ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(2016年11月25日)




2016年11月25日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成28年11月25日(金)15:00


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 神 田 敏 子、 杉     薫、
内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、 平 石 秀 幸、
古 川   漸、 増 井   徹、◎松 井   陽、 村 田 美 穂、
山 田 清 文

欠席委員(8名)

金 子 明 寛、 川 上 純 一、 木 村   剛、 鈴 木 邦 彦、
武 田 正 之、 田 島 優 子、 平 安 良 雄、○松 木 則 夫
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻を少し過ぎておりますが、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況についてですが、金子委員、川上委員、木村委員、鈴木委員、武田委員、田島委員、平安委員、松木委員より御欠席との連絡を頂いております。また、野田委員、平石委員が少し遅れるようです。現在のところ、当部会委員数21名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報

告いたします。それでは、松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。お願いします。

○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~10-3をあらかじめお送りしています。このほか、資料11「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」、資料14「各品目の有効成分の化学構造式」、資料15「ミカトリオ配合錠の適正な使用について」を配布しています。続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料13について御報告いたします。各品目の競合品目選定理由については、次のとおりです。

 資料13の1ページを御覧ください。「サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mg」ですが、本品目は「変形性関節症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。「テクフィデラカプセル120mg、同カプセル240mg」ですが、本品目は「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。「リンゼス錠0.25mg」ですが、本品目は「便秘型過敏性腸症候群」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。「ヤーズフレックス配合錠」ですが、本品目は「子宮内膜症に伴う疼痛の改善及び月経困難症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。「セララ錠25mg、同錠50mg」ですが、本品目は「下記の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬等の基礎治療を受けている患者 慢性心不全」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○松井部会長 ただいまの御説明について、何か御質問はありませんでしょうか。ないようですね。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆様の御了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「サインバルタ」、退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、野田委員、平石委員。議題2「テクフィデラ」、退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、野田委員、平石委員、村田委員。議題3「リンゼス」、退席委員、平石委員、議決には参加しない委員、杉委員、野田委員。議題4「ヤーズフレックス」、退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、平石委員、村田委員。議題5「セララ」、退席委員なし、議決には参加しない委員、杉委員、村田委員。以上です。

○松井部会長 ただいまの説明につきまして、特段の御意見はありませんか。では、よろしければ委員の皆さんの御確認を頂いたものといたしまして、議題に移ろうと思います。

 本日は審議事項が5議題、報告事項が5議題となっております。それでは、審議事項議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品サインバルタカプセル20mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であり、海外では2016年7月現在、うつ病、糖尿病性神経障害に伴う疼痛等の効能・効果で、100の国で承認されており、今回の申請効能・効果である変形性関節症に伴う疼痛に対しては、米国を含む29の国又は地域で承認されています。

 本邦では、2010年1月に「うつ病・うつ状態」で承認されて以降、「糖尿病性神経障害に伴う疼痛」、「線維筋痛症に伴う疼痛」、「慢性腰痛症に伴う疼痛」の効能・効果で承認されています。今般、日本人における変形性関節症に伴う疼痛に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料12に記載されています6名の委員を指名しています。

 審査の内容について、臨床成績を中心に説明します。まず、有効性ですが、審査報告書5ページの表1を御覧ください。特発性変形性膝関節症と診断された患者を対象に、国内第III相試験が実施されました。主要評価項目であるFASにおける投与14週時のブリーフ・ペイン・インベントリー(Brief Pain Inventory、表ではBPIと表記しています。)疼痛重症度(平均の痛み)のベースラインからの変化量について、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。

 次に安全性ですが、審査報告書14ページの表12及び15ページの表13を御覧ください。変形性関節症患者における有害事象の発現頻度について、既承認効能・効果と比較して大きな差異は認められませんでした。

 また、審査報告書31ページ目の「7.R.8 本剤の適正使用推進のための方策について」の項を御覧ください。先に述べましたように、変形性関節症患者における本剤の安全性プロファイルは、国内外の臨床試験成績から既承認効能・効果と大きな差異はないと考えられましたが、本剤を含む抗うつ薬は、NSAIDs、アセトアミノフェン等の既存の疼痛治療薬と異なり、自殺及び敵意・攻撃性に関連する有害事象の潜在的なリスクを有することから、添付文書で、疼痛に対して本剤を投与する場合には、自殺念慮、自殺企図、敵意・攻撃性等の精神症状の発現リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断する旨の注意喚起をしております。

 また、平成28年3月の慢性腰痛症に伴う疼痛の効能追加時より、本剤の適正使用を推進するために、本剤の特性や適正使用に関する注意事項を記載した資材を作成し、本剤の使用に際し、特に注意が必要な事項を医師及び薬剤師に説明し、処方医から内容を理解した旨の署名を得ること。必要に応じて精神科医/心療内科医に診療を依頼するよう処方医へ依頼すること。関連学会と協力し、医師向けの説明会や講習会を開催し、本剤の特性や適正使用に関する注意事項について周知することなどを実施しております。

