ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> レセプト情報等の提供に関する有識者会議> 第37回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録(2017年5月17日)




2017年5月17日 第37回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録

保険局医療介護連携政策課保険システム高度化推進室

○日時

平成29年5月17日(水)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館17階 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1.「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の改正に関する対応について(報告)
2. 第三者提供の現状について(報告)
3. その他(報告等)


○議事

○山本座長 それでは、少し定刻より早いのですけれども、構成員で出席予定の先生方は全員おそろいですので、ただいまから第37回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。

 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、ありがとうございました。

 それでは、会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局からお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 それでは、本日の構成員の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、大久保構成員、頭金構成員、宮島構成員の3名から欠席の御連絡をいただいております。

 なお、本会議の運営規程に基づいた開催要件は満たしておりますことを御報告させていただきます。

 それから、今回初めて御出席になります構成員を御紹介させていただきます。

 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学の松山裕教授でございます。

○松山構成員 東京大学の松山です。よろしくお願いいたします。

○赤羽根室長 続きまして、事務局にも人事異動がございましたので、この場をかりて御挨拶をさせていただきます。本年の4月1日付で着任した保険システム高度化推進室、西澤室長補佐でございます。

○西澤室長補佐 西澤でございます。どうぞよろしくお願いします。

○赤羽根室長 本日の会議は全て公開にて行いますが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(カメラ撮影終了)

○赤羽根室長 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 会議開催要件を満たしているとのことですので、早速本日の議事に入っていきたいと思います。本日は若干議事の分量が少ないのですけれども、議題1をどうしても5月30日までにやらなければいけないということで、本日御議論をいただければと思います。

 それでは、議事次第に沿いまして、本日の議題の1つ目「『行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律』の改正に関する対応について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 それでは、資料1「『行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律』の改正に関する対応について」について、事務局から御報告いたします。

 まず、資料の1ページ目に改正された「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」における個人情報の定義を載せております。下線部分のところが改正により追加されたところですが、基本的にはこの法律において、個人情報の全体の定義自体は変わっていない。ただ、中身の明確化が図られたというところが今回の法改正であると認識しております。

 改正前の定義も赤い四角の中に記載しておりますので、ごらんいただければと思います。

 そうした定義を踏まえた上で、2ページ目「個人情報の提供について」をごらん下さい。こちらでは改正された行個法においても、保有個人情報の利用及び提供の制限についての規定は改正前から変わっていないということを記載しております。

 3ページ目は、これまでの有識者会議における、レセプトデータ等提供に関する審査について書かせていただいております。この有識者会議自体は、一番上に記載している「高齢者の医療の確保に関する法律第16条第2項の規定に基づき保険者及び後期高齢者医療広域連合が厚生労働大臣に提供する情報の利用及び提供に関する指針」という告示に審査する項目等々が書かれており、ここに記載している1から6の項目について、有識者会議においてそれぞれ評価し、総合的に勘案していただいた上で、合議を経て意見を述べていただくということになっております。

 このようにデータの利用目的やデータ利用の必要性、緊急性、過去の実績、保管・管理の方法、公表の有無といったところを審査いただき、その上で意見をいただいて、データ提供を行ってきたというのがこれまでの経緯でございます。

 こうしたことを踏まえまして、4ページ目にNDB第三者提供の位置づけについて改めて記載しております。実際これまでやってきたこととこれからというのは、基本的には同じ整理で、同じ方向性ということを記載しております。まず、NDBのデータの位置づけですが、NDBはレセプト等の情報が入っていますが、これらの情報はハッシュ化で匿名化処理が行われた上で、保険者から厚生労働省に提供されております。

 こうしたことを前提としておりますので、第三者提供するNDBデータも原則としては個人情報に当たらないものと考えております。これについてはこれまでそういう位置づけでまいりましたし、今後もそういうことと認識しております。

 その上で、NDBデータの第三者提供の際には、先ほど申し上げましたとおり、個々の研究ごとに有識者会議において、研究の目的とか必要性等について慎重な審査を行っていただいております。そういった審査の中で、個人の同定のリスクが懸念されるようなデータ提供というのも原則として行われていないと認識しております。

