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2015年12月9日 第7回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会

社会・援護局保健福祉部

○日時

平成27年12月9日(水)17:00~18:15


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

奥野妙子委員、白川哲夫委員、白阪琢磨委員、田口智章委員、中井俊子委員、中村耕三委員、早川正道委員、林清二委員、前田耕太郎委員、八橋弘委員

○議事

○高山課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第 7 回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会を開催いたします。私は障害保健福祉部企画課の高山と申します。委員の先生方におかれましては、本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本分科会は、自治体からまいります障害認定に係る疑義についての諮問機関という役割がありますが、それと同時に、身体障害認定基準の改正などについても必要に応じて医学的・専門的見地から審議いただく会議でございます。

 本分科会は、全委員過半数の出席をもって成立することとされておりますが、本日は 17 名の委員のうち 10 名に出席をいただいておりますので、本日の分科会は成立していることをご報告申し上げます。

 それでは、開催に当たりまして、障害保健福祉部長の藤井より挨拶を申し上げます。

○藤井障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の藤井でございます。本日はよろしくお願いいたします。本当にお忙しいところを先生方にはお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。この身体障害認定分科会の開催は約 1 年ぶりということになります。前回は昨年 12 月だったように記憶しております。委員の交代で初めてご出席いただく先生方もいらっしゃいますが、本分科会への参加を快くお引受けいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 本日は、身体障害のうち、肝臓機能障害、呼吸器機能障害、 HIV による免疫機能障害に関する議題についてご審議をいただくこととなっております。いずれの議題におきましても、患者さんたちの現状を踏まえまして、また現在の医療水準を踏まえて見直しを図るものでございますが、特に肝臓機能障害につきましては、その認定基準について、検討会において 4 回にわたりまして、有識者の先生方にご議論をいただいて、見直し案を作成していただいたところです。障害者総合支援法で運用しております障害福祉サービスが必要な各機能障害の患者さんに適切に提供されるためには、いずれも本日の議題は重要な課題であると認識をしておりますので、委員の皆様方におかれましては、どうぞ活発なご議論をお願いできれば有り難いと思います。どうかよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 なお、プレスの写真撮影につきましては、以上までとさせていただきますので、ご了解いただきたいと思います。

 続きまして、本日ご出席いただいております委員の先生方のご紹介をいたします。まず奥野妙子委員です。

○奥野委員 奥野でございます。専門は耳鼻咽喉科です。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続きまして、白川哲夫委員です。

○白川委員 白川でございます。日本大学歯学部で仕事をしております。専門は小児歯科学です。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続いて白阪琢磨委員です。

○白阪委員 国立病院機構大阪医療センターの白阪でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続きまして、田口智章委員です。

○田口委員 九州大学小児外科の田口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続きまして、中井俊子委員でございます。

○中井委員 日本大学医学部附属板橋病院の循環器内科をしております。主にペースメーカを扱っておりまして、身体障害者認定はペースメーカにも必要な制度で、皆様にもご協議いただいたことがございます。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続きまして、中村耕三委員でございます。

○中村委員 中村でございます。専門はもともと整形外科ですが、今は国立障害者リハビリテーションセンターに勤務をいたしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○高山課長補佐 続いて、早川正道委員でございます。

○早川委員 防衛医科大学校の名誉教授をしております早川でございます。専門は泌尿器科で膀胱・直腸機能障害を主に担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続いて、林清二委員でございます。

○林委員 近畿中央胸部疾患センターの林と申します。専門は呼吸器内科です。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続いて、前田耕太郎委員でございます。

○前田委員 藤田保健衛生大学外科の前田でございます。特に大腸を専門にしております。ですから、直腸・膀胱機能障害に主に関わってくることになると思います。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続いて、八橋弘委員でございます。

○八橋委員 国立病院機構長崎医療センターの八橋でございます。専門は肝臓内科です。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 なお、赤川委員、和泉委員、伊藤委員、久徳委員、葛原委員、湯澤委員、和田委員におかれましては、ご欠席の連絡をいただいております。

 続きまして事務局のご紹介を改めてさせていただきます。障害保健福祉部長の藤井です。企画課長の川又です。そして、私は高山です。よろしくお願いいたします。

 なお、本分科会につきましては、運営規程によりまして、原則公開となっております。本分科会の審議の内容につきましては、厚生労働省のホームページに議事録として後日掲載される予定ですので、あらかじめご了承いただければと思います。

 議事に入ります前に、本分科会の会長について、前回まで会長を務めていただいておりました葛原委員の会長としての任期が終了しておりまして、現在空席の状況となっております。そのため、まず会長の選任を行わせていただきたいと思います。本分科会の会長につきましては、この分科会の設置根拠法であります疾病・障害認定審査会令におきまして、分科会長は委員の互選によって選任するということとなっております。どなたかご推薦を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○奥野委員 中村委員をご推薦申し上げたいと思います。

○高山課長補佐 ただいま中村委員を分科会長にというご推薦がありましたが、委員の先生方、いかがですか。

                                    ( 全員拍手 )

