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2017年2月28日 第13回 児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成29年2月28日(火)17:30〜19:30


○場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室(3階)


○出席者

吉田(恒)座長
岩崎構成員
金子構成員
上鹿渡構成員
久保構成員
杉山構成員
床谷構成員
林構成員
藤林構成員
峯本構成員
森口構成員
山田構成員
山本構成員
横田構成員
吉田(彩)構成員

○議事

○林補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第13回「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は久保野構成員から御欠席の連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付しておりますが、資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料を配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。

 なお、本検討会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 それでは、これより先の議事は吉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉田(恒)座長 皆様、こんにちは。

 本日の議事でありますけれども、配付されております議事次第に記載のとおり、意見交換を行っていきたいと思います。これまで以上に深めた形で進めたいと思います。

 まず、事務局から資料2の御説明をいただきます。その後、金子先生、久保先生・藤林先生の共同の提出資料、床谷先生の資料、それぞれ提出されておりますので、御説明をお願いします。その後、資料に沿って各先生方に御議論をお願いできればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、事務局から資料2について御説明をお願いします。

○林補佐 事務局でございます。

 それでは、資料2の特別養子縁組制度の利用促進に関する個別論点に係る議論用資料について御説明いたします。

 年齢要件、審判の申立権・成立要件、出自を知る権利、養子縁組成立前後の支援・養親候補者の確保ごとに、これまでの御議論を踏まえまして、考え方(案)としてそれぞれにおけるメリット、課題を並べてございます。

 2ページ目の「1.年齢要件に関する考え方(案)」としまして3つ掲げてございます。

 現状の申し立て時は原則6歳未満とされ、例外として、6歳未満で養育が開始された場合については、申し立てが8歳未満までできるというものです。このメリットとしては、物心がつく前に養親との愛着関係の構築ができる。

 課題として、原則6歳以上の児童に特別養子縁組の機会が制限されることとしております。

 2つ目ですが、6歳未満の原則年齢を変えず、例外年齢を引き上げることについてです。メリットとして、物心がつく前に養親との愛着関係が開始でき、一部の高年齢児童にもリーガル・パーマネンシーを保障することができることとしています。

 課題としては、6歳未満で養育が開始されないと特別養子縁組の機会が制限されること。児童の意思をどう考慮し、反映すべきか、としています。

 3つ目ですが、原則年齢を維持・例外年齢ともに引き上げるものです。メリットしては、高年齢の児童にもリーガル・パーマネンシーを保障することができること。

 課題としては、児童、養親候補者、実親の地位が早期に確定されなくなり、結果として児童福祉を害するおそれがあること。児童の意思、特に実親と法的関係を断ち、離縁が困難な親子関係の成立について、児童の意思をどう考慮し反映していくかとしております。

 3ページ目の「2.審判の申立権・成立要件に関する考え方(案)」として3つ掲げてございます。

 現状の養親のみを申立権者とするメリットは、養親候補者の養育の意思が確実に担保されること。

 課題は、実親の同意が覆される可能性がある場合、養親候補者の申し立てが躊躇されることとしています。

 2つ目ですが、児童相談所長を申立権者に加えることです。メリットは、申し立てが困難な養親候補者に代わって申し立てることで、審判の機会を与えることができること。

 課題は、当事者以外の身分関係の形成の請求をすること、他の制度との関係、養親候補者の養育の意思が必ずしも担保されないこととしています。

 3つ目ですが、特別養子縁組の成立に係る手続に、実親の同意の撤回を制限する仕組みを入れることです。メリットは、成立前に同意が翻される可能性がなく、養親候補者が申し立てすることが容易になることとしています。

 課題は、仮に実親が翻意して養育を希望し、養育ができる環境になっても、養育を不可能にすること、実親のもとで養育されることが最善という考え方との関係の整理が必要になることとしています。

 例にある2段階手続で、1段階目で特別養子縁組が適当と判断された児童について、2段階目で縁組が成立しない場合、児童の地位が不安定になるおそれがあることとしています。

 4ページ目の「3.出自を知る権利に関する考え方(案)」として2つ掲げてございます。

 その議論の前提として、出自を知る権利を保障する範囲をどこまでとするか。実親の知られたくない情報をどうするかを掲げてございます。

 1つ目として、特定の一機関において各関係機関が保有する文書等を一元管理し、情報公開することについてです。メリットとして、統一的に文書等を保管、公開ができること、アクセスしやすいこととしています。

 課題としては、膨大な人員、予算が必要であること。行政改革との関係、行政機関で保管する文書等と移管する文書等の判断基準などをどうすべきか、としています。

 2つ目として、各関係機関が一定ルールのもと保有する文書等の保管・情報公開規程を整備し、規程のもと開示請求に応じるについてです。メリットとして、一元管理より負担が小さいこと。

 課題として、特別養子縁組関係以外の文書との均衡をどうするか。国、自治体で規程等の整備が必要であるとしております。

 5ページ目、「4.養子縁組成立前後の支援・養親候補者の確保に関する考え方(案)」についてですが、2つ掲げてございます。

 特別養子縁組家庭に対する支援の実施として、メリットは、縁組家庭の負担が軽減され、制度の利用がされやすくなること、行政と継続的につながりやすいとしております。

 課題は、児童福祉法上、養育基準等の義務が課されている「里親家庭」、また「一般的家庭」と比較して、社会的養護の必要性がどの程度あるか、支援機関や程度をどうするか、普通養子縁組家庭との公平性をどう整理するかとしています。

 2つ目ですが、成立前後の児童相談所と民間あっせん団体が連携して支援すること、養子縁組のあっせんについて周知することを掲げています。メリットは、専門性ある児童相談所が全国斉一的に支援をできること。民間の質が向上すること、成立後の状況を確認できることとしています。

 説明は以上になります。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 この資料2につきましては、これ以降、これをもとにして意見交換をしたいと思います。

 続きまして、本日金子先生、久保先生、藤林先生の共同提出、床谷先生から資料が提出されておりますので、それぞれ6分程度御説明をいただければと思います。資料4です。

 まずは、金子先生から御説明をお願いいたします。

金子構成員 ありがとうございます。

 私自身は今の資料2でいいますと、3とか4にむしろ議論の時間を割くべきではないかと個人的には思っておりますけれども、行きがかり上、特に資料2の第2点について若干書きましたので、全部は説明しませんが、かいつまんで説明したいと思います。

 まず、資料4の1ページ目の1についてですが、前回の議事録を読んでいて、私が特別養子制度の意義を否定しているかのように捉えられているのではないかという気がしたのですが、前回にも説明しましたけれども、日本とイギリスでは全然環境が違いますので、イギリスでは使い過ぎだということでブレーキがかかっているからといって、日本でその意義がないとか、そういうことを申し上げたつもりはありません。ただ、なぜそれを言ったかといいますと、端的に言いますと、例えば5年後、10年後、この会議の議事録を読んだ人が、イギリスの養子制度について話をしているときに、すでにちょっと風向きが変わっているかもしれないという状況を踏まえた上で議論をしていたということをちゃんと証拠に残したいという、ある意味アリバイづくりのためにそういう現状を紹介したという経緯がございますので、そのことだけ触れておきたいと思います。

 次に3段落目ですが、イギリスを参考にするというのは、非常に魅力的に見えるというのは大変よくわかります。私も調べていてそう思いますけれども、ただ、現実の改正案とかを考えるときには、正直言って、イギリスは余り向いていない、むしろドイツとかのほうが取っつきやすいのではないかと個人的には思っておりまして、私自身はちょっと引いた立場で見ております。

 1点だけ確認させていただきたいのが、この検討会は、私はパーマネンシーを増加させることがゴールにあって、そのための方策を議論する場だと思っていたのですが、どうもそうではないようだということに前回気がつきまして、要するに、そこに書いてあるように、パーマネンシー保障にとって特別養子制度は関係がある。しかるに、特別養子制度についてはいろいろと問題点が指摘されている。ついては、件数増加という観点から見ると関連性があるか怪しいし、むしろ件数が減るかもしれないけれども、そういう点も含めて改善案を提案する場なのだと理解してよろしいでしょうか。これは座長その他ほかの構成員の方々にお伺いしたいのですが、それでよろしいのでしょうか。

吉田(恒)座長 はい。

金子構成員 それでしたら、私なりにこの検討会の議論に意義を見いだせます。どうもありがとうございます。

 次に、実親の同意とその撤回ということですけれども、これはこういう制度があるということで、イギリスだとこうなっているという御説明であります。

 撤回が制限されるというよりも、現実に同意を経た上でplacement、託置がされると、託置を受けた人の期待を損なわないように、取り戻しが制限される。どちらかというとそういう論理が強いのかなと思います。特に児童養護の一環として行われる場合ほぼそうではないかと思われます。ただ、これもフランスでも同じような経緯があるのですけれども、一回制度に失敗して、大事件が起きて、慌ててといいますか、制度をさらに考え直して、ひとたび養親候補者に託置がされると取り戻しが制限されるという仕組みができ上がってきたという経緯があります。失敗例をわざわざまねする必要はないと思いますけれども、ただ、一回で完璧な制度をつくろうと思わないほうがいいと申しますか、予期せぬ問題が生じ得るということを十分予期しながら制度を考えたほうがいいのかなという気がいたします。

 あと、3の直前の段落ですけれども、リソースの問題ですね。結局、養親候補者の安心のために一回裁判所の許可を得た上で託置という仕組みは、それはそれで大変よくわかるのですが、これは以前、山田構成員からもそういう指摘があったかと思いますが、これは結局、司法関与問題の一環だと捉えられるかと思います。そうすると、結局司法関与のときと同じ問題、つまりリソースとして児童相談所がそこまで十分手が回るのかという問題がどうしても出てくるのではないかと個人的には思っております。そういう制度が存在することは、司法関与が増大するのが望ましいと私がかつて賛成したのと同じ意味で、方向性自体には賛成ですけれども、現実問題というのを相当考える必要があって、実際には、同意が得られているという事例をベースにしながら、だんだん必ずしも同意が得られないという事例まで広げていくというのが現実的ではなかろうかと思います。その点では、同意をきちんととるということをまず重視すべきではないかと個人的には思っております。

