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2015年8月7日 肝臓機能障害の認定基準に関する検討会(第3回) 

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年8月7日(金) 16:00~18:00


○場所

中央労働委員会会館7階 講堂


○出席者

中村耕三座長、坂井田功構成員、高見裕子構成員、田中純子構成員、持田智構成員、八橋弘構成員

○議題

(1)肝臓機能障害の認定基準について
(2)その他

○議事

 

○中村座長 ただいまから、「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会 ( 3 ) 」を開催します。皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局より、本日の構成員の出席状況、資料の確認をお願いします。

○高山課長補佐 構成員の出席状況ですが、本日は全員の構成員にご出席いただいております。では、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の表紙が議事次第となっていまして、その次に座席表、そして資料 1 ですが、これは前回検討会で座長より指示のありました「肝臓機能障害の認定基準に関する論点」を事務局でまとめた資料です。続いて、資料 1- 参考資料を別冊として閉じております。続いて資料 2 ですが、これは八橋構成員からご提供いただいた資料で、様々な疾病、健康状態での効用値に関する資料をご提供いただきました。続いて資料 3 ですが、こちらは持田構成員からご提供いただいた資料で、肝臓機能障害患者の QOL に関するデータ、特に Child-Pugh 分類の点数ごとのデータの資料です。そして、参考資料として、本検討会開催要綱と委員名簿を付けています。なお、構成員の先生方の机上には、第 1 回および第 2 回の本検討会の資料をとじて配付しております。資料は以上ですが、お手元に足りない資料などがございましたら、事務局にお申し付けください。資料の確認については、以上となります。

○中村座長 どうもありがとうございました。それでは、本日の議事に入ります。 1 つ目の議事ですが、「肝臓機能障害の認定基準について」を議論いただきます。第 1 回と第 2 回検討会で議論いただいたことなどに基づいて、肝機能障害の認定基準の論点を事務局に整理していただきました。それが資料 1 になるわけです。

 また、前回検討会で肝機能障害者の QOL について、八橋構成員から資料を提供いただきましたが、今回は更に他の疾患などの QOL に関する資料を、八橋構成員から資料 2 ということで提供いただいています。さらに、前回検討会で Child-Pugh 分類の 7 点と 8 点では、病状が異なるのではないかというご意見を持田構成員からいただきましたが、それに関する資料を持田構成員から資料 3 ということでご提供いただいています。

 資料 1 3 までは関連する内容ですので、事務局から資料 1 について、八橋構成員から資料 2 について、持田構成員から資料 3 について、続けてご説明をお願いします。資料 1 についての説明を事務局からお願いします。

○高山課長補佐 資料 1 をご覧ください。肝臓機能障害の認定基準に関する論点をまとめた資料です。 1 ページ目は、これまでの経緯です。そもそも肝臓機能障害が身体障害者の認定の対象に加わったのが、平成 22 4 月からでした。その当時の基準が現在も続いているわけですが、その内容としては、血液検査などの値に応じた分類、 Child-Pugh 分類において、最も重いグレード C に該当する方が対象という基準としています。これに日常生活の制限の程度も勘案して、等級を 1 4 級に分けています。

 平成 22 年度から導入された本基準ですが、平成 22 年度から 25 年度まで肝臓機能障害の認定を受けられた方の合計が 6,787 人で、級ごとの内訳は 1 級が 5,672 人、 2 級が 627 人、 3 級が 317 人、 4 級が 171 人という状況でした。

 しかしながら、本基準について、患者団体などの関係団体から、 Child-Pugh 分類 C が基準ということが厳し過ぎるのではないか、 Child-Pugh 分類 B の患者であったとしても、日常生活の制限が長期間続いている実態がある、というご意見をいただいていたところでした。

 それを受けまして、平成 26 年度に厚生労働科学研究費補助金事業で、八橋構成員にご担当いただきまして、「肝硬変患者の生命予後の検討」という内容の研究を実施していただきました。その研究結果を基にして、今年 5 月に「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会」を開催したというこれまでの経緯です。

 この検討会で様々なご議論をいただいたところですが、その内容として、現在の肝臓機能障害の認定基準の評価をしていただきました。それに関しては、平成 26 年度に八橋構成員によって研究いただきました、「肝硬変患者の生命予後の検討」の内容を基にして評価いただいたところです。この研究報告書については、第 1 回検討会にて資料として提示させていただきましたが、今回の資料 1- 参考資料の 3 12 ページに再度、添付しております。

 その研究報告書の要点ですが、 Child-Pugh 分類 C の患者の 3 年目の累積生存率は 30.7 %と低く、残りの約 7 割の方が 3 年以内に亡くなっていたという実態でした。また、 Child-Pugh 分類 B の患者の 51.3 %が、 3 年後に亡くなる若しくは Child-Pugh 分類 C に移行するなどして悪化をしていたことが、調査によって分かりました。そして、現行の認定基準をそのまま継続した場合、福祉サービスを受給できる方およびその期間は、限定的になるのではないかという考察をいただいたところです。また、 Child-Pugh 分類 B C の病態については、基本的には不可逆的であって、その中から Child-Pugh 分類 A に改善する方は少ないものと考えられるということでした。

 続いて、肝臓機能障害の認定と障害福祉サービスの利用状況について、事務局で調査した内容です。これは第 2 回検討会で資料として提示させていただいたものですが、今回の資料 1- 参考資料の 13 15 ページに同じ資料を添付しております。これは事務局が今年 6 月に指定都市および中核市の中から 12 市を選びまして、調査を行ったものの結果です。

 その要点ですが、肝臓機能障害で新規に身体障害者手帳を交付された方のうち、 1 級として認定された方の約 6 割が肝臓移植を受けたことによる認定であったことが分かりました。

 肝臓機能障害の手帳の交付を受けられて、その認定期間、すなわち手帳を持っていらっしゃる保有期間については、平成 22 年度に交付を受けた方のうち、交付から亡くなるまでの平均期間が、肝臓移植を受けていない方については約 300 500 日間であったということでした。平成 22 年度から 26 年度までで、肝臓移植を受けられていない方の亡くなられる割合については、認定等級にかかわらず約 60 %でした。

 そして、肝臓機能障害で認定を受けられた方のうち障害福祉サービスを利用されている方の割合は約 1.9 %という状況でした。また、年間 1 人当たりの障害福祉サービスの利用平均額は 899,000 円でした。これは第 2 回で提示した資料の中で、肝臓機能障害で必要とされるサービスとは関連性が低いと思われる、例えば、共同生活援助や補装具の費用を受けられていた方。これは知的障害や視覚障害により利用されていたとのことでしたので、肝臓機能障害が直接関係しないと思われるサービスの給付額について除いた平均額が、 899,000 円となりましたので、その数字を掲載しています。肝臓機能障害で認定を受けられた方が利用する障害福祉サービスの内容ですが、主には居宅介護、就労支援、障害児の通所支援でした。

 肝炎疾患患者の QOL についてですが、これは前回の検討会で八橋構成員からご提供いただきました資料の内容です。そのときの資料を資料 1- 参考資料の 16 18 ページに添付しております。その内容の要点ですが、 QOL を測る指標、このときご提供いただいた資料では SF-36 スコアが用いられていましたが、その中で身体機能、身体の日常役割機能、全体的な健康感、活力、社会生活機能、精神の日常役割機能といった項目に関して、 Child-Pugh 分類 B の患者の方が、慢性肝炎、 Child-Pugh 分類 A の患者よりも有意にスコアが低下していたことが、データによって示されています。

Child-Pugh 分類 B の患者の EQ5D 効用値については、 0.5 0.6 という数字でして、他の疾患と比べると、本検討会での議論の中で八橋構成員から情報提供がありましたが、関節リウマチで 0.8 、脳卒中後のリハビリの実施者で 0.5 ということで、リハビリが必要な他の疾患と近い値であったということでした。

 以上のような事実、また評価を基にして、肝臓機能障害の認定基準の見直しの方向性について論点を 3. でまとめました。基本的な考え方ですが、 Child-Pugh 分類 B の患者は、同じく Child-Pugh 分類 C の患者と同様にその病態が基本的に不可逆的であるということ、 Child-Pugh 分類 A にまで改善する例は少ないということから、長期の療養を要すると考えられるのではないかという点です。

Child-Pugh 分類 B の患者の QOL については、同じく A の患者よりも低く、日常生活において相当程度の制約があり、障害福祉サービスなどの支援を必要としている例も見られるのではないかという点です。

 以上のことから、肝臓機能障害の認定基準として、 Child-Pugh 分類 B の患者のうち、日常生活上の制約が相当程度ある方を対象とする方向で検討してはいかがという考え方です。