 慢性腰痛症に伴う疼痛の市販直後調査期間中の4か月時点において、本剤による自殺関連の有害事象が慢性腰痛症患者で3件(自殺企図が2件、自殺既遂1件)が報告されていますが、自殺既遂の事象について本剤との因果関係は否定されていること、自殺企図について本剤との因果関係は否定されていないものの、いずれの症例もうつ病の合併やうつ傾向が認められており、本剤の影響を強く疑わせるものではないことから、慢性腰痛症に伴う疼痛の効能追加時に実施した本剤の適正使用推進策に大きな問題はないと考えております。今回の変形性関節症に伴う疼痛の承認に際しても、慢性腰痛症に伴う疼痛で実施された適正使用推進策を継続して実施することが適切であると判断いたしました。

 さらに、審査報告書35ページの「1.1 効能・効果について」の項を御覧ください。以上の適正使用推進策に加えて、本剤が安易に使用されないよう、本剤を変形性関節症に伴う疼痛に使用する場合には、3か月以上疼痛を有する患者にのみ、投与を考慮する旨を添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項において注意喚起することとしております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品に該当するものであり、今回追加される効能・効果に対する再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 また、事前に内藤委員より「サインバルタは、半年ほど前に慢性腰痛症の際にも問題になりましたが、自殺念慮が危惧される薬剤であり、投薬を受ける患者数が急激に増大することは避けたほうがよいと思います。今回は、変形性関節症なので、慢性腰痛症より患者数が少ないと思いますが、念のため、変形性関節症でこの薬を投与される患者さんは毎年何人ぐらいと想定されるかを教えてください」との御質問を頂いております。

 変形性関節症に伴う疼痛に対して、承認後1年間は約7万5,000人、翌1年間は約116,000人に本剤が投与されると申請者は推定しております。なお、慢性腰痛症に伴う疼痛の効能追加の部会審議、本年2月部会になりますが、その際に、慢性腰痛症の患者に対する本剤の投与患者数として、承認後1年間は約5万9,000人、翌1年間は12万人と推定しておりました。承認後1年間の投与患者数は変形性関節症のほうがやや多いと推定されるものの、先に説明した添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項において、「変形性関節症に伴う疼痛に用いる場合、3か月以上の疼痛を有する患者にのみ、本剤の投与を考慮すること」を設定し、本剤の投与対象を限定することに加え、先に説明した慢性腰痛症に伴う疼痛の承認後より申請者が実施している本剤の安全対策に大きな問題は生じていないことから、変形性関節症の効能追加後も引き続き実施する安全対策措置を講じていく予定です。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 まず、はじめに、内藤先生、御質問に対する応答につきまして、よろしいですか。

○内藤委員 結構です。

○松井部会長 それでは、ほかの先生方から御質疑をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、杉委員、野田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題2に移ります。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品テクフィデラカプセル120mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤は多発性硬化症(以下、「MS」と略します)の治療薬であり、2016年8月現在、米国、欧州等の54の国又は地域で承認されております。今般、MSの再発予防及び身体的障害の進行抑制に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料12に記載されている9名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に審査の内容を説明いたします。まず、有効性ですが、審査報告書42ページの表20を御覧ください。再発寛解型MS患者を対象として、日本人患者が参加した国際共同治験が実施され、主要評価項目である頭部MRI検査における新規Gd造影病巣の総数について、1日480mgが投与された本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。

 次に、審査報告書46ページの表23及び表24を御覧ください。海外第III相試験丸1では、臨床的な再発を認めた被験者の割合、及び12週間持続する障害進行例の割合について検討され、本剤480mg/日群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。

 さらに、審査報告書55ページの表35及び表36を御覧ください。日本人が参加した国際共同治験である109MS305試験と海外臨床試験では同程度の有効性が認められていることから、本剤のMSの再発予防及び身体的障害の進行抑制に対する有効性は日本人患者においても期待できるものと判断しております。

 次に安全性ですが、審査報告書58ページ中段の「その上で申請者は」で始まる段落を御覧ください。本剤の海外臨床試験及び海外製造販売後安全性情報において進行性多巣性白質脳症(以下、「PML」と略します)が、それぞれ1例及び3例認められました。また、本剤と同じく、フマル酸ジメチルを有効成分として含む製剤が乾癬等に対して海外で使用されており、PMLが12例報告されております。これら16例のPML発現例ではリンパ球数の減少が認められており、多くの患者では800cells/μL未満に減少した状態が6か月以上継続していたことから、6か月以上継続するリンパ球数減少が本剤によるPML発症のリスク因子である可能性が示唆されました。

 以上を踏まえ、本剤投与中は、少なくとも3か月に1回はリンパ球数を測定し、リンパ球数の低値が6か月間継続した場合には本剤の中止を検討するよう注意喚起を行うことが適切と判断いたしました。また、そのほかに、主な有害事象として、審査報告書61ページ表39にリンパ球数及び白血球数、審査報告書63ページ表42に潮紅、審査報告書65ページ表45に消化器系に関する有害事象を記載しており、これらの有害事象については添付文書で注意喚起することが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品、特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、事前に内藤委員より「フマル酸ジメチルはEUで使用が規制されている化学物質ですが、どのような問題があって規制されるに至ったかについて説明をお願いします。医薬品としての安全性をきちんと評価して承認申請されているので、薬として使用することに特に問題ないとは思いますが、フマル酸ジメチルがどういう化合物なのかを知っておくことは重要かと思います」との御質問を頂いております。

