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2017年1月18日 平成28年度第3回血液事業部会適正使用調査会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成29年1月18日(水)
17:00~19:00


○場所

航空会館7F 701+702会議室
(港区新橋1-18-1)


○出席者

出席委員:(13名)五十音順、敬称略、○委員長

稲田 英一 稲波 弘彦 薄井 紀子 兼松 隆之
上條 亜紀 鈴木 邦彦 田中 純子 田中 政信
種本 和雄 ○半田 誠 益子 邦洋 三谷 絹子
矢口 有乃

欠席委員:(2名)敬称略

大戸 斉 鈴木 洋史

参考人:

松下 正

日本赤十字社:

籏持 俊洋 高瀬 隆義

事務局:

一瀬 篤(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐) 金子 健太郎(需給専門官)

○議題

・「血液製剤の使用指針」の改定について
・その他

○議事

 

○近藤血液対策課課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから、「平成28年度第3回血液事業部会適正使用調査会」を開催いたします。なお、本日の会議は公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いします。本日の委員の出欠状況を御報告します。大戸斉委員、鈴木洋史委員より御欠席との御連絡を頂いておりますが、15名中13名の委員に出席していただいておりますので、本日の調査会の開催が可能であることをお知らせいたします。また、本日は参考人として、日本輸血・細胞治療学会より、名古屋大学医学部附属病院輸血部教授の松下正先生にお越しいただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より籏持俊洋血液事業本部経営企画部供給管理課長、高瀬隆義血液事業本部技術部学術情報課長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。なお、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

 それでは、この後の進行については、半田座長にお願いいたします。

○半田座長 皆様、こんばんは。それでは最初に、審議参加に関する遵守事項について、事務局よりよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 本日出席いただいた委員及び参考人の方々の、過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を報告します。本日は議事に関して、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて、輸血用血液製剤及びアルブミン製剤の製造販売企業に対する利益相反の確認を行いましたところ、議事1に関して、三谷委員、松下参考人から関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受取りの申告がなされております。三谷委員におかれましては意見を述べることができますが、議決の際には参加いただけないこととなります。参考人におかれましては、議決権がありませんので特段の措置はありません。

○半田座長 それでは最初に、資料の確認をよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料の確認をいたします。議事次第、座席表、委員名簿があります。資料1「血液製剤の使用指針」の改定案が白黒のもので56ページまであります。資料2「血液製剤の使用指針」の改定案要約になります。参考資料として「血液製剤の使用指針」の現行版です。平成28年6月に一部改正したものですが、それを配布しております。さらに、机上配布資料として、「血液製剤の使用指針改定案で、特に御意見いただきたい点」という形で、1枚のA4の紙を置かせていただいております。資料は以上です。不足等がありましたら事務局までお知らせください。

○半田座長 よろしいでしょうか。それでは早速議題に入りたいと思います。議題1「血液製剤の使用指針の改定について」ということで、資料1の説明をよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料1を使って事務局より御説明します。こちらの血液製剤の使用指針に関しては、前回の適正使用調査会で、研究代表者の松下先生に参加していただいて改定案を発表いただきました。その後、松下研究代表者と半田座長、事務局の三者で改定作業を進めてきました。この指針自体は、平成17年度に大きな改定が行われて以降一部改正を重ねてまいりましたが、10年もたったことから、この度、全面的な見直しを行うことになったものです。当指針は、もう1つセットになっていたのが「輸血療法の実施に関する指針」がありますが、そちらのほうは今回改定しておりません。こちらは同じく松下参考人に、現在AMEDの研究班で輸血療法の実施に関する指針の改定に向けて研究をしていただいております。

 資料1の1ページ目、「はじめに」に関しては、前回御説明したとおり、1枚目の所に経緯が書いてあります。この資料の見方ですが、現在の指針にない文言に関しては、一部場所を移動して線が引いてある場合もありますが、もともとの現行案にないものに関して下線を引いています。

 3ページ、I「血液製剤の使用の在り方」です。こちらに関しても、委員の先生方から、前回の10月からメール等で送らせていただき、いろいろ御意見を頂きまして本当にありがとうございました。なるべく、今回のこの案に反映させていただいているつもりです。この使用の在り方の部分についてもいろいろ御意見を頂いており、その中で、主にどういう点が大きな論点になるかというところに関しては、机上配布資料を御覧ください。こちらの1枚紙に「血液製剤の使用指針改定案で特に御意見いただきたい点」と書いてあります。大きく分けて5つの件に関して、まず最初に、御意見を頂きたいと思っております。

 1.「語尾の表現方法について」ということで、この指針は局長通知になっていますが、語尾に関して、今回推奨度をどう表現するのかについて皆さんの知恵を頂きたいところと考えております。委員の先生からの御意見で、医師の裁量権を残すことをもちろん考慮に入れて、各推奨文が断定調の文体になっているところもあるのですが、それに関しては確認が必要ではないかという意見を頂きました。

 また、「医学的常識・強く推奨・やや推奨」など、明確にすべきではないかという御意見を頂いています。今回は、MINDSというガイドラインの記述方式であり、作成の手引きに準じて書いてあります。要するに、推奨の強さをマル1とマル2で、マル1は強く推奨する、マル2は弱く推奨する又は提案するの2通りで表示しています。アウトカム全体のエビデンスの強さに関してはABCDを並記しており、1Aとか2Dという表現になっています。実際にどう記載するのかというところに関してですが、事務局においては以下の3つの表現に統一したいと考えています。例えば、1Aですと、マル1ですので、強く推奨するということで、実際に文章の中に強く推奨すると書く。エビデンスマル2の弱い推奨を提案する場合は、推奨すると表現する。マル3に、べきである、推奨するなどの表現は避けるとありますが、これは、今回の研究班の中でエビデンスがはっきりしなかった点、要するに、もともと推奨するという書きぶりで書かれてあった本文の中には、エビデンスが分からない文章もたくさん入っていますので、そういう文章に関してはどういう表現をすればいいのかという点に関して、何々すべきであるとか、何々を推奨するという強い口調の推奨の文体は避けたいと考えております。推奨度に関しては以上です。

