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2016年12月8日 第49回医療部会

医政局総務課

○日時

平成28年12月8日(木)15時00分~17時00分


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省講堂(低層棟2階


○議事

 

○医療政策企画官 ただいまから、第49回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数が24名でございまして、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、永井部会長、荒井委員、遠藤委員、大西委員、樋口委員から御欠席との御連絡をいただいております。

19名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。

 なお、阿真委員は所用により途中で御退席されると伺っております。また、所用のため、私ども医政局長はおくれての参加となります。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1~3、参考資料をお配りしております。不足、落丁がございましたらお知らせください。

 よろしいでしょうか。

 先ほど申し上げましたとおり、永井部会長が本日は御不在ですので、以降の進行は田中部会長代理よりお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田中部会長代理 皆さん、こんにちは。ここから議題に移ります。

 前回の医療部会で、「療養病床の在り方等に関する特別部会」における議論について、説明が行われました。

 昨日の第7回「療養病床の在り方等に関する特別部会」において、「療養病床の在り方等に関する議論の整理(案)」が部会長一任になりました。

 事務局より説明をお願いします。

○地域医療計画課長 事務局でございます。

 資料1をごらんいただけますでしょうか。こちらが昨日開催されました「療養病床の在り方等に関する特別部会」の資料でございます。これを用いまして昨日議論がなされましたところでございまして、整理の最終版というのは調整中でございますので、まだ変更点も少しございますが、中身はおおむね変更はないということでございますので、この資料を御説明して、本日御議論をしていただければというところでございます。

 では、資料1の1ページ目でございます。「基本的な方向性」というところでございますが、これは平成29年度末に経過措置の期限が到来します介護療養病床及び医療療養病床のうち医療法施行規則の人員配置基準の特例の対象となっているものについての議論をこの部会でしてきたということでございます。

 これらにつきまして、どのようにしていくかという基本設計につきましては、1ページ目の下の2ポツの(1)の設置根拠等では、新たな施設類型は、要介護高齢者の長期療養・生活施設として介護保険法に設置根拠等を規定しつつ、医療法上も医療提供施設として位置づける等の規定の整備を行うべきであるとなっているところでございます。

 2ページ目をお願いいたします。一番上のところに、新たな施設類型に係る保険の適用に関しましては、介護保険法に新たな施設サービスとして規定することが適当であるとなっておりまして、給付範囲等は、新たな施設類型が現行の介護療養病床の機能を維持していくということを踏まえるということになっているところでございます。

 (2)の主な利用者像、施設基準(最低基準)のところでございます。1つ目の○でございますが、新たな施設類型は、現行の介護療養病床が果たしている機能に着目しつつ、患者の状態や地域の実情等に応じた柔軟な対応を可能とする観点から、介護療養病床相当でありますとか、老人保健施設相当以上の2つの機能を設けて、今利用している方を引き続き受け止めることができるようにしていくことが必要となっているところでございます。

 3ページに行っていただきまして、床面積等でございます。新たな施設類型の床面積等については老人保健施設を参考にすることとしまして、具体的には1室当たり定員4人以下、かつ入所者1人当たり8平方メートル以上とすることが適当である。ただし、多床室の場合にも、家具やパーテーション等による間仕切りを設置するなど、プライバシーに配慮した療養環境を整備すべきであるということが書かれているところでございます。

 また、(4)のところにもございますとおり、低所得者への配慮ということで、新たな施設類型は介護保険法上の介護保険施設として位置づけるということで、補足給付の対象とするということも書いております。

 「3.転換における選択肢の多様化」というところでございます。一番上の○ですが、転換を検討する介護療養病床及び医療療養病床については、新たな施設類型のほかにも、患者の状態や地域のニーズ、経営方針等によって多様な選択肢が用意されていることが望ましいということになっておりまして、居住スペースと医療機関の併設型への転換に際しても、その要件緩和措置を検討するということも書いておりまして、具体的には介護給付費分科会で検討するとなっております。

 4ページをお願いいたします。「4.経過措置の設定等について」でございますが、(1)の転換に係る準備のための経過期間ですが、こちらに関しても相当議論がございましたが、新たな施設類型を創設する場合には法整備が必要となるということで、報酬なども今後決定していく。それが、29年度末になるということが見込まれておりますので、そういったことに対応できるような経過期間を設けるべきという議論になっておりまして、その年数についても3年程度という御意見や、6年程度という御意見があったところでございます。

 また、3つ目の○のところでございますけれども、医療療養病床に係る医療法施行規則に基づく療養病床の人員配置基準の経過措置については、平成18年度改正の際の方針に従って、原則として平成29年度末で終了するが、必要な準備期間に限り延長を認めるべきとしておりますし、また、有床診療所については、過疎地域を含む、地域で果たす役割に鑑み、現行の医療法施行規則の人員配置基準の経過措置の延長を検討することが適当であるとも記載しております。

 また、4ページの一番下、(2)でございます。新たな施設類型の新設ということで、これは介護保険法の本則に位置づけると書いております。

 5ページ目に行っていただきまして、(3)でございます。各種転換支援策の取り扱いとしては、介護保険事業(支援)計画については、第6期計画の取り扱いということで、今後も継続する。これ以外の転換支援措置も継続していくべきであるというような御議論もあったところでございます。

 6ページ目に飛んでいただきまして、そのような移行措置の関連ということで、下から2つ目の○になりますが、「また、施設の名称については、例えば、病院が、一部を新たな施設類型に転換する場合には、全体について病院の名称を維持して運営できるよう、必要な要件緩和を認める」ということも記載しております。

 そのほかにも、これは診療報酬上のことでございますが、療養病棟入院基本料25対1の取り扱いのことは中医協で議論するでありますとか、7ページ目に行っていただきますと、老人性認知症疾患療養病棟につきまして、今後、引き続き検討していくということも書かれております。

 施設の転換のパターンとしましては、8ページ目、9ページ目にありますとおり、これも従来から御説明しておりましたものを少し配置基準などを書いたものでありますが、記載のようなパターンになっているところでございます。

 これらの議論の整理を踏まえまして、また医療法に関しても新たな施設類型を医療提供施設として位置づけるなど、必要な手当てを行っていく必要がございますので、その点につきましてはしかるべき段階で、この部会でも御議論いただきたいと思っているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対して、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 新たな施設類型ができるということですが、今でも医療機関の機能分化が進んできて、いろいろな機能があることで結構混乱している中で、介護施設はそれに輪をかけて複雑というか、たくさんございます。その中でまたふえるということになると、どういう施設なのかを一般の方たちにわかりやすく説明をしていただく努力をしていただきたいと思います。

 その中で6ページのところに、今御説明があったのですが、病院が一部新たな施設類型に転換する場合には、全体について病院の名称を維持するということになると、病院という名前になってしまうということが、これはまた混乱をする原因になるのではないかなと思いまして、そういった場合に何か配慮が行われるのかどうか、そのあたりは話し合いの中で出てきたのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

○田中部会長代理 老人保健課長、お答えください。

○老人保健課長 御質問ありがとうございます。

 この名称問題につきましては、今回の特別委員会の委員の先生方からは、これまで病院であったところの一部を例えば今回新しい施設にするのだけれども、全体としてこれまでどおり病院として名乗れないのかということで御意見をいただいたところであります。

 ただし、これは介護施設ということでございますので、介護施設の名称ももう一方で名称として名乗っていただくということが必要でございますので、それをどうするかにつきましては、今、内閣法制局のほうと、実際にこういったことができるのかどうかも含めて、今議論させていただいているところでございます。

○山口委員 ぜひ混乱を来さないような、わかりやすい呼び方を考えていただければと思います。

○田中部会長代理 ほかにいかがでしょうか。

 特に御質問がございませんでしたら、事務局は引き続き制度改正に向けての検討を進めていただくようにお願いします。

 2つ目の議題に移ります。先日、大学附属病院等のガバナンスに関する検討会が取りまとめを行いました。この取りまとめは、9月に事務局より説明のあった今後の主要な検討テーマの一つである医療安全確保に向けたガバナンス体制の構築に対応しています。

 この点について、事務局より説明をお願いします。

○医療政策企画官 事務局でございます。

 資料2と、あわせて参考資料のほうに取りまとめの本文がございますので、こちらを適宜御参照いただければと思います。

 まず、資料2の1ページでございます。大学附属病院等のガバナンスの検討に係る経緯でございますけれども、26年2月以降、東京女子医大、あるいは群大については22年から26年にかけてですけれども、両大学附属病院において医療安全に関する重大事案が発生しております。これを受けまして、社会保障審議会医療分科会で審議いたしまして、両病院の特定機能病院の承認取り消しに至っております。

 しかしながら、両病院の問題だけなのかというような観点から、きちんとチェックする必要があるということで、27年4月に省内に大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォースを設置し、特定機能病院に対する集中検査を実施いたしました。