○高山課長補佐 ありがとうございます。それでは、本分科会の会長に中村委員を選任いたしますので、中村委員におかれましては分科会長の席にご移動をお願いいたします。

○中村分科会長 選任いただきました中村でございます。ただいま藤井部長からご挨拶いただきましたように、大変重要な分科会と認識をいたしております。皆様のご協力を得まして、会の進行に当たりたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 私も思い返してみますと、昨年は聴覚障害の認定方法に関する審議をしていただいたと思います。前々回は人工関節、ペースメーカの認定の基準に関する審議であったと記憶しております。本分科会の役割は、医学の発展に照らしてあるいは現在の状況に照らして、認定基準あるいは認定の方法等につきまして、医学的あるいは専門的な見地から審議を行うということですので、どうぞご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 本日お配りしております資料の確認をさせていただきます。まず、資料一番上に 1 枚の議事次第があります。続いて資料 1-1 肝臓機能障害の認定基準に関する検討会の報告書、資料 1-2 肝臓機能障害認定基準に関する検討会の資料 ( 抜粋 ) 、これは4回開催されました検討会の資料をまとめたものです。資料 1-3 肝臓機能障害の「認定基準」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 1-4 肝臓機能障害の「認定要領」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 1-5 肝臓機能障害の「疑議解釈」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 1-6 肝臓機能障害の「診断書・意見書」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 2-1 呼吸器機能障害の「認定要領」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 2-2 呼吸器機能障害の「診断書・意見書」の改正案 ( 新旧対照表 ) 、資料 3 免疫機能障害の「疑義解釈」の改正案 ( 新旧対照表 ) です。

 参考資料が 4 つあります。参考資料 1 身体障害認定分科会について、参考資料 2 本分科会の委員名簿、参考資料 3 今回の呼吸器機能障害の認定の改訂における日本呼吸器学会からの要望書、参考資料 4 HIV 治療ガイドライン ( 抜粋 ) です。

 別冊として、身体障害認定基準などをまとめた冊子を机上に緑色の紙のファイルで置いてあります。以上、お手元にございますか。過不足等ありましたら、事務局まで申し付けください。

○中村分科会長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日の議事は 3 つあります。 1 つ目は、肝臓機能障害の認定基準等の見直しです。これは本年 5 月から 9 月まで、厚生労働省の「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会」で議論し、報告書が取りまとめられました。その報告書に基づいて肝臓機能障害の認定基準の見直し案を事務局で作成していただきました。本日はこの見直し案についてご議論を頂きます。それでは、事務局から資料のご説明をお願いします。

○高山課長補佐 それでは、肝臓機能障害認定基準に関する議事ということで、資料 1-1 から資料 1-6 まで通してご説明いたします。

 まず資料 1-1 、肝臓機能障害の認定基準に関する検討会の報告書をご覧ください。この報告書の 4 ページ目は今回の肝臓機能障害の認定基準を見直すに当たっての経緯です。そもそも肝臓機能障害が、身体障害認定の対象となったのは平成 22 4 月からでした。その当時からの認定基準の考え方は、大きく分けて 2 つあります。 1 つ目として、国際的に肝臓機能障害の重症度分類を用いる評価となっておりまして、 Child-Pugh 分類と申しますが、そのグレード A B C 3 段階のうち、最も重いグレード C に該当する患者が、まず対象となります。これに加えて日常生活の制限の程度も勘案して、 1 4 級まで等級を分けて認定しているという現行の基準となっています。なお、参考までに平成 25 年度末時点の肝臓機能障害の認定者数は合計で 6,787 名という状況です。一番多いのが 1 級で 5,672 名です。

 しかしながら、この認定基準に関して、患者団体などから「基準が厳しすぎて、 Child-Pugh 分類 B の患者であっても日常生活に制限が長期間続いている実態があります」というご意見をいただいておりました。そのご意見に基づき、平成 26 年度に厚生労働科学研究の補助金にて、「肝硬変患者の生命予後の検討」という内容の研究を行っていただきました。その結果が出たことから、今年の 5 月から、「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会」を開催してきておりました。 9 月まで合計 4 回開催したところです。

 その中で発表された厚生労働科学研究の結果は 2. 「肝臓機能障害認定基準の評価」のとおりです。肝硬変患者の実態と生命予後に関してですが、 Child-Pugh 分類 C の患者の 3 年目の累積生存率に関して 30.7 %だったということで、この認定基準の対象者の約 7 割の方が 3 年以内に亡くなっていたという実態が分かりました。一方で Child-Pugh 分類 B の患者に関しては 51.3 %の方が 3 年後に亡くなっている、又は Child-Pugh 分類 C に移行するなどして、状況が悪化していました。

 以上のことから、 Child-Pugh 分類 C 及び B の患者の病態に関しては、基本的には不可逆的で、その中から Child-Pugh 分類 A に軽減される、回復される方は少ないと考えられました。

 また、この検討会にて、肝炎疾患患者の QOL についてもご議論、発表がなされています。 QOL を測る指標 SF-36 スコアなどがありますが、その値によりますと、 Child-Pugh 分類 B の患者のほうが慢性肝炎及び Child-Pugh 分類 A の患者よりも、この値が有意に低下していた、 QOL が有意に低かったことが分かりました。

6 ページ目の 3. 「肝臓機能障害の認定基準の見直しの方向性」です。以上のエビデンスなどから考えられる見直しの考え方ですが、 Child-Pugh 分類 B の患者は、同じく C の患者と同様に、この病態が基本的には不可逆的で分類 A に改善する例は少ないことから、長期の療養を要すると考えられました。また Child-Pugh 分類 B の患者の QOL については、先ほど申し上げたとおり、分類 A の患者よりも低く、日常生活において相当程度の制約があることが分かりました。ほかの障害認定とのバランスにおいても、この QOL など相応のデータを勘案すれば、 Child-Pugh 分類 B の患者については、日常生活に相当程度の制約があると考えられました。

 以上のことから、 Child-Pugh 分類 B の患者についても、肝臓機能障害の認定の対象とすることが適当という考え方を頂きました。

 具体的な認定基準になります。 Child-Pugh 分類 B の患者については、 7 9 点という分類とされていますが、この基準については、 7 9 点を更に点数で細分化することは適当ではないと考えられたことから、分類 B 7 点以上を新しい基準の対象とすることがふさわしいというお答えを頂きました。また、現行の 1 級及び 2 級については、 Child-Pugh 分類の評価項目の血液検査データの血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち、 1 項目以上が 3 点であることとされていますが、この度、 Child-Pugh 分類 B を新たに認定の対象とすること、 QOL の評価など、それから腹水、肝性脳症の状態については患者の QOL と密接に関係することなどを勘案して、この指標については、肝性脳症又は腹水の項目を含む 3 項目以上が 2 点以上と変えることが適当というお答えを頂きました。