 2.「今後の改正のスケジュールについて」です。この指針は、来週の早いうちにパブコメを30日間させていただきたいと考えております。その後、血液事業部会を経て、できれば年度内に通知の発出をしたいと考えております。一方、今回の指針の改定においては、学会のガイドラインを踏まえて、準拠する形で並行して作っておりましたが、現在、日本輸血・細胞治療学会からは赤血球製剤と自己血貯血、アルブミン製剤のガイドラインに関しては公表されており、血小板製剤、新鮮凍結血漿、新生児・小児の輸血のガイドライン案に関してはパブコメが終了していると聞いております。現在、最終案の確定を目指しているということですので、学会と連携しながら並行して作業を進めているところです。ただし、事務的な手続等で前後する場合はあります。

 今後はどうしていくかというところですが、その下にAMED研究班と書いてあります。平成27年度から平成29年度には、「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン作成に関する研究」という研究事業がございます。平成28年度から平成30年度には、「更なる適正使用に向けた血液製剤の使用と輸血療法の実施に関する研究」という研究事業がございます。二つ目のほうは、同じく松下参考人に研究代表者となっていただき進めていただいております。以上、幾つか今後ガイドラインが学会から発表されてまいりますので、その公表に合わせて、こちらの血液製剤の使用指針及び、もう1つのセットになっている「輸血療法の実施に関する指針」に関しても改正していく。なお、できるだけ委員の先生方に御負担をお掛けしない形で、適宜改正していきたいと考えております。以上が2番目の件です。

 3.「末期患者」という表現が、実はこのガイドラインの「不適切な使用」という項目の中に入っています。こちらの表現に関しては、複数の委員の先生方から、末期というところが何を表現しているのかというところで誤解を招く表現かもしれないという御意見を頂いております。また、ネガティブなニュアンスも感じられるということで、事務局としては、末期というのを終末期という言い方に改めたいと提案をいたします。厚労省の他部署では、終末期医療という言い方をしておりますので、その定義に沿っていると考えていただければと思います。

 4.「巻末参考資料(各製剤の製法と性状)」について、今日お配りしている資料1の49ページから後ろが、参考1、参考2、参考3として、赤血球液の製法と製造と血小板の濃厚液の製法と性状、新鮮凍結血漿の製法と性状、アルブミンの製法と性状、とありますが、今回の提案の中では残しました。日赤が供給している血液製剤に関することが様々書いてはあるのですが、技術革新で、保存液に関していろいろ変えたりと、より安全な血液製剤が検討され、マイナーチェンジを繰り返していることから、その度にこの指針を改正するのは困難です。事務局の案としては、こちらに関しては、日赤の添付文書を参照いただき、アルブミンに関しては血漿分画製剤メーカーの添付文書を参考にしながら最新の情報を、例えばインターネットとかで得ることができる時代ですので、そういう方向で考えていただき、こちらに関しては削除することを考えております。以上が4番目です。

 5.「以下の文書」というところがあります。資料1の3ページの22行目です。これは、平成17年の改定より前からずっと残っている表現です。「さらに、本指針は保険診療上の審査基準となることを意図するものではないが、血液製剤を用いた適正な療法の推進を目的とする観点から、保険審査の在り方を再検討する手掛かりとなることを期待するものである」というこの一文ですが、複数の委員からも、この表現は削除しても構わないのではないかという御意見を頂いております。事務局としても、こちらの表現に関しては削除を考えております。以上が特に御意見を頂きたい点です。本日は御欠席ですが、大戸委員からも今朝、御意見を頂いた点もありまして、それに関しては今、精査中ですので、今後、できるだけ事務局と座長と研究代表者の中で話し合いながら反映できるかどうかを検討していきたいと思います。以上で、まずはこの「はじめに」の部分で御意見を頂けたらと思います。

○半田座長 ありがとうございました。それでは、早速、議事に入りたいと思います。資料1、1ページの「はじめに」から4ページまでの所、そして大きな論点としては机上配布資料の1.から5.まで、これを委員の皆様に議論していただきたいと思います。最初に語尾の表現方法ですが、机上配布資料の1.について、皆様方の御意見あるいは御質問を頂ければと思います。いかがでしょうか。

 4ページの13行目、Mindsの診療ガイドラインの所で15行目に書いてありますけれども、推奨の強さで、「1」は強く推奨する。「2」が弱く推奨する(提案する)で、この2通りがMindsの一般的な表現方法であって、学会もこれに従ってそういう表現方法をとっているということですけれども、ここでの事務局案というのは、「1」は強く推奨する、「2」が推奨するとなっているわけです。この辺はいかがでしょうか。表現として、この推奨度をきちんと表現したほうが明確であるということだと思いますが、この辺に関していかがでしょうか。松下参考人、いかがですか。表現方法が「強く推奨する」と「推奨する」です。ところが、Mindsでは「強く推奨する」と「弱く推奨する(提案する)」です。これでよろしいですか。

○松下参考人 私自身は、今回のガイドラインは科学的根拠に基づいたガイドラインということで研究していますから、出てきた結果は科学的根拠に基づいたものということで、学会のほうでもパブリックコメントは全部終了し、随時、ホームページに公開されていく段階なのです。そちらはそちらとして、この指針が、当初は科学的根拠に基づいた使用指針の改定ということで研究を進めてきた経緯から、私の希望としては、これが科学的根拠に基づいたものであることが分かるものであってほしいと願っています。ただ、反面、この1Aとか2Bは分かりにくいという御批判も確かにあるわけです。こういったものの考え方はMinds2014で、もともとアメリカのGRADEというガイドラインを作るためのシステムからきているものですけれども、ここ数年、臨床医の間に広まってはいるものの、まだ全部の医師が常識的に知っているものではない、あるいは医療者が知っているものでないことを考えて、委員の先生方の御判断で、適切な日本語に改めていただくことに関しては、私どもの学会ガイドラインが片方にあるわけなので、詳しくはそちらを参照してほしいということが、指針を読んでいる人に分かればいいと考えています。

