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2017年2月8日 第6回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成29年2月8日(水)9:30~12:00


○場所

厚生労働省12階 専用第15会議室


○議題

1.事業者団体からのヒアリング
2.討議

○議事

○近藤補佐(事務局) それでは定刻となりましたので、ただいまから「第6回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会」を開始させていただきます。まず、冒頭ですけれども、北島生活衛生・食品安全部長、長田企画情報課長については所用のため欠席となっております。また、橋本大臣官房審議官については、業務終了次第の出席となりますので、あらかじめ御了承ください。

 構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、堀江構成員が御欠席のため、 14 名での開催となります。また、参考人として、シリコーン工業会の鎌田広報委員長、信越化学工業株式会社の三好主席技術員、一般財団法人食品産業センターの松本次長に御出席いただいております。

 続いて、配付資料の確認をさせていただきます。本日お配りしました資料は、裏面に構成員名簿を添付した議事次第と、配付資料の一覧、座席表、本日御説明いただく各団体様の説明資料1及び2、各論点における検討の方向性(案)として資料3、検討会における主な御意見として資料4となります。また、机上配付資料として前回までのヒアリングの概要、参考資料として鬼武構成員と横田構成員より御要望がありました「海外におけるポジティブリスト導入の歴史」「海外におけるポジティブリスト収載手続き」「三衛協における確認証明書発給手順」について取りまとめております。こちらも議論の参考にお使いいただければ幸いです。不足している資料や落丁等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 それでは、大前座長に、検討会の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大前座長 おはようございます。本日、これからの方向性の(案)が配付されていますので、討議のところでそれをしっかり検討していただきたいと思います。

 その前に、前回の検討会で、合成樹脂以外の材質として金属缶と紙容器の団体様に御説明いただきました。今回は、シリコーンについて食品安全の取り組み状況を御説明いただきたいと思っております。

 まず、資料1に基づいて、シリコーン工業会の鎌田参考人、信越化学工業株式会社の三好参考人から御説明をお願いいたします。

○鎌田参考人 それでは、シリコーン工業会の取り組みについて、資料1に従って御説明したいと思います。

 2ページ目、まず、シリコーン工業会とはどのような組織か申し上げます。日本国内には、シリコーン製品を製造・販売している企業が5社あり、その5社で構成されております。今年で 50 年の組織になります。この5社は、川上の素材メーカーです。会員構成は、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、 JNC 株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング株式会社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社です。

 3ページ目、我々の最大の特徴を御説明したいと思います。世界のシリコーン工業会は、日本の組織のほかに、ヨーロッパに CES と呼ばれる組織、北米 SEHSC と呼ばれる組織の3つがあります。日本のシリコーン工業会は先程の5社で構成されていますが、 JNC 株式会社を除く4社は、海外拠点や親会社の関係でヨーロッパと北米にそれぞれ拠点を設けており、ヨーロッパとアメリカの工業会にも参加しています。この3組織を合わせて、全体を統括する GSC Global Silicone Council )を組織しておりまして、その下で活動しております。

 4ページ目、シリコーン工業会の活動概要です。我々としては、シリコーンの正しい知識の普及を図り、シリコーン工業の健全な発展を目的としております。また、海外のシリコーン工業会と協力し、環境・安全・健康に関する共同研究と情報交流を推進しております。

 5ページ目、シリコーン工業会の食品用容器包装に対する取り組みについて御説明します。シリコーン工業会では、食品接触用途として最も広く使われているシリコーンゴムに関するポジティブリストを 1985 年に第1版として発行し、 2013 年に全面改定しております。ポジティブリストの収載基準については、海外の規制である米国、 EU 、ドイツ BfR の基準をシリコーンゴムに対して適用し、取りまとめております。

 ポジティブリストの内容については、シリコーンゴムの材料の選定のためベースポリマー、そのベースポリマーを硬化させてゴムにするために必要な硬化剤、充填剤、その他の添加剤、着色剤であり、シリコーンゴムに最もよく使われている充填剤やその他の助剤関係についてもポジティブリストに収載されています。しかしながら、現在はシリコーン工業会及び会員企業5社での内部資料として取り扱っております。何か資格を求めたり、証明を求めることは現在はやっておりません。その理由に関しては、次に述べたいと思います。

 6ページ目、サプライチェーンにおけるシリコーンメーカーの位置づけについて御紹介したいと思います。まず、左から、シロキサン、シリコーン、シリコーンゴムという形で、モノマーからポリマーになり、ゴムになります。この3つの段階が我々のシリコーンメーカーです。その先の加工は成形メーカーが実施しており、最終的な製品は加工メーカーからユーザーに渡されます。

 このように、我々のシリコーン工業会の守備範囲は、モノマーであるシロキサンからポリマーであるシリコーンになり、シリコーンに各種の充填剤等を配合したシリコーンゴムコンパウンドと呼ばれているものです。この3つの段階までが、シリコーン工業会の守備範囲になります。したがって、ここから先の成形メーカー、最終的なユーザーに渡る製品になる範囲は、残念ながら我々の力が及ばないところです。現在のところ、5ページに記載したポジティブリストの最終製品における効力は、残念ながら有することができない状況になっております。

 7ページ目、サプライチェーンをもう少し細かく分けたチャートを示しております。輸入品についても後の議論で関係すると思いますので、輸入品についても記載しています。シリコーン工業会( SIAJ )のメンバー会社から国内加工メーカーにシリコーン素材を渡し、商社を通すか通さないかは別としてそれが最終的に小売店に渡りますが、最終的な仕様を決定するのは、国内又は海外の加工メーカーであるという状況になっています。

 左右に顔料、添加剤、硬化剤と書かれていますが、これらは我々のシリコーン工業会のメンバー会社からセットで購入する場合ももちろんありますが、それ以外の場合では、他のメーカーから購入するケースもあり、我々のシリコーンメーカーとしては、シリコーン配合物を加工メーカーに卸す立場ということになります。したがって、最終的な容器包装等の仕様を決定する主導権は、国内加工メーカーが持っているという状態です。いろいろなやり取りに関しては、工業会でコントロールするところではありませんので、各メンバー会社が、それぞれのビジネスにおいて加工メーカーとの協議の上で進めていくことになっております。シリコーン工業会の取り組みとしては以上にとどまりますが、関連して各会員企業の事例について、実際のビジネスにおいてどのようなことが行われているか、2点紹介させていただきます。

 まず、旭化成ワッカーシリコーン株式会社で、私の所属会社です。以降の説明はシリコーン工業会の広報委員長という立場を離れまして、旭化成ワッカーシリコーン株式会社として説明したいと思います。

 まず、旭化成ワッカーシリコーン株式会社の概要です。旭化成とドイツのワッカーケミー社との合弁会社として、 1999 年に設立されました。本社は東京都千代田区にあり、つくばに技術センターと製造工場を持っています。

 次ページ、ドイツのワッカーケミー社と旭化成株式会社が親会社として存在しています。シリコーンに関しては、ドイツのワッカーケミー社から原料を輸入しています。また、一部の最終製品もドイツのワッカーケミー社から輸入しています。旭化成ワッカーシリコーンとして、日本において製造開発をしております。

 次ページ、幅広いアプリケーションにシリコーンが役立ち、提供している説明です。

 次ページ、食品用器具・容器包装の安全性確保への取り組みを御紹介させていただきます。

 先ほど、シリコーン工業会の立場で申しましたように、シリコーン材料を供給する立場であり、基本的には顧客である包装材の加工メーカーが最終的な材料の仕様を決定する点は変わりありません。

 次に、安全性確保の取り組みです。まず、シリコーンゴムについては、最終仕様ではありませんが、我々が提供するゴムの段階で、標準的な硬化条件のもとでゴムとして成形し、告示 370 号の一般規格と材質別規格を満たすかどうかの確認をしております。これは、法的要求事項ではなくて、自主基準という形で取り組んでおります。

 一方、包装材メーカーの特殊なケースが2つあります。一つ目は、包装材メーカーから材質の保証を求められる場合があります。その場合は、告示 370 号の規格に加えて、米国 FDA 、ドイツ BfR 等のポジティブリストに適合しているかどうかという回答をすることがあります。適合している場合には、弊社から適合していることの証明書を発行しております。

 二つ目は、新規の用途、特殊な用途の場合で、告示 370 号の試験が確実に行われているかどうかを、我々として十分に確認したいというケースがあります。その場合は、顧客である加工メーカーに、告示 370 号の規格試験を行っているかどうか、確認をなるべく取るようにしております。個々のビジネスにおいては確認が取れないということもあります。その場合には、我々の想像の範囲になってしまいますが、最終包材に近いと想定される試験片で、我々独自で告示 370 号の試験を行うというケースも、レアではありますが存在します。

 また、合成樹脂の添加剤として使用される場合もあります。これはゴムから少し離れますが、オイル等は合成樹脂の添加剤として使われることがあります。その場合には、ポリ衛協の確認証明書を求められることが多いので、我々としてはポリ衛協に加盟しまして、確認証明書を取得しています。以上が、旭化成ワッカーシリコーン株式会社の事例です。

○大前座長 続いて、三好参考人、お願いいたします。

○三好参考人 信越化学工業株式会社の三好と申します。私もシリコーン工業会の広報委員のメンバーであり、副委員長をさせていただいております。また、グローバルの工業会( GSC )の信越化学工業株式会社の代表で、現在は GSC の議長をさせていただいております。今日は信越化学工業株式会社の者として報告させていただきます。時間が押しておりますので、実際の事例のところのみを報告いたします。

 我々も、ゴムに関しては旭化成ワッカーシリコーン株式会社とほぼ同じような取り組みをしております。それ以外の例としては、我々の材料が離型剤として食品包装の成形時に使われるケースがあります。このケースついて、簡単に御説明いたします。