 基本的にはハッシュ化で匿名化処理を行っていて、しかも有識者会議でも個々の提供毎に目的等々も含めて審査いただいているというのがこれまでの経緯でございます。

 ただし、次のような例外的なケースにおいて、患者さんの個人情報が含まれる可能性を100%排除できるというわけではない可能性があります。例えば極めてまれな疾病の傷病名が記載されている場合であるとか、それから著名人に関するもので年齢、病名も含めて報道されているような場合です。こうした個々に特殊なケースというものもございますので、患者の個人情報が含まれている可能性を念頭に置いて改正行個法との関係を整理する必要もあるということで、今回御議論いただいているということでございます。

 5ページ目は、基本的にはNDBデータは個人情報に当たらないものということで整理させていただいておりますが、先程ご説明したような例外的なケースについても改正行個法の第8条の規定の中で第三者提供は整理できるのではないかということで書かせていただいております。具体的には例えば行政機関がデータを使う場合は、行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で使うというところで整理できるのではないか。それから例えば独立行政法人、地方公共団体であるとか、地方独立行政法人といったところについては、第2項第三号の規定で整理できるのではないか。そして、研究者等々が使う場合には、専らの統計の作成、学術研究の目的といったところで整理できるのではないかという形で整理させていただいております。

NDBに格納されているデータは原則として個人情報ではないと整理させていただいておりますが、第三者提供について、改正行個法に照らした場合においても、例外的なケースについても第8条第2項第二号、第三号、第四号の適用が可能であるということで整理させていただいております。基本的にはこういう整理で、NDBデータの第三者提供を、引き続きこれまでと同様にこの有識者会議で審査していただくという枠組みにのっとりながら継続させていただきたいと考えております。

 以上、事務局から御報告させていただきます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。石川先生、どうぞ。

○石川構成員 4ページ目でございますけれども、原則としては個人情報に当たらないものということで、第三者提供するNDBデータということで位置づけられておりますが、今までNDBの第三者提供については、何年にもわたっていろいろと個人情報がわからないようにといいますか、いろいろ合わせてもわからないように、あるいは最後の公表のところまで一応チェックしてということで、二重、三重にもいろいろとバリアをつくってきたということは非常に評価できることだと思いますし、今、データの規模でも日本で一番大きなナショナルデータになっていると思います。

 しかし、ここにも医療現場から来ている先生方がいますけれども、医療機関コードを原則として公開しないということであっても、ハッシュ化がかけられないでそのままデータには残っているわけです。これについては、公衆衛生的な、地図上に医療機関コードで落として、いろいろやる研究とかそういったものも今までありましたし、確かに重要なものはあると思うのですが、基本的には個人情報がそこから漏れるということは十分あり得るわけです。

 4ページ目の一番上に書いてある「第三者提供するNDBデータも、原則としては、個人情報に当たらないもの」というのは、「原則として」という言葉があるにしても、例えば、私は小児科ですけれども、日本で数人しかいない、赤ちゃんのときに見つけた子供が今、30歳になっていて、延々と診ているわけです。その方は、私のところの医療機関コードをわかれば、特殊な病気ですし、特殊な薬も使っておりますので、どなただかわかってしまうということがあるわけです。

 幾つかの医療機関コードがわかると、本当に個人のところに近寄ってくるということは大いにあるので、ここの書き方なのですが、今までも原則として第三者提供の中には医療機関コードは含まないということが文言にあったと思うのですけれども、その辺のところを明記していただかないと、現場の人間にはちょっと不安が残ると思います。よろしくお願いします。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。

 御指摘いただいた点ですが、2つ目のの「慎重な審査」といったところに※をつけさせていただいておりまして、大変小さい字で恐縮ですけれども、※印の中身を書かせていただいております。要は、ガイドラインに明記されている内容になります。その中で、第4の3行目「医療機関・薬局コード及び保険者番号については、有識者会議が特に認める場合を除き、原則として提供しないこととする」。ガイドラインの文言をそのまま引かせていただいております。そういった形で慎重な審査をこれまでもしていただいておりますし、引き続き慎重な審査をいただくということをこの紙にも記載しております。

