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2017年1月31日 第18回厚生科学審議会生活環境水道部会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成29年1月31日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

秋葉委員 猪股委員 遠藤委員 大垣部会長
大澤委員 岡部委員 滝沢委員 中野委員
永井委員 西尾委員 西村委員 藤井委員
藤野委員 細井委員 堀口委員 吉田委員

○議題

(1)水質基準等の改正方針について
(2)水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書について(報告)
(3)その他

○議事

○久保水道課長補佐 それでは、定刻までまだお時間が少々ございますが、皆様お集まりですので、ただいまより、第 18 回厚生科学審議会生活環境水道部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、年度末の御多忙のおり、お集まりいただき誠にありがとうございます。私は厚生労働省医薬・生活衛生局の生活衛生・食品安全部水道課で課長補佐をしております久保と申します。よろしくお願いいたします。

 議事に先立ちまして、水道課長の宮崎より一言、御挨拶申し上げます。

 

○宮崎水道課長 水道課長の宮崎でございます。委員の皆様方におかれましては、誠に御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日、後から御説明させていただきますが、専門委員会報告が取りまとまりまして、今、法改正に向けた作業を更に進めているところです。

 また、水道は後からも御紹介いたしますけれども、国民の生活には欠くことのできない機関的なインフラであると認識しておりますけれども、普及拡大の時代がとうに過ぎ、人口減少が始まり給水収入が減っていく中、かつて整備した水道施設が老朽化していっているのを、何とか立て直していく必要があります。施設の老朽化、耐震性の不足、職員の減少、高齢化等々たくさんの課題があると認識しておりまして、それを後からも多少、資料の中で御紹介させていただければと思います。

 こうした課題に対応すべく、専門委員会の設置をお願いして、この部会で御了承いただきまして、昨年 3 月から都合 9 回にわたって、水道関係の専門的な委員、この部会からも滝沢先生ほか、メンバーとして参画いただきまして、その他、更に追加的にメンバーを増やして、水道について議論を頂きました。その結果、今後の水道行政において講ずべき基本的な方向性等をまとめていただきました。私ども事務局といたしましては、それを基に、今国会に法案を提出すべく引き続き対応しているということで、なかなか全ての課題に 1 度に対応するのは厳しいのですが、少しでもこの時代状況に合った形にできればと思っております。

 本来この部会におきましては、水道水質の基準につきまして毎年御審議を頂いております。今年の水質基準逐次改正検討会におきまして検討を進めてまいりましたので、農薬の目標値等について御審議を頂きたいと考えております。皆様方におかれましては専門の見地から忌憚のない御意見を頂戴できればと考えておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

○久保水道課長補佐 ありがとうございました。それでは、初めに委員の改選がありましたので、新しく当部会に御就任いただいた委員について御紹介いたします。公益社団法人日本水道協会理事長の吉田永様です。

 

○吉田委員 吉田でございます。よろしくお願いいたします。

 

○久保水道課長補佐 続きまして、本日の出欠状況について御報告いたします。大住委員、清古委員、那須委員、古米委員が御欠席という御連絡を頂いております。委員 20 名中、現在 16 名の方々の御出席を得ており、過半数に達しておりますので、当部会は成立していることを御報告いたします。

 次に配布資料の確認をいたします。席上にクリップ止めで資料の束があろうかと思いますが、クリップを外していただきますと、一番上の紙が議事次第、座席表になります。議事次第の次は、資料 1-1 、農薬類の目標値等見直しに関するパブリックコメント結果と対応 ( ) です。資料 1-2 、今後の水質基準等の見直しについて ( ) です。資料 2-1 A4 カラーで横向きのものですが、水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書 ( 概要 ) です。続きまして、資料 2-2 、国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策についてです。資料 3 、水道法の一部を改正する法律案の概要です。資料 4 、平成 29 年度水道関係予算案についてです。以下、参考資料 1 3 となっておりまして、 1. 委員名簿、 2. 生活環境水道部会について ( 開催経緯 ) 3. 関係法令という形になっております。資料に過不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、お願いいたします。

 続きまして、事務局を紹介いたします。大臣官房審議官の橋本は所用により少し遅れてまいります。先ほど御挨拶いたしました水道課長の宮崎でございます。水道計画指導室長の松田でございます。水道水質管理官の東でございます。私が水道課長補佐の久保でございまして、水道課長補佐の小柳でございます。最後に生活衛生課長補佐の東でございます。以上です。メディアの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いいたしますが、担当者に別件の公務が重なってしまったということで、申し訳ございませんが、議題 3 「その他」から始めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○大垣部会長 それでは、委員の皆様、審議のほどよろしくお願いします。今のような状況ですので、議題 3 「その他」についてから始めたいと思います。事務局からお願いいたします。

 

○小柳水道課長補佐 それでは、事務局から資料 4 、平成 29 年度水道関係予算案につきまして御説明させていただきます。お手元の資料 4 を御覧いただければと思います。水道施設整備費関係予算案ということで、表が提示されているかと思います。平成 29 年度予算案ですが、水道施設整備費、当初予算額が実数で、補正予算込みの数字が括弧書きで書いております。水道施設整備費の当初予算を見ますと、 488 億に対して 466 億ということで、 22 億の減額になっておりますが、これは東日本大震災の平成 28 年の 150 億の予算が 108 億になっていることからの減額が出ているものでございます。こちらにつきましては、東日本大震災の復興の状況を勘案しまして、実状に合わせて予算を確保したということで、特に問題があるのではございません。

 続きまして、水道施設整備費補助と耐震化等交付金、この 2 つがいわゆる水道施設整備費ということになります。耐震化等交付金につきましては、 130 億が 169 億、全体で 39 億の増。水道施設整備費補助につきましては、 203 億から 185 億ということで、 18 億の減になっております。これは、耐震化の推進という観点から財政当局と調整をいたしまして、補助金よりも交付金を少し厚めにすることでの調整の結果になっております。水道施設整備費の部分だけ別枠に書いてありますが、 335 億から 355 億ということで、全体で 20 億円の増額になっております。

