に強いメッセージを発信することに賛同していただいたということでございます。

 それでは、特にたばこということではなく、前回お話をしてまいりましたところについて御意見をいただきたいと思います。ただし、前回が終わるころに何度かお話をいたしましたけれども、一応前回でディスカッションは終わっている。今後、文言の修正とか、その程度のお話をということで意見をいただきたいということは言っていたと思うので、きょうも基本的なところは前回終わっているという立場で話を進めます。しかし、とはいうものの、こんなにとんでもないものが何かがあれば、これはディスカッションしたいと思いますけれども、基本的にはそういう線でいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、御意見、お願いいたします。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 前回申し上げたことが、まだ修正されていない部分がありますので、7点ほど指摘をさせていただきます。

 まず最初に、17ページの14行目から16行目のところになります。前回提示された報告書素案のほうでは、指針に定められていないがん検診、自治体のほうですけれども、85.7%もあるということが報告されていて、課題として大きな問題でありというように書いてありました。(取り組むべき施策)として、ガイドラインから外れた検診を行っている市町村の公表などというような、具体的な記載が書かれていたかと思います。自治体が実施している検診というのは対策型検診で、健康な人を対象にして国民の税金を使ってエビデンスに基づいて実施しているものだと思っています。今後、少子高齢化とか、限られた医療財源の中でいかに持続可能な医療政策を実現していくかということも、今回の計画では考えていかなくてはいけないわけで、そう考えると、この85.7%もの自治体で実施されているというのは、これは経済的にも政策的にも倫理的にも、私は非常に大きな問題だと思っています。ですから、前回の報告書の記述にある指針に基づかない方法でがん検診を行っている市町村の名前や取り組みを公表する等という、この言葉をもとに戻していただきたいと思います。それが1点目です。

 2点目が、20ページの15行目です。ゲノム医療のことを記載してあるのですが、この取り扱いについて「患者やその家族が安心できる」という記載があります。この部分は医療ビッグデータ法等々、関連の法案のほうでは「子孫」という言葉が使われています。また、遺伝子医療の世界では「血縁者」という言葉が使われているのです。家族の定義というのは同居人になりますので、この文章で言うところの不利益などを考えると、「血縁者」という言葉が落ちているのはちょっと違うのかなと思いますので「患者や家族、その血縁者」、こういう言葉に変えていただきたいと思います。

 その次が、23ページ目の29行目から31行目にあります。ここの部分で、がん治療への国民負担についての記載があります。先日、私とパンキャンジャパンの真島さんと一緒に要望書は提出させていただいているのですけれども、負担の軽減とか質の向上、こういったこともあわせて検討していくことが国民負担を考える上では非常に重要でありまして、諸外国、こういうシステムを導入している各国では、治療を経験した患者の声を検討の場に取り入れているのが世界常識なのです。ですので、文中に、私は患者参画の視点を加えていただきたいと思います。23ページの30行目の部分を「がん治療への国民負担の軽減と医療の質の向上に関する必要な取組を、患者の声を取り入れながら行う」という言葉に変更していただきたいと思います。

 4番目で、64ページの冒頭になります。このあたりで、かなりアピアランス、要は外見に対する支援の重要性ですとか課題というものがたくさん書いてあるのですけれども、施策の方向になるとその言葉が全く見えなくなってしまうのです。ですので、64ページの30行から32行目にかけての部分なのですけれども、ここに文言を加えて「国は、がん患者の更なるQOL向上を目指し、医療従事者を対象としたアピアランス支援研修などの開催や、生殖機能の温存等について」という言葉に変えていただきたいと思います。

 5つ目、今度は66ページ、67ページ、68ページのこの辺に「長期フォローアップ」という言葉が出ています。これは多分、馬上委員からも御意見が出ると思うのですけれども、長期フォローアップは小児だけではなくて、AYA世代にも非常に重要な事項になります。病気をした後にどうデータを管理していくのか、罹患後の生活管理、健康管理をどうしていくのか、検診の対象範囲からも外れているような事項がありますので、この欄外の部分で構いませんので、長期フォローアップの定義について、そこを書いていただきたいと思います。「長期フォローアップの整備には、AYA世代がん患者の治療データや罹患後の健康管理等を含む」という、こういう言葉を欄外でいいので書いていただきたいと思います。

70ページ目の31行目に、臨床試験に関する情報の発信の仕方の部分が書いてあります。現在は「治験をはじめとした臨床研究の情報を医療従事者にわかりやすく提供する」と書いてあるのですね。臨床試験の情報というのは、医療従事者だけではなくて患者家族を含めた全ての国民にとって重要です。それは全く見えないのが現状ですので、ここの部分には「国民」という言葉を入れていただきたいと思います。「治験をはじめとした国内臨床研究の情報を医療従事者・国民に対してわかりやすく提供する」、この言葉に修正していただきたいと思います。

 最後です。67ページに戻ります。ここの25行目から28行目の部分になります。特に67ページ、2行目から4行目、少し上の部分の課題のところに、これは前回も申し上げましたが、小児・AYA世代の緩和ケアに関する課題が指摘されているのですね。ここに記載があります。しかしながら(取り組むべき施策)のほうに、では、それをどうするのかという視点が入っていないのです。ですから、私はここにその施策を書いていただきたいと思います。

 小児がんでは、主治医と緩和ケア医が連携した診療体制というのが本当に重要になってくると思います。抗がん剤を100%ではなくて20%ぐらいで、血液の状況をコントロールしながら緩和ケアをやっていくという非常にセンシティブな取り組みが必要になってくると思いますけれども、まだまだその状況というのは十分とは言えないと思っています。また、患児が在宅へ移行した場合には、小児がん緩和ケアの知識を有した在宅医の診療というものが欠かせないのですけれども、この小児がんの緩和ケア研修会の受講というのは、成人もそうなのですが、在宅医までまだ及んでいないのが実情です。ですから、ここの部分をしっかりやっていくということを書く。

 かつ、小児・AYA世代に共通の課題なのですけれども、在宅療養を希望しても、生活に必要な介護用品や各種介護サービスは全額自己負担になってしまいます。これは課題にも記載があるように、家族に本当に重い経済的な負担が生じています。ですから、67ページ、25行目から28行目(取り組むべき施策)の部分に「小児・AYA世代のがん患者に対する緩和ケア提供体制の整備、並びに、在宅療法環境の整備」という、この言葉を私は追記していただきたいと思います。「もって、国は、緩和ケアに従事する医療従事者が、小児・AYA世代のがん医療に携わる診療従事者と問題点や診療方針等を共有すること」というようなデータの共有だけではなく、「入院中だけでなく外来や在宅においても連携できるようにすることのために必要な方策を検討する」、次の部分に追加で、「緩和ケア研修会の開催等を含めた小児・AYA世代がん患者の緩和ケア提供体制、並びに、在宅療法環境を整備する」、この言葉をぜひ入れていただきたいと思います。

 ここの表記は、私がこれまでみとってきた多くの小児がん、AYA世代のがん患者の仲間から託されてきたバトンだと思っています。私が協議会の委員を拝命したことの意義というのは、これを伝えることと実現していくことだと私自身は思っています。経済的な負担から、嫁ぎ先を離れて実家に戻って、背中から出る滲出液の管理を母親に託して、ごめんなさい、ごめんなさいと泣きながら旅立っている仲間がいるのです。部屋中に嘔吐の跡がある、生活の用品も届かない。私はこれを届けに行ったり、掃除に行ったことがありますよ。これがAYA世代の末期の現状なのです。死ぬには早い年齢で望まない病室で亡くなる悔しさ、私はこれをぜひ変えていただきたいと思っています。

 がんにならないようにすることも大事。がんになった人を治療で救うことも大事。でも、がんで治らなくなった人たちが、家族と大切な時間を過ごせる環境をつくること。私はこれががんとの共生の本当に大切な大切な思想だと思っています。本件については、私は一歩も譲る気がないので、欠かさず記載することを重ねて要望したいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 追記の部分が非常に多かったと思うのですが、大体今の精神は皆さん同じように感じられると思うので、それは修文を事務局とやらせていただくということにしてもらいたい。今、最後の部分も特に力を入れられたわけですが、それをさせていただきたいと思います。

 最初におっしゃった、この検診のところですね。あれは少しディスカッションしていただきたいと思うのです。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 長くなると乱れてしまうので、一問一答という形で発言いたします。今、門田会長がおっしゃった各市町村、基礎自治体の役割としての指針に基づかない方法でがん検診を行っている市区町村をさらすというような罰則的な書き方をしないでほしいと言ったのは私です。前回のときにも、協議会の場で言いました。

 今後、6年間の間にがん検診に対するエビデンスも変わっていくかもしれません。現時点でもヒトパピローマウイルス、HPVに対する併用検診やデンスブレストに対するマンモグラフィーの効能の不確かさやピロリ菌に対する胃がんとの関連というようなものを考慮しながら、そこの地区に住む住民のためにやっている検診もあります。だから、指針に基づかない検診を行っているところとはうまく調整をするというような形のほかに、推奨されないようなもの、それとの優位性というか、ランクづけというようなものを明記して、これは推奨はしていないけれども、今後の様子を見、もしくはその自治体の責任において行ってもいいような検診である、これは推奨をしない検診であるというようなことがわかるような注釈でもいいですので、書いていただいて、表現はこのままにしておいていただきたいと思います。

 基礎自治体の熱意と取り組みは、本当に特筆すべきものがあるのです。私はそこを全部一緒くたにして、指針に基づかなければそれは悪者だというような言い方を、本協議会の中で書いてほしくはないなと思います。

○門田会長 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 対策型検診であるというところを忘れてはいけないと私は思います。これは公費を使ってやっていっているものなので、さらすということではなくて、事実公表をしっかりしていくことが大切だと思います。

○門田会長 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 対策型検診として、精度管理された検診が重要なことは、もう科学的に間違いがない。日本において、検診受診率あるいはその検診の精度が上がってこない一つの理由に、精度管理された対策型の検診がきちんと普及していないというところがあるかと思うのです。それをどうやって改善するのかということであると思うのですけれども、それには、精度管理というものがまだ十分には理解し切れていないというところと、精度管理した検診をいかに理論をプラクティスに移すかという行動変容につながるようなところも十分な研究がされておらず、実施されていないところがある。現状では、精度管理された対策型検診が十分に施行されていない市町村の名前を挙げるという行動よりも、ここに書いてあるように、まずはきちんとその働きかけを行い、理解をしてもらう、その理解を広めていくところから始めて、にもかかわらず改善がない場合には、さらに強い指導をするなど

、そういうところから入っていくのが、政策としては現状では妥当なのかなという印象を受けます。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 今の中釜委員、あるいは若尾委員と同じ意見なのですが、対策型といえども八十何%になっているというのは、それなりの理由があるのです。例えば、その市町村がPSAをやってほしいという住民の声に応えてやっているものもあるし、あるいは、内視鏡については、ガイドラインではダブルチェックが必要と書いてあるのが、人員の不足等を加味して、通達では1人でも良いという形になっているとか、ここにはさまざまな理由があると思うので、原文はこのままで、今後数年間かけてしっかり厚労省として精査をしていただく。それを求めたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 同じページで、検診に関して言うと、20行目「がん検診の結果が陽性となる偽陽性等についても理解を得られるように、普及啓発活動を進める」と書いてあるのですが、この文章はどうしてもわかりづらい。陽性となる偽陽性のところを理解してもらうというところが、真意が伝わらないのではないかと思うのです。5行目を見ると「過剰診断等の不利益が利益を上回る可能性がある」と書いてあるのですが、そういう意味だということで、この20行目の表現も「陽性となる偽陽性等のがん検診の不利益に対する理解を」ということで、これは繰り返しの記載になると思うのですけれども、そう明確にすることによって、この文章のメッセージがきちんと伝わるのではないかなと思うので、そこは変えていただきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 前回も連携のことでいろいろ言わせてもらいましたけれども、連携のことはある程度書いてくれています。そこで抜けているところがあるので補足しておいてほしいのが、まず、6ページ目です。25行目から「今後は、本基本計画に基づき、国と地方公共団体、がん患者を含めた国民、医療従事者、医療保険者、事業主、学会、患者団体等」となっていますけれども、ここに「教育従事者」を入れておいてほしいと思います。まず1つ目です。

