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2016年4月12日 歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ(第5回)

医政局歯科保健課

○日時

平成28年4月12日(火)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第9会議室(19階)


○議題

1、論点整理について
2、その他

○議事

○和田歯科保健課課長補佐
 ただいまより、歯科医師の資質向上等に関する検討会歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ
( 5 ) を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。まず、構成員の出欠状況ですが、本日は全員御出席いただいております。なお、構成員に変更がありましたので御報告いたします。柳川構成員です。


○柳川構成員
 日本歯科医師会副会長の柳川でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。


○和田歯科保健課課長補佐
 小玉構成員です。


○小玉構成員
 日本歯科医師会の総務担当常務理事を拝命しました小玉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


○和田歯科保健課課長補佐
 また、本ワーキンググループでは、オブザーバーとして文部科学省医学教育課の寺門課長に御出席いただいております。

 なお、 4 1 日付けで事務局に異動がありましたので、御報告いたします。田口歯科保健課長です。


○田口歯科保健課長
 4 1 日付けで歯科保健課長を拝命しました田口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


○和田歯科保健課課長補佐
 今回のワーキンググループについては公開となっておりますが、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、構成員名簿、そのほか資料は 1 から 3 、また参考資料は 1 から 3 までをお配りしております。乱丁・落丁などありましたら事務局までお知らせいただければと思います。以降の進行につきまして、森田座長、よろしくお願いいたします。


○森田座長
 皆様、こんにちは。このワーキンググループも、いよいよ
5 回ということで、取りまとめの段階に入ってきたかと思いますので、どうぞ本日も御審議のほどよろしくお願いいたします。なお、本日は 17 時スタートで 19 時まで予定されておりますが、議論が尽きたところで早めに終わらせることもあり得るかと思いますので、迅速な御審議に御協力いただければ幸いです。

 早速ですが、議事に入らせていただきます。事務局から資料を用意していただいておりますので、説明をお願いします。論点整理と関連資料については資料 1 を、また先月報告された歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書や国家試験の合格状況等の資料については、資料 2 に基づき御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。


○和田歯科保健課課長補佐
 私のほうから資料
1 を、後ほど試験専門官の青木より資料 2 について説明いたします。資料 1 については、「歯科医師の需給問題に関する論点整理 ( ) 」です。資料 1 については、これまでのワーキンググループでも何度かお示ししておりますが、各構成員の発言を基に、論点整理としてまとめたものです。なお、中ほどにアンダーラインを付してある箇所が何か所かありますが、こちらは前回、第 4 回目に御発言のあった内容を追記しております。この点を中心に簡単に説明いたします。

1 ページ目です。 (1) 歯科医療を取り巻く状況を踏まえた対応についての中で、 1)-2 「各分野の需要について」の下から 2 つ目と一番下ですが、「予防処置や基礎疾患を有する者への訪問診療という形で需要が変化しており、供給によって需要が変わってくるという側面も非常に強い」という御発言。また、「多様化する患者ニーズは供給とリンクしており、新しい治療等が目に触れるようになって誘導される需要も非常に多くなっており、純然たる需要を算出することは困難」という要点を追加しております。

2 ページ目の中ほど、 2)-2 「歯科医療の提供体制や診療形態等について」です。この項目の一番下ですが、「歯科は医科と異なり、歯科大学や附属病院が地域に偏在しており、卒後臨床研修を終わった後の教育の場が非常に限定されている。歯科医療も高度化されており、これまでの歯科医療の提供体制とは異なる形を考えていく必要がある」という論点を追加しております。

2)-3 「歯科医師の養成・確保について」です。こちらは一番下、下から 2 つ目の所を追記しておりますが、「 18 歳人口が減少する中で入学定員が削減されていない状況は極端に言えば間口が広がっていると考えられる。長期トレンドでみた場合に人口減少は念頭に置かなければならない」。「入学定員については、大学によっては、最低修業年限合格率が 50 %を切っている現状を考慮して考えなければいけない。また、入学定員を考えるパラメータとして、病院が学生に配当する患者をどれだけ確保しているかで評価するということなども考えられる」という論点を追加しております。

3 ページの中ほどから下段にかけて、 2)-4 「需給推計について」です。下から 3 つ目の項目ですが、「推計に大きな影響を与える歯科診療所に従事する歯科医師 1 1 日あたりの患者数については、単一データだけでなく NDB 等の幾つかのデータも勘案すべき」という論点を追加しておりますが、この点については後ほど日本歯科医師会より資料 3 に基づいて御説明いただくこととしております。

4 ページ目、 5 ページ目にかけてです。 4 ページ目の一番下の項目、 (4) その他、他職種や他分野での需給に関する取組等についてです。 5 ページ、「法科大学院の補助金に関しては合格率だけで判断しているわけではなく、優れた取組をしているか、実務に即した教育を行っているか等の観点からも評価している」ということ。以上、簡単ではありますが、前回、第 4 回目の発言を踏まえて追記した論点を中心に説明しました。資料 1 については以上です。


○青木試験専門官 
 引き続きまして、国家試験を担当しております私から
4 年に一度開催しております歯科医師国家試験制度改善検討部会の報告書、また、累積合格率に関する資料について説明いたします。資料 2-1 の「歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書」の 1 ページ目です。この報告書の内容については、かいつまんで本歯科医師の需給問題に関するワーキンググループに関係する内容にフォーカスを当てて説明いたします。まず、歯科医師国家試験についてです。 1 ページ目の2「歯科医師国家試験について」の 1 (1) 出題基準について、少し触れさせていただきます。国家試験については、出題基準に準拠して出題されております。今回のワーキンググループで歯科医療の需要等について予想いただいた箇所もありますので、そういった内容も踏まえて、今回の歯科医師国家試験制度改検討部会で、どういった項目を出題基準として充実を図るかということについて、報告書としてまとめました。

