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2017年3月30日 第22回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年3月30日(木)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 講堂(2階)


○出席者

   井口、田中、千葉、藤井、堀田、山本(敬称略)

○議題

1.平成28年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
2.その他

○議事

 

○西嶋介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第22回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。 

 初めに、本日の委員の出席状況でございますが、全ての委員に御出席をいただいております。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料について確認をさせていただければと思います。

 議事次第、座席表、委員名簿に続きまして、

 資料1「平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント(案)」の1枚紙です。

 資料2「平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」

 資料3「平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」
 ということで、以上3種類の資料を用意させていただいております。

 資料の過不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 それでは、カメラはここまでとさせていただければと思いますので、撤収方、ご協力をお願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 では、以降の進行につきましては田中委員長にお願いいたします。

○田中委員長 皆さん、こんにちは。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。

 早速議事次第に沿って進めてまいります。議題1「平成28年度介護従事者処遇状況等調査の結果」について、事務局から資料の説明をお願いします。

○説明者 それでは、資料に沿って御説明申し上げます。

  最初に、資料1の裏の2ページとなりますが、調査の概要について御説明いたします。

  今回の調査でございますが、調査の目的としましては、介護従事者の処遇の状況、処遇改善加算の影響等の評価を行うとともに、報酬改定のための基礎資料を得るというものでございます。

 調査の実施時期は、2810月の実施ということでございます。

 調査対象は、各介護サービスのうち、ここに記載している7つのサービスを対象としております。

抽出方法としては、層化無作為抽出方法により抽出させていただいております。

 調査客体数は1万577施設・事業所、有効回答数は8,055施設・事業所ということでございまして、有効回答率にしますと76.2%となっており、前回の調査の72.7%より若干改善しているという状況になっております。

 調査項目につきましては、処遇改善加算の取得状況、調査対象施設・事業所に在籍しておられます介護従事者等の給与等の状況、これは27年9月と28年9月の比較でございますが、そのような項目を調査しているといったものでございます。

 それでは、お戻りいただきまして、1ページ目のポイントの内容を御説明申し上げます。

 1つ目の○でございます。介護職員処遇改善加算((ローマ数字1~ローマ数字4))を取得している施設・事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額につきまして、平成27年と平成28年を比較しますと、9,530円の増となっているということでございまして、その下の箱ですが、28年9月が289,780円、27年9月が28250円ということで、9,530円の増になっているという状況になっております。

 2つ目の○でございます。今回の調査につきましては、報酬改定後2年目の調査になります。27年度と28年度の比較ということでございますが、28年度においては新規の措置等は特に行っておりませんので、基本的には自然体としての給与額の増と考えております。このため、今回と同じく報酬改定後2年目の調査でありました平成25年度の調査結果と比較しますと、今回の調査結果の方がより多くの給与額の改善が図られているということであります。右側に参考として、グレーで囲っておりますが、これが平成25年度の調査結果でございまして、7,180円の増ということであり、これよりもさらに多くの給与額の改善が図られている状況にあるということでございます。

 次に、真ん中になりますが、給与等の引き上げの方法でございます。今回給与を引き上げたと回答した事業所に対して、その方法をお伺いしたところ、定期昇給を実施(予定)というところが69.7%で、最も多くなっているといった状況になっております。

 その下になりますが、今回の調査の対象となった施設・事業所における加算の取得状況ということでございますが、処遇改善加算を取得しているとお答えになられた事業所が90%ということでございます。前回調査では88.5%でしたので、若干上がっております。それから、処遇改善加算((ローマ数字1))を取得していると回答された事業所が70.6%ということでございまして、これは前回調査では66.5%でしたので、ここも少し上がっているという状況でして、いずれにしても、27年度よりも上がっているという状況にあるというところでございます。

 その右側は、処遇改善加算を取得しない理由をお聞きしているもので、取得していないとお答えになった10%の事業者に対してお聞きしましたところ、「事務作業が煩雑」が44%と最も多くなっているところでございまして、そのほかに「利用者負担の発生」「対象の制約のため」といった回答割合が多くなっております。これにつきましては、前回の平成27年度調査も同じような傾向を示しているところでございます。

 その下ですが、加算((ローマ数字1))の取得が困難な理由ということで、処遇改善加算((ローマ数字2))((ローマ数字3))((ローマ数字4))を取得している事業所に対してお聞きしたものですが、加算((ローマ数字1))を取得できない理由については、「キャリアパス要件(ローマ数字1)を満たすことが困難」とお答えになった事業所が69.8%ということで、最も多くなっているという状況でございます。

 以上が、資料1のポイントの御説明となります。

 続きまして、資料2の調査結果の概要をご覧いただきたいと思います。

まず、1ページの目次をごらんいただきますと、概要の構成としましては、大きな1つ目として、処遇改善加算の取得状況ということでございます。大きな2つ目が、介護従事者の平均給与額の状況となり、最後に3つ目が、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況ということで大きく3つに分けてそれぞれ内容をまとめているものでございます。