 具体的な認定基準に関する論点ですが、 Child-Pugh 分類 B 7 9 点となっておりますが、認定基準においては何点以上を対象とすべきかという点です。そして、現行の 1 級および 2 級の認定基準では、 Child-Pugh 分類の評価項目について「血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち 1 項目以上が 3 点」としていますが、 Child-Pugh 分類 B にまで対象を拡大する場合、この基準についてどう考えるかという点が論点になるかと思います。

 同じく現行の認定基準では、日常生活活動の制限を示す項目の該当数が、等級によって分かれています。現行の基準を参考で掲載していますが、例えば 1 級の場合は、 a j のうち 5 項目以上が認められる必要があります。 2 級と 3 級については、 a j のうち特に a g までの 1 つを含む 3 項目以上が認められる必要があります。 4 級については、 a j のうち 1 項目以上が認められる必要があるという基準となっています。

 次に、再認定の要否についての論点です。認定基準を Child-Pugh 分類 B まで含むこととした場合、一部の方においては、状態が改善する事例も想定されるところですが、一定期間後に再認定を求めることについて、どう考えるかという点が論点になるかと思います。

 さらに、新薬によるウイルス除去効果との関係についてですが、今後、 C 型肝炎ウイルスによる慢性肝炎、代償性肝硬変については、新薬によってほとんどが改善されることが期待されると思われます。その場合、 Child-Pugh 分類 A から B C への移行は、この新薬によってかなり防止されるのではないかと見込まれます。認定基準案を検討するに当たって、そのことについてどう評価するのかという点です。

 最後に、他の障害認定とのバランスですが、非代償性肝硬変患者の QOL については、 SF-36 EQ5D 効用値のデータを勘案すれば、日常生活に相当程度の制約があると考えられるのではないかという点です。

 なお、資料 1- 参考資料について、 1 点追加でご説明させて頂きますが、 19 ページ以降に障害年金の認定基準を添付しております。昨年度に障害年金の肝機能障害に該当する部分について、一部改正が行われましたので、新旧対照表および現在の新しい基準について参考として付けています。資料 1 の説明については以上となります。

○中村座長 以上、よろしいですか。分かりました。ありがとうございました。資料 2 について、八橋構成員からご説明をよろしくお願いします。

○八橋構成員 資料 2 についてご説明をします。最初に、「非代償性肝硬変患者の効用値」を見てください。平尾研究班で報告された効用値の代表的なものをピックアップしています。読み上げますと、 B 型肝炎非代償性肝硬変の効用値は 0.722 C 型肝炎非代償性肝硬変は 0.671 。非代償性肝硬変は 0.64 、これらは文献から得られた効用値です。腹水有りが 0.56 、肝性脳症有りが 0.47 という値で、この数字自体は既に報告したものと同じです。

 次に「様々な健康状態の効用値」をご覧ください。この引用元は、新潟医療福祉大学、医療経済 QOL 研究センターの QOL データベースです。日本人におけるデータであり、 EQ5D で算出され、「非代償性肝硬変患者の効用値」とは同じ方法で計算された効用値になります。

 上から順に読むと、脳外傷退院時が 0.8 、透析患者が 0.754 、視力 0.1 はアメリカでの法的失明に相当するそうですが 0.66 、脳外傷入院時が 0.63 、脊髄損傷退院時が 0.62 、在宅脳卒中が 0.57 、頸椎損傷退院時が 0.47 、脊髄損傷入院時が 0.42 、頸椎損傷入院時が 0.32 、失明が 0.26 、死亡が 0.1 ということです。おおよそですが、肝疾患患者と他疾患との比較をするために、その高さというか、数字を配置している所を、そのレベルと見ていただきたいと思います。

 データベースに 60 数種疾患が書かれてあるのですが、明らかに身体障害と関係している疾患としては透析患者の 0.754 があります。あとは、四肢麻痺とか、そういうことに該当するかと思いますが、それで脊髄損傷とか頸椎損傷という数字を引用させていただきました。これで見ますと、透析患者の 0.754 に比べて代償性肝硬変患者の EQ5D は同等かそれより低いという値になりますし、肝硬変患者の腹水有りとか脳症有りの 0.5 前後は、実は頸椎損傷とか在宅、おそらく寝たきりの状態かと思うのですが、その方と匹敵するということで、私もこの比較をしてみて、改めて肝疾患患者の QOL が低下していることを再認識しました。

 これらの数字は、他疾患との比較に使用できるということで算出されています。他の疾患で身体障害を受けておられる方の QOL に比べて、肝疾患患者の QOL がどうかということで、参考となるデータを報告しました。以上です。

○中村座長 どうもありがとうございました。良く分かりました。資料 3 について、持田構成員からご説明をお願いします。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 B でも 7 点、 8 点、 9 点で差異があるかを、 QOL と肝機能の観点から検討した、 2 種類のデータを用意しました。 C 型肝炎に対する新薬が去年の 9 月に登場し、 Child-Pugh 分類が 6 点まで代償性肝硬変は経口薬での治療が可能になりました。埼玉県でも肝炎治療特別促進事業の診断書に Child-Pugh 分類の点数を記載する欄を設けており、今までより頻繁に Child-Pugh 分類の点数を計算する機会が増えました。計算して 7 点の患者さんは治療できないのですが、 6 点の患者さんと肝機能に大差はなく、気の毒に感じることが多々あります。一方、計算して 8 点ですと、治療できないのもやむを得ないかと思うことが多く、 Child-Pugh 分類の中でも点数によって差異があるかを調べる必要があると考え、前回の会議でも提案いたしました。

1 つめの資料は、我々の医局が事務局になって、私の前任の藤原研司先生が研究代表者を担当した厚労省の肝炎等克服研究事業のデータです。肝がん患者の QOL を調査した際のデータベースを用いて、 Child-Pugh 分類の 5 点から 9 点までを点数別に分けて、 SF-36 を評価してみました。特に、肝臓機能障害に関係する釈度としては、日常役割機能が重要と考えられます。過去 1 か月間の仕事や普段の活動での問題がどの程度あったかと問うもので、身体的問題と精神的問題に分けて点数を付けます。 Role Physical RP Role Emotional RE で、左側の図の RP 、身体的問題に関しては、ご覧のように 5 点と 6 点では平均値に大きな差があり、 6 点と 7 点はほとんど差異はありません。また、 8 点になると大幅に低下します。標準偏差は大きいのですが、 5 点と 6 7 点、 8 9 点の 3 群間では有意差が見られました。  RE 、患者の精神的問題については 5 6 7 点とだんだん下がっていますが、これも 5 点と 6 7 点、 8 9 点の 3 群間で有意差がありました。 6 点と 7 点は RP に差がないのですが、 7 点の患者さんは Child-Pugh 分類で A ではなくて B と言われると、精神的には 6 点の方よりも満足度が低くなるのでしょうか。何となく理解できるデータであると思います。このことから QOL に関しては、 Child-Pugh 分類が B でも、 7 点の患者さんと 8 点、 9 点の患者さんは、分けて考えたほうがよろしいのではないかと考えられます。

 一方、肝機能に関するのが 2 枚目のデータです。これは Child-Pugh の点数別に ALBI-Grade という肝機能を評価する指標をみたものです。 ALBI-Grade は、ビリルビンとアルブミン値から肝機能を客観的に評価する計算式で、その数値によって Grade-1 3 に分類します。

Child-Pugh 分類に腹水、肝性脳症などが入っていて客観性に乏しいため、 2 つの肝機能検査値のみで肝予備能を正確に評価する方法として、 ALBI が提唱されています。特に、肝がんの患者では、 Child-Pugh 分類の点数と肝がんの進展度によって JIS スコアを算出すると、そのスコアによって予後が異なることが知られています。 Child-Pugh 分類の代わりに ALBI-Grade を用いて肝がんの進展度とともに予後を見ると、より判別能がよいことから注目されています。

ALBI-Grade に関しては、愛媛県立病院の平岡先生と大垣市民病院の熊田先生が大規模な検討を行っています。 2,584 例で Child-Pugh 分類の点数別に ALBI-Grade を見た成績があります。平岡先生と熊田先生のご了解を得て、今日は成績をご紹介いたします。ご覧いただいてお分かりになるように、 Child-Pugh 分類の点数別に見ると、 6 点と 7 点では差はほとんどないのですが、 8 点になると Grade-3 が増え、 9 点になると Child-Pugh 分類 C 10 点と余り変わりなくなっています。患者さんの予後に関係する肝機能に関する指標で見ても、やはり 7 点と 8 点では差があるのではないかと考えられます。