 本剤の有効成分であるフマル酸ジメチルは、欧州において防カビ剤及び殺生物剤として使用されておりましたが、家具又は衣服を介して、高純度・高濃度の本薬にばく露された場合、重度の皮膚炎を引き起こすとの報告及び臨床試験成績が得られたことから、防カビ剤及び殺生物剤としての使用が禁止されております。具体的には、0.1mg/kgより多くのフマル酸ジメチルを含む製品の流通が規制されております。

 なお、本剤については、御指摘いただいているとおり、医薬品として経口投与時の安全性評価が行われ、承認申請に至っております。本剤では本薬を含有する腸溶マイクロ錠が硬ゼラチンカプセルに充填されていることから、本剤を経口投与した場合は、マイクロ錠が小腸で溶解するまで本薬と接触する可能性は低く、また、本薬は速やかに加水分解されてフマル酸モノメチルに代謝されるため、皮膚に本薬がばく露される可能性は極めて低いと考えられております。また、本薬を有効成分とするFumadermという製剤がドイツで乾癬に対して承認されており、30年以上にわたる使用実績もあることから、本薬を経口投与した場合に安全性上大きな問題が生じる可能性は低いと判断しております。

 説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 内藤委員、同様に、フマル酸ジメチルにつきまして、よろしいですか。

○内藤委員 結構です。

○松井部会長 それでは、ほかの委員の先生方、御質疑をお願いします。

○神田委員 基本的なことだと思うのですが、教えてください。効能・効果が多発性硬化症の再発予防と、それから身体障害の進行抑制。再発予防と進行抑制ということに効果があるということだと思います。ですので、この多発性硬化症というのは、再発したり進行したりする病気だろうと思っていいわけですよね。

 そのときに、添付文書の注意喚起のところに、「進行型多発性硬化症に対する有効性、安全性は確立していない」という注意書きがありますが、ここの進行型多発性硬化症というのと、その違いですかね。その進行性というところがちょっと素人には紛らわしかったので、その辺の違いははっきりと専門家から見れば分かるということなのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、多発性硬化症ですが、その患者様の多く、約90%は再発寛解型と呼ばれる、今回、臨床試験の対象にされた患者様になります。残り10%の患者さんが、神田委員に御指摘いただいた進行型の多発性硬化症ということになります。今回、臨床試験で対象とされたのは、再発寛解型の患者様ですので、進行型の多発性硬化症に対する有効性及び安全性は確立していないという注意喚起をしております。

 再発寛解型と申しますのは、神田委員にお話いただいたとおりで、再発と寛解を繰り返しながら、少しずつ神経のダメージが蓄積して、基礎の神経症状として、少しずつ症状が進行していくような病態になっております。その再発の発生と、それから身体的障害が進行していくもの、その両方に対して、今回有効性が示されたということで、効能・効果にはこのように記載しております。

○松井部会長 よろしいですか。

○神田委員 処置がきちっとできるということですね。分かりました。ありがとうございます。

○松井部会長 いかがでしょうか。村田委員、何か御追加ありますか。

○村田委員 既に海外でも使われておりますし、今回の治験の結果もかなりいい結果です。やはり、再発寛解というのは自然に寛解するのです。何も治療しなくても自然に寛解するのですが、経過とともに、また自然に再発してくるのですね。そうしながら、だんだんに上がっていくような形なので、その次の再発を抑えたいというのが、こういう類の治療薬を開発したい理由で、今回、一定期間の間に新たな再発がどのぐらい起こっているかというのを見ているのですが、その結果はプラセボに比べて非常にいい結果が出ておりますので、是非必要な薬であろうと思っています。

○松井部会長 どうもありがとうございました。ほかにありますか。もしなければ議決に入ろうと思いますがよろしいでしょうか。なお、杉委員、野田委員、平石委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題3に移りますが、恐縮ですが、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき審議の間は別室で御待機いただきたいと思います。

                                ( 平石委員退室)

○松井部会長 それでは、議題3につきまして、機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品リンゼス錠0.25mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。便秘型過敏性腸症候群は症状の原因となるような器質的疾患を伴わず、腹痛や便秘等が持続する機能性疾患で、症状により社会的活動に支障を来すことがあります。本剤は、グアニル酸シクラーゼC受容体の作動薬であり、腸管管腔表面の受容体を活性化し、腸管分泌や腸管輸送能の促進、大腸痛覚過敏の抑制作用が認められたことから、便秘型過敏性腸症候群に対する新たな治療選択肢として開発が行われました。

 海外では、本剤は2012年8月に米国で承認され、2016年8月現在、米国及び欧州を含む17か国において、便秘型過敏性腸症候群を適応として承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料12に示します専門委員を指名いたしました。

 有効性に関して、報告書31ページの表25を御覧ください。便秘型過敏性腸症候群の患者を対象とした国内臨床試験において、本剤0.5mg群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上より、本剤の有効性は示されたと考えました。

