ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(医療と介護の連携に関する意見交換)> 医療と介護の連携に関する意見交換 第1回議事録(2017年3月22日)




2017年3月22日 医療と介護の連携に関する意見交換 第1回議事録

○日時

平成29年3月22日(水)9:00~11:32


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○出席者

田辺会長 田中分科会長
安部委員 稲葉委員 猪口委員 遠藤委員 幸野委員 齋藤委員
鈴木委員 鷲見委員 瀬戸委員 武久委員 東委員 松本委員
<事務局>
鈴木保険局長 蒲原老健局長 谷内審議官 坂口審議官 迫井医療課長 鈴木老人保健課長 他

○議題

○看取りについて
○訪問看護について

○議事

○田辺会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまより「医療と介護の連携に関する意見交換」を行いたいと思います。

 私は、中央社会保険医療協議会で会長をしております田辺国昭でございます。

 本日、議事の進行につきましては、私が務めさせていただきますので、皆様よろしくお願い申し上げます。

 なお、本日の意見交換につきましては、議事録を作成し、御参加いただいた皆様にも御確認の上、後日、公表いたしますので、その旨、御承知おきください。

 なお、武久委員におかれましては、おくれての参加と伺っております。

 この意見交換は、平成30年度の診療報酬及び介護報酬の同時改定に向けて、中央社会保険医療協議会及び社会保障審議会介護給付費分科会がそれぞれ具体的な検討に入る前に、医療と介護の両方に関係する項目の現状や課題を明確化し、意見交換を行うものであります。双方の審議会の委員におかれましては、忌憚のない意見を交わしていただければと思います。

 なお、参加委員につきましては、お手元の座席表にもあるとおり、中医協側、介護給付費分科会側と分けているのではなく、五十音順の座席になっております。いつもと風景が違うかもしれません。時間の関係上、各委員の紹介は名簿の配付をもってかえさせていただきますので、その旨、御承知おきいただければと存じます。

 まず、この会の位置づけにつきまして、事務局からあらかじめ御説明をお願いいたします。では迫井課長、よろしくお願いいたします。

○迫井保険局医療課長

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○迫井保険局医療課長

 この会議の位置づけにつきまして、資料-1、資料-1参考1、参考2をお手元に御用意いただきまして、ごく簡単に御説明いたします。

 資料-1でございます。目的のところに書いてございますけれども、御案内のとおり来る30年度、6年に一度の同時改定ということでございます。また、それ以外にも総合確保方針でございますとか医療計画、介護保険関係の事業計画、さらには医療保険制度改革など、非常に大きな節目を迎えることとなります。

 2つ目の○でございますけれども、このような背景の中でいわゆる2025年(平成37年)に向けた地域差を伴う急速な少子高齢化といったことに向けて、大きくかじを切る実質的に最後の機会となるのがこの同時改定でございますので、非常に重要な分水嶺であるということでございます。

 3つ目の○でございますが、さらにその先を見据えますと、2025年以降も中長期的な展望を踏まえて、極めて重要な対応が迫られているということでございますので、関係者が知恵を出し合って、あるべき医療・介護の提供体制を実現していくことが強く求められているという問題意識を持っております。

 このような背景から、最後の2つの○でございますけれども、中央社会保険医療協議会総会、社会保険医療協議会介護給付費分科会、それぞれ報酬関係の御審議をしていただいているわけでございますが、両会議の連携・調整をより一層進める観点から、それぞれ具体的な検討に入る前に、両者で評価をされております項目を中心に現状や課題の明確化を行うための意見交換というのが、この会議の目的でございます。

 2点目でございますけれども、テーマ、課題は次のページにかけてでございますが、医療・介護連携に関する検討項目は、介護施設における医療でございますとか、ここに列記されておりますけれども、介護サービスと在宅医療、リハビリテーション、入退院時の調整などの課題が掲げられております。

 裏面でございますけれども、特にこういったことで連携が求められる局面といたしましては、4つのフェーズを想定しておりまして、退院支援でございますとか、日常療養支援、急変時の対応、看取りといったことが考えられます。これらを踏まえまして(1)~(4)のテーマにつきまして、今後2回に分けまして御議論いただきたいということでございます。

 最後に4ポツでございますが、会議の運営、先ほど田辺会長からもお話がありましたけれども、事務局は老健局、保険局共同で老人保健課、医療課で行うということでございます。会議の議事は、もともとの両会議と同様の取り扱いといたしまして議事録、資料作成等、原則公開とさせていただくということでございまして、この会議での成果はそれぞれの会議に御報告をするという段取りになってございます。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 それでは、早速議事に入らせていただきたいと存じます。

 初めに「看取りについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をよろしくお願いいたします。では医療課長、お願いいたします。

○迫井保険局医療課長

 お手元の資料-2、それに付随いたします参考資料、幾つかございますけれども、御用意いただきまして御議論いただきたいと思います。

 資料-2を中心に御説明させていただきます。

 まずテーマの最初は看取りでございますけれども、現状というところに基本的な整理をさせていただいております。

 まず(1)は看取りをめぐる状況でございます。1)から3)まででございますが、まず1)高齢化の進展は先ほどお話をさせていただきましたが、急速な高齢化が進展しているということと、死亡数も増加傾向ということでございます。これはお手元の資料-1参考1の一番最初のフロントページ、それから、資料-2参考1、これは「【テーマ1】看取り 参考資料」と表紙がついておりますけれども、その4コマ目に概略、死亡数の推計等がございますが、こういった現状になっております。

 2)でございますが、死亡の場所の推移、国民の皆様の希望ということで3つまとめてございます。資料-2参考1に順次資料がありますけれども、5コマ目から6コマ目にかけてでございますが、まず場所について申し上げますと、自宅で死亡する方の割合、かつては8割を占めていましたけれども、昭和51年、1976年ごろに自宅で死亡する方よりも医療機関が上回る。それから、現在では8割という状況になってございます。

 2つ目の○でございますが、参考資料の8コマ目に書いてございますけれども、では国民の皆様方の御希望はどうなっているかというと、基本的に在宅で最期まで、あるいは医療機関等を利用しながら在宅で療養したいということを合わせますと、6割の方は在宅に関係した療養を希望されているということでございます。

 9コマ目でございますが、そのような調査の中で、ではどうして現状では困難であるのか。現状で6割以上の方が在宅関係の療養を望んでおられるのに困難な理由。それは9コマ目でございますが、介護してくれる家族に負担がかかる、病状の急変といった内容、それから経済的な負担、こういったことが課題になっているということでございます。

 3)でございますけれども、一方で人生の最終段階における医療、かつては終末期医療とも呼んでおりましたが、1ページ目の一番下の○でございますが、これは疼痛の緩和でございますとか中心静脈栄養等々、これにつきまして国民の関心、希望はさまざまということでございますけれども、これは12コマ目にその状況を数字でとっておりますが、例えば人生の最終段階における医療、家族と全く話し合ったことがないという回答につきましては、実は56%、半数以上の方がそのようになっているということでございます。同じ調査で同じく資料の12コマ目でございますけれども、意思表示の書面をあらかじめ作成しているということについて賛成というのが7割なのですが、実際にというのは3%である。これが実態でございます。

 2ページの上から2つ目の○ですが、医療福祉従事者が本人のこういった気持ちを受けとめて、十分に話し合うプロセスが重要であるということで、これは平成19年に資料の10コマ目になりますけれども、前後して恐縮ですが、人生最終段階における医療決定プロセスに関するガイドラインが策定されておりまして、その周知を図るということでやっているわけですが、先ほどの調査によりますと、医療関係者、介護関係者でこれは13コマ目にこの数字がございますが、医師の大体3分の1、看護師さんの4割、介護職員の半数がガイドラインを知らないというのが実態となってございます。これは医政局の事業でございますけれども、現在そういった取り組みを15コマ目、16コマ目の事業で御紹介しておりますが、さまざまなこういう意思決定支援を進めているということでございます。

 ここまでが看取りをめぐる状況でございます。

 続きまして、2ページの真ん中あたりからですが、(2)看取りに係るサービス提供の実態でございます。

 まず1)で在宅における看取りはどうなっているのかということでございまして、まず○1は訪問診療でございます。これはデータとしては19コマ目にございますけれども、訪問診療につきましては在宅療養支援病院・診療所の届け出は増加してきたわけでございますが、近年はおおむね横ばいになってきているということでございます。実際の数字はそこにございます。それから、在宅での看取りを行う病院・診療所も増加傾向にあるのですが、全体の5%程度、これは21コマ目にデータがございます。

 次に○2訪問看護でございますけれども、訪問看護ステーションは近年増加が著しいということでございまして、データ的には24コマ目にございます。訪問看護を行う病院・診療所の数は、ステーションの数よりも少ないということでございます。それから、医療保険による訪問看護を行う病院・診療所の数が多いということでございますけれども、介護保険による訪問看護を行う病院・診療所の数は減少傾向にあるというのが、まとめてこの数字、24コマ目にございます。

 3ページ目の1つ目の○ですが、死亡によるサービス終了者につきましては、介護保険の利用者よりも医療保険の利用者が多い。それから、ターミナルケアに係る評価といったものの算定件数についてもそのような状況です。これは32コマ目、31コマ目にデータがございます。32コマ目は死亡によるサービス終了者に関する内訳、それから、31コマ目は医療保険のターミナルケアの療養費の算定に係るデータでございます。

 次に3ページの2)介護保険施設等における看取りということでございます。幾つか施設類型でまとめて箇条書きにしてございますけれども、まず1点目、特別養護老人ホームで看取りを行うケースは基本的にふえている。2点目ですが、多くの特別養護老人ホームは積極的に看取りに取り組んでおられる一方で、一部の特別養護老人ホームは、看取りに際して入所者を医療機関に搬送しているということでございます。これは参考資料でお手元の資料-2参考2となっておりますけれども、これは介護給付費分科会の検証・研究委員会でお示し、これはまだ分科会そのものには提出されていないと承知をしておりますが、その調査結果の概要のまとめを提出させていただいております。

 若干御紹介いたしますと、資料-2参考2の1コマ目に事業の概略が書いてございますが、おめくりいただきまして今の看取り関係について申し上げますと、6コマ目に施設としての看取りの方針についてどうなっているのかというデータをとりますと、原則、病院に移すというふうに施設の運用として決められているという回答が16.3%であったということでございます。

 若干戻りますけれども、3コマ目に医療的ケアの現状について、今の看取りの方針別、あるいはさまざまな状態別で数字をとっておりますが、「救急車を呼ぶのみ」という選択が多くなっている施設、それから、例えば図表2-60となっていますけれども、原則、病院に移すという方針をとっておられるというのは当然かもしれませんが、救急車を呼ぶのみの選択が非常に多くなっておりまして、大体4分の1程度というふうにデータが出ておりまして、もとの資料に戻りますが、3ページの真ん中辺の2)ですが、2つ目の○で積極的に取り組んでおられる一方で、医療機関に搬送するケースが現にあるということでございます。

 ※を書いてございますが、配置医の関係につきましては、これもデータがございまして、先ほどの資料-2参考2の2コマ目でございますけれども、配置医につきましてはかなりの方が非常勤の医師というデータが出ておるということでございます。

 もとの資料の3ページに戻っていただきますが、3つ目の○、特別養護老人ホームの入所者は、要介護度がより重度化しているということでございますとか、介護老人保健施設に関しましては、もともと在宅復帰を目的とした施設でございますので、死亡退所は必ずしも多くはないけれども、ターミナルケアが提供されている。これは参考資料の43コマ目に、データとしてターミナルに係る算定の状況などの数字がございます。

 3ページの下から2つ目の○ですが、認知症対応のグループホームにつきましては、入居者の平均要介護度が高くなっているほか、退所理由について2割が事業所看取り、これは48コマ目に一覧の中で数字がございます。