 最後に、3ですが、こちらについては、イギリスでこういう経験があったということの説明です。以前、久保構成員からイギリスの制度が紹介されましたけれども、それ以前の仕組みというのが実はあって、それがここに書いたfreeingという仕組みなのですが、それが失敗と判断されて、それでいろいろつくりかえた結果、現状の法制となっているという経緯があります。私は2段階論というのを十分把握しておりませんけれども、そこに書いたのはある教科書の訳、わかりやすいように大分意訳してありますが、そこに書かれている要素がもし2段階(案)の中に含まれているのだとすれば、同じ失敗をしないように注意する必要があるのではないかと思っております。これは御参考にということでございます。

 以上です。

吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 イギリス法の状況の御説明をいただきました。

 続きまして、久保先生から、資料4の今の続きにあります、カラー刷りになっておりますけれども、こちらの御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○久保構成員 それでは、大前提からお話しします。多少長くなりますが、御了承ください。

2009年に国連総会で採択された「児童の代替的養護に関する指針」は、児童の権利に関する条約の実施の強化を目的としたものであり、4ページ、別紙1のとおり、児童が家族の養護を受け続けられるようにするための活動、または、児童を家族の養護のもとに戻すための活動を支援し、それに失敗した場合は養子縁組などの適当な永続的解決策、パーマネントソリューションを探ることが、政策及び実際の望ましい方向性の第一として掲げられています。そして、国連・子どもの権利委員会第3回の総括所見では、日本政府に対して、指針を考慮するように求めています。しかしながら、別紙2裏面、我が国では、実親家庭に戻ることができず、乳児院や児童養護施設、里親等に長期間、ここでは3年以上措置されたままの子どもたちが約2万人もいるにもかかわらず、別紙2表面、これら児童相談所によって措置された子どものうち、永続的解決策としての特別養子縁組の機会が与えられるのは、年間346人と約1.7%にとどまっています。また、本検討会での調査結果からは、長年にわたって親との面会交流がないとか、将来的にも家庭復帰が見込まれないといった理由で、児童相談所が特別養子縁組を検討すべきだったと考えたにもかかわらず、年齢要件や実親の同意要件のために実現に至っていない事案が2年間で288件もあるという数字も看過できないものです。

 このことは、別紙3のとおり、報道でも大きく取り上げられています。

 次に、別紙4をご覧ください。長期間の代替養育環境にいる子どもたちの措置解除後の状況は、例えば生活保護率は同年齢層の人口の18倍から19倍であるなど、生活困難を多く抱えています。また、施設を出た後に頼れる親や家族がいない中で、十分な養育ができず、産んだ子どもを保護する事例が児童相談所や市区町村の現場では頻繁に発生しています。こういった措置解除後の生活困難の背景には、措置解除後のアフターケア体制の問題と並んで、子ども時代に永続的な解決策を示すことをしてこなかった、またはできなかった我が国の児童福祉のあり方に大きな問題があります。

 改正児童福祉法に書かれているように、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、児童の自立が図られることを保障するのであれば、実親のもとに復帰できない子どもを18歳まで措置するのではなく、永続的解決策、つまり、特別養子縁組の機会を子どもの年齢、親の同意の有無に関係なく、必要とする子どもに保障することが、本検討会のそもそもの出発点であったことを最初に再確認したいと思います。

 この点は、別紙5のとおり、専門委員会の提言でも指摘されているところです。

 そこで、これまでの議論や特別養子縁組の当事者のヒアリングを踏まえて、3ページの図のとおり考え方を整理しました。なお、具体的な制度設計につきましては、前々回資料としてお示しした、別紙6のチャート図によります。

 まず、特別養子縁組は、家庭養育が著しく困難であったり、不適当であったりする子どもたちに、永続的な家庭を保障するためのものであり、また、社会的養護として位置づけるべきものです。

 なお、永続的な家庭の保障という点では、親の都合によって容易に離縁が可能で、実親との法的関係の継続による不安定さをもたらすおそれのある普通養子縁組、または、長くても20歳に達するまでで親子関係が構築されない里親や未成後見人は、特別養子縁組には及びません。国連ガイドラインも、里親等の代替的養育は永続的解決策を模索する過程で提供されるものと定め、永続的解決策が実現不可能な場合や、子の利益でない場合のみ、代替的養育を提供することとしています。

 子どもの利益を図るために永続的な家庭を保障し、社会的養護としての位置づけがあることからすれば、積極的にこどもの利益を図るために、国や自治体などが公的責任を果たすべきです。

 また、社会的養護である特別養子縁組の手続の申し立てを養親となる方に負担させ、6カ月以上もの試験養育期間が終了した段階でも、実親の同意撤回などの事情で、子どもとの関係を破壊される不安定さがあり、また、さまざまな実親がいる中で、養親となる方の情報は実親に漫然と開示されるなど、現行制度における養親となる方の負担は非常に大きいものがあります。前々回のヒアリング対象者の石井さんも、特別養子縁組も社会的養護の一環として国等の支援を訴えておられましたし、養親が申し立てをなすことに疑問を呈し、養親としての適格性についてのみ判断してほしいと強調されていました。このような過大な負担があると、養親になろうという方を確保するのは難しく、結果的に特別養子縁組制度の利用が抑制され、子どもに永続的な家庭が保障されないことになり、子どもの利益を害することになります。

 そこで、国等行政による手続遂行が求められます。一方で、身分関係の創設、消滅は当事者の申し立てによらなければならないという指摘があります。なお、当事者の申し立てといっても、現行法上も一方当事者たる養親となるべき者のみからの申し立てであり、実親の同意要件の例外規定である817条の6ただし書きの場合に至っては、身分関係が消滅する実親の意思も関係ありません。特別養子縁組が子どものための制度であることを前提として、子どもの利益を図るために、これら2つの命題を調整するために、特別養子縁組の手続を2分化すべきだと考えます。このことは別紙5の提言でも指摘されています。

 1つは、特別養子縁組の前提問題の判断として、子どもが養子になることの適格性、すなわち特別養子縁組の特別の必要性、実親の同意や817条の6ただし書き該当性につき、行政の申し立てによることとし、もう一つは、具体的な親子関係という身分関係の創設、消滅については、当事者たる養親となる方の申し立てによることとします。これにより、養親となる方の負担を軽減できるとともに、実親については前者に対する抗告権を保障し、後者の養子縁組成立についてはその旨の通知のみとするなど、養親の情報が実親に漫然と開示されない方策をとることができます。また、養親となる方は、同意の撤回などを気にする必要がないなど、安定した状態で養子となる子どもを養育し、養親としての適格性について判断されます。

 なお、当事者による申し立てという命題からすれば、養親のみならず、養子となる子ども、またはその後見人が共同で申し立てることも考えられます。

 年齢制限の撤廃とともに、特別養子縁組の手続の2分化は、前段で述べた代替的養護下にいる子どもに永続的解決の機会を公的に保障する重要な制度であり、2分化なくして養親に負担をかけ続けている今までどおりの制度は、公的な保障とは言えないと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、床谷先生から御説明をお願いいたします。

床谷構成員 お手元の資料は、末尾のところに書いてありますように、民法の家族法の人たちの学会で、2016年、昨年発表したものの一部です。詳細はいずれ公表されますけれども、その中で、関連すると思われるところと、条文案も関連する範囲で抜き出して御紹介したいと思います。

 民法の先生方は知っていただいていると思うのですけれども、説明させていただきますと、まず、年齢要件について、これは私の個人的な見解ということだけではなくて、ある程度グループの中での議論をした結果の案ですけれども、子どもの年齢については、特別養子型のいわゆる実方との親族関係が終了する縁組に移行するという、ちょっと違うコンセプトのもとのものではあるのですけれども、年齢については、未成年の子どもを全て対象にすると考えています。

 比較の対象としましては、英国法は御存じのとおり、未成年者の縁組を、これは未成年者全て18歳未満ということが該当すると思いますが、フランスについては、未成年者の中のさらに15歳未満ということですが、ただ、注意しておきたいのは、養親の家庭に早くから受け入れられていた子どもについては、18歳の成年に達した後、さらに2年間の猶予を与えているということでありまして、要するに、20歳になるまで可能だと広げているというところがあります。

 ドイツ法についても、未成年者は完全養子型のものですが、18歳未満は基本的にそうですけれども、例外として、未成年のときから養親の家庭に受け入れられてきた子どもとか、あるいは配偶者の子どものような場合については、成年であっても完全養子型の縁組が可能だということで、やはり例外を設けています。

 こうしたことから、一つの考え方としては、前回出ましたように、また、今回整理されておりますように、原則と例外を設けるということが一つは考えられるのですが、6歳未満で18未満を例外とするというようなアイデアとか、12歳未満を原則とし、18歳未満まで例外として広げるというようなこともあり得るのですが、例外としての期間が、例えば6歳と18歳ですと12年間も例外の期間が必要なのかというのが、民法の立場からは、実情から見るとよくわからないところがありまして、いっそのこと18歳未満ということで統一をすればよいのではないかということで、結果的にこのような案になっております。

 ちなみに、韓国は19歳に成年を下げましたけれども、19歳未満という形になっておりますし、中国はちょっと特殊な事情がありますけれども、かなり限定されたものがございます。

 親の同意のほうとの関係ですが、これは同意の要否というものと、同意不要の要件というもの、同意のとり方というものが、それぞれの比較法的な検討からすると、いずれも微妙な違いがあるのですが、一つは撤回を一切認めないというドイツのようなやり方と、同意を得てから2カ月という期間を認めるというフランスのようなやり方とがあります。そうしたものを参考にして、このときの提案では3カ月という期間を撤回可能な期間として設けてはどうかということを提案いたしました。

 もちろん、同意が要らないという事情については、現行法をさらに細かく整理した上で、フランス法等にあるような、無関心とか、そういったものももうちょっと明確にするほうがよいのではないかということは、検討すべきかと思っています。

 同意については、どういう形で誰がどの段階でとるかということをこれまで議論してまいりましたけれども、ドイツにしてもフランスにしても、先ほどのイギリスのCAFCASSの例にしても、しかるべき人が支援をして、公証人等の一定の法律的知識や法律的助言を与えられる人がサポートしながら、どういう効果が発生するかということを明確に当事者に意識させた上で、父母の同意をとるというのが一般的なやり方であるというのが、比較法的な検討から得たものです。日本法はその点が非常に曖昧であるために、方式としては公正証書によると提案はしておりますけれども、日本の公証人とドイツ、フランスの公証人の立場の違いも多少ありますので、同じようには行かないところがありますが、とり方を慎重にきちんとというのは、先ほどの金子構成員の意見の中にあったのと同じです。

