ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(薬剤耐性(AMR)に関する小委員会)> 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 第2回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(2017年1月30日)




2017年1月30日 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 第2回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会

健康局結核感染症課

○日時

平成29年1月30日(月)18:30~20:30


○場所

厚生労働省 専用第12会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)抗微生物薬適正使用の手引きの内容について
(2)その他

○議事

○結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、第2回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会を開催いたします。本日は、現時点で10名の定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告をいたします。今回、北原委員に御参加をいただいているほか、笠井参考人と堀越参考人にも御出席いただいておりますので、御紹介をさせていただきます。

 次に、事務局より資料等の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1、参考資料1から6を御用意しております。不足の資料がありましたら、事務局までお申し付けください。

 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。以降の議事の運営に関しましては、座長の大曲先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○大曲座長 国際医療研究センターの大曲です。本日はよろしくお願いいたします。早速この資料の1枚目の議題の確認をしておきますと、1点は、事前に資料が配られていますが、この内容について、具体的に御説明をいただいた上で、皆様方の御意見をいただければと思います。2点目は、「その他」ということで、予定をしております。円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いいたします。時間もありますので、早速先へ進めさせていただきます。議題1、「抗微生物薬適正使用の手引きの内容」ということで、事務局から全体像について御説明をいただいて、その上でブロックごとに議論を進めていければと思っております。まずは、事務局から御説明をお願いします。

○結核感染症課長補佐 事務局の野田より、資料1を用いて説明をさせていただきます。資料1を御用意ください。2ページ目を御覧ください。抗微生物薬適正使用の手引きの第1版の仮称ということで、たたき台をお示しをしておりますが、このたたき台につきましては、この目次にありますように、各委員の先生方、また、今日お呼びしております2名の先生方に、分担をして執筆をいただき、事務局のほうで編集をさせていただきました。また、全体像といたしましては、前回、目次という形で御議論いただいたものを参考に作成をさせていただきました。引用文献等については、メリハリを付けるために、文字を小さくさせていただいております。全体像の説明としては以上です。

○大曲座長 まずは全体の構成といいますか、全体像に関してなのですが、御意見、御質問等いかがですか。

 今日初めてこの場におられる方もいらっしゃいますが、よろしいですか。

○北原委員 今回から委員として入らせていただきました、長崎大学の北原と申します。薬剤師ということになりますので、薬剤師の視点というところで発言をさせていただけたらと思います。個々のところは今から議論されると思いますが、そのときにまた発言させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大曲座長 ほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。それでは各論のほうに議論を進めてまいりたいと思います。

 まず「はじめに」というセクションがありますが、こちらについて事務局に御説明をいただきたいと思います。

○結核感染症課長補佐 事務局より御説明をさせていただきます。資料13ページ目を御覧ください。「はじめに」という所で、ここについては、本田委員に御執筆をいただき、事務局のほうで編集をさせていただいております。この項につきましては、4つの項目に分かれております。

1つ目の項目の策定の経緯です。まず1段落目で、昨年4月に薬剤耐性対策アクションプランが策定をされたということ。そして、その中で、抗微生物薬の適正使用についても、最重要の分野の1つとして挙げられていることを記載しています。

 また、我が国の抗微生物薬使用量のデータとしまして、諸外国の比較から、経口の第3世代セファロスポリン系薬等の使用頻度が高いことが指摘されているということ。このようなことも踏まえまして、日本において抗微生物薬の適正使用を推進していく必要があるということを記載をしております。このような経緯の下で、本手引きを作成し、適切な感染症診療に係る指針を明確にすることで、抗微生物薬の適正使用を推進していくものということで記載をしています。

 次に、策定の目的として、抗微生物薬の不適正な使用を減少させるということ。一方で、アクションプランにある、成果指標につきましては、その設定がされているということがありますが、これらの目標については、適正な感染症診療の普及を進めた結果としての成果として考えるべきであるということを記載をさせていただいております。

4ページ目です。手引きの対象としては、主に外来診療を行う医療従事者を対象として作成をしています。また、次の想定する患者群としては、今回の手引きの中では、急性気道感染症及び急性下痢症に関して焦点を当てています。

 また、5番目として、科学的根拠の採用方針につきましても、小さな字で見出しを付けた形で記載をさせていただいています。事務局からは以上になります。

○大曲座長 ありがとうございました。こちらの項目ですが、本田委員に原案の作成をいただいています。本田先生のほうから補足点ございましたらよろしくお願いいたします。

○本田委員 ありがとうございました。私のほうで「はじめに」という所と総論部分について、たたき台のほうを作らせていただいております。基本的に書かれている内容は、現在の厚生労働省が出している、薬剤耐性対策アクションプランにのっとる形で、そこと齟齬がないように、策定の経緯、目的、手引の対象を想定する患者群の、科学的根拠の採用方針を書かせていただいております。

 前回の内容で、総論は要るか要らないかという話が少し出たと思うのですが、患者さんに手引きが出るという形でお話を聞いていましたので、やはり細かい内容がどこかに記載されていたほうがいいのではないかということを踏まえて、できるだけあまり難しくない内容で、最低限の詳細な内容を書くということに努めております。以上です。

○大曲座長 ありがとうございました。総論の位置付けというところも踏まえて御説明を頂きましたけれども、御質問、御意見いかがですか。

○具委員 東北大学の具です。想定する患者群のところなのですけれども、恐らくこれは成人の患者さんというのが主な想定する患者群となっているかと思うのです。この科学的根拠や採用方針も成人と明記をされているということで、想定する患者群の所には、成人と明記したほうがよいのかどうか、その辺り、何か議論があったのであれば教えてください。

○本田委員 すみません。小児のほうの各論の手引きの作成と、少し時間差がありましたので、このときには成人のほうの内容を中心に書いていたという状況があって、想定する患者群が成人になっています。今、宮入先生、堀越先生、笠井先生を中心に、小児のほうの各論を作成して準備している状況と伺っていますので、ここの所は今後まとまってきて、少し内容が、想定する患者群のほうは小児のほうも含まれてくるような形に、総論としては書き変わると予想しております。

○大曲座長 ほかいかがでしょうか。

○坂本委員 聖路加国際病院の坂本です。手引きの対象に主に外来診療を行う医療従事者として、括弧の中に「保健師」とあるのですが、外来診療の場に保健師さんがいることは一般的ではないのではないかなと思います。この手引きの対象に関しまして、保健師としている理由などがありましたらば教えていただきたいのですが。

○本田委員 今後、法制度の整備とか、その辺を少し考慮した形での保健師という形で記載がされています。今はまだ不確定なところもあると思いますので、もし、可能であれば野田さんのほうから少し御説明をいただいてもよろしいでしょうか。

○結核感染症課長補佐 では、事務局から説明させていただきます。基本的には保健指導という部分で言いますと、医師、保健師という形で法律上は明記されていますので、仮に保健指導という形でやるとするならば、医師と保健師ができるという形になりますので、そこの部分で保健師という記載が入っているということになろうかと思います。一方で、もちろん、この手引き自体がどのような形で使われるかということになると思いますので、そこは保健師さんには難しいという話であれば、ここの記載は抜くということもあろうかと思います。

○坂本委員 難しさというよりは、そもそも保健師さんは通常外来診療に携わっていないのではないかという疑問があり、いろいろ事情で仕方がないのかもしれませんが、若干違和感がありましたので質問させていただきました。

○結核感染症課長 結核感染症課長です。同様の趣旨で、他からも話が来ると思っていまして、今の御意見はもっともで、診療は医師の専管事項ということですから、保健指導の話までこの手引きに混ぜるのは、よろしくないのではないかということもあり得ます。また、皆様方の御意見を拝聴しながらも、削除の方向で議論をいただけたらと思います。

○堀越参考人 小児科は結構健康診断とかで、お母さんとか熱が出たときに、どうしたらいいかということを指導することを、小児科レベルでは、比較的保健師さんがすることもあるので、普通の外来だとないのですけれども、健診とかなんかだと使えるのかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。

○宮入委員 この総論が小児に適応できるかという話がありましたが、基本的なコンセプトや総論は小児も同じです。そのもとに小児の各論を作成している段階です。

○大曲座長 ありがとうございます。そういう意味では大きく書き変わることはないだろうということですよね。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○本田委員 すごく細かいことで恐縮なのですが、皆さんに御議論いただきたいのが、用語なのですけれども、抗微生物薬と抗菌薬という言葉が両方使われて、これはアクションプランの中でも、実は両方使われているのです。恐らく相互性を持って使われている言葉だと思うのですけれども、この辺り、ちょっと枝葉の議論で申し訳ないのですけれども、皆さんの御意見をお聞きしたいなと思っております。

○大曲座長 そういうことであります。皆さん、御意見としていかがでしょうか。

○北原委員 薬剤師的なところから考えてみると、抗微生物薬というと、やはり抗ウイルス薬、抗真菌薬、全て含んだものと考えるのが一般的かなと思っております。この後に出てくる、総論の所では、抗微生物薬の中で、細菌に効果を示すものを抗菌薬とクリアに書いてあったので、この、はじめにの所でも、このクリアさを出すかというと、私も読んでいるときには、ふと思ったのですが、その後の総論でそこはきっちり書いてあったので、少し交ざってしまうところはあると思うのですが、理解はできるのではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○金子委員 日赤の金子です。一般的に病院で使われている用語としては、抗菌薬というのが一般的ではないかと思うので、各論ではないこの部分に関しては、抗菌薬ということで統一してもよろしいのかなと私は考えます。

○大曲座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

○坂本委員 ガイドラインによく用語集のようなものが付いているのですが、今回この中に出てくる用語について説明する資料を付ける必要はないでしょうか。

○本田委員 とてもよいアイデアだと思うので、皆さんで検討できたらと思うのですが、そうですね。通常はこういうときに用語集があったほうが参照しやすいと思いますので、そういう方向でいくことはいいのではないかと個人的には思います。

