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2017年6月9日 「障害年金の認定基準(差引認定)の見直しに関する専門家ヒアリング」議事録

○日時

平成29年6月9日(金) 16:57~


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

宇佐美専門家、菊池専門家、久保田専門家、飛松専門家

○議題

1.開会

2.議事
(1)差引認定基準の見直しについて
(2)意見交換

3.閉会

○議事

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 定刻より少し前ではございますけれども、皆様おそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。

 ただいまより障害年金の認定基準(差引認定)の見直しに関する専門家ヒアリングを開催いたします。

 本日は大変お忙しい中、本ヒアリングにご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、本日進行を務めさせていただきます厚生労働省年金局事業管理課給付事業室の尾山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、専門家ヒアリングの開催に当たりまして、大臣官房年金管理審議官の伊原からご挨拶申し上げます。

 

(伊原大臣官房年金管理審議官)

 伊原でございます。ちょっと座ってご挨拶させていただきます。

 本日は、ご多忙のところお集まりいただきまして本当にありがとうございます。今日、テーマになりますのは障害年金でございますけれども、障害年金は年金の中でも特にハンデを背負った方々の生活を支えるものでありまして、非常に大事なものですし、関心も高いものでございます。

 この障害認定の制度については、当然適正に、公平にやっていかなきゃいけないということで、認定基準というものを作っております。この認定基準も、医療の進歩とか、あるいは障害の概念が変わるのに合わせて適宜見直しを行っておりまして、疾患ごとに定期的にいろいろ見直しをしておるんですけれども、その中に差引認定という仕組みがございます。どういう仕組みかと申しますと、たまたまある部位に最初に障害があり、そこから何年か経過して、また別の事故とか病気で同じ部位に障害が生じた場合に、障害年金としてどういうふうに評価するかと、この仕組みを差引認定と呼んでおります。

 この差引認定も当然障害認定の基準の中に入っているわけですけれども、この基準に関して、去年、年金制度改革の法案が国会で審議された際に、厳し過ぎるんではないかというご意見をいただきました。それを踏まえて、我々としてはもう一度見直しが必要ではないかと思いまして、今日専門家の皆さんにお集まりいただいて、どういう基準になっているのか、それから、それを我々としてこういう見直しが考えられるんではないかというご提案をさせていただきたいと思っております。それを踏まえて、ぜひ先生方から専門的な見地から活発にご指導というか、ご助言とかご意見をいただきたいと思っております。

 限られた時間でございますけれども、どうか先生方の知見をもとにした貴重なアドバイスをいただけることを期待しております。よろしくお願い申し上げます。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 続きまして、専門家の皆様をご紹介いたします。

 お手元の資料1の開催要綱に名簿をつけさせていただいておりますので、本日ご出席の方のお名前を読み上げさせていただきたいと思います。

 五十音順でございますが、信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室の宇佐美教授でございます。

 

(宇佐美専門家)

 よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 早稲田大学法学学術院の菊池副学術院長でございます。

 

(菊池専門家)

 よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 帝京大学名誉教授の久保田教授でございます。

 

(久保田専門家)

 眼のほうをやっております。よろしくお願いいたします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 国立障害者リハビリテーションセンターの飛松総長でございます。

 

(飛松専門家)

 よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 続きまして、事務局のご紹介でございますが、ただいまご挨拶申し上げました大臣官房年金管理審議官の伊原でございます。

 

(伊原大臣官房年金管理審議官)

 伊原でございます。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 年金局事業管理課給付事業室長の重永でございます。

 

(重永 事業管理課 給付事業室長

 重永です。よろしくお願いいたします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 同じく、医療専門官の徳本でございます。

 

(徳本事業管理課医療専門官)

 徳本です。よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 同じく、障害認定企画専門官の大窪でございます。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 大窪です。よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 また、実際に障害年金の認定事務を行っている日本年金機構から、年金給付部長の田中でございます。

 

(田中日本年金機構年金給付部長)

 田中です。よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 同じく、障害年金センター長の佐藤でございます。

 

(佐藤日本年金機構障害年金センター長)

 佐藤でございます。よろしくお願いします。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 専門家の皆様及び事務局の紹介は以上でございます。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。

 お手元にお配りしている資料をご確認ください。

 資料1としまして、障害年金の認定基準(差引認定)の見直しに関する専門家ヒアリング開催要綱でございます。資料2といたしまして、障害年金制度について、資料3といたしまして、差引認定基準の見直しについて、それから資料3の別紙をつけさせていただいております。資料4といたしまして、具体的な差引認定の事例、そして最後に資料5として、差引認定基準の見直し案でございます。

 以上の資料のほか、参考資料といたしまして、国民年金・厚生年金保険障害認定基準の抜粋と国民年金・厚生年金保険の診断書を3種類、眼の障害用、聴覚の障害用、肢体の障害用を机上配付しております。お手元にございますでしょうか。不足がありましたらお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。

 それから、この専門家ヒアリングの運営につきまして少し説明をさせていただきます。

 本ヒアリングは、差引認定の基準を見直すに当たって専門家のご意見を伺うことを目的としておりますので、特に座長を設けずに事務局が進行してまいります。また、本ヒアリングは、対象となる患者が特定されるなど個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認められる場合等を除き、公開としております。資料につきましては公開とし、また本ヒアリングの内容は厚生労働省のホームページにもお名前も含めて議事録として掲載する予定としておりますので、あらかじめご了承いただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。

 本日の議事でございますが、議事次第のとおり、差引認定基準の見直しについて、お手元の資料に基づき説明させていただきます。

 それでは、初めに障害年金制度について説明させていただきます。

 資料2の障害年金制度についての資料をご覧いただきたいと思います。

 表紙をおめくりいただきまして1ページをご覧ください。

 公的年金制度の仕組みでございますが、日本国内に住所を有する20歳から60歳までの全ての方が国民年金に加入し、さらにサラリーマンなどの方は上乗せの年金として厚生年金に加入するという制度になってございます。国民年金に加入中の病気やけがで障害が残った場合は障害基礎年金、厚生年金に加入中の病気やけがで障害が残った場合は、障害基礎年金の上乗せとして障害厚生年金が支給されるということでございます。

 障害年金は、その障害の程度によりまして等級の基準が定められております。その図の左側が障害の程度が重い方、右側が障害の程度が軽い方の場合に支給される年金をあらわしております。

 年金額でございますが、障害基礎年金は定額となっておりますが、障害厚生年金につきましては、厚生年金保険料の算定の基礎となる標準報酬や加入期間に応じた報酬比例の年金額となります。

 それでは、2ページをお開きいただきたいと思います。

 障害年金を受けるためには3つの要件が必要となります。1つ目は、初診日に被保険者であること、2つ目は、保険料の納付要件を満たしていること、そして3つ目が、一定の障害の状態にあることでございます。

