ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会)> 第28回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会(2017年3月10日)




2017年3月10日 第28回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成29年3月10日(金)15:00~


○場所

中央労働委員会会館第205会議室


○出席者

公益代表

鎌田座長、内藤委員

労働者代表

柏木委員、玉田委員、松永委員

使用者代表

鶴岡委員、花島委員

事務局

坂根雇用開発部長、谷建設・港湾対策室長、吉松建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)港湾雇用安定等計画の進捗状況について
(2)その他

○議事

○吉松建設・港湾対策室長補佐  ただいまから、第 28 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会を開催いたします。本日の事務局は、建設・港湾対策室長補佐をしております吉松でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、本日の配布資料の確認をお願いいたします。資料 1 として、港湾労働専門委員会の名簿、資料 2 として「港湾雇用安定等計画の進捗状況等について」、資料 3 として「シミュレーターを利用した講習の実施状況について」、資料 4 として「港湾区域における適正な雇用管理を推進するためのハローワークと地方運輸局等との連携強化について」、資料 5 として「社会保険の適用拡大に伴う港湾労働者証交付対象者の検討について」です。そして参考資料として、参考資料 1 が「港湾労働関係資料」、参考資料 2 が「港湾雇用安定等計画」です。お手元に足りない資料がありましたら、お申し出いただければと思います。

 本日、私ども厚生労働省職業安定局雇用開発部長の坂根ですが、国会で遅れて参りますので御容赦願いたいと思います。では、国土交通省よりオブザーバーとして、国土交通省港湾局港湾経済課の片山課長に御出席いただいております。一言、御挨拶をお願いいたします。

○畠山港運高度化対策官 国土交通省港湾局経済課港運高度化対策官の畠山でございます。本日は片山港湾局港湾経済課長が所用のため欠席させていただくことになりました。私が代理で出席させていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 ありがとうございました。続いて、本日の委員の出席状況の報告をいたします。本日、使用者側の鈴江委員と公益側の渡邉委員におかれましては、都合により御欠席されております。それでは、以後の進行は座長からお願いしたいと思います。

○鎌田座長 鎌田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。少し空きましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは早速、議事に入ります。議事次第にありますとおり、議題は 2 つあります。 1 つ目は「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」です。 2 つ目は「その他」として資料が用意されております。まず、 1 つ目の議題である「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 港湾雇用安定等計画の実施状況について、資料 2 と、参考資料 1 の「港湾労働関係資料」を併せて見ながら説明させていただきます。まず資料 2 1 ページ、「港湾雇用安定等計画の進捗状況等について」です。計画の概要に従って、現在を「実績」として記載しております。まず左の列に計画の概要、真ん中に実績、右の列に「達成状況」という欄を設けております。実績はできるだけ数値でお示ししています。

1. 計画の基本的な考え方の (2) 計画の背景と課題についてです。イの港湾労働者の雇用改善及び能力開発・向上の現状についてです。港湾運送事業は波動性を有しているということで、それを企業外労働力として日雇労働者に依存することの問題が挙げられております。波動性については右に書いてありますように、平成 25 年度の状況を記載しております。 5 年ごとの港湾運送事業実態調査の状況を見ていきたいと思っております。また、他産業と比較して、雇用改善、能力開発について改善の余地のある状況にあることから、港湾労働者の労働時間及び賃金の推移を、全産業と比較して見ております。

 参考資料 1 1 ページの折れ線グラフを見てください。これは労働時間の月間推計です。一番上と一番下の折れ線グラフが港湾労働者、中ほどの 2 つの折れ線グラフが全産業を表わしております。また、実線が実労働時間、点線が所定労働時間です。この実線と点線の乖離幅が所定外、超勤労働時間です。一番上のグラフを見ると、港湾労働者の平成 27 年度の月の実労働時間は 196 時間です。その下のグラフの全産業が 177 時間ということで、港湾労働者のほうが依然として高い水準を推移しております。また、実線と点線の幅を見ますと、港湾労働者の乖離は 196 時間と 162 時間で、差が 34 時間です。全産業の差が 13 時間ですので、明らかに港湾労働者のほうが長時間の所定外労働時間であるということがこのグラフから見られます。

 さらに下に棒グラフがあります。これは賃金です。平成 27 年が 37 3,700 円です。近年、港湾労働者の賃金は増加傾向にあり、全産業と比べると高い水準になっております。

 資料 2 に戻って、ロの今後の港湾労働対策の課題においてですが、港湾労働を取り巻く環境の変化については、貨物輸送のコンテナ化等の近代化荷役の進展などが考えられます。港湾労働者自身が高度な技能・技術を習得することはもちろん、港湾運送事業主においても高度な技能労働者を確保することが課題となっております。

 近代的荷役の進展の状況について、六大港におけるコンテナ化率を見てみました。こちらは参考資料 1 2 ページの下に図があります。六大港におけるコンテナ貨物量の推移の折れ線グラフがコンテナ化率です。平成 26 年度の船舶積卸量は 685 百万トン、積卸量に占めるコンテナ化率の割合は 67.9 %ということで、六大港においては高い水準で推移しているという状況です。

 資料 2 2 ページの (3) 計画の期間は飛ばします。次に、計画の 4 つの柱に関する事項を掲載しております。まず 1 つ目の柱として、 2. 港湾労働者の雇用の動向に関する事項です。 (1) 港湾運送量の動向についてですが、六大港の船舶積卸量の推移を見ました。参考資料 1 2 ページの上を見てください。上から 2 番目の茶色の折れ線グラフが船舶積卸量です。船舶積卸量については、リーマンショックの影響によって一時的に減少したものの、影響以前の水準まで回復しております。

(2) 港湾労働者の雇用の動向については、六大港における常用港湾労働者及び常用港湾労働者の月間平均就労延日数について、参考資料 1 3 ページの上の図に記載しております。常用港湾労働者数は一番上の折れ線グラフです。平成 27 年度末は 3 3,403 人と、少し減少しております。下の棒グラフは 3 つに分けしており、一番下が企業常用労働者、次が港湾労働者派遣、一番上が日雇労働者ということで、それぞれ各年度月平均の人日数で表わしたものです。平成 27 年度の企業常用港湾労働者 53 1,679 人日と、港湾労働者派遣の 2,224 人の数を加えますと、常用労働者の月間平均就労延日数は平成 27 年度は約 53 4,000 人です。これは全体の 96.9 %を占めています。

