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2017年5月10日 第四回地域医療構想に関するワーキンググループ

医政局

○日時

平成29年5月10日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議事

○原澤課長補佐 それでは、定刻より少々早いですが、構成員の皆様方がおそろいになっておりますので、ただいまより第4回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 本日は、全ての構成員が御出席されております。

 また、公立大学法人奈良県立医科大学の野田龍也先生を参考人としてお呼びしております。

 また、総務省自治財政局準公営企業室より森山課長補佐に御出席いただいております。

 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1から4、参考資料1と2をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。

 なお、報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方は、ここまででお願いいたします。

○尾形座長 おはようございます。前回が昨年の9月でしたので、久しぶりの会合ということですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、議事に入りたいと思います。

 まず、資料ですが、きょうはかなり大部の資料が出されていますので、最初に一括して資料の説明を事務局、それから、今村構成員及び野田参考人からお願いいたします。そして、その後、それぞれの資料ごとに議論を進めていきたいと思います。

 まず、一括して資料の説明をお願いいたします。

○木下課長補佐 事務局でございます。お手元に資料1を御用意ください。

 今回、地域医療構想に関するワーキングに関しましては、また再開ということもございまして、今後、議論が必要な事項につきまして、事務局において整理させていただいております。これらの項目につきましては、構成員からの御意見を踏まえまして追加・見直しを行っていきたいと思っております。

 1つ目でございますが、本日御議論いただきたいと考えております「地域医療構想調整会議での検討の進め方について」でございます。

 まず本日、特に急性期、回復期の病棟における議論の進め方、定期的な開催、臨時開催等の議論の進め方、新公立病院改革ガイドラインに基づきまして策定された新公立病院改革プランの活用方法、また、後ほど御説明いたしますが、病棟コードが入ったことも受けまして、病棟ごとの状況ということで、職員数でありますとか、診療実績等を活用した議論の進め方。こういったことにつきまして、本日御検討いただきたいと考えております。

 次の項目につきましては、次回以降、御議論いただきたいということを考えておりまして、2つ目といたしまして、地域ごとの地域医療構想の進捗の把握につきましては、調整会議の開催状況のほか、どういった項目で進捗を把握できるのか。また、病床機能報告の活用についても御検討いただきたいと考えております。

 また、毎年10月に御報告いただいております病床機能報告につきましては、その項目の追加・見直しでありますとか、報告の対象期間が今、単月となっておりますが、その期間をどうするのか。また、病床機能報告を用いました定量的な基準の検討につきましても、今後御検討いただきたいと考えております。

 その他といたしまして、現行の病床機能報告でありますとか地域医療構想に関して、住民の方々への情報提供が不十分ではないかという御意見もいただいていることもありまして、ホームページを介した情報提供のあり方といったものにつきましても、今後、改善に向けた御検討をお願いしたいと思っております。

 続きまして、資料2を御用意ください。

 資料2につきまして、昨年度、平成28年度の病床機能報告の結果につきまして取りまとまりましたので、病棟ごとの状況も踏まえて御報告いたしたいと思っております。

 2ページ目をお開きください。本日の御報告の内容につきましては、基本的に病棟ごとの状況を中心に御報告したいと思っております。その前提といたしまして、報告様式1と報告様式2というものがございます。報告様式1に関しましては、4機能のいずれを選んでいるのか、病院・病棟ごとの職員数がどうなっているのか、患者の数がどうなっているのかという報告をいただいているのが報告様式1になります。

 下の表の病院の欄を見ていただきますと、報告様式1の未提出の施設が、これは2月17日時点で、103施設、全体で1.4%ございます。有床診におきましては400施設、5.8%、報告様式1が未提出という状況になっております。

 一方、報告様式2に関しましては診療実績という中身になっておりまして、具体的にどういう診療行為を行ったのかということにつきまして、レセプトデータをもとに集計をしているものでございます。こちらにつきましては、病院で334施設、有床診療所で756施設から御報告をいただけていない状況にございまして、こちらにつきましては都道府県を通じまして各医療機関に提出のお願いを引き続き行っているところでございますが、次年度以降、できる限り、この数値が100%に近づくような方策についても考えていく必要があると思っております。

 3ページ以降、病棟別に見た状況について御説明いたします。

 3ページをお開きください。4機能別に見た病棟数と病床数でございます。病棟数につきましては、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、それぞれ、ごらんいただいている数字となっております。それぞれの欄の一番下にあります表でございますが、平均値の欄を見ていただきますと、高度急性期で平均値が少し小さくなり、急性期、回復期、慢性期と行くに当たりまして平均値が大きくなっているということで、病棟の規模がそれぞれの機能に応じて少し異なっている状況が見てとれるかと思います。

 4ページをお開きください。4ページは診療所における病棟の数と病床数になります。病棟数におきましては、診療所、有床診療所になりますが、一部、高度急性期の機能を担っていただいている有床診療所もございます。また、病棟の各平均値につきましては、慢性期で少し大きい病棟をお持ちという状況になっておりますが、いずれも有床診療所ということで19床以下という状況が見てとれるところでございます。

 続いて、5ページが病院だけの集計になっておりまして、病院の場合、先ほど申しましたように、高度急性期につきましては平均値が少し小さくなっているところで、それに応ずる形で中央値も慢性期に行くと少し大きくなっております。また、最大値の欄を少し数が大きな報告をいただいているところではございますが、これらにつきましては各病院のほうに一応、報告の際には確認等を行っているところではございますが、最大値として、このような数字で報告をいただいている医療機関も一部まじっている状況にございます。

 6ページをお開きください。機能ごとに少し状況を詳細に見ていっている資料の御説明になります。6ページが高度急性期の一病棟当たりの病床数の分布をヒストグラムにしているものでございます。大きく2つの山が見てとれるかと思いますが、6床から10床のところと46床から50床で二峰性を示しているところでございます。

 6床から10床につきましては表でつけておりますが、救命救急入院料でありますとか特定集中治療室管理料といった機能につきまして、これらの病棟につきまして報告をいただいているところがここの山になっております。一方で46床から50床あたりのピークにつきましては、恐らくは入院の基本料7対1もしくは10対1で御報告いただいているところがこちらの山の中身になっているかと考えております。

 7ページをお開きください。これらの4つの機能の報告に当たりましては、特定入院料、今、申しました救命救急入院料でありますとか、脳卒中ケアユニットの入院医療につきましては、平成28年度の報告の際に、この7ページにありますような一定の取り扱いというものを整理させていただいたところでございます。

 この状況を少し確認しましたのが次の8ページになりまして、8ページを見ていただきますと、前の7ページとを見ながら比較いただきたいところではございますが、一定の考え方を整理したこともありまして、おおむね、その考え方と応じた形で各病院から御報告をいただけている状況になっております。

 これ以外の一般入院基本料についての取り扱いにつきましては、次回以降、改めて状況等を御説明したいと思っております。

 9ページをごらんください。9ページは、まず少し御説明をいたしたいと思います。これは病院単位で見た場合に、いずれの機能の病棟を有しているかというパターン分けをしたものが9ページでございます。例えば、Aの病院でありますれば4つの機能を有している。また、Eでありますれば急性期以外の3つの機能の病棟を有しているというパターン分けをこちらにありますAからOまで行ったところでございます。

 それで、どのパターンに各病院が当てはまるのかというものを整理したものが次の10ページになります。ちょっと見にくいかもしれませんが、9ページと10ページを見ながら説明をお聞きいただければと思いますが、例えばHのパターンでいきますと、病院全体を高度急性期という御報告をいただいている病院が128病院ございます。こちらの10ページの128病院の平均許可病床数を見ていただきますと581となっておりまして、いわゆる非常に大きな病院が全て高度急性期という御報告をいただいている状況が見てとれるかと思います。

 一方でLの欄を見ていただきますと、こちらは急性期のみの御報告をいただいている病院が1,454病院あるのですけれども、こちらの平均許可病床数を見ますと87と非常に小さくなっておりまして、こちらは恐らく今後、詳細な分析が必要かと思っておりますが、単科の病院で特定の機能に特化した機能を有されているケースも多分に含まれているのかなと思っております。こういった特定の機能を有している場合でありますとか、そういった高度急性期のみという病院につきましては、今後、詳細な確認をやっていきたいと思っております。

 また、Kのようなパターンになりますと急性期と慢性期のみということで、各病院における機能の連続性という観点において回復期が欠落している、報告をいただけていないパターンがこのKになりますが、それに相当するものが、10ページでいきますと約1,100病院程度ございます。こちらにつきましては、平均の許可病床数が130ということで、恐らくは複数の病棟をお持ちな病院と考えておりますが、それらにおいても急性期と慢性期の御報告をいただいているけれども、回復期の御報告はいただけていない状況もございますので、こういった各病院の有する機能ということで、切れ目ないという医療提供体制を考えた場合に、病院の中でどういう報告、もしくはどういう実態があるかにつきましては、次回以降、少し掘り下げて分析が必要かなと考えているところでございます。

 続きまして、11ページ以降、急性期、回復期、慢性期、それぞれの一病棟当たりの病床数の分布を確認しているところでございます。

11ページでいきますと、急性期におきましては平均値が45、中央値が46ということで、4650床のところにピークが見てとれるかと思います。

 回復期が12ページになりますが、4650床のあたりにピークがあるのと、60床、少し大き目の規模のところにもピークが見てとれるかと思います。

 さらには慢性期に行きますと、一病棟当たりの病床数が多い病棟が少しふえてきていまして、5560床というところにも結構な数の病棟をお持ちの病院があるということが見てとれるかと思います。

 続きまして、14ページから、それらの各病棟における職員の配置状況を見ていったものがこちらの資料になります。

 まず14ページですが、こちらは看護職員の数につきまして、病院ごとにどのぐらいの数がいるかということを示しているものになります。

 上の縦の棒グラフを見ていただきますと、各病床当たりの看護師さん、もしくは准看護師さん、看護補助者の数というものをグラフ化しているところでございまして、特には平均値の欄を見ていただければと思います。これら3つの看護師、准看護師、看護補助者につきましては縦のスケールが異なっているところには御留意いただきたいと思っております。平均値で、例えば看護師におきましては高度急性期で高い値になっておりまして、一方、准看護師につきましては慢性期の平均値が少し高い値となっております。

 それで、1つの病棟ごとの看護師さんのそれぞれの分布状況というものは下段のグラフで見ていただければと思いまして、例えば同じ高度急性期の看護師であっても、一番下の一番左になりますが、横軸に各病棟を並べておりますが、結構差があることが見てとれるかと思います。

15ページにお進みください。15ページは4機能ごとの看護師、准看護師、看護補助者を全部合計した値を帯グラフにした結果になっております。こちらを見ていただきますと、やはり高度急性期が看護師さんが非常に多く、また、看護補助者も一定程度いらっしゃることが見てとれるかと思いますし、急性期、回復期、慢性期におきましては看護補助者の割合が高くなっていることが見てとれるかと思います。

 特に高度急性期で高くなっている理由といたしましては、右の表にございますが、先ほどの病床機能報告の特定入院料との関係で、それぞれ看護配置が多くなっている報告が多いということとの関連性が強いものと考えているところでございます。

