ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん検診のあり方に関する検討会> 第21回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)(2017年3月27日)




2017年3月27日 第21回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年3月27日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○議題

(1)「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の進め方について
(2)乳がん検診における高濃度乳房に関する問題への対応について
(3)職域におけるがん検診に関する議論の進め方について
(4)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第21回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は2名の参考人を招聘しております。

 「川崎市の乳がん検診における乳房の構成に関する通知の現状」の御説明につきまして、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックの福田護参考人でございます。

 もうお一方、「対策型乳がん検診における『高濃度乳房』問題の対応に関する提言」の御説明につきまして、福井県済生会病院の笠原善郎参考人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日はほかの公務のために保険課長がおくれて出席いたしますことをあらかじめ御了承いただきたいと思います。

 本日は設営の関係上、マイクが短いものがございまして、短いマイクで御発言される委員の方におかれましては、近くでお話しいただければと思います。

 初めに、資料の御確認をお願いいたします。お手元の資料をよろしいでしょうか。

 座席表

 議事次第

 資料1 「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の進め方

 資料2 乳がん検診に関する実態調査結果

 資料3 川崎市の乳がん検診における乳房の構成に関する通知の現状

 資料4 対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する提言

 資料5 「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」開催要綱(案)

 参考資料1 がん検診のあり方に関する検討会構成員名簿

 参考資料2 がん検診の現状と考え方

 参考資料3 対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する報告書

 参考資料4 対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する報告書 添付資料

 参考資料5 がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理

 参考資料6 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針

 以上でございます。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 この後の進行は、大内座長にお願いいたします。

○大内座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は議題が(1)から(3)までございます。この順番に従って進めてまいります。

 初めに、がん検診のあり方に関する検討会における議論の進め方について、事務局より御説明願います。

○事務局 それでは、お手元の資料1をごらんいただけますでしょうか。資料1は「がん検診のあり方に関する検討会における議論の進め方」となっております。

 まず資料の上段ですが、本検討会で検討された事項をお示ししております。5年前の平成24年5月、がん検診のあり方に関する検討会が設置され、「国内外の知見を収集し、科学的根拠のあるがん検診の方法等について検討を行うとともに、受診率向上施策について、これまでの施策の効果を検証した上で、より効果的・効率的な施策等を検討することとする」としており、その後、指針を25年、26年、28年に改正しております。また、昨年は本検討会より、がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理をがん対策推進協議会に提出したところです。

 下段ですが、がん検診に関する今後の論点を示しております。論点は大きく2つあり、市町村の実施するがん検診に関するもの。もう一つは、職域におけるがん検診に関するものです。

 市町村の実施するがん検診に関する論点につきましては、乳がん検診における高濃度乳房に関する問題への対応について。また、がん検診の対象年齢ごとの推奨度について。さらに、指針に基づかない健診項目の扱いについて。これらをがん検診のあり方に関する検討会において議論するとしております。

 職域におけるがん検診に関する論点としては、職域におけるがん検診に関するガイドラインについて、ワーキンググループを設置し、そこで議論するとしております。

 以上でございます。

○大内座長 ただいまの資料1に関する説明について、御意見がございましたら、お願いいたします。

 なお、資料1の上段の表ですけれども、中ほどに平成27年9月、がん検診のあり方に関する検討会中間報告「乳がん検診及び胃がん検診の検診項目等について」とありますが、そのときに取りまとめられました中間報告書に関しての乳がん検診項目に関する提言を本日、机上配付しております。右側にその日付のある資料でございますので、御確認ください。よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○白川構成員 資料1の下半分の部分で職域におけるがん検診に関する論点、ガイドラインを以前から議論させていただいております。職域としてもぜひとも早くできましたら29年度中につくっていただきたい。また、そういうスケジュールでお願いしたいというのが1点目でございます。

 もう一点は、被用者保険でがん検診の実績等を把握していきたいと思っています。以前、道永先生から日本医師会等が中心になってがん検診の統一コード化という作業を進めているとお聞きしているのですが、被用者保険ではいろいろながん検診の実施方法があり、1つは人間ドック等でがん検診を受けるケース。働いている方は、特に胃がん検診が多いと思いますが、職場で受けるケース。被扶養者の方々は、巡回検診のように検診車を各地区に派遣してがん検診を受けるというケースがあるのです。また、人間ドックについても、検診結果のフォーマットがばらばら、判定についてもばらばらという状況で、まとめようとすると一件一件を目で見ながらまとめざるを得ないのが現状でございます。ぜひ議論のテーマとして、コード化、場合によっては電子化も含めて検討していただきたいと思っております。

 ベースになるのは、日本医師会等が実施しているものでも構わないと思いますので、ぜひ一度具体的な中身について検討する機会を設けていただくように、お願いいたします。

 以上です。

○大内座長 ただいま白川構成員から、職域におけるがん検診に関する論点に関する御要望がございました。本件に関しまして、議題(3)でも改めて議論されることになるかと思いますが、まず事務局から、このスケジュール感あるいはフォーマットの統一化に向けての御意見をお願いいたします。

○事務局 具体的には資料5、議題(3)の職域におけるがん検診のところで議論させていただこうと思いますが、白川構成員からお話しいただきました1件目、29年中につくっていただきたいという御要望につきましては、できるだけ早くワーキンググループを立ち上げた上で、議論を進めていきたいと考えております。

 また、フォーマットなどにつきましては、本検討会でもこれまでも議論になったことで問題であるという認識のもと、こういった議論も深めていきたいとともに、ワーキングの課題になりますので、要綱のところでまたその議論をさせていただければと思います。

○大内座長 よろしいでしょうか。

○白川構成員 結構です。

○大内座長 ほかにございますか。

 では、議題(2)に移ります。乳がん検診における高濃度乳房に関する問題への対応についてです。本日、参考人お二人に来ていただいております。

 まず、その前に、資料2「乳がん検診に関する実態調査結果」につきまして、事務局より説明願います。

○事務局 事務局でございます。

 それでは、お手元の資料2をごらんください。資料2は、本課より本年3月に全国の特別区を含む市町村に対してアンケートを実施した結果をまとめております。

 調査の項目につきましては5点ございまして、1つ目が、乳がん検診において、マンモグラフィを実施しているかどうか。2つ目が、マンモグラフィによる受診者の乳房の構成について、検診実施機関から市町村が報告を受けているか。3つ目が、マンモグラフィの乳房の構成を対象者に通知しているか。もしくは通知する予定があるか。4つ目が、マンモグラフィの乳房の構成を対象者に通知している場合、高濃度乳房の方に対する通知の際に、その後受診者がとるべき対応について推奨していることはあるか。最後が、高濃度乳房の方に対する乳房の構成の通知の際に、その後受診者がとるべき対応について推奨していることがある場合、何を推奨しているかの5点でございます。

 では、結果を御報告いたします。下段に移っていただきまして、左側にございますが、回答を得られた1,705の市町村のうち、乳がん検診においてマンモグラフィを実施している自治体が99.7%ございました。

 右にお移りいただきまして、マンモグラフィによる受診者の乳房の構成について、検診実施機関から市町村が報告を受けているかという問いに対しては、約3割、31%の市町村が報告を受けておりました。

 おめくりいただきまして、結果マル3でございます。マンモグラフィの乳房の構成を対象者に通知しているかという問いに対しては、1,700の市町村のうち、13.5%が通知しているという結果でした。また、このうち通知していない86.5%の中で、マンモグラフィの構成を今後対象者に通知する予定があるのかということをお伺いしたところ、7.8%の市町村が通知する予定があると答えております。

 下段にお移りいただきまして、通知をしているという13.5%の市町村230に対して、対応について推奨していることがあるかと伺ったところ、半数が「している」、半数は「していない」ということでした。では、半数の115に対して、どういったことを推奨しているのかということを複数回答でお伺いしたところ、推奨する内容として一番多かったのが「超音波検査の受診」、以下「精密検査の受診」等々並んでいるという結果でした。

