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2019年1月23日 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録

○日時

平成31年1月23日(水)10:00~

 

○場所

新橋8E会議室(8階)

○出席者

出席委員(10名)五十音順

荒 戸 照 世、 伊 藤 美千穂、○川 崎 ナ ナ、 木 内 文 之、
坂 本 知 昭、 出 水 庸 介、 ◎橋 田    充、 花 田 賢太郎、
堀    正 敏、 安 原 眞 人
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)

福 原    潔
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議題

○医薬品審査管理課長 少し定刻より早いのですが、先生方がおそろいですので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、本部会は基準に関する審議を行いますので、部会は公開にて開催いたしますことを、御承知おきいただきたいと思います。また、川西部会長代理、阿曽委員のお二人が昨年退任されておりまして、これを受けて新しい委員の任命が行われております。お手元の紙媒体として配布している委員名簿に従い、委員の先生方を御紹介いたします。この名簿の順で御紹介させていただきます。

 まず、荒戸照世委員です。伊藤美千穂委員です。川崎ナナ委員です。木内文之委員です。新しく委員になられた坂本知昭委員です。同じく新しく委員に御着任いただきました出水庸介委員です。橋田充委員です。花田賢太郎委員です。福原潔委員ですが、本日は御欠席です。堀正敏委員です。安原眞人委員です。以上の先生方です。

 また、川西部会長代理の御退任に伴い、新たに部会長代理を選出していただきたいと思います。部会長代理については、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理すると規定されております。つきましては、橋田部会長に部会長代理を御指名いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 日本薬局方の作成にいつも非常に重要な役割を果たしていただいている川崎委員に、新たに部会長代理をお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、川崎委員に部会長代理をお願いいたします。こちらへ御移動をお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 本日は、現時点で委員11名のうち10名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。まず、厚生労働省です。医薬・生活衛生局長の宮本です。審議官の森です。続いて医薬品医療機器総合機構です。審査センター長の矢守です。上席審議役の宇津です。審査マネジメント部長の美上です。最後に医薬品審査管理課長の山本です。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、部会を開始する前に、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨御申告いただいております。

 委員の皆様には、会議の開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、何卒引き続き御理解、御協力を頂きますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、本日は日本薬局方の一部改正について御審議いただきたいと思います。橋田部会長に以降の進行をよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 改めまして、本日は委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ日本薬局方部会に御出席を賜りまして、どうもありがとうございます。ただいまから議事に入らせていただきます。最初に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料については、現在、各部会において試行的にペーパーレス化を実施しており、本日、各委員におかれましてはお手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。資料確認と合わせて、タブレットの使用方法について説明させていただきます。お手元にカラー刷りの資料で「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を配布しておりますので、併せて御確認いただければと思います。まず、タブレットの操作説明書の1ページも併せて御覧ください。

 お手元のタブレット端末ですが、現在、議事次第を画面に表示した状態で置かれています。ほかの資料を画面に表示するには、左上に「マイプライベートファイル」とありますが、ここを1回指でタップしていただきますと、資料の入った全体フォルダに移ります。この中には、議事次第、座席表、委員名簿、こちらは机上に紙でも配布しております。資料1の関係でフォルダが1つと、資料2、資料3で、それぞれフォルダが置かれております。

 資料1の関係は、第十七改正日本薬局方第二追補()です。資料2のフォルダについては、日本薬局方の参考情報の改正()です。資料3は日本薬局方新規収載候補品目()です。これらのものが格納されております。また、参考資料として、過去の日本薬局方や作成の基本方針、原案作成要領が入った「参考資料」というフォルダがございます。また、委員の先生方に事前送付させていただいた資料1の別添1の通則の新旧対照表の通則5の旧のほうが誤っておりましたので、差換え版を紙媒体で机上に準備しております。タブレット内容の資料は、既に修正済みです。

 資料の閲覧方法ですが、各PDFファイルをタップしていただくと、中身を閲覧することができます。表示内容の拡大、資料のページめくりについては、タブレット操作の説明書を御確認いただければと思います。特に、本日は資料のページ数が大部にわたっておりますので、操作説明書の2ページの一番上にある「任意のページを指定して表示する」を御参照いただければと思います。タブレットの使用方法及び配布資料の確認については以上です。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明に何か御質問等はございますか。よろしいですか。

 それでは、審議事項1及び報告事項1に移ります。まず、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項1「第十七改正日本薬局方第二追補()について」及び報告事項1「日本薬局方の参考情報の改正()について」、説明いたします。資料1のフォルダの資料1「第十七改正日本薬局方第二追補()」について御説明いたします。ファイルのページとしては3ページを御覧ください。