 安全性について、報告書31ページの表26及び32ページの表27を御覧ください。国内臨床試験で認められた主な有害事象は下痢でした。また、報告書40ページの下から8行目を御覧ください。臨床試験では重度の下痢は認められませんでしたが、海外の市販後安全性情報によると、重篤な下痢が報告されていることから、下痢の発現には十分に注意し、下痢が認められた場合には減量や休薬するなど適切な処置を行うことが必要と考え、添付文書()の「用法及び用量に関連する使用上の注意」及び「重大な副作用」の項で注意喚起することといたしました。

 以上の審査の結果、便秘型過敏性腸症候群を効能・効果とした本剤の有効性は示され、本剤の安全性は許容可能と考えられたことから承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。

 本品目は新有効成分含有医薬品に該当し、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、御質疑をお願いいたします。

 私から一つお願いします。審査報告書40ページの上3分の1ぐらいの所に、「腸管穿孔による2例の転帰が死亡であった」という記載があります。腸管閉塞のある患者への使用は避けた方が良いのではないかと思いますが、これは本邦の添付文書()に目立つような形で書かれていると考えてよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 その点については、本邦の添付文書()の禁忌に「機械的消化管閉塞又はその疑いがある患者」として注意喚起しています。

○松井部会長 添付文書において十分に注意喚起してあるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。そのように考えております。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○神田委員 小児に対しての投与のことなのですが、審査報告書40ページには「海外における小児への投与に対する状況等を踏まえて注意喚起する」と記載してあります。米国と欧州の添付文書を見ると、米国の添付文書では「6歳までの小児には投与しないこと、6歳から17歳には使用を避けること」、欧州の添付文書では「0歳から18歳の小児及び青少年には投与しないこと」との記載があります。

 ですので、これらを参考にして注意喚起が書かれているのかなと思って本邦の添付文書()を拝見しますと、小児等に対する安全性は確立していないということ、使用経験がないこと、2歳以下の幼児では重度の下痢のリスクが高まるといった内容にとどまっているのですが、米国とか欧州のように投与しないというところまで踏み込んで書く必要はないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、神田委員が引用された部分ですが、米国の添付文書では「contraindication(禁忌)」の項に書かれていて、欧州の添付文書では「contraindication(禁忌)」の項ではなく、「用法・用量」の「小児患者」の項等に記載されているので、欧米の添付文書における注意喚起の記載の状況は、少し異なっているのではないかと考えています。

 また、欧米の添付文書において小児患者への投与に関する記載がなされた経緯を申請者に確認したところ、臨床試験で対象とされていなかった年齢層がそのまま欧米の添付文書における年齢の記載に反映された背景があったというようなことも聞いています。現在、欧米では小児患者を対象とした臨床試験が進行中でして、小児患者へ本剤を投与したときの有効性及び安全性に関しては現在進行形で検討中という状況です。これらの海外の小児患者を対象とした臨床試験では、今のところ重篤な有害事象は特に認められていないという状況です。

 日本では、現在、欧米で検討中であるという状況を踏まえて、添付文書の「禁忌」として記載するのではなく、添付文書()でお示ししたとおり、「小児等への投与」の項で、「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない」旨と、2歳以下の小児に関しての文献情報を記載する形での注意喚起とすることが適当と考えました。

○神田委員 分かりました。「検討中」ということも審査報告書の本文に書いてありましたので、そうなのかなとは思ったのですが、検討中ということは結論が出ていないと受け取ったものですから、やはり書くべきかと思ったのでお聞きしましたが、心配がないようでしたら結構です。

○医薬品医療機器総合機構 補足ですが、機構における承認審査における専門協議では専門委員にこの件に関して特にお伺いしたのですが、今申し上げたような状況を踏まえますと、本邦においては、現時点では、添付文書()でお示しした形の注意喚起で問題ないという御意見を頂いております。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見がないようでしたら、議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。なお、この議決に際しまして、杉委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。別室で待機されている平石委員をお呼びください。

                                ( 平石委員入室)

○松井部会長 議題4に移ります。機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ヤーズフレックス配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。本剤はドロスピレノン及びエチニルエストラジオールを有効成分とした低用量エストロゲン-プロゲスチン配合剤(以下、「LEP配合剤」と言う)となります。本邦では2010年7月に同一の有効成分を含有するヤーズ配合錠が月経困難症の効能・効果にて、28日間を1周期とする用法(以下、「28日周期法」と言う)で承認されております。

 子宮内膜症の薬物治療は、主として子宮内膜症に伴う疼痛の改善を目的として行われており、国内ガイドラインではLEP配合剤が選択肢の1つとして推奨されていますが、本邦で子宮内膜症に対する効能・効果で承認を有しているLEP配合剤はありません。また、月経困難症に対しては、LEP配合剤が28日周期法にて承認されておりますが、1周期の投与期間を延長することにより月経回数の減少が期待できることから、海外では28日以上を1周期とする用法も用いられており、本剤は、最長124日間(うち4日間休薬)を1周期とする用法(以下、「最大124日周期法」と言う)にて、2016年7月現在、17か国で承認されております。

