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2017年2月21日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

○日時

平成29年2月21日(火)10:00~


○場所

新橋5A会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

 安 藤 由紀子、 石 塚 真由美、 遠 藤 容 子、◎川 西   徹
○栗 原 正 明、 城 内    博、 平 林 容 子、 宮 川 宗 之、
  山 口 芳 裕
 (注) ◎部会長  ○部会長代理
欠席委員(0名)五十音順

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
日下部 哲 也 (化学物質安全対策室長)

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会平成28年度第1回毒物劇物部会」を開催いたします。

 最初に、先般、薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われまして、この部会につきましても新しく委員の任命が行われたところでございます。つきましては、お手元にございます毒物劇物部会委員名簿に従いまして、委員の方々全員を御紹介申し上げます。

 まず、全国農業協同組合連合会の安藤由紀子委員でいらっしゃいます。

○安藤委員 安藤でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、北海道大学の石塚真由美委員でいらっしゃいます。

○石塚委員 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、日本中毒情報センターの遠藤容子委員でいらっしゃいます。

○遠藤委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、国立医薬品食品衛生研究所の川西徹委員でいらっしゃいます。

○川西委員 川西です。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、国立医薬品食品衛生研究所の栗原正明委員でいらっしゃいます。

○栗原委員 栗原です。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、日本大学の城内博委員でいらっしゃいます。

○城内委員 城内です。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、国立医薬品食品衛生研究所の平林容子委員でいらっしゃいます。

○平林委員 平林でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、帝京大学の宮川宗之委員でいらっしゃいます。

○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、杏林大学の山口芳裕委員でいらっしゃいます。

○山口委員 山口です。よろしくお願いします。

○事務局 以上、計9名でございまして、全員に御出席いただいておりますので、この会議に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。

 また、この部会の部会長につきましては、川西徹委員を薬事分科会長から御指名いただいておりますので、御報告申し上げます。

 さらに、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会長代理につきましては、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとされており、部会長から御指名いただくこととなっております。

 それでは、川西部会長、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 私の方からは、栗原委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 それでは、栗原先生、よろしくお願いします。

○事務局 それでは、部会長代理につきまして栗原先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、栗原先生は部会長代理席に御移動願いたいと思います。

(栗原委員 部会長代理席に移動)

○事務局 なお、本会議は公開で行われまして、資料及び議事録も公開となっております。

 それでは、開催に当たりまして、大臣官房審議官(医薬担当)の森より一言御挨拶申し上げます。

○審議官 それでは、御挨拶を申し上げます。事務局を代表しまして、委員の改選が行われてからの改めてということで、先生方、今日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 昨日は春二番で30mぐらい風が吹いて、今日は北風が25mで、季候の変化が激しい中でございますので、お集まりいただくについても大変心苦しいところでございます。今日のこの毒物劇物部会、1年ぶりぐらいという開催ではありますが、毒物劇物の規制というのをきちんと行って、それに基づいて国民生活の安全を確保するということの大切さというのは、日々のいろいろな事柄を見ていますと、大事だなと思っております。

 当部会におきましては、御審議いただくそれぞれの物質について、適切な規制の枠組みにはめるということで、先生方からいろいろな角度から御意見いただきまして、適正な物質の管理ができるように御審議いただきたいと思っております。多様な物質を今日も御審議いただくようになっておりますが、どうかひとつよろしくお願いいたします。

○事務局 また、事務局におきましても異動があり、化学物質安全対策室長に日下部が着任いたしました。

○化学物質対策室長 よろしくお願いします。

○事務局 まず、改選後最初の毒物劇物部会でございますので、特に御留意いただきたい事項などにつきまして担当者より御説明させていただきます。

 それでは、本部会への御参加に当たりまして、留意事項を3点ほど改めて御説明させていただきます。

 第1に、守秘義務の関係でございます。委員、臨時委員、専門委員の皆様は、非常勤の国家公務員となりまして、国家公務員法における守秘義務に関する規程の適用を受けます。具体的には、国家公務員法第100条におきまして「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されておりますので、職務上知り得た秘密につきまして漏らすことのないようお願いいたします。

 第2に、薬事に関する企業等との関係でございます。お手元に当日配布資料1「薬事分科会規程」、当日配布資料2「薬事分科会における確認事項」をお配りしております。まずは、当日配布資料1「薬事分科会規程」の6ページの中ほどを御覧ください。第11条におきまして「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらの役員等に該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。

 第3に、薬事分科会の審議事項でございます。

 1枚戻っていただきまして、当日配布資料1「薬事分科会規程」の5ページの中ほどを御覧ください。第7条におきまして、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定めております。

 次に、当日配布資料2「薬事分科会における確認事項」の3ページ一番下から4ページにかけて御覧ください。薬物及び劇物取締法に基づき審議会に諮問するものの取扱い、当日配布資料2の4ページの一番上の1ポツ目に「薬物及び劇物取締法第23条の2に基づき審議会に諮問を行ったものについては、原則として、毒物劇物部会審議、薬事分科会報告の取扱いとする。ただし、毒物劇物部会長が薬事分科会の審議を要すると判断したものについては、薬事分科会審議とする。」とされております。

 委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。

 長くなりましたけれども、それでは、川西部会長、以降の議事進行をお願いいたします。

○川西部会長 それでは、審議に入る前に事務局の方で配布資料の確認をお願いします。

○事務局 まず、今回のお手元の資料一番上に議事次第が1枚ありまして、次に座席表、委員名簿。

 次に、今回御審議いただきます物質につきまして、資料1から資料7までございます。その下に、資料8として「毒物劇物の判定基準の改定について(案)」となっています。その次に、先ほど御説明いたしました当日配布資料1の「薬事分科会規程」、当日配布資料2の「薬事分科会における確認事項」がございます。その下に当日配布資料3の「平成29年度以降の毒物及び劇物指定のためのGHS分類で健康に対する有害性が区分1~3及び危険物輸送に関する国連勧告で毒物又は腐食性である物質」を配布しております。さらに、その下に参考資料といたしまして毒物劇物の判定基準がございます。

 以上でございますが、お手元の資料に不備などございましたら、お申し出いただければと思います。

○川西部会長 よろしいでしょうか。また、審議の途中で何か見当たらないということがあれば、お申し出いただければと思います。

 それでは、審議に入りたいと思います。この議事次第に沿って進めたいと思いますので、よろしくお願いします。

 議事次第の2番目、審議事項議題1「2-ターシヤリ-ブチルフエノール及びこれを含有する製剤の劇物の指定について」。事務局の方で、まず議題1について説明をお願いします。