 それから、(2)がんの早期発見、がん検診のところで、16ページの3行目からになるのですけれども、連携のことについてはもう書かれているので、それは入れないとしても、「引き続き、連携しつつ、効果的な受診率向上の方策を検討し、実施する」必要がある。「当面の対応として」というところで、ここから追記してほしいのですけれども、「都道府県、市町村は小中高等学校のがん教育の中で連携し、がん検診の意義、必要性を生徒が理解できるよう努め、生徒から大切な方へのがん検診を進めるほか」、後は同じです。「検診の受診手続の簡素化」というところに続けていただけたらと思います。

 これは今回欠席されている松村委員のほうの意見書にあるのでが、ここにも書いてある都道府県等の施策ですが、計画の策定というところで意見が入っています。これは76ページの30行目というところで「都道府県は、がん検診のみならず、普及啓発や地域における患者支援等の市町村の取組を踏まえ、都道府県計画を策定することが望ましい」、これを以下のように書きかえてほしいということを書いていますけれども、私ももっともだと思います。「また、都道府県は、がん検診のみならず、普及啓発や地域における患者支援、教育委員会との連携等、市町村の取組が進むよう、都道府県計画に盛り込むことが望ましい」。これはページが飛んでしまいましたけれども、ぜひこちらもあわせて書きかえていただけると、都道府県も動きやすいのではないかと思いました。

○門田会長 ありがとうございました。

 その前の桜井委員の意見のところで、あのことについては、文章とすれば、犯人探しのような表現になることはぜひ避けたいというのは皆さん一緒だと思うので、内容的には、今の原文でそこに力を入れて検討会等でそこをやっていくということで、今の文章でひとまずいくということで、これはこれでよろしいですか。

 難波委員、お願いします。

○難波委員 難波でございます。

 今、門田会長がおっしゃっていたように「必要な働きかけを行うこと」という文言でいくということに関しては理解できるのですが、意見としては、私自身は桜井委員の意見に賛同しております。なぜかというと、そもそもそういった名指しで指摘していくことが目的ではなく、若尾委員がおっしゃったように、デンスブレストの問題であるだとか、HPVの併用検診であるだとか、現状を把握した上でよりよい対策型の検診を推進していく議論のきっかけになるようなことは必ず必要だとは思っています。今まで必要な働きかけを行ってきたことは事実であるのですが、結局何も変わってこなかったのです。なので、現状を打破するためにより具体的な行動、それが市区町村を公表するなどという文言なのではないかと私は理解していたので、そういう意味で「必要な働きかけを行うこと」というふわっとした文言よりは、より具体的なものを示していきたい。個人的な意見を言わせていただきました。

○門田会長 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 この「指針に基づかない」というところで皆さんすごくひっかかっていらっしゃると思うのですけれども、例えば逆の好事例というのはどのような扱いになっているのですか。ほかのところでやっているところが参考になるということはすごくあると思うので、この全体について市町村がどういうことを行っているのかということを、みんな国民や市町村の方々が全体で知るということは、すごく大事なことではないかと私は思うのです。不勉強でわからないのですが、今、検診の方法などは公開はされているのですか。

○門田会長 この検診はいかがでしょうか。

○がん対策推進官 都道府県では行っているのですが、多分、個別の市町村は挙げられていないのではないかと思います。

○門田会長 いろいろな意見があるのだけれども、非常に飛び出たところに関しては皆さんひっかかるので、皆さん同じようなことをおっしゃっておられるので、それをどうやっていくのかということで、過激な言葉を避けて、今、ちょっと甘過ぎるのではないかという意見かと思うのですが、過激な言葉ではなくてもう少し強めることができるかどうか、事務局、考えてみられますか。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 私も自治体の協議会委員もやっているのですが、ガイドラインから外れた検診が結構存在しているのと、メディア等々で見たりするのは、ゲノムみたいな解析をして、それで検診と連携させるとか、そういうことを、公費を使ってやってしまっている自治体があるのです。それぞれの事情があるというのはわかるのですけれども、余りにも今のガイドラインどころではないようなことが行われているところもあるので、他の自治体がどうなっているのかという事実報告は、最低限でもすべきなのではないかとは思っています。さらすとか、罰則をつくるとか、そういうことではなくて、実態が見えていないのが課題です。

○門田会長 現状を把握する何かということですか。

○桜井委員 はい。この85.7%の実態がわからない。

○門田会長 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 今、がん登録の精度がどんどん高くなってきて、各市区町村別のがんの罹患率というものが明らかになってきています。そうすると、各市区町村によって課題が違ってくるわけです。例えば山梨県の場合ですと肝臓がんになる人が多いので、公費で肝がんチェックをします。そういった事情もありますので、推奨すべきではないというようなものをここに載せるのはいいと思います。でも「地域の実情に合わせた」というような表現は必要なのかなと思います。

○門田会長 皆さんのおっしゃっていることはわかるので、少し今のものが弱いという意見もあれば、違うというのか、公費を使って云々ということに対して何とかと。今のお話だと、要するに実態をぴちっと把握し、そして、どこがどうではなくて実態把握したものが公表されるというようなことであれば、何々に違反しているところを公表するというわけにはいかないということを皆さんおっしゃっておられるわけで、その調査をし、あるいは、そういうものを公表するなり発表するなりというような、そのあたりの工夫をすることによって皆さんの今、両サイドの意見をうまく入れる案を考えていただけますか。今の文章がそういう文章になっているか。

○がん対策推進官 例えば「現状を把握し」というような文言をこの中に入れさせていただいて、そして「必要な働きかけを行うこと」という、公表というような過激な手段をとらずとも、現状を把握して、その把握した内容に応じて必要な働きかけを行うというような内容で調整をさせていただいて、最終的には門田会長と御相談しながらそこは検討していきたいと思います。

○門田会長 一つ、今の案としておっしゃっていただきましたけれども、そういうところでもう少し詰めさせていただくけれども、皆さんの意見を。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 お話をお聞きしながら思ったのですけれども、恐らく地域によって、その特徴を踏まえたある意味探索的な検診というのがあろうかということを御指摘だと思うのです。問題は、ある意味探索でやった地域的な検診の成果が具体的により精度の高い対策型につながっていかないというところもあるかと思うので、例えば、表現として「市町村の実態をきちんと把握して、その地域の特性に合わせた有効な検診のあり方について必要な指導を行う」など、より具体的にしたほうがいい。若尾委員が指摘されたように、確かに地域特性があって対策型として日本全体で普及しがたい前段階のものはあろうが、そのデータが集約し切れていないというところが大きな問題かと思います。そのところは難しい課題かと思うのですけれども、少し書き込んでいただけると具体化するのかなと思いました。

○門田会長 というところで、皆さん、よろしいですね。

 ありがとうございました。

 そのほかに幾つか追加的なことをおっしゃっていただきましたことについては、もう一度検討させていただいて、追加できそうなことは追加していくという方針でいくということにさせていただきたいと思います。

 そのほか何かございますか。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 25ページの放射線治療のところです。(取り組むべき施策)のところで、最初の文章は、これはいいと思います。「国は、標準的な放射線治療法の提供体制について、引き続き、均てん化を進める」と。その後の文言なのですが「粒子線治療等の高度な放射線治療については、必要に応じて、都道府県を越えた連携体制や医学物理士等の必要な人材のあり方について検討する」。医学物理士は非常に重要であるということは私も、また山口委員も指摘されているところなのですが、この文章を普通に読むと、粒子線治療の施設で医学物理士を整備するというように読めます。ところが、粒子線治療の施設は、100%医学物理士がおります。ですから、この書き方は知る人にとってはおかしいです。それで、これは私も山口委員も要望した強度変調放射線治療、ですから、具体的には「粒子線治療や強度変調放射線治療等の高度な放射線療法」という形で書いていただきたいと思います。それがよろしいかと思います。

 もう一点は26ページ目のRI治療の問題なのですけれども、RI内用療法、この「内用療法」というのは、飲むということなのですね。例えばヨード131、甲状腺がんに使うようなものは、RI内用療法ですけれども、今、ゾーフィゴなどという、これは進行前立腺がん、骨転移に使う治療ですが、これはラジウム223を注射するということがあります。これは内用ではないのです。これからさまざまなRI治療が出てきますが、内用に限ると非常に限定的に、簡単に言うと、ヨード131に限定されてしまいます。確かに一番使われる薬剤なのですが、これはまずい。

 それから、もうちょっと本質的な問題がありまして、放射線治療の診療報酬の体系の中に、平成28年度改定から、特定医療材料の節が新設されました。一方、薬剤の節がないのです。つまり、このRI治療は薬でしかないのです。そうしますと、入院では包括されてしまいます。RI治療ができるところは、基本的には入院包括の制度の中ですから、これは非常に医療施設から見ると、経営的に難しいのです。したがって「診療報酬のあり方を含め」という形で書いていただいて、これを今後どういう形にするのか、包括の中の仕組みを考えるのか。いずれにしても、例えば放射線治療の中に薬剤の節をつくっていただければこの問題は解決するのですけれども、とにかく、診療報酬の問題が一番大きいということは間違いないので、ぜひ診療報酬を含めた総合的な検討をしていただく。それから「内用」というものを取っていただく必要があります。

○門田会長 案をおっしゃってください。どういうようにしたいですか。

○中川委員 では、申し上げます。まず、最初の25ページ目「粒子線治療及び強度変調放射線治療等の高度な放射線治療」という形です。

26ページ目については「国は、関係団体等と連携しながら、RI療法について」です。もう一つ、次の行も「RI療法」です。それから「人材等を考慮した上で、診療報酬面も含め、RI療法を推進するための体制整備について検討を進める」と。

○門田会長 「診療報酬」というような文章をここで書けるのかな。

○大臣官房審議官(がん対策担当) 後段のほうの「診療報酬」につきましては、ここにRI療法に限らず、治療法とか何とか、みんな社会実装していくには、診療報酬でどう位置づけるか、評価するかというのはみんなについてくる問題ですので、ここで特出しするというよりも、どういう仕組みでやるのかというのは、中医協のほうで議論されますし、それについては、まさにここにありますように関係の学会が要望を出して、それを評価してどう取り入れていくのかという仕組みがありますので、ここのRI療法だけ診療報酬について特出しするのは、実際にどういう要望が来ているのかというのは私もよく承知しておりますけれども、ここに特出しして書くのかどうかというのは難しいのかなとは思います。

○中川委員 それでは、最後の「検討を進める」の前に「総合的に」と、ぜひ書いていただけませんでしょうか。そして、学会からは薬剤の節新設というものを出します。

○門田会長 そこまでは大丈夫ですね。今、おっしゃっていただいた。

○中川委員 「総合的に」です。

○門田会長 ありがとうございました。

 そのほか、どなたかございますか。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 22ページ、23ページの放射線の前のところで、がん医療提供体制のことが触れられています。ここでは22ページの上にあるように、中身としては均てん化以外にも集約化とか医療安全、制度の持続性、かなり高度なことが書かれていると理解するのです。それを踏まえて23ページの(取り組むべき施策)を見ると、均てん化や評価等については書かれているのですが、ここに込められている新しい開発であるとか、新しい知の創出みたいなところが弱いように思います。

