ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 新たな社会的養育の在り方に関する検討会> 第12回新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2017年4月21日)




2017年4月21日 第12回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成29年4月21日(金)13:30~14:30


○場所

TKP新橋内幸町ビジネスセンター ホール610


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員 加賀美構成員
塩田構成員 伊達構成員 藤林構成員 山縣構成員

事務局

吉田雇用均等・児童家庭局長 山本内閣官房内閣審議官
川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

○議題

(1)関係者からのヒアリング(認定NPO法人Living in Peace)
(2)一時保護に関する議論
(3)その他

○議事

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、上鹿渡構成員、西澤構成員、林構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付資料は議事次第の後ろに資料1~4、資料4が構成員提出資料ということで伊達先生と井上先生から提出いただいた資料です。

 参考資料は、一時保護の現状についての資料で、事務局で御用意させていただいたものがございます。

 あと、机上配付の資料といたしまして、本日のヒアリングでお越しいただいております慎先生の御著書を慎先生からお配りいただいておりますのと、日本財団様からご提供いただいた養子縁組家庭に関するアンケート調査結果の報告書を、構成員の先生方の机にお配りさせていただいてございます。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、これより先の議事は奥山座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 では、早速、議事に入ってまいりたいと思います。まず最初に、非常にお忙しい中、この時間にお越しいただきました、認定NPO法人Living in Peaceの慎理事長から一時保護についての御意見をいただこうと思います。非常にお忙しい中来ていただいて、10分という短い時間で申しわけないのですけれども、御意見を伺って、またこちらからいろいろ御質問もさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 慎でございます。本日はお忙しいところお時間を下さいまして、本当にありがとうございます。

 背景を申し上げますと、私はLiving in PeaceというNPOを通じて児童養護施設等の社会的養護下にある子どもたちの支援を行ってまいりました。具体的には施設の小規模化への建てかえの際のファンドレイジングや、子どもたちが就学もしくは自立する際の支援を行ってまいりました。私自身、施設に何度も住み込みで暮らしておりますし、あと、施設を高校中退して追い出されたような子どもたちに行き場がない場合にはうちに泊めるなどをして、子どもたちと接してきたわけでございます。私がかかわっている子どもたちの多くは関東圏内出身なのですが、児相の中にいた一時保護所にいたときが一番つらかったという子どもが非常に多かったのです。当初は一体どういうことなのかということがよくわからなかったのですが、話を幾つか集めてみると、どうも保護所という名前にそぐわないような実態があるのではないかという気がしたものですから、それを何とかして知りたいと思いまして、全国10カ所の児童相談所内の一時保護所に行ってまいりました。うち2カ所は住み込みもさせていただきました。これはさまざまな首長の方々の御支援があったからこそできたことでありまして、改めて心からお礼を申し上げたいと思っております。

 拙著「ルポ児童相談所」の28ページに当たります、社会的養護の課題の全体像と書いてあるところをご覧ください。

 釈迦に説法の部分がかなり多いように思いますが、児相の中で一時保護をされている子どもたちの生活を見てみると、かなり格差が激しいなというのが感想でした。もともとは私も一部の保護所の中で特にひどい思いをした子どもたち、今や青年ですが、彼らからの意見を聞いておりましたので、どこも全部ひどいのかと思っておったのですが、そうではないということはわかりました。ただ一方で、子どもの目から見ると、どうしても少年院のような非常に規律が厳しい中で暮らしているところが一定数あるように思われました。

 その比較の表は、今、見ていただいている本の57ページを見ていただけばと思うのですが、幾つかの一時保護所は本当に保護所という名にふさわしい場所だったと思っております。実際に保護された子どもたちに職員の先生がつき添って、これからどうなるのかさまざまな不安を抱えている子どもたちを安心させるように、部屋の設計であるとか、規律の設計であるとか、そういったことがきちんとされているように思われました。

 一方で、非常に感じの厳しい保護所、実際に寝泊まりもしたわけでございますが、一昔前の暴力的な体育教師のあの口調での命令が朝から晩までずっと続くのです。生活の実態というのも10分、15分置きに日課が決まっています。保護所は安全な場所ではあると思うのですけれども、心の中の安心が本当に得られる環境であるのかというと、とてもそうは思えないようなものでした。また、外出等についてもできないということがほとんどでございまして、窓をあけられない。窓をあけて手を伸ばしたらセンサーが鳴って職員さんが駆け込んでくるというような保護所は少なくありません。こういった一つ一つが、子どもたちに、何で自分たちは保護されてきたのに、こんなところに来たのかというような思いを抱かせているように思いました。

 私は特に東京の子どもたちと接することが多いのですが、ここに来ることを通じて自分は大人を信用しなくなったという子どもたちが一定数おりました。子どもたちにとっては社会的養護の始まりが一時保護でありまして、自分たちが一番不安な気持ちでいるときに接する環境というのは子どもたちに強い印象を与えます。一時保護所で不安な日々を過ごし、その後、将来がどうなるかという説明もされないまま、いつか気づいたら施設に来るとか、家庭に戻れるとか、里親家庭に行くとか、そこでまた生活をやり直せと言われる。大人の都合によってここに連れてこられて、「ここでまた生活を始めましょう」と言われ、やる気が起きないから高校中退したら、「では自立だね」という言葉のもと施設等から出ていくことになります。そういったことを通じて、大人を信用しなくなったという子どもたちが非常に多いものでございます。

 統計に基づかない個別の事例をこういった重要な委員会で申し上げるのが適切かどうかはわかりかねますが、そういった子どもたちが一定数いるこの現状は変えるべきではないかと考えております。