 まず、1.については、日本薬局方について記載しております。日本薬局方は御承知のとおり、薬機法の第41条の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成されている規格基準書です。薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めることとされているものです。

 次に、2.に日本薬局方の改正歴等をまとめています。日本薬局方が改正された公示年月日と、各条への収載品目数の変遷をまとめているものです。明治19(1886)の初版の公示以来、これまで133年の歴史があり、改定が重ねられているところです。薬機法の第41条第2項では、厚生労働大臣が少なくとも10年ごとに改定するということとしていますが、それぞれの改正歴を御覧いただくと分かるように、昭和51年の第9改正からは5年ごとに全面改定を行っているところです。また、第十二改正からは、全面改定の後に2回の追補を作成している状況で、追補以外にも必要に応じた部分改定を行うこともございます。医薬品各条における収載品目ですが、改正ごとに増加が図られており、現在では1,977品目が収載されている状況です。

 3.は第十七改正日本薬局方の改正以降の動きについて記載しております。こちらは御参考いただければと思います。

 次のページの4.です。こちらは第十七改正第二追補の原案作成に当たって開催された委員会の検討経緯について示したものです。平成16年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構が設立され、日本薬局方の原案の作成は機構において行っていただいており、必要な委員会は全て機構において設置しております。平成29年4月から平成3011月までの間に、計122回の委員会が開催されており、その後に原案が取りまとめられ、昨年12月に機構から厚生労働省に対して原案の報告がなされているところです。この報告を基に、本日、当部会において御審議いただくこととなっております。

 今後のスケジュールとしては、本年5月をめどに所定の手続を行った上、本日の審議も踏まえて、第二追補の公布に進めるスケジュールを考えているところです。

 資料2と資料2-1は、日本薬局方の参考情報部分の改正案の資料になりまして、具体的な改正内容については機構から説明させていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 具体的な改正内容について御説明いたします。まず、資料1を御覧ください。5~9ページまでが改正の内容です。13ページが通則の新旧対照表、15ページが製剤総則の新旧対照表、17ページ以降に一般試験法、医薬品各条収載、改正の新旧対照表と一覧表を別添として添付しています。

 資料1-1から資料1-6が、第十七改正日本薬局方第二追補()です。また、報告事項1の「日本薬局方の参考情報の改正()」についても、一連の日本薬局方本体の改正に関連する内容であることから、審議事項と併せて御説明いたします。資料1の5~9ページで、第十七改正日本薬局方第二追補()の概要を説明いたします。

 まず、「通則」の改正内容を説明いたします。通則とは、日本薬局方全般に共通する事項を定めたものです。5ページを御覧ください。通則5及び通則46は関連しますので、まとめて御説明いたします。日局17改正までは、「有効期限」と「有効期間」が混在して使用されており、これらの用語の解釈が製造販売業者間で異なるため、容器等への表示方法にばらつきが生じておりました。そのため、日本薬局方第十七改正第一追補で、医薬品各条の有効期限の項を有効期間に変更し、今回の改正で、通則46に規定されている有効期限に関する最終有効年月の表示規定を削除することとしました。また、医薬品製剤の有効期間は、製剤処方及び容器・包装の工夫又は保存温度の管理等により異なるものであり、品目ごとに承認審査の中で安定性試験の結果に基づき設定されるものであるため、通則5に、その有効期間を参考に供するものとして規定することとしました。

 次に、通則13の改正内容について御説明いたします。日本薬局方医薬品各条に収載されている医薬品の適否の判定は、通則5に規定されているとおり、その医薬品各条の規定等により行うこととされております。通則13では、医薬品各条に規定された試験を省略できるとされているところ、今般の改正で試験の実施を省略できるとすることにより、通則5との整合性を保つ記載といたしました。また、近年、リアルタイムリリース試験により品質管理が行われている医薬品の承認事例が積み重ねられていることを鑑み、リアルタイムリリース試験による最終製品試験の代替に関する記載を追加することといたしました。

 次に、「製剤総則」について御説明いたします。製剤総則とは、製剤全般に共通する事項を定めたものです。今回、ドラッグデリバリーシステム技術に関連した製剤に係る剤形の1つである製剤各条「3.1.4. リポソーム注射剤」を新規収載し、併せて後ほど御説明いたします一般試験法「6.17 タンパク質医薬品注射剤の不溶性微粒子試験法」が新規収載されることから、[]製剤各条の「3.1. 注射剤」を一部改正することといたしました。