 今回、報告書としては 4 つの項目があげられております。 1 つ目が高齢化等による疾病構造の変化に伴う歯科診療の変化に関する内容です。 2 つ目として、地域包括ケアシステムの推進や多職種連携等に関する内容です。 3 点目として、口腔機能の維持向上や摂食機能障害への歯科診療に関する内容です。 4 つ目として、医療安全やショック時の対応、職業倫理等に関する内容です。今回の報告書では、これらの項目の充実を図るとされております。

2 ページ目の (2) 出題内容についてです。歯科医師国家試験については、先ほどの出題基準を踏まえて、歯科医師試験委員が作成しておりますが、その内容については、指導歯科医の下で診療に従事するのに必要な知識及び技能を問う水準とすべきであり、引き続き出題内容の検討を十分に行うとされております。次のパラグラフですが、先進的であるものや限られた歯科大学・歯学部でしか教育されていないものを国家試験に出題することは適当ではないというものの、歯科医師として必要な内容については、大半の歯科大学・歯学部で教育されていることを前提に国家試験で問う必要があると、報告書としてまとめられております。次の出題方法等については省略いたします。

3 ページ目の 3 「合格基準」についてです。現在の歯科医師国家試験の合格基準については、必修問題の得点、一般問題及び臨床実地問題の出題領域に応じた領域別の得点、禁忌肢選択数及び必要最低点という複数の基準から構成されております。一般問題及び臨床実地問題については、問題の難易度による合格状況の大きな変動を防ぎ、一定の知識及び技能を有する受験者が基準を満たせるように、平均点と標準偏差を用いた相対基準で評価を行っております。

 今回の制度改善検討部会の報告書の中では、 1 つ目の必修問題と 2 つ目の一般問題及び臨床実地の問題については、現状を引き続き継続するという内容となっています。変更があるのが 3 つ目の禁忌肢の選択数についてです。結論としては、 4 ページ目の 2 つ目のパラグラフですが、慎重に検討を行った結果、禁忌肢を含む問題については出題を行わないこととなりました。ただし、これまで禁忌肢を含む問題で出題されてきた患者に対して重大な障害を与える治療であるとか手技、ショック時等の緊急時における誤った対応、法律に抵触する行為、職業倫理に反する行為等に関する内容は、安心・安全な歯科医療を提供する上で必要な知識であるということから、今後も内容を充実させた上で、引き続き出題を行うとされております。

 また、 4 つ目の必要最低点については、歯科医師国家試験の領域を構成するグループ別に、必ず得点をしなければならない最低点というもので、いわゆる足切りの点数です。こちらについては、他の合格基準で歯科医師として必要な知識及び技能については確保されており、今後はこの基準の運用は行わないこととするとされております。

 次のその他です。今回、 2 つの合格基準について見直しを行っておりますが、禁忌肢選択数や必要最低点は、国家試験の合格状況に与える状況は非常に少ないということもありますので、今回の見直しにより歯科医師国家試験の合格状況が大きく変化することは予想されておりません。

4 ページ目の下、3の「多数回受験者への対応について」です。対応方法については、受験回数制限であるとか、卒後一定期間経過をしている受験者に対して、臨床に関する試験を実施する方法であるとか、複数の方法について検討を行いました。一定数の多数回受験者がいることを踏まえると、緊急性を要する課題であるということはありますが、導入する際には検討すべき事項がまだまだあり、引き続き検討を行うとされております。しかしながら、 4 年後ということになりますが、次回の議論の際に一定の結論を出せるように、厚生労働科学研究等を活用して、様々な立場の意見を踏まえてデータを蓄積する必要があるとされております。

 また、合格発表の際には、後ほど紹介させていただきますが、卒業年次別の受験者数・合格者数・合格率の公表を行っておりますが、この内容について多数回受験者への対応の検討に資する内容にすべきであり、また、これらの情報は厚生労働省のホームページに掲載するなど、関係者が容易にアクセスできる環境を整える必要があるというような御提言も頂きました。

3 つ目のパラグラフですが、多数回受験者であっても、歯科医師国家試験合格後は歯科医師臨床研修を実施する必要がありますので、歯科医師臨床研修が円滑に実施できるよう、継続的な臨床技能の研鑽が行われることに期待をするということで、この項目がまとめられております。

 最後に 6 ページ目の7「おわりに」です。今回、様々御提言いただきました内容の適用時期については、医道審議会歯科医師分科会の意見を踏まえて、可能な事項については早期に改善を行い、出題基準の改定状況を踏まえつつ、第 111 回歯科医師国家試験、平成 30 年の試験からの運用を目指して改善すべきであるということで、この報告書を基に、私どもとしては国家試験の改善をさせていただきたいと考えております。

 続きまして、資料 2-2 1 ページ目です。これは前々回ですが、第 108 回歯科医師国家試験の卒業年次別の受験者数・合格者数・合格率です。左側から卒業年次ということで、どの期間に卒業された方で、その方の受験可能回数。受験可能回数というのは、これまでに何回、最大で歯科医師国家試験を受験する機会があったかというものです。基本的には受験可能回数の回数だけ、歯科医師国家試験を受験されていることかと思っております。それぞれ受験者数、そして合格者数・合格率の表です。こちらは国家試験の合格発表をした後、プレスリリースということで公表を行っている資料です。今回 108 回歯科医師国家試験の内容をお示ししておりますが、この 108 回に限らずほかの回でも同様で、受験可能回数が増えるごとに合格率は低くなる傾向にあります。

