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2017年3月6日 第7回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会議事録
厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室
○日時
平成29年3月6日(月)16:00~18:30
○場所
全国社会福祉協議会 灘尾ホール
○出席者
宮本 太郎 (座長) | 朝比奈 ミカ (構成員) | 大津 和夫 (構成員) |
奥田 知志 (構成員) | 菊池 馨実 (構成員) | 櫛部 武俊 (構成員) |
駒村 康平 (構成員) | 生水 裕美 (構成員) | 新保 美香 (構成員) |
田中 弘訓 (構成員) | 長岡 芳美 (構成員) | 西岡 正次 (構成員) |
野溝 守 (構成員) | 前神 有里 (構成員) | 森脇 俊二 (構成員) |
渡辺 由美子 (構成員) | 渡辺 ゆりか (構成員) | 和田 敏明 (構成員) |
○議題
(1)論点整理(案)について
○議事
○金井課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第7回「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の構成員の皆様の出欠状況について報告いたします。山本構成員、相澤構成員から欠席との御連絡をいただいております。
また、駒村構成員につきましては、若干遅れるという御報告を受けております。
それでは、議事に移りたいと思います。以降の進行につきましては、宮本座長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○宮本座長 皆様、年度末のお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。御協力いただいて進めてまいりました「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」でございますけれども、大変早いものでございまして、今日、第7回をもって論点整理とりまとめということになってございます。
これまでの議論を振り返ってみても、毎回大変熱い、そして、あっという間と言いたいのですけれども、逆に長く感じるような、非常に密度の濃い議論を続けてくださった結果、論点整理がまとまりつつあります。
今日は、皆さんからも前回お出しいただいた御意見、これも後で事務局がまとめていただいたものを確認するとA4の13ページみっちり書かれている御意見になってございました。これも非常に見事に論点整理(案)に反映させていただいたのではないかなと、そういう印象を持っておりますけれども、皆様から、今日は最終的に御意見がきちっと論点整理に反映されているかということを御確認いただくということを主な内容として進めていきたいと思います。
2時間半、時間はとってございますけれども、今日は何が何でも2時間半議論しなければいけないということはありません。もし皆さんが納得できる論点整理になっているならば、早目に終わることも可能であるかと思います。
それではまず、事務局のほうから、論点整理(案)、御説明いただけるでしょうか。
○渡邊室長補佐 それでは、お手元の資料1をお願いいたします。今、座長からもございましたが、前回、1月23日の回でいただいた御意見を、できるだけ趣旨を反映できるように追記、修正してございます。事前にお目通しいただいたものとほぼ変わっていないバージョンでございます。
前回の議論の若干振り返りをさせていただきますと、1つは、困窮者支援の柱であります地域づくりについて、各所に記述が散らばっているけれども、総論の部分でまとまった固まりで書けないかというような御意見がかなりあったかと思います。それが大きく修正している一つの部分でございます。
それからもう一つは、これは個別論点の(2)のところでありますけれども、就労支援について、就労準備支援の必須でありますとか、多岐にわたる御意見を頂戴したかと思います。これについても大きく修正してございます。
そのほか、例えば法の対象者、あるいは支援の理念というところで、社会的孤立の問題でありますとか、困窮者の尊厳の問題でありますとか、そのような御指摘も複数いただいたかと思ってございまして、反映してございます。
全体的に事務局で御準備していたデータ面については、時点修正していましたり、あるいは表記の整えなどもしておりますので、説明は割愛させていただき、構成員の皆様からいただいたご意見の部分について御説明をしてまいりたいと思います。
まず、1ページ目の1、タイトルのところですけれども、これは、駒村委員から、地域づくりに関する議論の中で、なるべく地域づくりを含んだ困窮者法なのだということが早い段階でわかるようにタイトルで工夫してはというような御示唆をいただきましたので、1、総論部分のサブタイトルですけれども、「全国各地の支援を太く大きく育てるとともに、地域づくりの柱にもしていくために」とさせていただきました。
おめくりいただきまして、2ページからでございます。2ページの3つ目の○、支援に当たっての基本的な姿勢というものを書き下しているところでありますけれども、その部分に、後ろの各論の中で、今回、自立と尊厳の確保であるとか地域づくりということが大きく出てまいりますので、ここでまず2つの目標ということで記載をしたものでございます。
その次の○、それから、右側の3ページの「制度のあり方の充実の視点」の最初の(1)のところですけれども、このあたりにつきましては、渡辺由美子構成員から、この法律の持っている困窮の深刻化を予防する効果というものをきちんと打ち出していくべきだというような御意見をいただいておりますので、このあたりに記載させていただいております。
おめくりいただきまして4ページの一番下からが地域づくりの論点でございます。4ページの一番下の○に書いておりますのは、生活困窮者の就労や参加の場を地域に求めていく。「支えられる」だけではなく、「支える」側に立つといったようなことで、これは就労参加の場づくりを通じた地域づくりということをまず記載してございます。
5ページの「さらに」というところですけれども、そういう実践の中から、地域づくりが、困窮の発見の取組であったり、生活困窮者とともに活動する取組であったり、そういうことにもつながっていくことが期待されるということで展開しまして、続きまして、もう一つ、検討会をしておりました地域力強化検討会からの引用ですが、3つの地域づくりの方向性ということで整理しておりますので、それに言及させていただいています。
3つの方向性というのは、(参考)で括弧書きをしておりますけれども、1つには、「自分や家族が暮らしたい地域を考える」。これは福祉以外の分野も含めたまちづくりの発想の中で、将来、この地域がどうなるのかというような観点で取り組んでいく主体的、積極的な取組、子ども食堂であったり、高齢者同士で見守りをするとか、そのようなことが念頭に置かれたものでございます。
もう一つは、「地域で困っている課題を解決したい」という気持ちで活用する住民の増加ということで、これは従来からある地域福祉活動でありまして、民生委員、児童委員、保護司、ボランティア、NPOの方々、そういったところの皆様に活動いただいているようなものを念頭に置いてございます。
最後の3番ですけれども、これは地域と関係機関が連携をしながら、「一人の課題」に対して何かできるかもしれないということで連携して取り組んでいく、そういう形の地域づくりがあるのではないかということで、この3つに整理され、お互いに当然ながら影響し合い、一緒に行われていくものというようなことでありました。
こういう3つの方向性というものを引用しながら、困窮制度というのはいずれももう同時進行で実践できるということで、地域づくりの柱となるのではないかというような趣旨で地域づくりの部分をまとめさせていただいています。
5ページの一番下ですが、この地域づくりといったようなことと、後ろで自立と尊厳の確保というのもこれから出てまいりますが、この2つについては、「法の施行における不変の目標として掲げ続けなければならない」と書かせていただきました。
このこととあわせて、そのパラグラフの後段ですけれども、困窮者支援にかかわる人が支援の展開によって、自治体の中、あるいは社会全体に対して、困窮者の尊厳ということ、それから、包括相談とは何かということ、困窮者支援が地域づくりにつながる、こういったものを広げていけるのではないかと書かせていただきまして、これは生活困窮者に対するバッシングもあるというような、前回、奥田構成員から御意見いただいたこと、それから、朝比奈構成員から、各分野で総合支援、包括支援ということを目指してきながらなかなか定着していかない中で、困窮者支援発で、この包括支援というのを全体化していくべきだというような御意見を頂戴しておりましたので、この携わる人こそ発信できるのではないかという問題意識でこのあたりで受けとめさせていただいております。
6ページでございます。ここは事務局において修正を、追記させていただいた部分でありまして、ここの論点整理の位置づけと今後の立ち位置というか、どうなるかということであります。この検討会で論点整理の議論をしていただきまして、この後は厚生労働省の社会保障審議会において具体的な制度設計の検討をしていくという形で位置づけさせていただきました。
ここからは各論になりまして、続きまして10ページをご覧いただければと思います。10ページ、11ページは(生活困窮者を受け止める)ということで、自立相談支援事業の相談の入口機能の部分について記載しておりましたが、ここで4カ所、修正してございます。
1つは、10ページの上から2つ目の○ですけれども、もともと生水構成員からいただいた御意見を受けまして、税の滞納者の情報について、支援に活用していく仕組みができないかということを記載しておりました。そこに税の滞納者情報に限らず、個人情報を共有するなどによって包括支援をより効果的にできるのではないかということで、前回の御意見を受けまして追記させていただいております。
その下のマル3、学校という部分ですけれども、こちらは、全体的に連携を深めるという記載が多いのではないかということで、座長からの指摘をいただいた部分でありまして、半減ということでありましたけれども、かなり減らしたつもりでございます。この部分は、「個別ケースと一般的な制度周知の両面にしっかり取り組めるよう自立相談支援機関側から働きかけるべきではないか」と書き下しをさせていただきました。
それから、右側、11ページの上から2つ目をご覧いただきまして、こちらはさまざまな関係機関との連携も含めた経路からの相談を受けとめるということを記載してございましたが、その中で、包括的な支援の入り口としては、社会的孤立や生きづらさを含めた全ての相談を断らないということで、前回の御議論で何回か出たキーワードかと思いますので、記載させていただきました。
それから、生水構成員からは、法の対象者のあり方の検討ということもいただきましたので、それもあわせて記載させていただいています。
その2つ下ですけれども、「さらに」というところでございます。これは朝比奈構成員から、相談をするということに関しては、困ったときに相談できるための社会教育というものも必要ではないかという問題提起をいただいておりましたので、それをこの部分に記載させていただきました。
続きまして、17ページの就労支援の部分でございます。17ページの上から2つ目の○ですけれども、これは地域における就労支援の展開の考え方というものを具体的に書いていた部分でありますが、パラグラフの下に箇条書きがあったわけですけれども、それを文章で整理し直してございます。
見え消しになっておりまして読みにくいので読ませていただきますけれども、「地域にはこれまでは仕事として認識されてこなかった役割も含め様々な仕事や人材のニーズがあるため、そこへ就労の場を拡げていくべきではないか。具体的には、人手不足感や社会貢献に対する関心を持つ地域の企業(社会的企業を含む)や障害福祉サービス関係の事業所、社会福祉法人など地域ごとに異なる多様な資源の状況に合わせ、柔軟に取り組みやすい枠組みとしておくことが重要ではないか」ということで、中小企業か大企業かというようなことでも恐らくないだろうということで、前回少し整理が悪い部分がございましたが、置かれた状況、あるいは認識、そういうものでさまざまな資源の状況に合わせて取り組むという基本的な考え方としてまとめさせていただきました。
次の○につきましてはハローワークとの連携を記載していた部分ですが、これも連携を深めるということの中身を具体的に記載したものでありまして、困窮者の方にハローワークの支援を使っていただくに当たっては、自立相談支援機関の的確なアセスメントに基づいて効果的な支援を効率よく実施していくことが重要ではないかということで、ハローワークの機能で就職していけるような方については、なるべくそのようにやるのが一番効率的かと思いますので、そのように書かせていただきました。
次の○2つが渡辺ゆりか構成員からいただいた御意見の部分でございます。ハローワークとのこうした一体的支援の他に、自治体がオーダーメイド支援というものを行う場合には、自治体において無料職業紹介への取組を進めていただくことが必要ではないかということと、もう一つは、就労準備支援事業、認定就労訓練事業の後の自立相談支援事業の就労支援員の役割というものが重要ではないかという御意見であったかと思いますので、その2つをここに記載させていただきました。