 その結果も踏まえまして、2711月に「特定機能病院に対する集中検査の結果及び当該結果を踏まえた対応について」という報告を取りまとめております。

 それを受けまして、医療安全に関する特定機能病院の承認要件の見直しが行われまして、社会保障審議会医療部会においても審議いただき、28年6月には省令を公布し、施行通知を発出しておるところでございます。そのほかに、タスクフォースの報告では、ガバナンス改革に関して別途検討の場を設け、可及的速やかに結論を得るとされたところでございます。

 2ページでございますけれども、こちらはタスクフォース報告書の本文でございます。上半分で先ほど触れましたとおり、ガバナンス改革に関して検討の場を設けて可及的速やかに結論を得るとされまして、もう一つ、下のパラグラフのほうでは具体的にどういったことを検討すべきかというところを述べております。

 管理者は、基本理念を遵守し、医療安全管理体制の確保に責任を負う必要があると。そのためには、一貫した医療安全管理体制が確保されるように十分な知見を有し、またしっかりしたリーダーシップを発揮できる者を選任する必要があるだろうと。管理者として適切な人材が選任された上で、権限と責任を持って病院の管理運営に取り組めるよう、開設者との関係、病院としての意思決定のあり方も含め、さらに議論が必要であるとされたところでございます。

 3ページでございます。これを受けまして、本年2月から計5回、ガバナンスに関する検討会を開催し、先般取りまとめを行ったところでございます。具体的な内容につきましては4ページ以降になります。取りまとめ内容につきましては、後ろの10ページにイメージ図も作成してつけておりますので、適宜御参照いただければと思いますが、基本的には取りまとめ概要の4ページ以降で説明したいと思います。

 まず、基本的な考え方でございます。特定機能病院の大宗を占める大学附属病院につきましては、大学の一部門として教育・研究・診療の3つのミッションを同時に有しておりますし、また大学の中にあるために複雑なガバナンス構造のもとにある。そうした中であっても、患者の安全の第一とする高度な医療安全管理体制の確保が何よりも優先すべきと。これが全ての出発点、大前提ということを書いております。

 そうした観点から、以下3つの点について医療法上に明記することが考えられるのではないかとしております。1つ目が、特定機能病院については高度な医療安全管理体制の確保が必要だという点でございます。2つ目が、管理者が病院の管理運営権限を有しているということを明確化してはどうかという点。3つ目が、特定機能病院の開設者は、管理者の適切な選任の方法等、管理者が医療安全管理等を適切に行うことを担保するための体制確保に責任を負うべきではないか。この3点でございます。

 3つ目の○ですけれども、今後につきましては、厚労省は直ちに特定機能病院の承認要件の見直し等について、法改正を含めた必要な検討を進めるべきだと。法改正事項以外は省令等に組み入れて、大学病院の内部規程の改正を促していく。特定機能病院の関係者におかれては、法改正前であっても、各項目について法人・病院の体制、内部規程等を総点検いただいて、自主的に対応を進めることを期待するとしております。そして、国民の信頼に足る診療体制の再構築に向けて、改革を断行していだたきたいということでございます。

 具体的な内容につきましては5ページ以降になります。まず、病院としての適切な意思決定を行うため体制ということで、まず、アのところですけれども、管理者の職務権限の明確化を行うべきとしております。医療安全等を管理者が確保できるように、医療法上の位置づけも含めて、管理者が病院内外に対して、病院の管理運営に係る職務権限を有することを明確化すべきだというふうにしております。

 また、イのところですけれども、管理者が理事会等に参画して、病院運営に関する重要事項が審議される際には、きちんと病院側の意向が勘案されるようにすべきだというふうに御提言いただいているところでございます。

 6ページです。病院内のガバナンスということで、管理者をサポートする体制を充実すべきではないか。また、イですけれども、病院運営に関する会議の設置についても議論がございました。病院の重要事項の意思決定を行う等、適正な執行を確保するための仕組みを病院内に設けるべきではないかといった指摘を踏まえて、医師、看護師といった多職種の主要な病院幹部が病院の管理運営に係る重要事項を審議する合議体として「病院運営に関する会議」を位置づけ、その場での審議内容については、原則、職員に周知ということになっております。

 7ページをお開きください。病院の管理運営に対するチェック・牽制等でございます。外部有識者を含む理事会・監事等によるチェックということで、医療安全につきましては、先ほど省令を整備したところで申し上げた、省令の中で一つ、外部有識者が過半を占める監査委員会の設置も決まっているところですけれども、病院運営全般については、外部有識者を含む大学の法人の理事会・監事等が、管理者からの報告聴取の機会等を通じて、チェック機能を果たしていく、これが基本だとなっております。

 その上で、総合大学等、法人のガバナンス構造によっては、病院組織に対して外部から十分なモニタリングを行うという観点から、理事会等とは別に外部有識者を主体とする病院運営のモニタリング機関を設けるということにしてはどうかと御提言をいただいております。

 また、コンプライアンスに関する体制の整備についても不可欠だということが(2)でございます。

 (3)として、内部規程の公表、業務報告書を通じた情報開示を推進すべきとなっております。

 8ページ、管理者の選び方についてでございます。特定機能病院における医療安全確保の最終責任者の管理者の選び方については、透明性が確保され、出身等を問わず、最もふさわしい管理者が選考されるプロセスによるべきということで、以下の(ア)から(ウ)の要件を満たすように求めております。

 (ア)といたしまして、各病院において管理者に求める資質・能力に関する基準をあらかじめ定めて公表する。その中には、(1)として、医療安全確保のために必要な資質・能力というのが1つ。それに加えて(2)で、組織管理能力など、病院の管理運営上必要な資質・能力について、具体的に各大学で基準を定めていただくというのが(ア)でございます。

 その上で、広く候補者を募り、候補者がその基準に照らして適任かを、外部有識者も含めた選考委員会といった合議体できちんと審査をしていただくとしております。その選考委員会を設ける際には、理事会等でその委員を選定し、委員名簿、選定理由を公表いただくということにしております。

 審査の結果を踏まえて、最終的には任命権者がみずからの責任で選考を行い、その結果については、選考のプロセス、基準に照らした選考の理由とともに、遅滞なく公表いただくという、以上3つの要件を満たしていただくということにしております。

 9ページ、10ページをお開きください。取りまとめの報告書の内容は、以上のとおりでございますが、大学附属病院のタスクフォース及びガバナンス検討会における議論、報告を踏まえて、以下の項目について医療法を改正して、明記するということを視野に入れて、今後法制面の検討を進めてはどうかと考えております。

 1つ目が、高度医療を提供する使命を有する特定機能病院については、高度な医療安全管理体制の確保が必要であるということ。2つ目が、管理者が医療機関の管理運営権限を有すること。3つ目が、特定機能病院の開設者は、管理者が医療安全管理等を適切に行うことを担保するための体制確保に責任を有することと。この規定に基づいて、最終的には省令で管理者の選任方法等について改正をしたいということでございます。

10ページは、先ほど申し上げたとおり、取りまとめの内容をイメージ図でまとめたものになっております。

 その他、12ページ、13ページは特定機能病院制度の概要、13ページは6月に出しました承認要件の見直しの概要になっております。

 こちらからの説明は以上です。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対して、御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ちょっと確認をさせてください。9ページに、医療法の改正のことで、「以下の項目を明記することとしてはどうか」という3つございまして、1つ目と3つ目は特定機能病院と明記してあるのですが、2つ目の○については「管理者が医療機関の」となっています。これは特定機能病院に限ることなのか、そうではなく、全ての医療機関ということなのか、ここが見えていなかったので具体的に教えていただければと思います。

○田中部会長代理 企画官、どうぞ。

○医療政策企画官 御指摘のとおり、2つ目の「管理者が医療機関の管理運営権限を有すること」というところにつきましては、病院なり、診療所の管理者がその病院または診療所の管理運営の権限を有する、あるいは実際に職務を行っているということ自体は、特定機能病院に限ったことではないのではないかと考えておりまして、その意味で、ここはそれに限らず規定することが考えられるのではないかと考えております。

○山口委員 ということは、「全ての医療機関の管理者が」というふうに読めばいいということでよろしいでしょうか。

○医療政策企画官 はい。

○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。

○中川委員 今のは本当にそれでいいのですか。この医療法改正、「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース及び大学附属病院等のガバナンス検討会における議論を踏まえ、医療法を改正し、以下の項目を明記する」というのは、全ての医療機関に適用されることなのですか。

○医療政策企画官 基本的には今回のスコープは特定機能病院というふうに考えておりますが、この2つ目のところにつきましては、特定機能病院に限った話ではないのではないかなと考えまして、こちらで御審議いただければと思っている次第でございます。

○中川委員 総務課長、どうですか。

○総務課長 もともとここの部分、特定機能病院のガバナンスの議論をしている中で、今の医療法では管理者の責務ということはいろいろな規定がございますけれども、管理者がまさに病院長なりとして責任を持って医療機関の運営をつかさどるというところの規定が、医療法を見たところ欠けているのではないかということから、そこについて規定を整備し、院長がそういう権限を持っているということを明確にしたほうが、より院長の立場をしっかりしたものにするのではないかという観点から規定をしようということを考えているものでございます。