 最後に私から申し上げたいことは2点です。1つは、一時保護委託をもっとふやせないかというお願いでございます。現状で3分の1ぐらいが一時保護委託。特に乳幼児等について、乳児院であったり、病院であったり、そういったところで一時保護委託をすることが多いと思うのですが、一時保護というのは、子ども及び子どもたちがいた学校の同級生等々からすると、「行政による神隠し」なのです。本人が事情をよく飲み込めないまま、また大抵の場合ほかの同級生の子どもにも説明がされないまま、その場から引き離される。一時保護後に社会的養護に入る場合は遠い地域に行くことも多うございますから、スマホを持っていない子どもたちなどはもう昔の友だちと会うこともできず、地域で育つこともできない。

 一時保護委託をもっと広げていって、可能であれば小学校区内で実施できないでしょうか。地域の中で子どもたちが育つことを促進していくべきではないかと考えております。もちろん子どもの安全確保等の難しい問題もいろいろあるとは思うのですけれども、それはさまざまな法的手当や警察の方々との連携等を通じて手当てが可能なのではないかと考えております。

 私の親も時々私を祖父母の家に預けていましたけれども、親御さんがしんどいときのレスパイトとして、地域内での一時保護を広げていくことはできないでしょうか。私はこの期間、社会的養護下にある子どもの親御さんにも会ってまいりました。虐待をしてしまう親御さんもしんどいのです。そういった親御さんを支援することも通じて、より多くの子どもが地域から引き離されることなく、自分たちが生まれ育ったコミュニティの中で暮らしていけるようにして頂けないでしょうか。これが1点目の御提案でございます。

 2点目は、イギリスにはOfsted等々、行政のサービスをきちんと監査する機関が存在するわけでございます。日本でももちろん第三者への監査というのはございますが、どうしても形式的なものになってしまいがちな印象を受けております。帳簿が適切に管理されているとか、必要な資料がそろっているとか、大切なことだと思うのですが、子どもの人権を守るという観点に立って、サービスの質を判断する、評価するような機関が存在してもよいのではないかと思います。そういった機関をつくるには長い時間がかかると思いますが、全国にある一時保護所等が適切に評価されて、その評価された情報がひろく国民の目に届くということは非常に重要なことだと考えております。

 私が各地を訪問した限りで言うと、情報の公開が進んでいないからこそ、一時保護所の格差が大きくなっているように思われます。多くの方々が一時保護所の現状について知っているという状態になれば、すなわち情報の非対称性がなくなれば、一時保護所のサービスの質は他地域のよりよい事例を基準およびゴールにして収れんしていくものであると考えております。よって、第三者評価機関をつくるというのは非常に大変なことだと思いますが、厳しい第三者評価と情報公開の仕組みをより拡充するということが、一時保護所の中にいる子どもたちの権利の擁護につながるのではないかと考えております。

10分間ありがとうございました。以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 非常に短い時間でおまとめいただいて、ありがとうございました。

 皆さんのほうから質問ございますでしょうか。

 では、私のほうから。一時保護所に寝泊まりされたりしておられるのですけれども、一時保護所は虐待を受けた子どもだけではなくて、非行の子どもも結構入っていたりということがあります。それから、虐待を受けた子どもの中にも非常に行動の問題が厳しくて、なかなかケアが難しいお子さんがいるというようなところがあり、かなり管理的になっていく一つの問題点として混合処遇ということがよく言われるのですけれども、何かその辺のところでごらんになって御意見があったら伺いたいと思います。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 混合処遇を改善しましょうという意見ももっともだと思いますが、実際にいる子どもたち、例えば放火をしてしまって一時保護された子どもと話していると、その子もやはり虐待を受けている場合が多いわけです。よって処遇分けの判断が非常に難しい。

 ただし、混合処遇されていることが厳しい規律を許容する根拠にはならないと思います。社会的養護の中で暮らしている子どもの中にも、荒っぽいといいますか、そういった子どもたちもいます。一時保護所内での厳しい規律がもし許容されるのであれば、それは児童養護施設等での厳しい規律も許容されるという理屈になるように思いますが、昨今の児童養護施設等で厳しい規律が決して許容されていないことに鑑みれば、一時保護所における厳しい規律の根拠を混合処遇とするのは誤りではないかと思います。子どもの安心・安全を本質的な意味で担保できるような仕組みにするべきではないかと。

 あと、混合処遇とは少しずれるのですが、藤林構成員がよくおっしゃっていることでもありますが、小規模化を進めるのが必要だと思います。児童養護施設等が小規模化に向けて進んでいるなか、なぜか一時保護所は今もある意味、大舎でございまして、それが混合処遇ということと相まって、より規律を厳しくする方向に向いているように思います。一時保護所を地域に分散させて小舎化を進めていくことによって、こういった今のような状況も少し変わっていくのではないかと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 

○藤林構成員

 私の名前が出たので、ちょっと関連して。

 実際に10カ所の一時保護所を見られて、子どもの評価の高い、低いというのが感じられたと思うのですけれども、混合処遇という問題よりも、今、出た、子どもの人数というか、定員というか、サイズと関連しているのかどうか。または、サイズが小さくてもそこの保護所の持っているルール重視のような養育文化といった問題が、一つのファクターとしてあるのか。その辺でお気づきの点がありましたら教えてください。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 両方あるように思いまして、やはり規模といいますか、例えば鳥取県は規模が小さいのです。それに由来しているかどうかというのは定かではありませんが、おっしゃるとおり、規模が小さい一時保護所ほど養育環境がソフト・ハードともに比較的よいような印象を受けております。