 2ページは調査の概要です。これは先ほどのポイントに記載しているものと同じ内容となっております。

 3ページは、結果のポイントでもお示ししておりました加算の取得状況につきまして、サービスごとの状況をお示ししているものでございます。先程も御説明しましたとおり、加算を取得している事業所が90%、取得していない事業所が10%であり、加算の種別ごとに見てみますと、加算((ローマ数字1))を取得している事業所が70.6%という状況になっているということでございます。

 4ページは、処遇改善加算((ローマ数字1))の取得が困難な理由ということで、処遇改善加算((ローマ数字2))~((ローマ数字4))を取得している事業所における加算((ローマ数字1))を取得することが困難な理由でございまして、キャリアパス要件((ローマ数字1))を満たすことが困難とお答えになった事業所が69.8%となっているということでございます。

 5ページにつきましては、平成28年度調査において新しく設けた設問でございますが、キャリアパス要件((ローマ数字1))及び((ローマ数字2))を満たすことが困難な理由をより具体的にお聞きしたものでございます。いくつか選択肢を用意してお聞きしたものでございますが、まず「キャリアパス要件((ローマ数字1))を満たすことが困難」と回答した事業所に対して、その理由を聞いたところ、「介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めることが難しい」とお答えになった事業所が66.9%と一番多いという状況になっており、次いで、いわゆる賃金体系、賃金テーブルの策定が難しいというのが45%ということになっている状況にあります。

 その下ですが、キャリアパス要件((ローマ数字2))を満たすことが困難と回答した事業所の具体的な理由でございますが、キャリアパス要件((ローマ数字2))については、主に研修等の実施ということになりますが、左から2つ目の資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施することが難しいと回答した事業所が60.4%ということで、最も多くなっているという状況でございます。

 6ページは、処遇改善加算を取得しない理由ということで、加算を取得していない10%の事業所に対して、その理由をお尋ねしたところ、「事務作業が煩雑」が44.3%、次いで「利用者負担の発生」が37.8%、「対象の制約のため困難」が30.4%という状況になっております。傾向としては、「対象の制約のため困難」については、施設系のサービスにおいて相対的に高い割合となっており、「事務作業が煩雑」「利用者負担の発生」については、訪問介護、通所介護において相対的に高い割合になっているということが読み取れるものと思っております。

 次の7ページも、平成28年度調査において新しく設けた設問でございますが、対象の制約のため困難、事務作業が煩雑とする具体的な事情ということで、先程回答した事業所に対してさらにお聞きしているものですが、まず対象の制約のため困難とする具体的な事情につきましては、処遇改善加算が介護職員のみを対象としているために職種間の賃金のバランスがとれなくなると回答した事業所が73.6%ということでございます。次いで、職種間の公平性を保つために、対象外である職種に対しても持ち出しで賃金の改善を行わなくてはいけないというのが42.9%という状況になっているところでございます。

 また、事務作業が煩雑と回答した事業所に対して、具体的な事情をお聞きしたところ、処遇改善加算を取得するに当たって作成する処遇改善計画書の作成が煩雑であると回答した事業書が77%、次いで、実績報告書の作成が煩雑と回答した事業所が69%であり、この2つが多くなっているという状況にあるということでございます。

 以上が、介護職員処遇改善加算の取得状況に関する概要でございます。

 8ページからは、2つ目の大きなくくりになりますが、介護従事者等の平均給与額等の状況でございます。

 最初に8ページは、ポイントでもお示ししておりますが、給与等の引き上げの実施方法についてお聞きしたものでございまして、これをサービスごとにお示ししたものです。

 全体としては、「定期昇給を実施」が69.7%と一番多く、次に「各種手当ての引き上げまたは新設」が29.9%という状況になっております。こちらの傾向としては、「定期昇給を実施」については、施設サービスにおける回答割合が相対的に高く、「各種手当ての引き上げ」や「賞与等の引き上げ」については、訪問介護、通所介護の方が相対的には若干高いという状況でございます。

 9ページは、介護職員の平均給与額の状況でありまして、先ほどポイントでもお示ししたものを職種別にお示ししたものでございます。介護職員処遇改善加算((ローマ数字1)~(ローマ数字4))を取得している事業所における介護職員(月給・常勤)の平均給与額については、9,530円の増となっており、賃金のアップ額については介護職員が一番高くなっているという状況でございますが、28年9月の実額ベースで見ますと、介護職員の賃金というのは相対的にはまだ少し低いという状況になっているということでございます。

10ページは、同じ月給・常勤の者について、平均基本給額の状況となります。介護職員につきましては、基本給額は2,790円の増となっているところでございます。

11ページは、介護職員の平均給与額につきまして、これを基本給、手当、一時金の内訳でお示ししたものでございます。9,530円の増の内訳としましては、基本給額が2,790円、手当が2,560円、賞与等の一時金が4,190円の増といった状況になっております。

12ページ、13ページは、時給・非常勤の者について同じく職種別に給与額の状況をお示ししたものでございますが、平均給与額については、介護職員は2,400円の増ということになっているということでございます。

13ページが時給単価でございますが、時給単価につきましても、介護職員は1,100円から1,110円ということで、10円の増という状況になっているということでございます。

14ページ、15ページは、月給・常勤の介護職員の平均給与額につきまして、これを勤続年数別に見たものになります。14ページの本文では、勤続年数に関わらず増になっていると記載しておりますが、こちらの傾向的なものを見ますと、勤続年数が低いところの方がアップ額が多くて、勤続年数が長くなると徐々に減っていく傾向にあるといったところでございます。