 以上の状況を踏まえて、今般最大124日周期法にて実施した国内第III相試験成績等に基づき、子宮内膜症に伴う疼痛の改善の効能追加、及び月経困難症に対する用法の追加に係る製造販売承認申請がなされました。本剤の審査に関し、専門委員として資料12に記載されている委員を指名しました。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まずは、子宮内膜症に伴う疼痛の改善の効能追加について御説明いたします。有効性について、審査報告書の6ページの「7.1.1 子宮内膜症患者を対象とした第III相試験」の項を御覧ください。子宮内膜症患者を対象として実施された無作為化並行群間比較試験において、主要評価項目である最も高度な骨盤痛の視覚的アナログ尺度(VAS)の変化量は、審査報告書7ページ表3のとおりであり、本剤のプラセボ群に対する優越性が示されたことから、本剤の子宮内膜症に伴う疼痛の改善に関する有効性が示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書の14ページの「7.R.1.2 安全性について」の項を御覧ください。臨床試験における有害事象の発現状況から、丸1本剤群でプラセボ群よりも発現割合の高かった事象の種類及び発現割合は、既承認のヤーズ配合錠と比べて大きく異なるものではなかったこと、丸2ほとんどは軽度及び中等度であったこと、丸3投与期間の延長に伴い有害事象の種類や発現割合が変化する傾向はなかったことから、子宮内膜症患者における本剤の安全性は臨床上許容可能であり、長期投与時の特段の懸念もないものと判断いたしました。

 次に、月経困難症に対する新たな用法の有用性について御説明いたします。有効性について、審査報告書の9ページの「7.1.2 月経困難症患者を対象とした第III相試験」の項を御覧ください。月経困難症患者を対象として、今回の申請用法である最大124日周期法と、既承認の28日周期法を比較した無作為化並行群間比較試験において、主要評価項目である140日間における月経痛を伴う日数は、審査報告書10ページ表9のとおりであり、28日周期法群と比べ、最大124日周期法群で月経痛を伴う日数が有意に減少することが示され、最大124日周期法の有効性が示されたと判断いたしました。

 安全性について、審査報告書18ページ、「7.R.2.2 最大124日周期法の安全性について」の項を御覧ください。臨床試験における有害事象の発現状況は、最大124日周期法と28日周期法で大きく異なるものではなかったこと、本剤の重要な特定されたリスクである血栓症について、既承認の28日周期法よりも発現リスクが高くなる傾向は示唆されなかったことから、用法の違いによる特段の懸念はなく、28日周期法と同様の安全対策を講じることで、最大124日周期法の安全性は臨床上許容可能なものと判断いたしました。

 以上の審査の結果、本剤について最大124日周期法の用法にて、子宮内膜症に伴う疼痛の改善、及び月経困難症に関する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。

 本剤は、新効能、新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ただいまの議題4について、委員の先生方から御質疑をお願いします。

○杉委員 合併症として出血がありますが、その反対の血栓塞栓もあるので、これの頻度がどちらが多いかということと、機序は逆のように思うのですが、その辺について分かれば教えていただきたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 まず、血栓塞栓症の機序としては、本剤の投与によって、低エストロゲン状態にすることでの血栓リスクの増加が知られています。

 出血に関しては、主に性器出血、すなわち月経と同じような出血が生じる、あるいは月経よりも量の少ない点状の出血が月経とは異なるタイミングで発現しており、ほとんどが軽度あるいは中等度といった事象の発現です。

 発現率に関しては、性器出血については、審査報告書7ページ目の表4に示したとおり、臨床試験の本剤群では21.5%で発現が認められている状況です。

 一方で血栓塞栓症に関しては、添付文書上での注意喚起の情報になりますが、様々な情報を踏まえると、おおむね0.6%で発現している状況になっています。

○神田委員 用法・用量をきちんと守りながらいかないといけないお薬だと思います。そうした中で、120日とか長期にわたる中で管理しなければいけないので、間違えないようにしなければいけないと思いまして、本日、来ましてパックを拝見したら、すごくよくできていると思いました。これが28錠ずつ入っていて、自分でシールを貼りながら管理していくという体裁になっていて、いいと思うのです。

 一つ質問ですが、飲み忘れについてです。飲み忘れというのは、気付いたときに1錠服用しましょうとなっていて、あとは当日の決めた時間に飲みましょうといったことで書かれていて、そういう場合にはこれでいいと思うのですが、例えば当日の定刻に飲もうと思ったときに、昨日は飲んでいなかったと気が付くことも間々あるのではないかと思うときに、2錠を一遍に飲んでいいのか、その辺のところがこれだと分からなくて、本資料のほうにも書かれていません。飲み方について、2錠飲んでいけないのであれば、それはそれで注意書きが必要だと思うのです。これは定刻以外に気付いたときの話しか載っていないので、その辺が気になりました。全体的には使いやすくできていると思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。私どもとしては2錠を一度に服用することは想定していませんでしたが、配布する資材において、ご指摘の飲み方が明確になるような形での注意喚起を徹底していきたいと考えます。