 以上でございます。

○大内座長 ただいま、厚労省から乳がん検診に関する実態調査を行っていただきまして、その結果の御説明でした。

 次の参考人お二人の御意見と重なりますが、ここで確認しておきたい点がございましたら、どうぞ。よろしいでしょうか。

 では、本件に関しまして、資料3「川崎市の乳がん検診における乳房の構成に関する通知の現状」について、本日お越しいただいております福田参考人より御説明をお願いします。

○福田参考人 それでは、御説明をさせていただきます。「川崎市の乳がん検診における乳房の構成に関する通知の現状」であります。

 川崎市の乳がん検診における検診項目です。川崎市は、平成28年1月に開催されました平成27年度川崎市乳がん検診連絡調整会議において、平成28年4月よりマンモグラフィ単独検診を導入することを決定いたしました。

 導入理由は以下のとおりであります。1つ目、「がん検診のあり方に関する検討会 中間報告書」が平成27年9月に出ましたけれども、それにおきまして、乳がん検診の項目はマンモグラフィを原則とし、視触診は推奨しないとされました。本日配付されました机上配付資料の検診項目の上の2つ、マンモグラフィによる検診を原則とする、視触診による死亡率減少効果が十分でなくという部分にあたります。

 2つ目、乳がん検診の目的は乳がんによる死亡の減少であるということを確認いたしました。

 そして、机上配付資料にも触れられましたように、視触診は死亡率減少効果が認められていないという議論になりました。

 乳がん検診は、利益と不利益のバランスの上に成り立っております。乳がん検診の利益は、乳がん死亡の減少であります。そのほかさまざまな利益があります。それに対しまして、乳がん検診の不利益は、過剰診断、偽陽性、偽陰性、放射線被曝、精神的不安、マンモグラフィによる疼痛などが挙げられます。川崎市は、視触診プラス、マンモグラフィの検診から、視触診を省いてマンモグラフィ単独検診を行うに当たり、偽陰性について問題になりました。特に視触診で発見されるがんの存在があるということが問題になりました。

 偽陰性になる原因としまして、撮影・読影技術の問題があります。これは精度管理向上を図りながらこの問題を解決しているわけでございますが、まだ存在することも事実であります。次に、病変の位置、大きさ、形状があります。例えば、極めて内側の乳がん、あるいは極めて外側の乳がんなどは、なかなか写し切れないということがあります。そして、高濃度乳房、いわゆるデンスブレストの問題があります。

 したがいまして、マンモグラフィ単独検診の導入に当たり、川崎市乳がん検診連絡調整会議におきまして、乳がん検診の結果票に偽陰性について記載するべきだろうということが決定いたしました。具体的には、マンモグラフィでは全ての乳がんを発見することはできないことや、症状があればマンモグラフィ検診で異常がないと出ておりましても医療機関を受診すべきであることを結果票に記載するということになりました。

 本人に渡す結果票でございます。川崎市では、マンモグラフィ単独検診に当たりまして、本人にこのような結果票を渡すことになりました。向かって右の赤枠のところに「乳腺の評価」つまり「乳房の構成」について書かれております。向かって左のところに「乳がん検診結果のお知らせ」というのが記載されております。

 次のページに行っていただきまして、この記載内容でございます。精検不要とされた方に対する結果票の記載内容であります。今回の検診結果では、詳しい検査を行う必要はありません。ただし、マンモグラフィで全ての乳がんを発見することはできません。乳房にしこりなど気になるところがありましたら、次回の検診を待たずに精密検査を受けてください。また、乳腺の評価が「不均一高濃度」「高濃度」の方は、他の人に比べて乳がんがわかりにくい傾向があります。この結果票の右側に「乳腺の評価」欄がありますので、「不均一高濃度」や「高濃度」に○印がついていないかを御確認くださいという記載内容であります。つまり、偽陰性について述べる中でデンスブレストについても触れるというやり方をいたしました。

 高濃度乳房のお知らせ開始後の川崎市の状況であります。平成28年4月の開始から間もないため、高濃度乳房のお知らせの影響に関する大きなデータはまだありません。ただ、この約1年間でございますが、この間、川崎市には市民からの問い合わせはありません。また、検診医療施設に散発的な問い合わせがあると聞いておりますが、それも多いものではないと聞いております。問い合わせの例としまして、高濃度乳房の場合、保険診療で検査を受診できるのか。高濃度乳房であるがどうしたらよいかなどであります。今後、川崎市による医療機関へのアンケート調査の実施が考えられております。

 聖マリアンナ医科大学ブレスト&イメージングセンターは、川崎市の新しい乳がん検診に当たりまして、乳腺密度についてのアンケートを行いました。検診に関する幾つかのアンケートの中の一つの項目であります。

 乳腺密度について、今回のパンフレットを読む以前から知っていましたかという設問であります。乳がん検診についてのパンフレットを受診者に配布しており、その中に高濃度乳房に関しても記載をしてあります。

 その結果、この設問におきまして、市の検診、つまり対策型の検診でございますけれども、高濃度乳房について「知っていた」という方は10%、「聞いたことはあったがよく知らない」という人が32%、「知らなかった」が57%であります。一方、自費検診の受診者は20%が「知っていた」、35%が「聞いたことはあったがよく知らない」、43.4%が「知らなかった」と記載しております。つまり、高濃度乳房に関する知識はまだ普及していない、よく知られていないという現実がありました。

 そこで、お渡ししましたパンフレットを読んだ後の設問をしております。今回のパンフレットを読んで、自分の乳腺密度、乳房の構成について知りたいと思いましたかという設問に対しましては、川崎市の検診受診者の85.7%、自費検診のくしくも同じ率85.7%の方が「知りたい」とお答えになっています。つまり、高濃度乳房についての知識を得た後は、自分の乳房構成を知りたいと思う明らかな傾向があるということがわかるわけであります。現在、さまざまなところで高濃度乳房について語られるようになりました。その際、受診者の行動変容が、小さなアンケートでございますけれども、このように変化をしていくということが推測されるわけであります。

 それでは、受診者に何を伝えるべきかということが問題になります。高濃度乳房に関する情報としまして、高濃度乳房の定義と実例、乳がんが見つかりにくい理由、病気ではない、その人の乳房の個性といいますか、ここでは体質と書きましたけれども、高濃度乳房とはそういうものであるということ。そして、それは年齢で変化する。体重の増減でも変化する。あるいはHRTのようなホルモン療法でも変化するということ。そして、保険診療の対象ではない。追加検査は任意型検診になるということを受診者の方にきちんとお伝えする。つまり様々な手段を講じて高濃度乳房に関して積極的にお伝えする必要があるだろうと考えております。これは受診者の自分のことを知る権利というところからも妥当性があろうと考えております。

 以上であります。

○大内座長 関連しますので、続きまして、資料4「対策型乳がん検診における『高濃度乳房』問題の対応に関する提言」につきまして、笠原参考人により御説明願います。関連します資料は参考資料3と4がございますので、それもごらんになってください。

 では、よろしくお願いします。

○笠原参考人 資料4をごらんください。まず、背景です。我が国では、2000年度より対策型乳がん検診に視触診併用マンモグラフィ検診が導入され、2016年度よりマンモグラフィ単独検診が実施されております。これまでがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針に基づき、受診者には精密検査の必要性の有無のみを通知することとしてきました。しかし、米国では、乳房の濃度が高い受診者ではマンモグラフィ検診の感度が低く、乳がんリスクが高いことから、乳房の構成を通知する活動が広がり、日本でも乳房の構成を通知することのあり方が問題となってきます。

 このことに関しまして、日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本乳がん検診精度管理中央機構が共同でワーキンググループを立ち上げ、その方向性を検討し、今回、医療関係者、市町村がん検診担当者及び検診施設の担当者に向けまして「対策型乳がん検診における『高濃度乳房』問題の対応に関する提言」を公表いたしましたので、まず、ワーキンググループの調査による高濃度乳房の現状を述べた後、提言をお示しし、その内容について御説明いたします。