 なお、勤続1年については、2万5,310円の増と他の年数に比べて高くなっておりますが、その理由について、注5に考察として記載しております。

 まず、注4に記載のとおり、勤続年数は平成28年9月までに勤続した年数ということでございまして、そうなると、勤続1年につきましては、例えば27年4月から新規でお勤めになっている方が想定されるわけですが、平成27年4月から勤務を始めた介護職員の場合、27年6月期の賞与の算定に係る勤続月数が他の職員に比較して短くなることから、賞与等の支給額が相対的に低くなるということが考えられます。従いまして、平成28年9月ではなくて、27年9月の平均給与額が相対的に低いということになっており、例えば、27年9月について、1年目は232,000円ですが、2年目が251,000円、3年目が255,000円とちょっと段差が大きくなっておりますが、これはそのようなことが理由として考えられるのではないかということを記載しております。

15ページに同じくくりで平均基本給額をお示ししておりますが、こちらにつきましては、1年目の増加額が極端に高いということはなくて、どの年齢層も平均して上がっているという状況になっていますので、先程の内容と合わせてみると、要因としては、そのようなことが考えられるのではないかということでございます。

16ページは、介護職員の平均給与額につきまして、経営主体別に見たものでございます。経営主体別に見ますと、どの経営主体もそれぞれ上がっておりまして、経営主体によって、アップ額に差があるといった状況にあるということでございます。

17ページは、介護職員の平均給与額につきまして、保有資格別に見たものでございます。平均給与額につきましては、保有資格の有無に関わらずアップしておりますが、アップ額につきましては、保有資格ありが8,960円、介護福祉士が8,000円、保有資格なしが1万1,330円ということになっております。

 保有資格ありの方が、アップ額が若干低くなっておりますが、この要因としては、28年9月の平均給与額そのものを見ていただきますと、全体が289,000円なのに対して、保有資格なしは255,000円と相対的に低いので、アップ額が若干高くなっております。一方、保有資格ありは291,900円ということで、全体平均よりも少し高く、介護福祉士については302,000円ということで、資格に応じて平均給与額が高くなっているということが見てとれるのではないかと思っており、このようなことから、それぞれのアップ額に差が出ているものと考えているところでございます。

 以上が、平均給与額の状況でございます。

 最後に、18ページ以降でございますが、給与等の引き上げ以外の処遇改善の状況です。

18ページは、資質の向上に係る処遇改善状況ということで、これについては、「働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修等の受講支援」を行っているとお答えになった事業所が67.1%ということで、一番多くなっているところでございます。

19ページは、いわゆる職場環境等に係る処遇改善状況でございます。これについては、下の3つ、「事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化」が83%、「ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善」が81.3%となっており、この辺りが割と高くなっているといった状況にあるということでございます。

 なお、この選択肢の記載内容につきましては、処遇改善加算の施行通知に例示をしている内容をそのまま記載しているものでございます。

 最後に、20ページのその他の処遇改善状況につきましては、「非正規職員から正規職員への転換」が69.9%ということで、一番多いという状況にあるところでございます。

 以上が、資料2の御説明でございます。

 続きまして、資料3は、この調査結果の詳細版ということで、先程まで御説明した内容に関する統計表をそれぞれ掲載しているものになります。

 2枚おめくりいただきまして、3枚目以降に本資料に掲載している統計表の目次を記載しております。この資料の構成としましては、例えば第1表、2表、3表をご覧いただきますと、第1表でサービス種別の表が最初にありまして、第2表でサービス種別と規模別のクロス集計、第3表でサービス種別と経営主体別のクロス集計、そういったものを掲載しておりまして、以下、同じような構成でそれぞれの項目に対して集計を行った統計表をお示ししております。

 本日は、時間の関係もありますので、詳細な説明は割愛させていただきます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○田中委員長 詳細な説明、ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、皆様からのコメントとか気づきとか感想、質問をお願いいたします。井口先生、お願いします。

○井口委員 説明をいただきましたが、資料1で27年、28年と比較すると9,530円の増ということで、2年目でいけば、前回の3年前は7,180円だと。数字の上では上がってきている。また、改定後、去年1万2,000円上がりということだったのですが、こういったことを踏まえて、厚生労働省としてはどういうふうに評価をしておられるか、まず伺いたいと思います。

○説明者 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 先程も御説明しましたとおり、今回の調査につきましては、報酬改定後2年目の調査ということで、27年と28年の比較を行ったものでございます。昨年の処遇状況調査につきましては、26年と27年の比較を行ったものですが、ご承知のとおり、平成27年度においては、処遇改善加算について1万2,000円の拡充を図ったところでございまして、その評価といった側面が大きかったと思います。27年の結果ですと、加算((ローマ数字1))を取得した事業所につきましては、1万3,170円の増という結果が出ておりまして、新加算((ローマ数字1))の効果が認められたという評価をさせていただいたところでございますが、今回の報酬改定後2年目の調査につきましては、28年度において、特に新規の措置を行ってございませんので、いわゆる自然体としての増加という側面が大きいものと考えております。