 次に、「一般試験法」について御説明いたします。一般試験法とは、医薬品各条に共通する試験法、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれらに関連する事項を定めたものです。現在、日本薬局方において規定している一般試験法は、別添3-1の1720ページに一覧として掲げており、新規・改正の区分を○で示しております。今般の改正においては、新規に4項目収載し、3項目を改正することといたしました。資料1の5ページからの記載に従い、主な内容を御説明いたします。

 新規収載()の「2.26 ラマンスペクトル測定法」は、工程管理試験の中で汎用される標準的試験法として日本薬局方への収載について検討し、新規に設定することといたしました。次に、()の「2.66 元素不純物試験法」は、第十八改正日本薬局方作成基本方針を踏まえ、製剤等に含まれる元素不純物を測定するための方法を新規に設定するものです。()の「6.16 半固形製剤の流動学的測定法」は、軟膏剤等の半固形製剤の流動性と変形を測定する方法を新規に設定するものです。()の「6.17 タンパク質医薬品注射剤の不溶性微粒子試験法」については、タンパク質医薬品注射剤の不溶性微粒子を測定する際の操作法を示すため、新規に設定するものです。

 一般試験法の主な改正として、6ページの()()について御説明いたします。()の「2.46 残留溶媒」はICH Q3Cガイドラインの改定に伴い、「メチルイソブチルケトン」をクラス3溶媒からクラス2溶媒に変更し、クラス3溶媒に「トリエチルアミン」を追加するものです。()の「2.51 導電率測定法」は、日米欧の三薬局方で調和合意された内容を反映するための改正を行うものです。

 標準品については、新たに10件追加するとともに、7ページの上段にお示ししたとおり、6件の標準品を、「9.01()国立感染症研究所が製造する標準品」から削り、「9.01()」へ加えることといたしました。以上が、一般試験法の改正の概要です。

 続いて、「医薬品各条」について御説明いたします。医薬品各条とは、個々の医薬品原薬や製剤の規格を規定しているものです。31ページ以降に医薬品各条の改正を一覧表で示し、新規・改正の区分については○で示しています。また、改正箇所については、変更項目一覧でお示ししております。資料1の7ページから概要を記載していますので御覧ください。

 今回、新規収載品目として34品目を収載することを予定しています。34品目の内訳は、化学薬品・抗生物質で31品目、医薬品添加物が2品目、生薬等が1品目です。改正については77品目を予定しており内訳が、化学薬品等が36品目、生薬等が41品目です。なお、9ページに記載のとおり、市場に流通していない品目等、全3品目を今回の改正で削除する予定です。以上が、第十七改正日本薬局方第二追補()について御審議いただきたい内容です。

 引き続き、第十七改正第二追補の参考情報の改正等について御説明いたします。資料2の1~2ページを御覧ください。参考情報は第十七改正第二追補において、新規に4項目収載し、6項目を改正することといたしました。また、3項目を削除しております。それぞれの概要について御報告いたします。

 まず、新規参考情報について御説明いたします。「G1.製剤中の元素不純物の管理」はICH Q3Dガイドラインに示された製剤中の元素不純物を管理する手法及び限度値を示すため新たに収載いたします。また、本参考情報の関連として、元素不純物を測定する方法を、先ほど御説明した一般試験法「2.66 元素不純物試験法」として新規に設定いたしました。

 次に「G3. 宿主細胞由来タンパク質試験法」は、組換えタンパク質医薬品の製造工程で用いられる宿主細胞に由来するタンパク質を測定する際の基本的考え方や留意点を示したものです。

 「G10. その他」には、化学合成医薬品に含まれる不純物の管理に関するICH Q3A/Bガイドラインの考え方や、日本薬局方収載品目における不純物管理の考え方を示した「化学合成される医薬品原薬及びその製剤の不純物に関する考え方」を新たに収載いたします。また、参考情報「医薬品原薬及び製剤の品質確保の基本的考え方」などにおいて、ICH Q8等のガイドラインに示されている医薬品の管理戦略等を取り入れていることから、関連する用語の定義を示すことを目的として、「クオリティ・バイ・デザイン(QbD)、品質リスクマネジメント(QRM)及び医薬品品質システム(PQS)に関連する用語集」を新たに収載いたします。

 次に、改正した参考情報のうち、主な項目として「G10. 医薬品原薬及び製剤の品質確保の基本的考え方」について御説明いたします。今般改正する通則13では、先ほど御説明したとおり、リアルタイムリリース試験による最終製品試験の代替に関する記載を追加することといたしました。本参考情報の改正では、日本薬局方医薬品におけるリアルタイムリリース試験の位置付けを明確化するため、近年主流となりつつある医薬品品質の管理戦略の考え方を記載いたしました。