 まず、参考資料4の一番裏になります追加資料をごらんください。乳房の構成は、乳腺組織が多く白く写るもの、この向かって一番右から順に極めて高濃度、不均一高濃度、乳腺散在、脂肪性の4つに分類されます。このうち乳房濃度の高い極めて高濃度と不均一高濃度、これをあわせて高濃度乳房と呼びます。福井県と愛知県の3万2,935例の40から70歳代の集計では、極めて高濃度2.1%、不均一高濃度36.1%、乳腺散在57.1%、脂肪性4.7%で、高濃度乳房は4割弱という結果でございました。

 年齢別の詳しい資料は、表に返しまして参考資料4の資料1「高濃度乳房の頻度」というところをごらんください。年代が若くなるほど高濃度乳房の比率が高い傾向を認めました。

 参考資料をおめくりださい。マンモグラフィ検診における要精検率、がん発見率、陽性反応適中度が示してありますが、高濃度乳房では、乳腺散在や脂肪性に比べ、要精検率が高く、がん発見率が低く、陽性反応適中度が低いことが示されております。

 資料3の「マンモグラフィ検診における乳房の構成別の感度」をごらんください。宮城県と福井県の地域がん登録と照合したデータで、乳房の濃度が高いほど感度が低くなり、高濃度乳房ではがんが見つかりにくい傾向が示されております。

 以上をまとめますと、高濃度乳房は検診対象者の今回の調査では約4割を占め、乳腺散在や脂肪性に比べ、要精検率が高く、がん発見率が低い。そして、マンモグラフィ検診感度が低いという結果でございました。

 海外の事情について見てみました。乳房の構成の通知についての海外の現状ですが、我が国と異なり、アメリカでは任意型検診を主に提供しておりますが、50州のうち27州で乳房の構成の通知が義務づけられています。一方、対策型検診が主として行われているヨーロッパでは30カ国のうち、その通知を法定及び義務化している国はございませんでした。

 次に、提言について御説明いたします。資料4の裏面をごらんください。

 提言は3つの文から成っております。第1文では、現時点での対策型検診の位置づけから望ましい通知のあり方を述べ、第2文では、受診者の立場を勘案し、今後の通知に関する方向性を提案しました。第3文で、通知に向けての具体的課題を示しました。読み上げます。

 第1文。「対策型検診において受診者に乳房の構成(極めて高濃度、不均一高濃度、乳腺散在、脂肪性)を一律に通知することは現時点では時期尚早である。乳房の構成の通知は、今後検討が進み対象者の対応(検査法等)が明示できる体制が整った上で、実施されることが望ましい」。

 解説です。対策型検診は、対象となる集団住民のがん死亡率を下げる目的で公共政策として行われます。そのためには、通知を受けた方全員が迷うことなく最後までたどるべき道筋が示されることが必要です。まず、高濃度乳房とは乳房の構成でありますので、疾患ではございません。そのため保険診療で精密検査を受けることは原則できません。

 参考資料4の資料4、J-STARTの結果をごらんください。マンモグラフィで感度の低い高濃度乳房の人たちに追加の検診、特に乳房超音波検査をどうするかについてですが、日本ではこの問題に早くから着目し、「超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験」J-STARTが実施され、40歳代のマンモグラフィ検診に乳房超音波を追加することにより、感度及びがん発見率が上昇するという結果が得られております。しかし、対策型検診の目的である死亡率減少効果は、現時点ではまだ明らかではありません。 資料5をごらんください。また、仮に乳房超音波検診をするとしても、現時点では全国にこれを行う人的資源の確保を含め、実施体制は十分整っておりません。そのため、乳房超音波検査は、高濃度乳房に対する対策型検診の検査方法として、現時点で推奨することはできません。このような高濃度乳房とされた方に検診後の対策、検査法等が明示できない現状の中で、高濃度乳房に対して十分な説明がなされず、理解が得られないままに通知のみが一律に行われますと、マンモグラフィ検診を受診したおよそ4割の方が不要な精神的負担などの不利益をこうむる可能性もございます。したがって、現時点で一律に、これは全国の市区町村で一斉にという意味を含んでおりますが、通知を開始することは時期尚早と判断しました。

 第2文です。「乳房の構成は受診者個人の情報であり、受診者への通知を全面的に妨げるものではない。通知するにあたって、市区町村には受診者から正しい理解が得られるような説明・指導とそのための体制整備が求められる。今後、受診者のニーズを踏まえたよりよい通知の方法について、対応を検討していく必要がある」。

 解説です。第2文では、受診者の知る権利を尊重すべきで、乳房の構成の通知を妨げるものではないと述べております。例えば受診者からの問い合わせがあれば、可能な限りお答えするのが望ましいと考えます。そして、通知するのであれば、単に乳房の構成のみを伝えるのではなく、高濃度乳房を正しく理解し、その後の適切な行動につながるような通知のための体制整備が市区町村には必要で、その体制整備に向けた対応を今後検討する必要があるということを述べております。

 第3文です。「高濃度乳房の実態、超音波検査などの検診方法の効果、高濃度乳房を正しく理解するための方策などを、国および関係団体は協力して検討して行く必要がある」。

 第3文では、通知のための具体的な課題について述べました。課題の1つ目は実態調査です。我が国全体の高濃度乳房の年齢別比率など、現状の把握がまず必要で、それから乳房の構成の判定に関する実態調査や判定の精度管理は重要な課題と考えます。課題の2つ目は、高濃度乳房の人に対する検診方法の効果の検討です。特にJ-STARTの継続的検証が必要と考えております。課題の3つ目は、高濃度乳房を正しく理解していただくための方策です。単に乳房の構成を伝えるのみならず、高濃度乳房の意味を受診者が理解しやすいようにどのような言葉で、どのような内容で伝えていくか。どのような方法で伝えるか。また、受診者の質問にどう答えるかに関する仕組みづくりが必要です。

この3つの方策は、今後、国及び関係団体、乳癌検診学会、乳癌学会、精中機構、市区町村関係者、受診者、検診担当者などが一致協力して取り組むべき重要な課題と考えます。

 最後、提言について、もう一度わかりやすい言葉で説明させていただきます。

 対策型検診は、対象となる住民集団のがん死亡率を下げる目的で、公共政策として行われます。そして、受診した皆さんの全員のたどるべき道筋が最後まで示されることが必要です。しかし、高濃度乳房について十分に説明できる体制が整っていないことと、高濃度乳房の人に対して有効だとお勧めできる検診方法を示せないのが現在の課題です。現時点では、全国の市区町村で一斉に通知を開始するのは時期尚早と判断します。一方で、個人の情報としての乳房の構成に関する情報を伝えることは重要なことと考えております。今後、受診者が高濃度乳房について正しく理解し、その後の適切な行動につながるように、乳房の構成に関する情報を伝えるための体制整備に向けて関係各団体が協力して取り組んでいく必要があります。

 以上です。

○大内座長 ただいま事務局における全国の市区町村の調査結果がありまして、次に、福田参考人から川崎市における取り組みですね。川崎市では、27年9月の本検討会の中間報告を受けて、マンモ単独検診を既に始めていますが、それに当たって、高濃度乳房が存在することについての踏み込んだ取り組みをされているということ。一方で、日本としてどのようなスタンスでこれから進めるべきか。

 最後に追加資料で出しましたこの中間報告書、27年9月の第3項に書いてある超音波検査について、これは実は、今、笠原先生が出された参考資料4の4番ですか。J-STARTの結果も含めて議論されておりまして、40歳代の方は高濃度乳房の方が多いわけですが、そこに日本として着目して、2006年からがん対策のための戦略研究・J-START、健康な40歳代女性を対象としたランダム化比較試験が行われた結果、このデータを確認した上でこの提言がまとめられた経緯がございます。そういったことも含めて、今、両参考人からも御意見がありました。