 もう一方で、組織文化というのは相当にあるように感じておりまして、例えばもともとの母体が児童自立支援施設だったような場合には、そのやり方の影響をかなり受けているように思います。私はふだんよく組織改革等のお仕事をしておるのですが、その観点から申し上げても、情報が公開されないと組織というのは前例踏襲で、さらにその前例踏襲が先鋭化していくという性質があるように思います。よって文化的な側面は看過できない規模でございまして、それを変えていくためにも情報公開が非常に重要なのではないかと感じている次第でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 

○松本座長代理

 貴重なお話をありがとうございます。北海道大学の松本と申します。

 第三者評価というか、監査と情報公開という大変大事な、喫緊に取り組まなければならない課題と考えておりますけれども、それらについて御指摘いただきました。その点についてもう少し御意見を伺いたいのですけれども、監査されるとすれば、何を監査するか。あるいは情報公開のときに、何を情報公開の内容としていくかということについて、もしお考えがありましたら、お聞かせいただけますか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 専門外であることを存じ上げながらもお答えさせてください。私は現時点でも300人の会社を経営しておりまして、3つの会社の経営を見ておりますので、その観点に立ってからということで申し上げますと、会社組織であっても、こういった行政の組織であっても、良い組織には共通点がございます。それは、組織の目的がきちんと共有されており、その目的に従って日々問題を解決する仕組みが存在するという点です。具体的に申し上げると、第一に組織の現状が見える化され、その現状が組織の目的に鑑みてきちんと問題として認識され、組織内でお話をするという文化が存在していること。そして、その問題を正しく分析し、解決するための案が出され、解決されるまで行動が取られ続けるための会議体などが存在すること。これが古今東西どういった性質のものであっても、よい組織とそうでない組織を分けるものであるように思います。

 具体的に一時保護所に関して申し上げますと、よくない運営がされている一時保護所では問題と認識されていることが問題として議論されないのです。具体的には、一時保護所の職員さんからこっそり、「自分だってこんなところにいたくない」とか、「自分だって自分の子どもはここに送りたくない」という意見が聞かれました。これは問題がオープンに問題として話し合われていないということの証拠でございます。そういった組織の健全性をチェックリストや診断ツールを用いて評価していくことは、不可能なことではないように思っております。

 情報公開につきましては、当然、子どものプライバシーもありますから具体的なものを公開するわけにはいきませんが、主要項目の評点を公開するだけでも意味があると思われます。例えば一時保護の日数一つとっても、あれが全国公開されているということは各自治体の方々にまあまあプレッシャーとしては作用しているように思いますので、それを大学のランキングとか、世の中にそういったものがいろいろありますが、それと同じようにきちんと評価をして、広く国民にお知らせする。そういったことができないかなと考えております。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、もう一度私から。文化的側面に関してです。もちろん委託をふやす方向性は必要ですし、それなりに今、養護施設に委託ができるシステムができ上がって、少しずつは進んでいっています。しかし、一気に進まないとしたら、一番早く文化を変えるにはどうしたらいいとお考えでしょうか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 可能であればなのですが、私が理解する限りですと、全国の児童相談所所長会議等は行っていると思うのですが、ローテーションというのでしょうか。単なる話し合いではなくて、実際の人材交流をしていただくことはできないかなと思います。難易度は高いかもしれないのですが、それをしていただけないかなと思っております。

 というのも、例えば県に児相が3カ所ありましたら、そこの一時保護所を3つとも経験するということはあるように思うのですが、異なる都道府県で一時保護所を見られた方はほとんどいらっしゃらないように思うのです。私が実際に10カ所の一時保護所を訪問してみて感じたことは、「地域によってこんなに違うのか」ということでした。そういったことに気づくことだけでも問題が変わっていくのではないかと。自分たちが、「これが当たり前」だと思っていたことが、実は当たり前ではなくて、ものすごいローカルルールだったのだなということがわかるだけで問題が解決に向かいやすいのではないか。これがもともと情報公開と申し上げたときに狙っていたことでもございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 全く違う観点で質問させていただきます。そもそも一時保護所を10カ所ごらんになるというときに、どういうルートで、どのようにアプローチしたのですか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 余り褒められたやり方ではないということは理解しつつも、やはり正門からだとどうしても中に入れませんでしたので、市長様、知事様に直接お願いをして、かくかくしかじかの理由で何とか中に入れていただけないでしょうか、とお願いをしました。場合によっては地方議会の議員様にお願いしたりもして、中を見せて頂きました。

 

○加賀美構成員

 ありがとうございました。

 

○奥山座長

 先ほどのお話なのですけれども、本当に子どものために何がいいかということがわかっていない人が行って、見ても、余り響かないみたいなところがあると思います。いろいろな一時保護所を見学してくるのだけれども、そこはそこで理由があるから仕方ないという理論になることがあります。本当に子どもの目線で子どもの権利を考えたときにどこがいいのかという判断ができない限り、見ても同じになってしまうのではないかという不安があり、やはり教育をきちんとすることが必要なのではないかと思います。例えば、子どもと話すときに子どもの視線に立たずに話している人たちが結構多いのです。それは児相の職員もそうなのですけれども、やはり子どもと話すときはその目線で話すのだよというところからの教育が必要なのではないかという気もします。これは私の意見なのですけれども、いかがでしょうか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 もちろんさまざまな方がいらっしゃるとは思いますが、そういう子どもの目線に立てる方がリーダーになられるべきで、そういった方々が理想の所長として選出されて、組織を改革していくべきだと思っております。人事制度はある程度影響を与えているように思いまして、これは革新的なことをされている児相では、もちろん児相所長さんの大活躍もあるのですけれども、やはり首長さんがそういった人を採用するというようなことがあるように思います。問題を起こさなかったから所長になるということではなく、この人であれば、より子どもの観点に立った運営がされていくだろうというような信任を受けた方々が所長になるという制度づくりが非常に重要なのではないかと感じました。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 相澤先生。