 削除する参考情報は「G4. 微生物関連」の3項目で、PIC/SのGMPガイドライン改正に際し迅速に対応する必要があるため、今般の追補のタイミングで参考情報から削除することといたしました。参考情報の改正については以上のとおりとなります。以上、御審議、御確認のほどよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 ただいま、第十七改正日本薬局方第二追補()と、それと関連します参考情報の改正()について御説明いただきました。いろいろな内容が含まれていますけれども、順不同と申しますか、どの話題でも結構だと思いますので、御質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。

○荒戸委員 2点確認させていただきたく思います。まず1点目ですが、今回、新たにタンパク質医薬品注射剤の不溶性微粒子試験法が追加されましたが、これが今までの不溶性微粒子試験法とどういう点が違っていて、確か試験方法も1つ減っていたように思うのですが、どのような議論をして、タンパク質に特化したこの形になったのか教えていただきたいと思います。

○橋田部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 頂いた御質問に答えさせていただきます。まず1点目の、これまでのものとどのような点が違うかということですが、今収載されています6.07の不溶性微粒子試験法の中では、光遮蔽法の操作において、脱気をする際に超音波照射をするというような記載がありますが、タンパク質は変性などを操作によって起こしますので、そうした操作は適さないといったことを明記するということを、今回新規収載する一般試験法の中で行っております。また、6.07のほうでは、光遮蔽法と顕微鏡測定法の2法が載っていますが、今回は光遮蔽法に関しての内容となっております。検討に際しては、ポリスチレンの標準粒子を用いた検討を行ったところです。既収載の6.07の不溶性微粒子試験法については、国際調和の試験法となっており、そちらの試験法の改正についても、別途、国際調和の場で議論をしていますので、今後、タンパク質に関する不溶性微粒子試験法も国際調和に向けて話を進めていく予定にしております。

○橋田部会長 よろしいですか。

○荒戸委員 あともう1点、別の質問をさせていただきます。参考情報で、宿主細胞由来のタンパク質試験方法が、新たに追加されているようです。その中の「1. HCP試験法の選択」の中で、(検出用に同じ抗体を用いることができる)宿主細胞の具体例としてCHO細胞を挙げられているのですが、むしろ安全上問題になることが多いのは、大腸菌や酵母の残存のほうだと理解しています。そうした点も議論された上でこれを記載されているのでしょうか。CHO細胞を出してきた理由は、もちろん使われる頻度が多いということはあると思うのですけれども、その辺を教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 先生から御指摘いただいたとおり、今回、CHO細胞というのは、今、世の中で遺伝子組換えの宿主細胞として一番よく使われているというような背景があると理解しております。いただきました、大腸菌その他についても、今後、生物薬品委員会にフィードバックして、必要に応じて検討をさせていただきたいと思います。

○橋田部会長 ほかにありますでしょうか。

○花田委員 お互いに関係のあることで3つあります。1つは、先ほどの御質問にあったホスト由来のタンパク質を見る試験法は、ホスト細胞由来タンパク質のミクスチャーを免疫抗原としてできてきた抗体をELISAに利用して、どれぐらいホスト由来のタンパク質が残っているかを見る手法です。昨今、質量分析計の感度が非常に高くなって、プロテオミクスの手法を用いて網羅的にタンパク質の残存を見るという方法が研究分野では現実に行われており、そちらの手法のほうがホスト細胞が変わっても応用が広く、現行のHCP試験ですと宿主細胞ごとに抗体パネルを作る必要がありますが、プロテオミクス法ならその必要はありません。プロテオミクス的な手法は、標準測定法として組み入れられる方向なのでしょうか。もう既に標準法としてそれも良いというようになっているのか、それは今議論は進んでいるのかをまず教えていただきたいと思います。

○橋田部会長 どうぞお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 今御指摘いただきました質量分析計を使った方法についても、今後、議論をしていく予定としております。

○花田委員 2番目の質問は、通則の改正において、有効期間が参考情報になったということで、通則46から有効期限を記載するという文言はなくなったというのはつじつまが合っているのですが、一方で、有効期間情報というのは、医師又は患者それぞれにとって重要な情報ですので、どこかに記載すべきものだとは思うのです。そのルールは別途、どこか別の所で定められているのですか。

○事務局 そちらについては、薬機法の第50条で、直接の容器等の記載事項の規定があり、その中に厚生労働大臣の指定する医薬品として、承認の際に有効期間が定められたものについて表示することとなっておりますので、そちらで担保できるものと考えています。

○花田委員 先ほど有効期間はいろいろなことで左右されて、一律に決められるものではなく、安定性試験の結果にもよるということでした。ということは、後発医薬品であっても安定性試験は必ず組み入れられているという理解でよろしいですか。