16ページをお開きください。こちらにつきましては、リハビリテーションに関係の強い職種ということで、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を集計したものになります。こちらにつきましては、あくまで病棟に配置されているこれらの職種の方の数を集計しているということで、医療機関全体の配置ではないという点には御留意いただきたいと考えております。そのため、病棟に配置されていることにおきましては回復期の病棟に配置されているところが多く見てとれますが、この結果から見て、急性期や高度急性期の医療機関にこういった職種の方がいないわけではない点には御留意いただきたいと思っております。

 また、下半分を見ていただきますと、色がついていない資料は見にくいかと思いますが、高度急性期の隣の急性期の欄でありましても、それらの職種が一定程度いらっしゃる病棟という数は少ないのですけれども、急性期の病棟であってもこれらの職種を配置いただいている医療機関は幾つかあるということが見てとれるかと思います。

 さらに、17ページにお進みください。17ページにつきましては、薬剤師もしくは臨床工学技師の数を集計しているところでございます。こちらにつきましては、やはり高度急性期の病棟で、一部の病棟ではございますが、配置があるという点が見てとれるかと思います。また、この資料につきましても、先ほどと同じですが、あくまで病棟の配置というものを集計している点には御留意いただければと思います。

 続きまして、18ページ以降の御説明になります。18ページ以降は各診療科のいずれを選択しているのかということを4機能ごとに集計したものになります。ここでいずれの高度急性期、急性期におきましても、複数の診療科を選択しているというものが多く占めております。単科の診療科での活用ではなくて、複数の診療科で活用している場合につきましては、上から3つの診療科を選択できるという報告のルールになっておりまして、その内容につきましても後ほど御説明していきたいと思います。

 高度急性期につきましては、複数の診療科を除きますと、一番多いのが小児科ということで、恐らくNICU相当の病棟の御報告だろうと考えています。それ以降、救急科、循環器内科、脳神経外科ということで、それぞれの機能に特化した病棟というものが見てとれるかと思います。

 急性期におきましては、複数の診療科を除きますと、内科、整形外科の順で多くなっております。

 回復期におきましては、リハビリテーション科ということが単科の診療科としては非常に多くなっております。

 慢性期におきましては、50%の病棟で内科という御報告をいただいているところでございます。

19ページ以降、それぞれの、先ほど申しました「複数の診療科」の内訳で、どれを選んでいるのが多いかということを少しひもといているものが19ページ以降になります。例えば高度急性期でいきますと、1位で一番多いのは循環器内科、脳神経外科の順位になっておりまして、これらが結構な数を占めているところでございます。2位、3位につきましては心臓血管外科や脳神経外科ということがそれぞれの順で出てきているところで、1位、2位、3位、いずれの中でも7つの診療科が重複しているということで、一定程度、診療科の偏りは見てとれるかと思います。

 次に20ページ以降、急性期の病棟の標榜診療科、さらには回復期という順に見ていっております。急性期におきましては、一番多いのは2,566で内科、2番目で整形外科が1,000病棟ほどあるというところで、2位におきましても外科が非常に多くなっているところで、こちらにおきましても上位8つの診療科が同じ診療科が出てきているということが見てとれます。

 次の21ページに行きますと回復期になりますが、先ほどのリハビリテーション科も単科で選んでいるということもありまして「複数の診療科」の場合になりますと内科、整形外科が上位に出てきますし「複数の診療科」としても、ここの回復期におきましてはリハビリテーション科という診療科が相当程度出てくる傾向が見てとれるかと思います。

 さらに22ページに行きますと、こちらは慢性期になりますが、慢性期の1位を見ていただきますと、圧倒的に内科が多い結果が見てとれるかと思います。

 これら各病棟の診療科をこういうふうに見てきた理由といたしまして、今後こういった分析ができないかということを考えておりますのが23ページになります。23ページは、少し丁寧に御説明いたしますと、今、御説明いたしましたように、4つの機能のいずれを選択しているのか。そして、主たる標榜科が何かということが今回の病棟コードを入れたことによって見られることになりまして、それに加えてどういった診療実績を有しているかということまであわせて見られるようになりました。

 そのため、例えば一つの分析の例といたしまして、高度急性期で御報告いただいている病棟で標榜診療科としまして循環器内科、もしくは複数の診療科の場合の第1位に循環器内科を選択している病棟におきまして、経皮的冠動脈形成術の件数をどの程度やっているのかということの集計を行ったところでございます。その結果としまして、病棟数としましては764病棟、508病院で、その中で103病棟におきましては、これらの実施件数が0件という結果で、今回、単純集計を行ったところでございます。

 ただ、この際、当該病棟で実績がないということであっても、施設で見たら他の病棟でやっている場合もあるということがありましたので、やはり施設全体でも0件というところが、今回確認したところ、48病棟、38施設あったということで、こちらのもともとの仮定といたしましては、高度急性期であって、かつ循環器内科を標榜していれば、恐らくはこの手技の実績は1件以上あるのではないかということでこういった集計を行ったところですが、一部、こういった実績がない病院があるということが見てとれましたので、こういった形で各病棟の機能をもう少しつぶさに見ていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

24ページをお開きください。今、御説明いたしましたような、各病床機能の報告のデータと、その中で行っている診療行為の関係につきまして、厚生労働科学研究の中で松田晋哉先生に今、やっていただいているものがございます。その平成28年度の分析の一部を御紹介したいと思います。

 方法といたしましては、平成28年度の福岡県の病床機能報告データにおけます、各病棟で算定している診療行為の情報と、各病棟が算定しても、それらの関連性が強いかどうかにつきまして、統計的に分析を行ったところでございます。

 その結果の一部になりますが、25ページをお開きいただきますと、高度急性期で御報告いただいている病棟におきまして、どういった診療行為が多いのかというもので、全体の平均と比べて3以上になっているものを見ていきますと、高度急性期でいきますと「診療行為」の欄になりますが、全身麻酔の手術でありますとか、悪性腫瘍の手術といったものが出現する頻度が高い結果が得られております。

 一方で急性期に関しましては、特徴的なものがなかったという結果がございます。また回復期につきましては、リハビリテーションに関する診療行為が多かったといった一定の傾向が見てとれるということもございますので、こういったものをさらに分析・解析をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

26ページが以上の資料2のまとめになりますが、これらの結果から踏まえましてわかったことを整理いたしますと、特定の機能を有する病棟におきましては病床機能報告の取り扱いにつきましては、医療機関の選択にばらつきが少なくなってきているということが見てとれるかと思います。一方で、医療機関が各病床機能を選択する際に、病院全体としての連続性を欠いていたりという場合でありますとか、単一の機能のみを選択したり、高度急性期のみを選択するといった報告も依然として見られるところでございます。また、先ほど言いました循環器内科の例のように、同じ病床機能を選択し、同じ診療科であっても、診療実績に差があることも確認ができたところでございます。

 今後の方向性といたしましては、病院単位で見た場合に、どの病棟の組み合わせで選択しているのかにつきましては、さらなる分析が必要であろうと考えております。また、○の2つ目でございますが、診療科で見た場合に、どのような診療実績となっているかということにつきましても引き続き分析を行っていく必要があろうと考えております。

 続きまして、資料3を御用意ください。

 資料3につきましては、平成28年度末までに全都道府県の地域医療構想の策定が終えたということを受けまして、その全体の様子につきまして、一度、概括をさせていただきたいと考えております。

 2ページ目をお開きください。各都道府県におけます地域医療構想の策定時期を四半期ごとに並べた結果になります。一番最後、平成29年1月から3月で8つの都府県で御報告いただいたということで、最後、47が全部そろったという状況になっております。

 3ページをお開きください。後ほど、それぞれの項目について細かく御説明いたしますが、構想区域の数を見直した県が6つございます。

 病床の必要量につきましては、後ほど後ろのほうで病床機能報告との比較につきまして詳細に御説明していきたいと思っております。

 また、慢性期機能につきましては、それぞれパターンごとに選択ができるルールになっておりましたが、その中でパターンAを選択したところが特になく、パターンBを選択したところが非常に多くなっております。

 各区域の病床の数、病床の必要量につきましては、30ページ以降に参考として全ての構想区域のものを掲載させていただいているところでございます。

 4ページをお開きください。まず、構想区域の設定状況について御説明したいと思います。

 こちらのページにまとめておりますのは、複数の二次医療圏を統合した県が5つございました。例えば愛知県におきましては「名古屋医療圏」と、それに隣接する「尾張中部医療圏」を統合して「名古屋・尾張中部構想区域」というものを設定しておりますし、熊本県におきましても「熊本圏域」と「上益城圏域」を統合しました「熊本・上益城構想区域」というものを設定して、数として二次医療圏が少なくなっていって、今後、構想区域ができたということがございます。

 同じように、福島、神奈川、香川におきましても、現行の二次医療圏を統合して新たな構想区域の設定を行っております。

 5ページをお開きください。一方で、三重県におきましては、現行の二次医療圏が4つあるわけですが、今後の構想区域の設定におきましては、右にありますように8つに分けて、今後、構想区域ごとで議論を進めていきたいということで二次医療圏を分割したところが三重県でございました。これが構想区域の見直しを行った自治体の状況になります。

 6ページをお開きください。それぞれの4機能ごとに各構想区域におけます2015年度、平成27年度の病床機能報告と2025年、平成37年の病床の必要量を、病床機能別に比較して分類したものでございます。そこの※にございますように、この病床の必要量につきましては、個々の医療機関内での病棟の構成でありますとか、個々の病棟単位の患者の割合等を正確に反映したものではないということで、必ずしも、これらは数値として一致する性質のものではないわけではございますが、参考として現行の足元の値と将来の値というものを比較したものの整理をさせていただいてございます。

 まず高度急性期につきましては、現行と比較いたしまして、2025年の病床の必要量のほうが上回っているのが205、一方で現行の病床機能報告のほうが上回っているのが126ということで、この数だけを見ますと、今後、高度急性期をふやさなければいけないように見えるのは205あるところではございます。

 こちらにつきましては、次の7ページをごらんいただきたいのですけれども、現行の構想区域もしくは二次医療圏におけます病床機能報告における高度急性期の報告が0床というものが73区域含まれております。これらにつきましては、下に細かく構想区域、二次医療圏の名称を挙げておりますが、多くは非常に小さい、島を含む医療圏であったりということが多く見てとれるところではございます。一方で、現在の病床数、病床機能報告における報告が0で、将来についても0という報告をいただいている医療圏も9区域ございます。

 これらの状況を見るに考えまして、一番下の2行になりますが、この高度急性期の機能を有する病床につきましては、これは地域医療構想を策定する際に病床数の比較という意味においては、この数になるということは理解しているところではございますが、やはり各構想区域の実情を踏まえまして、調整会議の中で十分に今後、どう整備を進めていくのかというところは、特にこの高度急性期につきましては数だけではなくて当該構想区域もしくは県全体を見た場合にどういう整備が必要かということは十分御検討いただく必要があるのではないかと思っております。