18ページの真ん中ほどですけれども、ここで就労準備支援事業に入ってまいります。まず、必要性、効果ということで、前回、多くいただいた御意見を受けまして、「その人の可能性を拡げる支援として欠かせないものであり、自治体の任意で行われる事業ではなく、必須とされるべきではないか」ということで1つまとめさせていただきました。
かなり御意見あったかと思いますが、「その際、形式的な実施ではなく実効性のある支援とするために、どのように考えるか」ということが論点になっているかと思います。
次のところですが、課題といたしまして、自立相談支援事業との関係をどう考えるかということでありますけれども、奥田構成員から御指摘ありましたのは、自立相談支援事業とは別がよいのではないかというようなことだったかと思います。その際、就労支援員との役割分担をどう考えるかというのは新保構成員からいただいた視点だったかと思います。
そういう自立との関係ということと、それから、その次の○ですけれども、もともと記載しておりました就労準備支援事業の資産収入要件の関係ですが、ここは見直しということについて、きちんと趣旨を位置づけたほうがいいのではないかということで、菊池構成員からいただいておりました。「あらゆる住民が役割を持ち、支え合う」というものが総論部分の考え方のところで掲げてございます。その理念に立って、この事業の要件のあり方ということを考えてはどうかというような流れにさせていただきました。
19ページでございます。上から2つ目の○ですけれども、こちらは同じく就労準備支援事業の要件のところでありますけれども、現行、65歳未満という年齢要件がかかっておりますが、高齢者の就労支援ニーズということで、和田構成員、大津構成員からいただいておりましたあり方の検討ということを追記させていただきました。
その次に、認定就労訓練事業のことでございます。これはもともと記載しておりました経済的インセンティブの必要性ということに加えまして、西岡構成員からいただいた御意見で、技術的支援の必要性。それは28年度に新設した事業もありますので、その振り返りもしながら検討していくべきではないかということでありましたので、この部分に入れさせていただきました。
一番下でありますけれども、この認定就労訓練事業に関しては、今、都道府県・政令市・中核市に認定権限がありますけれども、一般市においてスムーズに認定できる枠組みをどう考えるかということで、これも前回、新保構成員、渡辺ゆりか構成員からいただいた御意見の部分でございます。
20ページのほうは、「連携を図る」というところを少し日本語として修正させていただきました。
続いて21ページ、家計相談支援の部分でございます。家計相談支援は、21ページの一番上の(基本的な考え方)の中で表現が余り適当でなかった部分がございましたので、「自己認知を持たせる」という部分を「自己理解を深めるきっかけになる」というふうに修正させていただきました。
「家計相談支援のあり方」についてはこのほか修正してございませんが、菊池構成員からいただいた御意見の中で、生活保護受給者の家計相談支援事業の利用、あるいは自立支援プログラムの位置づけなどについても御意見をいただいておりました。今回の論点整理は生活困窮自立支援法に関するものをまとめるということで、今回、文章としては修正させていただいておりませんけれども、事務局としては御意見としてしっかり承らせていただいたということでございます。
続きまして25ページ、子どもの学習支援事業の論点でございます。上から2つ目ですが、ここは子どものための世帯支援という観点で、奥田構成員から問題提起をいただいていた部分であります。自立相談支援事業の世帯支援につないでいくために、よりつなぎやすくする方策をどう考えるかということで記載いたしました。
それから3つ目、御欠席でありますけれども、相澤構成員から、ほかの学習支援事業との関係で、縦割りを進めるような整理ではなくて、子どもに対して有機的、包括的な支援を行う観点からどう考えていくかというような問題提起をいただいたかと思いますので、そのように今後の視点として書かせていただいています。
25ページの一番下でございます。高校生に対する支援が不足しているということは、この検討会の中でもずっと御意見をいただいてきた部分でありますけれども、やや事務局案が十分に書き切れていなかった部分でありまして、渡辺由美子構成員からいただいた御意見でありましたが、(高校生等の10代に対する支援)ということにさせていただきまして、具体的には26ページのほうですが、高校生だけではなくて、高校中退した人であったり、進学してない人であったり、要は10代の若年層だということで、その層に対する支援が不足しているというような形の整理とさせていただきました。
27ページでございます。一番下が、これは一時生活支援事業についてですけれども、朝比奈構成員からいただいた御意見でございます。この一時生活支援事業の利用を通じて支援対象者のアセスメントという機能も果たせているということを御紹介いただきましたので、現状の評価の部分に入れさせていただきました。
それとも関連いたしますが、28ページでございます。一時生活支援事業の論点といたしまして、借り上げ型のシェルターについてのことがございまして、少し丁寧に記載させていただきました。借り上げ型のシェルターについては、自立支援センター、設置型シェルターと異なりまして、恒常的に利用があることを想定しておりませんので、常駐の支援員は置いておりませんが、ですので、利用者の支援については、自立相談の職員が行くということになっているのですけれども、そういう中で効果的に自立支援が行われるにはどう考えるかということで、少し具体的に書かせていただきました。
29ページからが居住支援のところでございます。上から2つ目の○につきましては、この検討会でも御紹介してまいりました国土交通省の新しいセーフティネットの法律案というものが今ちょうど国会にも提出されておりますので、時点修正させていただいております。
3つ目の○については、今の法律の中に長期継続性のある「住まう」面についての支援のメニューはないということを記載している部分ですが、特に課題の一つとしてあります連帯保証人ですとか緊急連絡先の確保といったような課題については、これは櫛部構成員の御意見でありましたが、身寄りがない等の社会的孤立に起因するということと、この部分は居住、住宅というところでありますが、就職の場面でも課題になっているというような御指摘をいただいておりましたので、この部分に記載させていただきました。
30ページは、冒頭、居住支援の必要性という論点ですけれども、その中に、奥田構成員からいただいた御意見で、住宅の供給にかかわる民間事業者との連携、住宅分野の施策との一体的な実施ということの御指摘をいただいていましたので、ここで冒頭に入れさせていただきました。
その3つ下の居住支援協議会との連携という部分ですけれども、ここも、連携ということを具体的に詰めて考えますと何ができるかといったときに、自立支援相談機関として、日々の相談支援の中で支援ニーズを受けとめておられるかと思いますので、そういう中で、主体的に居住支援をやってみるということですとか、あるいは都道府県の居住支援協議会との間で関係づくりをしていくというようなことが具体的なところかと思いますので、そのように整理いたしました。
31ページは住宅手当(家賃補助)ということに関連して、国土交通省で検討されている家賃補助制度というものに期待しつつ、十分に活用するということであったわけですが、ここの部分も連携ということを書き下すということで、両省間で「しっかりと課題を共有しながら、施策実施に向けて共に進めていくべきではないか」とさせていただきました。
この居住支援の部分は32ページからの高齢者の部分でも再掲してございますので、そこは同じように修正させていただいています。
35ページは「自立支援に関連する諸課題」として、冒頭、(当座の資金ニーズと生活福祉資金)について、現状の評価と課題を整理してございます。その中で、生活福祉資金についての課題がある一方で、独自の貸付給付等の支援というものがなされている実態もデータで御紹介したかと思います。それについて奥田構成員の御指摘をいただいていましたので、この部分で本文にも入れさせていただきました。
続きまして39ページでございます。「支援を行う枠組み」の中の(都道府県の役割)の部分でございます。まず、【現状と評価と課題】という枠囲みの中で、広域自治体として基礎自治体の支援をバックアップする役割が期待されるとしておりましたが、本日御欠席ですけれども、山本構成員からいただいた御意見で、バックアップとか、後ろで出てくるスーパーバイズというのがやや中身が具体的にわからないので、もう少し念頭に置くものを記載したほうがいいのではないかという御意見であったかと思います。
この検討会で御紹介しました愛媛県の虐待対応専門職チームでありますとか千葉県の中核地域生活支援センター、こういった事例について念頭に置くということで御紹介するような形で記載してございます。
40ページでは、この制度の評価指標のところを一番最後に記載してございます。これについては、やや就労自立に寄った制度評価になっているのではないかということで、何名かの方から御意見をいただいておりました。自立を支援するということでスタートしました新しい制度でありますので、マクロの制度効果として就労自立という部分が当然期待されるということですけれども、もちろんそれだけではありませんし、個人で見ていったときに、就労自立がゴールになる方とならない方が当然おられるということだと思っておりますので、その部分を丁寧に「新しい制度である法の制度評価については、個々人によって自立の目標は異なるものの、新しい制度としての制度効果をマクロの面でしっかり把握し、施策のPDCAサイクルを回していくことが重要である」と冒頭記載させていただきました。
それから、41ページをご覧ください。こちらはこの部分の論点ということで、冒頭に(支援の理念の具現化)というところを記載してございました。これについては、理念の法定化ということで菊池構成員、新保構成員から御意見いただいたかと思いますので、若干文章を整理してございます。
読ませていただきますと、「『生活困窮者の自立と尊厳の確保』や『生活困窮者自立支援を通じた地域づくり』といった理念を法定化し、国・地方自治体・支援現場が常に確認・共有し、支援に具現化していく基盤とすることが必要ではないか」。
そのページの一番下ですけれども、ここは人材養成研修の論点でありまして、前回、奥田構成員からいただいておりましたのは、人事異動によって支援員の入れかわりがある中でどう枠組みを考えていくかということ。それから、櫛部構成員からいただいておりました、民間から積極的にかかわることが必要ではないかと。前神構成員からいただいておりましたのは、人事異動で担当から離れた後もかかわっていくことができるのではないかと。そのような問題意識をそれぞれいただいておりましたので、この部分で研修の企画を担っていく仕組みをどう考えるかというような形でまとめさせていただきました。
42ページでございます。(都道府県の役割)のところでして、ここは、先ほどもちょっと申し上げましたが、基礎自治体の支援のバックアップであったりスーパーバイズであったりということで、スーパーバイズはやや表現として適当でないのではないかという御意見もありましたので、中身をしっかり書くとすれば、支援員の支援ということではないかということで、そのように書かせていただきました。
それから2つ目の○ですけれども、福祉にとどまらずまちづくり等の他分野とどうかかわっていくか、都道府県がどのような役割を果たせるかということも一つの論点としてお出しいただいたかと思っております。
43ページ、(社会福祉法人の役割)の部分ですけれども、野溝構成員からいただいた御意見としまして、社会福祉法人として取り組んでいる事業の分野に限らず、これは保育園のことで例示としておっしゃっていただいたかと思いますが、どんな分野であれ、生活困窮者支援、世帯支援といった観点を持って取り組んでいくことが重要ではないかと記載させていただいています。
その下の(制度評価のあり方)の部分については、これは先ほど申し上げたような趣旨でありますけれども、マクロの多角的な評価をしっかりしていくべきではないかと。その多角の一つに、入り口があり、プロセスがあり、就労という部分もあるというようなことで整理させていただきました。
修正した部分は以上でございますが、参考資料としまして「論点整理(案)の概要」をおつけしてございます。これは一つ一つ御説明はいたしませんけれども、論点整理をまとめ、公表になった段階で概要として使わせていただければということで事務局において準備をしたものでございます。これは御参考としてご覧いただければと思います。
以上でございます。
○宮本座長 どうもありがとうございました。
それでは、構成員の皆さんから御議論承っていきたいと思います。先ほどお願いいたしましたように、これまでのこの検討会での議論、特に前回、論点整理(案)に対して、皆様お出しいただいた議論がきちっと反映できているかどうか、そこを中心に、また、できれば、ちょっと問題だというときは、どのように表現、書きぶりを変えていったらよいか、少し具体的に御示唆をいただけると大変助かるということでございます。
その際、この素案の中にもありますけれども、この検討会の7回にわたる白熱した議論の熱をそのまま生かしたとりまとめだと書いておりますけれども、これは要するに、ここで出てきた議論、多くの構成員の皆さんがおっしゃった、この自立支援制度はまちづくりなのだという議論と同時に、例えば奥田構成員が強調されていたように、これはやはり最後のセーフティネットなのだという議論、これは決して矛盾することではないのだと多くの構成員の皆さんが感じていらっしゃると思いますが、ではどのように論理的に連関するのかと言われると、なかなかすぐに単純明快に表現できないというところもございます。