 1つ目の初診日に被保険者であることでございますけれども、初診日というのは障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日のことをいいます。この障害年金を受けるためには、この初診日が年金制度の加入期間中にあることが原則になっております。ただし、国民年金では、被保険者の資格を失った後でも初診日に60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有していれば障害基礎年金の対象となるということでございます。

 また、20歳前傷病による障害基礎年金でございますが、国民年金への加入義務がない20歳前に初診日があった場合で、20歳に達した日において一定の障害の状態にあるときなども障害基礎年金の対象となります。

 2つ目の保険料の納付要件を満たしていることでございますが、障害年金は社会保険制度でございますので、初診日の前日においてきちんと保険料を納めていただいているかどうかを確認する必要がございます。具体的には、初診日の前々月までの被保険者期間のうちの3分の2以上の納付や免除期間があるか、または3分の2以上の要件を満たせない場合であっても、特例として初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がないこと、このいずれかを満たしていることが必要となってございます。

 それから、3つ目の一定の障害の状態にあることでございますが、障害年金では、障害の原因となった傷病について、初診日から1年6カ月を過ぎた日、またはその間に治った場合はその日に障害の程度を定めることになっております。この日を障害認定日と言っております。この障害認定日の障害の状態が1級または2級、障害厚生年金の場合は3級までの等級に該当する程度にあることが必要ということになっております。また、障害認定日には一定の障害の状態にない場合であっても、その後、65歳になるまでに障害の程度が増進して障害年金の等級に該当する状態になったときにも、障害年金の請求をすることができることになっております。

 それでは、3ページをご覧いただきたいと思います。

 障害年金では、その障害の程度に応じて等級を定めておりまして、各級の障害の状態は国民年金法施行令別表及び厚生年金保険法施行令別表にそれぞれ規定されております。

 (2)の障害認定基準でございますが、これは施行令に定める障害の状態を傷病ごとに具体的に例示したものでございまして、障害等級を公平に認定するための基準を定めたものでございます。

 なお、現在の障害認定基準は、昭和61年の年金制度改正に伴って設けられたものでございますが、その後の医療水準の向上による医学実態等を踏まえて、随時見直しを行っているところでございます。

 続きまして、4ページをお開きいただきたいと思います。

 障害年金の認定における障害の程度の基本的な考え方でございますが、障害の程度は1級及び2級は日常生活の制限度合いを基準に評価しております。3級及び障害手当金は労働能力の制限度合いを基準に評価することとされております。

 1級の障害の程度というのは、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとされておりまして、具体的な状態といたしましては、身の回りのことは辛うじてできるが、それ以上の活動はできないもの、または行ってはいけないもの。家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものとしております。

 2級の障害の程度の具体的な状態といたしましては、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできないもの、または行ってはいけないもの。家庭内の生活におきましては、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものとしております。

 3級につきましては、厚生年金の独自給付でございまして、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとされております。

 それでは、5ページをご覧いただきたいと思います。

 障害年金の認定でございますが、障害年金は、障害の発生ごとに受給権の有無を確認し、その障害の程度から障害等級を認定することとなっており、それは法令で規定されているところでございます。このため、異なる時期に複数の障害が発生した場合には、おのおのの障害ごとに障害の程度を認定することとなっております。しかしながら、体の同一部位に複数の障害が生じた場合には、特に眼や耳、手足などの肢体の同一部位に生じた障害を前発障害と後発障害で切り分けて、おのおのの障害の程度を医学的に認定することは困難であることから、後ほど詳しくご説明をいたしますが、差引認定という手法を用いることによりまして、前発と後発の障害についておのおのの障害に対する受給権の有無であるとか障害等級を認定するという取り扱いになってございます。

 最後の6ページをご覧いただきたいと思います。

 複数の障害年金の受給権が発生した場合の支給方法でございますが、次に掲げるマル1とマル2のいずれかで支給することとなっております。マル1につきましては、複数の障害年金の等級がいずれも2級以上である場合には、複数の障害を併合して1つの障害年金にして支給するというものでございます。マル2の場合は、3級の障害厚生年金のときにはほかの障害年金と併合することなく、いずれか1つの障害年金の支給を選択するというものでございます。

 なお、米印のところに記載しております障害認定基準の併合認定表でございますが、具体的にはお手元に配付しております参考資料、認定基準の抜粋の109ページに併合認定表が載っておりますので、ご確認いただければと思います。

 障害年金制度についての説明は以上でございます。

 ただいま障害年金制度の基本的な仕組みにつきましてご説明させていただいたところでございます。ここまでで何かご質問等がございますでしょうか。ここまでは特によろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございます。

 そうしましたら、続きまして、差引認定基準の見直しについて担当から説明させていただきたいと思います。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 それでは、資料3についてご説明をさせていただきます。

 差引認定基準の見直しについてでございます。

 1ページをご覧ください。

 こちらでは、差引認定の仕組みについて記載してございます。先ほど資料2の中でもご説明しましたように、障害年金は障害の発生ごとに障害の等級を認定し、受給権が発生する仕組みとなっております。複数の障害が身体の別々の場所に発生した場合、例えば耳の障害がある方に眼の障害が加わった場合などは、眼と耳の障害について、それぞれの受給権の有無を確認し、障害の程度、障害等級を認定することが可能でございますが、身体の同一部位に複数の障害が発生し、混在してしまった場合には、先にあった障害、これを前発障害といいます、こちらと、後から同一部位に重なった障害、これを後発障害といいます、この障害の程度を医学的に切り分けることが一般的には困難でございます。このため、差引認定は、こうした状況下にあっても障害の発生ごとに障害等級を認定するという基本的な考え方に沿った認定を行うために用いられている認定手法でございます。

 ご覧の図で差引認定の概要をご説明いたしますと、前発障害A、生まれつきの右足の麻痺があった方に、脳出血がきっかけとなって後発障害のB、右半身の麻痺が発生いたしました。このとき、この方の右足には前発障害Aと後発障害Bの麻痺が混在しており、医学的には後発障害Bの障害の程度を判断することが難しいので、初めに前発障害のAと後発障害Bが混在した状態である現在の障害の状態が障害等級の何級に相当するかを判断いたします。そこから前発障害の程度を差し引き、後発障害の程度を判断するという方法が差引認定ということでございます。また、差引認定後の前発障害Aの年金と後発障害Bの年金は、それぞれの等級に応じて支給されることになります。

 続けて、2ページをご説明いたします。おめくりください。

 差引認定の必要性ということで記載させていただいております。繰り返しになりますが、障害年金は障害ごとに受給権が発生いたしますので、前発障害、後発障害、それぞれの障害等級を認定することが必要になります。仮に、差引認定を行わず前発障害と後発障害が混在したままの状態で認定するとしますと、例えば前発障害が保険料未納などによって、本来であれば障害年金の受給要件を満たしていない場合においては、この前発障害も含めた障害等級で認定されてしまう可能性があります。また、前発障害と後発障害の加入制度が異なっている場合において、後発障害の受給権の有無や障害等級を正しく判断することができないおそれがあります。

