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2017年9月26日 第11回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成29年9月26日(火)13:00~15:00


○場所

省議室


○出席者

田中 滋 (委員長)
石本 淳也 (委員)
井之上 芳雄 (委員)
(代理:渋谷哲参考人)
内田 芳明 (委員)
(代理:川名勝義参考人)
高橋 福太郎 (委員)
武居 敏 (委員)
(代理:松山茂樹参考人)
平川 則男 (委員)
堀田 聰子 (委員)
森脇 由夏 (委員)

○議題

議論のとりまとめ(案)について
その他

○議事

○田中委員長 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから、第11回「福祉人材確保専門委員会」を開催します。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、事務局より新たな委員の御紹介と本日の委員の出席状況について報告をお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 委員の異動について御紹介させていただきます。

 阿比留志郎委員が退任され、新たに公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長、内田芳明委員が就任されております。

 また、鎌倉克英委員が退任され、本日は御欠席されておりますが、新たに公益社団法人日本社会福祉士会会長、西島善久委員が就任されております。

 続きまして、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、上野谷委員、川井委員、黒岩委員、西島委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 また、上野谷委員の代理として、日本ソーシャルワーク教育学校連盟常務理事、渋谷哲参考人、黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部長、川名勝義参考人、西島委員の代理として、日本社会福祉士会副会長、松山茂樹参考人に御出席いただいております。

 なお、定塚局長、八神審議官、藤原総務課長、石垣福祉基盤課長は公務のため、おくれて到着予定です。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。

 ただいま御紹介のありました欠席委員の代理として出席されておられる参考人について、皆様に御承認をいただかなくてはなりません。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 ありがとうございます。

 では、参考人の方々も御発言ください。

 次に、前回の福祉人材確保専門委員会開催以降、事務局に異動がありました。紹介をお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、事務局より紹介いたします。福祉人材確保対策室長の柴田でございます。

○柴田福祉人材確保対策室長 よろしくお願いします。

○田中委員長 ありがとうございます。

 カメラの方はこれで御退室ください。

 続いて、資料の確認を事務局からお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。本日は、配付資料といたしまして、資料1「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(案)」。参考資料1「福祉人材確保専門委員会における主な意見」。参考資料2「求められる介護福祉士像(案)」。次に参考資料3「介護人材の業務実態等について」。以上を配付しています。また、石本委員から提出された資料を配付させていただいております。御確認をお願いいたします。

○田中委員長 ありがとうございました。

 では、ここから議事に入ります。この専門委員会では、介護人材の中でも特に介護福祉士に求められる役割を中心に議論を進めてまいりました。本日は、これまでの議論の中で委員の皆様から頂戴した意見も踏まえて、事務局に取りまとめ案を作成していただきました。これをもとに議論を行います。

 事務局より説明をお願いします。

○柴田福祉人材確保対策室長 それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 資料1をごらんください。今、座長からお話しいただきましたように、これまでの福祉人材確保専門委員会での御議論を踏まえまして、報告書案を作成しております。題名は、ここに書かれておりますように、「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(案)」としております。

 1枚おめくりいただければと思います。以下、読み上げさせていただきたいと思います。

はじめに

○ 2015年(平成27年)における介護人材は、約183万人となっており、2000年(平成12年)の介護保険制度創設時の約55万人から一貫して増加し続けている状況である。

  しかしながら、平成27年6月24日に公表された「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」では、2025年における介護人材の需要見込みは253.0万人、現状推移シナリオによる介護人材の供給見込みは215.2万人と推計されており、約38万人の需給ギャップが生じることが見込まれている。

  こうした状況において、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制である「地域包括ケアシステム」の構築を実現していくにあたり、介護サービスの提供を担う介護人材の確保に取り組むことは喫緊の課題である。

○ 当専門委員会では、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる2025年を目途として、「地域包括ケアシステム」の構築を実現していく際に必要となる介護人材の確保のための具体的な方策について議論を行い、平成27年2月25日に「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」をとりまとめた。

  当該とりまとめにおいては、介護人材確保の具体的な方策を示したところであるが、限られた人材をより有効に活用するため、多様な人材層の類型化・機能分化を進めることや介護福祉士の専門職としての社会的評価と資質を高めるための具体的な方策については、平成27年度以降に検討を進めることとしており、検討にあたっては、介護現場における介護人材の配置状況や業務の実施状況等の実態を把握・検証した上で、具体的な検討・整理を進めることとした。

○ こうしたことから、当専門委員会では、平成27年度に老人保健健康増進等事業において実施された介護現場の実態調査の結果を踏まえ、介護人材の機能分化として、介護現場の中核を担う介護福祉士に求められる機能や必要な能力などについて議論を行うとともに、前回のとりまとめで示した、介護人材の構造転換(「まんじゅう型」から「富士山型」へ)について、目指すべき姿の実現に向けた具体的な方策についても議論を行った。

○ この報告書は、平成2810月5日より、6回にわたって行われた委員会での議論をとりまとめたものである。

総論

1 介護現場における業務実態等について

(1)介護職の業務実施状況

○ 介護事業所における介護職の業務の実施状況を見ると、介護に関する資格を有していない者、介護職員初任者研修修了者、介護福祉士の間で明確に業務分担がされているような状況は見られず、サービス間や提供するケアの内容で差異はあるものの、それぞれの者が同様の業務をほぼ毎日(毎回)実施している状況である。

 ※ ただし、この状況については以下の点に留意する必要がある。

  ・ 小規模の事業所では、実際に業務を分担できるほどの職員数がいないこと

  ・ 訪問系サービスについては、移動時間が発生することや1人での訪問となることから、一回の訪問時に複数の業務を実施する必要があること

  ・ 通所系及び施設系サービスでは、起床、食事、就寝等の業務のピークタイムが存在し、介護職員が総出で複数の利用者に介護を提供する必要があること

○ 介護保険の理念である利用者の尊厳ある自立した日常生活を支援していくには、多職種によるチームケアが重要となる。その際、利用者に関わる介護職は、介護職のグループとして同じ方向性で介護を提供することが重要であり、そのためには、介護過程の展開(アセスメント→介護計画の作成→介護の実施→モニタリングによる評価→必要に応じて介護計画の見直し)において、介護計画に沿った介護が提供されているかどうかの進捗管理が必要となるが、現状では、自らの役割として介護過程の展開に中心的に関わっている介護職は少ない。

 ここの○にあります「多職種によるチームケア」という用語と「介護職のグループ」という用語につきましては、座長と御相談をして、両者が紛れないような表現ぶりにしております。

○ また、介護過程を展開していくにあたっては、情報収集や情報共有を図りつつ、利用者の自立支援に向けたより良いケア方法の提案といったことも重要となるが、外部からの情報収集やより良いケア方法の提案を常に行っている介護職は少ない状況である。

(2)介護事業所における管理者の認識

○ 介護事業所における管理者の認識では、認知症の周辺症状のある利用者やターミナルケアが必要な利用者など特定の利用者への対応、介護過程の展開におけるアセスメントや介護計画の作成・見直し、他の専門職種や外部の機関・事業所からの情報収集、より良いケア方法の提案といった業務には、介護福祉士の資格を有する者等が積極的に関わるなど、少なくとも介護福祉士が備える専門性をもって業務に従事することが求められるとの認識が高くなっている。