 親権の喪失との関連についても、当初は親権喪失の審判といったものがあれば、同意不要と同様にできるのではないかということで、提案を考えていたのですけれども、これについては、家族法の研究者の中にも反対意見が強いということは既にこれまでの検討会の中でも御紹介したとおりでありましたので、このときにはそのような案はとっておりません。

 手続について、2分化をするかどうかということの問題ですけれども、この特別養子縁組の昭和62年にできた当時の家庭局の説明などを見返してみますと、当時の断絶型の養子縁組で、2段階といいますか、手続を分離するというのがむしろ外国には多いということで、アメリカやフランスやイタリアの例が紹介されています。これに対して、日本と当時の西ドイツは一つの審判等で行うということで挙げられていまして、どちらが多いかというのは、挙がっているのが2つと3つですので、どちらが多いというわけでもない、要するに2つやり方があるということなのですが、ここで挙がっている手続の複数化というのは、あくまで別の手続を2つ重ねるというような理解の仕方ですので、前回、鈴木先生の紹介で、ドイツ法では同意をとれば撤回はできないということで、同意をできる、できないというレベルはあるけれども、手続としては一つの流れというのとはちょっと違うところがあるというところがあります。

 そういったことを検討した結果、私どもとしては、手続を2つに分けるというフランス型の国家被後見子とか、遺棄宣言を先にする子どもを、つまりこの子は養子にできるという子を先に決める、その上で別途新しく手続を始めるということではなくて、一つの手続の中できちんと同意をとった上で、同意が撤回できない時期を民法で定めるという、とり方とか、支援の仕方については福祉法で定めるということにしてはどうかという形の提案をさせていただいております。参考までにということで御紹介させていただきました。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、意見交換に入りたいと思います。意見交換におきましては、ただいまお三方から御説明いただきました内容なども参考にしながら進めていければと思っております。

 前回の検討会では、申立権・成立要件の議論の途中で時間になってしまいましたので、今回は資料2にあります2番目「審判の申立権・成立要件に関する考え方」から初めて、全部終わったところでもう一度年齢要件のところに戻って、可能であれば全体一巡するような形で終わらせたいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。

 それでは、資料2の2、申立権・成立要件について、この検討会としてどのような方向性をとるべきなのか、それぞれメリット、課題について意見交換をしていただきたいと思っております。

 まず、現状でありますけれども、養親のみを申立権者としていることについて、ここにありますようなメリットと課題が掲げられております。これを踏まえた上で、児童相談所長を申立権者に加えるという提案が出されておりますけれども、申立権者に加えるメリット、課題に触れながら、あり方について御意見をいただきたいと思いますので、まず、この点について意見交換をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 横田先生、お願いします。

○横田構成員 この提案は私が提案したことなので、まず、こちらから申し上げたいと思います。

 前回の議論の続きですけれども、時間がなかったのでうまく伝えられなかったことがあるかなと思うのですが、私の主張は、あくまでも民法817条の6のただし書きの同意が要らない場合の話に焦点を当てたものでして、児童相談所の体制がというお話がありましたけれども、817条の6のただし書きに関する部分に関して、児童相談所の体制がというのはよくわからないところがあります。817条の6のただし書きとは、要するに虐待の場合で、そういうところで、児童相談所がかかわっていないということはほとんど考えられないのですけれども。その上で、議論を続けますが、先ほどこのただし書きの部分はむしろメーンではないということを金子構成員も言われましたけれども、それは承知の上で申し上げます。実際に817条の6のただし書きの状況で申し立てようという事例を聞いて、今、提案しているのですけれども、この場合に、前回の繰り返しになりますが、実親の虐待の事実について、これは個人情報なので、養親の側としては手に入れるすべが基本的にないわけですね。それでどうやって申立てが可能なのか。

 申立書に実親の虐待の事実を書かなくていいのだったら可能かもしれませんけれども、書くという前提をとる限りは、養親としては手がないので、817条の6のただし書きは空文化してしまうと思っています。なので、ここで児童相談所の関与が、制度を意味のあるものにするためにも必ず必要だと考えています。

 具体的に、今、資料に案についてメリットと課題という点が挙げられていますので、これに沿って申し上げますけれども、だから、養親となる者の意思は大事なので、そこはいじらないとして、それに加えて児童相談所の関与がどうしても不可欠なのではないかということは申し上げたいと思います。そして、考えているのは共同申立てですけれども、少なくとも817条の6のただし書きの場合に限って共同申立てということをやらないと、制度が動かない。そして、さらにいえば、申し立てた後に、今、家事事件手続法の164条3項に、817条の6のただし書きの場合に、実親の期日における審問が求められていますけれども、そこにできれば児童相談所の立ち会いを組み込むということぐらいはできるのではないかと思っております。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ただ今の御提案は現行の養親の申し立てに加えて、児童相談所長も申立権者に加えるということでしょうか。

横田構成員 正確にもう一回言いますと、817条の6のただし書きの部分に少なくとも限って、最低限、それ以上やるとまたこの後の本格的な議論になりますから、まずは少なくとも817条の6のただし書きの部分に限っては、児童相談所がかかわらないと制度が動きませんから、それを最低限導入すべきではないかということを申し上げました。

吉田(恒)座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかに申立権者に関して、いかがでしょうか。

 では、杉山先生、よろしくお願いいたします。

杉山構成員 いろいろ御意見を伺っていて、養親候補者のみが申し立てるときに、情報がないと、児相のサポートが必要だということはわかるのですが、申立権者とするのであれば、さらに、共同申立てとするのか、片方だけでいいのかということも整理しなければならないと思います。結局、申立権者にすると、審判の手続についても1段階か2段階かという話はあるのですが、いずれにせよ当事者として位置づけるということになるわけですが、ほかのさまざまな審判とのバランスを考えると、本来の身分関係の当事者となるべき人が当事者となるべきであり、その人が法的に審判等に出られないときに、その他の者に参加させるということはあるにしても、ここで課題として出ているような、事実上の障害があるにすぎないような場合に、本来の身分関係の当事者と違う者を、申立権者として手続上扱うことが、この場合だけ認めることが許されるかは、やや慎重にならなければならないのかと思います。もちろんそれ以外の方法、すなわち申立権者に加えるという形以外で、児相のサポートが得られる制度が可能であれば、まずはそちらを模索していくほうがいいのではないかと思います。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、久保先生、お願いします。

久保構成員 児童相談所を申立権者に加える場合は、私が先ほど御説明申し上げましたように、2段階にした上で1段階であれば意味があるかと思います。

 身分関係の創設につきましては、もちろん養親のほうから申し立てしていただく。

 身分関係とは若干違いますけれども、子どもの虐待とかにおいては、28条とか、親子分離をしたり、親権停止、親権喪失等も児童相談所長が申し立てをすることができるようになっておりますので、全く身分関係、しかも、1段階目は身分関係を切るというものではなくて、子どもさんがそういう特養の適格性があるかどうかの判断だけと私は考えていますので、そこまで児童相談所長の申し立てを否定する根拠にはならないのかなと思っております。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 今の久保構成員の説明で、これまでずっと議論してきましたけれども、2段階とか2分化という言葉の意味自体がまだはっきり決まっていなくて、一応大体皆さんの中で全く別の手続の、フランス型のような、この子は縁組できるという手続をまず決めて、それから別の形で新しい手続を起こすということまでは考えていなくて、一つの手続の中で同意があった後は撤回できないというような形、先ほど説明させていただきましたけれども、そういう形であれば、大体構成員の中には合意がある程度あるのではないかとは思っているところです。

 それから、先ほどの横田構成員のお話ですけれども、現状の特別養子縁組の手続からすると、児童相談所長がかかわっているものとか、社会福祉法人とか、ほかのあっせん団体がかかわっているものとか、そういうのが全くかかわっていないものとかが、いろいろと裁判所には来るわけですけれども、裁判所のほうからは、調査官が包括的に要件を調査するわけで、その中で子どもさんの実親さんの状況とか、意思とか、そういうものも調査されると思いますし、場合によっては児童相談所に調査嘱託をするという形でやっていると思いますので、養親になろうとする人自身が事情を個別に知っているとか、調べないといけないということではないかと思うのですが、その点、吉田裁判官にちょっとお聞きしたいところです。

○吉田(恒)座長 吉田先生、いかがでしょうか。

吉田(彩)構成員 一般論で申し上げると、特別養子縁組に関する審判事件の手続においては、養親が全てを立証しなくてはいけないという構造にはなっていませんので、調査官調査など、必要に応じて裁判所が事実の調査をして、要件を判断するという構造になるかと思います。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 横田先生、お願いします。

横田構成員 申立権の話と、審判手続、審理の過程での立ち会いの話と分けたいと思いますけれども、まず、申立権のほうの話は、申立権がなぜだめなのかがよくわかりません。家事事件手続とは基本的に職権手続ですね。当事者としての地位に基づいていろいろな手続的権利がとか、そういう話では基本的にないはずです。最高裁も憲法32条については、私は批判しますけれども、前提としないわけで、そのもとでの家事事件手続だと思うのです。

 審理手続、確かに、現状での家事審判において、審判官がいろいろ職権で委託とか委嘱とかをやっているということがありますけれども、それを言い出すと、家事事件のいろいろな手続上の地位というのは、憲法上から直接導かれるものではないわけですから、だったらそんな規定全部なくしてしまって、全部審判官の職権判断に任せればいいということになりかねません。それでも手続を分節化して、訴訟とは違うけれども、非訟事件なりのいろいろな手続的な地位を認めていくほうがいいと思っているので、こういう手続構造になっているわけですね。

 その手続構造の中に、実際には審判官が職権でいろいろやっているけれども、そのことをきちんと手続の中に組み込むべきだというのが私の立場です。

吉田(恒)座長 これまでの議論では、申立権者の話から2の審判の申立権・成立要件のところの2段階の話も既に論じられておりますので、特別養子縁組の成立に係る手続に、実親の同意の撤回を制限する仕組みを入れること。その撤回と絡んで2段階というものが提案されているかと思います。