そういう意味では、この論点整理、文章的に、論理的に極めて完成度が高い、でき上がったものだとはもちろん言えないところも多々ございます。しかし、それはそれで、この制度を第二ステージに向けて発展させていく上で大事な可能性を持っている部分がそのような、うまく表現し切れない部分としてこの文章に宿っているのだと御理解もいただければなあと思います。
それでは議論に入っていきますが、この論点整理(案)を大きく3つぐらいに分けて、まず一番赤の多い1の総論のところ、それから、個別論点については、(1)から(3)、それから、3番目に(4)から(9)までの最後の部分、そのように大きく分けて議論していきたいと思いますが、そこは皆さんのほうで行き来する御発言もあるでしょうから、それは決して掣肘するものではございません。
まず、総論部分に関していかがでしょうか。また、これまでと同じように、赤札を立てていただければと思います。
それでは、生水構成員、お願いします。
○生水構成員 4ページになります。8つの視点の(8)について、修正をお願いしたい部分があります。論点整理にあります生活困窮者自立支援法を通じた地域づくり、これを目指すためには、また地域ごとの支援体系を底上げし全国的な支援の質を向上するためにも、自治体が地域の拠点となって、多様なプレーヤー、地域資源をつなぎ合わせるコーディネーターの役割、これを担うこと、そして何よりも、地域に丸投げするのではなくて、実施主体者として行政の役割を果たすことが重要だと考えます。
そこで、この(8)の点については、実施主体者である自治体の役割を明確化し、自発性や創意工夫を重視しつつも、自治体ごとの支援体系を底上げし、全国的な支援の質を向上することというように、「実施主体である自治体の役割の明確」というところを加えていただければと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。今の「実施主体である」というのは、これは最初からということですか。
○生水構成員 そうです。冒頭から、今の(8)では「地域の自発性」から始まっていますが、ここの部分について「実施主体である自治体の役割を明確にし」ということをはっきり明記いただければと思います。
○宮本座長 わかりました。事務局、よろしいでしょうか。
ほかに総論部分、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。先ほど、私、ちょっと牽制し過ぎたかもしれません。
では、菊池構成員、お願いいたします。
○菊池構成員 今の点ですが、自治体を出すのは大変結構だと思いますけれども、ここは、地域、下からの自発性、創意工夫を重視するというところに力点があるので、ちょっとそれとは別の視点が入ってくることになるので、入れるのだったら分けて書いたほうがいいような気がいたしますけれども。
○宮本座長 生水構成員、いかがでしょうか。今、菊池構成員からは、自治体のコーディネートの機能も重要だけれども、やはり自治体及び住民も含めた底上げの論理ということも(8)の論点ではないかということですが。
○生水構成員 そうですね。一番願うことは、今回の論点の中に、実施主体者としての自治体の役割について明確に記載されている部分がないので、やはり自治体としてはしっかりとその責任を果たしていくということが私は重要だと考えていますので、主体者である自治体の役割というところをうまく記載いただければと思います。
○宮本座長 それでは、(8)の後に、(9)として、重複部分は整理しながらも、並べるということでよろしいでしょうか。
○生水構成員 はい。一番望ましいかと思います。そこを論点として挙げていただければ。
○宮本座長 ありがとうございました。ほかに、総論部分、いかがでしょうか。
朝比奈構成員。
○朝比奈構成員 今の4ページの(6)のところですけれども、子どものことについて触れているくだりなのですが、例えば社会的養護のその後の子どもということを考えると、世帯への支援ということだけでは不十分なのかなと思います。10代後半で、家族の基盤の弱い、または家族を頼れない子どもたち、若者たちが大変深刻な状況に置かれているというのはこれまでの議論でも出されていたかと思いますので、そこも含んだものとして捉えるのか、もう少し書き加えるのか、その点について御検討いただければと思います。
○宮本座長 恐らく構成員の皆さん、そこは御異存ないと思いますが、世帯支援とあわせて、社会的養護をくぐった子どもたちへの支援、世帯とも重なる部分もあるのかもしれませんけれども、どのような書きぶりを考えていますか。
○朝比奈構成員 「家庭の基盤の弱い子ども」とか「家族を頼れない子ども」とか、そのような書きぶり。施設を出たということだとちょっと限定的になり過ぎるかなとも思います。象徴的ではあると思いますけれども。
○宮本座長 わかりました。よろしいでしょうか。つまり、世帯という枠に入り切らない、そういう困難を抱えた子どもへの支援ということを少しはっきりさせてほしいということだと思います。
その部分、ほかによろしいでしょうか。
西岡構成員。
○西岡構成員 具体的な訂正ではないのですが、今、菊池先生がおっしゃった地域の責任ということについて。現場でこの制度を運用していて感じることですが、自治体は、住民登録している市民が地域の主体という発想です。でも、私たちが地域、例えば東京の区部では20歳代の若者たちがたくさん流入しているが、そこに経済の場、あるいは学ぶ場を求めて動いています。なお、その働くという内容はかなり厳しい状況です。彼らは必ずしも住民登録しているわけではないし、あるいは、別の区に住んでいて、違う区を経済基盤にしている。そういう意味では、登録した住民の地域コミュニティとは異なる、そういう交流によるコミュニティ、「流域」のようなものが動いています。いわゆる地域コミュニティだけで物事を決めていくと、よく議論されるシルバー民主主義の典型のような意思決定の恐れがありますよね。それでは新たな排除をつくっているという気がしています。
そうすると、自治体の立場からすると、都市部であれ、流出の多い地方部であれ、また意欲的な交流であれ、不安定な漂流、不安定な状況で流域という形で地域にかかわる人たちもいるわけであって、そういう人たちをどう、この制度の理念から、担い手側というか、主体側に位置付けるのかという発想が必要だと思います。地域づくりが自治体に翻訳されると、住民登録した人、そこに住んでいる人に限定しがちで、企業でもその行政域にある企業に限定した議論が一般的ですね。
そうすると、すごく政策や事業の選択肢が制限されます。地域づくりがそういう形になると新たな排除をつくり出すのだと思います。奥田構成員はホームレス支援を通じて、流域や地域とのつながりを再構築されているのだと思っています。自治体が言う地域づくりというのが、地域コミュニティだけを念頭に置いてしまうと危険ではないかという気がしました。
○宮本座長 ありがとうございました。そのあたりの表現、論理というのは、おっしゃることは非常によくわかります。その上でなのですけれども、例えば総論のどこかに独自の表現で入れていくか、それとも、これまでの伝統的な地域概念に固執していることが具体的なその政策に関して足を引っ張るのだという、何か各論部分でよくわかるところに入れていくか、いかがですか、西岡構成員。
○西岡構成員 この検討の中でどこまで踏み込むことが妥当かわからないが、しばしば現場等で聞かれる地域での積み上げとか地域で議論とかいうのはきれいなのだけれども、現実を動かしたときに、やはり排除をつくっているのだなというのを感じることが多いのです。この中で、地域づくりが話題になっていること自身は結構なことだと思うので、それをどのように議論をリードするのかという意味で、生水構成員がおっしゃった自治体の責任というのは大変重要なことだと思います。だから、この論点整理でどこまで踏み込むかちょっと提案できないので、すみません。
○宮本座長 わかりました。
和田構成員のほうから、それにかかわってということですので、お伺いしたいと思います。
○和田構成員 今の点、かなり大事なのではないかと思うのですが、結局、今の生活困窮者支援の地域づくりと考えていくと、地域としてはしっかりしたコミュニティができているとか、つながりが非常に強くなっているというところで、実際には無関心であったり排除されて、むしろそういう人がいないほうがいいという、あるいはそのことを取り上げたくないということが結構多いわけですね。
そういう意味で、地域づくり一般というところではなくて、生活困窮者を支援することを通じて地域をつくっていくという視点が入っているのが非常に大事なのではないかと。この視点は、結局は、困窮者ってそうやって無視されていたり排除されやすい。そういう人たちがちゃんと生活できるようにしていく。そのためには、恐らく地域社会とのさまざまな軋轢もあるのでしょうけれども、そこをどう積極的につくっていくのかという、新しい地域社会のつくり方についての提案をしているのだということを、例えば3ページの(3)の中にもうちょっと書き込むとか、何かしていただけるといいのかなと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。今、和田構成員のほうから、地域という枠が排除しているということでは決してなくて、むしろその組み立て方の中で排除が生まれている以上、恐らく、例えば(8)で書かれていることと、先ほど西岡構成員が御指摘になったことは相矛盾することではない。したがって、西岡構成員の御指摘の部分を例えば(3)のあたりに組み入れて、(8)ときちっと両立させていく、そんな理解でよろしいですかね。
西岡構成員も、そんな組み立てでよろしいでしょうか。
○西岡構成員 はい。
○宮本座長 ほかにいかがでしょうか。
もう戻らないということではございませんので、総論部分、また思いついたら御指摘いただければと思います。
それでは、個別論点に移らせていただきます。ちょっと恣意的な議論のステップになりますけれども、(1)から(3)までのところで何かございますでしょうか。
西岡構成員。
○西岡構成員 就労支援のことしか発言してこなかったのですが、最後も就労支援で1つだけ発言させていただきます。まとめていただいたことについては了解です。今回の議論が大変刺激だったのが、オーダーメイド型の支援という形で、従来の、いわゆる雇用労働にこだわらないような就労支援の概念がある程度整理されたのは大変いいことだと思っています。
ただ、現状は、最近もある県から就労支援の相談がありまして、どういう相談かというと、生活保護も含めて就労支援して、就労を果たした人の半数が1カ月でやめる。8割が3カ月以内でやめている。現状の就労支援は確かに就労件数は上がったかもしれないけれども、これでは就労支援にはなってないのではないかという評価だと思います。まだまだ、この検討会で議論された、いわゆる労働行政の中で開発されている求人につなぐ支援、求人につなげればいい、あるいはつなぐところを工夫すればいいというところに終始しているのだと思います。就職、採用はされたけれども、1カ月以内、3カ月以内にほとんどがやめてしまっている現状が改善されるように、議論したことが次にぜひともつながってほしいと思っています。
もう一つは、オーダーメイド型支援というものが実は自治体の現状の機能や組織の編成ではなかなか通じないということです。要するに、何をしていいかわからない。就労準備と言っても居場所つくるぐらいが関の山で、総論にも書かれていますが、地域企業と連携して就労体験とかオーダーメイドの求人をつくるなんてことは、従来自治体としてはどこのセクションもやったことないのです。昨日も若者の全国集会があって、口々に福祉と教育、福祉と雇用や産業サイドが連携して、そういう出口のことを考えないといけないと、いろんな人や地域から発言があるわけです。
しかし、自治体の庁内連携ではオーダーメイド型支援というのは生まれませんという認識から入ってくださいとお願いしました。要するに、どこかがつながればオーダーメイド型支援ができるのではないということです。それをつくるための仕組みや機能を、自治体内であれ地域との連携であれつくらないと、オーダーメイド型支援はできない。雇用市場に転がっているわけでもないということですね。この検討会でも紹介されました、例えば地域おこし協力隊。仕事づくりということはそこで働く場をつくっていくわけですが、一緒に働く人をどう確保し育てるかという作業が問われます。オーダーメイド型支援という概念を出されたので、それが創出され活用されていくことを期待したいなと思っています。
ある政令市で、来年度、福祉部局が初めて地域企業と連携してオーダーメイド型の就労支援メニューをつくりたいと言っています。経済活動行われている現場で、具体的には就労訓練事業とかが動くようにできればと期待しています。そういう意味では、大変有意義な検討会であったのではないかと思います。
最後にちょっと私事でですけれども、一緒に大阪で頑張っていたメンバーというか、私にとっては師のような人ですけれども、岩間先生が亡くなられました。最後まで一緒に、この生活困窮者支援制度で自治体を変えるのだという議論をしていました。本がまとまる前に大変不幸なことになってしまったのですが、自治体を変える、あるいは地域を変えるというところがこの制度の大きなインパクトかなと思っていますので、先生の遺志を継いでいきたいと思います。また検討会は大変私にとって有意義な議論であったと最後に発言させていただきます。ありがとうございました。