○ また、介護職のリーダーに求められる能力として、介護職の方向性を統合できる能力や介護職を教育・指導することができる能力、個々の介護職の適性に応じた業務を与えることができる能力といったことが挙げられているものの、それらの能力を十分に発揮できているとは言えないのが現状である。

(3)介護事業所における取組事例

○ 介護職の指導・育成や介護過程の展開の重視、キャリアパスの構築などに取り組んでいる事業所では、以下のような特徴が見られる。

 ・ 自立支援の考え方や観察のポイントを徹底するため、サービス提供責任者等のリーダー的な者が同行して観察のポイントや心身のアセスメント(できることの見極め)を現場で指導

 ・ 職員間のケア内容を統一するためのミニカンファレンスや、ケアマネジャーへの情報提供など、多職種との連携による重度化予防を重視したケアの実践

 ・ 介護職のグループによるケアの実践では、リーダーの力量が大きく影響するため、その役割と求められる能力を明確化し、キャリアパスの内容に反映

 こうした介護現場の実態を踏まえると、介護人材に求められる機能の検討にあたっては、業務内容に応じた各人材層の役割・機能に着目するのではなく、多職種によるチームケアを推進する上で介護人材に求められる機能や必要な能力、キャリアパスを明確化するなど、目指すべき全体像とその実現に向けた方策を検討する必要がある。

2 目指すべき全体像について

(1)多様な人材が関わる介護現場の目指すべき全体像

○ 平成27年6月に公表された「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」によると、2025年には約38万人の介護人材を追加的に確保する必要があり、そのためには、介護未経験者を含む介護人材のすそ野を拡げるとともに、介護分野での定着を促進していく必要がある。

○ 介護保険制度においては、訪問系サービス、通所系サービス、居住系サービス、入所系サービス及びそれらを一つの事業所で提供するサービスといった様々な介護サービスが位置付けられており、介護職に求められる役割や能力は、それぞれの介護サービスにおいて異なることもあるため、利用者に対するサービスの質を向上させていくためには、各人材の意欲・能力に応じて、キャリアアップを図っていくことが重要である。

○ 介護分野においてキャリアを積み上げて行く際には、例えば、利用者のQOL(生活の質)の向上に資するエビデンスに基づいたより専門的な介護の提供や他の介護職に対する教育・指導、他の専門職種との連携といったキャリアに応じた役割が求められる。

○ こうしたことを踏まえると、目指すべき全体像は、介護人材のすそ野を拡げ、介護分野に参入した人材が意欲・能力に応じてキャリアアップを図り、各人材が期待される役割を適切に担っていけるような姿となる。

○ また、こうした全体像の実現にあたっては、介護職が利用者に対するケアやそれに関する業務に専念できるよう、介護職の役割を明確にし、利用者に直接かかわらない業務(例えば、事業所内における事務、清掃や洗濯等)を他の人材に委ねていく取組を進めることも必要である。なお、こうした業務を通じて利用者の生活の変化を捉えるという視点も必要であり、このような情報については、介護職等の間で共有されるような体制を整えることが重要である。

(2)実現すべき介護の提供体制

○ 今後、介護サービスの利用者がさらに増加していく中で、利用者のニーズは複雑化・多様化・高度化していくことが見込まれ、限られた人材で利用者のニーズに対応していくためには、それぞれの介護職の有する知識・技術を効果的・効率的に活用しつつ、介護職がグループで関わっていくことがますます重要になると考えられる。

○ 多職種によるチームケアの実践にあたり、介護職には、介護未経験者から介護福祉士まで多様な人材がおり、それぞれの人材が有している知識・技術に応じて役割を担うこととなる。こうした中で、利用者の尊厳と自立の支援に向けて、利用者本位の介護の徹底と提供する介護サービスの質のたゆまぬ向上が求められ、グループ内の介護職に対する指導や助言、サービスが適切に提供されているかの管理など、人材及びサービスの質のマネジメントを担う者が必要である。

○ 介護分野における介護職として従事している介護福祉士は、平成2710月時点で約78万人おり、介護職員の約4割を占める状況である(なお、平成27年9月時点の登録者は約140万人)。この介護福祉士の評価としては、介護報酬におけるサービス提供体制強化加算として、介護福祉士の配置割合が一定割合以上の状況を評価する加算が設けられており、資格を有する者が存在することそのものを評価していることから、介護の専門職として担うべき役割がある。

○ こうしたことを踏まえると、利用者の多様なニーズに対応できるよう、介護職のグループによるケアを推進していくにあたっては、その中でリーダーの役割を担う者が必要であり、その役割を担うべき者としては、介護福祉士の中でも一定のキャリアを積んだ(知識・技術を修得した)介護福祉士が適当である。

各論

1 介護職のグループにおけるリーダーについて

(1)リーダーが担うべき役割と求められる能力

○ 限られた人材で効果的・効率的に介護を提供し、介護職がグループで提供する介護サービスの質を向上させるとともに、介護福祉士の社会的評価を高めるためには、一定のキャリアを積んだ介護福祉士がリーダーとして担うべき役割等を明確にするとともに、ストラクチャーとプロセスの両面の観点からその役割が発揮されるための環境作りをする必要がある。

○ 高度な知識・技術を有する介護の実践者としての役割と求められる能力

  介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応していくためには、より専門的な知識・技術が必要となることから、多職種と連携しながら、様々なニーズを持つ利用者への対応といった役割を果たすべきである。

  具体的には、認知症の症状に応じた対応、医療やリハビリの必要性が高い方への対応、終末期の方に対する看取りを含めた対応、障害の特性に応じた対応、複合的な支援ニーズを抱える家族等への対応といった役割がある。このため、利用者の心身の状況等に係る観察力、利用者の状態に応じて適切な対応ができる判断力、認知症の症状や病状等に応じた介護等を提供できる業務遂行力、様々な職種と連携しながら栄養状態の把握や口腔ケア、機能訓練などの業務を遂行できる多職種連携力といった能力が求められる。

○ 介護技術の指導者としての役割と求められる能力

  多職種によるチームケアの中で、介護職がグループとして利用者に対する質の高い介護を提供するため、グループ内の介護職に対し、個々の介護職員の意欲・能力に応じて、利用者のQOL(生活の質)の向上に資するエビデンスに基づいた介護サービスの提供に向けた能力開発とその発揮を促す環境づくりの役割を果たすべきである。

  具体的には、グループ内の介護職に対する能力開発(介護技術の指導や助言)やその能力を引き出す支援(適切な業務・役割の配分やスーパーバイズ)といった役割がある。このため、利用者のQOL(生活の質)の向上に資するエビデンスに基づいた介護技術の指導・伝達により後進の育成ができる指導力、個々の介護職員の意欲・能力の把握とそれに応じて能力を開発していく人事管理能力といった能力が求められる。