 このほか、災害復旧費ということで、当初予算で 3 5,000 万、これは例年 3 5,000 万計上いたしまして、災害の状況によって補正予算を確保し執行しているものですが、平成 29 年度予算案の括弧書きの所が 105 億ということになっております。これは、本来では補正予算は当該年度で加算するのが常ですけれども、水道施設整備費につきましては、施設整備費の本体が次年度の事業を補正予算により執行する状況でございますので、災害についてもそれに倣って、補正予算を平成 29 年度予算案に乗せさせていただいております。こちらにつきましては、 2 次補正で熊本大震災による復興の関係の経費が 76 億円、 3 次補正で東北・北海道の台風被害や鳥取の地震などによる災害復旧費で 25 億円を計上させていただいております。

 めくっていただきまして、先ほど申し上げた水道施設整備費 335 億から 355 億、これは補正予算込みのものをグラフで紹介したものです。既に御覧になっていただいている方は多いかと思いますけれども、平成 29 年度については、補正予算 400 億と 355 億を足して 755 億という状況になっております。ただ、このうち 20 億円につきましては、コンセッション事業分ということで、コンセッションを推進するために、コンセッションをこれから行っていこうという事業体に対して、施設整備の支援をする経費が特出しで出されております。これは補正予算の事業になりますので、今年度若しくは来年度、事業で手を挙げてくる所があれば、執行していく状況になると思います。このグラフで御覧いただきたいのは、 755 億ということで、過去 3 年に比べれば、例えば平成 27 年の所を御覧になっていただければ、補正予算込みではありますが 200 億の増額になっております。ただ、平成 21 年度当初に比べれば、まだまだ足りないということで、平成 30 年度以降も施設整備費の獲得に向けて、水道課として頑張っていきたいと考えております。

 その下の概要につきましては、先ほど申し上げた災害については参考の部分で、 2 次補正、 3 次補正を書いております。このほかに、交付金の事業で台帳整備、事業体のほうが広域化を考えている場合に対し台帳整備をすることについての支援を予算化しております。これは、後ほど説明があると思いますが、水道法改正に当たって台帳の義務付けを、今、検討しておりますが、それ以前に予算として、ある程度台帳について支援をしていこうということで、財政当局と話をいたしまして、平成 29 年度の予算から計上させていただいております。予算の関係につきましては以上です。

 

○大垣部会長 ただいまの説明につきまして、御質問等ありましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。

 それでは、議題 1 に戻ります。議題 1 は「水質基準等の改正方針について」です。事務局から説明をお願いいたします。

 

○東水道水質管理官 水道水質管理官の東です。私のほうから、資料 1-1 と資料 1-2 について御説明させていただきます。まず、資料 1-1 を御覧ください。前回、御議論いただきました農薬類の目標値等の見直しに関するパブリックコメント結果と対応 ( ) について、御説明させていただきます。水質基準等につきましては、最新の科学的知見に従いまして、逐次改正方式により見直しをすることとされており、水質基準逐次改正検討会を設置いたしまして、所要な検討を進めているところです。

 前回の生活環境水道部会において了承された農薬類の目標値見直しの方向性を踏まえ、次のとおり通知を改正したいと考えております。昨年の部会で了承いただいたのが、下の表 1 のとおりです。まず一番上のピロキロン、これは現在、対象農薬リストに掲載の農薬類ですけれども、こちらについては、現行 0.04mg/L という目標値を 0.05 に緩和するということ、それから、ベンゾフェナップにつきましても、現行は 0.004 0.005 に緩和するということ、それから、次のダゾメット、メタム ( カーバム ) 、メチルイソチオシアネートにつきましては、土壌中で全てメチルイソチオアネートに分解されまして、植物体内でこの物質で残留するということから、 1 つの物質として評価するということとして、 0.01 としたいと考えています。

 一番下ですけれども、要検討農薬類です。対象農薬リストに入っていないのですけれども、このテフリルトリオンにつきましては、出荷量、毒性、作付面積の観点から、対象農薬リストに格上げしたいということで、値は変わりませんけれども、 0.002 ということで、今回見直ししたいと考えています。

 昨年の 9 月から 10 月にかけ意見募集を行いまして、 3 件の意見が提出されました。今後の予定につきましては、先ほどの表 1 の通知の改正を行い、平成 29 4 1 日から適用したいと考えております。意見募集の結果は、 3 5 ページに記載しておりますけれども、内容については省略させていただきます。

 続きまして、資料 1-2 、今後の水質基準等の見直しについて ( ) の御説明をいたします。水質基準につきましては、最新の科学的知見に従いまして、逐次改正方式により見直しを行うこととされており、毎年、本部会において御議論いただいています。

1 ページの下のピラミッドの絵を御覧ください。今の水道の水質基準の体系図です。ピラミッドの一番上が水質基準項目ということで、水道法の第 4 条に定めておりまして、水道事業者等に遵守の義務、検査の義務があります。これは健康関連 31 項目、生活上支障関連 20 項目で、計 51 項目定められています。

 ピラミッドの中ほどですが、水質管理目標設定項目です。これらにつきましては、評価値が暫定であったり検出レベルが高くないということですが、水道水質管理上、注意喚起すべきということで合計 26 項目あります。先ほどの資料 1-1 もそうですが、いわゆる農薬類については、この 26 項目のうちの 1 つが農薬類ということになっています。既に御案内かと思いますけれども、農薬類につきましては、総農薬方式というものを取っていまして、全部で 120 農薬あるのですが、それぞれ農薬ごとに分母に評価値、分子に検出値をそれぞれ 120 個足し上げ、それが 1 を超えるか超えないかで、目標値を達成したかどうかを判断するというものです。ここには書いていないのですけれども、この 120 の農薬類を対象農薬リスト掲載農薬類と言っているのですが、このリストに載る候補物質として、後ほど 2 ページに出てきますけれども、要検討農薬類ですとか、その他農薬類というのがございます。これらにつきましては、現在は、検出の知見がないとか毒性データが不十分だったとか、そういった物質が、候補物質ということで控えています。