○事務局 資料1を御覧ください。「2-ターシヤリ-ブチルフエノール及びこれを含有する製剤の劇物の指定について」です。

 この物質は、樹脂、プラスチック、界面活性剤、香料及び農薬等の製造原料として使用されています。

 また、GHSで急性経皮毒性が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、外観は、特徴的臭気のある無色~黄色の液体、沸点223℃、融点-7℃、密度0.98g/cm3 、蒸気圧は、25℃で0.02Pa、溶解性は、水で2.3g/L、エタノール、エーテル、四塩化炭素に可溶、引火点110℃です。安定性及び反応性は、強酸化剤、強塩基と反応します。

 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50 789mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ミストにおいてラットでLC50 1.07mg/L/4hrであり、これらの数値から毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。 また、急性経皮毒性試験結果は、ラットの1群雌雄各5匹を用い、無希釈の被験物質を雌では5007291,020及び2,000mg/kgの用量で24時間、閉塞適用し、14日間観察いたしました。OECD TG402に従い、GLPにて実施し、LD50 705mg/kgになり、劇物相当と判断いたしました。

 また、皮膚腐食性は、ウサギで複数の国際的評価文書で腐食性を有することが示されており、劇物相当と判断いたしました。

 さらに、眼刺激性は、6匹のウサギの眼の無希釈の被験物質を適用し、2時間後に結膜の充血、浮腫、過剰分泌物が見られ、6匹中4匹で角膜混濁も認められました。強い結膜浮腫のため、2匹について角膜の評価はできず、全例で虹彩の評価もできませんでした。7日後においても影響は持続し、刺激性スコアは93.0でございました。

 これらの結果から、当該物質は眼に対し、不可逆的な損傷を来したことから、劇物相当と判断いたしました。

 調査会においては、2-ターシヤリ-ブチルフエノール及びこれを含有する製剤については、劇物に指定することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 結論としては、劇物に指定するのが相当ではないかということですが、何か質問あるいはコメント、ございますでしょうか。いかがでしょうか。

 急性の経皮毒性、それから刺激性のウサギの皮膚腐食性、ウサギの眼刺激性で劇物ということですが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 では、お認めいただいたということで、議題1はそれで終わらせていただいて、次に、議題2は「セレン化合物及びこれを含有する製剤のうち、亜セレン酸0.0082%以下を含有する製剤の毒物から劇物への指定、容量1リツトル以下の容器に収められたものであつて、亜セレン酸0.000082%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」ということですが、これについて事務局の方で説明をお願いします。

○事務局 資料2を御覧ください。「セレン化合物及びこれを含有する製剤のうち、亜セレン酸0.0082%以下を含有する製剤の毒物から劇物への指定、セレン化合物及びこれを含有する製剤のうち、容量1リツトル以下の容器に収められたものであつて、亜セレン酸0.000082%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」です。

 この物質は、生物実験用試薬(細胞培養用培地、細胞等)として使用されています。亜セレン酸及びこれを含有する製剤は、毒物及び劇物指定令第1条第1項第18号のセレン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、毒物となるものですが、今般、事業者より、0.0082%製剤及び0.000082%製剤の毒性データが提出され、0.0082%以下を含有する製剤を毒物から劇物に指定し、容量1リツトル以下の容器に収められたものであつて、亜セレン酸0.000082%以下を含有する製剤を劇物から除外するものです。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、外観は、白色結晶、融点70℃(分解)、密度3.004g/cm3 、蒸気圧は、15℃で266Pa、溶解性は、水で167g/100mLに易溶、エタノールに易溶。

 安定性・反応性は、安定。潮解性。強熱されると有害な酸化セレンの煙霧を発生します。

 続きまして、別添2を御覧ください。

0.0082%製剤における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性は、ラットでLD50 50mg/kgより大きく、急性経皮毒性は、ラットでLD50 200mg/kgより大きく、急性吸入毒性は、ミストにおいてラットでLC50 0.5 mg/L/4hrより大きく、薬物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。

 さらに、0.000082%製剤における急性毒性試験等のデータです。急性経口毒性は、ラットでLD50 2,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性は、ラットでLD50 10,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性は、ミストにおいてラットでLC50 10mg/L/4hrよりも大きく、皮膚腐食性及び眼刺激性はウサギでなく、いずれも劇物相当ではないと判断いたしました。

 続きまして、別添3を御覧ください。

 

1.毒物からの製剤除外の現状

  ・除外に係る基本的考え方

 毒物劇物の判定基準によれば、「毒物に判定された物の製剤は、原則として、除外は行わない。」とされています。これは、濃度が低い製剤であっても多量に使用すると毒物としての毒性が発揮されるため、製剤についても毒物として取り扱うべきであるとの判断に基づきます。

 ただし、多量に使用しても毒性の発揮が緩徐となる又は想定されないよう特殊加工された製剤については、用途、物質濃度、製品形態等から保健衛生上の危害発生のおそれがあるとは考えられず、例外的に毒物から除外しております。

2.亜セレン酸の製剤の毒性

(1)物質濃度の観点から考察

・事業者から提出された、0.0082%製剤の毒性試験データによると、劇物相当と考えられる。同様に、0.000082%製剤の毒性試験データによると、劇物相当ではないと考えられる。

・一般に毒性は物質の曝露量に依存するため、仮に低濃度製剤であっても多量にヒトに適用した場合には毒性発現のおそれがあるものの、低濃度製剤に何らかの容量の限定を付す等して毒性が発現するレベル以下に曝露量を抑えれば、保健衛生上の危害発生のおそれは低いと考えられる。

(2)製品形態の観点からの考察

・低濃度製剤であっても濃縮して摂取した場合には毒性発現のおそれがあり、何らかの限定を付して除外する必要がある。亜セレン酸0.0082%以下を含有する製剤を「劇物」に指定しても、「毒物」と同様に保管・運搬・表示等の規制が課せられるため、限定を付けず除外しても差し支えないと考えられる。

・亜セレン酸0.000082%以下を含有する製剤については、研究で使用される製品形態の多くが1リットル以下であり、仮に当該製品を一度に摂取しても毒性発現は想定されず、保健衛生上の危害発生のおそれが考えられないため、容量の限定を付して「劇物」から除外することが適当である。

*本製剤1Lには亜セレン酸0.82mgが含まれ、ヒトが一度に摂取した場合、マウス経口LD50 値とのマージン(約670倍)は、種差・個体差を考慮しても十分開きがある。また、本製剤1L中のセレン量を換算すると0.5mgであり、必須微量元素であるセレンの耐用上限量を超えるものの、一度の摂取により急性毒性の発現には至らない。以上から、保健衛生上の危害発生のおそれは低いと考えられる。

 

 調査会においては、亜セレン酸0.0082%以下を含有した製剤については、毒物から劇物に指定し、容量1リツトル以下の容器に収められたものであつて、亜セレン酸0.000082%以下を含有する製剤を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほど、よろしくお願いします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ただいまの事務局からの説明について、何か質問あるいはコメントございますでしょうか。