 問題とするのは、29行から31行目です。前回の会議のときには「イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立」と書かれていたのですが、その部分が省かれています。少し上の段を見ると、24行目あたりには「研究開発の促進や診療の質の向上を図る」ということが書かれていますが、そういうニュアンスが全体においては少し弱いのかなと。そうすると、希望としては、29行目の表現を「国は、国民皆保険の持続性を保持しつつ、医療技術及び医療提供体制の一層の向上により」、以下「将来にわたって」とつなげると、単に新しいものを創出するだけではなくて、現在のシステムを新しい知恵を導入することによってうまく変えていく。例えばゲノムの導入というのは恐らくそういうものだと思うのですけれども、これも国民皆保険の中で新しい医療提供体制を試みてやるというところだと思うので、そういうものが酌めるようなところの文章に少し戻していただけるといいのかなと思いましたので、意見させていただきます。

○門田会長 「イノベーション」を削ったのは、どういったことでしたか。何かの意見があって。

○中釜委員 恐らくそこは余り議論されずに「イノベーション」という言葉が何となく意味が曖昧だというところもあったのかなと思うのですけれども、もう一度この場で議論していただいても構わないと思うのですが。

○がん対策推進官 全体の文章を調整する中で変更させていただいた部分ですので、そこはここで改めて御議論いただければと思います。

○門田会長 「イノベーション」という単語からくるインプレッションですか。

 道永委員、お願いします。

○道永委員 多分、私から「イノベーションの推進」というのはここにそぐわないのではないかと思いましたので、ちょっと事務局にお話しさせていただきました。今、本当に「イノベーション」という言葉がいろいろなところで氾濫していますけれども、もともとイノベーションというのは、今まであった既存の仕組みや、そういうものをかなり大胆に変えて、それで、新しいものをつくるというものがイメージだと思っています。ですから、国民皆保険とイノベーションを並べることが、国民皆保険もイノベーションと一緒にということで変える。あと、医療連携体制とか、そういったものも入ってしまうので、医療機器に関してはイノベーションはとても大事だと思うのですけれどもね。だから、それであえて医療機器のほうに「イノベーション」という言葉を移していただいた経緯があります。

 今、中釜先生がおっしゃったような言い方で入れる分には全然問題ないと思いますけれども「イノベーション」という言葉をわざわざここに入れる必要はないのかなと思っています。先生のおっしゃっていることはそのとおりだと思います。

○門田会長 先ほど、中釜委員は「イノベーション」という単語を使わずに日本語だけでおっしゃった。

○中釜委員 確かに御指摘のように、ぼやっとした表現で何となく先へ先へというイメージが伝わり過ぎてしまうと良くない。現状の国民皆保険、これは世界に冠たるシステムだと思うので、それを保持しつつ、でも、仕組みや形を変えることによって皆保険のいいところを生かせるような対策を酌めると思う。ただ、今の文章だと少し後ろ向きに読んでしまうかなと思うので、私が言ったようなニュアンスが含まれている言葉があるといいのかなと思いました。

○門田会長 繰り返すことはできませんが、記録は残っていますね。検討しましょうか。

 ありがとうございました。

 そのほか、何かございますか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 私からは、言葉の定義1つと、5つ言葉を入れていただきたいところがあります。1つは、前回の協議会で山口委員と檜山委員がお話しされていて、私も賛同しますと申し上げていた「拠点病院」という言葉についての定義なのですけれども、ページとしては20ページです。こちらに「拠点病院」と2行目に出てきまして、下に定義が書かれているのですけれども、前回のお話ですと、拠点病院には小児がん拠点病院が含まれるというような趣旨の話し合いが行われていたように思いますが、こちらに入っていないので、どのような経緯で入っていないのか、まず説明していただきたいと思います。

○門田会長 山口委員、お願いします。

○山口委員 これは非常にわかりにくいと思いますので、後ろで聞いておられる方も含めて御説明をさせていただこうと思うのですが、その後事務局の御判断を伺いたいと思うのです。

 前回、私が申し上げた「拠点病院等」という定義には、現在拠点病院に含まれる全ての施設が入った形の定義になり、一方で、小児がん拠点は含まれていませんでした。そもそも、大人のがんを中心として見る「拠点病院等」と小児がん拠点は全く別物、同格の存在です。それぞれ検討会も別ですし、指定委員会も別です。一方で、厚労省には肝臓疾患の拠点とか、エイズの拠点とか、拠点と称するものがたくさんあります。そこで、この協議会で関係してくる拠点とは、大人の拠点と子供の拠点と考えればわかりやすいかと思います。

 前回の私の発言は、「拠点病院等」で大人の拠点病院関係を全て定義し、小児がん拠点は含まれていない。そうすると、本文中で本来、小児がん拠点が入らなければいけないところが幾つか抜けてしまっていると申し上げました。その時、檜山先生か10カ所ぐらいあるのではないかとお話されました。今回のドラフトでは、「拠点病院」という言葉だけにして「等」を抜いて、その「等」を抜いた結果「拠点病院」の一グループの「診療病院」を抜いてしまいました。厳格な定義で言うと、確かにそうなるのです。それで、本来一くくりにすべき「診療病院」を抜き、「拠点病院」を定義した上で、今度は「拠点病院等」で診療病院及び小児がん拠点を読んでもらおうと、そういうドラフトなのではないかと思います。

 それで、小児がん拠点が本来重視しなければいけないようなところがカバーできるのかというのが、若干私は疑問に思いますけれども、そういう整理の上で今回のドラフトが記載されているということを皆さんに知っていただいた上で、事務局、そろそろまとまったらどうぞ。

○がん対策推進官 山口先生、ありがとうございます。

 まさに、今、言っていただいたことがそのままこの案として書かせていただいている内容になっています。つまり「拠点病院」と書いてあるものが、都道府県がん診療連携拠点病院と地域がん診療連携拠点病院と特定領域がん診療連携拠点病院とがん研究センター中央と東、これは20ページの欄外にあります。一番下の行、3行にありますけれども、注23の中であらわしています。そこで「拠点病院」を先ほど私が申し上げたように定義をした上で、さらに、小児がん拠点病院を含む病院群を示すときには「拠点病院等」という書き方で書かせていただいているということでございます。

○馬上委員 ありがとうございました。やっとわかったのですけれども、すごくわかりにくいので、では「拠点病院等」とはこのようなことを指すみたいなことを書いておいていただかないとわからないのではないでしょうか。私は今、初めてわかったので、「拠点病院」と「拠点病院等」を読み分けていらっしゃる方は、多分最初いないと思うのです。本当にライフステージということが出てきて、物すごく縦糸と横糸ですごく複雑になってきて、事務局の方にすごく御苦労をかけて本当に申しわけないのですけれども、今のようなことを簡潔に欄外にでも示していただければと思います。いかがでしょうか。

○門田会長 それは工夫してください。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 事務局を弁護するわけではないのですけれども、例えば「「拠点病院等」は小児がん拠点を含む」と書くと、この中に多分50カ所か100カ所あるのだけれども、合わない部分が結構出てくるのです。ですから、そう単純な作業でもないので、馬上委員のおっしゃることはそのとおりなのですが、事務局は大変苦労されるだろうなと思います。

○門田会長 審議官、お願いします。

○大臣官房審議官(がん対策担当) それは大変苦労してもいいと思うのですけれども、この文章を読まれる方がわからないと困るので、「拠点病院」というのは何を指していますよ、「拠点病院等」というのは何を指していますよというのは、これは言葉の定義ですから、この欄外にあるような形でもいいのですけれども、どこかでちゃんと明確にして、その使い方がそれぞれのところでちゃんと整合性がとれているのか、当然こういう書き物を法令審査とかいろいろ手続をしていく上で当然明確にしていかなければいけない手続でもありますので、そこはしっかりやっていけたらと思っております。

○門田会長 ありがとうございました。

 ぜひ、そのようにしてください。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 ありがとうございました。

 では、5つだけ言葉を。前回も申し上げた35ページの9行目で「治療中から晩期合併症への対応が必要である」と、この間も多分小児がんの話し合いのときの58回にも申し上げたと思いますけれども、「治療中から」だと、もう治療してしまっているので、その治療で晩期合併症が決まってくるところがあるので「診断時から」という治療が始まる前から対応が必要であるというようなことのニュアンスを入れていただきたいと思いました。

 続いて、36ページのほうで、AYA世代のがんについて、23行目なのですけれども、58回目と60回目のライフステージに関するがん対策のほうで小児・AYAが話題になっていたと思うのですけれども、小児・AYAは、心理・社会的に非常に問題があるということが話し合われていたと思うのです。60回のほうでは「AYA世代のがん対策に関する政策提言」ということで、参考人の先生方が御発表になったその5ページには「AYAの治療成績の改善が不良であり、その背景にAYA特有の心理・社会的要因も関係している」と。この心理・社会的要因を考慮したAYAがん対策が必要というか、米国のほうでは講じられているので、本邦でも必要であるという趣旨を述べられておりますので、言葉として23行目に「就学、就労、妊娠等、心理・社会的状況が異なり」と入れていただきたいと思っております。

 それに関連しまして(5)ライフステージのほうでも、66ページですけれども、21行目、ここも同じように「就学、就労、妊娠等の状況が異なり」、その次に「心理・社会的課題について、個々の状況に応じた多様なニーズが存在する」と入れていただきたく思っております。

 同じく67ページ、19行目です。「保育・教育・就労・自立・心理的課題に関する支援を含め、ライフステージに応じて成人診療科と連携した切れ目のない支援の体制整備を推進する」と入れていただきたいと思います。自殺のところでも、思春期・若年成人の自殺が多いということは私は意見させていただきました。心理ということに関しては、ぜひ入れていただきたいと思っております。

 戻りまして、前回の協議会で(5)ライフステージに応じたがん対策のところで、相談という観点が非常に出てきていないのではないかと意見させていただいたのですけれども、事務局のほうですごく考えていただいたのですが、「支援」という言葉があるので、そこに相談が入っているのでと言われたのですけれども、心理・社会的な問題を抱えている方は、相談ということがすごく大事だと思うのです。教育や就労、自立の問題もありますので、その相談の観点を入れていただきたいので、この間お話しさせていただいていて、大ごとになるのですけれども、51ページの(2)相談支援、情報提供のところの(現状・課題)のところの一番下の33行目の「相談内容が多様化しており」というところに、今回の基本計画で新しく出てきたライフステージとかがんの特性、家族性とか、いろいろゲノムの話もございますので、その「相談内容が多様化しており」という前のところに「ライフステージやがんの特性についてなど、相談内容が多様化しており」というように内容を書き加えていただきたいと思いました。

 それに連動しまして、次の52ページの(取り組むべき施策)の25行目で「国は、相談支援に携わる者の質を継続的に担保するための方策」ではなくて、今、相談支援が求められているのは、専門性の向上だと思うのです。さまざまな観点からの相談を受けられるようにするということですので「相談支援に携わる者の質」というよりも「専門性を向上させるための方策を検討し、必要に応じて、整備指針に盛り込む」としていただけたらと思いました。

 あと、すごくマイナーな点なのですけれども、74ページ、(3)がん教育のところで、意見を入れていただいて、がん教育に当たって配慮すべき事項の注釈を下に入れていただいて、ありがとうございます。

 以上です。

○門田会長 今の追加ということについて、そちらの方向性も考えながら、状況によっては文言が変わるかもわからないにしても、事務局と一緒に検討するということにさせてもらいたいと思いますけれども、よろしいですか。

 それでは、若尾委員、お待たせしました。お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 多岐にわたってしまうと論点がずれてしまうので、まず1点だけお願いしたいと思うのが、27ページ、28ページにわたる(エ)科学的根拠を有する免疫療法というところなのですけれども、せっかくこの協議会の中で「免疫療法」という言葉が出て、本来推奨すべき免疫療法と、そうではない、推奨したくない免疫療法がごっちゃになっていることが現状だと思います。それを受けて(取り組むべき施策)として、28ページのほうで「使用のあり方を検討する」という形で書いてくださったと思うのですが、ほかの文章でも「検討する」というところがいっぱいあって、それはどういうようにするのかということは、会長が今後進めていってくださると思うのですけれども、この免疫療法に関しては、多くの人が混乱し、多くの患者が不利益をこうむっている現状があります。そこで、ここは「検討し、その結果を随時公開する」というような形で免疫療法がどういう位置づけになっているのかというようなことが、全ての国民に見ようと思えば見える形にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○門田会長 非常に重要なポイントだと思います。確かにここの表現は「検討する」という表現は結構たくさん出てくるのですけれども、どう検討するのか、あるいはその検討したものがその後どうなるのか、単に検討で終わってしまうような文章なのか、少し気になるところがあるので、もう一度「検討する」というところについては事務局と見直そうという話をしています。今のこの免疫療法のところについては、同じような意味で、公表とか何とか、外に対してのある意味、この検討ではとどまらないようにということは理解できると思うのですが、あわせて検討させていただけますか。 山口委員、お願いします。

