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2017年5月17日 第67回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年5月17日(水)


○場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室


○議題

(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
(2)その他

○議事

○門田会長 それでは、定刻になりましたので、第67回「がん対策推進協議会」をただいまから始めたいと思います。

 もう御存じのように、いよいよ最終に近くなってしまいました。ぜひ、まとめていかなければならないタイミングです。どうぞ御協力よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、事務局よりお願いいたします。

○事務局(濱) 本日の委員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、川本委員、松村委員より御欠席の連絡をいただいております。

 また、細川委員、宮園委員よりおくれて御出席との連絡をいただいてございます。

 なお、委員総数16名の皆様に御出席いただいておりますので、協議会開催の定足数に達していることを御報告申し上げます。

 以上をもちまして、傍聴される方におかれましては撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

 また、携帯電話等、音の出る機器につきましては、電源を切るか、マナーモードに設定いただくなど、会議の妨げにならないよう、静粛にしていただきますようお願いいたします。

 続きまして、資料の御確認をお願いいたします。

 資料1 がん対策推進協議会委員名簿

 資料2 第66回がん対策推進協議会での主な御意見

 資料3 第3期がん対策推進基本計画素案(概要)

 資料4 第3期がん対策推進基本計画素案

 資料5 委員提出資料

 また、委員のお手元には、机上資料ファイルをそれぞれ御用意してございます。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 事務局からは以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 いかがですか。資料に問題はないでしょうか。

 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

 まずは前回の協議会の意見ということで、資料2について、事務局より説明をお願いします。

○がん対策推進官 それでは、資料2をごらんください。第66回、前回のがん対策推進協議会での主な御意見をまとめさせていただいております。

 まず、議論のためのたたき台(概要)についてでございます。

 1ページ目、上半分の部分ですけれども、まず、スローガンについて御意見をいただいております。「がんの克服を目指す」という記載を入れるべきかということで御議論をいただきまして、「克服」という言葉をスローガンに盛り込むという最終的な結論をいただいております。

 また「世界最高水準」ではなく「患者本位のがん医療の実現」であるとか、そういった全体目標について御意見をいただいております。

 さらに、全体目標の3つの柱、がんの予防、がん医療の実現、尊厳を持って暮らせる社会の構築ということで、まずは「予防」、1ページ一番下から3ページまででございますけれども、「医療」について、3ページ中ほど以降で「共生」についての御意見をいただいております。

 「医療」の部分につきましては、2ページの中ほど、小児・AYA世代については「医療」として「がんの特性に応じた希少がん、難治性がん」の後に、「小児・AYA世代のがん対策」を記載してはどうかという御意見もいただいております。

 3ページ以降は、「共生」の部分の御意見でございますけれども、最終的にはその後4ページの基盤についての御意見もあわせていただいております。

 4ページ、最下段以降が議論のためのたたき台の中身についての御意見でございました。こちらにつきましても、たばこ対策でございますとか、がん検診、それから、ゲノム医療、それぞれの項目で御意見をいただいております。そういった御意見を6ページ以降整理させていただいているものでございます。

 説明は以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 前回の議論の概要ということでございますが、これをこれから反映したものが基本計画でございますので、これは特にこのままで次に進みたいと思います。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 1つだけ意見のところで間違った記述があったのでいいですか。6ページの一番下のところで、人生のあらゆる場面で相談支援が必要なことから、「総合的」な相談支援の観点が必要ではないかと申し上げたのですけれども、「相互的」になっているので、ここのところはお願いします。

○門田会長 よろしいですか。

 それでは、議題(1)に入ります。きょうはたばこのところを除くとほぼ最終的な日でございますので、とにかくまとめていくということで、御協力をお願いしたいと最初にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局より、資料3、資料4の説明をお願いします。

○がん対策推進官 それでは、資料3、資料4を御説明させていただきます。

 まずは資料3をごらんください。こちらが、第3期がん対策推進基本計画素案の概要でございます。2枚になっておりまして、1枚目が修正を前回のたたき台の概要から溶け込ませたもの、2枚目は、その見え消しとして訂正部分を残して見えるような形にしたものでございます。

 2枚目の見え消しのバージョンをごらんいただけますか。こちらで御説明をさせていただきたいと思います。

 まずは、第1、第2、第3と分かれていますが、「第1 全体目標」です。こちらは「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という形で、スローガンとして全体目標を修正させていただいております。

 さらに、3つの柱ということで、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、3番目の柱は尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築ということで整理させていただいております。

 「第2 分野別施策」でございますけれども、これまで「3.がんとの共生」の中で、(5)ライフステージにおいたがん対策の中で、小児・AYA世代、高齢者のがん対策を書かせていただいておりましたが、こちらにつきましては、医療の充実の部分につきましては、「2.がん医療の充実」の柱の中に(6)として「小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがん」として入れさせていただきました。

 また、「3.がんとの共生」の部分で、小児、AYA世代、高齢者のがんにつきましては、社会的な支援の部分についての記載を残させていただいているところでございます。

 それから、重点的に取り組む分野につきましてでございます。前回、それから、その後のメール等での御意見、数多くの委員から御意見をいただきまして、それぞれ、御専門、御関心の分野がありまして、それぞれ重点となるべき分野があるということで御意見をいただきました。どの分野も力を入れて進めていかなければならないということ、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という全体目標を達成しなければならないという中で、重点分野をつける、つけないということで、患者さんやその医療関係者の取り組みの中で姿勢に濃淡が出る、こうした誤解を生じてしまうことは避けるべきではないかということもございました。こうしたことを踏まえまして、今回、全ての分野が大事だ、重点的に取り組むべき課題だということで、重点的に取り組む分野の印、そういったものをつけないという整理とさせていただいているところでございます。

 資料3の説明は以上です。

 次に、資料4をごらんください。こちらが第3がん対策推進基本計画の素案でございます。前回のたたき台から「はじめに」をつけさせていただいております。以降、前回の御意見とその後にいただいたメール等での御意見を踏まえて、前回のたたき台を修正したものでございます。前回からの変更点を中心に御説明をさせていただきます。

 まず、3ページ「第1 全体目標」ということで、がんの克服を目指してということで、3つの柱を立てさせていただいております。

 4ページ以降が「第2 分野別施策」となります。分野別施策は「1.がん予防・がん検診」ということで、まずはがんの1次予防について書かせていただいておりますが、6ページをごらんください。まずは生活習慣について書いておりますが、この中で(現状・課題)、(取り組むべき施策)の中でも、たばこの対策につきましては(P)と書かせていただいております。これは前回のたたき台から記載ぶりを変えていないものでございます。前回の御意見やメール等での御意見も、数多くたばこ対策について御意見をいただいたところでございますが、現在のたばこ対策の政府のいろいろな議論がある中で、この部分については対応を今の段階でしっかりしたものをお示しすることが難しいということで、これについては(P)とさせていただいております。

 それから、感染症対策、その他、生活習慣等の対策について書かせていただいております。

10ページ以降が(2)がんの早期発見、がん検診ということで、こちらも受診率向上対策、それから、精度管理、職域におけるがん検診ということで、いただいた御意見はなるべく反映させるような形で書かせていただいております。

14ページ、こちらが「2.がん医療の充実」です。2本目の柱ということで、がんゲノム医療以降から(10)にわたって書かせていただいているものでございます。大きな変更点は資料3でも御説明いたしましたが、29ページになります。小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがん対策ということで、こちらの医療の充実の部分につきましては、それぞれこの3つの内容につきまして、こちらに分けて書かせていただいているところでございます。

 2.医療の充実については、以上でございます。

 次に、39ページをごらんください。「3.がんとの共生」、3つ目の柱でございます。こちらも緩和ケア以降、特に緩和ケアについてはいろいろ御意見もありました。ここは書きぶりをたたき台からは少し変えて、しっかりと書かせていただいているものでございます。

 以降は相談支援、地域社会におけるがん患者支援、それから、サバイバーシップ支援、就労も含めた社会的な問題となっております。

60ページ、(5)ライフステージに応じたがん対策ということで、小児・AYA、高齢者の社会的支援の部分について、こちらで残しているところでございます。

 「4.これらを支える基盤の整備」ということで、63ページ以降になりますけれども、がん研究と人材育成、がん教育、知識の普及啓発と書かせていただいております。

71ページ、こちらは「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」ということでございます。こちらにも前回御議論いただきましたロードマップにつきましても記載させていただいているものでございます。

 駆け足でしたけれども、説明は以上になります。

○門田会長 ありがとうございました。

 今、御説明していただきましたが、一つは、資料3に基づいてこの重点項目についてこういう形でいくという今までと変わったことを出しております。この件について、皆さんいろいろ御意見もあろうかと思うのですが、今まで重点項目としてやってきたという歴史があって、10年間そうだったのですが、だんだんと今回のことをまとめておっても、これは重点だ、重点だということで、重点がどんどんふえてきている。では、重点でないものがあるのかということになってまいりますので、今のタイミングでは、とにかく挙げているものそのものは対策を講じなければならないけれども、その中に差をつけるという表現よりも、できるだけそれをやるということから、差をつけないでいくという方針を、今回提案させてもらっています。これは事務局と話をしましたけれども、今の状態において、つけるほうはともかくとして、つけられなかったことは力を抜いていいのかというメッセージを出すわけにはいかないという感じがしますので、今回のこういう案でまいりたいと思います。ぜひ御理解いただきたいと思いますが、どうしても何かという御意見があればあれですけれども、基本的には。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 やはり差をつけるということではなくて、この基本計画を国民に対してどう広めていくのかという視点を私たちは持たないといけないと思っています。今回は死亡率の削減という、20%という数値目標も落ちているのです。そのことを考えますと、私は重点事項に関しては、差をつけるということではなく、政府の直下でも重点的に位置づけられている項目、それから、取り組みが他と比べておくれているもの、この2つを重点事項を見定める視点と定めまして、予防、ゲノム医療、希少がん、難治性がん、小児がん、AYA、高齢者の医療、緩和ケア、就労を含めた社会的な課題という以上6点は、これまでも出ておりましたとおり重点事項として国民に知らせる。私はこれが重要なのではないかと思っています。

○門田会長 という意見がございましたが、いかがでしょうか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 今の桜井委員の御意見に本当に賛同いたします。これまで重点課題というのは、予算請求においても優遇されていたのではないかという印象を私は持っておりまして、その予算を投入することによっておくれている分野が進むということがございますので、私は今、小児がん、希少がん、難治がん、AYA世代、高齢者といったところ、これまでも重点的にという意見が多かったように思いますし、私もそう望んでおりますので、重点課題ということを推進していただきたいと思います。

○門田会長 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。若尾です。

 この推進計画の素案の概要の中で、重点項目とする部分が取れたということは、素人考えで見ると予算をとれなくなるのではないかという不安があるのです。全部が重点目標だということは全くそのとおりだと思います。だから、全部を重点目標として、しっかり関係省庁と連絡をとって、予算をとっていく、できる限りしていくということが、これを読んだ国民もしくは都道府県、もしくは市区町村の担当者に伝わればすごくいいな、そういう書き方ができないかなということが1点です。

 それから、今度、全体的な計画のスパンが5年から6年に延長されましたね。これは医療計画とリンクしてということだと思いますけれども、がん医療の場合はすごく進展が早いので、このロードマップに書かれている3年ごとの評価ということもしっかり伝わるような、見ただけでそれがわかるような、全部が重点目標でしっかり予算をとるために努力するということと、5年から6年になった計画なのだけれども、3年のときにしっかり見直しを行うということがわかるような概要にしていただきたいなと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 難波委員、お願いします。

○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。

 私も各委員の意見に賛同いたします。やはり、どれもこれも重点的に取り組まなくてはいけない対策であるというのは大前提で、その中で、重点項目というのはどういうものかということを定義づけて整理していくというのがこの計画なのではないかと考えているので、重点的に取り組むべき分野というのはぜひ明記していただきたいと思います。

○門田会長 山口委員、お願いします。

○山口委員 私は、静岡県のがん対策推進計画を作成するという立場で、1期、2期の規法計画を見てきているのですけれども、重点項目には逆にデメリットがでることもあります。私は、重点項目をあえて定めず、全てが大切だという事務局案に賛成なのですが、例えば、「3.がんとの共生」で、この中のどこかが重点項目と言い出すと、これは全て、間違いなく全てが大切です。予防についても検診は落とせないし、がん医療の充実も同じです。ですから、重点項目をあえて定めず、全てが大変重要で、この全てをうまく進めないとがん対策はうまくいきませんという趣旨からいえば、この案で私は結構だと思います。

 それから、予算のことで少し御意見が出てきましたけれども、後半の部分で意見を申し上げたいと思うのですが、予算に関しても、ここに記載されたことで重点ということなしにしっかりサポートされる部分がありますので、そういう観点からも、予算のことは余り気にせずにこの全てが重点項目だという考え方で私はよろしいのではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 事務局、何かございますか。

○がん対策推進官 先ほど、予算の獲得といいますか、そちらについて御意見があったと思うのですけれども、このがん対策推進基本計画はあくまで法律ではなくて、国に対して義務づけるものでもなく、そういった計画です。もちろんがん患者、有識者から構成された協議会の意見を踏まえて閣議決定をするという重要な計画でございますので、そうした重要な計画ではあるのですけれども、この計画に盛り込まれたからといって、それから、さらに重点的な項目に位置づけられたからといって、優先的に予算措置がされるものではないと考えています。とはいえ、この計画に基づきまして、必要な予算が限られた財源の中で確保できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 北川委員、どうぞ。

○北川委員 非常に難しい問題だと思うのですけれども、私は基本的には先ほど山口委員がおっしゃった意見に賛同いたします。委員の皆様はそれぞれご専門あるいは関わりに深い領域で高度な知識とビジョンをお持ちなので、どの方々のお話を伺っても、これは重点項目だ、大事だと感じる次第なのです。

 一方で、そうしていきますと、どんどん重点項目にすべきことがふえて、逆に、重点項目という意味がなかなか出しにくくなっているのも事実かなと思います。先ほど若尾委員がおっしゃったように今回は全体が重要な項目で、総合的に対応するのだというメッセージを強調すべきと考えます。重点項目がなくなるのではなくて全部が重点項目だというような書き込みをしていただくと、先ほど御心配があったようなことが解消されていくのではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 北川委員の御意見も本当にそうだなと思いますけれども、では、第2期のときに重点課題としていた理由を少し事務局にお伺いしたいと思います。

○門田会長 その前に、桜井委員、お願いします。

○桜井委員 やはり予算云々ではないと思っているのです。この協議会としての姿勢が、私は問われていると思っているのです。そういう点で、めりはりをきちんとつけていくということが非常に重要なのではないかと思っています。

○門田会長 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 2期計画の中に「重点的に取り組むべき課題を定める」という文がございます。こちらは、計画で「がん対策を実効あるものとしてより一層推進していくため、重点的に取り組むべき課題を定める」、こうあるだけでございます。第1期で重点項目を3つ、第2期になる際に第2期で新しく加わった項目について、それを重点項目としたという経緯があると考えています。

○門田会長 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 つまり、今のことを言うと、取り組み自体が政府直下でも非常に重点的にやるべきといって総合的に議論されている分野だったり、取り組みがおくれているからより一層推進していかなくてはいけないのだよねという項目が残っているわけで、ほぼほぼ完了した問題とか、そういうものは、それは削るとかいうことではなくて、それも重点的には行うのですけれども、より一層加速化させるという観点でのめり張りというのは、私は必要なのではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 私も後ほど申し上げようかと思っていたのですが、今回の第3期の目玉は何なのだ、一番重点は何なのかということを考えたときに、この10年間、今までのやり方でやってきた基本計画、そして、何が起こったのかというと、結局死亡率減少というのもそのとおりにいっていないということは皆さん知っている。