 私、今日、初めてなので、あえて質問させていただくと、もともと毒物に今までは指定されていたということですけれども、それはなぜだったのでしょうか。

○事務局 セレン化合物としての指定は、昭和25年あるいは昭和40年の毒物及び劇物指定令当初からの指定となっておりまして、性質としては、セレンが重金属に該当するということで、その生体毒性を危惧しての指定ということになっております。

○川西部会長 包括的にそういう扱いにしてしまったということで、今回、こういうデータがはっきりしたので、毒物と指定していたものを劇物、あるいは製剤によっては劇物からも除外するということですね。

○事務局 まさしくそのとおりでございます。

○川西部会長 ありがとうございます。どうぞ。

○宮川委員 念のため。計算は間違いないと思いますけれども、こういうものを拝見するときの参考として、単体でのLD50 値等、原体での濃度が書いてありますと判断しやすいかと思いますので、次回からで結構ですけれども、除外でこのような場合には、もとの場合のLD50 値等を、直接この場合、適用するかどうかは別として、資料として載せておいていただけると有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 今すぐにはわかりませんね。では、多分間違いはないと思いますけれども、御確認いただくことと、あと、次回からはそんな資料も付けるようにしていただければと思いますが、ほかに何か御意見、質問ございますでしょうか。よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 ありがとうございます。それでは、これもお認めいただいたということにしたいと思います。

 次に、議題3に進みたいと思います。「3-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-2-イル)-22-ジメチルプロパンニトリル及びこれを含有する製剤の劇物からの除外について」であります。

 それでは、事務局の方から、これも御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料3を御覧ください。「3-(6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-2-イル)-22-ジメチルプロパンニトリル及びこれを含有する製剤の劇物からの除外について」です。

 この物質は、香粧品用香料として使用されています。現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第32号の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から原体及び製剤を除外することを検討するものです。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、外観は、白色固体、沸点294.5℃、融点38℃、蒸気圧は、20℃で3.4Pa、溶解性は、水で8.38mg/Lです。

 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。

 急性経口毒性及び急性経皮毒性の試験結果は、いずれもラットでLD50 2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ミストにおいてラットでLC50 4.28mg/L/4hrより大きく、皮膚腐食性は、ウサギで刺激性がなく、眼刺激性も軽度の刺激性であり、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。

 調査会においては、3-(66-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-2-イル)-22-ジメチルプロパンニトリル及びこれを含有する製剤を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 これについて、ただいまの事務局からの説明あるいはこの資料について、何か質問あるいはコメントございますか。どうぞ。

○城内委員 シアン化合物については、御説明があったように、一括して指定することが行われてきたと思います。今回は、事業者さんよりの申請があって、劇物から除外するものとするという御提案ですが、包括的に指定したものについて、今後、検討することがあるかを質問したいと思います。

 というのは、以前、海外と日本の毒物というか、有害性について比較するプロジェクトがあったときに、ほかの国では全く考慮されていないシアン化合物が、日本では毒物劇物等に指定されているということで、本当にそれでいいのかという質問を投げかけられたことがありました。包括的な指定というものをずっと続けるのか、ちょっと検討し直すかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 今の委員の方からの質問に対して、いかがでしょうか。

○事務局 包括指定されているものの取り扱いをどうするかということは、事務局側も、このようなケースのように、一つ一つの物質の毒性を評価して除外していくという形が適切かどうかということがあって、懸案事項として考えているところでございます。

 有機シアン化合物の急性毒性については、一般論として、シアン化物イオンの遊離によるところが大きいということが言われておりますが、当該シアン化物イオンの遊離を十分推測することは困難だということがございます。

 現在のところは、このような形で個々の物質での評価をもって劇物相当の中から除外していく形という考え方によってはいるものの、取り扱いについて検討することを念頭に置いている状況でございます。

○川西部会長 ありがとうございます。

 それは、具体的にどこで検討するかとか、その辺はいかがでしょうか。

○化学物質安全対策室長 具体的にどこというのは、我々も予算の制約等もありますので、現時点においては申し上げられる段階にはございません。ただ、昨今の科学技術の動向から申し挙げれば、細胞関係の研究が盛んに現在進んでいるところですが、シアン化合物はそういった研究で使用される試薬に入っている場合があると承知しております。そうした場合、取り扱いにいろいろ煩雑な法的規定もございます。現時点においては毒性情報を得ないと、除外するにも除外できないという状況にあるので、何らかの検討は必要と考えております。

○川西部会長 対象となるのは、シアンというか、ニトリルというか、それだけ。ほかにも幾つか包括的に。

○化学物質安全対策室長 今のところはシアン系ですね。研究試薬でよく使われるということですので。

○川西部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、何か追加的に。

○城内委員 ありがとうございます。

○川西部会長 ということで、来年度というか、平成29年度に何か動きがあるということですか。

○化学物質安全対策室長 すぐに結論が出るというわけではないと思いますけれども、我々も懸案として対応を考えたいと思います。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ほかに何か、その関連でも結構ですけれども、質問あるいはコメントございますか。

 ないようでしたら、これも劇物からこの製剤を除外するということをお認めいただいたということにさせていただければと思います。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 ありがとうございます。

 これで資料3まで終わって、次、議題4。「トリス(ジペンチルジチオカルバマト-κ 2 S,S´)アンチモン5%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」、また事務局の方から説明をお願いします。

○事務局 資料4を御覧ください。「トリス(ジペンチルジチオカルバマト-κ 2 S,S´)アンチモン5%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」です。

 この物質は、高荷重用潤滑剤として使用されています。

 現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第7号のアンチモン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より、原体及び5%製剤の毒性データが提出され、5%製剤が劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、性状は、固体、沸点は、300℃より大きく、蒸気圧は、1×10 10 mmHgより小さく、蒸気圧は、20℃で3.4Pa、溶解性は、水で0.0454mg/Lより小さいです。

 続きまして、別添2を御覧ください。

 原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性及び急性経皮毒性は、いずれもラットでLD50 2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性は、ミストにおいてラットでLC50 0.71mg/L/4hrより大きく、皮膚腐食性は、ウサギで刺激性がなく、眼刺激性も、軽度の刺激性であり、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性吸入毒性試験結果において、劇物相当と判断いたしました。

 5%製剤による急性毒性試験等のデータについては、そこに書いてございますように、いずれの項目においても、劇物相当ではないと判断いたしました。

 調査会においては、トリス(ジペンチルジチオカルバマト-κ 2 S,S´)アンチモン5%以下を含有する製剤を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 審議のほどよろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 これも劇物からの除外ということで、原体の方は急性吸入毒性が劇物のカテゴリーに判定されるけれども、5%製剤ではなかったということのようですが、いかがでしょうか。何かただいまの説明への質問、あるいはこの資料への質問、あるいはコメント。よろしいですかね。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 それでは、これもお認めいただいたということで、議題4は終わらせていただきます。