○山口委員 今の免疫療法の部分に関連して、27ページですけれども、ここで改めてテーマをしっかり立てた一つの理由は、今、お話があったような、箸にも棒にもかからないような免疫療法の排除という面があるのです。それは全く賛成なのですが、免疫チェックポイント阻害剤といえども臨床試験で有効であるというデータが出ていない限り、科学的根拠はまだないと言わざるを得ません。最近心配なのは、箸にも棒にもかからないと言うと問題がありますけれども、そういうものに免疫チェックポイント阻害剤を加えて民間療法的にやっているというのも出てきていますので、ここの書きぶりは難しい、私も考えて、いい案は出せないのですけれども、単に免疫チェックポイント阻害剤という薬剤で科学的根拠が決まるのではなくて、あるがんについて実施した臨床試験の結果をもとに、初めて科学的根拠が定まるというようなことをニュアンスとして入れられると誤解を避けることが出来るのではないでしょうか。

○門田会長 確かに非常に重要なポイントだと思いますので、そこも工夫しましょう。ありがとうございました。

 そのほか、いかがでしょうか。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 57ページの在宅緩和ケアについて書かれた部分です。ここは、全体としては(3)社会連携に基づくがん対策・がん患者支援という項目での一項目なのです。この在宅緩和ケアに関して言うと、57ページの上のほうに、病院等以外の医療機関や在宅医療を提供している施設の重要性がうたわれており、4行目にも「在宅緩和ケアにおける医療と介護の連携」ということが書かれているのですけれども、そういう目で下の【個別目標】に目を移すと、ここではどうしても病院中心の書きぶりになっているところがあって、少しその上の議論を十分に酌んでいないかなと思うところはある。できれば、私の理解不足もあったら訂正していただきたいのですが、この24行目の記載のところは「拠点病院等は、地域における緩和ケアの状況を把握し、医療と介護の連携を図りつつ、地域における緩和ケアの提供体制について検討する」というように、改めて、ここで医療機関だけではなくさまざまな介護、緩和にかかわる施設がかかわるというところを、これが社会連携の一つのあらわれかと思うので、書き込んでいただけるといいのかなと思いますので、一言申し添えさせていただきます。

○門田会長 ありがとうございました。

 これは工夫するということでいいですね。

 難波委員、お願いします。

○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。

 私からは6点ございまして、まず、先ほどの「検討する」に関連するのですが、13ページの「HPVワクチンについては、接種のあり方について、国は、科学的知見を収集した上で」、以前は「検討する」になっていたやる気があるのかないのかわからないような表現から、今回「総合的に判断していく」というような書きぶりに工夫をしていただきまして、ありがとうございました。

 そこで、私ども患者委員の5名で前回5月17日に厚生労働大臣宛てに要望書を提出させていただきました。これはどういうことかといいますと、国民全体の利益を守るために、国民のがん予防の選択を支援するためにHPVに関しても速やかに判断を示して対策を講じてほしいというような内容です。本件は次期協議会においても議論を深めていただきたいと思います。

 ほかに書きぶりに関連して5点あります。まず、36ページ、あと、これと同じ表現ですので、66ページです。36ページは23行目です。AYA世代のがんの妊孕性温存に関する記載なのですが「就学、就労、妊娠等の」という表現がございます。これと同じ表現が66ページの21行目にあるのですが「妊娠等」というのは、既におなかの中で命が宿っている状態のことを言うので、表現としてふさわしくないのかと。ですから、この「妊娠等」を「生殖機能等」と置きかえたらどうかと思います。

 続いて、36ページにお戻りいただいて、最終行の37行目になりますが、ここで「国は、治療に伴う」という部分の主語を少し工夫していただきたいと思っております。ここに関して「国は」ではなく「がん治療医は、治療に伴う生殖機能等への影響等、世代に応じた問題について、治療前に正確な情報提供を行い、必要に応じて、適切な生殖医療を専門とする施設に紹介する」。こういった形で固有名詞を改めて明記することによって、今、がんと生殖医療の連携が不足していることによって本来であれば温存可能であったはずの妊孕性が温存されないケースがとても多いので、改善の対策としてぜひ記載していただきたいと思います。

 関連して、64ページです。64ページの30行目から読み上げます。「国は、がん患者の更なるQOL向上を目指し、生殖機能の温存等について、的確な時期に治療の選択ができるよう、関係学会等と連携し、相談支援、情報提供のあり方を検討する」という記載がありますが、ここにぜひ「経済的支援」という文言を入れていただきたいと思います。先般、若年がん患者に対するがん・生殖医療(妊孕性温存治療)の有効性に関する調査研究の結果としても記されているのですが、未受精卵子、受精卵、卵巣組織凍結の3つの妊孕性温存治療を対象とする年間の患者数は、約2,600人いるのです。これにかかる費用に、約8.8億が見込まれるという調査結果が示されました。ここをいかに国が支えていくのかというのが今後大きな課題になっていくと思いますし、きょうは御欠席されていますが、松村委員の京都府でも今期から若年がん、小児がん、AYA世代のがん患者に向けた妊孕性温存に対する経済的支援が進められていますので、ぜひ、そういった好事例を全国に展開できるように、明確に「経済的支援」という文言を示していただけたらと思います。

 最後、38ページの25行目です。病理診断に関してなのですが、ここも誰の責務なのかということを明確に記すというような観点から、現状は「病理診断医の育成等の支援を実施するとともに、病理関連業務を行う臨床検査技師等の医療従事者の適正配置について検討する」という記載になっておりますが、25行目の最後を「病理関連業務を担う細胞検査士、認定病理検査技師など、臨床検査技師の医療従事者の適正配置について検討する」というように、細かい記載をしていただけたらと思います。

 以上、6点です。ありがとうございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 今の御意見は、大体その方向で修正できるのかなと思いながら聞いていましたが。

 宮嵜審議官、お願いします。

○大臣官房審議官(がん対策担当) 文言のほうは門田会長とも御相談させていただいて、適切に反映できればと思ったのですけれども、私の聞き違いかもしれませんが、36ページから37ページにかけて、37ページの上のところの「適切な」の後に「生殖医療を提供する専門施設」と、そこを書き加えることは問題ないと思うのですけれども、文章全体の構成として、36ページから始まったときに、「国は」という主語を、提供する医師と言われましたけれども、そういう医師が適切な施設を紹介することも含めて「国が体制を構築する」という文章にここはなっているのです。治療医が紹介するということになってしまうと、すごく狭い範囲になってしまうので、国がそういうことも含めて体制を構築するという原文を生かしていただいたほうがいいのではないかと私は聞いていたのです。勘違いだったら申しわけないのですが、確認をお願いします。

○難波委員 審議官、御指摘のとおりです。

○門田会長 ありがとうございました。

 あとのことは事務局と一緒に検討させていただくということにしたいと思います。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 ありがとうございます。

 日常というか、私が仕事の傍ら患者さんから相談を受ける中で、一番困ることがあるのです。それは何かといいますと、病院情報なのです。それで前回、病院情報だったら院内がん登録からある程度わかるのではないかなというところで話させてもらったのですが、それだけではわからない。徳島はちょうど同じ県内に3つも本当に肩を並べるようにして病院があるのです。どこへ行こうと距離的な差はない。それだったら、どこの病院に行ったらいいのでしょうかと、私はこれを聞かれてもわからないのですけれども、ただ、この院内がん登録がしっかりと今進んでいっている最中ですが、こういったデータからあなたの病気だったらひょっとしたらこちらの病院のほうがいいかもわからないねとか、そのようなところまでわかれば患者としては非常にありがたいのです。そのために、こういった書き加えができるのかどうかということを御相談したいのです。

 まず一つは、41ページの5行目ですけれども、がん登録の、これは前回も言いましたけれども「その際、がん登録データの効果的な利活用のため、がんサバイバー調査、患者体験調査等による患者視点からの評価」というものが入れられないか。これを入れることによって、病院側は多分困ることはないと思うのです。そういった評価があるということを受けて、病院側もまたそれに対して対応することで、お互いが良い方向に進むのではないかと思っているのです。

 これと同じような書きぶりのところで、情報提供のところなのですが、54ページの6行目の終わりから「国は、国民が必要な時に、自分に合った正しい医療情報を入手し、適切に治療や生活等に関する選択ができるよう」、この「科学的根拠」の前に、一言「施設内での患者の声を聞く仕組み等と科学的根拠に基づく情報を迅速に提供するための体制を整備する」といった文言を入れていただくことはできないでしょうか。そういうことができると、本当に患者もそうですし、医療関係者の方も私はプラスになると思うのです。

 この前、この話をしたときに、お名前を書いてしまっておいたのですけれども、山口委員、中川委員、中釜委員からいろいろ意見をいただいたので、再度、また意見をいただいて、こういった書きぶりができるかどうかということをお願いできたらと思っています。

○門田会長 山口委員、御指名です。

○山口委員 この前、何を申し上げたか忘れてしまったので、先にお二人に答えていただこうと思います。

○門田会長 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 十分に勢井委員の意図を酌んでいたかどうか、私も振り返って反省しているのですけれども、いろいろな相談とかがんの実態把握という意味で、登録事業、全国がん登録や院内がん登録のように、これからデータとして抽出できるもの、非常に多くのものが抽出できると思うのですけれども、ただ、そのデータだけで解決できない問題がある。個々の患者、各患者家族が実際に御自身の問題として、あるいはその社会の中でどう対処していったらいいか、そこはそういう統計からだけでは抽出できないものがあり、そこを提供できるのは相談支援という仕組みであるということを申し上げていたかと思うのです。

 ただ、そこが十分にまだ患者さん一人一人に届き切っていないという問題もあるかと思うので、そういうところの相談支援の仕組み、患者サポートの仕組みと、登録事業をもとにした新しい対策を構築していく必要がある。そういうものがうまく連動することによって、勢井委員の抱えている疑問に答えられるのかなという印象を持ってお答えしたのですけれども、そこが十分に答え切れていないのかもしれないと思って、また少し考えてみたいと思います。済みません。

○勢井委員 こういった言葉を入れることに対してはいかがでしょうか。要するに、患者の調査をしっかりしてほしいということ。

○門田会長 例えば全国がん登録にしろ、院内がん登録にしろ、医学的な、どこに出してもその数値が、あるいは何々がん、あるいは何々という病理とか、物によっては少々変わってきますが、どこで調べてもそれほど大きく変わらない。だけれども、患者さんの心情、そのほかのことを全国統一で評価することが十分できるのかというと、そういう大きなデータベース化できるところまでは、まだいっていないと思うのです。ですから、それぞれのところでそれぞれの施設の中でというようなことは多分やってらっしゃるだろうと思うけれども、それに共通して使えるということは、なかなか一気にそこまでこういう文章の形に書くのは難しいのではないかと思いますけれどもね。

○勢井委員 何年か前なのですけれども、県内のある拠点病院のほうでは、その科のほうで、例えば患者さんがこの病気に対して手術療法を受けた。ある患者さんは放射線、ある患者さんはまた違った治療、抗がん剤。そういった方々に対して、治療を受けた患者さんの声を全て聞いていました。手術された方が五十何名、その方々に対して満足したかとか、よかったかとか、悪かったかとか、患者にとっては非常にわかりやすい聞き方をされているのです。それに対して、満足された方が四十何名とか、そういったことを書かれて、それだったら、こういったところに私も行きたいなとか、そういう俗に言う患者の声がわかりやすくて、私はいいのかなと思ったのです。