 それから、ピラミッドの一番下の要検討項目、これらについては、現在毒性評価が定まらないですとか、浄水中の存在量が不明確であるということがありますが、要注意すべき物質ということで、現在 47 項目が定められています。

 下の 3 行ですが、今回、水質基準逐次改正検討会を昨年 12 20 日に開催しましたが、ここで内閣府食品安全委員会の新たな健康影響評価との知見に基づきまして、今後の水質基準等の改正方針について検討され、見直しの方向性が整理されました。

 その内容が次ページです。まず 2-1 です。基準値、評価値の見直しにつきまして、昨年から新たに内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果が示されておりまして、未検討のものを以下の表に示しております。この表の網掛けの部分の物質につきましては、現行評価値と異なる評価値が得られたということから、今回見直ししたいと考えます。具体的にはこの表の 1 行目のイソキサチオンにつきましては、現行の評価値が 0.008 、これを 0.005 と若干強化するということです。 2 行目のグリホサートにつきましては、現行 2 2.5 と若干緩和の方向です。 2 つ飛ばして、ブロマシルですが、現在、要検討農薬類の 120 に入っていない、いわゆる 120 農薬の候補物質でして現行の評価値がありませんが、今回新たな評価値が得られたということで、 0.05 で新規設定したいと考えています。

2 ページの下の 6 行ですが、イソキサチオン、グリホサートにつきましては、 120 の対象農薬リスト掲載農薬類であることから、従来どおりに、来年度パブリックコメント手続を経て新目標値を設定し、平成 30 4 1 日から適応したいと考えております。それから、ブロマシルは対象農薬リスト掲載以外ということで、本部会における審議をもちまして新目標値を設定し、平成 29 4 1 日から適用したいと考えています。

 続きまして 3 ページです。水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直しについて御説明いたします。まず (1) です。分類見直しにつきましては、平成 22 2 月の本部会において、表 1 の考え方に従って検討しております。分類要件 1 として、 3 か年継続で評価値の 10 %超過地点が 1 地点以上存在すること、分類要件 2 として、最近 3 か年継続で評価値の 50 %超過地点が 1 地点以上存在、又は、最近 5 か年の間に評価値超過地点が 1 地点以上存在する、この組合せで評価しておりますが、個々の項目の水質基準項目及び水質管理目標設定項目につきましては、この表 1 をベースとして、総合的に評価して判断することとしております。

(2) のところですが、今回、集計の結果、ベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロム、ニッケル及びその化合物が分類変更を検討すべき項目として該当いたしました。

 具体的には 5 ページと 6 ページの所です。 5 ページの横表、上の行が、現在水質基準項目だが、検出状況の結果、水質管理目標設定項目に、つまりワンランク下げてもいいのではないかという候補物質として、ベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロム化合物が出てきたと。

 逆に、現在水質管理目標の設定項目だけれども、検出状況の結果、基準項目に引き上げてもいいのではないかというのが、ニッケル及びその化合物です。

6 ページの表は、先ほど来申し上げています対象農薬の 120 農薬ですけれども、これらにつきましては、現在水質管理目標設定項目ですけれども、今回の調査では水質基準に引き上げる該当物質はないということです。

 戻りまして、 3 ページです。最初のベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロムの 3 項目につきましては、水質基準項目であり、いずれも分類要件 1 が「 NO 」に当てはまります。管理目標設定項目に引き下げるべきかどうか検討いたしました。ただ、いずれも検出されない状況が継続するかどうか不明なために、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいとされております。

 具体的にベンゼンを例にとって見てみたいと思いますが、 8 ページの所に、上から 4 行目、基 -20 、ベンゼンというのがございます。この表は基準値が 0.01 なのですが、 3 段表になっていまして、一番上がいわゆる基準値と比べて超えたか超えないかということで、平成 22 年から 5 か年ゼロが続いています。中ほどは対 50 %値ということなので、 0.01 50 %ですから 0.005 を超えたか超えないかということで、これにつきましては平成 25 年に 5,589 地点のうち 1 地点は超えたものがありますが、それ以外はゼロでした。対 10 %値につきましては、平成 26 年度、直近はゼロだったという、今回それで検出しない可能性が高いということで、引き下げてもいいのではないかという検討を行ったのですが、繰り返しになりますが、今後、もうちょっと状況を見る必要があるということで、据え置くことが適当だと逐次改正検討会では結論を出しております。

 続きまして、 4 ページ目、ニッケル及びその化合物の御説明をします。水質管理目標設定項目であるニッケル及び化合物につきまして、分類要件 2 が「 YES 」で、水質基準に引き上げるかどうか、昨年度から検討してきたところです。水質基準とする場合には、水道事業者に遵守や検査義務がかかることから、目標値の再検討あるいは検出状況を精査することが必要だということで、昨年以来、作業を行ってまいりました。このうち、目標値の再検討については、ニッケルの接種量と健康影響が生じる量との相関性を示す文献調査を行いましたが、特に新たな知見は得られなかったということになります。一方、食品経由によるニッケル摂取量は、単純に加算した場合に TDI を上回っており、これまでの定法に従い飲料水の評価値を設定することは困難ということ、あるいは、 TDI の設定根拠となった空腹時の飲水投与試験における胃の飲料水由来のニッケルの吸収率は、食物からの 10 40 倍という報告がありましたことから、飲料水の評価値の設定に当たっては、現時点では情報が不十分であるということから、引き続き検討を行う必要があるということとされております。

 また、浄水におけるニッケルの検出状況のデータを精査いたしましたところ、 1 から 3 の知見が得られました。 1 ですが、平成 23 年度に目標値 0.02mg/L となっていますが、 50 %超過となった 1 地点では、それ以降、最新の平成 26 年度の状況を含めて超過は確認されていない。これは、図を見ていただきながら説明したほうが分かりやすいかと思いますので、 11 ページの表を御覧ください。目 -3 、ニッケル及びその化合物の所です。これは管理目標が設定項目ですから目標値ですが、対目標値は平成 25 年の所に 1 とカウントされていますので、 1 地点超過があった。これは後ほど 3 の所で御説明します。真ん中の所の対 50 %値は、 0 1 2 と付いていますが、このような状況が続いています。対 10 %値は数%となっているという状況です。