 続いて、 3. 労働力の需給調整の目標に関する事項です。まず (1) 、港湾における荷役作業についてです。企業外労働力としては、港湾労働者派遣制度による他の事業主に雇用される常用労働者による対応を原則とし、港湾労働者の常用化を更に推進することについて徹底を図ることにより、港湾労働者の常用化を更に推進するとともに、常用労働者の雇用の安定に一層努めることになります。再掲になりますが、先ほど説明した常用港湾労働者の月間平均就労延日数は、平成 27 年度で約 53 4,000 人で、全体の 96.9 %です。

(2) が労働力需給調整に関して講ずべき措置についてです。イの国及び都道府県が講ずる措置の 2 つ目の○に書いてありますように、港湾労働者派遣制度の適正な運営・有効活用の促進を図ることとし、国の政策評価として当該事業の派遣あっせんによる派遣成立の目標を、 83 %以上としております。参考資料 1 4 ページの上の折れ線グラフが、派遣元から見た派遣のあっせん成立です。平成 27 年度のあっせん成立率は 86.4 %と、目標をクリアしております。

 資料 2 3 ページに移ります。 1 つ目の○ですが、事業主が求める人材等のマッチングが、各港湾の固有の事情に応じて円滑に図れるように、公共職業安定所による適格な紹介を実施し、直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延日数の減少に努めることとしております。平成 21 年度からの就労状況を記載しました。平成 27 年度は 1 5,061 人日で、直接雇用の日雇労働者の就労割合は 2.7 %となっており、ここ数年は 2 %後半での推移となっております。

2 つ目の○です。港湾労働法遵守強化旬間等を通じて、港湾関係者の遵法意識の高揚を図るとともに、違法就労の防止については、雇用秩序連絡会議を開催しております。参考資料 1 9 ページを見てください。右側に書いておりますように、平成 27 年度、雇用秩序連絡会議は 9 回開催しております。また、現場パトロール及び立入検査を実施しております。資料 1 6 ページの上を見てください。現場パトロールの実施状況ですが、平成 27 年度は実施回数が 664 回、実施事業所数が 2,890 所です。資料の下の図に事業所訪問指導・立入検査の実施状況が載っております。平成 27 年度の実施回数は 343 回、実施事業所数は 637 所です。

3 つ目の○は、公共職業安定所において、常用労働者に係る適格な紹介の実施です。求人・求職情報の積極的な情報提供等を行うとともに、事業主及び事業主団体とも連携しつつ、日雇労働者の求職の動向等の的確な把握に努め、公共職業安定所の紹介による必要な労働力の確保について、平成 27 年度は 1,986 人日、公共職業安定所の紹介による日雇労働者の就労割合は 0.4 %となっております。

 資料 2 4 ページのロは、センターが講ずる措置です。 1 つ目の○が、港湾労働者派遣制度に係る情報の迅速な収集及び提供を、これまで以上に積極的に行い、あっせん機能の充実及び強化を行っています。再掲になりますが、参考資料 1 4 ページにグラフがあります。平成 27 年度のあっせんによる派遣成立は 86.4 %になっております。 2 つ目の○は、事業主、港湾労働者等に対して、港湾労働者派遣事業に関する相談その他の援助を行っています。参考資料 1 15 ページの上に書いてありますが、港湾労働者雇用安定センターによる相談実施件数は、平成 27 年度で 7,019 件ということで、こちらについては着実に相談実施件数が増えております。

 ハは、事業主及び事業主団体が講ずる措置です。公共職業安定所による適格な紹介の実施に向けた機能の充実・強化により、直接雇用の日雇労働者の利用が例外的になるよう整えることとしております。再掲になりますが、平成 27 年度の公共職業安定所の紹介による日雇労働者の就労は 1,986 人日、就労割合は 0.4 %となっております。

 資料 2 5 ページの 4 は、港湾労働者の雇用改善・能力開発を促進するための方策です。まず (1) の雇用改善を促進するための方策のイは、国の講ずる措置です。雇用管理者の選任の徹底や労働条件の基準の遵守の更なる徹底、労働災害防止計画の計画的な推進を進めます。参考資料 1 5 ページの下の表が雇用管理者選任届出事業所数の状況です。六大港は全てが選任されております。 10 ページは労災関係です。上が死亡者数の推移、下が死傷者数の推移です。港湾運送事業における労働災害による死亡者数は折れ線グラフの下の緑色で、平成 27 年度は 8 人です。死傷者数の折れ線グラフも下のグリーンの点線ですが、平成 27 年度は 284 人と、こちらは前年度より 65 人減少しております。死亡者数・死傷者数ともに減少傾向が見られます。

2 つ目の○が違法就労の防止の観点です。港湾倉庫など、港湾区域における港湾労働法等の適用関係については、運用の「斉一化」ということで、後ほど説明いたします。

 ロのセンターが講ずる措置としては、雇用管理者研修及び雇用管理の改善に関する相談その他の援助を実施しております。参考資料 1 14 ページの上の図を見てください。雇用管理者研修実施状況から雇用管理者研修の参加人数は、平成 27 年度は 422 人となっております。

 ハは、事業主及び事業主団体が講ずる措置です。日曜・夜間の荷役については、港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した労働環境の整備に努めることとしております。日曜・夜間の荷役等の状況については、平成 25 年度の状況を記載しております。こちらも 5 年ごとの港湾運送事業雇用実態調査の状況を見ていきたいと思っております。

(2) が、能力開発を促進するための方策です。イの国が講ずる措置としては、革新荷役機械に係る教育訓練を効果的に実施できるように、シミュレーターを活用した新たな講習が行えるよう、措置を講じております。資料 3 を見てください。これは豊橋の港湾技能研修センターにおける訓練実績です。ガントリークレーンのシミュレーター活用訓練の計画達成率を見ますと、平成 28 12 月で 83.3 %となっております。

2 つ目の○ですが、港湾短大をはじめとする公共職業能力開発施設において、講師の派遣や施設の提供等、事業主が行う教育訓練を支援、促進しております。参考資料 1 13 ページを見てください。上から 2 つ目と 3 つ目に、港湾荷役とクレーン運転の訓練実施状況です。平成 27 年度で 468 人と 620 人ということで、 1,088 人が訓練を受けております。

 ハの事業主が講ずる措置としては、雇用する港湾労働者の職業生活の全期間を通じた段階的かつ体系的な教育訓練を行うよう配慮しております。教育訓練実施状況については、 5 年ごとの港湾運送事業雇用実態調査の状況を見ていきたいと思います。