○石川構成員 どうもありがとうございます。

○山本座長 武藤先生、どうぞ。

○武藤構成員 御説明ありがとうございました。

 行個法との関連の整理はこのとおりでよいのではないかと思うのですけれども、2つお伺いしたことがあります。

 1つは、今、石川構成員もおっしゃっていた、これが本当に個人情報に該当するかしないかという判断のところについてですが、いろいろ事例を積み重ねていかないとわからないところとか、個人情報保護委員会からこの先アドバイスがあるかわかりませんけれども、当面の間、この会なのか、別の場で例えばこういう事例は個人情報に該当するのではないかという議論や目安づくりをされる予定があるかどうかというのが1点です。

○赤羽根室長 基本的にはこの資料自体も関係するところに協議をかけており、今回、こういう形で御報告させていただいております。

 現状、何らかの形で定義を深めるなりという話があるかについては、私は把握しておりません。

○武藤構成員 もう一点よろしいですか。

○山本座長 はい。

○武藤構成員 もう一点は、後で資料5とかで出てくるのかもしれませんけれども、4月28日に通った匿名医療情報に関する法律の関係とこの会の関係というか、ここで扱うデータベースとの関係がどういったことになるかというのは、まだわからないものでしょうか。

○赤羽根室長 すみません。私も名前を正確に言えるかわからないのですが、次世代医療基盤法のことだと認識しております。基本的にこの会議で扱っているのは、厚生労働省が保有しているNDBデータの第三者提供のことになっています。一方で、28日に通った法律のほうは、それぞれの個別の機関が認定を受けてデータを集めるという話ですので、基本的には提供の主体とか収集の主体というのは別物になります。ここについてはあくまで高齢者の医療の確保に関する法律で集めたデータの取り扱いを行っているという話ですので、現時点ではそういう関係ということで御認識いただければと思います。

○武藤構成員 ありがとうございます。

○山本座長 ほか、いかがでしょうか。藤田先生、どうぞ。

○藤田構成員 NDBにおける第三者提供に関する御説明、ありがとうございました。行個法の解釈として私も同じように認識しております。

 こちらの説明になかった点について確認が2点ありまして、まず最初の情報の取得に関しては、保険者等で取得していると思うのですけれども、そちらは高確法のほうにのっとって個人情報を含めて取得していて、保険者のところで匿名化の処置をした形で厚労省のほうには提供されている。よって、厚労省では原則として個人情報に当たらないハッシュ化されたものを扱っている、というのがまず前提ですね、というのが1点目。

 その上で、本日の説明のように、第三者提供された後はいろんな機関に提供されていると思うのですけれども、その中には私立大学等も含まれていて、民間の個人情報を扱うような機関にも提供があるということになっており、原則として個人情報は提供してはおらず、またそうなるように有識者会議でも審査しているけれども、仮に個人情報になるものが含まれていたとしても、統計的に扱うとか、学術研究目的であるから法的に問題がない、そういう整理になるという理解でよろしいでしょうか。

○赤羽根室長 おっしゃるとおりでございます。

○藤田構成員 ありがとうございます。

○山本座長 では、藤井構成員。

○藤井構成員 確認だけなのですけれども、5ページの行個法の8条、二号、三号で行政機関とか独法などは並んでいるのですが、私どもは保険者ですけれども、保険者は当然二号、三号には当たらないわけですが、保険者がNDBを使ってほかの保険者といろんなデータを比較するということもあり得るわけですが、そういった場合が排除されるわけではない。例えば四号などでしっかり読み込むことができるということだけ確認をお願いできればありがたいと思います。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。基本的にはそのような理解でよいかと考えております。