 というところで、2の申立権・成立要件の3番目に掲げられている部分のメリット、課題、こちらのほうも含めて御意見をいただければと思います。

 また少し戻って、先ほどの身分関係の存否に関して、児相長が関与するのがいいのかというところもあわせて御意見を引き続きお願いしたいと思います。

 久保先生、お願いします。

久保構成員 済みません、私の2段階に少し誤解があるようですけれども先ほど、横田構成員も言われたように、同意がある場合は私は1段階でいいと、別紙6に今回つけていますけれども、同意が特に問題なくて、そのままいけるようであれば、養親候補者の方から申し立てをしていただければいいという1段階にしております。

 ほぼ横田構成員と同じですが、817条の6のただし書きに該当する場合が、基本的には2段階にすべきだと考えておりますので、ここでは同意の撤回等を絡めて2段階にしているという先ほどの座長の話がありましたが、同意とは基本的にはちょっと違うのかなと思っています。

吉田(恒)座長 失礼しました。

 その点も含めて、同意の撤回に関して御意見いただけますでしょうか。

 金子先生、お願いします。

金子構成員 久保構成員のほうからの御提案について2点お伺いしたいのですけれども、1つは、同意のとり方について何も言及されていないのですけれども、同意のとり方、あるいは撤回制限ということについてどのようにお考えなのか。先ほども私、申し上げましたが、実際上の問題としては、なかなか児相のリソースからすると、同意があるケースを前提とせざるを得ないのではないかと思いますので、そこは結構重要な問題ではないかと思うのですが、その点について一つお伺いしたい。

 それから2点目ですが、第1段階のほうで、だめだと裁判所が判断した場合、一体どうするのでしょうかということがちょっと気になっております。例えば、施設にいる子について、養子に出すプランを立てた。しかし、実親の同意がとれないというので、裁判して、しかし、裁判所は、判断した結果、養子に出すこと自体がだめということになったとします。このときに、普通に考えると、もとどおり、つまりこの例だと施設に戻るということになるのかなと思うのですが、ここで裁判所が、施設にいること自体おかしいと判断することが許されるのだろうかということが気になっております。イギリスだと、そこは養子に出すことも含めたいろいろなケアプランの候補があって、その中で養子に出すことが最善であるということを判断する。もしそれが最善でないとしたら、別のタイプの命令を下すということもあるというふうになっているのですけれども、その辺どうなのかなというのが気になっておりますので、よろしくお願いいたします。

吉田(恒)座長 それでは、ただいま2つの点について、久保先生のほうからお願いいたします。

久保構成員 同意がある場合ですけれども、床谷先生が言われるように、公正証書にするというのもあるかものしれませんけれども、私が別紙6で言っているのは、実は児相とか、あっせん団体がかかるでしょうから、一応の同意を取りつける。申し立てをした際に、家庭裁判所のほうできちんと同意が間違いないということを確認した上で、次の手続に進んでいくと考えています。同意が全く問題ない場合ですね。

 もし、その同意が不安定だという場合には、別紙6の真ん中のほうに書いてありますけれども、父母の同意が不確実なものは児童相談所長から申し立てをして、そこで同意をきちんと確認する。その上で、同意が撤回できないとしていくことを考えています。

 2番目がちょっとわからないのですけれども、2段階になって、その養子縁組がまずかったなと。

金子構成員 ごめんなさい、1段階のところでもうだめだとされたらどうですか。

久保構成員 それはまさに、1段階目でだめだったら、次の手段として里親なりファミリーホームという方法を考えることのなるかと思います。

○金子構成員 そこで、先ほどの例で言うと、施設に戻すこと自体がおかしいということについて、裁判所が判断する権限があるという制度をお考えですか。そこはどうなのですか。

○久保構成員 施設に戻すことがどうのこうのではなくて、このお子さんが特養について適切かどうかというところを判断してくださいというのが第1段階です。

金子構成員 それはわかるのですけれども、それがだめだと裁判所が判断したときに、元の状態に戻るとして、元の状態にしたところの行政上の措置が不当であると裁判所が判断することができるのですか。そういう制度を考えていますか。

○久保構成員 済みません、よくわからないのですけれども、もしこれがだめであれば、先ほど言いましたように、もちろん次の手段として、里親とファミリーホームを探していくということになるかと思います。ただ、それでもだめなら、本当に最終手段として、小規模施設に行っていただくしかないという場合は、確かに現実にもあります。

 そこを裁判所に判断してくれと言っているわけではないです。

○金子構成員 私が気になっているのは、もし、そこで裁判所が養子に出すということについて判断してだめだと言った場合に、もともと施設にいたとして、施設に戻すこと自体よくないと裁判所が判断して、かわりにこうすべきだと命令するという、イギリスだとそういう制度になっていて、この案もそういうことを考えているのかがよくわからないのですけれども、もしそうだとすると、それはこの検討会の前半で議論していた司法関与がそこについては認められるということになって、そうだとすると、検討会前半の議論との整合性というのが問題になるのではないかと思ったという、それだけの趣旨であります。

 あと、同意についてのお話で、結局それは、とり方自体は現状どおりで変えないということのですかね。撤回不可能とかそういうことは全然考えないということですか。

久保構成員 別紙のほうで書いていますとおり、基本的には申し立てまで同意撤回は可能だと。申し立てがありますと、同意撤回はできないと考えます。ただ、同意撤回できないと制限しますけれども、審判の中で同意の有効性に問題性が生じれば、当然、同意が認められないわけですから、その先の手続には進めないということになるかと思います。

金子構成員 進めないのですか。

久保構成員 同意が有効性に問題があれば、その先に進めない。有効でないわけですから、同意がないわけですから、その先には進めないということになると思うのです。

○金子構成員 その場合も、同意はないけれども、養子に適した条件があるからというので、第1段階で裁判を求めるということにはならないということですか。

久保構成員 817条の6のただし書きに該当するのであれば、それは児童相談所長がやりますけれども、同意ができないから、すぐ817条の6のただし書きに該当するかはまた別の話だと思います。

金子構成員 817条の6のただし書きの規定を前提にしているのですね。同意が不安定というのはどうやって判断するのですか。

○久保構成員 28条審判でもよくあるのですけれども、反対はしない、同意しますと言って、やはり返してくださいと言ったりということも、28条審判を申し立てた後にも、同意しますということで、28条の審判の申し立てを取り下げた後に、やはり返してくださいとか、そういったことがあり得ます。そういった不安定な状態のことをされる親御さんについては、やはり同意は不安定な状態ではないかと判断できるかなと思います。

金子構成員 私自身は、児相も利害当事者であって、同意がとれているかの判断権限があると考えるべきではないのではないか。イギリスでもCAFCASSというのが中立的に見るということがありますけれども、そういうものは最低限必要なのではないか。なぜそこを抵抗されるのか、私には余りよくわからないのです。

久保構成員 別に抵抗しているわけではないです。あればその手続はあって別にいいですよ。今はないから、今あるところで児相長の申立権という話になっているので、こういう2段階が考えられるのではなかろうかというところです。

吉田(恒)座長 山本先生、お願いします。

山本構成員 今の議論で、基本的に子どもの適切な処遇を決める責任権者の優先順位が裁判所にあるかということが発想のベースにあると思うのです。日本の現状では、社会的養護の必要がある子どもを扱っている児童相談所の判断権限がまずあって、あるいは実親の判断ですね。そこへ、申し立てに関してだけ裁判所が判断を示すという発想になっていると思うのですけれども、金子構成員のおっしゃっていることは、裁判所がそこで全面的に子どもの福祉の望ましい姿を判断として指定するというところまであずかるという発想ですね。それは日本では今、全然そうなっていないというところのずれが今の議論にあるように思うのです。

 確かに司法関与をどこまで裁判所の権限に委ねていくかという発想、今、どこまであずかるかということが、多分議論のポイントに今後ならないと、従来のまま申立制度の工夫だけで終わるという感じがします。そのとき、イギリスの事例と引っかかるのですけれども、この最中に実親の虐待が問題として指摘されて、民法の上で、実親の意思は制限されるという話が出たとき、養親のほうが養子縁組にひるむことが十分あり得ると思うのです。なので、同意の撤回というのは、今、実親の撤回だけ考えられていますけれども、申立人側の撤回があったとき、子どもが完全に浮きますね。それも一定枠を決めておかないと、多分、こんなひどい親ですと言ったら、それでかわいそうにという親はそのまま揺るがないけれども、そんなことを経験しているこの子をうちの子にできるかなと、絶対そこでひるむ親があり得ると思うのです。なので、そこも考えておかないといけない。その辺が多分イギリスでは裁判所がどこまであずかるかという議論に行っていて、児童相談所とか、実親側というのは、既成の子どもの利害の当事者なので、客観的に審判できる立場とはちょっと違うという発想に行ったのだと思うのです。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 では、峯本先生。お願いします。

○峯本構成員 私、前々回申し上げたのと同じ意見なのですけれども、やはり今、社会的養護に行っている子どもの保護であるとか、利益とか、リーガル・パーマネンシーの保証という観点から言うと、一応28条とか、親権喪失とか、その延長線上のプランとして位置づけるというところでいったら、児相に申立権があるというのは自然ではないかと思います。

 ただ、そのときに、2段階説は私は完全な純粋な一つの審判の中で段階を分けて、ここで同意の撤回がこの段階ではできなくなりますというような段階で分けるというので、一つの審判の中の手続段階を一応分けて、そこで何かを一つ確定していくことをつくっていくということがいいかなと思うのですけれども、分けてしまうと、完全に純粋の2段階で、親が不適格ですよというのを先にしてしまう。つまり、最初の段階では養親候補者がいなくていいという状態は、ちょっと違うのではないか。特別養子縁組という、親と関係を切って新しい親をつくるという制度である以上は、そこに養親候補者があって、養親の意思があって、初めて手続として動いていくべきではないかと思うので、完全に純粋に2段階に分けて、先に不適格をやっていることを決める、つまり、特別養子適格性を決める、逆に言ったら、実親を簡単に言ったら、排除決定してから、養親を決めていくのだというのはちょっと違うのではないか。どうしても私は違和感がぬぐえないのです。

 だから、私自身としては、申立権としては児相を入れます。そのときには当然特別養子縁組制度に進んでいく中で、養親候補者がいます。そこの意思は当然確認をされています。実親の同意があるときは、もちろん児相だけが申立権者ではないので、いろいろな申し立てのパターンがあると思いますけれども、親の同意が確認されて、その手続で進んでいくパターンと、親の同意が途中である段階までは撤回される可能性があると思いますけれども、その段階までのときにはそれに応じてただし書き要件に該当するかどうかを判断されるというケースもあると思いますけれども、どこかの段階で親の同意は最初に与えた、裁判所も確認している親の同意については撤回できませんという期限をどこかの手続段階で設けるというのが一番自然なのかなと思っています。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 2段階についての理解がまだ全員で合意されているわけではなさそうですね。