 最後の○ですが、特定施設入居者生活介護、これは括弧書きで介護つきの有料老人ホームでございますけれども、入居者の平均要介護度が高くなってきているということと、終の住まいとして退去理由のうち半数は死亡による契約終了となっている、関連する資料としましては47コマ目にございます。このような状況になってございます。

 4ページでございますが、医療機関関係の看取りの状況でございます。医療機関関係は51コマ目に、まず1つ目の○ですが、死亡場所として最も多い医療機関ということなのですけれども、基本的に退院後の行き先のその他というのが6%、主な病棟別の退院患者さんの関係で急性期、回復期、慢性期、こういった病気別で看取りの割合がこのような数字になってございますので、医療機関におきましては死亡の転帰をたどるという入院患者は一定数存在するというのが数字で出てございます。

 医療機関において、2つ目の○ですが、いわゆる看取りだけではなくて末期の悪性腫瘍等の疼痛コントロール、いわゆる緩和ケア病棟というものがございまして、その数字が51コマ目にございます。

 3つ目の○ですが、悪性腫瘍の患者さんの関係で、がん診療連携拠点病院等で看取られた方の数字、それから、がん診療連携拠点病院以外の一般病院で看取られている。しかしながら、緩和ケアの状況について十分把握できていないという実態がございます。それから、一般病院の約9割近くは緩和ケアチームがないという実態がございます。数字的には52コマ目あたりにございます。

 次に4ページ(3)でございますが、看取りに係る報酬関係の設定でございます。これは1)、2)と続いていますが、訪問診療関係。これは診療報酬、介護報酬関係も含めて訪問看護、細かくこれは御説明しませんけれども、27コマ目から29コマ目にかけて算定関係のルールとか、具体的な数字がございます。

 5ページでございますけれども、これは次の訪問看護のセクションでも同じような話になるかと思いますが、基本的な原則として介護保険の給付は医療保険の給付に優先するということでございますが、一定の要件で医療保険の併用が可能であるというルールについての御説明でございます。

 5ページの2)の最後の○でございますけれども、介護保険の入所サービス利用者につきましては、看取りの加算やターミナルケアの加算といったことに係りましては、併給調整の関係で医療保険の訪問看護のターミナルケアは算定できませんということがルール上、記載されております。

 次に3)で施設サービスの関係でございます。施設サービスの関係につきましては、この施設の類型ごとにそれぞれ記載がございます。それから、ポツが2つございますけれども、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム等々、類型ごとでそれぞれこれは42コマ目にデータとしてはございますが、看取りの関係の評価はどうなっているのかということでございます。

 2つ目の○ですけれども、介護保険施設、これは施設の類型によって医療職の配置がございますし、さまざまな医療費など原則として基本的には介護保険から給付が行われるというのが原則でございますが、ただ、外部の医療機関等から提供することも可能で、その場合には当然ですが、給付の調整が行われるということでございまして、これはルールが38コマ目から順次、41コマ目にかけまして記載をさせていただいてございます。

 次に医療機関でございますが、5ページの下、4)から2つ○ですけれども、これは診療報酬の関係でございまして、1つ目の○で先ほども触れましたが、医療機関は基本的には、結果的に生じる死亡の転帰というのは当然ありますので、ただ、そういったことで特別の個別の報酬の評価という形にはなっていないということと、2つ目の○で、一方で末期の悪性腫瘍とか後天性免疫不全症候群の入院患者さんに関する疼痛コントロール等については、評価されていますということを記載させていただいております。

 課題でございますけれども、6ページ以降、総論的、それから、看取りに関する国民の希望等々、それぞれに応じて記載してございます。詳細、細かく御説明は避けますけれども、まず6ページ、総論的な話ですが、4つ○がございますが、冒頭見ていただきましたとおり国民の皆様の関心とか希望はさまざまでございますけれども、実際に人生の最終段階について話し合ったことがないという方が半数以上おられるということでございますとか、ガイドラインについて十分周知されていないということでございます。

 それから、在宅での死亡に関する希望につきましてもさまざまございますけれども、その希望通りに必ずしも十分なっていないということがございます。

 最後、4つ目の○ですが、そのために相談の体制整備でございますとか情報の提供といったことを、最善の治療方針の判断でございますとか意思決定といったさまざまな支援が重要ではないかということが、課題として掲げさせていただいているところでございます。

 以上が総論でございますが、(2)で繰り返しになりますが、国民の皆様方の希望への対応ということで、これはガイドライン、意思決定を支援していくことが求められているわけですが、このことについても十分認知がされていないということが課題として掲げております。

 次に各論的になりますけれども、6ページの下から(3)で場所に応じた看取りについてどのような課題があるのかということでございますが、最初に在宅でございます。7ページになりますけれども、これはひと通りデータで見ていただいたと思いますが、末期の悪性腫瘍の患者さんへのサービス提供につきましては、医療職とか介護支援専門員との連携が不足しているのではないか、あるいは真に必要なサービスが迅速に提供されていない場合があるのではないかという指摘があります。

 これは補足で資料-2参考3になりますけれども、先ほどと同様で給付費分科会の検証・研究委員会で提出されております、これは居宅介護支援事業所、ケアマネ事業所、介護支援専門員、ケアマネさんの業務等の実態に関する調査を先ほど同様に行われておりますけれども、おめくりいただきまして5コマ目あたりですが、入退院、看取りの際の連携ということで、医療機関との連携に関しまして下に帯グラフがございますが、迅速に情報提供できている目安として入退院後2日以内と見ますと、半数程度でございます。逆に言いますと半数程度はそれより遅く情報提供がなされているようなことでございますので、医療の特に終末期の悪性腫瘍の患者さん等々を含めますと、迅速な提供が望まれている中で必ずしも適切な対応ができていないというデータが出ているということでございます。

 7ページ、上から2つ目の○ですが、悪性腫瘍の方は状態の変化がある程度比較的予測できる一方で、悪性腫瘍以外の方は予測が非常に難しいというようなことが実態としてございますので、ここのケースについてさまざまな対応が求められているということでございますので、そういったことから次の○ですけれども、医療と介護の連携がより一層重要ではないかということでございます。

 2)ですが、介護保険施設等における看取り、これはデータでひと通り見ていただきましたけれども、特別養護老人ホームは先ほど見ていただきましたとおり、施設の方針として看取りを行わない等の理由、看取りを行っていない施設が約16%だったと思いますが、ございます。

 関連してもう一つ資料をつけておりますけれども、これは何かといいますと資料-2参考4ということで、医政局医事課から出ております通知でございます。資料-2に直接記載はございませんが、今お話をしました7ページの特別養護老人ホームにおける看取りの方針の中で、施設の方針として看取りは行わない、こういったことを決めている背景の1つとして指摘されておりますのが、この資料-2参考4にございますけれども、医師法第20条のただし書き、ここの運用につきまして実は十分に理解されていなくて、主治医が実際に診察をしない形で一定程度時間がたった、あるいは24時間以内の関係も含めてなのですけれども、一定の医師法上の規定があるわけでございますが、警察に届け出なければいけないとか、さまざまな誤解がございまして、こういったことを考慮して看取りの対応を言ってみれば避けておられる、そのようなことがあるという指摘がございます。

 7ページに戻っていただきまして2)の2つ目の○ですが、特定施設におきまして、これは重度要介護者の死亡による契約終了者が多いということなのですけれども、結局、体制の問題とか看取りに対する負担を感じて、看取りまで行っていないという状況もあると言われております。

 3)は医療機関でございますけれども、これも大体先ほども見ていただきましたが、課題として1つ指摘されていますのは7ページ3)の1つ目の○ですが、患者さんとか家族の看取りに関する希望に関する情報が十分把握できていないがために、希望と異なる延命措置等が実施されることがあり得る。これは11コマ目に関連するデータがございますけれども、そういった課題があると指摘を受けております。

 在宅等で療養している患者さんが最終的に医療機関での看取りを希望しているような場合、これは実際にそういうケースがあるわけでございますけれども、現実の問題として現在の整理としましては、在宅ターミナルケア等の診療報酬上の評価の対象にはなっていないということでございます。

 7ページ目から8ページ目にかけましては、現在の緩和ケアに関する評価の対象は、末期の悪性腫瘍等の患者に限られているということがございます。

 8ページ目の上から2つ○、医療機関関係最後でございますけれども、緩和ケアに係る体制でございますとか、医療機関におけるがん拠点病院以外の緩和ケアの体制については実態も十分把握できておりませんし、体制が十分ではない可能性があるということでございます。

 長くなって恐縮ですが、最後8ページ目から9ページ、検討の視点でございます。今、御説明させていただいたようなデータとか課題の整理を踏まえまして、御検討いただきたい視点として幾つか整理をさせていただいております。これは事務局からの御提案ということでございますけれども、まず(1)でございますが、看取りに関します国民の希望への対応ということでございます。人生の最終段階のガイドライン、先ほども御紹介しましたが、これを踏まえた対応など、医療従事者あるいは国民の皆様の看取りに関する理解の状況について、どのように考えていくのかというのが1点目でございます。

 2点目、場所ごとの看取りの実態はさまざまございますので、場所に応じた看取りの実施としてどのような検討が必要かということですけれども、まず1)で在宅関係でございます。これは末期の悪性腫瘍等の患者さん以外の方々につきましては、容体の変化の予測がなかなか難しいということでございます。逆に言いますと、そういった不安を抱える家族の方、介護職を支えるための医療の関与としてどのように考えていくべきなのか。それから、2つ目の○ですけれども、末期の悪性腫瘍等の患者さんにつきましても、医療職と介護支援専門員、ケアマネさんとの円滑な連携のあり方、これについてどのように考えていくのかというのが1)でございます。

 次に2)ですが、介護保険施設等に関しましては特別養護老人ホーム、居住系につきましてデータをいろいろ見ていただきましたけれども、提供すべき医療の範囲でございますとか外部の医療機関との連携あるいは医療の範囲をどう考えていくのか。

 3)ですが、医療機関における看取りでございますが、最終的には医療機関における看取りを希望している場合がございますけれども、情報共有でございますとか提供すべき医療の範囲についてどのように考えていくのか。

 最後でございますが、末期の悪性腫瘍等以外、つまり予測がなかなか難しいという方につきまして医療機関における緩和ケアあるいは患者さんへの緩和ケアのあり方についてどのように考えるか。こういった視点で御議論いただければと思っております。

 長くなって恐縮ですが、事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして何か御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

 では鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 資料の8ページの検討の視点が論点に相当するのだろうと思いますので、それに沿って意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず(1)看取りに関する国民の希望への対応というところでございます。1つ目の○となりますが、超高齢社会の進展に伴い今後さらに死亡者数が増加することに対して、医療介護従事者や国民の看取りに関する理解がまだ不十分であります。行政と医師会が車の両輪となって地域包括ケアシステムを構築し、かかりつけ医が多職種連携のリーダーとなって、医療介護従事者や地域住民に対して看取りへの理解を深めるとともに、住みなれた地域でできるだけ長く暮らしながら看取りを迎えることができるように、かかりつけ医機能を持つ有床診療所や中小病院の入院や、介護施設のショートステイや入所も活用しながら、必要性と地域性に応じて在宅、入院、外来医療及び在宅、施設介護サービスを選択して利用できる体制を整備する必要があります。

 その次の(2)場所に応じた看取りの実施の1)の在宅のところです。○が3つありますが、最初の○でございますけれども、超高齢社会においては高齢者医療と介護は一体化していくと考えられます。在宅医療には訪問診療を行うかかりつけ医、24時間対応の訪問看護と、いつでも入院のできる地域の有床診療所や中小病院の病床の3点セットが必要であり、地域包括ケアを支援する有床診療所や中小病院の役割をきちんと確立して評価する必要があります。看取り期においては特に必要となりますが、医療と介護が一体的に提供されることが家族や介護職を支えるためにも重要であります。また、医療機関が在宅で看取りをした場合、診療報酬で請求するのか、介護報酬で請求するのか、明確にしていただく必要があります。