○山本座長 ほか、いかがでしょうか。石川先生、どうぞ。

○石川構成員 改正個人情報の保護法の会議のところではいつも言っているのですが、いろいろ研究が進んで、医療・医学が進歩しますと、今までわからなかった結果から個人情報が割り出されてくることがあると思うのです。ですから、こういう個人情報を含む、例えば人から出てきた医療情報とかそういったものについては格段の注意がいつでも必要になってくるので、例えばこの有識者会議が極めて柔軟な判断力でそういうのをやっていかなければいけないと思うのです。

 これは研究における個人情報保護の話のときにも、未来思考で考えていきますと必ず新しい事実が出てきて、それで照らし合わせますと、個人がもっと断定できてくる、わかってくるということがありますので、そういったこともこういう厚生労働省のほうから出てくる文章の中に少し入れ込んでいただいたほうがいいと思うのです。なかなか難しい話だと思うのですが、今まで振り返ってみると、事実としてそれは幾らでもあるのですね。この検査結果から考えてみると、こういう人たちはすごく少なかったとか、だんだん少数の人間に近づいてくるということがありますので。そういう点があるということも含めて、この有識者会議、公表のところをきちんとチェックするという体制を維持してもらいたいと思います。

 せっかくですので、もう一つ加えると、先ほど言いました医療機関あるいは薬局コード及び保険者番号等についての話なのですが、今までの議論の中でも医療機関の個人情報といいますか、それから医療機関の開設者の個人情報みたいなもの、あるいは癖みたいなものもそこにあらわれてきてしまうということもありますので、そういう文言も加えていただくと我々としては扱いやすいなと思いますので、よろしくお願いします。

○山本座長 何かありますか。どうぞ。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。

 基本的にこの資料自体は行個法との関係ということで整理させていただいたものなのですが、また今後審査のあり方であるとか、それからガイドラインなどを議論する機会などもあると思いますので、そういったときに先生の御指摘なども念頭に置きながら、ということでいかがかと思っております。

○石川構成員 わかりました。

○山本座長 個人情報の定義にかかわるところですね。だから、技術と科学的な知見の進歩によって、個人識別符号とは言えないかもしれませんけれども、個人の特定につながるような所見がレセプトに入ってこないとも言えないということで、それは当然ながら個人情報の定義も踏まえて、有識者会議で検討していくということになろうかと思います。

 ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、これまでも十分そういうことに心がけて有識者会議では審査をしてきたところでありますが、今回こういうふうに整理をいただいたことで、またこれに従って慎重に第三者提供の審査を進めていきたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山本座長 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして議題の2つ目は「第三者提供の現状について」の御報告ですけれども、事務局より説明をお願いします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 それでは、資料2「第三者提供の現状について」で第三者提供は今どういう状況かということについて御報告させていただきます。毎年年度の区切りくらいでこういった形で御報告をさせていただいておりますので、その一環ということで御理解いただければと思います。

 資料2の1ページ目に現在のNDBのデータ件数を記載しております。レセプトにつきましては、平成21年度から2812月診療分までということで、今、約128億件入っております。数年前に100億件を超えて、今、こういう状況になっております。特定健診・特定保健指導のデータについては約1億9,800万件ということで、2億件近いデータになっております。

 毎年どのくらいの件数が入ってくるかについては、下の部分にデータごとに記載しておりますが、28年度については、レセプトデータが12月診療分までしか入っておりませんので、少し少な目に出ておりますが、平成29年度3月診療分まで入ってくれば、恐らく27年度と同じくらいか、それを少し超えるという件数になってくるかと考えております。

 特定健診データについては、大体受診率向上等々に並行して、毎年少しずつ件数がふえているということになっております。

 2ページ目に第三者提供申出の件数と承諾の件数の推移を載せさせていただいております。今年の3月審査の終了時点で承諾の件数が137件ということで、大分150件に近い数字になっております。グラフを見ていただきまして、青いほうが延べの申出件数、赤いほうが承諾の件数になっておりまして、最初の平成23年、24年以外は申出件数と承諾件数が同じような形で推移しています。27年と28年については申出件数が少し高くなっておりますが、これは特段却下をしているというわけではなくて、継続審査になったものもプラスでカウントされておりますので、少し多くなっているという状況です。そういう意味で、近年は円滑に審査をしていただいていると事務局としても認識しております。