 その原因は何なのか。医療の場では相当変わってきている。何年生存率というのはよくなっている。ところが、全くよくなっていないのは何かというと、罹患率がさらにふえ続けている。そして、最初のころに検診受診率を上げるといったことが、上がらなかった。第1期は50%、第2期はそれができていないのだからということで、当面40%に下げてきているのです。

 そういう歴史から、今から何が必要かというと、死亡率を下げるには、がん医療も必要だ、だけれども、それよりも前にがんにかかる患者を減らしましょうということを、ここで私は申し上げて、皆さんの賛同を得て、これが今回の目玉だと思っているのです。今までに罹患率をおさえずに、年齢調整罹患率をおさえるという気持ちではあっても、ほとんど何の対策もない。一番しなければならないのはこういうことではないのか。今回、たばこの話は欠けていますけれども、だから、そういったところが今回の一番大きなもの、10年の経験を経て今の反省から何かということを考えたときには、そこに来ているはずなのです。それが何よりも一番重要なのです。

 全体目標のそこだけがというものでは決してないので、これは全部重要なのです。だけれども、我々の気持ちで、今回切りかえていっている。第1の項目に1次予防、2次予防を入れてきているということは、今回の大きなメッセージを出しているという認識でいくべきだと私は思うのです。そうすると、個別目標について順位づけよりも、大きな目標を掲げて、大きくこの10年目に切りかわっていくということこそやるべきではないのかと思って、途中で何度かこういう発言をさせてもらいました。

 皆さんの御意見はそれぞれもっともなのです。だけれども、それを大局的にどうするかということを考えていただきたいというのが私の意見です。

 ですから、つける、つけないということもあるのですが、私はそういった意味で、大局的にその中で内容的なことで、若尾委員からもおっしゃっていただきましたけれども、そういうことを努力することで、余り個別のものにつける、つけないということは今回は置いても、この過去の10年から切りかわるということで、また将来的にどうなっていくのかは別ですが、そういう流れでもいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 先ほど来、皆様の御議論を聞いていても感じていたのですけれども、確かにこれまで焦点が十分に当たっていなかったとか、例えば新しく課題として加わった、これはより強く意識しなければいけないことは確実だとは思うのです。

 一方で、先ほど山口委員がおっしゃったように、印をつけることによってその弊害もあるかなと。例えばそこに気持ちが行き過ぎる。実際には例えば希少がん、難治がん、重要なのですけれども、それを本当に克服するために具体的にどういう計画、事業が必要かというところがより重要です。希少がんに対する対策としてもそうですし、例えばコモンながん種であっても、確かに大腸がんを例にとっても死亡率は低減していますけれども、その中身としては、好発部位に関して少しプロファイルが変わってきている。そうすると、コモンながんですけれども、きちんと実態を評価して具体的に対策を進めていくということは絶対に必要なわけです。全体について、医療者として、民として意識をしながらがん対策を立てていくということが、基本的には重要かなと思います。

 結論から言うと、重点課題という印をつけて、そこに意識が行き過ぎる傾向もまた弊害としてあるかなと思うのです。がん対策全体を、コモンながんといえども、既に解決しているように思えるがん種であっても、そこに広く目を向けていく意識が必要です。さらにそれを具体的な事業にするときにも、より具体的な提案をしていくというところが欠かせないのかなと聞いていて思いました。ですから、総論としては、今、門田先生がおっしゃっていたようなことだろうと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 余り司会をしながら大きな声を出したくもないのですが、ということで、申しわけないのですが御理解をいただいて、今回は事務局案を進めたいということで、よろしゅうございますか。

 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 資料3の大枠、前回これを議論する予定だったのが協議会自体がキャンセルになったわけなのです。これはまだ固まっていないと思うのです。この資料3の箱の並びなり、これについてまず最初に議論した上で各論に入っていただきたいと思っています。

○門田会長 わかりました。

 今、重点項目のところまでいきましたので、何かこの件について意見を頂戴したいと思います。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 「第2 分野別施策」の中で、予防と医療の充実とがんとの共生という大きな3つの柱があるというのは、とてもわかりやすくていいと思います。その中で「2.がん医療の充実」として、(1)から(10)という10項目が上から並んでいて、これは上から順番に重点的だということではないと思うのですけれども、(3)(4)(8)のこの項目は、すごく分野的には近い項目だと思うのです。チーム医療の充実、それから、がんのリハビリテーション、そして、支持療法の充実というのは、近い部分になっていると思うので、ここの項目は、できたら(8)を(3)の下に入れる、もしくは(3)(4)を(8)のところにくっつけるというような、チーム医療とがんリハと支持療法というものの継続性というか、それが少し見えるような形にしていただいたほうがわかりやすいのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○門田会長 ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 今のと関連してなのですけれども、私、支持療法、それは別だと思います。私は(3)と(8)を一緒にしてはどうかと思います。前回も言ったのですけれども、「がんリハビリテーション、チーム医療」という形にしてはどうかと思っています。というのが、公益社団法人日本リハビリテーション医学会が2013年に発行したガイドラインがあるのです。この中の最初に定義が書いてございます。臨床腫瘍科医、リハビリテーション科医の指示により、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、理学療法士、いわゆるコメディカルのスタッフ、医療従事者、コアメンバーと、その他、がん患者特有の問題に対処するさまざまな専門職から成るチームとして提供するべきであると、ちゃんと書いてあるのです。そう考えると、計画本文の内容を見ましても、私はこれは、嚥下の問題もそう、栄養管理の問題もそう、支援対象を同じとするものの箱が2つになるというのは一体どうなのかなと思っています。

 それから、先ほどの支持療法の中で、私は浮腫のことが少し関係しているのかなと思っています。リンパ浮腫に関しては、がんリハのほうと非常に関係性があると思いますので、これは支持療法の中にきちんと相互の関係性を明記してもらうということが重要なのではないかと思っています。私はこの(3)と(8)というのが、がんリハビリテーションという言葉をなくすということではなくて、これを主に立てながらのチーム医療としてはどうなのかなと思っています。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 今の御意見は多分誤りだと思います。一般のがんセンターで30以上の診療科がありますが、その診療科の中で、最もチーム医療が推進されているのがリハビリテーションなのです。ですから、私どもも多職種チーム医療を推進するに当たって一番参考にしたのがリハビリテーションです。これがまず、リハビリテーションの位置づけです。

 一方で、ここで言っているチーム医療は、リハビリテーションだけのことではなくて、全てのがん医療において多職種チーム医療を実践することを主張しており、これは新たなコンセプトであって、第3期の非常に中心的なコンセプトです。だから、リハビリテーションとチーム医療を一緒にするということはあり得ないと思います。

 位置づけは私も気になるところはあるのですが、この形で進めるということに対して徹底的な違和感はないので、この位置づけはいたし方ないかなと思います。

 以上が意見です。

○門田会長 ありがとうございました。

 そのほか、いかがですか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 重点課題を私はつけていただきたかったですけれども、基本計画のめり張りをつけていたということを考えますと、ロードマップの作成というのは、これから6年間計画を進める上で、非常に重要なところになってくると思うのです。先日、事務局にロードマップはいつ出てくるのかと申し上げましたら、きょうあたりにとおっしゃっていたのですけれども、これは基本計画とともに公表するということになっておりますので、そちはどうなっているのかお伺いしたいと思います。

○門田会長 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 ロードマップにつきましては、進捗管理をするために作成して公表するという位置づけを考えています。ですから、この計画が決まって、閣議決定をして、その後速やかに策定してお示しをするという流れを実は考えておりまして、この中に、この素案の中に本計画の別添として公表するとありますけれども、その別添の仕方については、こちらのほうでも検討させていただきたいと思います。きょうの段階でロードマップをお示しするということは考えておりません。

○門田会長 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 そうすると、次回の6月2日も出てこないということですね。

○がん対策推進官 そうです。

○馬上委員 そうしますと、全体像が把握しづらいという面があるとは思うのですけれども、そこのところは中間評価なりなんなりしていくという、進捗状況はそういったところで把握していくお考えということでしょうか。

○がん対策推進官 はい。

○門田会長 よろしいですか。

 そうすると、先ほどの桜井委員が出したまとめるかどうかということについて、少し御意見があれば頂戴したいのですが。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 私は、まとめなくて、チーム医療はチーム医療として必要だと思います。一般の患者は、自分の体を治してくれる医療チームとしてのそれぞれのメディカルスタッフ、どのような者がいるのかよく知らない場合が多いと思います。自分はもしかしたらこういった医療職があったらもう少しQOLが上がるかもしれないということを知らしめるためにも、チーム医療の推進というのは一つの項目としてあるべきだと思うのです。

 そして、それぞれのチーム医療も含んだ上で、また別の対策としてがんのリハビリテーションがあって、それは急性期の時間が短くなっていく患者にとって、がんリハというのがどれだけ重要なのかということを改めて次の計画で行っていくということがある。それから、そのがんリハの中には、リンパ浮腫であったり、末梢神経のしびれであったり、排尿障害であったり、排便障害であったり、いろいろな命にはかかわらないかもしれないけれども、支持をする必要があるという支持療法があるということなので、ここはそれぞれ項目を立てた上で、本当はどちらでもいいのですけれども、関連性を持たせるために(3)と(4)と(8)はまとめていただきたいと思う次第です。

○門田会長 ありがとうございました。

 そのほかの委員の方は、何かこの件についていかがですか。

 北川委員、お願いします。

○北川委員 最初に書いてあるものが重点だということではないという前提で話をしたいと思うのですが、10項目を見ますと、(5)と(6)だけがある特定のがん種にフォーカスを当てています。この2項目が中央にきますと、がん医療全体の流れという面では若尾委員がおっしゃったように少し違和感があるので、がん医療全体の流れを追った形の並びにして、最初でも最後でも構いませんが、、がん種を特定した項目に関してはどこかにまとめて置いていただく方がよろしいかと存じます。

 また、チーム医療については、全ての職種での全ての治療法でチーム医療は実践されなければならない。先ほど山口委員がおっしゃったような状況だと思いますので、これは独立して置いておいていいのかなと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 今、おっしゃっていただいたのは、皆さん理解できると思いますし、まとめるかどうかということですが、このままでいくと。順番については、少し事務局と相談させていただいて、北川委員からおっしゃっていただいたような流れがある程度整理できそうなことにするということを検討させてもらうということでよろしいですか。

 ありがとうございました。

 それでは、そのほかのこの資料3についての御意見を頂戴したいと思いますけれども、ほかにありますか。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 私からは、3点あります。1つ目なのですけれども、「3.がんとの共生」にある(3)地域社会におけるがん患者支援、このタイトルなのですけれども、社会というと非常に大きな範囲を含めていて、すごくぼやっとしてしまっている。前々回の協議会で、松村委員から、今回の資料にコメントにも出ていますけれども、「‘在宅療養を含めた地域医療、地域連携体制’として、中核病院と地域の連携について、在宅療養の文言を記載することにより、市町村の関わりが明確になるのではないか」と、こういう御意見が出ているのです。今のこの表記ですと、本当にそこがわからない。ですから、ここには私は「地域社会」ではなくて「地域連携」という言葉をぜひ入れていただきたいということが1点目です。

 2点目は、これは前回も私はお話をしましたが、「3.がんとの共生」の(4)(5)、これは一緒にまとめて「患者家族の社会的問題、サバイバーシップの推進」という言葉にしていただきたいと思います。そのサバイバーシップの箱の中には、1番目として就労、2番目として性生活・妊孕性、3番目としてアピアランス支援、4番目として就学・教育的支援、5番目として中長期フォローアップ体制、これは医療に関することかもしれませんが、こういうようなこと、6番目にサバイバーシップ研究の推進、7番目にその他というような、こういう項目で書いていただきたいと思っています。

 というのが、この中身を読むと、社会的な課題というのは、年齢による社会保障制度の違いですとか、年代をまたぐのです。罹患時の年齢だけであらわすと抜け落ちがかなり出てきます。社会テーマで表記をするというのは、国際的なガイドラインであったり、学会発表、政策でも標準化され、一般的でもありますので、私はこうしていただきたいと思います。

 具体的にいうと、例えば妊孕性については、妊孕性というと女性のことだけだと思われがちなのですけれども、これは男性も含みますね。女性に関しても、39歳と、AYA世代の問題だけではなくて、40代の方でも挙児希望の方はいらっしゃって当てはまってくるのです。でも、こういう項目の書き分けになると、分かれることによってこれが全部落ちてしまいます。ですから、落ちる人たちが出るということを防がないといけないので、こういうところをつないでいただきたい。

 就労に関しても、新規就労という言葉はないのですかと聞いたら、小児・AYAには書いてありますと。では、転職はどこのページですかと言うと、これは大人のほうに書いてあると、ばらばらなのです。がんになった後の人生というのは一続きになっていますので、私は社会テーマ、先ほど言ったような項目ごとに記載をしていただきたいと思っています。

○門田会長 それは本文のほうの話ですか。

○桜井委員 この箱の書きぶりです。(4)と(5)の中、これを一緒にして、その中で就学とか妊孕性ですとか就労というような、そういう項目を立てる。要は緩和ケアにある1とか2と書いてある形でいいので、記載すべきなのではないかと思っています。テーマごとに記載する方向性で書いていかないと、移行期にある患者さん、それから、ここに書いていない患者さんたちがみんなごっそり落ちてしまうということです。

○門田会長 そうすると、まず最初にこれをまとめるかどうかということ。まとめて、そして、それを小さく割っていったらどうかという意見ですね。

○桜井委員 そうですね。まとめることです。事務局に少しお伝えしたら、では、具体的にそこの箱の中の項目を提示してくださいということを言われましたので、前回私の参考資料にも提示していますが、今回もそれを改めて口頭で言いたいと思います。それが2点目です。

 3点目は、先ほど馬上委員からも出ましたけれども、第3の部分ですね。ロードマップと目標の達成状況の把握。これはばらばらになっているのです。ロードマップというのは、PDCAのP、Dだと思っています。達成状況の把握はC、A、これはばらばらになっているとPDCAにならないので、「ロードマップと目標の達成状況の確認」とかというように、これも一つにまとめていいのではないかと思います。

 以上、3点提案させていただきます。

○門田会長 ありがとうございました。

 共生のところの(3)の「地域社会」ではなしに「地域連携」に単語を変えたらということ一つですね。

 この点について、いかがですか。誰か御意見ございますか。

 湯澤委員、お願いします。

○湯澤委員 ありがとうございます。

 私も桜井委員の意見に賛成です。これからは漠然と「地域社会」と書くよりも「地域連携」ということで、医療であるとか、市町村であるとか、事業所、それから教育ですね。これを一貫して共生のために患者支援をしていこうという体制がよろしいかと思います。

○門田会長 ありがとうございます。

 反対の意見はございますか。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 「地域社会」がいいのか少し疑問があります。「医療連携」は私は絞り過ぎだと思うのです。医療連携というのは医療機関同士のというニュアンスが非常に強くなってしまうように思います。