 そのような用途に使われるのは、エマルジョン型の離型剤が多く、これは水を溶媒として、その中にシリコーンオイルの細かい粒々になっているもので、牛乳をイメージしていただければよろしいかと思います。それを布に取って金型に塗ることで、成形時に剥がれるようにする目的です。

このように使われる油剤(シリコーン部分)については、開発する際に三衛協のポジティブリストを参考にし、ポジティブリストの物質で成分を構成します。具体的には、結合の長いシリコーンオイルで、例えば、胃薬の中の消泡剤として入っています。それを乳化して、このような用途に使うという形で登録しております。また、最終的な製品については、安全・安心を担保するために、信越化学工業株式会社の独自判断ということではなく、三衛協の確認証明制度を利用し、我々の製品は適合し、安全だということの確認を進めております。簡単ではありますが、以上でございます。

○大前座長 では、鎌田参考人、お願いいたします。

○鎌田参考人 最後のページになりますが、シリコーン工業会の立場として、会員から集約したポジティブリスト制度化に対する意見・要望について御紹介したいと思います。

 先ほどのサプライチェーンでも述べたように、輸入品の国内流入という問題もあり、ポジティブリスト制度化には基本的に賛成ですが、いろいろと解決すべき課題が多いので、拙速な導入は避けていただきたいと考えております。

 その課題として、次の3つを挙げています。先ほどのサプライチェーンにもありましたように、サプライチェーン全体で管理する必要がありますので、サプライチェーン内の情報伝達が重要なキーになると思います。我々素材メーカーとしては、シリコーンの配合技術の流出に関しては、一番懸念しなければいけないところです。営業秘密が担保できるような仕組みがなければ、安心してビジネスができません。是非、 CBI が担保できる仕組みをお願いしたいと思います。

 次に、溶出量管理については、素材メーカーが試験の費用を負担することになると思いますが、非常にビジネスを圧迫することになりますので、できれば添加量管理が望ましいと思っております。

 それから、シリコーン素材は国を越えて流通しており、国毎にポジティブリストが違うことは非常に問題で、国際的なハーモナイズが望ましいと思いますので、是非、お願いしたいと考えております。以上です。

○大前座長 どうもありがとうございました。シリコーンの安全性確保の取り組みやポジティブリスト制度化についての御意見をいただきました。ただいまの御説明に関して、御質問や御意見はありますでしょうか。

○鬼武構成員 御説明ありがとうございます。2点質問させてください。1点目は、5ページでシリコーン工業会としてポジティブリストを作成したということですが、 2013 年4月に全面改定をしたのは、何か背景があるのですか。例えば、海外で規制が強化されたとか、国内の需要が増え、食品用途が増えたので改定したとか、理由を教えていただきたい。

 2点目は、食品用途で使われる離型剤は、どういうものがあるのでしょうか。例えば、肉まんやあんまん等に紙が敷いてあって、そこに使われ、ポツポツあるのが離型剤ですか。具体的に何かあれば教えてください。よろしくお願いいたします。

○鎌田参考人 最初の御質問ですが、特に需要が増えていることはありません。 1985 年の第1版は結構古く、そのまま改定していなかったので、そろそろ潮時かということです。また、この検討会全体の話ですが、厚労省からこういった制度化への動きを始めたいという話を聞きまして、ちょうどいいタイミングなので見直そうということです。

○三好参考人 離型剤についてですが、これは食品容器に限ったことではなく、プラスチック成形の際に、必ず金型でペレットを射出成形やコンプレッション(圧縮成形)します。その際に、どうしても金型に張り付いて簡単に取れないので、それを防止するためにシリコーンが使われます。

 シリコーンの良いところは熱に強いので、1回塗布すると長期間効力がもつのです。安全というところも含めて、特に食品用途には使っていただいていると認識しております。

○鬼武構成員 では、直接消費者の手に届く食品で、容器包装と食品が接するケースで使われている事例は、あまりないという理解でいいですか。

○三好参考人 直接食品と接触する場合は、例えばシリコーンゴムです。おかずの容器は、以前はアルミホイルで作られていたかと思いますが、繰り返し使えるということで最近よく販売されています。このケースは、直接食品に接触します。また、お弁当箱のパッキンもシリコーンゴムが多いので、ゴムは直接食品に接触する可能性がかなりあります。一方、離型剤については、どうしても移行するので、若干の移行というところで食品に接触する可能性はあると思います。

○鬼武構成員 どうもありがとうございます。

○大前座長 ほかにありますでしょうか。

○伊藤構成員 御説明をありがとうございました。シリコーン工業会に5社が加盟しているということでしたが、国内のシェアはどれぐらいですか。また、工業会に加盟している5社はポジティブリストに沿っているという御説明だったのですが、それ以外の企業はポジティブリストには準拠していないことになるのですか。

 また、海外への輸出に当たって GSC に準拠しておられるということでしたが、輸出入において何か証明することは順調にやれているというように理解してよろしいですか。

○鎌田参考人 まず、工業会5社の国内のシェアについては、正確には把握しておりませんが、素材メーカーとしてはこの5社だけだと理解しております。

 また、サプライチェーンの図にありますように、 SIAJ メンバー会社、 GSC メンバー会社から輸入されているものは、 FDA BfR に準拠していると思います。それ以外には、海外の中小のシリコーンメーカーが存在しており、中小メーカーから日本に輸入されるものについては、我々の効力が全く及ばないところです。実態は分かっていません。

○三好参考人 追加します。国内シェアについては、鎌田参考人がおっしゃられたとおり、5社のメーカーの生産量でほぼ全体を網羅していると思います。世界を見た場合には、欧米やその他の地域も含めて、多くのメーカーは GSC に参加しています。日本以外の会社としては、昔のローディアさんであるブルースターさんがあるかと思います。また、現在、かなりの量のシリコーンが中国で生産されています。その統計がありませんので、輸出入の統計により中国からの輸入量を確認するしかないのですが、我々のメンバー会社も中国に生産拠点を持っていますので、一概に輸入量は言えないことになるかと思います。

 ただ、イメージですが、世界のシリコーンの中では、 GSC に参加しているメーカーだけで6から7割程度のシェアになるのではないかと個人的には思っております。

○伊藤構成員 ありがとうございます。

○大前座長 ほかにありますでしょうか。

○六鹿構成員  GSC として、 EU とアメリカのポジティブリストを整合化させる動きはあるのですか。

○三好参考人  GSC としてはそのような取り組みはしておりません。

○六鹿構成員 シリコーン工業会が作成したポジティブリストは、単純にアメリカ、 EU 、ドイツのポジティブリストを完全ではないけれども合わせたような形ということでよろしいでしょうか。

○鎌田参考人 はい、そのような理解で構いません。

○六鹿構成員 もう一点お伺いさせていただきます。国内加工メーカーの数はどれぐらいか御存知ですか。

○鎌田参考人 ゴムの成形メーカーは、中小メーカーが非常に多くて、無数にあると考えております。

○六鹿構成員 使用される添加剤も、結構バラエティーに富んでいると考えていいですか。

○鎌田参考人 添加剤はゴムの機能を発揮するという目的では、ある程度限られていると思いますが、いろいろな色をつける顔料や着色剤は、かなり数は増えると思います。

○六鹿構成員 どうもありがとうございます。

○大前座長 どうもありがとうございました。続いて、中小の食品製造事業者が多く加盟されている日本食品産業センター様より、中小企業の観点、さらに一部の器具・容器包装を輸入していることから輸入の観点についても、資料2に基づき御説明をよろしくお願いいたします。

○松本参考人 食品産業センター技術環境部の松本と申します。本日はこのような機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。私ども食品産業センターは、食品の製造側の企業や団体と強いつながりを持っている団体ですので、本日は食品の製造側の立場で御説明をさせていただきたいと思います。まず、私どもの団体の概要、次に容器包装の調達や安全性の確認プロセスの概要、そしてポジティブリスト制になる場合のメリットや心配事項、要望点という順番で説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

 2ページ目、私ども食品産業センターの概要です。昭和 45 年に設立し、平成 25 年に一般財団に移行した財団法人です。食品関係の業界団体や企業、全国各地にいらっしゃる食品産業協議会に御協力いただき、記載しているような取り組みを行っている団体です。

 3ページ目、食品産業センターの会員の構成を示したものです。大手の食品製造メーカーや食品関連の団体を中心に構成しており、企業会員としては大手食品製造メーカーや食品関連事業者を中心とした会員が 130 です。また、食品関連の団体会員が 114 です。全国食品産業協議会連合会は、全国の食品産業協議会のうち、 32 の協議会が会員となられており、連合会として会員になっていただいています。それ以外には、個人会員、都道府県会員があり、現時点では 273 会員で構成している状況です。

 食品製造の業界は、皆様も御存知のように、 99 %が中小零細企業、1%が大手企業と言われる業界です。大手の食品製造メーカーの状況については、この検討会で既に御説明された団体のお話に入っていたと思いますので、私どもは全国食品産業協議会連合会を通じて、中小零細企業が多く加盟している全国の食品産業協議会にヒアリングを行わせていただきました。 32 の食品産業協議会の会員をさらに細かく見ますと、約 2,000 の会員がおります。協議会によって構成は様々に異なっておりますが、全体で見ますと 70 %ほどが地元の食品製造メーカーが会員となっている状況です。このような地方の食品産業協議会を中心にヒアリングを行いましたので、その内容を御説明いたします。

 4ページ目、私ども食品製造メーカー側がどのように器具・容器包装を調達し、安全性の確認を行っているか、概要を示したものです。食品製造メーカーが器具・容器包装を選定、調達するプロセスで、多くの場合は問屋も含めた専門の器具・容器包装の業者から、定型の金型で作られた汎用タイプを購入したり、場合によっては袋状ですと希望の寸法で作ってもらったりしている状況です。また、プライベートブランド商品の委託を受けている食品製造メーカーの場合は、ブランドオーナーから容器の供給を受けたり、容器の指定を受けるといった状況です。