 なお、各等級における日常生活制限を示す項目については、現時点でこれを見直すべき新たな知見が得られていないことから、特段見直しをせず、従前どおりとすることが適当とのお答えを頂きました。

8 ページですが、再認定について、新たに設けるということをご議論頂きました。 Child-Pugh 分類 B の状態にある患者については、一部の方は状態が軽減する可能性がある、改善する可能性があること。近年、 C 型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や代償性肝硬変については、新薬が出ているという影響もありますので、 Child-Pugh 分類 B で認定された方については、 1 年以上 5 年以内に再認定を原則として求めることとするというお答えを頂きました。

 以上の報告書の内容をいただいたことに基づき、新しく見直す「認定基準」については、資料 1-3 です。現行の認定基準と改正案の基準を対照表で示しております。右側が現行、左側が改正案です。まず、等級の 1 級に該当する基準については、 ( ) ( ) で基準を定めていますが、 ( ) については、 Child-Pugh 分類の合計点数が 10 点以上 ( 分類 C) であって、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値が 1 項目以上 3 点の状態が、 90 日の間隔をおいて連続して 2 回以上続くという内容となっています。

 改正案は、 Child-Pugh 分類の合計点数の基準が 10 点ではなく 7 点に変更するという案にしています。そして Child-Pugh 分類の評価の項目のうち、肝性脳症又は腹水の項目を含む 3 項目以上が、今までは 3 点以上でしたが、 2 点以上という見直し案になっています。 90 日以上の間隔をおいて連続して 2 回ということは変更はありません。

( ) 日常生活動作における評価については、現行と同じく、特段変更はしないという案としてします。

 大きな区分のイの等級表の 2 級に該当する基準ですが、現行の基準は、 1 級の ( ) の基準と全く同じ内容となっています。そして改正案についても、 1 級と同様に合計点数が 7 点以上、肝性脳症、腹水を含む 3 項目以上が 2 点以上ということで、同様の見直し案としています。 ( ) についても、 1 級と同様に特段見直すことは考えていません。

2 ページ目は、等級表の 3 級に該当する基準です。 3 級については Child-Pugh 分類の評価が、今までは合計点数が 10 点以上でしたが、改正案では 7 点以上に改めるという内容となっています。等級表の 4 級についても、 Child-Pugh 分類の合計点数については同様で、 10 点を 7 点に見直すという内容となっています。日常生活動作の項目については、 3 級、 4 級ともに変更なしという内容としています。これが「認定基準」の見直し案です。

 続いて、資料 1-4 、肝臓機能障害の「認定要領」の改正案です。「認定要領」の新旧対照となっておりまして、右側に現行、左側に改正案となっています。改正するポイントを赤字で示しており、 2 ページ目を見ますと、認定基準で 1 項目以上が 3 点を、 3 項目以上を 2 点に見直すこととしていますが、その内容に沿った改正をこの案としております。

5 ページ目の最後、障害程度の認定についての留意事項です。今まで再認定については特段規定をしていませんでしたが、この報告書を受けて、再認定の規定を (6) で新たに加えています。 Child-Pugh 分類の合計点数が 7 9 点、いわゆる B の状態の方については、 1 年以上 5 年以内に再認定を実施することと、新たに追加をするものです。「認定要領」の改正の見直しのポイントは以上です。

 資料 1-5 、肝臓機能障害の「疑義解釈」の改正案です。これも右側に現行、左側に改正案の列としています。

2 ページの 4 番目の疑義ですが、これも同じく 1 項目以上が 3 点という見直しに伴った改正案としております。 3 項目以上は 2 点という規定に直しています。

 再認定については、新たに疑義解釈で追加をしています。 4 ページの 13 番目の疑義になります。新たに再認定に関する疑義解釈を追加するところです。内容は、初めて肝臓機能障害の認定を行う方の再認定の必要性に関する疑義解釈です。 2 つあって、 1 つ目は Child-Pugh 分類による合計点数が、例えば 1 回目の検査で 9 点、 2 回目の検査で 10 点の場合は再認定が必要なのかどうかという疑義です。 1 回目は Child-Pugh 分類 B の状態、 2 回目は C の状態ということになります。これに対する回答ですが、再認定の必要性については、直近の検査の評価、この質問に回答すると、第 2 回目の検査の評価をもって判断されたいということになります。この疑義で申し上げると、第 2 回目は 10 点、 Child-Pugh 分類の C の状態であり、 C の場合は特段再認定を求めるところではありませんので、今回のこの疑義で出ている事例に関しては、再認定は必要ないということになります。

2 つ目の疑義は、 Child-Pugh 分類による合計点数が 7 9 点、 B の状態で、再認定を 1 5 年の間に行った場合です。その再認定を行った際にも、同じく Child-Pugh 分類 B の状態だった場合は、また更に再認定を 1 5 年の間に行わなければならないのかという疑義になります。この回答については、再認定で、また更に Child-Pugh 分類 B の状態だった場合には、また一律に 1 5 年に再認定を行わなければならないとするのではなくて、そのときの状態、今後も B の状態が続くのか、改善するのか、悪化が見込まれるかなどを指定医と相談の上、個別にケースに応じて再認定の必要性を評価していただき、必要な場合には再認定をしていただき、必要がなければ再認定の必要なしという診断をしていただくという解釈を考えています。「疑義解釈」の見直し案については以上です。