○大曲座長 ほかにはいかがでしょうか。

○具委員 今の話と大体かぶるのですが、最初のほうは抗微生物薬でもいいのかもしれないですが、結局その後の気道症状とか下痢症状のところはみんな抗菌薬となっているので、早目に抗菌薬と揃えてしまっていいのではないかと思うのです。ただ、今の用語の話がありますので、用語集とかで脚注のような形で説明をするというのはどうかなと思いました。抗微生物薬というと、やはり先ほどありましたが、抗真菌薬はどうかとか、そういった話になってきますけれども、こういうのは現実的に入ってこないと思うので、そこは最初のうちに説明して、ここから先は抗菌薬でいきますということでどうかなと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。出た御意見は大体揃っているというか、そのものの観点からいけば、菌だけにターゲットは限らなくて、結核だってほかの微生物が入るわけで、そういう意味では抗微生物薬をターゲットにしたものということになるのでしょうけれども、総論ではそこから入っているのですよね。でも、実際には感染症の診療で、風邪診療などの中において、どちらかというと、抗菌薬のほうの議論が中心になる。だからそれこそそういう書き方になっているということで、筋は私も通るかなと思いました。皆さん方がお気付きになるということは、用語の解説を出してもいいのかなと思いました。ほかはいかがでしょう。よろしいですか。それでは、「はじめに」はここで締めたいと思います。後でどうしてもという方がいらっしゃったら、「その他」もありますので、先に議論を移していこうと思います。今「はじめに」を議論しましたが、その後に総論が続いてまいります。総論に関して、事務局から御説明をお願いします。

○結核感染症課長補佐 では、総論について御説明をさせていただきます。資料16ページをお開きください。この総論につきましても、本田委員に御執筆をいただきまして、事務局のほうで編集をさせていただきました。この項目につきましては、4つの項目に分かれております。1つ目の項目として、抗微生物薬適正使用というところで記載をさせていただいております。また、2つ目の項目の部分では、適応病態という形で、原則として抗微生物薬投与が、標準治療として確立されている感染症と診断されている、若しくは強く疑われる病態であるというところを適用となる病態として記載をさせていただいております。

3つ目に、抗微生物薬の不適正使用とはということで、抗微生物薬が適正使用されていない状況としては、必要使用と不適切使用に大別されます。そして必要使用と不適切使用について、その状況の記載をさせていただいています。

 また、その他として、急性気道感染症や急性下痢症の予防に関しても、考慮されるべき項目として、手指衛生ですとか、ワクチン接種についての記載も簡単にさせていただいています。事務局からは以上です。

○大曲座長 この点に関しても本田委員に御執筆いただきましたが、本田先生のほうから何か補足がありましたらお願いします。

○本田委員 一番初めの適正使用に関してということの総論に関しては、大きな総論を一番目に載せて、適応病態に関しては、各論でお話していく内容ですので、あまり詳細には触れずに、必要な状況というのは、抗微生物薬投与が、標準治療として確立している感染症であるということを、強く述べたという形で記載してあります。

 不適正使用という言葉に関しては、いわゆる過去の論文等で、不必要、unnecessaryというのと、inappropriateという言葉がよく海外では使われていると思うのですけれども、この2つを合わせて、必要ではない状況で使われている使用、あとは、必要な状況なのですけれども、それがドーシングだったり、選択だったり、そういったことが間違えている可能性があるという状況のときに、不適切という言葉を合わせて不適正使用という形、この2つの概念を合わせて不適正使用という言葉が、アンブレラタームのような形で位置付けされています。

 簡単に「その他」の所で、今回、急性気道感染症と下痢症が主な焦点ですので、そこの分野において、抗菌薬の使用以外に重要と思われる適正使用につながるような事項に関して、2つ挙げて、それは手指衛生及びワクチン接種ということで、簡単にまとめています。

○大曲座長 ありがとうございました。以上ですが、総論に関して、御質問、御意見等いかがでしょうか。

○金子委員 (2)の抗微生物薬使用の適応病態という所で、下から3行目で、喀痰グラム染色・培養、尿培養で、グラム染色が抜けているのですけれども、検査技師的には、非常に気になるところでしたので、追加ができればと思っています。

○大曲座長 ありがとうございました。大事なところですね。

○宮入委員 ワクチン接種のところは、具体的な内容について、少し修正が必要かなと思います。例えば、3種混合は今は4種混合になっていたり、ほかの呼吸器系の病原体に対するワクチンの記載を記載するかということについて少し検討したほうがいいと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。

○具委員 この(2)の適応病態の、先ほど金子先生からお話のあった辺りなのですが、「なお、外来診療において」以下のこの文章は、結構踏み込んでいるなと思ったのです。入院が必要であると判断されたときに、入院可能な医療機関に搬送するときに、適切な培養検査を採取した上で可能であれば、投与した上で搬送すべきであるという。これは医療状況によっても、地域によっても大分違うのかなと思っていて、この辺りはどの辺まで踏み込むのか、その辺りの意図みたいなものがあれば教えていただければと思います。

○本田委員 たたき台の段階での記載ですので、皆さんの議論を含めて、ここの所は検討が必要であるということであれば、変えていただくのは全然問題ないのですけれども、実際問題、私たちが診療していて難しくなる病態というのは、やはり適切な培養が採られないで、抗菌薬のまま何らかの形で投与される。主には経口の抗菌薬が多いと思うのですが、それで三次医療機関に来るという形で、そこで原因が分からなくなるという状況があると思うのです。ですので、その状況を改善したほうがいいという意図を私としては持っていて、このような記載にしたのですが、具先生のおっしゃるとおり、かなり現場で負担がかかるというか、かなり現場でのプラクティスの改善が要求される可能性があるコメントであれば、少しここのところを議論して、皆さんが納得できる、提供する医療者側も開業医とか、外来主導で提供する医療者側も、十分リーズナブルなところでまとめていければなと思います。ですので、是非御議論をここもいただければと思います。

○具委員 私が今御質問したのは、1つは経口抗菌薬を投与するのではなくという一節はもう大賛成で、今本田先生がおっしゃったとおりかなと思いました。

 その次の培養検査を採取するということと、緊急度に応じて抗菌薬を、結局これは、選んで投与してほしいというコメントになると思うのですけれども、結局そうすると、どういうときに何を取って何を投与すればいいのかみたいな話になってしまうかなと思ったのです。もちろん、そういったことができる医療機関はやったらいいと思うのですけれども、一方で、血液の培養のボトルはありませんという診療所はたくさんあるかなと思います。あるいは、食中毒の抗菌薬は、静注用の抗菌薬をおそらく意図されていると思うのですが、治療初期の抗菌薬、静注抗菌薬といったら、1種類あるかないかみたいな所だってあったりするかなと思いましたので、そうしますと、ここのところは、経口抗菌薬を投与するべきではないという明記はもちろん、強調したほうがいいかなと思うのですが、そこから先は、あまり踏み込まなくてもいいのかなと私としては思いました。もちろん様々な意見があるかと思いますので、その辺また議論できればと思います。

○大曲座長 ありがとうございました。この点、いかがでしょうか。

○山本委員 神戸大学の山本です。今の点ですが、かなり状況によって異なってくるのかなと思います。例えは細菌性髄膜炎を疑うような状況であれば、一刻も早く抗菌薬ということになるのでしょうけれども、日本の場合、基幹病院までの搬送する時間が3時間、4時間かかるようなところばかりではないことが多いと思いますので、それならば培養を診療所で取るよりは、すぐに運んだほうがいい状況のほうが多いだろうと思います。これは離島とかであれば、またちょっと変わってくるのかなという気がしますが、なかなかセッティング次第で変わってくるので、一般化は少し難しいのかなという気がします。

○大曲座長 ありがとうございました。

○徳田委員 実際、開業医さんのクリニックの設備とかを見ると、ほとんど血液培養ボトルは置いていないですね。ですので、今の議論の中で考えると、原則としては早く送ったほうがいいかなというのが言えるのではないかと思います。希ですね。血液培養ボトルが置いてある所は。

○大曲座長 僕もボトルを置いてらっしゃることを個人的に存じ上げているのは1人か3人ですね。ありがとうございます。いかがでしょうか。でも、確かに紹介される側の血液医療機関の人間からすれば、結局最終的な微生物診断がつかないというのは、あとのマネジメントをものすごく難しくしますし、照会先の医療者からは検体は取ってほしかったなみたいな声が聞こえてくるのは事実です。でも、送る側からの先生方からすると、少しでもいいことをしたい、手ぶらでは送れないという思いが強いのも事実で、それが回わらないので、やっぱり不幸な状況があって、そこを何とか変えられないかというところの、多分本田先生の御意向だと私は思っているのですが。

○本田委員 あと1点だけ、ここで私が御議論いただきたいのは、医療機関に搬送すべきであるという、この条文が何か受け取る側、三次医療機関が実際に現場としては、入院が満杯で取れないとか、全国至るところで起きているというのを目にすることがあると思いますが、救急車だったら応需率みたいな形で語られていることもありますけれども、三次医療機関に過度な負荷をかけないかを、書いていて何となく一瞬危惧した感じがあったのですが。皆さんにその辺の御意見等を伺えればと思いました。

○大曲座長 ということで、多くの先生方は、三次医療機関におられる先生方ですけれども、その点どうお感じですか。御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○坂本委員 基本的には問題ないのではないかと思います。むしろ、人道的に送らなければいけないといいますか、救命のために病院に送る必要がある人は送ったほうがいいので、無理をして診ないで送りましょうというスタンスで書くほうが良いと思います。空床は救急隊が探すと思うので、ここで心配しなくてもいいのかという気はします。