 そうした考え方につきましては、今、企画官から申し上げましたように、特定機能病院に限った話ではないのではないかと考えてございまして、私どものきょうの御提案としては、この部分につきましては医療機関にすべからく適用される規定ということで、医療法の中に盛り込みたいと考えてございます。

 ただ、この中身のところは、何か責務を新たにつくるという規定では当然ございません。管理者がそういう権限を有するという規定を書きたいというものでございますので、医療機関を運営されている管理者の皆様が日々果たしていただいている役割を医療法上もきちんと位置づけるという趣旨の御提案でございます。

○中川委員 管理者が病院長でない場合もあり得るわけですよね。

○総務課長 診療所も含めてということで考えております。

○中川委員 いや、管理者が病院長という名前でない場合もあるわけですよね。

○総務課長 医療法上、病院、診療所の管理者という言い方、管理者という言葉が定義になります。

○中川委員 病院長というのは法的な名前ではないでしょう。

○総務課長 それは法律上はございません。

 御参考までですけれども、例えば今の医療法の6条の10というのがございまして、病院等の管理者の責務という条文なのですが、病院、診療所または助産所の管理者は、医療の安全を確保するための指針の策定等々といろいろ書いてあって、措置を講じなければならないと、責務規定として書いてございますが、権限規定をきちんと裏腹として医療法上整備してはどうだろうかという御提案でございます。

○中川委員 大学病院でないところの管理者は、そんなことを法に書かなくても当然あるわけですよ。

 ちょっと気になるのは、違う議論で、ついでに全病院にするよというような感じで、丁寧ではないなと思うわけです。

 例えば、ある病院で、大学病院本院、特定機能病院以外で、病院長という名前をもらっているけれども、権限が全くないということもあり得るわけですよね。だけども、それはほかに誰かがしっかりやっているということもあるわけですよ。そうなると、いろいろな医療機関、病院の裁量というか自由度を制限することになりかねないのです。だから、簡単に病院長という名前を与えられないなということもあり、もともとそういう管理者ということに関する法律の記載があるわけですから、わざわざ権限もあるのだぞということを全ての病院に対して与える必要があるのかどうかというのはちょっと疑問なのです。

○田中部会長代理 総務課長。

○総務課長 ぜひ先生方の御意見もいただければと思います。まず、開設者は、まさに臨床研修等を終了した医師に病院または診療所を管理させなければならない。これが医療法上の管理者に関する規定、第10条でございますので、まさに医療法のたてつけとしましては、開設者がまずいらっしゃって、開設者が管理者を選んでいただく。その管理者に医療法上遵守していただくべきいろいろな責務を守っていただくということが医療法のルールになっているということでございます。

 実効上、誰が実質的な権限を有しているかというお話であったかのように今受けとめたのですが、そうした医療法上、管理者が責任を有していただくに当たって、実際の裏腹としての権限があるということについて、今回明確にさせていただければということでございますが、御指摘をいただければと思います。

○田中部会長代理 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 この内容がどうこうよりも、やはり決め方の問題だと思います。前回もたしか遺伝子検査のタスクフォースで検討していたのを全部の院内検査にも当てはめたということで、そのときも私は指摘したのは、ちょっと違うのではないかと。ついでにやっちまえというのはおかしい。遺伝子検査ではそれでいいのですが、ほかの検査に広げるのだったら、その検討会なりを開いて議論して、今、課長が言ったような提案をきちっと出していただいて議論すべきだと。

 今回の提案はは大学附属病院の改革に関する検討会で議論したことであり、今、山口委員が言わなければ、これは特定機能の事とみんなは見てしまいます。全ての病院にかかわるのであれば、そのように議題の提出の仕方をすべきだと思います。

 同時に、今の医療法ではこうだとか、いろいろ言葉で説明しましたが、そういうことをきちっとペーパーで出していただいて議論しないと。何か意見はございませんかと言っても、私たちの手元に医療法に関する資料等はありません。やはり進め方が乱暴だと思いますので、内容に反対するという意味ではなくて、きちっともう一回ルールをしっかり守った中で出していただきたいと思います。

○田中部会長代理 加納委員、お願いします。

○加納委員 再確認ですけれども、例えば6ページとかその他のところに載っている管理者というのは、そういう意味ではこれは大学のではないのですね。一般の病院の院長も指すということですか。これは頭に特定機能病院がついていないと。

○医療政策企画官 御質問ありがとうございます。

 報告書の中、あるいは先ほどの取りまとめの概要を説明させていただきましたけれども、この中で書いてある話は特定機能病院の話に全体がなっております。その上で、今回御提案として9ページのほうで、この部分についてはほかについても同じと考えるのが自然ではないかと。また、新たな責務等、負担をかけるような部分ではないので、同じと考えてよろしいのではないかということで御提案させていただいたという次第でございます。

○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。

○中川委員 総務課長、さっきのところを言い直してください。9ページの2つ目の○。一般の病院を含むわけではありませんと言い直しましょう。そういうことですもの。

○総務課長 繰り返して大変恐縮でございますが、本日御報告している大学病院等のガバナンスに関する検討会につきましては、特定機能病院に対してどのようなガバナンスを確保するための措置が必要かということを御議論いただき、きょう御説明した8ページまで、取りまとめの概要ということで書かせていただいている、報告書をお取りまとめいただいたというものでございます。

 これを踏まえて必要な医療法の改正を考えるときに、9ページで本日医療部会の委員の皆様にお諮りしていますのは、この議論を踏まえて医療法を改正するに当たって、この3点を検討事項ということで考えられないかということを考えているわけでございまして、確かに2つ目の○について、一般の医療機関を念頭に議論した検討会ということはないというのは先生御指摘のとおりでございまして、その点については議論の進め方として指摘をいただいたということで受けとめさせていただきたいと思いますけれども、私どもとしては医療法の改正でございますので、それを医療部会にお諮りするに当たって、ここにつきましては一般の医療機関も含めて御提案を申し上げているということでございます。

 逆に、これを特定機能病院だけに限るということについて、理屈があるかどうかというのは法制的な議論にはなってこようかと思ってございまして、私どもこの点につきましては、特定機能病院だけに規定するということは、法律上のたてつけとして可能かどうかという観点もございますので、ここはこの規定をやるかやらないかという択一ぐらいしか、もし一般には適用が難しいということであれば、そうしたことを考えていかざるを得ないのではないかと考えております。

○田中部会長代理 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 ちょっと分からないのですが、ほかのところは全部特定機能病院に限ったことを書いているので、ここは中川委員が言ったように、特定機能病院とつけておかしくなることは何もないと思います。少なくとも委員の中で、さっきの説明で、山口委員が質問する前に、ここの管理者等々が全ての病院にかかわると判断した人がいるのでしょうか。私はできませんでした。

○田中部会長代理 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 このスライド9の真ん中のところが、特定機能病院だけでなく全体にかかるというのは、私もきょうの御説明を聞いて初めてわかったのですけれども、素直に考えれば、管理者が医療機関の管理運営権限を有するというのは、当たり前と言えば当たり前のような気がして、御説明を聞いた限りでは、提案の仕方として注か何かをつけておいていただければもっと親切だったかなと思いますけれども、内容については別に問題はないのかなと感じました。

 それから、全体の提案に対しての意見ですけれども、そちらも申し上げてよろしいでしょうか。

○中川委員 ちょっと待ってください。今のところだけにしましょうよ。終わってからにしてください。

○菊池委員 そうですか。

○田中部会長代理 どうぞ。

○中川委員 ここを「特定機能病院の管理者が医療機関の管理運営権限を有すること」とすることで、何か支障はありますか。

○田中部会長代理 総務課長。

○総務課長 特定機能病院に関してそうした規定を設けるということについては、支障はございません。

○中川委員 それではそうしましょうよ。

○総務課長 ただ、特定機能病院以外の医療機関についてはそうした事情がないのかというのは、法制的な論点が生じますので、その点については、やはりここはほかの医療機関についても当てはまる内容ではないかということから、そうした御提案をこの9ページの資料で医療部会の先生方にお諮りをしているということでございます。

○中川委員 1ページの東京女子医大と群馬大学のこういう問題が起きてからの流れで今議論しているのではないですか。それを最後についでに、全ての医療機関を対象だと、文脈が全然違うでしょう。これは総務課長、おかしいですよ。誰が考えても。言い出してしまったから、引っ込みがつかないから頑張るなんていうことをしないでくださいよ。この2つ目の○に「特定機能病院」をつけましょう。それで決着ですよ。それなら了解します。

○田中部会長代理 総務課長。

○総務課長 特定機能病院に関する規定の創設については、私どもとしてはぜひやりたいと思ってございます。ただ、それだけで済むかどうか、少し法制的な論点もございますので、私どものほうでさらに検討させていただきまして、改めて先生方に御相談を申し上げたいと思います。