○半田座長 いかがでしょうか。そういうことで、結局、今回の提案しているものに関して、最初は推奨するという表現を使わずに一般的な表現方法ですね。客観的な表現方法にして、その後ろに括弧して推奨度を例えば1Bとか2Dとか、こういうふうに入れたという経緯がありますけれども、表現の仕方がなかなか明確ではないということ。あと委員の先生から、ちょっと断定調だとかいろいろあるので、そういうところも含めると、むしろ語尾は、そういう形で統一したほうがいいだろうということになったと思いますが、いかがですか。これでよろしいですか。それでは、表現方法としては「強く推奨する」と「推奨する」でよろしいですか。例えば欧米だとrecommendで推奨する、2のほうはsuggestで提案するということですけれども、これでよろしいですか。

○松下参考人 余り表現方法が多数になってしまうと、また一般国民は分かりにくいということもあるでしょうから、日本語として分けるとしたらこれくらいになってしまうのかなと考えます。その段階で実際の現学会ガイドラインの推奨の度合いを日本語の文脈で判断しながら、事務局の先生と相談して決めていければと思っています。

○稲田委員 表現ということでは、今のような非常に単純なものはいいと思いますが、松下先生がおっしゃったように、どこか注の所に強い推奨であるとか、あるいは弱い推奨であるというのは、Mindsのこういったものを踏まえているのだという注を、どこかに付けておいたほうが見るほうは分かりやすいと思います。恐らく普通の方は学会のガイドラインまで見ようとは思わないのではないかと思います。この指針の中で全て解決する形がよろしいと思います。

○半田座長 そうですね、4ページの15行目ですね。それから20行目まで、在り方の所にきちっと書いてあるということですね。ですから、それでよろしいということですね。ありがとうございます。それでは、これでよろしいという総意であると、よろしいでしょうか。次に、今後の改正のスケジュールですが、問題点としましては血小板と新鮮凍血血漿、あと新生児・小児の輸血のガイドラインが、まだ正式には学会のほうで承認されていないということです。この局長通知が出される頃に、それが確定していないとずれが生じてくるということですが、この辺に関していかがですか。

○松下参考人 一番最後にパブコメをリリースした、FFPのガイドラインのパブコメの期限が昨日まででした。一応、パブコメは全部終了しています。それで血小板のガイドラインに関しては、パブコメの内容を踏まえた最終版が、多分、今月の理事運営委員会に掛かると聞いていますので、間に合えば他の2つの製剤も1月の理事会に掛かる見込みと聞いています。要するに、1月、2月中にはということになるかと思います。それはホームページ上の公開となると思います。

○半田座長 ありがとうございました。特によろしいでしょうか。それでは、今後のスケジュールということでやっていきたいと思います。ただし、新生児・小児の輸血ガイドラインに関しては、いかがでしょうか。

○松下参考人 こちらは、特に新生児の輸血の世界は確定したエビデンスが非常に少ない分野であるということと、パブリックコメントがかなり多数寄せられていて、特に現場で新生児治療をされている先生方から、様々な御意見が上がってきているところです。ですからタスクフォースとしても、もちろん結論が大きく変わることはないと思われますが、1つのポイントとしては、エビデンス総体の評価をもう一度見直して結論に間違いがないかどうか確認することと、現在、参考資料として引用している幾つかの論文について、何人かの先生方からコメントが来ていますから、そのもって行き方の見直しをする形で、北澤リーダーから報告を受けています。大きく変わることはないと思いますので、この指針の在り方に関しても大変申し訳ないですが、本日以降の事務局との作業という形になるかと考えています。

○半田座長 事務局のほうは、いかがですか。新生児・小児に関しては旧指針のままで今回は改定しないということで、よろしいでしょうか。

○近藤血液対策課課長補佐 今回に関しては新生児・小児のほうは間に合わないということで、次回の改正のタイミングのときに一緒に改正させていただければと思っています。

○松下参考人 今、先生がおっしゃったような形でいいと思いますが、本日、今の時点で現実に全然合っていないとか、実際に行われているのは全然違うといった治療がもしあれば、字句の修正とか数値の補正といったことはお願いできるのかなと考えていますが、今、先生が言われたとおりで大体いいと思います。

○半田座長 よろしいでしょうか。それでは机上配布資料3.の「末期患者」の表現、これはよろしいですか。何か御意見はよろしいですか。続きまして、4.の巻末の参考資料です。これに関しては各製剤の性状で、しょっちゅう変わるということもありますが、これは削除ということですね。これもよろしいですね。最後、5番目、保険診療上の審査基準という文言です。これは今回の指針ができた頃の現状というものを踏まえて、こういうふうな表現を書いたということですけれども、それから10年以上経っているということもありますので今回は削除したいということですが、これに関していかがでしょうか。特に御意見はよろしいでしょうか。それでは、これは医療課とも相談されたというところもあるのですか。

○近藤血液対策課課長補佐 医療課のほうにも確認をしておりまして、こちらの文言に関しては血対課の判断でいいということを言われています。

○半田座長 ありがとうございました。机上配布資料の1.から5.まで、今、御審議いただきましたけれども、全体を通して「はじめに」と、それから血液製剤の使用の在り方ですね、4ページまでの所で全体を通して何か委員の先生方、御意見、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、次に進みたいと思います。次は各論です。まず最初に赤血球液の適正使用と、それから自己血輸血について、5ページから16ページまでの所の御説明、よろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 赤血球液の適正使用に関しては、資料2の要約というのも適宜、御参照いただきたいのですが、こちらのほうに大体の適応に関するトリガー値に関して記載されています。委員の先生方には、1月初旬に送らせていただいた、バージョン2の案のほうで見ていただいているかと思いますが、そちらのほうでいろいろ御意見を頂き本当にありがとうございました。できるだけ反映させた形で今日、お配りしているバージョン3という形で見ていただきたいと思います。先ほど、推奨度に関して全て統一するという方針を御議論いただいたところなので、今後、この赤血球液の中の文章も、それに従って変えていきたいと考えています。また細かい点で御質問がありましたら後ほどよろしくお願いします。