 資料 2 7 ページの一番上の 5. 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための事項です。 (1) 国が講ずる措置です。港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するために必要な指導を行うとともに、同制度の趣旨の徹底を図ることについて、港湾労働者派遣事業の許可の取得率については、平成 27 年度末で 29 %となっております。派遣許可事業所数については 290 所という状況です。

 次の○です。現場パトロール及び立入検査の効果的な実施等を通じて、港湾労働者派遣制度の適正な運営を図っております。これもまた再掲になりますが、参考資料 1 6 ページです。平成 27 年度現場パトロール及び立入検査の実施状況は、パトロールが 2,890 所、立入検査が 637 事業所となっております。

(2) センターが講ずる措置です。 2 つ目の○ですが、派遣元責任者講習を行うほか、事業主・港湾労働者等に対して、港湾労働者派遣制度に関する相談その他の援助を行うことについては、参考資料の 14 ページの下の図、派遣元責任者講習実施状況を御覧ください。平成 27 年度の講習参加人数は 495 人となっております。再掲になりますが、港湾労働者雇用安定センター、港湾運送事業所からの相談実施件数については、平成 27 年度は 7,019 件です。以上が計画の進捗状況です。

○鎌田座長 この件について御意見、御質問がありましたら御発言をお願いいたします。どこからでも結構です。いかがでしょうか。

○玉田委員 現場パトロールというのは定期的に、事前に「いついつ行くからね」と言っておいて実施しているものですか。それとも内々で計画を練っておいて、突然勝負を懸けるみたいなパターンのどちらですか。

○谷建設・港湾対策室長 声は掛けていないです。

○玉田委員 では、現場から見れば、突然来ているという感じになるのですか。

○谷建設・港湾対策室長 そうです。

○柏木委員 抜き撃ちでやっているということですね。

○鎌田座長 よろしいですか。

○玉田委員 組合などでも結構やるのです。以前にもお話したことがあるけれども、職安から「来てくれ」と言われても「いや、今は人がいない」と言われることがあるのです。それは、政府全体が役人を減らそうという話もあるからしようがないのかもしれないけれども、ちょっと増やしてほしいと思います。それから、複数でしか動かないから「 1 人でもいるなら来てくれ」と言っても、今は自転車がないから来ないというような、笑い話みたいな話もあるのです。やはりパトロールは機敏に対応してほしいし、それぐらいの人数は確保してほしいと思います。

○谷建設・港湾対策室長 私どもも皆さんの御要望にできるだけお応えしてやっていきたいと思います。ただ、今もお話がありましたが、行政の体制というのも物理的に限られている部分がありますので、どうしてもそういうこともあろうかと思います。

○鎌田座長 玉田委員、よろしいですか。

○玉田委員 はい。

○鶴岡委員 今、正にシーズン中の港湾労働者の賃金についてです。これは玉田さんと意見が食い違っていて、資料を見る限り、我々は非常に払い過ぎかと思うのです。

○玉田委員 残業がほとんど。

○鶴岡委員 算出根拠的に、玉田さんは資料が違うと言うのでしょ。

○玉田委員 資料は総合労働時間か、実動労働時間か。時間外労働が入っているのでしょ。

○谷建設・港湾対策室長 全部入っています。

○玉田委員 資料で言うと、他産業が 177 時間だから 13 時間の時間外です。港湾の場合は 196 時間だから 33 時間ですか。

○谷建設・港湾対策室長 実労働時間 196 時間から所定労働時間 162 時間ですから、単純に引くと 34 時間です。

○玉田委員 ここの部分の反映が違う。込み込みになってしまっているから、私たちから言わせると、基準内賃金のところできちんと把握しないと正しく反映したことにはならないのです。だから、これを見て港湾労働者は大いに賃金が高いと言われると、それはちょっと違うのではないかと。

○鶴岡委員 いやいや、そう言っているのではない。資料上は、そう見えますねと。我々にとってもこれだけの差が出るということは、やはりもうちょっと真実味のある数字に。それから、全産業における時間内の問題も、こういうことをこういう席で言ってはいけないのかもしれないけれども、本当にきちんとカウントしているのか。はっきり言うと、我々港湾の場合は適格だから。

○玉田委員 いわゆるサービスというのはないからね。

○鶴岡委員 基本的にないのですよ。我々の産業の場合、拘束時間としての労働時間は長いのですけれども、実労働時間からするとどうなのか。こういう時間外の差異はあると思うので、そこまで分析してくれというのは難しいにしても、ただこの表だけ見ると、春闘は下げなければいけないのかと。

○玉田委員 そんなことはない。その話は乱暴ですよ。

○鶴岡委員 あくまでもこういう算出根拠から言うと、我々も組合のほうも不本意な部分もあるので、もうちょっと的確にデータがほしいという気はします。

○鎌田座長 しかし、それぞれ労使で、データの自分の積算というのはおやりでしょ。

○鶴岡委員 全産業というと難しいのです。

○鎌田座長 全産業の時間外がきちんと反映されているかどうかという。

○鶴岡委員 そういうものも含めて比較検討していかないと。これだけ明確にポンと出されてしまうと、確かに時間外は多いけれども、本当に全産業の時間外がきちんとアカウントされているのか。我々のほうの数字にしても、どういう根拠なのかということも。結論だけ見てしまうと、そういうものが見えてしまうので、もうちょっと真実味のあるものを。

○谷建設・港湾対策室長 今回、このグラフに所定内と所定外とを分けた形での賃金データは載せてなかったので、口頭で御説明いたします。これで見ますと、全産業が月額 33 3,000 円となっていて、所定内給与だけを見ますと 30 4,000 円です。港湾荷役作業員の全体で見ますと 37 3,700 円ですが、所定内給与だけで見ますと 29 2,900 円というのが今回の調査の内訳となっております。

今申し上げたとおり、所定内だけで見ますと全産業の平均が僅か上回っているという状況です。

○玉田委員 これは年齢もあるのでしょ。

○谷建設・港湾対策室長 この調査のサンプルの年齢で見ますと、全産業が 42.3 歳で、港湾荷役作業員の方だと 39.9 歳です。港湾の方のほうがちょっと低いです。

○鶴岡委員 バランスは取れているか。決して低くはない。私たちも、決して……ない。時間外の在り方も、現実問題、実際は違うと思うのです。これを見ると全産業というのは、あくまでも屋外労働者ということですか。