 また一方で、次に8ページをごらんください。8ページは急性期の機能になるわけでございますが、こちらにつきましては現行の2015年の病床機能報告の数のほうは上回っているところは328あるところではございます。

 それで、今、申しました高度急性期と急性期につきまして、それを合わせた数を9ページに整理しております。9ページをごらんいただければと思います。今、申しました高度急性期と急性期の整備に当たりましては、先ほど申しましたような当該構想区域だけではなくて県全体の整備とあわせて考える必要があろうと考えておりまして、これらを合わせた数におきましては、香川県の小豆構想区域以外の340の構想区域におきましては、現行の足元の数のほうが将来の必要量を上回っている結果になっておりまして、こういった形で高度急性期と急性期全体で見た場合に、今後どういう整備が必要かということについては少し広目の議論が必要だろうと考えているところではございます。

10ページをお開きください。やはり10ページにつきましては回復期の病床の機能報告の比較になっております。こちらにつきましては、341のうちの336の構想区域におきまして、将来の病床の必要量が上回るという結果になっております。一方で5つの構想区域におきましては、現行の足元の値が上回っているという結果になっております。

 この5つにつきまして、少し詳細に比較をしたものが11ページになっておりまして、北秋田、一番左上になりますが、こちらにつきましては、差としては1床なのですけれども、人口を見ていただきますと今後、2025年に向けて約1万人程度、人口が減る。また、真ん中にあります沼田におきましても、現行よりも40床ぐらい病床の必要量が下回るわけでございますが、こちらも人口が1万2,000人程度減少ということになります。その隣の大田、浜田、それぞれの構想区域におきましても大幅に人口の減少が見てとれるというところにおきましては、回復期でありましても将来の病床の必要量のほうが下回る結果になっております。

 また、下半分にあります有明構想区域におきましては、点線で囲っているところになりますが、回復期の現行の病床数が全国よりも非常に高いという構想区域でして、こちらにつきましては現行のほうが非常に回復期が多いということもありまして、結果的には将来が下回るという結果となっているところが5つございますが、それ以外の336の構想区域におきましては回復期の御報告で、今、足りないという状況になっているところでございます。

12ページをお開きください。12ページは慢性期の御報告をいただいているところで、慢性期につきましては将来の病床の必要量が上回るものが69あるわけで、うち33、やや半数になりますが、こちらにつきましては人口規模が50万人を超えるところが占めているところでございます。一方で、現行のほうが上回っている270の構想区域のうち132につきましては人口20万人未満。また、都市の種別としまして、政令市、中核市、特別区以外のところが多くを占めているという結果が見てとれるかと思います。

 これら各構想区域におけます状況を踏まえまして、今後、調整会議における議論を進めていただきたいと考えているところでございますが、これまで、例えば13ページの青森の取り組みでありますとか、14ページの岐阜の記載というものを御紹介してきたところではございますが、今回、策定を終えたというところで改めて他県の状況を少し確認したところ、15ページになりますが、北海道の北空知構想区域の記載につきまして少し御紹介をさせていただきたいと考えております。

 北海道全体といたしましては、約1,900床が過剰となる一方で、回復機能が足りなくなるという結果が構想区域のそれぞれの集計としてあるところではございます。その中で、この北空知に関しましては、今、見ていただいております資料の右の上段になりますが、北空知医療圏の医療機能の分化・連携のイメージとして、3つの病院それぞれを例示に挙げながら、各病棟の機能をどう変えていこうかということが記載されております。その転換のイメージとして、下にありますように、一部の病床の機能を転換するということを考えておりまして、例えば深川市立病院の一般病棟の中に地域包括ケア病棟でありますとか、リハビリの病棟を整備するでありますとか、深川第一病院におきましても地域包括ケア病棟等の整備を進めていくといった、各病院の今後の機能分化・連携に向けた例が示されていた。これが、この北空知構想区域の地域医療構想になります。

 さらに、16ページをお開きください。沖縄県の北部構想区域の記載について御紹介したいと思っております。この北部構想区域における課題としまして、機能の重複する2つの医療機関の統合についての検討プロセスが記載されているところでございます。具体的には県立北部病院と北部地区医師会病院の比較的中規模の病院が近隣にあるということで、左の地図を見ていただきますと、少し見にくいかもしれませんが、同じ北部構想区域の中でが2つ並んでいるということが見てとれるかと思います。

 これらの病院におきましては、多くの診療科が重複して、少人数の診療体制となって、医師の負担が大きくなっていること。また、一部の診療制限を行う事態も発生しているということがございます。そのため、この北部地域の市町村から両病院の再編・統合によって、地域医療の中核的な役割を担う病院を設置するような要望が県に提出されているということもありまして、これらそれぞれの経営形態を維持することを前提として、そこの右下にありますようなプロセスによって統合の是非について、今後、検討を行うということが構想の中に記載されていた事例ということで御紹介をさせていただきます。

 これらを踏まえまして、17ページ以降、調整会議の議論を今後どう進めていくのかということにつきまして、御検討いただきたいと考えております。

18ページにつきましては、これまで御紹介しています地域医療構想の実現のプロセスとしまして、こういった調整会議での協議をお願いしたいと考えている絵になっております。

 また、19ページにつきましては、それら調整会議の開催時期につきまして、大きく2つに分けて、定期的な開催のものと臨時の開催という2つの考え方を整理させていただいたところでございます。

 今回、この定期的な開催の中身といたしまして、20ページにありますように、これまで医療計画の検討会等で御提示させていただいております、調整会議の進め方のサイクルのイメージとしまして、次のようなスケジュールを定期的に開催するイメージとして御提示させていただいているところでございます。

 その中での議論の進め方といたしまして、21ページにお進みください。議論の進め方といたしましては、各医療機関の役割の明確化をまずやっていただきたいと考えておりまして、中段の少し下になりますが、公的医療機関等及び国立病院機構の各医療機関が担う医療機能について明確にするに当たって、例えば公立病院の担う医療機能につきましては改革ガイドラインに基づき検討すること。また、地域医療支援病院でありますとか特定機能病院といった医療法上の役割を担っている医療機関におきましても、それらについて役割を明確化していくことを整理させていただいているところでございます。

22ページをお開きいただきますと、ここで言う公的医療機関につきまして、改めて整理をさせていただいております。

 まず開設者といたしましては、都道府県、市町村、さらには日赤でありますとか済生会といったものが開設者の範囲となっておりまして、役割といたしましては、地域医療対策協議会への参画でありますとか、地域医療対策の実施に関する協力というものが法律上明記されているところでございます。

 これらの公的医療機関につきましては、都道府県知事の権限が他の民間医療機関と異なっておりまして、例えば過剰な医療機能へ病床機能を変更しないことの命令でありますとか、不足する医療機能に係る医療を提供することの指示、また、開設等許可に関しまして条件の付与、非稼働病床の削減の命令といった形で、他の民間医療機関と比べまして公的医療機関に対しましては都道府県知事の権限が強くなっているということも法律上手当てがされているところでございます。

 また、上記の都道府県知事の公的医療機関等というものがございまして、この等の中には地域医療機能推進機構等が含まれているということが下の注書きに記載させていただいております。

23ページにお進みください。今、御説明いたしました公的医療機関の中で特に公立病院につきましては、こちらにありますように、新公立病院改革ガイドラインに基づきまして新公立病院改革プランの策定の要請がされているところでございます。

 左下になりますが、この策定の要請を受けまして、各公立病院におきましては、平成27年度または28年度中に策定いただいて、プランの期間といたしましては32年度を標準とした改革プラン策定が進められているところになります。

 このプランを策定するに当たりましては、ガイドラインの中に一部記載があるところを24ページに御紹介しているところでございます。新公立病院改革ガイドラインの中におけます地域医療構想に関する記載は多数あるのですけれども、その一部をここで今、御紹介しているところでございまして「3 公立病院改革の基本的な考え方」のところにございますように、今後の公立病院改革は、医療法に基づく地域医療構想の検討及びこれに基づく取り組みと整合的に行われる必要があるということでありますとか「1 新改革プランの策定時期」の中の記載としまして、地域医療構想の達成を推進するために行う関係者との協議の場、御説明しております地域医療構想調整会議の合意事項とそごが生じた場合には、速やかに新改革プランを修正すべきといった記載が改革ガイドラインの中にあるところでございます。

 それ以外の公的医療機関等というところの御紹介の一部としまして、例えば25ページにあります地域医療機能推進機構につきましては、先ほど御説明しました公的医療機関等の中に含まれるところでございます。こちらにつきましては、設置目的がそちらに記載のあるとおりで、現行、この中に病院が57病院あるところでございます。

 また、整理いただいた中にあります、次の26ページになりますが、国立病院機構につきましては現在143病院ございまして、左下にありますように、他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのある結核、重症心身障害等のセーフティーネット分野に関する専門的医療を提供いただいているほか、右下にありますように、地域ニーズに合わせて、医療計画の中でいうところの5疾病5事業の提供というものを現在取り組んでいただいているところでございます。その中で、特に救急医療に関しましては112病院、災害医療につきましては57病院、小児医療についても87病院という取り組みがされているところでございます。これらにつきましては、今後、調整会議の中でどういう役割を担っているのかということを特に明確化していく必要があろうと考えているところでございます。

 さらには、27ページにお進みください。都道府県知事の権限ということにおきましては、こちらにありますように、地域医療支援病院、特定機能病院につきましても、それぞれ権限が付与されております。地域医療支援病院につきましては、現行、平成29年2月時点において539病院あるところで、これらにつきましても、それぞれ担うべき役割がございますので、それらを十分踏まえた今後の役割の明確化を進めていただきたいと考えているところでございます。

28ページをお開きください。今後のこういった地域医療構想調整会議での議論の進め方についてですが<今後に向けて>というところで、2つ目のポツでございますが、地域医療構想の達成に向けて、各医療機関の自主的な取り組みにより、あるべき姿に収れんすることを目指すことが基本であると考えております。その際に、より議論を活発化するためにどのような工夫が考えられるのかということが課題と考えております。

 その中で活用できるものとしましては、病床機能報告の具体的な医療の内容。先ほども御説明いたしましたが、病棟コードを踏まえた診療の中身でありますとか、本日、今村構成員より御紹介いただきたいと考えております急性期指標の活用といったものをしながら、今後、特に急性期から回復期といった検討はどのように進められるかということについて、本日、御検討いただきたいと考えております。

29ページにつきましては、次に御説明いただきます今村構成員の研究の概要の御紹介になっております。

 事務局からは以上になります。

○今村構成員 では、引き続きまして、資料4と参考資料1につきまして説明させていただきます。こちらの資料は急性期指標についてということで、我々、厚生科学研究費の研究班をしておりまして、その内容について、この検討会で15分ほど時間をいただいて御説明をさせていただきたいと考えております。

 まず、資料4の2ページをめくっていただきまして、今、地域医療構想に関係する研究班は大きく2本走っておりまして、松田晋哉先生の研究班と私どもがやっております研究班でございます。我々の研究班は地域医療構想だけではなくて、地域医療計画のPDCAを回すための指標についての研究なども含めてやっておりまして、この地域医療計画、地域医療構想を含めて、この2つがどうやったら、これを実現できるかについての研究をしているということです。