 次の○でございますが、末期の悪性腫瘍のように病状が進行性で、かつ、不安定な場合、医師の指示が優先されるべきですが、介護支援専門員は質を向上させて医療から取り残されないように、いつでもかかりつけ医と情報交換を行えるようにするとともに、それに基づいて直ちに対応できるようにする必要があります。

 2)介護保険施設でございますが、内部に医療職がいる場合は外部から不足する範囲で医療を提供する必要があります。内部に医療職がいない場合は、外部からは必要な範囲で医療を提供する必要がありますが、施設の負担が重くならないように医療機関との連携を強化しておく必要があります。

 特養は、施設内死亡の3分の2近くを占める老衰の看取りには十分対応可能できますが、現在は健康管理と療養上の指導となっている配置医の役割と処遇を明確にした上で、事前に話し合って個々の配置医では対応できない部分を、外部の協力医療機関などが訪問や入院で対応する必要があります。

 次に医療機関における看取りですが、自らかかりつけ医機能を持つ有床診療所や中小病院は、その入院機能を活用して地域の無床診療所やかかりつけ医の在宅を支援する必要があります。そのためには患者ごとに介護支援専門員を含む医療介護関係者がチームをつくり、事前に患者や家族も含めて看取りに関する方針や提供する医療について合意を得ておく必要があり、そのためのチームや多職種の検討会及びレスパイトや看取りを目的とした入院に対する評価が必要となります。

 急性期の大病院は、二次医療圏の最後の砦であり、看取りを目的とした患者が救急車でそうした遠方の大病院に搬送される状況は避けなければなりません。

 次の○についてですが、地域の有床診療所や中小病院は、従来より実態として緩和ケアを行ってきましたが、看取りを目的とした入院を受け入れる際には、高齢の末期の悪性腫瘍以外の患者に対する緩和ケアが重要となります。若年者も多い現行の緩和ケア病棟とは別に、有床診療所や中小病院にも緩和ケアチームは必要であり、その研修体制と評価が必要です。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 幾つか気がついたことをお話したいと思うのですが、2ページの生前の意思表示、リビング・ウィルのことですが、これはなかなか確かに進んでいないのですが、1つリビング・ウィルと違って代理人制というか、私の意思がなくなったときの治療等についてはこの人にお任せするという代理人制度があると思いますので、そういうことも少し検討するといいのかなと思っております。

 それから、今いろいろと看取りのことが出ていますけれども、結局は御高齢の方が亡くなるときは、パターンを2つだけ考えると、だんだん朽ちていくように亡くなる場合と、何か大きい病気が急に起きて亡くなる場合がある。これを分けないと、急に起きたときはやはり医療機関に運んで、果たして助けられるのかどうかということはやらなければいけないと思いますが、だんだんに朽ちていく場合というのはどこの場所においても看取りが可能なのだろうということで、これは分けて考えたほうがいいかなと思っております。

 3ページの介護保険施設なのですが、これは難しい話だと思いますが、老人保健施設と特別養護老人ホームは医療のあり方が少し違いますので、特に老健の場合には限られた報酬の中で医療も提供するということで、どうしても高価なお薬とかだと使いづらいということが現実にあると思うのです。特養の場合は逆に処方箋で出せるということもあって、そこのあり方は今後どう考えていくのかということは大きい問題かなと思っております。

 5ページ目の医療機関の診療報酬、下のほうのところですが、このガイドラインというものを生かして、それにのっとったような治療が行われた場合に、当然その過度な延命等は避けることになると思いますので、その場合は何らかのっとっている場合には報酬も考えるといいかなと思いました。

 一応、気がついたところは以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 資料-2の7ページの3)にあるように、患者や家族の看取りに関する希望に係る情報が不明であるために、在宅療養での看取り期の患者が本人や家族の意思にかかわらず搬送されてしまうということが、私は一番問題であると思います。同じ資料の2ページにあるように、一般国民の約70%が意思表示の書面をあらかじめ作成することに賛成している一方で、実際に書面を作成している者は約3%という現状の解決に向けて、例えば、75歳で後期高齢者となる方に保険証を渡す機会を活用し、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の説明を行うなど、その時点で、人生の最終段階においてどのような医療等を希望するのかについての考え方をうかがっておくことも、より多くの人の意思を確認する1つの方法かと思います。

○田辺会長

 松本委員、お願いいたします。

○松本委員

 今の幸野委員のところ、確かに私も問題だと思います。資料-2の7ページの3)の一番上の○ですけれども、ここにあります2行目の患者や家族の意思にかかわらず搬送される。医療機関あるいは在宅で療養中に、なぜこういうことが起きるかというのは事務局は把握しているのですか。散見されることからと書いてありますが、これは一体どういうことなのでしょう。誰が搬送するのですか。

○田辺会長

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井保険局医療課長

 これは数字、定量的なものについては持ち合わせておりませんで、一般的に例えば救急搬送されるようなケースの場合で、御自身と意思疎通ができないようなケースでございますとか、あるいは認知症の問題もあり得るかもしれませんけれども、一般的にはそういう指摘があるということで、その実数として割合とか数、定量的なものについては手元にはございません。

○田辺会長

 では松本委員、お願いします。

○松本委員

 文章として、在宅療養中の看取り期の患者が家族や家族の意思にかかわらず搬送される。誰かが救急車を呼んだり連れていくわけです。家族以外の方が連れていくとしかここの文章だと読めないのですけれども、これはあり得るのですか。この文章、おかしいと思わないのですか。

○田辺会長

 事務局、お願いいたします。

○迫井保険局医療課長

 これは散見されるということも含めて、先ほど数字的なものはお話させていただきました。それから、御指摘のとおり搬送されるケースについては、恐らくいろいろな形態があり得て、多くの場合、救急車を念頭に置いて記載しておりますけれども、そういったケースの場合、誰が救急車を呼ぶのかというような話になりますので、御指摘のとおり一般的にこれが必ずそういったことが想定されるとか、その頻度については少し検討が必要かなと考えています。

○松本委員

 例えば看取り期で在宅療養診療所なり、かかりつけの先生が在宅診療していて、でも急変して、もちろんそういう予後の話も十分話し合っていながらも、急変しますと家族の方というのはびっくりしてしまって、救急車を呼んで救急医療機関へ運ぶということはあり得るのです。そういうことを言っているのだとちょっと意味合いが違ってくるのではないかと思います。

 リビング・ウィルの話も出ましたが、生前にかかりつけ医と十分話し合っていくというのが大事で、その辺を前面に出していただきたいなと思います。

 問題なのは、それよりも先ほどの鈴木委員からの話にもありましたが、例えば特養などで、いわゆる老衰による死亡に対しても救急医療機関へ搬送するという問題があるわけです。それは配置医と施設との関係に問題があるのではないかと思います。昔の話をしてもしようがないですけれども、措置のころとは随分報酬自体が変わってきましたので、施設と配置医との契約というものをもう少し見直すことが必要なのではいなかと思います。

 質問なのですが、資料-2参考4の1ページ目に、先ほど医療課長からの御説明にもありましたが、医師法第20条のただし書きの誤った解釈というものがございました。正しい解釈はどういうものなのか教えてください。

○田辺会長

 では医療課長、お願いいたします。

○迫井保険局医療課長

 詳しい御説明は少し省略させていただきましたが、資料-2参考4に記載がございますけれども、これはおめくりをいただきまして実際の記載を見ていただければよりわかりやすいと思います。2ページとなっていますが、「記」となっていますけれども、1つ目のところに書いてございます。結局このただし書きが記載されておる関係で、少し限定的に解釈されているという実態があるとの指摘がございますので、そこの点について明確にするために医師法第20条ただし書き、これは診療中の患者さんが診察後24時間以内に当該診療に関連した傷病で死亡した場合、改めて診察をすることなく死亡診断書を交付し得るということを認めているということでございます。

 逆に言いますと、このためにと書いてありますが、医師が死亡の際、立ち会っていない、生前の診察後24時間を経過した場合であっても、死亡後改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関する死亡であると判断できる場合には、死亡診断書を交付することができるということなのでございますが、この後段の部分が現場では十分御理解をいただけていないがために、結局、24時間以内に死亡した場合以外は死亡診断書が交付できないんだという、ある意味誤解だろうと思いますが、そのような運用がなされるがために施設としては看取りはしないんだというふうに決めておられるケースもあるという指摘を受けておりますので、そういったことをこの資料でお示ししたかったということでございます。

○田辺会長

 では松本委員、お願いします。

○松本委員

 施設側から実際にそのような理由を言われれば、そうなのかという納得もしなければいけないのかもしれませんですけれども、それはちょっととってつけたような理由のように聞こえます。もしそこに医師が関与しているのであれば、まずそういう解釈はしないというふうに思います。それよりも21条の問題があってうまくいっていないのではないかという感じがします。20条を盾にとられると違和感を覚えます。

 それに関連して資料-2参考1で42番目のスライドですが、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者を入所者基準あるいは利用者基準としているという施設があります。入所者基準ですからそういう方ばかりとどうしても思うのですけれども、当然100%そうすればここでは看取りが行われるという解釈でよろしいのでしょうか。あるいは看取りが行われなければいけないという解釈をするのでしょうか。

○田辺会長

 では老人保健課長、お願いいたします。

○鈴木老健局老人保健課長

 これは全部の施設に入所者基準、入居者基準、利用者基準等ございますが、これは入所者のうち、こういう入所者のこういう基準を持っている者に対して看取りの加算もしくはターミナルケア加算がとれるということでございますので、必ずしもここに書いてあります入所者基準等に書かれている人たちが、当該施設に入っているというわけではございません。

○松本委員

 了解しました。

○田辺会長

 では東委員、お願いいたします。

○東委員

 私は約30年前から、今も週1回、当直をしながら在宅医療をやっております。これまで約1,000例以上の死亡診断書にかかわってきた者として感じているところを申し上げたいと思います。ここ10年、15年の死亡診断書の死因については、「老衰」がかなりふえています。直近でも、私どもの在宅での看取り、有床診療所での看取り、老人保健施設での看取りを併せて、全体の約8割近くが「老衰」という死亡診断書の死因になっています。本日の資料-1参考1に示されたような超高齢社会を迎えている日本においては、これから高齢者がどういう亡くなり方をされるのかということが大変重要な問題だと思います。また、資料-2参考2「介護老人福祉施設における医療的ケアの現状についての調査研究事業(結果概要)(案)」の10ページ目、「9)死亡者の状況」の上から2つ目の○に、施設内死亡者では「老衰」が64.7%とあります。今回この意見交換で出された資料の中では、唯一ここに死因の「老衰」ということが出てきております。しかし、在宅医療、訪問診療、介護保険施設以外の在宅医療や医療機関においても、現状の死亡診断書の死因がどのようになっているのか。全体ではもちろん悪性腫瘍等が多いわけですが、高齢者の「老衰」という死因がどの程度あるのか、特に在宅医療、訪問診療においてどの程度あるのかを知っておく必要があるのではないでしょうか。それから大事なことは、その際にかかりつけ医のいわゆるムンテラ、お話がどのようにされていたのか。例えば、『「老衰」ですから何かあっても救急車を呼ばないでください。私が行きます。』もしくは『翌朝行きます』というようなお話がインフォームド・コンセントされていたのか。また、その際にどのような医療が提供されていたのか。臨死、いわゆる亡くなったと思われる時間に必ず医師がいたのか。もしくは4時間後、5時間後に医師が来て死亡診断をしたのか。介護サービスで言えば、そのような方にどのような介護サービスが提供されていたのか。そういうエビデンスをもとに議論すべきだと考えます。先ほどから何人かの委員も発言されているような、むやみに救急車を呼ぶとか、そのような問題もエビデンスをもとに議論をしないと議論が進まないと思います。これからの日本の超高齢社会考えたときに、高齢者の看取りというものをきちんと議論する場を設けるべきだと思います。もちろん、今言いましたようにエビデンスをもとにしていただきたいとお願いを申し上げます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 この種の資料というのはございますか。では、医療課長、お願いします。