2 ページ目です。こちらの資料は 108 回、平成 27 年に実施した試験の歯科医師国家試験の受験願書の情報を基に、入学状況や国家試験の合格状況が同一であったという条件下で分析を行った資料です。その分析の結果が下線で引いた箇所ですが、歯学部入学後 9 年以内に歯科医師国家試験に合格した者の割合は、全ての歯学部の合算で 70 %ほどでした。

 分析の方法について説明いたします。 2 ページ目の資料の下ですが、累積の合格率の算出を行う場合、ある特定の入学時期の学生の追跡を行った上で、最終的に国家試験の合格に至った人数を調査する必要があります。しかしながら、国家試験の受験願書の情報では全ての情報を把握することが困難ですので、今回の分析については入学定員であるとか、入学者数、国家試験の合格状況が同一であるという条件下で分析を行いました。また、編入等で歯学部の在籍期間が 6 年未満の受験者については、分析の対象から除いております。

 この表の中の 6 年間の受験者というのは、歯学部に 6 年間在籍して、すぐにその年の歯科医師国家試験で合格した方です。また、 7 年間という方の中には、 6 年間で歯学部を卒業し、 1 年間の期間を経て国家試験に合格をした方と、 7 年間、歯学部に在籍をして、その年の国家試験で合格した方が含まれております。それらの 6 年間、 7 年間、 8 年間、 9 年間の受験者を合計して、先ほどの条件下で分析を行った結果が 70 %という結果でした。

 同じような分析方法で、 3 ページ目については国公立大学と私立大学に分けて、資料を用意しました。国公立大学では、 9 年間の累積としては 83 %ほどでした。また、私立大学では 66 %という結果でした。

 最後に 4 ページ目です。先ほどの第 108 回歯科医師国家試験の合格状況の内訳です。最初に表の見方について説明いたします。合計年数 6 年という方については、先ほどと同様に歯学部に 6 年間在籍して、その年に国家試験に合格した方ということです。 7 年という方の中には、歯学部の在学期間が 6 プラス 1 年ということで合計 7 年の方と、在学期間が 6 年間で、 1 年間の期間を経て国家試験に合格した方が含まれております。 8 年間、 9 年間についても同様で、それぞれの年数について分析を行っております。

 文章に移りますが、歯科医師国家試験の合格に至る合計年数が仮に同じであったとしても、歯学部の在学期間が短い受験者のほうが国家試験の合格率は高いという傾向にあります。どういうことかと申しますと、例えば 7 年間の受験者というのは、 6 年間で歯学部を卒業し、 1 年間の期間を経て国家試験に合格した者と、 7 年間で歯学部を卒業し、その年の国家試験で合格した者の両者が含まれております。 6 年間で歯学部を卒業し、 1 年間の期間を経て国家試験に合格した方が 75 %の合格率でしたが、歯学部の在籍期間が 6 プラス 1 ということで、 7 年間で卒業した方については最終的な合格率は 55 %ほどということで、在学期間が短い 6 年間であるなどの方のほうが、 7 年、 8 年、 9 年、それぞれ見ても、おおむね最終的な合格率が高いという傾向にあるかというように分析を行っております。私のほうからは以上です。


○森田座長
 意見交換に入る前に、日本歯科医師会より資料が提出されておりますので、日本歯科医師会の柳川委員より御説明をお願いいたします。


○柳川構成員
 右肩、資料
3 番ですが、本日付けの日本歯科医師会の考え方を簡単に 4 点示してあります。 1 点目ですが、人口 10 万対 50 名という歯科医師数の国の目標を踏まえると、もう現在 80 に及んでおりますので、現状において歯科医師数が過剰であるという私どもの認識は変わっておりません。ただし、供給体制ということであれば、ただいま御説明があった国家試験の件とか、あるいは需要という面であれば、超高齢化社会の中の在宅歯科医療等に、まだ十分応えきれていないという状況がありますので、こういった場で改めて歯科医師の需給について検討することは必要ですし、かつ大変意義深いと考えております。

2 つ目の○ですが、当ワーキンググループで、構成員の安藤先生から需給推計に関わる資料が提出され、議論されてきたということです。これについては、過去の厚生科研の推計方法を踏襲しているということも私どもは理解しておりますが、それによると来年にも既に需給バランスでいうと、需要が供給を上回るということが一部示されておりますが、歯科医療の現場の認識、実感から申し上げますと、歯科の患者さんがあふれて、待機状態だということは決してありません。例えばこれは別の調査ですが、確か歯科 1 診療所の平均で、患者さんが 1 人もいないという状況の時間帯が 1 時間前後あるということも伺ったことがあります。

3 番目の○ですが、現状の需給推計については、特に需要の部分をしっかり調査としてまとめるのは、なかなか難しいわけですが、今回、安藤先生が推計に用いた歯科診療所に従事する歯科医師 1 1 日当たりの患者数ということは、 1 名違うだけでも必要歯科医師数に大きな影響が出ることから、特に慎重な御対応をお願いしたいと思います。