○松井部会長 よろしくお願いいたします。

○神田委員 つい具体的にイメージしてしまうのですが、例えば気が付いたときと定刻の間の時間が最低限何時間必要なのかという目安は必要ないのでしょうか。ただ単に、気付いたときに飲んで、極端な話をすれば1時間後に飲むということもあり得る話なので、注意喚起をきめ細かく書いておいたほうがいいとも思ったのですが、それは別々に飲めばいいのであれば書く必要はありませんが、その辺の塩梅がよく分からないので、きちんと伝わるように書いていただけたらと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ただいまの御指摘を踏まえて、製造販売業者が作成する資材等で明確になるように、情報提供をしたいと考えております。

○松井部会長 大変重要な御指摘だったと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○加藤委員 今の御指摘で思い出したことがあります。添付文書の2ページ左側に、2「重要な基本的注意」があります。血栓症のリスクが高まる状態としては、長時間体を動かせない状態ということで、いわゆるエコノミー症候群のようなものが想定されると思いますが、その典型的なケースとして、海外旅行に行くために、例えば12時間エコノミー席に座るという事例が当てはまると思います。そのときに、まず休薬するかどうか、また、その後に生じる10時間とか14時間とかの時差が生じる。そのときに、どのように患者にこの飲み方を指導するのかをお尋ねしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、様々なケースが想定されると思いますので、その点は分かるように企業に資材等で情報提供するように伝えたいと思います。

○松井部会長 具体的なアドバイスが必要な場合があると思いますので、よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。もちろん、今の御質疑にあった視点を含めてということですが、議決に入ります。なお、杉委員、平石委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題5に移ります。機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、セララ錠25mg、同錠50mgについて、機構より御説明申し上げます。本品目の有効成分であるエプレレノンはファイザー社により開発された鉱質コルチコイド受容体に対して選択性の高い抗アルドステロン薬です。本邦では2007年に高血圧症の効能・効果で承認されており、今般、国内外の臨床試験成績等に基づき、慢性心不全に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は心不全に係る効能・効果について、60以上の国又は地域で承認されております。本品目の審査に関して、専門委員として資料12に記載されている委員を指名いたしました。

 審査の概略について、主な臨床試験成績を御説明いたします。本適応の開発では、海外で先行して実施された慢性心不全患者2,737例を組み入れた国際共同治験において、主要評価項目とされた心血管死又は心不全による入院の複合エンドポイントについて、プラセボに対する本薬の優越性が検証されており、日本はこの国際共同治験に参加していなかったことから、実施可能な規模で国内第III相試験が実施されました。

 審査報告書16ページ下を御覧ください。国内第III相試験は、標準治療が行われている慢性心不全患者221例が対象とされました。用法・用量は本薬25mg1日1回、中等度の腎機能障害を有する場合は25mg1日1回隔日から投与を開始し、血清カリウム値に従って投与量を調節することとされました。

 まず、有効性について御説明いたします。審査報告書18ページを御覧ください。有効性の主要評価項目とされた心血管死又は心不全による入院の発現割合は、本剤群で29.7%、プラセボ群で32.7%、プラセボに対する本薬のハザード比は0.85でした。

 次に、安全性について御説明いたします。審査報告書19ページを御覧ください。有害事象の発現割合は、本剤群91.9%、プラセボ群93.6%であり、プラセボ群に比べ本剤群で臨床的に大きな問題となるような有害事象の増加は認められませんでした。

 続いて、審査報告書83ページを御覧ください。本剤の作用機序から、本剤投与時に注意すべきリスクである高カリウム血症についても、国内外臨床試験における発現状況を踏まえると許容可能であると判断いたしました。ただし、臨床的に重篤な転帰に直結する可能性のあるリスクであることから、臨床試験と同様に血清カリウム値のモニタリング及び血清カリウム値に基づく用量調節を行うこと、高カリウム血症に十分注意するよう注意喚起を行うことが必要と判断し、添付文書等で注意喚起することといたしました。

 以上より、国内第III相試験は実施可能な規模での試験ではあったものの、主要評価項目を始めとする有効性及び安全性の結果から、海外で検証された本薬の有効性及び安全性は国内でも期待できると判断し、標準治療が行われている慢性心不全患者に対する治療の選択肢の一つとして、本剤を臨床現場に提供する意義はあると判断いたしました。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが妥当と判断いたしました。本申請における本剤の再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。

○杉委員 今回は心不全に用いるということで、非常に適応が広がっていいだろうという感じがいたします。

 確認で教えていただきたいのですが、これの女性化乳房というのは全くないと考えていいのか、ほとんどないのか、どちらと考えたほうがいいでしょうか。これは心不全の適応かどうか分かりませんが、アルダクトンというのがあります。あれを使っていると、かなり女性化乳房が出るのですが、これは出ないと考えていいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の臨床試験で確認された範囲では、男性における女性化乳房等の性ホルモン関係の有害事象の発現割合が本薬群でプラセボ群よりも高まる傾向は示されておりませんでした。また、国内でも同様の傾向が認められておりましたので、アルダクトンと比べてというものではありませんが、プラセボ群と比べて、特にそういった事象の発現割合が高まる傾向は認められなかったところです。