○谷建設・港湾対策室長 全ての産業です。

○鶴岡委員 ブルーもホワイトも全部含めてですか。

○谷建設・港湾対策室長 そうです。

○鶴岡委員 それだと比較がしにくいですよね。

○谷建設・港湾対策室長 どこと比較するかという問題はあると思いますが、これまでは全産業で比較しているという状況です。

○鶴岡委員 分かりました。

○鎌田座長 よろしいですか。そのほかにありますか。

○柏木委員  1 ページのロの労働対策の課題の中の労働者の技能の習得についてだけれども、これは各事業者は、それぞれ抱える従業員に対して、むしろ資本投下していろいろな資格を取らせているのですよね。しかし、残念ながら、今、港湾ではデポができたり、インランドポートといって内陸のほうにいろいろなものができて、せっかくそういうものを取らせても使う場がないという状況も生まれているし、これは国土交通省にも言って、事業ごとの問題もあるだろうし、港湾のほうにそういうもの、技能が使えるような形でかむと、どんどん持ってきてもらうような方策をとってもらわないといけない。また、今、江東地区に物流倉庫がいっぱいできていますよね。インターネットで調べてみると、投資ファンド系の会社がばんばん造って、では、そこへ貸し付けた先が港湾運送事業でもやっていれば、きちっと港湾労働者を使ってくれる形になればいいのですが、それすらもあやふやだし、我々はそういう状況がかなり多いと聞いているのです。

 ですから、この辺も厚労省に力を入れてもらって、そういうところもパトロールしてもらって、よく中を精査してほしいと思うのです。人が足りないのだったら、各地区港湾に組合の人はいますので、そういう人たちにヘルプを頼んでもらってやってもらうとか、そういう方法も 1 つの方法ですから、何か地区港湾とかと、 1 度話をしてみるのもいいのではないですか。

○鎌田座長 これは、まず谷室長のほうからコメントをお願いします。

○谷建設・港湾対策室長 実際の技能労働者にせっかく訓練を行っても、なかなか使えないというお話だったと思うのですが、私どもとしても、先ほど御説明させていただきましたが、豊橋の研修を行ったりとか、独立行政法人の港湾短大等での訓練もやっております。そういった訓練自体がニーズに合ったものとなるように、これは日々見直していかないといけないと思いますので、有効な技能・技術は、実際に現場で見極めた上で訓練の計画をしっかりと今後も作っていきたいと思っております。

 あと、パトロールの件については、先ほど行政の資源が限られている中でというお話を受けて、今、柏木委員から組合の人もやりますよという話でしたが、実際に旬間等のパトロールは一緒にやらせていただいている所もあると思いますので、そういったものも含めて、今後も引き続き必要なところについては、我々もしっかりやっていきたいと思っております。

○柏木委員 どうも聞くところによると、過去にそういうケースがあったと聞いているのです。労働省の腕章みたいなのを頂いて、それを付けてパトロールしたりとかいうのをやった経験がある人もいます。

○谷建設・港湾対策室長 なるほど。今も申し上げたとおり、旬間のパトロールでも一緒にやらせていただいた部分がありますので、より良い港湾秩序の維持のために協力できるものはやっていきたいと思っております。

○鎌田座長 国土交通省のほうで、今の件で何かコメントはありますか。

○畠山港運高度化対策官 なかなか回答しづらい。インランドデポとか、内陸の物流倉庫が増えていて。

○柏木委員 今、内陸に限らず港頭地区にかなり物流倉庫はできているのです。我々は地区港湾にいた頃にパトロールすると、どう考えても、これは港湾労働者の職域、領域ではないかと思うようなところは結構あるのです。地区の運輸局などとやると、関係ないのだと、そういう形でどんどん何と言うのかなあ、この資料にもあるとおり、我々としては、コンテナから流通が上がるのはいいのだけれども、やはり中身も含めて増えてもらわないと、我々港湾労働者は職域がどんどん狭くなっていくものでね。

 それと、そういう物流倉庫を我々の職域にしないと、今、我々も定年延長とか、そういうことで労使でいろいろやっていますが、高齢者も現場でそのまま使うことは、かなりハイリスクなのです。やはり危険な作業ですからね。そういう方々を少しでも作業軽減できる形で、そういう職域のほうにシフトすることによって、定年を延長しても、企業側もメリットがあるという形でできるので、我々働くほうとしても、そういうところを港湾に戻したいと。戻したいというよりも取り返すということですかね。それには当然、事業法が絡むので、国土交通省で、例えばそういう倉庫ができたときにきちんと精査して、この分野は港湾事業の範ちゅうですとか、そういうのをきちっとするなり、また、新しく建てて届け出をするときに、当然、このときは国土交通省の認可を取るのだよね、取らないのかな。

○鶴岡委員 あれは取らないね。

○柏木委員 取らない。自己申告みたいな形。

○鶴岡委員 いや、だから、営業倉庫かどうかは、一般倉庫とか、そういう区分けの中での届け出で、あれは税務的な判断なのかな。

○柏木委員 借りるほうは、それで支えている。

○鶴岡委員 港湾運送事業法ではなくて、倉庫業法なのです。

○玉田委員 はい、そうなのです。

○柏木委員 でも、やっている行為は、私などから見ると、どう考えても我々の職域という感じの行為をしていると取れるのだけれどもね。

○畠山港運高度化対策官 確かに倉庫寄託契約に基づく貨物の取り降ろしとか、そういうものについては、実は港湾運送事業法の対象にしていないこともあり、おっしゃるとおりです。

○柏木委員 だから、バンニングしていても、寄託行為の一環だとか言われてしまうわけです。あんなに詰めていて、それが寄託行為の一環だと、普通は通らないでしょう。

○畠山港運高度化対策官 そうなのですが、これは国土交通省でも港湾運送事業法と、先ほど鶴岡委員が言われたように倉庫業法とがあり、それぞれが港湾運送の秩序維持のための港湾運送事業法とか、倉庫業法についても目的がまた違って、そういう倉庫業法があるということで、 50 年以上の歴史をもってやられておりますので、確かにスパッと、港でやるから港湾運送だとか、なかなか難しいものだと思います。