 一番下の○ですが、そこで日本歯科医師会としては、 1 番目として直近のレセプト情報・特定健診等情報データベース、 NDB を活用し、最終的に「歯科医師の資質向上等に関する検討会」において、必要歯科医師数の考え方が議論されることを要望いたします。また、 2 つ目ですが、日本歯科医師会が 2 年ごとに実施している歯科医業経営実態調査を用いた試算にした場合の数値についても、参考までに提示させていただきます。

 めくっていただくと、上のほうが昨年の中医協 5 月の NDB 、その際に 5 月に実際どのぐらい歯科医師数を勘案して、常勤歯科医師数等を勘案して、歯科医師 1 人当たりの 1 日当たり患者数を算出しますと 16.5 名になります。また、その下の日歯が隔年行っている歯科医業経営実態調査、分析方法は下のとおりですが、これを用いると 17.4 というように、かなり離れた数字が出るという実態があります。以上です。


○森田座長
 ありがとうございました。それではこれから意見交換に入ります。これまでの御説明を踏まえて、論点整理の順番に沿って大きく
2 つのパーツに分けて意見交換を行っていきたいと思います。まずは資料 1 で「論点整理」というペーパーですが、この (1) に相当する部分で、 1 ページから 4 ページの中段まで、歯科医療の需要や供給、歯科医師の養成・確保、需給推計の部分を始めに議論しまして、残った時間で 4 5 ページの (2) から (4) についての意見交換を行いたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、資料 1 について、 (1) ですが、 1 ページから 4 ページの中段にかけて、歯科医療の需要や供給、歯科医師の養成・確保、需給推計について御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。


○安藤構成員
 まず柳川先生がおっしゃったデータに関して少し補足させていただいて、あとは全体としてこの推計結果をどう見たらよいかというお話をさせていただきたいと思います。

 今、柳川先生からお話があった数値は、実は患者調査で私が行ったデータでも、算術平均というものを用いると 17.3 人という数字ですので、それほど大きな差はないと理解しています。ただ、分布の形状を見ると裾野が多いほうに偏っている分布ですので、算術平均よりは幾何平均を用いたほうがよいのではないかということで、そちらの値として 14.1 人という値を用いております。ただ、これはどれが正しくて、どれが正しくないかというのも、かなり微妙な差を見ているということもありますので、やはり、柳川先生がおっしゃった、これが実態を正確に表していないというところは、私も理解しておりますので、むしろ、かつて行ってきた推計の結果、需給の差がどんどん縮まっているというところをどう捉えるかということが一番重要なのではないかと思っています。

 加えて、歯科医師の分布を見てみると、特に男性と女性で全く年齢分布が異なっていまして、男性では非常に不安定なピラミッド構造、壺型の構造をしており、あと 10 年ぐらいすると歯科医師がかなり大量に引退をします。今でも医療施設動態調査では、歯科医院の開院数と閉院数がほぼ等しいといった状況になってきていますので、そうなってくると、地域によっては歯科医師が足りない所も出てこないとも限らないということです。ですので、過剰一辺倒で議論をしてきた経緯でいいのかどうかというところが、私が一番申し上げたい点です。

 それに関連して、女性歯科医師の問題を併せて考える必要もあります。女性歯科医師のワーキンググループで議論をしている内容をどうこうと申し上げるつもりはないのですが、いわゆる「女性の問題」という捉え方で議論されたきらいがあるように思えますが、それに加えて「需給」の観点からみる必要があります。女性の場合、多くは勤務医なのです。それが、 10 年後ぐらいから一人開業で行っている世代の方が大量に辞めて供給体制の転換が起きたとき、女性がどう働くかという問題が非常に大きなウエイトを占めます。これは女性の問題だけでなく若い男性の問題でもあるのです。若い男性は、例えば 40 歳ぐらいをみると、かつての我々ぐらいの世代ではほとんど開業していました。それが今、開業管理者というのは激減していて勤務者が増えているのです。そういう構造の転換が起きますので、そういうなかで女性の働き方の問題というものも考える必要があるのではないかと思っております。

 私の行った推計の中で、女性の働く時間は× 0.9 という数字を用いたのですが、これは実は余りデータがないのが実状です。実際にはこれよりはもっと低いのではないかというような調査もありますが、ローカルな調査ですので、それを全国推計で用いることはできず、今まで使ったものをそのまま使うことにしたわけです。

 では、これをどう解決したらよいかということで具体案があるのですが、医師・歯科医師・薬剤師調査という 2 年に一度行っている届出に、今、働いているかどうかという内容と、週何時間ぐらい働いているかといった比較的簡易な項目を入れるだけでも、随分状況が分かるのではないかと思います。それ以上のことまで調べると分量が増えて大変なのかもしれませんが、そういったことは、今後御検討いただいてもいいのではないかと思っておりますので、 1 つ提案という形で意見させていただきます。


○高梨構成員
 意見というよりは、これまでの議論の流れを踏まえて私の理解するところを申し上げたいのですが。需給に関しては、森田座長からも度々御指摘がありますとおり、人口動態がベースにあるのは絶対否定できなくて、そこが重要な判断材料になるということは疑う余地はないところだと思います。

 他方、需要というものは、これまで議論してきたところ、歯科医師がどう在るのかとか、国民にとって歯科医師はどういうニーズがあるのかという観点から決定される要素が多くて、それについては、西原先生が度々御指摘なさっているとおり、国民のニーズを勘案しながら、プロフェッショナルオートノミーに基づいて歯科医師が、今後の歯科医師がどう在るべきなのかということを検討しないと、本当の需要は出てこないのではないかという、 2 つの要素で考えていくというのが、多分これまでの議論ではないかというのが私の理解です。