 3ページは、提供承諾案件について提供依頼申出者を区分して記載しております。基本的には大学・大学院の所属の先生方が半分を超えているという状況です。それから、厚生労働省における政策利用も大分進んできておりまして、4分の1近くが厚生労働省による利用という形になってきております。

 4ページ目は、NDBシステム自体の現状の話を記載しております。具体的に申し上げますと、レセプト情報等の提供について、これまでも第三者提供を行ってきたところですが、抽出にそれなりに時間がかかるということもありまして、研究者の先生方も提供までにそれなりの時間を待たれるといったことも起こっておりました。それで、さらに早くデータを抽出できるように、昨年度サーバの増強を行い、関西地区にもサーバを増設して、この4月から運用を開始しております。これまでは有事の際のバックアップがなかったのですが、関西地区のサーバがその役割も果たすということでございます。基本的には4月から関東のサーバと関西のサーバで役割を分担しながらデータを抽出していくということで、データ提供を行っております。

 5ページ目以降に承諾案件の一覧をつけさせていただいております。どのような申出者がいらっしゃって、どのような研究にこれまでNDBデータを提供してきたかというのを一覧でお示しさせていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの御報告について、何か御質問、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。

 最近、申請件数と承諾件数が余り違わないというのは、一つは申請される方もなれてきたということもあるのでしょうけれども、事務局の事前のチェックが相当入念にやられているということも大きいと思うのです。ですから、そういうことも含めて、NDBの運用が少しこなれてきたのだとは思うのですが、ただ、体制的に大丈夫かというのは、当初からずっとこの有識者会議で言われていることなのです。最近はどうなのでしょうか。多少は事務局体制が強化されたか。少し外部委託があって、大分あれになったと思うのですけれども。

○赤羽根室長 一つは、外部委託をいろいろ活用することでそれなりに効率化を図ってきたというところがございます。

 あと、事務局本体の体制という話で言うと、NDBデータに限らず、ほかにもいろんなデータベースがあって、そことの連携をどうしていくのかとか、ICTのグランドデザインみたいな話もあるので、全体の話として体制をどうしていくかという話も今後議論されていくのではないかなと認識しております。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

○飯山構成員 今、138億件たまっているというお話なのですが、これは将来の話なのですけれども、未来永劫にため続けていくのでしたか。

○赤羽根室長 現在、特段年限を区切っているわけではないので、今、129億件近くになっていますけれども、基本的には引き続きためていくというのが現状のスタンスでございます。例えば100年後とか200年後ということになると、私もわからないところではあるのですが、現状そういうところでございます。

○山本座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○石川構成員 第三者提供の承諾案件一覧でございますけれども、これは承諾案件となっていて、もう既にデータを提供したものなのですか。

○赤羽根室長 未提供のものも含まれています。あくまで承諾されたものということです。

○石川構成員 承諾されたもの。

○赤羽根室長 有識者会議で審査いただいて承諾はされているのですが、ただ、データの抽出に少し時間がかかって、まだ提供できていないものも含まれております。

○石川構成員 番号の0135は、承諾したのでしたか。

○赤羽根室長 こちらについては条件付き承諾となっております。

○石川構成員 特別抽出で。

○赤羽根室長 はい。特別抽出で。

○石川構成員 区域をということで承諾したということになっている。

○赤羽根室長 おっしゃるとおりです。

○石川構成員 わかりました。

 そういう場合には、条件がついたということの表現があったほうがいいかもしれないですね。これは研究者の思惑とはちょっと違う内容ですので。

○山本座長 一応、条件つきの場合は、条件に従って申請を修正していただいています。そういう意味では、申出者の申請書自体が我々の定めた条件にかなっているということを確認しないと提供できませんから、申請書がそういう形になるまでの経過を全部書くとなると、それこそ最初の事務的な処理のところからずっと履歴があると思いますので。