○大曲座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○具委員 恐らく、今の本田先生の危惧の中に、1つは、重症度が高く、入院しての治療が必要ということの、大分その人によって感覚が違う面もあるのかと思います。しばしばあるのが、病院で受ける側の医師としては、別に入院適応ではないと思っているけれども、患者さんは、これは入院だよと言われて来ていて、困ってしまうということもあったりとか、一方で、本当に超重症であれば、一刻も早く送ってくれということになると思いますが、重症度が高いというのは、そもそも何だという話になると、これはまたそれですごく大きな議論になってしまうのだなと思います。ですから、確かにここは、本田先生の危惧されるように、何か断言してしまうと、その辺、込み入った議論になってしまうと、地域によっても違うでしょうし、なかなか難しいかもしれないということを、印象なのですけれども、思いました。ほかの先生方の意見があれば、是非、お聞きしたいと思います。

○大曲座長 林先生、お願いいたします。

○林委員 入院適応があるうんぬんということを言わないで、要するに、クリニックのレベルで対応できない、より上のレベルの医療機関にコンサルトすべき場合は、コンサルトするというようにして、そこに入院の適応があるかないかというのを、所領の先生に求めなければいいのではないですか。あくまでも紹介された側が受けて、入院の適応がなければ別に外来でフォローすればいいと判断すればよくて、入院する適応があれば、入院させればいい。何とか見付けるのだと思いますが、本当に入院の適応があれば。だから、私たちもコンサルトを受ける側からすると、入院させる必要があるので、お願いしますと言われると、まだ見ていないのに入院と言われても困るわけです。

○具委員 確かに。

○林委員 例えば、私は集中治療室ですけれども、集中治療適応なのでお願いしますと言われても、その適応を判断するのは私たちなので、本来は。一般的には、二次医療機関クラスでも、三次医療機関クラスでも入院の適応があるかどうかは、その受ける側が判断するべきことなのです。クリニック側が判断するのは、クリニックのレベルで診ることができるかできないかを判断すればいいのではないかと思います。

○大曲座長 入院するしないというよりは、高度医療機関にいる専門家なので、相談を受けて、しっかり引き受けるということが、むしろ責務というか、そちらのほうに重きを置くという感じですしょうか。ありがとうございます。そのようなところですか。私はすっきりしました。ほかにいかがでしょうか。総論に関して。

○坂本委員 また話が戻るのですが、培養検査のくだりについては「できれば」という形で付けておいたほうがよいのではないでしょうか。例えば、大曲先生が御存じの23か所のクリニックの先生であればやっていただけるとか、そういうこともあるかと思います。啓蒙にもなると思うので、是非、最後のほうに「できれば」という形で残してはどうかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。個人的には大賛成です。やはりやっていらっしゃる方は、できるのだということを示したいことをすごくおっしゃるものですから。ほかにいかがでしょうか。

○山本委員 診療所のほうで、血液培養ボトルが置けないという話についてですが、血培ボトルをばら売りしてくれないという事情があることを聞いたことがあります。診療所だと、どうしても数が出ないので、年に何回かだと、使用期限が切れてしまって置けないという事情があって、これはどうしたらいいのか、血培ボトルを売っている会社にばら売りしてくださいという働きかけができるのかどうか分かりませんが、ばら売りしてもらえれば、少し事情は変わるのかと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。それは本当におっしゃいますね、確かに。必要なコストだと割り切っているようなことをおっしゃるのですが、それもちょっとどうかなと、確かに思います、私も。賛成です。ほかにいかがでしょうか。

○北原委員 先に進んで、手指衛生の手洗いのことですが、下のところに、ノロに対してもアルコールは効果がやや低いという記載がありますが、どうしてもこの記載だった場合に、全体として、石鹸と流水の手指衛生のほうがイメージとして強く残ってしまうような印象を持っています。つまり、アルコール手指衛生のほうを院内の中でも推奨している所もありますので、イメージとしては、アルコール手指衛生を勧めるようなイメージが残るような文章の記載の仕方のほうがベターではないかということを、読んだところでは感じたところです。ですので、ノロのところが、先生方も御存じのように、ノロで、本当にアルコールが駄目かどうかというところは実際にできないところもあります。実験的にも分からないところもありますので、最近、メーカーによってはアルコールで、少し酸性化にして、ノロにも効果があると言って、実際にそれが効いているかどうかはネコカリシだと思いますが、それが出たときに、全体として見たときに、アルコールを勧められるほうがいいのではないかというのが私の印象です。

○大曲座長 ありがとうございます。トータルのメッセージとしては、流水と石鹸とアルコールがありますが、それが大事なのだというのが伝わるつくりにしたらどうかということですね。坂本先生、いかがでしょうか。

○坂本委員 ここはやや付録的な扱いなので、余りここにたくさん詰め込めないと思いますが、せっかく手指衛生、ワクチンとあるので、咳エチケットを、呼吸器感染症が入っているので、入れてはどうかと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。確かにそうですね。

○具委員 また、その他のところの話になりますが、うがいはここに書く必要はないですか。

○大曲座長 どちらからでも結構ですが、お願いいたします。

○坂本委員 うがいは、効果が確立していないので、やって悪くはないけれども、あえて推奨するものでもないと思っております。

○大曲座長 本田先生、お願いいたします。

○本田委員 RCT1個組まれていたと思いますが、余り効果がないというか、結論付けられているのかもしれないです。ヨード製剤を使用したうがいと比較したら、私は少し記憶が曖昧なのですが、ヨードのうがいは効果がなかったという形で、どなたか補足をお願いできればと思います。

 先ほどの坂本先生の話に戻りますが、ここに何を入れるかという話で、私もはじめ、実は咳エチケットのことを書いたのですが、ちょっと総論だったので、結構、各論のような話になってしまうかと、私、ちょっと危惧してですね、手指衛生は、両感染症に共通の議題なのです。ワクチン接種も気道感染症及び下痢感染症に共通の議題なのです。ですので、共通の議題があるところだけ総論で出れたという状況があったので、咳エチケットはもちろん重要な気道感染症の予防に推奨されていることですので、どこかに入ったほうがいいというのは私も思っていて、それが各論で入るのか、ここの総論のところに、ポンポンと入れていく形になるのか、この辺は議論していただければと思います。

○大曲座長 なるほど。その点、皆さんの御意見はいかがでしょうか。

○堀越参考人 この流れだったら、ここに入れたほうが自然なような気がします。

○大曲座長 ありがとうございます。各論のセクションがあるわけなのでということですかね。

○堀越参考人 はい。

○大曲座長 それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。大分総論に関して出ましたけれども、ほかはいかがでしょうか。

○北原委員 もう一点ですが、これ、文言のところですけれども、抗菌薬適正使用というところで、英語ではしばしばAntimicrobial Stewardshipと表記されるところがあるのですが、昨年か、一昨年ぐらいに、8学会提言を出されたときに、「抗微生物薬適正使用支援」というように、多分、訳されて、出されたと思います。「支援」という言葉が入っていないわけなのですが、その学会が出したところと、その文言というところで違うというところの指摘が入る可能性があるのではないかと思って、その辺りはいかがでしょうか。

○大曲座長 適正使用、なるほど、分かりました。例えば、最初の2の総論とありますが、(1)に抗微生物薬の適正使用とありますけれども、この辺りの所からということでいいですね。

○北原委員 そうです。

○大曲座長 本田先生、お願いいたします。

○本田委員 御指摘の点、ごもっともだと思います。例えば、厚生労働省のAMRのアクションプランは、「支援」とは書かれていないのです。ですので、私としては、それほど大きな問題にならないのかと思ったのです。

なぜかと言うと、既に厚生労働省が出されているアクションプランのところにも、「抗微生物薬の適正使用」という形で記載されているのです。ですので、ここでは「抗微生物剤」ということで略称で書かれています。ですから、これは議論をいただいて、必要ということであれば、それは入れるという形で、それとも、このままAMRアクションプランを踏襲するということであれば、必要ないというようになると思います。

○大曲座長 ありがとうございます。私の解釈はどうだったかということを先に御紹介をすると、多分、主体によって変わってきて、これは恐らく、外来で診療される多くは、診療される主体の先生にとっての、先生が主体となったものとして書かれていると。そうすると、その人が行う中身としては、恐らく、抗微生物薬の適正使用だろうと。ただ、8学会提言が目指しているところの多くは、院内を中心とした、一方に、診療される先生方がいるところの支援をする仕組みであると。だから、抗菌薬の適正使用の支援というように言葉を使い分けていらっしゃるという認識をしています。もしもこの中に抗菌薬の適正使用の支援をするような、適正使用を支援するようなチームとかそういったものの活動とか、あるいは、果たすべき役割等が出てくれば、例えば、抗菌薬の適正使用の支援とかという言い方で書かれるのかと個人的には思っています。

○北原委員 分かりました。Antimicrobial Stewardshipという適切な訳は、日本語で何が一番適切なのかというところが難しいのかと思います。ただ、stewardshipと考えれば、どちらかというと、やはり支援のイメージが、個人的にはあります。stewardshipは寄り添うというか、そのような英語だと思うので。そうすると、ここのところの表記で、表記されると書いてしまった場合に、問題になるようでしたら、英語でしばしば以下の文章はなくてもいいのかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。この点、いかがでしょうか。

○宮入委員 私も全くそのとおりだと思います。この英語の表記を、あえて入れなければ誤解が生まれないかと思いました。

○大曲座長 そうですね。stewardshipというのは、ある個別性の高い言葉なので、確かにそうかもしれないですね。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