 この要因でございますが、まず28年度におきましても、施設・事業所の皆様の自主努力等により、定期昇給等による給与の引き上げが実施されているということが大きいと思っております。それに加えまして、処遇改善加算自体の取得率も若干上がっておりますし、加算((ローマ数字1))の取得率も若干上がっているということもありますので、そのようなことも合わさった結果と思われるということで、総論的に申しますと、介護職員の処遇改善は着実に進んできているものと評価しているところでございます。

○田中委員長 よろしいですか。

○井口委員 はい。

○田中委員長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の件に関して、基本的な認識はそのとおりだと思うのですが、幾つか指摘したいことがございます。

 まず、報酬という形で、財源がなくても事業所の努力で上がっている部分があると。ただ、報酬というものをきちんとつけたときにそれ以上上がっている。では、何で黙っていても上がるかというと、定期昇給という仕組みがそもそもあるではないかということなのですが、一つは、処遇改善交付金から始まった加算というのが、きちんと給料を上げていくという仕組みを事業所の中につくっていっていただくという呼び水にはなった。これは定量的に評価するのは難しいのですけれども、そういう政策的な効果もあったのではないかという評価はできるのだろうと思いますし、それから今、御説明があったように、加算をとるところもおくれてとるところがあるというのがございます。

 もう一点ですが、これは今後重要になると思うのですが、処遇改善交付金というもの、加算の前の交付金の導入がそもそもリーマンショック直前、一時期景気が非常によくて介護職員が集まらないという時期から、プラス経済対策ということで導入されたものでございまして、導入された時点では非常に失業率も高く、介護職の求職がいい状態、買い手市場であったという状況から、じりじりじわじわと失業率も低くなり、景気もすごくよくなったという実感はさておき、有効求人倍率はどんどん高くなり、介護の有効求人倍率も確実に高くなってきているという状況で、数字としてきょうは出ていないのですが、一つ注目しておいたほうがいいかなと思いましたのが、給与表を改定して賃金水準を引き上げたという部分です。当初からここをしっかりやっていただきたいなと。これが10%台だったという話なのですが、これが平成24年の報酬改定をしたときには13.5だったと思います。次の年は12.7と落ちるのですが、平成27年、前回の報酬改定のときは17.7。今回も16.4というふうに、いわゆるベアを上げているところの比率が高まってきている。これまでベアを上げる部分で処遇改善を図っていただきたいという思いがあったので、いいことであると言いたい反面、それだけ職員確保はきゅうきゅうとしている状況がある。

 つまり、9,530円が自然体で上がったというのはいいことではあるのですけれども、上げざるを得ないという環境もあるのではないかということでございまして、処遇改善加算というのが政策的な効果は出ていると思うのですが、では、今後どうしていくかというのが、今までどおりこれでいいですという話とはちょっと違うのではないか。ますます厳しくなる中でどう考えていくかという話はあるのではないかという数字だと思います。

 以上です。

○田中委員長 コメント、ありがとうございました。

 山本委員、お願いします。

○山本委員 1点質問です。全体として9,530円上がったというのは非常によいこと、政策的には実現しているという方向かと思うのですけれども、ただ、資料の11ページのところにその内訳が書いてございます。内訳の中で9,530円のうち、基本給で上がった部分、手当、一時金とありまして、一時金の部分が非常に高い比率になっている。私の推測ですと、事業者側の方はこの財源自体が安定的ではない、安定した財源ではないので、少しリスクがある。ですので、一時金という形で上げてこられている比率が高いのではないかと思います。そもそもの目的が介護を実施される方の処遇改善、その方の地位の向上というか、一生誇りを持ってこの仕事ができるということのための政策であったということからすると、一時金ということではなくて基本給という形で、事業者の方も安心して処遇改善していけるような形での実施のほうが望ましいのではないかと私のほうは想像するのですけれども、このあたりは実際に分析された御担当としてどのようにお感じでございましょうか。

○説明者 お答えいたします。

 まず、処遇改善加算の運用として、与えられた加算額に対して、全体として加算額以上の賃金アップを求めているわけですが、現状の運用としましては、Q&Aなどでは基本給によるアップが望ましいという考え方は示させていただいておりますが、実際に賃金を上げる手段については、基本給、手当、一時金のどれにしなくてはいけないということまでは縛っていないということでございまして、まずは、介護職員の賃金を底上げするという趣旨からそのような運用とさせていただいているところでございます。

 Q&Aでもお示ししているとおり、基本給による対応というものが望ましいと考えておりますが、なかなか難しい状況もありますので、現状としてはこのような数字になっているということかと思います。

 ちなみに、平成27年度調査においては1万3,170円の増ということでしたが、このときの基本給のアップも2,950円ということでございまして、あまり状況は変わっておりませんが、引き続き処遇改善加算の取得を促進するということ、介護職員の処遇改善を進めていくということが必要と考えております。

○山本委員 もう一点追加です。基本給の部分で、15ページのところに基本給額の状況という表が入っております。27年9月の統計の数字を見ますと、1年目が165,000円。ただ、2年目が少し下がって、3年目も165,000円を超えていないということで、通常でしたら1年目から基本給が上がっていくようにも感じたのですけれども、これは統計上、そのような数字になった背景がございますか。