○ 介護職のグループにおけるサービスをマネジメントする役割と求められる能力

  利用者の尊厳と自立を支援するためには、介護計画等に沿った介護サービスの提供と、サービスの質の把握・改善等のマネジメントが行われる必要がある。このため、リーダーは、介護職のグループの中で介護過程の展開における介護実践を適切に管理する役割を果たすべきである。

  具体的には、介護過程の展開における介護実践の管理、グループ内の介護職のフォロー、様々な職種や機関からの利用者に関する情報収集と共有、介護職のグループからの情報提供といった役割がある。このため、介護計画等に沿った介護が提供されているかをそのサービスの質とともに把握し、その向上・改善に向けた対応ができる力、多職種・多機関の間で適切に情報のやりとりができる連携力といった能力が求められる。

(2)介護職のグループにおけるリーダーの育成

○ リーダーは、前述のとおり、介護職のグループによるケアを推進していく者であり、その役割を担うにあたっては、観察力、判断力、業務遂行力、多職種連携力、人材及びサービスのマネジメント力など多様な能力が必要となる。こうした能力については、理論的な知識・技術の修得に加えて、現場の実践の中でそれらを深化させていくべきである。

○ このため、資格取得の過程において理論的な知識・技術を修得する介護福祉士がリーダーを担うことが適当であり、介護福祉士がその役割を適切に担えるようにするためには、現場での実践を通じて育成していくことが必要である。なお、育成にあたっては、介護福祉士養成施設等における教育力を活用することも考えられるのではないかとの意見があった。

○ このリーダーの育成にあたっては、担うべき役割に応じて必要となる以下のような専門分野の知識・技術を個別に修得できるようなものとすべきである。

 1 高度な技術を有する介護の実践者としての役割を担うにあたっては、「認知症や障害特性等に係る知識を個別支援に活かす視点」、「自らのケアの実践を振り返り、深化させるための実践研究の方法」、「医師、看護師、リハ職等と連携してケアを提供する際の視点」等を修得できるような育成内容とすべきである。

 2 介護技術の指導者としての役割を担うにあたっては、「利用者のQOL(生活の質)の向上に向けたエビデンスを適切に伝えるためのコミュニケーションの方法」、「個々の職員の能力や特性を見極めるための人材アセスメントの方法」等を修得できるような育成内容とすべきである。

 3 介護職のグループにおけるサービスをマネジメントする役割を担うにあたっては、「介護職の力量に応じた業務の割り振りなどの人材マネジメントの方法」、「介護過程を管理するための実践を評価する方法」、「グループ内のサービスの質を改善するための問題解決と分析の方法」等を修得できるような育成内容とすべきである。

○ なお、介護分野や障害分野など、サービスの違いによって、施設・事業所の規模、ユニットや単位は異なることから、リーダーが束ねる介護職の人数は、各サービスや施設・事業所の実情等に応じて決めることが適当と考えられる。

 この点に関して、

 ・ リーダーは、5人から10人程度の介護職で構成される小規模な単位のリーダー達に対して、介護過程の展開に係るスーパーバイズ等を実施するということを考えると、3ユニット程度の規模を束ねるのが妥当ではないか、

 ・ 小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などのサービスにおいては、利用者本位のサービス・人材のマネジメントが図られやすく、既に現場の裁量度の高いチームケアが実践されている事例もあり、また、組織やチームのモデルも多様であることから、リーダーに一律に研修を課すようなことはせず、柔軟に対応することが必要、

 ・ リーダーには、介護福祉士として5年程度の実務経験が必要ではないか、

 との意見があった。

○ また、リーダーとして必要な能力を修得した後も継続的に資質を高めていくことにより、高い専門性を持ってケアを提供する介護の実践者、管理職や施設長といったマネジメント職、介護分野における教育者や研究者といったキャリアパスを進んでいくことが考えられる。

2 介護福祉士に必要な資質について

○ 介護福祉の専門職である介護福祉士には、現場のケアの提供者の中で中核的な役割を果たすことが求められるとともに、認知症高齢者の増加や高齢単身世帯・高齢夫婦のみの世帯の増加、世帯構成の変化、社会経済状況の変化、障害者の社会参加や地域移行の推進による地域で暮らす障害者の増加などに伴う生活支援も含めた介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応できる必要がある。

  また、介護福祉士が、日常生活を営むのに支障がある方に対する介護の提供や、本人及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者であることを踏まえると、本人の尊厳ある自立した日常生活の支援に向けて、本人のエンパワメントを意識した支援や、家族の介護と仕事の両立の視点も踏まえた家族の介護負担の軽減に資する助言を行うことも必要である。

  さらに、介護予防の観点から、対象者の状態を維持・改善していくような支援も介護福祉士の役割である。

○ 一方、介護福祉士が主に関わる介護分野や障害分野においては、逐次、制度改正が行われている状況である。

  例えば、介護分野においては、介護保険制度改正により、24時間対応の新たなサービスや看護職との連携がより強く求められるサービスの新設などを行うとともに、介護保険法において、地域包括ケアシステムの構築を推進していくことが明記されている。

  また、障害分野においても、障害者自立支援法から障害者総合支援法に変わり、基本理念として、日常生活及び社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを新たに規定するなど、高齢者や障害者などを取り巻く社会状況の変化に対応した制度改正が行われている。

○ こうしたことを踏まえると、介護福祉士に必要な資質として求められるのは、介護職のグループの一員として中核的な役割を担うケアの提供者としての素養や各種制度における制度改正を踏まえたケアの提供者としての素養である。こうした素養については、介護福祉士の資格取得の過程において学んでおくべきものであることから、現在の養成課程におけるカリキュラムについて、社会状況等の移り変わりや制度改正等を踏まえた内容に充実していく必要がある。

○ 養成課程におけるカリキュラムを充実させるべき点として、例えば、現行のカリキュラムでは十分に学べるものとなっていないリーダーシップやフォロワーシップについては、介護福祉士が介護職のグループの中でリーダーの下に専門職としての役割を発揮していくために必要な内容である。

  また、今後、認知症高齢者の増加に伴い、認知症の方への支援のあり方も本人の意思(思い)や地域とのつながりなどを重視する支援へと変わってきており、認知症ケアの重要性がますます高くなってきていることから、認知症に関する学習内容の充実が必要である。

  さらに、介護ニーズの複雑化・多様化・高度化への対応を踏まえると、適切に利用者等のニーズ・課題を捉えた上で支援を行っていく必要があることから、介護過程の学習内容の充実も必要である。この介護過程については、個別ケアの実践が適切に行われるようアセスメント力を高めることが重要であり、利用者本人の心身の状況にかかるアセスメントだけでなく、本人の生活の場である地域や集団との関わりといった社会との関係性も含めたアセスメントについても十分に学んでおく必要がある。

  この点について、家族の介護負担の軽減に資する助言ということでは、介護休業制度に関する知識や家族支援に係る知識なども必要であり、介護保険制度だけでなく、社会保障制度全般についてある程度の知識を学んでおくことが必要ではないかとの意見があった。

  このような知識については、現場での実践に結びつけていくことが重要であり、介護福祉士の資格を持つ者が実践力を高めるためには、養成課程の中で学んだ知識を統合化し、現場で活かすための実践教育も必要である。