○本田委員 杞憂であればいいのですが、恐らく前回のお話のときに、英語に訳すかどうかという話があったと思います。そのときに、どうするかという話が、例えば、これが英語版になるという状況が、もし、仮にあった場合に、ここの文書はなくていいのですが、適正使用という言葉を、stewardshipと訳すのかどうかということは、皆さんで合意があったほうがいいのかと思いました。そのときに困らないようにするために、それが現実に起きるのかどうかは別として。

○大曲座長 ありがとうございます。この点は、概念整理をして、提示するということでいかがでしょうか。私も簡単ではない議論のような気がします。そのようなことで、これは大事な宿題としておきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、総論のところまできましたので、各論にいきたいと思います。各論は2つあります。まず1つ目の急性気道感染症について、事務局から説明をお願いします。

○結核感染症課長補佐 事務局から、各論の急性気道感染症の部分について御説明させていただきます。資料19ページを御覧ください。この項については、山本委員、宮入委員、北原委員のほかに、笠井参考人、堀越参考人に御検討いただいている内容です。

 この項については、5つの項目に分かれています。まず、1つ目の項目の「急性気道感染症とは」ということで、急性気道感染症は、急性上気道感染症と急性下気道感染症を含む概念であるという形で書かせていただいております。そのほかに、風邪などについても記載しています。2番目に「急性気道感染症の疫学」ということで、論文のほうから、いろいろと記載をもってきてという記載をしております。

10ページです。3番目は「急性気道感染症の診断方法及び鑑別疾患」ということで、急性気道感染症について、鼻症状、咽頭症状、下気道症状の3系統の症状によって、4つの病系に分類するものであることを記載しております。

 その上で、1つ目の「感冒」ということで発熱の有無は問わず、鼻症状、咽頭症状、下気道症状の3系統の症状が同時に、同程度存在する病態を有する、ウイルス性の急性気道感染症を、本手引きが「感冒」に分類するという形で記載しております。

2つ目、鼻副鼻腔炎ということで発熱の有無は問わず、くしゃみ、鼻汁、鼻閉が主症状の病態である急性気道感染症を、本手引きでは「急性鼻副鼻腔炎」に分類する形にしております。

3つ目、咽の痛みを主症状とする病態を有する急性気道感染症を、本手引きでは「急性咽頭炎(扁桃炎)」に分類する形にしております。

 最後に、急性気管支炎ということで、発熱や痰の有無は問わず、咳嗽を主症状とする病態を有する急性気道感染症を、本手引きでは「急性気管支炎」に分類するという形にしております。

14ページ、治療方法です。まず感冒については、抗菌薬投与を行わないことを推奨するということで書かせていただいておりまして、その後にエビデンスを示しております。

 急性鼻副鼻腔炎については、鼻副鼻腔炎では、まず下の表を用いまして、重度を判断するという形で、軽症例については、抗菌薬投与を行わないことを推奨するということ。そして、中等度及び重症の場合のみ、抗菌薬投与を検討するという形で記載しております。

17ページ、急性咽頭炎・扁桃炎についてです。急性咽頭炎・扁桃炎と診断した場合は、A群β溶血性連鎖球菌の検査を実施するということで、迅速検査又は培養検査で、A群β溶連性連鎖球菌が検出されていない急性咽頭炎・扁桃炎に対する抗菌薬投与を行えないことを、推奨するという形で記載しております。

18ページ、急性気管支炎についてです。「急性気管支炎(百日咳は除く)」に対する抗菌薬投与は行わないことを推奨するということで記載しております。

19ページ、5つ目の項目です。患者・家族への説明として、表4になりますが、患者さんへの説明で重要な要素、そして、急性気道感染症患者への説明チェックリストというものを、論文を参考に付けさせていただいております。

20ページ以降に、医師から患者への説明例ということで、感冒の場合や、そのほかの疾病の場合という形で記載しております。また、22ページ目になりますが、薬剤師から患者への説明例ということで記載しております。事務局からは以上になります。

○大曲座長 こちらは、主に山本先生を中心に御執筆になりましたけれども、山本先生から何か補足等はいかがでしょうか。

○山本委員 成人について、たたき台をつくらせていただきました。これは国内外のガイドラインを参考に、大きな齟齬がない形で作成したつもりです。一番大本にしたのは、昨年改訂された米国内科学会(ACP)の急性気道感染症のガイドラインを参考にしています。もともと2001年に、初めのACPのガイドラインが出来ていまして、その後、日本内科学会の専門医部会という所でも、その分類に準拠したワーキンググループや研究等がなされてきましたので、基本的にこの分類を踏襲して、新しいエビデンスなどを踏まえてまとめた次第です。

5番目の患者・家族への説明というところは、これはそのガイドラインにはないところではありますが、抗菌薬は要らないことを患者さんに説明した場合に、患者さんサイドが納得しない場合というのがあったり、患者さんサイドが、抗菌薬をくださいという状況があるので、本当は要らないと思っていても、出してしまう医師が少なくないのかと思います。これについても海外では、説明を工夫することによって、患者さんの満足度を損なうことなく、抗菌薬の使用量を減らすことができたという研究が複数ありまして、それを踏まえて、必要な要素というのを挙げて、あくまで、これは一つ例ですが、このような形で説明を行うと、少し納得していただきやすいのかと、参考までに付けております。以上です。

○大曲座長 ありがとうございます、ということですが、何かコメント、御質問はいかがでしょうか。

○林委員 抗菌薬の推奨が出てくるところで、選択薬と治療期間が明示されていますが、通常だったら、ここで用量とか、投与間隔が含まれるのが普通だと思いますが、そこへ、あえて書かなかった意図とかがあるのでしょうか。

○大曲座長 触れてしまいますが、いいでしょうか。私がこの点を話します。私は書くところの議論に参加していました。要は、1つ根本的なというか、課題があって、端的に言うと、一番ずれるところというか、添付文書上の用法・用量の記載がありますが、添付文書も結局、諸々の行政的な手続を経た上で出ているものという意味では、その行政的な性格も帯びているだろうと。今回の文書の性質を考えると、その内容は、やはり尊重しなければいけないというところがあります。

 一方で、医療というのは本来、その時代の時期の、適切なというか、その時代の標準的な質の医療を提供しなければなりません。それにのっとって、我々は判断されるというところもあるわけです。それに基づく、特に用法・用量を例えば専門的な観点で示した場合に、添付文書の記載とどうしてもずれることがあるのは現実だと思います。そこを例えば、学会であれば、ガイドライン等で、添付文書と外れているところに関して専門的な判断としてはこうですよ、ということで書けるわけです。ただ、こういう文書になると、それをやることは、なかなか難しくなってくるという事情はあると思います。そういうこともあって、今回は記載していないということが、私なりの理解です。具先生、お願いいたします。

○具委員 今の大曲先生のコメントに少し関連する話です。私は確認したいのですが、添付文書の適応症との兼ね合いというのは、検討済ということでよろしいですか。

○大曲座長 厳密にいくと、そこももちろん出てくると思います。用法・用量ですからね。

○具委員 そこは今回の記載では、余りそこは考慮せずに、薬の選択に関しては、添付文書上の適応症とのありなしということは関係なく、薬の種類としては入っていると。用量に関しては、今、おっしゃったような背景で入れていない、そういうような理解でよろしいですか。

○大曲座長 はい。これを見ていくと分かりますが、先生の御指摘のとおりです。

○北原委員 よろしいですか。

○大曲座長 北原先生、お願いいたします。

○北原委員 これは後で出てくるのかもしれませんが、薬剤師の立場になった場合には、どうしても疑義照会しなければいけないという問題が出てきます。ですから、処方として出たときに、例えば、用量の問題もあるのですが、抗菌薬、先生方も御存じのように、先ほど具先生も言われたように、適応が、例えば、アモキシシリンとか、この後に出るのでしょうけれども、副鼻腔炎に使うけれども、添付文書には書いていないとか、ずれが微妙にあるのがあります。こういう形で載っている場合に、疑義照会をどうするのかと、用量は今回記載がないので、用量については随時になるのでしょうけれども、適応症というのも含めて疑義照会にあたる処方が出ても、出ればそれは疑義照会しないでいいのか、それとも、やはり添付文書とは違うわけですので、疑義照会はやはり必要なのかというところは、薬剤師からすると大きなところになると考えております。

○大曲座長 ありがとうございます。1番最前線に立つのは薬剤師ですから、そういう意味では、そうですよね。この点、御意見はいかがでしょうか。

○堀越参考人 似たような議論ですが、アジスロマイシンは多分、百日咳は通っていない、ST、あと、私たちは通常、5日間で治療するのですが、多分、添付文書に合わせて3日間にして、この辺も多分、ちょっと、かつ、百日咳の場合は、クラリスロマイシンは実際に使える薬があるのに、日本の場合だったら、アジスロマイシンが適応は通っていない。そこら辺を、この場でどうするのかというのが少し議論が必要かと思います。実際は、私たちもアジスロマイシンを使ってしまうのですが。