 安全性の確認に関しては、様々に行われています。あらかじめ容器包装の調達先から SDS (安全データシート)を入手するようにしていたり、最終製品(食品)の納入先からの要求で容器包装の調達先に安全データシートや衛生に関わる証明を要求するケースなどがあります。また、数は少ないですが、そのような証明が入手できない場合は、自社で外部機関に分析を依頼するといった状況です。かなり幅広い方法で安全の確認が行われているのが実態です。

 それから、意見としては少なかったのですが、輸入の場合についてもヒアリングをしました。その結果、輸入品に関しては輸出元である相手国に、日本国内の状況がなかなか理解いただけない場合があるとのことでした。そのような場合は、自社で外部機関を使って容器包装の分析を行ったり、付属品であるスプーンやストローの分析を行ったりするケースもあるという状況でした。いずれにしても、食品製造メーカーの安全性の確認の方法は様々で、幅広く行われているというのが実情です。

 5ページ目、ポジティブリスト制度になった場合に想定されるメリット・取り組みと懸念事項を記載しました。まず、メリット・取り組みについて、1点目、器具・容器包装の適合性に必要な情報が明確になることで、特に B to B の関係において現在行われている様々な取り組みが、ある程度統一された方向になることによって、情報の入手や我々の管理がやりやすくなることが期待されます。

 また、私ども食品製造メーカーは、消費者の皆様から直接問い合わせをいただきます。したがって、2点目のように、消費者の皆様からのお問合せに対しても、安全性の根拠が説明しやすくなることが期待されます。

 3点目に、このような安全性の根拠が明確になることで、検討が進んでいる HACCP の制度化に向けての活用が期待されます。

 4点目としては、もし今回のポジティブリスト制に国際整合性が図られることになれば、必要な情報収集の負担軽減や取扱商品の安全性の向上につながっていくと考えております。

 次に、懸念事項について5点挙げております。1点目は、規格書や納品書等に記載されている安全性に関わる情報を自ら検証することは、なかなか難しいということです。器具・容器包装メーカーの立入確認や、実際使用する容器包装の分析試験を全ての食品製造メーカーが行うのは、現在も含めてなかなか困難な状況です。

 2点目として、実際にどうなるか、私ども食品製造メーカーにはなかなか分からない部分ですが、規制によって容器包装の多様性が失われることにつながるのかどうかを懸念するメーカーもおります。

 3点目は、私ども食品製造メーカーは容器包装のサプライチェーンの末端に位置しますので、関係する川上の事業者間で適合性情報の伝達が徹底されなければ、容器包装を使用する食品製造メーカーはそれらの情報入手が困難になるおそれがあります。

 4点目として、万が一、規制に逸脱していることが発生した場合に、我々は速やかに情報の入手が可能なのかというのも心配です。

 5点目は、適合性情報の伝達方法が複雑化すると、情報伝達が徹底しにくくなり、食品製造メーカーは理解困難になります。統一性がなく、様々な手段や記載内容で行われますと、そのような懸念事項もあると考えました。

 6ページ目、私どもの要望として、4点記載しました。1点目は、食品製造メーカーが使用している器具・容器包装の適合性に対しては、最終の食品を作っておりますので、当然深く理解しなくてはいけません。そのような部分についても管理を徹底していくことと、私ども食品製造メーカーにも規制される範囲を明確にして分かりやすく示していただきたい、というお願いです。

 2点目は、前にも申し上げましたが、使用する器具・容器包装の適合性を科学的に検証することは、実際には困難な状況にあります。しかし、食品製造メーカーは最終製品に責任を持つ者として、器具・容器包装の安全性の根拠を持つことは、 HACCP の制度化によってもますます求められます。そういった川上の情報が各プロセスを経て、私ども末端まで確実に伝達される仕組みを是非ともお願いしたいと思います。

 3点目は、2点目に関連しますが、伝達の内容です。記載内容や伝達の仕組みがある程度統一された形になっていれば徹底されやすく、情報を集めるための複雑な作業が伴わなくなると思いますので、規模が小さな食品製造メーカーでも管理が可能な仕組みにしていただきたいと思います。

 4点目が輸入に関する事項です。当然、国内と同様の管理をする必要があると考えますので、諸外国に対しても国内の規制の内容が周知されるように啓発活動をしていただきたいというお願いです。

 私どもは HACCP の制度化の有無にかかわらず、消費者向けに最終の食品を提供していますので、やはり器具・容器包装の安全性に関わることに関しては、器具・容器包装の業界の皆様と連携して取り組んでいけるように、適合性の情報が確実に伝達される仕組みになることを希望しております。簡単ではございますが、以上で私ども食品産業センターからの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大前座長 どうもありがとうございました。実際に食品を作って包装する立場から、特に中小企業の立場から、ポジティブリスト制度に関する意見と要望をお伺いいたしました。構成員の方々から御質問はいかがでしょうか。

○横田構成員 5ページ目のメリットの1として掲げられていることについて伺いたいと思います。今回ポジティブリスト制になると、証明手段が統一される方向になり、情報の入手と管理がしやすくなるだろうということですが、現状の証明手段や情報入手に関して、もともと会員間に御不満はあるのでしょうか。その点の御事情について、もう少しお願いします。

○松本参考人 安全性の確認については、かなり幅のある状況にあります。しっかり管理されている食品製造メーカーは、調達先からそのような情報を出していただき、あるいは情報を出す事業者からしか買わないという取り組みをされています。一方で、あまりケアをしていない食品製造メーカーもあるのが実情ですので、 B to B の関係で適合性の証明が当たり前になれば、私ども食品を製造する側もそのような情報がしっかり管理しやすくなり、消費者にもお伝えしやすくなるという意味が入っております。現状は、様々な手段で情報を入手している食品製造メーカーは入手しているけれども、ノーケアのところはノーケアというのが実態だと思います。実際には大きな問題が起こっていないことが根底にあり、食品容器に関しては、どちらかと言いますと性善説でとらえているところがあるのではないかと思うのです。それは、実は容器包装の業界の皆様の自守基準に守られていたのですが、そのことを十分把握していない食品製造メーカーもまだまだ多いということだと思います。

○鬼武構成員 いろいろな中小メーカーにヒアリングをして、その結果をまとめていただいてありがとうございました。横田構成員の御質問とも関連いたします。今回、直接お尋ねはされていないのでしょうけれども、要望の1点目で、中小食品メーカーは容器包装メーカーから指定されたものを購入しているだけなので、現行の器具・容器包装が食品衛生法に規定されているという理解は、中小企業としてはどれぐらいあるのでしょうか。ほとんど容器包装メーカーにお任せですか。今、性善説と言われたのですが、今後規制される範囲を分かりやすくしてほしいということであれば、現状において中小企業は HACCP もまだ結構困難な点があるように思えますので、本件についてどの程度理解されているでしょうか。

○松本参考人 この点については、私も、一部の食品製造メーカーに直接ヒアリングをしてみたのです。小規模事業者、製造業でいえば従業員が 20 名以下の事業者は、そもそも衛生管理に関する情報をあまり御存知でない事業者もあるのが実態です。それこそ HACCP の制度は、食品製造メーカー全てに適用される内容ですし、本来は HACCP の制度化を待たずにそのような管理がされるべきだと思うのですが、まだまだ周知できていないところは多分にあると考えております。

○鬼武構成員 それと、2ページ目の活動内容の 11 番目の PL 法は、製造物責任のほうですね。この検討会で使用している PL 制と混乱してはいけないので、細かい点で一応確認しておきました。ここでは Product Liability ですね。

○大前座長 特に情報伝達についての御意見をいただきましたが、小規模事業者でも簡単に情報伝達等ができる事例があるかどうかに関して、古橋構成員は何か御存知ですか。

○古橋構成員 原材料メーカーは、食品容器包装材料への使用が想定される場合には、ポリ衛協の PL 確認証明書を取得していると思われます。 PL 確認証明書を下流の加工メーカーさんに伝達することで食品容器包装材料としての適合性情報が伝達されます。このような形で情報伝達する取り組みを行っており、これも簡単に情報伝達ができる仕組みかと思っています。

○小野構成員 座長の質問に対する回答になるかもしれません。規模が小さくても、取引先が大手という企業もあります。大手の取引先からは鑑査による立入検査などがありますから、規模が小さくてもそのような知識を持たれているのではないかと思います。ただし、町にある小売店が直接消費者に販売する企業では、必ずしもそのような情報をもたれているか、疑問に思います。

○大前座長 本日の事業者団体等からの御説明は、全て終了することにいたします。それでは、本日の最後の議題である「各論点における検討会の方向性(案)」について、議論をしたいと思います。なお、資料3、4は、本検討会の第1回に事務局より説明のあった主な検討事項について、検討の方向性案と主な御意見を取りまとめたものとなっております。それでは、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

○近藤補佐(事務局) 資料3「各論点における検討の方向性(案)」について説明いたします。資料3別添のパワーポイントの資料を使い、適宜、補足説明したいと思います。また、資料4は本検討会での主な御意見を取りまとめたものとなっておりますので、議論の際に適宜、御活用いただければと考えております。

 資料3の3ページ目、「規制のあり方と目指すべき方向性」についてです。既に前回の検討会において、規制のあり方と目指すべき方向性については説明しているところですが、その方向性については、国が共通のルールを定め、国際的な整合性のある制度が望ましいことから、ポジティブリスト制度を基本に、国際的な整合性を確保しつつ、業界団体の取り組みを参考にしながら、制度設計を検討すべき、との案をお示ししております。現在の業界団体が取り組むポジティブリスト制度については、既に本検討会で御覧いただいているところですが、別添資料の 10 ページ、 11 ページにその内容をお示ししております。

 別添資料の 10 ページに、三衛協の自主基準についての説明があります。三衛協においては、自主基準としてポジティブリストを既に作成しているという状況です。また、 11 ページ目、流通段階の各工程において、ポジティブリストへの適合が確認できるように確認証明書が発給されるシステムが存在しています。