○宮本座長 ありがとうございました。今、大きく2点、定着の問題ですね。それから、オーダーメイド型支援の受け皿の問題、特に後者の問題は、西岡構成員、一貫して主張されてきたところでもございますけれども、いかがしましょうか。
つまり、恐らく、多くの構成員の皆さんも今の御主張については深くうなずくところだと思いますけれども、例えば定着の問題、どのあたりにどんな形で埋め込んでいったらいいか、何かお考えはありますか。
○西岡構成員 制度の中でこれだけ、就労訓練事業含めて議論されてきていますので、少なくとも次の議論には発展していくと思っていますので、ここまで具体的に触れておかないとだめだという感じでは思っておりました。
○宮本座長 あるいは、そのオーダーメイド型支援の受け皿の問題も、先ほど申し上げたように、熱を伝える論点整理でありますので、多少ぎくしゃくしていても、どこかそこを盛り込んでいくということ自体は全く問題ないかと思いますけれども。
では、その点も含めて、もし何か後で御示唆いただければお伺いしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。現在、個別論点の自立相談支援、就労支援、家計相談支援のあたりですけれども。
では、渡辺ゆりか構成員。
○渡辺ゆりか構成員 就労支援ということで西岡構成員が発言いただきましたので、私も引き続き、今の思いも含めということになってしまうのですけれども発言します。生活困窮者自立支援法の就労支援の取組は、私は、日本のこれからの社会において、仕事や働いていくということの価値観を変えていく役割を担っていると思っています。今のキャリア型支援や新卒の就活の文化は若者に大きな不安とあきらめを与えているように思えるのですね。
当団体が運営している名古屋市子ども・若者総合相談センターで、仕事につけず、社会から孤立している若者と話すと、新卒で就活に失敗したから、もう一生まともな仕事は無理とか、あるいはブランクが5年以上あるからもう派遣の仕事しか無理だよとか、高校中退だから、家族を持てるような収入のある仕事はつけない、だから、家族も持てないと思い込んでいる若者たちが沢山います。それらの方は、きちんと応援しないと、引きこもり孤立し、生活困窮者予備軍になっていきます。何とか就職活動の波にのっている人も、いかに自分をよく見せるかということを競い合う中で、弱い部分をひた隠しにして、その結果、企業も本人も就労後に、こんなはずじゃなかった、という先ほどの短期離職の結果になっていって、どちらも疲弊している姿を目の当たりにしています。そのために、この制度において、これからの就労支援のあり方を示していくことが必要で、その議論ができたことを、私もとてもうれしく思いました。
本人の特性や持っている生きづらさを含めて、ありのままの本人を生かしていく。そのことによって企業も豊かになり本人も豊かになる方法があると思っています。それは先ほどの地域づくりの論点ともかぶります。でも私は、その仕組みづくり、まちづくり、地域づくりというフレームが先ではなくて、あくまで徹底して、孤立をしている人、困窮している人全ての人に行き渡る、丁寧な個別支援が先なのではないかなと思っています。
その人が生かされる企業や事業所を一から開拓していって、実習や体験にとどまらず、雇用につなげていく。そういうたった一人のための地道な個別支援が、その重なりが地域やまちを興していったり仕組みをつくっていくのではないかなと思っていて、そこに暮らす人や地域に、その結果、寛容な文化が生まれ、誰もが生きやすくなっていくというふうに思ったときに、あくまでやはり個別支援の丁寧さというのが先に来ていて、その結果まちづくりがあると、就労支援の議論を重ねる中でさらにそのように感じました。今のことをどのように文言に反映するかというところは難しいなと思いながらなのですけれども、発言させていただきました。
○宮本座長 わかりました。私のほうで少し論点整理、完成に向けて技術的な議論をしてくれということをお願いし過ぎたところもあったのですけれども、振り返ると、この検討会、今の制度の全体にかかわる大きな熱い議論が続けられてきましたので、先ほどの西岡構成員の御議論といい、今の渡辺ゆりか構成員の御議論といい、簡単に落とし込めない部分はありますけれども大変大事な部分でもあります。何とか、この論点整理の表現で言えば、その熱を伝える努力を、あるいは工夫をしてみたいと思います。そんな受けとめ方でよろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 最初のやつに戻ってしまうのですけれども、5ページです。今、西岡構成員からもありましたように、今の自治体が変わらないと動かないという話につながると思うのですが、下から3行目ですね。「『包括的相談支援体制とは何か』を伝え」ということで、「伝え」という文字が入っているのですけれども、自治体そのものが変わっていく、あるいは支援している実施機関が変わっていかないと、なかなかこれというのは、前回、西岡構成員が言われたように、やりっぱなし、任せっぱなしになってしまうと。そこをきちっと動かしていくためには、私はこの「包括的相談支援体制とは何か」ということを問いかけ、さらにということまで通じていくイメージを持っているのですけれども、そこが表に出ていくことが大事なのかなと思います。オーダーメイド型の支援、熱を込めて、これはトップダウンでいくぐらいの意気込みでないとなかなか難しいと思うので、その勢いが出てくるようなものがあったらいいというのが1点です。
それからもう一つ、17ページですが、上から2つ目の○です。「具体的には」というところから、「人手不足感や社会貢献に対する関心を持つ」云々とあります。ここには、事業者とか法人が出てきます。これは以前、複数の構成員から出ていましたが、地域にいらっしゃる人たち、地域の人たち、人材を活用するということも1つ手段ではなかろうかと思いますし、地域の方が動くことで地域をつくっていくというイメージがわいてくるように思いますので、ここはぜひ、法人だけではない、地域にいる有用な人材を活用するというものがここにもあっていいのかなと思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。2つの論点で、後者については、つまり、17ページ、一連の、社会的企業、あるいは社会福祉法人等のアクターが記載されているところでございますけれども、恐らく、社会的企業というのは、今、田中構成員がおっしゃった、地域の人々の自発的な、インフォーマルな活動というところを対象にしている表現かなと思います。そういう意味では、これに加えて、法人にくくれないようなアクティビティのようなものを少しここに反映させてほしいということですね。
つまり、社会的企業はちょっと括弧に入ってしまったところがありますので、中小企業や社会福祉法人と並んで、前回も、NPO、社会的企業の流れをもっと重視したほうがいいのではないかという議論がございましたけれども、そこをもう一回生かして、例えば「地域の自発的な活動や社会的企業」みたいな形で、括弧の外に出すというのも、今の田中構成員の御指摘を生かす方法かもしれません。
最初のほう、包括的な相談支援をもっとどーんと、場合によっては上からイニシアティブ発揮するような方向でという点ですが、それは総論のどのあたりの書きぶりになりますでしょうか。
○田中構成員 下から4行目、社会全体に対して「生活困窮者の尊厳」と「包括的相談支援体制とは何か」、ここは非常に大事なことなので、ここが前面に出てこないといけないと思うので、これを「伝え」という表現で書いていただいていますけれども、これが何を意味するのかを問いかけるとか、そのような表現といいますか、ということにしたほうがよろしいのではないかと思いました。
○宮本座長 わかりました。ありがとうございます。
では、西岡構成員、次いで大津構成員、お願いします。
○西岡構成員 簡単に、今、田中構成員の、17ページの「具体的には」というところで、人手不足の企業を念頭に置こうよという議論があるのですけれども、労働サイドから人手不足というのは大変わかりやすいのですが、私たちのこの困窮者の制度、就労支援から見るとどういう企業かです。人材難。人を募集しても来ない、離職が多い、忙しくて教育訓練の時間がとれないような事業所が多く、その悪循環にはまっている状態です。介護事業所などを思い浮かべると思うのですね。
こういう事業所が抱える課題は、1つは、よく言われる多様性理解という話があります。多様な人材の理解、自己理解と他者の理解というところが教育訓練としてできていない。職業スキル、業務の力に偏重した人材育成になってしまうがゆえに、「少数派」の個性を持った人たちが、優秀な人材も含めてなじめずにすぐ離職してしまうという悪循環が広がってしまう。
農業の現場もそうです。雇用の技術、あるいは人材育成の技術が弱く、多様な人材を受け入れることができない。不用意な一言で訓練者なり採用者が離れしてしまう現状があります。人材育成は、職業スキルに関する業務研修が中心でした。今問われているのは、この制度がいう就労支援の観点から企業やその人材育成を見る目ではないかと思うのですね。人手不足だから、企業支援をするという言い方もありますが、企業の支援とは訓練等で送った人たちをちゃんと見守ってねというよりも、そもそも雇用の主体である、受け入れの主体である企業自体が多様な人材を受け入れて、育成する教育訓練等が行き届いているかどうかを評価し改善を促すような政策がセットにされないと機能しない。
そういう意味では、労働の現場の中に、福祉的な人材像、人物像を念頭に置いた教育訓練のようなメニューが入っているかどうかという課題です。障害者雇用をめぐってのジョブコーチ、職場適応訓練を思い出しますが、この人に合わせた働き方を何とかしようということなので、企業自体を変えていこうという発想にはなってない。人手不足感が広がる中で、この制度が念頭に置く多様な人材を受け入れ育成する企業像を出してもいいのかな、そうすると企業支援の内容が広がると思ったところです。
○宮本座長 ありがとうございました。大変大事なところであります。先ほどの渡辺ゆりか構成員が、どちらかというとマクロな視点から日本の雇用システムについて、それから、西岡構成員は、どちらかというとミクロな、多様な人材を使い切れない、それで、自らのパフォーマンスも犠牲にしてしまっている、そんな企業のあり方に楔を打ち込まないと、この制度自体が動いていかないという議論であったと思います。同時に、そこは非常に、どこからどのように手をつけていいかわからないところもありまして、どのようにその楔の打ち方を書いていくのかということだと思いますけれども、今の御発言を解釈しますと、そういう人材を供給して使ってもらうこと自体が当該企業のためにもなるという、ウィン・ウィンの関係を少し書いていく。こうしなければいけないということだけではなくて、地域づくりという観点から、ウィン・ウィンの関係につながるのだということも少し書いていくことで、マクロ、ミクロな大きな仕組みの転換も射程に入れていくということになるのかなと思いながら伺っておりました。
大津構成員、よろしくお願いします。
○大津構成員 11ページの下から3つ目の○の「さらに、社会教育として」というところについて、これは朝比奈構成員の御指摘だったと思いますけれども、制度の中身を議論することもさることながら、その周知を図るということが大変重要で、対象者にきちんと支援を届けるという意義の大きさを考えますと、今回盛り込んだことは大変意義があると思います。
加えて、もうちょっと具体的にしてはどうかと考えております。「さらに、社会教育として」というところについて、あえて社会教育という言葉をつけてくださったと思うのですけれども、学校現場等でも必要になってくるのかなという気もいたしますし、もう少し具体的な説明が必要ではないかと思います。例えば「社会全体の取組として『困ったときにどうすればいいか・どこに相談すればいいか』について」という下りの後「広報やホームページ、学校現場などで学べる機会をつくっていくことも必要ではないか」というふうに、もうちょっと具体的にお示ししていく必要もあるのかと。何度も繰り返し申し上げますが、メディアも含めて制度をつくることには結構一生懸命だったりするのですけれども、周知というのもこれまた非常に重要だと思っております。表現ぶりは座長にお任せしますので、もう少し具体的に書き添えていただければと思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。まさに一般的には社会教育という言い方自身が少し市民権を得切っていないところもあって、したがって、具体的にどのように周知していくのかというところを、やや羅列的でもいいので具体的に書いていくということになろうかと思います。大津構成員、よろしいでしょうか。
では、櫛部構成員、お願いします。
○櫛部構成員 全般的な感じなのですけれども、1つは、この書きぶりを見ていて、生活保護のディフェンシブというあの図がありまよね。「第2のセーフティネットを真ん中に」という。そういうところの呪縛から、この流れは大きく変わったというか、それを全国の実施機関なり委託先が理解していただくということがすごく大事なのではないかと思います。この検討会の中ではそういうことを前提に話されていなかったと私は思っていて、それの持つ意味ってすごく大きいなというのを今回思いました。