○桜井委員 「地域連携」です。

○山口委員 「地域連携」にしても同じです。私は、むしろ「社会」と広げておいたほうが良いと思います。ここのパートはがん患者が社会といかに共生していくかというテーマですので、「社会」を広い意味で捉えたほうがいい。「地域連携」と幾ら言っても、医療現場等では「医療連携」を強く意識してしまいますので。ですから、あえて「地域社会」という言葉を残したほうがいいと思いますけれども、ここは明らかな誤りではないので、皆さんの御意見がそちらのほうがいいということであれば、地域社会の関与は薄まるかもしれないが、その言葉をとっても悪くはないかなと思います。

○門田会長 「社会」のほうがいいけれども、譲ってもいいというような御意見でございました。

 そのほかの方で、皆さんどうでしょうか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 小児とかAYA世代は教育ということもかかわってきまして、実は何が大変かというと、退院してから学校に戻ったり、また、復学したり就学したりするときに、病気のことを説明したり、そういったところで、医療者と教育者が連携していただけるとすごくスムーズにいくのですけれども、スムーズにいかないというのは、お医者さんが説明してくださらないので、お母さんだけが説明すると、そうなのですか、そういうことはできませんと学校に言われてしまう。だから、地域社会というか、連携というのがすごく大事だなとはすごく思っていまして、これは在宅医療にしてもそうだと思います。皆さん、地域で医療を進める上でも、連携が今、すごく大事だと言われているので、連携という言葉はすごく大事だと思っております。

○門田会長 ありがとうございました。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 ありがとうございます。

 前回もお話しさせてもらったのですけれども、地域連携になるかどうかはわからないのですが、私も連携という言葉は絶対にどこかに欲しいなと思っていました。この「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」というところで、例えば行政であるとか、医療であるとか、患者、企業、教育者であるとか、そういったところの連携ということを、一つ文言として入れていただきたいと思います。

○門田会長 ここの共生のところは先生はどう考えますか。

○勢井委員 共生のところは、私も山口委員が言われたように「社会」がいいのか「連携」がいいのかというのは、ほかの皆さんの考えに任せたいと思います。

○門田会長 わかりました。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 「地域社会」か「地域連携」か、微妙なニュアンスとしては「地域社会」でもいいかなと思いましたが、皆さんの御意見に任せたいと思います。

 次のポイントとして、(4)と(5)を一緒にしたらどうかというご指摘に関してです。確かに考え方としてはあるかと思います。がん対策に関しては、特に年齢で区切るわけではないということで全般に考えなければいけない問題かと思うのですけれども、一方で、ライフステージという時間軸を設けたというのが、今のがん10カ年戦略の中の特徴であります。先ほど馬上委員も指摘されていましたけれども、これは年齢によって見過ごされやすいものがあるかなと。例えば典型的なAYA世代というのは見過ごされてきたということもあります。時間軸を設けて問題点を2次元的に把握していく、あるいは3次元で把握していくというところは、意識したほうがいいのかということで、(4)と(5)は分けて、もちろん同時に考えていくほうがいいのかなと思いました。

○門田会長 それでは、待ってくださいね。先ほどの(3)については「連携」でもいいのかなという意見で。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 若尾です。

 両方入れたらいいのではないですか。「地域社会におけるさまざまな分野との連携による患者支援」というような形にすれば、地域社会におけるいろいろなソース、資源が連携する、そのことによって患者支援をするという形が読み取れますので、両方入れてしまえばいいのかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○門田会長 大江委員、お願いします。

○大江委員 同じ意見で「社会との連携によるがん患者支援」だとか、そういうようなニュアンスにされてはどうかと。

○門田会長 若尾委員がおっしゃったのは。

○若尾委員 「地域社会におけるさまざまな資源との連携」、そこは医療も入るかもしれない、介護も入るかもしれない、患者団体や支援団体も入るかもしれませんけれども、そういった地域社会におけるさまざまなソースがあると思うのです。そういうものが連携するというようなこと、本文の中では拠点病院と地域との連携とか、そういった形で入っていますので、「連携」の文字をここに、どういった文脈にするのかは文才のある方がお願いします。

○門田会長 わかりました。

 それでは、この件については「社会」と「連携」というのを、両方の単語をうまく結びつけてやるということを、事務局に宿題としてということでよろしいですか。

 そうしたら、その次は、今、出てきました(4)と(5)、これはまとめるのか、別と考えておくほうがいいのかということについて、いかがですか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 桜井委員のおっしゃることは本当にそうで、年齢や地域、全部包括的に一番効率よく患者家族を支えるということは非常に大きな命題だと思うのですけれども、中釜委員がおっしゃったように、横軸というのですか、縦軸というのですか。横軸が医療かもしれないのですけれども、縦軸のライフステージというところが、今回初めて入ってきたので、本当に桜井委員のおっしゃることは理想なのですけれども、ライフステージに応じたがん対策ということで、その注目をしていただきたいとは私は思っております。

○門田会長 ありがとうございます。

 檜山委員、お願いします。

○檜山委員 ありがとうございます。

 私も今の馬上委員の御意見とほとんど同じなのですけれども、今の(3)は、恐らく「社会」という言葉も非常に重要なキーワードで、横の広がりで患者さんをこういう形で共生する、それで、支えていくという分野であり、(5)は縦軸なのです。中釜委員がおっしゃったように、ライフステージは時間軸によって共生の仕方が異なっているということを、きちんとこの3期では表に出すという意味では、(3)と(5)という形で縦と横と。(4)というのは、恐らく社会的に就労が非常に重要な問題だということで、先ほどの重点項目ではありませんが、そういう形で項目立てがされていると考えていただければといいのかなと思うので、私はこのままでいいのではないかと思っています。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 よく考えると、がん対策基本法の改定の第2条の7項に、ここで「連携」という言葉が実は使われています。これで皆さんが連携ということをいろいろおっしゃっているのだと思うのだけれども、「地域連携」がふさわしくないと私は思っているのです。ですから、先ほど宿題が事務局に振られましたけれども、「社会連携」と言っていただければ、全部片づくかなと思います。「社会連携に基づくがん患者支援」というテーマにしていただければと。地域に絞ってしまうと、例えば全国的な患者会とか、そういうものが含まれなくなる場面が出てくるのです。ですから、改正法を念頭に、「社会」という言葉をさらに生かし、「連携」という言葉を生かすのであれば、先ほどの言葉が適切かと思いますので、もう一度御意見を申し上げさせていただきました。

○門田会長 それも含めてですね。

 審議官、お願いします。

○大臣官房審議官(がん対策担当) 事務局からの発言で恐縮ですけれども、今、「社会連携」という御指摘もいただきましたので、皆さん、それでよければ宿題が1つ減るので助かりますので、よろしくお願いできればと思います。

 2点目の(4)(5)の話は、何人かの委員の方からも御意見がありましたけれども、(4)では基本的に就労と就労以外ということで、全体的な支援を書き分けてあって、それから、これまでの議論で、(5)では特にライフステージに特出しして、小児の部分、AYA世代、それから、高齢者の部分についてはもうちょっと書こうということで分けて書かれたので、事務局で(5)のところで(小児・AYA世代、高齢者)と消していますけれども、「ライフステージに応じたがん対策」と書いてあるのであれば、ここも残して強調して書いておけば、(4)で全体的なことが書いてあって、(5)で世代のことが書き分けているというメッセージが伝わるのではないかと思うので、それも含めて御議論いただければと思います。

 ついでに、3点目に御指摘があったロードマップと目標のところは、皆様の御意見を踏まえて、内容的には変わらないのですけれども、くっつけるのならばくっつける、別々ならば今までどおりということで御議論をいただければと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 「社会連携」ということで、社会と連携をというのを一気に「社会連携」に結んでしまったのですが。

 細川委員、お願いします。

○細川委員 山口先生の御意見に賛成なのですけれども、「地域連携」という言葉が、結構どこの現場にも行き渡っています。ですから、もし可能であれば「地域・社会連携」とのように両方入れていただくわけにはいかないものでしょうか。現場は地域連携システムとか、地域連携室とか、このタームで多くができています。先生のおっしゃる全体を広く見れば「社会」ですけれども、「地域」も残していただけたほうが現場はわかりやすいかなという気がいたします。

○門田会長 山口先生の意見では、地域連携という地域ではなくて、トータル社会全体として物を見るというメッセージ的な形とおっしゃったと思うのですが。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 私が申し上げているのは「地域連携」という言葉はかなり限定的な言葉に、先生がおっしゃったように皆さん思い浮かべるので、この社会の連携という、今度の改正法で出てきたコンセプトを強調したいと思います。今までのコンセプトとは全然違う、社会のさまざまな部門の連携という言葉が出てきているので、それをぜひ強調したいという意味を私は込めて言っているのです。「地域・社会連携」でも「社会」が弱まってしまうので、私は余りいいアイデアではないと思いますが、事務局にお願いしたいと思います。宿題がもう一回ふえて。

○門田会長 事務局も困ると思うので、いきましょう。「2.がん医療の充実」のほうでは、大きなこれからのチーム医療という考え方ということもありました。今度の社会、地域というのも、地域ということよりも社会ということに広げるという山口委員の御意見をいただいて、これはもう「社会連携」ということに決めませんか。

 よろしいですか。

 では、事務局の宿題はこれで終わりました。

 (4)(5)は、これも別個にいくという意見のほうが多かったのですが、そして、それに加えて、さらに括弧が消されているけれども、これはあえてここで強調したらという審議官の意見でしたが、これについてはどうですか。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 先ほど、中釜委員のほうの説明ですごくクリアになった部分はあると思うけれども、それでも、やはり妊孕性は落ちてしまっているのです。なので、分かれることがないように書いていただきたいと思います。今、文章のほうを見ると分かれてしまうのですね。落ちてしまう患者さんがたくさんいる。特に、妊孕性の話は本当に女性にフォーカスされていて、男性がごっそり抜けてしまっているのです。この協議会の委員の中でも男性の方はたくさんいらっしゃるのでわかると思うのですけれども、本当に、みんな男性の患者さんは悩んでいるのです。そのことをしっかりと明記していただきたいと思っています。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 事務局でございます。

 先ほど男性側の生殖機能の温存という意味では、57ページをごらんいただければと思いますけれども、こちらに就労以外の社会的な問題のところで、35行目ですが、診療早期における生殖機能の温存や、後遺症、性生活に関する相談支援、情報提供の体制が構築されていないと、ここで課題として書かせていただいておりますし、それを受けて(取り組むべき施策)として、58ページの33行目に、生殖機能の温存等について的確な時期に治療選択ができるようあり方を検討すると書かせていただいています。決して女性だけではなくて、生殖機能の温存という形で男性についても配慮させていただいていると整理しております。

○門田会長 そうすると、ここについては、(4)(5)個別にする。

 それから、括弧の中をどうするかというのは、なくてもいい。桜井委員の意見はそうだった。括弧に3つだけ書くのだったら、書かないほうがいいと。

○桜井委員 それだったら今のままでもいいのかなと思いますけれども、ただ、本当に移行期の話が全部落ちてしまう。例えば新規就労の話についても、それはAYAに書いてあるからいいでしょうではないので、ちゃんとそれは書いていただきたいと思います。その上で特出しをしていただきたいと思っています。

○門田会長 ということで、これは事務局、引き受けて大丈夫ですね。基本的にはこれを受けて、内容的な。

○がん対策推進官 基本的な総論的なところを(4)は書かせていただいて、本当にライフステージに応じた特別な事情に対する社会的な支援については(5)の中で書いていくということでやってみたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

 それでは、この第3のところの5.と6.をどのように書くか、PDCAが半分ずつに分かれているのではないのかという御意見でしたが、ここのことについてどなたか御意見はございますか。

 この内容で確かに両方関係してくるといえばそうで、一つにまとめてもいいのかなと思いましたが、まとめる方向で事務局で案をつくるということで、皆さん、よろしいですか。

 では、そのようにさせていただきます。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 1点だけ、大学関係者の方にお聞きしたいのですけれども、たしか川本委員から、人材育成の場所なのですが、ここが前に出たときに、人材育成も大切なのですが、その基盤、育てる側のほうも大切なのですというお話が出たと思うのですけれども、これは人材基盤、育成基盤という言葉とか、育成機能という言葉が必要とたしか川本委員は使われていたかと思うのですが、それはなくてもいいのですか。大学教育にかかわられている委員の先生がいたら、ぜひコメントをいただきたいのです。

○門田会長 中川委員、お願いします。

○中川委員 がんに関しては、文部科学省の医学教育科がやっている、いわゆるがんプロ、第3期のがんプロに、今、入ろうしているところですが、これは非常に重要で、これは医師に限りませんけれども、がんにかかわるプロフェッショナルの医療者を育てるという意味では人材育成の中に入っていると思います。これは本文の中でどう書くかはあれですけれども、この中ではいいのではないですか。

○門田会長 よろしいですか。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 先ほど私が言った連携というのは、がんとの共生だけでなくて、例えばがんの予防のところ、がんの1次予防、早期発見、がん検診であるとか医療の充実のところにも、行政とか医療者、患者、企業、教育、そういったところの連携がしっかり要るのではないかということで発言させてもらったのです。ですから、この「第2 分野別施策」の3.のところにある連携とはまた違った意味での連携ということで理解していただけたらなと思うのです。

○門田会長 そうしますと、この第3のところに入れるということですか。

○勢井委員 ぜひ入れていただきたいと思います。

○門田会長 どういう連携にしますか。連携だけでは。

○勢井委員 言葉ですか。私は下手なのですが。

 このがんの1次予防とか、今、たばこのほうは(P)ということになっていますけれども、徳島においては、教育・医療・患者・行政等の関係者が、一緒になって教育現場でやってきた成果が多分出ていると思います。喫煙率については、女性は全国で1位、男性は京都、奈良に続いて第3位の喫煙率の低さにまでなりました。2010年は大学だけでしたけれども、2011年から高校と、一部の小中学校で出前講座という形で行って来ました。ここへ来る前に、全県下の小中学校のほうにも一緒に連携してやろうということで、県の教育委員会を通じてそういった文書を回してもらったところです。

 ですから、書き方はうまいこと私はよく言えないのですけれども、がんの予防を進める取り組むべき施策というところに必ず連携ということを、行政だけではなく、患者団体だけではなく、教育、医療、様々な企業と連携をもってやるという文言をぜひ入れていただきたいと思います。

○門田会長 審議官、お願いします。

○大臣官房審議官(がん対策担当) 項目としてではなくて、中身に入ってしまいますけれども、71ページに第3の最初の書きぶりのところが5行あるのですが、ここで基本的に連携が重要だということは書かせていただいていて、書きぶりが足りなければ、もちろん要るのですが、それで、それぞれ国民の努力とか患者団体との協力とか個別に書き分けているので、そこの最初の5行のところ、例えば3行目からですけれども「がん対策の推進に当たっては、国、地方公共団体と関係者等が」という「関係者等」というところがわかりにくければ、もうちょっと教育の関係の人とか企業とか、はっきり幾つか例示で書いて、そもそも第3に限らずですけれども、計画を進めていくのに連携が大事だという趣旨がはっきり出るようにここのところに書き込めればいいのかなと事務局では思っているのですが、いかがでしょうか。

○勢井委員 私は、1ページで大体大まかなことがぱっとわかるというのが非常にわかりやすくて良いです。ですから、この1面のところにぜひ一言入れていただきたいとは思うのです。この素案の中にまず入っている。そして、さらに今、71ページでしたか。こちらにも必要な事項ということで入っているということにしていただけたらと思います。何とかぜひよろしくお願いします。