○門田会長 勢井委員のお人柄の優しさがよくわかる。だけれども、逆に曖昧なデータを病院を越えて集積するということの結果が、今、求めているものが出るかどうかもわからないので、これから先、いろいろなモニターの仕方云々で変わってくるだろうと思うのですけれども、今、ここにあるものは、本当に数値あるいは診断名にしろ、治療法にしろ、何という形のもの、それを確実にやっていくところからスタートしているというわけで、お気持ちはよくわかるのですけれども、それを全体的に広げるのはまだこれから、相当時間がかかるのではないかと思います。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 前回、私はこのことで意見は言っておりませんが、勢井委員がおっしゃるところは、恐らく、患者さんが例えば治療法の選択等で意思決定する際に、がん登録の情報がわかりやすい形で提供されて、それをもとに個別の相談で活用できる。それはするべきだと思うのです。

 一方、我々のような医療者が、また、そのがん登録のデータから我々の意思決定にも活用できる、そういう仕組みはつくっていただきたいとは思いますし、日本はこれだけがん登録がおくれたわけですから、日本的ながん登録のあり方というか、そのがん登録の活用については議論していいのだと思いますけれどもね。

○門田会長 山口委員、お願いします。

○山口委員 前回の記憶は定かではありませんが、今の御意見で病院選択というのは、ほとんどの患者さんが、まず、悩む問題です。したがって、私たちは、がん患者の悩みや負担を整理する静岡分類では、診療に関する悩み、負担を一群に設けていて、全ての悩みの半分ぐらいがここに入り、そのうち、どの病院に行ったらいいのか、誰に見てもらえばいいのか、という悩みが多数を占めます。回答は難しい。逆に言うと、回答できない部分でもあります。私自身がしっかりお話を聞いて、それでも自分の専門ではないところはなかなかアドバイスできないという、そういう世界だと思うのです。

 ただ、今おっしゃったことは少し反映されつつあるのではないかと思うのは、この協議会のもとで開催される診療提供体制の部会ですでに議論が始まっています。推進基本計画がまとまった後に、すぐ議論が始まることになっていますけれども、例えば拠点病院の要件のところに、希少がんについてはその病院は何例見たのかというデータをしっかり出すべきだという議論が交わされています。そこで、ある程度、反映されるのではないかと思うのです。

 ただ、非常にポピュラーながんについて、単に症例数などで、この拠点病院がすごく良いということは、なかなかこの世界では言えない、わからない分野で、自分が言ったとしても、多分間違えると思います。 だから、勢井委員の意見をそのまま書き込むのは不可能なような気がしますけれども、提供体制のあり方の議論の中に一部入ってくるだろうと思いますので、そこまでにさせていただきます。○門田会長 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 以前、徳島のほうで、これもお話しした経緯はあるのですけれども、院内がん登録のことで他県の方に集まっていただきました。もちろん国のほうからも来て話をしたのですけれども、その中で実際にがん登録をされている方からの意見があったのです。それは何かといいますと、こんな数字、何のために役に立つのということです。何かデータが足りないから、その方々のモチベーションが上がらない。最初の治療で、放射線をしました、手術をしました、そういった治療のデータはあるけれども、でも、これがどう患者さんに活用されていくのか。それには何か欠けているところがあると思うのです。そこら辺をはっきりしておかないと、今後、この院内がん登録を進めていったとしても、本当に患者さんに対して活用できるか、情報提供できるのかといったら、私は非常に疑問があるのです。ですから、今、ここで、こういったことをやっていかないといけないね、ということをぜひ話し合っていただけたらと思っています。

○門田会長 ありがとうございました。

 申しわけないけれども、時間がどんどん行っていますので、ここでとめて、川本委員、お願いします。

○川本委員 川本です。ありがとうございます。

57ページのところですが、先ほど中釜委員がおっしゃったように、医療と介護の連携を図るということになりますと、介護の状況は、中学校区などで、もっと小さいところだと思いますので、26行目に「都道府県及び市町村は」と入れていたほうが、より内容が生きるのではないかと思いましたので、発言させていただきました。

 もう一点、ケアレスミスだと思いますが、56ページの12行目が「認定看護師」だけなので、「専門・認定看護師」だろうと思いますので、修正していただければと思います。

 以上でございます。

○門田会長 よろしいですね。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。若尾です。

 私からは2点、60ページの(ア)医療機関等における就労支援についてというところの中に入っている現状なのですけれども、これは前回も申し上げたのですが、現状をパーセンテージで示されても、実際にどのくらいの患者がこの就労支援の相談窓口に行っているのかがわからないので、ここはぜひ実数もあわせて書いていただきたいと思います。これを読んだときに、多くの人は、医療機関における就労支援が順々にうまくいっているという形で思うのですけれども、実際にそうだったらいいのですが、実数をお示しいただきたいと思います。

 最後、2点目なのですけれども、67ページです。小児・AYA世代について(取り組むべき施策)の中に、教育ということが入ってきます。この主語は「国は」となっていて、国が率先してやってくださることはとてもありがたいのですけれども、幼稚園も含むかもしれません、保育園も含むかもしれません。小学校、中学校、高校となってくると、都道府県や市区町村の役割も大きくかかわってくると思うので、この(取り組むべき施策)の中に「国は」だけではなく「国及び各地方公共団体は」とか「都道府県は」とか「市区町村は」という、それぞれの役割の母体がわかるように書いておいていただけると、(取り組むべき施策)の中で、各都道府県におりてきたときに、そのあるべき姿と、そこに対する役割というのが明確にアクションプランなりなんなりに書いていけるのではないかと思うので、検討いただけるとありがたいです。

○門田会長 この件についても、先ほどのようなこともありましたけれども、一回検討してみるということで預かります。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 今のことに関連してなのですけれども、前にがんと就労の検討会があったときに、この病院での就職率が、一般的なハローワークでの就職率とどのぐらい違うのかというところも示してほしいというようなことを私は意見したことがあります。高いのか低いのか、やった事業に対して評価していくことも大切だなと思います。低いのだったら、もっと頑張れということになるかと思いますので、少しその参考数値、若尾委員のほうの意見も含めて書いていただければと思います。

 もう一点が、67ページの「国は」という言葉や、今の自治体の話が出てきましたが、高校、大学というのは、義務教育以外の管轄になり、その就学にも問題が生じています。かつ、いわゆる私立、私学へ行った人に関してはこれが及ぶのかどうなのかという問題が出てくるかなと思いますので、「国、自治体」に入るのか入らないのかを含めて、ぜひ「教育機関」という言葉を検討していただければと思います。私も東京にずっと暮らしていますけれども、公立よりは私立に行ってしまうようなケースが多々ありますので、ぜひそのあたりは検討いただきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 とにかく検討させていただきます。そして、相談して、考え方が違うということも先ほど宮嵜審議官からもありましたし、一回それは私と事務局で相談させていただきたいと思います。

 予定していた時間にそろそろかかっているのですが、まだどうしてもという方がいれば、お願いします。

 秋山委員、何もおっしゃっておられませんでした。お願いします。

○秋山委員 秋山です。

29ページの(3)チーム医療の推進というところで、前回山口先生が、チーム医療といったときに病院の中で使っているチーム医療と、今在宅も含めて地域で考えられているチーム医療は違うから、この意味合いをきちんと踏まえた上で書き込んでもらったらどうかという御意見をおっしゃっていました。外来での治療が長くなっている現状では、実を言うと、もう地域での介護サービスなどをうまく入れながら支えていくということが本当に必要な時代になっているのです。なので、この29ページの(3)チーム医療の推進といったときには、どうもこれは病院を中心としたというところが色濃いので、(取り組むべき施策)のところに、在宅も意識した表現を少し入れていただき、23行目、24行目のあたりで「それぞれの専門的な立場から議論がなされた上で、患者が必要とする連携体制が、在宅社会資源の活用も含めて」とか、何かそういう言葉が入ってくれていたらいいかなと思いました。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 確かに、それもチームという考え方だと思いますが、これも検討させてください。

 山口委員、短くお願いします。

○山口委員 私が前回申し上げたのは、病院内に狭義のチーム医療と多職種チーム医療がある。その点だけ申し上げています。ただ、地域における多職種チーム医療の実現というのは私の研究テーマでやってきて、なかなか難しいのです。ただ、それは非常に重要なポイントで、診療所の先生方やあるいは歯科診療所、そういったところとの医科歯科連携、医科連携、そういったものも含めますので、今の御指摘は大変重要だと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 大体予定した時間で、大体意見も出していただいたのかなと思います。先ほど冒頭にお話ししましたけれども、3時ごろからと思っていましたが、もう既に3時になりましたので、今から10分ほど休憩をとらせていただきたいと思います。

 今まで御意見をいただいて、いろいろなものをいただいたわけですが、これから後は、最終的に我々の協議会としてまとめる案を、今いただいた意見でもって、事務局と私との間で皆さんの意向に添える方向性で整理していきたいと思いますので、

御承認いただきたい。そして、それを厚労省側に出すときに、皆さんの側に最終的なまとめはこうなりましたという形でお送りするという手順でやらせていただきたいと思います。実際問題、きょうしかもう時間がないということで、それしかできないのですけれども、それをお願いしたいと思います。

 それでは、今からあの時計で15分まで休憩させていただいて、あとは皆さん、いろいろな思いを語っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

(休  憩)

 

○門田会長 それでは、時間になりましたので、また戻りたいと思いますが、一応、先ほど今回の基本計画の我々の案がまとまったということでございます。この後は、先ほど申しましたように、我々の中の最終案をつくってお届けする。そして、それを厚労省側に出し、そして、最終的には変わる可能性もあるかもしれませんけれども、パブコメが出て、最終的に閣議決定されるということになると思います。我々は我々のところまでの責任を持ってと思っております。

 本日もいろいろ時間的なことを気にしましたが、ここまで来たことを非常に喜んでおります。それぞれ委員の皆さんもそうだと思うのですが、冒頭にも申しましたように、今までの総括といいますか、感想といいますか、次に贈る言葉。かわられる人、残られる人もいらっしゃると思うのですけれども、そういうメッセージもあるかもわかりませんが、順番に、秋山さんからいきましょうか。

 急にごめんなさい。お願いします。

○秋山委員 秋山です。

 私は途中から、本当につい最近加えていただいたので、皆さんの積極的な発言にいつもとても気おくれして、余り発言ができなかったのですけれども、現在豊洲のマギーズ東京で毎日相談を受けている立場として、たくさんの患者さんたちの、特に外来に通院中の方々の御本人や家族の思いを毎日毎日聞いている状況の中で、いかに病院と在宅とか地域が、これだけ言われていてもつながっていないのかという現実を目の当たりにしています。今回がんとの共生社会を目指すという項目がきちんと入り、そこがきちんとディスカッションされて文章になったということについて、これからこれを具体化していくのに本当に期待を持っているところです。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 川本委員、お願いします。

○川本委員 川本でございます。

 日本看護協会から、こちらのほうの委員を4年間させていただいておりますけれども、第3期のがん対策推進基本計画案が大筋に決まって本当によかったなと思っているところです。いろいろなディスカッションの中で、御意見を伺い、看護職に対してのメッセージもいただいているところもたくさんありましたので、またそれを生かしながらいきたいと思っております。

 今回の基本計画の中の予防のところや、がん医療の充実と共生の中で、ライフステージを大事にしたところが出てきたことは、私たちが大事にしているところなので、非常によかったと思っているところでございます。これをまとめるに当たりまして、門田会長や事務局の方々には本当に御苦労がおありだっただろうと思っております。また、委員の皆様、いろいろありがとうございました。