 次に、議題5に移ります。「無水マレイン酸1.2%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」、これもまた事務局の方から説明をお願いします。

○事務局 資料5を御覧ください。「無水マレイン酸1.2%以下を含有する製剤の劇物からの除外について」です。

 この物質は、農薬の安定化剤として使用されています。

 無水マレイン酸及びこれを含有する製剤は、毒物及び劇物指定令第2条第1項第98号の3に劇物として指定していますが、今般、事業者より、1.2%製剤の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。

 3ページの別添2を御覧ください。

 無水マレイン酸は、皮膚腐食性及び眼刺激性により劇物に指定されていることから、当該の試験項目における毒性データが提出され、4ページの別添3を御覧ください。

 皮膚腐食性は、ウサギで、3匹中2匹で紅斑及び痂皮の形成が認められ、観察期間を通して、浮腫は認められませんでした。被験物質除去後、10日までに回復し、眼刺激性も、全3匹に角膜混濁、結膜の発赤、浮腫、分泌物が認められましたが、観察期間を通して、虹彩の異常は認められませんでした。被験物質適用後、5日までにすべて回復したことから、いずれも劇物相当ではないと判断いたしました。

 調査会においては、無水マレイン酸1.2%以下を含有する製剤を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ただいまの説明あるいはこの資料について、何か質問あるいはコメントございますか。

 これは、別添2で1番目の注で、原著が確認できないためということは、これは2次文献にある数値をとったということになるわけですね。私、初めてなので確認なのですけれども、こういう場合も一応ありとして、原著がなくても今までも認めているのでしょうか。

○事務局 そうです。

○川西部会長 わかりました。何かいかがでしょうか。

 これは、こういうケースはしばしばあるのですか。シビアなリスクアセスメントでは、余りこういう形はしないように認識しているのですけれどもね。

○事務局 データの信頼性という観点からすると、原著までたどっていって、そのデータの信頼性をとるということは必要かと思っておりますし、重要だとこちらも認識しています。このケースの場合は、そこに至る原著が確認できなくても、信頼のおけるデータということが、ほかの文献から有害性情報が明確になっているのであればいいと思いますが、そこまで至らなかったと。

○川西部会長 私も、物が物なので、これでいいだろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 では、これも同様にお認めいただいたということで、議題5も終わらせていただいて、次に議題6に移りたいと思います。議題6「3-メチル-5-フエニルペンタ-2-エンニトリル及びこれを含有する製剤の劇物からの除外について」、これについてもまた事務局から御説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料6を御覧ください。「3-メチル-5-フエニルペンタ-2-エンニトリル及びこれを含有する製剤の劇物からの除外について」です。

 この物質は、石鹸、洗剤等の香料として使用されています。

 現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第32号の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤として包括的に指定されており、劇物となるものですが、今般、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、有機シアン化合物及びこれを含有する製剤の劇物としての包括指定の範囲からの除外を検討するものです。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、外観は、無色~微黄色の透明な液体、沸点230℃、凝固点は、-30.0℃より小さく、密度0.9770.981D(20/4)で、蒸気圧は、20℃で0.2mbar、溶解性は、水には不溶です。

 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等の結果です。

 急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50 500mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットで2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ミストにおいてラットでLC50 5.31mg/L/4hrでした。皮膚腐食性は、ウサギで刺激性がなく、眼刺激性は、軽度の刺激性であり、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。

 調査会においては、3-メチル-5-フエニルペンタ-2-エンニトリル及びこれを含有する製剤を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 これもシアン化合物ということですけれども、質問あるいはコメント、ございますでしょうか。

数値の上では、これを見る限り劇物ということにはならない数値ですが、よろしいですかね。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 では、これも劇物からの除外についてお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 では、次も同様ですけれども、「硫化亜鉛(II)を焼結した物質の劇物からの除外について」、これも説明をお願いします。

○事務局 資料7を御覧ください。「硫化亜鉛(II)を焼結した物質の劇物からの除外について」です。

 この物質は、車両等に登載されます遠赤外カメラ用レンズとして使用されています。

 現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第1号の無機亜鉛塩類として原体が該当しており、劇物となるものです。今般、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより劇物から除外するものです。

 次のページの別添1を御覧ください。

 物理化学的性状として、外観は、乳白色~黄橙色の固体、沸点1,180℃、これは昇華点になります。融点は、1,718℃となっており、これは50atmの加圧環境下で昇華は生じさせずに、固相から液相へと変化させた場合の融点です。密度4.08g/cm3 、蒸気圧は、20℃で0.2kPa、溶解性は、水に不溶です。

 安定性・反応性は、硫化亜鉛自体は、通常状態では安定な化合物ですが、高温の火災により分解あるいは酸化し、亜鉛蒸気、硫黄蒸気、酸化亜鉛及び硫黄酸化物等を発生する可能性があります。

 塩酸、硝酸、硫酸等の酸に溶解し、この際に硫化水素を発生します。

 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。

 急性経口毒性は、ラットでLD50 2,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性は、ラットで1,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性は、ダストにおいてラットでLC50 1.21mg/L/4hrより大きく、皮膚腐食性は、ウサギで刺激性がなく、眼刺激性は軽度の刺激性であり、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。

 調査会においては、硫化亜鉛(II)を焼結した物質を劇物から除外することが適当であると判断いたしました。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ただいまの説明あるいは資料等について、何か質問、コメントございますでしょうか。

 どうぞ。

○遠藤委員 別添1の安定性・反応性の項に「塩酸、硝酸、硫酸等の酸に溶解し」という記載があるのですけれども、こちらは例えば塩酸でしたら、どの程度の濃度の酸で溶解するのか。低濃度のものでは溶解せず、硫化水素の発生はないと考えてよろしいでしょうか。

○川西部会長 どうでしょう。

○事務局 今、先生からお話がございましたように、どの程度の量というのは明確にはお答えが難しいのですけれども、硫化水素を発生するということなので、かなりの濃度だということになるかと思います。具体的な数値というところまでは。

○川西部会長 今の情報は、今日の結論に響きますか。

○遠藤委員 焼結した硫化亜鉛そのものが入手しにくい、流通状況は私、把握していないのですけれども、通常家庭で使用されるようなトイレ用の洗浄剤の濃度では発生しないということが明確にわかれば問題ないと思います。

○事務局 この物質についてですけれども、焼結したと付記されておりますように、流通の形態といたしましては、レンズとして焼き固めたものを除外することを検討しておりますので、一般家庭にそのものが出回ることは恐らくないのではないかと考えております。

○遠藤委員 結構です。

○川西部会長 これは素朴な疑問です。きちんと理解していないかもしれませんけれども、急性経口毒性とか急性経皮毒性とかをやっていますね。これは、焼結させる前の状態ということですね。