○門田会長 道永委員、お願いします。

○道永委員 勢井委員のおっしゃることは何となくわかるのですけれども、第3の2.患者団体等との協力とありますね。ここの「等」という中には、たくさんの関連団体が

入っていると思うのですが、そこに「協力・連携」という言葉を入れたらだめですか。ちょっと違いますか。

○勢井委員 違うのです。患者団体だけではないのです。教育者であるとか、医療関係者であるとか、企業であるとか、もちろんメディアの皆さんもそうですけれども、そういった方々と一緒になってやりませんか、やりなさいというか、そういうものが私は言葉として欲しいのです。

○門田会長 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 各論になったときに言おうかなと思っていたのですけれども、今、全体を見ると「民間団体」とあったり、「患者団体」とあったり、片方が書いてあって片方がなかったり、片方が書いてあって片方がなかったりしているのです。だから、これも民間団体という言葉の中の定義、これは改正案の中でも定義づけられていますので、多分、勢井委員がおっしゃったことは全部入っていると思うのです。

 ですから、「民間団体、患者団体の連携について」とか、「民間団体、患者団体の活動を」とか、全部併記するような形でやっていったらいいのではないかと思っています。多分、それは予算出す、出さないという話ではなくて、法のこの計画の中に位置づけることで民間団体は動けるのです。サスティナビリティーということを考えていったときに、民間の活力の導入はすごく重要なので、そういう点で位置づけてあげるということは大切なのではないかと思います。

○門田会長 そういうことですか。勢井委員が言っているのは、いろいろなところでいろいろなものが全て連携しろと、それで物事を行ってはというように聞こえたのですが。

○勢井委員 そのとおりです。先ほど言ったように、がんの予防だったら行政だけではない。その中には教育者も、医療者、患者、メディアの方、いろいろな方に入っていただいてやると、それこそずっと広がると思うのです。

○門田会長 そうしたら、先ほど事務局の宿題が全部解決したので、事務局でもう一回勢井委員の御発言と単語が出てくるのかどうか検討してもらうということで、ひとまずそれはここで置かせてもらってよろしいですか。

○桜井委員 もしくは、全体目標に「国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」と書いてある。これではだめなのでしょうか。

○勢井委員 だめです。わかりにくい。

○門田会長 中川委員、お願いします。

○中川委員 私もがん教育にずっと携わってきましたので、勢井委員のおっしゃりたいことは何となくわかるのです。例えば教育現場とか、法律の改正のほうには、実は事業者と結構入っているのですが、ここの中に事業者がないですね。企業も、例えば「学校、教育現場、企業等」とか、そういう言葉が入ると、多分、勢井委員のおっしゃりたいことにつながるのだと思います。もしあれでしたら、事務局と勢井委員と私とで相談させていただきます。

○門田会長 秋山委員、お願いします。

○秋山委員 この第3の青いところの「がん対策を総合的かつ計画的に」という中に、その概念は全部含まれているのではないかと思って見ているのです。後ろのほうの文章の書きぶりの中に、きちんともう少し趣旨を書き込んでいただいて、この総合的という意味合いが、本当に総合的かつ計画的というか、包括的にかかわる施策を届け、頑張ってくださいよという内容だと思うので、そこの解釈をきちんと書き込めばいいのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。

○門田会長 ありがとうございました。

 勢井委員、皆さん、こういう御意見なので、そういうことで読み取ってもらう。それから、本文のところでもう少ししっかりと書き込むということでよろしいですか。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 勢井委員のおっしゃることは、皆さん何となくわかるというのは、すごくわかる。私もわかるのですが、各ステークホルダーががっちりスクラムを組んで全力で向かっていくというような、そういったニュアンスをどこかに入れたいというような気持ちを私は受け取っているのですけれども、総合的とか国民の努力になってしまうと、個人とか社会の責任みたいになってしまうので、そのステークホルダーの自覚や連携やスクラムというところをどこかに醸し出していただけたらと私も思うのです。

○門田会長 概要の中にということですか。

○桜井委員 そういう一体感の欠落が文章の中のことにも及んでいます。皆さん読まれているので、そういう何かもやもやした感覚を持つと思うのですけれども。そこが落ちているのです。もっとここを入れていけばもっとうまく回るのになというところがちょこちょこと全部落ちていっているのです。最終的に全部見直すときに、きちんと企業や教育機関なども入るような言葉を入れていっていただきたいと思っております。

○門田会長 いろいろな意見をいただきましたけれども、全体的に、全てのところの連携ということが基本に入っているもので、皆さん、いろいろなところに入っているのは全部承知で、勢井委員が単語としてとおっしゃっておられるのですが、皆さんの理解は、大体全体に入っているという理解だと思います。文章のところでもう少しわかりやすく書くと、桜井委員がおっしゃっておられるようなことに注意しながら、そうすることにして、今回は申しわけないけれども、連携というのはこの概要のところは加えるということはしないということでいきたいと思います。ごめんなさい。

 勢井委員、お願いします。

○勢井委員 もう一言だけ。今までの10年間、がん対策が進まなかったというか、余り進んでいない。それは書きぶりにも私は問題があるのではないかと思うのです。どういったところが連携してやるということをはっきり書いておくと、今後の6年間しっかりと物事が進むと思うのです。私が言っていることはおかしいでしょうか。総合的にはどうだということではなくて、先ほど馬上委員から各ステークホルダーがスクラムを組んで、みんなで協力しようということでできると思うのです。ただ皆とはどこまでを含めているのかハッキリと書くべきです。もやっとした書きぶりでは、進まないと思います。

○門田会長 とはおっしゃっていただきましたが、時間の関係もありますので、多くの皆さんはこの中に読み込まれているという理解だと思いますので、申しわけないけれども、これはそのようにさせてください。よろしいですか。

 それでは、概要は相当時間がかかったので、個別の具体的なほうにも入っていきましたけれども、次に進めたいと思います。

 まず「2.がん医療の充実」のところの終わりまでで区切って、その前と後でやりたいと思います。

 個別の問題に入る前に、私から発言させていただきたいと思いますのが、先ほど力を込めてしゃべり過ぎましたけれども、今のこの10年の反省、勢井委員のおっしゃるような反省もあるのですが、もう一つの反省というのは、先ほど言いましたが、我々が対策と言いながら、医療面のほうは具体的に動き始めたけれども、いわゆる社会的な対策ということ、禁煙を含めて、そういうところにいっていなかった。死亡率が進み、下がりどまっているということから考えて、今回この「第1 全体目標」の中に1次予防、2次予防と入れている。

 そのときにいろいろなディスカッションがあったのですが、この「はじめに」を読んでみますと、余りそこのところが強く書かれていないのです。今までと同じような感じで、そこのところの内容がないと、今回のこの第3期の基本計画の特色というのか、考え方の基本が少し入りづらいと感じます。

 これは皆さん、どう感じられたのかわかりませんが、私とすれば、先ほども言いましたけれども、年齢調整をかけても日本ではどんどん罹患率が上がっているということ、そういうことを表に出して、ここを見ますと、文章が1ページ目の下から31行目「死亡者の数が今後とも増加していくことが見込まれる」と。見込まれるのではないのです。現実にこれは起きていることなので、もう少しこれをしっかりと書き込む必要がある。

 それと同時に、年齢調整罹患率が、罹患の数が高齢者でもってふえているという表現になっていますけれども、そうではなしに、年齢調整をかけてもふえているということは認めざるを得ないと思うのです。ですから、そういった意味において、この罹患というところ、がんにかからないというところを今回はしっかりと書くから、「第1 全体目標」に挙がってきているという精神がわかるように「はじめに」のところを書き加えてもらわないと、今回の全体をあらわすことができないのではないかと思いました。ということが一つです。

 それから、「第1 全体目標」のところの一番最初の行を読んでも、「がん患者を含めた国民が、がんの克服を目指し、様々ながんの病態に応じて、尊厳を持って、いつでも、どこに居ても」云々となっています。これはがんにかかった人からスタートしているのです。そして、その次の文章が、がん予防と入っていますから、つながりがおかしくなってくる。

 前にお話ししたとおり、今、我々は人口分のがん死亡を考えているのであって、そういった意味においてということを、今回はそこを重点にするのだということがもう少しわかるように書き加えるべきではないかと思うのです。

 先に私の意見を言わせていただきましたけれども、そういうことを思いました。

 ついでに、それと同じようなことになるのですが、この検診受診率のお話ですけれども、検診受診率もうまくいっていないことは書かれていますが、ヨーロッパのほうでうまくいっている現実もあるわけで、1990年ごろから死亡率が下がってきていますね。少なくとも乳がんなどは。そういう先行例があるわけですので、もう少しそれを入れて、我が国の任意型ではなくて対策型の検診ということで置いていますけれども、前にここへ来たがんセンターの斎藤先生からも、しっかりとした組織型検診の必要性、重要性ということもお話しいただいた。もう少しここのところを前向きに書いて、それにどういうように取り組むという表現にするのかどうかは別としても、そういう成功例についてはこの中に入れていくという姿勢が必要なのではないか。そうしないと、10年間全然進んでいないことが、同じようなことに終わるというのは非常に残念に思いますので、ぜひこれは書き加えるべきではないかと思います。

 済みません。司会者が先にしゃべりましたが、38ページまでについて御意見を頂戴したいと思います。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。

 まず、門田委員がおっしゃったように、最初の「はじめに」というところの2ページ「今後は、基本計画に基づき」というところの中に「1次予防、2次予防の視点を重視し」というような文言が必要かと思います。

 そして、さらっと読んでいくと、たばこに関するところは(P)という形で、これは私は勝手に「Point」と解釈したのです。そこを重要視していくという形で、きょうは多分、たばこに関しての議論は深くはできないと思いますが、たばこを外しては予防の話はできませんので、ここの「はじめに」の中に、1期、2期を見据えて3期は予防、がんにならない人、それから、がんの早期発見に力を入れていくのだ、そして、その上で別途、今まで手薄だった希少がんや小児がんや難治性がんの対策もするというような前振りをした上で、次の「第1 全体目標」に進んでいくというようなことがいいと思います。

○門田会長 ありがとうございます。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 まず最初、予防のところに関連してなのですけれども、門田会長がおっしゃることも全て賛同します。本当にこれは読んでいて、従前そのままではないかというところが結構あって、本当にこれは力を入れたいことなのかなとすごく思いました。

 私は、意見のほうでも書いたのですけれども、Cancer Moonshotでも、予防の部分は入っているのです。前に中釜委員から御意見がありましたが、そこの部分ではなくて、インプリメンテーション、いわゆる介入、予防研究みたいなところです。

 それから、門田会長も臓器移植のほうをやられているからわかると思うのですけれども、いわゆる行動心理学とか、そういう他領域のアイデアを入れながら、予防はアプローチしていくことが物すごく重要なので、そういうところもきちんと書いていっていただきたいと思います。

 たばこに関しては、先ほど若尾委員はこれを「Point」と言われましたが、私は「Problem」ととったのですけれどもね。たばこ対策に関して待っていてもしようがなくて、厚労省単体でできることはあるのです。それで私が言いたいのは、例えばどこの企業を選ぶか、就職先あるいはアルバイト先でどこを選ぶかといったときに、安全配慮義務というものを企業は持っているわけで、その中の一項目として自分たちの就労環境の禁煙環境はどうなのかを例えば求人票に書くとか、これは労働局と一緒にやっていけばできる。がんの患者さんなどは、私たちも電話相談を受けていて出るのですけれども、転職するときに入ってみたら煙がもくもくで物すごく嫌だったという患者さんたちが実際にいるのです。ですから、そういうことをちゃんと求人票に明記するようにするとかというように、入り口からちゃんと選べるというところも、これは厚労省単独でできると思うので、ぜひ、そういうところも調整していっていただきたいと思っています。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 幾つかあるのですが、まず、全体目標の言葉の問題なのですが、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」、これは日本語として据わりが悪いと思うのです。これは前回出た話ですけれども、「克服」という言葉が、目指すのはいいけれども、それは必ずできるわけではないということはあるわけです。そういう意味では、資料5の田中委員が出されておられる7ページ目です。これはさすが記者さんだなと思ったのですが、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんを克服できる社会の実現」、これがいいのではないですか。向き合うという言葉を入れることによって、克服ということの100%できるのではないかというところが少し薄れますし、また、気持ちの上では克服したいわけですから、この田中委員のワーディングがいいのではないかと、私もちょうど同じ言葉を思っておりました。

 それから、門田会長が言われた「はじめに」のところの書きぶりが余りというのは、私もそう思っておりまして、そもそも、もともとの大目標の75歳未満年齢調整死亡率20%減ということができなかった。そこは大きな問題ですね。そこは事務局としては書きにくいとは思うものの、国民としては、そこをどうしたらいいのかということから出発せざるを得ない。かつてがん研究センターの若尾センター長が発表されたこともありますが、何でできなかったのかというと、喫煙率が下がらなかった、それから、検診受診率が上がらなかった、この2点が非常に大きいわけです。そういう意味では、そのことを書いた上で、そうすると門田会長がおっしゃったような1次予防、2次予防のところが最初に来ていて、非常に据わりがいいのではないかという気がいたします。

 最後に放射線治療のところです。資料4だと20ページです。ここで、前回も申し上げましたし、資料5ですと11ページに私の意見が書いてございますが、同時にほとんど同じことを山口委員が書かれています。20ページに山口委員にお書きいただいた「IMRTの診療体制強化及びそれに伴う医学物理士の養成」、この医学物理士が、日本で国家資格かはともかくとして、ここが実はなかなか雇用できにくい体制があります。人材育成という点では、ここが非常に放射線治療の肝になっているところでありまして、ぜひ追加で記載していただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 中川委員の御意見、我々も御意見として承っておりまして、一旦、ここの案の中で、20ページの(取り組むべき施策)の中で、28行目になるのですけれども、「必要な人材についての体制整備を検討」という形で受けて、このように書かせていただいているところではございます。

○中川委員 その中に、多くの委員の方々が医学物理士というものが必要だということは恐らく想起されているはずなので、具体的に「医学物理士等」という言葉を入れていただきたいということです。

○門田会長 一番冒頭におっしゃった「克服」、あれはここで相当ディスカッションしていて、向き合うということで非常に苦痛を感じているというお話がここであって、向き合うのは患者の立場からすると相当きついのだということで、知ることと克服にしたのですが、申しわけないのですが、日本語がおかしければともかくとして、このままいかせていただきたいと思います。

○中川委員 わかりました。

○門田会長 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 細かい何行目に何を入れろというのはたくさんになるというか、各論になったり、誤字の訂正なども入ってくるので、送りたいと思いますので、次回の協議会のときにそれはそのまま出してください。

 大きな箱として意見なのですけれども、18ページ、ここにいきなりHTAの話が出てくるのです。Health Technology Assessment、この話について言及するのであれば、欧米、カナダ、お隣の韓国、台湾、これらは全て臨床試験の立案段階からコスト意識を持ってやっていっているのです。この効率化や治療の最適化に向けたバイオマーカーの探索とか、閾値の設定の透明化ですとか、薬価算定のシステムの話とか、あるいはアプレイザルの場面に患者が参加することとか、こういうことも全て書かないと片手落ちだと思っています。