 そういった意味で申し上げると、大変申し訳ないのですが、今回出されたペーパーは、歯科医師はどう在るべきなのかという議論が余り入っていないような印象を受けますので、その点も考えながら、この歯科医師会に出していただいたデータを考慮材料にしたほうがいいのではないかと思います。


○柳川構成員
 最初の安藤先生の御指摘ですが、私どもは先ほど見解として提出させていただきましたが、最終的な報告書に私どものこういった数値もありますということは御提示いただきたいと思います。

 ただ、安藤先生と同じく、私も先ほど少し触れた、今は在宅歯科医療についてどのくらいの歯科医師がニーズに応えているかとか、多職種の連携が地域でどのくらいできているか、あるいは女性の稼働率というような問題はほとんど認識は先生と同じです。

 それから、今、提供体制をどうするかと。確かに歯科医療の提供体制の在り方なしに需給問題は語れないわけで、そもそも歯科で申し上げると各世代でう蝕が減って、なおかつ歯周疾患の罹患率は高い。あるいは、先ほど申し上げたような高齢者に対する超高齢化を背景とした在宅歯科医療や、入院患者さんに対する周術期、手術の前後の口腔管理など、社会ニーズに関する課題はたくさんあります。これらをただ、将来的に数値として推計していくというのはなかなか困難だと思いますので、そういったところで需要の数字や質の変化に我々がどういう対応をしていくかということが大問題だと思っています。ですから、在宅歯科や地域包括ケアへの参画の在り方、あるいは、それについては当然ですが、歯学教育から臨床研修、生涯研修にわたる歯科医師養成の在り方にも関わりますし、我々歯科医師が地域医療ネットワークや連携にどうやって関わって、どういう役割を果たすかということを併せて十分に考えて議論を深めるべきと考えております。

 もう 1 点は、需給推計について、数字の話だけになってしまって恐縮なのですが、私どもでちょうど 10 年ぐらい前、平成 15 年から平成 17 年にわたって、日本総合研究所と一緒に歯科医療経営の将来予測をする中で、社会保障統計年報の数字を用いたことがあります。これは森田先生は中医協でお詳しいのですが、つまり、総件数を総患者数に見立てて、それから歯科医師数、あるいは稼働日数で割ると、当時は例えば患者調査の数字と 2 割か 25 %ぐらい乖離がありました。私どもはどちらかというと、そういった社会保障統計年報の方がむしろ実態に近いということがあり、先ほど報告を申し忘れましたので併せて今、申し上げます。ありがとうございます。


○栗原構成員
 この将来の需給の数字として正確なものを出すというのは、いろいろな要素があって極めて難しいかと思うのです。そうすると、安藤先生のものをベースにしつつも、数字を見ると
1 日当たりの患者数が 2 割ぐらい変わっていますので、その辺りのこともやはり少し配慮して、 1 本でという考え方ではないほうが。どなたも恐らく、正確には確信を持ってこうだということは言えないかと思うのです。その後の社会情勢、あるいは供給がどのようになってくるのだと、皆さんがおっしゃるとおりだと思うのです。その辺りは、これ 1 本という考え方ではないほうがいいのではないかという気がいたします。


○安藤構成員
 今の点は何度も申し上げていると思うのですが、感度分析をやっておりますので、そこのところは御理解いただきたいと思います。この数値
1 本で分析したわけではありませんので、完全な誤解になりますので、そこのところはよろしくお願いいたします。


○森田座長
 ほかにいかがでしょうか。特に御発言はありませんか。本日は非常に早く終わるかもしれません。よろしいですか。なかなかこれ以上議論が進まないのかもしれませんが、また後で何か思い付かれた場合には御発言していただきたいと思います。

 続いて、 4 ページの (2) から (4) の部分についての意見交換をしたいと思います。こちらについてはいかがでしょうか。


○高梨構成員
 すみません、先ほど少し申し上げるのを忘れたことがあります。要するに、そのプロフェッションがどうあるかを決めないと、需要の在り方が決まらないというので、それを短く簡単に御紹介させていただきます。

 我々も法曹の人口を増やしたときに、それまでいなかった企業内弁護士というものが増えました。企業内弁護士というのは、弁護士資格を有しながら企業に社員として入るという形で活動なさっています。企業の法務部にいて、それが短期間で非常に増えていて、正確な人数は忘れましたが、 1,000 を超える人数が企業内弁護士として活躍なさっています。

 他方、ただ、これらの方々は立場上、社員としての立場も併有なさっていますので、刑事弁護等の公共的な活動をすることが非常に難しい立場にあります。そうすると、その弁護士の在り方というのは、果たして弁護士がどういう形で公共活動を、弁護士というのは、これまでは公共活動をするから社会的な存在意義があるのだという考え方をとってきましたので、そういう人たちの存在をどういうふうに受け入れていくかということが、正に弁護士の在り方ということを議論していかないといけない状況になっています。

 ですので、繰り返しになりますが、そのプロフェッションがどういう在り方をすればいいのかということが、需要との関係で大きな影響を与えるというのは、我々も今直面している問題です。ですので、やはり歯科医師の方々についても、同じように、歯科医師はどう在るのかということを御検討いただかないと、本当の意味での需要は出てこないのではないかと思っております。


○森田座長
 ありがとうございました。今のは先ほどのテーマについての補足ということでよろしいでしょうか。


○高梨構成員
 そうです。


○森田座長
 それでは、補足も含めてですが、次の
4 ページから 5 ページの (2) から (4) についていかがでしょうか。大学での教育その他についてです。


○柳川構成員
 先ほども御説明がありましたが、
18 歳人口が減少して、約 30 年後には高齢者の人口自体も減少するという視点を踏まえることが大変重要だと考えます。