 今、笠原参考人からは、学会ベースで、日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本乳がん検診精度管理中央機構、一部、日本医学放射線学会も入っておりますけれども、そういった形で対策型における高濃度乳房問題の対応に関する提言ということで示されたところでございます。

 では、ここから本件に関しまして議論を深めたいと思います。御意見のある方はどうぞ。

○祖父江構成員 笠原先生に確認なのですけれども、高濃度乳房の問題点として感度が低いというのはそのとおりだと思うのですが、参考資料4の資料2です。質問は、高濃度乳房というものが乳がんのハイリスクというか、乳がんの存在頻度を高めるような要因なのか、そうでないのかというところはどうなのですか。

○笠原参考人 お答えいたします。

 日本で3本文献が出ていまして、高濃度乳房では脂肪性または乳腺散在に比べてわずかに罹患リスクが上がるという報告がされていますけれども、これはあくまで限定された症例の中での報告ですので、今後も引き続きの検討が必要だと考えております。

○祖父江構成員 その点は割と重要な話で、感度が低いという点と、その人がハイリスクであるかどうかというのはちょっと区別して考えるべきだと思うのですけれども、そのことをきちんと確認できるのであれば、そのこともインフォームすべきであって、検査精度の問題であって、あなたがハイリスクであるという問題ではありませんということはきちんと確認しておくべきだと思うのですけれども、それはどうですか。

○笠原参考人 報告書のほうでその点に関しては引き続き、日本人のリスクに関しては検討の必要があるということを述べております。アメリカのホームページ等々を見ますと、リスクが不均一高濃度で1.2倍、極めて高濃度で2倍という記載がされていますけれども、これはあくまで欧米のデータでございます。ですから、日本人のデータはまだまだ収集が必要だと思います。

○祖父江構成員 J-STARTではどうでしたか。それはないのですか。

○大内座長 J-STARTでの40歳代の乳腺濃度、全例を確認しているわけではございませんが、サンプリングしまして、約7万6,000例のうちの1万例ほどを確認したところ、58%が高濃度乳房と判断できました。40歳代ですので、先ほど笠原参考人がされた、全年齢で合わせて38%というよりは高くなります。それはあくまでも閉経前の女性対象となっています。

 高濃度乳房と乳がんの罹患の割合についての調査は、今まだ解析中でございますので、データとしては上がってきておりません。 斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 まず基本的なこととして、高濃度乳房の判断です。これは難しいのか簡単なのか。笠原参考人のスライドの資料5を見ますと、マンモグラフィに比べて超音波の認定されたエキスパートの数が非常に少ないということで、キャパシティーがないようなことをおっしゃっていましたが、こういった認定されるレベルの専門家でなければ正しい判断ができないのか。そのあたりはどうなのでしょうか。

○笠原参考人 この乳房の構成の判断も非常に大事な問題だと認識しております。ある施設、かなり受信者の多い複数の施設からのデータを拝見いたしましたところ、高濃度乳房3割という施設から7割という施設まで非常にばらついておりました。これはその判断する対象者が違うのかもしれません。例えば若い人が多いと高濃度乳房の割合が高くなりますから、対象者の分布の問題かもしれません。しかし、乳房の構成の判断の基準及び判断の仕方の違いというのも恐らく関係していると推測しています。乳房の構成の判断の精度管理、これも非常に重要な問題でございまして、今後これは精中機構等々と協力しながら対応すべき問題だと考えております。

○斎藤構成員 今のお話を重ねて聞きますけれども、区別が難しいのか、それとも区別のわかりやすい標準化された基準がまだ確立していないのか、それはどちらなのでしょうか。

○笠原参考人 区別に関する教育・啓蒙がまだ十分ではないというところだと思います。

○大内座長 どうぞ。

○福田参考人 高濃度乳房の判定です。これは診断ではないわけです。疾患ではないわけで、判定基準です。これは3次元のものを2次元に投影したものを視覚的に判断するわけです。ですから、どんなに精度を上げるといっても、これは絶対にきちんと線引きすることは不可能だと思います。アメリカのほうは、デジタル化して3Dを機械的に評価して判断をするという方向に進んで行っていますけれども、日本ではそちらのほうに行っていないわけですから、十分な精度管理をしても、Aと言う人とBと言う人の精度が一致するということは、なかなか困難だろうと思います。

○斎藤構成員 ということは、基準そのものもまだ確立していない、検討中という理解でよろしいでしょうか。

○笠原参考人 判定に関しましても、報告書のほうに述べましたけれども、論文がございまして、精中委の判定基準というのがございます。これは詳しく脂肪と乳腺の割合を含めまして、このように判断しますということが記載されているものがございます。それをきちんと使って判定すると、一番一致率が高いという論文が出ておりますので、精中機構の判断基準をしっかり今後認知していただく、これがまず非常に大事な問題だと思います。

○大内座長 どうぞ。

○椎名構成員 区でがん検診、対策型検診を実施しております立場から、何点かお尋ねしたいと思います。

 福田参考人にお願いしたいのですけれども、今回、川崎市が座長のほうから踏み込んだ取り組みという言葉がありましたけれども、高濃度乳房に関する情報提供をすることになった理由について、もう一度お教えいただきたいということが1点。

 それから、これは体質だというお話でございますけれども、この対策型検診の一連の検査の項目としてこれを入れることによって受診者が迷われないか。自分は対策型検診のマンモグラフィで陰性という結果を受けたけれども、高濃度乳房だといったような指摘も受けて、その場合に、私としてはどうしたらいいのかと迷われないかという疑問があります。それに対してどのように対応されるのかということ。

 もう一点ですけれども、資料の中にアンケートの結果が入っております。積み上げの横の棒グラフがございますけれども、このアンケートにつきましては、対策型検診をお受けになっているいわば一部の方に対し検診のときに同時に行った調査であるのか。要するに、市として行った調査であるのかどうかについて、お教えください。

○福田参考人 まず、川崎市でどうして踏み込んでお伝えしたかということでございます。川崎市の検診の連絡協議会の資料をたどってみますと、平成15年かな。マンモグラフィ検診プラス視触診を導入したときに、やはり同じ議論をいたしました。つまり、マンモグラフィでは高濃度の場合になかなか病変が見つからないということで、そのことをお伝えするべきだろうという議論が出されました。そのときは、精度管理、受診率、マンモグラフィ検診を導入するという状況の中の話でございましたので、乳房の構成、つまり乳腺濃度に関してお知らせをするか、お知らせすることがどういう意味かということまでをきちんと議論するということはいたしませんでした。

 今回、マンモグラフィ単独検診というまた節目の時期であったわけです。つまり、視触診プラスマンモグラフィから、マンモグラフィ単独検診に移った時期であります。そうしますと、当然、視触診でのみ見つかる乳がんが少ないですけれども、存在するわけです。マンモグラフィのカテゴリーが1、2で、陰性、精検不要と言われて、視触診が要精検で精密検査に行って、がんだったというようなケースは、少ないですけれども、報告によっていろいろな数値があると思いますが、5%前後、存在するわけですこれが偽陰性であります。この偽陰性があるいうことをきちんとお伝えする必要があろうと。そして偽陰性の説明文の中で、偽陰性の大きな原因であるデンスブレストを伝えるのが自然だろうと考えたわけであります。それが今回、お知らせするきっかけになったわけであります。

 そして、ごめんなさい。次がアンケートの対象。

○椎名構成員 この結果、指摘を受けて、迷われるような方が出た場合にどのような対策をとられていますか。

○福田参考人 これを導入する際に、市民の方がこの結果をお知らせすると迷われるのではないかという議論は当然ありました。学会の提言であったと同じような議論が出されました。ただ、偽陰性ということをお知らせする文意の中で、デンスブレストというものがありますよと。それを御理解くださいよというようなお知らせの仕方をしたためか、現実にはほとんど市民の方からの問い合わせがない。それで行動変容がほとんど起こらなかったというのが現状であります。