 また、 12 ページ目、ポジティブリスト制度を導入している国は、米国、欧州、中国、その他の国々が多数あります。世界的に見れば多数の国々で既に導入が進められているという状況が御確認できると思います。

 資料3の文章編に戻りますが、5ページ目、「制度の対象とする材質について」の説明に移ります。器具・容器包装の材質としては、合成樹脂や金属等、様々なものが使用されており、食品衛生法では材質別及び用途別の規格基準や試験法を定めて、衛生確保を図っているところです。特に合成樹脂に関しては、熱可塑性合成樹脂については三衛協のポジティブリストと確認証明制度があり、熱硬化性合成樹脂については業界団体のポジティブリストが作成されている状況にあります。また、ポジティブリスト制度の対象材質は、諸外国でも必ずしも統一されているというわけではありません。先ほどのパワーポイントの資料に戻りますが、 13 ページ目、既にポジティブリストを導入している欧米でも、対象の材質は共通でないということが御理解いただけると思います。

これらのことを踏まえて、対象材質に関する方向性については、材質の特性を踏まえた検討を行い、優先順位を付した段階的な導入が望ましく、使用範囲や物質の溶出、国際的な整合性を踏まえ、熱硬化性樹脂については一定の配慮は必要なものの、まずは合成樹脂を対象として、更に合成樹脂以外はリスクの種類や程度を踏まえたリスク管理方法や海外の現状把握が必要なため、今後とも必要性や優先度の検討を行うべきとの案を事務局よりお示ししているところです。

 文章編の7ページ目、「リスク管理すべき物質の種類及び管理手法」についてご説明します。合成樹脂の原料としては様々な物質が使用されており、食品衛生法ではネガティブリスト方式により、特定の項目に係る基準を設定し、安全性の確保を図っているところです。現在、国内では、熱可塑性樹脂に関して民間団体の自主基準により使用できる物質がリスト化されており、残存モノマー等については、基ポリマーの材料規格として上限値が設定されております。諸外国では、モノマーやポリマー、添加剤等がポジティブリスト化されており、同じく上限値、用途制限等が設定されています。

 ポジティブリストの対象物質については、別添資料の 23 24 ページで詳細をお示ししております。 23 ページ目、米国、 EU 、中国、そして三衛協の内容をお示ししております。横軸にはどのようなものを対象にするのかをお示ししており、諸外国においても、必ずしも共通ではないということが確認できると思います。特に中国については、 EU のシステムを参考に制度を設計しているということもあり、 EU と中国は比較的似ているのではないかということが確認できると思います。また、 25 ページ目、欧米の規制方法を比較すると、米国は添加量型の規制となっており、欧州は溶出量型の規制となっております。ポジティブリストへの収載に当たってのリスク評価については、共に合成樹脂からの溶出量に応じた必要な毒性情報を定めているという状況にあります。日本においても、過去にポジティブリスト制度を導入しておりますが、その事例としては食品添加物や残留農薬といったものが挙げられると思います。

 このような現状を踏まえて、リスク管理すべき物質の種類及び管理手法の方向性としては、管理対象については、諸外国や国内の状況を踏まえて更なる技術的な検討が必要であり、管理方法についても、別添資料の 27 ページも御参考いただければと思いますが、添加量型規制や溶出量型規制のメリット・デメリット及び国際的な整合性を踏まえた仕組みの検討や各国の状況等を踏まえた検討が必要と考えられます。また、多層資材の食品非接触材質については、溶出して食品に混和するおそれがなければポジティブリスト制度を適用しないという考えをお示ししております。この考え方については、既に食品衛生法の規格基準に取り込まれているものでもあります。さらに、新規物質の評価基準については、国際的な整合性を考慮した評価手法やデータを設定する必要があり、既に使用されている様々な既存物質については、一定の要件を満たす場合は引き続きの使用を認める配慮が必要であること。毒性が顕著な物質や非意図的な生成物に対しては、従来のネガティブリスト方式による管理を維持すべきであるとの案をお示ししております。

 文章編9ページ目、「事業者間における情報伝達」について取りまとめております。事業者間の情報伝達については、現行は公的な仕組みはなく、民間団体の自主的取り組みのみとなっており、熱可塑性樹脂に関しては三衛協の確認証明制度が利用されております。三衛協の確認証明制度については、別添資料の 33 ページを御参照いただければと思います。また、原材料と器具・容器包装の製造事業者は一般的に異なっているため、安全性を確保するためには企業秘密に配慮した上で、原材料や使用条件等の情報が事業者間で伝達される必要があると考えております。

 諸外国においては、米国では法的な義務付けはありませんが、別添資料の 34 ページにお示しておりますが、 EU では適合宣言書による情報伝達が義務付けられており、中国においても同様となっております。

 このような現状を踏まえて、事業者間における情報伝達の方向性としては、安全性確保のためには、器具・容器包装製造事業者の責任を明確にするとともに、ポジティブリスト適合を客観的に確認できる伝達システムを構築し、企業秘密に配慮した必要な情報の確実な提供が必要で、その際には既存の国内制度の活用及び同様な取り組みを推進する方策の検討も考慮すべきであること。また、販売事業者への情報提供も必要と考えられ、現在、適合宣言書による情報伝達が義務付けられている EU の仕組みを参考として、第三者機関の証明の活用も視野に、必要な情報が伝達する仕組みが必要であるとの案をお示ししております。

 文章編の 11 ページ目、「製造管理」についてです。現在、器具・容器包装の製造管理についての基準等は設定されておりませんが、民間団体の中には製造管理規範等の制度を自主的に定めて管理を行っていただいているという状況です。国としても、製造管理の強化を目的に自主管理ガイドラインの策定作業を進めているところです。また、欧米では適正製造規範による製造管理が義務付けられております。

 このような現状を踏まえて、原材料の適正管理や適正使用の徹底及び確認のために、製造管理を制度として位置付けるとともに、ポジティブリスト対象外の器具・容器包装についても、同様な取り組みを推進する必要性や、制度化に当たっての中小企業への配慮及び自主管理ガイドラインの活用、並びに業界団体と連携した環境整備の実施、また ISO 等の国際認証の活用の可能性について案をお示ししております。

 最後ですが、文章編 13 ページ目、「事業者把握、監視指導」について説明します。器具・容器包装の製造は、食品衛生法上の許可業種には該当しておらず、現在、事業者を把握する仕組みはありません。他方、別添資料の 37 ページを御参考いただければと思いますが、全国の4分の1の自治体においては、条例等により製造者を把握している状況にあります。このような現状を踏まえて、事業者把握と監視指導の方向性については、使用された物質全てを分析することは非現実的で、事業者の適正管理を確認することが実効的であるため、製造事業者を把握することが必要と考えられ、監視指導については、現状を踏まえた優先順位付けと、一斉分析のような効率的な方法も必要と考えられるとの案をお示ししております。資料3についての説明は以上です。御検討方、よろしくお願いいたします。

○大前座長 資料3は、御覧になりましたように幾つかの方向性の観点があります。全部まとめて議論すると分からなくなってしまうので、順番にやっていきたいと思います。最初に、3ページの規制のあり方と目指すべき方向性について、現状と方向性の事務局案が四角の中に記載されております。これに関して、構成員方の御意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。まずはポジティブリストを基本とすべきではないかというのが大原則ということです。それから、国際的な整合性等も考えなくてはいけないという今までの議論、あるいは御要望を入れた事務局案ができております。御意見があればと思いますがいかがでしょうか。

○六鹿構成員 国際的な整合性という言葉が企業からのヒアリングでも出てきておりますが、それも確かに重要だと思うのです。日本の規制、規格でもありますので、ある程度日本の製品の特徴なども考慮すべきではないかと考えます。

○大前座長 そのほかいかがでしょうか。

○小野構成員 規制をしようと考えると、広く規制したほうがいいわけなのですが、ポジティブリストありきというと、ポジティブリストで管理できるところから管理しましょうとなってしまうのではないかと。幅広く規制をするためには、ポジティブリストで管理できることはポジティブリスト、ネガティブリストのほうがよければネガティブリストで管理する項目があってもいいのかなと思います。

○横田構成員 六鹿構成員と小野構成員の御意見も鑑みて、この方向性が前回と少し書き変わっておりまして、国際的な整合性が2にあると。これは1ないし冒頭の柱書きで、あくまでも日本の規制のあり方として見直しの状況が必要であるという点と、今までネガティブリスト管理をしていたことを全て放棄してポジティブリストに移行するというものではなく、ポジティブリスト化が望ましい点について改正することが明記されていたほうがいいのではないかと受け取ったのですが、そのようなことでしょうか。

○大前座長 今の2人の意見は、そのようなイメージですよね。ネガティブもポジティブも、残すべきものは残すべきであると。

○小野構成員 規制をしようというのが根底にあれば、しやすい方法を採用すべきだと思います。

○重倉構成員 この方向性の最初の○の1の所にある「国が共通ルールを定めることが望ましい」というところが、若干気になるところです。今回の議論の中で、民間で努力をしてきたという経緯、そしてまた、それが様々な流通のレベルで了解され、理解され、活用されているという実態についても見てきたのではないかと思っております。国が共通ルールを定めることも望ましいし、民間の取り組みに限界があることも事実ですが、民間の取り組みを活用する方向を打ち出していただけるのかどうか。ここをある程度方針を作っていただかないと、この後が進めにくいかと思いますので、この報告書に取り上げていただければ有り難いなと思っております。

○大前座長 重要な御指摘だと思います。今まで実績がずっとあるわけですから、国のルールを決めるにしても民間も十分活用する必要があるのではないか。それも入れてほしいということですが、よろしいですか。