 その中で、資料の3ページを見ていただきまして、この研究班でどういう観点で研究を進めているかといいますと、計画や構想を進めていく上で、今、起こっている変化についての現状の理解を補助してもらうために、できる限り「見える化」を進める。どうやって現状を理解しやすくするかを検討しているというふうに考えていただきたいと思います。

 大きく3つのことをやっておりまして、1つは地域指標の「見える化」。これはまさに医療計画でPDCAを回すための指標をつくっていくという部分でございまして、医科歯科大の河原先生が中心にやっております。

 地域事例の「見える化」で、こちらは実際に地域医療構想に取り組んで、よい事例と思われるような病院での取り組みを各病院団体から御推挙いただいて、それを御提示していくという取り組みでございます。

 3つ目が病院機能の「見える化」で、病院機能をどうすればわかりやすく表現できるかということをやっております。

 その中で、次の4ページをめくっていただきまして、この病床機能報告が平成26年から始まっているわけですけれども、この結果を何とか「見える化」できないかということを厚労省からも御依頼いただきまして、これは奈良県庁と一緒にこれをどうわかりやすくつくるかということをやっております。

 5ページを見ていただきまして、この中で急性期にかかわりそうな項目を片っ端から分析していただきました。全部で病床機能報告は442項目あるのですけれども、ともかくこれを全部一覧表にして、偏差値を出してみたり、主成分分析をしてみたり、数学的にいろいろと取り組みをしてみました。

 参考資料のほうの一番後ろのページを見ていただきますと、例えば主成分分析をした結果、この400ほどのデータを大きく分けて4つぐらいの成分に分かれるだろうということもわかっております。ただ、これは数学的に幾ら追いかけていっても、もともと急性期とは何ですかという考え方そのものが定義化できるわけではありませんので、これは理屈の世界ではないというのが実感でございます。

 その中で、では、まず急性期にかかわるような項目はどれですかというものの選び出しをやっておりまして、6ページ、7ページを見ていただきますと、この病床機能報告442項目、各病院が全部公表しているわけですけれども、この公表している数字で、6ページがその中の主なものの一覧ですが、その中で7ページ、赤いものは急性期の病院がやっていそうなものを、これは主観で選んでおります。例えば全身麻酔をやっていますかとか、それは何件やっていますかとか、心臓カテーテルをやっていますか、ドレナージをやっていますかということを選び出していただきまして、これをまず奈良県で一覧表にして偏差値化してみた。

 それが8ページ、9ページの内容でございまして、全部の病院のデータを1つのエクセルにして、生データとしてつくる。その上で、それを偏差値化して数字として見る。そうすると、看護師さんの数でいいますと、ほかの病院に比べてベッド当たりの看護師さんがどれだけほかの病院で多いか少ないかということがビジュアル化して見える。これをつくっていって、ただ、これを全体を代表するような数字がぜひ欲しいということで、思い切って、この偏差値を全部足し合わせてしまうのが一番わかりやすいのではないかということで、足し合わせたものがこの急性期指標でございます。実際のデータのつくり方は、この後、うちの野田のほうから御説明をさせていただきたいと思いますけれども、その奈良県のデータをうちの医大のホームページに出させてもらって、各病院にも見ていただいて、その項目の妥当性についても検討してまいりました。

10ページを見ていただきますと、偏差値を合計してみますと、大体均等に偏差値の合計が並ぶのですというのがわかってきまして、これは各病院における急性期の濃度のようなものではないかと考えています。

 これは各病院の自分の立ち位置を見ていただくためにつくっているもので、11ページにあるものが、これは実際に各病院へ情報提供させていただきました表でございます。その中で看護師数でいきますと、立ち位置はどれぐらいですかとか、心臓カテーテル数でいいますとどれぐらいですかという、合計するとどれぐらいの立ち位置にいますかということを各病院にお知らせすることで自分の立場、今、どんなふうな医療をほかの病院と比べてやっているのかが見えるようにしているという状況でございます。

 それについて、私の概論は12ページで終わりですけれども、これは自院の立ち位置を知る目的でつくっておりまして、これを見ると、ほかの病院に比べて自分の病院がどの分野が得意で、どの分野が苦手なのかということがわかる。これは今後、急性期の患者さんが減っていくことを考えますと、どの分野を自分たちは伸ばしていって、どの分野を落としていくのかということを考える参考になる資料になるようにつくってきたということでございます。

 詳細につきましては、うちの野田のほうから御説明を続けさせていただきます。

○野田参考人 では、引き続き、野田より説明をさせていただきます。「急性期指標について」という、13ページからでございます。

 まず、めくりまして、14ページになります。「地域医療構想と『急性期指標』の関係性」ということで最初にお話しさせていただきます。

15ページで、地域医療構想の目標ということで、ここでお話しするのも釈迦に説法ではございますが、人口や疾病構造に起因する「医療ニーズ」と、医療機関の病床とかのストラクチャー指標というものであるとか、さまざまな指標の「医療提供体制」の調和を図るのが目標となっております。

16ページです。高齢化による医療ニーズの変化ということでして、75歳以上の高齢者がふえますと、後期高齢者がふえますと、さまざまな需要は変わっていくようですが、高度な医療の需要はそれほどふえないのですが、医療を受ける患者さんが要介護者である可能性は急増するということでございます。ですので、高齢化によりまして、前のページで言った調和点が医療側から生活側へシフトするというふうに予想されます。

17ページをごらんください。これは奈良県の人口の変化をもとにつくった表でございます。これは2015年における年齢別の医療行為必要数を将来推計人口に掛け合わせただけの非常に単純な粗々の試算でございますが、ごらんいただきますとわかりますように、訪問診療などは非常に大きく伸び上がっていくのに対しまして、それ以外のさまざまな、集中治療であるとか白内障であるとか、そういうものは微増もしくは横ばいというものが、ある程度、予想はされるというのがありまして、これが上の16ページで申し上げたような、そういうシフトの変化をあらわしていると考えられます。

18ページです。病床機能の「見える化」ということで、先ほど今村のほうから申し上げましたように、各医療機関が将来の医療ニーズに合わせた変化を模索する中で、みずからの医療提供体制の立ち位置、すなわち病床機能、急性期であるかどうかといった自分の位置づけを病床機能報告からわかりやすく示すような、「見える化」するような方法はないかなということで、当研究班で考えましたものが急性期指標でございます。

 では、つくり方について御説明いたします。20ページへお進みください。急性期指標といいますのは、病床機能報告等の項目から「主たる診療分野が急性期であるような病院」が満たしそうな項目を選びまして、病床数等で補正して集計し「急性期医療の度合い」を病院ごとの数値で示したものでございます。

21ページの大要で、1.で、各病院の「急性期医療の度合い」を示す、濃度を示す数値でございます。2.は、診療報酬による分類、いわゆるC1C2等とは異なる手法で機能の分類を試みた、「見える化」を試みたものでございます。

23ページは急性期指標、我々が奈良県の指標として提出いたしました急性期指標の一例です。ここにAからOまで病院がございますが、実際には病院名を持ってやっております。このような並びになっているということになります。

24ページでございます。急性期指標の作成方法について御説明いたします。

25ページに作成の全体の流れをお示ししております。ここで詳しく説明いたしますと、項目の選定というものを行いました。2014年度の病床機能報告でございます。数え方にもよるのですが、参考資料1の左側のほうに含まれる全ての項目442から急性期っぽいというふうに我々、医療専門職が考えた219項目を選定いたしました。

 その次に、その項目を、これは技術上の問題で66項目に縮約いたしました。後ほど詳しく説明いたします。

 病床規模の補正ということでして、66項目それぞれにつきまして、許可病床数の合計値で割り算をいたしました。

 次に、スコアの標準化でございます。項目を全部足すわけにはいきませんものですから、標準化という操作を行いまして、マル1からマル4にお示ししたような項目ごとの標準化の操作を行いました。項目ごとの偏差値に近いものだとお考えください。

 その項目の標準化を行った後に、合算による急性期指標の作成ということで、50で割る操作をいたしまして、急性期指標を作成したというのが全体の流れでございます。

26ページで、病床機能報告等の項目ということで、赤く太い枠でお示ししたものが参考資料1と対応しておりますが、442の数え方の部分でございます。太枠部分のものをカウントしております。

27ページで、急性期項目の選定は442項目から219項目を選びました。医療専門職の合議で「主たる診療分野が急性期であるような病院」が満たしそうな項目。急性期病院が満たしそうな項目を選んだということです。急性期的な項目でも、病院により報告基準が大きく異なっていそうな項目や非公表の項目は除外しております。

28ページは、実際に選んだ219項目の見方でございます。参考資料1でいいますと「選定項目」という真ん中のカラムの白抜きの部分。こちらのほうが219項目となります。

29ページでございますが、項目の縮約というテクニカルな操作を行いました。こちらは、例えば看護師数で申し上げますと、看護師についての項目は病床機能報告で10項目ございます。この10項目のうち、最初の8項目につきましては看護師数として合算しようということで全部足し合わせました。その他の常勤、その他の非常勤につきましては、精神科等の看護師数が含まれているであろうと推測されたために指標には入れなかった。そのような細かい、ちょっとしたトリミングを行っておりますが、おおむね合算をしております。そのような縮約を行いました。

30ページでございます。こちらのほうが縮約後の項目で、参考資料1とあわせてごらんいただきますと、参考資料1の「縮約後項目」という一番右側のカラムの白抜きの部分のほうが縮約された項目でございます。参考資料1では、例えば救命救急入院料というふうに6つぐらいの救命救急に関する算定項目が縮約されております。

 そのような見方について、31ページで示しております。

 それでは、本資料の32ページでございます。病床規模による補正を行いました。縮約後の66項目それぞれにつきまして、その項目を一般病床と療養病床の許可病床数の合算値で割ることによりまして、病床規模の影響を補正いたしました。こちらのところは議論があったのですが、稼働病床ではなくて許可病床のほうで補正をしております。

33ページです。スコアの標準化を行いました。例えば、これはなぜ行ったかということですが、病床数当たりの看護師数と病床数当たりの総手術件数というものはそのままの形では比べることができませんものですから「標準化」と呼ばれる操作を行いました。項目同士を比べられるようにしたということです。

 規模補正後の66項目それぞれにつきまして、1.と2.に示すような操作を行っております。ただ、この際、普通に行いますと、0が非常に多い項目がございます。例えば助産師数などは助産師のいない病院が非常に多うございますが、助産師は重要であると思いましたものですから、0の項目につきましては一旦除外いたしまして、1.の操作を行いました。その後、そこで偏差値が出るのですけれども、その後にもともと0だった病院につきましては、偏差値0という奇妙な数値ですが、そちらのほうを当てはめる。そのようなことにしております。ここは操作としては数学的といいますか、数学もどきな操作ではございます。

34ページで、スコアの合算で、このとおりでありますと偏差値は50が平均、真ん中でございます。大きくなりますので、50で割る操作を行って、各項目の平均値が1.0となるようになりました。例えば看護師スコアが1.0のところは、全国平均から見ても病床数当たりの看護師数が標準的であるということを示しています。