○田中部会長代理 山口委員、どうぞ。

○山口委員 最初に申し上げた理由といいますか、先ほど西澤委員がおっしゃったのですけれども、もしかしてこれは全ての医療機関にかかるのではないかと考えたとき、多分皆さんもそう思っておられなかったであろうと思いました。

 実際に、特定機能病院以外が管理運営権限のことについて、どのような医療機関がどんな問題があるかということが全く明らかになっていなくて、そこが全部に当てはまるのではないかというように言われることで、何となくもやもやした納得いかないものがあるのだと思います。

 ですので、さっき西澤委員がおっしゃったように、ほかの医療機関でどうなのかということをしっかりと見えるように議論した上でということにしたほうが、順序としては私もいいのではないかと思いました。

○田中部会長代理 相澤委員、お願いします。

○相澤委員 私もこれが全ての医療機関にかかるとは全く思っていなくて、もし法制的に、要するにここのところが「医療機関」というぐあいに書くのが全部にかかっておかしいというのだったら、「特定機能病院」とすればいいだけですよね。「特定機能病院の管理者は特定機能病院の管理運営権限を有すること」と書いてしまえば、医療機関が入らないからいいわけでしょう。

 きちんとこういうことを決めるのだったら、やはりこういう場でしっかりと検討するとか、あるいは検討会で検討して、それを積み上げて、みんなの意見の結果として上申すべきではないかなと私は思って、それが全くないまま、ここで全ての医療機関ですと言われて、はいそうですかというのは、どうしても私はおかしいと思うし、民主的でないような気がいたします。

 以上です。

○田中部会長代理 尾形委員、お願いします。

○尾形委員 本件に関して手続論は問題がありそうだと思うのですが、先ほどのお話の中で、仮に特定機能病院だけに限って管理者が大学病院の管理運営権限を有すると規定して、ほかはそういう規定がなかったときに、法制度上はかなりアンバランスが生ずるのではないかと思います。つまり、特定機能病院だけをこの2番目の○の対象にしたことによる問題というのをもう一度整理をして、次回になるのかもしれませんけれども、示していただければと思います。法制度上どういうアンバランスが生ずるのかということです。

○田中部会長代理 どうぞ。

○中川委員 尾形先生、なぜ特定機能病院があえてこうしなければならないかというと、診療科ごとに一つの病院なのですよ。そういう特定機能病院が管理者に権限を有すると、法律で書いてあげなければ、権限なんかは来ないのです。だからこうしているのです。一般の病院とは全然意味が違うのです。特定機能病院は一つの診療科が一つの大病院なのですよ。そういう意味でこういう議論をしてきたわけではないですか。一般の病院は問題がないとは言いませんよ。だけど、ついでに全部の医療機関を対象にしようというのは、全くこれは問題だと思いますよ。

○田中部会長代理 楠岡委員、お願いします。

○楠岡委員 今の中川委員の御指摘のとおり、この話として、特定機能病院の管理者が病院全体の管理運営権限を有することを明示化するという形になったわけですけれども、今までそういう明文化されたことがなくても、一般の病院では、私も病院長を9年やっていましたけれども、当然、管理運営権限があると思ってやってきたわけで、そこは言うならば不文律的なものであったのが、今回問題になった中で、特に特定機能病院ではそこを明文化せざるを得ないという結論になりました。

 そのときに、では今まで明文化されていなかったものをこの機会に明文化する必要があるのかどうかというところで、今の議論が出てきているところですが、確かに議論の手続とか順番としてはいささか問題点はあるかと思いますけれども、こういうことをどこかの時期で明文化しておく必要はあるのではないかと私は考えます。

○中川委員 総務課長、現行法で管理者は責務があるのですね。それで何が不都合があるのか。現実的に、責務の後には、きちんとやっていれば同時に必ず権限もついてくるのです。わざわざ全ての医療機関を対象にこれを法改正で適用するというのは、いろいろ無理が生じてくる。

○田中部会長代理 総務課長。

○総務課長 本日いただきました御指摘を踏まえまして、さらに私どものほうで検討し、また御相談申し上げたいと思います。

○田中部会長代理 2番目の○についてはさらに事務局で検討いただくことにして、1番目と3番目については特に反対がなかったという理解でよろしいですね。2番目についてはきょうは結論が出ていませんので、さらに検討を深めてください。いずれにせよ、ちゃんとした結論になった上で制度改正に向けて進むようにお願いします。ありがとうございました。

 ほかに、大学病院についてはよろしゅうございますか。どうぞ。

○安部委員 資料の6ページと10ページに病院運営に関する会議というもが示されており高度な医療安全管理体制の確保のために必要だという位置づけになっております。私自身は開局の薬剤師でありますので、特定機能病院の複数の薬剤部長、責任者の方に、これについて御意見を求めて確認をしましたけれども、医療安全にかかわる病院でのさまざまな会議には、薬剤部の責任者が必ず参加をさせていただいていると思っております。

 今回、ガバナンス改革、病院経営に関する会議において、より高度な医療安全管理体制の構築の観点から、薬剤部門の責任者が会議に参加するということは引き続き必要と私は認識しております。

 一方、6ページのイの4行目あたりに、「医師、看護師といった多職種の主要な病院患部が」と書いてございます。多職種の中に薬剤師は入っているという認識かもしれませんけれども、先ほど言いましたように、現状でも薬剤師は医療安全のためにしっかり頑張っていますので、こういう書きぶりが、むしろ薬剤師は新しい運営会議に参加しにくいとか、参加する必要がないというような誤解が生まれないよう、今後この報告書をもとに省令とか通知などをおつくりになる際にしっかりと御配慮いただいて、医療安全の確保に資する会議に薬剤師が参加できるようにしていただきたいと思っております。要望であります。

 以上です。

○田中部会長代理 楠岡委員。

○楠岡委員 ただいまの薬剤師の役割に関しましては、今回の施行規則の改正の中で、今までは医師、薬剤師または看護師から専従者が一人いればいいということを、医師、薬剤師、看護師それぞれの専従者を置くということで、そこはしっかり配慮されていると思います。もし薬剤部長が入っていないような会議体であれば、それ自体が特定機能病院の資質の問題になるかと思いますので、余り心配されなくてもいいのではないかと思います。

○安部委員 そういうお言葉をいただければ安心しておりますけれども、確かに12ページにそういう記載がございますので、むしろそこで薬剤師が規定してあるからこそ、そういう誤解がないようにお願いしたいということでございます。

 以上です。

○田中部会長代理 本多委員、お願いします。

○本多委員 質問ですが、13ページに見直しの概要が出ておりまして、一番下のところに外部監査が新たに盛り込まれていますが、開設者による監査委員会の設置と書いてありますが、これは具体的にはどういうことをイメージされているのでしょうか。

○保健医療技術調整官 今回、6月の特定機能病院の承認要件の見直しの中で、今御指摘いただきました外部監査について設置をするということが必須になっておりまして、利害関係のない方に委員になっていただいた上で、年に2回以上開催をしていただきまして、特定機能病院の中の医療安全にかかる取り組みについて監査をいただくということで、今回義務化をしたものでございます。

○本多委員 そうなりますと、それぞれの特定機能病院が委員を選んで行うという考えなのでしょうか。開設者が設置と書いてありますので。

○保健医療技術調整官 御指摘のとおりです。

○本多委員 個人的な思いですが、例えば今回の事案を起こした病院も日本医療評価機構の評価を受けているわけですが、そういった外部の客観的な機関が外部監査をする形にしたほうが、他の病院との対比もできますから、こうした方向性も検討できないかなと思ったのです。

 ここの下に「特定機能病院間の相互チェック」とありますが、これも現状からしてどうなのかなという感じがしますので、第三者的な機関に委託する形のほうがよりいいと思った次第でございます。

○田中部会長代理 楠岡委員、どうぞ。

○楠岡委員 相互ピアレビューに関しましては、既に労災病院とか国立病院機構では行われておりますし、大学病院でも、今回法的に求めたものですけれども、以前から一部ではやっておられます。したがって、実際の相互ピアレビューに関しては実施可能であるし、実際にそれは効力を上げているとお聞きしております。

○田中部会長代理 情報をありがとうございました。

 菊池委員。

○菊池委員 医療において患者の安全というのは最も重要なことだと思っております。特定機能病院の医療安全確保の体制をより強固なものにするために、9ページの提案については賛成で、先ほど座長も確認されましたけれども、医療法上に明記することには賛成です。

 また、看護職は医療従事者の中でもニーズが多くて、患者に近いところで直接医療介護を提供しておりますので、医療安全ということを組織的にも重視して活動しております。医療安全管理者の養成研修を行ったり、医療安全、事故に関するガイドラインを発行したり、医療安全担当者会議とか、医療事故調査制度にかかわる専門家連絡会議なども開催したりしております。