 あと今回、自己血輸血のほうですが、自己血輸血というのは今まで項目立てはしていませんでした。しかしながら、自己血輸血については基本方針にも書かれており、推奨される方法とされています。将来、血液製剤の需給が逼迫する可能性も鑑み、引き続き、自己血輸血の手技や手法を維持、発展させていくことも重要と考え、このように項目立てをさせていただいています。学会のほうからも、自己血輸血に関する適応に関してエビデンスを出していただきましたので、今回、このように載せています。以上で説明を終わります。

○半田座長 ありがとうございました。既に委員の方々は何回か御覧になっていると思いますので、それを踏まえて今回、こういう形に作らせていただいたわけですが、いかがでしょうか。

○薄井委員 確認ですが、先ほど文章は強い推奨と弱い推奨、後ろの4ページにあるグレードを入れるという話だったのですが、例えば14ページの自己血の所の14行目、貯血式自己血輸血の所は2Dということで、2Dという取扱いはかなりコンフュージングだと思います。2Dというのは弱く推奨ですけれども、弱く推奨の中の余り推奨しないというようなグレードではないかと思うので、こういうことも先ほどのお話ですと「2」は弱く推奨、「1」は強く推奨という形の文言になるのでしょうか。それとも、こういう形でこのまま残して(2D)とするのか。その辺のところを決めておかないと、みんな弱い推奨、何とかべきであるということになると、どちらかといったら、余り推奨しないようなものも推奨に入ってしまうことがあるのではないかと懸念されるのですけれども。

○半田座長 ありがとうございました。確かに「2」の場合に2Bと2Cと2Dというと、同じ弱く推奨するでもエビデンスのレベルが、そこだけ違うという意味合いが出てくるということで、この辺のところを熟知している方はそれは分かるだろうけれども、実際にサッと読んだ場合には、なかなか区別が付けにくいという御意見だと思います。これに関して他の委員の先生方、表現として区別する表現を設けたほうがいいということだと思いますが、いかがでしょうか。どなたか何か御意見はございますか。これは本当に表現方法なのですが、これは局長通知になりますので、きちんと議論しておかないといけないところがあります。いかがでしょうか。松下参考人、何かございますか。

○松下参考人 推奨度2Dというのは、本来、余り多用してはいけないと思われるのですが、弱く推奨できるが根拠がほとんどないというのが、2Dという言葉の日本語訳になります。そのことが分かるような日本語の文章にするのがいいのか。あるいは文脈の中でそれと分かるような文脈にするのかというところになると思いますが、今、先生が御指摘の貯血式自己血輸血に関しては、本邦では今も広く行われていますし、私も今日やってきたところなのです。現実的には根拠となる論文がないわけではなくて、日本語の論文はたくさんあるのですが、ある一定の手法で評価した場合に根拠とすべき論文がほとんど見つからない。しかし、当然、医学的な観点からは推奨できないとか、やってはいけないということはないのでこういう表現になっています。

 ですから、この意味を知っている人から見ると、そういうことが言いたいんだなということは分かるわけですが、確かに先生がおっしゃったように、今回の基本的な方針に基づいてこの文脈を整理するとなると、ちょっと工夫が必要なのかなと思います。なかなか話すと難しいところですね。

○半田座長 薄井委員、何か御提案はございますか。

○薄井委員 2Dは「推奨する」という言葉を使わないのがいいのではないか。「考慮する」とか。やっていけなくはないのです。ただ、余り強くないということなので、特に2Dのところはそのようにして、これは私の意見ですけれども、「推奨」という言葉を使わずに「考慮する」とか、もう少し柔らかいほうがいいかなと思います。

○半田座長 いかがでしょうか。

○松下参考人 例えば今の14行目ですと、「本邦では貯血式自己血輸血が従来行われてきた。」として、その後、「欧米では回収式輸血が推奨されてきた」といった表現になるのかなと思います。1Bですので強く推奨されてきたということです。

○半田座長 という御意見が出ましたけれども、いかがでしょうか。それでよろしいですか。では、その辺で区別をして表現をするということで、「推奨」という言葉を使わずに表現をするということですね。ただし、後ろの括弧の所にはきちんと2Dという表現があるので分かるだろうということです。よろしいですか。では、そういうことで。ほかに、どうぞ。

○三谷委員 今の薄井先生の御意見と無縁ではないと思いますが、前回の調査会のときに、この使用指針をどのように作っていくかというディスカッションがなされて、結局、松下先生が御提案のエビデンスに基づいた指針を、現行のものに上手に落とし込んでいきましょうというお話だったと思います。最終的に、今、御提案いただいている使用指針、特に赤血球とか自己血、あるいはアルブミン製剤のガイドラインは既に学会のほうで発表されているということですが、どのぐらい違うものになっているのでしょうか。

○松下参考人 もちろん、事務局のほうにもガイドラインを参照しながら決めていただきますし、基本となっているバージョンは私が前回の調査会でお示ししたものになっています。ただ、大幅改定になるという過程で、現在の指針の文脈や文体から大きく逸脱してしまうことは、結構、影響も大きいし混乱を与えるといった判断もございまして、今の形に落ち着いているわけです。もちろん、学会ガイドラインと違うことが書いてあるということは全くありません。ですから学会ガイドラインで推奨していること、あるいは、しないことを推奨していることはそのままの形で反映されていますので、そういったことはないのですが、主に非常に饒舌に書いてあった解説部分が抜けているとか、そういった違いはございます。ですから、今回、何でこんな推奨に変わったのだろうと思う人は、ガイドラインの解説を見ると、そういうことなんだと分かる仕掛けになるといいなという形で作っています。