  なお、このようにして身につけた能力は、通常の日常生活における支援だけでなく、災害時の支援にも有効なものであり、非常時における専門職としての役割の発揮も期待される。

○ また、利用者の生活を地域で支えていくため、「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供する小規模多機能型居宅介護の増加や定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新しいサービスの創設など、介護分野や障害分野における制度改正等の内容を踏まえると、利用者の生活を地域で支えていくためには、これまで以上に医師、看護師、リハ職など様々な職種と連携しつつケアを提供していく必要がある。こうした多職種によるチームケアなどの重要性については、以前から言われているものの、十分に実践できているとは必ずしも言えない状況があることから、多職種連携を意識した事例検討を積み重ね、介護実習の際に実際のケアカンファレンスの場で確認するということも必要である。

○ こうしたことから、今後、介護福祉士に求められる資質について、養成課程で修得することができるよう、現行のカリキュラムの見直しを検討すべきである。

  なお、見直しにあたっては、既存のカリキュラムにおける教育内容も見直し、内容の統合を行うなど、養成施設等や学生に過度な負担とならないよう留意すべきである。

○ なお、カリキュラムの見直しにあたっては、「「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)」(平成29年2月「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部)において、「保健医療福祉の専門人材について、対人支援を行う専門資格を通じた新たな共通基礎課程の創設を検討する。平成29年度に共通基礎課程の検討に着手し、各専門課程の検討を経て、平成33年度を目処に新たな共通基礎課程の実施を目指す。」とされていることも踏まえて進めるべきである。

○ また、介護福祉士養成施設等における養成課程は、1,850時間をかけて介護福祉士の養成に向けた教育を行う重要な位置付けであり、介護の専門性をさらに高めていくため、介護の方法や技術について研究を重ねていくことも重要であり、研究の積み重ねによって得られた結果に基づいた介護の方法や技術があって初めてキャリアパスの実現にもつながることから、養成課程における教材開発や教育方法など、教員側の養成も重要である。

10ページ目の求められる介護福祉士像につきましては、参考資料2のほうに大きく示したものを配付しております。左側が平成19年度のカリキュラム改正時に示してある介護福祉士像でございまして、今回社会状況や人々の意識の移り変わり、制度改正等を踏まえまして、そして右側はこれまでの福祉人材確保専門委員会での御議論を踏まえて作成したものでございます。

1.尊厳と自立を支えるケアを実践する

2.専門職として自律的に介護過程の展開ができる

3.身体的な支援だけでなく、心理的・社会的支援も展開できる

4.介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応し、本人や家族等のエンパワメントを重視した支援ができる

5.QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って、介護予防からリハビリテーション、看取りまで、対象者の状態の変化に対応できる

6.地域の中で、施設・在宅にかかわらず、本人が望む生活を支えることができる

7.関連領域の基本的なことを理解し、多職種協働によるチームケアを実践する

8.本人や家族、チームに対するコミュニケーションや、的確な記録・記述ができる

9.制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる

10 .介護職の中で中核的な役割を担う

ということに加えまして「高い倫理性の保持」ということをお示しさせていただいております。

 3 介護人材のすそ野の拡大について

○ 介護人材のすそ野を拡げ、介護未経験者の参入を促進するためには、介護について知る機会を設けることで、介護分野への参入のきっかけ作りが必要である。また、介護分野への参入にあたり不安に感じていたこととして、非常時等への対応、介護保険制度等の理解、ケアの適切性といったことが挙げられていることを踏まえると、このような介護分野への参入障壁となっていることを払拭することも必要である。

  一方で、初めて介護分野に参入した人材についても、利用者の尊厳ある自立した日常生活を支援するためには、制度の理解や介護に関する基本的な知識・技術など、必要最低限の知識・技術を身につけておく必要もある。

○ こうしたことを踏まえ、現在実施されている130時間の介護職員初任者研修よりも受講しやすい入門的研修の導入が必要である。この入門的研修の内容については、できるだけ基本的な内容とするとともに、介護未経験者が介護分野への参入の障壁となっていることを払拭できるような内容とすることが重要であり、介護分野への参入にあたり課題と感じている、介護保険等の制度に関する内容や、トイレへの誘導等の移動や衣服の着脱などの基本的な介護の方法、認知症に関する基本的な理解、緊急時の対応方法などを学ぶことができる内容とすべきである。

  この点に関して、高齢者支援だけではなく、年齢や疾病・障害の有無等を超えて、基礎的なケアを担うことができるような内容としていくことも重要ではないかとの意見があった。

○ また、入門的研修の導入にあたっては、介護分野に参入した者がステップアップしやすいよう、介護職員初任者研修や実務者研修といった既存の研修内容も踏まえ、受講科目の読み替えが可能となるような配慮も必要である。この場合、受講科目の読み替えを可能とするためにも、研修の修了証を発行する取扱いとすることが考えられる。

○ 研修時間数の検討にあたっては、受講対象者として想定される介護未経験者の研修受講の負担を考慮しつつ、一定の介護の質を担保するため、担うべき役割に対して必要な知識・技術を学べるようにすることが重要との意見があった。

○ なお、入門的研修の位置付けについては、介護分野に参入する際の必須の研修とするのではなく、あくまで介護分野に参入するきっかけとするものであることから、任意の研修という位置付けにすべきである。

4 医療との役割分担について

○ 地域包括ケアシステムの構築にあたり、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるようにするためには、医療と介護の連携をよりいっそう推進していく必要がある。

○ 現在、介護福祉士等がその業務として実施可能な医療的ケアは、喀痰吸引と経管栄養となっているが、医療と介護の連携を推進していくにあたっては、医療従事者との役割分担は重要な課題であり、介護福祉士等が医療的な知識等を高め、医療の必要性が高い方に対しても適切にケアを提供できるようにしていくためには、介護福祉士等による医療的ケアのあり方は重要な検討事項の一つである。

○ 医療との役割分担に関しては、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」において、我が国の医療を取り巻く状況の変化を踏まえた新たな医療の在り方などが検討された。

  その中では、医療従事者間、介護従事者との役割分担についても議論がなされており、「医療職と介護職との役割分担について、介護職による医療的ケアの現行の仕組みを丁寧に評価し、これを進めていくべきか等について議論していくことが必要」との意見や「医療的ケアについては、次第にタスクシフティングを図っているが、実際には、ニーズがあるのか、また、どのようにニーズが決まっているのか、などはちゃんと精査する必要があるのではないか」といった意見があった。

  こうした意見を踏まえ、当該検討会のとりまとめにおいては、

 ・ 今後、在宅においても更に医療的なニーズが増大することを踏まえ、介護従事者が能力と意欲に応じ、生活の場における健康管理・疾患管理の視点を身につけることに加え、日常的に現場で必要となる簡易的な医療的ケアを行えるよう、研修制度を含めた環境整備を図ることも重要である。

 ・ 具体的には、現行のたんの吸引及び経管栄養等の実施を着実に行っていくため、多くの都道府県において介護従事者が医療的ケアについて研修できる機関が少ない現状を改め、研修実施機関の数の拡大について検討するべきである。また、特定の者に対する研修を複数受け、一定の医療的ケアの経験のある介護従事者等であれば、不特定多数の者に対する研修を免除すること等についても検討が求められる。