○迫井保険局医療課長

 現時点で用意できておりませんけれども、中医協、給付費分科会で今後議論する際に、今、御指摘のような資料を意識して御審議いただけるようにしていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○田辺会長

 では齋藤委員、お願いいたします。

○齋藤委員

今、東委員が御指摘なさったように、老衰で静かに亡くなっていくケースというのは非常に多くなるだろうと推察しております。

 ただ、この施設内での看取りにつきまして、今、患者や家族の意思にかかわらず、医療機関に搬送されてしまう事例が散見されているという御指摘があったのですが、私どもの会員からも、例えば特別養護老人ホームで最期はここで迎えたいと願っていても、その体制がない。施設の嘱託医が大変高齢になっておりまして、夜中は呼んでほしくないというような御希望があったり、あるいは看護も夜間オンコール体制がほとんどを占めておりますので、医療職であるナースが夜間は不在になることもあって、どうしても搬送せざるを得ない状況があることは会員からも聞かれています。

 ただ、どうしても御家族が病院に行きたいということであれば、それはそれで構わないのですけれども、最期はここでと希望しているにもかかわらず、施設に看取りの体制がないという理由で病院に運んでしまうことについては、いささか問題があるのではないかと思います。

 ですので、この資料では特別養護老人ホームでも全く看取りをする意思がない施設が1割強あるような状況ですので、なぜそういったことになっているのかについては少しお調べいただきたいということと、それから、特別養護老人ホームにおいてもすばらしい実践をされている方々がいらっしゃいます。嘱託医と連携をとり、また看取りというのは、経験のない介護職員にとっては大変不安なものでもありますので、看護と介護とでチームをつくって、看取り体制を施設の中でしっかり整えている施設があります。あるいは看護、介護による日々の健康管理の力量が高い施設です。そういったところでかなり優秀な実践をされている施設がありますので、好事例を広めていくような形をとって、これからはどこでも看取りが可能になる体制をつくっていかないと、多死時代には間に合わないのではないかと考えております。

 それから、介護職との連携についてもここで触れられているのですが、例えば末期の悪性腫瘍のケースと、静かに亡くなっていくケースというように、いくつかパターンがあると思っております。それで特に急速に亡くなっていくケースに関しては、介護職からの情報提供等があっても間に合わなかったり、あるいは今介護支援専門員協会でも、医療的なアセスメントについては研修時間を延ばしたりして強化を図っておられますけれども、全てのケアマネジャーが医療に強くなるには大変時間がかかるだろうなと思っております。ですので、医療的なニーズのアセスメントをするためには、きちんと医療職の目を入れていく方策が当面必要ではないか、具体的には医師や看護職に必要時に相談できるような仕組みが必要ではないかと思っているところです。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。では鷲見委員、お願いいたします。

○鷲見委員

 先ほど来、連携というお話があるのですが、私は今回この在宅医療の連携のところについて、関連としてお話させていただきたいと思います。

 まず資料-2参考3の4ページをごらんになっていただきたいと思います。こちらの下のほうに通院同行をしている状況が35.8%という数字がございます。これはやはりかかりつけ医と日常的に連携していく上で、利用者さんの疾病理解であるとか、または状況を説明するために同行受診している状況であるとか、またはカンファレンスに時間がかかっているのが、独居の方よりもむしろ介護者がいる方のほうが長いということになりますと、ここでもいわゆる御本人や御家族に対する理解であるとかサポートがとても重要なのだろうと思うところです。

 先ほどの救急搬送のところもそうなのですが、いざというときにきちんとそこに対応できるためには、多分、回数を重ねてここをきちんとお話していかないと、その場に居合わせた人が動けるかといったときには難しいように思います。ですからそういうことも含めて入院中からも継続的にケアマネジャーがかかわれるような、特に急な退院であるとか緊急時の対応に備えられるようなかかわりを持てるような体制が必要だろうと思いますし、また、看取り率や訪問看護の充足度についても関連性があることもわかっていますので、特に訪問看護師さんとの連携をケアマネジャーはしっかりとっていって、環境整備やすり合わせにしていかなければいけないのだろうと思います。

 そして、そのすり合わせをするのに一番大事なのが看取りに向けた会議の開催で、実際にここの表には入っていないのですが、この調査研究の中では、看取り期に入った最後の1カ月間ぐらいは、ケアマネジャーは回数かなり御自宅に訪問しているのです。ですから訪問している意味は精神的なサポートであったり、いわゆる環境整備のところに力が入ってくるという状況になると思いますので、すり合わせる時間帯を共同するという機会が必要だろうと思っています。

 また、こういう相談される先生方も大変だと思うのですが、我々にとってみても身近に相談できる医師の存在というのが非常に重要だと思いますので、そういったところにぜひ今まで共同してうまくいった事例なんかを活用するような取り組みを、ぜひ皆さんで共有していく取り組みが必要なのではないかと思っています。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。安部委員、お願いいたします。

○安部委員

 薬剤師の立場から一言、意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 薬剤師の看取りに関する役割といいますと、多職種の方々と連携をして患者さんとか入所者の方が看取りに至るプロセスの中で必要な医薬品の供給でありますとか、医薬品の適正使用を確保するために必要な薬学的な管理、指導を適切に提供することとなるわけでありますが、現在、薬局の在宅業務に関しましては緩和ケアを含む在宅患者さんの対応に対する体制整備や実施数も徐々に伸びてきております。看取り期の患者さん、入所者の方が服薬に関する課題を抱えているような場合、地域の薬局・薬剤師というインフラを効率的に活用して、必要に応じて薬剤師の薬学管理を受けられるようにする。それが看取り期に関する医療、介護の負担と不安を軽減することにつながるのではないかと思います。そのためにはどういう仕組みが必要なのかということについては、今後十分議論していただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では武久委員、お願いします。

○武久委員

 臨床医としていまだに老骨にむち打って仕事をしておりますけれども、私の考え方は、私が判断して治るだろう病気については、ちゃんと治そうとするのが医者の務めかと思っておりますので、病院を見ていますと新入院のうちの急性期病院から紹介されてくる患者さんのうちほとんど60%が低栄養、さらに60%が脱水ということでございます。

 在宅での多分、皆さんが看取りとおっしゃっているのは、低栄養と脱水の人が干からびた状態でいるというのが看取りという患者になるのではないかと思うのですけれども、問題は本人が食べなくなったりした場合は、そのときにどうするかですが、私の場合は食べなくなった原因がはっきりしている場合には、それは治療いたします。例えば風邪薬を飲み過ぎたとか、転倒して弱ったとか、いろいろな理由があると思いますけれども、そのときに治療ではなしに補給なのです。カロリーの補給と水分の補給であって、そんな難しい治療は要らないわけです。

 今、100歳の人が7万人近くいる。30年前と比べたらびっくりすることなのですけれども、そのときに96歳の人が例えば熱が出てきたとか、来たときにちゃんと治療しますよね。特に感染症は治る病気ですから。ところが、例えば誤嚥性肺炎の場合に、誤嚥性肺炎というのはちょうど山の頂上であって、その下のほうには低栄養、脱水、電解質異常、いろいろなものが重なった上で爆発して、仮性球麻痺になりやすくなって誤嚥して肺炎になる。だから誤嚥性肺炎の肺炎だけ治してもこれは治らないのです。山の土台の部分を同時に補正していかないと治らない。しかし、ちゃんと治療すれば見事に治って2年、3年、元気にいかれる方もたくさんいらっしゃいます。

 そうしたときに、誰がターミナルと判定して、誰が看取りを、この人は見取りで、この人は治療すると決めるのは、その場にいる臨床医だと思うのです。そのときにそれぞれのお医者さんの判断基準があって、96も生きたのだからいいのではないか。これで治ったってあと半年ぐらい生きて何になるのというふうな先生もいらっしゃると思えば、いやいやこれで半年生きてお孫さんの成人式を見られたいいのではないの。そのためにちゃんと治療しましょうよという人もいる。社会医療的に言いますと、そういうものは無駄な医療になるのか、それとも今の文脈から日本で個人が少し長生きすることができるということを評価するのか、いや、医療保険は大変なのだから、そういう人はそのままターミナルとして看取ってあげたほうがいいというふうに思うのかによって全然違うわけです。

 今、日本は健康寿命と平均寿命との差が12年もあるのです。だから86歳で亡くなっても、74歳からは何らかの病気をして12年間生きながらえているという状態ですけれども、やはり一番問題は日本はアメリカに比べて5倍、寝たきりが多いというデータが出ております。寝たきりになるとご飯も余り欲しくないです。消費カロリーも減りますし、また、心肺機能も落ちてきますし、全体として悪くなる。そういうことがあって特養でも寝たきりになって、在宅でも寝たきりになって、本当だったらちゃんとしたリハビリをして寝たきりを防止すれば、まだあと1年、2年、元気でいけるというような人が十把一絡げという言い方は悪いですが、みんな看取り、ターミナル、もう終わりだ。この歳だからということで片づけていく方向性というのが果たして正しいのか。

 個人の寿命とか個人の尊厳などを考えると、今の状態をちゃんと治療して治って、今になったその前の状態に返してあげるというのは現場の医師の仕事と思いますので、ここのところの看取りとかターミナルという定義が非常に曖昧だということが不安になるのと、特養でのターミナルというのは、これは仕方がないので特養で熱が出たら感染症だとするとどこかのお医者さんに行ってもらって、どこが悪い、そして治療法、感染症だと大体治療法が確立していますから、ところが、特養にとってみるとそこが病院に行くとベッドが空いているわけです。空いているのだけれども、そこにほかの人を入れてはいけないことに今はなっているわけです。そうすると確実に1人分の収入が減ることなので、それは1人や2人だというより10人もそうなったら大変なことになりますから、この社会的仕組みも少し問題がある。

 超高齢者、要するに75歳以上の後期高齢者は去年1,641万人、4.2%が入院していて、70万人が入院している。だから90万人ぐらいの入院患者のうち70万人が後期高齢者です。この時代は特別な時代。今後この傾向はますます強くなる。一体どのような医療をするのかというのが、この医療と介護の中で非常に重要な接合部分になるのです。だから食べなくなったのがコンテンポラリーなものであれば、これはちゃんと早目に治さないと、コンテンポラリーでも1週間たったらそれがずっと続くようなものになってしまう。

 臨床医の立場としてのお話ですけれども、この辺のそれぞれの医師なり周りのフィーリングというか、これに対する思いの丈がどのぐらいあるかによって、その患者さんが助かったり助からなかったり、改善したり何とか生き返ったりするということもありますので、1回介護に行ったら医療へは戻らないんだとかいうことと、特養でずっと全部ターミナルで診ることは、そういう意味でも少し問題かなと思いますので、医療が必要な場合は医療をどんどん呼んでいただいて、判断していただくという姿勢があればありがたいかなと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、瀬戸委員、お願いいたします。

○瀬戸委員

 まず2ページの人生最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン、調査結果にあるとおり、内容がほとんど浸透していないことにかなり問題があるかなと思いますので、しっかりとこれを広報とか啓発を図っていくことが今後必要だなと思っております。