○事務局 実験につきましては、焼結したものを除外するということでしたので、意味があるのかわかりませんが、焼結したものをさらに粉砕して適用したということです。

○川西部会長 無理やり飲ませた。

○事務局 そうですね。また、焼結したものを砕いて粉末状として、経口あるいは経皮で適用したという実験を事業所の方ではしております。

○川西部会長 懸濁みたいな状態なのですかね。

○事務局 はい。

○宮川委員 今の点ですけれども、そうしますと、別添2の資料の「毒性(原体)」とある原体というのは、焼結したものを一旦粉砕処理をしたようなものについてという。

○事務局 そのとおりです。

○宮川委員 後々のために、資料はそれがわかるように書いておいていただくのがよろしいかと思いますのが1点と。

 それから、この場合は眼刺激性なしなので結構なのですけれども、ほかの物質について審議するときに、水に溶けない固体物質の眼に対する試験というのはなかなか難しいところがあって、一般の人に注意してもらうためだったら、化学的な作用がないものでも粉体が眼に入って傷つく場合が、粒子の形状とかサイズによってはあり得ると思うのですね。うまく細かくして、こういう試験をして影響なしということなら結構だと思うのですけれども、ほかの試験のときに、特に劇物指定のときに、物理的な作用によって眼に刺激が出てしまうようなところをどう考えるのか、その辺、厳密にとったほうがよろしいかと思いますので、しかるべきところで御検討いただくのがよろしいかと思います。

 それから、もう一点は、このページの最後の行のところに「ウサギの眼に対して、軽度刺激物(1~8の分類で区分1)」と書いてありますけれども、この「区分1」という言い方をすると、GHS分類での区分1と間違う人が出てくる可能性があると思いますので、「区分」という言葉をとって、「(1~8の分類で1)」と書いていただいたほうが、これだけぱっと出たときに誤解が少ないのかという気がいたします。

○川西部会長 今の御指摘に対して、事務局の方から何かございますか。

○事務局 今、御意見としていただきましたことを今後も考慮して検討したいと思います。

○川西部会長 第1点としては、そういう条件でやった試験の結果ですよということを、ここのコメントに資料として入れるという話。

 それから、もう一つは、そういう類の評価のときに一般的にそれでいいのかという話ですか。

○宮川委員 ですから、粉物の物理的な刺激による作用について、劇物指定のときにどう考えるのかというのをちょっと御検討いただかないと、一般的な注意としてGHS分類に基づいて眼刺激性に気をつけましょうというときと、ちょっと考え方を変えてもいいような気も私は個人的にはしておりますので、そこが検討課題かという気がしております。

○川西部会長 はい。

 三つ目が、この資料で「(1~8の分類で区分1)」じゃなくて、「(1~8の分類で1)」の方がいいのではないかということですね。

 2番目のことについては、どうですか。

○事務局 今の劇物の指定の話は、例えばGHS分類の1とか2のところをとって、毒性から見て規制の候補に挙がっている物質の毒性データから、私どもが指定するかどうかという審議をいただいているので、今のお話の物理的な作用による刺激性がどうかとか、粉体に関してのことを、どれだけこちらが遡及して調べられるかというのもありますので、またそれは調査をする際に注意しながら、その辺のところはチェックしていきたいと思っております。可能な限りになるかと思いますけれども、その辺の情報はさらに今後も取り組んでいきたいと思います。

○川西部会長 はい。

○城内委員 ちょっとわからなくなったのですけれども、焼結したものを外すというお話ですね。焼結したというのは、カメラ用レンズと書いていますけれども、物体になったというか、固まってしまったものは外すけれども、焼結する前の粉体みたいなものは外さないという意味でよろしいのでしょうか。そこがわからない。

○事務局 焼結した物質という言い方は、この場合、焼結という工程を経たものという意味になりますので、例えば原料の硫化亜鉛の焼結過程の前のものは、今後も変わらず劇物でございます。焼結の工程を経ることによって、もし審議、御了解いただければ、それを劇物から除くということでございます。

○城内委員 ということは、別添2にある「毒性(原体)」と書いてあるものは、焼結する前の値は違いますよということですね。

○事務局 違うかどうかは、こちらとしては確認をとっていないので、今回の数字は焼結した後の物質についてのみ、このデータをいただいていますので、それで御審議いただいております。それ以外の焼結する前工程のものについては、今回、審議のデータとしてはこちらの審議会にはかけておりませんので。

○城内委員 昭和40年に決めたときは包括的に決めたという理解でよろしいのですか。

○事務局 はい。こちらは、無機亜鉛塩類ということで、亜鉛を全て指定しているものでございます。

○川西部会長 どうぞ。

○平林委員 何度も確認になるのですけれども、そうしますと、別添1の原体は焼結前の原体であって、別添2の原体は焼結したものという理解でよろしゅうございますでしょうか。

○事務局 別添1の物理的化学的性質(原体)は、確かに劇物のままの記述になっておりますが、別添1の物理化学的性状につきましては、焼結後のものの物理化学的性状を提示しております。

○川西部会長 ほかに質問ございますか。

 幾つかコメントございました。宮川先生あるいは城内先生からの質問等々もございましたので、特に宮川先生がおっしゃった3点に関しては、少し考慮していただくということ、この資料に説明をつけ加えるということを前提に、焼結した塩化亜鉛の劇物からの除外について認めるということでいかがでしょうか。それはよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 幾つか条件が入っていますけれども、そういうことで劇物からの除外についてはお認めいただいたということにさせていただければと思います。ありがとうございます。

 それで、劇物毒物の個別の指定あるいは除外の議題はここで終わって、最後に議題8「毒物劇物の判定基準の改定について」ということが資料8でございますけれども、これについて、また事務局の方から説明をお願いします。

○事務局 資料8を御覧ください。「毒物劇物の判定基準の改定について(案)」です。今回、この基準の改定内容については、資料に沿って御説明したいと思います。

 

1.毒物劇物の判定基準の改定の内容について

 1)有効な動物実験代替法による知見の活用について

 毒物及び劇物取締法は、主として急性毒性等により毒物又は劇物に指定するなどの規制を行っており、指定に際し毒性評価を実施するに当たり、動物実験の知見を重要視してきた。しかしながら、近年では欧州を中心に動物愛護の観点から動物実験を廃止する動きがあり、国内でも動物実験を必要最小限に抑える方向にある。当該判定基準にも、動物実験を実施しない場合に動物実験代替法(以下「代替法」という。)による毒性評価を用いる考え方は既に取り込まれているが、具体的に有効な代替法の内容が十分に明確化されていないため、今般、毒物又は劇物の判定に用いることが出来る有効な代替法を例示し、当該判定基準に取り入れることにより、明確にする。

 また、例示した代替法を用いた知見については、毒物劇物の製剤の除外においても、活用可能とする。

 