 ・ 併せて、このような役割分担に当たっては、介護従事者と連携する医師や看護師によるリスク・マネジメント体制の構築が不可欠である。特に、医療的ケアを行うことにより、徒に介護従事者の心身の負担を増幅することのないよう、国民のニーズ等も踏まえながら丁寧に議論しつつ、さらなる医療行為の拡大を検討していくべきである。

 とされている。

○ 当専門委員会では、日常生活を支援する中で、必要なものについては検討の余地があるのではないか、関係者の意見を聞きつつ丁寧な検討が必要ではないかといった意見や、質の担保など現状がどうなっているかを踏まえた検討が必要ではないかといった意見があり、介護福祉士等による医療的ケアについては、慎重な検討が必要との意見が多かった。

○ こうしたことを踏まえ、介護福祉士等による医療的ケアについては、喀痰吸引や経管栄養の医療的ケアを必要としている利用者に対して、質・量ともに対応できているか、喀痰吸引等研修の体制が十分に整備されているかといったことについて、速やかにその実態を把握した上で検討すべきである。

5 介護人材のキャリアパスについて

○ 介護人材の確保にあたっては、介護人材のすそ野を拡げ、介護未経験者を含む多様な人材の参入を促進するだけでなく、それぞれの人材の意欲・能力に応じてキャリアアップを図っていけるような仕組みなど、介護分野に参入した人材が定着していくような環境作りが重要である。

○ 介護事業所における介護人材の育成にあたっては、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会における議論の取りまとめ」(平成28年3月30日)において、「人材育成の方法の多様性を認めた上で、これまでの介護キャリア段位の取組みを踏まえれば、

 ・ 介護の手順・基準の明確化、

 ・ 個々の介護職員の介護行為の確認を担当する人員の養成及び配置、

 ・ OJTにおいて目視により必要な手順・基準に沿った介護行為を習得したことを確認すること、

 ・ 職場におけるキャリアパスの明確化

 等が人材育成に有効である」とされており、キャリアアップの仕組みを検討する際には、こうした視点も視野に入れることが必要である。

 ○ また、介護分野に参入した全ての人材がキャリアアップを目指す必要はないものの、介護福祉士の資格取得やさらなる専門性の向上を目指す人材について、意欲・能力に応じてキャリアアップし、各人材が期待される役割を担っていけるようにするためには、介護の専門職である介護福祉士の中でも一定のキャリアを積んだ介護福祉士がリーダーとなり、介護職のグループ内で指導・教育やフォローを行うなど、介護職がグループで提供する介護サービスの質の向上を図るとともに、人材の定着が図られるようにしていくべきである。

   この点に関して、介護福祉士の役割を明確にすることは重要であるが、介護報酬や配置基準への反映といったインセンティブも必要、キャリアパスを明確にし、客観的な評価と処遇を結びつけていくことが必要といった意見があった。

 ○ このため、介護分野への参入のきっかけとして、必要最低限の知識・技術を修得する機会を設けるとともに、介護福祉士の資格取得後も本人の意向に応じて、リーダーに必要な知識・技術を働きながらでも身につけていけるよう、分野毎(科目単位毎)に修得できるような現場での実践過程における研修プログラムを検討すべきである。

 ○ このように、介護人材のキャリアパスの実現にあたっては、介護未経験の者であっても、安心して入職し、介護福祉士の資格取得やさらなる専門性の向上を目指す者がその目指すべきキャリアに応じて専門性を身につけていくことができるような仕組みとしていくべきである。

 おわりに

 ○ 当専門委員会では、平成27年2月25日にとりまとめた「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」において、引き続き検討事項となっていた事項について議論を行い、介護人材の構造転換(「まんじゅう型」から「富士山型」へ)を実現するための具体的な方策をとりまとめた。

 ○ 国においては、このとりまとめを踏まえて、その具体化を図っていくことが求められる。その際、制度面や報酬面での介護事業所に対するインセンティブの付与が必要となる場合には、関係の審議会で検討を進めることが重要である。

   このように、関係する審議会において必要な検討が進められ、当専門委員会の意見が各種制度に反映されることにより、2025年までに「地域包括ケアシステム」の構築を実現するにあたり、必要な介護人材の量と質の確保につながるものである

 ○ なお、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会では、医師の勤務実態や、働き方の意向・キャリア意識を正しく把握することを目的に、医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査を実施し、今後の地域における医療従事者の需給推計や医療提供体制の在り方の検討に活かすことが提言されている。

   介護においても、「今後高齢化により介護ニーズが高まる中で、一層の労働力確保、職場定着、働き方改革等が課題であることから、この医師に対する働き方実態調査と同様に、介護従事者に対する働き方実態調査を実施して、地域、年齢、職種等ごとの働き方や採用・離職の状況・理由等について把握し、あるべきビジョンの策定や具体的対策の検討に活用していくべきである」と提言されていることを踏まえ、既存の調査も活用しつつ、介護人材の働き方の実態やキャリアに関する意向などの調査・分析を実施し、今後の介護人材確保対策の検討に活用していくべきである。

説明は以上でございます。

○田中委員長 長文の朗読、御苦労さまでした。

 皆様のおかげでほぼ1年間検討して、介護職のリーダー層、それから介護福祉士一般、さらに裾野を担う人材の識別がきちんとつきました。また、前回からの変化として、「多職種によるチーム」と「介護職のグループ」という言葉を分けたので、両者を混同しないような文章になっています。

 では、ただいま朗読していただいた取りまとめについて、皆様から最終的な御意見を伺います。どなたからでもどうぞ。石本委員、お願いします。

○石本委員 ありがとうございます。

 では、数点確認などでございます。まず、本文中で「介護福祉の専門職」という使い方と、「介護の専門職」という言葉が両方あります。私ども介護福祉士会としては、「介護の専門職」よりは「介護福祉の専門職」ということのほうがやはり適切だろうという感覚を持っておりますので、ここはできれば具体的行為だけを連想させるような「介護の」という言い方ではなくて、「介護福祉の専門職」で統一していただけるとありがたいと思うところでございます。

 4ページの○の上から2つ目でございますが、「他の人材に委ねていく」という言葉の書き方が、丸投げしてしまうような印象がどうも私たちとしては拭えない部分がございまして、でき得ればここは「担う」という言葉で、かつそこの専門性を完全に切り離すのではなくて、やはり専門職やリーダーの中で質の担保をしていく中で、多様な人材にその部分を担っていただくという理解でありたいと思いますし、そういう解釈でよろしいか。それと、言葉をもし工夫できるのであれば、していただければというところのお願いが1点でございます。

 これも細かいことなのですが、7ページの中段に大きい2で「必要な資質」というのがございまして、○の文章がずっとございまして、○の1つ目の文章の下から3行目「家族の介護負担の軽減に資する助言を行うことも必要」ということでございますが、これもあくまで印象なのですけれども、従来ここは担ってきているはずなのです。今までも。ということで考えると、「も」というのは、今まで担っていなかったから、これからはというような印象もあるので、ここは「が」とか、そこの書きぶりを少し工夫していただけるとありがたいなという点でございます。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 事務局、お答えになりますか。