3ページの特養における看取りに関してですけれども、2つ目の○で積極的に取り組んでいると大変評価していただいてありがとうございます。一方7ページでは10%ぐらいと書いていましたが施設として看取りを行っていない施設があることに関しては、齋藤委員がおっしゃっていたようになぜできないかを検討しながら積極的に取り組むべき方向に向かうべきだと思います。資料-2参考2の3ページの図表2-55の「救急車を呼ぶのみ選択」16%について図表2-60を示されまして、「救急車を呼ぶ」のみ選択と「看取りの方針として原則病院に移す」のクロスで24%ぐらいが出していますと書いていますが、実はこの調査自体での救急車を呼ぶ状態とは、看取りの人だけを聞いているわけではなくて、本当に急変時、例えば夜間の転倒ですとか、それも含めて救急車を呼ぶことも合わせた数字であり、この数字と「看取りの方針で原則病院に移す」をこのようにクロスされるのはデータとして乱暴かなと思いました。これもデータの関係なのですけれども、資料-2参考1の47枚目のスライドなのですが、これは特定における死亡に関してなのですが、このデータは実は左側と右側の出典も全然違えば、聞いている内容も違えば、母数も全然違うものをこのようにして比較して、これで14%増加したと言われても余りにも乱暴な数字で、特定の看取りが進んでいるというのが言いたいのはわかるのですけれども、これもデータとしていかがなものかなと感じました。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では稲葉委員、お願いいたします。

○稲葉委員

先ほどから出ております在宅療養中看取り期の患者や家族の意思にかかわらず搬送され、希望と異なる救命措置等が施されてしまう例が散見されるということなのですが、本人の意思が反映されないということは、本人も無念であると思いますが、一方でいろいろ無駄遣いにもつながっているという現状があると思います。そして、なかなか国が示したガイドライン等も普及していないということですけれども、例えば、介護職が関わっているときに急変したようなときには、もともとそういったことが示されていなければ、まず救急車を呼ぶだろうということです。そういった不安やストレス抱えながらサービスに入っているという現状がありますので、患者や家族の意思の確認が進むことが望まれると思います。

 そして、誰が意思の確認をするのかということはともかくとしまして、確認された意思は、連携する関係者が共有できるように情報共有の仕組みもあわせて必要ではないかと思います。例えば、患者が医療機関に入る前ですと、主にかかわっているケアマネジャーや介護職が近くにいるわけでが、なかなかケアマネジャーがそういった患者の意思の確認等に対して責任を持つというのは、余りにも今のケアマネジャーの業務上では大変なことではありますが、患者の意思があるかないかということぐらいは持っている必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○田辺会長         

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。では鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 いろいろな委員のお話を聞かせていただいて非常に参考になりました。1つ武久委員もおっしゃっていましたけれども、看取りのときにどう対応するかということなのですが、1つは本当に看取りの状態なのかということをまず考えておかなければいけないと思います。医療機関にいればそんなことはないと思いますけれども、介護施設あるいは在宅、そういったときに実は単なる脱水だったとか、そういうことも考えられますので、介護施設や在宅においても例えば排尿や排便の状態、発熱、発疹、褥瘡、食事量、水分摂取量、そういったものはデータとしてきちんととっておいて、それを具合が悪くなったときに共有して、かかりつけ医に判断していただく。そういうことは医療機関になくてもやっておく必要があるのではないかと思います。その上での医師の判断による看取りかどうかということが前提になりますので、そういった共有できる情報をもっとふやしていく必要があるのではないかと思います。

 先ほどの松本委員も御質問されたところは、一部の特養の方が救急車で病院に運ばれるので医療機関になっていたと理解したのですが、そうではない場合もあるということは私も驚きますけれども、最期は医療機関と考えていらっしゃる御本人、御家族だけではなくて、地域包括ケアシステムが推進されていきますと、ある程度、顔の見える関係になっていきますので、そういう中で日ごろから看取りが近いような方に対してどのような対応をしていくか、御本人、御家族、そして関係者、これは医療・介護を含めて急変時の対応とか万が一の対応、そういったときのことを話し合っていく、そういうことがこれから必要になってくるのではないかと思います。

 もう一つ、私はなかなか医療課長に質問ができないので、今日はせっかくの機会ですから質問したいのですけれども、このように少なくても中小病院や診療所においては、これからは看取りもやるんだと言うことのようです。今までは治療ということでやってきたわけですが、それを緩和ケアという形で看取りもやるということになりますと、そういう意味でも専門病院はまた別ですけれども、急性期の大病院と中小病院、有床診療所の役割が違ってきます。しかし依然として医療では看護師と看護補助者しか認められておらず、どのような資格を持っていても看護補助者にされてしまうのです。介護には介護福祉士という立派な資格もあって、介護職員の処遇をどう改善していくかという努力を重ねているわけですが、きちんと医療でも介護福祉士は介護福祉士と名乗れるようにするべきではないかと思うのですけれども、医療課長のお考えを伺いたいと思います。

○田辺会長

 では医療課長、お願いします。

○迫井保険局医療課長

 この場は委員の方々の意見交換の場だと承知をしておりますので、私の意見を申し上げるのはいかがかと思いますが、御指名でもございますので意見といいますか、現時点での制度の捉え方とかたてつけから申し上げますと、特に医療機関においては看護の提供と、そこに合わせたマンパワーとして看護職と看護の補助をする看護補助者という位置づけになっておりますので、恐らく鈴木委員が御指摘の点は、そこのマンパワーについてもう少し専門性とか、あるいはさまざまな対応について詳細といいますか、専門性をもう少し広げた評価があってもいいのではないかという御指摘なのだろうと思います。

 そこは制度をどう運用するかについて当然御議論がいろいろあろうと思いますし、私の理解は、現状はそうなっているということを申し上げるにとどめておきたいと思いますけれども、今後こういったことを御議論いただく中で例えば必要な見直しとか、あるいは新たな考え方とか、さまざまな御指摘をいただいて、御議論いただければなと思っております。

○鈴木委員

 せっかく介護福祉士になっても医療機関にいくと看護補助者にされてしまい、処遇改善もないということで、差別が依然として続いておりますので、その見直しも必要ではないかと思います。

○田辺会長

 では武久委員、お願いします。

○武久委員

 今、鈴木委員がおっしゃったように、介護福祉士は国家資格なのです。病院の中にもたくさんいるのです。なのに看護補助者と呼ばせているのは一体誰なのか。これは非常に疑問に思います。介護という分野が1つできているのです。これはあくまでも看護は医師の診療所の補助をするのが看護ですけれども、その看護の補助をするのが介護かと。ちょっと違うのではないか。もう時代が違ってきて患者さんが、後期高齢者の人が7割にも8割にもなっているときに、7対1の病棟でも平均年齢が75歳を超えているというときに、果たして看護だけでできるのか。国家資格者を持っているのに補助者としていつまでも呼び続けるのか。ちょっと考えたほうがいいのではないか。時代は何十年前から変わっています。

 そういう意味からすると、ここがこういうことを言う場に適切かどうか全然、鈴木先生が言い出したので私がちょっと同じように感じている部分があったので言いましたけれども、介護の施設にいる人には介護職に対しての国からの処遇金が出る。病院内にいる人には出ない。その補助者に対して医療保険から出ているのは30対1とか50対1とかの存在評価しか出ない。そうすると、それを給料にしたときに処遇改善交付金にはとても及ばないとなってくると、病院経営もだんだん厳しくなってくる。そういうことも含めて今この話になったので、日ごろの愚痴を言って申しわけありません。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 では松本委員、お願いします。

○松本委員

 在宅で我々が患者さんを診ているときは、御本人はもとより、家族とは相当話をします。看取りについてとか、最期の医療について。ところが、介護施設に入所されている方の場合はなかなか家族とか、あるいは介護の施設におられる職員の方と主治医といいますか、かかりつけ医が話をすることは少なくて、そこでいろいろなそごが出てくるのだと思います。ここは意見交換会ですので、介護施設の方は入所者一人一人違う先生なのか、あるいは配置医として一人の先生なのかお話し下さい。入所者一人一人のことについて主治医と配置医の先生と介護職、そして家族も含めて話を十分していただければ、看取りということに関してももう少し先行きは明るくなってくるのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では東委員、お願いします。

○東委員

 今松本委員より、医療側からということでお話がありましたので、私からは、逆に介護側からのお話を申し上げます。老人保健施設には医師が常勤でおりますので、その医師が看取りを行う場合にどのように御家族、御本人と向き合ってお話をしているか、インフォームド・コンセントをどのようにしているか。またもう一つは、老人保健施設の中で、リハ職、看護職、介護職等とどのようなチームづくりをしながら看取りをやっているかというのが重要になります。

 そういう意味で全老健では、老人保健施設の管理医師の研修というものを、日本老年医学会主催で行なっていただいております。そのなかでも、このような看取りに関しては、重点的に研修をして頂いております。一方、特養では配置医師と言われていますが、いわゆる在宅のかかりつけ医がこれを担っており、これは集合住宅、サ高住でも一緒だと思います。先ほども申し上げましたが、かかりつけ医の先生方がどのようなお話、ムンテラを、御本人や御家族にされているかというのは、非常に重要だと思います。

 例えば「老衰」であっても、亡くなる前は非常に呼吸が苦しそうになったりします。そういうときに、事前にそういうこともあるのだということを御家族にお話ししておいて安心感を与えて、慌てずに救急車を呼ぶことなく連絡をくれたらいいのですよというお話をしているのと、そういう話をせずに、何かあったら救急車を呼びなさいと言っているかかりつけ医とは大きく差があるわけでございます。これからは、今日本医師会で取り組んでおられるかかりつけ医の研修においては、そういう看取りのプロセスを医師がどのようにきちんとやるかという教育をしっかりしていただくと、介護側も安心して先生方にお任せできるのではないかと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では猪口委員、お願いします。

○猪口委員

 先ほどから在宅施設で急変時どうするかというお話がありますが、私の経験でも最初お話をどんなにしていても、在宅で急に悪くなってきたときに御家族はわかっていても、親戚なんかが集まってくると何で救急車を呼ばないんだという話になることがあるのと、救急隊は使命として呼吸状態、心臓の状態が悪くなれば、これは救命措置をするというのがお仕事です。そういう場合には救命センターに運びなさいという指令がどうも来るらしく、後から救命センターの先生に、何でうちにあのような状態の人を運んでくるんだ、そっちでやれと怒られるということが結構起きているのが実態かなと思います。

 そういうことを防ぐためには、在宅とか施設の診療所の先生が診ているのならそこと連携する。それで、こういう方を運ぶけれども、このように説明している、ということを情報を共有した中で入院を受けるというように病院がやれれば一番いいのだろうと思っています。ですからそのために地域包括ケアシステムもそうですけれども、ふだんからどういう連携を組むか。それは先ほど鈴木先生も言っておられましたが、大きい基幹病院で多くのドクターがいるとなかなかそこは難しいので、中小病院としてはそういう役割をこれから担っていくのが非常に重要かなと思っております。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 東委員から日医のかかりつけ医機能研修制度のお話も出していただきましたので、私から説明させていただきますけれども、日医のかかりつけ医機能研修制度には緩和医療の研修も入っておりまして、去年スタートしたばかりですが、きょう出たような問題点にもきちんと対応できるようにかかりつけ医に研修を受けていただきたいと思っております。それにしても特養の配置医のあり方は、かなり時代的に合わなくなってきているのではないかと考えられます。その役割を見ても先ほども言いましたけれども、健康管理と療養上の指導では済まない状況です。看取りや急変時の対応について、御本人や御家族、職員も含めてですが、事前に話し合いをすることもこれから求められていくと思いますけれども、そういうことが果たして配置医の役割として含まれているのかどうかというのは、まだグレーゾーンになっています。改めてしっかり配置医の役割の見直しと、それに伴って処遇もグレーゾーンになっていて、聞いたところによると報酬はゼロから数十万という話もあり、ボランティアのような形で始まったところもありますので、そうしたところはもう一回きちんと見直していただいて、これからの看取りや急変時の対応が求められる時代にふさわしいあり方にしていく必要があるのではないかと改めて思いました。