 具体例で説明いたしますと、前発障害が国民年金加入中の障害で、障害の程度が2級相当だったとします。その後、厚生年金加入期間中に脳出血が起こり、前発障害と同一部位である両足に後発障害の麻痺が加わっております。ここで差引認定を行い、後発障害の程度が3級になったと仮定しますと、この例では後発障害が厚生年金加入期間中の発生でございますので、厚生年金の3級の受給権が発生するところでございますが、国民年金加入中の障害であった場合には受給権が発生しないということにもなりますので、障害の発生ごとに障害の等級を認定し、受給権が発生する仕組みに沿って適切に認定を行うためにも、差引認定が必要な認定手法であると考えているところでございます。

 続きまして、3ページをご覧ください。

 現在行っております具体的な差引認定方法について、資料の記載例に基づいてご説明をさせていただきます。

 お配りしております障害認定基準の抜粋とあわせてご確認いただきたいと思います。

 まず、初めに請求者の方から提出された診断書等の内容から、現在の障害の程度と前発障害の程度に対応する活動能力減退率というものを求めます。例は、眼の障害を挙げておりますけれども、例における現在の障害の程度は、左眼の失明に糖尿病性網膜症による両眼の視力低下が加わった状態となっておりまして、活動能力減退率は105%、2級相当の障害となっております。

 この率でございますけれども、お手元の障害認定基準の104ページをご覧ください。

 こちらの104ページ以降に規定されてございます併合判定参考表から、現在の障害の程度に当てはまる障害の状態の番号を確認することになります。この事例の場合ですと2号の1というところに当てはまりまして、両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のものに当てはまります。

 次に、同じ障害認定基準の110ページをご覧ください。

 こちらにある別表の3から併合判定参考表の2号に対応する現在の活動能力減退率を求めますと、2号のところにある数字が105%となりますので、この場合の活動能力減退率を105%とまず評価することとします。同じ要領で前発障害の程度に対応する活動能力減退率を求めますと、前発障害の左眼の失明は併合判定参考表の8号の1に当てはまるということになります。8号の1は、一眼の視力が0.02以下に減じたものでございます。こちらに当てはまりますので、障害手当金相当の障害と評価され、同じく別表の3から8号に対応する前発障害の活動能力減退率、今度は右側の数値になりますけれども、こちらを求めますと、8号の場合は18%となるわけでございます。

 次に、それぞれ求めました現在の障害の程度の活動能力減退率から前発障害の活動能力減退率を差し引きまして、後発障害の活動能力減退率、すなわち差引残存率を求めることとします。例の場合ですと105%から18%を引いた87%が差引残存率となります。この差引残存率の値を資料の3、もしくは同じ障害認定基準の110ページ、別表4をご覧いただきますと、こちらに差引結果認定表というものがございます。この87%がこの表のどこに当てはまるかをご覧いただいて、後発障害の等級を求めますと、この例の場合では2級と認定されるところでございます。

 続いて、4ページをご覧ください。

 ただいまご説明いたしました差引認定につきましては、先般の国会質疑におきまして、差引認定後の支給年金の障害等級が現在の障害の状態に相当する等級よりも低い等級になる場合があるとのご指摘がございました。どのようなご指摘だったか具体例でご説明したいと思います。

 資料の4をご覧ください。

 前発障害である生まれつきの両足の麻痺があって、障害基礎年金2級を受給中の方が会社勤務中の転落事故で両足の麻痺が増進し、全く動かなくなりました。この場合の現在の障害の状態は1級相当になりますので、この方の活動能力減退率は134%となりました。前発障害の程度は既に2級と認定されておりますので、活動能力減退率に置きかえますと63%となります。したがいまして、134%から63%を引きますと、差引残存率は71%となり、差引結果認定表に当てはめた結果、後発障害の等級は3級となります。

 この結果を見ますと、前発障害の障害基礎年金2級と後発障害の障害厚生年金3級の受給権が発生することになりますが、受給に当たりましては、この2つのうち、どちらか一方の年金を選択することになります。この例では、現在の障害の状態は前発障害から麻痺が増進し、1級相当になったと考えられるのですが、差引認定後に実際に受けられる年金の等級は2級以下となってしまいますので、1級相当の年金よりも低い等級になっているということでございます。

 国会での指摘内容は、差引認定がこうした結果になっていることに対してのご指摘でございましたが、一方で、先ほど3ページでご説明した眼の障害の例のように、差引認定後に支給される年金の等級と、それ以前の現在の障害の状態に相当する等級がともに一致している場合もございますので、現在の差引認定には、このような国会で指摘されるようなケースが起こり得る場合もあるということになります。

 ここまで、差引認定の概要についてご説明いたしましたが、ここで具体的な差引認定の事例をもう少しご紹介させていただきたいと思いますので、資料の4に移らせていただきます。資料の4をお手元にお開きください。

 こちらは、実際の認定事例の中から3事例を取り上げております。このうち事例の1と3は、差引認定後の支給年金の等級が現在の障害の程度の等級と異なっている事例、事例の2は一致しているものとなります。

 簡単にそれぞれ1事例ずつご説明をいたします。

 まず、事例の1は眼の障害でございますけれども、前発の障害が交通事故による左眼の失明でございまして、障害の程度は、先ほどご説明した併合判定参考表の8号、障害手当金相当と評価され、活動能力減退率は18%となっています。記載してはおりませんけれども、前発障害は国年加入中の発生でしたので、この方の場合、年金受給には至りませんでした。その後、再度の交通事故で、今度は右眼に視力障害と視野障害が、発生いたしました。この結果、現在の障害の状態は、両眼に視力・視野障害があり、その程度は併合判定参考表の4号、2級相当と評価され、活動能力減退率は79%となっています。

 ここで、具体的な差引認定を行いますと、眼は両側の器官一対で同一部位と認定基準で規定しておりますので、前発障害の左眼と後発障害の右眼は同一部位に発生したと考え、差引認定により後発障害の程度を求めることになります。

 資料に記載しておりますマル1及びマル2の手順を追って、後発障害である右眼の障害の程度は3級と認定されました。この事例では、前発障害で年金を受けておりませんので、後発障害の障害厚生年金3級を受給しておりますが、現在の障害の程度の評価は2級相当でございましたので、実際の支給年金の等級と一致していないという事例になっております。

 次に、事例の2、耳の障害の例でございます。こちらは、前発障害が左耳の突発性難聴で、既に障害手当金を受給済みということでございました。障害の程度は、併合判定参考表の9号、まさに障害手当金相当と評価され、活動能力減退率は14%となっています。その後、右耳に進行性の感音性難聴が発生しました。この結果、現在の障害の状態は両耳の聴覚障害となり、その程度は同じく併合判定参考表の7号、3級相当と評価されまして、活動能力減退率は56%となっております。

 この方の具体的な差引認定についてですが、耳の場合につきましても両側の器官一対で同一部位と定めておりますので、前発障害の左耳と後発障害の右耳は同一部位に発生したと考え、差引認定により後発障害の等級を求めることになります。記載のマル1及びマル2の手順を追って、後発障害である右耳の障害の程度は3級と認定されました。