 

○相澤構成員

 私も児童福祉施設で施設長をやっていたのですけれども、基本的には退所するときに子どもに、この施設をもっとよくするためにはどうしたらいいですかと意見を聞くことにしていたのです。10カ所の一時保護所を回っていて、そういう所内の改善に向けて子どもから意見を聞くような保護所はあるのですか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 申し訳ありませんが分かりません。そういう質問を私が差し上げたことがないためです。ただし、措置が決まってから移動するまではかなり慌ただしく物事が過ぎますので、そこでゆっくりと意見を聞く場が設けられることがどれぐらいあったのかというのは、わかりません。申し訳ありません。

 

○奥山座長

 退所のときではないかもしれないですけれども、入所している最中に話し合いをして、子どもたちの意見を聞いて、必ずそれにフィードバックするという一時保護所はあると聞いています。

 そういう大きな一つの生活文化の変革ということで言えば、施設内虐待のある施設で活躍された塩田先生、何か御意見ありますでしょうか。

 

○塩田構成員

10カ所を回られて、多分、ひどかった保護所を聞くのは問題だと思うのですけれども、一番よかったなという保護所をおっしゃっていただければ、教えていただけますか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 個人的には、いろいろ恵まれているところもあると思うのですが、鳥取はよかったですね。鳥取の中央児童相談所です。

 

○塩田構成員

 何がよかったのですか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 まず、いた子どもたちからの評価が非常に高く、落ち着いて時間を過ごすことができた多くの子どもが言っていました。これは申し上げると問題になるのかもしれませんが、「緩かった」と子どもたちが言っていました。子どもの精神的な安心・安全を担保するためにかなり柔軟な運営がされていたようです。ですが、一時保護所では厳しく外出を規制するべきということは厚労省の運営指針にもそもそも書かれていませんね。

 また、子どもたちの一時保護機関を可能な限り短くする姿勢ができていました。皆様もが経験があると思うのですが、1カ月分の仕事が常に机の上にたまっている人と、1週間分しかたまっていない人がいるわけです。机の上にたまっているものが多ければ多いほど、子どもたちの一時保護期間が長期化されるということだと思うのです。フローの量といいますか、処理できる仕事量というのは変わりませんので、一度子どもたちの一時保護期間を短くすることができれば、今後もそのようにできると思います。

 一時保護期間を短くすると、これまで申し上げたような一時保護所内の問題の深刻性も下がる側面があるように思っております。一時保護所が多少厳しくても1週間とか10日であればまだ許容できるわけです。これが1カ月、場合によっては1年となっていくのが問題をより深刻にしている理由だと思います。もちろん、一時保護の期間というのは社会的養護の施設、里親家庭の空きがどれぐらいあるかに影響される部分もあるのですが、空きが少なくても一時保護期間を短くしている児童相談所も存在していましたので、児童相談所の取り組み次第で物事がかなり変わるように思います。

 本にも書かせていただいたのですが、鳥取は本当に一時保護期間が短いのです。ページで言うと100ページですけれども、2013年で平均6.8日です。それも一つの理由なのではないかと思います。

 

○奥山座長

 よろしいですか。

 では、加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 一時保護の目的は、基本的には社会的養護をしていく上のアセスメントの機関ですね。そういう観点からきちんとそういうことに真剣に取り組んでいたという機関はありましたか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 御本人がいらっしゃるのであれですが、藤林委員がいらっしゃる福岡の児相はきちんと取り組んでいるように思いました。

 

○奥山座長

 よろしいでしょうか。

 あと、御質問ありませんか。

 

○伊達構成員

 家庭から上がってくるケースばかりでなく、施設でうまいぐあいに対応できなくて、施設から児童相談所に返されてしまう、あるいはもう一回アセスメントやり直しというようなケースの子どもに出会ったことはありますか。どんな印象を受けたかも教えてください。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 すごくすねていました、というのは余りにも浅い発言ですが、不調の子どもたちが受けている精神的なダメージというのは相当に大きいように思います。その子どもたちが減ったらいいなと思います。

 あと、一時保護所の規律が厳しく人権侵害に近い状態になっている地域では、「施設で悪さをしたら児相に連れて行くからな」というのが、子どもに言うことを聞かせるための殺し文句になっている施設が一部あったことにも驚かされました。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 相澤先生。

 

○相澤構成員

 子どもを一時保護所に移行されるときに、それはとても大事だと思うのですけれども、子どもに優しいインフォームドコンセントとか、施設に入所させるときの移行期のケアとか、そういうことで創意工夫されているような保護所はありましたか。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 同様に、鳥取はそれを一生懸命しているように思いました。もちろん、子どもたちに期待を持たせて、その期待を裏切ったときのダメージを考えると、あまり子どもたちの将来についてなかなか発言しにくいというのもあると思うのですが、可能な限り説明に努めている児童相談所はあったように思います。

 ただ、これも格差が激しいように思います。面談でもなぞなぞのような、「海がいいか、山がいいか」のような質問をされて、数時間前に「はい、行くよ」と言われて施設に移動するようなところがあるかと思えば、ある程度時間を割いて説明をしているようなところもありました。

 また全体の議論として、児相内のキャパシティ問題がかなり影響を与えている側面はあるように思います。諸外国、特に欧米諸国等の比較的先進的とされている国と比べると、日本の児童福祉司さんらのワークロードが重過ぎますね。よって、児相の職員さんを悪者にしたいという思いは全くないのです。非常に献身的に働いていらっしゃるなというのが私の感想であります。