 資料 1-6 、肝臓機能障害の「診断書及び意見書」の改正案です。この改正案については、今までと同様、 3 点の項目、 1 項目以上は 3 点というところに関しては、その有無を○を付ける項目がありました。赤字の所です。それを今回の見直しに沿って、 3 項目以上が 2 点以上の有無という形で○を付ける項目に変更するという内容になっています。この点のみの見直しとしております。肝臓機能障害の資料に関しては以上です。

○中村分科会長 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をいただくわけですが、その前に「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会」の委員でもあられ、また今回の見直し案を検討いただきました八橋先生に今回の見直す根拠となりましたエビデンスについて、ご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○八橋委員 資料 1-2 をご覧ください。次ページに「肝硬変患者の生命予後の検討」という報告書があります。これは私のほうで作成した資料です。肝硬変患者の生命予後に関しては国内外で文献数が限られています。肝癌患者さんの文献は多いのですが、そういう意味で、これは前向きでデータを取りました。

 ポイントとなるのは図 2 です。報告書では見づらいので、 10 ページの図 2 Child-Pugh 分類別肝硬変患者の観察開始時と 3 年後の病態と予後」という図表をご覧ください。 Child-Pugh 分類は、 50 年前に作られた肝疾患患者の重症度を見る指標で現在も用いられています。

 具体的に説明しますと、 Child-Pugh 分類 C は、肝移植の適応基準でもあり、生命予後は悪いと判断されますし、いろいろな薬剤も Child-Pugh 分類 B では使用できないなど薬剤の適用を決める上でも Child-Pugh 分類 A B C が用いられています。今までは Child-Pugh 分類 C の方が身体障害手帳の対象でした。生命予後に関して Child-Pugh 分類 C の方の 3 年後に 7 割の方が亡くなられ、 10 %の方が Child-Pugh 分類 C のままで、 20 %の方が C から B に改善しましたが、 A まで改善した方はおられないということで、生命予後の悪い病態であることが理解できます。

Child-Pugh 分類 B の方の 3 年後には、 30.8 %の方が亡くなられ、 20.5 %の方は Child-Pugh 分類 B から C に悪化し、 35.9 %の方が Child-Pugh 分類 B のままでした。 B から A に改善された方は 12.8 %で、一部に改善する例はありますが多くの症例はそのままか、悪化しています。 Child-Pugh 分類 B でも 3 年以内に 30 %の方が亡くなっています。

Child-Pugh 分類 A を見ていただくと、 A の方の 3 年後には、 76.4 %が A のままでしたので、 A B の間に大きな病態の違いがあることが分かりました。これらの結果から今までは C の方だけが身体障害者手帳を受給できましたが、 B まで適応を広げることが妥当であろうという検討会でのご意見をいただいた次第です。また、 B まで進行すると、その多くの方は症状が固定しているということもご理解いただけるかと思います。

 次に QOL のことをご説明したいと思います。資料 1-2 30 ページに「 C 型肝炎ウイルスによる慢性肝疾患の Health Related QOL の測定」という文献の図表を拡大したものがあります。 SF-36 のスコアになりますが、そこに●と■と◆の印があります。●は慢性肝炎、■は肝硬変の中で Child A 、◆は Child B です。見ていただけばお分かりになるかと思いますが、慢性肝炎と Child A QOL は同等ですが、 Child B で有意に低下していることが分かります。

 次ページに、 QOL の評価指標として EQ5D を用いたものを示しています。最近、医療経済の観点から効用値という概念が用いられています。この効用値は異なる疾患での比較が可能なことから、最近このような数字が用いられるようになりました。英語で恐縮ですが、青で書いた所が肝疾患に関連した所で、 0.47 0.64 という数字が書かれています。効用値は全く健康な方は 1 で、死亡するような状態の方で 0 となります。 0 1 の間にいろいろな疾患の効用値が存在します。

 具体的にご説明します。 33 ページの表ですが、「様々な健康状態の効用値」が左側に書かれており、右側に「非代償性肝硬変患者の効用値」が書かれています。これは新潟医療福祉大学の医療経済 QOL 研究センターの QOL データベースから引用しました。インターネットでも検索することができます。

 左側の表には、完璧な健康が 1.00 、死が 0.00 とあります。上から見ますと、身体障害者手帳の対象となる透析患者さんが 0.754 という効用値、視力障害の方で 0.1 0.66 、脳外傷や脊損の方で 0.63 0.32 、失明された方で 0.26 という効用値です。

 右側の表に書き示したのが B 型肝炎の非代償性肝硬変患者、 0.722 というのは、国立病院機構病院で調査をおこなった肝疾患患者さんの QOL です。この青色のものは文献上のものですが、特に腹水有りとか、肝性脳症有りの場合は 0.56 0.47 と報告されています。左右の効用値を比較しますと、脊損退院時の方と同程度に非代償性肝硬変患者さんの QOL が低下しているということが改めてわかりました。

Child B の方の病態の基本は不可逆的であり、生命予後も不良で進行性であること、 QOL Child B から低下しているということが分かりましたので、患者の皆さんからの強いご希望も踏まえて、今回、肝疾患患者の身体障害者基準を見直していただきたいと思っています。以上です。

○中村分科会長 ありがとうございました。以上、事務局の説明及び八橋委員からの説明を踏まえて、今回の肝臓機能障害の認定の基準、認定の要領、疑義解釈、診断書・意見書の見直し案が今、提案されたわけですが、ご質問、ご意見があればお願いいたします。

○田口委員 資料の 7 ページに、表 3 の「観察終了時の患者背景」という表がありますが、この中で、最終転帰の中の死亡というのが 37 例で、その内訳として、肝癌で 15 例、肝不全で 5 例、他病死で 12 例、不明が 4 例ということなのですが、結局この肝硬変の場合に、要するに肝不全で死亡するというのが 1 つの死因だろうと思いますし、もう 1 つは肝癌が発症してそれで死亡するということで、その辺りの話は納得がいきますが、他病死ということについて、これがこの病気に起因しているものかどうかということについてはいかがでしょうか。