 ここで、先ほどの資料3の3ページをあわせてご覧ください。

 こちらの例の差引残存率42%を3ページに書いてございます差引結果認定表に当てはめますと、42%は3級もしくは障害手当金のいずれかで認定することができます。では、どちらに当てはめるのかといいますと、その判断基準は、その障害、傷病が治らないものか、治ったものであるかということになります。そこで、資料3の3ページの後段に書いてございますけれども、傷病が治った場合というのは、医学的にその傷病が治ったときか、その疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合となっております。

 この資料4の事例2の右耳の進行性感音性難聴は、今後も症状が進行する可能性があり、傷病が治っていないと当時判断されましたので、この方の差引残存率42%は障害厚生年金3級というふうに認定をされまして、こちらの年金を受給することとなった次第です。

 この結果、実際の支給年金の等級と現在の障害の程度がともに3級で一致することとなったわけですが、もしこの後発障害が治ったものと判断されていた場合には、障害手当金と認定される可能性がある、そういう事例でございます。

 最後に、事例の3、肢体の障害の例をご説明します。

 前発障害が脳梗塞による右半身の不全麻痺で、既に障害厚生年金2級を受給中の方です。障害の程度は併合判定参考表の4号に当たり、活動能力減退率は63%となっています。その後、脳出血が起こり、四肢に麻痺が発生いたしました。この結果、現在の障害の状態は四肢の高度障害となり、ほとんど寝たきりの状態となったため、併合判定参考表の1号、1級相当と評価されました。

 具体的な差引認定ですが、前後の障害が右半身に重なってございますので、差引認定により後発障害の等級を求めることになります。同じくマル1及びマル2の手順を追って後発障害の程度は3級と認定されました。この事例では、支給の選択によって引き続き前発障害の障害厚生年金2級を受給しておりますので、1級相当と評価された現在の障害の程度と実際の支給年金の等級が一致していないということになります。

 今ご説明した具体的な認定事例から、差引認定の内容と、それから差引認定後の支給年金の等級が現在の障害の状態に相当する等級と比べて低い等級となっているという差引認定の課題について、具体的にイメージしていただけたのではないかと思います。こうした課題を踏まえまして、再度資料の3に戻らせていただきます。

 5ページをご覧ください。

 ここでは、過去の差引認定事例を全件分析いたしまして、国会で指摘された課題の確認結果をまとめております。

 過去の差引認定事例でございますが、現行の障害年金制度が実施された昭和61年度以降に差引認定が確認できた事例のことを指しておりまして、件数は全部で270件でした。この中には、今ご説明しました3件の事例も含まれているところでございます。

 また、資料には記載してございませんけれども、分析する認定事例を昭和61年度以降としている理由について簡単にご説明いたします。

 本資料の8ページをご覧ください。

 差引認定基準の導入・改正経過を簡単にまとめておりますけれども、差引認定は昭和22年以降、厚生年金加入中の障害に対して用いられており、昭和61年以降、基礎年金制度の創設に伴いまして、ここから国民年金加入中の障害にも適用されるようになったところでございます。

 昭和22年から60年までの旧厚生年金法に基づく差引認定では、差し引く前発障害の対象は、厚生年金保険に加入していない期間に生じた障害、例えば国民年金加入中の障害であったり、既に障害手当金が支給された障害となっており、現在の差引認定とは対象が異なっておりました。

 また、差し引き後の後発障害と前発障害は異なる制度からそれぞれ支給されるなど、現在のように併合したり支給の選択を行うことがございませんので、現行の差引認定で課題となっているケースがこの期間では発生しませんので、分析の対象を昭和61年度以降とさせていただいたところでございます。

 再び、5ページに戻らせていただきます。

 その過去の認定事例270件のうち、差引認定後の支給年金の障害等級が現在の障害の状態に相当する等級と一致していない件数を確認したところ、74件ございました。ご覧いただいている表の中に270件の認定状況をまとめておりますので、簡単に表の見方からご説明いたします。

 この表は、縦軸の現在の障害の程度と横軸の前発障害の程度の組み合わせ別に差引認定後の支給年金の等級を色分けした表になっています。また、各欄に入っている数値は、その各組み合わせに該当する認定事例の件数となっており、これらを合計すると270件になります。

 このうち矢印を引いております24件という数値が入っている欄の見方をご説明させていただきますと、この欄では、現在の障害の程度が1級相当、前発障害の程度が2級相当ですので、これらを差し引きしますと後発障害は3級と認定されます。この結果、前発障害の年金2級と後発障害の年金3級の受給権を持つことになりますが、差し引き後の支給は2年金での選択となりますので、一般的に支給額が高い2級の年金が差引認定後の支給年金ということになります。したがいまして、この欄の色は支給年金が2級であることを示す緑色を塗ってあるということでございます。

 ほかの欄についても同様の考え方で示しており、1級のピンクから手当金の水色まで4色であらわしているところです。

 現在の障害の程度が1級となっております上から2行の各欄の色が、全て桃色であれば、差引認定後の支給年金の等級と現在の障害の程度の等級が一致しているということになるのですが、この24件の欄のように桃色以外の色になっているところは、差引認定後の支給年金の等級が一致していないということになります。

 赤枠で囲っている部分は、その一致していないところを示しており、赤枠部分の該当欄の合計が74件となっている次第です。

 したがいまして、過去の差引認定事例のうち、差引認定後の支給年金の等級と現在の障害の程度に相当する等級が一致していないものが74件で27.4%、一致しているものが反対に196件で72.6%という結果になったということでございます。

 続いて、6ページをご説明いたします。

 ただいまご説明しましたように、現行の差引認定には一部課題となる部分があるわけでございますけれども、今般の国会での指摘を踏まえた見直しを検討するに当たりましては、差引認定基準が、これまでも導入時の基本的な考え方、仕組みの中で複数回の改正が行われ、現行の障害年金制度に引き継がれていることや、過去の認定事例を見ましても、差引認定結果の全てが国会で指摘されているケースに該当しているのではないことなども考えますと、現行基準の基本的な仕組みは維持しつつ、過去の差引認定事例に当てはめたときに、原則として差引認定後に見込まれる支給年金の等級と現在の障害の程度が同じ等級となるように、見直しを行うことが必要と考え、今般の見直し案の作成になりました。

 具体的な見直し案の内容について、ただいまからご説明いたしますので、お配りしているA3判の別紙とあわせてご覧いただきたいと思います。

 見直しの1つ目でございますけれども、障害認定基準の差引結果認定表に規定されている後発障害の程度に対応する差引残存率の評価を見直すことにしました。先ほどの74件の認定事例で差引認定後の支給年金が現在の障害の程度よりも低い等級になっているのは、これらの事例に対応する差引残存率の評価が厳しいためと考えられますので、現在よりも上位等級に評価されるよう、現行基準下で問題になっていない事例とのバランスも考えながら、各等級に対応する差引残存率の数値の範囲を見直すこととしています。