 もちろん、人間の集団ですし、多くの職員さんがいらっしゃいますので、良くない方々も一部いらっしゃいますけれども、人を善人にしたり、悪者に見せたりする大きな要因はその人々が置かれている構造だと思うのです。今は構造的に、いい人とか思いがある人がやってきても、どうしても鬼にならざるを得ないみたいな現状があるように思います。ケースワーカーの数は2倍とか3倍ぐらいにふえたほうがいいのではないかと思っております。この15年でケースワーカーのケース負担は大体3倍とかになっていると思うのですが、これが根本的なところで児童相談所のサービスの質に効いている印象を受けております。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 では、井上先生で最後でよろしいでしょうか。

 

○井上構成員

 ありがとうございます。

 私も先生のお話を聞いて、同じような子どもさんたちからいろいろ話を聞いていた者としてお話しすると、30歳ぐらいになられた方がいるのですが、その子たちが、僕たちは悪いことをしたら責任をとれと言われて、とってきた。それでいろいろなところに行かされてきた。だけれども、それを決定した先生たちは責任をとらないでいいのかといって子どもが返すのです。いまだにその子は前の施設とかに行って、その施設の先生は偉いと思うのですけれども、ちゃんと聞いているのですが、先生は責任をとらないのか、責任をとらないのかと言い続けています。何で俺はそういうことを言うかというと、今いる子どもたちのために言うのだといって、一生懸命言っているのです。私は、そういうのを聞かせてもらうと、やはりここでしっかり考えていかなければいけない。そのときに彼にも聞いたら同じで、一時保護所がとても大変だったという話をしています。

 だから、ぜひ先生、その気持ちをどんどんきちんと伝えていただいたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 本当にありがとうございます。

 こうやって一時保護所についてお話を皆様のような方に差し上げる機会をいただけるとは思っておりませんでしたので、呼んでいただけたことに心から感謝しています。

 ここ10年における社会的養護を取り巻く世間の関心の高まりや制度の改正は本当に目覚ましいものであったと思っております。これもひとえに皆様がこうやって活動されてきた結果だと思います。

NPOの代表である私は、社会的養護全体からすれば脇役でございますが、私のような人間がするべきことは、アジェンダ設定であると考えております。世の中で一部の方々は問題だと思っているものの、さほど人口に膾炙していない、議論がされていないような分野を見つけだし、これを何とかしましょうと申し上げるのが私の役割だと思っております。

 社会的養護における様々な現場を見てきた中で、一時保護は全体の中でも若干ブラックボックスになっていた印象がございまして、その分、さまざまな改革がおくれているような印象を受けております。なので、これを機会に、皆様がこの制度の改革といいますか、子どもたちがより安心・安全に将来を考えられるような一時保護所を今後、全国の児童相談所がつくっていくことを心から願っております。何とぞよろしくお願いいたします。

 

○奥山座長

 どうもありがとうございました。

 お忙しい中を来ていただいて本当にありがとうございました。大変参考になりました。

 引き続き、一時保護の議論をしていきたいと思います。

 

○山本内閣官房審議官

 終わりまでいていただいて結構でございます。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 ありがとうございます。

 

○奥山座長

 では、引き続き、一時保護に関して、次回と合わせて2回、議論をしていきたいと思いますけれども、今回、第三者評価という、本来の評価の完全なものではないですけれども、一応そういう形はつくれることになったので、それも含めてどういう評価が必要なのかというのも、議論していかければならないところだと思います。

 もう一つは、法律の中に一時保護の機能が初めて入りました。なかったこと自体がおかしいのですけれども、今回初めて、一時保護所は保護をすることとアセスメントをする機能を持つ場であることが規定されました。そこで、そういう機能を達成していくためのあり方の議論が必要です。この2つのことを考えながら、少し自由に御議論いただきたいと思います。

 

○松本座長代理

 ここでいろいろと一時保護所についてこうあるべきだ、こういうふうに変えようというのは、先ほどの報告書の中にどのように書いていくかという観点で議論をするということでよろしいのですか。

 

○奥山座長

 そうです。

 

○松本座長代理

 わかりました。そのときに、やはり法律の中で書いてある保護、アセスメントということと、もう一つ書かれるべきことは、以前の検討会でも何回か議論になったと思いますけれども、社会的養護の入り口だと。子どもにとってみると、今の慎さんのお話にもありましたけれども、最初に出会う社会的養護の場で、子どもの印象とかそういうことも含めて、ここでかなりいろいろなことが実は決まる。その後、我々が、例えば子どもの安心感を提供しましょうとか、大人との信頼関係を再構築しましょうとかいう話をするわけですけれども、一時保護所が一番最初にその役割を担うということを強調して書くべきだと思います。そこが出発点なのだと。そこでいろいろなことが次につながっていくということを、当たり前の話なのですけれども、強調されるべきだとまずは思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 そのとおりだと思うのですけれども、一方で、入り口でもあるのですが、先ほどの施設での失敗体験という話もありましたけれども、まず、家庭でいられなかったという喪失の部門でもあるので、物すごく重要な場所だということを意識すべきだろうと思います。

 いかがでしょうか。

 

○松本座長代理

 それと、これは何を評価すべきかとうときに、質の問題があります。建物とかそういうこともあるし、規律の問題もあるけれども、やはり今の話にもありましたが、子どもの話を聞く。入り口のところで子どもの話をどれぐらいきちんと聞くことの大事さが、なぜそうなのかということと、恐らく子どもの話をきちんと聞く、説明するということをきちんと評価する。あるいはそれをもって最大の質の担保とするというようなことを位置づけられないかなと考えております。

 