○八橋委員 一部には肝疾患と関連のないものもありますが、感染症などは、肝硬変になると免疫不全状態となりますので、その場合には他病死の中に分類しています。肝疾患患者さんの死因に関しては 6 割前後が肝疾患関連死で、それ以外が肝疾患以外ですが、全く関連していないかというと、その判断はなかなか難しいと思っています。

○中村分科会長 ほかにございますか。ポイントとなるのは障害が永続性かどうかということと、その障害の ADL 等も含めたものが、ほかの疾患の身体障害者の基準と照らして適切であるかどうかということが大事な点かと思います。それぞれ専門が別の委員の方々におかれても、少しその辺りの判断もお願いできればと思います。

○八橋委員 今まで Child C の方が対象で、今回 B まで対象を広げるということですが、 1 級から 4 級までを規定する QOL の指標項目に関しては従来と同じで変更していません。その理由は、数年前の委員会で QOL に関しては他疾患との関連を考えて構築したものであることから、変更しないことが妥当と判断しました。両方の基準を満たさないと等級が決められないことから Child B C の方を対象とした上で、あと、 QOL の指標が 10 項目ありますので、それに応じて、 1 級から 4 級に判定するということです。

 また、 Child B の方は 87 %の方で症状が固定していましたが、 13 %の方で症状が改善していました。肝機能障害は内部障害ですので症状には多少変動があります。それがほかの疾患との違いだろうと思います。今回、そのような状況も踏まえた上で、再認定の基準を新たに設けました。症状が改善された方は対象から外れていくという仕組みにしていますので、その点も踏まえて、今回の改正案が作られたことをご理解いただきたいと思います。

○中村分科会長 ありがとうございます。今、重要な点の補足を頂きました。いかがでしょうか。よろしければ、各委員から少しずつコメントを頂けたら有り難いのですが、こちら回りからでもよろしいでしょうか。早川委員、いかがでしょうか。

○早川委員 私の担当している排尿障害、著しい排尿障害、あるいは直腸障害も入っていますが、そういう障害の永続性に基づく認定と比較しても、肝機能障害では分類BからAへの改善は1割程度と低いこと、それから、 QOL がかなり落ちるということ。あとは、今回の B も更に進行して C となり、死亡率もかなり高いということを考えると、重症度や生活の質の障害に関して他の疾患の認定と遜色がないし、非常に適切だろうと思っています。

 ただ、尿路の場合は 6 か月以上たってから認定ということですが、肝機能障害認定では重症度の評価がより短い間隔でなされる、 3 か月ですか、これはやはり進行が早い、あるいは死亡率が高いということから、この間隔を設定したと考えてよろしいでしょうか。

○八橋委員 そうです。

○早川委員 以上です。

○中村分科会長 ありがとうございます。林委員にお聞きしてもよろしいでしょうか。

○林委員  Child B を認定の対象とするということは大変よく分かりました。この適応拡大した場合、どれくらいの認定患者さんの増加が見込めるのでしょうか。

○高山課長補佐 この基準になった場合にどれくらい増えるのかについては、現行で目安となるようなデータがない状況で、どれくらい増えるということはなかなか試算が難しいところです。

 今回、八橋先生の報告書で、その患者数の記載がありますが、一応、それを見ますと、 Child-Pugh 分類 C の患者さんに比べて、 B の患者さんは 3 倍から 4 倍ぐらいの数にはなってはいますが、それが全国的な傾向を全て反映させている数字かどうかについては何とも言えないところがあります。結論としては、どれくらい増えるのかについては、今のところは分からない状況ということです。

○中村分科会長 林委員、よろしいでしょうか。

○林委員 はい。

○中村分科会長 前田委員、コメントをお願いします。

○前田委員  QOL も加えて検討していただいて、非常に適切な基準ではないかと考えております。

○中村分科会長 ありがとうございます。奥野委員のほうに行ってよろしいでしょうか。

○奥野委員 今現在、肝移植が行われている例数はどのくらいのものなのですか。ここに、 7,125 人中、肝移植を行ったのは 4,059 人とありますが、そんなものなのだと考えてよろしいのですか。

○高山課長補佐 今回、既に認定をされている患者さんの中で、どれくらいの方が肝臓の移植を受けているのかに関しては、今回のこの報告書の中の 5 ページ目をご覧ください。 1 つ目の○の所に「肝臓機能障害の認定と障害福祉サービスの利用状況について」という項目があります。そこの 1 つ目のポツの、肝臓機能障害で新規に身体障害者手帳を交付された方のうち、 1 級認定者の約 6 割が肝臓移植を受けたことによる認定であったということです。 1 級でこの認定を受けられた方は、平成 25 年度末時点で 5,672 人いますので、その 6 割の方が肝臓移植によって受けられたということになります。

○奥野委員 これは B の方も含めることによって、この数が増えるということは十分に考えられるのですか。

○高山課長補佐 はい。この Child B の方で肝臓移植の適用になられた方については、認定を受ける前に移植を受けられれば 1 級ということで現行どおり認定をされることになります。

○奥野委員 分かりました。経過が結構早そうなので、この案については私は妥当だと思います。

○中村分科会長 ありがとうございました。白川委員、お願いいたします。

○白川委員 大変詳細にご説明いただきましたので、今回の改正点については大変妥当なものと考えます。

 少し知識が足りないので、今は新薬がいろいろと、特に抗ウイルス薬が開発されていると思うのですが、見通し的にはやはりこういう、例えば肝硬変患者の観察開始で 3 年後の予後といったものが大幅に改善する見通しはあるのでしょうか。