 6ページでご覧いただいているように、例えば1級になる差引残存率は現行の112%以上のところから100%以上へ引き下げており、1級と認定される範囲を広げております。また、差引残存率99%以下の数値の範囲についても、一つ一つは説明を割愛いたしますが、ご覧いただいているように見直しを図っており、この結果を過去の74件に当てはめますと、50件に対して差引認定後の支給年金の等級が上位等級に見直され、現在の障害の状態の等級と一致したところでございます。

 別紙の右上の表をご覧いただきますと、当初赤枠で囲われていた欄の数が減少していることがおわかりいただけるかと思います。

 先ほど5ページで確認させていただきました赤枠で24という数字が入っていた欄につきましても、71%という差引残存率で対応する後発障害の程度が、3級から、見直し案では2級になります。見直し後は前発障害の程度が2級、また後発障害の程度も2級となりますので、これらを併合して1級の障害年金が支給されることになります。このため、この24という数字が入っている欄の支給年金をあらわす色が緑色から桃色に変わっておりまして、現在の障害の程度と実際の障害年金の等級がともに1級で一致することとなりますので、赤枠がなくなっているということになります。

 しかし、この案だけですと、まだ見直されていない事例が24件、赤い枠がまだ残ってございますので、この24件についてさらに分析を進めることといたしました。

 こちらの同表で現在の障害の程度が4号、それから前発障害の程度が7号から10号までのところに存在している22件のところ、赤枠で左から5、9、2、6という件数が入っている欄でございますけれども、こちらを見たときに、周りは全て緑色で後発障害の等級が2級になっているのですが、ここだけが3級になってございます。

 再度、障害認定基準の併合判定参考表をご覧いただいてよろしいでしょうか。

 この現在の障害の程度である2級の4号が105ページに記載されています。この認定事例の22件は、全て4号の区分7というところに実は評価されていることがわかりました。2級の具体的な障害の状態は、2号から4号までに規定されているんですけれども、ご覧いただくと、どの区分も詳細に障害の程度が定められているところです。しかし、認定事例の22件では、この2級相当ではあるけれども、この表のどの号やどの区分にも当てはまる障害の状態ではなかったことから、4号の区分7と評価されたところでございます。

 しかし、この4号を活動能力減退率に置きかえますと、2級の中でも数値が低いために差引残存率も結果として低く出てしまいます。現在の障害の程度が2級の同じ2号や3号で、前発障害の程度が同じ7号から10号までの組み合わせであったとすると、前発障害の程度が障害手当金相当と軽度であるため、後発障害がほとんど2級になるのに対し、2級の4号ですと後発障害がすべて3級になってしまうということがわかりました。しかしこれは認定基準の規定から生じている違いなのであって、実際の障害の状態を適切に反映しきれていないものと考えられました。

 実際に、22件の障害の状態を見ましても、2級の2号、3号のところで認定されている認定事例と大きな違いは見当たりませんでしたので、やはり同じ結果が得られるように見直すべきだと考えたところでございます。

 こうした分析も踏まえまして、もう一つ見直し案を検討いたしました。資料3の7ページに記載してございますので、そちらをご覧ください。

 見直しの2つ目は、現在の障害の程度に比べまして前発障害の程度が軽度であるものについては、現在の障害の程度に占める後発障害の影響がより大きいものと評価をしまして、差引残存率の評価によらず、後発障害の程度は現在の障害の程度と同じ等級になるものと定めようという案でございます。

 例えば、現在の障害の程度が1級相当、併合判定参考表の1号で前発障害の程度が6号、おおむね3級以下である場合、その3級の状態から1級相当に至るには後発障害が相当重い障害であると評価されなければなりません。もともと、2つの2級の障害が併合すると1級になるということでございますので、現在の障害の状態が1級で、もう片方の障害が3級以下の軽度な障害である場合には、もう片方の障害の程度は2級よりもさらに重いと評価をされるべきであると考え、2つ目の見直し案を設けているところです。

 同様の考え方に基づきまして、現在の障害の程度が2級または3級の場合に対して軽度と考えられる前発障害の程度の組み合わせも規定をしました。この規定を設けることで、1つ目の見直し案では対応できなかった24件につきましても、差引認定後の支給年金が上位等級に見直され、現在の障害の状態の等級と一致することとなった次第です。

 先ほどのA3判の別紙右下の表が、2つ目の見直し案適用後の状態をあらわしておりますが、赤枠でもともと囲われていた部分が消滅しており、74件の全てで現在の障害の状態の等級と一致する結果が得られております。

 このように、今回の見直しは、実際の認定事例に基づきまして、現行の差引認定の結果と現在の障害の状態が見合わないケースの解消を図るために、現在の仕組みを大きく変えないよう必要最小限の見直し方法を選択して対応する案となっております。

 最後に、本資料の最後、7ページ後段になります。

 本ヒアリングの後に予定しているスケジュールを簡単にご説明いたします。

 まず、本ヒアリング終了後にはパブリックコメントを1カ月間実施させていただき、そこで寄せられるご意見も踏まえた上で差引認定基準を改正する旨の通知を発出し、改正後の差引認定基準に基づく障害認定の運用は、早ければ今夏を目途に開始することというふうに考えてございます。

 以上、説明が長くなりましたが、差引認定基準の見直しについての説明になります。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 差引認定基準の見直しの考え方等をご説明させていただきました。

 ここまでで何かご意見、ご質問はございますでしょうか。

 

(久保田専門家)

 久保田でございます。

 細かいことなんですけれども、実際の事例、具体的な差引認定の事例の視覚障害のところなんですけれども、この症例では障害手当金も支給されていないわけですね。それで、両方とも交通事故なんですね。この場合に、最初のほうの前発障害というのをどのように確認して後発と区別されたんでしょうか。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 前発障害は、確かに1回目の交通事故で左眼の失明となってございますけれども、このときの年金加入状況が国民年金の加入期間中でございまして、国民年金の場合ですと、一番最初の資料2でちょっと給付体系をご説明しましたが、2級相当以上ないと年金に結びつかないということでございまして、この方の場合ですと軽度であったという判断でしたので、年金の受給に結びつかなかったということでございます。

 この方も前発の障害のときに年金の請求をされていらっしゃいまして、その結果、不支給となっているものでございます。

 

(久保田専門家)

 そうすると、年金の支給を請求しなければわからないのでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 そういう可能性もあるとは思うんですけれども、今回その後発障害の診断書が上がってきたときに、診断書には既存障害を書くところがございまして、この方の場合、既存障害のところに平成何年何月、要するに今回の2回目の事故よりも前に事故で失明しているということが、診断書上、書かれてもございますので、その上で前回の前発障害のときの請求があったかどうかを確認した上で、このような認定に至っていることでございます。

 もちろん先生がおっしゃるとおり、前発障害が、要するに本人からの診断書上、確認ができなければ、前発障害があったかどうかがわからない場合もなきにしもあらずではございます。