○説明者 その点についてなかなか明確な理由は申し上げられないものと思っております。基本給額ですので、全体としては、勤続年数が上がっていけば基本給額も上がっていくというのが自然の姿であろうかとは思いますが、介護事業所においては賃金テーブルがない事業所もありますので、そのようなことも少し関係しているかもしれませんが、現時点で明確な理由を申し上げるのはなかなか難しいものと考えております。

○藤井委員 これは今後内部で分析していただいたほうがいいと思うのですけれども、1年目、2年目、3年目、4年目、5年目という部分は、事業所の属性が違いますので、端的にわかりやすい話で言いますと、新しくできている事業所というのは、人が採用しにくいところなので賃金を高目に設定しやすいのですが、長くある事業所ですと、全員上げなければいけないので、いきなりみんな上げるというのはちょっと難しいということがありますので、それで1年目が高く出る可能性もあったりしますので、同じ要件でそろえた上でこの数字がどうなのかということを見られると不思議でないかもしれません。これだけ見ますと違和感がある数字ですので。そもそもは14ページをさらに見るために15ページを出していただいたということで、15ページを見るとさらに気になることが出てきたということで、分析というのはこういうものですので、さらに分析していただければと思います。

○田中委員長 補足、ありがとうございました。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 ありがとうございます。

 質問が2つです。

 1つ目の質問は、今の14ページ、15ページのところで、今のところ勤続年数別というのは、それぞれの年齢とか資格の有無みたいなものは全く考慮せずに勤続年数でということがこの表という理解でいいのですね。

○説明者 はい。

○堀田委員 わかりました。

 今の藤井委員の御指摘と同様なのですが、これだけだとなかなか見にくいものもあるので、今後の対応を考えていく上では、年齢と勤続年数と資格の有無みたいなものを、数がしっかりあるところについては見ていただけるといいのではないかなと思います。

 2つ目の質問です。6ページ、7ページのあたりで、加算を取得しない理由で、記憶が正しければ、いつも「事務作業が煩雑」というのが多く挙げられ、それもとりわけ施設系ではない訪問とか通所というところでこれが多く挙げられるなという印象があるのですけれども、これについては、この加算が始まってから事務作業の煩雑さを軽減するような努力はなされてきていたのでしょうか。あるいはそれは何らかやりようが今後ありそうなのでしょうか。

○説明者 これについては難しい問題もあるのですが、今回処遇改善加算をさらに1万円拡充して、29年4月から実施しますが、その施行通知を3月9日付で出させていただいております。その通知の中で、これまでの様式について、要件の審査において必ずしも必要ではないと考えられる項目について、少し削らせていただいております。ただし、必要な情報は書いていただかなくてはいけないですし、あくまでも加算額は全て賃金改善に充てていただくといったことは計画書、実績報告書においてともに担保していかなくてはいけません。その関係を踏まえた上で、どこまで様式等を簡素化できるかといったことが一つあろうかと思います。

 もう一つは、あくまでも公費を投入するものですので、不正受給の防止といった観点も一方で考えていかなくてはいけません。そのようなこともあわせて今後どこまでの対応ができるのかということも検討していくということになるものと考えております。

○堀田委員 ありがとうございます。

 7ページのところを見ますと、「届出に必要となる事務を行える職員がいないため」というのが結構あって、さらに資料3の22ページを見ますと、グループホームとか通所のところでこういう選択肢を答えているところが結構あって、事務そのものの煩雑さを軽減していくということもですが、改めてこういった事務を集約化する何なりという工夫ができないのかなと思わされました。これは単なる感想です。

 もう一つは、もし対応ができるのであればというリクエストなのですが、資料3のほうで、この統計表は全て回答数が入っていないのです。物によっては、例えば3ページの第3表ですと、介護老人福祉施設のところの医療法人、営利法人とか、多分nがゼロだからということになるのだと思われますし、その後の第4表とか第5表になっていくと、結構nが少ないもののかなりあるのではないかと思われまして、このパーセントだけ表示されると、これだけ見たい人は見ていくのだと思うのですが、物によっては2桁あるかないかというセルもあるのではないかと想像されますが、できれば1行、nを入れていただけると誤解を生まなくていいかなと思います。お願いします。

○説明者 御指摘の点について、確かにnが入っておりませんので、今回の対応は難しいかもしれませんが、次回以降はその辺りも検討していきたいと思っております。あと、今、堀田先生がおっしゃいました0.0%については、この表記が一般的な表記とは若干違う部分がありまして、資料3の最初のページに調査内容が書いてありますが、その次のページに6番の集計方法ということで、調査結果の表記についてですが、ここは一般的な表記方法ではないので、ここも含めて次回調査においては検討しようと思いますが、集計対象数が10の場合は「-」、30の場合は「※」ということでありまして、ここは先程の0.0%みたいな場合は、普通であれば「-」として表記するものと思いますので、その辺りの表記方法も含めて検討させていただきたいと思います。