 2.でございますが、その66項目を全て足し合わせたものを急性期指標として算出いたしました。

 最後のスライドの35ページで、注意点でございますが、医療機器ポイントということで、保有台数に関係なく、細かい話ですが、とにかく医療機器種別ごとに1点か0点かをつけました。何台持っているかは考えずに、持っている、持っていないかで算出をしている点が注意点でございます。

 また、大動脈バルンパンピングと補助人工心臓につきましては2カ所で登場するものですから、片方に寄せて算定しているというのがございます。

36ページ以降は、実際の使い方等に関する留意点でございます。

 私からの説明は以上でございます。

○今村構成員 以上です。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、残り1時間ちょっとございますので、これからは議題に沿って議論をしてまいりたいと思います。

 まず、議題の1つ目でありますけれども「 地域医療構想に関するワーキンググループにおける今後整理が必要な事項について」 、資料1ですが、これにつきまして、御質問・御意見等を賜りたいと思います。

 本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 資料1の「3 今後の病床機能報告について」ですが、この病床機能報告については調整会議の議論に供する非常に重要なデータですので、さらなる分析を経て、定量化・精緻化していくことは客観的なデータという観点からも必要であると思いますので、その方向性については賛成します。

 同じく「4 その他」の住民等への情報提供の改善についてですが、これも以前から申し上げているとおり、住民にとって医療データというものは非常にわかりにくいものですので、できるだけグラフ化ようなものを出していただくなどの工夫をしていただければと思います。

 そういった上で、資料2にも関連してくるのですが、26ページの、平成28年度病床機能報告結果よりわかったことにありますが、ばらつきが少なくなっているものの、同じ病床機能を選択し、同じ診療科であっても、診療実績に差が認められたといった背景の中には、報告した医療機関の、例えば急性期を標榜したいといった心理的な要因や、この報告が厚生労働省へ報告されるということもあって、診療報酬の算定を意識したところもあるのではないかと思われますので、仮にそういった背景があるのであれば、今度の10月の報告についてはそのような不安が解消されるような周知をお願いしたいと思っております。

 また、分析におきましては、DPC病院とその他の病院によって何か違いが出てくることも考えられるのではないかと思いますので、そういった点の分析方法も御検討いただければと思います。

○尾形座長 ありがとうございました。

 資料1について、ほかに。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 きょうのいろいろな資料で、構想区域ごとで病床機能報告の数と病床の必要量を比較したことについて、※が毎ページに書いてあって、大分進歩したと評価したいと思いますが、今後も毎回言ってください。本来は比較してはいけないのですけれども、参考として比較したのだということを毎回言ってください。

 それと、この資料1の案ですが「3 今後の病床機能報告について」を一番先にやるべきことだと思います。病床機能報告マニュアルで、例えば例を挙げると、特定機能病院、特に大学病院本院は全病棟を高度急性期と報告しましょうとの連絡が大学病院間でありましたね。それが払拭されているのかどうか。昨年の報告の速報はないのですか。

○尾形座長 事務局、どうぞ。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 先ほど御説明いたしました、どういった入院基本料を算定しているのかという場合分けでありますとか、全ての病院で高度急性期を選んでいる病院の分析ということの作業を進めているところでございますので、次回以降、御用意したいと思っております。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 2015年度の報告はもう公表されているので、それを見ますと、特定機能病院全体の報告のうち全ての病棟を高度急性期機能で報告しているものが64。それから、一部診療科を急性期機能で報告して、その他は全て高度急性期で報告しているものが10。基本は急性期機能で報告して、ICU等のみを高度急性期で報告しているものが5。例えば順天堂とか大阪市立大学とか高知大学、産業医大、佐賀大学と、こういうところはそういうふうに報告している。それから、一部診療科を回復期機能で報告し、その他は全て高度急性期で報告しているものが2。一部診療科を慢性期機能で報告し、その他は全て高度急性期で報告しているものが3といったようになっています。

 この2015年度の報告の仕方が、昨年の2016年度の病床機能報告で変わったのかどうか。我々は医学部長・病院長会議を通じて毎年毎回のように、全病棟を高度急性期で届けなくても診療報酬の算定には全く影響ないのですと言っているのですが、信じません。まず、それが大問題なのです。病床機能報告と、先ほどの本多さんの意見もありましたけれども、報告したら、その病棟に入っている患者は診療報酬の算定がそれに縛られるのだと。そんなことは全くないと繰り返し事務局にも言ってもらっているのですけれども、信じられていないのです。それはどうしますか。このままでは報告制度によって正しい結果が出ないのです。

 もう一つ、これは資料2のほうに関連しますが、回復期機能の病床が足りないということが、一般常識みたいになっていますね。本当にそうでしょうか。例えばワーキンググループの先生方、想像してください。世の中で回復期の患者さんの行き場がなくて困ったという話を聞いたことはありますか。ないでしょう。当たり前ですね。急性期と報告している病棟の中にも高度急性期から慢性期までの患者が病期によって治癒過程、治療過程によって含まれるのです。高度急性期と報告した大学病院の病棟にもそうです。絶妙なバランスで回復期の患者さんが各種報告された病床で入院治療されているのです。ですから、病床機能報告制度の数を積み上げて、回復期が足りないのだと一般常識にされていますが、これは間違いだと思います。病床機能報告制度の改善が第一なのです。レセプトに病棟コードが入って分析もどんどん可能になったので、実は回復期の患者さんは適切といいますか、それなりの提供体制の中で上手に治療されているのだということをわかるような病床機能報告制度に改善すべきだと思います。

 したがって、話が戻りますが、資料1のワーキングで検討するものは「3 今後の病床機能報告について」がまず一番先にやることで、その次に「1 地域医療構想調整会議での検討の進め方について」というものを議論するべきだと思います。

 長くなりました。

○尾形座長 御意見として承っておきます。

 ほかに、資料1に関して御意見・御質問はございますか。

 それでは、よろしければ、また後で戻っていただいても結構ですが、先に進みたいと思います。

 資料2です。「 平成28年度病床機能報告の結果について 」でございますけれども、この議題の2つ目につきまして、皆様の御質問・御意見を承りたいと思います。

 本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 資料2の16ページ、17ページに4機能ごとの職員数についての記載がありますが、医師数についてはどのようになっているのでしょうか。以前も医師数については把握が煩雑だということでどうするかという議論はあったかと思いますが、確認させていただきたいと思います。

○尾形座長 事務局、お願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 現行の病床機能報告では、毎年1回の御報告の際は、施設全体の数、病棟ごとの数、いずれにつきましても医師数、歯科医師数いずれも、含まれていないという状況です。今回の分析に当たりましては、あくまで病床機能報告の中の分析ということでしたので、医師数についての分析は行っていない状況です。

○尾形座長 本多構成員、よろしいでしょうか。

○本多構成員 それは以前、把握するのがいろいろ煩雑になるとか、ほかでも調査しているという議論があったと思いますが、今後、何らかの形でそういうものをお示ししていただけるのかどうかということです。

○尾形座長 関連ですか。

 では、中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 医師数については、診療報酬上の算定の要件であるとか、医療法上の要件であるとか、いろんな要素があるので煩雑になりますし、混乱を来すだけなので、医師数の報告はやめましょうと、かなりの議論の結果でそういうふうに決めたはずです。ですから、今後もそのままでいいと思います。

○尾形座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 データを分析する立場から見ますと、医師数というものはやはり最も急性期なり慢性期とかを代表する数字であると思うので、実際、分析する中でそれがないのはすごく不自然さを感じます。実際に入力することの手間とのてんびんだとは思うのですけれども、分析するときにはあったほうがいい項目には違いないと思います。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今村先生、分析するだけということはあり得ないのです。先生のような立場で分析してたら、結果はどうするのですか。それは医療従事者の需給、医師の需給のバランスとか、医師の養成のあり方とか、そちらのほうまで絡んでくるのです。ですから、それを安易に医師数も分析すべきだという結論にはならないと思います。これは物すごくデリケートな問題も含んでいて、そのように決めたのですから。

○尾形座長 医師数の扱いについて意見が分かれておりますが、今、この場でどうこうということではないので、引き続き事務局のほうで御検討いただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 先ほども言いましたが、資料1に関して、回復期が足りないように見せているこの資料ですけれども、病床機能報告制度の見直しで大幅に変わる可能性がありますね。事務局、その辺の考えはどうですか。

○尾形座長 事務局、お願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 現行の病床機能報告のいずれの機能を御選択いただくかということにつきましては、今、こちらから整理できている、検討会での御検討も踏まえまして、いわゆる定性的な表現に基づいている部分と、一部、特定入院医療に関しましては紐付け、関連性があるということにつきましては、回復期機能で御報告いただくという一定の整理はさせていただいているところです。

 ただ、この整理につきましても、今後、このワーキングもしくは検討会の中で御検討いただきながら、その整理が変わってくる、もしくは各病院のあくまで自主的な判断にはなりますが、その判断に資するようなデータ等を提供できれば、当然ながら、中川構成員御指摘のように報告というものは変わっていくものと認識しております。

○尾形座長 中川構成員、よろしいですか。

○中川構成員 これからのいろんな検討をするのだと思いますが、例えば9ページ、10ページの組み合わせパターンのKのところが、病院数が1,126で、平均の許可病床数が130となっていて、急性期と慢性期しかない。急性期と慢性期しかなくて回復期に当たる患者さんがいないはずはないですね。これはやはり患者さんがどちらかに入院しているのです。ですから、これを見ても実態として回復期機能の病床は足りなくて困っているわけではないのです。

 ただ、病床機能報告において回復期との報告が増えなければ納得しない人たちがいるわけです。それは違うでしょう。現場の医療提供体制の中で回復期の患者さんがきちんと手当てされて、治療されているのでしたら、それはそれでいいではないですか。地域医療構想策定のガイドラインの議論のときにもそうだったはずです。医療提供体制が今のままでいいのだという地域医療構想もあってもいいのだという議論もしました。

 ですから皆さん、本当に一般常識の回復期機能の病床は全国的に足りないのだというのはやめませんか。ぜひ、私は提案したいと思います。

○尾形座長 織田構成員、どうぞ。

○織田構成員 ちょっと確認したいのですけれども、病床機能報告自体は臨床像ですね。先ほどおっしゃった定性的なもので、病床の必要量のほうは医療資源投入量で見ていったものですね。ですから、そこら辺は当然、やはり曖昧な部分がかなりあると思うのです。ですから、回復期が幾らとしていくと現場とかなり乖離してしまう部分が出てくるのではないかと思うのです。

○尾形座長 今のは何か事務局に。

○織田構成員 いや、中川先生がおっしゃったのとほとんど同じような話なのですけれども、余り回復期機能を病床の必要量に収れんさせていこうということにとらわれることなく曖昧にしていっていいのではないかということです。

 ただ、データとかを見せながら、徐々にそれぞれの病院が考えていきながら報告を変えて行く分には、これはいいのだろうと思うのですけれども、回復期に関して数をふやしていこうと無理するとおかしくなるのではないかと思います。