 

(久保田専門家)

 では、もう一つよろしいですか。その現在の状態というのが結局この人にとっては、前発障害の左眼視力0というのが現在の障害の等級に大きく関与しているのですね。後発障害の右眼が0.1の視力に低下したものの、現在の状態というのは、前発障害の左の視力0で、右の視力0.1と、それに加えて視野障害が重なったことによって2級になっているわけですから、眼が同一部位という考えが私にはまだぴんとこないのですけれども。

 要するに同一部位であっても、最初に起こった障害の程度が後発障害に深く関与すると思うのですね。それを後発障害から引くというのが理解できなかったのです。要するに現在の状態で等級を決めるということでよいですね。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 ご指摘ございましたように、確かに実際のこの方の生活というのを考えますと、前発の障害が与えている影響というのは非常に大きなものだというふうに思います。

 それで、先ほどの説明の中にもあったんですけれども、障害年金というのは基本的にその障害の発生する都度に等級を決めていくというのが基本的な考え方ですので、差引認定ということでそれぞれ等級を決めていくわけですが、今回、国会でもご指摘ありましたように、結果として現在のトータルの障害の状態に見合った年金になっているのかどうかというところが重要ではないかというふうに考えまして、今回は差引認定ということで、それぞれの程度ということを決めるということは維持しながらも、トータルの現在の障害の程度に見合う年金が結果としてお支払いできるように、一定の考え方の補正をしていると、そういうことでございます。

 

(久保田専門家)

 眼の場合は、同一部位といっても前発障害の程度が関与すると思いますので、トータルの現在の障害の程度に見合う年金ということは、大変ありがたいと思います。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 ほかにご意見、ご質問はございますか。

 

(宇佐美専門家)

 確認したいんですが、前発障害と後発障害のインターバルについての定義というのはあるんですか。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 基本的に一定の期間がなければだめということはございません。それこそ1日でも2日でも、全然違う、全く別の発生事由で保険事故が起これば、それは別の受給権を確認する必要がありますので、そのようになります。

 

(宇佐美専門家)

 例えば、両側の器官である耳の場合、同じ原因でも発症がずれるということはあるので、そういう場合、どういうふうに理解したらいいかという疑問があるんですがいかがでしょうか。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 ご指摘のとおり、今ご覧いただいている事例の2、聴覚の障害につきまして、この左の突発性難聴と右の進行性感音性難聴が相当因果関係と私ども呼んでおりますけれども、この2つに因果関係があるというふうに認定医が判断すれば、この2つは一体の病気であるというふうに考えられる場合があります。そのときは差引認定の対象にはいたしませんで、前発の障害が右のほうにも加わって増悪したと、1つの病気が増悪したんだというふうに考えられる場合もあります。ただ、今回の事例は、この左と右の難聴は因果関係はなく、別々に発生したものだというふうに当時判断されましたので、差引認定ということになった次第です。

 

(宇佐美専門家)

 医学的に言うとその辺の判断が非常に曖昧というか、結局2つの病名が違うように見えるんですが、突発性難聴も進行性感音難聴も原因不明のことが多いんですね。そうすると、あるいは同じ原因で起こったかもしれないという判断が可能な場合もあると思うんですが、いかがでしょうか。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 ご指摘ありがとうございます。

 実は、この事例につきましても、当時の日本年金機構の認定医が診断書を書いた先生に確認をしております。もしかしてこの2つというのには因果関係ないですかと、その辺の確認をされましたかという医師照会をした上で、診察した主治医がこの2つは別物であると回答されているので、その回答に基づき、認定に至っているという経過が見てとれます。

 確かに、先生おっしゃるとおり、これらが一体だと認定されているケースも一方ではございますし、違うと認定されている場合もあるので、そこは判断が難しいところなのだろうと当方も考えております。ありがとうございます。

 

(菊池専門家)

 考えたこともなかったテーマでしたので、非常に勉強になったと言っては大変失礼なんですが、なかなか複雑な仕組みで、多分、十分理解できていないんですけれども、その中で誤解があったらちょっとご訂正いただきたいんですが、この差引認定の必要性と、それから判断方法の合理性ということが一つはあると思うんですけれども、まず、結論的には私はやはり今現在の障害の程度に見合った年金を受けられていない方が受けられるようになるという、そういった結論については私は大変よいことだと思っています。

 ただ、ちょっとそこに至るまでに幾つか確認したいことがあって、まず、これはもともとは労基法、それから労災保険法のもとでの基準を借用したということになりますね。昭和22年で業務上災害と業務外災害というのは制度としても分かれたわけですので、その際に業務上災害における考え方を業務外にも借用するということになったという、まずそこのところの経緯ですね、そこがまずはっきりしないわけですよね。

 しているのか、していないのかというところがまず一つあるんですけれども、それとの関係で、この当時の障害の捉え方というのは、今日ご説明ありましたように労働能力の面からの障害の捉え方であったわけですね。それが昭和60年改正、基礎年金改革とともに、日常生活の制限という、障害の捉え方が変わったわけですよね。だから、その障害の捉え方が変わったということと、必ずしも労災保険の考え方を借用してきたその趣旨がはっきりしない中で、さらに障害の捉え方が変わったという、そういう中でこの差し引き認定という物差しをさらに使い続けることの合理性というのは、一つあるんだろうと思うんですね。

 なので、これ、たらればの話ですけれども、基礎年金改革があったところで見直すことが一つ必要だったのかもしれないと思うんですね。だから、そこのところの連続的に制度が変遷している中で、差引認定の必要性、それから判断方法の合理性というものをどう説明するのかなというのが、必要性については資料の3の2ページでありますけれども、一つやはり気になるところではあるんです。ちょっと説明は多分難しいと思うんですけれども。

 それと、もう一点は、2ページの資料のマル2にかかわるんですけれども、同じく昭和22年の段階では厚生年金しか存在していなかったので、これも国民年金法ができた後で制度が併存する状況になったという中で、差引認定の必要性というものを、制度が併存する中での必要性というのは、また何かその段階でも考える必要があったんじゃないかとも思うわけですね。

 なので、要するに特にこのマル2は、当時の物差しができた段階では考えてもいなかった事態が発生したので、当然そのほかの制度があるという前提でつくられたものではないわけですから、その物差しとしての不合理性というのが出てきて当然といえば当然だとは思うんですね。

 だから、なかなか障害年金は複雑ですけれども、今言った2点、障害の捉え方の変化と、それから年金制度自体の変遷の中で、差引認定の必要性、判断方法の合理性というものを説明するには、もう少し何か説明が要るんじゃないかという気はいたします。いたしますけれども、そういう中で今回問題が指摘されて、それでご当局で工夫をされて不利益のないようにという、そういう見直しをされるのは大変よくご尽力いただいたとは思います。

 ただ、先ほど申し上げたような差引認定自体の合理的な説明という問題は、やはりまだ多分残るんだろうと思っていまして、具体的には、今回は空欄になっているので不利益を受ける方はおられないですけれども、この資料3別紙の1級でこの緑が残る部分、それから2級で茶色が残る部分で、これに当てはまるという方が今後出てこないかなというのがちょっと気になるところです。