○大曲座長 山本先生、お願いいたします。

○山本委員 百日咳に関して確認したら、アジスロマイシンは確かに成人、小児のどちらも適応がなくて、クラリスロマイシンは小児用の製剤だけ、百日咳の適応があるようです。成人だと、エリスロマイシンになってしまいますが、今どき、エリスロマイシンを使うのかという問題があります。そこはどうしても添付文書に合わせるのであれば、エリスロマイシンにせざるを得ないのかもしれないですが、工夫していく必要があるだろうと思います。何か良い方法はないのだろうかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○宮入委員 今の議論は、非常に難しい話で、医学の専門家である我々が、公的な文書の内容を決定することは難しいのではないかと思います。国の方針としてどうあるべきかとか、そういったところを示していただかないと、着地点が定まらないのではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○本田委員 皆さんの御指摘のとおり、恐らく現実と添付文書上の問題があると思いますので、継続審議にして、やはり先ほどの副鼻腔炎のアモキシリンのお話のような状況もありますし、これは診療者側もそうですが、恐らく法に携わる方にも、今、事務局の方にも御尽力いただいて、皆さんで、いい形で議論というか、少し時間が掛かってもやっていくという形で継続審議にしていくのが。今ここではなかなか決まらないと思いますので、そういった形でやっていくのがよろしいのではないかと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○林委員 今のこの問題も昔から、もう10年も20年も前から、科学臨床と行政のギャップの問題というものはずっとあって、私たちはずっと困ってきたわけなのです。これはすぐ解決するとは思えないので、今、本田先生がおっしゃったように、継続的に事務方の立場で何とか審議を続けていただきたいと思うのです。

 今回が、多分これはいいチャンスになるような気もするのです。なぜかというと、今回は、このアクションプランは行政的にも大事な使命ですが、それを実行する上で、一方で別の行政の立場というものが邪魔している。両方を両立することが今のままのルールでは正直言って不可能な状況になっているわけですので、この矛盾を適正化するというか、正すいいチャンスとして、その問題点をしっかりと明確にしていただければと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そういうことでよろしいでしょうか。アクションプランもよく読めば、用法・用量上の課題があるということはやはり書いてあるわけですし、それを解決してこそのアクションプランだと思います。それを解決の方向で続けて議論していくこと自体がアクションプランの主旨に沿っているということであると私は思います。

 これは確かに簡単な問題ではないので、どう対応できるか、事務局のほうも含めて議論をさせていただければと思います。ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。

○林委員 今度はすごく小さな問題になりますが、この四角で推奨がくくられて、幾つかこの後も出てくると思うのですが、これは書き方に余り統一感がないのです。例えば14ページの感冒の所で、「抗菌薬投与を行わないことを推奨する」とあるのです。これは文脈から明らかに感冒に対してというのは分かるのですが、やはり推奨事項として枠組みで独立して示すのであれば、何に対してというものを、文脈上明らかでも書いたほうがいいのではないかと思います。

 別の所では、例えば腸炎の所などでは、結構、対象が細かく明確にしてある所もあって、例えば31ページのサルモネラでは「健常者における軽症から中等症のサルモネラ腸炎に対しては」というのが書かれているので、やはり文脈上分かっても、何に対してはというのが、一般的にガイドラインであるPICOというものが重視されて、どういうペイシェントに対してかというものは明示されるので、それは繰り返しでくどくなるかもしれないのですが、こういう記載の所には、やはりその対象をしっかり明示したほうがいいと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。簡易的にまとめるときにも、やはりそのほうがいいでしょうね。もともとそういう構造になっていれば。そのほかいかがでしょうか。

○宮入委員 急性気道感染症に肺炎は入らない事についてですが、入らないなら「入らない」と明記したほうが、なぜないのだという話が生じないかと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。私も今日、改めて読んでいて思ったところです。急性気道感染症は本来、肺炎も入るではないかという話なのですが、今回は、山本先生の書きぶりは、あえて自分たちがターゲットにするのはこの急性気道感染症なのだということで、10ページの図もありますが、定めている。この書きぶりの構造からすれば、肺炎は、例えば気管支炎の辺りの中で鑑別に入ってくる、いわゆるレッドフラッグ的なものというような位置付けですよね。例えば咽頭炎であれば、神経部感染症、リンメル等がレッドフラッグとして位置付けられているようにというところなので、そういう位置付けが分かるといいと、私も思いました。そのほかいかがでしょうか。

○具委員 これは若干細かい話になってしまうのですが、19ページに表とチェックリストというものが出ていて、この中に、「抗菌薬には利益もあるが、害もある」という書き方をされているのです。これは恐らく一般論として、全体として抗菌薬はもちろん細菌感染症に利益もあるが、一方で副作用等の害もあるのだという話になるとは思うのですが、何かその文脈で、私がいろいろな先生方とお話をすると、抗菌薬には一般的に何か利益があるのだけれども、耐性菌のことがあるから出すなと言われているのだみたいな感じに取られている先生方がしばしばいらして。この、利益もあるが害もあるという書き方ですと、利益の部分を我慢して、出さないようにというように受け取られてしまうのです。ですので、すごく細かい話なのですが、何かここだけ枝葉で取られると少し誤解を招くかなと思ったのです。本当に言いぶりの問題なのですが。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○笠井参考人 用語の話になるかもしれませんが、「急性咽頭炎」と最初の10ページの所には書いていますが、説明の所では「咽頭炎・扁桃炎」となっているのです。これも実は小児のところで、定義でどうしようかなと思ったところがありまして、「咽頭炎」なのか「咽頭・扁桃炎」なのか「咽頭炎・扁桃炎」なのかという、すごく細かい話なのですが、できれば統一したほうがいいと、小児も踏襲したほうがいいと思っているのですが、いかがでしょうか。

○大曲座長 これは難しいのは分かっているのですが、山本先生、何かコメントを頂ければ。

○山本委員 難しいですね。多分海外でもそんなに区別して使っていなかったり、ほとんど同じように使っていたりして、おそらく「咽頭炎」のほうが広い概念だと思いますので、シンプルに「咽頭炎」としてしまったほうが、確かに分かりやすいかもしれないですね。

○大曲座長 確か私もこの議論をどこかで読んだのですが、「扁桃炎」をスペシフィックに言うと、かなり細菌性のものにフォーカスされるというところですよね。大体そういう理解でいいのですよね。ありがとうございます。この点はいかがでしょうか。やはり難しいところなので、山本先生、引き続き御検討いただくということでいいですか。そのほかいかがでしょうか。

○北原委員 薬剤師から患者さんへの説明例というものも記載があるわけなのですが、この所を私も一緒に考えさせていただいて、このような説明例にしたのですが、実際のところ、医師の診察の結果と言っているものの、薬局の薬剤師の先生たちは、なかなか医師の診察の結果の詳細が分からないケースというものもやはりあるわけだと思います。ですので、例えば抗菌薬が出ていなくて、患者さんにそのお薬を渡すときに症状等を確認すれば、どうも風邪で、そういう理由で今回は出さなかったのだなというケースだったらいいわけなのですが、ここが、いわゆる医師の意図がどこまでその薬剤師がきちんと把握できるかというところが、今後の課題にもなるのかもしれません。医師の処方意図をどのように捉えていくかというのが、少し私の中でも懸念というか、どうしていこうかという悩みのところだなと思っています。是非、先生方にも御意見等をもらえれば有り難いと思っているところです。

○大曲座長 イメージで言うと、22ページに、「薬剤師から患者への説明例」とありますが、例えば説明されるときに、今おっしゃったようなところがあると。ざっくばらんに言うと、文脈がよく分かっていないと下手なことは言えないという感じですかね。

○北原委員 そうですね。

○大曲座長 抗菌薬が出ていた場合においても、では何で今回抗菌薬が出ているのかという、現在であれば、恐らく何らかの細菌感染症だろうと思いつつ、それで用法・用量と、そこに添付書上問題がなければ、それで説明して患者さんには出すわけですので、例えばその辺りが、なかなか医師の意図がつかみかねるところがあると難しいかもしれないというのはあります。

 これは少し先の話ですが、もっと医療のところでICT化が進んで、医師の処方意図が分かるような、システム的に分かるなどとなれば、それはもっと進んでくるのかもしれませんが、現時点だとなかなかまだそこまでは行っていないのかなとは考えます。

○北原委員 なるほど。

○大曲座長 確かに現実の疑義照会等々を考えれば、診断があって、お薬があって、その適応等を添付文書等で御確認になって、そのずれを見て、「あれっ」と思ったら答えるという流れが普通ということですものね。

○北原委員 そうです。

○大曲座長 ありがとうございます。この点は、皆様方は御意見はいかがでしょうか。

○徳田委員 ポリファーマシーなどで薬剤師さんと一緒に勉強会をよくやっているのですが、正に今言われたとおりで、まずカルテを見られない、検査データも分からない、一体どういう診察が行われてその処方箋が来ているのかというのがほとんどのケースです。

 ですので、恐らくこの最後の記載というのは、患者さんが、「抗生物質はどうして入っていないのですか」などという突発的なことに対して作られたのではないかと思うのです。だから、一般的なことは言えるかもしれないけれども、個別の診察がどうなっているかというのは全く分からないというのが今の現状です。その辺りに少し表現を変えればいいのかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

 薬剤師さん方に、特に、例えば病院の中は当然でしょうけれども、調剤薬局の薬剤師さん方などにすごく活躍していただきたいというのはアクションプランの中でも伝えられていると思うのです。そういう意味ではすごく大事なところかなと私も思って、今、議論を聞いていたのです。そのほか御意見としてはいかがでしょうか。

○北原委員 今もおっしゃられたそのとおりで、「急性気道感染症の場合」とするとなかなか難しいのですが、「抗菌薬が出ていなかった場合の患者さんへの説明」というような形であれば、この内容でも結構やりやすくできるかなとは考えているところです。

 特に今回、内服の抗菌薬ということになると、恐らく病院の中にいる薬剤師よりは、薬局の薬剤師の方々のほうが主になる可能性が大きいかなと思っています。そうすると、今申し上げたように、カルテがなかなか見られないという問題は非常に出てきますので、「抗菌薬が出ていないことに対する患者さんへの説明」とすると、スッと入ってくるかなという感じはしております。

○大曲座長 これだと、タイトルが「急性気道感染症の場合」ということですが、もう少し踏み込むということですよね。その中でも抗微生物薬が、抗菌薬と言っていいですかね、出ていない場合にどういう言い方ができるかということですよね。