○中村座長 ありがとうございました。ただいま事務局と八橋構成員、持田構成員からご説明を頂いたわけです。この内容を踏まえて、特に事務局から説明がありました資料 1 3 ページ、「 3. 肝臓機能障害の認定基準の見直しの方向性」が記載されておりますが、ここに、基本的な考え方、具体的な認定基準、再認定の要否、新薬との関連、他の障害とのバランスと課題別に分けております。この順に今までのご説明を踏まえて、ご議論、あるいは構成員のご意見を頂ければと思います。

 まず、今のご説明などを聞いて、第 1 回、第 2 回を踏まえて、基本的な考え方について 3 つ挙がっておりますが、ご意見を頂ければと思います。トーンとしては、 Child-Pugh 分類の B の方も病態は基本的には不可逆的であって、 A になる例は少ないのではないかということです。 2 番目が、分類 B の方は分類 A の方よりも QOL が低く、日常生活において相当程度制限がある。福祉サービスの支援を必要としている例があるのではないか。この点から、基準として、分類 B の患者さんのうち日常生活の制限が相当程度あるものを対象とするという方向ではどうかということですが、ご意見を頂きたいと思います。いかがですか。まず、八橋先生からお願いしたいと思います。

○八橋構成員 持田先生に質問ですが、 QOL の調査結果は、肝硬変と肝がん患者さんですか。

○持田構成員 全例、肝がんを合併している肝硬変の患者さんです。

○八橋構成員 がんのない方の肝硬変というのはまた別になりますか。

○持田構成員 この検討は、肝がん患者の QOL 調査ですので、肝がんのない患者さんの場合は分かりません。

○八橋構成員 ちょっと気になったのは RP のほうです。身体 QOL で、 Child-Pugh 6 点と 7 点に差がないというのはよく分かりました。ただ、 6 点と 7 点のスコアはともに SF36 40 ぐらいと低めです。福原先生のデータを見ると、 Child-Pugh 分類 B SF36 40 前後ですが、 Child-Pugh 分類 A になると 70 前後なので、持田先生のデータの QOL スコア全体が低めなのは、肝がん患者さんが含まれているので低めになっているのではないかと考えました。

SF36 40 というのは、福原先生のデータで Child-Pugh 分類 B に相当するので気になり、私は 40 がどれぐらいの QOL なのかということで、別の論文を調べました。広島大学でインターフェロンをされている方の SF36 のスコアは、投与前は 80 ですが、投与中、従来型のインターフェロンだと思いますが 40 にまで下がります。ですから、私の想像ですが、健康な人が 40 というのを想像する場合、従来型のインターフェロンをエンドレスで投与している状況に似ているのではないかと想像します。だから倦怠感やだるさなどがある。ただ、歩くこともできるし、身の回りの生活もある程度はできるが、 QOL が落ちている。そのレベルが 40 なのかと思いながら読ませていただきました。

○中村座長 持田先生、今の点についてはいかがですか。

○持田構成員 八橋先生のおっしゃるとおりではないかと思います。やはり、肝がんがあるということで、全ての患者さんが、がんのない方よりは数値が少し下がってしまうと思います。しかし、同じようにがんがある患者さんの中で、点数別に比較したのですから、この差は肝機能による差と考えてよろしいのではないかと思います。

○中村座長 他にご質問なり、ご意見はありますか。上段の 2 つが、方向性を考えるための根拠のことです。 3 つ目で方向性が示されているわけです。これについて、今のご質問は 2 番目の QOL に関するものですが、他はいかがですか。基本的方向性がこれでいいかどうか、その根拠が上段 2 つに書いてあるということです。

 具体的に言いますと、 A に改善する人は少ないということで、八橋先生のデータでは 12 %ぐらい、これを少ないという考えでいいかどうかということです。坂井田先生、この辺はいかがですか。

○坂井田構成員 基本的には B で、私もいいのではないかと思います。 10 %改善というのが一部ありますが、あとの再評価とまた絡んでくるかもしれませんが、それがあるのであれば B でいいのではないかと思います。

○中村座長 今のご意見は後の議論になりますが、「再認定の要否」という条件が付くのであれば、 10 %ということがあっても基本は不可逆的であると判定してもいいのではないかというご意見かと思います。高見先生、いかがですか。

○高見構成員 実際、 B から A に戻る方というのも、たくさんお薬を飲んでいたりとか、きちんと日常生活をこなしていないと改善が期待できないという、すごく限定された日常生活を送っていらっしゃる方だと思うので、決して安易にスコンと戻っているわけでもないと思いますから、 1 割の方の努力ということも認めると、戻られる方も含めて上げていいのではないかと思います。もちろん再評価はきちんとしなくてはいけないと思います。

○中村座長 田中先生、いかがでしょうか。

○田中構成員 無条件に、 10 %とは言えども肝臓の状態が良くなった人も含めてというのではなく、再認定をこの後検討するということで、グレード B を含めた認定基準に変更してもいいのではないかと思います。

 今、高見委員が言われたように、すごく努力してやっと A になったのが、 A になったら認定は外れるから努力することをやめられたら困るので、そこは再認定の仕組みをちゃんと作って、患者さんにも前向きに治療に励んでいただくことを含めた上での再認定を、また考えなければいけないと思います。

○中村座長  10 %については、再認定のことと、継続してそうかというのに、少し絡むのでしょうか。障害者手帳の場合、症状の継続性、症状の固定ということが判定に関わりますので、肝臓の場合、その点からいかがでしょうか。

○八橋構成員 現在の身体障害者手帳の認定の場合は、例えば視力障害や透析にしても、ペースメーカーにしても、 1 回の判定でいいかと思いますが、肝疾患の場合には病状の変動があることから、今の認定基準でも 90 日以上基準を満たすことという設定になっています。ある時は満たしても、 90 日目満たしていないと認定されないというのが今までの基準です。肝疾患の障害認定の場合には、 2 ポイントの判定で症状が持続していることを確認するという考え方は、私もそうあるべきと考えます。

 もちろんボーダーラインに存在する患者さんもおられて、 A になったり、 B になったりする人が 10 %前後存在するというのも現実です。将来、新しい治療法が導入されて症状が改善される方も出てくるでしょう。しかし、現時点では、まず、ある程度認定の基準は緩める、しかし数年後には再認定をするという考えが良いのではないかと思います。再認定をしないとなると、初回の認定基準はどうしても厳しくせざるを得なくなりますので、むしろ基準は少し緩めた上で、ただし 1 年後、 2 年後は再認定して、病状が改善した人は手帳をお返しするという方向でどうかと思います。

○中村座長 今、非常に具体的なご提案というか、考え方が八橋構成員から提示されましたが、この点はいかがですか。持田先生、いかがですか。

○持田構成員 現状で Child-Pugh 分類が B から A になる方は、 B 型肝炎で核酸アナログの治療を始めた患者さんと、お酒を飲んでいて断酒を始めた患者さんぐらいだと思います。どちらも肝機能障害の観点では、十分な治療を受けていることと、断酒しているといった 2 つの条件を満たしています。この 2 条件を満たしても B のままの患者さんは、治療を継続しても不可逆的と考えてよろしいのではないかと思います。

 ただし、今後は C 型の治療法が変わり、経口薬が Child-Pugh 分類 B にも適応が広がってくると、 C 型でも A に改善する患者さんがたくさん出てくると思います。このことも考慮して、再評価の規定は残しておいたほうがいいのではないでしょうか。

○中村座長 ありがとうございました。現状、 C は認めるとことになっていますので、 B についても同等ではないかと。ただ条件を緩和するに当たっては、それなりの対応を取っておく必要があり、新しい治療法ということも出ているので、それを考えると、無条件にして厳しくしておくよりは、 B も含めて再認定をするという方向がどうかという提案がされております。この委員会としてそういうことで、特にご異論がなければそのようにしたいと思います。もちろんこれが最終ではありませんが、委員会としてはそういう方向性で提案をしたいと思いますがいかがですか。よろしいですか。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 次に 2 番目ですが、具体的な認定基準、 Child-Pugh 分類 B 7 9 点となっているのですが、何点以上を基準とすべきかということについて、ご意見等いただけたら有り難いです。これは資料 3 にあることとも関連すると思います。いかがですか。これはどういうふうに考えたらよろしいですか、高見先生。

○高見構成員 実際、私ども外科の患者さんで言いますと、手術に回ってくる方で、 Child-Pugh 分類で言うとほとんどの方が B 7 点までの方で、 8 点、 9 点の方はなかなか外科まで回ってこないのです。もう肝機能が悪くて、そこで制限されてしまう。ですから、一口で言うと、 B の中にも境界はあるだろうというのは日常的にも実感はしていることですが、八橋先生の中で A に戻られる方がみんな 7 点の方とか、資料としてはそういうことではないですよね。