それからもう一つは、これは担い手論になりますけれども、確かに自治体であったり社協であったり、さまざまあるのですけれども、一方では、地域力の観点から言うと、住民に何か全部押しつけているのではないかという批判ももちろんあるわけだけれども、同時にそれは住民の主体形成というか、あるいは統制というか、そういう側面も一方では開いように私には思えていて、そういう意味では、必ずしも自治体のあり方ももちろん大きいし、社協のあり方も大きいのだけれども、そこのところをもう一歩前に見る必要があるのではないかと思いました。
実際、私は、先週、大船渡市の社協に呼ばれて行ってきたのです。帰り、たった一人のために花巻空港まで2時間かけて送ってもらって、本当に遠いのですよ。山の中ずうっと行ってね。だから、地域を一くくりなんかできないなと。つまり、人口が30万とか50万、100万のところと、5万、4万、そういうところと同じにして、地域ができないとかできるとかいうのは、本当におこがましいというか、そういうことではないのではないかと思っています。就労準備を社協が受託してやっているというのは余り僕は見たことがなかったのですが、そこでは一生懸命やられていました。
座長が補完的所得保障と言っていますけれども、まさにそういうことがますますこの中で明らかになったのではないかと思います。高齢者の働きという問題も、体系立ってという言い方もそうなのですが、単に就労を上げるとかいうよりも、全体的な自尊感情の回復とか、どう生きていくのかというようなものも含めて出てきておりまして、私は、この前の社会保障審議会のときに、中間的就労が頓挫した、一休憩したことにすごくがっくりはしていたのですが、ひょっとしたら、社会的企業のあり方も含めて、中間的就労というのは実は田舎であればあるほど本当に課題になりつつあるのではないかということを実感しております。自治体は確かになかなか大変です。大変なのだけれども、周辺であるかもしれないけれども、中間的な就労、半就労、半福祉的なことは実は逆に起こり得るのではないかということを、私はこれを読んでも感じましたし、またそういうメッセージが伝わればいいなと思っています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。特に前半の生活保護の問題は総論の部分での入れ方の話でしょうかね。
○櫛部構成員 入れてくれとか言ってないので、感想です。
○宮本座長 わかりました。今日は最後でもありますので、そういう思いも受けとめたいと思っております。全体で共有したいと思っております。そこはもちろん自由に御発言いただければと思います。
それでは、奥田構成員、お願いします。
○奥田構成員 すみません。ちょっと最初のところにも戻ってしまうのですが、私、11ページに、今回書き加えられたところで、「社会的孤立や生きづらさを含め」云々というところで、この制度のもう一つの柱というか、二本の柱がここで非常に明確にされたと思うのですが、残念ながら、8つの論点のほうには、この社会的孤立という言葉が終始出てこないので、私はやはり8つの論点の。
○宮本座長 8つの論点というのはどこの。
○奥田構成員 今言ったのは11ページの自立相談事業の真ん中あたりに赤字で「社会的孤立や生きづらさを含め、すべての相談を断らないことを徹底すべきではないか」ということで、ここはとても私はすっきりしたと思うのですが、だったら、3ページの(2)のところですね。「自立相談機関における相談機能は、包括的な支援の『入口』として、経済的困窮の課題を抱える人であるかどうかに関わらず」の中身が、社会的孤立、生きづらさのことを言っているのだったら、明確にここに、「関わらず、社会的孤立及び生きづらさを含め全ての相談を断らない」と書いてしまったほうが、3ページと11ページがはっきりつながるので。しかも、社会的孤立、生きづらさの問題は、実は自立相談事業だけでなくて、あらゆるところに金太郎飴みたいに出てくる。経済的困窮と社会的孤立というのはセットなので、やはり最初の論点のところでまずかちっと言葉で押さえるというのが大事なのではないかと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。それは恐らく差し支えないことではないかなと思います。(2)のところですね。「経済困窮と社会的孤立の問題を抱える全ての人々」ということは恐らく書けるのではないかなと思います。
渡辺ゆりか構成員。
○渡辺ゆりか構成員 就労支援の観点で17ページに戻るのですけれども、一番上の○で、「就労支援は、本人に対して徹底した寄り添い型・伴走型の支援をしつつ、企業・事業所で実習しながら長期的な就労を実現し」と書かれたのが、すごく私としてはうれしい文言でした。同じように、18ページの一番上の○の「就労準備支援事業や認定就労訓練事業を経て一般就労を目指す人に対しても」のところにも、「面接や就労の同行支援や実習を通して」というように、「実習」の文言を入れていただけるととてもいいなと思います。先ほどの西岡構成員の発言にもあった、「企業側の支援等の」という文言がありますが、「企業側の支援等」にはやはり実習などを通した、長期的な企業への介入がどうしても必要で、そこに文言が一言あるといいなと思いました。
○宮本座長 これも具体的な御提案をありがとうございます。受けとめさせていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、(4)から(9)にかけて、貧困の連鎖防止から支援を行う枠組にかけての御意見をいただきたいと思います。
朝比奈構成員、お願いします。
○朝比奈構成員 すみません。(3)に戻ってしまいますが。
21ページで、(3)の家計相談の書きぶりが、医学モデルのようで気になるので、何点か表現を御検討いただきたいと思います。1つ目が、「カウンセリング」という言葉をここで使うのがどうか。手引などでは使われている向きもあるかもしれないのですけれども、例えば「家計に焦点を当てた個別的な働きかけ」といったような言葉使いのほうが全体のこの論点整理のトーンになじむのではないかなと思います。
それから、(支援の効果)、21ページの2つ目の○のところでも、例えば1つ目のポツで、「自分で理解できるようになる」とか「家計管理ができる力」とか、できないことがよくないことのようなトーンが気になるので、1つ目のポツは、ただ「自分で理解するようになる」でも意味が通じるのかなというのと、3つ目のポツは、逆に、「再び」以降が日本語としてとても読みにくい文章になっているので、例えば、「債務返済・滞納解消計画の作成が可能となり、さらに」の後に、「見通しを持った家計管理をしていく力を身につけることができる」とか、そんな表現にしてみたらどうかなと思いました。
それから、続いて(4)に入って26ページですが、先ほど申し上げた家族を頼れない子どものこと。世帯だけではなくて、個人としても見る必要があるのではないかというところで、ここにはさらに具体的な例示として、先ほど申し上げた、虐待等により家族を頼れない若年層や、それから社会的児童養護施設を退所した若者などの記述を例示として書き加えていただけないかと思います。
○宮本座長 26ページの最初の○のほうですか。
○朝比奈構成員 そうですね。
○宮本座長 わかりました。これも大変具体的な御提案、ありがとうございました。「カウンセリング」という表現について書き方、それから、当事者の能力不足を追及するような書きぶりについての見直しということになろうかと思います。それから、同じ部分ですけれども、少しややこしい、読み取りにくい書き方について、これまた具体的な書きぶりの御提案をいただきました。ありがとうございました。
では、生水構成員、続いて渡辺由美子構成員、お願いします。
○生水構成員 私からは、学習支援のところで書き足しができるかというところです。新たな自殺総合対策大綱の在り方検討会において、若年層の自殺防止対策が重要課題とされている中で、地域において頼れる大人、相談できる大人がいる居場所づくりが論点で挙がっています。そこで、学習支援事業においても、こうした自殺対策防止と連動させるような。
○宮本座長 何ページを見ればよろしいですか。
○生水構成員 学習支援のところの25、26ページになります。この中で、自殺防止対策については、何も触れられていないので、同じように、こうした頼れる大人、相談できる大人がいる居場所づくりということが論点で自殺対策防止の中でも挙げられているところから、生活困窮者自立支援での学習支援事業においても、若年層の自殺防止対策との連動を書き足すことができればと思いますが。
○宮本座長 ありがとうございました。それも十分可能かと思います。
続きまして、渡辺由美子構成員、お願いします。
○渡辺由美子構成員 私も同じく25、26ページの高校生の件なのですけれども、これは入れていただいてありがたいと思っております。私どもで昨年支援をした中学3年生、高校に行かせた子たちが今どうなっているかというのを最近調査したのですけれども、非常に貧困率が高い地域のお子さんたちだったので、私どもでは非常にショッキングな高い率の中退と、あとは、既に高校1年終わる段階で留年の可能性があるという生徒さんの率が非常に高い割合で出てきまして、そういう意味からも、今までは高校を中退してしまうのは自己責任で、怠け者だと見られがちだったのですけれども、非常に学習面でにっちもさっちもいかなくてやめざるを得ないお子さんたちがたくさんいるということは感じております。
そういう意味で、ここに書いていただいているように、高校生とか、高校中退とか、中学卒業後の方というふうな支援が重要だと思っていつつ、どうしても自治体だと義務教育の中学校卒業を一つの区切りとして見がちなのですけれども、中学校を卒業した15歳が社会に出て何ができるかというと、実態としては非常に家庭基盤が弱い中でつらいので、中学卒業を一つの区切りにするべきではなく、地域の中で高校生や10代も継続的に見守り支援していくことが重要であるということを明確に書いていただいて、地域の中で学習支援を計画するときにはぜひ10代も範疇に入るように明確に書いていただくとよりよいのかなと思っております。
○宮本座長 ありがとうございました。今、渡辺由美子構成員から、ここも、高校中退した人とは言っているわけですけれども、特に義務教育の後ですね。このゾーンをきちっと対象化していることを明確にする。これは恐らく先ほどの朝比奈構成員からの御指摘、つまり、中学生とか高校生でなくても、所属の場がないような、そうした若者たちをもきちっと対象とする。少しここのゾーンを広げていくという御指摘で重なってきたのかなあと思います。ここも恐らくは具体的な御提案として受けとめることができるところだと思います。
続きまして、駒村構成員、菊池構成員の順番でお願いいたします。
○駒村構成員 25ページの1つ目の○ですけれども、親に対する養育支援、ここをもうちょっと書き込みたいなあと思っていて、今ちょっと資料を見ているのですけれども、横浜市の子どもの貧困対策に対する計画で、一般の市民に対するアンケートで、親自身が中学卒業、高校中退のような保護者に対する子どもの学歴に対するインタビューアンケートがあるのですけれども、親自身が中学卒業、高校中退だと、子どもの進学に対する意識が非常に低いという回答が出ているわけですね。
これは埼玉のアスポートの事業も類似の事例があり親自身が、自分の経験というのでしょうかね、見方の中で判断する傾向があると。そういうところも含めて、親に対して、今の時代は高校ぐらい出ておかないといい仕事にはつけないのですよと。もちろん、高校進学率が100%の社会ではないわけですから一般的にはそう言えるわけでもないわけですけれども、そういう傾向があるという意味も含めた養育支援ということだと思いますので、親に対する養育支援が具体的に何を意味しているかということが書いてないので、親に対するアドバイスということもこの中に少し書き込んでいただきたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。大事なところなので、しかも、これまでの受けとめ方からすると、ちょっと家庭内の問題だと片づけられがちな問題なので、であるからこそ、少し具体的な事例なども絡めて書き入れることで伝わるのではないだろうかと受けとめられる御指摘だったと思います。そんな理解でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
○駒村構成員 高校へ行かなければいけないとまで価値観を押しつけるのはまた問題かもしれませんけれども、一応狭い情報の中でもしそういう判断をされているようでしたら、あるいは御自身の経験の中だけで親がそう思い込んでいるならば、一般的な情報をお渡しする。学習支援というのは塾機能ではないのだと、家庭支援機能が重要なのですよということを、これは自治体の方にもきちんとメッセージを伝えて、塾に対する補助みたいな対応ではだめですよということは理解していただくと。
○宮本座長 わかりました。ありがとうございます。あくまで家族の自発性を前提にした上での働きかけということになろうかと思います。
では、菊池構成員、お願いします。その後、櫛部構成員。
○菊池構成員 私のこれまでの発言は受けとめていただいたので、今回の内容については特に要望はございませんが、座長から感想でもよいという話でしたので、今日まとめがあって、審議会のほうにこれから議論の場を移すことになるそうですので、それを踏まえて、3点申し上げておきたいと思います。若干、法学の観点からテクニカルな発言になる部分があるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。