○奥山座長

 そうですね。説明をちゃんとして、あなたを助けたいのだということをまず伝え、同時に、子どもの意見といいますか、子どもの話を聞くということは大切なことだと思うのですけれども、ほかにいかがでしょうか。

 

○塩田構成員

 やはり家庭から分離されて一番不安な状況で、着の身着のままで自分のものも何一つ持てずに、どこに行くかも説明されずに保護されていくわけですから、なぜ本当に自分が一時保護されたのかということをきちんと子どもに説明してもらうことと、その不安とか悲しみ、苦しみの中にいる子どもに、まず寄り添っていただけるような保護所であってほしいなと思います。そこもアセスメントと同様、一番大事なところではないかと考えています。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 ちなみに、何も持ってきてはいけないというのは、某一時保護所のみだと思いますが。

 

○塩田構成員

 都内だけ。

 

○奥山座長

 はい。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 いろいろございまして、私物没収のところもあれば、私物を持っていられるところもあります。

 

○塩田構成員

 そうなのですね。都内はちょっとだめなのです。

 

○認定NPO法人Living in Peace(慎理事長)

 下着に番号が振られているようなところまであります。それを着なければいけないようなところもあります。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 

○藤林構成員

 ヒアリングの中にもありましたように、どのように一時保護所のケアの質を高めていくのかという場合に、なかなか内部だけでは変わりにくいというのが現状あるのかなと思うのです。その場合に第三者評価をどう効果的に進めていくのかということなのですが、やはり必須ではないかなと思っていて、児童養護施設も、乳児院も、各社会的養護施設は第三者評価が今は必須ですね。

一時保護所は今年度から予算措置されたわけですけれども、いずれこれは必須になっていく方向であると。誰が第三者評価するのかというところで、現在、各児童養護施設、乳児院の評価機関は各都道府県で指定されているわけなのですけれども、一時保護所という非常に特殊な施設に対する評価は、なかなか難しい。評価機関のあり方を十分検討していくということと、どのように評価していくのかといった場合の、子どもの意見を聞いていく仕組み。一時保護所は長く入所している子どもばかりではないので、なかなか十分に聞けないのですけれども、児童相談所を退所時にはアンケートする仕組みをつくるとか、子どもの意見または保護者の意見を聞く仕組みも含めた第三者評価の適正な評価のあり方を考えていくことが必要と思います。

 

○奥山座長

 事務局に質問なのですけれども、これは必須ではないのですか。手挙げ方式なのですか。

 

○山本内閣官房審議官

 必須ではございませんで、予算措置で奨励していこうということです。

 

○奥山座長

 では、しなくてもいい。

 

○山本内閣官房審議官

 しなくてもいいかと言われれば、しなくてもいいと。ただ、御議論をいただいて、どういう方向に持っていくかということで、あるべき方向をこの報告書の中で整理していただければよいかと思っています。

 

○松本座長代理

 今、藤林さんがおっしゃったことに関してなのですけれども、まず、これは必須にすべきだという方向だと。監査なので、手挙げだと、受けたくないところは手を挙げないということになると思いますので、それは性格からしてそういう方向に行くべきだということが一つ。

 もう一つは、誰がというときに、これは都道府県レベルで言うと1カ所とかいうところがあるでしょう。そうすると、例えばそこの児福審のところでやるとかとなると、そこしかないし、結構知り合いだったりするし、いろいろ問題があるけれども、ここはこういうことでやっているからとか、ほかの事情を知らない人が割と評価をすることになりかねないので、これに関しては広域でというか、幾つかのところを見ている。例えば地元の人がやると、これは1カ所しかないから、これは仕方がないのではないかという話になりがちだということを踏まえて、全体の設計をしないとまずいかなと思っています。

 

○藤林構成員

 ついでに言いますと、一時保護所だけでいいのかというのを今後は考えないといけないので、今後、一時保護委託専用の施設もつくられていく方向にあるのであれば、そういった委託一時保護施設も含めた評価というのはあるのかなと思います。

 

○奥山座長

 前の委員会で議論があったイギリスのOfstedのような方式を考えると、本当に必要な評価というのは、児相も評価するという話だったとは思うのですけれども、これを必須にはできるのですか。できないのですか。事務局のほうとして。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 議論なのですけれども、要するに第三者評価が必須であるということは、非常に役人チックに言うと、どういうことかということだと思うのです。例えば先ほど来、お話がありますように、施設にとって、施設サービスを行っているところに第三者評価が必須であるというのは何かというと、通常、運営基準というような形で個々の施設が行っていただいているソフト事業の中に、それはきっとやってくださいねということを明確にし、それをやっていただけていないところに対しては何らかの形で介入が入る。働きかけが入るという仕組みで担保されているというのをもってして、必須ということだと思います。

 ですから、ルールとして、一時保護所というか、一時保護事業というか、一時保護機能について第三者の目を入れるということを必ずやると書いた場合に、それはもちろん誰がやるかとか、何を見るかというのとあわせて、それをやられていない場合にどういう形で担保をするかという話。あるいはそれがやられていないとき、働きかけるとか、行政が乗り込んでいくという話ではないとすれば、どういう形で事業者の方々が義務化されながらやれていないことに対して義務を果たそうと思う気持ちを起こしていただけるか。インセンティブと言うとおかしいのですけれども、片一方で義務をかけておきながらというのも変ですけれども、そういう形になるような仕掛けをどう入れるかということだと思います。

 確かに法律上、何とかしなければならないと書くこと自身は、それで書いてしまえばそれまでなのですが、それをどう担保するか。

 あと、まだ私もよくよく、これから先生方の御議論を聞いて事務局として整理をしなければいけないのですが、先ほど来お話があるように、行政機関、公的な機関であるという対人サービス事業であり、社会的養育という非常にセンシティブである、子どもという一番これからの大事な人たちと向き合っているという部分と、役所の一部という部分の要素も含めてどう考えるかなど、いろいろなことを考えながら先生方の御議論を受けとめていきたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 