 つまり、知識として得ていただくような機会をつくったわけです。全てそれが徹底したかどうかはわかりませんけれども、ただ、それによって、いわゆるパニックを起こして、あるいは非常に混乱されて、過度に心配されて、それで今までの受診行動が変わるということは、今のところ川崎市では起きていないと理解をしております。

 次に、アンケート対象でございますけれども、アンケートはおっしゃいましたように私たちの施設にいらっしゃった方を対象にしているわけですから、そこで当然バイアスがあると思います。セレクションがあると思います。ただ、ここで言いたかったのは、実際に乳腺濃度あるいはデンスブレストを御存じなのかどうか。もしデンスプレストという情報があると知ったときに、自分の乳房はどうかということを知りたいのかを調査したかったということであります。乳腺濃度という情報があると知った場合には、自分の乳房はどうかということを知りたいというのが、今回のアンケート結果です。極めて小さなアンケートでございますけれども、そのように考えております。

○大内座長 笠原参考人、どうぞ。

○笠原参考人 今の話は非常に大事なことだと思うのです。何のために乳房の構成を伝えるか。ただ高濃度乳房と伝えるだけでは何の意味もないと思うのです。まずは乳房の構成の正確な判断をして、それを伝えるということが大事ですし、その次に大事なのは、正しく理解していただくことです。むやみに怖がるのでもなくて、むやみにパニックを起こすのでもなくて、きちんとした正しい理解をしていただいた上で、さらにその受診者個人にとって有益な行動につながる。そこがやはり乳房の高度を通知する上で一番大事なことだと思います。

 通知をする中で、伝え方がやはり難しいと思います。川崎市は、精検不要とした中にそういう文言を上げていますが、ある医師会の中では、「乳房エックス線画像では病変の有無の評価が不十分です、乳房超音波検査を受けることをお勧めします」というような指示を出しているところもございます。乳房の構成の意味を正しく理解していただいて、その受診者にとっていい行動につながる伝え方、これをやはりきちんと確立しないと、対策型検診の中では有効に伝えるということが働かないと思います。

○大内座長 斎藤構成員。

○斎藤構成員 今の件に関連してお聞きしたいのですが、聞き漏らしたかもしれませんが、福田先生のアンケートの際のパンフレットについてです。誰しも自分の検査結果は知りたいものと思うのですが、このときにパンフレットの中で伝えている情報はどんなものでしょうか。がんが見えにくいという話はもちろんされているのでしょうけれども、それを知ったときにいろいろなメリットもデメリットもあると思うのですが、その説明をしているのか、どういうパンフレットだったのでしょうか。

○福田参考人 極めて簡単な2枚のパンフレットで、乳腺濃度に関してはその中の一部でございます。したがいまして、そんなに多くのことを伝えているわけではございませんけれども、デンスブレストは体質といいますか、そういうものでありますよということ。それから、これは保険診療の対象ではないということ。もし追加のエコーのような検査を受ける場合には任意型検診ですよということであります。

○大内座長 松田構成員。

○松田構成員 きょうは高濃度乳房か否かという報告をどうするかという、お二人の参考人にお話をお聞きして大変よくわかりました。

 笠原参考人がお出しになった参考資料4の資料3を見ているのですが、高濃度乳房の大半は不均一高濃度で、高濃度以外の乳腺の大半は乳腺散在ということだと思うのですけれども、乳腺散在の感度が80%に対して不均一高濃度の感度は70%で10%低い。ということは、高濃度乳房以外であっても20%は偽陰性があるということになるので、「あなたは高濃度乳房だ」という報告をするのはいいかと思うのですが、そういう報告が来なかった場合に過度の安心を与えるのではないか。要するに高濃度乳房以外の方たちに対する問題です。そのあたり、お二人の参考人はいかがでしょうか。

○大内座長 では、笠原参考人から。

○笠原参考人 この通知に関しましては、高濃度かどうかではなくて、乳房の構成を伝えることによって、4つの区分のどこに相当するかを伝えるのがまず大事だと思います。高濃度かどうかだけ伝えますと、逆に不要な安心を与える結果もあるかもしれませんので、高濃度乳房を伝えるのではなくて、乳房の構成を伝えるということが一番いい伝え方だと考えております。

○大内座長 どうぞ。

○松田構成員 今の乳房の構成を伝える、それはそうかもしれませんが、その結果を受け取った場合にどういう行動をとったほうがいいか。先ほどもちょっと議論になっていましたけれども、なかなかそれが難しいと思います。高濃度という通知をもらっても、本人任せであれば乳腺超音波を受けないとか、それは勧めていないからそのとおりかもしれませんが、次の行動に結びつかないと余りいい情報提供とは言えないのかなと思いました。

 もう一つ、続きで笠原参考人にお聞きしたいのですが、今の参考資料4の資料3ですけれども、不均一高濃度と乳腺散在で感度が10%違っているのですけれども、偽陰性例の進行の程度などが違っているのかどうか。そのあたりはいかがでしょうか。

○笠原参考人 お答えします。

 進行度に関するデータは今回持ち合わせてございません。ただ、乳房の構成別の感度は乳房の濃度の低い順から約9割、8割、7割、5割という値なのですけれども、受診者の中でそれだけしかがんの診断ができないという意味では決してございません。一万人当たりの受診者で計算しますと、中間期乳がんは概算ですがそれぞれ3人、6人、7人、11人というの数に相当いたします。これはあくまで今回のデータを基にした机上の計算なので、実態はまだまだこれから把握しないといけないと思います。○大内座長 ほかに御質問ございますか。

 では、井上構成員。

○井上構成員 先ほどのお話に戻るのですけれども、結果をお返しするときのパンフレットの中には、一般的な高濃度乳房の頻度というものは全く記載がないのですか。

○笠原参考人 これに関しても、まだ調べないといけないと思います。先ほどの事務局からの資料2で結果マル2のところです。検診実施機関から報告を受けているかということで、7割が受けていないとなっております。この7割受けていないのは、そのうちの幾つかは検診実施機関が乳房の構成の判定をしていないのかもしれません。実はいろいろなところで聞いてみますと、「自施設では今までは乳房の構成の判定はしていなかった」という話も伺っております。精中機構では乳房の構成の判定をするようにという指導はしているのですけれども、まだ現場で行われていない実態もあるかもしれません。実態調査にはそういうことも含まれておりますので、乳房の構成そのものを判定しているのかどうかということも今後の課題です。

○井上構成員 乳房のデンスに関して判定が返された場合のことを考えると、そうでなければそうでないで安心感もあるのかもしれませんけれども、これはそういう人が実際に多いか少ないかということが、その人の解釈に大きく影響を与えるような気がするので、全体がわからないにしても、そのような何かしらのポピュレーションを対象にした調査があるのであれば、載せられる範囲で情報提供すべきなのではないかなと。かえって高濃度乳房とは一体何なのかというところで混乱を与えるような気がするのです。今、きっとこの結果からすると無関心なのかもしれませんけれども、その辺のところが今は漠然としていて見えないところではあるのですが。

○笠原参考人 今回のワーキンググループでやったのは、愛知と福井のデータとか、福井と宮城のデータ等、限られたデータですので、これはやはり全国の状況を改めて把握する必要が今後はあるのではないかと考えます。

○大内座長 祖父江構成員、どうぞ。

○祖父江構成員 福田先生のお話の中で、川崎市で乳がん検診の受診者数がどれぐらいで、高濃度乳房に判定された人は何人いたかというのはどんな感じなのですか。

○福田参考人 川崎市のデータは持ち合わせていません。川崎市は2年単位で受診者数を見ますと四万数千人であります。受診率は大体22%です。単年度で二万四、五千人ということになります。