 では、山田先生、お願いします。

山田構成員 何回か前の検討会でも御紹介したのですけれども、今、峯本構成員のお話を聞いていて、多分、その発想で動いているのがアメリカなのだろうと思うのです。アメリカでは、2段階というよりも2ルートあって、子どもの養子としての適格性というか、実親の不適格性を判断するのはCPS、日本でいえば児童相談所が申し立てる。それと平行して、コンカレント・プランニング(Concurrent Planning)といって、同時並行審理として養親を詰めていく。最終的にアダプションが成立するという形なのです。

 2段階とあまり厳密にやるのではなく、特別養子さんになる子と養親さんになる親とのルートを同時並行で進めていくという発想もあっていいのではないかともう一度思いました。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 たまたま私たちの活動のあり方がちょっと違うからかもしれないのですけれども、協会の場合は、毎日新聞の「あなたの愛の手を」というコラムに養子縁組を必要とする子どもを掲載いたします。それから希望者を募るわけですね。その前に児童相談所が「愛の手欄に子どもを掲載して、里親を探してください」という段階で、実親の同意がとれているケースと、同意がとれていないケースがあります。同意をとれているケースは、同意がとれているという前提があって、私たちは話を進めていきますので、親はその段階でどういう人が見つかるかは協会側がどんな里親をマッチングしてくるかということにかかってくるということになります。

 もちろん私たちも最初に紹介した人がうまくいかなくて、施設に子どもが戻されて、また次の人を紹介するということもありますし、載せてはみたけれども、全く見つからないで、施設にそのまま置いておかざるを得ない状態の子どももやはり出てきます。例えば障害がある子どもなどで、なかなかそれを理解して育ててもらえないということがありますので、結果的には同意をした親たちが、同意をしたにもかかわらず、里親が見つからないということも現実の問題としてあります。

 もう一つ、今、私たちが受けているケースですけれども、もうじき6歳になる子どもで、6人産んでいるお母ちゃんの4番目の子どもです。育てているのは今、かろうじて赤ちゃんである6番目の養育が継続されていますが、それ以外の5人は生まれてすぐに全部手放していて、それぞれ施設に預けられました。その中で、養育里親に現在措置されている子ども、障害のある女児には週末里親を用意したところ、しばらくするとその子の養育里親になってくださり、その人の強い希望で養子縁組ができた子どもがおります。4番目は男児ですが6歳間近なものですから、実母が引き取れる可能性はほとんどないと私たちは親の状況から見ています。なおかつ、この人はまだ産むであろうという予測性もたちます。

 そんな中で、この男児についてはそれこそ817条の6が適用されればいいねという思いで、養子が欲しいのだけれども、どうしようもない場合には長期養育でも頑張りますという申込者をマッチングしましたが、何とか15歳での普通養子を含めて養子縁組ができるといいと思っています。現状の法律の中では、このように考えています。しかし今は、実母は養子縁組については明らかに不同意なのです。不同意なのですけれども、引き取って育てられる見込みはほとんどないと、私たちはそうしか予測ができません。

 そういう子どもの場合に、例えば申し立てるのが里親だけで、里親としては本来は養子がほしいのだけれども、この子の事情が許さないのだったら、養子縁組は諦めるしかないという気持ちにまでなっているほど、この子どもを養育したいと言ってくれている里親だからこそ、養子縁組の可能性を私たちは追求したいという気持ちになりますね。そういう場合にどのように考えたらいいのでしょうか。

吉田(恒)座長 藤林先生、お願いします。

藤林構成員 この資料2の養親のみ申立権者の現状の課題のところに、養親候補者が申し立てを躊躇することがあると書かれていますけれども、児童相談所の実務では、そもそも同意がない、同意が非常に不安定な子どもさんを養親候補者に委託すること自体が非常に難しいのです。同意がなくても認容されるかどうか不確定だけれども「一か八かやってみよう」ということで引き受ける、しかも個人情報が開示されるような状況で、あえてどちらに転ぶかわからないことで引き受けようという、養子縁組里親さんを見つけること自体が非常に難しいというのが現状と思います。

 ですから、峯本構成員が言われるように、あらかじめ決まっている場合もあるかもしれませんけれども、あらかじめ決まっていない場合もバリエーションとしてあるということはぜひ知っておいていただきたい。

 一方で、山田先生が言われるように、アメリカやイギリスにあるコンカレント・プランニングのように、「ただし書き」に該当するかどうかの審判の手続に非常に時間がかかるので、その間施設で待っておくというのも非常にもったいない話です。そこで、認容の可能性はわからないけれども、養育里親さんに子どもを委託しつつ、養子の適格性を児童相談所として裁判所に申し立てる。万が一認められない場合には、養育里親として長期でやっていきますというルートが、コンカレント・プランニングです。それで、先ほど金子構成員が言われた、もし審判が得られない場合にどうなのかというのは、養育里親でやっていくということが保障されるのではないかと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 大分この点で時間をとりましたけれども、ほかによろしいでしょうか。

 では、杉山先生、お願いします。

杉山構成員 先ほど懸念が示されたかと思いますが、手続を2分化するか、どういう2分化をするのかという問題ももちろんあるのですが、第1段階について、児相に申立権を認めるとすると、それがいいかどうかは別として、養親候補者が見つかりにくいから、養親候補者がいない、あるいははっきりとしない段階で、とりあえず同意撤回ができない状態だけつくり出したいために、児相が第1段階の手続を申し立てるということは容易に予想されるわけであります。そうだと1段階目の手続きが終わった後に、今の制度を前提とすると、ちゃんと養親候補者が見つかることを担保しないと、宙ぶらりんの状態が生じてきてしまいます。したがって、2段階の手続だとか、児相の申立権とか、そういう話をする前提として、先ほど金子構成員もおっしゃられたかもしれませんが、資料2の議論用資料の4番目にあることを前向きに検討していかないと、想像している懸念が現実化するのではないかという気がしております。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ほかに。

 では、金子先生、お願いします。

金子構成員 先ほど岩崎先生のお話がありましたけれども、また前回のヒアリングでも同じような話がありましたけれども、結局養親候補者としては一か八か、特別養子縁組が成立するかをどきどきして待つという、運次第みたいなところがあるのではないかと思うわけです。先ほど既に聞いたことかもしれませんけれども、久保構成員ほかの御提案の別紙6の場合ですと、成立の申し立てまでは同意撤回可能だと書いてあるわけですね。もしぎりぎりの段階で撤回されたら、左のほうに行って、817条の6のただし書きに該当するという裁判を求めるということをきっと構想されているのだと思いますけれども、ここでどうなるかわからないわけですね。児相はただし書きに該当すると見込んでやるのでしょうけど、裁判所でそう認めてくれるとは限らなくて、裁判所で成功しなかったら諦めてくださいということになるのでないかと思うわけです。それは余りにも無責任ではないかなと、前回のヒアリングに鑑みても思いまして、そうだとすると、同意の撤回を制限するという構成にするかどうかはともかくとして、そういう措置は必要ではないのではないかと思うのですが、そしてもしそうだとすると、さらに、その前提となる同意をきちんととるという手続もどうしても必要になってくるのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

吉田(恒)座長 特に今、御回答いただくということでなくてもよろしいかと思います。要は、ここでいろいろな考え方が出てきたということかと思うのです。ですので、これはまた事務局、大変お手数をおかけしますけれども、整理していただいてということで、これだけ大きな論点なのだということで、2段階であったり、同意の撤回の問題であったりということをさらに次回までに整理をお願いしたいと思います。

 私のほうとしても、ここで一回で皆さん合意といくとは思っておりませんので、むしろ課題をたくさん出していただいたほうが今後制度を考えるときに参考になるかと思います。

 それでは、次の出自を知る権利に関する考え方のほうに移りたいと思います。

 こちらに関しましては、出自を知る権利を保障すべき範囲をどこまでとするのかというのが一つ。その場合の文書の範囲であるとか、年齢に応じてどの範囲で開示するのか。センシティブな情報をどう扱うのかということですね。

 実親の側からすると、知られたくないという情報もあるはずですので、そうした場合にこうした情報を隠すことが可能なのかどうかという点、これについて御意見をいただければと思いますので、お願いいたします。

 横田先生、お願いします。

横田構成員 まず、形式的な話からですけれども、これは事務方にお聞きしたいのですけれども、1226日の検討会で、私は出自を知る権利を子どもが請求した場合に、現行法上どうなっているかということについての資料をお願いしたのですけれども、出ていますか。私、1回休みましたけれども、その点について確認したいのです。

吉田(恒)座長 事務局のほう、いかがでしょうか。

林補佐 横田先生から御質問いただいております。開示請求の制度に関する御質問ですが、大変時間がかかって申しわけありませんが、今、最終的に詰めているところでございまして、できるだけ早く提出したいと思っております。

吉田(恒)座長 よろしいですか。

○横田構成員 そうしたら、ついでに、申しわけないのですけれども、まとめて。

 この考え方(案)ということで、いろいろこのページを拝見していますけれども、出自を知る権利に関しましては、この検討会でもまだ十分にというかほとんど検討がなされていないというのが私の理解ですけれども、それで、残りの時間で何ができるのだろうと思っていて、これまででてきたものとしては、要するに、出自を知る権利があるけれども、実親のプライバシーという話もあると。こういうことを全部まとめて議論していると、結局空中分解して何も出てこないのではないかと思っていて、ちょっとでももう少し具体的に議論の状況を整理する必要があるのではないかということをまず提案します。

 例えばまずは1つ目の(案)を使わせてもらいますけれども、出自を知る権利を保障すべき範囲をどこまでとするかという議論をする前提として、情報の分節化、まず、こういう単位で情報を分けられますねというところを整理しておかないと、議論がぐちゃぐちゃになると思っているので、それまず言いますけれども、例えば私の提案としては、現在の戸籍に載っている戸籍記載情報というので一つの単位。それだけでは足りないでしょうという議論がありますけれども、それはまた別にとりあえず分ける。これが情報の内容に関する分節化ですけれども、もう一つ、これがまたごちゃまぜになっているというのは、つまり、情報に対するかかわり方。これは情報法の一般的な整理、これは個人情報保護も情報公開もそうなっていますけれども、まず、情報の収集と、収集した情報の管理と、管理されている情報を開示請求する。この3つですね。これを情報法の基本的な枠組みにしたがって区別して議論すべきだというのが、まず1つ目の提案です。

