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2017年3月22日 第5回生活保護受給者の宿泊施設及び生活支援の在り方に関する意見交換会 議事要旨

社会・援護局保護課

○議題

(1) これまでの議論を踏えた意見交換
(2)その他

○議事


 事務局から資料説明を行った後、出席者による意見交換を行った。主な意見は以下のとおり。

 

・無料低額宿泊所の届出基準に満たない4人以下で、小規模なグループホームの形態で、地域で生活する者に対する生活支援の在り方も含めて検討していくべき。

 

・中には劣悪な事業所もある中で、「ついの住み家」と言うことはいかがか。

 

・支援を必要とする者の状態像を明確化するための調査について、福祉事務所だけでなく、事業者や利用者の視点も必要。

 

・住宅の質としてどのような基準を設定するのか、生活の質については、生活に必要な物品がどの程度揃っているのか、対人サービスの質については、見守りや介護的なものから、日常の生活支援といったものの質をどのように測っていくかという論点がある。

 

・特に、対人サービスの質については、日常生活と社会生活、経済的自立の3つの自立支援の視点があるが、それぞれどう具体化し、客観的に指標化していくかが次のラウンド。

 

・「一時滞在型」の対語で言えば、「長期滞在型」か。保護施設も通過施設の位置づけであり、基本的に通過施設で長期か短期かということになるのではないか。

 

・規制のための最低基準を設け、それに満たないところは指導し、命令・処分までつなげていくという意味でのメルクマールは必要。他方、明らかに駄目なところは駄目と言えるが、生活支援の内容を標準化し、規制、促進を行政の指導でやっていくことは難しい。保育所のように非常に詳細な指針を作成するのか。

・「一時滞在型」、「長期滞在型」という言い方も1つかと思うが、あちこち追い出されて転々としてきた方が多いので、来たときに「6ヶ月間経てば次の所に行く」という契約をするのではなく、「居たいだけ居てもいいですよ」と言ってあげられる場所も必要ではないか。

 

・「一時滞在型」で想定される援助としては、一般とは異なる内容を想定しているのではないかと思われるが、若年者で一時的な滞在であっても、非常に手厚い支援が必要な人もおり、困難度に差がある類型も想定しておく必要がある。

 

・対象者の状態は多様であり、単純に一時的か長期的かで分類することは難しいかもしれない。「生活支援」の中身にもよると思うが、手厚い支援を必要とする人に対する支援の基準があれば、現場で工夫しながら対応していける。対象者の多様性を前提とすることが重要。次の段階かと思うが、二分法ではなく、非常な困難を抱え、一般の宿泊所やアパートやドヤでも対応できなかった人たちに対する生活支援の内容が深められていくことが重要。

 

・住宅扶助や生活扶助の上限まで費用を徴収し、対人サービスのコストを捻出しているが、扶助制度の目的に沿わない。対人コストの客観的・科学的な根拠は示す必要がある。社会福祉法人は、財務状況、人材配置等極めて厳格な基準で施設の運営管理を行っている。税金が投入されている生活保護でも同様に、説明責任を果たすものを作る必要がある。

 

・社会的な居場所として無料低額宿泊所を使う際、社会的居場所には、居場所であり、かつ就労や社会生活へ向けたステップのための機能を有するものと、それを求めず、単に居てもよい、というものがある。支援するには、それぞれのスキルがなければ難しいと思う。

 

・無料低額宿泊所について一定の基準を設け、それに合致する施設を届出施設とする方法もあるが、無料低額宿泊所の概念を現状に合致するように変更し、ハウジングという概念を取り入れてもいいのではないか。生活困窮者自立支援法の一時生活支援事業を、無料低額宿泊所を使って実施している場合の生活保護法との整理や、不動産業者や大家が見守りを行っている場合をどうカバーするのか。国交省と厚労省とで現在協議している、不動産業者、大家、行政、居住支援協議会等による居住支援については、我々の今回の議論とどのように整理をするのか。

 

・生活支援を行う人材の育成に関する検討も必要である。

 

・単身個住で無理な人に関して、見守り付きの個住や生活支援付きの共同居住という新たな枠を作ろうとする大きな話なのか。我々が何を目指していくのかがやや不透明である。貧困ビジネス規制の「おまけ」のように、良質な無料低額宿泊所を支援するという議論ではなく、新たな居住支援として、半官・半民くらいの使い勝手のよい新たな枠組みを作っていく方向で検討すべきではないか。

・制度の実施方法として、まず悪質な施設と良質な施設を選別するのか、あるいは全ての施設に規制をかけて、その上で、支援形態で差をつけていくのか。自立支援のことを考えて、都市部で施設運営を行おうとすると、狭小な住宅にならざるを得ない場合もあり、そういったことも加味してほしい。