1つ目は、41ページで、理念の具現化ということで、法定化ということで2つの理念を「法定化し」という文言を入れていただいたことにつきましてありがたく思っております。昨年の法改正でも、児童福祉法、それから発達障害者支援法で目的規定が整備されて、かなり書き込まれています。社会保障関係の法律は技術的な性格が強いものですけれども、やはり法の目的や理念をきちんと条文の形で書き込んでおくことは重要であると考えます。
2つ目ですが、23ページで、自立支援プログラムの位置づけについても、先ほど事務局に受けとめていただいたという発言があって、ありがたく思っておりますが、以前、メモを出させていただいたこととも関係しますけれども、憲法25条1項と生活保護法の構造についての理解について、やはり今後の検討課題になるだろうということで、生活保護制度で具現化されている、憲法にいう健康で文化的な最低限度の生活といいますのは、金銭給付、それから医療、介護といった現物給付として構成されているわけです。生活保護法8条も、「保護は金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う限度において行うものとする」と規定していまして、これに対して相談・助言というのは、生活保護法27条の2でソーシャルワークの根拠規定として置かれているにとどまっていまして、最低生活保障の給付の枠組みとは別個のものと理解できるわけです。
こうした相談・助言が憲法25条1項の保障対象に当然には含まれないと解釈できるのであれば、少なくとも生活困窮者自立支援法の相談・助言にかかわる事業については、たとえ生活保護法で他法優先がうたわれているとしても、生活保護法の事業との相互乗り入れ、相乗りを回避する、しなければいけないという解釈論上の必要性は必ずしもないということができます。生活保護法4条2項も、「他の法律に定める扶助はこの法律による保護に優先する」と規定しているにとどまっていまして、相談・助言が、ここにいう「他の法律に定める扶助」に含まれるとは当然には考えられないわけです。
それから3つ目、最後ですが、先ほどの奥田構成員の発言にもかかわるのですが、生活困窮者自立支援法2条1項の理解をどうしていくかということです。この2条1項は、生活困窮者を経済的困窮者と整理して支援の対象としています。このことは、先ほど申し述べました生活保護法の法的性格についての公権解釈を前提とした上で、生活保護法との関連を意識したものかと思われます。
このことと、今回の議論の中で、先ほど奥田構成員が御指摘になられた11ページの「社会的孤立や生きづらさを含め、すべての相談を断らない」といった文言が盛り込められたこととの関連について、今後議論を深めていく必要がある。すなわち、この自立支援法を必ずしも経済的困窮を伴わない社会的排除の取組として位置づけるかどうかという点です。形式的には、生活困窮者の概念自体を見直す、あるいは法律の対象を生活困窮者またはそれに準じた状況にある人まで広げるといったことがこの検討対象になるのだと思います。
さらに、18ページ、一番下の○ですけれども、就労準備支援事業を、「将来の生活困窮の予防の観点から積極的に活用していく」という観点も今回示されています。この視点は、貧困の予防という機能を持つ生活困窮者自立支援制度をさらに一歩進めて、生活困窮の予防という役割まで持たせることにするのかというもう一つの視点を提供していると思います。
ただ、この生活困窮の予防という点については、さしあたり将来的な課題になるのかもしれませんが、少なくとも法律の対象を経済的困窮に限定するかどうかという点については真剣に議論していくべき論点であると思います。
現実には、現在でも、この経済的困窮者に限定されない法の運用がなされており、あまり厳格に考えるべきではないという議論もあり得るかもしれません。また、この法律に基づく相談・助言事業は自治事務でありますことから、自治体には権限行使に係る裁量があると。さらに、国民の権利・利益を積極的に侵害するような事業内容ではないと認められることからしても、あまりこの点にギリギリこだわる必要はないという見方もあり得なくはありません。
しかしながら、少なくとも明文上、法律の対象に含まれていなければ、法に基づく事業に対する対象者の方々の権利・利益はやはり相対的に弱いものになってしまうことは否定できません。確かに現実的には、仮に自治体直営の事業であれば、自治体の要綱などに基づき、利用者との関係での運用が図られ、そこでの自治体と利用者の利用関係は、例えば紹介といった意味での事実行為、あるいは契約によって構成される場合が多いかもしれません。あるいは、仮に民間事業者への委託事業であれば、自治体の要綱に基づき、自治体と事業者間での契約関係が存在し、さらに利用者と事業者との間での事実行為、あるいは契約といった形で利用関係が成立すると構成される場合が多いように思います。しかし、仮にそうであっても、そうした要綱などに基づく利用者側の権利・利益の強さは、やはり法の対象となっているかどうかで違いが生じる可能性があります。
さらに、法律の対象に含まれない人たちに対する国庫補助、あるいは国庫負担を根拠づける法的統制もやはり相対的に弱いものにならざるを得ないということで、以上のことを念頭に置きながら、長々と申しわけありませんが、今後、審議会の場で法律改正に向けた議論、私は、社会的排除といった面に広げるべきだという立場からの発言ですが、議論を行っていただきたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。大変理論的でありつつ、非常に具体的なリアルな御指摘だったのではないかと思います。菊池構成員おっしゃったように、すぐそれをどのように落とし込むかというのはなかなか難しいところもございますけれども、相談・助言についての生活保護法と他法との関連、それから経済的困窮者に加えて、孤立、生きづらさのような問題を条件に入れ込んでいくことについての法的な要件等の問題、これは本当に大事な御指摘をいただいたと思います。ありがとうございました。
野溝構成員、お願いいたします。
○野溝構成員 25、26ページ、(こどもの学習支援事業のあり方)について、皆様も御承知の通り、埼玉県が生活保護世帯のアスポート事業の一つとして子どもの学習支援事業を開始させていただきました。その中で、25ページの最初の○の中に「子どもの学習支援事業は、学習支援だけでなく、居場所の提供や訪問支援、親に対する養育支援、高校中退防止の支援等様々なメニューが実施されていますが、質の向上の観点から、標準的な内容を定めるべきではないか」と書かれています。この「標準的な内容」ですが、もう少し私は具体的に書いていただきたいと思います。特に、埼玉県は中学生の学習支援を行う中で、アウトリーチを行い、しっかり親と子どもに学習支援事業のあり方を説明して、教室に来てもらい、居場所づくりにもなっています。単なる学習支援だけでなく、中学時代から親以外に相談できる大人がいるということを学習支援教室の支援員や学生ボランティアを通じ、子どもたちは肌で感じ取っています。
高校に進学しても中退を余儀なくされる子どもたちがいるのも事実です。しかし、埼玉県は、この学習支援教室を始めたことにより、高校生の中退率を減少させることが出来ました。なぜならば、中学時代の学習支援教室を通じて、支援員や、そこで教えてくれる大学生のボランティアの方々に、親にも、学校の先生にも言えない、色々な相談事が出来るという信頼関係が確立できていたからです。高校進学後の学習支援もスタートしています。その中で、学習支援事業を通じて相談できる場所があるということを、26ページの最初の○にも、「自立に向けた相談支援を必要とする」と書かれてはいますが、標準的な内容の中に相談支援をしっかりうたっていくべきではないかと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。私も、埼玉の学習支援事業、伺ったことがありますけれども、確かにいろんな膨らみのある空間であったと思いました。そういう意味では、標準的な内容について、少し自立に向けた相談支援という広がりの点も含めて具体的に書き込む、その下の3番目の○に少し広がりの問題も書かれてはいますけれども、標準ということについて、少し今のスタンダードとして期待できるものを書き込むということかと思いますが、そんな理解でよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、櫛部構成員、奥田構成員、お願いします。
○櫛部構成員 菊池先生の生活保護と困窮の接合の話を聞いて、勇気がさらに出てきて、菊池先生を内閣法制局に連れていってけんかしたらいいのではないかと思うぐらいであります。
私は少し質問なのですが、この3年間、カラスが鳴かない日があっても、アウトリーチとずっと言っていたような気がするのですが、それが旗だったような気がするのですが、どこにも多分ないので、それはどうしたのかなと。やめてしまったのか、もうちょっと違う方向に変えたのか、見落としているかもしれませんが、ちょっと気になりました。
○宮本座長 事務局、いかがでしょうか。アウトリーチという言葉がないのではないかという御指摘ですが、私もちょっと確認できていませんが。
○渡邊室長補佐 アウトリーチの言葉はございませんが、10ページの(生活困窮者を受け止める)のところから受けとめのことがいろいろ書いてありますが、アウトリーチという言葉で従来言ってきたものは訪問支援という、家庭に行くということを指して使っている場合もありますが、むしろ関係機関との連携自体もアウトリーチだというようなことも自立相談の緑のテキストの中では整理していたかと思います。そういう意味では、関係機関と連携するということを相当書き込んでいっていますし、地域力強化の地域での取組をきっかけにということも含めて書いておりますので、アウトリーチという言葉は確かにございませんが、要素として漏れているということではないと考えてございます。
○宮本座長 櫛部構成員、いかがでしょうか。よろしいですか。言葉はさておき、決してその中身は消えたわけではないということになろうかと思います。
それでは、奥田構成員、続いて和田構成員の順番でお願いします。
○奥田構成員 すみません。私は28ページ、一時生活支援、主にホームレスの部分。一時生活支援は必ずしもホームレスだけでなくて、住居困難者全般ということではあるのですが、ただ、今ちょうど国のほうで実態調査をやられて、それの検討会議をしております。そこで、この間のホームレスの推移を見ると、大体6,000人ぐらいで、底打ちしてきているような状況で推移しているのですね。そして、一方では、自立者数というのはある程度数が出ているわけで、ざくっと言うと、今、路上に残っている人たちというのは非常に困難な人たち、多重にいろんなことを抱えていて、例えば、どことは言いませんけれども、私、東京に出張に来るたびにいろいろ、見て回ると言ったらおかしいですが、私のように、20年、30年やっている人間から見ても、この人、どうするかなというぐらい困難な、例えば明らかに障害を持っているとか、明らかに何かの依存状態を持っているとかですね。そういう方がいます。
そうなったときに、ここに書いてくださっているのは、仕組みの問題として、借り上げ型のシェルターには常駐者がいないので、自立相談支援のほうからうまく支援できるようにどうしていくかということを書いてくださる。これは1つで、そのこと、ずばりそうなのだけれども、できれば私は、何らかの形で常駐スタッフが要ると。けれども、これは仕組みの問題でなくて、現在のホームレス層の特に路上固定層というのは今までにない難しい人たちが残っているという認識なのですね。
ですから、ある意味、今までのホームレス自立支援法をベースにしてきた自立支援センター等、例えば就労自立支援センターですね、それでは多分カバーできないような、障害福祉の視点とか医療の視点を入れないと難しいという方がもともといるのです。ケアがものすごく難しい人たちが今路上に6,000人残されていますよと。それに対して本当に手が出せるのかというところをこの見直しで一歩踏み込まないといかんのです。
それはホームレス自立支援法の延長問題も含めて、今から先、支援団体も問われているのですよ。今までの、変な言い方、やりやすい人たちをどんどん自立させていくというようなことをやってきた団体ではもう手に負えない人たちが路上に残りますよと。そこに本気で踏み込むのかどうかというのが、一時生活支援事業の僕は次のステップだと思っているのです。
だから、ちょっとうまく言えないのですが、この仕組みの問題として常駐者はいませんよというのではなくて、実は超困難層が、そうでなくてもホームレス者というのである程度、コミュニケーションとるのが難しい人たちなのですね。その上にさらに多重な課題を抱えている人が、今、路上層で残っています。そこは底打ち状態で、約6,000人がある程度固定化されて、ずっと横ばい状態になってきている。
ここを乗り越えるにはもう一歩、私は、仕組みや人の配置、もしくは人材育成も含めて踏み込まないと、次の、6,000人が5,000人、4,000人になるというところは来ないのではないかと心配しているのですね。スタッフが必要だということをずっと言い続けているのはそういうことで、相当難しいところに今6,000人残されていますという意味なのです。では具体的にどう書いてということは今すぐ言えないのですが、今回の実態調査も含めて、高齢化、長期化が明らかに出てきている中で、非常に難しいですよということが言いたかったということです。すみません。
○宮本座長 ありがとうございました。28ページの最初の○のところに、非常に重い中身をこういう言葉の処理の仕方として受けとめざるを得ないのですけれども、例えば路上生活者の困難層が困難の度合いを増していることを踏まえて、ということですね。