○加賀美構成員

 事務局に伺うのですが、一時保護所用の評価基準なるものは一応策定したのですね。

 

○山本内閣官房審議官

 一時保護に特有の基準というのは、逆にこれからよく議論しなければいけない部分だろうと思っています。それがないと、評価を必須にする前提には多分ならない。実はこの検討会ではそういうことも議論してほしいと思っていたということです。

 

○加賀美構成員

 そういう意味ですね。わかりました。

 

○奥山座長

 第三者評価の話になったので、ここの表を見ているのですが、これは30万円なのですか。

 

○松本座長代理

 ここの表とは何ですか。

 

○奥山座長

 ごめんなさい。「一時保護の現状について」の一番後ろにあるのですけれども、これは年額30万で毎年受けるような形ですか。たしか養護施設は3年に1回ぐらいではなかったですか。

 

○加賀美構成員

 同じです。3年に1回、30万。

 

○奥山座長

 一時保護所は毎年と考えていいのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 3年に1回の想定になっています。

 

○奥山座長

 3年に1回、30万で。

 

○山本内閣官房審議官

 いや、これ1回の補助です。

 

○奥山座長

 それを3年に1回受けるわけですね。

 

○山本内閣官房審議官

 そういう意味です。

 

○奥山座長

 病院機能評価は200万円以上かかるので、少し驚きました。

 相澤先生。

 

○相澤構成員

 第三者評価は基本的にはサービスの質の向上のための取り組みだということなのですね。要するにサービスの質をどう向上させるかということを考えたときには、もちろん第三者も大事なのですけれども、第三者評価基準と一緒のものでいいと思うのですが、自己評価基準をきちんとつくって、自己評価をして、施設の場合は毎年それを公表することになっているので、そういう意味では3年に1回受けても、その間の自己評価についても公表するということになっていますから、そういう仕組みを一時保護所についてもお考えいただければいいのかなと。

 私も2回ほど、施設長のときに第三者評価を受けましたけれども、やはり受けてみて、施設の課題がしっかりわかると、自己目標を次の年にきちんと立てて、それに対して取り組むことができるので、そういう意味ではこれは質の向上につながる一つの取り組みだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 

○奥山座長

 1つ教えてほしいのですけれども、第三者評価を受けたときに、どういう人たちが評価をしに来るのですか。

 

○相澤構成員

 一応、評価機関になるためには全社協の研修を受けてくるのですけれども、私のところで受けた評価機関は、東京都でかなり評価をしていたような機関を選んで、そういう方にやっていただきましたけれども、評価機関も非常に格差があって、いい評価機関もあれば、適切に評価するのは難しいだろうなと思うようなメンバーの構成になっているところもあるということです。

 

○奥山座長

 細かいところを教えてください。その評価機関の認定というのは、どういう形になっているのですか。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 施設のほうですね。

 

○奥山座長

 施設のほうです。一時保護所の評価はまだできていないと思いますので。例えば、養護施設の親戚が評価機関をつくって、社協で研修を受けたらできてしまうのですか。

 

○加賀美構成員

 可能性はあります。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 排除はされていません。ありです。実際にあるかどうかはよくわかりませんけれども。

 

○奥山座長

 評価機関がきちんとしていなかったら評価ができないだろうと思いますが。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 そこは今、2つの御議論があるのだと思います。一時保護事業についてどういう第三者評価をこれから確立し、かつ、これまでの御議論からすると義務化して、徹底していくか。そのときにはもちろん公表というもう一つの実際的に評価をしたことというツールももう一個あるのですが、ここをどうするか。それについては評価機関とか評価内容、評価チェックポイントとかという議論があります。

 それと、参考にすべく、先ほど来御議論いただいている先行している部分がどうなっているか。そこはもうファクトですので、すみません、きょうの段階で事務局がきれいにお答えし切れない部分は宿題としてきちんと資料にして、事前になるべく早目に委員の皆様方に共有できるようにさせていただきたいと思います。

 

○奥山座長

 わかりました。

 ただ、今まで施設での第三者評価をやってきて、一時保護所に適応させるのに問題なところは改善しなければならないと思います。一時保護の場合には、一時保護はそう数が多くないわけですから、評価機関を幾つかに限って広域でやるべきなのではないかと思いますし、評価機関を育てるということも必要なのではないかと思います。

 

○松本座長代理

 例えば児童養護施設とかいろいろな第三者評価でやっているところとちょっと別に考えたほうがいいと思います。やはり一時保護所というのは、一般的な居住型の施設あるいは福祉サービスとちょっと違う性質があって、どうしても保護をしなければいけないので、一定、閉鎖的にならざるを得ないという中で、子どもの安心・安全をどう守って、社会的養護の最初の入り口として子どもが安心できるような形になるのかという、かなり難しいことを実はしなければいけないところだと思うのです。

 でも、今のところスタンダードがないというところからつくっていくことになるので、スタンダードなり自己評価も含めた仕組みを、中でそういうのもつくらないといけないということも含めてスタンダードをつくっていくことと、それの評価なので、かなり評価のポイントが違うというか、加えなければいけないところがいっぱい出てくると思いますので、そこも含めて議論をしなければだめなのだなと改めて思いました。

 

○奥山座長

 相澤先生。

 