 これをよく見ると、そういう意味で書いてあって、そのときに一番恐いのは、何か起こったらどうするかという話なのですが、それに対する患者さんに対する注意事項というものは、これだったら確かに書いてあるわけですものね。なるほど。ありがとうございます。この点、先生方はいかがでしょうか。

 この点は個人的には、やはり薬剤師さんの声ということで、非常に参考になります。単純に疑義照会ぐらいに思っていましたが、すごく参考になったところです。そういう意味では、少しタイトルを変えたりなどで対応できるかもしれないというところですかね。分かりました。そこはまた検討ということで踏まえておきたいと思います。ありがとうございます。大事な議論でした。そのほかいかがでしょうか。

○山本委員 自分で書いておいて何なのですが、11ページの表1です。これはレファランス10番の日本内科学会専門医部会が出しているものをそのまま引用したような形です。「×」が付いている所は、「原則としてなし」としているのですが、例えばウイルス性の副鼻腔炎やウイルス性の咽頭炎で鼻汁・鼻閉がないかというと、あってもいいかなと思いますので、ここは本来「△」でもいいかなと、改めて見ると思い直しました。

○大曲座長 ありがとうございます。確かに気管支炎辺りでも、例えばRSの感染症辺りを考えても鼻汁は十分あり得ますし、咽も痛いし、人によってはそれが結構強かったりなどということもあります。とは言っても、せきが3週間も続くというものですが。この点、皆さん御意見はいかがでしょうか。

○堀越参考人 小児だと更にこの境界がオーバーラップするものが非常に多くて、大体、成人みたいにこんなにきれいに分けられなくて、私たちも山本先生の作っているものを真似して作ったのですが、結局、急性副鼻腔炎と感冒が分けられなくて、私たちは一緒に作ってしまったのです。少しぼかしていただいたほうが、小児が少し作りやすいかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。なるほどですね。ほかはいかがでしょうか。

 私から1点だけいいですか。これは早めに指摘しておくべきだったのですが、例えば14ページです。外来診療をどうするかというものを、アクションプランが出てからすごく考えていて、検査をどうするかとすごく考えるところなのですが、例えばLAMP法は保険収載もされて使えるようになって、ここにも書いてありますが、こういうモダリティがあるというのは全然いいと思うのです。知らない人もすごくたくさんいるし。

 ただ、思ったのは、例えばLAMP法も、うちにも機械はありますが、余りにもほかの検体数が多くて、百日咳のLAMPのためには普通には回せないという事情があったりなどするわけです。クリニックでは使えない所もあったりするということを考えると、ここは百日咳に特化しますが、そういう検査診断の使い方、特に外来等を考えたときにどう書くべきなのかなというのは、自分としては考えたところです。すみません、感想みたいなコメントになりますが、そこは少しお伝えしておきたいと思いました。山本先生、何か御意見はありますか。

○山本委員 確かに御指摘のとおり、LAMP法も保険収載されたばかりなので、実臨床でどれぐらい使われるかというか、外注検査でも出せるかどうかというのは問題だと思います。百日咳は最近、IgAIgM抗体も保険収載されているそうなのですが、外注検査の検査会社でまだ受託している所がないという話も聞いています。これとは別に小児の呼吸器感染症ガイドラインというものが最近出ていて、そこにはLAMP法やIgAIgM抗体について書かれているのですが、なかなかまだ検査体制が追いついていないという問題があります。かと言って、知ってもらったほうが、そういう検査会社も受注の体制をとりやすいような気もしますし、参考程度には書いておいてもいいのかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。この点、先生方はいかがでしょうか。

 端的には私がどう思ったかというと、「LAMPと書いてあるけれども、うちは使えないし、オーダーできないし、では私はどうやって百日咳を疑って診療すればいいのでしょうか」というような御質問が結構挙がるのかなと、実はふと思ったのです。結構難しいところかなと。臨床像である程度疑えるところはあると思うのですが、そこもある程度示す必要もあるのかなと思ったり、でも、多分それも書き方が難しいですよね。そういう思うところがあったものですから、わざと挙げさせていただきました。

○金子委員 1ついいですか。

○大曲座長 お願いします。

○金子委員 検査のことなので少しだけお話すると、このLAMP法というのは、出たばかりの検査で、保険点数も高いので、わざわざ百日咳をそれにかけるかというと、臨床では難しい状況が続くのではないかと想像します。実際にラボの中で行っている検査室であっても、百日咳のLAMP法まで取り込もうという施設は結核で手いっぱいという実情があるかと思いますので、なかなか難しい状況だと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○本田委員 百日咳は抗菌薬の適応疾患になるので、やはり標準的にはきちんと診断するというのがとても必要という疾患だと思うのです。比較的、気道感染症で例外的というような場所にあるので、私個人としては、きちんとこういうふうに記載されているほうがいいのではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。よろしいですか。この点は、今頂いた御意見を踏まえて議論したいと思います。また検討したいと思います。この各論の急性気道感染症ですが、そのほかに御意見はありますか。

○林委員 少し全体的なことになってしまいますが、各論の記述が少し難しいというか。例えば、風邪に対する抗菌薬を日常的に処方されているような先生方に、その適正化を促して、その抗菌薬を一般的に処方しないでくれというお願いをするような文書なのですが、例えば、それに対する解説の中に「オッズ比」や「信頼区間」や「NNT」などが出てくるのですが、多分これは響かないのではないか。

 これをちゃんとガッチリ、若いレジデントたちに説明するのにはこれが適切なロジックだと思うのですが、多分この平均的なユーザーにとって、この説明は多分響かない可能性があります。伝えることは同じでいいと思うのですが、これを平易な表現にしたほうがよろしいのではないかなと思いました。

○大曲座長 ありがとうございます。全体の構造についての御意見ですが、この点は皆さんはいかがでしょうか。

○具委員 私の意見なのですが、私としては、今後、これを作った後に、更に簡略なものをここから抜粋して作るというふうな流れだと理解しています。恐らく、今、林先生のおっしゃったような平均的なユーザーは、数10ページある時点で、もうすでに開かない可能性もあると思いますし、やはり非常にわかりやすくパッと見て分かるというものを、この次に作る必要があるだろうというのが前回の議論としてあったと思うのです。そこの部分で、今、林先生がおっしゃったような先生方には、いざというときにパッと見て分かるというぐらいのものを目指して作るということでカバーできるのではないかというのが私の意見です。

 私自身は、今回のこれはすごくよく出来ていて、とてもいいなと思うのですが、これから勉強する人というのもたくさんいるわけですし、あるいは、これを機にきちんと勉強してみようかというような先生方にきちんと示すという意味では、このバージョンはあっていいのではないかというのが私の意見ではあります。もちろん、ほかの先生方の意見もいろいろあるかと思います。

○山本委員 今日はちょっと間に合っていないのですが、気道感染症についてもフローチャート的にパッと見て分かるようなものも作成中ではありますので、そういうものを御覧いただければいいのではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。私も最初は同じ印象を持ったのですが、ここで文章を読んでいるとフローにしやすいですよね。多分、先生はそれを意識して書かれているのだろうなと思ったのです。それが出来たときに、また、本当に見やすいかどうかというところも見ていただくということでどうでしょうか。そのほか、急性気道感染症に関してはいかがでしょうか。

○徳田委員 少し確認なのですが、使い慣れている薬でしたら、いろいろユーザーの先生方もよく副作用なども御存じだと思うのですが、ST合剤などは余り使われていないと思うのです。やはりST合剤に関しては、結構、サイドエフェクトなどが少し気になるので、今回はそういうものは載せないということですか。それは探せば、副作用はどこにでも書いてありますから。

○大曲座長 確認しますと、ST合剤等に関しては、例えば気管支炎の所。すみません。私は今のコメントをうまく理解できていなかったかもしれません。確かに多くの先生方は余り使い慣れていらっしゃらない薬であって。

○徳田委員 そうですね。18ページの四角の中に、一応、百日咳のあれで書いてあるのですが、結構、ST合剤の副作用で、結局最終的に我々が見るというケースがあるので、これがたくさん使われるようになると、やはり分母が増えると分子も増えるのかなと。

 もしそういう方針で、そういうものは今回のマニュアルとは関係なしということであれば、要するに、副作用というのはどこかに必ず書いてあるわけですから。頻度の多い副作用などは、薬の本を見ればいいわけなのですが。この確認のためです。

○山本委員 この百日咳と診断された人でマクロライドが使えないケースというのは、非常にまれなシチュエーションだと思いますので、一応これは最初の段階なので書いてはみたのですが、「そういう場合は専門家に相談」などという形でもいいのかなと思います。

○大曲座長 そうですね。あるいはもう1つの書き方としては、特に副作用等々に関してはSTに関する記載を厚くするということもあるのかもしれません。ただ、そうすると少しバランスが悪いのかなと。今、山本先生からも御意見が出ましたので、そのような形で検討ということにしたいと思います。ほかはいかがでしょうか。

○坂本委員 この冊子の現在の構成として、まず、やったほうがいいことが四角の中に書いてあります。そして、それ以下の解説の中に、先ほど話に出たサポーティブデータのようなもの、オッズ比、信頼空間、NNTなどが出てきて、その中にもちらほらと、やったほうがいいことが混ざっています。そのため、結論が最初にポンとあって、その後に、やったほうがいいことの補足があり、さらにその後にそれをサポートするデータが来るように分ければ、どこまで読むかをリーダーに任せられると思いました。そのレイアウトの整理をするだけでも、とっつきやすいのかなと感じました。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○北原委員 かなり小さい話で本当に申し訳ないのですが、言葉として「ニューキノロン」という言葉であったり、「フルオロキノロン」という言葉などが混在しています。これは使う側としては、私たちはそれは同じだと分かるのですが、分からない先生方がいるので、やはり用語は統一したほうがいいのではないかというのが1点あります。