 戻っていただきまして、 4 ページの下の 2 です。 2 平成 24 年度から 26 年度に目標値 50 %超過となった地点は同一のものであるが、平成 27 年度に当該水源は廃止されているという事実がありました。 3 平成 25 年度に目標値を超過した 1 地点、 0.02 が目標値ですけれども、具体的には 0.026 となった地点がありました。これにつきまして、当該水道事業者と情報交換を行いましたところ、高濃度のニッケルが 0.026 が検出された日に、同一の採取地点で採取した別資料では、低濃度であった、 0.002 だったということが判明いたしました。この高濃度の資料につきましては、給水栓の材質にニッケルが含まれていたため、採取時に微細な破片等が混入した可能性が考えられましたが、結果的には原因の特定ができなかったということでした。結論としましては、上記 2 により今後同一地点での検出の見込みがないこと、上記 3 により当該データを精査したところ、水質基準に分類するかどうかを判断する根拠としては適当でないと考えたことから、ニッケル及びその化合物につきましては、引き続き、水質管理目標設定項目に据え置くこととし、浄水中の検出状況等を注視することが適当であるとされました。

 補足ですが、ニッケルが検出されました先ほどの 1 から 3 の地点につきましては、念のため平成 28 年度まで確認を行いましたが、いずれの地点でも検出されてはおりません。説明は以上です。

 

○大垣部会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、資料 1-1 1-2 に関して、御了承いただいたということにしてよろしいでしょうか。

 

                                 ( 異議なし )

 

○大垣部会長 ありがとうございました。それでは、次の議題に移ります。議題 2 は「水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書について ( 報告 ) 」ですが、まず、専門委員会の委員長をされた滝沢委員から一言お願いをいたします。

 

○滝沢委員 昨年の 2 月の本水道部会におきまして御承認いただきました水道事業の維持・向上に関する専門委員会ですが、翌 3 月から昨年の 11 月にかけて、 9 回にわたって開催してきました。その間、 4 月には皆様御存じのとおり、熊本におきまして大きな地震が発生し、水道についても、厚生労働省をはじめ、全国の水道事業者の支援のもと、復旧活動をしたところです。熊本地震におきましては、最大時 44 万戸以上の断水が発生するなど、非常に大きな被災をいたしまして、改めまして、水道の大切さが認識されたところでございます。この地震経験、あるいはそれ以前の東日本大震災等も踏まえまして、水道事業におきましては、耐震化を含む地震に対する対策、また、アセットマネジメントによる計画的な施設の更新など、水道事業における基盤の強化が非常に重要であるということが、改めて認識されたのではないかと考えております。

 本専門委員会におきましては、議論の中で、多くの時間を水道事業の広域連携等について費やしたところです。その中で、皆様から多数の御意見を頂きまして、今後の水道事業の経営基盤を強化するためにも広域的な連携が重要であると。特に、都道府県の役割や在り方を、地域の実情を踏まえつつ見直すということが重要ではないかというような御指摘を頂きました。また、併せまして、こうした地域の連携、広域化等を進める上で、国による財政支援が重要であるというような御指摘も頂いたところです。

 また、同様に、官民連携の推進、分けてもコンセッション方式の導入ということにつきまして、多くの御意見を頂いたところでございます。これにつきましては、最新の海外の事例等も御紹介いただきながら、日本の水道においては、先ほどの熊本の地震についても触れましたけれども、災害等の不測の事態におきましても、最も重要な住民サービスである水道の持続性、継続性が損われるようなことがないような制度を設計するべきだというような御意見を頂いたところです。報告書の内容につきましては、この後、事務局から御報告いただけると思います。私からの御報告は以上です。

 

○大垣部会長 それでは、事務局から続いて説明をお願いします。

 

○宮崎水道課長 資料 2-1 、資料 2-2 に基づき、概要説明させていただきます。まず、資料 2-1 を御用意ください。水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書 ( 概要 ) ということで、資料 2-2 が専門委員会報告です。 1 枚めくっていただくと「水道を取り巻く状況」ということで、現状と課題をまとめています。これは文章になっているので、グラフを御覧いただいたほうが分かりやすいと思います。専門委員会報告の 15 16 ページ辺りから、かい摘んで御説明いたします。

15 ページに「人口減少社会の水道事業」ということでグラフが出ています。これからの日本社会は人口減少ということで、平成 12 (2000 ) をピークに減少しており、 100 年後という大胆な仮定ではありますが、在収水量がピーク時の 30 %まで減少します。ここまでいかなかったとしても、これからはどんどん減っていくという未来が予想されています。 16 ページには、これまでの建設投資の推移が載っています。水道の普及率が急速に拡大した昭和の時代にも建設のピークがありましたし、平成にもピークがありました。これら、この 2 つのピークが数十年後には、このままの形で更新を迎えてしまうということになりますと、結構大変なことになるだろうということが分かります。

16 ページの下のグラフは老朽化の現状です。管路の経年化率ということで取っています。 40 年という法定耐用年数が決まっておりまして、 40 年を超えれば壊れるというわけではありませんが、財産管理上はそれが目安になっています。これを見ていくと、どんどん老朽化が進行していっています。なぜそうなるかというと、右のページにあるように、管路の更新が進んでいないということです。水道資産の 6 7 割はパイプのお金ですので、パイプを代表指標として使っているわけですけれども、最近の管路更新率は 0.76 %というオーダーになっていまして、これでは全部をやるとすれば 120 130 年もかかってしまうような遅いペースになっているというのが実態です。

 次のページです。都道府県別にこれを見ると、古い水道施設、歴史のある水道を抱えている都道府県は、どうしても管路の更新率が高くなってしまいます。ただ、そちらを見るよりも、下の都道府県別管路更新率というグラフを御覧いただくと、例えば東京都は年率 2 %ぐらいの更新をしており、これは 50 年サイクルでやっているということです。その次になると、いきなり 1 %の世界になって、この人たちは 100 年ぐらいかかってしまうということになります。更には、 0.5 %を下回っているような県も幾つかあり、 0.5 %平均でいくと 200 年はかかってしまうことになりますので、何を議論しているのか分からないような状況になってしまうということです。