 それから、歯学部の入学定員を考える上で、各回、前回等の資料を見ましても、いろいろ合格率や競争倍率、あるいは大学病院の患者数等々のファクターがあって、大学間の格差が生じており、それが大きくなっているということがあります。また、国家試験に出願だけして受験させないという状況も顕著になっていますので、これらの対象となっているような一部の大学については、例えば 10 年をめどに、実状に見合った定員削減についても、改めて御検討いただきたいと考えております。


○羽村構成員
 今の御意見で、受験をさせないという話が出ましたが、これは必ずしも当たらないです。というのは、第
6 学年の 1 年間の途中で願書を出さなければいけないのです。そうすると、前後期制をとっている学校がほとんどですから、前期の成績が出た時点で既に願書を出さなければいけない。後期の成績が出ていない時点で願書を出さなければいけませんので、そうすると、 5 年半で全ての課程を終わらせて願書を出せということになります。それはもう、全く不可能ですから、一概に願書だけ出して受けさせない大学があるという御意見については、全てそうだとは言えないと考えております。実態としては少し懸け離れるのではないかと思います。


○高梨構成員
 資料の確認を事務局のほうにお聞きしたいのですが。資料
2-2 で、以前私が申し上げた累積合格率という概念で言うと、これは 9 年間累計で全体で 70.7 %というのが 2 ページにあるのですが、これは 3 回受けられたという趣旨ではなくて、入学から 9 年内ということなのですか。そこがよく分からない。


○青木試験専門官
9 年間というのは、歯学部に入学してから 9 年間ということですので、委員がおっしゃったような、卒業して歯科医師国家試験を 3 回受けた方ということではありません。あくまで入学してから 9 年間で合格した方ということで推計を行っております。


○高梨構成員
 もう
1 点なのですが。 4 ページの最後の「第 108 回歯科医師国家試験合格状況」を単純に見ると、現役のまま 6 年間でストレートで出られて受けられた方が 80.2 %で、 7 年目で、それは歯学部に何らかの理由で在学を続けられて、 1 回目の初めての受験なさった方が 55.3 %で、歯学部を卒業なさって 1 年間浪人なさって受けられた方が 75.5 %とか、その下は 2 年、 3 年と、そういう意味で、要するに浪人なさっている方のほうが受かっているというデータだという趣旨だと理解していいのですか。卒業して学部を出られて試験浪人の状態になった方のほうが、合格率が高いというデータだと理解してよろしいですか。


○青木試験専門官
 例えば合計年数が
7 年の方については、歯学部に 6 年間在籍して、卒業して 1 回目の国家試験では合格できなかったけれども、 1 年後に 2 回目の国家試験で合格した方の合格率が、 7 年間在籍をした方と比べても高かったというような結果です。


○高梨構成員
 ありがとうございました。


○森田座長
 ほかに御発言はいかがでしょうか。少し本日はお疲れの様子ですが、大体、争点というか御意見は出たということでよろしいでしょうか。


○川添構成員
 卒業してから多数回、国家試験を受けている人の
3 回以降、あるいは 5 回以降、あるいは 7 回以降といった回数が累積するごとに、急激に落ちる段階があるのです。そういうときには、例えば昔、在学中に実習をやっていた内容がもう全然変わってきているのです。多くの国試浪人の人は予備校に行っているのです。予備校は臨床実地問題を遮に無にペーパーだけで教え込む。最近、例えばインプラントの問題が出ると、そんなものは習ったことも何もないのです。その実物も分からない。ですから、ただ回数を経るというのは無為に年齢ばかりいって、それで親を困らせて。方向転換を進めるのですが、なかなかそれに成功しない。

 ですから、本当に法的には問題があるかも分かりませんが、何回かで切るか、あるいは、もう一度それを再教育というか、実習だけでも再教育を。希望があれば大学のほうへ戻ってきなさいということで、大学は無料でその人を教えることにやぶさかではないのですが、呼べども、何度連絡を取っても来ないなどということになって、だんだん年齢ばかりがいって、教科内容ははるか昔に習ったことを繰り返している。こういう状態を放置すると非常に問題なので、どうすればよいかというときに、強制的でも何か再教育するような場をつくらないと、受験試格を与えないなどということがあれば、また非常にやる気を起こすかも分からないし、多数回が減少することになると思うのです。


○和田歯科保健課課長補佐
 先ほど青木のほうから説明がありましたが、多数回受験者への対応については、そもそもその基礎的なデータ自体もまだ収集していない現状がありますので、この報告書に記載してあるように、例えば厚生労働科学研究などを活用しながら少し実際、追跡など、現状どうなっているのかということを調査していくのも
1 つの方法ではないかと思います。

 一方で、現実として、特に卒業してから一定年数経過された方の技術習練といった場、あるいは技術的な担保をどうしていくのかというところは、やはり現実として課題は残っているところですので、この点に関しても、今回、検討会で御提言いただいた内容を踏まえて何かしら少し書き込めればと思っております。


○羽村構成員
 また別の意見でもよろしいですか。


○森田座長
 はい。


○羽村構成員
 せっかく歯科医師国家試験の制度改革検討部会の報告書が出ていますので、この中で述べられている出題内容等で、社会の情勢の変化に合わせて次の項目の充実を図るということも出ています。ということは、歯科医師の免許を持っている方々でも、実は生涯教育の必要性が当然あるわけですから、それについての需給問題についてはそこの部分でも論議をすべきではないかとは思います。免許を取ればその母数にすぐになるというのではなくて、やはりしっかり教育を受けた人、社会に貢献できている人たちが母数になるような形での論議も今後すべきではないかと思います。