○石川構成員 わかりました。

○山本座長 有識者会議の議論と異なる形での提供は絶対行っていないです。

 ほか、いかがでしょうか。

 レセプトは100年はためたいですね。赤ちゃんのレセプトが出てきて、その人が死ぬまでというと、やはり100年ぐらいはないと。がん登録は100年を過ぎると匿名化するのでしたね。

○赤羽根室長 おっしゃるとおりです。

○山本座長 そういう意味では、100年というのは、人の人生にとっては結構一まとまりの単位ですね。ITが進んで100年分ぐらいは軽々と扱えるようになるのを祈りましょう。

○赤羽根室長 (うなずく)

○山本座長 ほか、いかがでしょうか。これに関しましてはよろしいでしょうか。それでは、次の議題に進ませてもらってよろしいでしょうか。

 それでは、3つ目の議題は、データヘルス改革。これは未来投資会議で塩崎大臣が御報告されたものと思いますけれども、これに関して事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 参考資料1をごらんください。「資料5」と書いてあるのは、未来投資会議のときの資料番号になります。

 未来投資会議で大臣が報告したものについての御報告になります。ページをめくっていただきまして、1ページ目に今のデータヘルス改革の全体像というものが書かれております。ことしの1月に厚生労働大臣を本部長としまして、データヘルス改革推進本部というものが省内に立ち上がっていて、4つのワーキングを立ち上げて省を挙げて検討しているという状況でございます。

 どんな話かというのは、向かって右下のところにある改革工程表の中でそれぞれ医療、介護、データについて、2020年を目途に検討を進めて、本格稼働を進めていくというものでございます。

 2ページ目以降からはそれぞれの個別の話になっていきます。2ページ目はがんゲノム医療の話になっております。これは懇談会でも検討されている話ではありますが、がんゲノム医療の成果を国民、患者に還元していけるように、個別化治療の推進などを進めていく。また、それらを念頭に置きながら、がんゲノム医療推進コンソーシアムを構築していくということが書かれております。

 3ページ目は、AIの話になります。AIについても、重点6領域ということで記載しておりますが、例えば画像診断の支援であるとか、種々の診療支援とか介護といった形での活用が検討されております。右下のほうに書いてありますが、こうしたAIの開発の加速化のために、AIの性能向上とか連携を図っていけるような形でデータを蓄積して、臨床に活用していく。そして、さらにまた新たなデータを創出していくというサイクルを回していこうということでございます。

 4ページ目は、遠隔診療と介護ロボットの導入の推進の話になります。遠隔診療については、どういった領域にエビデンスがあるのかについて検討しておりますので、その中でエビデンスのあるものについてはその評価を考えていくということで、ここに記載し

ております。

 介護ロボットについては、向かって左下のところですが、ロボット開発の司令塔ということで、全体のコーディネートをしながら、開発のサイクルを回していくということが書かれております。

 5ページ目については保険者機能の強化ということで、ビッグデータを活用するということが書かれております。

 6ページ目は、科学的介護の実現についてで、介護の自立支援に向けた効果があるのかについての評価を考えた上で、どういうデータが必要か等を検討していくことが書かれております。

 8ページ目には「データ利活用基盤」整備の概要記載されており、NDBとしては、データ利活用基盤のところが一番かかわってくる話であろうと考えております。向かって左側の緑のところが全国医療情報ネットワークということで、医療情報の共有のことが書かれており、向かって右側の青いところが保険医療データプラットフォームということで、その中で例えばNDBを含めた公的なデータベースの取り扱いについて、今はデータベース毎にそれぞれデータを蓄積していますが、今後どのように活用して、つなげたり、有効に使えるようにしていくかということについて書かせていただいております。基本的にはこのような形で現状データヘルス改革推進本部の中で検討が進められているという御報告でございます。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明でいろいろ御質問とか突っ込みたいところがあるかと思いますが、御意見、御質問ありますでしょうか。どうぞ。