 最後、3つ目は、質問というのとちょっと違うかもしれないですけれども、先ほど、3.4.の標準品のことで、次に掲げる標準品を、「国立感染症研究所が製造する標準品」から削り、「厚生労働大臣の登録を受けた者が製造する標準品」へ加えるということです。私は感染研の職員ですので分かるのですが、感染研でこの標準品の原薬を合成製造しているわけではないのです。こういう抗生物質に対して、我々は合成製造するような施設を持っていません。具体的には、こういう抗生物質を製造しているメーカーに依頼して物を作ってもらって、それを取り寄せて、それの品質試験を感染研でやって、それも多施設の品質試験をやっています。その結果を基に、それを標準品として世の中に提供できるようにしているわけですが、この「製造」という文言が、こういうときにずっと使い続けていいのかどうかは、現在の医薬品規制の中で使用される「製造」という文言の概念とも照らし合わせて考えていただきたいと思います。

○橋田部会長 いかがですか。

○事務局 その「製造」という所ですけれども、品質チェックまでを含めて製造とし、頒布しているというところで捉えていただければと思います。今回の話ですが、感染研で現在頒布していただいているこちらの標準品について、技術移管のお話がありまして、そこの検討が終了したものを今回、「厚生労働大臣の登録を受けた者」という所に頒布も含めて移管するというものです。

○花田委員 そこは理解していて、この6品目に関しては、一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団に移管するのですが、そこでもその機関の内部で化学品そのものを合成製造しているわけではないと理解しています。また、移管されていない感染研が標準品を作るというものもまだいっぱい残っていますので、ここでの「製造」とは「品質試験をとりまとめた」と、読み込むというように皆さんが理解していただけるのであれば、それでよいと思います。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。少し御検討いただくということかと思っています。ほかにいかがですか。

○川崎部会長代理 まず、通則13についてお尋ねします。最初に改正案を拝見したとき、すぐにはリアルタイムリリースと関連付けることができませんでした。リアルタイムリリースに限らず、いろいろな工程管理とも関連付けができる内容と思いました。改正前は、「各条の規格の一部について試験を省略できる」となっているのですが、これは、最終製品の試験は省略しても、規格は残っているという意味であると解釈しておりました。今回、さらに1文追加されたのですが、これも考え方は同じなのでしょうか。試験は最終的には実施しないが、規格は残っているということでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、試験の省略をできるというところから、試験の実施を省略できると変更したことについては、試験の設定がそのまま残っていて、ということです。それを明確にするために省略という言葉を入れたということです。

○川崎部会長代理 この場合は、局方に品質の目標値が設定されているので同意できます。しかし、これとは別に、参考情報に品質リスクマネジメント、クオリティ・バイ・デザインの考え方が入ってきているように、最初から最終製品の規格及び試験方法が設定されておらず、工程内管理、特にパラメーター管理がなされる場合は、局方を見ただけでは、その品質が理解できない、さらには、何が重要品質特性なのかも理解できなくなっていくような気がしています。それについてはどう対応されていくのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 最終製品に対する試験を設定しないで品質を担保する場合、そのような各条を収載する場合の対応については、製造要件という新たな項が設定されることになりまして、そちらに必要に応じて記載をしていくというような枠組みが作られております。

○川崎部会長代理 製造要件ができたのは理解しています。しかし、その項にパラメーターを記載するということは多分ないであろうと思います。そうなった場合に、項目名から、何が重要品質特性かは分かりますが、規格や目標値は記載されないので、品質が分からなくなるのではないでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的にはそこに記載しなくても大丈夫というようなことになっていると思いますけれども、もしかしたらそれは品目に応じて、又は品質、CQAに応じて、数値目標というか、これは絶対記載しなければいけないという状況があれば、それは柔軟に対応していくものと考えております。

○川崎部会長代理 分かりました。ありがとうございます。

○橋田部会長 ほかにいかがですか。全体で見ますと、例えば各条が34品目増えるということで、順調に整備が進められているということかと思っています。各条の改正は77品目ですが、その中で生薬という部分に分類される医薬品が多かったと思いますけれども、これは何か共通した一つの方向性を持って、そういう修正が行われたという理解でよろしいですか。それに加え、特に生薬に関しては、これからも何か体系的な整備なども進めていかれる方針なのか、その辺りも少し聞かせていただけたらと思います。

○木内委員 このところずっと生薬の、特に確認試験等々の改正がたくさんあります。生薬に関しては、確認試験がないものが結構たくさん残っていたので、それを中心に、それから確認試験の少しスペシフィシティーを上げるような形で、TLCで特異成分を検出するような形ということでずっと見直しを行ってきましたので、その結果がかなり反映されています。