 また、急性咽頭炎であれば「ペニシリンG」ということで記載があるわけですが、これは内服薬であれば「ベンジルペニシリンベンザチン」ですか、やはり正式な名前できちんと書いていたほうが、使われる先生方にはいいのではないかと考えています。すみません。細かいことで。

○大曲座長 いいえ、大事なところです。ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。少し時間が少なくなってきてしまいましたので先に行こうかと思います。すみません、司会の不手際で。

 残るところは、各論がもう1つありまして、急性の下痢症があります。まずは急性下痢症に関して事務局から説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 資料126ページを御覧ください。急性下痢症について、事務局より御説明いたします。この項に関しても急性気道感染症と同じような構成となっております。まず、「急性下痢症とは」ということで、急性下痢症は急性発症で、普段の排便回数よりも軟便又は水様便が13回以上増加している状態と定義をしていると記載をしております。

 その上で(2)急性下痢症の疫学について記載をし、その後に診断方法及び監別疾患について記載しております。具体的な原因推定のための重要な情報として、発症時期、随伴症状、疑わしい職歴、請求人の海外渡航歴、抗菌薬投与歴、免疫不全の有無、同じような症状の人との接触歴等が挙げられているということで記載しております。その後に、ウイルス性、細菌性という形で起因する急性下痢症についての記載を書いております。

(4)に治療方法を記載しています。推奨治療として、急性下痢症については、まずは水分摂取を励行した上で、基本的には対症療法のみを行うということで記載しています。ただし、中等症から重症の水様下痢、血性下痢で体温が38度以上のいずれかに該当する場合にはということで海外渡航歴との関連を確認し、抗菌薬投与あるいは便検査実施を考慮すると記載しています。

31ページにウイルス性に起因する急性下痢症、細菌に起因する急性下痢症ということで、更に細かい治療方法について記載しており、更にサルモネラ腸炎とカンピロバクター腸炎、腸管出血性大腸菌腸炎についての記載をしております。

(5)は患者・家族への説明で、医師から患者への説明例と、薬剤師から患者への説明例を記載しています。事務局からは以上です。

○大曲座長 下痢症に関しても山本先生にお作りいただいたのですが、コメントを頂ければと思います。

○山本委員 こちらは主に日本感染症学会と化学療法学会のガイドラインと米国消化器病学会のガイドライン等を参考に作成しました。フローチャートになっており、図1と表2で、表2のほうは事務局で作成していただいたもので、基本的に内容は同じになっていると思います。あとは気道感染症と同じような形で、患者や家族への説明例を付けております。

○大曲座長 ということで、この内容に関して、御質問等はいかがですか。

○林委員 これは重症度が軽症か中等症か重症かによってディシジョンが変わってくるステップがあるのですが、図1の中に重症・中等症・軽症という小さい四角がありますが、この文章の中に出てくる重症・中等症・軽症というのは、この枠の中のこの分類で全て一貫して使ってよろしいのですか。

○山本委員 はい、そのとおりです。

○林委員 更に気になったのが、途中で下痢の程度が中等症・重症というのが29ページの治療方法の中に「ただし、中等症から重症の水様下痢」というのは、下痢の程度が中等症から重症というように見えるのですが、その辺が別にあって、下痢の程度も大事であれば、下痢の程度の軽症・中等症・重症の定義も必要ですし、もしこれが臨床症状の中等症から重症を意味しているのであれば、もう少し混乱を避けるような記述にしないといけないかと思います。

○大曲座長 なるほど。全身状態としての重症度と、もう少しスペシフィックに下痢というものを見た重症度の区分けが必要で、該当する重症度がどれに該当するかを書き分けるのであれば書き分けるということですかね。ありがとうございます。ほかにいかがですか。

○堀越参考人 サルモネラ第一選択薬はシプロではなくて、レボフロキサシンを推奨していて、日本のガイドラインがそうなっているからそうなっているのですか。

○山本委員 これは保険適用の量の問題で、レボフロキサシンのほうが適正な量を投与しやすいという問題です。

○大曲座長 そのほかいかがですか。

○宮入委員 急性下痢症ということですが、急性胃腸炎という概念との違いは何かありますか。嘔吐の症状が入ってくるか、入ってこないかのかというところで分けているのか。あえて胃腸炎という言葉を避けたのでしょうか。

○山本委員 これも難しいですね。胃腸炎という言葉も非常に広い言葉というか、使う人によって異なってくるので、今回は急性の下痢症にフォーカスしてということだったので、急性下痢症ということで一旦書いています。

○大曲座長 私なりに代弁すると、特に嘔吐が中心となるような疾患は、どちらかというとそもそも抗菌薬のお世話にならないものが多くて、むしろ下痢のほうが抗菌薬のお世話になる疾患も希ながらあるが、使われてしまっているという状況もあるので、まずはそこを我々としては意識的にターゲットにしたと、私は聞いていて思ったのですが、そんな感じでいいのですか。

○山本委員 はい。

○大曲座長 ほかにいかがですか。

○林委員 全く先ほどと同じようなことで申し訳ないのですが、重症の定義が日常生活に大きな支障があるというのが重症になっているのですが、このトーンと、次のカンピロバクター腸炎の所で言っている重症例のみに抗菌薬を投与するという、この重症例のトーンが、もしかしたら私の個人的なインプレツションかもしれないのですが、同じに感じられないのです。日常生活に大きな支障がある程度としてはいけないかもしれませんが、日常生活に大きな支障がない人が受診をしているかなという気がするのです。要するに、クリニッシャンの目の前に来ている人は、日常生活に大きな支障があって来ていると思えるのですが、この重症度というのは、この重症という重症と何かトーンが違うと思うのは私だけですかね。先生の言っておられるのと同じですか。

○山本委員 そうですね。個人的にはそれほど違和感はなかったのですが、外来に歩いて来る人は軽症の人も来られます。確かに軽症・中等症・重症とクリアに分けられるものではないので、現場で診療されている医師の主観がかなり入ってくるとは思いますが、その辺、定量化することも難しいと思いますので、本人の訴えなり、自分が診察した場合の重症感というか、そういうので判断せざるを得ないのかと思います。

○大曲座長 そのほかいかがですか。

○堀越参考人 重症の31ページに書いてある「以下の場合には抗菌薬の投与を考慮する」というのが、私的にはこれが重症の定義でいいのかという感じがします。31ページの血圧低下とか、菌血症のリスクが高いとか、免疫抑制剤、この辺はそんなにみんなアグリーかなと思います。

○大曲座長 そのほかいかがですか。

○坂本委員 すごく細かいことですが、菌名の記載に関するルールは、検討されていますか。

○大曲座長 菌名を統一するかという議論はまだされていません。1例だと、細菌学会のものに従うとか、いろいろ考え方がありますが、そこは確かに統一する必要があると思います。そのほか、いかがですか。

○笠井参考人 よく出されると思いますが、整腸剤的なものに関するコメントは書いてありますか。書いたほうがいいのですか、それとも止痢薬も含めて、全く触れないほうがいいのですか。その辺はいかがですか。

○山本委員 腸管出血性大腸菌の所では止痢薬は使用しないとだけは書いています。確かに整腸剤に関しては記載をどうするかで悩み、抗菌薬の適正使用についてであれば、必ずしも必要ないのかもしれないと思って、今回は最初の段階では書いていませんが、その辺、ほかの先生方の御意見はいかがでしょうか。

○堀越参考人 日本で発売されているほとんどの整腸剤は量が足りなくて、ちゃんとしたRCTとかで、下痢の短縮効果が出ているものは発売されてないので、余り推奨するほどのデータそのものがないので、触れないのもいいのかなと思います。出したい先生は別に止めるほどのデメリットもないので、推奨できるかというと、推奨するデータもないのかと思います。

○大曲座長 もともとのこの手引きの趣旨に照らすとどうなのかというところですかね。ほかにいかがですか。よろしいですか。

 私から1点だけあります。例えば30ページの図1、図2はすごく整理されていて、現実に全身的な重症度とあって、脱水の程度からマネジメントを決めていくという感じですよね。本当にこのとおり出して流れていくと思うのです。マネジメントとしては確かにこうだと思いますが、その後に治療が出てきます。各論的な治療が出てきて、微生物の、例えばサルモネラとか書いてあるのですが、例えば表2のカテゴリーのどれにサルモネラが入るかとか、カンピロバクターが位置されるかみたいなことは感染症が多いものですから分かるのですが、一般の先生からすると、微生物によって下痢の臨床病態も違ってきますし、そういったものも分かると、よりいいのかなと思います。

 何を言いたかったかというと、例えば図1なら図1のどこに落ちたものがどういう菌の感染症かとか、そういったものが分かるような形になると、特に治療のところの理解が深まるのかとちょっと思いました。診断の流れから治療の関係です。

○山本委員 御指摘のとおりだと思います。このフローチャートも少し直したいと思います。

○大曲座長 ほかにいかがですか。

○具委員 今の大曲先生のコメントを聞きながら見ていて思ったのですが、結局、細菌に起因する急性下痢症で、例えば31ページで「以下の場合は抗微生物薬投与を考慮する」となっているわけですが、そのときに何を、どのように使うかという話は今回は入ってないのです。その後は原因微生物が判明した際の治療となっていると思うのですが、ここでこうすると読んだ方は、この「以下の場合」に当てはまるから抗微生物薬投与を考慮するが、そのときどうすればいいのかというのは見えづらいかと思いました。コメントです。