となっております。

 動物実験代替法の検討については、毒物劇物調査会の栗原座長の御了解を得た後、調査会の高橋委員を中心に、国立医薬品食品衛生研究所の小島先生、前毒物劇物部会長の大野座長にも御参加いただき、今年度から取りまとめをしてまいりました。これから述べます例示の作成に当たっては、業界団体の御協力もいただきました。

 それでは、具体的に見ていきたいと思います。

 

(1)有効な代替法の例示について

 各急性毒性試験及び皮膚腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷について、有効な代替法を用いることが可能かどうかを検討し、また可能な場合はどの代替法を用いることができるか例示する。

  1. 急性経口毒性試験

 信頼性、有用性等の評価が確立した代替法は存在しない。ただし、現在、3T3細胞を用いたNeutral Red Uptake cytotoxicity assay(3T3NRU)(OECD GD 129)によりLD50 を予測する試験方法が、日本動物実験代替法評価センター(以下「JaCVAM」という。)で評価中であるため、その結論を以て代替法の導入を再度検討する。

  2. 急性経皮毒性試験

 経皮特異的な吸収性と毒性を有する物質について、信頼性、有用性等の評価が確立した代替法は存在しない。ただし、試験物質について皮膚腐食性( in vitro )が陽性の場合は、経皮特異的な吸収性と毒性を有すると想定されない限り、新たに急性経皮毒性試験を実施すべきではない。その場合は、経口投与又は吸入曝露による被検物質の毒性強度から毒物劇物としての判定が可能か考察する。

  3. 急性吸入毒性試験

    現在のところ、代替法は開発されていない。

  4. 皮膚腐食性

    以下に挙げる代替法は、皮膚腐食性物質を同定する試験として推奨される。

   ・OECD TG 430 in vitro 皮膚腐食性:経皮電気抵抗試験(TER)

   ・OECD TG 431 in vitro 皮膚腐食性:ヒト3次元培養表皮モデル *1

 ただし、皮膚刺激性については、上記腐食性の2試験は用いることができないため、動物実験の代替法として再現度を上げるならばOECD TG 439 in vitro 皮膚刺激性試験)の実施も考慮することができる。

  5. 眼等の粘膜に対する重篤な損傷

 以下に挙げる代替法は、眼腐食性物質及び強度刺激性物質を同定する試験として推奨される。

   ・OECD TG 437

   ・OECD TG 438

   ・OECD TG 460

   ・OECD TG 491

 

 2)その他既知見の活用について

 急性毒性等の毒性評価を実施するに当たり、毒物又は劇物の新規指定においては主に国立医薬品食品衛生研究所により、国内外の知見に関する文献収集と評価書の作成が実施されている。一方、事業者が提出する製剤の除外申請において既知見の試験データや有害性評価書等の文献を活用することについては、運用が明確でなかったところであり、毒物劇物の指定又は製剤の除外の効率化等のため、既知見の試験データや有害性評価書等の文献の活用方法を明確にする。

 

 それを受けまして、毒物劇物の判定基準の改正(案)について、上記1.1及び2)の事項を明確にするとともに所要の整備を行うため、「毒物劇物の判定基準」の改定案を別添のとおり作成いたしました。別添を御覧ください。

 今まで使っております毒物劇物の判定基準に下線部分を変更して御覧いただきますと、本文は大幅に変更しておりません。

 それで、先ほどの(1)有効な代替法の例示については、4ページの(3)その他の知見というところに「有効なin vitro試験」とあり、その内容を具体的に別添に示しております。

 これが先ほどお話しした内容になりますけれども、※1で「皮膚に対する作用は皮膚腐食性試験(TG 430TG431)と皮膚刺激性試験(TG439)の併用が推奨される。化学物質の皮膚腐食性又は皮膚刺激性が明確に分類され、皮膚刺激性を有するものと分類された場合は動物を用いた皮膚腐食性試験は不要であり、皮膚腐食性を有すると分類された場合は新たに急性経皮毒性試験は不要である。眼等の粘膜に対する作用は眼腐食性及び強度刺激性試験(TG 437TG 438TG 460TG 491)が推奨される。上記の in vitro 試験の実施に際しては、各試験の適用限界に留意が必要である。」と書かせていただいております。

 また4ページに戻りまして、2.毒物劇物の製剤の除外に関する考え方の4行目にただし書きがあって、今回、セレン化合物が対象となりますけれども、※2を見ていただきますと、毒物に判定された物の製剤は、原則として除外は行わないとしているのですが、用途、物質濃度、製品形態等から、保健衛生上の危害発生のおそれが考えられない場合は、例外的に除外している、としました。

 さらに、4ページに戻りまして、2.の(1)製剤について知見がある場合に※3が振られていて、国際機関や主要国等で作成され信頼性が認知されており、情報源を確認できる評価書等の知見が有る場合、当該知見を活用して製剤の除外を考慮しても差し支えない、としました。

 次に、5ページの一番上の(2)製剤について知見が無い場合に※4が振られていますけれども、試験の実施が技術的に困難な場合や、活用できる既知見が存在しない場合等に限られる、としました。

 このような形で、先ほども御説明させていただいたように、有効な動物実験代替法を例示したということが今回の判定基準の大きな骨子でございます。

 以上でございます。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ただいまの説明、あるいはこの改定についての案を含めて、まず何か質問ございますか。

 これは、ちょっとわかりにくいなと思うのは、この「毒物劇物の判定基準の改定について」という文書は、案が外れるとどういう形で外に出るものなのでしょうか。

○事務局 調査会の先生方から原案を御提案していただいて、調査会にお諮りして御審議いただきまして、これでいいでしょうということで、今回部会で、改定案の御審議いただいているという状況です。もしここで御了解いただければ、毒物劇物判定基準の改定になりますので、それについての何らかの通知を発出する形になると思います。

○川西部会長 通知を出すときには、別添の毒物劇物の判定基準()が出るのですか。

○事務局 そうです。

○川西部会長 その前の資料8は、判定基準()を作ったことに対する解説でしょうか。

○事務局 今回の案の前段のところは、この改定基準を改定にするに当たって、どのようなところを今回改定するのかという内容を取りまとめたものですので、実際にこれを周知するには、新たな毒物劇物の判定基準の通知を発出することになります。

○川西部会長 私自身が読んで、資料についてわかりにくいと思ったのは、例えば、「当該判定基準を取り入れることにより、明確にする」とか、「例示する」とか、「再度検討する」はいいですが、「判定が可能か考察する」というのは、「考察した」じゃないですか。

○事務局 そうです。結果です。

○川西部会長 ですから、資料8をそのまま読むと、何のための案の文章かとしばし考えた末、漸くこういうことかと理解できるといった、わかりにくい表現が散見されると思いました。