○尾形座長 ほかにいかがでしょう。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 地域医療構想策定ガイドラインの中にも書いてありますが、1つの病床機能を選択して、この病棟は何々機能であると報告しても、急性期で例を挙げると100%、急性期の患者になるわけではないということは確認済みで、しかし、2025年に向けては急性期と報告したら、次第にかなりの大半は急性期の患者さんになっていくのだというイメージで地域医療構想を進めていきましょうということは確認済みですね。

 その急性期、例えば高度急性期であるとか急性期で報告された病床・病棟の中で回復期の患者さんもいるというのは、さらには慢性期の患者さんもいるというのは、病棟・病床の包容力だと思うのです。大学病院本院の病棟の中にも、少ないですけれども、回復期も慢性期の患者さんもいますね。それが病床機能の、病棟の包容力だと思うのです。ですから、余りがちがちに、この地域医療構想を進めるのだ、達成するのだとやると、病棟の包容力がなくなってしまうのです。そんなことをしていいのかということを考えなければいけないと思います。

 「見える化」という御報告もありましたけれども、がちがちの数値によって出して、がちがちにやってしまうという危険性もあわせて考えていただきたいなと思います。

○尾形座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 100%に病床機能報告をしたいとおっしゃっていましたけれども、この診療所の中では一番初めのころ、2025年には後継者がいないから出さないという意見の人が大分おると言っていましたね。そうしますと、一番初めの2ページ、この5.8%のうち、絶対に出さないという人がどれぐらいおるのかを知りたい。

 それから、こちらの10.9%のほうはレセプトが煩雑ですし、年をとって全てのアンケートに協力したくないという田舎の診療所の先生を私は知っておるのです。絶対、何も出さない人もおるので、こういうものが絶対というものがどれぐらいおるのか。わかったら教えてほしいなと思います。

○尾形座長 事務局、何か追加情報はありますか。

○木下課長補佐 今、具体的な数字を持ち合わせているわけではございませんが、有床診療所の数は現行8,000弱であると記憶しておりますので、そもそも、今、御報告いただいている数を足し上げますと7,000弱ですので、その差の1,000につきましては、事前に書類をお送りいたしまして、邉見構成員もおっしゃったように、将来入院医療をやらないとか、今も診療所としてそういう有床機能を有していないところについて、まず除外させていただいております。

 この中には、将来も含めて、現行において有床機能を有していないものは入っていない。その先に6年後の話までは考慮されていないので、すぐ有床機能をやめますというところは分母から外れております。したがいまして、この400につきましては、今、患者さんがいるけれども、御報告いただけていない数というふうに御理解いただければと思います。

○尾形座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 それから、先ほどからの議論の4機能の分離ですけれども、これはやはり高度急性期でも退院までおる人はいっぱいおるわけです。ですから、初めやったものが高度急性の医療であって、最後のほうはほとんどが回復・慢性になっているわけです。そうしないと全部、どこかへ紹介するとかというわけではないと思います。

 私が知っている、関連しておる大学も、高度急性期をちゃんとやっているものは3割という大学は2つあります。大体、そんなものだと思います。

○尾形座長 相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 資料2は、病床機能報告の結果を見て病床機能報告を今後どうしていくのかというところではないかなと思います。そうしますと、病床機能というものを何に着目して、どういうことに着目して見ていくのかということが私は重要になると考えています。

 それをどう報告するかは、私は余り興味がないので、どういうものに注目するかなのです。今、本当にここに出ているさまざまなデータがそこに入院しておられる患者さんの病態像を正確に把握するものかどうかといいますと、私は何か違うのではないかなと思っているのです。何かの治療行為をやったとか、あるいは手術をやったとか、そういうものだけで捉えていくと、ずっと前から申し上げていますが、私たち内科医はだんだん暗くなって、だんだん目線が下に下がっていって、机の下に入り込まなければいけないような状況に追い込まれる。本当にそうなのです。

 それで、ここには内科の指標はほとんど入っていないのです。これは極めて危険なことだと私は思っていまして、これから高齢者がふえてくる中で、私はどうしても内科が頑張らないと、この高齢化社会はもたないと思っています。その中で、やはり患者さんの像、病態をきちんとあらわしていく指標は何だろうかということをもう一度、我々は考えていかないと、これはどちらかといいますとストラクチャーに非常にシフトしてしまっているので、私はちょっと危険かなという気がしておりますので、ぜひ、先ほど中川先生が言ったように、まず病床機能をきちんとするにはどうしたらいいのか。そして、それはどういうところに注目してやるのかということを考えなければいけないと思います。それが第1点。

 もう一つは、病院の経営とマネジメントを考えたときに、ある病棟でずっと高度急性期から、急性期から、回復期から慢性期まで、ずっと診るのがいいのか。それとも、それを病棟間の機能分化をして、例えば混合病棟にして、ある病棟に寄せていくのかというのは病院がどう考えてマネジメントしていくかだけという話でありまして、中川先生がおっしゃっているように、そこにいる患者さん像は変わらないわけです。ですから、どういう患者さんを診ているかという病院全体の像と、病棟をどう運用していくのか、マネジメントしていくかというのは必ずしも一致しないのだというところをもう一度考えていただいて、この病床機能報告を考えていくことが大事ではないかなと思います。

○尾形座長 ありがとうございました。

 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 先ほど高度急性期の、大学病院で最後のほうも慢性期の方がいるというのは全くそのとおりで、例えば奈良医大で見ましても、やはり退院される前の日は点滴も抜きますから、何もしないわけです。175点以下になるのは普通で、それでないと退院できないのが急性期の症状の普通の状況だと思いますので、そこの部分をどう吸収するかということはぜひ考えていただく必要があるのかなと。

 それと、この急性期の実際、今、議論にあったとおり、病床機能報告の数字は急性期をはかるようなものはたくさんあるのですけれども、慢性期的なものをはかる指標は余りなくて、それをこちらで探せと言われても実際にはなかなか難しかったのですが、データそのものは急性期の、それも外科的な、侵襲的な、手術的なものを中心に拾っている報告になっていますので、どうしても回復期から慢性期に向けての頑張っている病院をうまく評価するような報告になっていないところが全体として弱いところであると思います。

 ですので、急性期っぽいということを見るためには、この数字は割とそろっているのですけれども、慢性期っぽいことは全く見られないので、そういった意味で、まだ改善の余地がたくさんあるのではないかと思います。

 以上です。

○尾形座長 本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 私はこの回復期という概念が非常にわかりにくいと思っていたのですが、今までの議論の中で、ドクターの中ではポストアキュートとかいろいろ言われていましたが、ある意味、病院側も非常にそこはわかりにくい部分ではないかと思います。そこを分けようとするから、非常に無理があるということは、我々、素人的にもわかるところがあります。

 先ほど今村先生からご説明がありました資料の10ページに、急性期の奈良県の機能の傾向というものが棒グラフで出ていますが、例えば一つの指標として、このパーセンテージのところは精緻化し、回復期的なところであるといったことを、参考のため分類することはできるかと思います。先ほどから議論に出ていますように、患者としては例えば骨折で入院して、手術したときは急性期かもしれませんが、手術して数日間たったら、おそらくリハビリの回復期になると思いますので、そこでいちいち転院するというのは現実的ではないと思います。

 先ほど私がDPC病院とその他の病院と比べたらいいのではないかと申し上げたのは、恐らくDPCはリハビリをたくさん行っている傾向があるのではないかと思ったからです。そういった定性的なデータから一つの参考として、この4つの区分を分けていくことが、住民にとってもわかりやすいのではないかと思います。

○尾形座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 この4区分にきっちり分けていくのは多分、データ的には非常に難しいと思うのです。特に我々、やっていて思うのは、高度急性期と急性期を分けるのはそもそも意味があるのかというところが甚だ疑問に思っておりまして、これを細かく精緻化していくことそのものは余り意味がないのではないか。

 高度急性期を主にやっている分、慢性期を主にやっている分という分け方は意味があると思うのですけれども、それをぎちぎちと精緻化していって、ここから先は慢性期であるとか、そういうことをやっていくこと、そのものは余りメリットのない努力なのではないかなと思います。

○尾形座長 平成28年度の病床機能報告の結果からは、こんなことが分析できるという形で資料をお示しいただいたわけで、今まで皆様からいろいろご意見が出てきたように、いろいろ問題・課題も浮き彫りになってきたのではないかと思います。今、ここでどうこうということではないのですけれども、事務局には引き続き、この結果を踏まえて、あるいは皆様の御意見を踏まえて検討をお願いしたいと思います。

 それでは、時間の関係もありますので、先に行きたいと思います。

 議題3、資料3です。「 各都道府県の地域医療構想について」でございますが、資料3につきまして、御意見 御質問等をお願いします。

 本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 28ページの進め方についてですが、まず方向性について、全国的な傾向を踏まえれば、やはり急性期機能から回復期機能への転換を図ることは重要であると思っております。恐らくこういったことが議論されているところには、これから高齢化が進んでいく中で、例えば高齢者が骨折したときに、回復期というリハビリの機能を早くやらないと、寝たきりになってしまうことがあるかと思いますので、そういった機能面の観点からもやはり回復期機能というものを十分図っていくことは重要であると思います。

 さらに、病棟機能ごとの病床機能と医療内容に関する分析ということで、 資料2の25ページです。

 これを見ますと、急性期については、特徴的なものはなかったと書かれておりますが、実際の診療内容に基づくデータや急性期の指標を調整会議で活用して、機能転換を検討していくことには意義があると思いますので、この提案の方向性については賛成したいと思います。

 また、急性期機能については、具体的な医療の内容や指標を参考としながら、隣接区域で補えないかという点も踏まえて転換が検討されるべきではないかと思います。先ほど高度急性期において、ほとんど0であったという地域については近隣の区域間で調整するというお話がありましたが、そのような考え方は急性期でも、今後検討していただければと思います。

 あと、資料3の28ページの地域医療構想調整会議での議論の進め方についてですが、今回、地域医療構想の策定は恐らくそんなに難航しなかったとは思いますが、ガイドラインに「地域医療構想調整会議の協議が調わない等」と書いてありますが、非常に曖昧ですので、都道府県知事が判断して、要請するような場面も今後は出てくることが予想されますので、参考となるようなものは整理して示したほうがよろしいのではないかと思います。

○尾形座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 ほかのこのような会議でも、私、いつも申し上げているのですけれども、地域医療構想の最後といいますか、在宅で、慢性期が終わった後、退院した、あるいは途中で回復期から帰る人もおるかもわかりませんが、在宅医療の充実が早くしないと間に合わないだろうと思うのです。

 いろんな介護療養を廃止するとか、猶予期間が6年あったとしても、今のうちにやっておかないと、在宅の中心は大きな処置とか手術とかは当然できませんから、口から入れるものということになりますと栄養か経口薬だと思うのです。ただ、訪問薬剤指導とか訪問栄養指導とか、そういうことをやる人が田舎に一人もおらないのです。医師会の診療所の先生も高齢化で、後継ぎもおらないとか、いろんなことがありまして、本当に地方でそういうことができるのかというのをずっと心配しています。