○大曲座長 そのほかはいかがですか。これはどちらかというと確認だけなのですが、上気道感染者はチェックリストがありました。山本先生のことだから、恐らく下痢症もそれを準備されるのだろうとは思うのですが、そこまで行ってなかったのではなかろうかという理解でよろしいですか。あるいは作らないのなら、作らないのもありだと思うのです。別に仕事を増やそうとは思ってないのですが、構造上そうなるのかなと思っただけです。

○山本委員 もともとチェックリストは気道感染症について提唱されていたもので、本来夫はチェックリストという形ではなかったのですが、説明の際にこういう要素が重要ですということでチェックリストにしたという経緯があります。

 ただ、気道感染症の説明のチェックリストも急性下痢症にも応用できるようなものだと思いますので、同じようにというか、ほぼ同じになると思います。その形ではできると思います。

○大曲座長 この点は、皆さんの御意見はいかがですか。

○具委員 別のことになってしまいますが、27ページのノロウイルスの迅速抗原検査の話が一番下に記載されています。これはよく現場的に問題になるのは、保険収載の保険適用がかなり制限された形になっていると思います。制限されていること自体は私自身は特にそれが問題だとは余り思っていません。先ほどの百日咳の議論とちょっと近いのですが、実際に現場で検査をするときに保険適用のことだったり、検査のアクセスの話とか、費用の話などがあって、そんなに簡単にできないような現場もたくさんあると思います。その辺りは例えば脚注のような形でコメントを付けたりして、少し補足できるといいかと思いました。

○林委員 多分、具先生も意識されていると思いますが、学校から陰性の証明を出せと言われる所がすごくあります。うちも実はそうでした。ないことの証明を学校が要求してきて、それを出さないと登校させないという学校もあります。国も恐らくそれは求めてない、行政機関も決してそれは求めていないにもかかわらず、しかしながら巷でそういう考え方が学校側に普及していて、かつその影響を受けて、それに屈するのか、親御さんから強く求められて、開業医の先生方は、あそこは出してくれないという評判が立ってしまうと商売に影響が出てしまうので、仕方なくか、面倒だからか分かりませんが、検査をせざるを得ない状況が結構常態化しているのではないかと思います。その辺の配慮ももしかしたらちょっとあってもいいかもしれません。

○金子委員 同様の話ですが、給食提供施設で、ノロを疑った場合にはPCRでやりなさいというのが、大量調理マニュアルに記載されています。そうしますと、PCRは非常に感度がいいものですから、もしかしたら60日とか90日出続けるということがあって、パートさんなどにとっては非常に問題になります。せっかくここに集まっておられる御専門の方、国の方もいらっしゃるので、その辺をもう一度御検討願えればと思うので、是非、お願いします。

○大曲座長 全く同じ問題がインフルエンザにもあります。確かに大事なことだと思いますので、私もコメントさせていただきます。ありがとうございます。大事な議論だと思います。ほかにいかがですか。

○坂本委員 今の迅速検査に関する部分は、外来の業務量を増やしてしまうということで、医療者側にとっては問題と捉えられているかと思います。もし可能であれば、陰性証明の発行のような要望を持って来院する方に対する説明みたいなものもあるといいのではないかと思いました。できれば迅速検査に対する考え方みたいなものも、1つコラム的にあってもいいのかと思いました。

○大曲座長 使い方だけではなくて、それこそ適正使用ですよね。という観点で検査に関してもまとめてはどうかという御意見ですね。

○宮入委員 今の学校や調理者というところで、厚労省ではない管轄の法律に基づいた記載に基づいてここに記載する分には問題ないと考えてよろしいですか。

○結核感染症課長 どういう意味ですか。

○宮入委員 学校保健安全法の記載をそのまま抜粋して、ここに転記するような使い方です。それを参考にしたら、必要のない検査が減らせるかもしれません。

○結核感染症課長 他省庁の運用の話なので、文科省と協議をしたいと思います。学校保健安全法に基づいて、いわゆる学校に来てはいけない期間が定まっていて、その中で、例えば先ほど話になったインフルエンザのように、解熱してから2日間とか3日間という定義をしているものもありますが、下痢症関係はそういった具体的な対象になっていないと記憶しています。

 ですから、関係する今回の疾患、急性気道感染症と急性下痢症に関わる、いわゆる学校感染症であれば記載してもいいと思いますが、どの辺まで書いていいのかというのは関係省庁の文科省と調整させていただきたいと思います。ただ大量調理マニュアルの話もそうですが、大量調理マニュアルを今、変えてくれと言われましても、我々の所管ではないのですが、関係部局には伝えることまではできます。問題提起としては、先ほどの医薬品の添付文書の用法・用量の話なども出てきていますので、それは課題として捉えさせていただきたいと思います。

○坂本委員 少し補足いたします。先ほどの迅速検査の件ですが、学校のことだけでなく、例えば医療従事者や会社員の就労制限などを含めると非常に幅広いと思うので、特定の対象に絞るというよりは、迅速検査の必要性やその結果後の解釈などを一般論として記載したらどうかということで、意見をさせていただきました。

 登校・登園停止期間に関しては学校保健安全法が適用になると思いますが、その情報を含める必要性については、先生方の御意見にお任せしたいと思います。

○大曲座長 そのほかいかがですか。

○山本委員 私の記憶では学校保健法でもインフルエンザなりノロウイルスなり、検査の陰性証明は何一つ求めていないと思います。そこはもしかしたら割と誤解がされているのかもしれないので、そういうのを改めて、陰性証明というのは必要ありませんというのは書いてもいいのかと思いました。

○結核感染症課長 ただそれを指摘するのは文部科学省であって、所管外の我々が書いてしまっていいのかというのは、いささか課題があると思います。具体的には、文科省と話し合わなければいけないところかと思います。我々が他省庁の行政に口を出すのも、逆に我々の行政に他省庁から口を出されるのも、余り好ましいことではないのかと思っていますが、病気に関すること、感染症に関することなので確認はさせていただきたいと思います。

○大曲座長 ほかはよろしいですか。司会の不手際で遅くなってしまって申し訳ありません。参考資料が残っております。参考資料について事務局から御説明をお願いします。

○結核感染症課長補佐 では、参考資料について事務局より御説明いたします。37ページを御覧ください。ここについては今回の議論も踏まえて次回までに更にバージョンアップをさせていただきたいと思います。現状については手引きを患者・家族に理解していただくためにという形でQ&Aで、このように聞かれた場合にはこのように答えたらどうでしょうかというのを付けております。

 また今後、今回の議論も踏まえてということですが、例えば、急性気道感染症とか急性下痢症について、ガイドライン診療で管理をする際に、こういう形でチェックリストとして使ってはどうかというものを作っていくことを、事務局のほうで次回までにさせていただきたいと考えております。事務局からは以上です。

○大曲座長 今日は大部議論もありましたので、それを踏まえて、またバージョンアップをされるということですが、御質問等はいかがですか。

○坂本委員 参考資料を読んで思ったのですが、そもそもウイルスと細菌の違いとか、ウイルス感染症に抗菌薬を使うと、何が問題かということをご存じの方は、もしかしたら少数かもしれないと思いました。もちろん総論には書いてあるのですが、一般の方が総論を読むかというと、疑問部分もありますので、その辺りから少し補足をしてもいいのかと思いました。

○大曲座長 確かに、私の家族も菌もウイルスも一緒ですものね。がっかりするときがあります。おっしゃるとおりだと思います。ほかにいかがですか。

○北原委員 私も薬剤師の方々とお話をしたときに、個人的なことですが、抗菌薬という言葉が余り使われていないというのが正直あります。どうしても抗生剤とか、抗生物質という言葉でしかピンとこなくて、抗菌薬というのだと、イメージはあるのですが、どうしても抗菌というのが頭に来る。いわゆる抗菌物質とか、今はいろいろグッズもありますので、それがごちゃごちゃになっているので、まずは抗菌薬という言葉をしっかり理解していただくのがすごく大事になってきているのではないかと思います。もしかすると、手引きで抗菌薬という言葉をまず理解してもらうところからスタートしてもいいのかと個人的に思っています。

○大曲座長 そのほかはいかがですか。よろしいですか。ということで最初の議題は終わりです。あと「その他」ということで用意してありますが、漏れているところ等、何か御指摘事項はありますか。

○宮入委員 小児の手引きの進捗について報告させていただきます。小児の手引きは私と堀越先生、笠井先生が共同で執筆しております。基本的には小児の気道感染症と急性下痢症という構成になっておりますが、小児の特性を踏まえると、乳幼児だとまだ副鼻腔が発達していないので、副鼻腔炎という分類をすることが難しいとか、中には乳幼児が罹る特有のクループ症候群とか、細気管支炎などの特殊な病態について触れさせていただいています。

 他には、新生児から思春期までいる小児において注意しなければいけない年齢ごとの感染症のリスクとか、抗菌薬あるいはほかの薬を使う上での小児における注意点を盛り込んで作っています。現時点で36ページありますので、学術的な内容はそろっていますが、山本先生が書かれたように、診療の流れを意識したような構成に改訂して、次回までに出したいと思います。

○大曲座長 そのほかいかがですか。あとは今日、何回か議論に出ましたが、文書として作り込むのはもちろん大事です。例えば内容をフローにするという話がありましたが、そういったものを踏まえて、要は実際にユーザーが使いやすい、分かりやすいフライヤーなのか、パンフレットなのか、ハンドブックなのか、これを作るという話がありました。今日かなりいろいろ議論もありましたので、それを踏まえて、案のほうは事務局で作成いただくということでお願いしたいと思います。

 それでは、特にほかになければこれで終わりたいと思います。事務局からいかがですか。

○結核感染症課長補佐 事務局から次回の開催についてお知らせいたします。第3回は221日を予定しております。事務局からは以上です。

○大曲座長 それでは、本日の会議は以上とさせていただきます。今日はありがとうございました。


(了)

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