 この 2 %という東京都が特別かというと、現時点では特別ですが、右のページを見ていただきますと、全国平均の管路更新率を折れ線で表したものです。平成 10 年ぐらいの所を見ていただきますと、年率 1.7 %、 1.8 %ぐらいは更新していたわけです。この時代で 60 年サイクルぐらいの更新をしていたということになります。棒グラフが全国の建設投資を表したものですが、どんどん減っていきまして、それとともに管路の更新率がどんどん下がり、最近は 0.76 %ということになっていると。この結果、老朽化が進んでいるということになります。

 下のグラフは耐震化の状況です。同時に大きな地震が予想されていますので、基幹管路等を中心に耐震化を急がないといけないわけですが、まだ 36 %という率になっています。浄水施設というのは全体が耐震化にならないとカウントされませんので、やや厳しい見方をしていますが 23 %です。配水池というのは単独で改修できますので、比較的高くなっています。

 次のページ、水道基幹管路の耐震適合率です。これも県によって違いがありまして、全国平均では 36 %ですが、何となく西日本に行けば行くほど、耐震化適合率が低くなっているという傾向が見て取れます。西日本では地震がないと油断していたのではないかと。ところが熊本で大きな地震があったということです。急ぐ必要があるわけです。

 右のページは、熊本地震のときの復旧状況をグラフで表したものです。熊本市が 32 万戸と全戸断水したのが大きいのですが、ピーク時では 44 万戸ほど断水しました。その後、全国の水道事業体あるいは管工事の人たちに集まっていただいて復旧工事を進めて復旧したわけですが、面白いのは右の上にあるグラフを御覧ください。これは基幹管路の耐震適合率と復旧率で、本震後 1 週間でどれだけ復旧したかというのを対比したものです。どうしても耐震適合率が低い益城、南阿蘇といった所は、 1 週間たったときでも復旧率が低いです。逆に熊本市は全戸断水しましたが、 1 週間もたてば 99 %ぐらいは復旧したということで、やはり日頃から耐震化を行っていく必要があるというのは、こういうグラフからでも分かります。

 下のグラフは、水道事業の職員がどんどん減らされてきたという実態です。次のページには、公共料金の比較ということで、藤野委員には申し訳ないのですが、電力やガスに比べると安ければ安いほうがいいと思いますが、水道料金とは相当差があると。これは公共料金ですので、携帯電話はここには入っておりませんで、携帯電話料金を入れれば、もっと高いお金を皆様方は払っているのではないかと思います。

 右のページにいくと水道事業の経営実態です。料金回収すら十分に行われていないという実態があります。給水の原価すら頂いている料金だけでは賄っていないという実態も、全国的に広がっているのも現実です。

 次のページは水道料金の改定状況です。最近は料金を下げる事業体も数多く存在します。上げると言っている所もあるのですが、全国平均を取ってみると、ほとんど横ばいです。下のグラフはデータ整理状況ということで、施設の台帳管理も十分にされていないという実態も見付かったという御紹介です。

 そういうことがありますので、次のページには「アセットマネジメント」と称していますが、長期的な水道経営がきちんとできるように、将来どれぐらいの費用がかかって、そのためにお金はどうしたらいいのかということを、あらかじめ考えてほしいということをお願いしているという実態です。次のページにいきますと、ところがそういうアセットをきちんとやっているという人は、計算はやっていますというのが下のグラフの 29.4 %となっておりまして、これは将来にお金がどれだけ必要かという計算をやっているというのが、この数字に過ぎないということです。平成 24 年度が 29.4 %から始まりまして、アセットマネジメントの会員支援のツールなども用意して、いろいろと講習会などもやってきた結果、計算は 67.5 %までやっているという実態ですが、アセットマネジメントというのは本来は計算をしただけでは十分ではなくて、この計算結果を事業計画に反映しなければいけないのですが、なかなかそれは十分ではないという実態にあります。

 右のページです。そのため、広域的な水道になっていってほしいと思っているのですが、協議会等全国的に少しずつは動き始めていますが、まだ十分ではないという実態です。特に、「やる必要がない」「検討したがやる必要がない」「必要性は感じるが取組の予定はない」といった事業体も確かにある一方で、小さな事業体単独ではやり切れないのではないかというのが一般的な状況です。

 次のページには、様々な官民連携手法も御紹介していますし、 29 ページには指定給水装置工事事業者制度ということで、これは給水管を工事する業者は水道局にあらかじめ登録してもらう必要があるのですが、それが 1 回登録すればいいという制度なものですから、いろいろとクレームが発生したり、電話を掛けても通じないといった問題がいろいろ起きていますので、それを改善してほしいという要望がたくさん出ているという実態がありました。

 資料 2-1 に戻ります。もともとこういう実態がいろいろありましたので、まとめますと、我が国の水道は普及率は向上して、安全で美味しい水をお配りすることは何とかできるようになったわけですが、特に小規模な事業体であればあるほど、深刻な状況にあるということです。人口減少で水需要は減少してきましたし、老朽化は進みます。先ほど御紹介したように、 130 年ぐらいかかってしまうような更新率になっているということです。耐震の適合率も 36 %、大規模震災時には断水が長期化するリスクがあります。これは逆に言うと、東日本大震災においても、あるいは熊本の地震においても、私たちが耐震管と見ている管は 1 つも壊れませんでした。ですので、それはもう明らかに違いがあると感じております。職員数は減少してきていますし、必要な水道料金原価の見積りも不足しているのではないか。こういったことから将来にわたって安全な水の安定供給を維持していくためには、水道の基盤強化を図ることが必要だろう。併せて、指定給水装置工事事業者の制度も見直ししていく必要があるだろうということを専門委員会で御議論いただいてまいりました。

 メンバーについては、今日御参加の本委員会のメンバーからも、滝沢委員、永井委員、藤野委員、吉田委員と参加いただいておりますし、それに加えて水道事業の経営に関する専門家、その他県の方々、いろいろな立場の方々に集まっていただきまして、 9 回の開催で 11 月に取りまとめいただきました。主な内容を御紹介します。