 このたび、6ページのとりまとめ概要のところで、病院運営に関する会議の設置が明記されまして、そこに看護師の幹部も参画することが言及されているということで、医療安全における看護職の役割・責務は大きいものと改めて認識をしております。

 一方で、本会がことし開催しました特定機能病院の医療安全に関する看護管理者の会議におきましては、看護管理者が看護部内での医療安全は推進できても、病院全体としての医療安全推進において権限がなく、意思決定に参加できなかったり、権威勾配のために十分に活動できないなどの課題も提起されておりました。

 この医療法改正により、特定機能病院のガバナンス改革が進み、風通しのよい組織としてマネジメントされ、看護職が医療安全における役割・責務を十分に発揮できるように、看護管理者の安全管理上の権限や意思決定の参画等についても検討されますことを期待しております。意見でございます。

 以上です。

○田中部会長代理 御意見ありがとうございます。

 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 先ほどの件に戻るのですが、検討会の結論として、先程のところは特定機能病院だけではなく、全ての医療機関と決定されたのでしょうか。

○田中部会長代理 企画官、どうぞ。

○医療政策企画官 先ほども申し上げましたとおり、報告書、あるいは検討会での議論は特定機能病院をスコープに入れて一貫して議論をしておりますし、取りまとめの内容自体も特定機能病院を対象にしたものとなっております。

○西澤委員 わかりました。ということは、検討会の段階でそのような議論が全くなかったと。報告書ができてから、厚労省がこれを一般病院に広げたという解釈でよろしいですか。

○総務課長 検討会の報告書で御提言をいただいた法改正の内容を検討していく中で、法制的な観点から、先ほどバランスという御指摘もありましたけれども、バランスの観点から特定機能病院だけに規定を創設するということはなかなか難しい面があるのではないか、これは並びの話ではないのかという観点から、医療部会の委員に御提案をしているというものでございます。いずれにしても検討いたしまして、また。

○西澤委員 わかりました。

○田中部会長代理 どうぞ、相澤委員。

○相澤委員 13ページのところで、特定機能病院の安全の管理のために、医療安全管理責任者を病院長が任命することになるのですよね。それでよろしいでしょうかということが第1点。

 そして、任命したとすれば、その医療安全管理者と病院長である管理者との役割分担とか、そこは一体どうなるのか。ここの図ではちょっとわかりませんので、医療安全管理者が管理者たる病院長に例えば報告義務があるのか、その辺はどう議論されたのか、少し教えていただければと思います。

○田中部会長代理 調整官、お願いします。

○保健医療技術調整官 2つ御質問をいただいたと思います。まず1点目でありますけれども、医療安全管理責任者については病院長が決めるのかというのは、おっしゃるとおりでございまして、管理者の責務としてそういう方を配置していただくということになっております。

 具体的にどういうことをやっていただくかということでありますけれども、医療安全管理部門、それから医療安全管理委員会、それから医薬品とか医療機器の安全管理責任者を統括する方ということで、医療安全を担当しているような副院長クラスのドクターということで今回新たに決めたものでございます。

○田中部会長代理 どうぞ。

○相澤委員 私が質問したのは、医療安全管理責任者と管理者である病院長との関係と責任分担はどうなるのかということなのです。要するに、病院長が指名した人だと、どちらかというと病院長寄りになる可能性が非常に強いと思うのですね。そうなったときに、いかにそこの安全を担保するのかというのは、適切な距離を保ちながら、そこにガバナンスが効く仕組みをつくらないといけないのではないかと思って質問をさせていただいたので、そこの点はお答えではちょっと明確ではなかったと思っております。

○田中部会長代理 お答えをお願いします。

○保健医療技術調整官 特に報告の義務ということを規定しているわけではございませんけれども、当然病院長を補佐していただく副院長の中で、特に医療安全を担当されている副院長の先生に医療安全管理の部門を統括していだたいて、病院長を補佐していただくというたてつけになってございます。

○相澤委員 医療安全というのは、私は非常に重要な部門だと思うのです。そこには、適切なガバナンスが効いていないと、一人歩きしてしまうと思うのです。今のままですと、医療安全管理者を任命しました、そうすると医療安全管理者が医療安全部門を全て統括して、それでやっていきますというお答えだったのですが、本当にそれでいいのかというところが少し疑問を感じていましたので、少しお話をさせていただいたのです。

 というのは、今、医療機能評価機構で大学病院の評価をどうしようかという議論をしています。その中で起こってきているのが、医療安全管理部門の長と病院長の関係性をどうするのか、そしてそこできちんとした透明性を保ってやっていくということが医療安全には非常に必要ではないかと思っていて、ぜひそこのところのどういう仕組みでやっていくのかはぜひ書き込んでいただきたいと思っております。これは意見です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。これは今回の医療法改正ではなく、既に施行されている話ですね。

○相澤委員 御指摘のとおりです。

○田中部会長代理 引き続き、実態が進化するように期待いたしましょう。ありがとうございます。

 ほかに議題2について。山崎委員、お願いします。

○山崎委員 先ほどから御意見を拝聴していますが、この問題は群馬大学とか東京女子医大の事件があって、きちんと検討したほうがいいということで、責任者と変えるということでしているわけですが、今回、群馬大学では十六、七人の手術の失敗例が見つかるまでわからなかったというようなケースを、今度の内部統制の図に当てはめた場合に、それが果たして予防できるのかなと思います。

 というのは、腹腔鏡の手術は、執刀医がいて、サブがいて、看護師がついていて、麻酔医がついているわけではないですか。十数例まで失敗するまで外に出ないという体制自体が問題で、ついている看護師が「あの先生はどこか変ですよ」とか、麻酔科などの先生が「あの先生に執刀をさせるとまずいですよ」とか、もうちょっと何か未然に情報が出ると思うのですね。だから、単にこういう責任者をつくっただけで事故がなくなるのかということを考えたときに、そういうことと事件を予防するということとは全然違うような気がします。

○田中部会長代理 御質問ですか。それとも御意見ですか。

○山崎委員 意見です。

○田中部会長代理 ありがとうございます。さらにそちらも院内でそれぞれ体制をつくって。

○山崎委員 色々な職種の人が現場に入っていながら、所属長に意見が上がっていかないかいう体制自体が問題だったと思っています。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 楠岡委員、どうぞ。

○楠岡委員 私、医療分科会の分科会長もしておりまして、この事件に関する検討に何回か携わった者であります。その経過に関しては非公開ですので、結果しか出ておりませんが、分科会の中では今先生が指摘されたようなことが非常に問題になり、そこを何とかしなければならないということで、今回昨年4月に答申を出したときに、通常であれば2つの当該病院の特定機能病院の取り消しのみの答申ですが、新たに第三の答申としまして、特定機能病院における医療安全体制にそもそも何か問題があるのではないかという指摘をさせていただきました。単に制度だけの問題ではなくて、俗に言う権威勾配のようなものがあって、病院内の意見がうまく伝わっていなかったのではないかということも含めて検討していただきたいということで、意見書を分科会でお出ししました。

 それの流れとしまして、全特定機能病院の実地調査が行われたり、タスクフォースができたりして、最終的にこのガバナンスの報告書と、6月の制度改正につながったと認識しております。

 ですから、先生の御指摘された点が一番根本的には問題なのですけれども、それは文化であって、法律とかで書いてすぐに変わるものではないことは十分認識しておりますけれども、そこは今後とも全員が認識してやっていかざるを得ない点ではないかと思っています。

 これは、大学病院で特に顕在化したわけであって、他の病院においても多少そういう傾向はあるかとは思っておりますので、医療安全面においては透明性を高めるということと、権威勾配なく相互に意見が言える環境をつくっていくというのが非常に大事なことかと思っています。分科会でもそれを認識しまして、今申し上げたような3番目の意見書を出している次第でございます。

○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。

○中川委員 山崎先生の御心配も全くそのとおりだと思います。

 それで、資料2の最後、13ページを見てください。我々検討会で、先生の思っていることと同じことを思っていまして、群馬大学なんかは早い時期にこの医者に腹腔鏡の手術をやらせたらだめだとみんな思っていたと思いますよ。それが言えなかったというのは、言ったら大変なことになるのですよ。そこで、この13ページの「内部通報窓口機能を義務化」、これを絶対すべきだと。むしろこれを使った人は勇気ある行動だといって褒めたたえようと。そこまで報告書に書いたはずです。そういうことがわかるように記載したはずですよ。これをいかに機能させるかなのです。

 ほかのところも、みんなそうです。重大事故を起こしたところは、周りはみんなわかっているのです。だけど、相手が教授だとか。慶應でもありましたよね。手術の際にサンプルを許可なく採取したとか。あれも、おかしいとみんな思っていたのですが、言えないのです。だから、勇気ある告発をした人を褒める、表彰するぐらいの仕組みまでしないと、なかなかできない。ということで、13ページのこれは注目していきたいと思っています。