○化学物質対策室長 調査会と部会で御検討いただくための考え方を我々、今回お示ししていますので、通知発出のときはまた改めて文末とか、調整させていただきたいと思います。

○川西部会長 文章表現は少し検討していただくということ。最終的に公にするのは、判定基準のこちらの改定文ですね。資料8本体は判定基準の改定案の検討の報告ということですね。このままだと何のための文章かというのは、ちょっと疑問に思った点の一つです。

 ほかに先生方から。どうぞ。

○石塚委員 今の御指摘にもちょっと関係するのですけれども、1ページのLD50 の代替法で3T3細胞のセルバイアビリティーを見るという(1)の1.ですけれども、こちらは案がとれたときには、どういうふうになるのか、まだわからないのかと思っておりますので、恐らく検討された上で明記されることになると思うのですけれども、慎重にお願いできればと思っております。

○川西部会長 要するに、今回の案では、少なくとも急性経口毒性試験に関する代替法は提案しないと言っているのですね。検討中の試験法は代替法と言えるようなものではない。それを検討しているところですよと言っているのですが、語尾がこういう表現になっているから、そのあたり、正確につかみにくいところがあります。

○化学物質対策室長 今後の課題として書いているところと、今回、決まったところが明確になるようにしたいと思います。

○川西部会長 はい。ほかに。どうぞ。

○石塚委員 ちょっと細かい点ですけれども、5ページの※8「無毒の物質で希釈した場合を想定している」と書かれているのですが、毒性学的に無毒の物質というのがどうしても引っかかってしまいます。表現を考えていただけましたら。よろしくお願いします。多分、引っかかるのは毒性関係者だけではないかと思いますけれども、よろしくお願いします。

○川西部会長 これ、どう表現するか。今日は、この場の審議はこれで行きましょうということを認める。年に一度ぐらいの会議ですから、そこぐらいまでは持っていきたいと思います。何と言ったらいいでしょうか。

○石塚委員 全ての物質は毒であるというのが毒性学の基本になるので、毒性の低いと言ってもちょっと誤解を生じそうなので。

○川西部会長 毒性に影響しない物質でも、またちょっと違った意味になりますね。

○石塚委員 刺激性のない物質。これは、意図としては、刺激性がないだけではない、毒性も。

○川西部会長 関係しているだろうと思いますね。なかなか難しいですね。

○事務局 意図しているところは、水であるとか、例えば今回の除外試験でありますと、大豆油とかコーン油とかで希釈した場合を想定しています。

 ※8は、アンダーラインを引いておりませんので、従前からこの表現でやってきておりまして、「無毒の」というところを何か適切な表現があれば。

○石塚委員 今、遠藤先生からもお話いただいたのですけれども、ほかのところで「無害の物質(水など)」と書いてある。5番に書いてあるような表現はいかがでしょうか。

○事務局 ※5に合わせて、「無毒の物質(例えば水)で希釈すれば」。こちらの「無毒の」という表現じゃなくて、「無害の」という表現ではいかがでしょうか。「無害の物質(例えば水)」。

○川西部会長 気分の問題みたいなものもあるから。

○石塚委員 「(例えば水)」と書かれてあれば。

○安藤委員 「判定に影響のない物質」というのはどうでしょうか。

○事務局 「判定に影響のない物質(例えば水)」という例示も含めたほうがよろしいでしょうか。

○川西部会長 そうしましょうか。

○事務局 では、「無毒の物質」と書いてあるところにつきましては、全て「判定に影響のない物質(例えば水)」という記述に変更するということでよろしいでしょうか。具体的には、※5と※6と※8で「無毒の物質」という表現があるようですので、そちらを変更することになるかと思います。

○川西部会長 もともと言いたいことと、ちょっと別の意味になりますね。でも、それはそれで、とりあえずそういうふうに変えるということで。

 それ以外はいかがでしょうか。どうぞ。

○山口委員 すみません、ほかの委員の方と少々違う観点から発言させていただきます。私は救命センターに勤務しておりますので、委員の先生方が恐らく想像もつかないような曝露のされ方とか、使用のし方で中毒を起こした患者さんを治療している現場からの意見でございます。特にこれまでの議論に異を挟むものではありませんが、動物実験を必要最小限にするという世界的な傾向については了解可能ですが、臨床の現場で、実際にそういう事件・事故に巻き込まれた患者さんを扱う上においては、このLD50 という数字は非常に有用であることを知っていただきたいという主旨でございます。

 毒性学会でも発表させていただきましたが、中毒事例において服用した薬物や毒物のLD50 に対する比率をみてみますと、その比率と患者の重症度は極めてよく相関します。

例えば、意識のレベルとか、人工呼吸器につながなければいけないかどうかとか、ICUにどのぐらいの期間入らなければいけないか、さらに、筋肉が溶ける高ミオグロビン血症というような病態や誤嚥性の肺炎を合併するか、などです。従いまして、薬物・毒物中毒の臨床現場では、LD50 を重要な指標のひとつにして治療を組み立てているという現状があります。また、臨床現場でこういうものを飲んだとか、こういうものに曝露されたという情報を得たときには、対象の薬物や毒物のLD50 の値を見て、その物質がどのぐらい危険なものなのかを大まかに推測しているという状況もあります。

 このような観点から、臨床現場ではこのLD50 は容易には捨てがたい、たいへん意味のある値であることをコメントさせていただきたく発言をさせていただきました。

○川西部会長 ありがとうございます。

 今回のこの範囲でいくと、毒物劇物の判定がついてしまうと、LD50 をやらなくていいという話になってくるのかといえば、今のところはなりませんね。皮膚に対する刺激性の試験などは動物ではやらなくなる。その結果によっては急性経皮毒性試験はやらない場合が出てくる。

○事務局 皮膚腐食性で著しい腐食性があるような場合は、経皮適用が動物愛護の観点から難しいということになろうかと思いますので、そういった皮膚腐食性のある物質については、適用しない場合も今後出てくるかと思います。

○川西部会長 数値が出なくても、毒物劇物の判定は行うという物質が出てくるということですね。ただ、経口の方のLD50 は、今のところ、この案だと数値は出すということになるのですね。

○事務局 そのとおりです。経口のLD50 と吸入についても代替可能な毒性試験については、今回、例示しておりませんので、例えばそういったデータを出していただいて、毒物に該当しないことをもって除外することになるかと思います。

○川西部会長 いずれにしても、貴重な御意見ありがとうございます。結局、一方で動物愛護という立場の人たちの、急性経口毒性試験は一体どれだけ役に立っているのという批判はありますし、化粧品はそういう話になっておりますけれども、化学物質の毒劇物の判定に関しては、簡単になくなることはすぐには想定されにくいですね。