3 ページの「報告書に示された主な事項」です。適切な資産管理の推進が 1 番です。現状は、台帳整備すら十分になされていないという実態もあったものですから、日常的な管理が必要なわけです。そして災害時です。熊本の地震のような災害時においても、例えば全国から水道事業体が助けに行ってくださいといって行っていただいたのですが、いざ行った相手の熊本側で、どこにどういう施設があって、どのような助けが必要なのかという説明が十分にできないという事態が発生しました。したがって、こういう大きな災害に備えて、援助を受け入れる側でも準備が必要なのだということが課題として明らかになりました。そもそも、日常の維持管理、定期的な修繕を行うことが必要なわけですが、水道法においてはこういう規定がなくて、建設拡大ということは非常にうまくいった法体系でありますが、それが様変わりしているのだということです。

 加えて、先ほど御紹介した昭和、平成のピーク時に整備した施設を、そろそろ更新していく必要があるわけですが、これもピークをそのまま迎えてしまっては大変だと。できるものは後送り、あるいは前倒しするなりしてピークを減らす、あるいは需要そのものが減ってきますので、今ある施設そのものを更新するという考えではなくて、将来どういう施設が必要なのかということをよく考えて、計画的にやっていく必要があるというアセットマネジメントの考え方が重要ではないかという議論はしていただきました。

 対応の方向性としては、台帳整備を義務付ける、これは社会資本整備の分野ではとっくにそうなっています。あるいは維持・修繕を行うことも義務付けてはどうか、あるいはアセットマネジメントの考え方を位置付けてはどうかというような御議論を頂いたところです。

2 番目に「持続可能なサービスに見合う水道料金の設定」とあります。水道料金というのは、もともと地方議会の議決を経て定める、住民自治で定めるということですので、厚生労働省がこうしろああしろという話ではないのですが、私どもの立場といたしましては、先ほど御紹介しましたように、給水原価が供給単価を上回っている、要するに必要なお金を頂いていないのではないかという懸念があることから、もともと水道料金というのは総括原価方式と呼んでいますが、必要なコストをきちんと見込んで、かつ将来の施設維持もきちんとできるようなお金を頂く必要があるのではないでしょうかという議論をしております。したがって、将来にわたって健全な経営の下で、安定的に水の供給が確保されるべきでありますし、将来の更新需要、財政収支の見通しの試算を行った場合には、住民に対して分かりやすい形で公表してほしいといったことを書いています。こういう考え方に基づいて、定期的に、自分のところの料金はどうあるべきなのかという検討を是非してほしいと考えた次第です。

5 ページは「広域連携の推進」です。水道事業は上水道であっても 1,300 以上はあります。簡易水道もこのほかに 6,000 ほどありますので、小さな水道事業がまだまだたくさん残っているというのが実態です。個別の小さな所の単独ではなかなか厳しい、建設の時代から維持管理の時代になっていますので、そもそも職員がどんどん減らされてきており、計画を立てたり、将来的なことを考えたり、もっと寂しいことを言いますと、実際に工事現場を監督しなければいけないわけですが、監督する人もいないということになって、お金があったとしても工事の発注、監督すらできなくなっている小さな事業体も存在するというのが事実です。したがって、広域的な連携をして、スケールメリットを生かす必要があるだろうと。そういうことをすれば、考える人を用意できるだろうとは思っています。これまでも、水道ビジョン、新水道ビジョンといったことで、そういったことを厚生労働省としてはうたってきていますが、制度的な対応というのは今一でしたので、今回の議論の結果、都道府県に広域連携の推進役としての責務を果たしてほしい、旗振り役をしてほしい。そのために、せめて協議の場を設けることはお願いできないか。そうやって関係者に集まっていただいて、国が水道事業基盤協会のための基本方針というものを作って、県が関係市町村の集まったところで、基盤強化計画なるものを作っていただいて、みんなで考えてほしいと。そういう人に対しては、一部財政支援も考えようではないかと。

 先ほど予算の説明であったように、台帳整備すら十分にできていない人がいるのも事実ですので、広域を前提とした上で必要な支援を行うということにしてはどうかということを議論しました。

 次は「官民連携の推進」です。これまでも、官民との連携で様々な事業をなされてきております。単純な手足委託という表現がありますが、業務を一部お願いするとか、第三者委託というような言い方で、技術的な一まとまりを民間の方にお願いするというやり方は、既に水道法に位置付けられております。

 今回議論になったのは、コンセッション方式と呼んでいるもので、施設は引き続き、公が持っているのですが、それの事業あるいは経営面にわたって民間の人にお願いするということも、位置付けてはどうかと。これはほかの分野では、空港、道路の分野では既に始まっていますので、水道についてもそういうことをやりたいという手が挙がりかけていますので、受皿を用意する必要があると。これは法制的に担保しないといけないということになりますので、そういう議論をしてきたわけです。

 最後のページは、「指定給水装置工事事業者制度の改善」ということで、平成 8 年に今の制度になったわけですが、技術者がいる、工具を持っているということで登録いただくわけですが、 1 回登録すればよいという制度なものですから、リストが膨大なリストになったり、電話を掛けてもつながらないという消費者からのクレームもたくさん寄せられるようになりました。そこで、工事を適正に行うための資質の保持や実態との乖離の防止を図るため、更新制と呼んでいますが、定期的に登録のし直しをしていただけないかと。そうすることによって、地元で真面目に仕事をしたいという業者の方々に残っていただいてほしいと。そうしないと、災害等への対応も、地元で真面目にやっている人でないとできないのが実態ですので、そういう形に変えていければという議論をしていただいてきました。

 その結果が、この専門委員会報告にまとまったわけですが、それを基に資料 3 を用意しています。これはまだ最終的なものにはなっておりませんので、途中の段階のものと御理解いただければと思います。「水道法の一部を改正する法律案の概要」ということでまとめています。

 改正の趣旨というのは先ほど来申していますように、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずるとしています。