○鬼武構成員 今の重倉構成員も重要な指摘だと思うのですが、少し違った視点で、リスクアナリシスに基づいた枠組みの中で管理するということで考えてみますと、いろいろな業界の規制のやり方、いわゆる自主基準は、コーデックスの言葉では言えばプライベートスタンダードだと思っています。その議論については、 2010 年のコーデックス総会で、 EuroGAP であるとか、いろいろなプライベートスタンダードがあり、グローバリゼーションにおける規格基準などが出てきて、プライベートスタンダードが非常に重要な役割を演じているということは私も理解していますし、この検討会の中でも第1回から第6回まで、いろいろな団体の方からそのような話はあったと認識しています。

 その一方で、 ISO のプライベートスタンダードは別として、それをそのままジャンプアップして国に入れるかというと、そこは少し慎重に考えるべきであって、広範囲の利害関係者のインプットについてプライベートスタンダードは限定されているということと、そういう指摘から、国の基準としてなるならば、規格の設定については透明性や公開性が必要ではないかと私は考えております。ですから、今回、国内の規制をする場合においても、今回がそのスタート点かもしれませんが、リスクアナリシスの原則に基づいてアセスメントとマネジメントの段階で広範囲の利害関係者の協議が必要ですし、プライベートスタンダードの適用については WTO の中でも一定理解はあるのですが、それが政府の基準となるかというと、それは先進国と開発途上国の中でも大きく意見が分かれるので、そこにはワンステップがあるのだと思います。よって、そのように報告書というか勧告の書き方は多分そうなるのだろうと思います。広範に業界でやっているルールやガイドライン、プライベートスタンダードが非常にいいことは理解しているのですが、ジャンプアップしてすぐ国の規格にならないためにも、1の書き方には少し整理が必要と思います。私も今、代替としてどのような書き方があるかは即答はできませんが、やはり業界のプライベートスタンダードという意味と、日本の法制化のところは、文章的には少し慎重に整理をしたほうがいいような気がしています。長くなりましたが、以上です。

○森田構成員 ヒアリングの中で、業界の自主基準がとても貢献されてきたことはよく分かりました。また、日本の規制があるということで、一部ネガティブリストのような部分もあってもいいのではないかというのは、小野構成員の意見だったかと思います。そういったことも踏まえて、今回の示された事務局案というのは、4ページ目のものは、それを網羅しているのではないかと私は考えています。というのは、前回の方向性案では、「ポジティブリスト制度を国の制度として位置付ける必要があるのではないか」というところを、書き方を変えられて、「基本とすべきではないか」と書いてあります。基本とすべきではないかということが、日本の規制のこれまでの歴史のあり方も含めて基本とした上で日本の制度にするということを、これを含めて言っているのだと私は理解しております。そういう意味では、この「基本とすべきではないか」という書きぶり、その後の国際的な整合性というのも、大きな流れの中でこれまで議論してきたところでもありますので、そういう点を含めた上で、この書きぶりになっているのではないかと思っていますので、この書き方を大きく変えることはないのではないかと思っております。

○大前座長 事務局から何かコメントはありますか。

○山本基準審査課長(事務局) 前回の御議論を踏まえて少し手直ししておりますが、現状制度、民間での取り組みの現状も踏まえた上で、アウトサイダーなど幾つかの課題もありますので、国の制度としてポジティブリストを基本とする仕組みに変えたほうがいいのではないかというスタンスで書いております。容器包装の作り方も多様だということを参考人から御紹介いただきました。材質の特性やそれによって変わってくるリスク、国際的な取り組み状況などを踏まえて、ポジティブリストが似合う材質と、似合わないというほどではないですがそこまでの管理の仕組みがまだ不要、あるいはそもそも材質として不要というところについてはネガティブリストも維持する、あるいはネガティブリストのほうが合理的で効率的で現実的という考え方もあります。

 よって、後程、ポジティブリストを導入する場合に、優先度が高いところはどこかということを御議論いただく準備をしております。そういう意味で、全てをポジティブリストにするつもりはないし、それも現実的ではないという点を御理解いただければと思いますし、議論を先取りするつもりは全くないのですが、ネガティブリストでもよいところがあるのではないかと考えております。

 民間の活用については、これも議論を先取りするつもりはないのですが、ポジティブリスト制度一連をスケッチするときに、国の制度として仕立てるところもあれば、例えば証明制度などはそのやり方も含め、最低限、何か国からルールを示すことはもちろんありますが、とても根を張った活動が必要ですので、当然、民間の方々のこれまで、あるいはこれまで以上の御活動をお願いしたいところも出てくるかと思います。いろいろな民間の皆様のお取り組みを今以上に活用させていただかないと、制度が回らないというところもあると思っております。今日、御議論いただいて、資料をバージョンアップさせたいと思います。

○大前座長 そのほか、この方向性に関していかがですか。また後で戻ってもいいので、6ページ目、材質については構成員方の御意見はいかがでしょうか。この提案の方向性で見ますと、○の2つ目ですが、まずは合成樹脂を対象としてポジティブリスト制度を導入することを検討するべきではないか。熱硬化性樹脂については、自主的な管理の状況を踏まえて、もう少し丁寧に検討したらどうかというのが事務局の案ですが、その辺も含めて御意見はいかがでしょうか。

○六鹿構成員 実際の器具・容器包装というのは、製品になったときには合成樹脂だけではなくて、ほかの材質と組み合わせたものなども存在しますので、合成樹脂だけをポジティブリスト化して1段厳しい規格としても、製品としての安全性が確保できなくなってしまうので、私としてはほかの樹脂材質に関しても、できるだけ同レベルの制限があったほうがいいかと思います。そういった面でも、先ほどの議論に戻りますと、ほかの材質にもポジティブリストかネガティブリストかを導入したときに、整合性が取れるような規制のあり方も考えていかなければいけないのかなと思います。

○大前座長 六鹿構成員、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の間で、現在の民間の制度では若干差がありますが、溶出量等に関して差はあるものなのですか。どちらのリスクが大きいとか、小さいとか、そのような情報はあるのですか。

○六鹿構成員 そこまで具体的なことはないのですが、使用量は熱可塑性樹脂が多いので、その考え方でいえばリスクは熱可塑性樹脂のほうが高いかなと考えます。

○山本基準審査課長(事務局) 少し読み方が分かれるかもしれないので補足説明します。六鹿構成員がおっしゃったように、合成樹脂はほかの材質との組合せ、それから金属や紙であっても食品接触面がコーティングされていてそこに合成樹脂を使っている製品は多いということで、食品衛生法でも接触面が合成樹脂であれば、組合せ容器として合成樹脂の規制で担保していただくというような仕組みになっております。ここの書き方も、組合せの場合も合成樹脂が接触面であれば合成樹脂の部分はポジティブリストで管理する、というつもりで書いております。より分かりやすく、組合せも含むことは少し書かせていただきます。

○大前座長 ここの文章はそのような意図で書いてあるということなので、修文されることになるかと思います。そのほか構成員方から材質に関して、御意見がありますか。

○重倉構成員 二つ目の○に記載している3点ですが、どうしても合成樹脂での現在の体制では足りないのだということが書かれているような印象があって、そこをやってきた自負があるせいでその分思ってしまうだけのことかとも思いますが、可能なら合成樹脂、特に熱可塑性樹脂についてはポジティブリストによる管理がある程度実行されており、またそれが理解されているという状況であるということも付け加えていただくと、先ほど出ていた連携・協力なども今後やりやすくなるかなというところがあります。私どもの会員の中で議論していても、なぜ我々だけがやられるのかということはどうしても問われることが多いです。その点も御理解いただければ有り難いなと思います。

○大前座長 随分長く実績がありますので、その辺も少し考慮していただいて書き込んでいただくと。そのほか、よろしいですか。また戻ってもいいと思いますので、次に進みます。物質の対象範囲をどうするかということに関して、あるいは先ほど鬼武構成員からも出ましたが今後リスクの管理をどうするのかということも含めて、事務局案ですと、既存のリストに載っているものは、基本的には収載すると。新規の物質に関しては、リスク評価機関である食品安全委員会等において検討していただいて入れていく、あるいは外していくということはどうかと書いてありますが、この物質の種類について、御意見はいかがでしょうか。

○横田構成員 標題と方向性に書かれている内容が整合していないような気がしておりまして、物質の種類については方向性を理解できるのですが、管理手法に関しての議論が欠けているように読めます。というのは、別添資料の 25 ページ目を使って御紹介いただきましたとおり、同じく国際整合性を考える観点でも、添加量規制に力点を置くのか、溶出量規制に力点を置くのかという問題があります。

 今回新しく出てきたスライドとして、 27 ページ目に欧米の規制の比較があるわけですが、こちらは一応、溶出量規制、配合量規制を意識した書きぶりにはなっているのですが、メリット・デメリットについて、少し精査が必要ではないかという点と、今回、溶出量規制にするのか、それとも配合量規制にするのかについて、どこまで議論を進めるべきかを、そもそも論として議論すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○大前座長 真ん中辺に、「その際、溶出量の管理、添加量の管理、それぞれのメリット、デメリット等」と書いてあるのですが、この検討会ではどこまでそれを議論すべきなのかと。こういう形で次の会に投げてしまうのか、あるいはもう少し検討会での方向性を出していくのかという御意見ですが、その辺について、事務局は何かお考えはありますか。

○山本基準審査課長(事務局) 添加量と溶出量については、制度を詳細に設計していくとき、あるいは具体的にポジティブリストを作るときに、限度量がどちらになるか、川上企業から川下企業までどのように情報伝達をしていただくか、そして、誰がどのような試験をするか、ということに絡んできます。大きな課題なのである程度御議論いただきたいと思っておりますが、詳細な設計の段階で詰めるということで致し方ない、あるいはステップでものごとを決めていくしかないので、ここでは大きなことを決めていただき、もう少し技術的に御議論いただく場を設けろということも、1つの御意見かなとは思っております。ただ、どう違うのかということの御意見などを展開していただけると、次につながりやすいかなとは思っております。