○柴田福祉人材確保対策室長 今、大きく3点いただきました点について、1点目の「介護」を「介護福祉」に直すということについては、修正させていただきたいと思います。

 2点目の4ページの「他の人材に委ねていく」という言葉を「担う」という文言を使うことについても、その方向で修正をさせていただければと思いますし、解釈については、同じ解釈ということでございます。

 3つ目の7ページ目の助詞の「も」を「が」に直す点についても、その方向で修正をさせていただければと存じます。

○田中委員長 そのような修正で皆さん、よろしゅうございますね。特にそれではだめだという声はないと思いますので、そういたしましょう。ありがとうございます。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 細かな点で2つです。8ページの真ん中より下、○の2つ目の2段落目のところです。「本人の生活の場である地域や集団との関わりといった社会との関係性も含めたアセスメントについても十分学んでおく必要がある」というところを、アセスメントだけではなくて、恐らく今までの議論、及び10ページの求められる介護福祉士像の9番を見ますと、単にアセスメントするだけではなくて、それに対応できるということも含められていたと思いますので、8ページの本文を「十分に学び、対応していくことが求められる」とかそんな感じで、アセスメントだけでなくて、実際それに対応するということも入れていただけるといいのではないかなというのが1点です。

 もう一点は、これは直し得るかどうかというところなのですが、同じ8ページの下から4行目です。「このような知識については、現場での実践に結びつけていくことが重要であり」の文章の最後「現場で活かすための実践教育も必要である」というのが、ちょっと議論の記憶が定かではないのですが、どちらかというと省察的実践が求められているというような議論だったような気がするのですね。でも、省察的実践家を育てるとか、「省察的実践」という言葉は余り一般的でないので、「省察」という言葉を入れることが得策かどうかわからないのですが、「実践教育」ということは、皆さん、一般に理解がすっと落ちる言葉なのか。これは逆に皆様のお立場で、「実践力を高めるためには、現場で活かすための実践教育も必要」というのが、意味が通るかなというのがややちょっと。もともとの議論としては、知識を身につけて、それを実践しながら、そのことの意味づけを振り返りをしながらというような議論が展開されていたと思うので、これは少し言葉の工夫ができないかしらということが気になりました。

 2点です。

○田中委員長 確かに「省察」は、筒井孝子先生語とか堀田聰子先生語に近く、やや難しい言葉だと。

 でも、実践についてはちょっと考えたほうがいいですね。

 事務局、お答えになりますか。

○柴田福祉人材確保対策室長 今の1つ目の御指摘の「対応していく」の方向については、そういった方向で修正させていただきたいと思います。

 省察については。

○田中委員長 「省察」は入れなくていいと思うのですが、「実践教育」という言葉が、ほかの普通の教育と何が違うのか。ここでわざわざ、実践教育とは普通の教育課程の教育と違うのかどうかに関する御質問ですね。

○堀田委員 逆に教育機関の方々とか、養成に携わっておられる方々のお立場で、「知識を統合して、現場で活かす実践教育」というのでここでやっていた議論が通じるのか、それとも何らか言葉を補ったほうがいいのか。特段御提案がなければこれでいいのではないかと思うのですけれども、やや気になったという程度です。

○田中委員長 教育を担っていらっしゃる方はいかがですか。

○井之上委員 悩みますね。そうですね。実践教育。「現場で活かすための実践教育」。

○堀田委員 妙案がなければ、これでも。特段ひっかかられなければ、いいと思います。済みません。もし代案があればという程度でしたので。

○田中委員長 今すぐわからなければ、終わってから言葉は事務局と改めて討議できます。問題提起、ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 堀田先生が実践教育と今おっしゃっているのですが、例えば福祉系高校が現場で実践教育をどうしていると言われるとすれば、今、法改正によって施設実習の時間数が非常に多くなっていますね。そういうことで、学校においては、施設実習に対しては、保護者も呼んだり、もちろん生徒にも十分な指導を加えて、それで各施設に送り出すのですね。「実践教育」という言葉があれだとすれば、福祉系高校では施設へ出して、そこで経験をさせるということがそれでないのかなと。ほかに、例えば福祉系高校の福祉科においては他の実践教育というのは見当たらないと思うのですが、私が言っていることはピントがずれているのでしょうか。いつもずれるのですけれども。

○田中委員長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 ここで言っていた実践教育というのが、養成課程の中で現場での実践を通じた学びというところだけではなくて、資格を取って実際に働き始めた後に、身につけた知識をもとに展開していく実践を意味づけをしながら深めるという議論だったような気がするので、それに合うようなことが連想される言葉になっているかなということだったのです。なので、養成課程の間での実習の重要性、あるいはそこでの意義というのは前提としてそのとおりだなと思っています。

 さらに、それを振り返りながら深めていくというようなサイクルをたしか織り込んでいた議論だったと思ったので、それをよりよくあらわす言葉がないかしらという意味でした。ということで、ありがとうございます。

○田中委員長 前段の文章を読むと、既に介護福祉士を持っている方がさらに能力を高めるためのリカレントな教育をという意味で書いてありますね。

○堀田委員 はい。

○田中委員長 すぐここでなければ、事務局と預かって、言葉をどうするか考えますが。

 ほかの点はいかがでしょうか。お願いいたします。

○川名参考人 神奈川県の川名と申します。

 今回初めて参加させていただきますので、これまでの議論でここまでのものを取りまとめていただいたことについて、まず敬意を表したいと思います。

 その中で1点だけ、「医療との役割分担について」の項目の中の最後の12ページの中段「こうしたことを踏まえ」からですけれども、ここで「介護福祉士等による医療提供ケアについては」云々、「利用者に対して、質・量ともに対応できているか、喀痰吸引等研修の体制が十分に整備されているかといったことについて、速やかにその実態を把握した上で検討すべきである」とあるのですが、この中には、例えば今、実際に介護福祉士等が医療的ケアについてどのように感じているのか、負担になっているのかということ、また、医療職のほうからどのように見ているのかということも評価するということが含まれているのか。その前段の○ではその辺も表現されていると思ったのですが、そこがちょっと気になったもので、必要に応じて修文していただければと思います。

 以上でございます。

○田中委員長 川名参考人の御質問について、事務局、いかがですか。

○柴田福祉人材確保対策室長 そういう意味で、全体的な質・量ともに対応はできているかということについて、どういう視点で聞くかということでございますので、今おっしゃった内容も含めた中でどう聞くかというのを検討していくことかなと思っています。

○田中委員長 含まれているとの理解ですね。

○柴田福祉人材確保対策室長 はい。

○田中委員長 石本委員、どうぞ。

○石本委員 済みません。特に御意見がなさそうなので、提出させていただいております資料の説明をさせていただいてよろしいでしょうか。

○田中委員長 時間的にありそうですので、どうぞ。

○石本委員 今回日本介護福祉士会として、今後求められる役割に適切に対応できる介護福祉士をどう育成するかということについての提案をさせていただいております。お手元の資料で御説明をさせていただきたいと思います。