 出てきてから考えるということもあり得なくはないかもしれませんが、先ほどの説明で、説明としては筋は通っていると思うんですが、非常にシンプルに考えると、障害年金の支給要件、これもご説明ありましたけれども、条文上も、すみません、私、法律専門なものですから、ちょっとそういう話になってしまうんですが、疾病にかかり、また負傷し、その傷病につき、初めて医師の診療を受けた初診日において、被保険者で一定の保険料納付期間を満たした者が、その障害認定日において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態である場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給するという、これそのまま読むと、認定日にその傷病によってある程度、何らかの因果関係があれば、その傷病によって障害の状態になったら、その状態を見て障害を認定しますよという、そういう解釈も可能、非常にシンプルに読めば可能だと思うんですね。

 そう考えると、複雑な差引認定とかをやらなくても、原則その現在の状況を見て1級であれば1級ということも条文上解釈できないわけではないのかなというようにも読めるのですが、1級でも緑の部分が残ったり、2級で茶色の分が残るというのが大丈夫かなというのがちょっと気にはなるんですけれども、その辺、いかがでしょうね。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 ただいまご指摘いただいたなかで、まずは、例えば資料3の別紙の一番下の表ですと1級と2級のところがクロスしている5つの緑の枠などが残るというご指摘ですね。おっしゃるとおり、ここが全部ピンクになるのが一番理想的ではあるのですが、今回の見直しに当たりましては、過去の270件が重要なエビデンスであるということで、その中身を検証しながら、ここがピンクであるのが本来妥当な認定であるということも確認しつつ、今回、押さえていっておりますので、エビデンスがなかったところについては今回見直しをあえてしていないところでございます。

 これは過去30年間に全くなかったということが一つ結果としてありまして、実は組み合わせとして併合判定参考表に書いてある内容でこのクロスになかなか合致するような、同一部位に2つが合致するような事例が過去30年もなく、今後も起こりづらい組み合わせであるということでございます。

 ただ、もちろん確率としてゼロではないので、今後出てくるようなことがあれば、一つ一つその状況を見た上で、今回見直ししたものと同様の事象だということであれば、当然、同じように認定をしていく必要はあると考えておりますので、今回の基準の見直しでは行いませんけれども、今後、この欄に当てはまるものが出てくれば、一個一個適切に当てはめて認定をしていくよう、機構での運用を徹底していくつもりで今考えております。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 それと、最後のところで現在の条文を見ると、今のトータルの状態で認定をするということも考えられるのではないかというご指摘もあったんですけれども、我々のほうとしましては、その他の併合の規定とかそういったことを考えると、やはりそれぞれ障害が発生した都度に、その障害による影響というのを見た上で認定をしていくという規定が別にありますので、基本の考え方は障害の発生する都度、その発生したものをどう評価するのかということかというふうに思っています。

大窪 障害認定企画専門官)

 この他に、幾つかご指摘いただいた中で、資料3の8ページのところで、導入経緯のところでございますが、一番最初に昭和22年のところに記載してございます。備考のところに、「業務上の事由による保険給付が、昭和22年制定・施行の労働基準法及び労働者災害補償保険法へ移管される」と書いてございますが、経過だけ申し上げますと、もともと昭和19年に厚生年金法が施行になりまして、当初は業務上外全て厚生年金法の中で補償しておりましたが、それを業務上は労基・労災法のほうに移管するということで、厚生年金の外に労基・労災法が出ていったという形になります。

 そのときに、1人の人が厚生年金法でいうところの業務外、それから労災法における業務上の両方の給付を受けることができる、例えば肢体の障害などを負ったときに、その障害の程度を、それぞれ別の法律だから別の視点で別の等級をというような考えには当時なっておらず、同じ身体を見たときに、労災側も厚年法側も同じ観点で等級を認定できるようにという物差しを同じようにつくろうという趣旨で当時考えていた経過が、実際の通達とかそういったものには実は反映されているものは確認できていないのですけれども、そういうような検討結果が残っている文献がございました。

 ですので、借用したということ、どっちが先でどっちが後かというところはわからないですが、両方とも身体の同一部位に複数の障害が出たときの認定方法としては、厚年法も労災法も同じような考え方で認定しようということで、昭和22年の改正のときに検討が図られているところがありますので、そういう意味では、始まりとしては差引認定の考え方、同一部位に複数の障害があったときにそれぞれの障害ごとに認定をしようという考え方を、厚年法と労災法で同時期に用いたのだろうと考えております。

 そういう導入経緯から始まっておりますので、対象者がいわゆる労働者、働いている方々に限定されていたままずっと運用してきておりますので、先ほど昭和36年に旧国年法ができたときにも一つターニングポイントがあったんじゃないかというご指摘もございましたが、このときは国民年金法と厚生年金法は別々の法律でございますので、基本的にはそれぞれの中で障害の給付を支給するという考えでおりました。

 それから、昭和61年のところで労働能力減退率を活動能力減退率に改名したときにどのような検討があったかというところについては、ちょっと今お答えをできるものがないですが、ご指摘のところについては確かに検討の余地もあったものと思っております。

 

(菊池専門家)

 わかりました。ありがとうございます。

 最後のところはわからないですけれども、この8ページに「労働能力減退率は、『活動能力減退率』に改名」と書いていますが、要は我々にとっては考え方が変わるというのは、結構本質的なものを含んでいると。これ、要するに国年に合わせたんですよね、ここの時点で。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 そうですね。国民年金法と厚生年金法で少なくとも1級と2級の病態像というのは合わせようという発想がまずありまして、国民年金と厚生年金で両方あるものは国民年金、ないものは厚生年金から持ってきてというような形で構成されております。

 

(菊池専門家)

 そうなんですよね。だから、非常に技術的なこっちに寄せたというような部分で、本当は本質的な部分があったのかもしれないのだけど、それが改名というご認識だったから、そこはそのまま素通りしてしまったのかもしれないと。これは、後づけですけれどもね。そういう印象は持たないではないですけれども、ただ、私が申し上げたのは、一つのあり得る解釈を申し上げたにすぎないので、現実のエビデンスに基づいて、そこで明らかになった部分を改めるということ自体は私は賛成ですので、以上申し述べさせていただきます。

 

(飛松専門家)

 肢体不自由から見ますと、少なくとも逆転が起こらないということが大事だと思うので、そういう意味では今回のこのマル2の案というのはすばらしいというふうに思います。

 それから、もう一つは、年金というのは保険なので、税金ではないので、やっぱり素朴に払う側としては、みんなのお金はみんなにとって使うものであって、誰かがいい思いをするというのは余りよろしくないので、今これだけの障害の重さだから一様にこれだけ年金として受け取れるというのは、少し違うんじゃないのかなというふうに思います。