○三谷委員 ありがとうございます。もう一言ですが、先ほど特に御意見を頂きたい点の5番で、「本指針が保険診療上の審査基準となることを意図するものではない」という文章を削除することになったわけですが、多分、多くの審査員がこれを見ないことはないと思います。そういうときに先ほどの薄井先生の御意見にもあったのですが、専門家でなくても分かりやすい表現の推奨というものがあったらいいかなと思いました。以上です。

○半田座長 ありがとうございました。その辺のニュアンスというものも取り入れながら、きちんとした明確な区別をするような表現で行っていくということです。ほかに、稲田委員、どうぞ。

○稲田委員 余り細かいことは言いたくないのですが、7ページの「急性出血に対する適応」の所に産科出血ということが余り書いていません。実際、妊産婦死亡は非常に重大な問題で、弛緩出血だったり胎盤早期剥離といったことで亡くなることが多い。この辺りの記載の追加が必要と感じて、今度は9ページの5)の妊婦の貧血を見ると、こちらは周術期ではないですが、輸血のトリガー値が4~6g/dLになっている。実際、先ほどの妊産婦の出血ではかなりの出血をして、恐らく4まで待つことはないし、恐らく6でも輸血をしているはずなので、この辺の整合性をうまく取らないと、妊産婦の分娩というのは出血のときの対応が遅れる可能性がある気がしますので、コメントさせていただきました。

○半田座長 ありがとうございました。この部分に関しては他の委員の方からも根拠について、これは学会のガイドラインから4~6を取ったということですが、その辺のところは確かに御質問があったということ。それから、産科的な危機的出血というのは既にガイドラインができているということもありますし、産科出血に関しての表現がここに1つも入っていないというところは確かにあるので、特に9ページの5)の妊婦の貧血の所に、もうちょっとその辺のところも加えるか、あるいは急性出血の適応という所に、その辺のところを加えるかという稲田委員の御意見だと思います。田中委員、いかがですか。

○田中()委員 産婦人科のほうでは、今、座長がお話になりましたように5つの学会とか団体から、昨日、危機的出血の新しいバージョンが早速出ていますので、恐らく会員はそっちを先に見ると思います。自分たちが言われているのは、ショック指数でまず言ってくれということです。ですからHbが幾つかというよりも、大体予測される疾患は分かりますので、ショック指数が1いったら、地域によっても違いますから輸血を準備する所と、普通の診療所で血液が来るまでに2時間も掛かるような所であれば、ショック指数1で始めてくれという指導を学会や医会はしていますから、恐らくHbを見てということは余りないと思います。ですから、2番目にこの指針はどうだったのかと、次に余裕が出てきたら見るのではないかという気がしますので、もし追加するのであれば詳細は学会のほうのガイドラインを参照とか、そういうもので十分だと思います。

○松下参考人 この妊婦の貧血の項目に関しては、若干、舌足らずな部分と、この項目のある位置がちょっと誤解を与えるところがあるのかなと考えています。本来は出血している妊産婦の赤血球輸血基準というよりも、一般的、通常的に経過している妊婦さんは、当然、妊娠貧血になるわけですけれども、通常は鉄剤とかの投与でHb7ぐらいまでは経過観察されているという実態もありますし、そういった妊婦さんが更に下がってきたときに輸血を考えるかどうか。もちろん、貧血の原因の精査のほうが先なのですが、あくまでこれは製剤の使用指針ですので、輸血の基準としてはそれを提案するという書きぶりになっています。これは急性出血とか術中の輸血の後に書いてあるので、そういうふうに間違われないような項立てを考えてみてもいいのかなと考えます。

○稲田委員 その点は、正にそのとおりです。急性出血のところにも、ひどい産科出血というのは書くべきだろうと思うのと、今、ショックインデックスのお話が出たのですが、例えば最初の所で保険診療には用いないというところで削除されたと。これは当然、審査員はHb値を見ると。そのときにHb値が7で輸血したときに、この指針に合っていないから、それはカットするといったことがあっては困るということもあって、急性出血の所に何らかの形で述べておくのは必要なことだと思います。

○半田座長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。

○田中()委員 細かいところで申し訳ないですが、6ページの29行目、「赤血球を行わなず」は「わ」と「な」を反対にするか、「な」を取るかですね。「行わなず」と変になっていますので。それともう1つ、産婦人科としては7ページの15行目、「子宮外妊娠」という言葉になっています。これは医政局でどうか分からないですけれども、学会は数年前から、これは「異所性妊娠」に定義を変えていますので、「異所性妊娠」としていただいたほうがよろしいかなという気がします。以上です。

○半田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、今、頂いた御意見を基に修正を加えたいと思います。続きまして、次は血小板の濃厚液の適正使用という所です。御説明をよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 血小板に関しても、委員の先生方から既にいろいろ意見を頂いておりまして、反映させたつもりですけれども、反映漏れなどがございましたら御指摘ください。2.の所です。17ページの8行目に適応の現状と問題点とございますが、血小板製剤というのは世界で一番短い有効期限であるということもありまして、従って細菌感染も非常に少なくなっています。こういった有効期限の短さという事情もございまして、原則、予約をして日赤から供給していただいています。そうすると、実際には欧米のほうではもう少しトリガー値が低いということもございますが、日本の事情に合わせて少しトリガー値を高くしているところがあり、日本の医療環境に応じた推奨度になっているところも御考慮いただければと思います。実際、ここの18行目から書いてありますように、予防的投与では、頻回な輸血が必要な患者の負担も考慮して、血小板減少をあらかじめ見込んで輸血をしている現状もございます。

 その次からは各論ですが、19ページの13行目からDICの治療について書いてあります。各学会から、DICに関してガイドラインなどが出ていて、なかなか整合性をとるのが難しいところがございますが、御意見があればよろしくお願いいたします。

 次に、20ページの17行目から、免疫性血小板減少症の中にITPの母親から生まれた新生児という項目がございますが、新生児・小児の項目に移そうとしたところですけれども、今回、「新生児・小児に対する輸血療法」の改定を見送るということで、こちらのほうに一旦戻しています。元の場所がこちらになっています。