○八橋構成員  7 点の方が多いことは多いです。

○高見構成員 そこはやはり分けるべきでしょうか、そこが分からないのです。

○田中構成員 持田先生が提出された資料 3 を見ると、肝がんを併発している人の数字ではあっても、 6 点と 7 点が一緒のような数字になっているという主張でよろしいですか。

○中村座長 ここをどう考えるかですが、これまで肝臓の専門の先生方におかれては、重症の分類の統計を取っているとき区別はしておられるのですか。

○八橋構成員 今の分類は、 Child-Pugh 分類 A B というところで線引きがされているのです。 C 型肝炎の経口剤に関しても Child-Pugh 分類 A までしか、現時点では助成制度の対象となっていません。薬剤の適応などは Child-Pugh 分類 B になった時点で非代償性という考えが存在します。もちろん Child-Pugh 分類 B の中で、ある程度 QOL が保たれている方もおられることも確かですが、制度上は Child-Pugh 分類 A B の区分でおこなうのが普通であり、今までは Child-Pugh 分類 B の中を点数で細かく区分したことはないのではないかと思います。

○中村座長 坂井田先生、いかがですか。

○坂井田構成員 先生が言われたことと一緒で、 B の中で何点と言うと、現場が混乱すると思うのです。実際書類を書いたりする中で。だから、私は B でいいと思いますが。

○中村座長 もともと Child-Pugh 分類で大きく分けると、 A B C というところに谷間というか、分けるだけの理由があってこうなっているのだと思います。そこの山の中をもう 1 つ分けようと思えば分けられるのではないかということから言えば、数字で出しているものには、当然グレーディングがあるので、重なり幅はどのような分類にもある程度あると思うのです。今まで Child-Pugh 分類でやっているときに、その考え方そのものが若干問題ではなかろうかと言って分けるというのは、あまり一般的ではないような気がするのです。私は肝臓の専門ではありませんが、いろいろな分類については、間をあけようと思えばそれはあり得るのですが、問題はそれが、決定的な違いになるかどうかということではないかと思いますが、いかがでしょうか。そうだとすると、再認定というのはしっかりやり、 90 日ルールについても、それを外すという方向性はなくなるのではないか。それを強く言うと、今度は間をあけようという話が出てきてしまうのではないか、と思うのですが。この辺は現実的な問題としていかがですか。

○田中構成員 臨床のことはよく分からないのですが、臨床で今 Child-Pugh 分類で、 ABC で使われているということで、前回それを使わないという動きもあるというお話をどなたかされたと思いますが、今までずっとそれが世界でも使われていて、 B 7 点だけ分けることは不合理であるという意見ももちろん分かります。ですので、再認定のところで可逆的になった人をそこで見るという仕組みがあれば、 B の人を認定基準の見直しの対象にするということもありかと思います。どうなのですか。再認定のところがどれぐらい難しくなるかというのは、また議論しないといけないのですが。最初に 2 ポイントで何日か見て、認定した後に、またもう 1 回見るということですよね。

○中村座長 再認定というのはそうです。そうしますと、方向性としては、 7 点で分けないで、そのためにも再認定を必須として、 90 日ルールもきっちりやるということならいいのではないかということでしょうか。

○田中構成員 運用上はどうなのですか。 1 度認定しておいて、再認定で駄目なときは返さざるを得ないというか。

○中村座長 どうでしょうかか、事務局。認定をして、また A になったらどうするのかということです。

○田中構成員 返す手順とか、返す手続きが大変なら、最初入るところで B の中で分けたほうがいいかもしれないですし。

○高山課長補佐 現行の運用としては、何年以内に再認定ということが機能障害の内容によって決められていますが、その期間内に自治体から該当する方にお知らせが行きまして、そのお知らせを受け取った障害者の方が、医療機関などで診断を受けて、それを基に自治体に再度申請という形で評価するというやり方になります。そこで、等級が変わるほどに障害の程度に変化が生じたと認められた場合には、当初交付した手帳と引き替えに、新たな等級で再度手帳が交付されます。もしくは、障害の程度が身体障害者の基準に該当しないと認められた場合には、手帳の返還を求めるという運用となっております。

○中村座長 大筋そうだとして、その下の現行 1 級、 2 級のところを事務局から説明を頂けませんか。

○高山課長補佐 現行の認定基準ということでしょうか。

○中村座長 認定基準の 7 点から 9 点については、おおむね合意が得られたかと思いますので、その下のもう 1 つです。

○高山課長補佐 現行の 1 級および 2 級の認定基準の中で、 Child-Pugh 分類の評価項目が 5 つありますが、そのうちの血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値のどれか 1 項目以上が 3 点であることが必要と、現在の 1 級および 2 級の認定基準で定められています。資料 1- 参考資料の 1 ページをご覧ください。 7 肝臓機能障害のアという所に「等級表 1 級に該当する障害は、次のいずれにも該当するものをいう」とあります。その ( ) が該当しますが、 Child-Pugh 分類の合計点数が 10 点以上であって、これは Child-Pugh 分類の C に該当しますが、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち、 1 項目以上が 3 点の状態が 90 日以上の間隔をおいた検査において連続して 2 回以上続くものという基準となっています。

 ですから、この 3 つの検査値のうち、 1 項目以上が Child-Pugh 分類で 3 点のレベルにあることが、 1 級および 2 級では必要とされているところです。

 もし、 Child-Pugh 分類 B に基準を変えた場合、 3 点以上の状態が続くことが必要という、この基準をこのままとするべきか否か。この 3 点以上となると、かなり重い状態かと思いますので、それを 1 級、 2 級の必須の基準とするべきか否かという点が論点と考えております。

○中村座長  2 級の説明を頂けませんか。

○高山課長補佐 同じく資料 1- 参考資料 1 ページのイの所です。「等級表 2 級に該当する障害は、次のいずれにも該当するものをいう」として、同じく Child-Pugh 分類の合計点数が 10 点以上であって、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち、 1 項目以上が 3 点の状態が、 90 日以上の間隔を置いた検査において連続して 2 回以上と、 ( ) のところは 1 級と同じ内容となっております。

○中村座長 この基準が少し厳しいかということでしょうか。ここはいかがですか。

○八橋構成員 実を言うと、この 3 点の状態が 1 個必要というのは、ほとんど Child-Pugh 分類 C でなければならないということです。仮に Child-Pugh 分類を B まで緩めても、この条項が残っていると、 Child-Pugh 分類 C でしか 1 級、 2 級が取れないということになりますので、これは変えるべきだと思います。原告団の方は撤廃ということをリクエストされているようですが、そこまでは緩和するのはどうかとは考えますので、 Child-Pugh 分類 C ではなく、 Child-Pugh 分類 B の中で少しグレードを付けるような形が良いのではないかと思います。先ほど持田先生が言われたことを参考にして、 7 点と、 8 9 点を意識したような形で 1 級、 2 級と 3 級、 4 級を分けてはどうかと考えております。

○中村座長 今、八橋構成員から具体的なこれらの使い方について、このままでは B を含めるということが実行上、難しいことになるので変更すべきであろう、そして撤廃というのは少し難しいが、そこに先ほどの 7 点などのことも考慮した案分を考えてはどうかということです。ここを緩和するというお考えかと思います。

○田中構成員  1 項目以上が 3 点の状態というのを変更するという意味ですよね。

○中村座長 そういうことですよね。

○八橋構成員 そうです。 3 点というのを 1 個でも必要とした場合、この 1 個の項目だけでも病態は連動しているので、これはかなり厳しい条項かと思います。

○田中構成員  1 個あれば、多分他も 3 点以上。

○八橋構成員 他のも 3 点以上になってしまうのです。

○中村座長 そうすると、もう C になってしまうということですね。

○八橋構成員  Child-Pugh 分類 C になってしまうのです。これを残している限りは、今までとほとんど変わらなくなってしまうのです。

○中村座長 それではやったことにならないですね。もし専門に見ておられる方がそういう印象をお持ちであれば、考えなければいけないです。坂井田先生、その辺はいかがですか。

○坂井田構成員 私も同感です。

○中村座長 分かりました。そうしましたら、ここについては少し緩和の方向で考えるということでよろしいですか。点数まではよろしいですね。

○川又課長 もし何か八橋構成員からご提案があればお聞かせいただければと思います。

○八橋構成員  1 つの考えとして、というのは、今の制度を変えるときに条件を全くなくしてしまうと、他の領域の先生からなぜ条件をなくすのかとその理由が尋ねられると思います。うまくその理由を見出しきらないことから、今は変更という形がいいのではないかと思います。

 現行の制度では 3 点が 1 個必要とのことですが、ここは 2 点が何個必要という考えを導入して、幾つかの条件が、 2 点以上ないといけないという形にしてはどうかと思います。具体的に言うと、 2 点が 3 個以上あるとか、そういうことになると自動的には 8 点以上になりますので、それは持田先生が示された 7 点と 8 点を意識する上でも、 2 点が 3 個以上あるという項目を作ってはどうかと思います。