○柏木委員 最近は外資とか国内資本も含めて、港頭地区に物流倉庫がすごいんだよね。宣伝なんかを見ていると。それは国交省でもウォッチしておいてもらわないと。

○畠山港運高度化対策官 寄託契約の貨物もありますし、それから、御存じのとおり自家荷役という考え方もありますので、それが他人の需要に応じてやられるのかどうかとか、そういうのも勘案して港湾運送事業法の対象になるのかどうかです。

○柏木委員 そんなことを言ってるのは、ほとんどないでしょう。メーカーとか、ここでこうやるなどというのはほとんどない。

○鶴岡委員 事業法の話は。私は何年間も取り組んでいるので、ここは厚労省の会議だから。

○鎌田座長 別な点で何か御指摘はありますか。

○玉田委員 職種の対象の問題で、要するに港湾労働法の適用対象としている根拠は、波動性があることが大きな要因ですよね。今度聞いてみたいのだけれども、例えば、検数は適用対象外なのだけれども、あれは波動性がないと思っているのですか。

○谷建設・港湾対策室長 検定と検数の関係ですよね。

○玉田委員 はい。

○谷建設・港湾対策室長 少しお時間を頂きたいのですが。

○玉田委員 はい、いいのですが、検定は議論があるかもしれないけれども、検数はかなり波動性があると思っているのです。いろいろな議論があって、指定事業単位を使いながら研修するという議論にはなっているのだけれども、本来、港労法の言う港湾労働秩序を維持しましょうという趣旨からすると、いや、私から検定はいいとは言えないから、検数、検定、鑑定の職種は、波動性を認めるというのであれば、対象にしても矛盾はないのではないかと思っているのだけれども。

○鶴岡委員 だから、これはそもそも港労法ができた段階のものと、運送事業法の問題の事業免許の、当時は 1 6 までだったかな。今は 1 4 まででしょう、 4 級。

○玉田委員 はい。

○鶴岡委員 当時は 2.4 種に分かれているから、この事業法との関連で事業者指定しているのです。確かに波動性の問題もあるのだけれども、なぜ最初の法律ができたときに、そういう区分けをしたのかとかいう話になるのです。

○谷建設・港湾対策室長 この検数、鑑定及び検量の業務については、当時、これは事務的な専門職種であるということ、実際ほとんどが常用労働者で雇われており、雇用も安定していると、そういう実態があったのです。その上で、その実態を見ると、港湾労働の波動性の特殊性が見られなかったということで外しております。

○玉田委員 当時、常用労働者がほとんどであった、それはそうかもしれないね、導入の時点であってはね。

○谷建設・港湾対策室長 事務的な専門職種で、雇用も安定している。波動性が当時は見られていないので。

○玉田委員 これは自己移入してしまうかもしれない。その場合は途中で話をやめるけれども、やはり波動性はあるのでしょうね、事務職とか専門性があるとはいえ。だけど、特に本船側 ( シップサイド ) などは典型的だと思うのです。今、専門性という意味では、当時、確かに常用労働者で、検数人手帳をもらって、その人の専門性の中でサインするという仕事であったことは間違いない。だけど、 1999 年の規制緩和以降は手帳はないでしょう。会社に所属している人が研修を受けて検数人として認められるのかということで初めて一定の専門性を持たされるようにはなっているのだけれども、そのときとは時代が違うのです。

 と同時に、例の派遣法の改正との関係の際に、検数や検定の所に指定事業体をつくることによって、一般派遣を入れないようにしましょうねという議論をしてきたではないですか。そこでカバーしきれた部分もあるのだけれども、私らとしては、そこのところを、むしろ労使の努力という部分に委ねずに、ここできちっと適用という議論をしたほうが、安定するような気がするのです。

 法律を変えなければいけないというのは多分あるのだろうけれども、それに着手することはしてもいいのではないかという気がしているのです。では、労使で議論して、このようにしたいと、それはやるのです。それで労使が一致したら、「うん」と言うのでしょうから、そこを議論するのですが、認識として、波動性があるのですよ。今や、ほとんど専門性という点で言うと、ガントリーマンが持つ専門性と変わらない意味での専門性があると思うのだけれども、ここにおられる先生方のような専門性とは多分違うと私は思うのです。

○鎌田座長 かなり根本的な問題なので、少し使側の御意見も伺って。

○鶴岡委員 あくまでも、この法律ができたその時点のいろいろなことを考えて、その間の推移を見ていっても、今、確かに事務職と言われたのですが、事務職的な問題、それから当時の瑕疵の問題から言っても、非常に専門性が高かったのです。例えば、本当に原木を、原木というのは丸太を吊って、吊っている状況で、あれの数をカウントしなくてはいけないとか、本当に専門性は高かったのです。それから、昔は「数もの」と言って、本当に数の多いもの、パレタイズ されていない時代に、それの数を数えなくてはいけないと言っても、あれは確かに熟練者でないとできなかったと思う。

 ただ、今、本当に 1 個ずつ数えているぐらいなら、今、バンニング・デバンニングのときの入り数の問題もありますが、ただ、今は専門性が低いといえば確かに低いね。ただ、では、あれが当時のモッコを担いで渡り歩いて荷物を持っていた港湾労働者と、こうやって鉛筆を持ってやっている人と同じかと言われたら、違う。そういう実態もあったのではないかな。

○鎌田座長 仕切るわけではないのだけれども、私の認識としては、今、玉田さんがおっしゃったように、港湾労働法ができてから、時代の変遷の中で、当初の想定とは違うこともあるだろうとは思うのです。一方で派遣法の中で適用除外している側面もあるわけです。そうしたときに、今言ったような法に関わることで議論を始めると波及するのです。だから、私は労使の中で、この枠組みは維持しようということで基本的な合意はあるのかと思うのです、その派遣法との関係で言うと。そのときに、ここの議論で、いや、根本的に少しやり直しましょうというときに、それでいいのかと。いいのでしょうが、だけど今までの労使の合意の中での一定のコンセンサスを考えた場合に、 そこは、この議論の推移を見定めながら、法に関わる部分については少し慎重に検討していくことが、ここでの基本的なスタンスではないかと思っているのです。

 ですから、そういったこととは、法の改定に結び付かないような様々な工夫を皆さんには是非していただきたいとは思っています。 私の理解としては、今はそういうコンセンサスといいますか、労使の考え方の枠といいますか、理解の中で進んでいるのかと。それは同じになるわけですね。