 障害等級に関しては、今の重さでそれぞれの等級が決まるというのは、それはその人が税金を幾ら払おうと同じだとは思うんですが、この年金に関しては保険なので、やっぱりその辺も勘案してこういうような制度が、複雑で全然理解できないんですけれども、あるんだというふうに理解しますので、逆転が起こらないということが重要ではないかと思います。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 確かにご指摘のとおりだと思います。差引認定で今回の案では、結果として現在の障害の状態に見合う年金をお支払いしようということなんですけれども、説明の仕方がちょっと別の観点からになってしまうかもしれないんですが、1度の障害で今の状態になった方と、それから2回の障害によって今の状態になった方がいらっしゃいますと。そのときに、トータルとしての障害の程度が同じ程度であれば、それはやはり今の障害の状態に応じてお支払いするということについては、一定の公平性というものはあるのではないかなというふうに考えて今回案にしているという部分もございます。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 ほかに何かございますでしょうか。

 

(菊池専門家)

 1つだけ。先ほど併合とかというお話もありましたけれども、併合とか事後重症というのは、軽くする方向の仕組みじゃないですよね。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 軽くすることはないです。例えば、2級と2級を併合して1級の年金にしたりという。

 

(菊池専門家)

 だから、もちろんもうこれ以上言いませんけれども、考え方としてあり得るのは、この障害年金全体の思想として、2つ重なっていたらより重いほうにしますし、重くなっていったらやっぱりその重いほうで認定しますしということで、同じ部位であっても差し引きというそういう発想が全体とどう整合するかという、その2つが混在しているというお話でしたけれども、やっぱりその場合はより重くなった、その重くなった程度には差があるけれども、多少でもその事後に重くなったら、そこを見てあげましょうというのが、トータルで見た障害年金の考え方かもしれないと。これは、私の解釈なので、それが正しいとかそういうのは全然ありませんので、結論は別に私は異議がありません。ただ、ちょっと一言だけ申しました。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 ちょっとうまく説明できるかどうかわからないんですけれども、まず右手に障害が発生しました、次に左足に障害が発生しましたというときについては、それぞれ医学的に障害の程度が認定できて、それを合わせるのであれば合わせるということになるんですが、眼に時を経て障害が出たときに、それぞれ最初のほうは何級で、後ろのほうは何級でというのを出すのがなかなか難しいということがあるので、これもこの差引認定という手法を使ってそれぞれ出した上で、併合するなら併合しようという考え方かと理解しています。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 見直しの基本的な考え方といたしまして、現行の基準の差引認定の基本的な仕組みというものは維持しつつも、過去の差引認定事例に当てはめた結果において、認定の結果、現在の障害の程度と同じ等級になるようにとの観点で今回の見直し案を作成したものでございます。こうした考え方につきまして、ご承認いただけるということでよろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございます。

 それでは、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。一通り皆様方からご意見を頂戴できたと思いますので、議事を進めさせていただきたいと思います。

 それでは、差引認定基準の見直し案につきまして、担当からご説明させていただきます。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 それでは、資料の5、差引認定基準の見直し案についてご説明いたします。

 本資料では、これまでご説明してまいりました差引認定の見直し案を障害認定基準上でどのように表現するかということで、具体的な記載の案をお示ししたものとなっております。

 赤字の部分が、現在の障害認定基準に今回加筆修正をしたところでございますので、該当部分を順にご説明いたします。

 まず初めに、98ページと打ってございますページの3、差引認定の(1)のところですけれども、現在の障害の程度の解説としまして「複数の障害が混在している状態」ということを括弧書きで追記をいたしました。

 次に、104ページをご覧ください。

 こちらは、前の103ページからの続きになっておりますが、差引認定には身体の同一部位に複数の障害が生じましても後発障害の程度が判断できる場合がございます。どのような状態かといいますと、現在の状態が前発障害のありなしにかかわらず、全て後発障害によって生じたものと医学的に判断できるような場合などがこれに当たりますが、このような場合は差引認定を行わず、後発障害の程度から等級を判断するという例外規定が103ページの第4節の2のところに規定されているところでございます。104ページの部分は、この認定例を追加したものでございます。

 こちらは、今般の見直し案と直接関係のある内容ではなく、この機会に追記をすると事務方で判断して追加したものでございますので、説明は割愛させていただきます。

 最後に、111ページをご覧ください。

 今回の見直し内容がこちらに具体的に反映されております。

 まず、別表4の差引結果認定表で、後発障害の等級に対応する差引残存率の数値を変更しております。また、注1でございますけれども、別表4で求めました後発障害の等級が注1で掲げております表の第3欄に掲げる後発障害の等級と異なっている場合には、この同表第3欄に掲げる等級を後発障害の等級とするよう規定しているところでございます。

 以上、差引認定基準の見直し案についての説明を終わります。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 飛松先生。どうぞ。

 

(飛松専門家)

 実に瑣末な話ではありますが、104ページの認定例の2のところでありまして、2行目のところで脊椎損傷になっておりますが、これは脊髄損傷、「髄」です。

 

大窪 障害認定企画専門官)

 承知しました。ありがとうございます。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 この差引認定基準の見直し案につきまして、ほかにご意見、ご質問等ございますでしょうか。特にございませんでしょうか。

 ありがとうございました。認定基準の見直し案につきましては、おおむねご了承いただけたのではないかと思います。それでよろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございます。

 それでは、今後の予定等につきましてご説明をさせていただきたいと思います。

 今後の予定につきましては、先ほど担当からもご説明させていただきましたけれども、本ヒアリングでのご意見等を踏まえて取りまとめた見直し案につきまして、行政手続法に基づく意見公募手続、いわゆるパブリックコメントでございますが、こちらを経まして通知発出の作業を進めていきたいと思っております。施行時期につきましては、日本年金機構の事務処理上の整理等も必要なこともございますので、調整ができ次第、夏頃を目途ということで申し上げましたけれども、速やかに対応していきたいと考えております。

 それから、本日の資料及び議事録につきましては、厚生労働省のホームページに掲載する予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、本来ならば大臣官房年金管理審議官からご挨拶する予定でございましたが、所用により席を外されております。かわりまして、年金局事業管理課給付事業室長の重永よりご挨拶申し上げます。

 

重永 事業管理課 給付事業室長

 本日は、第一線で活躍されている先生の方々にご多忙の中にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。きょう活発なご意見をいただきまして、的確なご指摘により、今回のやりとりが議事録という形でも残りますので、差引認定の見直しの考え方などについてもより明確にすることができたのではないかというふうに思っております。

 先ほど説明にありましたように、こちらの案でパブリックコメントをかけて、またそれについて我々のほうでも考え方について回答する、こういった形でわかりやすい制度の施行ということを図っていきたいと思います。

 先生方には、引き続きご指摘、ご指導など賜ることがあると思いますけれども、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

 

(尾山事業管理課給付事業室長補佐)

 以上をもちまして、専門家ヒアリングを終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局事業管理課給付事業室

(代表)03-5253-1111(内線3603)

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