○田中部会長代理 総務課長。

○総務課長 今、中川委員から御指摘があった内部通報窓口のほかにも、今回13ページをごらんいただきますと、これまで必ずしも死亡事故が全て医療安全管理部門なり管理者に上がっている仕組みにはなっていなかったというのは、御指摘等もございまして、全ての事故事例についてそうした報告を義務化するということを特定機能病院に関して行ったり、その後、その医療機関にとって初めての高難度な医療技術につきまして、しっかりその適否を確認する部門を設置する。これを特定機能病院の承認要件の中につけ加えて、6月から実施をしてございます。補足させていただきます。

○田中部会長代理 阿真委員、どうぞ。

○阿真委員 帰る前に、話が進んでいるところで戻して申しわけないのですけれども、9ページの2つ目の○の先ほどの話で、これは検討してくださるということで、もう言うことはないのですけれども、これは特定機能病院から一般の病院全てに範囲を拡大したとして、どんな問題が生じるのかとか、特定機能病院だけだとどうなるのだということは、私にははっきり言ってわかりません。ですけれども、これがばれなければいいみたいな感じで上がってくるというのはすごく残念なことで、厚生労働省の方々も、また先生方も、いつもこういう問題に関して、いいことも悪いこともなるべく誠実にお話し合いをしてくださっていると思って私は参加しているので、急にこういうふうにとても残念な形で上がってくると、そのとおりに私は受け取って、なるほどこういうことか、こういうふうに頑張っていらっしゃるのだと思って受け取っているところがあるので、こういった形で、ばれなければいいみたいな形で上がってくるのはすごく残念だなと思いました。

 以上です。

○田中部会長代理 企画官、どうぞ。

○医療政策企画官 私の説明が不十分で、言い忘れていたために山口委員から御指摘をいただき、こんな御議論になったと思うのです。そのようなつもりではなくて、申し上げようと思っていたのを失念していただけでございます。済みません。

○田中部会長代理 山口委員。

○山口委員 また一つ前に戻しますけれども、先ほどから相澤委員や山崎委員から御指摘があって、私もタスクフォースからずっとこのガバナンス検討会にかかわり、そして、今承認要件見直しの内容について、厚労省の検討会ではないのですけれども、研究班の中で、例えばどうすれば院長と医療安全管理責任者とのいい関係づくりができるか、どんな研修の仕方がいいのだろうか、そういったことを話し合って提案をするということを、今ずっと議論をしているところでもございます。

 先ほど、総務課長からもお話があったように、死亡例全例を上げるようなことを義務づけたとか、あるいは特にいろいろな特定機能病院で、高難度の技術についての定義をつくるということがとても苦慮されているという現状が出てきましたので、そういった今までの問題点をかなり踏まえて今回いろいろと対策を練っているというのは実感をしていますので、その中でまたさらに出てこないようにする必要があると思うのですけれども、かなり具体化しているということを私からもお伝えしたいと思いました。

○田中部会長代理 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員 今、13ページの図に関して疑問があるので少し申し上げたいのですけれども、見直し前の内部統制の医療安全管理部門のところで、「医師、歯科医師、薬剤師又は看護師から」というところが、見直し後は「歯科医師」が抜けている。これは「専従の医師」の中に歯科医師が入っているのかどうかということをお伺いしたい。

○総務課長 概要の資料を今ごらんいただいての御指摘でございますが、通知の中ではそこの手当ては行ったと記憶してございますので、ちょっと今確認をさせます。標榜はあるはずなのですけれども、ないところもある。

○山口委員 議論の中では、医療安全管理部門の中の専従者として、医師、薬剤師、看護師を専従として置くということが決まったことで、ここに書いてあるのは医療安全管理部門ですから、またそこは違うのではないかと思います。管理部門の中にもし歯科があれば歯科の方も入っておられると思いますけれども、今回、特定機能病院の中で医療安全管理部門の専従者として3役を置くということになったと解釈しています。

○総務課長 確認をするので、少しお時間をください。先にほかの御質問があれば、いただければと思います。

○田中部会長代理 ほかに、御質問はございますか。今の点は確認していただきます。

 時間の都合もありますので、大学病院の今の牧野委員の御質問については、答えが後ほど見つかりましたら御説明ください。

 最後の議題に移ります。現在、厚生労働省では、望ましい医療従事者の働き方等のあり方について検討するため、新たな医療のあり方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョンを検討していると聞きます。

 この検討会の状況等について、事務局より説明をお願いします。

○医師・看護師等働き方改革推進官 事務局でございます。資料3でございます。新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会の状況及び今後のスケジュールにつきまして御説明申し上げます。

 1ページ目をごらんいただければと思います。上の囲ってある部分に2つ◆がございますが、2つ目の◆の部分でございます。我が国、日本の医療を取り巻く環境につきましては、ここにございますように、多死社会の到来でありますとか、ICTAIの発展、技術革新といったことでございます。地域包括ケアの推進や地域医療構想を踏まえた病床機能の分化など、非常に大きな変化に直面をしておりまして、こうした変化を踏まえまして、我が国が目指す新たな医療のあり方と、このあり方を踏まえた医師・看護師等の新しい働き方・確保のあり方を検討するという必要がございまして、このため、1つ目の◆の部分でございますけれども、ここにございますビジョン検討会といいますものを本年10月に設置し、第1回目を開催したということでございます。

 このビジョン検討会の構成につきましては、下の左側の部分のほうに書いておりまして、全16名の構成員の方にメンバーになっていただいているところでございます。

 右側に参りまして、「本検討会に期待される成果」という部分でございますけれども、この検討会におきます検討の成果が、1つ目の◆の部分にありますように、今後の医療のあり方や、これを踏まえた医療従事者の働き方に関する、ここには「基本哲学」でありますとか、これからの医療政策の「背骨」となるものと書いてございますが、非常に大きな考え方、基本的な考え方というものをここで御議論いただきたいということでございますとともに、その下にありますように、新たな時代にふさわしい医療介護従事者の需給推計のあり方の起点となるもの、これは例えば医療従事者の働き方というのが需給推計の結果にも影響を与えるということもありますでしょうし、医療提供体制につきましても、そのあり方というのが需給推計にも影響を与えるということもあろうかと思います。そういう意味で、起点というふうに書いてあるものでございます。とともに、3つ目にありますように、医療従事者の確保の具体的な方策についても、ここで大きな考え方について御意見をいただきたいという意味でございます。

 これまでと今後のスケジュールでございますが、現在、第5回目まで開催しているところでございます。これまでの開催につきましては、構成員の皆様方からの考えを伺い、構成員の皆様からの意見発表、プレゼンテーションをしていただいたということでございます。

 今後につきましては、下から2つ目にございますように、現在、医師の働き方・勤務状況に関する全国的な調査研究ということで、実態調査の実施がちょうど始まったところでございます。こちらの結果が1月中ぐらいにまとまるという状況でございますので、その結果もこのビジョン検討会の中で提供していただきまして、この調査結果も踏まえた具体的な施策などもこの検討会で検討していただき、一番下にございますように、本年度中を目途に取りまとめをしていただくというようなスケジュール感で現在検討していただいているということでございます。

 2ページ目以下でございますが、こちらは参考までにということで、これまでのこの検討会の中で検討していただいております全体構造ということで、これはこれまでのビジョン検討会の中で資料としてお出しをしているものでございます。

 左側に「ビジョン」という青くなっている部分がございますけれども、4つの大きなくくりで御議論いただいております。1つ目が「地域で市民と患者の生活を支える」、2つ目が、3ページ目に参りまして、「専門性の追求と人生の選択の両立」、3つ目が「生産性と質の向上」、4ページ目に参りまして、4つ目が「経済活力(イノベ・国際化)への貢献」の関係の話でございます。大きくこういったくくりで、目指すべき姿と、それに向けての課題や対応策について、今後引き続き具体的に検討していただき、年度内の取りまとめを目指して御議論いただくというスケジュールで進めているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対して御質問、御意見があればお願いいたします。

 尾形委員、どうぞ。

○尾形委員 私は医療従事者の需給に関する検討会の委員であるとともに、看護職員の需給分科会の座長も務めておりますので、その立場から1点コメント、2点要望を申し上げたいと思います。

 1点目は、今回のような進め方、つまり需給検討会での検討を途中で事実上中断をして、こういう他の検討会の検討を行って、その検討結果に基づいてまた需給検討会を再度動かすというやり方については、私は極めて異例かつ非礼だと思っております。礼を失していると思いますので、こういう進め方について私は納得しているわけではないということは明確にしておきたいと思います。

 その上で2点要望ですが、この資料の1ページで、「本検討会に期待される成果」の2番目の◆のところですが、「医療・介護従事者の需給推計の在り方の起点」と書いてあって、この「起点」という言葉の意味は不明ですが、もし需給検討会に対して基本的な考え方を示していただくということであるのだとすれば、ぜひ明確な方針を示していただきたいと思います。