 そのことを前提とした上で、次の段階に行きますけれども、全部まとめてやっていると、空中分解するということなので、まずは最低限現在戸籍に記載されている戸籍記載情報に限定して考えてみる。それより広げてしまうと匿名出産の話とかが出てきて、これは前に床谷構成員に御指摘いただきましたけれども、これはとてもではないけれども、この検討会で収拾がつきませんから、戸籍記載情報に限定すると、匿名出産の制度がこれからもしあるとしても、その制度をつくるとしたら、戸籍記載しないという制度になるでしょうから、その話がまず消えます。なので、まず匿名出産の話を除外して考えると、戸籍記載情報に限定すると、出自を知る権利と、この実親のプライバシーとの利益衡量は、意見が分かれるかもしれませんけれども、私は基本的には戸籍に記載している情報だったら、子どもの出自を知る権利のほうが基本的に優先するだろうと、そのことについてコンセンサスが得られるのではないかと私は甘く考えているのですけれども、これが2段階目です。

 もし、この話が、基本的に子どもの出自を知る権利が優先しますねということで、コンセンサスを得られるのだとしたら、それを具体的にどのように、例えば請求とか制度設計をするのですかという話になると思うのですけれども、その話をしようすると、先ほどお願いした情報が必要なのですけれどもそれがないということなので、この検討会でその議論ができないということなのですけれども、だったら、3つ目の提案は、今、頑張って情報を集めていただいて大変だという状況自体を主題化すればいいわけですね。つまり、2カ月たっても出自を知る権利の現行法の状況がわからないわけですね。これ自体が問題なわけですね。

 つまり、この出自を知る権利として、子ども本人の請求とか、そういう話がもちろん大事ですけれども、その前に、先ほどの整理で言うと、情報の請求の前に情報の管理がある。情報の管理に限定して、出自を知る権利に関する情報がないというのも、広い意味での情報の管理の話です。これが今の御説明のような状況なので、まずは子ども本人の主観的な権利としての出自を知る権利を言う前に、客観的関係、特に行政機関、申しわけないですけれども、関係行政機関に対する客観的な行為規範としての出自を知る権利というのが強調されないといけないだろうということが3番目の提案です。

 これをできれば、子どもの請求権のためという前の前提として、関係機関の義務として、どこかに明記できればいいと思うのですけれども、少なくともこの検討会の取りまとめとして、先ほどのような出自を知る権利に関する状況なので、関係機関は出自を知る権利に関する法制度の現状を正確に把握すべきであるということぐらいは提言してもいいのではないでしょうか。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 今、横田先生のお話にあったように、細かいところをどこまで何をというのはこの検討会の時間の問題で恐らく難しいと思いますので、情報の整理であったり、考え方であったりというところを、横田先生の提案として受けとめさせていただきたいと思います。

 山本先生、先にお願いします。

○山本構成員 ずっと出ていないので私が知らないだけなのかもしれないのでけれども、子どもを主体に考えると、自分が特別養子であることを知らされる子どもの権利はどう保障するということになるのですかね。出自を知る前に、自分がそういう子どもであるということを知らされる権利が子どもにはあると思うのです。特別養子の里親が子どもに何らかの告知をしなければならないと思うのです。それについては子どもの側に権利があると思うのです。それについてどう考えるのかというのがまずないと、出自を請求することも子どもにはできないわけですね。

 これは遺伝病とかがあった場合に、その関連で実親の遡及が必要だということが起こっている事案がアメリカにはあるので、子どもには知らされる権利があるとなってきているのですけれども、それはここではどうなるのかなと。

○吉田(恒)座長 貴重な御提案で、先ほどの横田先生の御提案とあわせて取りまとめのときに盛り込めればと思います。

 では、床谷先生、お願いします。

床谷構成員 横田先生の御発言にちょっと私としては異論があるのですけれども、まず、戸籍情報に限ってはどうかということですが、戸籍情報については前回、岩崎さんがおっしゃったように、実親に対して本人には戸籍情報たどれる部分があって、そこから先に転籍などをして、そこを追跡できない事実があるので、そこを何とかしてほしいというところは常に議論としてはあるのですけれども、戸籍をたどるだけでは実親の身元が誰かということがわかるだけであって、また、どこに住んでいるか、会いに行けるかということだけであるので、会いに行けるような仕組みを誰がサポートするかという議論も当然含まれているとは思いますけれども、出自を知る権利で通常私たちが考えていたのは、ここに書かれているように、なぜ自分が特別養子になったのか、それを知ること自体が、先ほど指摘がありましたけれども、それを知った上で、なぜ自分が特別養子という立場になったのか。親はどういう気持ちで同意したのかということとか、そういうことを含めて知りたいということをどう保障するかという議論をしているつもりでした。ですので、ちょっとそこのところは違うという気がします。

 現状では、これまで出ていたように、審判書の中に余り詳しいことは書いていないということで、具体的に調査官が調査した調書がある程度詳しい事情を記録していると思うのですけれども、そうした記録自体もきちんと永年保存されているわけではないわけですから、子どもが成年になってから、そのときの審判書きの中身からたどりたいということがあっても、それは今のところ保障されていないので、そこを法的に記録の保存期間を整備するとか、誰が窓口になって管理するかとか、そういうことを議論していくことを、ここの考え方の整理の中には出されているのではないかと思いますので、その点が横田構成員の先ほどの戸籍情報からということについては、そこでとめてしまうとここで議論することが余り多くないのではないかという気がいたしました。

○吉田(恒)座長 範囲の問題をどこまでというよりも、そうした意見の違いがあるということがまず一つかと思います。

 もう一つ、今のお話にありました、文書の管理に関しては、その次の特定の一機関に置いて各機関が保有する文書等の一元管理、情報公開を担うという部分と、その下の、そうした特定の機関というものを想定しないで、各機関が一定ルールのもとに保有する文書の保管、情報公開規定を整備するという案が出されておりますけれども、そういうことともあわせて検討していくというのが、3の部分についての論点の意味かと思います。

○横田構成員 別に床谷構成員の意見に賛成なのですけれども、私は匿名出産の話でどこまでが障害になるかがわからないので、そういう提案をしただけであって、私は最低限はここということを言ったわけであって、むしろまさに出自を知る権利について大事なのは床谷構成員が言われたところだろうと思っていますので、そこを中心に議論されることについて全く異論はありません。

 以上です。

○吉田(恒)座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかにこの出自を知る権利に関しまして、今、お話ししましたような2番目の特定の一機関においてという方法、一定のルールのもとに各機関がという方法がありますけれども、案が出されておりますけれども、この点についていかがでしょうか。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 ここで議論をする以前から私たちは既にルーツを探りたい子どもたちとつき合ってきております。

 特別養子に関しましては、真実告知をできるだけ間違いなくある時期にまずする。真実というのは事実と私は使い分けていまして、真実というのは親がその子どもを引き取って以来どれほど愛して育ててきたかということを、その子どもに知らせる行為で、その関係さえしっかりしていれれば、子どもの成長に応じて必要な事実を子どもに話していくことができると思っています。

 1つは、私たちがあっせんする段階で、養親となる夫婦には、引き取る子どもの親の事情や最低限度必要なことについて、我々が知り得ている情報を育てる人に話すことにしています。それを覚えているかどうかは別として、一応養親はある程度必要なことを子どもに話すことができるということになっています。その後、子どもがみずから実親に会いたいということが起きてきます。その実親に会いたいときに、ずっと私が言っておりますのは、今、戸籍が子どもの思いどおりにとれないということになっておりますので、そこは何とか早く解決していただきたいと思います。特別養子が成立したので、あなたと親との間はもう他人になっていて、個人情報保護条例によれば、他人の情報をあなたに渡すわけにはいかないと言われて、実親の戸籍謄本がとれない子どもたちが現実におりますので、それをなくすためには、子どもは知る権利があるという言葉を児童福祉法でもどこでもいいのですけれども、どこかにちゃんと書いていただきたいと私は思います。

 告知をしない親はおります。どこの国も告知をすべきだと言っておりますが、それを法律で決めている国は少なくとも私の知る範囲でアメリカもイギリスもどこもしておりません。告知するべきだという考え方を指導はしていても、するかしないかは親の権限になっています。どうしても話したくない親はいますが、子どもはかなり自分の生い立ちを推測する力があって、どうも親はちゃんと話してはくれないけれども、私はもらいっ子ではないかと思った子どもが最初に行くのが審判書の閲覧です。この保存期間が今、30年です。たまたま私のところに相談に来た子どもは32歳でした。2歳で委託されていましたので、何カ月かおくれて行っていたら、私は審判書の閲覧さえさせていただけなかったと、彼女は訴えておりました。これは少なくとも今、人間の生きる年齢が何歳とするのでしょうか。たしか戸籍そのものの保存年月が70年から急に130年に引き延ばされたと思いますので、130年ぐらいとっておかないといけないかもしれないですね。

 自分のことを知りたいと思うのは、何も年齢に関係がないのです。逆に言えば、歳をとってからより知りたいということがありますので、基本的な情報は少なくとも審判書に書かれています。それをまずみてから、それに書いてある、例えば施設名が書いてあったので施設に行きました。施設に行ったら古い保育士さんたちが来てくれて、あなたは新聞に載ったのよ、家庭養護促進協会に行くともう少し詳しいことがわかるよと説明されて、うちのほうに参りました。私たちも児童相談所からいただいた記録を一応見ながら、あなたの知りたいことが何かということを聞きながら、ある程度のことは説明をしてやりました。ただ、親に会いたいということに関していえば、戸籍がちゃんととれて、付票がとれて実親の現在の住所が判れば、親に会うのは本人の希望ですから、「あなたが自分のやることに全ての責任が持てるのならおやりなさい」と私は説明しています。「それは、例えば18歳でもオーケーな養子がいるかもしれないけれども、50歳になってもやれない人もいるんだよ、どういう情報があなたに伝えられるか、それをあなたが聞いてうろたえないだけの自信があるのならおやりなさい」と言っています。事実を語れるのは親だけなのかもしれません。ですから、その実親に会って、その事実を確かめたいという子どもの気持ちを私は応援してやりたいと思っています。