○田中委員長 統計表の信頼性のために必要な御指摘でした。ありがとうございます。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の件につけ加えてなのですが、そもそもこれは調査票の内容も各回ごとに確実にいろいろ改善されておりますし、今回の資料も非常に見やすいように改善されておりまして、一生懸命見ている人間しか気づかない部分なのですが、これは本当に事務局が努力していただいていることなので、さらにという意味で堀田委員のおっしゃったnを入れていただくということと、あと、今、山本委員の発言で思い出したのですが、そもそも施設によって抽出率が違うということでございますから、それで介護職員を全部足してやるよりは、重みづけを本来はつけたものを見るべきではないか。このあたりは統計をどういうふうにとるかということなのですけれども、このまま素直にやると、やはり抽出率が高いところのほうに寄って数字が見えているということになりますので、その点は次回に向けて。多分大した大きな差は出ないと思います。ただし、そのあたりは見ていただいたほうがいいかなというのが1点。

 もう一点、堀田委員のお話に加えて、事務の手続の話ですが、非常にアネクドータルな話で申しわけないのですが、私、頼まれまして、非常に小さな一般社団、フルタイムの人が5人しかいないところを立ち上げたところの監事を引き受けました。監事といってもわからないことを教えるということのほうが多くて、なかなかチェックしていなくて、つまり、処遇改善加算をすぐとってくれと言えばいいものを、言わないで置いていたのですね。1年たったところで、そういえば、あれをとる努力をしたほうがいいですねという話をしたら、もうとりましたと言うのですよ。何をとったのと聞いたら、(ローマ数字1)をとっていますと。大変だったかと聞いたら、代表理事の方が現場に出て介護もやっていますし、事務もやっていますし、外の研修の講師もやっていますし、事務はまさに片手間なのですが、大したことなかったですと。その方は一般的に事務能力の高い方ではないです。それを見て、事務が大変だからというものを、これはもうちょっと中身を何がどのように。これは単にやらないで放置していらっしゃる方も入っていなくはないのではないかとか、そのあたりが気になったことが1点。

 それに関しまして、そこの事業所は千葉県なのです。これは都道府県の方々がチェックしておられるということですので、ひょっとしたら零細な事業所に合わせた。実は(ローマ数字1)の要件を私が見ても満たしているとは思うのですけれども、非常に簡易なものをつくって出しているのです。確かにこんな小規模なものが余り重厚なものをつくってもしようがないなと思うのですけれども、インターネット等で見ますと、職能資格制度をつくらなければいけないとか、そういうものをつくって、コンサルタント業としておられるところはそういうふうに書かれると思うのですが、過度に大変なものをつくらなければいけないのではないかということを感じていらっしゃる方がいたり、あるいはそれをひょっとしたら自治体のほうが課していたりとか、そういうことがあるのではないか。つまり、自治体のほうでどういうレベルのものをこの要件として認めるかといったあたりをそろそろきちんと見てもいいのではないか。これを見ますと、取得していないところは減ってきておりますが、1割でございますし、(ローマ数字1)がとれていないというところが多いのがちょっと気になります。(ローマ数字1)と(ローマ数字2)ではかなりお金が違いますので、(ローマ数字1)をとれていないところが(ローマ数字1)をとっていただくだけでもかなり給料が違ってまいりますので、そういった意味でもそろそろそのあたりを検討していただく。

 処遇改善交付金ができたときには、いろんな団体にこういうものをつくるとこの要件をクリアするのだという事例を出していただくということを厚労省のほうでやっていただいたのですけれども、いろんな団体に、こんなレベルのものをこうつくるという例があるとか、こういうやり方があると。それは答えがあるものではないと思うのですが、そういったものを見ていただいて、零細なところ。これは零細でもない方が事務が大変だとおっしゃっているので、ちょっと疑問なのですけれども、こういうレベルのものを出してもらえればいいのですということを知らしめるということもやっていただいていいころかなと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。

 山本委員、どうぞ。

○山本委員 今、藤井委員から御指摘ございました加算((ローマ数字1))ですけれども、この制度の趣旨からしますと、加算((ローマ数字1))をとっていただくというのが一番重要なポイントではないかと思うのですけれども、そういう視点で資料2の3ページを拝見したときに、加算((ローマ数字1))の取得状況が進んでいない施設として介護療養型医療施設がございます。これを見ますと50%未満ということで、制度の趣旨からすると、この部分を改善していくのが重要ではないかと思います。過去からいろいろ改善の努力をされているとは思うのですが、いまだに50%を超えていないということを考えますと、加算制度自体にそもそも根本的な問題、特に介護療養型医療施設だけが低いということに対して、何らか制度的な問題点があるのではないかというふうにも思うのですが、この次のページ以降、いろいろ分析をされておられるページがございますので、このあたりはどのような御見解、ここが低いことの理由と、では、今後どのように上げていくべきなのかというところの御示唆をいただければありがたいなと思います。

○説明者 まず、介護療養型医療施設の件でございますが、資料2の6ページをご覧いただきますと、加算を取得していない理由なのですが、「対象の制約のため困難」が56.1%と一番高くなってございます。御案内のとおり、介護職員処遇改善加算につきましては、介護職員を対象としておりまして、介護療養型医療施設ですと医療職の方も多くおられるということになりますので、そこで職種間のバランスといったことも相まってこのような状況になっているのではないかと思っております。