 以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ほかいかがでございますか。

○齋藤委員

 私はもう一つ考えなければいけないと思っているのは、介護保険施設で、このたび介護医療院という類型があらたに設けられ、療養型病床がそれに転換していくと思いますけれども、たしか介護医療院の機能も日常的な医学管理の必要な重度者対応、ターミナル・看取り、そして居住の場という3つの柱があったかと思います。新たに介護医療院がそうした機能を担うとすると、介護保険施設でも特養、それから在宅復帰型ではない老人保健施設、そして介護医療院が全部似たような機能を持つのではないかという印象です。ですのでこれは介護給付費分科会での審議になると思うのですけれども、それぞれの施設の利用者の状態像をもう少し明確化していくことと、機能をわかりやすくしていく。機能を明確にした上で、どういう体制が求められるかということは、しっかりと議論する必要があると考えています。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 田中分科会長、ふだん余りしゃべっていないかもしれませんので、どうぞ。

○田中分科会長

 この意見交換会は報酬改定に関する意見を交換するところです。看取りに関する報酬の名称について一言申し上げます。

 資料-2参考1の2729スライドにかけて、診療報酬側の特に在宅医療におけるターミナルケア看取り加算が載っています。それから、同じ資料の42ページには、介護報酬上のターミナルケアに関する加算が載っています。これについては2つの報酬のそれぞれの定義が微妙に違います。ターミナルケア加算について、ターミナルケアを行ったらつくというタイプの示し方のところと、体制加算になっているところと、ターミナルケアのプログラムをつくったら加算するとなっているか、計画があるかなど、それぞれ哲学が違うものはみんなターミナルケア加算と同じ名前になっています。完全に同じにする必要はありませんが、両報酬体系におけるターミナルケア加算、看取り加算の両方は別として、ベースにある哲学は一緒にしておいたほうがいいのではないかと感じました。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 ほかいかがでございましょう。では武久委員、お願いします。

○武久委員

 皆さんも御存じと思いますけれども、人間が亡くなるときってめちゃくちゃ苦しいのです。血圧はどんどん下がってくる。喀痰はごろごろいう。病院でも家族もついている。今、病院での死亡退院の割合を見ますと介護療養が大体37%、医療療養が4050%、要するにそういう場では日常茶飯事に血圧が下がって亡くなっていく状態がいる。看護婦さんも走り回っている。家族がついていると、ごろごろいうから喀痰を吸うと死亡間近になると出血傾向が出てぴゅっと血が出る。家族が見ると非常にストレスフルな現場で高齢者の死亡に立ち会うことになります。やはり苦しそうにすれば酸素もします。しても意味がないから酸素しないなんて病院はまずないです。これは在宅との違いですけれども、ところが一方で7対1は死亡退院は2%、地域包括ケア病棟は4%しかないのです。老健が約10%です。

 このような状態で、死亡というものに対する医療サイドの手間がどれだけかかっているかということが療養病床も40%、50%もターミナルがなくなっているんだなというような状態ではないのです。というのは家族も皆いますから、あのときにこうしなかったから亡くなったのではないかとすぐ言われる状態があります。在宅でもそうですよね。特養でも老健でもそうですけれども、そのところでおる人が言わないのだけれども、親戚で集まってきている人が言うのです。ということは我々は、我々ができる現状での最大の努力はします。めちゃくちゃ手間がかかるし、めちゃくちゃ人がたくさんいる。ここをどうするか。我々在宅で療養している人が、もし熱が出たりしてきたときには3日から5日までで必ず帰します。どうしてかというと、1週間以上入院すると家族が患者さんのいない落差を感じて、もう帰ってきても見られないというように判断が数日で変わるのです。だから主治医の先生というか往診してくれる先生と時間的に抗生物質をやって、とりあえず一応、肺炎の治療は終わりましたから、あとはこういうふうにしてくださいといって5日までに帰すのが本当に在宅療養を継続するテクニックなのです。それをいわゆる地域の後方支援病院は徹底しないと、この間も15日に地域医療計画課が在宅医療の集まりをやりましたけれども、チームで在宅を支える。1人の開業医の先生がかかりつけ医でいたからって1人に任せておくと大変疲弊する。人が亡くなるときというのは皆さん方が思っている以上に周りのスタッフは困る。例えば特養でも介護の人と看護婦さんは一応、原則で100人に3人しかいませんから、とんでもなくストレスフルな状況になるのです。それでいて看護婦さんの配置も加配がどんどんできるようになっていないのに、特養に看取りをどんどんやれと言われても特養もできるところとできないところもあるということがあるので、非常に大きな看取りということですけれども、医療界、介護界を挙げての物すごく大きなプロジェクト。

 これからどんどん後期高齢者が亡くなっていくのです。もう少しこういう会が早く開かれて、みんなの考え方、ターミナルというのはこういうものだ、看取りというのはこういうものだというふうな、治るべき病気は95歳でも治すんだとか、何か1つの一致点を見出すためにこういう会は何回か話していただいて、いろいろな職種の方が入っていただいて、コンセンサスを得るようなことがまず一番かなと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。さまざまな御意見、御発言をいただきましたけれども、意見交換会ということでございますので、ほかに御質問等もないようでございますので、この看取りに関する質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 休憩を早速入れたいと思います。休憩を10分ぐらいとりまして、45分に再開したいと思います。

 

(休  憩)

 

○田辺会長

 それでは、再開したいと思います。

 次に「訪問看護について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。医療課長、お願いします。

○迫井保険局医療課長

 テーマ2としまして訪問看護の意見交換をお願いしたいと思っております。お手元の資料-3、資料-3参考1を適宜御参照いただきたいと思っております。資料-3ベースで御説明いたします。

 先ほどと同様な形式でございますけれども、まず現状について整理をさせていただいております。

 1ページ目(1)でございます。訪問看護全般的な解説ですけれども、まず定義といたしましては1つ目の○でございますが、疾病または負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対して、その者の居宅において行う療養上の世話または必要な診療の補助というようなことでございます。

 参考資料の4コマ目、5コマ目にかけて全般的な整理のチャートがございますので、適宜御参照いただきたいと思っておりますが、2つ目の○で、居宅における訪問看護の対象者に対してということで、医療保険、介護保険からの給付となっております。これは資料-3参考1の5コマ目に記載がございます。

 3つ目の○も同様でございます。

 4つ目、5つ目でございますが、就業している看護職員のうち、訪問看護ステーションに就業している者は年々増加しているものの、全体に占める割合は2%。これは少し後ろに飛びますと32コマ目に全般的な職員、就業者数の推移が記載してございまして、円グラフのほうで赤枠にございますけれども、ステーション2%というのが一般的なボリューム感でございます。

 最後の○ですが、訪問看護ステーションが開設した看護小規模多機能型事業所、医療ニーズの高い利用者を受けておられますけれども、併設している訪問看護ステーションの数、全体に占める割合は伸び悩んでいるということでございます。データはございませんけれども、給付費分科会等ではそういった数字もお示しの上で御議論いただくものと承知をいたしております。

 次に(2)ですが、訪問看護に係るサービス提供ということで、これは既に先ほど見ていただきましたが、参考資料の9コマ目にステーションの変遷数値がございます。本体資料の2ページ目ですけれども、訪問看護ステーションの利用にかかる費用、利用者の数は17コマ目、18コマ目に数字がございます。医療保険、介護保険とも増加傾向ですが、医療保険の伸びのほうが大きいということでございます。

 ステーションの従業者の関係ですけれども、これは14コマ目でございまして、1事業者当たり6.5人。13コマ目は少し前に戻りますが、従業者数が5人未満のいわゆる小規模の事業者がいまだ半数近くありますということで、従業者数の規模別の割合が13コマ目にございます。

 3つ目の○でございますが、訪問看護の利用者から24時間対応が期待されているということで、これは24コマ目に利用者が訪問看護に求めることということでデータがございますが、24時間対応というのが期待されているということでございます。これは事業所の視点から見ますと従事者数が多くなればなるほど、当然かもしれませんが、24時間対応の体制が確保しやすいということです。数字としては29コマ目に訪問看護ステーションの従業員規模別の届け出の状況ということで、例えば29コマ目の右側でございますけれども、医療保険について言うと24時間対応の加算の届け出は、当然ですが、規模が大きくなるに従ってシェアがふえていくということでございます。

 一方、リハビリテーション専門職が訪問看護ステーションにおいて従事されることもございますが、その割合について言いますと28コマ目を見ていただきますと、どちらかというとリハビリテーションの専門職の方が多いということは、逆にそういった24時間対応について言うと、体制が確保できていないという実態が出てきているということでございます。

 2ページ目、1)最後の○でございますが、死亡によるサービス終了者に関します数字ですけれども、これは27コマ目に帯グラフといいますか、棒グラフがございますが、在宅で死亡した方の約半数がそのようになっているということでございますけれども、医療保険の利用者のほうが、基本的には死亡によるサービス終了者が多いということでございます。それから、ターミナルケアに係る評価の算定数も同様でございます。

 次に、病院・診療所の訪問看護でございますが、先ほど既に見ていただきましたと御説明しましたが、9コマ目を改めてもう一度見ていただきますと、訪問看護ステーションの数よりも少数でございますし、医療保険による訪問看護を行う病院・診療所の数のほうが多いのですけれども、介護保険による訪問看護を行う病院または診療所の数というのは減少傾向にございます。ただ、この数字自体は病院とか診療所で訪問看護ステーションを併設して置きかわっているということもございますので、そのあたりは少し解釈していただくに当たっては、含み置いて見ていただく必要があろうかと思います。

 次に課題でございますが、2ページ目「2 主な課題」ですけれども、24時間対応の患者が安心して在宅で療養するための体制整備、これは先ほどのそもそも期待されているというようなこともございます。その一方で医療・介護の担い手が減少する中で、従事者の働き方を考慮しつつ、従事した訪問看護を行うということでございますので、これは訪問看護ステーションの事業規模を拡大していくことでございますとか、病院・診療所が行う訪問看護拡大ということが基本的には重要だという課題の意識を持っております。

 一方で連携を推進するという観点からしますと、訪問看護ステーションが併設いたします看護小規模多機能事業者のような、言ってみれば訪問看護とさまざまなサービスを組み合わせることが基本的には望まれると考えられますけれども、その提供については必ずしも伸びていないという指摘がございます。

 3ページ目、最後の○ですが、これは先ほどの看取りのところでも既に出ておりますけれども、悪性腫瘍以外の患者さんにつきましては予後予測が非常に困難だということもございますので、個別のケースによりさまざまな対応が必要になってまいりますので、こういった方に対します対応を現時点では十分にできていない可能性がありますということでございます。

 「3 検討の視点」でございますけれども、4つ○を掲げております。こういった視点で御議論をいただければという事務局の提案でございますが、まず1つ目でございますが、在宅への円滑な移行支援ということが必要になってまいりますけれども、訪問看護の提供体制を整備する観点からも、訪問看護ステーションの事業の規模の拡大でございますとか、先ほど触れましたが、病院・診療所が行います在宅支援の拡大、人材育成といったことを進めていくための方策として、どのようなことが考えられるのか。

 2点目ですけれども、多様なニーズに柔軟に対応するということから考えますと、訪問看護とほかのサービスを組み合わせることが重要かなという認識を持っておりますが、こういったサービスを推進することについてどのように考えていくべきなのか。

 3点目は、24時間対応ということを患者さん、家族が望まれているということでございますけれども、そういった24時間対応とか急変時の対応についてどのように考えていくべきなのか。

 最後ですけれども、末期の悪性腫瘍の方以外の介護サービスの利用者の看取り期につきましては、繰り返しお話しておりますが、容態の変化が必ずしも予測できないということは、逆に言いますと不安を抱えるということがありますので、そういった御家族とか、医療職ではない介護職を支えるための関与についてどう考えるのか。こういった視点を含めましていろいろな御意見をいただければと思っております。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