 もう一つ、できることなら、調査官の記録が5年なのです。5年は余りにも短すぎるのではないかと思います。130年とは言いませんけれども、少なくともゼロ歳で養子に行ったとして、一応私は二十、少なくとも大人になってからなんだよと言っておりますので、二十になってから来るとして、その後といえば、やはり100年ぐらい保存しておいていただかないとだめだということになります。児童相談所は永年保存という言い方で今やられています。永年というのは50年かもしれないし、70年かもしれないし、中には30年を永年と思っているかもしれないので、これも数字をしっかり指定したほうがいいのであれば、恐らく100年ぐらいは保存してやらないといけないのかもしれません。

 我々の記録ですけれども、我々の記録は民間団体ですからどこまで活動が継続できるかわからない。活動を停止したとき、この記録をどこに託せるかということが整備されなければいけないので、そのために日本に1カ所養子縁組にまつわる記録を保存できる機関があってもいいかなと思っています。私たちも100年存続したいと思っておりますけれども、そんなことは私の生きている間に何とか言えることではありませんので、代々の職員たちがつないでいってくれればいいと思っていますが、それができないとき、やはりしかるべきところに記録を預けることができたらいいと思います。その記録はどこまでなのかというのを、ある程度話し合っておくほうがいいかと思いますが、あっせんを済ませて、養子縁組が終了するまでの記録がせいぜいだろうと思っています。それぐらいの記録を少なくとも日本のどこかで全ての養子縁組の情報が集められているということがもしできるのであれば、それはありがたいと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ただいまのお話は、この資料によりますと、特定の一機関が文書を保有し、それを一元管理する制度が望ましいのではないかというのが、最後のところですね。

 この点に関しまして、まだ議論すべき点があろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 上鹿渡先生、お願いします。

上鹿渡構成員 情報管理に関連してなのですが、今養子縁組あっせん法が施行となった際に、そこで事業を停止するような民間団体も出てくるかもしれないということも、現場の方々からお聞きします。そうなると、そこで、今まさにおっしゃったような情報が失われてしまい、一度失われてしまうとあとは取り戻せない状態になると思います。

 これは本当に差し迫った問題だと思います。この情報はとりあえず集めて保管しておかないと、後でたどることができないので、その開示の仕方や、どこまでどのようにということはまたあとで細かく時間をかけて決めるということがあるのかもしれませんが、情報を集めて保管しておくことについては、喫緊に決めていかなければならないことだと思います。

○吉田(恒)座長 法の施行にあわせてですね。喫緊の課題だということを御指摘いただきました。

 ほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、お願いします。

藤林構成員 多分今の岩崎構成員の御意見を私なりに解釈すると、児童相談所の管理というのはそんなにめちゃくちゃなことになるはずはないし、児童相談所そのものがなくなってしまうということはないかもしれない。都道府県児童相談所が中核児童相談所に移管する場合にも、当然それは適切に移管していくと思うのです。けれども、問題は民間あっせん機関が廃止した場合の記録をどうするのかということです。そういう意味では、「特定の機関」が全国の児童相談所も民間施設も全部を管理するというわけではなくて、民間あっせん機関が廃止したときに、その記録をどこか全国的な一つの機関がしっかり把握していくという仕組みが重要なのかな。だから、1番目と2番目の折衷的なものかなと思います。

 それと関連して、このように記録を一括して、特に民間あっせん機関の記録を扱うところが全国に1カ所ある。とすると、私は前回も言いましたように、家庭養護促進協会のようなきめ細かな事実、真実を伝えていくということは、十分な経験と専門性が必要なのです。全国的なナショナルセンターみたいなところがあって、そこが廃止したあっせん機関の記録も扱うし、児童相談所や民間あっせん機関対象に十分な研修を行う、そういった機関が、今後特別養子縁組の利用が促進されて年長の子どもさんも増えていくということも考えあわせると、必須ではないかと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 法務省のほうにお聞きしたいのですけれども、戸籍の副本を全国で2カ所で管理しておられますね。西と東でどちらかが倒れてもいいようにも副本を両方においてあると聞いているのですけれども、それから、遺言の一括管理ということも今検討中であるということだと思うのですが、そういったような組織を新しくつくるとした場合、あるいは既存の組織にそういう役割をつけ加えるとした場合、人材とか、あるいは予算とか、そういうものはどれぐらいかかるものなのでしょうか。参考までにこれを。多分一元管理といっても結局大阪が地震だというときを考えると、2カ所につくるというのはあり得るパターンだと思いますし、電子データであれば、ある程度メガデータはかなり管理しやすくなってきているはずなので、場所よりそういうものを運営する費用の問題かと思うのですが、これはあくまで参考までにお聞きしたいということです。

吉田(恒)座長 いかがでしょう。

 大谷参事官、お願いします。

大谷法務省民事局参事官 大変難しいご質問で、戸籍制度は法務省が所管しておりますけれども、戸籍の実際の事務を行うのは市町村でございます。法務省が持っているのは副本で、本当の戸籍情報は市町村が管理していますし、市町村において戸籍情報のシステムをそれぞれの予算のもとでつくっているところですので、今、直ちに幾らぐらいだと申し上げられないのですが、要は、この出自を知る権利に関しての情報をどのようなものとするのか、どの範囲にするのか、それがどれぐらいの膨大さになって、それを誰がどんな形で保管するのか。それによってさまざまに変わっていくのではないかと思います。

 もしかすると、特別養子のことだけを言うのか、普通養子のことも含むのかということもあるかと思いますけれども、どの程度の情報を対象とするのかによって、予算規模というのは相当変わってくるのではないかと思うところです。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 石井課長、お願いします。

石井最高裁判所事務総局家庭局第二課長 

特別養子縁組に関する記録を一元的に保管する機関を創設するという御議論でしたけれども、特別養子縁組に関する審判事件の手続は非公開でございますので、そうした機関を創設したからといって、裁判所の事件記録を当然にお渡しできるというものではないということについては、念のため申し上げておきたいと思います。

○吉田(恒)座長 今のお話を伺っているだけでも、さまざまな、児童相談所、裁判所、法務省関係、いろいろなところにこの情報が散在している。これを一括してという機関をつくるとなると、大変な人とお金がかかる。でも、情報をきちっと管理し、開示できるようにしておくことも必要だというと、下のほうの一定のルールのもととありますけれども、これが全国で足並みをそろえられるかどうかという問題はあろうか思います。

 ただいま出たところでは、やはり基本原則に関しては当然取りまとめの中で触れるということは可能だと思うし、メリット、デメリットも、さらにきょうの議論で深まったかと思いますので、また事務局のほうの取りまとめをお願いしたいと思います。

 時間も限られてきましたので、4番目の特別養子縁組成立前後の支援、養親候補者の確保に関する考え方として、特別養子縁組家庭に対する支援の実施というところで、メリットと課題と示されております。

 特に課題の法では、特別養子縁組家庭の支援ということになってくると、里親家庭、一般家庭との比較ということ、また、支援の機関と程度の問題、普通養子縁組との公平性という問題が出てくる。

 もう一つは、児童相談所と民間団体、民間あっせん団体が連携して支援するということで、この点に関してはメリットということが書かれており、ここでは課題というところは出ていないというので、これは皆さん、こちらのほうで了解いただけるとかと思います。ただ、このメリットに関してはさらにこれ以外のメリットもありますという御意見もいただければと思いますので、4番目の論点について、御意見等よろしくお願いいたします。

 特にヒアリングの中でも、特別養子縁組が社会的養護の一端を担うのだということであれば、これは公的支援というのも必要ではないかというお話がありましたし、特別養子縁組成立前の適切な情報なりということだし、その後、さまざま縁組成立後の養育で困った事態が生じる。これは岩崎先生から繰り返し出た課題ですけれども、それをどうやって支援したらいいのか。

 ただ、これまでの特に事務局でやっていただいた調査の中では、なかなか児童相談所、市町村が情報の把握ができなくなる家庭もあるというので、支援が全て同じようにできるということにはならないだろう。そのあたりの工夫も必要かと思います。

 そういう点もあわせていかがでしょうか。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 支援というのはなかなか難しい問題なのです。必要とする人と必要としない人がいます。必要としない人にあえて支援を強行にこちら側がすることはなかなか難しいと思います。

 例えば明らかに特別養子であるからこそ、告知をせずにごく普通に産んだ子どもと同じように生きていきたいと思っている人は何人かいらっしゃるだろうと思います。その人たちに、あなたは特別養子ですから必ずこういう支援を受けなければならないというようなことは、現実的な問題としてなかなかできないだろうと思います。ということは、特別養子縁組、これは何回も私もここで確認しているのですが、ここでの議論は社会的養護の子どもの特別養親の推進ということであるとするならば、関連しているのは児童相談所と、我々のように児童相談所とタイアップしてやっている民間の団体と、裁判所ということになります。その中で、支援をすることがどれほど必要なのかというのは、まず、特別養子縁組で親子になるということはこういうことなのですよ、こういう問題が起きる可能性があります。

 例えばルーツを探るとき、子どもが知りたいということと、先ほども出ましたように、例えば知る中身が、「自分の父親が産んだ人の父親である」みたいな事実を知らなければいけないということも含めて支援は必要になるだろうと思いますけれども、そういうことを含めた支援の必要性を、最初にしっかりと言っておいて、その人が養親になったとき、何に助けを求めてくるかは養親たちの問題だと思っています。

 もう一つは、成長した養子が今、場合によっては養親に黙って、私たちのほうに支援を求めてくるケースがあって、そのためにあっせんをした団体、児童相談所を含め、我々はその都度それにしっかりと対応する技術と覚悟を備えて持っていなければいけないのだということ以外は、私はなかなか言えないですね。

 もちろん他府県の委託でも、たまたま私が新聞に出たりすることで、今も何件かの相談を受けています。あっせんした段階での状況がわかりませんけれども、思春期のど真ん中、親子関係がとても大変なことになっていて、そういう状況の中で、私の知る限りの支援を一生懸命やっています。