 あと、生薬によっては、現在市場に流通している生薬について、その基原の見直しと言ったら変ですけれども、精査をする等々もありまして、あとは生薬の形態の記載の整備などがかなりあり、品目が多くなっております。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○川崎部会長代理 2点あります。先ほど荒戸委員からも御質問がありました不溶性微粒子試験は、タンパク質、ペプチドが対象となるということですが、タンパク質、ペプチド以外に使用して、特に問題があるでしょうか。サンプル量が従来は10mLでしたが、今回、1mLで実施可能になっていますので、品目によっては微量で試験を実施したいケースもあるのではないかと思ってお聞きしました。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。川崎委員から御質問のあった、ペプチドやタンパク質に対しては本試験法の適用については対象になると考えております。

○川崎部会長代理 分かりました。次は、タンパク質定量の一部が削除された件ですが、生物学的製剤基準でも日局の参考情報のタンパク質定量を採用している各条があると思います。影響はありませんでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の御質問の対象の参考情報ですけれども、参考情報自体が削除されるのではなく、国際調和の試験法としての位置付けではなくなると。内容自体には変わりがないのですが、これまで三薬局方で改正を進めていた部分がありましたが、昨今、国際調和の動きの中で、効率的に議論を進めていこうという動きの中で、改正内容については一旦ストップしましょうというような議論がありまして、それに伴う改正ですので、特段、生物学的製剤基準に影響することはないと考えます。

○川崎部会長代理 はい、ありがとうございました。

○橋田部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。この第二追補()についていろいろと御議論いただき、御確認いただいたかと思っております。それでは、この第十七改正日本薬局方第二追補()について、議決に入らせていただきます。この第二追補()を承認するということでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認とさせていただきます。薬事分科会にそのように報告させていただきます。

 次に、報告事項2「日本薬局方新規収載候補品目()について」、機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明いたします。資料3を御覧ください。資料の1ページです。こちらの新規収載候補品目()では、前回平成29年4月の日本薬局方部会での報告以後、新たに追加及び削除する品目について本部会で報告させていただきます。1~2ページの新規収載候補品目()は、日本薬局方原案検討委員会の総合委員会において、第十八改正日本薬局方作成基本方針に基づき検討・了承され、機構での意見募集を経て、厚生労働省に報告するものです。これらは、機構にて医療上の汎用性及び必要性の観点から選定された化学薬品14品目、生物薬品15品目です。

 なお、2ページは、新規収載候補品目リストからの削除品目()です。これら8品目が医療環境の変化から販売が中止され、承認整理等がなされましたことから、新規収載候補品目から削除することとなりましたので、合わせて御報告いたします。以上、御確認のほどお願い申し上げます。

○橋田部会長 それでは、ただいまの御説明に対して、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。これは日本薬局方原案検討委員会で御議論いただいた結果として、今回、御報告いただいているということです。いかがですか。化学薬品と生物学的な医薬品ということかと思います。

○川崎部会長代理 マル1が企業からの要望で、マル2が生物薬品委員会からの選定ということでしたが、マル2は生物薬品委員会だけなのでしょうか。総合委員会等では議論されていないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらについては、生物薬品委員会で選定され、その後、総合委員会で議論されたものとなっております。

○橋田部会長 いかがですか。このマル2は、いわゆる遺伝子組換え技術による生物学的製剤がたくさん出ているということかと思います。見ますと、いろいろな酵素製剤、あるいはそれをペグ化した医薬品等々かと思います。いかがですか。私も大きな目で見ておりますと、今度、抗体医薬品などは局方とはどのような関係になるのかということもあるのですが、その点について少し御説明いただけますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 では、機構から御説明いたします。今回、抗体については、意図的に見送った状況です。理由としては、抗体医薬品の局方収載については、欧米の薬局方でも非常に苦労しているようで、日本薬局方としては、まず、先ほど御紹介いたしましたような試験法の充実を目指しております。欧州薬局方については、インフリキシマブの各条を収載しており、そういった欧米のノウハウなどを、今後、日本薬局方でも生かしていければと考えているところです。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。日本薬局方の新規収載候補品目ですが、よろしいですか。それでは、本件についても御了承いただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。以上で、本日御用意をしております審議・報告事項は終了いたしました。事務局から何か追加がありましたらお願いします。

○事務局 今後のスケジュールですが、本日御審議いただきました第十七改正日本薬局方第二追補については、今後、パブリックコメント、WTO通報等の所要の手続の実施とともに、薬事分科会における報告を経て、告示の公布を行う予定です。その際、法令上の書式・体裁等の必要な修正等が行われることもあるかと思いますが、その点を御了承いただければと思います。