 1枚おめくりください。1ページ目に関しては、特に、でございますが、養成課程で学んだ介護福祉士が現場の実践力をしっかり身につけて卒業して、現場で活躍ができるかというところを見据えて、○が3つございますが、特に今後重要視されていくであろう認知症やターミナルケアといった学びであったり、医学やリハビリ、もしくは環境整備といったところや、社会的支援、心理的支援といった部分についての学びというのをより一層図るべきではないかということを書かせていただいております。

 その下にございますが、特に認知症に関してはということで申し上げますと、現場で実際行われております基礎的な学びであります認知症の実践者研修の内容については、少なくとも介護福祉士の資格を取得した時点で身につけているというのをスタンダードにすべきではないかという視点で考えますと、これは学びの段階できちっと学ぶというカリキュラムにしてはどうだろうかということでございます。

 さらには、昨年の12月から高度な介護福祉士を養成すべく、認定介護福祉士養成研修というのが既にスタートしておりますので、養成カリキュラムの流れから、卒後の継続研修、さらには高度な認定介護福祉士という一連の流れの中でそれをきちっと踏まえた、見据えたカリキュラムにするということが必要ではないかということをこちらに書かせていただいております。

 その次の○につきましては、特に多職種連携というところに関して意識した内容のカリキュラムが必要ではないかということで、特に事例検討等を通じた多職種連携というものの学びというのも大事であろうということでございます。

 その下にございます実習に関してでございますが、先ほども委員からありましたが、現在福祉系高校や養成施設においては相当な時間数実習されているかと思いますが、その中におきましても、現状、現場の肌感覚で言いますと、施設や通所系の実習が割とウエートが大きくて、在宅系でありましたり、今後ますます包括ケアシステムを深化させるに当たって、訪問系のサービスというのも必ずやニーズが今以上に高まるという視点を考えますと、在学中、学びの段階でそういった多様な介護サービスが提供されている現場の実態がちゃんと理解できる実習にすべきではないかということをここに書かせていただいております。

 2ページでございます。こちらも○が3つございますが、特に今、報酬改定等々も見据える中でよくよく出てくるキーワードでございますが、ICTや介護ロボットといった先進技術を取り入れて、それが利用者にとっていいケアにつながるのであれば、そこを介護福祉士がイニシアチブをとって、現場の中でそういったものを活用した介護実践を行う。こちらにも書いてございますが、そういったオペレーションや責任を持ってそれを実践するのは介護福祉士ということで位置づけるに当たっては、養成カリキュラムの中でロボットやICTについても学ぶ機会があれば、若い方々に対しての介護というイメージの発信の仕方も多少変わってくるのではないかという思いもあり、ここに入れさせていただいております。

 さらには、介護予防やリハビリということももちろんでございますし、一番下の○にございますいわゆる被災地支援というところです。先ほど「介護の専門職」ではなく、「介護福祉の専門職」という言い方をさせていただきました。私個人的にも非常にこだわるところなのですが、本来介護福祉士というのは、施設なら施設といった限られた現場の中でその能力を発揮するのではなく、また、高齢者のみでもなく、対象者がどなたであれ、場所がどこであれ、必要な介護がきちっと提供できるのは介護福祉士であるということを捉まえたときに、近年ふえておりますこういった被災地における支援というのも、必要な場面として学ぶ機会が今後ますます必要になるのではないかということで、入れさせていただいております。

 続きまして、3ページ目は、教員の要件、カリキュラムマップ等のモデル例、見直しを行う際の検討体制というところで目出しをさせていただいておりますが、ここに関しましては、特に専門職を育てるというスタンスで考えますと、介護福祉士を育てるのは介護福祉士であるべきであるというスタンスの中でこういった書き方をさせていただいておりまして、少なくとも養成する教員の皆さん方はまずは介護福祉士で、さらには高度なスキルを身につけた認定介護福祉士等がそういった指導に当たるというのが、本来あるべき姿ではないだろうかという御提示でございます。

 3つ目の○でございますが、今後具体的にカリキュラムの中身等を検討するに当たりましても、私ども職能団体や教育機関のみならず、介護福祉士が働くフィールドであります事業所の関係者等も交えて、多角的な意見を交えたカリキュラムの議論をぜひともお願いしたいということを、○の3つ目に書かせていただいております。

 4ページ目でございます。こちらもまさにいろんな場面でテーマとして出されるテーマについて触れさせていただいておりますが、先ほど柴田室長のまとめの御説明の中にも出てきておりますが、まず共通基礎課程について、また、医療的ケアにつきましてです。

 まず、共通基礎課程については、多様な人材を今後輩出し、縦割りではなく、横割りの地域共生社会を支えましょうというのは、そうなのだと。そこについては、我々もそうだというふうに理解しております。ただし、そこは大事なのですが、そこから先の専門特化していくところの学びも大事にしていただかなければいけない。そういうことを考えると、人材を養成する時間、費やす時間がふえてしまうから、ここはちょっと短くしましょうという議論ではなくて、必要なものはちゃんと担保できるカリキュラムとして担保されるべきと思いますので、共通基礎課程というものが議論されること自体については理解できる。

 ただし、非常に怖いのが、既に資格を持っている人たちをハイブリッド化してまぜましょうという議論については、これはまたちょっと違うという理解をしておりまして、そこと共通基礎課程の議論というのは、ちゃんと整理して議論されるべきだと思っております。

 2つ目の○の医療的ケアのところについても、これも以前御意見を述べさせていただいておりますが、利用者にとって真に生活の場で必要なケアの延長線上で行われることについて、決して我々も後ろ向きではないのですが、現状行われている喀痰吸引に関するようなものというのが実際どれだけ現場で浸透し、実践され、それに伴うリスクや実態はどういうものがあるかというのが把握されないまま拡大が議論されるというのは非常に怖いと思います。なので、そこについて丁寧に現状把握をした上で議論をしていただければというところを書かせていただいております。

 おめくりいただきまして、5ページ目でございます。○が2つございます。まず、現任研修の推進ということで、今回のまとめの中でも「リーダー」という言葉でありましたり、「中核的な」という言葉が出てまいりましたり、「専門性」という言葉が出てまいりますが、そういった者については継続的に学ぶというのは不可欠であるということを踏まえ、しかしながら、高めたからその先が何なのだというところは、今までなかなか説明がつかない部分もありましたので、将来的なところで考えれば、こういったインセンティブの付与というところもより具体的に議論がなされれば、我々としてはさらに人材確保という視点においても有効ではないかという考えでございます。

 ○の2つ目「届出制等の検討について」というところでございますが、とはいえ、人材確保に関するあの手この手が地域でもいろいろとやられていますが、具体的にその成果が上がっているかというと、正直特効薬がないというのも現状であると認識しておりますが、資格を取った後の人たちの後追いというのがきちっとできない限り、本当にどれだけの人が働いていて、どれだけの人が足りていなくてという数の把握というのが、多分今のままでは実態に即しているとは言いがたいのではないか。本当の意味で確保を考えていく、また、潜在的な有資格者がどれだけいるのか、それをいかに効果的に呼び戻すのか、具体的に策を立てるためには、まずは有資格者がどれだけ現場で働いていてという後追いができるような届け出制度というのを考えたらいいのではないか。