○八橋委員 現時点では適用がないのですが、海外では開発が進められています。もちろん、それが適用になると改善する余地があります。そういう状況も予想して、今回、再認定の基準を設けたというようなことです。

 海外のデータを見ますと、抗ウイルス薬の治療開始 3 か月以内に症状が改善する方もおられるようです。適応が広がれば生命予後の改善は期待できると思います。

○白川委員 ありがとうございます。

○中村分科会長 ありがとうございました。白阪委員、お願いいたします。

○白阪委員 非常に詳細に調べていただいていると思いますし、 Child-Pugh C に匹敵するような B の予後が悪いということもこれでよく分かりました。 HIV の患者さんにも重複感染者は非常に予後が悪いのは経験しているところですし、ご説は非常にもっともだと思います。特に異論はございません。

○中村分科会長 ありがとうございます。それでは、田口委員、改めてお願いします。

○田口委員 死亡率の検討、 QOL 、経済的な指標、全て非常に客観的に評価されており、非常に妥当な線だろうと考えます。

1 点目が少し気になったのは、今、肝移植の適用について、 Child C が適用ということなのですが、身障者の基準の 1 級で B に下りた場合に、その辺りの肝移植の適用基準というものに影響がないかどうかというのが少し気になったのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○八橋委員 それはないと思います。やはり、移植というのは死が迫った状態が医学的な適用ですので、今回この基準が B まで広がったので、移植の基準まで B まで広がることはないと思います。

○中村分科会長 ありがとうございます。中井委員、よろしくお願いします。

○中井委員 私も非常に適切な変更だと思います。あと、再認定の所で、 1 年から 5 年とあるのですが、これは主治医の判断で何年というのが決められるのでしょうか。

○高山課長補佐  1 年から 5 年の 4 年間のいつに再認定をするのかということについては、診断書を記載する指定医が、その状態を診て判断して何年後に再認定ということを記入することになります。

○中井委員 分かりました。何かこの 3 年後のデータで 12 %しか改善していないことを見ると、 3 年というのがすごく適切な判断であると思いました。いずれにしても B を含めるというのは本当に妥当なデータだと思いましたので、賛成であり異議はありません。

○中村分科会長 どうもありがとうございました。全委員から、この見直し案について賛成のご意見を頂きましたので、身体障害認定分科会として了承ということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○中村分科会長 それでは、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。

 続いて 2 つ目の議題です。呼吸器機能障害の認定要領等の見直しです。これは現行の呼吸器機能障害の認定要領等が現代の医学の水準に見合っていないという日本呼吸器学会からの意見を踏まえて見直しを検討するものです。資料について事務局からご説明をお願いいたします。

○高山課長補佐 資料 2-1 と資料 2-2 を同時にご覧いただければと思います。資料 2-1 が呼吸器機能障害の「認定要領」の改正案で、資料 2-2 が「診断書・意見書」の改正案です。いずれも新旧対照の内容となっており、右側に現行、左側に改正案をお示ししております。

 まず、資料 2-1 です。見直すポイントを赤字で示しております。 2 ページ目です。認定するに当たっての呼吸器の機能障害の状況、所見に関する内容になるのですが、オの「指数の算出」です。指数というのは認定基準で認定をする際の参考の数値の 1 つですが、現行は予測肺活量 1 秒率を指数として定めております。この指数の算出については「ノモグラムを用いて正確に行うこと」と現行はされています。このノモグラムについてはご存じの先生方もいらっしゃるかもしれません。資料 2-2 3 ページの現行の所に目盛の書いてある図があります。これがノモグラムでして、この図の年齢・性別、予測肺活量、身長、 1 秒量などいろいろ項目がありますが、それぞれに該当する数値に点を記入していただき、それに直線を引っ張って、この最後の指数のラインに交差するポイントを指数として算出するという大変アナログなやり方を現行でも行ってきております。しかも、このノモグラムによる算出の方法については、 1948 年のアメリカの少数の事例から作られた算出方法だと聞いておりますが、算出の方法としてはかなり古くなってきていて、しかも日本人の体形なり病状に合っていないということを以前からご指摘を頂いてきたところです。

 それに代わりまして、日本呼吸器学会からご提案いただいたのが、資料 2-1 2 ページ目の左側の改正案です。赤字で書いてある所ですが、 2001 年に日本呼吸器学会から発表されている「日本のスパイログラムと動脈血ガス分圧基準値」に関する肺活量予測式における予測肺活量を用いて算出するという案としております。これは日本呼吸器学会から 2001 年に発表された予測肺活量の算出方法なのですが、基本的に日本人のデータを用いて作られた算出の方法だということで、基本的には呼吸器の専門医の先生方はこの計算式を用いての評価を現場では行っていることが多いと聞いております。これが見直しのポイントの 1 つ目になります。

 資料 2-1 3 ページの (4) をご覧ください。呼吸器機能障害の認定における活動能力の程度の評価に関する所です。これは診断書の様式で見ますと資料 2-2 1 ページです。 2 番の「活動能力の程度」という所で、赤字でアからオまで 5 つ、評価の指標が記載されております。このアからオまでの現行の評価の内容は、いわゆる Hugh-Jones の分類に準拠しているもので、この Hugh-Jones については、確かに呼吸器機能障害で用いられることは現在でもあるのですが、この内容としては、純粋な呼吸器機能障害における息苦しさを指標としたものというよりも、身体活動能力全体の程度を評価した内容となっています。例えば、このアからオのうちのア及びイの 2 項目については特段、呼吸器に関係する評価が記載されていない。息苦しさ、息切れなどが評価の中に特段記載されておりません。例えば、運動器に何らかの障害のある方に関しても、ア及びイに該当する可能性があるというところで、純粋に呼吸器機能障害の指標を用いるべきだというご意見を頂いておりました。