○祖父江構成員 それの中の高濃度乳房。

○福田参考人 高濃度乳房に関しては、申しわけない、持ち合わせておりません。

○祖父江構成員 やはり高濃度乳房に関して、問題は感度の低さということなのでしょうけれども、程度がどの程度かということはやはり重要ですね。笠原先生のデータだと、参考資料4の資料3ですとかなり低いですね。福井県のデータですと33%というのは脂肪性に比べたら3分の1ですね。常にこの感度の値と極めて高濃度という人の存在割合とペアで考えないと、違うデータを組み合わせて、高濃度乳房の人が50%います、その感度は33%ですと言われても困るわけです。だから、常にこの存在頻度と感度の値をきちんとペアにして提示していただくのが重要だと思うのです。それが、例えば存在頻度が5割を超えるようなものを問題だと言われたら、全体が問題になってしまいますね。全体の感度が低いのだと言っているようなものですよ。一部の人に極めて感度が低いのであれば、何か追加的なことをするということは理由がつくと思うのですけれども、この感度の低さと存在割合は必ずペアで提示していただきたいというのが私の要望です。

○大内座長 私のほうから、今、祖父江構成員が触れられた資料3、宮城県と福井県の集計のデータは実はタイムラグがございます。宮城県は2008年の発表になっています。ということは、これよりもさらに5年から10年前です。フィルムスクリーンだったころのアナログデータで、デジタルマンモではありません。デジタル化されたマンモのデータが多分この福井県のほうのデータだと思います。アナログからデジタルに替ったことで高濃度乳房比率は欧米でも相当に変わってきています。ですから、提言の中にもありましたけれども、実態についてまず確認すべきだと思います。マンモグラフィ検診も先ほど話題になりましたけれども、平成16年、2004年から40歳代まで拡大しました。この検討会で議論した上で入ったわけですが、当時、フィルムスクリーンからデジタルマンモスクリーンに切りかわる時期でもありまして、あれからもう十数年たっていますので、当時のデータとかなり乖離しておりますの。今後、今の祖父江構成員の意見も含めて調査は必須であろうと思っています。

 どうぞ。

○福田構成員 私も福田先生に川崎市の状況についてお尋ねしたいのですが、28年度からマンモグラフィ単独検診を導入されたということなのですけれども、確認なのですが、それ以前はマンモグラフィをどういう位置づけでやっていたのかというのと、もし前から実施されている場合には、その段階では乳房の構成はお知らせをしていなかったという理解でよろしいでしょうか。

○福田参考人 私のほうへの御質問かと思いますけれども、28年度からマンモグラフィ単独検診ということでございまして、それ以前の約10年ちょっとはマンモグラフィプラス視触診の検診を施行してまいりました。今回は視触診を省くというところが大きなポイントでありまして、そのために偽陰性というのはきちんとお知らせする必要があろうと、その文意の中でデンスブレストをお知らせしようということになったわけです。

○福田構成員 今回、乳腺の評価というのは追加された。

○福田参考人 乳腺評価はその前からやっておりました。ただ、偽陰性のことについて、結果票で受診者の方にお知らせするということはいたしませんでした。きちんと文言として、偽陰性はこういうことだというようなことはお知らせしませんでした。

○福田構成員 もう一つ、判断するところというか、高濃度乳房を判定するところに関しては、追加的に検診のコストがあるといいますか、手間がかかるということはないと考えていいのでしょうか。

○福田参考人 先ほど出てまいりましたけれども、多くの施設で乳腺濃度、乳房の構成については評価をしていると思います。今回、厚労省からも調査結果が出ておりますけれども、かなりのところが通知をしております。乳房の構成は一瞬の評価でされておりますので、そんなに手間暇はかからないと思います。ただ、再現性がどうかというところが常に問題になりまして、再現性に関しては、どうしても視覚評価というところの問題点がつきまとうということは、否めない事実だと思っております。

○福田構成員 わかりました。ありがとうございます。

 もう一点だけ、済みません。8枚目のスライドで、今後、川崎市によるアンケート調査を予定されているということなのですが、先ほど来出ているこの通知を受けた住民がどう行動したかとかいうこともお調べになる予定ということですか。

○福田参考人 できましたらそこまで踏み込みたいなと思っているのですが、今のところ委員会のほうでは、差し当たって各検診医療機関にどういうことが起こったかということをアンケート調査したいと考えております。将来的には受診者がどのように考え、行動したかというアンケートを行いたいと考えております。

○大内座長 この検討会はこれで満5年ですね。平成24年度からです。その前の検討会、垣添忠生先生が座長をされていたのが平成1512月からございました。そのとき、2003年、平成16年2月に乳がん検診について欧米では50歳以上にマンモ検診というのがスタンダードでしたが、日本においては40歳代にピークがあることを看過できないということで、40歳代に拡大した。一方で、40歳代においては高濃度乳房が存在するということは周知の事実でありました。そこで、超音波に関する検討も十分に重ねたところ、データが存在しなかったわけです。

 当時のがん検診に関する検討会の中間報告書をごらんになればわかるのですが、附帯事項が書いてありまして、40歳以上とするということと、マンモと触診をあわせて行うということと、さらに踏み込んで、超音波検査についてその有効性を検証する必要があるということが書き込まれております。それと直接連動しているわけではございませんが、がん対策のための戦略研究、J-START2006年、平成18年度から動いているということで、国としてはその点は十分に以前から認識をしていたと私は考えております。特に高濃度乳房の多い40歳代を対象とした、世界でも初めての8万人近いRCTを実施した結果でございます。

 今回、マンモ単独とするときに、やはり私も相当気にかけたことは、触診を省くのであれば、そこに超音波を加えるといった議論もあってしかるべきであろうという意見もありましたので、2年ほど前にかなり集中的にこの件については議論したことがございます。

 御存じのように、このJ-STARTの結果を見ても、超音波を加えることで感度が高くなり、がん発見率も上がってきているということ、中間期がんを半分に減らしているということもわかってきました。しかしながら、事務局の最初の説明にありました資料1にありますように、対策型のがん検診というのは科学的根拠に基づくもの、つまり死亡率減少効果をもって入れましょうというのがコンセンサスになっております。これは世界的にもそうです。ですので、非常に私としても歯がゆいところではございます。せっかく触診を省いて、であれば超音波をということも入ってくるという御意見もあろうかと思いますが、そこはやはりこの検討会はあくまでも基本的なスタンスを保っていくべきではないかということもあって、27年9月の提言になっているわけでございます。

 祖父江先生、何か追加ございますか。

○祖父江構成員 だから、超音波に関してはちょっと制約のある状況なのですね。高濃度乳房であるということをインフォームしたとしても、次のアクションがなかなかとりにくいという状況ではあるのだと思います。そのことをきちんと理解された上での、例えば福田先生のアンケートの答えなのか。それでも知りたいと言っておられるのか。報告のみで、次の推奨というものが市としてはなかなか個別対応としてはとりにくいということを知った上で、それでも自分の乳性密度について知りたいと言っておられるのか。その点はどうですか。

福田参考人 パンフレットの中には、先ほど斎藤先生からの御質問にお答えしましたように、高濃度乳房の場合には任意型検診でエコーの選択もあるということが記載してあります。たしかに、対策型の検診で市の補助のもとに受診された方が、本当に自費の任意型を受けるという動機で高濃度乳房について知りたいと言っているのか、それとも、単にそれは情報として知りたいとおっしゃっているかというと、そこはわからない。この簡単なアンケートからはわかりません。

 ただ、ずっと議論になってきたわけでございますが、個人の情報であるにかかわらず、医療者が持っていて、その人個人が持っていない。医療者のほうは、ずっと何年間も記載をして情報を持っているのだけれども、それが個人に伝えられていないことが何らかの形で解消できればという考えがあり、このようなアンケートになった。極めて簡単なアンケートでございますけれども、その結果であると御理解いただければと思います。

○祖父江構成員 きちんと理解している人でない場合、やはり知りたいというのは自然な感情なので、知りたいとおっしゃると思いますけれども、知ることによって引き起こされる不安とかいうことをきちんと実感できているかどうかがやや不安というか、困るところですね。