 私は資料5の3ページのところにも意見として書きましたが、私はこれは中医協のほうのマターなのではないかと思ってはいるのですが、中医協で検討されている費用対効果のアプレイザルのあり方に関する検討の模擬パネル、ここにも患者が全然参加していない。これはNICEにおいても他の欧米各国でも、全部患者さんは2名入っています。なので、HTAを書くのだったらこういうことをきちんと書いていただきたいと思います。そもそも高いとか高額な、それが一体何をもって高額と言っているのかということ、これをちゃんと明記していかなくてはいけない。患者を入れること、患者の声を含めてというような言葉をしっかりここは明記していただきたいと思っています。

22ページに薬物療法、免疫療法のところが書いてあるのですけれども、ここに関しても、的確なタイミングで、的確に患者を選別して、的確に使用していくことがすごく重要で、それが私は真の個別化医療の実現だと思っています。「効率化」という言葉を、命に関することに使うというのは、ちょっとおかしいのではないかと思っています。効率化というのは臨床試験の効率化だったり、そういう部分であって、命に関しては「的確」というようなものでしたり、「適切な医療」とか、そういう言葉を私は使っていただきたいと思います。

28ページに、希少がん、難治性がんの部分が書いてある。これは今回法律にも位置づけられて新しく入ってきたことなのですけれども、希少がんに関しては小児がんの体制整備をモデルに従った書きぶりがあるのですが、この書き方が、難治性がんに関しては、いま一つ見えてこないのです。難治性癌では、早期発見の大切さですとか研究開発の推進、こういうことがすごく重要ですが、あちこちにこれが散らばってしまっている感じなのです。全部を読むとわかる、研究の部分を読むと難治性がんが出てくる、そういうようになってしまっているので、他のページの部分でも、何か難治性がんの取り組みなのかきちんとわかるように、ゲノムなどもそうなのですけれども、主語を明記していただきたいと思います。

 それから、37ページ、ドラッグ・ラグについて書いてあります。これはこのまま読むと、ドラッグ・ラグはもう解消されているからいいですね、患者申し出をどんどん使ってくださいみたいに読み取られかねないのです。意見書にも私は書きましたけれども、難治性や希少がんに関しては、小児がんも含めてなのですが、まだまだドラッグ・ラグは残っています。患者さんは本当に苦労していますので、例えば再生医療のほうでやっている先駈け承認の仕組みですとか、こういう仕組みまで踏み込んでしっかり記載していただきたいと思っております。

 あとは、細川委員にお聞きしたいのですけれども、緩和ケアについても適応外薬ですとか、いろいろな問題があると私は認識していて、前に質問したときに、学会のほうで整理しますというお話だったのですけれども、そのあたりの言葉が一切入っていませんので、もし入れる必要があるのだったらぜひ入れていただきたいと思っています。

 以上です。

○門田会長 1つだけ、今の話題の中で文言の間違い、「てにをは」の間違い、これはおっしゃっていただきたいと思うのですが、そのほかの意見として、今までやってきたメールによって寄せていただいたりというのは、時間の関係でこれはもう今回はなしにさせていただきたい。ただし、文言のことを一々ここでディスカッションするようなものでないものは挙げていただいたらと思いますので、それはよろしくお願いします。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 私から3点ほどです。まず最初、3ページ目のがん予防・がん検診の充実のところです。これに関連するところを読んでいくと、この最初の3ページには「検診体制を構築し、がんの早期発見、早期治療を促す」と書いてあるのですけれども、全体の書きぶりは精度管理された検診というところに重きが置かれています。それが重要なことは間違いないと思うのです。

 ただ一方で、前回にも議論になり、今もご指摘があったのですが、いわゆる難治がん、早期発見が困難なために難治がんになっているものは確実にあります。例えば、胃がんをとってみても、確かに死亡率は低減しているのですが、進行性の胃がんの発生率や死亡率には必ずしも十分な効果がない。こういうコモンながんであっても、悪性転化をたどるようながんのきちんとした早期発見技術が十分でないというところがあるので、そこが十分に盛り込まれていないかなという印象を受けます。

 そうすると、どこに書き込んでいいのかなということなのですけれども、例えば、がんの2次予防のところですので、早期発見ですと10ページ目から始まる(2)がんの早期発見、がん検診のところで、早期発見が困難なために難治がんになるというところがどうも酌めないところがあるので、例えば11ページの2のところのがん検診の精度管理等についてのところに精度管理だけではなくて、例えばがん検診の技術向上とか、技術革新などを入れて、それによって従来早期発見が困難であって難治に至ったものを救う。そういうことが書かれるといいのかなという印象を持ちましたので、御検討いただければと思います。

 2点目は、7ページから始まる感染症対策に関してです。HPVに対するところの記載を読んでみると、これはこれまでの議論の中にもあったかと思うのですけれども、十分に書き込まれていない。例えば、8ページ目の(取り組むべき施策)のところには「国は、科学的知見を収集した上で検討する」とまでは書いてあるのですけれども、検討してどうするのだというところをもう少し踏み込んで書かれてもいいのかなと思います。それができる、できないということはこれから十分に検討しなければいけないと思うのですけれども、ただ検討するだけだと、協議会の提案としては不十分かなという印象を受けます。

 それから、たばこのところ、少し戻りますが7ページの受動喫煙の記載です。ここも確かに今は十分な議論ができていないという御指摘があったのですけれども、協議会として、さらに昨今の議論として受動喫煙による健康被害を避ける、なくすということは議論されていますので、受動喫煙が健康被害を及ぼすということは十分に共通の理解かと思います。この3行目、4行目は「健康増進法による努力義務の規定よりも実効性の高い制度とする」と少し曖昧なので、例えば「社会から受動喫煙をなくすことを目標にする」とか、そういう書きぶりでも協議会の意見としてはいいのかなと思いましたので、以上、3点です。

○門田会長 ありがとうございました。

 大江委員、お願いします。それから、若尾委員、お願いします。

○大江委員 無理を承知で1つだけコメントさせていただきます。先ほど、事務局も言われましたように、今の段階でたばこに関する議論をするということは非常に難しいというのは重々承知しています。ただ、9ページの受動喫煙のところの【個別目標】を見ると、飲食店においての受動喫煙の率を15%とすることを目標にすると、書かれていて、恐らくこの協議会のメンバーでそう思っている方は誰もいらっしゃらないのではないかと思うのです。本来であれば、その上にある行政機関、医療機関のところに並列に飲食店が入るというのが、多分ここの協議会の皆さんの総意だと思うのです。

 少なくとも、ここの協議会で案として出すときには、そういう案で出していただいて、それがどこかのレベルでまた変わるということはやむを得ないと思いますけれども、そういう意思表示だけでもさせていただけないかという、私の意見です。

○門田会長 多分、皆さん同じ意見ではないかと思います。

 若尾委員、お願いします。

○若尾委員 若尾です。

 まず、2次予防のがん検診のところですけれども、中釜委員のおっしゃったことと少しかぶるかもしれませんが、がん検診の精度管理等について、11ページに、新たにリキッドバイオプシーとか今までのがん検診とは違う視点も今後6年間の間に入ってくると思うのです。それで、このがん検診のあり方、精度管理等についてというところも、そのような視点を入れてほしいということが1点です。

 それから、12ページの5行目なのですけれども、(取り組むべき施策)として「指針に基づかない方法でがん検診を行っている市町村を公表する」という、いかにも悪いことをしているような顔さらし的な表現はやめていただきたいと思うのです。私は山梨県で27市町村しかありませんので、27市町村の基礎自治体としてのがん検診に向き合う態度を見ていますと、決して適当に指針に基づかないものをしているわけではなく、指針ではないけれども、これは取り入れたほうが住民のためになるというようなもの、例えばデンスブレストに対するエコー検診であったり、子宮頸がん検診に対するHPVの併用検診であったり、ヘリコバクター・ピロリに関する検診であったりするわけです。これが今後6年間のうちに、もしかしたら、それが当たり前になっていくかもしれません。当たり前になる一歩手前になるかもしれません。そのようなときに、基礎自治体の担当者の熱意を折るような「指針に基づかない方法でがん検診を行っている市町村を公表する」というような言い方は、私たちのこの計画の中に盛り込んでほしくないので、「指針に基づかない方法でがん検診を行っている市町村との会話とか連携を重要視し」とかという形に書きかえていただきたいと思うことが1点です。

 それから、今度は医療のほうに入りますと、先ほど桜井委員がおっしゃったことと重なるのですけれども、21ページあたり、(取り組むべき施策)として「外来薬物療法をより安全に提供するために、適切な薬剤の服用管理」という言い方がありますけれども、ここは、きちんとその薬剤に対する精度の高いバイオマーカーが開発されているものに対しては、それをしっかり使えるような体制整備を行っていくというような視点。これは免疫療法のほうにもつながってくるのですけれども、昔、肺がんのときにあったイレッサのような形のことを繰り返さないためにも、適切・適正な使い方ができるということがある程度わかっている精度の高いバイオマーカーという言葉を入れてほしい。もしそれがないのであれば、後のほうに研究開発が出てきますけれども、「研究開発の推進をしつつ」みたいな文言を入れたりして、きっちりと適切な薬剤を適切に患者に使用できる体制整備というものを、ここに書いてほしいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、それから、馬上委員、お願いします。

○山口委員 本文の明らかに誤りと思われる点を2点指摘させていただいた上で、あとでたばこのことについて申し述べたいと思います。

 まず誤り、10ページの(2)がん検診の最初の3行、これは間違いだと思います。対策型のがん検診の対象者は、現在健康と思われる一般国民、対策型の検診といえば年齢制限がそこに加わりますが、ここの罹患している疑いのある人や罹患していると判定された者に関して云々というのががん検診と書いてあるのは誤りなのですけれども、内容的には精密検診の文章ではないかと思いますので、この点を御確認いただきたい。これが1点目です。

 2点目、「拠点病院等」の言葉の使い方です。15ページの一番下の注釈、ここにこの基本計画における「拠点病院等」という定義がなされているのですけれども、この定義には小児がん拠点は入っていません。そうすると同じページ、14ページ、15ページ、例えばがんゲノム医療の中でほとんどが「拠点病院等」になっていますので、小児がん拠点はゲノム医療はやらないのかという誤った読まれ方をします。最後のあたりに希少がん、小児がん、難治性がんを初め全てのがんに対する治療開発を加速させるというところで少し出てきますけれども、それ以外の言葉は全て「拠点病院等」になっていますので、小児がん拠点は入れない。檜山先生がこれで納得されるとはちょっと思わないのだけれども、この点は多分ちょっとした誤りではないかと思います。同じような「拠点病院等」の使い方に関して誤っている場所が何カ所かあります。この点をぜひ御確認いただきたいと思います。

 それから、全般的な話で、きょうの進め方の中で、いろいろ事情があることはよくわかるのですが、たばこに関して「Point」だか「Problem」だかわかりませんけれども、ここをがん対策推進協議会でブラックボックスのままで、事務局、厚労省として何か決めて、これでやってくださいというのは、良くないと思います。門田先生が最初におっしゃった点も含めてです。ですけれども、事情もよくわかりますので、せめて「今後こういう進め方をしていく、委員の皆さんは承知しておいてくれ」ぐらいのことはあってもいいのではないかと思いますので、念のため。

○門田会長 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 本日の段階で、申しわけありません。(P)は「Pending」の(P)なのですけれども、書かせていただきました。次回、またこの部分については、今回の御意見と前回の御意見もあわせて案を示して御議論いただけるようにしたいと考えています。

○門田会長 ありがとうございました。

 これは皆さん、言いたいですね。

 きょうは3時間の時間の中で、いつも10分ぐらいの休憩をとっているのですが、ずっと御議論が続いているのですけれども、とったほうがいいのかなという気もします。この時計で55分まで休憩して、引き続きやりたいと思います。よろしくお願いします。

 では、10分弱ですけれども、休憩をとりたいと思います。

 

(休  憩)

 

○門田会長 それでは、引き続き進めたいと思います。

 ここでちょっとお願いですけれども、本日、今、前半部分です。とにかくきょうは全て終わらなければならないということから考えて、前半の部分をあと15分ぐらいでできれば締めて、後半に移りたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、勢井委員、お願いします。

○勢井委員 ありがとうございます。勢井です。

 先ほどの連携のところで、私は涙をのみますけれども、この資料4でそれをきっちり入れていただきたいと思います。

 まず一つは、たばこ対策のところです。(取り組むべき施策)、そこのところに企業、それから、教育、患者、医師そういったところと連携することで、たばこ対策をしていく。

11ページ、検診率向上というところで、ここにも同じような文言で入れてほしいと思います。連携を行って、そして、がん検診率を上げていく。必ずこれは上がります。徳島では2010年は大学だけでしたけれども、2011年からは高校、それから、一部の小中学校でやってきました。大体年間3,000人から4,000人です。その子供たちが大切な方へということで、はがきを書いてくれます。それによって、多分検診率も上がった。多分ではなくて実際に上がっているのですけれども、前に言いましたが、大阪府と最下位を争っていましたが、全国平均が見えるところまで来ました。

 また、たばこの喫煙率に関しては、先ほども言いましたけれども、女性は全国1位、男性は奈良・京都に続いて3位のところまでたばこの喫煙率は下がったという実績があります。ですから、必ず入れてほしいと思います。

 出前講座の後、子供さんから感想を聞くと、たばこは体に悪いということがしっかりと分かってくれています。だから、徳島は喫煙率が下がっているのかと思いますが、何でこんなに悪いものを国は野放しにしているのですかと、そういう感想とか質問が来ます。だから、きちんと先ほど山口委員が言ったようなところを示していただきたいと思います。

35ページ目の(9)がん登録のところなのですけれども、このがん登録というのは、私の提出資料にも書いてありますが、大きな3つの情報の活用ということがあります。国はこうしなさい、医療機関、研究者、それぞれ患者への相談支援であるとか、医療の質の向上であるとかが書かれています。この中で、今、院内がん登録を特に重視しているのですけれども、今のままであれば多分生きたがん登録にならないのではないかと思います。

 以前、山口委員からもサバイバー調査はしっかりすべきだという意見もいただきました。私もそうだと思います。この患者の体験調査等による患者視点からの評価とのひもづけ、これができると、非常に早く簡単に、今やっている医療がいいのかどうか、患者への相談支援、医療の質、そういったところもわかるようになるのではないかと思います。今のままだったら、このがん登録でわかるのは、治療実績数であったりとか病院のカラーはわかるのですけれども、患者が求めているのは、それではないのです。質のいい治療を受けたい、そのためには、患者も協力するけれども、病院関係者も協力してほしい。

 昨年の群馬大学の医療事故など、ああいうことはもし患者さんからの評価というか、意見というか、そういったことが調査できておれば、あのような事故は生じないと思うのです。なくなる予定がまたことしに入ってもあった。また何年か先にはばたばたとある。そこに何が欠けているのかというと、患者さんの調査、サバイバー調査がしっかりできていないところに問題があると思います。これは国立がん対策情報センターとも協力して、もちろん厚労省からの予算なども当然要るのでしょうけれども、毎年しっかりやっていただくことによって、生きたがん登録、がん情報、そういったものが患者さんに反映されると思うので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 その文言は、例えば36ページ、(取り組むべき施策)のところになるのですけれども、その際、がん登録データの効果的な利活用のため、レセプト情報とか、ごたごたあるのですが、そこのところに一言「サバイバー調査」とするか「患者体験調査」と入れるか、そういった文言を入れていただきたいと思います。