 簡単ではないと思うのですが、例えば看護師であれば、こういったことが2年に1回全国的に調査が行われたりしておりますし、そういったことに似たようなといいますか、そういったものに類似するような仕組みを考えて、具体的な数の把握が必要ではないかと思います。

 残りは、参考資料として6ページ、事業者数の推移。

 7ページは、今、私どもが職能団体として行っております介護福祉士の質を高めるための生涯研修の体系図を参考資料として添付させていただいております。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございます。

 これは介護福祉士会としての決意表明と要望ですね。

○石本委員 はい。

○田中委員長 御意見を求めるものではないですね。

○石本委員 はい。

○田中委員長 被災地については、石本委員の経験に基づく文章ですね。

○石本委員 はい。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。平川委員、どうぞ。

○平川委員 今回7ページ、8ページで介護による離職を防止するための、家族の介護と仕事の両立の視点を踏まえた負担の軽減に資する助言を行うということについて入れていただいたのは、本当に大きな前進だと思いますし、石本委員からはそれを補強する御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 労働組合の立場、現場で働く者の立場から見ると、介護による離職というのは本当に大きな問題となりつつあります。医療とか福祉とか介護とかと全く関係のない会社、職場の労働組合から呼ばれて、介護による離職の問題を語ることが本当に多くなりました。そういう話を聞く方、特に40代、50代の働く者は自分の問題としてこの問題を捉えているということでありますので、ぜひとも介護と仕事の両立の視点ということを引き続きあらゆる場で政策的に反映させていただくとともに、今回カリキュラムに入れるかどうかというのは、この文章では不明瞭なところがありますけれども、可能であればカリキュラムに入れる、もしくはさまざまな研修の場でも仕事と介護の両立という視点について、広く専門職の間でも意識を高めていただければと考えているところであります。

 意見として申し上げています。ありがとうございました。

○田中委員長 ありがとうございました。大切な点ですね。

 ほかにございませんか。松山参考人、どうぞ。

○松山参考人 社会福祉士会の松山でございます。

 先ほど介護福祉士会、石本委員からのことについて、特に意見を求めるものではないということなのですけれども、関連してよろしゅうございますか。5ページの「介護福祉士の届出制」の云々ということですが、どのような仕組みを持ってやるかというのは検討の余地があると思いますが、非常に意義があることかと思います。私どもも社会福祉振興・試験センター、この母数をもとに私ども日本社会福祉士会の構成員である都道府県社会福祉士会に加入している者が二十数%台ですが、母体となる数字が実態がないといいますか、把握していません。そういう意味では、潜在的な介護福祉士、あるいは私どももそうですけれども、それらの者に対してフォローアップを働きかけたり、キャリア形成していく。非常に有効なことかと思いますので、何らかの席でまた検討していっていただきたいと考えております。

 以上です。

○田中委員長 応援でした。

 武居委員、お願いします。

○武居委員 直接今の内容ではなくて、関連した話なのですが、介護労働安定センターの統計というのが毎年出ておりまして、介護職についてのさまざまな統計が出てございます。中でも職場を離職する要因になっているもので、一般的に挙げられるものの多くは、人間関係であるとか給与というのが割に上位に出てきており、そのことが非常に目立つ部分もありますが、それは職場運営管理上の問題等も当然あるのだろうと思います。いわば入職後の職員について、どういうふうに離職を防止するのかというのは非常に重要な視点だろうと思うのですが、さらに内容を見ていきますと、例えば、夜勤時の大変さとか、認知症の対応が難しいとか、自分が適切な介護ができているかどうか心配であるという、いわゆる専門的な仕事の内容、仕事の質について自信がないとか、利用者の重度化への対応の難しさというものが、最近の統計から見ると読める感じがいたします。

 そのような意味では、先ほど読んでいただきました報告書案の内容のようなものが今後ますます重要になってくるだろうと思うので、この点をさらに現場で具体的にどういうふうに生かしていくかということについて、次の段階ではぜひ検討していくような方向でお願いをしたいと思います。

 以上です。

○田中委員長 この報告書の先、次の段階のあり方を言っていただきました。

 これでよろしければ、この取りまとめについて結論を申し上げると、取りまとめ案について、特に反対はありませんでした。取りまとめ案の語句の修正は一部ありましたが、その修正について、取り扱いは私に御一任ください。後日修正したものを委員の皆様に御確認いただき、専門委員会の取りまとめとしていく予定です。

 それでよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田中委員長 では、事務局と最後相談することにいたします。

 ありがとうございました。これにてこの報告の取りまとめの審議は終了いたします。

 介護に関する議論は一区切りしたところですので、定塚局長より御挨拶を頂戴したいと思います。

○定塚社会・援護局長 田中委員長を初めとして、委員の皆様方におかれましては、多数回お集まりいただきまして、大変熱心な御議論をいただきました。本当にありがとうございました。おかげをもちまして、この介護につきまして、まんじゅう型から富士山型へという構造転換をどのように考えて、具体的な方策に反映していくかという取りまとめを示していただいたと感じております。

 皆様方御承知のとおり、今、求人、求職状況が大変厳しい状況にございます。有効求人倍率がバブル期を超える水準ということで、求人をする場面では日本のあらゆる業種で人手不足感が非常に強まってきているところでございます。介護現場におきましても、特養をオープンしたいけれども人手がいない、あるいは先ほど示されたように離職がとまらないというお話を多々聞くというのが足元の状況ではないかなと感じているところでございます。

 こうした現状を踏まえますと、まさに今回お示しいただいたように、介護人材の入ってくる裾野を広げると。一方で、働いていただいている方に将来のキャリアがビジョンとしてちゃんと見えるようにする、キャリアアップの方策をしっかり組み立てるという今回の方策、大変必要なことでございまして、介護分野に多くの方が参入していただく、中のほうで意欲を持って働き続けるということに必要な取り組みをまさに今回の報告でお示しいただいたと考えております。

 今後、厚生労働省におきまして、この報告を踏まえまして、一つはカリキュラム改定。しっかり皆様とともに取り組んでまいりたいと思いますし、そのほか、介護人材にかかわるさまざまな方策についても同時にしっかり検討して、必要な介護人材の確保と提供するサービスのさらなる質の向上を図ってまいりたいと考えております。

 今回介護福祉について取りまとめいただきましたけれども、引き続き社会福祉士に関する御議論、こちらのほうも大変重要でございます。残っておりますので、田中座長を初め、委員の皆様方におかれましては、お忙しいところとは存じますけれども、引き続き御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 とりあえずのお礼とさせていただきます。ありがとうございました。

○田中委員長 どうもありがとうございました。

 今後この取りまとめに基づいて必要な対応が進むよう期待しております。

 ただいま局長からお話もありましたとおり、次回からは社会福祉士の議論を進めてまいります。

 事務局から連絡があれば、お願いいたします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 次回の専門委員会は、1024日火曜日の午前10時より、場所は航空会館での開催を予定しております。

○田中委員長 本日の専門委員会はここまでといたします。御多忙の折、お集まりいただき、報告書の取りまとめに御協力を頂戴しました。どうもありがとうございます。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第11回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2017年9月26日)

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