 ほかの例えば福島の甲状腺の検査にしても、小さな結節とか湿瘡があるというのは別に放っておいてもいいのですけれども、それを知らせることによって惹起される不安というのは非常に大きかったですし、あるいは遺伝子検査などでも、対応のしようのないというか、余り大きなリスクにならないような遺伝子変異をあえて知らせるのかとか、そのことによって引き起こされる不安をどう考えるのかとか、知ることによって起こる不利益をきちんと理解された上での答えなのかというところはやや不安があります。

 なので、そこのところをきちんと確認するというのはなかなか難しいのですけれども、そのことは専門家側が配慮するということが必要なのではないかと思います。

○大内座長 恐らく、笠原参考人が出された資料4の裏面の提言の中の2つ目ですね。ここに「受診者のニーズを踏まえたよりよい通知の方法」。通知の中には、まずはがん検診の利益、不利益をきちんと明記すべきであろうし、下にもありますように、高濃度乳房の実態、それから理解をしていただくための方策等について提言が盛り込まれております。ワーキンググループでも十分な議論がされたと思うのですけれども、この点について、笠原参考人からございましたら。

○笠原参考人 私は実地の臨床家でございまして、検診もやっています。一般の医療や検診関係者以外の方に、今回の提言に関してどうですかということを聞きますと、やはりさまざまな質問が飛んできました。

 そこで考えたのは、先ほど述べましたとおり、何のために伝えるのかということです。正確な情報を正確に理解していただいて、有益な行動につなげること、そこが一番大切だと思うのです。その説明のためには、高濃度乳房から説明を始めても恐らく十分な理解が得られないという気がしております。乳がん検診はそもそも何のためにやるのか、検診と診療の違い、対策型検診というものの考え方、つまりその集団、コミュニティーの中でなるべく乳がんで亡くなる方を減らして、悲しい思いをする人を減らそうという考え方、そして乳がん検診の利益と不利益、それも含めて理解した中での高濃度乳房というところに説明が及ばないと、高濃度乳房から始まると、不安だけが募るということがあると思います。

 ですから、今言ったような詳しい内容についての説明も、今後、十分対応しないといけないと感じております。

○大内座長 斎藤構成員、お願いします。

○斎藤構成員 今の議論に関連して言うと、対策型検診の対象者について告知を行うということは、心理的な面からどう機能するかというと、検診法を変えるという見方もありますけれども、受診者の側からいくと、精検の対象をふやすことにつながるかなと思うのです。その場合に、そうするとポピュレーションでのプリバレンスというか、一体どのぐらい高濃度乳房が存在するかまだわからないという話ですが、少なくとも何割という話ですね。下手すると7~8割とありましたが、それは極端だとしても3割、4割ということかと思います。そうすると、そういう人たちを要精検の対象としての状況に置くことになります。

 一方、乳がん検診の場合は、要精検者における心理的な負担が大きいという報告がありまして、そこもこの告知によって引き起こされてくるということを、よくよく考えないといけないと思います。

 ちなみに、そういった心理的な負担といいますか、不安を初めとする偽陽性による余計な負担ですね。そういうことが国際的には非常にネガティブな事象として重視されている。こういうことも考える必要があるのではないかと思います。

○大内座長 貴重な意見だと思います。

 では、井上構成員。

○井上構成員 ちょっと視点が違うのですけれども、高濃度乳房を通知することが、行く行くは乳がん検診の受診率を下げてしまうのではないかという気がするのです。何でかというと、要するに感度が悪いので、もし自分が、どうせ高濃度乳房だから、何回行ったってどうせちゃんと診断できないという通知しか返ってこないわけですね。そうすると、もう受けなくていいではないかという誤解を与える恐れがあります。高濃度乳房はだんだん年を経ていくにつれて変化していくしということは多分きちんと。私はそこら辺の現状はよくわかりませんけれども、自分がもしその立場に立ってみたとしたら、どうせ私はそういう体質でだめなのだから、行くのをやめようという人が多分何割かいるわけですね。そうすると、何となく乳がん検診の受診率を下げてしまうのではないかという不安があるのですけれども、それはどうなのでしょうか。

○大内座長 その点を含めて今後の対策を練るのがこの検討会でもありますので、マンモグラフィをメーンとした乳がん検診の受診率向上を図る、その上で問題点を深く掘り下げて対応策を練っていくというのがスタンスだと思います。

 井上構成員が言われる不安もわかりますけれども、それでは目的が全く逆になってしまいますので、高濃度であることも事実として存在するのだということ。それに対して、今後、国としてどのような対応をしていくかということの提言をまとめなければいけないと思っております。

○井上構成員 先ほど先生がおっしゃっていた代替案というか、そういった形で検診の内容を別の手段にして対応していくのかどうかということも私は今後非常に重要な議論かなと思って発言させていただきました。

○大内座長 事務局のほうのお考えをいただきましょうか。本件の高濃度乳房の対応に関しまして、今後、国としてどのようなスタンスで臨まれていくのか、お考えがありましたらお願いいたします。

○事務局 本日の活発な御議論を踏まえまして、今後も当検討会並びに恐らく研究や検討などがされていくということでありますので、そういったことをまた議論させていただき、向かうべきゴールに近づけられればと思っております。

○大内座長 かなりの御意見が出ました。個人の知る権利、一方ではこの高濃度乳房というのは疾患ではないということで、しかも、それに対応する新たな検診法は確立されたものがまだ存在しない。これは欧米でも実際にかなり大きな話題になっておりまして、先ほど笠原参考人から説明がありましたように、ヨーロッパ、アジアではデンスブレストについての告知は行っていません。一方で、アメリカ合衆国では50州のうち27州は通知しております。保険制度が全く異なりまして、プライベートの医療保険ですが、27州で通知はしていますけれども、うち保険で追加検査をカバーしているのが5州にとどまっております。今、米国では大変混乱しておりまして、追加検査として勧められているのがMRIないしは超音波検査、あるいはトモシンセンスといいまして、マンモグラフィを断層化する。これも放射線ですので、やはり高濃度乳房は避けて通れないのですけれども、まだ混沌としている状況でもあります。

 一方で、先ほど私が申し上げましたとおり、本検討会、前回の2002年からの検討会でもこのことは議論しておりまして、それを受けて超音波検査における有効性の検証ということでJ-STARTを今、継続研究中でございます。いずれそのデータも上がってくる。しかし、時間がかかる。その間、どのようにしのいでいくかということが課題になっていきますので、そこは事務局ともさらに協議を重ねまして、次回の継続審議とさせていただくようにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 事務局のほうもよろしいですか。

 では、時間も残り少なくなってきましたので、議題(3)職域におけるがん検診に関する議論の進め方について、事務局から説明願います。

○事務局 それでは、お手元の資料5を御用意ください。資料5は「『職域におけるがん検診に関するワーキンググループ』開催要綱(案)」となっております。

 このワーキンググループにつきまして、その趣旨でございますが、平成25年の国民生活基礎調査におきましては、がん検診を受けた者の40から70%程度が職域におけるがん検診を受けているということがわかっております。本検討会におきましても、特に昨年は集中的に職域におけるがん検診のあり方について御議論いただいたところですが、昨年11月に議論を取りまとめまして、議論の整理をさせていたしました。その中におきまして「職域におけるがん検診に対するガイドライン」を策定し、これを参考にするとしております。

 こういったことを踏まえまして、職域におけるがん検診に関するガイドラインを検討事項といたしまして、ワーキンググループの中でガイドラインをつくるということを開催要綱に盛り込んでおります。

 事務局からは以上でございます。

○大内座長 参考資料5がございますが、8ページ以降に職域におけるがん検診の質の向上及び市町村との連携、現状と課題等々が書いてあるとおりでございまして、実は職域に関しては大変大きな問題が残っております。冒頭、白川構成員からも今後の進め方について御意見があったわけですが、白川先生のほうから御意見ございますか。