 

・最低生活の保障の中で、住の保障や生活の保障がどうなっているのかを整理するのがよいのではないか。その中で、自立助長に係る対人サービスのコストを図る尺度を積み上げ、社会的なミッションや存在意義をきちんと説明できるようにすることは建設的。 1.5 種ならどのようなものが 1.5 種なのかの合意形成をし、将来に向けて段階的に、きちんとやるところは向かっていくという順番の問題ではないか。

 

・生活保護の実施機関が、利用者の状態をきちんと見極めた上で無料低額宿泊所に入れているのか、という行政の関わり方についても重要な論点であるので触れておいてほしい。

 

・今の無料低額宿泊所が何かを担ってきていて、そのあり方を居住支援だと言うつもりはない。ただ、あるべき地域居住の在り方をしっかりと作って、それを担う者にはしっかりと支援する必要がある。

 

・無料低額宿泊所の入所者すべてが生活保護受給者ではない。自分の貯蓄等で入っている人もいる。また、地域居住の見守り支援まで考えると、生活保護受給者の数はもっと少なくなる。地域の見守り支援を行うとすれば、役割分担と費用負担のあり方が気になっている。

 

・条例施設でも規制や勧告までは行うことは少ないなかで、また規制をはめるということは難しいのではないかと感じている。生活保護受給者だけでなく、一般の人も入居することを考えると、需要と供給のバランスの中で、生活扶助の中からサービスの対価を支払うことが自然ではないか。自然と価値のないサービスには対価を払わなくなるのではないか。

 

・現在、生活保護受給者向けのアパート経営は利益が出なくなっており、多くは海外旅行客の民泊になっている。また、人口動態のシミュレーションが必要。需要と地域の居住資源の見通しがないと、ビジネスが成り立たないので、ニーズが高そうだが人口動態が流動的なところについては調査をする必要があるのではないか。

 

・無料低額宿泊所では、現実に障害者が居住している。中には診断すら受けておらず、自らも障害に気づいていない人もいる。障害福祉との住み分け、乗り入れも含め、一定レベルのトレーニングを受けた人が、一定レベルの質のサービスを提供するということも枠組に盛り込む必要がある。どういう方たちにどういうサービスをして、ジャンプアップできているのかと言うところを含め、利用者像の実態をもう少し詳しく把握する必要がある。居住の問題も大事だが、支援サービスの質、それに関わる人材の育成の問題も重要である。

・職員研修に関しては、社会福祉主事、社会福祉士、介護支援専門員のほか、精神保健福祉士などの資格もある。ただし、資格があることと、専門性があること、そして支援のサービスの質は必ずしもイコールにはならない。様々な背景を持つ人を支援するのに必要な専門性は、資格だけで担保できるものではない。

 

・特に東京において、生活保護受給者が、高齢等の理由から1人で暮らせなくなった場合、介護移住がなされており、地域包括ケアシステムの理念とは逆の実態がある。介護移住せずに地域で暮らし続けるための理念的なことも検討していくべきではないか。

 

・いま議論している居住支援の話は、もはや法律で規定されている「無料低額宿泊所」ではないのではないか。

 

・アパートの賃貸借契約には、大家が見守りをしているものもあるが、生活保護受給者に対して人権侵害とも思えるような強い関与や、生活保護の申請にも関与をしている業者もいるが、届出の対象外であり、指導監督もできないので悩ましい。アパート形態のものをどう制度的にサービスの担い手としてきちんとやっていくのか、悪い事業者を監督していくのか、できれば、短期的な時間軸の形態の中に入れ込んで検討していく方がいいのではないか。

 

・自立支援や生活支援のサービスの中身に踏み込んだ評価は難しいが、人員配置、施設長の配置、入浴の機会、自立支援計画やアセスメントといった形式的にみてわかる部分の規制はやった方がよいし、勧告や命令もあった方がよい。住宅扶助について、本来の目的に沿った適正化を図れば、社会福祉法の勧告や命令に至らずとも、評価されるべき生活支援サービスを実施していない事業所の運営は不可能になっていくのではないか。届出義務の実効性を確保する意味では、罰金、過料などの行政罰で罰則規定が必要ではないか。

 

・議論の対象は無料低額宿泊所に限らず、無届けの施設も含め、地域で生活する生活困窮者等に対する生活支援の在り方も含めるべきである。

 

・現在の法律でも、無料低額宿泊所については、社会福祉法第 72 条で経営の制限や停止といった措置はとれる。ガイドラインもその際の根拠にはなり得るが、ガイドラインには法規範性がないことから、実効性を担保する意味で法規範性のある規制が必要である。


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