○奥田構成員 そういうことです。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、和田構成員、お願いします。
○和田構成員 29ページの上から3つ目の○のところで赤で加えていただいたところが、特に連帯保証人とか緊急連絡先の課題というのが取り上げられている。これはすごい大事だと思うのですけれども、ここにも書いてあるように、住居の確保、就労、そういう側面、それから、医療にかかるときもそうですけれども、結局、社会的な孤立状態、それから、居住が必ずしも定まらないという人たちが結構いらっしゃるのですが、そういう人たちに相談して支援の組み立てをしようとするときに、この問題というのは非常に大きいのではないかと。社会的孤立の典型みたいな、そこから起こってくる典型的なことだと思うのですが、これそのものをこの法律でどうするということはできないのですけれども、社会的にどのようにこの連帯保証人ということについて解決していくか、あるいはどういう方向をつくっていくのかということは、共通に社会的に非常に大きな問題なのではないか。そのことについても取り上げておく必要があるのではないかなと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。今のお話は、居住にかかわってということだけではなくて、より広い枠でということですね。
○和田構成員 はい。
○宮本座長 それも大変難しいといえば難しいですけれども、事務局のほうにぜひお考えいただきたいと思います。
では、奥田構成員。
○奥田構成員 すみません。今のところで、本当にそうだと思うのですね。例えば連帯保証人提供なんていうのは自立相談できるのかというと、それはできない。ただ一方で、ほかのところにも書いてくださったように、住宅、セーフティネットのほうで居住支援法人というのをつくろうという話が今進んでいますから、ぜひそのあたりも。しかし、結構あれはハードル高いのですね。うちは居住支援法人になろうとしているのですが、つまり、連帯保証やってきたので。そこのところを逆に育てる、地域づくりという話で言うと、居住支援法人、どう育てるかというのも自立相談事業所としての大きな僕は仕事になると思うので、例えば自立相談やっている、直営のところは難しいかもしれませんけれども、民間団体がもう一つ部門をつくって、そこが居住支援法人等にして認定されるとか、例えば地域包括支援センターやっている団体が、そこが居住支援法人として登録されるというところをバックアップしていくという、具体的には全然手がないわけでなくて、国土交通省さん、今、プラン出していますから、これを使ったらいいと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。今の奥田構成員の御指摘はむしろ居住支援の枠の中でのお話になろうかと思います。国交省のそうした居住支援、新しい法人の提起をどのようにこの議論に組み込んでいくか。それで、さっきの和田構成員のお話、これは実は先ほど西岡構成員から、地域に限定されない、ある意味では、流浪という表現が適当かどうかわかりませんけれども、そのように地域とのつながりが拡散してしまっている層、あるいは朝比奈構成員のほうからも、世帯という枠にうまいことはまっていかない層、そのあたりですね。こういう大きな不安定なゾーンをどのように捉えてこの素案に反映させていくのかというあたり、共通の御指摘になるのかなあと思います。
今日は早目に終わるみたいなことを言いつつ、やはりそうは問屋がおろさないのがこの検討会だなあと思っております。残り30分程度です。朝比奈構成員から、今、手挙がっておりますが、これまで御発言のない方々もぜひ御発言をいただければとも思っております。
それでは、まず朝比奈構成員からお願いします。
○朝比奈構成員 先ほど奥田さんから御発言があった一時生活支援のところについてですが、27ページに、一時生活支援事業の利用中に、相談支援の側から非常に見立てが深まるのだというところを取り上げていただいてよかったと思うのですが、病気や障害のある方々への対応は、多少工夫をすれば自立相談支援の中でもやっていけると思っているのですが、やはり一時生活支援事業に専任の職員がつかないとできないのが、非常に孤立を深めている方々への対応です。孤立した状態のなかで他者への信頼も喪失してしまっている方に対しては、時間と空間を共有することにより先の長い支援のスタートに立つための信頼関係の基盤ができる。これはやはり自立相談支援としての点のつながりだけだと極めて難しいと思っていて、一時生活支援事業にどういうソフトが必要かということをとても端的に物語るのではないかなと思っているので、アセスメントだけではなくて、信頼関係を築く基盤になるとか、そんなあたりをぜひ入れていただければと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。すみません。ページからすると、今の信頼関係を築くというのは。
○朝比奈構成員 27ページですね。最後の○に「アセスメントが可能になっている」というところが、アセスメントに加えて、その点について記述をお願いできればと。
○宮本座長 わかりました。
それでは、いかがでしょうか。もし新保構成員、長岡構成員、森脇構成員、ございましたら、ぜひ。こちらからお願いするのは珍しいパターンになりますけれども。
では、前神構成員、よろしくお願いします。その後、森脇構成員、お願いします。
○前神構成員 ほとんど申し上げることはないのですけれども、せっかくなので。
39ページの都道府県とか支援の枠組みをどのようにしていくかというところですけれども、せっかくなので、任意事業の実施促進とか、余り十分に進んでいないものもあるとここに書かれているのですけれども、たしか熊本県さんなんかは市町村に任意事業を共同実施するとかして、取り組みやすくする助走の段階の支援を県がまさしく市町村に伴走してやっていたかと思いますけれども、そのようなものも具体的にあるとわかりやすいと思いまして、できてないことだけでなくて、できている事例を少し書くともっと具体的かなと思ったのと、あと、40ページの最後の(制度評価指標)のところですけれども、ここ、結果的に何が書いてあるのかがちょっと私わかりにくくて、「新しい制度である法の制度評価については」というのが何をもってどのような評価をすると書いてあるのかが、ちょっと具体的にわからないのは私だけなのでしょうか。
○宮本座長 ありがとうございます。制度評価指標から言うと、これが非常に微妙な問題でありますが、恐らく。
○前神構成員 そうなのです。評価のところって、みんな、こういうのが出てくると気になる部分だと思うのですけれども、では具体的に何なのかというと、その観点からになるとマル1、マル2、マル3だと思うのですけれども、余りはっきりしなくて。
○宮本座長 わかりました。ただ漠然と書くだけではなくて、評価をめぐって異なった見方があるならば、それはそれで具体的に書いていくと。そんな御趣旨と受けとめていいでしょうか。
○前神構成員 評価については多分ここしか書いてないと思うので、よくわからなかったのです。
○宮本座長 わかりました。ありがとうございます。
では続きまして、森脇構成員、お願いできますか。
○森脇構成員 私からは特に、それこそ4ページ、5ページ、6ページに、もう真っ赤っかで地域づくりのところを強調して、今の流れに基づいて、この法律改正を単体でやっているのではないですよというところを、やはり目指す方向も含めてしっかりと関連づけて入れていただいたことをとても感謝しております。
というのも、私は社会福祉協議会という立場と、自立相談支援機関としての立場もあるのですが、社会福祉協議会、温度差があったり顔が見えないとよく言われることがあります。ただ、顔が見えないというのはそこの社協の取り組み方なのかもしれないですが、温度差があるということは、逆を言えば、これだけ地域福祉を推進する機関として全国的に組織されているからこそ、いいところもあれば、いいところがあるとどうしてもそこと比べたがるので、どうしても、ちょっと残念だねということもあったり、いろいろ考えるところはあるのかなあとは思ってはいるのですけれども、正直、この生活困窮の制度が始まって、私たち、この生活困窮の自立相談支援機関をやりながら、とてもこれは大切なことだなと。
私たちが地域づくりと言っていたところはまさに総論的な部分だけしかなかったのかなということを、この検討会でも一回話をしたところはあったかと思うのですけれども、正直、全国的に見て、生活困窮のこの事業を受託していないので、余り関心がありませんというか、関係ないですとまでは言わないですが、そういうスタンスになっている社協があるという事実がやはり片方であるということを考えていくと、こうやってこの法律改正の中に具体的な方向性も含めた地域づくりを入れていただいたことは、関係ないとはもう言わせないよと、私も同じ立場なので、社協の人間としての立場なので余り言える言えないはあるかと思いますが、私自身もこれをしっかりと胸にとめておかないといけないと思っています。そういう意味では、本当にこの検討会でのつながりと、この法の目指す地域づくりというところに、社協だけでは当然何もできるわけではないので、多くの皆さんとつながりながら、当然自治体もですけれども、就労支援の部分なんていうのは本当に社協の未知のところではあったのですが、少なからずそこを得意としている方々がいて、つながればとてもその方を包み込んでいただき、そしてその回りの方々にも広めていただけるいい味方になるかなということは私自身も実践しながら痛感していますので、ある意味、社協がやらないといけないというよりは、社協もしっかり目を向けて、もしつながっていなければ接着剤役になるべきではなかろうかと感じております。本当にこの3、4、5ページがとてもボリュームが出たので、とてもよかったと思っています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。社会福祉協議会の立場から非常に積極的なお言葉をいただきました。
では、新保構成員、そして最後に長岡構成員。最後といいましても、まだ時間がある限りは受け付けますが、その順番でお願いいたします。
○新保構成員 発言の機会をいただき、ありがとうございます。
生活困窮者の自立と尊厳の確保、そして生活困窮者自立支援を通じた地域づくりというその2つの具体的な言葉を全体に入れていただいたことをとても心強く思っております。そして、その理念、私自身はやはり理念を共有するということが本当に大事なことで、そこが見えなくなってしまうと、今あるところがスタンダードになってしまう。そこだけは大事にしていきたいなと思っているところで、大変ありがたかったですし、また、それを法定化するという文言が入ったことも心強く思いました。
1点、もしよろしければ加筆を検討していただきたいのが41ページです。41ページの3つ目の○のところに、(支援の質と人材養成研修)というところがあります。実際に、ここ、タイトルに支援の質と書いてあるのですけれども、どのぐらいの質を求めているのかということが具体的に入っていないので、例えばですけれども、「法による自立支援の肝は支援に充実する『人』である」と一旦切っていただいて、そこに、「制度の理念を具現化する支援者には高度な専門性が求められる」などと入れていただけますと、先ほど奥田構成員からも、対象となる方の課題も複合化したり、時間がかかる支援が必要だとありましたが、その質の高い支援をどうやって実現させるかという議論につながるかと思います。
以上です。
○宮本座長 これもまた非常に具体的な御提起、ありがとうございました。すぐに反映できるのではないかと思います。
長岡構成員、お願いできますでしょうか。
○長岡構成員 ほとんど私のほうも感想になるかと思いますが、まず最初に、43ページの上から2つ目の○で、「社会福祉法人としては、取り組んでいる事業の分野に限らず広く福祉ニーズに対応していくために、生活困窮者支援・世帯支援といった観点を持つことが重要」と明記していただき、大変ありがたいと思っているところです。
山形市の取組としましては、社会福祉法人の33法人・48施設で昨年から取り組んでいるものがあるのですが、この上の欄にあるような地域における公益的な取組を、何か施設等連絡会でできないかということで検討会を立ち上げまして、3つの分科会をつくり、その中の一つが就労支援であるのです。そこで、施設でどういうことができるかということを今取り組んでおりまして、施設であれば、若干障害があるかもしれない人たちにも、ノウハウがある施設職員が寄り添って、どこまでどうやってできるか、そういうところを段階を踏んで、最初はボランティアから、それからだんだん中間的な就労、そしてきちんと就労につなげていけるような取組もできないだろうか、また、世帯支援もあわせてどういうことができるかということを今検討中でして、これが出てきましたので、バックアップ体制というのでしょうか、後押しできるということで大変ありがたいなと思ったところです。
それともう一つ、森脇構成員とほとんど同じなのですけれども、最初のところで地域づくりというところをたくさん入れていただいて、本当にありがたく感じているところです。先ほど渡辺ゆりか構成員が、徹底して個別支援からとおっしゃられました。それはもちろんそうだとは思いますが、社協の立場から言えば、個からの支援とともに、やはり地域全体の働きかけというものも大事でして、その両方の視点から見ていけるのが社協なのだと感じているところです。
そこで、他人事を我が事に変えていく働きかけとともに、総合的な相談支援体制づくり、そういう横の連携、そちらもしっかり進めていく。これらをやはり社協が頑張っていかなければならないのだなと、社協がやっていく必要があるのだと実感しているところでございます。