 以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 最初にこの席に座ったときも、今もそうなのですが、この計画は6年後に完了になると思うけれども、自分がその世界に生きて存在しているのかなということを、いつも感じています。私、協議会に来るときは、いつも仲間の形見をつけています。乳がんでしたけれども、何の薬も効かなくて、あっという間に私を追い越して亡くなっていきました。そういう覚悟を持って私は毎回この協議会に参加をしています。

 日本のがん医療、それから、日本の患者さんの未来を考えたとき、特に私はAYA世代でがんの診断を受けて、いろいろ人生としては遠回りもしてきましたが、願うのは、自分と同じ思いをしてほしくないのです。なので、今日も強く言いましたけれども、在宅療養のところはしっかりしてほしいということはすごく思っています。若い患者さん、今も天井を見上げて涙を流している人がいると思うのです。そういうことを忘れないでほしいと思っています。

 これから考えなければいけないのは、持続可能な医療政策をどうしていくかだと思います。これはがんだけで考えても仕方がないので、国民全体で考えていくようなこと、新しいシステムも入ってくるかと思いますので、そこに対して、どうして私たちの体験を入れていくかということをしっかり考えていかないといけない。あすは我が身でもありますし、多分それが実装化してきたときには、私がそういう立場になるかもしれないので、的確な判断ができるような状況というのを、この計画を含めてこれからもつくっていかなくてはいけないのだなと。

 いろいろ、発言をしましたが、ありがとうございましたということを一言お伝えしたいです。

○門田会長 ありがとうございました。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 ありがとうございます。

 私が所属しているのはNPO法人AWAがん対策募金というところになるのですけれども、他の患者会と違うのは、まず一番最初に、NPOを立ち上げるのだったらいろいろな方に入っていただいてやろうと。そのときに入っていただいたのが、まず企業です。それから、行政、学校関係者、もちろん患者、一般市民、農業をされている方もおります。今もボランティアでいろいろ教えていただいている。そういった中で、県民の方々からの募金とか寄附金をいただきながらともに歩んできました。

 そのように活動する中で、いろいろな方から知恵をいただき進めているのですけれども、もちろん失敗もしましたけれども、その都度企業の方々、それから、行政の方、医療者、そういった方々相談して、方向をきっちり、もう一度見直して、そして、やってきて現在があります。

2010年に始めて今年が2017年ですから、丸7年ですかね。その中で一番大きくかかわったのが、私は医者でないので治療はできませんし、ただ、徳島県はがん検診率が非常に低い。それだったら、そこは頑張ろうかということで、がん検診率をどうやって上げたらいいか。そのためには、いろいろ市町村の方々とも相談しましたけれども、既存のやり方では難しいというか、どうしても他人から進められても検診に行けないというか、行かないというか、自分のことと思わないのですね。それだったら、子供さんから、教育の中からやっていくのがいいかなということで、まず、友人の高専の学長に話をして、そこから始めました。今、それが広がって、高校、小中、それから、大学も学園祭でやらせていただいています。

 前も中川委員から話が出たのですけれども、セミナーをやっても、集まってくる方は、ほとんど顔ぶれが似ているのです。ということは、これでは広がらないのです。でも、それを広げようとしたら、私の中で教育が一番かなと思っています。それをすることによって、がんということを勉強された子供さんが、両親とか、じいちゃんばあちゃんとか、もしくはほかの友達に検診の大切さとか、いろいろなことを心を込めて話をしてくれるのです。そういうことで、よかったかなと今、思っております。

 このがん対策、過去10年間やってきているわけですけれども、成果が出てこなかったというのは、やり方がどこかまずかったのではないかと思っているのです。それは都度修正していかなければいけないと思います。コール・リコールにしても、多分、各市町村の方々に直接話を聞いたという方は、この中では少ないのではないかと思います。若尾委員のほうは、先ほどの個別に罰則はするなとか、それは当然そうだと思います。何でかと言いますと、市町村の方々は、この指針に基づいてしっかりとコール・リコールも含めて動かれています。けれども、成果が出ない。それは、コール・リコールだけでは前進しないということなのです。だから、それをきっちりと修正して、本当に検診率が上がるようなとか、そういった総合的に判断して、そして、前に進めるべきであろうと思います。そのためには、いろいろな方々の話を聞いてやるのが一番いいのかなと。

 少し長くなりましたけれども、ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 田中委員、お願いします。

○田中委員 ちょうど1年前からこの会議に参加させていただいて、患者の方たちと、医療側の委員の方たちが率直に意見を闘わせる。そうやって、健康政策をつくり上げていくというのは、日本の健康政策の中でも非常にモデル的なやり方なのだなということを見せていただきました。意見が対立したこともありますけれども、きょうもあった喫煙対策については、完全に医療側も患者側も一致したわけです。ところが、政治の世界では全くそうなっていないということを見ますと、政治家たちが、いかに医療現場や患者の意識からかけ離れたところで議論しているかということを感じます。政治家たち、特に自民党の人たちは、そういうことを自覚すべきだと思います。

 きょう、完全に一致する形で受動喫煙対策の意見がまとまったわけですから、事務局の皆さんには大変御苦労だと思いますけれども、それをきっちり反映させた計画案をつくっていただきたいと思います。

 本当にどうもありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 私もちょうど1年前からこの協議会メンバーに加えさせていただいて、この新しい、第3期のがん対策推進基本計画の議論に加われたことは、私としても非常にいい勉強になったと思います。

 ちょうど昨年末にがん対策基本法が改正され、それを受けての最初の今後6年間の基本計画の非常に重要な位置づけにあるものの中で、私にできるものとして、これまでのがんの研究者とか実際に医療に携わった経験を踏まえて議論に加えさせていただき、意見をさせていただいたのですけれども、私の経験で、十分に問題意識として認識しなかった部分も数多く論点として認識させられましたし、いろいろなことを勉強させていただきました。また、いろいろなことが十分に議論され、がん対策に資するような要素がたくさんあるのだなということも認識しましたし、そういうものが十分にこの中に書き込まれていると思うのです。

 同時に、今のゲノム医療の動きを見ていると、恐らく5年後、10年後の状況というのは、現状を十分に把握して推測したとしても、予想できないものもきっとあるのかなと思います。そうなったときに、重要なのは最初に書かれている「第1 全体目標」の中の3つの大きな項目かなと改めて思うわけで、わずか1ページの文章ですけれども、そこにあるような予防・検診、患者本位の新たながん医療の実現、それから、社会の中でのがんとの共生、この3つの項目は本当に重要な要素かと改めて思うわけです。ここを常に意識しながら、これからのがん医療、がん研究の現場の中で反映していくようにしていきたいと思います。

 個人的には、この中でも特に社会との共生という部分に関して非常に学ぶことが多く、この領域に関しては、私の認識不足もあったのですけれども、既存のシステムを整理・整備するだけではなくて、恐らく学問としてもこれからの領域なのかなというイメージがあって、そういうところで何か私にできるような、貢献ができるのではないかということも改めて感じさせていただいた協議会かと思いました。できるだけ、この議論を踏まえて、現場で反映できるように尽力したいと思います。

 どうもありがとうございました。

○門田会長 どうもありがとうございました。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 がん対策は、社会のあり方の試金石かなという気がしています。例えば1990年から2013年の間にアメリカでは乳がんの年齢調整死亡率が34%減りました。一方、日本では45%ふえているのです。先進国の中でがん死亡数がふえているのは、事実上日本くらいです。

 ただ、これは社会のあり方、欧米主導の歴史というものがあったわけで、その中で、日本が少しおくれているというのはやむを得なかったのかもしれませんが、その中で、このがん対策推進協議会が果たした役割は非常に大きいのかなと。その社会のあり方を少しでもギャップを埋めるという意味では、非常に重要だったのかなという気がします。

 門田先生と並んで、私は10年間5期にわたって委員を続けさせていただきました。実はいろいろなことがありました。会長解任動議などといったことが起こったこともあります。ただ、今期はかんかんがくがくの議論がある中で、基本的には本当にいいチームだったのかなという気がいたします。

 この10年の中で、私の個人的な思いとしては、がん教育が、当初より私が申し上げてきたことではあったのですが、今回もこの基盤の整備の一つに加えられ、また、中学校の保健体育の中でも学習指導要領の中で明記され、これは大きな変化だと思います。文科省の報告書の中にも、がんを知るとともに、そのことを通して命や健康のことを考える。まさに、がんという病気はそういう力を持っているところもあります。経験者の方においては、がんの経験、もちろんそのこと自体はつらいわけですが、患者さん、経験者と接していると、この病気が実は人間を非常により高いところに導くのかなという気がしていまして、そういう経験を子供たちが幼いころから少しでも共有できる仕組みが、恐らく大きく今後日本のがん医療だけではなくて日本の社会を変えていく、そういう可能性を秘めている感じがいたします。

 最後に、例えば大腸がんによる死亡総数は、実は日米でほぼイーブンです。5万1,000名から5万2,000名、これは人口比率が2.5倍以上あるわけですが、実は大腸がんの死亡数はイーブンです。もちろん日本が高齢化しているという要素、ですから、高齢者に少ない乳がんだと、大体年齢人口比率によっては同じなのですけれども、一方、日本老年学会が提唱しているように、高齢者の定義を65から75に変えようという動きがあります。それほど日本人が若くなっていますね。これはそういうデータもあります。磯野波平さん、54歳です。私、57歳です。私はともかく、日本人が全般に若くなっている。その中で、年齢調整という考えをどこまで持っていくのかということを、ちょっと考えてもいいのではないかという気がして、がんの死亡総数というものも減らすようなことも、次のときは考えていく必要があるのかなと思います。

 私個人としても、本当にこの10年間大変勉強になり、また、事務方を含め、皆さんには大変お世話になりました。この場をかりて、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 難波委員、お願いします。

○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。

 私も丸2年、皆様とともにこの協議会で議論させていただいたのですが、がんの当事者、経験者として参加し、発言し、それとともに、医療現場の先生方と議論を交わさせていただいて、こういった行政の協議というのでしょうか、会議のあり方があるべき姿なのだろうというのは、毎回毎回感じておりました。

 一方で、会議に参加していく中で、今まで会ったことのない数のがんの経験者の皆様とお話をさせていただいて、一人だけの経験の中では語り尽くせなかったり、わからないことがすごく多いと感じました。要望になりますが、こういった協議会のみならず、さまざまな行政の会議の中で当事者の声が行き届くように、当事者が参画するような仕組みをもっともっとつくっていただきたいと思っています。

 内容については、我々の渾身の協議の成果が、きょうでき上がり、今後は門田会長と事務局の皆様方に託させていただくわけですが、とりわけたばこ対策に関して言えば、我々のこの2年間の話し合いの総括と言うべき事柄だと思いますので、調整等々御苦労をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。

 この中でまだまだ足りない対策もございますし、対策を立てたものを全て網羅的に漏れなく進めることはすごく大変なことだと思うのです。ですので、次期協議会委員の皆様にも、ぜひこの議論が行われたということを伝えていっていただきたいと思いますし、今後も私をはじめ、患者委員の皆さんともこれからの次世代に向けてどういったがん対策を残していくのかということに関して、できるだけ同じく力を注いでいきたいと思っています。

 最後になりますが、この基本計画について、先程、田中委員もおっしゃったのですけれども、誰のためなのか、という視点は絶対ぶれずにいっていただきたいと思いました。がん患者の利益を守る、そして、私たち生活者の利益を守る。これが第一です。私自身もこれからも身を引き締めてまいりたいと思います。皆様、ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 細川委員、お願いします。