 細かい話ですけれども、24行目のPTP(輸血後紫斑病)というのは、日本では今までまだ報告がないということですが、残しておりました。このまま残していくのかどうかに関して、今後、事務局と委員の先生方とでやり取りしていきたいと考えています。

24ページには、サイトメガロウイルス抗体陰性血小板濃厚液というのが10行目からありますけれども、こちらも少し新しく加えたところです。あとは特に大きく変えた所はございません。お気付きの点などがございましたら御意見をお願いいたします。

○半田座長 ありがとうございました。細かいところでも何かあれば是非、どうぞ。

○益子委員 文言の問題だけですが、19ページの3)の大量輸血時で、11行目の「woozing」の「w」は要らないと思いますので、御検討いただければと思います。

○半田座長 そうですね。綴りは「w」が入らないということです。ありがとうございます。

○種本委員 18ページの23行目から26行目の所、これは原案では削られていたのですが、5万以上あれば止まるだろうというのは、人工心肺を長時間使ったらば、血小板というのは数だけではないので機能が相当落ちてきます。こういう特殊な状況は5万~10万を保たないと止まらないということで、御理解いただいて入れていただいたという事情です。

○半田座長 種本委員の御指摘で、これは旧指針にあった文言を、一度削除したものを加えさせていただいたということです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○三谷委員 この血小板の輸血に関してですが、実際に出血をされている方とか、今後、侵襲的な処置をされる方に関しては、そのとおりだと思いますけれども、血液内科に関しては慢性の血小板減少症の方が結構いらっしゃるのです。そういう方のトリガー値に関しては各論の所に書いていただいているのですが、頻回の不用意な血小板輸血は抗体の産生も誘導しますし、安易に繰り返すべきではないということを一般論としてどこかに入れていただいたら、よろしいのではないかと思いました。

○半田座長 ありがとうございました。入っていなかったでしたか。20ページの2行目のb)は、今、三谷委員が御指摘になった場所で、ここに入れるようということですね。

○三谷委員 そうです。

○近藤血液対策課課長補佐 参考文献で付けています現行指針の28ページ、f.血液疾患の()造血器腫瘍の所に似たような文言のことが書いてございます。ここのことでよろしかったでしょうか。「より頻回あるいは大量の血小板輸血を必要とすることが多いが、時には血小板輸血不応状態となることもある」とあり、これは削除してしまっていたのですが、こちらに関しては戻すということで。

○三谷委員 少なくとも各論には書いていただいて、私が想定したのは、適応の現状と問題点の所にも、その文言があってもいいのかなと思いました。御検討いただければと思います。

○近藤血液対策課課長補佐 検討させていただきます。

○半田座長 非常に貴重な御意見を頂きましたので、検討させていただきたいと思います。ほかはよろしいでしょうか。それでは、続きまして新鮮凍血血漿の所、御説明をよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 27ページから、新鮮凍結血漿の適正使用です。今回少し変えた所があります。28ページの6行目からです。今までの指針との違いという所で書いてあります。トリガー値を、このようにPTやAPTTが延長している場合、若しくはフィブリノゲンの値を明記してきたのですけれども、こちらのほうは今回より「基準値は参考程度にとどめる。各施設ごとに定める」という文言に変わっております。

29ページの14行目に関しては、大量輸血に関することが書いてあります。こちらに関しては、要するに観血的処置にFFPを予防的に投与されていると、もともとはそういうことが書いてありました。より範囲を厳しくして、このように書いてあります。ですので、「重篤な凝固障害」という書きぶりにさせていただきました。

32ページの上のほうに表1があります。これに関しては前から載せていますけれども、各凝固因子の必要な濃度や、半減期、回収率、安定性が書いてあります。こちらに関しては2002年という古いデータなのですけれども、引き続き載せるか、削除したほうがいいのか様々な意見を頂いています。

33ページの6番の不適切な使用の中で、5)を新しく加えています。「予防的投与」というのを、不適切な使用の中に入れております。

 その下、7番の使用上の注意の1)の使用法に関しての所も前から議論のある所です。FFPの融解した後に、どのぐらい使えるのかという点が書いてあります。現在の指針には、23行目からあるように、「融解後にやむを得ず保存する場合には、常温でなく2~6℃の保冷庫内に保管する」という文言が入っています。これに関して、添付文書のほうにはこういう文言は入っていなくて、「融解後3時間以内に輸注する」となっております。学会のアンケートを見ると、実際は使用指針の「融解後にやむを得ず保存する場合には」の所で、3時間以上で使っているという報告もありますので、それに関しては現在日赤のほうでも検討していると聞いております。

 ただし、今回は添付文書に書いていないことを、使用法の所に書くというのは、今まで混乱を来していたということもありますので、一旦は、「融解後にやむを得ず保存する場合には」という所は、事務局としては削除させていただいて、今後たとえば日赤のほうで3時間以上使えるというデータを取り、もしそういう承認が下りれば、その際にこちらのほうも変えていきたいと、事務局としては考えております。

 前後して恐縮ですけれども、30ページの8行目に、大量輸血のことに関しては今後の研究班の研究成果を待つところではありますが、現在書かれていないことが8行目、9行目のところにあり、新鮮凍結血漿の投与量を、赤血球液との比率で、単位当たり1~2.5で行うということ、今回初めてこのような提案を入れさせていただいております。事務局からは以上です。

○半田座長 各論で、詳細な所ですが、何か御指摘、あるいは御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○益子委員 28ページの所なのですが、「APTTが25%以下」という表現になっています。APTTは秒での表記というのが、皆さん一般的なのではないかと思うので、これは御検討いただけないかというのが1つです。

 もう1つは、臨床的有効性を示すエビデンスがないというのは、学術団体の研究結果としてはこのとおりでいいのです。エビデンスがないから施設ごとに各々定めてちょうだいというのでは、やはり厚生労働省の使用指針としては、ちょっと親切ではないのではないか。現場が混乱してしまうのではないかと考えます。少なくとも学会のエキスパート、オピニオン、専門家の先生方が、ある程度のガイドラインを示していただくことが必要なのではないかと考えます。