○中村座長 それは 1 級、 2 級についてそうするということですか。

○八橋構成員 そうですね。 1 級、 2 級の認定基準に関しては、 QOL に関して他の疾患との比較をして理解を得るために、やはり腹水、脳症のある人をある程度意識した上で 1 級、 2 級にするのがいいのではないか。先ほどの QOL で腹水、脳症のある方は QOL が悪いので、やはり 1 級、 2 級ということは腹水、脳症のいずれかがあるとか、それでも 2 点になります。今までの 1 つの項目 3 点が 1 個ということではなく、幾つもの項目、なおかつ QOL を低下させている脳症とか、腹水の存在することも基準に入れて多項目で評価して、 1 級、 2 級にする制度の方が理解を得られやすいのではないかと思います。

○中村座長 なるほど。かなり具体的にご提案を頂きましたが、ご意見はありますか。持田先生、いかがですか。

○持田構成員 そうですね。今までは Child-Pugh 分類 C の患者さんを等級に分ける目的で、客観的なデータであるアルブミン、ビリルビン、プロトロンビン時間を重視してきました。しかし、 Child-Pugh 分類 B も含めて等級を分けるということになると、 QOL に関係する腹水、肝性脳症などを重視することが必要になると思います。 Child-Pugh 分類で 8 点以上の方、ないしは腹水とか肝性脳症で 2 点が付いている方のランクを上げるなど、具体的にはこのような運用方法が Child-Pugh 分類 B の患者さんには適切ではないかと考えます。

○中村座長 よろしいでしょうか。それでは、特にご異論がなければそのような形で進めさせていただきたいと思います。

 次に、 4 ページの再認定の要否について、これはもう既に何度か話が出て、再認定は設けようということですが、一定期間後というのは、何かを決めることになるのですか。この「一定期間後」という期間、これは再認定では決まっているのですか。

○高山課長補佐 座長、その前に 4 ページの一番上の日常生活活動の制限の該当数についての議論をよろしくお願いいたします。

○中村座長 これはその上ですね。失礼しました。日常生活活動の制限を示す項目の該当数についてどう考えるか。現行の基準が 1 級は 5 項目以上。 2 3 級がそれぞれ a から g を含む 3 項目以上、と決まっていますが、これについてはいかがでしょうか。 1 級は 5 項目以上。

○川又課長 ちょっと補足をいたします。参考までに、前回のヒアリングのときに団体からご提案があった案の中では、この項目については、 3 級の所の 3 項目以上を 2 項目というご提案がありました。あとは同じですが、 3 級の所の 3 項目以上を 2 項目というご提案です。

○中村座長 実際にご提案を頂いたわけですが、これについて、 2 級が 3 で、 3 級が 2 項目で、 4 級が 1 項目以上という並びですね。これはいかがでしょうか。

 データと既往と日常生活の倦怠感、あるいは嘔気、有痛性の筋肉けいれんという自覚症状と、おおむね 3 種類の内容になっていますが、これは患者さんを診察しておられる先生方から、ご意見いただければと思いますがいかがでしょうか。八橋先生、申し訳ないですが。

○八橋構成員  3 級は a g ということで、どちらかというと客観的な指標なのです。それでこの中で 3 つを満たすというと、おそらく多くの方は B 型肝炎か C 型肝炎でがんがあって、胃静脈瘤の治療がないと 3 項目にはならないだろうと思います。

○中村座長  d があってということですか。

○八橋構成員 おそらく満たす方は g f d 、だからがんがないと満たさない。

○田中構成員  a g までの 1 つを含むではないのですか。

○八橋構成員  3 つではなく 1 つを含む、でしたか。

○田中構成員  a g 1 つでいいです。

○八橋構成員 失礼しました。誤認識でした。 a g 1 つを含む 3 項目以上ですね。

○中村座長 それを 2 項目にしてはどうかということですね。

○八橋構成員 あまり変わらないような気がします。

○田中構成員  a g は絶対 1 つありますよね。

○八橋構成員  a g 1 個ないといけないですね。

○田中構成員 持続感染者で 1 つ。あと、下の h i j の中から、 2 つだったのを 1 つにすると。

○八橋構成員 余り変わらないような気がしますけれども、どうでしょうか。ただ、私個人的には、 a のビリルビン 5mg/dl 以上と b のアンモニア 150µg/dl 以上は厳しい基準だと思います。元々、この2つの項目は Child-Pugh 分類 C の方をさらにグレードを付けるということだったので、このような厳しい基準となったと理解しています。しかし実際には a とか b の人というのは、 Child-Pugh 分類 C ではないと該当しない項目なので、この 2 項目は実際の運用では、ないものに等しいと思います。例えば、ビリルビン 3 mg/dl とするとか、アンモニアを 100µg/dl 前後にするとかそういうやり方もあるかと思いますけれど。

○中村座長 そうするとこれは、 a g まで 1 つを含めばいいから、 a g 2 つあってもいいわけですよね。

○田中構成員 そうです。

○中村座長 ですよね。そうすると a b c と数字で出ている所の緩和をもしできるのであれば、それは緩和ができるということになりますよね。ただ、数字が今ここで決められるかということです。変えた場合はその根拠が求められますので。

○八橋構成員 求められますね。

○中村座長 求められるので、そのデータが出ていれば使えばいいと思うのですが。説明するときにどうしてここをその辺りにしたのかと聞かれますので、そこはちょっと考えなければいけないですね。

○高見構成員 ビリルビンは Child-Pugh の点数も 3 で、そこで境目がありますから、このビリルビンが 5 以上の所を 3 に変えるというのは、もうそこで Child-PughB C を区別するというニュアンスも含める意味でも変えていいのではないのかなと。

○八橋構成員  3 点になりますよね。

○高見構成員 はい、 3 点ということでもいいのかなとは思います。アンモニア値というのはなかなか根拠が、個人差によって脳症の程度が違ってきますから、なかなか数値という意味では難しいかもしれないと思いますけれども。あと、その 3 級を患者様たちのご意見で 2 項目に下げるというのは、そこで意見を取り入れるという意味と、 2 級、 3 級でグレーディングを付けるという意味でも、それはいいのではないかなと思います。

○中村座長 そういうご意見なのですが、事務局としては例えば、 2 3 4 級、この数字を、余り現実的ではないというなら、変えたほうがいいですよね。

○持田構成員 今まで 1 級は基本的に肝移植を行う患者さんが取るものだとの前提でしたので、ビリルビンが 5mg/dl 以上との基準は適切であったかもしれないです。しかし、 Child-Pugh 分類 B の患者さんまで含めると、この基準はあまり意味がなくなります。そもそも Child-Pugh 分類 C の患者さんは、ほとんどが 3 級以上になりますので、今までは 4 級の意義はあまりなかったかもしれません。

○中村座長  Child-Pugh 分類 B の人はどうですか。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 B の患者さんを含めると、 B 型か C 型の方ではないと、なかなか 3 級にはならないと思います。これのままですと、 Child-Pugh 分類 B の方は全員 4 級になる可能性が高いかもしれません。もちろん、肝がんや静脈瘤の既往があれば違います。

○中村座長 意見はありますか。

○高山課長補佐  3 級で、該当項目数を 3 項目にするのか 2 項目にするのかについては、 Child-Pugh 分類 B まで対象を広げた場合ももちろん考慮した上でということになりますが、 3 項目から 2 項目に下げるとしたら、なぜ 2 項目にしたのかという理由も説明できる必要がありますので、そこの点を可能な限り明確にしていただけたら幸いでございます。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 B も加えた場合、この日常生活の制限に関する 1 級~ 4 級の基準はあまり意味がないのではないかと思います。この基準は Child-Pugh 分類 C の患者さんを区分するためのものと考えられます。 Child-Pugh 分類 B の患者さんは c はともかく、 a b は満たすことはあり得ません。 Child-Pugh 分類 B も加えた場合は、これらの基準がなくとも、 Child-Pugh スコアのみで、あるいは腹水、肝性脳症のあるなしなどで、十分 1 級~ 4 級を区分できるのではないでしょうか。

○中村座長 なるほど。分かりませんが、手帳の基本的な考えは、ある疾患があって、それが日常生活はどうかというのが対比された上で、どういう福祉サービスを受けていただけるかという話になるので、病名が決まれば手帳であるという格好には、なかなかならないですね。

○持田構成員 そうなりますと、 Child-Pugh 分類の項目では、腹水や肝性脳症が重要になりますね。それと日常生活活動の基準では h i j のような主観的な症状で、その他のビリルビンなどは Child-Pugh 分類の項目とも重複しています。重複している項目があるのは、 Child-Pugh 分類 C の患者さんを区分する目的ではよいのですが、 Child-Pugh 分類 B の患者さんも含めると本当に適切なのかどうか不明です。