○石川構成員 最初のところで改正個人情報保護法施行が530日ということで、私たちもいろいろな準備をしたりしているのですが、全国でこういう新しい改正個人情報保護法が出るのだということについての意識がまだまだ十分ではないように思えるのです。特に要配慮情報ということで、医療情報がそういう位置づけになって、大変大事なのだよということについては、国民自身がそういうものだということで大事にしていただかなければいけないというのと同時に、もちろん医療従事者も新しくそういう体制でやっていくということになるわけですが、今、塩崎大臣を中心にこういうデータヘルス改革でよりIT化が進む。私たち現場にいる人間も、あるいは医師会、三師会、全国にわたるネットワークとかICTに対しては非常に積極的に絡んでいこうと考えているわけです。

 そういう中で、きょうなども発出されているのですけれども、重要インフラの、ランサムウエア、ウイルス、そういうものの件数が非常に多くなってきていて、危ないですね。ですから、厚生労働省のほうから医療機関とかそういったところに、ICTについてもセキュリティーにちゃんと配慮するということも含めて、いろんな意味で個人情報、ICTのセキュリティーの問題というのは言っていただきたいと思います。

 私たちも現場でICT基盤を整備するということをやっておりますが、一層励まないと、本当に悪い人たちがいますので。医療情報、日立がやられたとか、メーカーがやられたりしておりますが、産業部門ではそうなのですが、医療情報はかなり危ない。それもデータを盗まれるというのでなくて、今回の場合は鍵をかけられて、病院が動かなくなってしまう、データが動かなくなってしまう。大変な状況だと思うので、厚生労働省のほうからもぜひ注意喚起をしていただきたいと思います。

 以上です。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。

 状況については担当部署にもよく確認をしてみたいと思います。セキュリティーはかなり重要なお話だと認識しておりますので、よく連携しながら考えたいと思います。ありがとうございます。

○山本座長 今日、情報政策担当室にお聞きしたところでは、ランサムウエアというか、標的型メール攻撃とか、そういったことに関する部分を強化した医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを何とか今月中にというふうにおっしゃっていましたので、うまくいけば今月中にリリースされて、それも使いながら医療機関にリマインドをしていかなくてはいけないのだろうと思います。

 セキュリティーが本当に基礎で、例えばこういったNDBの第三者提供でも、提供先がセキュリティーに問題があったら、幾ら本人がプライバシーを大事にしようと思ってもできないのですね。盗まれてしまったら、その先はコントロール不能ですから、何が起こるか制御できない、わからないわけで、やはり情報セキュリティーというのは最低限のルールだということを厚労省のほうもしっかりとアピールしていただければと思います。

 どうぞ。

○石川構成員 今、山本先生がお話しになったセキュリティーの新しいガイドラインは、すごく大事だと思うのですけれども、一方で、私たちも医療・介護連携が重要だということで、現場ではやられているわけですが、特に介護関係とか訪問看護の部分でSNSを利用して情報連携していて、しかも自分の機材でやっているというBYODについて、かなり注意喚起しております。ただ、まだいっぱい見受けられて、大変危ないのです。正直言いまして、訪問看護ステーションの看護師さんがスマホで褥瘡とか皮膚疾患の写真を撮って、先生にこんな状況でしたと。これはしようがないと思うのですけれども、それをLINEとかそういったもので流してしまう。しかも御丁寧に日にちとか名前も書いて、何とかさんの褥瘡ですとか、それで流しているということも見受けられている。

 今、山本先生がおっしゃられたそういうガイドラインが出た場合は、これを守れということで、厚生労働省として宣伝をしてもらいたいのです。これはここの役目でないかもしれませんけれども、省内でぜひよろしくお願いします。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