○相澤構成員

 ですから、松本先生が言ったみたいに、やはり一時保護所は一時保護所としての評価基準をきちんとつくって、見る視点として評価項目ごとに着眼点の内容が必ず入ってくるのです。その着眼点の内容に今の子どもの保護とかというところの留意点などをと盛り込んだ、きちんとした基準をつくっていくことが基本的には大事だと思います。そうすると、それを見てどのように留意しなければいけないかということも職員がわかってきますので、そういうガイドライン、基準が必要だと思います。

 

○奥山座長

 先ほど30万円ですかと聞いたのは、病院機能評価との比較もあったのですけれども、それ以前に、例えば広域で行くとしたら交通費もかかるわけですね。1人で行くわけではないですから、3~5人が行かなかったら話にならないので、かなりかかると思います。しかも一時保護ですから、その喪失体験に対してどうやって対応しているのかという専門性もある人が行かなければならないですね。そうすると、それで30万円でできるのかなというのは、私としては驚きだったのです。

 

○加賀美構成員

 第三者評価は、評価機関が民間の団体。株式会社であったり、NPOであったり、さまざまです。だから、そこが商業ベースでと考えると、要するに営業として成り立つかどうかということが前提ですね。そういう意味で、ある程度の数をこなせないと、30万という金額では営業できていかないだろうという構造になっているので、その辺のところが、競争原理を働かせて幾つかできていって、それぞれの民間の機関で営業が成り立つということになるためには相当なこなしと、それから、顧客が必ず毎年ついてくるということと両方の問題があって、言ってみれば、これは評価を受ける側が評価機関を選ぶという構造でこれまでやっている民間の施設のものですから、このように特定した、全部で200カ所ぐらいというわずかな数のところを専門でやるということで営業が成り立つようにするのは、先ほどの金額の問題も含めて、大変なことだろうなと逆に思っているのです。

 一方、一時保護所は公的な機関であるという立ち位置で考えると、民間の団体あるいは機関がそのことをやるということを含めて、そういう形式でやるほうがいいのか、あるいはもうちょっと別の形で、国の機関という形にするかは別ですが、これまでの民間の施設を民間の団体が評価するという構造とはまた別の構造でやる方法を、広域ということもあるのですけれども、相当な特別な仕組みをつくってやる必要があるのではないかと私は何となく感じています。

 

○奥山座長

 一時保護の話から、また、現状がどうなっているかという話になったのですけれども、今の話だと、それぞれの施設がそれぞれに委託をするという形ですね。

 

○加賀美構成員

 そうです。自分で選ぶわけです。

 

○奥山座長

 そうしたら、低い点数を出したところは、次は頼まないということもできてしまうのですか。

 

○加賀美構成員

 そういう可能性がある。

 

○奥山座長

 それは問題ではありませんか。

 

○加賀美構成員

 だから、オールAというのが時々あったりするのです。先ほど相澤構成員から話があったように、評価を受ける側がより厳しくするような機関を選んで、自分のところを評価してもらおうという意識を持つような施設は第三者評価をやらなくてもいいのかもしれないと極端に言うと思うような、今の構造はそういう構造です。だから、それと同じ構造でいいかということですね。

 

○吉田雇用均等・児童家庭局長

 そういう意味でも、私が先ほど申し上げたように、今の仕組みを是とするとか、今の仕組みをそのまま一時保護機能に持ち込むということの議論ではなくて、今どうなっているかというところをまずファクトとして先生方にきちんと御説明をさせていただきたいと思いますし、今回、正直、芽出しという言葉がいいと思うのですが、この予算で芽出しをさせていただいたのも、どういう考え方かというのもあわせて整理をさせていただいて、お手元に届けた上で今後の御議論をお願いしたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 

○藤林構成員

 一時保護所の今後のあり方を考えていく場合に、一つは評価のあり方、もう一つは、慎さんも言われた小規模一時保護所、またはある程度開放的な一時保護所のあり方も考えていくべきではないかなと。そうすると、一時保護を専門に扱う里親の創設であるとか、または一時保護専用の委託施設みたいなものを児童相談所以外につくっていくというのも、どのような制度にすれば広がっていって定着していくのかというのも議論すべきだと思うのです。けれども、今日はもう時間がないのですね。それはまた次回ですかね。

 

○奥山座長

 もうしわけありません、終わりの時間が過ぎていました。

 

○松本座長代理

 今のことと関連して、一時保護というのはやはり一時的な保護で、まずはプロテクションがあって、アセスメントをする。次のプレースメントを決める。それはいいけれども、あき待ちの一時保護で結局一時保護にいるというのだけは、まず、それは一時保護のこととは別に、子どもの暮らす場所の数の問題なので、それの不足が一時保護のところに来ていることは、別途きちんと議論しないとまずいと思います。

 

○藤林構成員

 それもそのとおりで、構造的に空きがないというか、空きがあっても措置できない、という社会的養護の選択肢の少なさという問題をどう解決していくかというのも同時に議論すべきだと私も思います。

 

○奥山座長

 そういう意味で、一時保護の評価の基準も含めて考えていかなければいけない。今までも学習権の保障とかいうことがいろいろ言われてきているわけで、そういった問題も含めて評価をしていくことも考えていかなければならないと思います。非常に活発に御議論いただきましたので、次回、その御議論をどういう形でまとめるかということを少し考えていきたいと思います。

 すみません。知らないうちに時間が過ぎていて、申しわけありませんでした。ありがとうございました。

 では、事務局のほうにお返しいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 次回につきましては、4月28日の金曜日、午前9時半から12時半までを予定しております。場所は、経済産業省別館の1111会議室を予定してございます。引き続き、一時保護に関します議論をお願いしたいと思っております。

 以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 新たな社会的養育の在り方に関する検討会> 第12回新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2017年4月21日)

ページの先頭へ戻る