○白川構成員 私ども被用者保険が、この検討会に参加させていただいてから1年もたっていないような状況だと思います。残念ながら市町村で長年実施してこられた対策型のがん検診についての情報も、被用者保険ではほとんど承知をしておりません。被用者保険は基本的には任意型のがん検診で試行錯誤をし、いろいろな工夫を実施してきたという現状でございます。市町村のガイドラインを参考に任意型がん検診のガイドラインを早目に策定していただきたく、当初参加したときからお願いしておりました。ぜひこのワーキンググループで職域における任意型がん検診のガイドラインをなるべく早く策定していただきたいと思います。我々被用者保険積極的にこのワーキンググループに参加をさせていただきたいと思っております。

○大内座長 オブザーバーで御参加の守殿先生、いかがでしょうか。

○守殿オブザーバー 基本的な方は今、白川構成員がおっしゃったとおりでございます。ただ、観点で、やはり今もありましたように、被用者保険においては任意であるという部分です。これに付随しまして、特に協会けんぽの場合は、私が最初に参加したときも申し上げましたように、非常に小さな事業所が多いという実態を踏まえて、事業主に対するがん検診の考え方とか、この辺のところをどう共有していくかというところもぜひ御検討いただきたい観点ではございます。

 1つは、これは白川構成員からも出ましたけれども、結果についての情報共有のあり方でありますとか、法定健診そのものも、実際を言いますと10人以下の事業所ではどれほどの実施率かというのは国の資料でも実態としてわかっておりません。つまり、法定検診でさえその実態がわからない中で任意の検診をどう進めていくかという、その辺の位置づけのところは、やはり非常に大きいのかなと思っています。

 もう一方、今、健康経営でありますとか、健康宣言ということで、優良法人認定とかそういった観点でも盛んに議論が進められておりますので、中小企業にとっては人材といいますか、人というものに対しては、やはり長く勤めていただきたいという観点は非常に大きいわけですから、そういう観点も入れて、ぜひガイドラインのほうも御検討いただけたらなと考えております。

 以上です。

○大内座長 資料5に「開催要綱(案)」とあります。この趣旨の第2節のところで「平成29年○月」となっております。これは先ほど白川構成員から29年度目標でやっていただきたいということがございましたが、事務局はどのようにお考えでしょうか。

○事務局 この「○月」となっております開催要綱のまず第一日をどこに置くかというところでございまして、これはできるだけ早急にこのワーキングを開催したいと考えております。以降、恐らく1度ではなくて複数回ワーキングを行った上で取りまとめて、最後にまた本検討会に戻していただいた上で、この検討会でそれについて議論するといったところのイメージを、できるだけ早目に行うことを考えております。

○大内座長 検討会では、この○のままではおけないので、一応ここには書き込みたいと思うのですが、推進官あるいは課長のほうから、具体的に例えば6月とか入れてよろしいのでしょうか。

○がん対策推進官 それでは、6月を目途にということで書かせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○大内座長 ありがとうございます。ここを埋めないとこの検討会をやったことにならないと思いまして、ありがとうございました。

 この職域におけるがん検診に関するワーキンググループについて、何かほかに御意見等ございますか。

 祖父江構成員。

○祖父江構成員 構成員として職域をカバーする保険者の関係者の方が入るというのはマストだと思うのですけれども、一方で、実際に検診を委託される側の検診機関です。ここをきちんと押さえないと、精度管理は進まないと思うのです。職域がん検診を委託されがちな検診機関の代表の方々をぜひ構成員として入れていただきたいと思います。

○大内座長 このワーキンググループについて、具体的なことはある程度見定めておられるのでしょうか。

○事務局 本日出た御意見をもとに、この構成員についても検討していきたいと思っております。

○大内座長 道永構成員、どうぞ。

○道永構成員 検診機関のこともお話ししようと思ったのですが、あとは職域ということで、産業保健にかかわっている方もぜひ入れていただきたいと思います。

 標準フォーマットに関しましては、今、事務局のほうでまとめていますので、がん検診の項目について、ぜひデータを提出させていただきます。

○大内座長 職域に関しては、法律的には安衛法なのですね。がん検診対策型というのは健康増進法ですので、その点ここはもう議論はなしでよろしいですか。何か省内での議論等がもしありましたら、きょう、保険課長もいらっしゃいますが。

○保健局保険課長 職域のがん検診のガイドラインが議論されるということで、我々は非常にありがたいと思っているのですけれども、データヘルス計画というのを平成27年から30年で第1期計画をやっておりまして、その第2期計画を我々は平成30年から36年度、各保険者がそれぞれ任意の保険事業にどのように取り組んでいくかということを定めた計画なのですが、そういった計画の第2期計画を30年度から始めるので、29年度からそういった計画を策定してほしいということで、今、健保組合にお願いしているところです。ぜひその中でも、今回議論されるガイドラインの方向性が反映をされるといいなと思っております。

 そうだとしますと、大体夏ぐらいにはそれぞれの健保組合がそういったものをつくり始めるのではないかと思っておりますので、できればなるべく早く中間報告というような形でも、何かそういったものをつくるときの参考になるようなものを、こちらの勝手な事情で申しわけないのですが、お示しいただければ非常にありがたいなと思っております。その後でも、我々の省令等にガイドライン等を反映するということも考えまして、実効性を担保してまいりたいと考えております。

 産業保健の関係については、特定健診と産業保健の関係とかいろいろ難しい問題がありますので、がん検診においても、またいろいろな問題があると思いますので、ぜひメンバーに加えて議論ということですので、その中でまた問題の解決を図っていければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○大内座長 ぜひワーキンググループにも入っていただいて、議論を深めていただければと思います。

 今、スケジュール感も大体示されたところでございます。この件に関しまして、御意見ございますか。

 それでは、第3の議題もこれで終了いたします。

 次に、その他の事項ですが、特に皆様のほうから御意見等ございますか。

 どうぞ。

○事務局 1点、事務局から情報提供でございます。参考資料2に、「がん検診の現状と考え方」という資料を加えました。がん検診の種類や検診の条件、利益・不利益など、本検討会でも行われたことをまとめさせていただきましたので、今後の参考にしていただければと思います。

 以上でございます。

○大内座長 実は本日、高濃度乳房に関する集中審議をされたわけですが、笠原参考人からは、対策型検診ということのお立場でお話しされております。一方で、任意型検診というのはまた別の視点になりまして、この件を国民の皆様にぜひ知っていただかないといけないということで、大変重要な資料です。

 これは厚労省のホームページから見られるのですか。

○事務局 間もなくホームページから閲覧できることになります。

○大内座長 では、そのようにお願いいたします。

 ほかに御意見等。

 斎藤構成員。

○斎藤構成員 きょうもそうですが、こういった高濃度乳房、職域、いずれも大きなトピックなわけですけれども、そういうことを議論するのはこの会の主たる役割なのでしょうが、もう一つは、これほど大きなテーマではなくても、基本計画に沿った検診を進めていく上で随時議論をすべきテーマがあるのですね。例えば精度管理に関して新たな知見が出る、あるいは学会提言がまとまった場合に、一例を言いますと、最近ですと大腸のCT検査が精検法としては学会でもオーソライズされた。既に普及といいますか、拡散もしている。標準化も行われているという中で、精検法として位置づけてあげないと、健康増進事業の精検を受けたというところにカウントできないという事情があります。そういったことが幾つかあるのですが、そういうイシューを御審議いただいて、承認いただくという、指針の改訂に反映するプロセス・時間を短縮するための議論の機会の設定も考えていただければと考えます。

○大内座長 ただいま斎藤構成員から御提言がございました。各種がん検診はどんどん進歩しておりますので、それの変更点等についても確認作業が必要であろうということで、まさにそれはやらなければいけないと思っておりますので、次回以降の検討会の議題として取り上げていただければと思います。

 ほかにございますか。

 では、一旦事務局に戻しますので、連絡事項をお願いいたします。

○がん対策推進官 事務局でございます。

 次回の検討会の開催につきましては、また調整の上で御連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

○大内座長 それでは、本日、第21回の検討会をこれにて終了いたします。構成員及び参考人の皆様におかれましては、まことにありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)

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