○中村座長 そうすると、現行の基準の中で、持田構成員のお話だとどういうことになりますか。

○持田構成員 例えばアンモニア濃度が 150µg/dl 以上の項目は、 Child-Pugh 分類の肝性脳症の程度と関係しています。ビリルビンも Child-Pugh 分類と重複しています。血小板数は日常生活に特に関係ないと思われます。なぜこの指標が入ったのかよく事情が分かりません。そうすると、 a b c はほとんど意味がないのではないかと思います。ただ、 d e f は、これに対する治療で日常生活が制限されますから、意味がある項目と考えます。となると具体的は肝性脳症があるかないか、腹水の程度がどのくらいかなど、 Child-Pugh 分類の中でもこの 2 項目を重視して、日常生活に関する項目では d j までの幾つを満たすかとの基準で 1 級~ 4 級に分けるというのが適切ではないかと考えます。

○中村座長 事務局、日常生活の制限の文章としての定義がありますよね、どこにありましたか。ある意味、横並びで他の障害との ADL の比較ということなのですが、それが腹水があるかどうかは、ちょっと他と比較ができないので、運用上は難しいだろうなと思うのです。日常生活がどうなっているということとの対比をつけないと。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 B の患者さんで日常生活が制限されるのは、腹水と肝性脳症の 2 項目のみと思います。

○中村座長 身障手帳の等級の文章表現はどうなっていましたか。

○田中構成員 資料 1 1 枚目の認定基準で、アが 1 級で、イが 2 級、ウが 3 級です。

○中村座長 例えば下肢の切断とか、視力障害だとこうなっているとか、そういう。

○高山課長補佐 第 1 回目の検討会の資料の、参考資料になります。 1 ページ目から 3 ページ目が、他の機能障害による制限の程度と等級の内訳になります。

○中村座長 肝機能障害だと、「肝臓の機能の障害により日常生活活動がほとんど不可能なもの」という。今の議論は、基本は、 C を身体障害者の手帳に入れるということは、もう前の議論で済んでいることです。今は、日常生活の支障は B C と同等だろうという議論なわけです。ですから、 C をどうするかという話ではなくて、 B C にほぼ近似しているので、それを入れることにしようと。

 ただ、緩めるに当たって幾つか制限がいるというお話をしているわけです。身体障害者程度等級はもう決まって、これを認めた上で議論が、 C はそうだけれど B もそうかどうかという議論です。ですから、 C が入っている基準、これはある意味、国が認めた C はなぜ手帳になったかという基準がここに書いてあるわけです。 ADL のこういう人を、 C 1 級、 2 級、 3 級というというようになっているわけです。影響するのが腹水と昏睡のことであるとしても、 1 級というのは他の等級との関連で言えば、「肝臓の機能の障害により日常生活活動がほとんど不可能なもの」というのを 1 級としていますので、そこの文言と違うのは困るというか、それは認められないということになります。

 それと、腹水との関係を付けなくてはいけないということだと思うのです。というのは、大枠はもう決まっていて、 C を認めてこういう ADL ですとなっていて、 B もそうでしょうという話を今しているわけです。ですからこの文言は変わらないで、それに合うような基準でなければ、基準と全然合わないことになると、それは通らないことになります。そういう観点で、今の議論は 2 級だと日常生活が極度に制限されている、そういう文章表現になっているのです。日常生活がほとんど不可能というのは 1 級とするという言葉に、今の話が合うかどうかということです。

○田中構成員 今、座長が言われたように最初の肝臓障害の認定のときには、 Child-Pugh 分類の点数だけで、今、持田構成員が言われたように重複するではないかということは理解できるのです。しかし、例えば肝性脳症が無しとか軽度とか、昏睡あるいは腹水でも無しと軽度と中程度というのが、数字でこちらの日常生活の項目の中に現れていて、それが何項目か満たしていると、念のために裏を取っているというか、二重にブロックをして、日常生活の程度をこちら側でも担保しようということでの議論で始まっているのです。

 もちろん持田委員のおっしゃるように、それはスパッときれいに B C で点数でやればいいのではないかという議論は分かりますけれど、グレード B もグレード C と同程度の非常に厳しい状態であるというのが今、分かってきたわけなので、それはそれでグレード B も入れることにして、でも日常生活の項目も、それでやはり同じように担保しないといけないと思うのです。先ほどおっしゃったビリルビン値が 5.0mg/dl というのはちょっと高いかもしれないから 3.0mg/dl にするにしても、項目自体はやはり残したままで、項目数を 3 項目にするのか 2 項目にするのかというのは、また議論、ご意見をいただければと思いますけれども、両方の基準で評価していくのがいいと私は思います。

 ただ、今までの日常生活の制限を示す項目は 2 級と 3 級が a g までの 1 つを含む 3 項目以上と同じですけれど、違うのはこちらの Child-Pugh 分類の点数と持続時間ということですよね。これが違う、だけど日常生活は同じように、非常に制限されているということを担保しているのですが、その日常生活のほうを変えるかどうかということですよね、これに 1 つグレードを付けるということは。

○中村座長 ですから、結構やっかいと言いますか、日常生活は定められているのでそこも変えるとなると、何か根拠がないといけないだろうと。今後、厚生科学研究でそこも調べるというのは将来あってもいいと思いますが、今の議論には間に合わない気がちょっとします。

○八橋構成員 私の想定では 1 級、 2 級というのは 8 点、 9 点。 3 4 級は 7 点前後ではないかと。ただ、 1 2 級と 3 4 級をどうするかというのは、このような日常生活活動の制限の項目は必要だろうと思います。これを大幅に変えるのはかなり難しいと思います。

1 つの提案ですが、例えば a b c の中で、 a b は実はあまり該当しないので、この 2 項目を削除する、 Child-Pugh 分類 B まで下げたという意味合いもあって、この 2 項目を削除する代わりに該当しないといけない項目数を 5 項目から 4 項目にするとか。 a b 2 項目は外すのですが、満たないといけない項目数を 5 個のままではなくて 4 個にすると、少し現実的になるのではと今考えました。大幅に変更ということではなく、 a b は、今回の Child-Pugh 分類 B にまで緩和したことで、ほとんど意味がない項目となったので、削除してはどうか。ただ、 2 項目減りますので、満たさないといけない項目を 5 項目ではなく、 4 項目にするとかというのが 1 つのやり方かなと思います。

○中村座長 いかがでしょうか。

○田中構成員 これを最初のときに入れた理由はそれなりにあると思います、分かった上で重複で入れているわけですから。 Child-Pugh 分類の点数があいまいとは言いませんけれど、軽度とか中程度以上というのは、こちらの検査数値も正しいかというと、施設によって違うかもしれないです、本人の状態でまた動くわけですから。違うのですが、入れた意味はあると思うので、項目自体を削除するよりは、数値を下げるほうがいいのではないかなと私は思いますけれども。すごく細かい話になって恐縮です。他の構成員はどのようなお考えでしょうか。

○八橋構成員 まあ、方法論としては、数字を変えるか、項目数を減らし、その代わり該当しなければならない条件も 1 個減らすかという話。

○田中構成員 そうですね。

○八橋構成員 ただ、それが他の領域の先生に理解いただけるかどうかが一番のポイントになると思います。

○中村座長 そうですね、私もそう思います。今、八橋構成員が言われたように、 a b c は現実的ではないと、 B を入れるのであれば。そういうことが専門家の意見としてあれば、そこはその説明でいくと思います。ただ、そうなったのでどこかを減らすという話が合理的かどうかはちょっとよく分からないです。

 例えば、八橋構成員からご覧になられて、ここの項目の 2 級の説明の日本語からして、これが違うということであれば、また話は別かもしれませんけれど、ここは動かないと思うのです。この委員会としてはここを直すという話は出ないと思うのです。

○田中構成員 ここですか。

○中村座長 この表の、肝機能障害の日常生活における判定の等級に関する文章自体を変更するという話になると、全然違う話になりますので。この文言と合わせてどうかというところが、著しく違っているということであれば、それは変更するという議論が成り立つと思うのですね。

○持田構成員 先ほどの話ですと、アルブミンなどの検査値は 3 点が 2 回続くという規定は削除の方向になっていますよね。そうなりますと Child-Pugh 分類が C の患者さんは基本的にはほとんど全員が 2 級になりますよ。 Child-Pugh 分類 B の患者さんがどうなるかが問題です。 Child-Pugh 分類 B の方が 3 項目以上を満たすのは厳しいかもしれないですね。