 在支診も在支病も数だけあって、実態が余り伴わないということがありますので、ぜひ、この辺のところをみんなでやっていくような方向をつくっていかないといかぬのではないかなと思っています。

○尾形座長 ありがとうございました。

 織田構成員、どうぞ。

○織田構成員 私も邉見構成員がおっしゃったように、この地域医療構想を進めていくためには、やはり在宅での受け皿がしっかりしていない限りは、どんな高度急性期だ、急性期だといっても、最終的に上手くいかないと思うのです。ですから、そこら辺の議論も非常に重要になってくるのではないかなと思います。

 あと、先ほどお話しになった高度急性期、急性期、回復期の入院基本料のところで、地域包括ケア病棟は、この資料では回復期のところに書いてあるのですけれども、地域包括ケア病棟をとっていて、急性期で報告しているところはどれぐらいあるのでしょうか。

○尾形座長 事務局、わかりますか。

○木下課長補佐 資料2の8ページになりますけれども、今、正確な数字は手元にないところではございますが、地域包括ケア病棟入院料1を算定している場合の急性期がおよそ2割強ぐらいで、残りが回復期で御報告いただいている状況になりまして、地域包括ケア病棟入院料2ですと恐らく15%ぐらいかなという状況でございます。

 具体的な数字が必要でしたら、次回以降、御用意させていただければと思っております。

○尾形座長 よろしいですか。

○織田構成員 はい。

○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤構成員、どうぞ。

○伊藤構成員 先ほど、今後の病床機能報告を正確にというお話がございましたが、現実に資料3の13ページからのところは既に地域医療構想が計画として公表されているところがあります。

 その中で、特に14ページにありますように、地域中核都市である岐阜市を中心とする医療圏で急性期の機能を担う病院が既に決定していると理解をしていますが、これはある意味、大変驚いているところであります。

 この中核的な急性期の機能を持つ三ヶ所の病院以外のところは今後、機能について経時的に検討するということになっています。資料の20ページにございますように、今年度中の3回目の会議で具体的な病院名、医療機関名を挙げた上で具体的な機能を決定するという国の計画が示されていますが、この病床機能の報告については正確な数字、具体的で客観的な数字を挙げた上で、なおかつ、その実態が入院患者の実態に合わず今の機能、区分が適切でないということであれば、ここも一度しっかりと時間をかけて議論を尽くす必要があるのではないかという気がしております。

 特に20ページに書かれている「毎年繰り返す」というのは、大変に御苦労いただいて入れていただいた一文ではありますけれども、一度急性期の機能を持った病院と位置づけられたものが毎年検討することによって決定の順位が入れかわるということは非常に困難であると考えております。そうなりますと、早い段階でその機能が既に決定してしまった病院は毎年の議論から除外されるのかという点でこれをどのように扱っていくか議論が必要ではないか。地域における機能をどういうふうに扱っていくか再度検討する必要があるのではないかと思います。

 この点に関して、どのように厚生労働省のほうではお考えなのかということをお聞かせいただければと思います。

○尾形座長 では、御質問のようですので、どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 お答えいたします。

 この資料3の13ページ、14ページ、15ページあたりに具体的な病院名の入った地域医療構想の例をお示ししておるところでございます。これは地域医療構想に具体的に書かれているところをいろいろと各都道府県等に聞いてみますと、そもそも地域医療構想以前から相当、再編等々の議論が進んでおって、その前提の上にこの構想の中に書き込まれている例が多いというふうにお聞きしておるところでございます。

 大半の構想では、各機能をどのような数にするかということでありますが、具体的な調整は今後の構想区域ごとの調整会議で議論をされていくという理解でおりますので、そういう意味ではさまざま、我々のほうもそういった手順、ガイドラインに沿った手順というものがきちんと各地域で理解されて運用されるように、きちんと情報を共有しながら進めていきたいと思っておるところでございます。

○尾形座長 伊藤構成員、よろしいでしょうか。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 毎回同じようなことを言うようですが、青森とか岐阜は特殊例です。病院単位で地域医療構想の中にこういうふうに書いては、だめではないのですけれども、青森と岐阜はこういうふうに折り合いがついて地域医療構想として皆さん医療関係者が合意してつくったものです。これはお手本ではないのです。一つの例です。毎回こういうふうに出すからお手本だと勘違いされて皆さん動揺するのです。

 課長、それはどうですか。少し反省してください。

○尾形座長 どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 すみません。そういう意味で言いますと、地域によって議論の進捗状況や、どのような形で進めるかというのはさまざまなバリエーションもあると思います。地域によっては、やはり一つの病院がさまざまな機能を持たないと二次医療圏の状況、構想区域ごとの状況で見ますと、隣接する病院との関係から考えたときにさまざまな機能を持つということが前提になるところもあると思いますし、非常に病院が密集したような地域ではおのおのの病院が役割を分担して効率的にやるというさまざまなパターンがあると思いますので、そこら辺のまさに御指摘、共通だと思いますが、地域ごとの特性を踏まえて議論していただけるということをさまざまな機会で今後とも都道府県のほうにもきちんと情報共有してまいりたいと思います。

○尾形座長 どうぞ。

○中川構成員 青森とか岐阜は調整会議の結果の結論です。そういうふうに理解していただかないと、そもそも地域医療構想を達成する、進めるのは病棟単位ですから、病院単位ではないということも忘れてはいけませんし、その上で20ページの調整会議の3回目のところで、具体的な医療機関名を毎年挙げるという、これの意味を何回も言ってください。これはみんな誤解しているのですから、これは青森とか岐阜のようにやらなければならないのだと思ってしまうのですから、木下さん、もう一回、説明してください。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 繰り返しの御説明になりますが、今回、定期的な開催というものとあわせて、こういったサイクルを毎年進めていただきたいということに加えまして、今回につきましては青森、岐阜以外の例ということで、例えばということで、北海道の病棟単位での機能分化を進めていく事例としまして、北空知の事例も追加で挙げさせていただいております。こういったそれぞれの地域ごとに応じて、基本は中川構成員も御指摘のように、病棟単位での機能分化・連携をどう進めていくのかということもありますので、事例をふやす形で、各都道府県に誤解のないよう、説明を繰り返していきたいと思っております。

○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。

○伊藤構成員 今、中川先生がおっしゃったように、今年度中に具体的な医療機関名を挙げた上で報告するという文面は本当に削除していただきたいと思っています。過疎地ではこういう方法も可能でしょうけれども、いわゆる都市部こういうことをやりますと大変な混乱を来しておりまして、相当にけんけんがくがくとしたバトルといいますか、議論が伯仲しておるところです。病棟単位での機能分化、連携で良いということを並列的にお書きいただくことは可能でしょうか。

○尾形座長 課長、どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 ここは再々、御議論になっておるところでございます。資料3の20ページで、特に4回目のところに医療介護総合確保基金の補助といいますか、その対象とする医療機関を決めていくという議論との関連もございますので、これはさすがに医療機関を決めないと、どこに基金を充てるかということもありますので、書かせていただいております。

 これは、そういう意味では検討会とか医療部会とか、さまざまなところでいろいろな御指摘もいただいておりますので、注意深く運用したいと思うのですが、逆にここら辺のところを、書き方を余り抽象化し過ぎると逆の誤解も、要するに検討を進めなくてもいいという誤解も出るのではないかという意見もありまして、これは本当に運用といいますか、都道府県や地域での議論が丁寧に進められるように、さまざまな場を通じて周知してまいりたいと思っておるところでございます。

○尾形座長 相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 病院の院長たちが一番心配しているのは、戻って申しわけありませんが、病床機能報告の結果についてという資料2の9ページを見てほしいのですが、この選択が正しいかどうかは問題として、やはり病院の中にこういうさまざまな病棟があるのです。それにもかかわらず、この病院は急性期である、この病院は回復期であるという、病院機能を決められてしまうと非常に困るという考えを皆さん持っていて、危機感も持っています。ですから、ぜひその感覚にも御配慮いただきたいと思います。

 例えば、今度は資料3の15ページですか。北海道の地域医療構想が載っていますが、では、この深川市立病院は急性期の病院なのですか、あるいは回復期の病院なのですかという、病院全体のイメージというものが変にイメージづけられてしまうと非常に医療がやりにくくなっていって、そして、地域住民の方も恐らく困ると思うのです。ですから、病院機能全体を、ここは急性期、ここは慢性期というぐあいに決めるのはぜひやめてほしいと思っています。

 もともと地域医療構想は病棟ごとに、病床をどれくらい、そこに確保していきますかという概念であったと思うので、それを病院機能ということで言うのだとすると、厚労省の中に別途、500床のうちの400床が急性期であると急性期病院という、では、200床であったら急性期病院と言わないとか、そういう基準があってやっているのかどうかということになると思いますので、そういう基準を持っておられるのか。いや、そうではないのだということを持っておられるのか。そこだけお聞かせをいただければありがたいと思います。

○尾形座長 確認ということで、お願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 これは各構成員御指摘いただいておりますように、この地域医療構想は病棟単位での機能分化を進めるということが基本と考えておりますので、相澤構成員御指摘のような、病院ごとにどういう機能を持っている基準みたいなものを持ち合わせているものではございません。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 また同じところをつきますが、20ページで、調整会議の3回目、4回目で、これは回復期病床が足りないという間違った一般常識に基づいているではないですか。基金を使いなさいと言うけれども、これは急性期機能から回復期機能へ転換するために基金を使いなさいということを書いてあるわけでしょう。違いますか。

 行間に書いてあります。違うのですか。お答えを。

○尾形座長 佐々木課長、どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 それはそういう地域もあると思いますが、例えば何遍も青森の例を出して申しわけございませんけれども、急性期の病棟を持っていた病院同士が、ある意味、統合されて新しい病院をつくります場合にも基金の対象になりますので、そういう意味では急性期の病棟を整備する場合にも対象になります。そういう意味では、必ずしも回復期だけが基金といいますか、こういう議論の対象になるわけではございません。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今の青森の例ですけれども、今の話は、想定は公的医療機関ですか、民間医療機関ですか。それは極めて重要な質問ですから、慎重に答えてください。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 今のお話は恐らく13ページの青森の話に関連しての御質問と思っておりますが、こちらは御指摘のとおり、弘前市立病院は公立病院で、もう一方の国立病院機構弘前病院はNHOということで、公的医療機関には含まれておりませんけれども、基金は使えるという整理になります。

○中川構成員 そういう意味で20ページにこういうふうに書いてあるのですか。率直に言ってください。

○木下課長補佐 今、課長から御説明いたしましたように、急性期の再編・統合も含まれていますし、回復期の整備に対しましても基金は使えるという内容になっております。

○尾形座長 どうぞ。

○中川構成員 地域医療構想を進める上で、公的医療機関は自主的に収れんする。その意味は、1つはダウンサイジングです。統合して新たなものをつくるのではなくて、そもそも地域医療構想の趣旨の根本は不足している病床機能を手当てすることなのですから、それをどうも忘れがちだと思います。