30ページなのですが、今の説明にありました8行目から9行目、これは大量輸血のときのマッシブ・トランスフュージョン・プロトコール(MTP)の話だと思うのです。いきなり赤血球と新鮮凍結血漿の比が1~2.5で行うことが提案されている、というのはちょっと唐突すぎると思いますので、ここにマッシブ・トランフュージョン・プロトコールのことを簡単に加えるか、あるいは「輸血・細胞治療学会の危機的出血に対するガイドラインを参照」というような文言を追加していただくほうがいいのではないかと考えます。以上です。

○半田座長 益子委員ありがとうございます。非常に貴重な御意見だと思います。今の件に関して、まずAPTTの「秒」で書いてあるということ。前は、いわゆるトリガー値というものをここに示すように書いてあったわけです。それが、結局エビデンスとしてはないということで、これを取り下げたというのが今回の指針なのです。この辺について松下先生いかがでしょうか。

○松下参考人 この下線の引いていない部分、「PTはINR2.0以上30%以下、APTTは各医療機関における基準の上限の2倍以上25%以下」というのは、現在の指針の文書どおりなのです。APTTは、どちらかというと、最近では患者さんの秒数は何秒、対象秒数が何秒という形で表現されます。APTTの試薬の標準化は全然進んでいない状況で、対象秒数が20秒の試薬もあれば、35秒の試薬もあるという現状ですので、患者さんの秒数のみをもってその判断をするということよりも、対象秒数と並べて表現するということになります。

 そういうときに、ここの表現を当時どのようにするのかということを、恐らく私たちの先輩方が考えたときに、こういう表現になったものと思われます。ここは「してきた」ということなので、実際に今の指針はこうなっていますということなのです。先生が御指摘の後半の部分、これを放棄してしまうのは指針としてはいかがなものかということに関しては、学会としては従来指針に書いてあった数字を用いる根拠がないということにすぎないのであって、少なくともそれに明確な根拠がないということは示すべきだと思うのです。それでは測らなくてよいのかということになると、恐らく私も測ると思いますので、「測定した上で、凝固障害が存在することを明らかにした上で行動する」といったような表現であればよろしいでしょうか。

○半田座長 いかがですか。この辺の表現を。

○三谷委員 私も益子先生と同じ印象を持つのですけれども、このトリガー値というのは、エビデンスが全くないということを伺って少しショックなのです。現場で適正輸血を推進するときに、非常に有用な目安になります。この値だから入れました、この値はちょっとこれから逸脱しています、ということをクリアに言いやすいのです。特に現場で困るのは、生体肝移植の場合に、FFPをすごく大量に使う先生がいます。こういうトリガー値が一切記載されていないとなると、各施設の判断ということになりますので、幾らでも使ってよい、好きに使ってよいというメッセージになってしまうのかと思うのです。トリガー値が記載されていても、それは一定の基準であって、各担当医が必要であれば輸血はするのだと思います。逆になくなってしまうことの弊害というのも少しあるかと思いました。

○半田座長 ここでの表現というのは、この旧指針のトリガー値と示されたものを参考にして、各施設ごとでトリガー値を明確に決めていただきたいという表現だと思うのです。したがって、この指針の中でというところになると、その辺のところが今の議論だと思います。

○稲田委員 私も益子委員、三谷委員の議論に賛成です。何か基準がないとやっていけない。例えば、INRが2.0というのは非常に厳しい基準で、海外だと1.7であったり、あるいは厳しい所は1.5としている所もあるかと思います。施設ごとにこれを決めるというよりは、もしここに何か追加して記載するのであれば、以上のデータと、例えば臨床証拠、「出血傾向等を考慮して判断する」としたほうが、施設で決めるよりは、個々の患者において投与を決めたほうがいいだろう。確かに基準値がないと、我々外科医と議論するときに1.2でもこれは異常だと、1.0にしたいと。もう際限なく輸血をすることになる。やはり、何らかの数値を出しておくべきだろうと思います。

○半田座長 正しく現場からの意見ということで、非常に貴重だと思います。これは、かなり大きなポイントになります。後でまとめて申し上げますが、一応座長預かりとして、あとは事務局と相談させていただいて、松下先生とも相談させていただいて、改定をさせていただければと思います。マッシブ・トランスフュージョン・プロトコールに関しても、益子先生がおっしゃったように、ちょっと変えてもいいというようにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは最後になりますが、アルブミンの項目について、事務局から説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 アルブミンに関しては35ページからです。今回の改定においては、36ページの20行目に、敗血症のことが書いてあります。敗血症に関しては、ガイドラインが別の学会から出ておりますので、そちらとの整合性を確認しながら、今回の作業を進めております。

37ページの7行目から、肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療に関して、高張アルブミン製剤の適応に関して、1B、1Aと強い推奨度の文言がここに並んでおります。こちらが大きく変わった所です。

38ページで、「妊娠高血圧症候群」という項目が増えております。

39ページの1行目からあるように、「他の血漿増量剤が適応とならない病態」というのも新たに入れてあるのですけれども、7行目からあるように、「アルブミン製剤以外の代用血漿薬の使用が困難な症例には、アルブミン製剤を使用する」という、1Bという推奨度で書いてあります。

 こちらに関しても、細かい所はいろいろと御意見を頂いておりますけれども、更にお気付きの点などがありましたらよろしくお願いいたします。

○半田座長 御意見を伺います。アルブミンについて細かい所、文言でも何でもよろしいので、何か御指摘がありましたらお願いいたします。

○田中()委員 38ページの26行目から「妊娠高血圧症候群」を入れていただきましてありがとうございます。28行目の「高血圧が高度になると」ということで、産婦人科のほうでは、高血圧に対して「高度」という言葉は余り使わないです。重症度でいきますから、「重度」とか「軽度」、重いとか軽いですが、そちらの「重度」のほうにしていただいたほうが分かりやすいかという気がします。お願いします。