○八橋構成員 厳しいですね。

○持田構成員  3 項目以上満たすのは、成因が B 型、 C 型の患者さんのみになりそうです。これら患者さんの日常生活の状態を評価するには h から j のような主観的な症状や、肝性脳症とか腹水などを重視することが、 Child-Pugh 分類 B の方にとっては合理的だと思います。

 田中構成員がおっしゃられるように、アンモニア濃度は肝性脳症の存在の裏を取るという意味はありますが、実際はアンモニア濃度と肝性脳症の程度は相関が必ずしも大きくありません。ですから、肝性脳症と腹水を含む 3 項目以上とか、症状を重視することが、 Child-Pugh 分類 B の患者さんにとって、日常生活を反映した等級を決めるのによいのではないかと思います。

○中村座長 グレーディングが付くのは構わないのですが、この文章と合うかどうかという話が重要です。身体障害者手帳が定めている ADL というものに合っているかどうかが問題で、そこを変えるとなると何らかの説明が必要だということです。そうでないと、そこで止まってしまいますので。

○持田構成員 日常生活ができなくなるというのは、肝性脳症と腹水の何れかが原因ではないでしょうか。肺がんや食道静脈瘤も、その治療を繰り返すために仕事に支障があるなどの事情で日常生活に制限がでるかもしれません。これらの合併症への治療の状況と、腹水、肝性脳症などの症候の両方が日常生活には大きく関係すると思いますので、これをどのように反映させていくかが問題だと思います。

○中村座長 身体障害に関する会で説明をしなければいけないことから、フレームはどうなっているかといいますと、 ChildC でないと全く駄目となっているのは現実的でない、 B の人も非可逆的であるからだということですよね。それは皆さんのデータで、そうだという。それで 10 %があるので、再認定するほうがいい。

 もう 1 つは、どの疾患であっても、程度がどうか、日常生活にどの程度の問題があるかが定められているわけです。基本的に、他の領域と横並びになっていて、そこの説明ぶりが変わっていいという話では、基本はないのですね。そこも緩めるというのは、もう 1 つ違う議論になる話だと思います。

○八橋構成員 分かります。変更をするにはそれなりの理由がないと、他の領域の先生には認めていただけないと思います。

○中村座長 そうだと思います。

○田中構成員 。日常生活活動がほとんど不可能な者が一応対象となっているわけで、それが今まではグレード C だけだったのだけど、グレード B も非常に日常生活活動が不可能な者がたくさんいると。なので、認定基準もグレード B まで入れると。その中を 1 級、 2 級、 3 級と、今から区分するわけですが、日常生活がほとんど不可能な者に該当する項目は何かという議論ですね。

○中村座長 そうです。それは 1 級、 2 級、要するに、グレード C で定めたものを変える根拠は余りないのですね。というのが今回の委員会に付託された議論の全体のフレームワークではないかと思います。そこをやろうとすると、 ChildC のグレーディングを決めた ADL の所に異議を申し立てるというか、違っているよと言うことになるのではないか。つまり、ここで言う ADL が極度に制限されるというのは、現行の基準と違っていると言えれば納得していただける可能性はあると思いますが、それがないまま変えようとすると、それは根拠が求められるので、専門家の先生に答えていただくということになるのですが。

○高見構成員 現行の基準が決められたときには何か資料があったのでしょうか。

○中村座長 そうだと思います。

○田中構成員 日常生活ですね。

○中村座長 恐らく肝臓の専門家の先生が集まって、 ADL と見て、この言葉の定義からいうと、この程度だといって定めたものですよね。

○八橋構成員 何か明確な参考文献があったわけではないです。その時は ADL と関係するという項目で、こういうふうに挙げて、かなり議論をして、患者さんの身体状態をどう思われているかというのにも重きを置きつつ、だけど、客観性ということで、血液検査データにも重きを置きつつという形でこういう項目を作った。ただ、これはあくまで Child-Pugh 分類 C の人をグレードするということで検討された項目であり、今、 Child-Pugh 分類 B まで下げたとするならば、かなり厳しい項目が残っている。ほとんど意味のない項目が a,b ではないかと考え、私の案としては、この 2 項目を削除する代わりに、満たさなければいけない項目を 5 項目から 4 項目に減らすということでご理解いただけないですかねえ。

○田中構成員 グレード B に下げたというのは、やはり言い方がまずいと思います。だってこれは日常生活がほとんど不可能な者が 1 級なのです。それはもう変えられないのです。それが分類上、認定上、グレード C だけが入っていたのですが、改めて見てみると、グレード B の人にも日常生活が不可能な者がいると。なので、認定基準を変えましょうという話であって、グレード B に下げたという表現ではないと思います。そこは動かないで、グレード B の人も調べてみると、日常生活がほとんど不可能な人がたくさんいると。では、それに合うように日常生活の項目を決めましょうというので、最初の認定基準の項目を決めたときの日常生活活動の制限を示す項目があるわけですから、この数値を変えることはあっても、削除もいくかもしれませんが、グレード B に下げたという言い方は間違いかなと思います。

○八橋構成員 ちょっと語弊がありました。 Child-Pugh 分類 B までを対象にするが、 QOL の評価そのものの考え方は変わらないということですね。

○田中構成員 もちろん変わらないし、ほとんど不可能なものが 1 級、極度に制限されている人は 2 級という、これは動かないです。今はそれに合う認定基準は何かという議論をしていて、グレード B の人をいろいろ見てみると、 QOL とかスコアとかを見ると、 1 級に該当するような人がグレード B にたくさんいると、なので、認定基準を変えましょうと話したと認識しています。

○八橋構成員 方法論としては、数字を変える、項目を減らす、その代わり、満たす項目数、数を減らすかというのと、あとは全く別のものに新たに差し替えるかですが。しかし、なぜ変えたのか、その理由が尋ねられますね。

○中村座長 やるとすると、どこかでスタディーを。

○八橋構成員 やることになりますか。

○中村座長 ええ。例えば、厚労科研でやるとか。やれば、そこの変更は可能かもしれません。根拠があればですね。

○坂井田構成員 要するに、 B まで下げて、 B の中で、例えば、肝性脳症を繰り返し起こすような人は日常生活が厳しく制限されるので、それに配慮が行き届くものがいいですね。

○田中構成員 研究をもう 1 回やる必要はないと思います。この中で項目を増やすか。

○中村座長 あり得るとすると、臨床家の判断として、そうだと強く言うかですね。受けていただけるかどうか分からないけれども、根拠はデータでは出さなくて、臨床判断でそうなのだと、専門家の全員の方が強硬に主張されると言ったら、それは 1 つの議論にはなると私は思います。

○八橋構成員 ただ、腹水、脳症のある方では EQ5D が下がっていて、数字としては 0.4 というデータは存在します。腹水、脳症が存在することで QOL がこれぐらい落ちているというデータを基に何らかの形で反映できないかと思います。

○中村座長 事務局、いかがですか。要するに、血中ビリルビンとアンモニアの値は、 B を入れるとなると現実的でないということにして、ここを違う項目に。 B も入れたような。しかし、 ADL は下がっているという根拠だけでそういうふうに作るというのが八橋先生の具体的なご提案なのかもしれませんが、そういうのは可能ですか、可能という聞き方もないけど。

○高山課長補佐 ここの日常生活制限の項目のデータを変えることについては、臨床の先生方の専門的なご判断で変えることは不可能ではないとは思います。しかし、中村座長がおっしゃっていたように、 1 級から 4 級までの日常生活の制限の程度に見合った該当項目数、そして、この項目の内容なのかということについては身体障害認定分科会でも確認される可能性はあると思います。そこの点だけしっかりと説明ができれば可能かと思います。

○持田構成員 基準の数値を変えるとかいっても、現状ではその根拠がないと思います。結局は現在の基準の数値を変えるのは不可能ではないでしょうか。その中で間違いないのは、 Child-Pugh 分類 B の患者さんは a b などを満たすことは当然ないのであり、日常生活の制限を評価するためには、 h から j のような自覚的な症状を重視する必要があります。例えば、腹水や肝性脳症のある Child-Pugh 分類 B の患者さんは、 h i j を満たすかどうかで、日常生活の制限の程度を評価できることになります。現状の日常生活の基準で a から g h i j と区分することなく、 a から j の中で該当数をカウントすることが、 Child-Pugh 分類 B の患者さんも含んだ等級分けには現実的ではないでしょうか。

○中村座長 いや。おっしゃることはよく分かるのですが。

○持田構成員 現行の基準は全く変えないでよいのですが。

○中村座長 よく分かるのですが、それは何を変えたのということになったときに、日常生活の所も広げるのですかと言ったら、それは根拠を教えてくださいという話になります。そもそも現実的という意味は、これに合うのが現実的なのかどうかですよね。