○杉委員 ありがとうございました。非常に使いやすいと臨床医としては理解していいということでいいですね。ありがとうございます。

○松井部会長 ほかにいかがですか。特にございませんでしょうか。もしないようでしたら議決に入ろうと思います。議決に際して、杉委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会へ報告いたします。

 それでは、報告事項に移ります。1から5まで御報告をお願いします。

○事務局 報告議題1、医薬品リキスミア皮下注300μgの製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。本剤はリキシセナチドを有効成分とするGLP-1受容体作動薬であり、既に、ビグアナイド系薬剤との併用を含むスルホニルウレア剤との併用療法、スルホニルウレア剤との併用を含む持効型溶解インスリン又は中間型インスリン製剤との併用療法について承認されています。今般、サノフィ株式会社から、単独療法及び他の血糖降下薬との併用療法に関する臨床試験成績等に基づき、2型糖尿病へ効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告議題2、医薬品ヒューマログ注カート及び同注ミリオペンの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤はインスリンリスプロ(遺伝子組換え)を有効成分とする超速効型インスリンアナログ製剤です。今般、日本イーライリリー株式会社から、本剤の臨床試験成績等を踏まえ、持続型インスリン製剤との併用投与に加えて単独投与を可能とする製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 次に、報告議題3について御報告いたします。本剤はポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンGを有効成分とする注射剤であり、現在、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善等の効能・効果で承認されております。今般、日本製薬株式会社より、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

○事務局 続いて報告議題4、医療用医薬品の承認条件について御説明いたします。資料9-1を御準備ください。これは、タイロゲン筋注用0.9mgの承認条件に係る評価報告書です。1ページを御覧ください。ヒトチロトロピンアルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品タイロゲン筋注用0.9mgは、平成2010月に分化型甲状腺がんで甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者における、放射性ヨウ素シンチグラフィと血清サイログロブリン試験の併用又は血清サイログロブリン試験単独による診断の補助の効能・効果で承認されました。その際、2ページの中ほどにお示ししている承認条件が付されました。この度、ジェンザイム・ジャパン株式会社から全例調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 2ページの()製造販売後調査の結果を御覧ください。本調査は、本剤の販売開始時である平成21年1月から開始され、平成261129日までに6,092例が登録され、当該情報を基に調査結果がまとめられました。安全性については4ページの2)の安全性を御覧ください。安全性解析対象症例4,905例のうち副作用は469例、9.6%で報告され、うち重篤な副作用が4例、0.1%に認められました。死亡例はありませんでした。

 7ページ上段を御覧ください。本剤の承認審査において抗甲状腺刺激ホルモン抗体の産生が懸念されたため、抗体産生の関与が疑われる全ての症例について、抗甲状腺刺激ホルモン抗体を調査することとされました。本調査において、抗甲状腺刺激ホルモン抗体産生が疑われる症例は1例もありませんでした。有効性については7ページの3)有効性に記載しておりますが、評価された使用において、臨床試験と同等の有効性があると考えられました。機構において本調査で収集された安全性及び有効性について、現時点で適正使用に必要な新たな措置を講ずる必要のある問題はないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、安全性等に係る情報が収集されていることから、承認条件に対して対応されたものと判断いたしております。

 続いて資料9-2を御準備ください。レバチオ錠20mgの承認条件に係る評価報告書です。評価報告書の1ページを御覧ください。シルデナフィルクエン酸塩を有効成分とする医薬品レバチオ錠20mgは、平成20年1月に肺動脈性肺高血圧症の効能・効果で承認されました。その際に、1ページの下に記載のある承認条件が付されました。この度ファイザー株式会社から、全例調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 2ページの()の製造販売後調査の概要を御覧ください。本調査は、本剤の販売開始時である平成20年4月から開始され、平成25年5月31日までに3,426例が登録され、当該情報を基に調査結果がまとめられました。安全性については3ページの2)の安全性を御覧ください。安全性解析対象症例3,304例のうち、副作用は448例、13.6%で報告され、うち重篤な副作用が101例、3.1%に認められました。また、死亡例は本剤との因果関係が否定できない死亡が30例、0.9%報告されました。本調査で重点調査項目とされた副作用の発現状況については、4ページ下段から5ページ上段にかけて記載されておりますが、臨床試験成績と比較して、副作用発現率はおおむね低く、安全性に関して特段の問題は認められませんでした。

 有効性については5、6ページに記載しております。3)有効性を御覧ください。有効性に関しても国内臨床試験と比較して問題となる傾向は認められませんでした。機構において本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されています。以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、安全性等に係る情報が収集されていることから、承認条件に対して対応されたものと判断いたしております。

○事務局 議題5、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料10-1から10-3で、いずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。資料10-1は一般的名称イミダフェナシン、販売名ウリトス錠0.1mg、同OD錠0.1mg、ステーブラ錠0.1mg及び同OD錠0.1mgのものです。資料10-2は一般的名称プラミペキソール、販売名ミラペックスLA錠0.375mg及び同錠1.5mgのものです。資料10-3は一般的名称フォンダパリヌクスナトリウム、販売名アリクストラ皮下注1.5mg、同2.5mg、同5mg及び7.5mgのものです。こちらの品目について製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。

○松井部会長 ただいまの報告事項について、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。ありませんか。