○玉田委員 はい、そこの認識は一致です。

○鶴岡委員 全港適用 と同じ論議なのです。全港に適用するという話が、確か 10 年待って。要するに、それが解放しなくてはいけないと。この話も同じになってしまうので、これは使用者側としても、おっしゃるように、今はその内容が業者側は困るとか、そういう話ではなくて。港労法全体がそういう形になることは困るという、先生がおっしゃるとおりです。その立場なのです。

○柏木委員 これは多分そう。港労法は残ってもらわなくては駄目。必要だから。

○鶴岡委員 だから、検数の話をどうしても進めるとなると、法律を変えなくてはいけないと。あとは、港湾運送事業法上で 5 種から 7 種より 4 種へ入れてしまうという手もある。それは無理だしね。

○鎌田座長 改めて双方で、そういう議論 御確認いただきながら議論を進めていきたいと。

○鶴岡委員 我々はそれで結構だと思います。もう 1 つ、よろしいですか。

○鎌田座長 はい、どうぞ。

○鶴岡委員 これは出ていないのですが、これも組合から出ている話で、今回、特定港湾倉庫という名前が出てきたのです。これは港労法上には存在しないのです。そうですよね。その言葉が港湾労働法の中には入っていないのです。私も全部、港労法を引っくり返して調べたけれども出てこないのです。この間、その辺の説明を頂いたのですが、改めてこの席でもう一度お願いしたいのです。特定港湾倉庫という。

○谷建設・港湾対策室長 特定港湾倉庫ですが、これは一般派遣の派遣法において、港湾運送に係る業務が一般派遣の適用になっていないことから、そこの港湾運送業務について派遣法の中で見極めるために、事業法の 93 港のうち港労法の 6 大港以外の港における、指定地域内における倉庫において、海貨を取り扱う、自家荷役は別にして、そういう倉庫については港湾運送業務と位置付けて、そこでは労働者派遣をしてはいけないとしています。そういうことで特定港湾倉庫としているということです。

○鶴岡委員 それは国交省の事業免許を受けないのですか。

○畠山港運高度化対策官 基本的に港湾運送事業法は、御存じのように船内、はしけ、沿岸、いかだの行為を行う事業者ということです。先ほど鶴岡先生から言われたように、倉庫は、倉庫業法に基づく営業倉庫で、事業を始めるのは登録ですが、その営業倉庫のうち何パーセントか扱っている海貨を扱っている倉庫という位置付けということです。

○鶴岡委員 これはあくまでも国交省の問題ではなくて、厚労省の問題で、なおかつ派遣法の問題という認識でいいですか。

○谷建設・港湾対策室長 そうです。

○鶴岡委員 一般派遣法ということですね。

○鎌田座長 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、次の議題に移ります。次の議題はシミュレーターの話。先ほど少し触れていたけれども、これは。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 資料 3 です。

○鎌田座長 資料 3 ですか。シミュレーターの話は、先ほど説明して いるということですか。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 はい。

○鎌田座長 では、私のほうでシミュレーターの利用、実施状況について、先ほど御説明いただいたので、コメントをさせていただきたいと思います 。資料 3 は先ほど御指摘いただいた所ではありますが、実は、一昨年の実績で昨年の委員会で議論したときに、達成率が良くなかったということがあり、私から厚労省の事務局に、二事業で、言ってみれば効率性を高めるために用いられる財源を使っているわけなので、そこは労使が協力し、また、事務局も利用効率化に一層進めていただきたいという申入れをしていました。今回、この達成率も、現段階での達成率は、全体で 68.1 %です。これは、もう少し上がってくると思います。

○谷建設・港湾対策室長  1 3 月までの申込件数の 18 件が、ここに載ってきますので。

○鎌田座長 そうすると、何パーセントぐらいになりそうですか。

○谷建設・港湾対策室長  80 %ぐらいです。

○鎌田座長  80 %ぐらいということで、労使の皆さん、事務局の御努力に、座長として感謝申し上げたいと思います。御存じでしょうが、二事業の財源の利用に関しては、使用者側から、大変強い効率性といいますか生産性の向上につながるということを要望されておりますので、改善されて非常によいわけですが、これも引き続き御努力いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 次に、資料 4 「港湾区域における適正な雇用管理を推進するためのハローワークと地方運輸局等の連携強化」について御議論いただきたいと思います。まず、事務局から御説明をお願いします。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 資料は 4-1 と資料 4-2 があります。資料 4-2 を使って説明します。資料 4-1 の資料は概要をまとめたものなので、左に置いてもらって参考に見ていただければと思います。

 「港湾区域における適正な雇用管理を推進するためのハローワークと国交省地方運輸局等との連携強化 ( ) 」です。具体的な検討内容は、従来より委員の皆様方から御意見がありました港湾労働法の適用関係の斉一化の一環として、港湾労働者証の色分けをしたいということの検討です。

1. 現状と課題です。現状、六大港の港湾区域では、港湾労働法により港湾運送の業務に常時従事する労働者に対して港湾労働者証の携帯を義務付けております。また、違法就労防止のための現場パトロール等を行っております。しかしながら、港湾労働者証の交付によって、事業主及び労働者が港湾運送事業法の許可が必要な事業に係る行為についても実施可能だと誤解して就労してしまうと、こういった懸念があります。

 現状としては、事業法上の許可が必要な事業に係る行為を無許可で行っていたとしても、港湾労働者証をもって違法な就労者とはならないこと。現行の港湾労働者証では、事業法上の許可等の有無について、確認ができないことによって、違反の疑いのある事態の把握や地方運輸局等への通報が困難な状況にあります。課題としては、事業法上の許可事業者と、それ以外の事業者との識別を港湾労働者証で可能とすること。また、ハローワークと地方運輸局等との連携体制を強化することが重要と考えております。

 資料の次のページに、括弧で囲い込みとして掲載しております。これは、港湾労働専門委員会報告書、並びに港湾雇用安定等計画において、今後の対応について、その方向性が示されたものです。

 中身は割愛しますが、以上のような課題に対応するための対応方針です。➀として、事業法上の許可等を有する事業所の労働者であるか否か、港湾労働者証による識別が可能となるように港湾労働者証の色分けを行う。➁として、ハローワークが、パトロール等で港湾労働者証の確認等により、事業法違反の疑いのある事態を把握した場合や、その疑義がある場合には、地方運輸局等に速やかに通報を行う体制を整える。この 2 点を講じることにより、ハローワークと地方運輸局等の連携強化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、具体的な検討項目です。 (1) 港湾労働者証の色分け等については、港湾労働者証の様式を、事業所が事業法上の許可等を受けているか否かによって区別すること、それと法令違反、疑義等への対応については、国交省所管部署と、情報提供の方法や連携体制の構築等を緊密に連携しながら、適切な対応を図っていくための取り決めを行っていこうと考えています。