 2点目として、率直に言って、私は需給推計のスケジュールについては大変危惧を感じております。もともと需給検討会は年内の取りまとめを目指すと言っていたはずで、それはやはり次期医療計画の見直しのスケジュールもにらんで、かなり忙しいスケジュールを組んでいたはずですが、これを見ると半年以上もおくれることは確実であります。

 1つはまず都道府県等の関係者に迷惑をかけないよう、十分配慮していただきたい。それからぜひ事務局にお願いしたいのは、需給検討会は来年4月以降再開することになるのだろうと思いますが、その前に十分必要なデータあるいは資料を準備しておいていただきたいということです。医師については全国的な調査研究もやるようですが、看護についても必要な調査あるいはデータ等をぜひその期間に準備をしていただきたい。そして、再開されたら迅速かつ効率的な議論ができるようにしていただきたい。これは要望です。

○田中部会長代理 ありがとうございました。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私も尾形委員と全く同じ意見でございます。私も親会と、3つある分科会全て委員を務めておりまして、実際にきょう御発表いただいたビジョン検討会の内容を拝見しますと、例えば「基本哲学」とか「背骨」という表現がありますけれども、非常に理想とか総論めいたことになっています。そういったことを話し合っているこの会を待って、需給の分科会関連の会議をとめているということの意味がわからないと思っています。

 なぜストップしているかということについて、今、非礼というお話がございましたけれども、委員に対しての説明も一切ない。そういう中で、ただ単に中止になってストップしているだけの状況は、私も非常に失礼だと感じています。

 実際に、経済財政諮問会議の中で、この問題は12月中に結論を出すと言っていたにもかかわらず、12月中の委員会は全て中止ということになって、このビジョン検討会自体が年度内ということになると、それを待って次の需給分科会などを始めていくのかと思いますと、12月中に答えを出すと言っていたことに対しての責任を誰がおとりになるのか。そういったことも含めて非常に疑問を感じているところでもあります。

 ぜひそのあたりのところを私も要望として、何も説明もなく待たされて、ではこの検討会がまとまりましたから議論を再開してくださいと言われることについては、一委員としても非常に疑問を覚えています。

 先ほどの「本検討会に期待される成果」の2つ目の「需給推計の在り方の起点」というのは、私もちょっとひっかかりまして、既に今、医師分科会では推計が行われたにもかかわらず、ここが起点になるのかということについても、きちんと明確な説明をいただきたいと思っております。

 以上です。

○田中部会長代理 厳しい御指摘でした。

 木戸委員、どうぞ。

○木戸委員 実際、私の手元に、医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する医師調査票がございます。確かにおっしゃるように検討会が非公開のためにわかりかねますが、この調査票の設計はどうやって行われているのでしょうか。

 例えば、当直やオンコール、育児をしながら働いてきた現場の臨床医の視点から、このアンケートに実際目を通して見ると、選択肢から全く選びようがない、不適切な設問が幾つもございます。例えば、主たる勤務先の夜間・休日の勤務体制を聞く設問がございますが、答えはオンコール制と交代勤務制の2つしか選択肢がありません。しかし、交代勤務制を行っている、恵まれている施設は全国でもごくわずかです。産婦人科医会の調査では、分娩取り扱い施設においてはわずか5%にすぎません。実際、他の診療科も交代勤務制ではなく、やはり当直制、すなわち当直を挟んだ30時間以上に及ぶ長時間の連続勤務が大多数ではないかと思いますが、その当直制という選択肢がありませんので、この設問には回答できないのではないでしょうか。

 そのほかにも、育児を中心的に行った方は誰ですかという設問に、保育施設という選択肢がありませんが、介護のほうには介護施設という選択肢があり、逆に保育にはベビーシッターという選択肢があるのに、介護にはヘルパーがない。非常につくり方がずさんで、ちぐはぐだという印象があります。

 当直や育児・介護などの経験がある人が果たしてこの設問の設計に参加しているのか、非常に疑問ですし、こうした調査の結果に基づいて正しい現状把握ができないまま、将来の医師の働き方にかかわるこういった政策が進められることに関して、大変不安に感じております。

 以上です。

○田中部会長代理 あり方のみならず、調査票についても厳しい御意見でした。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 尾形委員と山口委員が非礼、無礼とおっしゃいましたけれども、私はそれを超えて異常事態だと思います。分科会をとめて、新たに急に屋上屋を架して、非公開にして、結論が出るまで待てと言って、今の報告も、これだけの大問題というか大異常事態を招いた説明が、資料3の今の短い説明で終わらせるということも異常です。そう思いませんか。これは、厚生労働省の伝統といいますか、きちんと審議会、検討会で議論を積み上げていろいろな政策をつくってきたということを全て瓦解させるような行動なのですよ。そのぐらいの行動なので、もう少し丁寧な説明があってしかるべきだと思います。

 それから、どうもアンケート調査も、調査票を見ましたけれども、どうにでもとれる結果なのです。例えば、勤務が大変だという結果が出たら、今の医学部入学定員では足りないでしょう、ふやしたのを戻すなんてとんでもないというようなことを幾らでもつくれそうな恣意的なアンケート調査に見えます。

 ですから、厚労省の担当の皆さんは、厚生労働省の官僚、役人の矜持として、アンケート調査の取り扱いを体を張って頑張ってくださいよ。恣意的な結果に結びつかないようにやってほしいなと思います。

○田中部会長代理 医事課長、お願いします。

○医事課長 御意見、コメント、それから要望をありがとうございました。順番にお答えしたいと思います。最初にいただいた御指摘で、たび重なるスケジュールの変更、それから説明が不足だった点についてはおわび申し上げたいと思います。

 次に、いろいろ御指摘いただいたのですけれども、1つは今回のまとめ方といいますか、今後どうやって活用していくかという点があったかと思います。「起点」という言葉も含めて、「起点」のところに「新たな時代にふさわしい」ということが書いてございますように、新たな今回のこの調査結果を踏まえて、この結果を解析し分析していく中で、次の需給推計に使っていきたいということでございます。

 その需給推計については、何度か申し上げているかもしれませんけれども、需給分科会において取り扱っていく予定でございますし、そこでしっかり御議論いただきたいと考えているところです。

 それから、アンケート用紙についても御指摘がございまして、これについては厚労科研の研究班の中でもんでいただきまして、なるべく幅広く取り上げていただいております。質問項目についても検討があったと聞いてはおりますが、今御指摘いただいたような点も踏まえて、今後データが集まってきますので、本日のご意見を十分踏まえながら内容を見ていきたいと思います。

 ただ、先ほど中川先生のほうから御意見をいただいたように、その解析ですとか評価については、科学的な目で中立・公正に行い、きちっとした厳しい目で評価していくということは変わりません。今後そういう方針でしっかりデータを分析してまいりたいと考えております。

○田中部会長代理 相澤委員、どうぞ。

○相澤委員 1ページ目の一番上の茶色いところのマークの2つ目、考え方はいろいろあるのでしょうけれども、日本の医療を取り巻く環境はここに書いてあることが主なことなのでしょうか。私は、出生率の低下による働き手世代の減少ということは医療を取り巻く環境の大激変だと思うのですが、それをなくして働き手をどうするのかと考えるのは、間違った方向に誘導されるのではないかと思いますので、これはいろいろな考え方があってここにはこう書かれているのでしょうが、ぜひその視点を持って検討していただきたいと思います。

○田中部会長代理 ありがとうございます。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 政府の方で、今、働き方改革の議論がいろいろ進められているところですけれども、そもそも「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が非公開なものですから、「今後の検討の全体構造」などいろいろ書かれてありますが、どういう方向で議論されているのかが全くわからないです。

 例えば、3ページ目の「子育て等のライフコースの選択によらずプロとして働き」というところと、その右側にある課題というところで、「ライフコースの選択に対応したキャリアトラックが明確に」と書かれ、「特に障害となっているライフイベント(境遇)はどのようなものか」とあり、何かライフイベントそのものが悪いことみたいな表現があり、これはいかがなものかという表現も見受けられますので、議事録がなぜ非公開なのかというのを、単純な話ですけれども、教えていただきたいと思っております。自由闊達な議論ができる環境にしたいからということでは理由にならないと思いますけれども、ぜひともお願いしたいと思います。

○田中部会長代理 総務課長、どうぞ。

○総務課長 御指摘ありがとうございました。非公開としている理由につきましては、前回も御指摘をいただきまして、今、まさに平川委員に言っていただいたようなことを申し上げたことを記憶しているわけではございますが、率直な意見交換を期すということと、それぞれの構成員の皆様のお取り組み、御経験を披露いただきたいということで、非公開という取り扱いにさせていただいているところでございます。

 なお、資料につきましては公開でございますし、毎回各検討会で構成員の方から出た主な御意見につきましては整理をして公表させていただいておりますので、それもまたごらんいただければ大変ありがたく思います。