 私からは以上ですけれども、もしそんな調査をしなくてもきっちりできるよという意見がございましたら、伺いたいと思います。

 以前、がんセンターから若尾先生、東先生、徳島のほうに、このお二人もそうですけれども、松田先生にも来ていただき話を聞きましたが、どこかお茶が濁ったような感じで、すきっとしないまま来ています。ですから、この中にサバイバー調査もしくは患者体験調査とか、そういったことを入れていただきたいと思います。

○門田会長 ちょっとお願いがあるのですけれども、時間が非常に限られているので、ポイントをお話しいただきたいと思います。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 勢井委員がおっしゃったことは、非常に重要だと思うのです。せっかく改正基本法の中に、保険者、事業主、学校教育という言葉が入ったので、これを使わない手はないはずです。ですから、受動喫煙対策も事業主あるいは保険者、学校教育、検診もそうですね。がん対策推進企業アクション、これも今、教育ということにかなり注力していますので、ぜひ書き込んでいただきたいと思います。

○門田会長 馬上委員、先ほどから挙がっていますね。お願いします。

 短くポイントだけでお願いします。

○馬上委員 29ページのところなのですけれども、希少がんにも通じる集約化と均てん化のバランスについて、書きぶりを書き直していただきたいのです。

29ページのところに「集約化にも限界があることから」という「限界」という言葉が使われているのですけれども、私どもは5年で限界が来るのかなと不思議に思っておりまして、その次を見ますと「例えば脳腫瘍のように集約化すべきがん種と、ある程度の均てん化が可能ながん種を整理する」、これは一般の方がごらんになるとわからないと思うのですけれども、もう少し詳しく、難治性であって集約して治療開発をすべきがん種とか、ある程度の均てん化、標準治療が確立していて地域で診療が可能ながん種、そのようにもう少し詳しく書いていただいて、29ページの「限界」のところは、どのような限界かということも別にエビデンスがあるというわけでもないと思いますので、そこのところは削除していただきたいと思っております。

30ページの(取り組むべき施策)のほうの2ブロック目のところも「均てん化が可能ながん種や、必ずしも高度の専門性を必要としない病態」、これについてはもう少し詳しい説明を加えていただいて、明確に対策を推進していただきたいと思っております。

 それから、(10)医薬品・医療機器の37ページ、38ページのところ、先ほど桜井委員もおっしゃっていたのですけれども、5行目のところ「国は、新たな治療が特に求められている分野」、この「国は、」の間に「希少がん、難治性がん、小児・AYA世代のがん等」ということがたたき台には入っていたのですけれども、抜けてしまっているので、個別目標についてはもう変えられないのかもしれませんけれども、(取り組むべき施策)のところに、ドラッグ・ラグなどがまだ現存する希少がん、難治性がん、小児がん、AYA世代のがんというものがあるのだよということを示していただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 特に外出しするような必要性があるということですか。ゼネラルとして話を持っていくのではだめだと。

○馬上委員 そうですね。実際にドラッグ・ラグが激しいので、本当に小児はお薬がないのです。檜山委員もおっしゃりたいことはあると思います。

○門田会長 では、関連して、檜山委員、お願いします。

○檜山委員 今の桜井委員と馬上委員の御意見に賛同なのですが、先ほどの総論で、一応個別のところは書き出すのだけれども、きちんともとには書いておいてくださいということも確認できたので、馬上委員のおっしゃるとおり、そこに書き込んでいただくという、ドラッグ・ラグ等が非常に顕著な疾患ですので、よろしくお願いします。

 引き続き、2点ほどお願いします。小児がんのところの、先ほど30ページの(取り組むべき施策)というところの御指摘の1つ上のブロックですが、6行目の「新薬の開発を支援するための研究を推進する」という、よくわからない言葉が書かれているのですが、これは私が書いたのかもしれないですが、ここはおかしいので、「新薬の開発を支援する体制を整備する」という形にきちんとしていただく。本当は法的整備が必要なところなのですが、そこまでは施策としては難しいということで消されたのだと思うので、そういう形にしていただきたいと思います。

 先ほど山口委員に御指摘いただいた点は、非常に重要な点で、15ページから18ページあたりから「拠点病院等」という言葉が10カ所以上に出てきますので、そこはきちんと見直していただくということと、拠点病院の見直し、小児がん拠点病院の見直しも2年後には決まっているので、ここには恐らくそれを見込んで書かれているのだと思うので、そこはきちんと書いていただいたほうがいいかなと思っています。

 あともう一点は、遺伝性腫瘍については余り記載されていないので、少し記載をお願いできたらというところがあるのですが、がんゲノム医療のところだと思うのですけれども、16ページのところの14行目から「がんゲノム情報の取扱いや、がんゲノム医療に関する理解を促進し」というところも書いてあるのですが、遺伝性腫瘍あるいは家族性腫瘍に関しては、そういうことの取り扱いもきちんとしながら、がんゲノム医療を進めていただきたいと思っていますので、その辺を少し書き込んでいただくことが重要かなと思います。

 あと一点、NCDのところがあったのですが、19ページのところに、これは北川委員に聞いたほうがいいかもしれないのですが、私は小児外科学会の委員なので非常にありがたいのですが、16行目のところに日本外科学会と日本小児外科学会が書き出されている意味がよくわからないので、ほかの学会さんのあたりもどうなのかなということで、そこの書きぶりを少し検討していただきたいです。お願いします。

○北川委員 これは細かいことなので、ここで議論するべき大きな項目ではないので、しっかりここは事務局と相談しております。適正な記載に変えさせていただきます。

○門田会長 ありがとうございました。

 田中委員、お願いします。

○田中委員 ありがとうございます。

 2点申し上げます。まず全体的なことで、この委員会では、AYA世代のがん対策が大事だということを繰り返し議論してきたと思いますけれども、この「はじめに」とか「第1 全体目標」にはそういうことが全然言及されていないので、これは非常に問題だと思います。重点目標という書き方をしないということであれば、「はじめに」とか「第1 全体目標」で、AYA世代のがん対策などを含めた、先ほど門田会長は1次予防が非常に大事だということをおっしゃっていましたし、そういった重点目標ということを書かないかわりに、もう少し「はじめに」の部分なりに1次予防であるとかAYA世代のがん対策であるとか、ゲノム医療は多少言及がありますけれども、そういったものが新しい課題であって、特に力を入れていかなければいけないことなのだということがわかるような書き方にしていただきたいと思います。

 2点目はたばこ対策で、これは大江委員のおっしゃったように、飲食店における受動喫煙の目標が15%という表記のままでは、この協議会で議論してきた意味がありません。今、ペンディングになっているのは、自民党との案がまとまらないということだと思いますけれども、なかなか見通せないのだと思いますが、それはどういうような経緯になっても、次回の協議会では、この協議会での議論を踏まえた内容に変えていただく、そういう理解でいいのでしょうか。

○門田会長 事務局、答えられますか。

○がん対策推進官 御意見は承りましたので、受けとめて検討させていただきます。

○門田会長 ですから、先ほど大江委員がおっしゃったことも含めて、ここの議論は10年前から同じことをやっているのです。10年前に「喫煙率を半減する」ということを満場一致で上げたのですけれども、最終的な報告に出ていない。これも何度もお話をしていますが、これまでの経緯なのです。しかし、もうそろそろここの協議会がどう考えるのか、協議会から出す文書としてはどうするのかという意味で、このメンバーからいえば、途中で消えてなくなっても、我々としては提言であって、法律を見てもこの協議会から意見を言うだけであって基本計画その物を書くわけではないのです。

 ですから、そういった意味では、まともな意見を言ったということを残したいということであれば、どういう結果になるのかわかりませんけれども、そのタイミングでは、そのようなことを考えてもいいのではないか。事務局側とどういう話になるのかわかりませんけれども、私とすれば、協議会とすればそうあるべきだと思っています。これはまた次回ディスカッションしましょう。

 宮園委員、お願いします。

○宮園委員 資料5の7ページの田中委員のコメントの中に、喫煙対策について「多数の国が飲食店を含む屋内での禁煙を法制化していることを明記すべき」と。これはやはり書いたほうがよいと思います。多数の国というのを注釈か何かで具体的に国名を書くなどして、きちんと世界的にこれは広まっていると。台湾とか、ヨーロッパとか、かなり多いですから、国名を書いたほうがいいと思います。

○門田会長 予測はしておったのですが、皆さん、ここには非常に関心が強いので、事務局の対応の仕方ということで意見をいただいていますが、今、出ているような気持ちでみんながおるということを理解していただきたいと思います。

 では、これで最後にしたいのですが、お二人、お願いします。

○中釜委員 先ほど勢井委員から御指摘があって、がん登録情報に関して、国立がん研究センターの名前が出ましたので、私の理解と確認です。35ページに書かれているがん登録に関しては、これは全国がん登録、院内がん登録で、まさにがんの実態を把握したり、死亡率、地域特性、病院の特性、そういうものを出していくのだと思うのです。

 先ほど勢井委員が御指摘された点は、私の理解では45ページの(2)相談支援、情報提供、あるいは均てん化に伴う適切な情報の発信、そこが十分に見えてこないということなので、ここの書きぶりなのかなと思って見ていたのです。確かにこの(2)相談支援、情報提供というところと、その次の(3)社会連携等におけるがん患者支援、これが別項目立てになっていて、例えばサバイバーシップ一つをとってみても、横の連携が少し見えにくいということなのかと思いました。先ほどの(2)相談支援、情報提供の中には拠点病院間の支援センターの機能等についてのみ触れていますけれども、そういう社会的な広がりを持ってつながっていくというニュアンスが読み込めるといいのかなと思って聞いていたのですが、そういう理解でよろしいですかね。

○勢井委員 はい。

○中釜委員 もしそうであれば、そういうところをしんしゃくして、各項目立てがお互いに連携するというところの重要性を示す一つの代表例として、サバイバーシップのようなものをきちんと書き込んでいただけると、今の懸念が払拭できるのかなと思いました。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 難波委員、お願いします。

○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。

 細かい記載に関しては、また改めて意見書を提出させていただきたいと思うのですが、書きぶり等に関して、3点意見と確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど中釜委員からも御指摘があったとおり、例えば言葉の結びで「検討する」ということなどの表記に関して、もう少し言及していったらいいのではないかということを事務局にお尋ねしたところ、そういった記載に関しては、73ページ、これは「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」の記載なのですが、5.ロードマップの作成及び6.目標の達成状況の把握というところで、基本計画に関してここで全て管理をしていて、「検討する」という記載があったにせよ、3年をめどに中間評価を行って、その先の対策を練るなりなんなり検討していくというようなお答えがあったのです。全てにおいての記載に関することだと思うので、ここは改めてコンセンサスをぜひとっていただきたいというのがお願いです。

 もう一点に関して、いつまでたっても行政的な文章になれなくて大変恐縮なのですが、11ページのところで「女性が受診しやすい環境整備等」というような「等」という記載があって、ちょっとわかりづらい。例えば私から、女性が受診しやすい環境整備の中で、女性のがんに対するワーキンググループの設置をぜひ検討していただきたいという要望を出させていただいたのですが、それも、この「環境整備等」に盛り込まれるのかどうかというところと、こういった「等」に関しては、ロードマップに細かく記載されていくのかどうかということをお尋ねしたいのが2つ目です。

 3つ目は、これは先ほど桜井委員からも御指摘があったのですが、生殖医療に関してのことです。素案では生殖医療に関して、妊孕性に関する文言が3カ所ございまして、「2.がん医療の充実」及び「3.がんとの共生」というところで対策がまたがっているのです。議論が必要な「2.がん医療の充実」の記載は30ページにございまして、生殖に関すること、妊孕性に関することの記載はAYA世代にしかないのです。これは小児もまたがりますし、男性にも関連することなので、ここをどう確実に明記するかということを検討したい。同時に、がん生殖医療は、既に学問として確立されているものですし、厚労省の研究の中でも試算もされているので、経済的な問題も含めて、どう対策を練っていくのかということは、もう少しボリューム感を持って明記していただきたいと思います。以上、3点です。

○門田会長 ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 関連してなのですけれども、先ほどのがんリハビリテーションのところなのですが、文言を見ると3年で終わりになってしまうような印象を持つのです。このがんリハビリテーションというのは、私は診療報酬の改定とか、患者に届くシステムまで考えてもらわないと、幾らガイドラインをつくられても使えない、届かないと思いますので、3年目で終わりではなくて、3年目以降のことも少し含みを持たせて書いていただきたいと思っています。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 まだまだいろいろ出てくるのだと思いますが、一応、その次の後半の部分に参りたいと思います。

 それから、今、難波委員が後から意見書とおっしゃっていたのですが、先ほど言いましたように、意見書という形よりも本当に具体的なこの文言の間違いとか何とかということに絞ったものを送っていただくということは、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、どうしてもというのであればその中で聞くとして、今から後半部分に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、後半の39ページの「3.がんとの共生」ですね。これ以降について意見を出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 細川委員、お願いします。

○細川委員 39ページ以降に緩和ケアの記載がございますので、その中の3点について、意見を述べさせていただきます。

 まず、43ページの1行目と25行目、卒後2年目までの全ての医師が、緩和ケア研修会を受講するような整備指針等の見直しを行う、また受講することが必要な指摘があるということを書き加えていただきまして、ありがとうございました。この25行目では、できましたら「整備指針等」というところに加え、「拠点病院の就職時の必修資格に加える等」とを加えていただければいかがなものかと検討いただければと思います。

 もう一つは、先ほど桜井委員から出ました用法外使用というところにおきまして、これは日本緩和医療学会でも、今、調整しているところですが、42ページの6行目に「実地調査等を通じて把握する」という内容がございます。そのため、この部分に緩和ケアに必要な用法外使用についての認可等々についてということを書き加えていただきたいと思います。

 もう一点、41ページの20行目に「専門的な緩和ケアの質の向上のため」ということで、さまざまな薬剤師の専門化された者とか、臨床心理士等が入っています。以前、緩和医療学会認定の緩和医療の専門医の数が非常に少ないということが指摘されました。現在200人近くに至っているのですが、今回、新しい専門医制度が完成し、この第3期の間には飛躍的に専門医の数をふやすことができると思います。この制度が機能しないと学会として責任を持てなかったので、あえて追加を表明しておりませんでしたが、このような理由で是非ここに「緩和医療専門医」という言葉を入れていただきたい。この20行目の中の「精神腫瘍医」以下のところに「緩和医療専門医」という言葉を入れていただくということをよろしくお願いいたします。

○門田会長 今の件について、いかがでしょうか。

 道永委員、お願いします。

○道永委員 緩和ケア研修のところなのですが、再三細川先生から言われておりましたが、2008年につくられました緩和ケアガイドブックがようやく改定されました。そこの部分を、現状の中にぜひ1行で結構ですから、入れていただければと思います。

○門田会長 そのほか、いかがでしょうか。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 この「3.がんとの共生」の分野で、全体像にかかわることなので、先に意見を言わせていただこうと思います。

 いろいろなメディアの方とか患者会の方などと話していますと、この「がんとの共生」という言葉、いろいろな捉え方をされているので、私は、この協議会としての議論の中でも明確にしておいていいと思うのです。

 この「がんとの共生」という言葉には、2つの意味が多分込められています。まず、がんの患者さんが進行がんを中心に共存をする「がんとの共存」という意味が含まれていると思うのです。もう一つが、先ほどからいろいろお話がありましたけれども、社会の中でがんをどう捉えていくのか、がん患者さんが社会の中でしっかり暮らしていくという意味で「社会協働」という言葉が多分一番いいと思うのですけれども、その2つのコンセプトが「がんとの共生」という言葉に盛られているのは、多分間違いないのです。