 だから、特に公的医療機関は、特に公立病院は新公立病院改革ガイドラインに基づいて、わかりやすく言いますと、次第に収れんする。多過ぎたら、ダウンサイジングといいますか、身を引くのです。それでだんだん、医療需要に合わせて、病床の必要量に合わせて収れんしていくのです。公費が投入されている公的医療機関はそういうものが筋ですから、それを忘れないでいろんなものをつくってほしいなと思います。

 それから、先日の医療部会でも申し上げましたが、新公立病院改革ガイドラインというものがあります。もう一度申し上げますが、公立病院以外の公的医療機関と国立病院機構も含め、JCHOも含めて、それぞれ公的医療機関等にも改革のガイドラインをぜひ整備していただきたいというふうに再度お願いします。

○尾形座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 少し違うところがあるのです。大筋では合っていますけれども、先生がいつもおっしゃるように、地域によって違うのです。先生は今、今までの本筋から違ったことを言いました。全体で公的という、公的病院が中心的役割をやらなくてはいけない地域もありますから、先生の議論はいつもそうだったでしょう。ですから、今のは一くくりにし過ぎていますから、それはだめです。

 そういうこともありますけれども、とにかく公私を問わず、例えば今度の連携推進ホールディングのように、庄内地方みたいに県立も市立も民間の本間病院、今、名前を出したらいかぬみたいですが、ああいうものを含めてやっているところもありますし、例えば我々の兵庫県ですと、今度、合併準備ホールディングというものができまして、兵庫県立循環器病センター。これは建てかえなければいけない。もう古くなっているのです。それと、建ててまだ間がないのですけれども、新日鐵広畑病院という、この民間と県立がダウンサイジングでしょうか。将来、人口は減りますから、そして、機能を強化する。足らないところを補う。そうすると、姫路市は中核都市にしては救急が弱いのです。そういうことをやりますので、そういうこともありますので、必ずしも公的病院が率先して減らさなくてはいけない地域ばかりではないということを御承知おいていただきたいと思います。

○中川構成員 承知しました。

○尾形座長 いろいろ御意見を賜りましたけれども、各都道府県の地域医療構想が出そろったということで、きょういただいた御意見を踏まえながら、さらに地域医療構想調整会議での議論を進めていっていただければと思います。

 残りの時間が少なくなりましたが、最後に資料4でございますけれども「 急性期指標について 」ということですが、これにつきまして、皆様から御意見・御質問を承りたいと思います。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今村先生、急性期指標で、急性期医療の度合いを病院ごとの数値、正確に言いますと病院の病棟ごとの数値ですか。

○今村構成員 病院ごとです。これについては、病棟ごとのものはまだデータが出そろっていなかったので。

○中川構成員 本来は病棟ごとでやるべきではないかと思うのですが、いかがですか。

○今村構成員 最初は病棟ごとにやろうとしたら、データが出そろっていなかったので、まずは病院単位でやっているということです。

○中川構成員 今後、病棟ごとに急性期医療の度合いがわかったといった場合に、では、どの度合いで区切るかというのがまず一つの大問題ですね。

 それで、病床機能報告制度は医療機関が自主的に病床機能を選択して、この病棟は何機能であると報告するのですが、もし、この指標が病棟ごとにできたとして、明らかにといいますか、まず誰が見ても急性期ではないのに、回復期もしくは慢性期なのに急性期と報告した場合はどうされるという考えですか。

○尾形座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 余り、これはそういう区切りとかランキングとかに使うべきものではないと思っています。自分の病院の立ち位置がほかの病院に比べてどれぐらいの場所にあるのかということをイメージとしてつかんでいないと自分たちの経営方針を決めにくいことがあると思うのです。

 これから急性期は患者さんがどんどん減ってくるわけで、では、急性期を中心にやっていきますか、在宅のほうに力を入れますかということを各病院長はすごく悩んでいると思うのです。そのときに自分の立ち位置がどの辺にいて、急性期で頑張っている病院が自分のそばにこれだけあって、その中で自分は急性期を主力で続けますか、それとも、慢性期のほうに主力を移しますかということをそれぞれが悩んでいると思うのです。

 そのときの材料に使ってもらえるようなわかりやすい資料をということがこれの目的で、県庁とも大分やりとりをしたのですけれども、これはランキングにだけは絶対に使わないでくださいということを大分やりとりしまして、だんだん、その趣旨もわかってきてもらって、基本的には各病院が自分で判断するために役に立つような資料をという形で収れんしていった経緯がございます。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 今、先生のおっしゃったことは100%そうだと思います。私も全く同意します。ところが、先生のような考えではない人が先生のこの指標を使う可能性が極めて高いと思います。

 事務局のことを言っているわけではないのですけれども、使いたくなるでしょう。これはあなたの病院のこの病棟が急性期と御報告されていますが、今村先生の指標を使うと、決して急性期ではございませんが、来年の報告からは違う報告をしていただけませんかということをしたいと思っていませんか。どうですか。

○尾形座長 どうですか。お答えを。

 では、織田構成員、どうぞ。

○織田構成員 今の話のように、既にこれは各県で急性期指標として出回っています。実際、数値が入っていますので、ランキングみたいな形になってしまうのです。ですから、そういう意味ではやはり、これはかなり慎重な取り扱いをしていかなくてはいけないのではないかなと思います。

 あと1つ、この急性期指標のところで「診療報酬による分類(いわゆるC1C2C3)とは異なる手法で」ということであえて出されたのはどういう理由からでしょうか。

○今村構成員 私が言うのもなんですが、C1C3とかには理屈が見出せなくて、それで各病院が経営判断するとしたら、自分のところがほかの病院と比較したときに、何が有利で、何が劣っているのかを見やすくしていくためにはどうかという観点でやっているのです。

 このC1C2のようにカットオフするためにやっているのではないということを改めて、C1C2にかわるようなものではないということを言うためにこれをわざわざ書いていまして、実はこれは病院単位でやっていて、例えばケアミックスの病院なんかは、言うまでもなく、これはどんどん落ちるのです。だから、これが低いから急性期の濃度が低いという単純な話ではなくて、ケアミックスでしたら当然低い。

 逆に、これは急性期の度合いが強いということは、これが低かったら慢性期を頑張っているとかで、単純にそんな話でもなく、ものすごく慢性期を頑張っているところと何もやっていないところが両方とも低くなるという問題がありまして、単純にこれを何かのカットオフ値、少なくとも急性期、慢性期のカットオフ値には使えない。ただ、急性期に主力を置いていたときに、自分の病院が力を入れている部分に対して、ほかの病院がどれだけ力を持っているかを見るということの指標に役立つものというのが一番の目的なのです。

○尾形座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 先生、これもやはり相澤先生がおっしゃったように、内科の急性期が適切に評価されていないということは、率直に申し上げて、クリアできていませんね。

○今村構成員 全くそのとおりで、これが全てを表現できているとは、とてもではないけれども、思えません。

○中川構成員 それと、やはり病棟単位でなくて、許可病床で割り戻してという病院単位の評価は慎重にやるべきだと思います。これ以上、この時点で広めることは、私は率直に申し上げて拙速だと思います。いかがですか。

○今村構成員 各病院からしたら、自分のところはこれを見たいのだと思うのです。それに対して、これを世間で公表してランキングのように使われると、それはもろ刃の剣だと思うのです。

 ですから、少なくとも病院側には私は提供するべきものではないかなと思っていまして、実際にこれは病院側が使ってもらうと、わかりやすい、便利だということは奈良県の中では状況としては生まれていまして、そういうものがあると自分のところの病院の経営判断に役立つという使い方であると思うのです。

○中川構成員 先生の趣旨は大賛成で、そのとおりなのですが、これは厚生労働省の医政局のワーキンググループにもう資料を出されているわけです。その重みというものを、これはこの瞬間に全国にこのデータは伝わっているわけです。公表されている。ですから、それはやはり極めて慎重に御発言もされてほしいなと思います。

 課長、どうですか。

○佐々木地域医療計画課長 実は、このデータに関しましては病床機能報告のデータを使ってやっておりますし、かつ厚生科学研究の研究成果というものは公表されておりますので、いずれにしましても、各都道府県が既にこういうものを計算することができる状態にはなっておるところでございます。

 ですので、逆にきょう、こういうきちんと御議論いただきたいと思いましたのは、そういう意味では、この位置づけといいますか、取り扱いとか、この考え方をきちんと理解した上で議論の参考にされるということも場合によっては注意して使っていただくということかと思っておりますので、きょうの御指摘や、きょう御発表いただいた内容にも課題といいますか、そういうものもしっかり書いていただいていますので、あわせて、これも都道府県にきちんと周知をした上で、議論の参考にする場合には注意して取り扱っていただくということかと思います。

 いずれにしましても、既に各都道府県は持ってはいる状態でございます。

○尾形座長 野原構成員、どうぞ。

○野原構成員 岩手県では、地域医療構想調整会議を既に開催しておりますが、本日説明があった今村先生の研究班のデータを活用させていただきまして、ニュートラルな立場で、そして、きょうは詳しく御説明がなかったのですが、資料4の50ページ以降に指標についての使用禁忌といいますか、注意事項がございます。「優れた病院ランキング」としては使うことはできない等でありますとか、このデータの活用方法について、きちんと資料としてつけて御説明した上で、このデータとして地域の協議の場に活用させていただいております。

 現場の声としましては、ある程度客観的に数値で示されるということは、病院機能としてはわかりやすくなった。あとは、地域できちんと自分の病院が貢献しているということも住民に示すことができたのではないかなど肯定的な評価もいただいているところでございます。

 そういった意味では、本指標の活用については、あくまでも地域で建設的な議論を進めていくための一つの指標として、留意点もきちんと御説明した上で議論を進めていきたいと考えております。

○尾形座長 すみません。きょうは時間がもう来てしまいましたので、この問題は非常に重要な問題であると思いますし、引き続き、このワーキンググループでこういった急性期指標の活用等については検討していきたいと思います。

 そろそろ予定の時間でございますが、最後に全体を通じまして、何か皆様のほうから御意見はございますでしょうか。

 どうぞ。

○野田参考人 すみません。参考人からでございます。

 急性期指標につきまして、今日いただきましたほとんど全ての御疑問につきましては、実は42ページ以降の注意事項におおむね答えが載っておりますので、もしよろしければ帰りの地下鉄ででもごらんいただければと思います。

 失礼いたしました。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、事務局からどうぞ。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 各構成員から御指摘いただきました御懸念につきまして、私ども、都道府県のほうに正確に伝えたいということは重々、肝に銘じているところでございます。

 先ほど御説明を省きましたが、参考資料2につけております、都道府県職員向けの研修会を今月の1719日の3日間かけて予定しておりますので、その中でもこういったデータの留意点、活用に当たっての気をつけるべき点ということにつきましてはしっかりと都道府県の職員に対しましても伝えていきたいと考えております。

 また、次回以降の日程につきましては、改めて調整できましたら各構成員の方にお伝えしたいと思っております。

 以上でございます。

○尾形座長 それでは、以上をもちまして、本日のワーキンググループの会合を閉会といたしたいと思います。

 どうも、長時間にわたりまして、熱心な御議論をありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室
直通電話:03-3595-2194

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