○平川委員 全く納得できないのですけれども、いずれにしても今各委員の先生方から様々な御指摘があったように、早急に解決しなければならない課題が山積しています。需給推計もそうですし、それに伴ってどのような現場における改革が必要なのかということもそうですし、医師の偏在の問題についてもそうです。医療従事者の需給検討会の検討が止まっていますが、例えば地域医療を支えているドクターの高齢化の問題も、検討は止まっても問題が深刻化する時間は止まっておりませんので、ぜひともそれを乗り越えるための対応を行っていただきたいと思っているところであります。

 内容についてはいろいろ言いたいことはありますけれども、切りがありませんので、この辺でやめておきます。

 以上です。

○田中部会長代理 ほかに、このビジョン委員会についてはよろしゅうございますか。

 安部委員、お願いします。

○安部委員 1つだけ確認をさせていただきたいのですが、1ページの成果のところで、「医療・介護従事者の確保の具体的な方策などにつながる」という記載がございますが、このビジョン検討会は「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」というタイトルですが、介護職についてもここで議論するという理解でよろしいのでしょうか。

○医師・看護師等働き方改革推進官 御指摘のとおり、介護従事者の方の医療従事者との役割分担の関係とか、そういったことも含めて御議論いただくということにしております。

○安部委員 そうすると、介護従事者の調査もするということでしょうか。

○医師・看護師等働き方改革推進官 ここに書いてあります調査につきましては、これは医師の働き方ということですので、これは医師に限っての調査ということになります。

○安部委員 説明はわかりましたけれども、内容はちょっとイメージができないという状況のような印象を私は持っています。

○田中部会長代理 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今、御指摘のあった医療・介護ですけれども、例えば医療・介護を切れ目なくということでは、医療介護総合確保促進会議でも話し合われているわけです。ということを考えると、成果とありますけれども、報告書になるのかどうなるのかわからないですけれども、そういった形が出てきたものがどれぐらいの影響力というか、それを踏まえなければいけないのか、これだけ待たされているということは、かなり大きく影響を及ぼすような意味を持っているように受けとめられますけれども、この成果というのがどれぐらいの重みがあることと受けとめればいいのでしょうか。

○医師・看護師等働き方改革推進官 このビジョン検討会における成果といいますか、取りまとめを踏まえまして、先ほどもございましたように、例えば医療・介護従事者の需給推計の検討につなげていっていただくということになるわけでございまして、この検討会における検討結果、成果を受けて需給推計等を議論していただくということでございます。

○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。

○中川委員 揚げ足をとるわけでもないですが、今、医師の需給をこのビジョン検討会の議論の成果を踏まえて再検討すると言いましたか。そんな議論は全くしていないですよ。

○田中部会長代理 医事課長。

○医事課長 もうちょっと細かく、どういった検討が今後予定されているかについて説明申し上げたいと思います。医師の働き方に関する実態調査を今行っているわけですけれども、これはタイムスタディーを行っておりますので、何時から何時ぐらいまで外来診療したのか、病院内で診療した時間はどうなのか、もしくは研究をしたという状況について今の実態が明らかになってくると思います。

 そうしますと、今、どれぐらいの診療科の先生たちがどういう業務をしているかということが分かってきますので、それを働き方の将来ビジョンの中で、どういった働き方が今後望まれているのかを検討していきます。これは医師のキャリアパスを形成する上でも、今何が課題になっていて、将来どうしていきたいかということも聞いておりますので、働き方改革に資するような議論がこのビジョン検討会では行われる予定です。

 ただし、そこで出てきた具体的な働く時間ですとか、実際、医師の需給に必要になってきますのは需要と供給の推計になりますので、今まで需要と供給に関する部分については、医師需給検討会で行ってまいりました。また、その医師需給検討会で使うデータにつきましては、今まで過去の調査研究のデータを使っていたわけです。ですので、今後、将来的に医師需給分科会で使うようなデータとして、今回の働き方のアンケート調査の結果も使える部分は当然あると思いますので、そういったデータとして今後活用していくような方向性を現在考えております。

○中川委員 医事課長の説明を今聞いたら、ますます不安になってきました。ああいうアンケート調査でそんなことまでわかると、本当にお思いですか。何時間外来やって、何時間病棟やって、何時間研究している、その働き方を時間だけで見ていて実態なんかを把握できると思っているのですか。それは全くおかしいですよ。そんなことで、今までの分科会の議論の重要なデータになるなんて、アンケート調査をやれば出るなんて思っていること自体が大きな間違いだと思いますよ。

○田中部会長代理 医事課長、どうぞ。

○医事課長 アンケート調査をすれば、すぐに将来的な需給推計が出るという意味でなくて、そこは訂正させていただきたいと思うのですけれども、そうではなくて、今までもとのデータがたくさんあります。過去使ったデータ。その中の一つとして使っていくということですので、そのデータが出たからといって、すぐに需給推計が出るということではなくて、例えば供給線ですとか、需給の見通しですとか、さまざまな角度からの検討を経て将来的に需給が決まってまいりますので、それを需給分科会で進めていくという趣旨でございます。

○中川委員 今の説明は、物すごく時間をかけて、結論を出すのを限りなく遅くしようということですね。そういうふうにしか聞こえませんよ。あなたの立場では今の答弁が精いっぱいだと思いますけれども、余り無理にお答えいただきたくないのです。承りましたぐらいが一番私は希望するところです。なぜかというと、あなた方の反論は、思ってもいないことを無理に反論しているから。そういうふうに私は思います。

 ある意味、私たちはあなたたちを信用しています。ですから、さっき異常事態だと言いましたけれども、正常な事態に戻すように、ぜひ官僚として、厚生労働省の職員として努力をしてください。神田医政局長も見えられましたので、局長には期待しております。よろしいお願いします。

○田中部会長代理 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 医療部会というのは医政局マターといいましょうか、提供体制とか医療従事者に関する事項の決定のある意味で最高機関だと思っています。今いろいろな意見が出ましたが、それをきちっと聞いていただいて、そして私たち委員は今ビジョン検討会でやっていることに対し、みんな不満ですが、それはそれとして、将来、医療従事者が少子高齢化の中でどうあるべきかをこの会できちっと議論していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○田中部会長代理 それは共通の見識だと感じます。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 一つ要望がありまして、病院の先生方が多くいらっしゃいますので、大変言いづらいのですけれども、病院職場は労働基準法違反のある意味デパートのような状況になっているのではないでしょうか。各病院では労働基準監督署からかなり指摘を受けているという実態があると思いますので、そういう労働法制の観点からもこの検討会の検討ということでお願いしたいと思います。要望でございます。

 以上です。

○木戸委員 今のことに関連して、働き方改革ということが政府の大切な政策となっておりますけれども、先日、広告代理店での過重労働の事例もございましたが、医療現場においては患者さんの安全にも影響することでありますので、過重労働の防止というのは大切なことでございます。

 ただ、このビジョン検討会のこの表を見ますと、労務管理等とわずかには書いてありますけれども、勤務環境改善を明確に掲げた項目がないのは非常に残念なことでございます。せっかくタイムスタディーをやるということもありますので、ぜひ医療従事者の働き方改革、そういった医療従事者の目線も考えていただいて、働き方ではなくて働かせ方ビジョンにはならないようにしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中部会長代理 加納委員、どうぞ。

○加納委員 今の労働基準法どうのこうのというのは、厨房の話、給食の話ですか。

○平川委員 いや、労働基準法、労働法制。

○加納委員 特定の部門で。

○平川委員 ではなくて、全体の話。

○加納委員 医師を含めてという。

○平川委員 そうです。

○加納委員 わかりました。

○田中部会長代理 ほかはよろしゅうございますか。まだ言い足りないと思いますけれども、よろしゅうございますか。

 では、事務局、本日出たたくさんの厳しい意見、特に進め方の話と、木戸委員が御指摘になった統計のとり方、アンケートのとり方という技術的な部分、どちらも問題があるとの御指摘がありました。それらを踏まえた上でさらに検討を進めていただくようお願いします。また、西澤委員や中川委員が言われたことはとても大切ですので、それも踏まえて検討を進めるようにお願いします。

 先ほどの牧野委員の御質問についてはいかがでしょうか。

○保健医療技術調整官 牧野委員からの御質問にお答えさせていただきます。

 医療安全管理部門への医師の専従について、歯科医師も専従が求められるのかという御質問だったと理解しておりますけれども、今回の見直しで専従を求めているのは医師でございまして、歯科医師は専従を求めているわけではございません。

 ただし、通知の中で、各特定機能病院の医療安全管理部門の基準を説明する中で、当然特定機能病院の中で歯科診療に関連する医療安全に係る事案が発生することも想定されますので、その際には歯科医師が適切に関与できる体制を確保していただくことを各特定機能病院に求めているところでございます。

○田中部会長代理 そのほか、御意見はございますか。

 最後に、事務局から何か伝達事項がおありですか。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、改めて御連絡させていただきます。

○田中部会長代理 では、本日の議論はここまでといたします。

 本日はお忙しいところ、大変真摯に意見を述べていただきまして、どうもありがとうございました。

 


(了)

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