○小玉構成員
 今のお話は本当に大切なことだと思います。先ほどから歯科医師のプロフェッションの議論や、ひいてはキャリア・パスの議論にもつながると思うのですが、国家試験に新しく出ている内容を、やはり既卒の現役の歯科医師がよく理解するということも非常に大事だと思いますし、その新しい内容を、今度は臨床の中につなげる研修は、また必要になってくると思います。

 併せて、今度、第 7 次の医療計画なども始まりますが、ここのところ 10 年ぐらい、歯科が疾病の予防や重症化の予防、糖尿病や認知症など、ほかのいろいろなものも含めて、ある程度効果があるということも分かっています。そういったところでのキャリア・パスを深めていったり、あとは、保健所長が歯科医師で 3 人目が今度できまして、埼玉のほうに新しい保健所長が出ましたが、歯科の業務とは少し離れたところのキャリア・パスなどを作っていくところで新しいロールモデルが出来ると、いろいろな歯科の活性化にも、歯科医師のキャリア・パスの活性化等にもつながると思いますので、そういったところもよろしくお願いしたいと思います。

 あともう 1 つ、歯科医師の臨床研修制度についてなのですが、これは御存じのとおり、新規参入の歯科医師の資質向上を図る観点から平成 18 年度から必須化されています。この臨床研修もいろいろな補助金を頂いています。例えばその質を考えるときに、指導歯科医師の数や、そこでの臨床内容といったところも検討していただいて、より良いものにはより厚く補助金を頂けるような、減り張りある施策になるような評価を頂ければ有り難いと思いますので、併せてお願いいたします。


○森田座長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。一応このワーキングは本日が最後ということだと思いますので、御発言の機会を是非活用していただきたいと思います。


○栗原構成員
 2 ページの 2)-2 の下のほうの追加というか補足なのですが、やはり歯科医師にどれだけ専門性というものを求めるかというのは議論があるかもしれませんが、専門医という資格を持っている人を見てみると、やはり比率は医師とは大きく違っています。その 1 つの背景には、そこに書いてあるような地域でのいわゆる本格的な実習とか研修は講義だけではなくて、本格的な研修を受ける場が少ないというのがあるかと思うのです。

 一方で、高齢化が進んでいますから、地域で訪問するというのは、在宅あるいは在所者のケアということを考える必要もありますので、その辺りのバランスをうまく取っていく必要があるのではないかと強く感じているところです。特に、今、御発言がありましたように、卒後研修については、そういった場の確保といったところを今後考えていく必要があるのではないか。

 前々回、資料でお話させていただいたときに、いわゆる病院歯科の配置、あるいは病院にある歯科の人数の構成などといったことも、やはり検討する必要があるのではないかと考えています。


○森田座長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。先ほどの需給調整の問題も含めてですが、更に御発言はありませんか。


○西原構成員
 私も、専門性に関するワーキンググループの座長をしておりまして、基本的に
3 つのワーキンググループが、親会議の歯科医師の資質向上という観点で最終的に取りまとめていくと理解しているのですが、本日、柳川構成員から御説明があった資料で、冒頭の○の所での発言の中で、患者が質的に変化しているということは、需給に関して考慮しなければいけない問題であるとの御指摘がありました。専門性に関しても、既存の専門性の、今まで学会ベースで行われていて、国民の視点からどうなのかという具体的な検討が今後必要だという議論で、今、医学系で動いている機構の問題などを総合的に考えながらやっていく必要がありましょう、あるいは、歯科特有の、医科と違う特有な問題もありましょうということを議論、展開しております。

 そのようなときに、最終的に行き着くのが、こういうワーキンググループ、いろいろな平場での議論は展開されるのですが、例えば歯科医学教育のグランドデザインや、歯科医療の行くべき方向性、これもグランドデザインなのですが、そういうような議論を大きな仕組みの中で語ってきていなかったのが歯科の世界ではないかというのが、少し私どものワーキンググループで出てきました。すなわち、正直申し上げて、教育界 29 大学が 6 年後卒業させる歯科医師を、有機的に、どのような社会の変化に伴って育てていくかという議論が、医学部に比べてかなり乏しいという印象を医科の構成員から発言を受けて感じたりしております。さらに、歯科教育のみならず、では医療の世界の歯科医学会、若しくは歯科医師会と三者で懇談して議論を詰めているかと問われたときに、我々歯科に関わる様々な各界のトップが、反省しなければいけない時期に来ているというところも正直あるかと思っています。

 そんなことも含めて、高梨構成員のほうから私の名前が出されて発言されたものと思っているのですが、一方、御承知のように、文部科学省はモデルコアカリキュラムの改定を正に今、進めていますし、総量規制の簡単なマイナーモディフィケーションで終わってはいけませんよねということを、私のほうから委員の一人としてこの間申し上げたところです。したがって、今、正にいろいろな視点で歯科が、我々現場の人間が真摯に語り合って変えていくという方向性を示さないと、 2025 年問題などといろいろ口では言うことは可能なのですが、やはり次の世代を育てる医業に関わる者がどうあるべきかというのは、この資質向上の親会議の大きなテーマになろうかと思います。