 では鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 3ページの検討の視点について、○が4つありますけれども、最後は先ほどのものと同じですから同じ意見ということで省略してよろしいと思います。最初の○でございますけれども、病院は今後二次医療圏の最後の砦となる高度急性期と重症から中等症の急性期に特化した大病院と専門病院以外の中小病院は、地域包括ケアを支援する病院に機能分化する必要があり、有床診療所も同様と考えられます。それらのかかりつけ医機能を持つ有床診療所と中小病院は、郡市区医師会のもとで在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院になれるところはなっていただいて、可能な場合は総合在宅ケアセンターを設置して、訪問看護だけでなく介護も含めてできるだけ総合的に在宅支援を行う必要があります。

 そのための人材育成については、日医かかりつけ医機能研修制度を始め、各職能団体の研修や地域医師会が多職種連携の研修を開催することも必要になると思います。

 その次の○についてでございますが、医療ニーズの高い患者の在宅を支えるために、看護小規模多機能型居宅介護ができたわけですが、その有効性はあると考えられますけれども、かかりつけ医や医療機関との連携も必要であると考えております。

 3つ目の○でありますけれども、在宅を支えるためには訪問看護は必須でありますが、そのためには24時間対応や急変時対応が前提となります。訪問看護7のあり方の見直しを含めて、訪問看護自体もステーションの数や規模の拡大だけでなく、サービスの質を評価する方向にするべきであると考えます。

 4つ目の○については前回、先ほど話したので省略させていただきます。

 以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ほか御意見ございましたらよろしくお願いいたします。

 では齋藤委員、お願いいたします。

○齋藤委員

 今、鈴木委員が在宅医療では訪問看護は必須だと仰いましたが、制度ができた当時のことを思えば、ドクターからそのようなお褒めの言葉をいただく状況になったことを、大変うれしく思っています。

 訪問看護の制度ができてもう二十数年たちますが、ここ数年、事業所数はかなりの勢いで伸びておりますけれども、事業所の数より訪問看護師の数がどのくらいいるかがこれから非常に大きな課題になるのではないかと思っています。

 今、訪問看護の需給推計等を私どもも内部で行っておりますけれども、訪問診療の自然の伸びに合わせて、恐らく訪問看護の利用も伸びてくると思うのですが、それを支えるためには訪問看護師の確保が非常に大きな課題になると思います。

 資料にありますように、事業所でも5人未満の小規模なところがふえているわけですが、訪問看護師をしっかり確保して、事業所の規模を拡大をしていく方向性が重要です。人材育成の方策としては、平成26年改定で、機能強化型の訪問看護ステーションができたわけですが、そこの機能が十分に発揮できれば、機能強化型ステーションで訪問看護師を養成し、地域のほかのステーションでも働けるようにしていくことができると思います。また、これからは病院や診療所からの訪問看護の拡充も期待されるところですが、あらたに取り組もうにも、病院や診療所の看護職員は訪問看護を全く体験したことがないということもあり、病院に勤務する看護師が訪問看護を学ぶ研修の仕組みが課題となります。これからは、病院の看護師においても在宅看護の視点が非常に重要になりますので、病院に勤めながら一定期間、訪問看護でも働けるというような出向の仕組みを今、日本看護協会では検討しているところです。その事業の広がりもぜひ応援をしていただければと考えています。

 もう一点、訪問看護師の確保、育成を検討するにあたっては、訪問看護サービスの拡充については老健局が所掌、看護職員確保については医政局所掌というように、厚生労働省の中でも所掌が分かれているという状況です。訪問看護の人材育成等についての所管部局はどこかと考えると、結局どこでもないという曖昧な状況ですので、そこも1つ問題ではないかと考えています。

 それから、今、鈴木委員が御指摘のように質の担保をどうするのかというのも大きな課題だと思っています。訪問看護ステーション数は今、約9,000近くになりましたけれども、経営にしても、人材育成にしても、地域との連携にしても、管理者の腕にかかっているといえます。ですが、今の訪問看護ステーションの管理者要件は、必要な知識と技能を持っている者というふうに非常に曖昧な要件になっております。実際に私どもが管理者に行った調査では、管理者になる際に管理者研修を受けなかったという方が約3割に上るという実態もありますので、少しこの管理者の質の担保については課題があるのではないかと考えています。

 サービスの質の担保につきましては、当然エビデンスに基づいた評価をしていくのがこれからのあり方だと思いますが、残念ながらステーションはレセプトがまだ電算化されていないといった事情もあります。介護保険との連動の問題もありますので、余り事業者に負担がかからないような形で電算化を進めていくことは、直近の課題だと考えています。

 ○の2つ目、複数サービスを組み合わて提供することで、在宅療養の長期的な継続を図るために、看護小規模多機能型居宅介護をつくったわけですが、なかなか事業所数が伸びていかないという課題があります。ここは市町村行政の理解もまだまだ進んでいないというのが背景にあるのかなと思っております。

 看護小規模多機能以外にも、福祉的サービスと訪問看護の組み合わせということでは、例えば在宅医療が必要なのは高齢者だけではないので、障害を抱えた乳幼児もこういった訪問看護とデイサービス等を組み合わせたサービスがあれば、在宅療養の幅が広がっていきますので、ぜひ推進していただけるような施策を組んでいただきたいと思っております。

 ○の3つ目なのですが、訪問看護に期待されていることは調査でも明らかですけれども、これからは24時間365日の対応は当たり前になるのではないかと思います。病院に例えれば、病院の中のナースステーションが町にやってきたと考えると、ステーションの規模を大きくして24時間365日やれるという形が本来のあり方ではないかと思っておりますので、ぜひ改定に向けては御審議をいただきたいと思っております。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。松本委員、お願いいたします。

○松本委員

 今、齋藤委員が言われた24時間対応というのは大事だと思います。私の所属している地域医師会で訪問看護ステーションを持っていますので、面接をしたことがあります。その当時というか、今もそうなのですけれども、24時間対応できていなかった。今後、24時間対応をしていくのに、そのようにしていきたいのだけれどもと言うと、もう結構ですという感じで応募を取りやめる。実際に働いている人に今、10人ぐらいの事業所ですけれども、話を一人一人にしても、24時間対応にするのだったらほかのステーションに行きますとか、職を変えるというようなことを言われる。よくよく話を聞いてみますと、強い意志を持って訪問看護を選ばれた方も中には見えるのですけれども、病院で24時間対応で夜勤ができなくなって、パートだと好きな時間に行って、好きな時間に帰れるからといった理由で応募される。その方がとんでもないとか言うつもりは全くありません。が、訪問看護をするという意義をもう少し考えていただく。ですから日看協にぜひお願いしたいのは、講習をしっかりしていただく。我々ももちろん努力しますけれども、ぜひともお願いをしたいと思います。

○田辺会長

 武久委員、お願いいたします。

○武久委員

 参考資料のスライド4を見ますと、これは27年のデータですけれども、医療保険も介護保険も非常に利用者が多くて、5758万人利用していることがわかります。一方でスライド26を見ますと、ターミナルケアの利用者はふえていると言いながら数千人。ということは、1%にも満たない。要するに訪問看護は一体何をしているのか。前にデータを見たことがあるのですけれども、これは何のデータか覚えていないのではっきりしませんが、バイタルサインがほとんどであって、要するに重症の人は非常に少ない。

 このスライド24を見たらなるほどと納得したのですけれども、これを見ますと24時間対応してくれるというのはありがたいにしても、結局、いつも決まったこととか、入退院時に病院と連絡してくれるとか、相談に乗ってくれるとか、必要に応じて医師に連絡してくれるとか、予防のための助言・指導をしてくれるとか、要するにこのような役割は非常に重要ですけれども、このような役割を担っているだろうと思うのです。ある意味、ケアマネジャーがやらないといけないようなことも含んで、看護婦さんは医療的なケアマネジャー的な相談に乗ったらいい。トータルとしてのキーパーソンとしての役割があるために非常に訪問看護がふえているのだと思うのですけれども、もっとこれから在宅や重症化に移っていく。そうしたときに松本先生がおっしゃったまさに24時間対応、重症者対応、ターミナル対応、こういうものを1%以下では私は物は言えないのではないか。もっとちゃんとやってほしいなとエールを送って終わります。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では東委員、お願いします。

○東委員

 まず1つ質問です。資料-3「【テーマ2】訪問看護」の2ページ「2 主な課題」に「24時間対応等の患者が安心して在宅で療養するための体制整備が求められる」と24時間対応が期待され、先ほども多くの委員から24時間体制が必要だ、重要だという御意見が出ています。また、資料-3参考1「【テーマ2】訪問看護 参考資料」の25枚目のスライド「訪問看護における24時間対応体制と緊急訪問の状況」にある介護保険の「緊急時訪問看護加算」の届出では、87%が「届出あり」となっていますし、医療保険の「24時間対応体制加算」も届出が多くあるのですが、これは全国にある訪問看護ステーションの中で、24時間体制にある訪問看護ステーションの割合と考えていいのでしょうか、そうではないのでしょうか。まずそれをお聞きしたいです。

○田辺会長

 では事務局、お願いいたします。

○迫井保険局医療課長

25の円グラフに関しての御質問という理解だと思いますが、この母集団は訪問看護ステーション全体という理解でよろしいのではないかと思います。

○東委員

 ということは、今、日本全国の訪問看護ステーションのうち、例えば介護保険でいっても87%のところは24時間対応をしているという理解でよろしいのでしょうか。私の地元の近辺の訪問看護ステーションはどこも24時間対応をしていないのですけれども。

○田辺会長

 では老人保健課長、お願いいたします。

○鈴木老健局老人保健課長

 これにつきましては、届け出をしているかしていないかというところだけですので、実際に行っているかどうかをあらわしているものではございません。

○東委員

 そういうことでしたら、訪問看護ステーションのうち、実際に24時間の対応をした実績が今回の資料で出ていないので、それをぜひ知りたいと思います。まずそれを前提として、先ほどからあがっている訪問看護ステーションの24時間対応について、私は全く否定するものではありません。必要だと思っています。そこは日本看護協会の齋藤委員にも誤解をしてほしくないのですが、私はこの24時間対応に関しても、先ほど看取りのところでも言いましたが、もう少し詳細なエビデンスが必要だと思っています。

 といいますのは、資料-3参考1の24枚目のスライド「利用者が訪問看護に求めること」では「24時間対応してくれる」ことを望むところが多くなっています。これはどなたでも訪問看護を利用している方は24時間対応してくれるほうがいいですかと聞かれれば、してくれるほうがいいに決まっているわけです。このような意向調査ではなく、また、これをもって24時間対応がもっとふえなければいけないというのではなくて、本当に真夜中、24時間体制の訪問看護の需要、ニーズがどれだけあるのかということをきちんと出さないと、本当に訪問看護ステーションの全てが24時間対応しなければいけないのか、それとも基幹的なものだけでいいのかという判断ができないと思います。例えば24時間対応をしている訪問看護ステーションがどの程度、深夜に、どういう疾患で、どういう訪問看護の内容を提供しているのかというデータがないと、議論にならないと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 2ページの「2)病院・診療所」、ここからの訪問看護は減少傾向にある。逆を言うと、訪問看護ステーションはふえているようなのですが、臨床の現場から見ると私のところも訪問看護ステーションをやっておりますが、本当になり手がいない。数はふえていると言うけれども、本当かなというぐらい病院から訪問看護ステーションに行くとか、でき初めのころのほうが、訪問看護ステーションで看護師としてアイデンティティーを持って独立して頑張るんだという情熱を持った方がすごく多かったように思います。今ふえているのはむしろPTOTなのではないかというような実感を持っています。

 今24時間体制のことが言われておりましたが、病院とか診療所から直接訪問看護に行くというのは、何かあったときに入院対応とか、そういうこともしやすくなりますので、制度としてはもう一回そこのところを強化することは考えてもよろしいのではないかと思っております。

 ただ、問題はこの資料-3参考1の16ページにありますように、明らかに病院・診療所からとステーションからでは報酬のつき方が変わっております。多分ここがあるとなかなか病院・診療所から直接行くことにはならないと思いますので、ぜひこの辺のことを少し整理していただいて、病院・診療所からの直接の訪問看護が行いやすくなるといいなと思っております。