 実施時期については、平成 30 9 1 日を予定しておりますが、港湾労働者証の 3 年に 1 度の一斉更新とのタイミングを考えております。次回の更新は平成 30 年度になっております。以上です。

○鎌田座長 これも以前から少し議論になっていたことであり、一歩前進させようということですが、この点について御質問・御意見がありましたら、どうぞ自由に御発言をお願いします。

○玉田委員 これはとても大事なことだと思っているので、良いことなのですが、国土交通省の方がおいでになっているので、通報すると言っているのですよね。国土交通省は、それに応じて厳密にやるとは言っていないのです。「はい、そうですか」で終わられたら、どうするのですか。

○谷建設・港湾対策室長 そこは、その案に書いてあるとおり、 3(2) に書いていますが、国交省の所管部署と情報提供の方法や連絡体制の構築等、連携を行うための取り決めを行っていきたいと思っております。

○玉田委員 どこに「取り締まる」と書いてあるのですか。

○谷建設・港湾対策室長 緊密に連携して対応を行っていくということです。

○玉田委員 と読んでくださいと、そういうことですか。そうすると、仮に私らがこれを見つけたら、近所に労働局がなくて運輸局に行ってしまう場合も、こうなっているはずだから運輸局は取り締まれということも可能なわけかな。

○谷建設・港湾対策室長 もともとこの問題については、事業法違反ということであれば、調査なり取り締まる権限は地方運輸局にしかありませんので、一義的には地方運輸局に行っていただくものと思っております。ただ、今回、港湾労働者証の関係で、適正な雇用管理ができていない状況があるとか、ハローワークの職員がパトロール等で疑義がある場合等については、そのときはハローワークから地方運輸局に通報等を行っていきたいと思っております。

○鶴岡委員 本当にありがとうございます。この政策をようやく実施に。確かに谷さんのおっしゃっていることは分かるけれども、私は 2 省の 2 つの法律、事業法と港労法の横串が刺さったと思っているので、運輸については今後いろいろ出てくると思うので、使用者側としては、それは様子を穏やかに見ていただきたいとは思っています。この色分けができることは本当に最大のメリットだと思いますので、本当にありがとうございます。

○鎌田座長 まだ色分けの色までは決まっていないですが、特にアンケートを取るかは。

○谷建設・港湾対策室長 今の港湾労働者証は御案内のとおり、ブルーというか水色っぽい色ですので、それを残して、あと一色を何か違う色にしたいとは思っていますが、見やすい色で。

○鶴岡委員 分かりやすい色がいいよね。

○谷建設・港湾対策室長 そうですね、目立つ色で。

○鶴岡委員 夜、見ても分かると思う色で。

○谷建設・港湾対策室長 考えていきたいと思っています。

○鎌田座長 ほかにありますか。よろしいですか。

○鶴岡委員  1 つだけ。これは色分けはいいのですが、港湾労働者という括りは 1 つですか。今までは 1 つですよね。今度、この労働者証が 2 つになりますね。

○鶴岡委員 その本質的な数とか、これを 1 2 に分けるのか、それともこれ 1 つなのか。

○谷建設・港湾対策室長  1 つです。

○鶴岡委員 これ 1 つですか。

○谷建設・港湾対策室長 はい、 1 つにしています。、運用の中でこういう連携強化をするための一方策ということで色分けを行うものと御理解いただければと思います。

○鎌田座長 それでは、次の議題に移ります。次は資料 5 「社会保険の適用拡大に伴う港湾労働者証の交付対象者の範囲について」です。これも事務局から説明をお願いします。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 資料 5-2 と資料 5-1 について説明いたします。まず、資料 5-2 を見てください。まず、社会保険制度の改正の内容ですが、点線で囲ってあります。内容については、一番下の「今後の取扱い」のところに書いてあるとおり、今回の社会保険の適用拡大、端的に言えば、短時間労働者、 20 時間以上の所定労働時間の方が適用になる。対象者は、従業員規模 501 人以上の企業です。今後の取扱いとしては、港湾労働者証の交付対象者については、従来通り通常の就労者の週所定労働時間が概ね 4 分の 3 以上の基準を維持するということですので、港湾労働者証の対象者には、従来通り影響はないという取扱いになっています。

 しかしながら、資料 5-1 を作ったのは、港湾運送事業所の中でも、 501 人以上の企業の場合は、今までは社会保険をもって労働者証の交付を決めていましたが、改正されたら 20 時間以上の方も社会保険に入られていますので、その方を 20 時間以上なのか、それとも 4 分の 3 、通常 40 時間で考えると 30 時間以上の所定労働時間の方かを見るために、資料 5-1 ですが、「雇用契約書等の書類」を提示していただいて、所定労働時間が、具体的に言えば 20 時間以上なのか、それとも 4 分の 3 以上なのかを見ることをすることが今後は必要になってくるという状況です。

10 1 日から、そういった取扱いをしていますという報告です。

○鎌田座長 これは既にやっているのですね。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 そうです。

○鎌田座長 御確認といいますか、そういうことで。趣旨は、労使ともに御了解いただいていると私は理解しています。

何か御不明な点があれば、質問してください。

○松永委員 今現状は問題ないかと思うのですが、国交省さんが来ているので、ちょっとお伺いしたいのですけれども、事業法上の保有基準がありますよね。当然、このような短時間労働者についても社会保険の適用となって、その上で港湾労働者にも労働者証の発行の適用になりますよといったときに、事業法上の保有基準の中にカウントは当然されるのですか。

○畠山港運高度化対策官 許可基準で、確かに一定の労働者を保有しなければいけないことになっていまして、その保有基準の条件として常用雇用というのがあり、それは社会保険に入っているかどうか、そこで確認をしているところではあります。

○松永委員 そうしたら仮に想定の話なんですが、雇用契約書が同じ会社で 2 種類できてしまうことはないですか。要は、常用労働者が 2 種類、簡単な言葉で言えば、 1 軍、 2 軍。雇用契約の中で、片方は所定労働時間 40 時間 / 週、もう片方は 20 時間といったときに、それもひっくるめた常用労働者のカウントで保有基準を満たすということになるのですか。