 次回の部会の日程ですが、事務局で調整し、改めて御連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。この第二追補について、今後のスケジュールの御説明をしていただきました。最後になりますが、本日は第二追補について御審議いただいたわけですが、日本薬局方の作成全般の問題でも結構だと思いますが、もし、全体を通じて何か御意見等ありましたら、少し時間があるようですので、この機会に頂きたいと思います。いかがでしょうか。非常に大きな局方の作成の方針、それは第十八改正の改定方針がありますが、方向性の問題と、それから、もう少し具体的なテクニカルな問題等々と、いろいろな観点から御審議いただいているということかと思っております。

○花田委員 参考情報の6で、確か第十八改正のことについての情報が入っているので、言わせていただきます。前回も申し上げているかもしれませんが、第十七改正でもかなり1冊が太くて、手にすると重かったように記憶しておりますが、第十七改正はもう2冊分冊になっていましたか。

○事務局 現状としては1分冊になっております。

○花田委員 1分冊ですね。実際に使う形としては、やはり1冊が余り重たいと使いづらいところがあり、実は、ページ数というよりも重さで何g以上になったら分冊することを考えていただいたほうがいいのかなと個人的には思っております。

○橋田部会長 ありがとうございました。何かありますか。

○事務局 御指摘のように第十七改正薬局方は、かなり分厚いものとなっており、今、印刷技術のかなり限界に近づいていることは事実です。一方で、簡単に持ち運べるというところで言いますと、最近では電子媒体をホームページにアップしており、しおりも付いた形でやっているところです。そういったところも適宜活用してまいりたいとは思っております。以上です。

○橋田部会長 ほかにいかがですか。

○川崎部会長代理 今回、生物学的製剤基準に載っている2品目が削除になっています。生物学的製剤基準には毎年多くの品目が追加されているわけですが、それが日局に収載されることはないのか、今後、生物学的製剤基準と局方が、どのように調和されていくのかをお聞きしたいと思います。

○事務局 現時点でカチッとした方針があるわけではないのですが、生物基のところとも、しっかり共通したものがあるのであれば、そこは一緒にやっていくような形になろうかと思いますし、引き続き、そういった局方の在り方、生物基の在り方については検討させていただければと思っているところです。

○花田委員 川崎先生のことと関連して、現在の生物製剤基準は、基本的にはワクチンと血液製剤と抗毒素といって、全部、感染研が国家検定をやっているものだけに限られているのです。ただ、今後、細胞医療など、より高度な生物学的な医薬品に関しては、生物基のようなルール、生物基に入れるべきか、又は厚労大臣が定めた別な基準として上乗せで何かルール・規制が必要なのではないかと個人的には思うのですが、その辺の動きはどのようになっているのでしょうか。明らかに細胞治療製剤というのは、厳しい高いある種の規制なり標準ルールが必要なように思うのですが。

○医薬品審査管理課長 先生から今御指摘いただいたことは、技術も進んで様々な新しいものが出てくるという、今後、更に多様になってくると、そのようなことも含めて考えなければいけないところだと思っております。1つは、日局ないしは生物製剤基準、あるいは感染リスクについては生物由来原料基準といったものが、比較的新しい時代に至って、それも横抜き的に基準として運用されております。

 今後、その基準の立て方をどうしていくのがいいか、生物製剤基準に入れていくのがいいか、あるいはまた新しい、先生が正におっしゃったような、1つのテーマを持っての新しい基準を作ったほうが、横抜き的にきちんと規制ができるというものであれば、基準を立てていくこともあると思います。

 一方で、細胞関連や、今、初めて世界で、あるいは日本で出てくるようなものについては、承認の中でしっかり縛るということから始まっていく部分もあるかと思っております。そういう意味で、個別品目の承認をしっかり立てるというところと、いろいろな品目が出てきたときには、それらを共通するところでしっかり縛る方策も考える。そういったことを全部組み合わせて、品質というところについて、しっかりと規格立てが最終的には整うようにしたいと思っております。

 具体的には、どのような技術、どのようなポイントについて縛って規制していくべきかというところについて、あるいは管理していただくべきかについては、また、いろいろな形で先生方の御意見も頂きたいと思っております。

○花田委員 高度な医薬品に関して、承認プロセスでより厳しくというのは当然のことですが、生物製剤基準は、どちらかというと、国民に対して、こういう品質のものが認められているのだと、こういう品質のものであるということを公開情報として出すという側面があると思います。