 厚労省の皆さんに伺っていくと、その両方ですというお答えをいただいているのですが、内容的には、書きぶりを明確に区別して意識して書かないと、世間の人々、特にメディアの方の多くが間違えているようなので、これは患者さん一人の共存の話なのですか、それともそういう社会をつくり上げていく話なのですかという言葉を、皆さん、おっしゃいます。

 それで、先ほど勢井委員が涙をのんでとかとおっしゃったので、私は心配なので、そのことを含めると、まさに勢井委員がおっしゃっていたのは社会連携の話なのです。このもとの概要に戻ると、(3)の先ほど議論があった「社会連携に基づくがん患者支援」という言葉に大体落ちそうなのですが、ここに「社会連携に基づくがん対策・患者支援」と入れれば、多分勢井委員のおっしゃりたいことは全て入るだろうと思うのです。その上で、それを一番上にして全体をカバーするという形にしていただければ、その協働の部分と共存の部分が、両方この「3.がんとの共生」という文章の中に含まれる。大して修文は要らないと思うのだけれども、最初のスタートの段階の修文は、ここは社会協働のことしか書いていないので、そこを修文していただく。

 緩和医療のところは、その多くが共存の話が書いてあります。この社会協働の話のすぐ後にがん患者の共存の話がぽんと出てきているというのは、私はもともと違和感があったのですが、先ほどの勢井委員の御意見に基づいて、そういうやり方があるかなと考えました。ただ、細かく文章を見ているわけではないので、もしかしたら齟齬が出るかもしれませんが、その点を少し事務局として御検討いただけないかと思います。

 自分の意見として1点だけ申し上げておきたいのは、研究のところで、私はともかく「患者の研究」というコンセプトを是非、入れていただきたいということをずっと申し上げてきて、同時に厚労省の科学技術部会の委員も務めさせていただいていますので、そこでもそのことを申し上げ、それはがん対策推進室からしっかりAMEDの研究にはかなり反映されるように今、なっているのです。ところが、本家本元のこの協議会の研究の部分にそのことが入っていないので、ここは何としてでも入れていただきたいと思います。

 具体的には、63ページから65ページにかけてですけれども、ここに、それに類する言葉がほとんど入っていないのです。言葉としてはサバイバーシップリサーチ、静岡がんセンターは、がんサバイバーの研究部門をつくった日本最初の施設なので、サバイバーシップという言葉を使いたいのですが、多分社会で理解されないので、あえて言葉としては、この取り組むべき施策の一項目として「がん患者や家族の生活の質を向上させ、がんとの共生を推進する研究」と。私自身はがんの社会学研究というものをずっとやってきたのですが、それの一つの意味合いがそういう形で表現できると思いますので、サバイバーシップリサーチでもなく、社会学研究でもなく、具体的に「がん患者や家族の質を向上させ、がんとの共生を推進する研究を積極的に進める」と。そうすると、既にAMEDのほうではそういう研究が進められていますので、整合性がとれる。この点はぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 最後の点について、皆さん反対の方はいらっしゃらないだろうと思うのですが、これはつけ加えることができますか。

 事務局、お願いします。

○がん対策推進官 山口先生、御意見ありがとうございます。

 先ほどのサバイバーシップ、患者さんの生活の質を上げるための研究というのが、実は59ページの就労以外の社会的な問題についての部分、17行目に書かせていただいておりまして、これを研究のほうに書いていくのかここの部分にしていくのかは、またこちらで検討したいと思っています。

○山口委員 私としては、ここは研究の全てを書いている部分なので、ここにぜひ入れていただきたいと思います。そういう仕切りをやる方はここしか見ませんので。

○門田会長 北川委員、それから、桜井委員、お願いします。

○北川委員 細川委員にお伺いしたい点がございます。がんとの共生は、山口委員が定義されましたように、進行がんで根治が難しい場合の共存といった意味合いも含まれていると考えます。がんとの共生という大項目の中で緩和ケアを記載してしまいますと、この39ページに出てきている「3.がんとの共生」の(1)のがんと診断されたときからの緩和ケアという概念が理解されにくいのではないでしょうか。根治可能ながんをしっかり治すための早期からの緩和ケアの導入という概念については、「2.がん医療の充実」のほうに記載してはいかがでしょうか。この点を御専門の立場から御検討いただければ幸いです。

 以上です。

○門田会長 細川委員、お願いします。

○細川委員 ようやく緩和ケアが終末期医療だけを意味するということではないということが、医療者を中心にかなり伝わってまいりました。さらに国民の方々にも徐々に伝わりつつあるということで、緩和ケア自体は、がんに限らずというところにいずれなりますが、この草案に関しては、まずがんに限ってですが、いずれにしろ、死を想起するような重篤な疾患にかかったときに、最初の告知の段階から患者は物すごい落ち込みが生じます。 それから、さまざまな治療、これは根治治療、根治ではない治療、いずれにしても、手術、化学療法、放射線、どの治療でも、肉体的、精神的にはかなり苦痛が伴います。そういった肉体的、精神的な落ち込みの場面に緩和ケアの専門家だけではなく、これらの重篤な疾患に対応する医療者全てがこのような落ち込み、辛さを患者さんが感じられるのだということを、まず理解して、それに対して対処するというのが緩和ケアであるということが徐々に伝わりつつあります。 そういった観点から、対象疾患は何であれ、例えばがんであれば、治る、治らないにかかわらず、そういった疾患と向かい合った方々の苦痛、つらさに対応し軽減するものは、全て緩和ケアになります。

終末期の部分だけをおこなう緩和病棟やホスピスはありますが、これは少し特殊になり、この部分はターミナルケアか、終末期における緩和ケアという言葉に置きかえればよく、あえて緩和ケアを2つに分ける必要はないと私は考えております。

○北川委員 では、この「3.がんとの共生」のほうに入っていてよろしいということですか。

○細川委員 「共生」に入れていただければよいと私は思います。

○北川委員 その辺、もう少し前向きの位置づけもむしろよろしいのではないかという意見でございます。ありがとうございます。

○細川委員 ありがとうございます。

○門田会長 ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ありがとうございます。

 私から、まず45ページのところです。(2)相談支援、情報提供の部分があります。この中で、先ほども少しお話をしたのですけれども「患者団体」であったりとか「民間団体」であったりと、文言がばらばらに出てくるのです。私は協議会の中でも、要は相談支援センターに行ったときにこの地域でどのような患者会があるのかとか、どのようなリソースがあるのか全く情報発信がされていない、冊子も何も置いていない、これを「見える化」してほしいということを言いましたので、民間団体も含めて、企業等々もあると思うのですけれども、この名前というのは入れていただきたいと思っております。

48ページにピア・サポートのことが書いてあります。これは課題の部分には普及していないという言葉があるのですけれども、今、この48ページの上のピア・サポートの部分だとすると、見直しのみでとまっているのです。これまでやってきたプログラム検討とこれだと全く同じ内容で、見直しだけをしていても仕方がなくて、そこからどう普及させていくのかということが重要かと思いますので、ぜひその言葉を入れていただきたいと思います。

51ページのあたり等々に、緩和ケアと在宅の話が書いてあって、その中で20行目に末期がんの名称の話が書いてあります。ここまで踏み込んでいただいたこと、本当にありがたく思うのですけれども、同時に、平成22年から協議会の中で患者委員が連名で要望書を出している。その中には迅速承認の話ですとか介護の等級の話ですね。これは家族が休めるということも考えていくと、等級の問題というのは非常に重要になってきますので、家族の離職を考える上でも等級のことにも少し踏み込んだ表現のことを書いていただきたいと思っております。

52ページから就労に関してのことが記載されているのですけれども、この中で、キーワードとして働き方改革実現会議でもいろいろ出ている単語が幾つか落ちているのです。それは例えば職業移行の話でしたり、民間団体の活用もそうですし、いろいろあります。あわせて、この中で小児においては親の離職という問題があるのです。こういうことも課題の中に書く。それから、個人事業主の話も全く今、出ていません。こういうものも課題として書いておくというようなこと。それから、今後検討していくというような、課題とそれを受けて何をするべきかということをきちんと書いていっていただきたいと思います。

 協議会の中でも私は申し上げましたけれども、今、この就労に関しては、労働関係のほうと健康局のほうの取り組みがばらばらになってしまっているのです。あっちでこっちで同じようなことをやっているのです。労働者健康安全機構や関連学会もございますので、これらと協業する形でやっていくという姿勢を一言書いていただきたいと思います。

59ページです。先ほどサバイバーシップの話が出ました。これは研究に書くか、どちらに書くのかという問題はありますが、サバイバーシップというのはもともと患者の声から始まったものなのです。研究においても、患者の声が入らないというのは全くもっていかがなものかと思いますので、ぜひ、ここに「患者の声を取り入れること」という一言を入れていただきたいと思います。

 それから、65ページのあたりで研究の話があります。予防に関する提言を入れていただいたのはいいのですけれども、先ほど若尾委員がおっしゃったリキッドバイオプシーとか、標準でやるにはまだまだ遠い、研究の部分がかなりあると思っているのです。これは検診の部分に書くのか、それとも、研究の部分に書くのか、しっかり書き分けをしていただきたいと思います。つまり、標準治療として確立されたものが前に挙がる、研究としてこれからやるべきものは研究のところに書くという、こういう書き分けをしっかりしないと国民が混乱しますので、そこはしっかり注意していただきたいと思います。

68ページにがん教育の部分があるのですけれども、これから予防に力を入れていく上で非常に重要なことですが、文科省が進めていくにあたっての配慮事項を4つほど記載しているのです。この点についてしっかり明記していただきたいと思います。小児がんの患者さんへの配慮、がんの患者さんや家族への配慮、難病の方への配慮、こういう言葉が入っています。非常に重要な言葉です。これはぜひ書いていただきたいと思います。

 最後に71ページの1.がん患者を含めた国民等の努力ということで、大切な事柄がたくさんあるのですけれども、単純に読むと、前提になるものが抜け落ちていると思っています。

 例えば、これは医療者の方、医療機関の方がしっかり患者の権利をちゃんと守る。そこを認識する。それから、意思決定支援に必要なちゃんとした説明をする、意思決定支援をちゃんとする。これを前提とした上で患者が学んでいくことにしていただかないと、これでは一方的に患者が努力しろ努力しろ、学べ学べと、そうとられるので、ぜひその前に前提を書いていただきたいと思います。いまだにセカンドオピニオンをしたいですと言ったら診療データは出せません、この病院では受けられませんとか、現場ではこういう相談が非常に多いのです。必ずその部分を書いていただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 いろいろな指摘をいただきましたけれども、皆さん、内容的なことであれはないと思うのですが、どういう形で書き込んでいくか、書けるのかという問題は残るかと思いますが、基本的には方針は方針でいいのかなと思いました。

○桜井委員 文言として、どのような単語とか、どこにこう入れたらいいのかというのは、先ほどの具体的にというところに入ってくるのかと思いますので、それは難波委員がおっしゃいましたけれども、要望書という形で送りたいと思っています。それでよろしいでしょうか。

○門田会長 要望書という形よりも、もっと具体的に。

○桜井委員 意見書のような形ですね。具体的に。

○門田会長 意見書は、今までと同じような意見的なことを受けても時間的になかなか対応できない。ですから、もうなるほどというところを具体的に。

○桜井委員 文章として書いていきます。

○門田会長 文章も、大きく骨格が崩れるのではなくてね。

○桜井委員 そういうことではないです。中ポツでこれを入れなさいとか、そういう感じです。

○門田会長 そこまでにとどめていただきたいです。

 中川委員、お願いします。

○中川委員 ありがとうございます。

69ページの、これは(3)がん教育の最後の部分ですけれども、医療用麻薬のことが書いてあります。がん教育の中で医療用麻薬に関する適切な啓発、これは結構なのですが、「とともに」の後ですね。医療機関が院内研修をするとか研究を行うとか、これはがん教育ではないと思うのです。緩和ケアの中だと思いますから、これは移動していただく必要があると思います。

 それから、これは先ほども申し上げたのですけれども、今、申し上げた69ページ目のちょっと上のところです。事業主や医療保険者ががんに関する正しい知識を得るように努める、これはいいのですが、「第3 がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」の中に、これは入るべきだと思うのです。先ほど申し上げたように、せっかく改定基本法の中に事業主、医療保険者というのが入っていますし、また、学校教育という言葉もありますから、こういった言葉を一つ入れていただいたほうが、法律との整合性もとれますし、いいかなと思います。よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。

 若尾委員、それから馬上委員、お願いします。

○若尾委員 若尾です。ありがとうございます。

 共生の部分から最後までという形で、すごく聞いてくださる事務局の方も大変だと思いますけれども、共生の43ページの部分から最後までを含めて5点ほど確認と質問という形で言わせていただきます。

 まず、43ページの緩和ケアの研修についての中で、【個別目標】のちょっと上に「国は、卒後2年までの医師が基本的な緩和ケアを習得するための方法」ということがあるのですけれども、ここはもしできるのならば、研究のほうにも入っていますけれども、「卒前、卒後」という形で入れておいていただけると、より実施的になるのかなと。現場に即した緩和ケアが卒後直からベッドサイドも含めてできるのかなと思いますので、もし可能であれば、67ページには「卒前」というところが書いてありますので、いいといえばいいのですけれども、ここの緩和ケア研修についてという研修ということであれば、ここに「卒前」を一個入れてほしいと思います。

 それから、相談支援で、46ページのピア・サポートについてなのですが、26行目に「ピア・サポートについては、研修プログラムの活用状況についての実態調査を行う」とあるのですが、山梨県は、研修プログラムが実際に行われるよりも3年ほど前から、県が主導したピア・サポートの研修を同一のプログラムで行っているのです。この研修プログラムというものの存在自体が、山梨県にとっては後づけなのです。それで、拠点病院などが研修プログラムによるピア・サポーターの育成をしているかというような項目に対して、していないという返事をするしかないのです。この研修プログラムの活用状況等についてというようなことを聞くのであれば、その都道府県もしくは地方公共団体が担保するというか、推薦する研修プログラムを行っているかどうかというような形に書き直してもらえると、山梨県としてはありがたいです。

 1回生、2回生、3回生は、山梨県独自の研修プログラムをした。新たに国がこれがピア・サポーターの研修プログラムですと言ったものとは内容的には変わっていませんけれども、山梨県の場合は、相談支援・情報提供あり方検討会を行い、患者の要望を1年間聞き、その上で研修会を行ったという歴史をちゃんと持っていますので、その辺を尊重するという意味でも、この研修プログラム一個が正しいわけではないということを踏まえて、研修プログラムの活用状況についての実態調査を行ってほしいと思います。

 それから、就労のほうで、54ページになります。この54ページでは、就職支援として、がん相談支援センターで病院と職安の連携によっていろいろな施策がなされていて、ここに実績が上がっているというような結果報告をしていただいていますけれども、これはパーセンテージであらわしているのですね。例えばこの平成25年、2013年度40.0%だったものが2015年は51.2%に上がっているというようになっていますが、これはパーセンテージではわからなくて、一体何人が就職支援のための相談センターを利用したのかという実数も必要ですね。2人しかいなくて1人が就職にうまくつながったといったらそれは50%になるし、1人しかいなくて1人がつながったといったら100%になってしまうのです。今でなくてもいいですけれども、実態はどのくらいの人がこれをちゃんと活用できているのかという割合だけではなくて、数字もちゃんとここで提示すべきだなと思います。