 では、報告事項については委員の先生方の御確認を頂いたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告があればお願いします。

○医薬品審査管理課長 先ほどセララ錠の審議で、杉委員から女性化乳房についての御質問がありましたので、補足をさせていただきます。添付文書のその他の副作用の項には女性化乳房が記載されております。0.5%未満ですので、頻度は非常に低いわけですが、投与症例において全く出ないわけではないということだけは補足させていただきます。

○松井部会長 そのほかにいかがでしょうか。

○事務局 資料15を御覧ください。9月の本医薬品第一部会で御審議いただいた医薬品ミカトリオ配合錠について、医薬品審査管理課より御報告いたします。本剤はアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるテルミサルタン、カルシウムチャネル拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩、及びサイアザイド系利尿薬であるヒドロクロロチアジドの3つを有効成分とする配合剤です。平成28年9月7日に開催された本医薬品第一部会における議論を踏まえ、高血圧症を効能・効果として薬事承認されました。

 その際、部会では本剤の用法・用量に関連する使用上の注意点として、「原則として、テルミサルタン80mg、アムロジピン5mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを一定の期間、同一用法・用量で継続して使用し、安定した血圧コントロールが得られている場合に、本剤の切替えを検討すること」とされました。この「一定の期間」の設定については、関連学会の意見を確認するようにとの御意見がありました。そのため、一般社団法人日本循環器学会及び特定非営利活動法人日本高血圧学会に御意見を伺ったところ、一定期間としては8週間以上とすることで意見の集約を見ました。

 また、同部会において本剤の同一用法・用量を継続した後に切替えを検討する点等、本剤の適正使用の指針についても関連学会と相談し指針を策定するようにとの御指示を頂いておりました。こちらについても同様に、日本循環器学会及び日本高血圧学会の御協力を得て、本剤の適正使用の指針()を策定いたしましたので、御報告させていただきます。

 具体的には部会でも御指摘いただいたように、ミカトリオ配合錠に含まれている3成分を同じ用量で一定期間以上服用し、血圧コントロールが安定している患者に対して投与すること、先ほども御説明したように、一定期間とは8週間以上を指すこと、また、3成分投与によって血圧コントロールができている患者で、本剤に切り替えた後であっても、副作用が発現したり血圧が不安定になった場合には、速やかに降圧薬の変更を行うこと等を明記しております。また、本剤の適正使用の指針については、関連学会等に周知し、日本高血圧学会及び日本循環器学会のホームページにも掲載していただき、本剤に関する情報提供を行うとともに、適正で効果的な使用を推進する予定です。

 本日欠席しておられる松木先生からは、事前に3点の御意見を頂いております。一つ目が、「本剤の切替えの前に設定いたします血圧コントロールが安定した一定期間につきましては、9月の部会では半年間、6か月が妥当ではないかという意見も出ておりましたが、今回の8週間の設定は学会の考えということでよいのか」ということです。二つ目は、「8週間の期間の設定をガイドライン上前面に出す記載のほうがよいのではないか」ということです。三つ目が「製造販売業者が提供する販売促進用の資材についても確認し、指導するように」ということでした。

 一つ目の御意見に関しては先ほど御説明したように、日本循環器学会及び高血圧学会の御意見の総意ということで御返答いたしております。また、8週間の期間の設定を前面に出すという点に関しては、記載の整備を検討いたします。三つ目の御意見である製造販売業者への指導ということも、適切に対応する予定で考えております。

○松井部会長 その回答に対して、松木委員は納得されたというように考えてよろしいですか。

○事務局 メール上のやり取りをしておりますが、メールを送った後、特に御意見は頂いておりません。

○松井部会長 返答はないということですか。

○事務局 はい。

○松井部会長 ただいまの案について、何か御意見はありませんか。

○杉委員 今の確認で質問します。添付文書に一定期間が8週間というように載ることになるのでしょうか。

○事務局 医薬品審査管理課より御説明いたします。現時点で添付文書の改訂は予定しておりません。製造販売後調査等において、実臨床での適正な使用については評価を行います。本剤へ切り替える前の本剤と同一成分、同一用法・用量の使用期間が8週間より短く、それに伴い本剤の変更後に用量変更となる患者が多いようであれば、最適な使用をより厳しく推進するために、添付文書の記載内容の変更を検討していくというように考えております。

○松井部会長 ほかにありませんか。思い返せば、ミカトリオについては2回の継続審議を経て、ここまでたどり着いたわけです。自画自賛ではありますけれども、委員の先生方の熱心な質疑と、それに対しての機構側あるいは事務局側の対応により、現時点でいいものが出来上がってきているのではないかと思います。今後も何か問題点があれば、この配合錠に関して御意見を賜りたいと思います。そのようなまとめでよろしいでしょうか。それではミカトリオ配合錠については、委員の皆様の御確認を頂いたものとしていいですか。

 ありがとうございます。そのほかに事務局から何か御報告はありますか。

○事務局 来年1月に薬事・食品衛生審議会委員の改選があります。次回の部会は改選後になりますので、改めて日程調整の上御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、本日はこれにて終了といたします。どうも御苦労さまでした。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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