 個人情報保護法制の改正で医療情報が要配慮情報ということになりまして、これはこれで大変大事なことだと思いますし、それによって、医療とか介護とか、そういった御本人へのサービスではない情報の流通みたいなものは相当厳しく抑制される、コントロールされる状態になった。このことは非常に評価できることだと思うのですが、一方で、医療というのは、きょうの医療があすの医学をつくるわけですから、そういう意味では、医療のデータは御本人のためだけに使うわけではなくて、将来あるいは現実でも医療経済学的な分析でありますとか、そういったことに使わなくてはいけない。そういう意味では、このデータヘルス改革が主にそれを目指していると理解しているのですけれども、そうすると、法的な裏づけがどうしても要ると思うのです。

 4月28日に成立した次世代医療基盤法は、ごく最初のチャレンジで、法律を読むと、全て先送りしているようなところがないではないのですが、そういったことをやっていかないと、国民の側も安心して情報を使われているという信頼感が得られないという点がありますから、1ページ目の工程表の2017年のところに「法案提出」と書いてあって、きっとこれが一番大事だろうなと思うのですけれども、2017年、臨時国会か何かに出すつもりなのですか。

○赤羽根室長 私から余り具体的な御説明は差し控えたいと思いますが、この工程表をつくった段階ではこのくらいの時期ではないかということで、ひとまず入っているということではないかと思います。

○山本座長 わかりました。そうすると、相当頑張って急いでやらないと間に合わないですね。来年の通常国会に出すにしても、もうそろそろ要綱ぐらいはつくっていないとなかなか。できれば大綱ぐらいに行っていないとなかなか厳しいような気がしますけれども。頑張ってください。

 ほか、いかがでしょうか。

 余り解釈解釈でなし崩し的にやると、結局、最後に信頼が得られないといいますか、国民の理解が得られなくなっても困りますので、正しい利用は正しく推進する、制度に基づいてきちっとやられるということが大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○石川構成員 1時間たたないで終わってしまうというのも、せっかく皆さんがおそろいなので、残念な気持ちがするのですけれども、最後の資料5の6ページ目に「科学的介護の実現」というのがあるのですが、ここで高齢者個々人に関するデータを集めるということが書いてありますね。これは本当に今後の課題だと思うのです。

 あしたぐらいから日本整形外科学会が始まりまして、最後の日曜日に私もシンポジウムに出させてもらうのですけれども、高齢者の状態、ここに「日常生活動作(ADL)」と書いてありますが、共通する言葉が余りないのですよ。例えばFIMとかバーセルインデックスとか、そういう感じです。ICFというのが一番本当はいいはずなのですけれども、厚生労働省のその部局が一生懸命頑張っているのですが、全然普及しないのです。煩雑とかそういったことがあるのですけれども。しかし、高齢者がこれからも社会参加するというところでのインデックスは、ICFが非常に如実に表現できることになっているのです。

 ですから、これも厚生労働省が中心になってICFというものを。ICFというのは、高齢者だけでなくて、障害者でも一般の方にも使える指標になるので、ここのところでデータを集めるときに、そういう数値化できるもの、非常にまれなICF、国際規格でもありますし、それを進歩させていただきたいと思います。私たちが生きているうちに少しでもICFがうまくいけばいいのですけれども、なかなかそうはいかないかもしれませんけれども、頑張っていただきたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

 ここで議論することでないと思いますが、ADLをどう評価するというのは非常に重要な話で、現状、病棟から退院するときに看護師さんが書いたADLと受け取った側の介護士さんが見るADLは全然違ったりするのです。評価軸が違ってしまっていて、それで医療と介護の連携というのはかなり厳しいものがありますから、ここはぜひ積極的に推し進めていただければと思います。

 ほか、よろしゅうございますでしょうか。

 最初に申し上げましたように、きょうは議事としては少ないのですけれども、議事1の改正行個法への対応ということについて、皆さんに御議論いただきたいということで本日お集まりいただきました。こちらで用意した議題は以上ですけれども、特に御発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、事務局から何か連絡ございますでしょうか。

○赤羽根室長 ありがとうございます。

 次回の本会議の日程につきましては、日程が決まり次第、追って御連絡させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 それでは、これにて第37回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」は閉会とさせていただきます。

 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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