○半田座長 他にはいかがでしょうか。

○稲田委員 表記の問題なのですが「たんぱく」という言葉に関して、35ページの8行目は「たん白」、10行目は「タンパク質」で、25行目は「低蛋白血症」となっていますので、何らか統一をしていかないと非常に読みにくいかと思います。

○半田座長 これは委員の兼松先生からも御意見を頂いていますけれども、事務局いかがでしょうか。

○近藤血液対策課課長補佐 兼松委員から御指摘を頂いて、「たんぱく」に関してはどう表記すればいいのかと。兼松委員からは、文部科学省から「タンパク質」とあるというご指摘をいただきました。事務局としても、「たんぱく質」に関しては「タンパク質」としております。「血漿蛋白」というように、後ろに「質」が付かない場合に関しては、見慣れた記載のほうがいいと考え、また、例えば添付文書に書いてある、「低蛋白血症」などの場合は、25行目にあるように片仮名ではなくて漢字で書いてあります。「加熱ヒト血漿たん白」というのが8行目にありますが、これは一般名として、生物由来基準のほうに入っておりますので、これはこのまま変えておりません。非常に混乱するような形になっていて大変恐縮ですけれども、そういう経緯でこうなっております。

○半田座長 意識して区別して使っているということです。添付文書等に既に載っているということです。

○稲田委員 添付文書はしようがないと思うのですが、ここは何らかの指揮権を示して、片仮名にするということでも、そんなに大きな影響はないと思うのです。あえて「低蛋白血症」だけは漢字にしなければいけないという理由は、見ていて非常に美しくないと思います。

○半田座長 分かりました、これも後で。今、逆にそう言っていただくと非常に有り難いことなので、そのように事務局のほうで調整していただきます。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。最後、小児のほうに関してはこのままに保留するということで、何か非常に不適切な表現がある場合には変えてもいいのかなということを、先ほど松下先生もおっしゃいましたけれども、それでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは最後に、せっかく皆様お集まりになられましたので、全体を通して何か御意見等はございますか。本日は非常に早く終わりそうなのですが、せっかくですので何かありますか。

○稲田委員 こういう指針を作る以上は、使っていただかないといけない、広まらないといけない。今回は資料2に、要約ということで、「赤血球液の適正使用」が付けてあります。使う側とすると、例えばヘモグロビン値のトリガー値も、いろいろな病態によってバラバラだし、血小板に関してもいろいろ違うので、こういう所を表などで見せるといった、やはり使う人が使いやすい、ユーザーに対して親切なものを作るというのが普及につながるのかと思います。

○半田座長 表にするということで、資料2には要約として明確に数値が並んでいるのですけれども、確かにこれを見ると混乱してしまうので、いろいろな意味でも表にすべきではないか、表にしたほうがより親切ではないかということです。他にはいかがでしょうか。

 それでは、今までに頂いた御意見、特に赤血球の項目に関しては、産科的な出血に関しては、大量出血の中に明記するということ。それから慢性の血小板減少症に関しては、頻回輸血が、抗体の産生を助長するということで、なるべく避けるべきであるという文言を加える。新鮮凍結血漿の所では、エビデンスはないのですが、指標となるような凝固検査、この指標を何とか入れるようにしていただきたい。これは、現場からの非常に強い御意見ということだと思います。大量輸血の所で、マッシブ・トランスフュージョン・プロトコールについても改定する。最後に稲田先生から、表を付けると。特にトリガー値については分かりやすくする。この辺がサマリーであったと思うのですが、よろしいでしょうか。今、私が申し上げたことで、委員の先生方もよろしいですか。

○稲田委員 先ほどの保険診療のところで、ワルファリンの拮抗、中和というところで新鮮凍結、これは適用にはなっていると思うのです。こちらのプロトロンビンコンプレックスに関して、現在保険適用があるのかどうかが定かではないのでお伺いします。

○近藤血液対策課課長補佐 御指摘のとおり、プロトロンビン複合体は、現在のところそのような適応はございません。この適応で現在、別の製剤から申請がされております。そちらのほうがもし上市されれば、学会ガイドラインに沿った文言にできるかと思っておりますが、現時点ではまだ承認されていません。実際には適応外使用ということになりますので、このように「海外のデータでは」という書きぶりにさせていただいております。

○稲田委員 先ほどの保険診療とか、添付文書にこだわるのでしたら、ここもちゃんとそのように書かれるべきです。ここは括弧して、例えば「現在のところ保険適用はないが」とか、「検討中である」といった文章は加えるべきだろうと思います。

○半田座長 確かに稲田委員の御指摘は納得のいくものだと思いますので、この辺も事務局と相談させていただきます。みんな相談ということになってしまいますが、そういうことでもう1つ御意見を頂いたということにします。他にはよろしいでしょうか。それでは今申し上げた、更に検討すべき点はありますが、全体を通して、本日は本指針案をお認めいただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、今後はパブリックコメントの徴取ということもありますので、修正内容に関しては、繰り返しになりますが、事務局と私、座長に一任していただいて、必要な手続を淡々と進めていくということにさせていただきます。改正案に関しては、最終的には3月に開かれる血液事業部会に提示することになると思います。事務局いかがですか。

○近藤血液対策課課長補佐 年明けから何度も資料を、本来なら郵送すべきところをメールで大変失礼いたしました。引き続き事務局と、松下先生と、座長で検討してまいりますので御協力のほどよろしくお願いいたします。前回の適正使用調査会のほうで、タスクフォースの顧問からの提言書を去年の10月に出させていただいております。その提言書の中に、血液製剤の安定供給の確保の1つに、「血液製剤の使用指針と輸血療法の実施に関する指針に最新の知見を反映させ、貴重な血液の適正使用及び安全な輸血療法の推進を図る」という文言が入っていますが、この提言を受けて今進めていることにもなります。御協力ありがとうございます。

○半田座長 本日の議事はこれで終了させていただきます。今後のことについて、特に事務局のほうはよろしいですか。

○近藤血液対策課課長補佐 特にございません。

○半田座長 本日は皆様ありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。

 

 


(了)

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