 海外、欧米では生物学的製剤基準に相当するものがないために、生物基の存在が貿易障壁の1つではないかのようなクレームが今でも海外から来ることがあると聞き及んでおります。生物基は国民のために作成され、一定の価値があると個人的には思っていますものの、細胞製剤のほうは生物基のようなものは要らずに承認で強くやるというのであれば、今ある生物基のというものの意味合いの横並びでの整合性が取れなくなってくるのではないかという気はします。なぜ、ワクチン、血液製剤、抗毒素だけ生物基というものがなければならないのかという、その辺も含めて今後のルール作りを考えていただければと思います。

○橋田部会長 どうぞ。

○審議官 若干、補足をさせていただきたいと思います。ワクチンや血液製剤に関して、ある程度、ロットを構成するような、量産ができて一定の品質を確保するという、既存の医薬品とある程度アナロジーのある恰好で、品質規格を立て標準化し、それに従って担保しているというやり方が、ある程度できるということで基準が設けられ、原料基準が設けられてきているかと思います。

 今、先生が話題にされている細胞製品については、特に最初の段階で検討されていたものは、患者さんの細胞を頂いて、それを加工してシートにして戻すとか、こういう一人一人の患者さんの細胞自身のキャラクターによって、製品の品質を一律に規定するのが非常に難しいということがあり、それで医薬品医療機器法の再生医療製品のカテゴリーの部分は、医薬品や医療機器とは別立ての構成にしてきているというのも、実はそういう物の特性によっていると思います。

 一方では、他で使う細胞製品は、これはどちらかというと量産できるようなものになりつつありますので、しかも、そうしないとコスト的に、たくさんの方にリーズナブルなコストで治療ができるようにならないという、そういう動きもありますので、今後は、先生がおっしゃっているように、細胞由来製品についても、一定の品質基準を検討する余地は、だんだん出てくるかなと我々も思っております。

 ただ、それとともに、細胞由来製品には、特に処理のプロセス、製造のプロセスをむしろきちんと規定しておくことの重要性が高いと考えられているところもあり、例えば、GCTPといった細胞組織製品の製造プロセスに関するスタンダードを作るというようなことが、かなり早くからやられているということです。ただ、これは実は化学合成品のような既存の製品についても、いまや製造プロセスをきちんと規定することを考えるようになってきている。この局方の中にも取り入れられているクオリティ・バイ・デザインや、そういったいろいろなプロセスを前提とした、プロセス中でいろいろなことをリアルタイムにテストしていくことで品質を担保するという、最近のそういう考え方が色濃く出ているというのも、平仄が大体そろってきていると思います。

 いずれにしても、こうした品質に関する考え方の世界的な動向を、私どもも強く意識しており、一昨年の京都で開いた薬事規制当局サミットにおいても、特にこういう再生医療製品、細胞組織製品について、日本がある程度踏み込んで、先にレギュレーションを作っているので、それに対する経験も基にして、こういった製品についての国際的な枠組みでの規制の方向性を調和させて作ろうという提案をし、今その提案に基づいて、FDAやEMAの皆さんとPMDAの皆さんが検討をいろいろしているという状況です。ですから、一応、やはり製品の特性を考えながら、それに合った形で品質の担保をするということは、日本でも世界でも今進められている状況です。

○花田委員 質問ですが、個々の細胞由来の再生医療医薬は、変に横並びの品質規制ルールは立てにくいというのは、そのとおりだと思いますが、一方で、抗がん的な意味でのCAR-Tや新しいタイプの医薬が出てきていると思うのです。こちらのほうはいかがですか。

○審議官 今、CAR-T療法がものすごく世界中で活発になってきているのですが、あの治療自体も、患者さんから細胞を頂いて、その患者さんごとにprocessingをするという、そういう治療ですので、どうしても基になる患者さんの細胞が、一律に規定できないという問題があります。

 なので、CAR-T療法のような細胞をprocessingする治療の医薬品的な審査というのは、細胞の処理をする工程、processingをする部分について規定を作り、個々の承認を与えるというような考え方で、今やっているということです。

○花田委員 なるほど。ロット管理という考えが馴染まないのですね。

○審議官 はい。今のところCAR-T療法に関しては、ロットという概念にはなかなか馴染まないのかなと思われます。

○橋田部会長 よろしいですか。ほかはございませんか。医療技術は本当に革新的なものがどんどん生まれておりますが、当然、それに対応する規格書、基準あるいは規制の仕方の問題等々、行政でもきっちり御対応を考えていただいているということかと思っております。よろしいですか。それでは、これで本日の日本薬局方部会は終了とさせていただきます。委員の先生方、非常にお忙しい中、御出席を賜りましてありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

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