 それから、64ページになります。これは繰り返しになって申しわけないのですけれども、がん研究の中でバイオマーカーのことなのですが、これは予防や効果もしくは副作用の予測ということにも使えますので、そういった意味でしっかりと予防、効果、副反応予測としての精度の高いバイオマーカーの研究を推進するというような形で、明確な方向性を書いてほしいと思います。63ページ、64ページにかかりますけれども、そういった形で、わかりやすい研究の方向性というものを見てほしいと思います。

 最後、これは5番目で、確認なのですが、72ページの3.都道府県による計画の策定という項目の中の22行目から25行目の中に「都道府県計画の作成に当たって、国は、都道府県計画の作成手法等を積極的に助言する。一方、都道府県は、がん検診のみならず、普及啓発や地域における患者支援等の市町村の取組について、都道府県計画に盛り込むことが望ましい」とありますけれども、これは基礎自治体である市区町村を縛るのか、それとも応援するのか、この意味合いがわからないのです。私は基礎自治体としての市区町村をすごく応援したいと思うので、国と都道府県と市区町村というものが、やることは違っているのですけれども、同じ方向を見て、それぞれが一生懸命頑張っているということが誰が読んでもわかるような文章にしてもらいたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 46ページのピア・サポートのところで、若尾委員もおっしゃっていたのですけれども、小児がんは今はもう拠点病院のほうで医療者とともに研修をやっておりますので、拠点病院全部でやっているわけではないので、拠点病院において普及を図るための方策を検討するというようなことを入れていただきたいと思いました。

 それから、60ページの(5)ライフステージに応じたがん対策なのですけれども、これは当初から皆さんの御意見どおり縦糸になるところで、がんとの共生の中の緩和ケア、相談支援、情報提供、社会連携、それと就労を含めた社会的な問題が、難しいのですけれども、全部ここの中に入っているべきだと考えておりまして、いろいろ文章を見せていただいたところ、一番抜けているのは相談支援という部分が抜けておりまして、そこのところを強調して入れていただきたいのです。

 もう一つ、「晩期合併症」という言葉が、小児がん、AYA世代の医療のところでは「後遺症や晩期合併症」と並列とされていて、こちらでは「晩期合併症」と書かれているのですけれども、定義として下のほうに注をつけていただいて、しっかり晩期合併症は何であるかということを示していただきたいと思います。といいますのも、檜山委員と私が出席していました第2期の前の小児がん専門委員会では、晩期合併症については「強力な治療による合併症に加え、成長発達期の治療によるその後の合併症(両者を合わせて晩期合併症と呼ぶ)」となっておりまして、具体的には(発育・発達障害、内分泌障害、臓器障害、妊孕性障害、高次機能障害、二次がんなど)という注釈がございましたので、そういった部分を入れていただければと思います。

 細かい文言についてなのですけれども、60ページの19行目「かつ、治療後も長期にわたりフォローアップを要する」と。長期にわたりフォローアップを要するのはなぜかというと晩期合併症などがあるからなので、ここに「晩期合併症等により」ということを入れていただきたい。

 そして、26行目のところ「ニーズに対応できるような情報提供や支援体制」、ここに「総合的な相談等の支援体制」と入れていただきたいと思います。

61ページに移りまして、15行のところに「晩期合併症が少なくなるような研究について」とあるのですけれども、それは本当にやっていただきたいのは山々なのですが、今、晩期合併症で苦しんでいらっしゃる方々に対して何をするのかということが抜けておりまして、まず、何を困っていらっしゃるのか実態把握、先ほど山口委員からありましたけれども、患者の社会学的研究による実態把握という部分を入れていただいて、そこから対策を推進していくというような文言を入れていただきたいと思います。

27行目に「地域若者サポートステーション」と地域のリソースというものが出ているのですけれども、相談支援の面で今、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業というものがありまして、こちらのほうで相談事業というものを地域、自治体、政令都市で必ず必須でやることになっておりますので、地域の相談支援ということでは、その横のつながりでそういったところの事業とも連携して相談支援を行っていくという観点を入れていただきたいと思いました。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 関連して、檜山委員、お願いします。

○檜山委員 ありがとうございます。

 「後遺症」という言葉は、我々の世界では余り今は使わない。「後遺症」という言葉に、もう治らないのではないかというイメージが少しあるので、できれば削除していただきたいと思います。

 晩期合併症というのは、先ほどの緩和も同じなのですが、どこから晩期なのかという議論になるので、きちんと定義をしていただいて注釈をつけていただく。治療終了後ということで、いろいろな御意見があるのですが、無治療を開始してやったときの毒性も合併症ではないかという話もあるのですが、晩期合併症としては、この施策上ではどういう形で定義するのかということは、先ほど馬上委員がおっしゃったようにきちんと注釈をつけて明記していただくほうがいいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 3点ほど、細かな点も含めてなのですけれども、まず、47ページの情報提供のところです。27行目からのパラグラフ、この中で、情報発信に当たって、最後のほうに「関係団体と協力し、普及に努める」と書かれてあります。この書き方では、関係団体は普及のみに協力するようにとれるので、できれば上のほうに「国、国立がん研究センターは関係団体と協力し」とするか、そういう書きぶりのほうが誤解はないのかなと思いました。

 2点目は57ページ、これは職場や地域における就労支援のこと(取り組むべき施策)について書かれているのですけれども、どうも内容が少し企業の対応等に特化されているような感じがします。例えば、ここで先ほど来議論になっているような、企業だけではなくて多職種の医療機関であるとか職場であるとか、地域ぐるみで地域の連携の中でがん患者の就労支援に取り組むモデルを構築するとか、そういうより具体的なところを書き込んではどうかと思いました。

 関連して、51ページの在宅緩和ケアについても、ここも(取り組むべき施策)のところを見ると、少し表現が曖昧になって、具体的などういうところを検討するのかわかりづらい。例えば実際に在宅における緩和、がん治療がどうなっているのかという実態を把握し、その疼痛緩和治療を初めとした在宅がん治療を継続できるような計画的なものを整備する、計画的に整備する、そういうところをこの中に盛り込んだほうが、診療の現場から在宅における緩和というところまで広くつながるように読めるのではないかと思うので、そこは工夫していただければと思います。

 私からは以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 1点だけ質問なのですけれども、読んでいてわからなかったのが、43ページの32行目のところに「「痛みがある」と感じる患者を1割以下にする」という、この「1割」はどこから出てきたのだろうと思って、教えていただきたいのです。私はこの「1」の中に含まれたくないので、お願いします。

○門田会長 事務局、わかりますか。

○細川委員 その前によろしいですか。

○門田会長 細川委員、お願いします。

○細川委員 ここは以前にWHOのがん治療のところで「除痛」という言葉が正しくないのではないかと言ってしまったのですが、既に行き渡っているのですが、まず「除痛」という日本語がないのです。あれは英訳としては、やはり「鎮痛」なのです。これは痛みがあるないとやってしまうと「除痛」になる。あるかないか、オール・オア・ノンなのです。でも、ここの中にもがん以外でも腰が痛い、膝が痛い方がおられるように、痛みがあるなしで物をやるのではなくて、たとえそれががんの痛みであっても、自分のやりたい生活ができれば、それ以上の鎮痛薬を使って痛みをゼロにする必要がないというのが、継続する痛みへの対応なのです。

 ちょうどいい機会なので、この「1割以下にする」というのは、あなたは痛みがありますか、ありませんかと言えば、ちょっとでも痛みがあれば全部あるに入ってしまうのです。これが多分痛みで苦しんでいる患者さんのパーセンテージがすごく多く出てしまうところなのです。それによって生活に支障がありますか、いや、ありませんという方も実は多いのです。私自身もいろいろな痛みを持っているのですけれどもね。

 そういったことから「除痛」をできれば「鎮痛」に直すことと、痛みのあるなしで話をするのではなく、QOLADLの痛みが関連していて、それが障害となっているのかどうかというところの判断がいいと思うのです。だから、痛みについての「管理」という言葉も実はよくなくて「徹底した疼痛ケアを行い、日常生活が行えない患者をなくすようにする」ぐらいの言葉にしていただいて、数字で1割とか痛みがあるなしという言葉は削除していただいたほうが、私は今後はいいと思うのですが、いかがでしょうか。

○桜井委員 関連してなのですけれども、その手段が書いていないのも、問題かなと思っていて、「医療用麻薬等に関する適切な使用による徹底した疼痛管理を行い」も必要なのではないかと思っています。「1割」というものも含めてなのですけれども、ここは再考いただきたいと思います。

○門田会長 確かにそうですね。ありがとうございます。

 馬上委員、お願いします。

○馬上委員 済みません。最後に言い忘れまして、69ページ、先ほど桜井委員がおっしゃっていた(取り組むべき施策)の9行目の「実施する上での留意点」、これは文科省のほうの報告書には留意点はすごくたくさん書かれているのですけれども、その中でも生徒自身ががんであったり、親御さんががんであったり、または難病であったりしていらっしゃる方には特に配慮が必要だということを、ここに具体的に明記していただきたいと思いました。お願いします。

○門田会長 ありがとうございました。

 ほぼ予定の時間が来ております。いろいろな御意見を頂戴した。それで「検討する」云々と、いろいろな表現がございましたけれども、御指摘していただいたものをうまく修正できるところ、今の段階では難しいところ、これは事務局と私に預からせていただかざるを得ないと思うので、それは御了解していただきたいと思います。

 先ほど途中でもお話ししましたが、もう具体的なというか、はっきりとわかった修正ですね。文言、単語。そのほかのことは送っていただくということで、文書としての意見をしても対応は難しいと考えていただきたいというのは、先ほどお話ししたとおりです。

 ということで、一応、きょうはたばこのところを除いてほぼ最終的なディスカッションということで進めてまいりました。まだ御意見があるにもかかわらず終わるというのはよくないのですが、大体の御意見をいただいたのかなと思いますが、どうしてもまだちょっと言い足りなかったとか、ここのポイントはもう一度改めてということがあれば頂戴したいと思います。

 中釜委員、お願いします。

○中釜委員 先ほど言いそびれたのですけれども、69ページです。がん教育のところの記載の25行目からの3行に「国、地方公共団体は、患者とその家族が、痛みやつらさを感じることなく過ごすことが保障される社会を構築するために」とあり、「効果的な普及啓発を行う」と書いてあるのですけれども、何の普及啓発を行うのかよくわかりにくい。恐らくここは「正しい知識」なのかなと思ったのですが、もしそうであれば、それ以外にも以前門田会長がおっしゃっていたような人生観、死生観のようなことを考えていくような社会を醸成するとか、そういうものも書き込んでいったらいいのかなと思います。これは何を普及啓発するのかわかりづらい文章かと思いましたので、一言申し上げました。

○門田会長 ありがとうございました。

 これは検討してまいりましょう。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 1点だけ。これは小児の方にもかかわるかと思うのですけれども、61ページの31行目の部分です。これは小児やAYA世代の家族の負担が非常に大きいということが在宅療養のところの課題に書いてあるのです。この対策として文言が書いてあるのですが、これはAYA世代の方たちの在宅療養環境の質の向上とか、このあたりの在宅の話も含めての言葉なのかということだけ、1点だけ確認させてください。

 それから、次回の協議会では、これだけ議論が出てきたので、資料は見え消しで出していただきたいと思います。そうすると、前から見たときにここが変わったのだな、ここは難しかったのだなということがわかりますので、そうでないとまた全部見直しになりますね。ページ数があるので見え消しで出していただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございます。

 事務局、これは大丈夫ですか。

○がん対策推進官 資料については工夫させていただきたいと思います。

 それから、先ほど門田会長からもおっしゃっていただいたのですけれども、これから次回、きょういただいた意見を受けて、さらに進んだ案をこちらで作成していくわけですが、その過程で、この後いただく文言についてはそれを修正させる時間がないと我々も考えていますので、そういう意味では、次回の協議会の場で意見書といいますか、各委員からの御意見というものをお示ししていただくという形での対応になると思っています。そこは委員の皆様にも御了解をいただければと思っています。

○門田会長 今の発言は、きょうのディスカッションについて、次回のときに御意見ということですか。

○がん対策推進官 きょうの場でいただいたものを、これからこの案に反映させて、準備をしていきたいと思っています。この後、例えばメールか何かで御意見をいただいても、それには時間上の都合もあって対応できないということは御理解いただきたいということでございます。

○桜井委員 要は、今日の発言につながるものだけを言いなさいということですね。つながるというか、そこでこれを言ったからここなのですと。私は事前に出しましょうかと言ったら、それはやめてくださいと言われたのできょうは出していないのです。何行目の何々のどこどこと言ったのですけれども。

○がん対策推進官 具体的にどこをどう直してほしいというものについては、恐らく対応できる時間というものがあって、可及的速やかにいただければ、きょう、ここに出た議論の中で、では、具体的にどこをどう直してほしいという御意見であれば、それに基づいて反映することはできると思いますけれども、何分、時間がない中ですので、いただいた段階で対応させていただけるかどうかについてはその状況に応じて、いただいたタイミングによる部分もあるかと思いますので、そこは御了解いただければと思います。

○門田会長 時間に追いかけられて今に至っております。そういった意味で、事務局としても対応はしたいと思ってもらってはおりますが、どこかの段階で線を引かざるを得ないということでございます。

 たばこを除いたところまでについては、先ほども申しましたけれども、きょういただいたものについて、明らかに皆さん同じような御意見で出していただいたものは修正していってもらいますが、新たな別なところとして御意見をいただいてもこれはもう対応できないということをおっしゃっておられると思いますので、これは御理解いただくというか、仕方がないと思います。

 山口委員、お願いします。

○山口委員 今、門田先生がおっしゃったことでいいのですけれども、たばこは先ほどの話とは例外と考えていいのですね。協議会として最後は十二分な議論が要るだろうなと思います。

 それから、言葉の定義を最後にしっかり見ていただきたいと思います。先ほどの「拠点病院等」のように言葉の定義が全体に影響すると思いますのでね。

 きょう、議論をずっと聞いていても気になる点が2つあります。「チーム医療」というのは、狭義のチーム医療と広義のチーム医療があって、狭義のチーム医療というのは、医師同士の「集学的治療」にちょうど相当する言葉なのです。きょう皆さんが言っているのは、「多職種チーム医療」ということですので、リハビリはまさにその代表だということは申し上げました。

 もう一点「サバイバー」の言葉ですけれども、もともと米国での使い始めは小児がんの後遺症の問題から始まっていて、したがって、完治した患者さんをサバイバーと呼んできたのが狭義です。それが今、日本では、私たちの研究も含めて、今がんに苦しんでいる人たちも皆さんサバイバーですよ、がん生存者ですよということで、この10年、20年、そういう流れできています。このような言葉の使い方に気をつけていただければありがたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 たばこを除いて、たばこのディスカッションは、相当重いものが残っているということではございますが、きょう挙げていただいたものを、事務局で皆さんの御意見を修正した形で、ディスカッションはきょうで終わりという形にさせていただきたいと思います。

 ということで、本日も少しオーバーしましたけれども、これで終わりたいと思いますが、事務局、何かございますか。

事務局(濱) 本日は長時間にわたり御議論いただき、まことにありがとうございました。

 次回の協議会の日程につきましては、追って御連絡申し上げます。また、参考資料ファイルは事務局にて回収いたしますので、お持ちにならないようお願いいたします。

○門田会長 それでは、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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