○田辺会長

 では松本委員、お願いいたします。

○松本委員

24時間対応なのですけれども、恐らくこの25のスライドにあるところが届け出があるのだと思います。実際に少ないというのは、在宅で患者さんを診ていて、夜中に呼ばれることは余りないのです。ですから恐らく体制はとっていても、実際に24時間対応で執務をしなければいけないことは少ないのだと思うのです。

 私が言いたかったのは、訪問看護師の意思といいますか、もし呼ばれたら行くよという意志を持った看護師さんが欲しいなというだけで、実際、2日に1回夜勤しろという話とは違うと思いますので、その辺、私の言い方が悪かったかもしれない。誤解のないようにお願いします。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 では幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 保険者として、要望を発言させていただきます。

 保険者として懸念していることは、在宅医療が本来の患者像に見合った人に対して医療サービスが提供されているのかどうかということです。今後は地域医療構想を実現させるために地域包括ケアシステムの構築が推進されることにより、確実に在宅医療の増加が見込まれます。30年度は医療・介護同時改定なので、医療・介護の連携・分化というものをきっちり議論していく必要があると思います。

在宅医療はチーム医療が重要であり、医師をトップに、看護師、薬剤師、ケアマネジャー等の介護職員らがチームとなって連携し、役割分担の上で、必要な医療・介護サービスを提供することが理想だと思いますが、先ほど申し上げましたように、本来の患者像に見合った人に対してサービスが提供されているか、医療・介護の連携・分化が行われているかは現時点では疑問であります。他の会議で提出された資料では、医師が訪問診療を行った場合の医療行為の大半は、健康相談やバイタルチェック、服薬管理のみということが示されておりました。こういったことを医師が訪問して実施する必要が本当にあるのかという点は疑問であり、健康相談やバイタルチェック等の医療サービスであれば、医師ではなく、看護師による提供でも可能なのではないかと考えます。また、療養を中心とした患者に対しては、看護師ではなく、ケアマネジャー等の対応でも可能ではないかと思います。今やICTもかなり普及しておりますので、これを活用することで受診が必要と考えられる場合でも、医師への情報提供なども行いやすい環境にありますし、他の職種との連携も図りやすいと思います。

冒頭申し上げましたように、30年度は医療・介護の同時改定であることも踏まえ、医療と介護のすみ分けを十分に行い、在宅医療に必要な患者像をしっかりと把握した上で、今後の議論に臨む必要があるのではないかと思います。

○田辺会長

 では松本委員、どうぞ。

○松本委員

 在宅医療の診療報酬に関しては中医協でやりましょう。ここはちょっと違うと思いますので。ただ、今のお話で患者像に合っているのかどうかという疑問を呈すのはいいですが。訪問看護は医師の指示書に従って行っています。医師がそう判断をして、必要だという判断の中でやっている。在宅医療も医師が必要と判断してやっている。憶測で今お話されたと思います。もちろん調査は必要かもしれませんが、今の発言は聞きっぱなしにしてはいけないと思いまして。

○田辺会長

 では武久委員、お願いします。

○武久委員

 保険者というのは保険者の立場で意見を言うのですから、当然言っていいと思うのですけれども、医療保険料を余り使わないでほしいというのが内心にありますから、それはいいのですが、確かに今、委員がおっしゃったように、訪問診療でもお医者さんが来てくれたという安心感が利用者にあるわけです。やっていることは大したことをやっていないという場合も当然あります。訪問看護も一緒です。看護師さんが来てくれた。バイタルサインで血圧がどうのこうのとかはかってくれた。それは重要と言えば重要なのですけれども、今、特定看護師という制度ができてきまして、お医者さんのかわりでお医者さんに指示をしておけばある程度のことはできるという制度を今つくられて、養成されていますね。これは開業医の年齢がだんだん高くなって、実際に在宅訪問の診療のニーズに応えられないということを多分、厚労省の方がある程度推察して、こういう制度をつくられているのだと思うのです。

 今、24のスライドを見たらよくわかるように、1回厚労省からも出していただいた、訪問看護は一体行ってどのようなことをしているかという資料が前にありましたので、ぜひ今度出していただけたらと思うのですけれども、やはりこれを見ているとケアマネジャーでも相談に乗れるようなことは結構多いのです。だけれども、医療系のケアマネジャーが少ないということもありますから、ケアマネジャーは医療的な勉強をかなりすれば、このうちの一部は担えるのではないか。相談に乗ってくれるとかいろいろなことが書いてありますので、訪問看護は全部看護師がするんだというふうに硬直化しないでも、この業務の中でいろいろな職種がお互いを連携しながらやっていくというシステムが、私は一番その保険者にとっても効率がいいのかもわかりませんが、患者さんにとっても効率がいいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょう。鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 各委員のお話を聞かせていただきましたけれども、幸野委員とは入れ違いなので中医協では議論ができなかったのですが、今の話は訪問診療と往診の違いがあるので、そこを少し御理解いただけるとありがたいと思います。外来でも何か変わったから受診するだけではなくて、定期的に受診することもあるわけです。訪問看護についてはそもそも療養上の世話と必要な診療の補助という役割がありますので、療養上の世話でもいいわけですが、訪問介護で同じような役割が果たせることもありますので、そういう意味では両者の機能分化も検討する必要があるのではないかと思います。以上、皆さんの御発言を聞いて私の意見を述べさせていただきました。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 では稲葉委員、お願いいたします。

○稲葉委員

私は介護保険の事業として、定期巡回・随時対応型訪問介護看護という事業を行っておりまして、24時間定期的あるいは緊急時などにヘルパーが訪問をします。比較的その対象者は中重度の高齢者で、寝たきりの方なども多いわけですけれども、必要に応じ深夜でも訪問看護が出動するということにはなっておりますが、ヘルパーが訪問することができているからなのかわかりませんが、深夜帯において緊急に、看護師が出動するという例は私の会社では今まではほとんどなかったわけです。そのような中で定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業はそれほど普及がまだしておらず、こちら広げる余地があるとより看護とも連携ができるのではないかと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では齋藤委員、お願いいたします。

○齋藤委員

 訪問看護ステーションの利用者さんの状態というのは、要介護度の重い方、がんの方、精神の病気を持っておられる方、そして神経難病と、これらの利用者さんで大体4分の3ぐらいを占めていますので、期待されているとおり割と状態の重い方を御自宅で支えるために、訪問看護が利用されているのだと思います。

 実際に何をやっているかをつぶさに調べていただくというのは構いませんけれども、先ほど本当に利用者像に合ったサービスなのかというような御指摘もあったので、今、私の知り得る範囲での現状を意見として述べさせていただきます。

 それでは軽い方への訪問看護はどうするのかということになると思いますが、軽い方も定期的に医療職のアセスメントを入れて、健康状態をチェックしていかないと、予防的な対処や悪化傾向の早期発見ができず、やがて悪くなっていくというのは当然ですし、加齢に伴う身体変化というのがありますので、なるべくいい状態のまま、悪くならないように御自宅で過ごしていただくために、定期的な訪問看護あるいは訪問診療、そして、それらの情報をもとにしながらいろいろなサービスが関わって、御自宅の療養を支えることができると思っております。

 多職種が情報共有するときに鍵になるのは、恐らくケアマネジャーだと思いますが、なかなかその情報共有の場がうまく設定されないと難しいことですので、先ほど鷲見委員もおっしゃいましたが、在宅療養の要が訪問看護であるならば、訪問看護とケアマネジャーが要所で連携する仕組みを、何らかの形で積極的につくっていく必要があるのではないかと思っています。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 鷲見委員、お願いいたします。

○鷲見委員

 先ほどの連携というところなのですが、介護保険制度下では医療系のサービスを導入する場合には、医師の指示のもとということになっておりまして、実際に今、主治医の意見書等からそこを拾い上げてくることであるとか、または直接訪問看護ステーションにかかりつけ医の先生から指示がある場合または退院時カンファレンスのときにこういうサービスが必要ですよねということで開始されることが大体とすると多いわけです。

 しかしながら先ほど齋藤委員から、軽度者ということに対しては実は非常に拾いにくいといいますか、導入に関して例えば予防の視点から脱水を起こしやすい人であるとか、今後、訪問看護が必要になってくるというか、体調管理が必要になってくる人たちなんだということが明確にわかるような指示をいただけますと、我々としても導入しやすい状況になると思うのです。そうすることによって前段の救急車の話もあるのですけれども、そういうことも防げていくといいますか、緊急時の対応というか、そこを見据えた対応ができるのではないかと考えます。

 もう一つ、先ほど情報提供で前段のところで申しわけないのですが、介護支援専門員に関して情報提供は運営基準上、7日となっておりますので、それがもしここでも6割ぐらいの方々も2日ぐらいでやっているわけですから、実態に合わせた形にここは移行していくことが望ましいだろうと思っています。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 訪問看護は重い方から軽い方まで看ていると思うのですけれども、どのような方を看ているかというのは、介護保険を使っている場合と、医療保険を使っている場合によってかなり違っていると思うのです。高齢者だからといって全部介護保険ではなくて医療保険の方もいますし、その場合は重い方が多いと思うのです。そういうデータをもっと示していただければ、介護給付費分科会だから介護保険しか出さないとか、中医協だから医療保険しか出さないのではなくて、その両方を出していただいて議論をしていけばいいのではないかと思います。

 私のところの訪問看護ステーションは医療保険が圧倒的に多くて、所得の低い方が多いので、訪問介護でも済む場合には訪問介護を選択されるのです。訪問看護が必要な方は医療保険を使うような重い方が中心になるので、夜間とかも呼ばれます。地方ですけれども、対応しています。よくやってくれていると私はいつも感謝していますが、そういう訪問看護が在宅医療を支えているのだと日ごろ感じているので、先ほども発言させていただきました。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 ほかいかがでございましょう。では齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

1のテーマともかぶるのですけれども、看取りの状況を見ますと特に特養では、外部からの訪問看護が使える場合があることを知らないという事業所が約半分ぐらいに上っています。ですので特別養護老人ホーム等でも医療保険で訪問看護が使えるケースがあるという制度的な知識の普及は、課題として1つあるのかなと思います。

○田辺会長

 では東委員、お願いいたします。

○東委員

先ほど稲葉委員が24時間随時対応をやっておられて、ほとんど夜中のニーズはないとおっしゃっていました。私どもも地元で在宅医療をやっていて、真夜中に訪問看護が行ってくれないから困るとか思ったことはありませんし、御家族からそのようなニーズを聞いたこともあまりありません。とは言っても鈴木委員の地元では夜中に呼ばれることはありますよとおっしゃる。そこら辺は日本全国でどうなっているのか。本当に24時間対応、夜中の対応のニーズがどういう疾患で、どれぐらいあるのかというのがわからないと、この議論はできないと思います。再度申し上げます。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 ほかいかがでございましょう。では、田中分科会長、お願いいたします。

○田中分科会長

病院・診療所から行く訪問看護がふえない、もしくは減っている。それから、スライド34にあるように複合型、訪問看護ステーションとほかとの組み合わせが世の中に期待に反してほとんどふえない。答えが私にあるわけではありませんが、これについては報酬だけではなく、さまざまな基準の話なども含めて早目に検討して、地域包括ケアを支える体制の訪問看護ステーションがほかと組み合わせていくようなことを考える必要があると思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。2つのテーマを取り上げましたけれども、さまざまな視点からさまざまな御意見をいただきました。ありがとうございます。

 本日の議題は以上でございます。なお、次回は4月19日水曜日に2回目のこの会議、意見交換を持ちたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(医療と介護の連携に関する意見交換)> 医療と介護の連携に関する意見交換 第1回議事録(2017年3月22日)

ページの先頭へ戻る