○大前座長 今の点に関して、他の構成員方はいかがでしょうか。業界団体の方はおおむね、溶出量ではなくて添加量にしてほしいという要望が多かったと思いますが。

○横田構成員 今、既に触れていただきましたとおり、具体的な制度設計の段階で、何を誰の義務として課すのかという、法律の書き方の問題と、義務違反があった場合にどのような制裁を想定するのかという点に関わってくると思います。ここの場で詳細に議論ができないというのは、恐らくそうであろうと思います。その観点から申しますと、ここでの議論をまとめると、添加量規制のほうが行為規制、すなわち事業者がどのようなことをしなければならないのかという点が明確になるということは非常に大きいのだと思います。

 他方で、安全寄りに考えれば、溶出量規制の観点をないがしろにしていただきたくないという消費者安全の観点もあろうかと思います。後者について重視すると、例えばですけれども、更に後ろのほうの話でも出てきますが、一斉検査等により溶出量をチェックするときに、少し違反があったからといって全件回収を命ずるのかどうか。あるいは、どのぐらいの頻度でそれを行うのかというような細かな制度設計が必要になってくるのだと思います。

 是非考えていただきたいのは、両方の場面について共に規制を掛けるという案もあり得るのですが、過剰規制になる可能性があります。すなわち、添加量をコントロールすることで全体の安全性を確保する制度設計と、溶出量を管理することで安全を確保するという制度設計のどちらもあり得ます。このもし仮にこれらの両方をやるという案は一見「間を取る」ということになりそうなのですが、過剰な行政コストないし業界へのコストとなって、結果的に非常に良くないことが起こるということはよくあります。その点が、おおむね考える方向性としてはたたき台になるのではないかと思います。

○大前座長 鬼武構成員どうぞ。

○鬼武構成員 別添資料の 27 ページ目で、米国の規制と EU の規制について、事務局のほうから規制のメリットとデメリットが出されました。次回にもう一回議論ができたらと思うのが結論です。

日本国内での自主的な規制では、米国式がいいのではないかというのが大多数を占めていると思います。一方で、横田構成員からもありましたけれども、 EU の規制のメリットについては、これから食品安全委員会でどのようなリスク評価をするか分からないのですけれども、摂取量とか安全性評価の観点からすると、 EU 方式のほうが明快な回答が出るのではないかとも思います。本日はどちらがいいということではなくて、私としては、米国の規制と EU の規制について、もう少し詳細に見た上で他の構成員の意見を聞いた上で議論に参加したいと思います。

○大前座長 今の点についていかがですか。小倉構成員どうぞ。

○小倉構成員 消費者の立場としても、溶出量で測っていただきたいというのが本音です。ただ、この検討会に参加していて、費用対効果や現実的な対策を踏まえると、添加量でやっていくのもしょうがないのかなと考えておりました。鬼武構成員のお話を聞いていると、まだ考える余地があるのかとも思っておりますので、そういう立場でも参加していきたいと思います。

 それから、既存物質についてよく分からなかったのです。このまま使用していって、一定の要件を満たす場合には引き続き使用することが可能となるように配慮すべきではないかというお話がありました。これまで安全性が確保されており、三衛協に登録されているものがほとんどを占めているので、私たちも安心して使ってきてはおりますけれども、やはりこの場でアウトサイダーの問題や輸入品に対する問題もありますので、慎重に考えていく必要があるのではないかと思います。

○大前座長 小野構成員どうぞ。

○小野構成員 リスク管理の対象範囲で、使用物質が食品に混和するおそれがないように加工されている場合は、ポジティブリスト制度の適用を除外することがあっても適切ではないかとあります。これは、 EU とか FDA のファンクショナルバリヤーの考えを念頭に置かれているのかと思うのです。別添資料 28 ページにイメージとして、例えばアルミ箔の場合は物理的に物質の溶出を止めることができます。我々容器屋がお客様と話をすると、アルミ箔を曲げるとクラックが入りますねといった非常に細かい話で、安全性とは別の次元で、双方が多量にお金と時間を費やすようなことになります。このような考えは必要なのかもしれないのですが、非常に定義が難しいのではないか。特に日本の場合は非常に細かいので、注意を要するのではないかと思います。

○大前座長 その他の構成員方はよろしいですか。森田構成員どうぞ。

○森田構成員 先ほどの添加量規制型か溶出量規制型かについてです。今後、また議論することになると思いますが、消費者としては、シンプルに言うと EU 型、溶出量で管理するほうが望ましいと思います。これは優先順位を付けて、ケース・バイ・ケースということになるのかと思います。基本的に米国の FDA がやっているような添加量規制型ということなのですが、それに対して溶出量規制が必要なケースを細かく事例などを考えていければと思います。

○大前座長 物質によって溶出量や添加量を考えるべきではないかという御意見だったと思います。そういう意味では、一番下の○で、「重金属等毒性が顕著な物質、それから非意図的生成物」に関して、これまでのリスク管理の方法を維持すべきではないか。すなわち、これは溶出量ということだと思うのです。この辺に関する御意見はいかがですか。森田構成員は、これは要ると、賛成であるというイメージでお話されたと思うのです。

○森田構成員 ここの部分が、従来のネガティブリスト制度でということになっているわけです。溶出量でどのように評価するかということになっていくのかと思っています。

○大前座長 事務局どうぞ。

○山本基準審査課長(事務局) 補足させていただきます。ネガティブリスト前提で説明しますが、非意図的生成物も含めて、例えば総量規制、溶出総量の蒸発残留物やその他一定の溶出総量も全て確認した上で適否を決めるというのは、仕組みとして残すのがいいのではないかとは当然思っております。重金属や残存物質についても、原材料や製品の溶出量を厳格に管理することも必要ではないかと思います。そういう意味で、今とっている手法が妥当であれば、そのまま維持すべきではないかという考え方をお示ししています。

○大前座長 その他にはよろしいですか。今の御意見は溶出と添加のお話でした。重金属等々に関しては、当然溶出で残すべきだろうというのが大体皆さんの御意見です。それから米国型にするか、 EU 型にするかというのは詳細設計をするところで、もう一回議論すべきだというお話だったと思います。

○中嶋構成員 米国型と EU 型のどちらかというオルタナティブな選択肢ではなくて、添加量をある程度一定以下に押さえれば米国型というのもあり得るかもしれません。ただし、それを超えて使う場合には、 EU 型で個別に安全性を確保するというやり方も残しておかないと、結局は容器の多様性とか開発のところを阻害する可能性があります。やはり安全サイドで米国型を押さえておくというのを1つ取っておく。かつ、三衛協の添加量を維持するかどうかは別として、それを超えた場合、より安全サイドに設計した上で、それを超えるものについて一律に駄目ですよということではなくて、個別に溶出量で確認するというやり方もあるのではないか。どちらかを選ぶというよりは、その組合せというのもあるのではないかというのを残しておいてもいいかと思います。

○大前座長 事務局どうぞ。

○山本基準審査課長(事務局) 今の御意見とも関連して、組合せということでも是非御議論いただければと思います。次のリスク評価のところの御議論をいただいた後でまた振り返っていただいてもいいかと思います。リスク評価については、欧米とも溶出量をベースに様々なアプローチを組んでいます。添加量規制を敷いているアメリカでも、実は出発は溶出量でリスク評価をして、その上でそれが実現できる添加量を登録していく仕組みになっています。そういう意味で、根本は同じところから発出しています。溶出量がこれ以下、あとは制限・用途が実現されればという前提条件において、おそらく添加量でこの溶出量が実現されるという設計・デザインで管理しているのだと思います。そういう意味では、溶出量を決めておいて、添加量は当然それが実現できるはずという管理の仕方もあるのかとは思います。

○大前座長 重倉構成員どうぞ。

○重倉構成員 どのような管理手法をとるかというのは、何を規制の対象と考えるのかということによるのかと思います。どちらかというと、溶出量規制は物に着目した規制であり、添加量規制は事業者に着目した規制かと思います。もちろん法律は事業者の何らかの行為が対象ですから、どちらも同じと言えば同じなのですけれども、それでも視点としてはそのような差があるのかと思います。グローバル化した今日においては、日本でだけ有効な事業者管理というルールから、物のほうへシフトしていかなければならない時代なのだろうということを理解し、それとともに、実際にビジネスを継続していく中では、より端的に行動がとれる事業者管理の方法、その中にはおそらく添加量管理があるのだろうと思います。この2つは中嶋構成員が言われたとおり、また山本課長からお話のあったとおり、コンビネーションが大事なのだろうと思います。どちらかの方法で認めることができる、という手法があるのではないかと思います。

 その点で事務局からの説明に補足させていただきます。三衛生協議会が行っている自主規制も、溶出量をベースにして、どうやってそれを実現するかという手段として添加量を管理する手法をとっています。何ら、海外の案件と違うものではありません。現在の実態も、今の話にそぐう状態になっていることを御紹介いたします。

○大前座長 実態はそういうことだそうです。決して対立するものではないということです。以降の議論は、実際に詳細制度設計をするときに、またお願いすることにします。この検討会では、今までの御意見、御議論にとどめておくと。それに基づいて、この管理手法の案の方向性を作っていくということでよろしいですか。

 それでは次の事業者間における情報伝達に関してです。方向性の案としては、客観的に確認できる仕組みを何とか作らなければいけないのではないかということ。2番目の○で、三衛協の今の確認証明制度は活用すべきだということが書いてあります。情報伝達について、皆さんの御意見はいかがでしょうか。横田構成員どうぞ。

○横田構成員 この方向性の文言そのものについては、特に修正の必要はないと思います。情報伝達の考え方と、今までの三衛協の取り組みとの関係について私見を述べさせていただきます。本日の中小企業の方の御意見等を確認したところからも出てくると思うのですが、どこまでを国の規制ベースの規律として求め、どこまでを国の行政指導の内容として構成し、それを受けて業界側がどのような取り組みをするのかというような、おおよそ3層レベルでの議論を想定する必要があろうと思います。