社協は困窮者支援というものに、かかわってないところもありますけれども、これから大きくかかわっていかなければならない。それは個別の支援と全体の支援の両方から地域づくりを進めていくこととともに、そんな地域づくりができて土壌ができましたときには、その困窮者支援の出口はスムーズになっていくものであろうと考えます。そういうことで、社協もやはり全国的にしっかりとした認識のもとで進めていかなければならないのだと再認識したところであります。
大変勉強させていただきました。ありがとうございました。
○宮本座長 ありがとうございました。社会福祉協議会、社会福祉法人にかかわっての御発言で、恐らくこれに関連にして野溝構成員から、もう一言。
○野溝構成員 ただいま、長岡構成員から非社協という立場の社会福祉法人について御意見があったところであります。この7回の検討会を通じて、構成員の皆様方から余り社会福祉法人につきましては御意見がなかったかと思いますが、それはそれなりに社会福祉法人に対して評価をいただけているのかなと勝手に解釈させていただいておりますが、それはさておきまして、社会福祉法人は、社会福祉法の改正に伴いまして、地域における公益的な取組を実施する責務が課せられたから、公益的な取組として生活困窮者の自立支援を行うのではなくて、社会福祉法人は地域の一員として、地域の構成員として生活困窮者自立支援制度に積極的な役割を果たしていかなければならないということをこの検討会で多く学ばせていただきましたので、我々一丸となりまして、この問題に取り組んでまいりたいと思います。
○宮本座長 どうもありがとうございました。
生水構成員。
○生水構成員 すみません、何度も。
39ページの(町村部における支援)に関連することで、今回の検討会では町の方は構成員で参加されていないところから議事録を読まれたある町職員の方からメッセージをいただいています。なので、こちらを御紹介させていただきます。
人口3万4,000人の町役場には、自立相談支援の窓口がありません。電車で30分のところに県が委託した10町合わせた相談窓口があります。就学援助申請の相談の中で、これは生活困窮者支援の相談窓口につなごうと思ったけど、「そんな遠いところには行かれへん。」と相談者は拒否され、とにかく福祉担当につなぐのですが、その後の状況を尋ねると、担当課は、「委託先が何も連絡してこないから」と言うだけ。福祉の担当が悪いのでしょうか。いや、たび重なる制度変更や支援が必要な人々が増えているのに職員は増えない。疲弊し切っている。今までは町の窓口で相談を受けていたのに、制度ができてから町は専門機関につなぐだけになってしまった。やる気がないのだろうか。やる気がない自治体は見捨てられるのだろうか。それはそこに住む生活困窮者を見捨てることになるのではないか。基礎自治体は住民にとっては最後の砦。町も町民をしっかり守りたい。町が責任を持って町民を守れるように、国は見放さず、役割を持って取り組める環境を整備してほしいと願っています。こういったメッセージをいただいています。
ここからは私の思いなのですが、今日は後ろに野洲市の若い職員が一緒に来ています。実は彼はうちの部署に来るまでは荒れていまして、仕事にやる気を失っておったのです。どうしようもないやつだったのですが、当課に異動して、今回の生活困窮者支援制度にめぐり合ったことで、非常におもしろく、やりがいを持って仕事を取り組むようになり、たくましく育ちました。今も歯向かってはくるのですが、非常におもしろいやつになりました。
公務員というのは、仕事がどんどん増えていて、人員も減らされていって、少しでも失敗するとバッシングを受ける。また、目立ったことするな、余計なことするなと止められて、入庁時のときに市民のために働きたいという志を持っていても、だんだん失ってしまっている状態です。これからの自治体を担う若い職員たちが、生活困窮者自立支援法にめぐり合いそしてかかわったときに、公務員としての誇り、自信、やる気を持って市民のために思い切り働けるような、そんな法律や制度になっていただきたいと心から願っています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほぼ予定された時間を迎えつつありますが、駒村構成員。
○駒村構成員 座長がおっしゃるとおりで、今の生水さんのお話とほぼ同じことですけれども、町村部の問題ですね。私も、今、生水さんと似たようなお話を聞くことがあります。町村部の職員の思い。一方で、担当次第によってはかなりのばらつきがあって、都道府県の仕事だから、お手並み拝見みたいなところがかなりあるという話も聞きます。
42ページから43ページの記述なのですけれども、行政用語で「参画」というのは一体どういう意味なのかよくわかりませんけれども、ちょっと課題の割には引いた表現かなと。当事者として参画する枠組みが必要ではないのかと。町村部においても、庁内体制を整備して、先ほどの窓口の問題もありますけれども、地域づくりのツールとして町村部でも積極的に利用してもらいたいと。その責任とその応援を国が行うという感じをもうちょっと書き込んだほうが、この「参画」という表現は社会福祉法人の参画と同じような表現ぶりになっていますが、もうちょっと強めたほうがいいのではないのかなあと思います。
以上です。
○宮本座長 では、櫛部構成員。それでもうよろしいでしょうか。
では、櫛部構成員を最後とさせていただきます。
○櫛部構成員 今、生水さん、それから駒村先生おっしゃったことに関連してなのですが、私どもも、釧路市のほかに、北海道釧路総合振興局の7町村を担当しています。なかなかやはり相談が上がってこない。確かに町村のお仕事ではないと言われればそうなのですね。私たち相談機関もそれを一つの理由にしていたところもありました。この間、法テラス、それから釧路市弁護士会の皆さん、それから医療機関とか介護の人たちとセットで7町村巡回をしました。御案内を新聞に折り込みをすると、今までいないというのが10組ぐらい相談に来たり、あるわけです。なるべく役場とか社協の施設を借りないで、あえてホテルであるとか、会館とか、いろいろなところでやりました。私たちが外様であるから、行ってよいこともあるわけですね。役場に行ってもやはり家のことはなかなかしゃべりにくいという話もあるので、もちろん、当事者の役場の仕事になってない、あるいは地元の社協の仕事になってないという面はあるのだけれども、一人一人のことを考えたときに、相談センターがそこに出向いていかない町でやらないというのも本当に違うなということもわかりました。
弁護士さんが来ますと、遺産をどうするとか、そういう話からいくのだけれども、それからたぐっていくといろんな問題が出てくる、トロールというわけではないけれども、福祉や介護だけで相談します的なことよりも、もうちょっとそういう打ち出し方とかすると皆さんが気軽に来るとかいうのもあるので、そこは相談機関としては人のせいにだけしていてはいけないなという反省があります。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、今の皆様のさまざまな広範囲にわたる御指摘を最終的にこの検討の対象になってきた論点整理にどのように落とし込むか、たくさん具体的な書きぶりの御提案もいただきました。また、他方では、こんな論理を盛り込むようにという御提案もいただきましたし、さらには、少し大きなところから、具体的には言えないけれども、こんな問題は踏まえられてしかるべきだというお話もございました。これは最終的には、座長、私と事務局が責任を持って論点整理に反映させていく、そういうことでよろしいでしょうか。御一任いただけるでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宮本座長 ありがとうございました。それでは、ここでこの論点整理についての議論は終えさせていただきたいと思います。
7回にわたって続けてきたこの議論ですけれども、今日が最後ということで、最後に、局長のほうから一言お話をいただけるでしょうか。
○定塚局長 本日も熱い議論をいただきまして、ありがとうございました。終了に当たりということで、一言、お礼とともに御挨拶を申し上げさせていただきます。
昨年10月のこの構成員会以来7回にわたりまして、いずれも通常の時間を超えて2時間半という枠で、まさに報告書にもありましたけれども、白熱した議論をいただきまして、ありがとうございました。
我々事務局も、構成員の皆様方の熱意に押されて毎回の検討というのを中でも議論させていただきながら、仕事を進めてきたということかなと思っています。
また、宮本座長におかれましては、本当に次々と出される意見を見事にというか、うまく整理しておまとめいただきまして、どうしてこんなにうまく整理できるのだろうといつも感動しながら、この議事の進め方というのを学ばせていただいたところでございます。改めてお礼を申し上げたいと思います。
今後は、おまとめいただいた論点整理をもとに、社会保障審議会に部会を設置して検討を進めていくということを来年度進めさせていただきます。1年後の通常国会に法律を提出するということも視野として制度改正の議論を進めるということになろうかと思います。
実はこの検討会と並行いたしまして、私ども事務局、生活困窮者自立支援室のほうでは全国の支援者や自治体の方をこの間幾つも回りまして、御意見、実態も聞かせていただいてまいりました。ちょっと御紹介いたしますと、意見交換ということで昨年末から12の県を訪問しまして、おおむね1県で5から10の市にお集まりいただきまして、そこの自治体の方、あるいは都道府県の方、支援者の方などに意見を聞かせていただきました。
こちらの検討会に出ていただいている方々は、皆様、どちらかというとリーダーというか、すぐれた取組をしていらっしゃるところなのですけれども、この訪問については、平均的な自治体が何を考え、どう取り組んでいくかということをヒアリングしてきていただいておりまして、そうした中で報告をまとめていただいて、私も報告書を読ませていただきましたけれども、データ面では平均的な自治体とされるところでも、実際に我々行ってお聞きしたところでは、さまざまな工夫をしながら丸ごと受けとめるという工夫、あるいはそのための資源づくり、地域づくりということがかなり定着して、しっかりと取り組まれるようになってきているかなというふうな感触を受けているところでございます。こうした点からも、この制度が発足から2年近くたちまして一定程度定着し、効果を上げているということが読み取れるかなと思っております。
しかしながら、同時に、御議論いただいているような課題も山積しているところでございます。この制度は、私どもが担う、国が担う法制度のあり方ということも重要でございますけれども、同時にやはり現場の自治体や支援者の皆様の実践や工夫が最も重要、より重要といっても過言ではないと思っています。皆様方と、それから、ここに出てきておられない多くの支援者や自治体の方の取組の熱意というものを私どもがしっかり受けとめて、また今後の特別部会の中で議論していきたいと思っていますし、また、現場の皆様で自治体の皆様との一体性をしっかり大切にしていかなくてはならないなと深く感じております。
これからもこのような観点からぜひ構成員の皆様には各地で、御地元で、あるいは全国で生活困窮者自立支援推進の熱意、機運というものが一層高まっていくように、我々も努力させていただきますけれども、お力添えをいただければと思うところでございます。引き続き、そういう意味でよろしく御指導のほどをお願い申し上げますとともに、本検討会、かなり充実したものとなりましたので、お礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○宮本座長 大変勇気づけられるお話を、局長、ありがとうございました。私からも一言お礼を申し述べさせていただきたいと思います。
皆様の議論、私は交通整理に徹する、信号機になったような感じで一貫してやってきたわけですけれども、そうした中で本当にいろいろ勉強させていただいたと思います。熱のある議論という言葉が繰り返されましたけれども、この熱、ここ灘尾ホールだけが温度が上がっているだけでは困るわけでありまして、やはりこれがどんどん、特に永田町を中心に、あるいは全国津々浦々にこの熱が均てんしていくことが大事ではないかなと。それはなぜならば、もう繰り返されてきたように、日本の地域が持続可能になっていく条件づくりについてのお話であるからと思います。
同時に、皆様の議論の熱の中に、必ずしもその熱に浮かされたということではない、本当に現場で現実に取り組んでおられる苦渋の表情といいますか、焦燥感みたいなことも含めて、私は多く感じ取ったし、学ばせていただいたと思います。まさにこの制度をつくっていく中で志半ばで倒れられた方もおられたということもあります。そんな志も引き継ぎながら、この制度を第二のステージに向けて発展させていく、その大事なツールにこの論点整理がなっていくのではないかなと思います。改めて皆様の御協力と議論に感謝申し上げたいと思います。
それでは、本日の議事、予定より10分早いですけれども、これで全て終わりということになります。ここまでこの議論を支えていただいた事務局の皆さん、本当にありがとうございました。前回申し上げましたけれども、お正月のお休み返上で取り組んでいただいたということを再度強調したいと思います。そして、構成員の皆さんもどうもありがとうございました。これにて全ての議事を終了させていただきます。ありがとうございました。
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