1 つ本日の需給問題で私が確認させていただきたいのは、歯科医師会の本日の御発言の中でも、質は変わっていきますと。その質の変化に向けて対応していく歯科医師会でなければなりませんよねというお考えで、 4 12 日のこの答申をおまとめになったという理解をしてよろしいでしょうか。そこでまた需給問題が 1 つ大きなまとめに入るのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。


○森田座長
 では柳川構成員どうぞ。


○柳川構成員
 西原先生の御指摘のとおりで、その歯科医療需要ということを考える上で、質が変わってきていることは間違いありませんので、そこに対する提供体制、取り分け、まず研修をどうするかということがあります。これは卒後の研修ということで言えば、日本歯科医師会の卒後の研修についてはかなり早くから始まっており、現在の日歯の生涯研修制度は単位制でやっています。これは昭和
63 年から始まって、もうすぐ 30 年になるのですが、正にそこのニーズや質の変化に対応して、またバージョンアップというか、見直しをしている最中です。単位数が 40 とか 50 とか決まっており、生涯研修制度自体に参加している歯科医師会の会員は約 8 割で、その単位をほぼ修了している会員が 4 5 割おります。ただ、それで足りるとは考えておりません。

 また、歯科医療提供の在り方等については、今、先生がおっしゃった専門性、栗原先生もおっしゃいましたが、専門性の在り方が大きく問われて、実際にその臨床現場でどう活用されるかということの議論が不可欠ですので、医科のような第三者機構的な機能も必要だろうということを、今、日本歯科医学会と日本歯科医師会を中心に話合いを始めるテーブルを作ろうというところですので、御理解をいただきたいと思います。西原先生のおっしゃった御指摘については、そういう理解をしていただきたいと思います。


○森田座長
 ありがとうございました。西原構成員、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。それでは、ほぼ御意見が尽きたように思いますので、この辺りで終了ということでよろしいでしょうか。

 最後に私のほうから少しまとめをさせていただきます。この歯科医師の需給問題に関するワーキンググループに関して、各構成員の皆様には 5 回目に当たりますが、活発な御意見をいただきましてありがとうございました。

 これまで様々な視点で御意見を頂いてきたわけですが、中でも特に需給推計に関しては安藤構成員から御提出いただいた資料をはじめとしまして、推計に関していろいろな要素を考慮しなければいけないと。推計の場合の係数について、なかなか 1 つの値を決めるということは難しいということでしたし、ただいまのように、そもそも需要、供給についても、その質の問題その他の要因も考慮して考えていかなければならないという御意見があったと思います。

 その中で、特に需要面のほう、今申し上げましたが、精緻な形できちんとこのワーキンググループで答えを出すというのは、なかなか難しいということではないかと思っております。また、既に人口減少が始まっている現状において、そうした要素も考慮してどうするかということは、大変難しい問題であろうかと思っております。

 ここで少し余計なことを申し上げますと、私自身は専門は行政学や公共政策を研究しておりまして、政策を決めるという方法はどういうものがいいのかということを研究しているわけですが、将来のことに関しては、やはり 1 つの値で推計値を出すのは非常に難しいというのはほかにもたくさんあります。そういうときに、どのようにして物事を決めていくかというときには、いろいろ高位の推計、低位の推計、普通は中間を出すわけですが、仮に高位の推計に従って需給調整をして供給量を増やしていった場合に、それが外れたときにどういうリスクが発生していくのか。反対側に言うと、低位の推計に基づいて供給量を決めて、それが外れたときにどういう社会的なリスクが出てくるのか。そうしたことを考えて、どちらかというとリスクの少ないほうを選択するという考え方もあり得ると思います。

 今回の場合、それをどのように評価するかということは分かりませんが、需要に対して供給を増やす、需要が多いと考えて供給を増やした場合、それが外れた場合のリスクと、その反対側の場合に生じる結果をもう少し考えてみる必要があるのではないかと思っております。そのように考えるとしますと、それ以外の要因というものもいろいろ出てくるでしょう。例えば、将来的に想定していたよりも需要が増えて供給が不足した場合に、代替的にそれをカバーするような方法があり得るのか。裏返して言うと、供給が過剰になった場合にどういうコストがかかってくるのか、ということも考えながら検討するということもあり得るのではないかと思っております。

 いずれにしても、このワーキングでそこまで詰めるのは、考慮する要素の検討も不十分だと思いますので、それについては、このワーキンググループで資料提供のありました安藤構成員、また、日本歯科医師会の資料等についても、事務局と私のほうで相談して、論点整理を行った上で、親委員会である「歯科医師の資質向上等に関する検討会」に報告をして、最終的にそこで政策の方向性というものも示す。特に、数字の示し方について御判断を頂くということが望ましいのではないかと思っております。

 やや回りくどい説明になったかと思いますが、そうした方向で本日のところは整理させていただくということでいかがでしょうか。

                             
 
(
各構成員異議なし )


○森田座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは本日新たに出ました御意見等も含めて論点整理をさせていただきまして、最終的にそれは私と事務局のほうに御一任いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは、そういう方向で進めさせていただきます。

 一応、用意された議題は終了いたしますが、事務局のほうから更にありますか。


○和田歯科保健課課長補佐
 構成員の先生方、活発に意見交換いただき、ありがとうございました。今、座長から御発言がありましたが、今後、本ワーキンググループの論点整理については、森田座長と御相談させていただき、取りまとめた内容については「歯科医師の資質向上等に関する検討会」に御報告させていただきたいと思います。事務局からは以上です。

○森田座長
 ありがとうございました。それでは、本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。御出席いただきました構成員の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。以上で終わりです。


(了)

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