○細川委員 都合4年間、務めさせていただきました。私は京都から来ていますが、日本緩和医療学会の理事長としての立場で、協議会に参加させていただいています。

 がん対策全体の中で、緩和ケアに関しましても、いろいろと大きく取り上げていただきまして、非常にありがたいと思っております。私は1983年に友人のお母さんの子宮がんの骨盤・大腿骨転移のために、痛みで身動きできなくて、七転八倒という場面から、初めてがん患者さん、がんの痛みに関わることになり、その後30年以上、がん疼痛と患者ケアに関わってきました。年配の先生方は御存じのように、30年前の当時はがんの告知すらせずに“がん”の治療をするという状況でした。その後85年から2年間外科兼任をやっていたときには、がん患者を治療する各病棟では、患者さんは痛みで七転八倒され、のた打ち回り、奥さんが看護師詰所に何とかしてと走り込んでくる。主治医は逃げ回り、看護師は主治医に、こんな末期の患者をいつまでうちで見ているのですか、さっさと外へ出してくださいなどということが、当時の大学病院や大病院では普通に言われているような状態でした。そういった状況を見るものですから、他の方と同様に、当時、自分は絶対にがんでは死にたくないと思っていました。

 それから以降、この会議に参加したころには、1,400人ぐらいの患者さんと関わり、看取ってきました。この30数年を振り返ると、最初のころは、絶対がんでは死にたくないと思っていたのに、今は、私は多分がんで死ぬのが一番いい死に方の一つではないかと思い始めています。

 どういうことかといいますと、死に至ることのある病と診断されてから、人生や今後のことを考える時間が結構あるということです。かつてぽっくり逝きたいというような人が集まって、「ぽっくり行く会」みたいなものがありました。あれに賛同されていた方々は、身内の方に当時のがん患者さんを傍で看取った方が多くて、あんなにがんで痛みに苦しむのなら、むしろぽっくり逝きたいと思われていたのでしょう。でも、実際にぽっくり逝かれると、本人はいいかもしれませんけれども、残された者は遺産相続から仕事のことから、もう大変だと思います。御経験がある方がおられると思いますが、そういった観点からがんと診断されて、数ヶ月から数年に及ぶいろいろなことを考え行う時間がかなりあるということから、まだ不十分であっても、かつてのようには痛みやその他の苦しみにまみれるようなことは少ないということも考えると、人は、いつかは100%死ぬのですから、がんというのも、一つの死に方としては決して悪いものではないと考えています。もちろん、がんで、御苦労され、苦しんでおられる患者さんやご家族はたくさんおられますので、いつかは、がんは克服できると考えたい。

 ただ、今、一つ心配していますのは、少なくとも徐々にその歩みは遅いかもしれませんが、緩和ケア、がん対策、全て進んできていると思います。しかし、緩和ケアに関してのみ言うと、少し後退のようが見えてきているところが一点あります。どういうことかといいますと、この10数年の間に、せっかく緩和病棟、ホスピス等ができたのに、パイオニアであるそこの責任者の方々が、そこそこの高齢になられて、やめられる時期に入ってきています。ところが後継者がいない。後継者というのは、つまり、緩和ケア専門医などの資格を持っておられる方がいないから、そこは認定指定にならないのです。そうすると、認定指定にならないと緩和病棟指定の管理料等はとれませんので運営できないからというのが、京都だけでこの2年間、1年に1つずつ潰れてしまいました。これと同じことが日本中で次々と起こっています。また、緩和ケアチームと違い、緩和ケア病棟やホスピスの運営には、緩和ケアの技術だけでなく、病棟運営やスタッフ教育など、一定レベルの経験と知識と資格が必要になります。

 これはいつも申し上げているように、一つの大きなことを国家的にやろうとすれば、学問の世界では各大学に教室、講座というものを設けて、まず「教育」ということから根本的に考えていかなければならない。また、がんに限らず、ほかの疾患で亡くなる方々も現在たくさんおられる。先ほど申しあげたように、日本人の死亡率は100%なのです。皆いつかは死ぬのは当たり前ですが、実は現在、世界中で一番死ぬことについて考えていない民族は日本ではないかと私は思っています。死生観というものの教育も今後は緩和ケアとか医学教育の中には必要になってくると思います。そうすると、組織としてそういったことを継続的に考えたり、研究したり、教育していく施設、組織、そういうものが大学に必要である。ところが、国公立で、現在、まだ日本中で多分、正規の教室というのは5つもないのです。

 医療では、チーム医療が大切と言われています。国家レベルにおきましても、厚労省や文科省、その他の関連する省庁が壁をつくらずに、このような教育の組織つくりについても協同しながら、やっていっていただきたい。かつての医学部も各科が壁を作って、ほとんど行き来がなかったのですが、現在は、それが是正されてきています。国家レベルでも、がん医療や緩和ケアの普及・教育、そのための大学における講座の構築、こういったところでは、是非、壁を取り払っていただいて、5年後、10年後にいい方向を目指すということをやっていただきたいと切に思います。

 桜井さんを初めといたしまして、患者会の方々から、切実ないろいろな声を聞かせていただきました。また他の各部門の専門家の方々の貴重なご意見も聞くことができました。京都府という狭い井戸の中にいただけの自分がよくわかり、国全体で物事を見る端緒となりました。これらを京都に持ち帰りまして、今後さらに京都府から発信できる新しいこともやっていきたいと思っております。

 どうも4年間ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 道永委員、お願いします。

○道永委員 今期、私は途中から担当が変わって、がん対策担当ではないのですね。それで外部審議会だけはそのまま残っているので、非常に中途半端なスタンスで出席していたことは否めません。

 ただ、このがん対策、本当にいろいろと勉強させていただきましたが、がん対策の基本というのは、がんというものがどういうものか、正しい知識を国民全体が持つことだと思います。がんはまだ偏見があるし、どこかではがんはうつるのだという、そういうことがまだ残っている地域もあると伺っていますので、それは私たちいわゆるかかりつけ医も、きっちりと患者さんたちにお伝えしなくてはいけないことだと思っていますので、これが私たちのこれからの仕事だと思っています。ですから、中川先生がおっしゃったがん教育ですね。子供たちが大きくなってからは、多分今から10年、15年後ぐらいはさま変わりするのだろうと思いますが、今は過渡期ですので、それに対して働きかけていきたいと思っています。

 あとは、今、学校保健を担当していまして、がん教育はもちろんなのですけれども、文科省で医学教育をやっているわけで、実際に医者になると今度は厚労省の分野になりますが、文科省のいわゆる医学教育についても日医は物が言えるので、そちらのほうから話して、今すぐということではなく先の先のことを見据えた活動を、医師会としてはしていくべきだと思っています。本当に勉強になって、ありがとうございました。

 2回前でしょうか。前々回のときに日本医師会がつくりました「禁煙は愛」というリーフレットをお渡ししましたが、6月ですが、都道府県医師会、あと、郡市区医師会を通じまして、各医療機関で受動喫煙防止条例に対する署名活動を行います。ぜひ、お知り合いの方々にそれを広めてください。目標300万人です。ぜひ御協力をお願いできればと思います。

 本当にありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 宮園委員、お願いします。

○宮園委員 私は日本癌学会からということで参加させていただいておりました。去年から参加させていただいております。

 日本癌学会は、ちょうど門田先生が会長をされたときに、社会との協働ということを目標にし始めまして、市民公開講座ですとか、最近では患者さんとのSSPプログラムなど活動を始めまして、いろいろと患者さんからの声を聞くことによって、研究者も学ぶことが非常に多いということを、今、実感しているところであります。

 今回のこの委員会に関しましては、まずゲノム医療についてかなり大きく取り上げていただいたということが大変重要でありまして、ゲノム医療、これはとにかく今、うまくいかないと、がんの後は次は生活習慣病とか、いろいろな病気にもかかわってきますし、日本全国でゲノム医療を浸透させるためにも、今が非常に大事な時期であるという点で、この報告書をつくっていただいて大変ありがたいと思っております。

 もう一点は、希少がん、小児がん、あるいは難治性がんについて文言を加えていただいたこと、大変ありがたく思っています。昔、スキルス胃がんの論文を書いたところ、アメリカの雑誌に出しましたら、アメリカではスキルス胃がんは少ないのだから、この論文はその雑誌では採択しないといって返されたこともりあります。患者さんが少ないとデータが少ないですから、どうしてもいい雑誌には通りにくい。そうすると、若い研究者はなかなか興味を持ってくれないということもありますので、こうした難治がん、それから希少がんについて文言を加えていただいたこと、本当にこれからの研究者にとってモチベーションを上げるという意味でも大変ありがたいと思っております。 最後にたばこになりますけれども、たばこのことについて議論していただいて、ありがとうございました。私は若い時にスウェーデンに留学したときに、最初に研究所から言われたことは、いろいろな企業と共同研究していいけれども、たばこ企業とは絶対に共同研究してはいけない、それから、たばこ会社の研究費の申請はもちろん、審査もしてはいけない、一切関係を持ってはいけないと30年前に言われました。WHOなどは、審査をすると、それだけで何年かWHOで活動できないなどということも聞いておりましたので、日本で何でたばこに関していつまでも規制がうまくいかないのかなと不思議でおりましたけれども、今日の議論を聞いていて難しいことが大体わかりました。ぜひ、これから皆さん、絶対に負けないように頑張っていただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 この2年間、各ステークホルダーの方々とじかにさまざまな課題について意見交換をさせていただき、本当にありがとうございました。

 私は小児がんまたは希少がんの患者家族として意見を伝えるように努力してきましたけれども、成人関連の委員の方々と重要な課題について話し合う機会も、こちらに参加しなければなかったと思いますので、本当に感謝しています。

 少子高齢化ということで、子どもが少なくて高齢の方が多くなっている今、第2期で小児がん対策を入れていただき、その前の小児がんの状況というのは本当に悲惨なところがありまして、この第2期に小児がん対策を入れていただいたことで大きく進んできた部分がありますし、小児がん対策が進むと小児医療全体も本当に底上げになってきているのではないかという印象を私は持っております。

 今回はライフステージということで、小児・AYA世代、高齢者ということで、縦糸を入れていただきました。この縦糸というのは、さまざまな分野で横糸としっかり合わさっていくべきものと考えております。がん対策だけではなくて、この年齢の縦糸と、横の社会の連携とか、社会福祉的な関係とか、教育関係、そういったものの連携というものがとても大事だなというのを、この協議会を通して考えさせられたというか、それが社会を向上させるために一番重要なことなのではないかと思いました。

 先ほど、中川先生も試金石とおっしゃっていましたけれども、このがん対策推進協議会は、さまざまな課題の交差点として非常に重要な道筋がつくられるところであるので、これからも協議が活発に行われて、医療や患者家族の状況が少しでも早く、よりよくなるように願っております。

 2年間本当にありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 2点申し上げたいと思います。1期及び2期の基本計画については、医療現場で拝見をしてそれを生かすという立場だったのですが、今期は3期の作成にかかわらせていただきました。今、3つほどの県で委員を務めていますので、公表できるドラフトについて見ていただいています。

 そうすると、今回の3期の特色といいますか、がん検診をしっかり取り上げることができたこと。なぜかというと、1次予防が可能ながんは今3割というのが大体のコンセンサスなので、残りの7割はがん検診などの努力でカバーしなければいけない。それで新しい技術が必要だといった考えが今回盛られたと思うのです。

 医療の部分に関しては、医療現場に必須なチーム医療、支持療法、リハビリといった患者視点のテーマがしっかりテーマ立てされました。希少がん、小児がん等は2期や加速化プランで書かれていたのですけれども、今回、高齢者がしっかりテーマ立てされたことは日本国民にとって大変重要な意義があるのではないかと思います。

2007年生まれの子供たち、今10歳ですが、半数は100歳以上生きるという統計が出ています。コホート型の平均寿命の計算をするとそういう形になるようなので、今からしっかりその対策を練っておかなければいけないのだろうと思います。日本の超高齢社会は世界で最も早く進み、その備えを進めることに世界的にも大きな意義があります。

 共生の部分は、これはもう1期からの伝統で、今回もしっかり守られたのではないかと思いますので、大局的に見ると、非常にいい案に仕上がったのではないかと私は考えております。