 その見直し案が資料 2-2 1 ページの左側です。「活動能力の程度」ということで、アからオまで新しい指標を記載しておりますが、これは呼吸器機能障害における息切れの程度で評価しております。国際医学的にもよく用いられているということで、修正 MRC に準拠したものです。アからオまでは基本的にこの MRC の内容に沿った内容に見直すべきという案を頂いております。

 その MRC に準拠した内容に加えて、資料 2-1 3 ページの (4) の真ん中辺りに赤字で、「例えば、 6 分間歩行試験時の酸素飽和度最低値の測定」という項目が記入されています。これはどのようなことかと申しますと、呼吸器機能検査の成績、結果に比べて患者さんの活動能力の低下という、結果に「食い違い」など乖離が見られる場合には、「何らかの検査」を行って活動能力の低下を説明できれば、等級認定をすることができるというような現行の記載となっているのですが、この「何らかの検査」が一体何なのかということについて今まで記載がなされていない状況でした。このように、呼吸器機能検査の成績と身体活動能力の低下との間に乖離が見られる場合、例えば間質性肺炎などの拘束性障害も考えられるということから、この「何らかの検査」については、拘束性障害も測定可能な「 6 分間歩行試験時の酸素飽和度最低値の測定」ということを新たに加えるという見直しの内容となっております。以上が今回の呼吸器機能障害の「認定要領」及び「診断書」における改正のポイントになります。事務局からは以上です。

○中村分科会長 ただいまの説明について、ご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いします。

○早川委員 ちょっとお聞きしたいのですが、私は専門外で知識がないのですが、「活動能力の程度」という所で、息切れを入れていただいたというのは納得したのですが、昔からよくコールプロモナーレというのですか、心機能障害がかなり強いときに、こういう同じような症状が出るということはないのでしょうか。循環器障害というのですか、そちらのほうに引っ張られるということがないのか。ほかのものはデータがいろいろあるのでしょうけれども、私はよく分からないので、その辺りをご説明いただければと思います。

○中村分科会長 これは循環器内科の先生、いかがでしょうか。

○中井委員  New York Heart Association みたいなものですよね。かなり重なる面はあると思うのですが、ほかの換気機能をきちんと記載する面があるので、心不全とは違ってくると思います。ほかの換気機能も含めて補助的に使えば、呼吸器機能として適切な評価ができるのではないかと思います。これは基準を全て満たしたときだけ認められるということですよね。活動能力プラス換気機能を含めたきちんとした評価になると思います。

○高山課長補佐 はい。この呼吸器機能障害については、認定基準を変えるものではなく、評価の仕方を古いものから新しいものに代えるということです。認定基準そのものは従前どおり。

○中井委員 こちらを使うということですね。

○高山課長補佐 ということです。

○中井委員 分かりました。それであれば、呼吸器の評価として適切だと思います。

○中村分科会長 早川委員、よろしいでしょうか。

○早川委員 分かりました。

○奥野委員 私も専門が全く違いますので、素人の意見なのですが、「活動能力の程度」の改正後と現行はアイウエオで一応対応されているのですが、例えばエを見ると「ゆっくりでも少し歩くと息切れがする」というのが、「平坦な道を約 100 m、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる」と、改正後のほうが非常に具体的なような気はするのですが、これは 1 1 に対応させていますが、対応するものなのでしょうか。

○高山課長補佐 現行のアからオと改正案のアからオが、評価として完全に基準が一致するかどうかについては、見方によるところはありますが、 1 1 で全く評価の程度が変わらないというところまで、呼吸器学会の先生方から評価をいただいているところではないのが現状で、この新しいアからオ全体を見て、認定基準なり評価なりがどれぐらい変わるのかということを、一応、研究などでデータを収集していただいたことがあります。これが参考資料 3 になります。参考資料 3 に、呼吸器学会からの要望書と研究の報告書があります。「呼吸器機能障害の身体障害認定に関する研究」ということで添付されています。この中で、修正 MRC 、今回の新しい活動能力の程度と、呼吸器学会から 2001 年に発表された指標の計算式の両方を用いた場合でのデータにはなってしまうのですが、それを用いた場合、現行とどれぐらい認定される患者さんの数が変わるのかということを計算していただきました。結論としては、右下に 5 と書いてあるページの「研究要旨」の真ん中辺りに、「判定等級上位移行例は JRS2001 を用いた場合で 3.5 %」ということで、要するに、今回の見直しで数パーセント以内、 5 %以内の変動になるでしょうということを確認は頂いているところです。ですので、この「活動能力の程度」のアからオまででどれくらい変動になるのかというところまでは、申し訳ありません、まだ調査などがなされていませんが、今回の 2 つの見直しをした場合の変動については 5 %以内に収まるということは確認をいただいているところです。

○中村分科会長 これは新たに考えたのではなくて、修正 MRC という分類が既にあるわけですね。そちらへ変更しようということですね。

○高山課長補佐 そうです。

○中村分科会長 呼吸器内科のところでも確かに、 12 ページですか、「活動能力の客観評価も今後の重要な課題である」ということになって、「現時点では修正 MRC スケールの普及と厳密な適用を広めていくことが先決である」というのが呼吸器内科からのご要望であったということだろうと思います。

○林委員 私の立場は、今、呼吸器学会の学会員なのですが、この改正に私自身、直接は関与しておりません。ただ、一般的な呼吸器学会、呼吸器内科医が多いのですが、この活動度の基準は、従来は先ほどご説明があったような Hugh-Jones の分類が普及していたわけです。しかし、ご指摘があったような問題がいろいろあり、あらゆる申請書が、例えばじん肺の基準、肺移植の申請書がこの修正 MRC に変わってきております。ですから、この障害の申請書だけが現在取り残されたような状態になっており、他のものとの整合性という点で提示された案のように変更していくほうが妥当と考えます。