 2つ目の○の、「取り組みを推進するための方策を検討するべき」というのは、どのレベルで、具体的に何をするのかについては何も今は決めていない状況だと思います。この時点ではそれでよろしいのだと思います。なぜ、こういうことを申し上げているかというと、例えば第三者による確認を経ていることを義務的な規制とするのか、それとも「第三者による確認という手段もあるし、自己宣言のような仕組みを義務的にするのか、どちらを選んでも構わないが、そのどちらを選んだ企業が生き残るかどうかは業界の競争に任せる」という考え方もあり得ると思います。

 具体的な制度設計の段階で、ここにあるような既存の仕組みを、どのように業界標準として常識化するような流れに持っていくのか、という点については今後議論が必要なのだろうと思います。

○大前座長 その他の構成員方の御意見はいかがでしょうか。中嶋構成員どうぞ。

○中嶋構成員 最後の第三者機関についてお聞きします。これが法令なのかガイドラインなのか、それから業界自主基準なのか、いろいろなガイドのやり方があるかと思うのです。この第三者機関というのは、どのようなものをイメージされて記載されているかを教えてください。

○大前座長 事務局からコメントをお願いします。

○山本基準審査課長(事務局) 例えば三衛協、あるいは三衛協と同じような活動をされている団体で、製造事業者や販売事業者ではなく、第三者として立っている方の証明書です。もちろん第三者機関という場合に、例えば医療機器などでは承認の代わりに第三者認証ということを法律で仕組みを作っています。今のところ、法律まで要るかと言われれば、そこまでは考えていません。欧米については、証明できる人というのが、どのような人たちでなければいけないとまでは規定しておらず、むしろ自己宣言まで一応認めているところからいくと、法律で第三者機関まで位置付けるというところまでではないのかと思っております。

○中嶋構成員 質問の仕方が悪くて申し訳ありませんでした。元に戻ると、国が共通のルールを作るという説明があったのですけれども、そのルールは法律とかガイドラインとかいろいろあると思うのです。その中で、それぞれにおいて法律とするのだったら、第三者機関はどんなものなのだろう、ガイドラインだったらどんなものなのだろうと。第三者機関のイメージ、レベル観のイメージができなかったので質問させていただきました。

○大前座長 先ほどの課長のお答えでよろしいですか。重倉構成員どうぞ。

○重倉構成員 ここの文章についての私の解釈は、 EU の適合宣言というのが書かれていますが、日本の民間での確認証明書があるにもかかわらず EU の適合宣言が出ているというのは、あえて言えば法律で情報伝達を規定する事例としては、 EU に適合宣言というのがありますねということを言っており、その際に自己宣言を規定しているかどうかは微妙なところはあるかと思いますが、法律の枠組みで規制として行う際には、第三者機関を使うということを法的にも書くのだと解釈いたしました。

○大前座長 いかがでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) やったほうがいいと言われるのであれば、法律で書くことも可能性がありますし、やぶさかではないと思っています。具体的には、ここの2つの文章ですが、 EU は法律的に適合宣言自体を義務付けているということで引き合いに出させていただいています。ただし、誰が宣言なり証明をするかというと、それは第三者でもいいのだと思うのですが、自己宣言も認めている仕組みだと理解しています。要は、川上の事業者が材料のフードコンタクトマテリアルを流通・出荷するときに自己宣言をしなければいけないという仕組みだと思っています。そういう事例を参考として、我が国も仕組みを作るのがよいのではないかと書かせていただいています。

 その際に、三衛協をはじめとして、第三者が証明するという仕組みが日本には実績としてあるので、そういう既存の取り組みというのが、さらに活用できるのではないか。そうすれば企業秘密が一定程度配慮された仕組みが当然維持できるのではないか。どちらを使っていただくか、もちろん選択していただける仕組みでもいいのではないかと考えています。第三者証明でなければいけないというのは、そのメリット・デメリットを議論していただいて、基本は第三者証明だろうというお話があればとも思いますが、いかがでしょうか。

○大前座長 横田構成員どうぞ。

○横田構成員 今の議論は、情報セキュリティ関係の議論に少し既視感を覚えています。例えば、情報セキュリティの実効性を高めるために、第三者による監査を義務付けるなどと言うと、やらない所が増えます。しょうがないので、社内での独立性を確保している機関による総合監査を義務付けるとか、いろいろなやり方があります。一律に自己宣言を義務付けるといった場合も、ガイドラインレベルで、社内における分離を推進するであるとか、いろいろなやり方があると思うので、思いつきですが、一応参考までに申し上げておきます。

○大前座長 六鹿構成員どうぞ。

○六鹿構成員 これはどこまで事業者に任せるかとか、責任を持っていただくかということに関連すると思うのです。事業者に責任を持っていただくなら、それほどの情報を伝達する必要もないし、あくまで必要最低限の情報だけを伝達すればいいと思うのです。あまり信頼できないということであれば、第三者機関であるとか、確認証明書みたいなものに使った物質をこと細かく書いて、やっていただくということにもなると思います。ただ、そういった場合には監査する側もそれを活用しなければいけないので、監査する側の能力も加味してあげなければいけないと思います。そのバランスを考えて検討していく必要があるのかと思います。

○大前座長 次に移り、製造管理です。方向性としては、製造管理を制度として位置付ける必要があるのではないかとあります。この辺を含めて、構成員方の御意見はいかがでしょうか。

○中嶋構成員 初めの○に、「ポジティブリスト制度の対象外の器具・容器包装の製造事業者」とあるのですが、具体的に言うと、資料別添の 42 ページの赤線で囲まれていない川上のことをイメージしているのでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) ここの書き方の意味ですが、例えば合成樹脂にポジティブリストを導入するとなった際に、材質によっては注力すべきポイントは違ってきて当然ですが、紙やゴムなどの製造事業者も製造管理や原材料管理という意味で、目指していただく基本的な製造管理は共通かなと思っています。その意味で、ゴム、紙、金属などのポジティブリスト制度の対象ではない材質を製造されている事業者についても、製造管理の取り組みを強化していただくのが望ましいのではないかということです。

○中嶋構成員 了解しました。最初にポジティブリスト制度を導入するカテゴリー以外の容器という意味合いですね。

○大前座長 そのほかにいかがでしょうか。

○森田構成員 今の所で確認させていただきたいのですが、ゴムや紙はポジティブリスト制度の対象外ということですが、今日はゴムの事業者の方から御説明いただいて、ゴムの中で告示に定める規格や、いろいろな自主的取り組みをされているわけですが、そのような事業者は法的には対象施設から外れるということになるわけですか。

○山本基準審査課長(事務局) 対象施設というのは、製造管理導入の対象施設ということですか。

○森田構成員 はい。推進していくので、努力義務ということになるのですか。

○山本基準審査課長(事務局) 1段差はあるけれども、取り組みを進めていただくような行政のアプローチをしたほうがいいのかなということで、多少書き分けております。

○大前座長 今までの御意見の中で、中小企業ですと製造管理を導入するのは難しいところがあるという話をずっと伺ってきたのですが、3つ目の○で自主管理ガイドラインを活用して、業界団体と連携して中小企業に対して製造管理の支援を行うと書いてありますが、この場合の業界団体というのは古橋構成員あるいは小野構成員が所属する団体の話だと思うのですが、中小企業に支援する方策のイメージはありますか。何をしたら支援に該当するのだろうということです。このように書かれてしまいますと、業界団体は何かやりなさいということにもなり兼ねないわけですが。

○小野構成員 乳容器・機器協会に関しては、会員に対しては自主基準がありますので、その内容で管理していればこのガイドラインはクリアできると思います。

○大前座長 製造管理の支援があるので、もちろん自分のところでできる規模の会社は問題ないのでしょうけれども、本当に小企業になった場合に、自主管理ガイドラインを守りなさいという話だけなのかなという気もするのですが。

○森田構成員 2つ目の○には、ポジティブリストに掲載されている原材料を使っている事業者は、製造管理を制度化するということなので義務化されるということで理解していたのですが、そういうことですよね。そうなると、中小企業も含めて全体を制度化するというような意味で捉えていたのですが、そういう意味でよろしいですよね。

 そうなりますと、事業者団体は、アウトサイダーの中小企業にも広めていただかないと、いくら制度化しても全然広まっていかないように思うのですが、乳容器・機器協会さんなどはどのような実態になっているのかをお聞きできればと思いました。

○大前座長 事務局若しくは小野構成員、いかがでしょうか。

○小野構成員 我々の業界としては自主基準がありますので、それを守ってくださいということなのですが、我々の協会に入っていなくて乳容器を供給している会社もあるのですが、別の協会に入っている会社もありますので、どこかの団体に入っていれば、自主管理ガイドラインに沿って管理していただけるのではないかと思います。

○六鹿構成員 結局ここの問題は、事業者間での情報伝達が紙ベースになってしまうということです。書類の内容と実態が違っているといけないので、その実態を製造管理で保証しなさいということです。保証のレベルがどこまでなのか、法制化するかどうか、ということは課題としてあるのですが、そのような意図での製造管理です。

○大前座長 制度化というのが義務化につながるのではないかという御意見もございましたが、その辺はいかがですか。

○山本基準審査課長(事務局) 義務化になるかなという意図で書いております。直接のお答えにならないかもしれませんが、現在、業界団体に自主基準などを設けていただき、会員のレベルアップや製造管理の充実に努めていただいていると思っています。おっしゃったように会員に入っていない事業者もいるわけで、次のステップとして、国が作業を進めている自主管理ガイドラインをまずは通知レベルで出すことで、全国の自治体では、団体に入っている事業者も入っていない事業者も、このようなミニマムな内容で製造管理を充実させてほしいということをやろうと思っております。

 その上で、次にポジティブリストを導入する部分については、法律上の制度として位置付けて、ステップ・バイ・ステップで取り組んでいったらどうかと思っている次第です。

○森田構成員 今の御説明で分かりました。そのために、次のスライドで事業者、中小企業がどこにあるのかを地方自治体が把握して、そこでミニマムに事業者は製造管理がきちんと行われて、きちんと事業者間で情報伝達されるという、一連のシステムができるという理解でよろしいのでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) はい。