 もう一点は、「患者の研究」に関するのことです。最初にこの協議会に出席させていただいたときに、文科省の方からの説明で、門田先生が、社会学的な研究はどうなっているのだと聞かれました。それに対して、それは厚労省がやることですとあっさり答えられて、私はかなりショックを受けて、これは何とかしなければならないなと思う視点でやってまいりました。

 それは理由があって、がん総合研究10か年戦略の柱の中の6つはAMEDでやる、あとの2つは厚労中心になってやるという整理がなされていたから、それはそれで正しい分け方だったのですが、片や100億以上の研究費、厚労省の研究費は5億弱、4億台だったと思うのですけれども、これだと患者視点のがん対策は十分できないだろうという印象がありました。厚生科学審議会の技術部会委員も別途務めさせていただいておりますので、そこでも、がんという病気の研究は大切なのだけれども、同時にがん患者さんの研究をしっかりやらなければいけないということはを主張させていただいた。

 厚生労働省絡みの大きな研究費の2本柱というのが、ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトの100億ちょっと。もう一つは、厚労省中心になってやる、厚労科研、約4億台、この2つなのですが、文科省の方からそれはそっちでやってねと言われたほうのジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトの今年度の部分を少し読ませていただきます。しっかりこの協議会の議論が入れ込まれたと思っています。この点は非常によかったと思うのです。全体に対する研究課題、推進すべき研究課題というところに、「がんゲノム医療、免疫療法、小児・AYA世代のがん、高齢者のがん、難治性がん、希少がん等に関する研究や治療法の開発や、がん治療に伴う副作用、合併症、後遺症に対する予防とケア(支持療法)といった患者のQOL向上に資する研究等を重点的に支援する。」ですから、どこまでを社会学的な研究と呼ぶかどうかはこれからの課題だと思いますけれども、こういう一文がしっかり入り、かつ、平成30年度に優先して実施する研究課題については、「次期がん対策推進基本計画策定等に向けた議論の中で、一層推進すべきであるとされたものについては、優先的に推薦していく。」これもしっかり次年度の研究のテーマに取り上げられておりますので、この点だけでも、この協議会の委員の皆さん、特に患者支援団体、患者会の皆さんの意見がしっかり取り入れられた。最初は、それは含まないと言われていた研究もテーマに入ってきたということは、大きな成果があったのではないかと思っています。

 私自身は、この後、直ちに日程も設定されていますけれども、がん診療連携拠点病院の要件定義、この議論に基づいて始まりますので、そこでしっかり、ここでの議論を生かしていきたいと考えております。

 本当にどうもありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 最後に若尾委員、お願いします。

○若尾委員 若尾です。

 私は2年前にこの協議会の委員のお話をいだいたときは、乳がんの15年サバイバーとしてお受けしました。そして、昨年、急性の成人の白血病ということで、希少難治性がんになりました。

 今、造血幹細胞移植をして、まだ1年たっていません。最初にお受けしたときと、がん対策基本法の改正にも今回の協議会の中にも入っている希少難治性がんというがんの当事者になってからは、少し見方が違いました。最初のときと今とでは、この協議会の中で考える意見、申し上げたいことが変わっている自分に気づいています。

 そして、私たち協議会委員は、選挙などで選ばれているわけでもないので、何の正統性も権力も持っていません。だけれども、私たちの後ろには毎年100万ぐらいの人が新たにがんの告知を受ける。その中で、大勢の人たち、希少がん、難治性がんも含めた大勢の人たちの意見をいつも意識しながら意見を申し上げてきました。この第3期のがん対策推進基本計画は、門田会長がずっと言っていらしたように大きな幹、それから、しっかりした枝をつくったがん対策のあるべき姿を示したのであろうと思います。このあるべき姿というものを、各都道府県、各市区町村にしっかり見ていただいて、それぞれの都道府県、市区町村のあるべき姿をつくり、そこにきちんとした施策を盛り込み、アクションプランに落とし込んで、事業としてやっていただけることをとても望みます。

 もう一点は、このあるべき姿をつくった第3期のがん対策推進基本計画に関して、多分幾つかの協議会とか、検討会とか、分科会とか、つくってくれるのではないかと思います。なぜかというと、今回は今までと違ってがんになってからをどうしましょうということももちろん含めてですけれども、がんになる人を減らすためには予防が大切だということで、1次予防、2次予防の視点を入れました。そうすると、その中には、きょうもありましたけれども、たばこの問題などが入ってきます。幾つかの施策をつくるときには、その施策の中心になるプレーヤーによって、そこに拒否権プレーヤーというのは必ず出てくるわけですね。同じことを目的としていても、実際にやっていく手段は違ってくるわけです。例えばたばこでしたら、吸う人を少なくしようという部署もあれば、たくさんの人に吸ってもらって財源にしようというところもあるかもしれません。でも、そういったところが同じ土俵で意見をすり合わせて、新たな日本の対策というものをつくっていくような感じになるのではないかと思うのです。そのときには、ぜひこの協議会の委員の人がつなぎ役として入っていただいて、2年間ずっとやってきた第3期のがん対策推進基本計画の脈々とした血として流していただきたいと期待します。

 以上です。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。

 委員の皆さん、それぞれいろいろな思い、自分の経歴を含めて、いろいろなお話をいただきました。

 私も最後に一言お話をさせていただきたいと思います。先ほど、中川委員から話がございましたけれども、中川委員と私は正式協議会の委員10年、ところが、私は中川委員よりさらにその1年前に法律が通った後、何という会だか忘れましたが、予備だったか、何かがスタートしたのです。そのときからずっとこの委員をやってきております。さらに後半の6年間、6年間といっても、最初に会長に就任したときには、その年に第2期の基本計画をつくり上げる。しかも、それは3.11のため始まりがおくれた。それで、その年のうちにつくると。結構時間的に厳しい。そして、今度いよいよこれで10年目の今回第3期。そういうことから、皆さんはいろいろあったかもわかりませんけれども、中川先生と私はこの10年間の日本のがん対策の、ある意味、責任をとれよと言われるのではないのかと、多分そういう見方をされるのではないか、自分自身に言い聞かせるとともに社会からそういう目で見られるという感じを受けました。

 そういった意味で、第2期の基本計画が終わったときに、それまでのものは、今、若尾委員からおっしゃっていただきましたけれども、スタートはがん患者の会、あるいは山本孝史さんががんの末期であるという契機に、このがん対策基本法が一気に世に出てきたということもあって、均てん化を含めて、がん医療とかがん患者のための対策という感じだったと思うのです。それが1期です。

 2期もそれの延長線にありました。ただ、その2期の延長線のときには、単に病院内のことだけではなくて社会全体で見なければならないということで、社会に話が広がっている。そのときに、この第2期の計画をつくったすぐ後に、私が委員の皆さんにお話をさせていただいたのが、今、桜井さんにおっしゃっていただいたのですか。今は現実の空間を広げてきた。しかし、我々が見なければならないのは時間軸ではないのかと。今、どんどん高齢者がふえてきているときに、これから先どうなっていくというようなことをしっかりと入れたがん対策とはということを考えなければならない。

 ということで、私とすれば、今期これをつくるところまで来るとは思っていませんでしたので、申し送りたいというのが、持続可能ながん対策とはということから展開していって、がんにかかった人を中心にやってきた1期、2期から、がんにかかる前、がんにかかる人を減らすという一番大事な、極端に言えば、これができたらほかのがん対策は要らなくなるのだからということから、どうしてもこれをどうにか何とかということで皆さんとお話をさせていただいた。そして「全体目標」の1番目に一次予防・二次予防の予防を加えていただいたものが、今回日の目を見るということは、10年という自分なりの歴史の中で自分が思う方向性のことが1番目に入ったということで、非常にうれしく思っているということです。

 そういった意味で、この10年間は、私にとっては、日本のがん対策の中心になるなどとは思ってもなかったことがずっとこういうように続いてきて、きょうまで来られたこと、本当に皆さんの御協力、御支援に感謝したいと思います。

 ここの協議会は、20人の委員の中の5人ががん患者関係の人がいらっしゃるという今までにない協議会、審議会ですね。そういう中にあって、何回前でしたか、医療者側の委員と患者側の委員と真っ向から意見が対立するような、がんの「克服」のところですね。あれは本当に一瞬悩みましたね。しかし、あのときに申し上げたように、この協議会、あるいはがん対策基本法というものが、患者の皆さんからスタートしたということから考えると、イエス・ノーではなくて、その歴史的経緯から患者さんのほうを優先しましょうと。これは皆さんに理解していただいてよかったのですけれども、これで少なくとも基本的な考え方は皆さんお認めいただいたと思います。

 でも、私はあえて申し上げたいのは、その長い経過の中で意識したことは何かというと、申しわけない言い方をするかもわかりませんけれども、皆さんそれぞれのバックを持っておられるというようなことで、そこのところは非常に思い入れが大きい。そうでない立場というのは、我々のようにバックのない人間。何があるかというと、つい人間の癖として、よく言われます。木を見て森を見ずという話があります。我々にとって、国全体として大きな森は何なのか、木は何なのか。先ほど、これは若尾さんに言ってもらいましたけれども、本当にしっかりとした幹があって、枝があって、それに花が咲くという感じの、この構造をしっかりしましょうということを申し上げました。そういう意味を込めて、そういう方向性でお話をさせていただいた。

 しかし、最終的には、本当に皆さんがそういう方向で意見をまとめていただけたということで、本当にうれしく思っていますし、きょうの日が無事迎えられたことが何よりもうれしく思っております。そういった意味で、本当に皆さんに感謝して、私の御挨拶にさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

 最後に、宮嵜審議官、お願いします。

○大臣官房審議官(がん対策担当) 済みません。時間も過ぎておりますので、簡単にですけれども、事務局からも一言御挨拶させていただければと思います。

 今回の第3期のがん対策推進基本計画の策定の議論、ひとまず区切りを迎えるに当たりまして、福島健康局長にかわりまして、一言御挨拶を申し上げる次第でございます。

 計画策定の議論につきまして、28年の3月以降、これまで13回分御議論を賜ってきたわけですけれども、途中にがん対策基本法の改正もありました。毎回非常に活発な御議論をいただきまして、おかげさまで本日はおおむねの取りまとめを迎えることができましたこと、門田会長を初めといたしまして、委員の皆様に大変御尽力いただきまして、心より御礼申し上げる次第でございます。

 先ほど、会議の中で門田会長から少しありましたけれども、本日頂戴いたしました御意見を踏まえて、最終的な文案は会長と調整させていただいて、パブリックコメントや法令審査等の手続を行った上で、閣議決定まで進めていきたいと考えております。

 また、本日現行のメンバーの委員で開催する最後の協議会ということでございますけれども、患者さんの立場の方々の意見、あるいは現場の医療関係者の方々の意見、あるいは、がん対策に携わる方々など、さまざまな委員の方々の御意見をいただきまして、ある意味、私たち行政に携わる者にとりましては、大変貴重な御意見をいただきまして勉強させていただきまして、重ねて御礼申し上げる次第でございます。

 また、たくさんの御意見を門田先生に毎回切り盛りしていただきましたこと、改めて御礼申し上げる次第でございます。

 今後、計画策定後というか、閣議決定までにはまだ若干ありますけれども、この計画にあることというのはもちろんですが、我々としては、この計画を策定するに当たって、これまで13回と申し上げましたけれども、これまで出てきた議論、一つ一つの委員の皆さんの意見も大変貴重なものだと思っております。計画という性質上、直接そのように反映されなかった部分もあると思いますけれども、いただいた意見一つ一つが大変貴重なものであると思っておりまして、それらをどう具体化していくか、実現していくのかが大変重要だと考えております。

 最後になりますけれども、委員の皆様におかれましては、今後ともがん対策の一層の推進のために御指導、御支援賜りますようにお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、御挨拶とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

○門田会長 最後に何か事務局、ございますか。よろしいですか。

 それでは、本日の協議会はこれで終わりたいと思います。本当にどうもありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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