○中村分科会長 ありがとうございます。奥野委員、今のご説明でよろしいですか。

○奥野委員 はい。

○中村分科会長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。

 事務局のほうへ、私のほうから 1 つよろしいでしょうか。呼吸器内科の要望書の 3 ページでしょうか。全体を通して 7 ページの所に予測肺活量が 3 通りの方法が書いてあり、今回は JRS2001 ということになっております。グラフを見ると、次のページに Baldwin JRS2001 JRS2013 2 つ出ているわけですが、この JRS2001 であって JRS2013 でない理由はどういう。どうして 2001 が選ばれたかということはどうでしょうか。

○高山課長補佐 これは呼吸器学会のご担当の先生から聞いた内容によるものですが、この JRS2013 については、まだ今のところ、完全にオーソライズされて完成された状態ではないということで、今後その内容が変わり得ることもあるので、今のところ 2013 よりも、直近でしっかりと固まっている内容である JRS2001 を用いることが適切と思われるということを聞いております。

○中村分科会長 分かりました。ありがとうございます。ほかに、この呼吸器に関していかがでしょうか。申し訳ありませんが、林委員のほうから、改めてこの案はいかがでしょうか。

○林委員 今の必要性、それから基準値の日本人に対する適正性などを考慮して、この改正案には、基本的に私は、もちろん賛成しております。

○中村分科会長 ありがとうございます。それでは、ほかの委員の先生方もよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○中村分科会長 ご異論等なければ、この見直し案について、この分科会として了承ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、最後の議題です。「その他」ということですが、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の疑義解釈の見直しについて、報告ということですので、事務局より報告をお願いいたします。

○高山課長補佐 資料 3 です。今回、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の、厚生労働省から自治体向けに出している疑義解釈の一部を変更することをご報告させていただきます。

4 ページの 8 番の疑義です。これは身体障害者手帳を交付されている HIV による免疫機能異常の方に関してなのですが、その後、更生医療を受けるということ。更生医療というのは、身体障害者手帳をお持ちの方が、公費などで医療を受けられるようなものとなっているのですが、具体的には、抗 HIV 療法、抗 HIV 薬を内服するということが該当します。その適用によって障害の程度が変化することが予想される場合については、ほかの障害と同様に再認定を付記し、等級変更を実施することとして取り扱ってよいかという疑義になります。要するに、抗 HIV 療法によって状態が回復された、改善傾向にあるという方が、この認定基準を満たさなくなる。要するに、それよりも程度が軽くなったような状況が生じた場合、再認定を行う必要があるのか、実施してよいのかというような疑議です。

 それに対する回答、これは現行ですが、「抗 HIV 療法を継続実施している間については、この障害の特性を踏まえ、原則として再認定は要しない」、再認定をする必要はないと原則として回答しております。赤字の所ですが、「ただし、治療の経過から、抗 HIV 療法を要しなくなると想定される場合については、再認定を付記することは考えられる。その場合、抗 HIV 療法を要しなくなった後、改めて認定基準に該当する等級で再認定を実施することとなる」ということを書いています。要するに、抗 HIV 療法を必要としなくなるような場合には再認定を行うことはあり得るというようなことが、現行の疑義解釈となっております。

 今回見直そうと考えている所は、このただし書き以降の赤字の部分です。まず、この前提として「抗 HIV 療法を要しなくなると想定される場合」ということで書いているのですが、この抗 HIV 療法については、抗 HIV 薬を内服された患者さんは基本的にずっと一生飲み続けるということがこの治療法の基本であるということを伺っております。ですので、この疑義解釈に「抗 HIV 療法を要しなくなると想定される場合」と書いてあるのですが、基本的にはそのようなことはあり得ないということになります。ですので、無用な誤解などを生じさせないためにも、ここのただし書き以降については削除したほうが適切ではないかと考え、今回、見直すことを考えているところです。以上がご報告になります。

○中村分科会長 この改正についてのご説明にご意見、ご質問等ありましたらお願いいたします。

○白阪委員 お手元に、参考資料でガイドラインを付けていただいていますが、その中に書いてあるように、今、ご説明があったとおりです。 HIV 感染者は、治療すると、一見、 CD4 は回復したりするようなことが観察されるのですが、これは、今の治療法が登場した 1996 年頃にデビッド・ホーという学者が 3 年半治療すれば治るかもしれないということを言ったことがあるのです。その後、専門家が精査した結果、 HIV が感染する細胞には静止細胞という、分割しない、メモリー細胞と言いますが、そういうものがいることが分かり、その半減期を調べると、大体、少なく見積っても 60 年、その後、再試では 72 年という結果が出ており、現在では、やめてはいけないとガイドラインで明記しています。ですから、ここで今、削除していただくのは非常に適切で、間違って、これによってやめるということはあってはならないことだというのは、現在の考え方というか、現状です。

○中村分科会長 どうもありがとうございました。今、白阪委員から詳しく現状のご報告を頂きましたが、ご質問等ありますか。特段なければ賛成ということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○中村分科会長 それでは、分科会として了承したということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 以上で 3 件の審議が終了いたしました。事務局のほうからお願いいたします。

○高山課長補佐 本日はお忙しい中、 3 つの議題についてご審議いただき、誠にありがとうございました。今後についてなのですが、今回ご審議いただいて、了承いただいた内容については、来年度の施行を目指して、パブリックコメント及び通知改正の手続を進めていく予定としております。順調にいけば、来年度 4 月からの運用ということを考えております。事務局からは以上です。

○中村分科会長 それでは、これで閉会といたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところを、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省社会・援護局保健福祉部障害企画課人材育成・障害認定

03-5253-1111(内線3029)

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