○森田構成員 分かりました。

○大前座長 それでは最後ですが、事業者把握、監視指導について、自治体が器具・容器包装の製造事業者を把握する仕組みが必要ではないか等の方向性の記載がありますが、この点に関して構成員方の御意見はいかがでしょうか。

○野田構成員 1点質問させていただきます。こちらには「製造事業者の把握をする仕組みが必要」という記載がされていますが、日本のメーカーについては、三衛協に入っているメーカーが多いので、その製造事業者を把握することは容易かと思うのですが、海外からの輸入品については、どの辺りまで把握することをお考えでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) 器具・容器包装の形で輸入される際の輸入届出に製造事業者を記載することになっていますので、そのようになるのではないかと思っています。

○野田構成員 あくまでも申請書類での確認ということで、こちらから海外に監査に行くところまでは、今は考えていないということでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) 今のところはそこまでの仕組みではなくて、食品衛生法では輸入品に対しては、輸入者に対し、海外の生産事業者や食品事業者と情報を密にとっていただき、食品衛生法適合の情報をとっていただいて、それを輸入届出の際に提出していただくという形になっていると思います。その仕組みの活用が、既存の仕組みに一番入りやすいかなと思っております。

○梅田輸入食品安全対策室長(事務局) 資料3別添の 38 ページ、輸入監視体制の概要を御覧ください。

 今、御質問がございましたが、器具・容器包装を含めて食品等については、輸入される際に、その都度、厚生労働大臣、実際には検疫所宛てですが、届出をしていただく必要があります。その中に、届出事項ということで、輸入者の氏名、住所等があり、器具・容器包装又はおもちゃでしたらその材質を届出いただくことが法的に義務付けられていますので、現行はこのように輸入者に届出をしていただいて、その情報に基づいてチェックをしているということです。御参考までに、必要に応じて検査も行っており、資料に監視指導計画と記載がありますが、これに基づきチェックを行っているというのが現状ですので、この枠組みの中で、今後、この制度設計をどうしていくかということになろうかと思っています。

○重倉構成員 海外がどういう状況なのかということを考えてしまうのですが、日本から食品を輸出する際に、それに使われている器具・容器包装について輸出先国の法令に適合しているかどうかが問われるわけです。

 日本から出荷する場合、私どもの確認証明書を取っていることは多くございますが、それでは足りないということで、やはり輸出先国の規定を守っていることを証明する文書を付けよと指示されている器具・容器メーカーあるいは経由して器具・容器の原材料メーカーに問合わせがきて、そのようなものを用意することが実態として起こっています。

 裏を返せば、海外から輸入される食品について、その容器が適切なものであるかどうかについては、きちんと監視し、把握することが必要ではないかと考えるところです。

 また、事業者の管理に関して言えば、日本から器具・容器包装を輸出する者について EU からの話は聞かないのですが、 FDA については工場の現場まで調査に来るという実態があると聞いています。これは海外の話を伝聞したもので、どこまで正しいのかを正確に把握しきれるところではなく、日本がどこまでやるかは日本が決めればいいことだと思うのですが、事業者把握という言葉で、国内の器具・容器包装の製造事業者を都道府県や保健所設置市など地方自治体が把握できる範囲を超える対応が必要になるのではないかという気もいたします。それを、いきなり国内で行えるのと同じレベルにするというのは難しいことだと思いますが、そういうところに穴が開いているのではよろしくないのではないでしょうか。その点が少し気になります。

○鬼武構成員 方向性の2つ目の「一斉分析のような簡便な方法について」ということで、分析技術なので分析者がやろうと思えばやれるのでしょうけれども、現在、海外や民間において、可能性なり、既に導入されているという例があるのでしょうか。

○六鹿構成員 民間の検査機関や地方自治体の検査機関で一斉分析をやられている所は、特にありません。農薬はあります。

 ただ、民間の検査機関の場合はメーカー側から分析を求められることもケースによってはあり得ます。そのようなときは、それなりの対応をされていると思います。

○鬼武構成員 少し気になったのは、当然このようなことも必要だと思いますし、監視の面では一斉分析ということはあるのですが、農薬のポジティブリスト制導入の時には一斉分析を作るのに数年かかっており、その上で一斉分析のできないものについては個別検査法といった、法制度化と合わせてパラレルにすぐに導入するということはなかなか進まなかったと記憶しており、、技術的に注力すればできるものだと思っていたのですが、現時点でどれぐらいの可能性があるのかということでお尋ねしました。

○六鹿構成員 物質の性状、形、性質といったものが容器包装の添加剤の場合は農薬よりもかなり幅が広くなりますので、一斉分析といってもなかなか難しいと思います。

○小野構成員 一斉分析について、定性はかなりできると思うのですが、定量はできないと思います。

○大前座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それぞれの項目についてお話を伺ったのですが、そのほかに全体を通じて、あるいは各項目に戻っても結構ですので、何か御意見等があればと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤構成員 先ほどから議論が進んでいるのですが、これを制度設計していくという基本的な考え方の中で、国際的に通用する制度ということが大きな視点の基軸になっていくのではないか。先ほどからもアウトサイダーに対してキャップを被せるとか、あるいは輸入製品に対してキャップが掛かるとか、あるいは逆に輸出するときに相手国に対する担保といったようなことからも、大きく国が関与しているということと、国際的に通用する制度ということが大きな視点になっていれば、大体の制度設計としてはかなり通用するものになっていくのではないかと思いますので、そこを十分に考えていただければと思います。

○鬼武構成員 リスクアナリシスのことで伺います。別添 29 ページ、現状での「リスク評価とリスク管理」の所ですが、最終的に薬事・食品衛生審議会にかかって答申が出ると同時に、消費者庁と「協議、回答」とあるのですが、これは原則全てに対応することとなっているのですか。

○山本基準審査課長(事務局) 消費者庁への協議についても法律で決まっていますので、規格基準を改正する際には、消費者庁協議が私どもにも義務付けられているという仕組みになっております。

○鬼武構成員 分かりました。

○大前座長 そのほか、全体的あるいは各論的に御意見等はございますか。

○小野構成員 前回、山本課長から、前身の検討会で中間取りまとめの英語版を作ったとお話いただきました。それは非常に有り難いと思いまして、協会会員の海外担当部署に送って情報共有させていただいています。

 有り難いのですが、探し方が悪いのかもしれないのですが、その場所が厚労省の英語ホームページからたどりつけません。審議会や検討会の日本語の情報があるページには英語版もあるのですが、英語の厚労トップページからはたどりつけなかったような話を聞いたので確認をお願いしたい。せっかく作った英文ですし、海外に発信するのにいい機会なので、もう少し情報を取りやすくしていただけたら有り難いと思います。

○山本基準審査課長(事務局) 大変申し訳ございません。所在を確認します。外国人からアクセスしにくいということですよね。

○小野構成員 そういうことです。日本人は英語で見られるのですが、外国から直接は英語で見にくいのではないかということです。

○山本基準審査課長(事務局) 御意見をありがとうございます。

○大前座長 そのほかになければ、本日の議論はここまでにしたいと思います。

 本日までに6回の検討会を開催し、構成員方や参考人の方から様々な課題について、多くの御意見をいただきました。今日の議論も含めまして、事務局で取りまとめの骨子を御準備いただき、次回に再議論、あるいは最終的に可能であれば決定までいけばいいと思いますが、そういう形にしたいと思います。あらかじめ各構成員に骨子の案が配付されると思いますので、是非読んでいただき、次回に、またフォーカスの合う議論をしていただくということでよろしくお願いいたします。

 また、関係者からの御意見を多く聞いて検討していただきたいとの意見もあり、広く意見を聞くべきだと思いますので、取りまとめの骨子については、議論が終了した後にはパブコメを募集する形になろうかと思います。パブコメをやるということでよろしいでしょうか。

(異論なし)

特に御意見がないようですので、パブコメを実施することにいたします。

○鬼武構成員 取りまとめについての WTO 通報は行うのでしょうか。

○山本基準審査課長(事務局) これは WTO 通報が義務付けられているものではありませんので、 WTO 通報する予定はありません。同様に、法律上行政がパブコメをしなければいけないと言われている範囲ではないのですが、制度のあり方を御議論いただいて方向性を出していただく重要なものですので、任意という位置付けでパブコメをさせていただければと思っております。

○鬼武構成員 これは法規制ではないと思うのですが、厚生労働省が規制を定めたり、その検討の段階では、海外からの日本に入ってくる際の規制という観点もあるので、在京の大使館を通じて発信している事例もあったような気がしたのでお伺いしました。

○山本基準審査課長(事務局) どこかで然るべく、海外に向けても情報発信をしていくことは考えております。

○鬼武構成員 海外から規制に関する情報が入った場合にも、日本の規制がどうなるか検討されると思いますので、早い段階、ドラフトが出た段階でお知らせしたほうがいいと思いまして、意見を言わせていただきました。

○大前座長 いずれにしましても、骨子が出来上がりましたら、パブコメにかけるということに関して皆さんから御異論はございませんか。よろしいですね。その時期になりましたら、事務局で手配をお願いいたします。

 最後に事務局から連絡等はございますか。

○近藤補佐(事務局) 次回の第7回検討会については、3月1日(水)に開催の予定です。議論の状況次第とはなりますが、必要に応じて3月 17 日(金)を予備日として確保しておりますので、開催日程が決まりましたら各構成員に御連絡させていただきます。

 また、先ほどお話もございましたが、取りまとめ骨子を御議論いただいた後にはパブリックコメントを募集し、提出された御意見も踏まえて、4月から5月に取りまとめの方向を検討するため、開催させていただければと考えています。以上です。

○大前座長 3月1日に終わらなければ3月 17 日もありますので、予定は確保しておいてください。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の検討会は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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