 介護職員に限定している処遇改善加算の対象者を広げるべきではないかというご意見も介護給付費分科会において出ており、平成29年度の1万円の拡充措置の審議の際にもそのようなお話しがあったところでございますが、まずは介護職員の処遇改善を進めていくということから、この取り扱いについては現状のままとし、引き続き検討していくといったことになっているというのが現状でございます。

 それから、先ほど藤井先生から御指摘のあった点について若干の補足をさせていただきますと、まず、資料3の集計結果については、この調査自体は層化無作為抽出ということで行っており、抽出の段階から重みづけをつけてサンプリングをしておりまして、ここは先ほど堀田委員から御指摘のありましたn数がないということと若干関連するのですが、このパーセンテージにつきましては、重みづけをした後のパーセンテージを示させていただいておりますので、nを示すとしても、純粋なnということではなく、そのような重みづけを行い、全国推計値を出した上での結果となっているところでございます。

 もう一つ、藤井先生から御指摘のありました細かな分析につきましては、課題としては受けとめるわけですが、現状として、処遇改善加算を取得していない事業所については、この調査でも10%ということになっておりまして、そこをさらに例えば都道府県ごと等に輪切りをしていきますと、n数の問題もあり、なかなか難しい面もあるものと思っておりますが、御指摘も踏まえ、どのようなことが可能かということは考えていきたいと思っております。

 以上です。

○田中委員長 どうぞ。

○山本委員 今おっしゃっていただいたように、都道府県別の集計というのは、nの関係でできるものはぜひやっていただきたいのと、定着してきておりますし、当初はこの加算がどうなるかというのもわからないまま来ておりましたが、さすがにやめにくいといいますか、もう制度として定着してきていることもありますから、事業所の側もそのつもりですので、そこで事務手続が煩雑であるという事実は確かにあるのだろうと思うのですけれども、どうもそれだけで納得しがたいことがあると思うわけでございまして、これは事務局のほうでもその仮説が立ち得るかどうか検討していただきたいのですが、立ち得るのであれば、事務的に大変そうだから事務を楽にしようかという方向性ではなくて、違う形でより取得していただけるものはないのかという検討が、ここの場とかではなくて、別途老健事業とかそういったものの場でやっていただいてもいいのではないかという意味でございますので、このデータを分析して全てがわかるということではないと思います。一部は使えると思うのですけれども。

○藤井委員 調査の対象となっていらっしゃる、そもそも論で申しわけなのですけれども、来る前にそういうものをインターネットで探したのですが、よくわかりませんで、これは両年に介護職として働いていらっしゃる方という条件でよかったのですか。例えばその次の年が生活相談員になったとか、そういう方は入っていないということなのですか。

○説明者 そのとおりです。

○藤井委員 これは今後の話なのですが、いわゆる賃金センサスで介護職員の給料がほかの給与と比べて低いということを介護給付費分科会等々で議論していただいて、一概には言いがたいということが堀田先生、田中先生の御議論の中で出ていたとは思うのですけれども、私が一番気にしておりますのは、介護職員が看護職あるいはドクターなどと違いますのは、ドクターや看護職は管理職、施設長、副施設長、院長、副院長になろうとも看護職としての給料を申告しておるわけですが、介護職の場合は例えば生活相談員になったり、施設長になったりする場合、こういうデータから除かれてまいります。ですから、介護職員の給料が上がらないというのは、ある種生涯現場で介護をやっておられる方々が上がりにくいということなので、無理もない面もある。

 ちなみに、昨年度、東京都の特養に限るのですけれども、27年度の状況で調べますと、これはもともと介護職員だった方の給料を教えてくださいという形ですので、施設長とか現場を離れた課長さんとか、そういう者に聞いているのですが、これは東京都が出していないので、言える数字と言えない数字があるのですが、東京都内の特養の施設長の方というのは、私が思っていたより結構高い割合で介護職員上がりの方がやっておられます。平均勤続年数が、その法人に入られて大体20年ぐらいで年収が772万円です。これは結構十分な額ではないかなと思いますし、施設長でなくても、現場から離れている課長職というのが平均14.4年で544万円という数値を東京都が発表しております。

 東京都ですから、ほかの都道府県に比べて高いことはあるのですけれども、いずれにしても、そういう数値も見ながら。これはこの調査と離れるかもしれませんし、あるいは老健局の話でなくて社援局の話になってくるかもしれませんが、そこら辺の話も見ていかないとバランスに欠けるのではないかなと。

 したがって、ここはたまたま1年目が介護職員で、2年目で相談員になったような人が入っていてもいいのではないかと思ったりはするということです。

 以上です。

○説明者 すみません。1つ訂正をさせていただきたいと思います。先程2か年両方とも介護職員であるかという御質問でしたが、調査票の設計上は、28年9月30日現在の職種を聞いてございますので、ここを基点に輪切りをしているということになっておりますので、職種が変わる場合、どちらに入れるのかということについては、28年9月30日現在の状況で決めているということでございます。