 関係者の責務の明確化。国、都道府県、市町村の責務を明確化し、特に水道事業者は、もちろん事業の基盤の強化に努めなければいけないということではありますが、広域連携の推進というところで、国は先ほど申しましたような、水道の基盤を強化するための基本方針を定め、都道府県は基本方針に基づき、同意を得て基盤強化計画を定めると。都道府県は広域連携を推進するために関係者から集まった協議会を設けるということにしてはどうかという提案をしています。

 適切な資産管理の推進では、維持修繕をしなければならない。しなければならないということは、義務だと御理解ください。当然のことなのですが、そういうことを水道法においては明確化してこなかったということです。施設を適切に管理するための水道施設台帳を作成・保管しなければならないということです。中には、先進的な事業体においては、こういうのはマッピングシステムと連動して、デジタル化で、ピッと当てれば見えるようになっている所は多数あるのですが、みんながみんなそういうわけでもなくて、紙でしかないとか、紙もどこかへ行ってしまったとか、そういう情けない事業体も中にはあるようです。長期的な観点から、水道施設の計画的な更新に努めなければならないとしたり、この水道施設の更新に関する費用を含むその事業に係る見通しを作成し、公表するよう努めなければならないという規定を入れてはどうかという提案をしています。

 官民連携では、先ほども申しましたが、これまでの第三者委託などのほかに、 PFI の一類型である公共施設等運営権、施設の所有は公が引き続きするのですが、運営を民間事業者にお願いするというやり方も位置付けてはどうかと。これは水道事業というのは、もともと全くの民間の水道というのもあるのです。財産も民間、運営も民間というのもあります。公営の事業がほとんどですが、公が施設を所有、運営も公がやっているというのがほとんどなのですが、新しいカテゴリーとして、施設の所有権は公が保持したまま運営だけを民間にやっていただくというようなタイプのものも、市町村によっては条例に提案をして、間もなくそういうものが成立するのではないかという事態になっておりますので、それの受皿として用意する必要があるかなと思っております。

5 番は「指定給水装置工事事業者制度の改善」です。これまでに何度も申し上げましたけれども、給水装置工事事業者の指定という制度がもともとあるのですが、これに更新制というものを導入してはどうかという内容で提案しようと考えているところです。全てがうまくいけば、来年の 4 月からこういう内容で予定したいと考えておりますが、法律改正はもちろん国会の案件ですので、国会の先生方とよく相談しながら、今後詰めていきたいと考えているという状況です。これはまだ通ったという状況ではなくて、こういうことを提案したいなと思っているという状況です。以上で御説明を終わります。

 

○大垣部会長 ただいまの説明について、御質問等があれば御発言をお願いします。いかがでしょうか。

 

○秋葉委員 国立保健医療科学院の秋葉です。資料3の3.の (2) の水道事業体が水道施設台帳を作成し、保管しなければならないとする、としています。細かな点ですが、例えば、地震などの災害時に台帳を水道事業体が作成して、事業体のみ保管した場合、台帳を保管した施設が被災したら、台帳も消失しまい、復旧作業に支障をきたすのではないかと思われます。過去の震災でこのような事例があったかと思います。これからは都道府県がいろいろな施策指導していくようなことになるので、台帳を水道事業体の他、都道府県も保管することが必要と思われます。また、更新については何年にするかというのも盛り込まれるのでしょうか。

 

○宮崎水道課長 まだ詳細はこれからなのですが、考え方としては、台帳の整備は水道事業体自らがやるということになると思います。保管についても、自らがきちんと保管するというのが基本だと思っております。

 ただし、自分勝手に保管していればいいというもものではなくて、先ほど御紹介しました地震などのときに、助けに来てもらった人たちにも分かりやすく情報提供できるような形にしておかないと、せっかく行っても右往左往するということになっては困りますので、これからはそういうことにも注意して、台帳というのは整備する必要があるなと感じておりますが、基本的には事業体が整備するという以上のものではないと感じております。

 更新の件についても、施設整備があれば、その度に更新するということではないのかなと感じておりますが。

 いずれにしても、どのようなレベルのものを作るべきなのかとか、どうやってそれを更新、あるいは維持管理していくかといった詳細につきましては、これからの検討ということで、本日は申し訳ありません。

 

○西尾委員 筑波大学の西尾です。専門委員会の先生方は大変御苦労されたのだろうなと思っていて、広範囲に詳細に議論されたことに対して敬意を表したいと思っています。ただ、私は必ずしもこういう領域の専門ではないので、少し変な質問をするかと思いますが、質問させていただきます。

 いろいろな課題がある中で、 1 つ広域連携ということがありました。これは大変重要なことで、水道のような公共性の高いものは、住民がどこに住んでいようと一定の同じようなサービスを受けるという、そういうことが公共財としての使命かと思います。ただ、一方でそういうことに関して、どこまでどうしていくのかという問題があるかと思います。広域連携という形で、いろいろな所が手を結ぶことによってスケールメリットが働く、あるいはノウハウが共有できるというようなことは非常に重要なのだと思いますが、それがなかなか進まないということで、資料 3 に「広域連携の推進」について明記されているのだと思います。

 国はというのはいいとして、 2 3 も非常に重要なのですが、都道府県は基本方針に基づき同意を得て計画を定めることができるとか、あるいは必要に応じて協議会を設けることができるというようなレベルにとどまっている印象を受けます。そもそもこういうことは、法律で定めなければ今までできなかったということなのでしょうか。

 もう 1 つは、計画を具体的に実行する、さらに推進させるためには役割や体制を整えることも重要だと思うのですが、この点については、専門委員会の中では、具体的にどのような議論があったのでしょうか。

 例えば、リサイクル関連の法律では、推進体制について、国民も含めて、各ステークホルダーの役割が示されています。今回の広域連携においても都道府県だけでなく、それ以外のステークホルダーの役割の明確化や運営体制など、推進をさらに進めるための体制に関する議論はどのようなものだったのでしょうか。

 

○大垣部会長 重要な質問だと思います。広域化に関する具体的な方法、 2 番目は各プレイヤーの役目等に関してですね。

 