 そういうことで、親たちが実際問題に困って動く、子ども自体が困って動いてこなければ、支援というものはなかなか難しいのです。

 ただ、里親会だとか、養親の会だとかを、私たちも特に特別養子を含めて養親の会を意図的につくらせた時代があって、その中でお互いに助け合って育てていくこともとても大事だと思いますし、今、一生懸命私は養子の会を何とか定着させたいと思って、声をかけたり、飲み会をしたり、何かやっています。でもなかなかこれも形としてちゃんとでき上がるまでに時間がかかるようですので、何とも言えませんが、そういうことはこれからしっかりとやっていかないといけないと思いますけれども、なかなか支援を、法律や運営や文書で、こうあるべきと記すことはかなり難しい問題だということだけ申し上げておきたいと思います。

吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 まだあろうかと思いますけれども、実はもう一つ、最初に戻って年齢要件に関する考え方ですけれどもここでまだ若干議論すべき点があろうかと思います。

 以前にいただいた意見をもとに、メリット、課題、現状の後に原則年齢を維持し、例外年齢を引き上げる、また、原則年齢・例外年齢ともに引き上げる。先ほど床谷先生から立法提案をいただきましたのもその一つの御意見かと思いますけれども、これに関連して、残りの時間、年齢要件について意見交換をしたいと思います。いかがでしょうか。

 久保先生、お願いします。

久保構成員 冒頭で、私のほうで説明しましたけれども、長期間施設のほうで措置されているお子さんが2万人近くいらっしゃる中で、永続的な家庭を保障するという意味からすれば、原則年齢を維持して例外年齢を引き上げるというのでは足りないかと思います。基本的には、原則年齢・例外年齢を引き上げていくという方向のほうがいいかと思います。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 前回も出ましたように、年齢要件を引き上げるという点では、皆さん御異論はないと理解しております。ただ、それをどこまでどのように引き上げるかという点ではさまざまあろうかと思いますので、ここで一つにまとめるということはいたしませんので、それぞれの考え方のメリット、デメリットをお話しいただければと思います。

 森口先生、お願いします。

森口構成員 私は原則年齢も例外年齢もともに引き上げるという案に賛成ですけれども、その課題のところで、年齢要件を引き上げることによって、児童、養親候補者及び実親の地位が早期に確定しなくなり、結果として児童の福祉を害する恐れがあるという点があります。それについて少し考えたのですけれども、現在の制度では、里親手当はあるけれども、里子と養子縁組をした段階でその手当がなくなるという。

岩崎構成員 里親手当はないのです。措置費だけ。

○森口構成員 すみません、それは。

岩崎構成員 里親手当はもともと養子縁組里親にはないのです。養子縁組が成立するまでの措置費が、児童相談所から措置されている子どもについては出ています。

○森口構成員 はい、養子縁組里親についてはおっしゃっている通りだと理解しています。それから、もっと年長の児童を長期にわたって里親として養育されている人については、措置費以外に里親手当も出ているという理解で正しいでしょうか。はい。そうすると、養子縁組をすることによって措置費や里親手当がなくなるために、里親にはできるだけ養子縁組を先に延ばすという誘因が働くことになります。実際にアメリカでは里親手当があって養子手当がない時代が長くて、そのときに里親が長期化して養子縁組に移行しないという問題が出てきたために、養子手当が導入されたという経緯があります。また、養子手当の導入によってどういう効果があったかという実証研究の論文も書かれていて、あくまでもアメリカの場合ですけれども、典型的には特に祖母のような親族による養子縁組が進んだという結果が出ています。そういう意味でも、里親に対しては公邸な手当を支給するが、同じ社会的養護である養子縁組に対しては手当を出さないということが、特別養子縁組の年齢の引き上げとかかわって、誤った違う誘因を与えてしまう可能性があるいうことについては、考えておく必要があると思います。

吉田(恒)座長 森口先生、どうもありがとうございました。

 先ほどの支援等も絡んでくるところですね。

 ほかに。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 例えば特別養子法の対応年齢を18歳に上げるというようなことの場合ですけれども、先ほどから再々私が言っておりますが、私は社会的養護の子どもについてであればということなのですね。要保護要件が特別養子法にはありますので、本来は社会的養護の子どもだけに対応できる法律のはずですけれども、18歳になるとすると、連れ子養子、場合によっては親族間養子、最近だと代理母のケースの親子関係を特別養子でというところまで及んでいくことになるのです。

 アメリカやイギリスのように未成年養子が断絶型の養子しかない国の場合と、日本のように普通養子制度があって、普通養子をどうするかという議論はほとんど今、されていないのですけれども、普通養子と並行して、やはり残すのであれば、特別養子が適用される範囲をもう少し明確にする必要性が出てくるかもしれない。年齢を上げることによって、その辺のことが出てくるかもしれない。

 なかなか難しい問題で、親族でも、本当に当てにできない娘がいるために、娘の子どもを育てているおじいちゃん、おばあちゃんが娘からの厄介な介入をさせないために特別養子にしたいとか、おばさんが特別養子にしたいというのは、子どもの実母である娘などが親族であるからこそいろいろとちょっかいが入るのだけれども、それが子どもにとってよくないので、特別養子だったら一応親子の縁が切れるからと、そういう形を何とかできないでしょうかみたいな相談を受けたこともあって、特別養子は気をつけないと、ある意味ではいろいろなところで使われやすいという、それがいい場合もあれば、かなり問題になる場合もあると思いますので、ここでの議論を本当に社会的養護に限るとすると、これからできるあっせん団体で扱われる子どももすべて社会的養護なのか。あれはそれこそ親が自分の都合で養子に出していると考えたほうがいいのかというあたりも、なかなか難しい問題になるのです。

 年齢要件の見直しは、私などは本当にのどから手が出るほど今欲しい要件なのですけれども、そこをしっかりと考えておかないと、いろいろな波及効果がどういう形で出てくるかが読めないところもあるので、そこをとても心配します。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 年齢の問題だけに限らない考慮が必要ですね。

 ほかにございましょうか。

 森口先生、お願いします。

○森口構成員 今の点について、アメリカの養子手当について補足したいと思います。

アメリカでは民間団体のあっせんによって健康な新生児を養子にする場合は手当は出ません。アメリカでは「スペシャルニーズ・チルドレン」と認定された児童に対してだけ養子手当が出るのですけれども、スペシャルニーズというのは、州によって定義もいろいろですけれども、原則としては年長であったり、障害があったり、人種的なマイノリティーであったり、兄弟姉妹が離ればなれにならないように同一の家庭で養子縁組をする場合など、普通の状態では縁組候補の家庭が見つかりにくい子どもたちに対する手当ということで、今、岩崎さんがおっしゃったような、社会的養護として養子縁組という制限が入っています。

吉田(恒)座長 そういう立法例があるようですね。

 ほかに。

 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 年齢を上げることによって、結果的に、これは林先生の研究結果にあったように特別養子縁組の成立が延びてしまうのではないかという懸念はこの検討会の当初からあったと思うのです。けれども、主に児童相談所と思うのですけれども、児童相談所が長期に代替養育に措置し続けるということではなくて、久保構成員が言いましたように、パーマネントソリューションという永続的な解決、実親家庭に帰るのか、または養子縁組に行くのか、普通養子縁組なのか、どれも難しい場合には、このまま代替養育でいくのか、児童相談所側がしっかりパーマネントソリューションに向かって行くようなガイドラインというか、児童相談所運営指針をもっと明確に書いていくことが重要というのが一点あります。

 スペシャルニーズという観点でいきますと、ちょうど今、日本財団さんからアンケート調査結果を見ていて、11ページのところに心身の障害等に該当する者ということで、ADHDの子どもさんが6%とか、広汎性発達障害の子どもが4.8%とか、実際に特別養子縁組になった子どもさんの中でさまざま発達障害の子どもさんがたくさん含まれていることを考えますと、その段階での支援をどう我々は公的に保障していくのか。使う、使わないかというのは確かに養親さんの選択ではあるけれども、最初の段階での、情報提供と、パブリックなサービスを養親さんまたは子どもさんに提示するということを、しっかり明確にしていくことが重要ではないかと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 それでは、林先生、お願いします。

林構成員 今の藤林構成員とも重なるところですけれども、年齢引き上げることによって、特養の申し立てがおくれる、遅滞化するというのは児相間格差が大きいということですね。それはどういうことかというと、指導のあり方というのは非常に大きいということだと思います。

 やはりお金の問題だけではないと思います。基本的に私は何度も申してあげているように、スペシャルニーズということではなくて、民間あっせん機関あるいは児相を通した特養に関しては、要保護性があるということですから、障害の有無にかかわらずあらゆる子どもを要保護児童と捉えて、そういう機関を通した子どもの養子縁組に関しては、きちっと何らかの経済的支援を縁組後も提供していくということを考えていいのではないか。

 先ほど岩崎構成員からは、縁組後の支援を養親の主体性に委ねる、本人が望んでいないのにこちらが支援するわけにもいかないと発言がございました。その辺も含めて、研修段階である程度きちっと支援はなぜ必要なのかということを伝えるとともに、縁組後の支援を提供すること、日本財団の報告書などを見ていると、一貫した職員というところに非常にこだわりがある方もおられるのだなということを感じていまして、そういう意味でいうと、民間機関の強みはそこにあるだろうし、児童相談所というのは、頻繁に転勤がある中で、非常に難しいところで、それを先ほどのこととも絡めて、ある程度連携体制というところで考えていかなければならないことかなと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 先ほどの支援のほうに話が戻りましたけれども、年齢と支援のあり方は密接に絡むかと思います。

 前にお話ししましたように、この検討会で議論しなければいけないのは、昨年の児童福祉法改正で子どもの権利という言葉が入って、支援というのも当然、子どもを中心にして考えると、親の意向でそれが変わってよろしいのかどうかという部分があるのではないかというのが、今の林先生、藤林先生の御意見かと思いますので、そうした点も支援のところでは大事になってくるかと思います。

 年齢要件に関しては、本当にさまざまな例を御紹介いただいたということで、よろしいでしょうか。

 それでは、本日予定の時間になりましたので、議論はここまでにしたいと思います。

 事務局のほうから次回の案内等、よろしくお願いいたします。

○林補佐 次回日程につきましては、3月13日月曜日、17時から19時を予定してございます。

 特別養子縁組に関して取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと考えております。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、次回、事務局から取りまとめのこれまでの検討を踏まえた取りまとめの資料が出されるというので、それを中心に御議論いただくことになろうかと思います。

 本日は若干時間がオーバーしましたけれども、皆さん方の御協力で意見交換が無事に終わりました。どうもありがとうございました。


(了)

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