○藤井委員 ただ、施設長から介護職員になる人は普通いないので、介護職員の方は前の年も介護職員というのはほぼ間違いないということですね。

○説明者 おおむね同じだとは思います。

○藤井委員 わかりました。

○田中委員長 今、藤井委員が指摘された点は気がつかなかったというか、気がつくべきだったというか、重要な点ですね。看護職や医師は副院長になろうと院長になろうと、その職の給与計算の平均値を出すときに入るけれども、介護職の場合は、ポジションが変わって現場を離れると介護職でなくなるので、現場の人だけの平均値になるという意味では、統計上、必ずしも同一ではないかもしれないですが、大変重要な指摘をしていただいたと思います。ありがとうございます。

 コメントや感想、ほかによろしゅうございますか。

○藤井委員 さらに細かい点を1点ですが、たまたまこれを何人かに言われたものですから、そうではないと思っておりますので。何かというと、いわゆる130時間問題で、処遇改善加算によって時給を上げるとかえって困るのだということを言われました。今回のデータを見る限りにおいてとてもそうは思えないのですけれども、時給職員については実際に働く時間が減っているのか、減っていないのか。そもそものこの調査の目的とはそんなに関連しないかもしれませんけれども、しかも、このデータを見れば、そういうことはあり得ない。時給は10円しか上がっていませんし、時給職員が月にどれぐらいもらっているかという数字を見ても、働いている時間数を減らしているということはどう計算してもあり得ないのですが、そのあたりは出しておいていただいて、そういうことを言われる方がいたら、少なくとも今回の改定に関してそういうことはほぼないというふうには言っていただきたいなと思います。

○説明者 御指摘の点につきましては、資料3の68ページでございますが、これは時給・非常勤の介護職員について、時給単価ごとにそれぞれ平均給与額を出しているものです。時給が上がったから労働時間を減らしたのかいう因果関係はちょっとわかりませんが、この統計表の数字を見ると、時給単価が上がるほど現実としては若干労働時間が下がっているといったことが見てとれます。ただ、それが先ほどの130時間の話とリンクしているのかどうかということはこの調査だけでは定かでありませんが、数字としてはそのような傾向にあるということでございます。

○藤井委員 済みません。これを見て余り変わっていないと思ったのですが、見方を教えていただきたいのです。68ページの全体というところを見ると、時給ごとに見まして、実労働時間数を平成28年と27年を比較したのです。でこぼこがありますが、少なくとも一番高い1,400円以上を見ると、むしろふえている。その下もふえていますね。

○説明者 今、先生のおっしゃった27年と28年の比較ということでありますと、おっしゃるとおりでございます。

27年と28年の比較という視点と、この表で見ると、時給単価の増と実勤務時間数との関係という視点もありますが、これについて、例えば、全体で言うと800円未満のところが、実労働時間は28年調査で91.3時間ということですが、下のほうに行っていただきまして、1,400円以上ですと53.8時間となっております。

○藤井委員 そういうことですね。

○説明者 先生のおっしゃったことと趣旨が少し違うかもしれませんが、そういうことでございます。

○藤井委員 なるほど。確かに両方の面を見なければいけないですね。

 ただ、今回改定がなかったわけですが、時給単価が上がったというのは、同じ枠の中での振れであることが多いですから、それによって働く時間数を減らしたということは、これだけ見ると否定するほうが有効だということですね。

○説明者 おっしゃるとおりです。27年と28年の比較ではそのようなことになります。

○藤井委員 ありがとうございました。

○田中委員長 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 今、藤井委員が御指摘くださったパートタイムの労働者、時間給の労働者のレートと労働時間との関係というのは、この数年は確認していませんが、2006年の介護労働安定センターの調査に基づいているので、もう10年ぐらいたってしまっているのですが、鈴木亘先生の論文ですと、やはり調整するということに影響を及ぼしているという結果も出されていますので、必ずしもこの調査だけでは因果関係も難しいですし、こういった目的ではない介護労働実態調査のデータに基づいた定量的な分析ですと、時間給というものが労働時間に影響を及ぼし得るというような分析も出されているところです。ですので、あえて今の点を、因果関係を言いにくいところから言う必要はないかなと思います。

○藤井委員 そうですね。これは多分個票を活用すれば鈴木先生のやったような分析はできなくはないですので、主として重要な論点であるという認識はしておいていただきたいなということです。

○田中委員長 ほかによろしゅうございますか。

 大体1時間ぐらいかなと思っていましたが、一わたり意見を伺いました。ありがとうございます。

 事務職員の事務能力ゆえにとれない事業所が、少数とはいえ残っている。これはどういうことが本質であるか、皆さん御指摘いただいたように考えなければいけないですね。本当に能力ある事務職がいないからなのか、それとも業界で協力すべき話なのか、プロボノではないけれども、引退した元人事部会社員に手伝ってもらうとか、いろんな手だてがあるはずなのに、ただ「できない」とだけ書かれているのはできるだけ減らしたいですね。

 ありがとうございます。

 本日の議題1については、きょう提示させていただいた内容でこの委員会としては了承し、あした開催される介護給付費分科会に報告させていただく案でよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田中委員長 そのとおりさせていただきます。

 それでは、本日の審議はここまでといたします。

 次回の予定について、事務局から説明をお願いします。

○西嶋介護保険データ分析室長 本日はありがとうございました。

 次回の日程につきましては、事務局より追って御連絡をさせていただきます。

○田中委員長 本日はこれで閉会でございます。

 お忙しいところありがとうございました。

 


(了)

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