○事務局 今回の判定基準の改定についても、このような条件での代替法を一つ受け入れられることを明示するということで、決して動物実験をするなとか、そういった判断を示すものではございませんので、調査会の審議のデータとして受け入れることができますよという、これまで不明瞭であったところを明確化したという整理でございます。

○川西部会長 ありがとうございます。どうぞ。

○栗原部会長代理 今の代替法の話ですけれども、これは時代の流れで、進めていかなければいけないことはあると思う。ただし、最初に導入するとすれば、除外のときに使う。ですから、すごく毒性の高いものに関して、それに変えていくということは、今の時点では考えていなくて、除外するときにこれが使えないかと考えております。

○川西部会長 私が理解している限りだと、この判定基準案では、 in vivo の試験はやらないですますための in vitro 細胞試験の採用という導入の仕方ですね。それで動物の数は減らせるという。

○栗原部会長代理 除外のときは毒性がないということを示すためなので、そのときに使っていけないかということだと思います。

○川西部会長 特に化学物質の場合は皮膚の毒性等はそういう流れになっているし、化粧品は完全にそういう流れであるのは事実なのですが、それ以外の安全性試験というのはどうなのということは、いろいろなこれからのせめぎ合いというか、それが続くのかと、私は感じているところです。

 ほかに、これに関してはいかがでしょうか。先ほどご指摘いただいた「無毒の物質」というところは変える。それから、1ページ、2ページに関しては、わかりやすい説明になるように少し修文していただくことが条件になると思いますけれども、重要なのは、別添の「毒物劇物の判定基準(案)」がこれから実際にどのように使われるかということかと思います。※印が主な修正点ですが、私自身の理解では、これは過渡的な措置かと思えますが、内容的にはいかがですか。

 挙げられているOECDのガイダンスそれぞれを知っていないと、一個一個のTG 437438と書かれても、それでいいですとはなかなか言えない部分もあるかもしれませんが、その辺は御検討いただいた、国立衛研の方が多いと思いますけれども、JaCVAM等々の関係で代替法を主に扱っている人たちが国際状況も見据えた上で、今の時代だとこういうところだということで整理されたのかと思いますが、いかがですか。特に「毒物劇物の判定基準(案)」に問題ありということがあれば、今、仰っていただいたほうがいいと思いますけれども、よろしいですか。はい。

○審議官 1点だけ、この改定の考え方の、何を除外し、何をやるとするのかという考え方については、これは国立衛研の専門家の先生方がお詳しい話だと思いますが、私どもの役所側の理解として、例えば(1)の2.の急性経皮毒性試験の書き方、考え方を御覧いただきますと、今回、考えようとしているのは、皮膚の腐食性があるようなものは、そもそもそれによって動物の皮膚が傷害されて、多分まともな評価ができない。そういうケースは、基本的にそんなことをやって動物を苦しめることはやめましょう。

 科学的に意味のあるデータがある、あるいは意味のあるデータをとる必要がある、例えば経口や吸入よりも経皮吸収が特に強くて、それによって危険な毒性があらわれることが疑われるという場合だったら、それであっても動物実験で評価したほうがいいという考え方がここにはうかがえると思うのです。そういう意味で、科学的に意味のあるような場合においては、その毒性試験を動物でやることを排除していなくて、ただ、無意味に動物を苦しめるような格好になるということが歴然と想定される場合はやめましょうという考え方がここにもあらわれていると思います。

 そうしたところを慎重に検討しながら、動物代替法を取り入れていくという考え方でまとめていただいているように理解しておりますので、そのことを先生方も御理解いただければなと思います。こうしたことを進めていくことが世界的には潮流でありますけれども、肝心な人での安全性の評価ができなくなってしまう、あるいは曖昧なままにしてしまうというのは、まさしく臨床の現場でお困りになるような話も想定されるということですので、慎重に。だけれども、世界の潮流ときちんと整合しながら改正していくということで進めてまいりたいと考えておりますので、ちょっと補足させていただきました。

○川西部会長 ありがとうございます。

 これは、今の段階でも、解説文とともに、順番にこういうことをやってくださいというような図があると、わかりやすいなと思います。試験法を全部理解するのは意外と大変ですね。頭の中を整理しながら、こっちが優先だと。今、審議官がおっしゃったような、腐食性とか刺激性がものすごく強かったら、こっちに立ち戻ってやる必要はないということが全体をよく読まないと見えてこないから、書き方がわかりにくいなとは個人的には思っているのですけれども、今後、どこかで解説も出るでしょう。

 ほかに何か今、コメントしておきたいということ、こういうふうにしたらということはございますか。特にないようでしたら、とりあえず1ページ、2ページに関しては、表現は少し御検討いただくという条件。それから、毒物劇物の判定基準、別添の最後、「無毒の物質」というところが「無害の物質(例えば水)」という表現に。違う、さっき何でしたか。

○平林委員 「判定に影響のない物質」。

○川西部会長 「判定に影響のない物質(例えば水)」という表現にしましょうということで、その条件でお認めいただいたということでよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○川西部会長 では、この改定についてという方向と、特に判定基準()の方の文章はそれでお認めいただいたということに、今日の部会の結論とさせていただきたいと思います。

 以上で議事次第に上がっていた審議事項は一通り終わりましたけれども、それに続いて「その他」のところで、事務局は「その他」は何かございますか。

○事務局 当日配布資料3を御覧ください。「平成29年度以降の毒物及び劇物指定のためのGHS分類で健康に対する有害性が区分1~3及び危険物輸送に関する国連勧告で毒物又は腐食性物質である物質」ということで、毒物及び劇物指定候補物質を、このような条件のもとでリストを御提示させていただいております。これは、前回の毒物劇物部会でも提示させていただいて、今回、2-ターシヤリ-ブチルフエノールが審議されておりますので、この候補物質のリストから除かれているという状況です。いわゆる毒物及び劇物指定のための候補物質ということで、リストを準備させていただいております。

 これらの物質がまたこのような形で審議されるかと思います。

 以上です。

○川西部会長 ありがとうございます。

 ただいまの説明について、質問、コメントございますか。

 では、特にないようでしたら、以上で本日の議題は一通り終わりました。

 それ以外で、委員の先生方から何か言っておきたいということ、今、ございますでしょうか。特にないですか。

 では、事務局から何か追加でございますか。

○事務局 本日、御審議、御決議いただきました物質につきましては、次回の薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告させていただきます。

 また、本日の議事録につきましては、事務局において取りまとめをした後、先生方に御確認いただき、公開の手続を進めますので、よろしくお願いします。

○川西部会長 ありがとうございます。

 本日、私がまだ慣れていないので、いろいろ不手際、お詫びします。年に一度ですから、慣れるものかどうかよくわかりませんが、次回はもう少しスムーズにできたらと思います。

 本当に御協力ありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室 室長補佐 日田(内線2910)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(毒物劇物部会)> 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録(2017年2月21日)

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