○畠山港運高度化対策室 常用雇用のほかにも、港湾荷役が適切にできるかどうかと、そういうところも審査していますので、必ずしも労働時間によって、これはいいのか悪いのか、そういうところはこの場でなかなか言いにくくて、それは実態を見て、本当に常用雇用として適切かどうかを運輸局で審査基準に照らして審査することになると思うのですが。

○松永委員 その辺が、これは平成 31 9 30 日までに検討を加えて措置を講ずることとされていると。今は大企業 (501 名以上の企業のみ ) でということがあるのですが、それを過ぎると、今度、平成 31 9 月、これに多分また全事業者対象となるのではないかと思いますので、その辺でいくと、今私が言ったように、仮に 1 軍、 2 軍等の所定内労働時間の差がある雇用者が発生してしまう懸念があると私は思いますので、その辺を厚労省にも。

○谷建設・港湾対策室長 この保険の適用拡大に伴う、港湾労働者証の交付対象範囲の取扱いを決めた際に、先ほど御説明した資料 5-2 に記載がありすが、平成 31 9 30 日に、従業員の 501 人以上規模もありますし、あと、週の所定労働時間が 20 時間とか、雇用期間が 1 年間とか、こういったものについて検討がなされるだろうとは考えています。その上で、港湾労働者証の今後の取扱いの 2 つ目の○ですが、現行としては、昨年 10 1 日では、現行、今の範囲の基準を維持するものとしましたが、今後の社会保険の適用範囲にかかる検討の内容を踏まえつつ必要に応じて対応を検討していくものとするとしています。今、お話がありましたように、日雇労働者がいますが、それ以外のものについては、港労法で常用労働者となっています。ただ、しっかり港湾労働者の福祉の向上を図る観点から、社会保険の適用が大事であるということで、そういった者について労働者証を発行していこうということで今までやってきておりますので、そういったものも踏まえつつ議論していかなければいけない課題だと思っています。

○花島委員 こういう人、いないよね。

○鶴岡委員 現状はいない。

○谷建設・港湾対策室長 現状は、常用労働者以外は港湾労働者証を発行していません。他には、日雇の人がいらっしゃるということです。

○鶴岡委員 我々使用者側から言わせてもらうと、確かに心配はあるわけ。要するに、これを作る理由は、安い労働者ということなんだよね。ただ言っておきますが、ここに社会保険を加担させたら安くないなと。これがないから安いわけ、一般的に。ただこれを、要するに負担しなければいけなくなってきたら、もう安くないから、まず、港湾では存在し得ないと思います。この項目を見ても、どう見ても、これはアルバイトやパートの話なのです。ないと思うけれどもね。

○花島委員  20 時間しか働かないのは、いらないよ。

○松永委員 だけど、沿岸行為などは、沿岸でいくと、午前中だけがバタバタして忙しいから、それだけ出てこいというようなところも。

○鶴岡委員 それというのは、日雇の延長線にあるようですよね。

○花島委員 港労法は適用されているんですか。沿岸だって、ちゃんと 1 日は 1 日で。

○鶴岡委員 現状からは考えられないし、わざわざ心配している問題も、任せば私は大丈夫だと思うけれどもね。ないとは言えないけれども、ただ、そこまでして、この 4 分の 3 以上、要するに 120 時間の月間労働時間をやってまで、それを社会保険を払ってやるかな。今、社会保険料率 32 %なのですよ。会社として、本人とね。

○柏木委員 そんな高いの。

○鶴岡委員 いやいや、だから言ってるじゃないですか。会社が負担している率、分からないでしょ。本当に賃金を 5,000 円上げても、手取りが減ってしまうケースがあるのですよ、間違いなく。会社負担と、本人負担を入れて、約 32 33 %です。今、月額基準内 30 万の人の会社負担が 37 万ですよ。本人の手取りが 22 23 万ですよ。だから、そこまでして、社会保険を乗せて、そんな人間集まらないと思うのだけれどね、私は。

○玉田委員 そうすると今、国交省が保有基準の対象にすることを考えたらまずいのではないのかな。

○畠山港運高度化対策官 私が申し上げたいのは、常用労働者の保有基準があって、その労働者保有基準に適合する労働者というのが、常用雇用者ということであり、通常であれば、社会保険に加入しているかどうかで確認するということなのです。また、常用のほかに、事業を適切に遂行しなければいけないという基準もありますので、そういうところを十分審査して、最終的には判断すると。そういうことで、 20 時間の人だからといって、どうこうというそういうあれではなくて、総合的に審査して決めるということを申し上げたいということであります。

○鎌田座長 よろしいですか。あと、この件について、何かございますか。

 それでは、当初予定された議題は以上です。このほか、何か御意見、御質問がありますか。特にないようでしたら、本日の審議は、これで終了したいと思います。

 坂根部長から、御挨拶をここでいただけたら。当初に予定したのですが、国会ということだったので。

○坂根雇用開発部長 鎌田座長をはじめ、委員の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました。本当に率直なやり取りを聞かせていただき、改めて私自身の勉強になりました。

 今日は、遅参して申し訳なかったんですが、ちょうど雇用保険法の一部改正案が国会で、先日本会議で審議があったんですが、いよいよ厚労委員会で議論が始まりました。議論を聞いてみますと、やはり相当、世の中が変わっているなというところが労使で共に見える中で、雇用の安定という形で守るべきところと、時代の変遷に応じて変えていくべきところとを峻別しながら、港湾労働の問題についても、また改めて幅広い観点から考えていきたいなと思っています。こういう場というのは、年に 1 回、あるいは場合によっては 2 回かもしれませんが、今日いただいた率直な御議論も踏まえて、より良きものにしていきたいと思いますし、各省連携という話もありました。国交省とも一緒に、いろいろな問題に取り組んでいきたいと思ってますので、今後ともよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。

○鎌田座長 ありがとうございます。それでは、今後の日程について事務局から御説明をお願いします。

○吉松建設・港湾対策室長補佐 当専門委員会は、通常は年 1 回開催しております。次回の開催については、各委員の方と日程調整をさせていただいて進めたいと思います。また、こちらから別途、御連絡をさせていただくということで、よろしくお願い申し上げます。以上で。

○鎌田座長 それでは、本日の委員会は、これで終了いたします。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員ですが、労働者代表は柏木委員、使用者代表は花島委員とさせていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。


(了)

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