○久保水道課長補佐  1 点目と 2 点目について、混ざった形の御回答になるかもしれませんが、今回は法律を改正するという話になっていますが、それ以前から水道ビジョンあるいは新水道ビジョンというものを我々のほうで作ってきており、ある種、行政主導という形になるのですが、そういった形で水道事業を持続的なものにするために、 1 つのやり方として広域化が大事だということをお示しし、推進してきたという歴史があります。

 今回、法律上の書き方としては、都道府県はこの計画を作ることができるといった規定という辺りを中心に御説明いたしましたが、そもそもの話として、関係者それぞれの責務をきちんと明確化しましょうというのは大事な議論で、今般の専門委員会報告でも、その辺りは記載されております。

 具体的には、資料 2-2 3 ページの上半分の辺りに書いていますが、何といっても、水道が拡張整備という時代から維持が大事という時代に移り変わったことを踏まえまして、中長期的な観点から事業の持続性を確保するということが大事だということで、まず水道事業者においては、自らきちんと事業基盤の強化に努めなければならないのだということをきちんと書いた上で、自ら単独でその事業の基盤を強化することが難しいような、ごく小規模な事業体も世の中にはたくさんあるというような状況を踏まえて、正にそこで広域連携ということで、かつ広域連携も本来は水道事業者同士で話合いをして、連携が進めば、それでいいはずなのですが、なかなかそういった話合いによる広域連携が進まないというこれまでの実情も踏まえまして、ここで都道府県の役割をきちんと書いていくということで、今回は議論をしてきました。そういうことで都道府県は広域連携の推進役として、これこれの調整を行うということがここにきっちりと書かれているということになります。

 さらに、そこに対して国も基盤強化に関する基本的、総合的な施策を策定し推進するということ、それから自治体、地方公共団体、水道事業者に対して、技術的、財政的援助を行わなければならないといった、それぞれの役割が今回きちんと整理されたのかなと考えております。

 

○西尾委員 法律に明記するか否かは別として、申し上げたいのは、広域連携がうまく回るための運営体制などに関することはどこかに記されているのでしょうか。それは新水道ビジョン等の中にすでに明記されているのでしょうか。

 

○久保水道課長補佐  1 つお答えし忘れたことがありました。どうやってこれを推進するのかという大事な問いがありました

 そこにつきましては、冒頭の滝沢先生からのコメントにもあったと思いますが、専門委員会の中で繰り返し頂いた御意見というのは、結局財政支援が大事だということでした。財政支援といっても、広く浅くというわけにはいきませんので、どういったところに重点化すべきかという形で、いろいろ御意見がありました。

 例えば広域連携をしていくに当たっても、地域の中核となるような水道事業者というのがいて、そこが周りの中小の事業者の手伝いをするということが想定されるわけですが、そういった際に中核となるような地方公共団体の果たす役割というのが大事だというところも踏まえて、そういったところに、より重点的な財政支援なり技術的支援ができるようにすべきではないのかというような御意見がございました。

 また、台帳整備の財政支援の話にもつながっていくのですが、そもそも広域連携を進めようとする際に、連携する相手方の施設の老朽化の状況とか、施設の耐震性の状況といった情報がない中で広域連携の議論ができるかというと、それでは話がそもそも進まないだろうということで、そういった観点からも、例えば台帳を作るのも大事だし、今回義務付けようとしている点検を含む維持・修繕というのもありますが、そういったものの結果を取りまとめておくというのも非常に大事で、そこら辺についても、それがきちんと進むように、例えば台帳整備についての広域連携を前提とした財政支援と先ほど御説明がありましたが、そういったものをやるべきである、非常に重要であるというような御指摘を頂いたという感じでありまして、かなり財政支援に偏った話ではありますが、今後どういった形で有効な財政支援の仕組みが作れるのかという辺りについて、引き続き財務当局などとも議論をしながら考えていきたいと思っております。

 

○西尾委員 ありがとうございました。よく分かりました。特に財政支援というのは、近年、なかなか難しい中で、財政支援も含めてきちんと進めようというような御議論がたくさん出てきているということに関して、大変安堵いたしました。

 

○藤野委員 主婦連合会の藤野です。住民の代表として委員会に参加させていただいています。先ほど課長が「公共料金として水道料金が安いことを住民に理解してもらわないと」とおっしゃいました。皆さんが市民であり公共料金を払っているので、必要なものには理解するつもりですが、その大前提として、とにかく知らせてほしいということをお願いいたしまして、資料 2-2 5 ページの「更新需要及び財政収支の見通しの試算並びに計画的な更新」の 3 つ目の○に、「住民等の理解を醸成していくために、わかりやすい形での公表」ということを明記していただき、かつ資料 3 3 (4) で、「水道事業者等は、水道施設の更新に関する費用を含むその事業に係る見通しを作成し、公表するよう努めなければならないこととする」としっかり明記していただきました。

 委員会の中では、住民と話し合って、水道事業というのはまちづくりそのものだという松江市の御報告などもありながら、とにかく私たち住民に知らせていただき、こういうお金が必要なのだと理解を得て、どうしていったらいいかということを考え、値上げがやむを得ないではなくて、必要な施設は私たちが適正な料金を払って作っていくとしっかり理解して進めていきたいということを発言申し上げ、このような形にしていただきました。

 具体的にどうなるか分かりませんが、知らないところで値上げが行われたということではなく、むしろ今の老朽化している状況、更新が進んでいない状況を知ることで認めていくような形を今後進めていくことを願っております。以上です。

 

○大垣部会長 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、ただいまの御説明と様々な御議論をありがとうございました。

 それでは、本報告書の提言を踏まえて、事務局において、法整備そのほか必要な対応について取り組んでいただきたいと思います。大変でしょうけれども、よろしくお願いいたします。

 以上で予定していた議題は終了いたしました。そのほか、全体を通して御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。特に皆様からないようですので、事務局にお返しいたします。

 

○久保水道課長補佐 御議論ありがとうございました。

 本日の議事録について、速記から作成した上で皆様に御確認いただき、その後に公開という運びにさせていただければと思います。本日は年度末のお忙しい時期にもかかわらず、審議に御参加いただきまして、ありがとうございました。

 

○大垣部会長 ありがとうございました。


(了)

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