○持田構成員  Child-Pugh 分類が B の患者さんは、肝機能がそんなに悪くないのですけど、日常生活は腹水や肝性脳症があると制限されます。このため客観的な検査データだけでは評価できないので、症状を重視する。 Child-Pugh 分類が C のみを対象とする現状では、ほとんど全員に症状がありますので、症状よりも検査値を重視して等級分けしていた。このような理屈では納得されないのでしょうか。

○中村座長 一番いいのは、 a b c は該当しないが、このままにしておくというのが一番素直だと。

○持田構成員 このまま何も変えないで。

○中村座長 ええ。

○持田構成員  a から j までの基準は変えないで、日常生活の制限を症状の有無で見るために、 h から j a から g と同様に扱って、 a から j まで全てのカウントで等級を決めることにすれば、日常生活の評価方法として適切ではないでしょうか。

○中村座長 どういうふうに進めたらいいですか。

○川又課長 おっしゃるとおり、等級の表に 1 級から 2 級の定義があって、先ほど中村座長もおっしゃったように、 1 級は日常生活活動がほとんど不可能な者、 2 級は日常生活活動が極度に制限されている者と、そういう形で 4 級までグレードされているわけですが、そのフレームを示す指標として、最初にこれを導入したときに、 a から j までと項目数いう形で、ある意味では 1 1 で、対応関係でそこがあるわけです。

 今回の議論の焦点は、 1 級から 2 級で、こうした日常生活活動の制限に当てはまるのはどんな方かと、今は入口の所で、 Child-PughC の方だけがこちらの判定を受ける。まず C だということを前提とした上で、日常生活の制限がどのグレードに当てはまるかを制限しているわけですが、八橋先生の研究などのデータで、 ChildB の方であってもここに当てはまる方がいるのではないかと。入口の所で制限はしないで、入口の所は B まで、入口としては対象として、それで、その方々が今の日常生活上の制限という基準に当てはまるかどうかを判定するという道を開くと。 B の方にも、ある意味では最初の門戸を開くことが今回の基準見直しの大きなところではないかと、その点についてのデータをいろいろ、エビデンスを議論してきたのかと考えております。

○八橋構成員 ですから、ここを変えるのは非常に難しいと。変えるならそれなりの根拠がいるのですね。ちょっと今日だけでは考えを整理できない状況です。他の領域の先生方の納得を得るためにも、ここは少し、方法論も含めて改めて考えてみたいと思います。

○田中構成員 これがあった上で、今まで入口の所は C だったのを B も入れる。なので、 1 級は、 B だけではなくて 10 点以上が 7 点以上になったと、その中で日常生活活動制限をどうするかということなので、グレード C の人がいない議論ではなくて、グレード C の人も含めた、 B も含めた中での議論で何項目かということなので、考えていただければと思います。

○八橋構成員 よく分かっています。これを変えることはかなり難しいことだと理解しています。

○中村座長 そしたら、ここについては、今、ここだけで数字をいじるのは難しいといいますか、現実にその根拠がないので、臨床判断だけで突破するのは余りに、紛糾して、全部止まって、もうちょっとやり直してのように、かえって延びてしまう、これはよくないと思います。ですから、ここは確実なところで、この点については研究なり何らかの方法を考えて、する必要があるという臨床ニーズがあれば、それを規則に反映していくための作業がいるという理解でよろしいですか。では、ここの所はそういうふうにお願いしたいと思います。

 再認定の要否についてはほとんどよろしいですね。再認定は必要であるということで、 B まで入れるということですね。事務局、この一定期間というのはどうなるのですか。これはもう決まっていたでしょうか。 1 年後とか。

○高山課長補佐 第 1 回の検討会の参考資料の 16 ページをご覧ください。こちらは、「身体障害者障害程度の再認定の取り扱いについて」という平成 12 年に発出した通知です。平成 26 1 月に改正をしておりますが、 18 ページの 7 番をご覧ください。 7 番の項目の所に、「障害の状態が更正医療の適用等により変化すると予想されると認められた場合は、当該身体障害の症状に応じ、障害認定日又は再認定実施日(時)から 1 年以上 5 年以内の期間内に再認定を実施すること」と定めております。さらに、「ただし、ペースメーカー及び体内植込み型除細動器を植え込みした者については、当該植え込みから 3 年以内の期間内に再認定を実施すること」と定めています。現行の再認定の期間の規定についてはこの 2 点になります。

○中村座長 確認ですが、この前の C についての扱いについては、このことはどういう規定になっていましたか。

○高山課長補佐  C のときには、再認定については特段の規定はありませんでした。

○中村座長 再認定の規定はなかったのですね。 B にも広げるということで再認定は設けるのですが、 1 年から 5 年の間で提案をしていいことになりますか。

○高山課長補佐 病状が改善している可能性が見込まれると診断する指定医が判断した場合には、この 1 年から 5 年以内という期間になります。

○中村座長 そうすると、これは委員会で、この疾患は何年以内ということではなくて、指定医の判断でよろしいわけですか。

○高山課長補佐 はい。期間については指定医になります。

○中村座長 なるほど。分かりました。よろしいでしょうか。それは指定医の判断で、状況によって再認定の時期を、しかし、必ず再認定はしてくださいということになりますね。

 その次、新薬によるウイルス除去効果の関係について、これはどう考えたらよろしいですか。使い方のこともありますが。

○田中構成員 これは今の再認定のほうと一緒で考えたらよろしいのではないでしょうか。

○坂井田構成員 私もそうだと思います。連動していると思うのですけれども。

○田中構成員 自然経過の中で改善すべきことよりも、治療が絡んでのことですので、上と一緒に行って、再認定でよろしいのではないでしょうか。

○中村座長 そのことも加味して、再認定の中に入れていただければいいということでよろしいでしょうか。分かりました。

 それから、この最後の所も、もう答えが出ているかと思いますが、他の障害認定とのバランスについて、日常生活に相当程度の制約があると考えられるのではないか、非代償性 QOL についてですね。これは今、データも収集していただいて、そうだということになって、したがって、 B も当然入口に立つべきであるという議論になったかと思います。それはそういう理解でよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。そうしますと、基本的考え方、認定基準の見直しの方向性の全てについて、具体的に答えといいますか、この委員会としてのスタンスを決めさせていただきましたが、それでよろしいでしょうか。他に何か議論はありますか。

○田中構成員 先ほどの、日常生活の制限の項目の変更が難しいという話なのですけど。多分、最初のその認定基準を作ったときの 1 級の条件が、 1 項目以上は 3 点の状態がということにしていて、昏睡があるとか腹水があるという項目が必ず入らなければならないことにはしていないですね。なので、日常生活の制限の所にビリルビンとアンモニアを入れたのだと思います。議事録を見ていただくといいのですけれど。でも、先ほど八橋委員が提案なさったように、例えばこの項目のうち、肝性脳症と腹水を 2 点以上、必ず 1 個あるいは 2 個は含むと入れれば、日常生活の a b の代わりはいらないではないかという論理も立つかと思います。前回、最初に 1 級を決めたときに、肝性脳症と腹水を入れていない、どれでもいい、 1 項目が 3 点以上あればいいことにしたので、多分、日常生活の所の a b を入れたと思うのです。議事録を確認していただいたらいいのですけど、何年か前の。なので、今回の改定で、肝性脳症あるいは腹水を 2 点以上含むことを入れる代わりに、こちらは削除するという論理が成り立てば、ここは変えられるかと思います。事務のほうで確認していただければ理由も立つと思うのですが、そういう議論でそうしたのではないかと記憶しています。

○中村座長 今のはご提案ということでよろしいですか。

○田中構成員 はい。調べていただいて。

○中村座長 事務局で検討していただいて、その判断を。今後の予定でいうと、ここで全部決まるわけではないので、取りまとめていく中で考慮していただくことでよろしいでしょうか。数字のことは、ここで決めるのはなかなか難しいかと思いますので。

 他にございますか。そうしたら、今日の議論はここまでとしたいと思いますが、今後の予定並びに今後の進め方について、事務局のほうからお願いしたいと思います。

○高山課長補佐 本日は大変ご議論いただき、ありがとうございました。次回の予定ですが、各個人の日程の調整をさせていただき、事務局のほうから追ってまた連絡したいと思います。

○中村座長 次回はまたご連絡をいただいてということになりますね。それでは皆様、長時間にわたってご議論をしっかりいただきまして、具体的に、委員会として、前に進める形になれたことを大変有難いと思っております。あと幾つか乗り越えなければいけないハードルがありますので、そのときにまたご意見をいただければと思います。

 事務局のほう、ご苦労さまでした。引き続きよろしくお願いしたいと思います。それでは、今日はこれで閉会にしたいと思います。ありがとうございました。

 

(了)

 

 

 


(了)
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