ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(健康日本21(第二次)推進専門委員会)> 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)(2017年2月17日)




2017年2月17日 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)

○日時

平成29年2月17日(金) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室


○議題

<審議事項>
(1)健康日本21(第二次)の中間評価の進め方について
(2)健康日本21(第二次)の中間評価の方法について
(3)その他
<報告事項>
(1)「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について
(2)アルコール健康障害対策基本計画について
(3)歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間評価の進め方について

○議事

 

 

○原渕課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第7回健康日本21(第二次)推進専門委員会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして御礼を申し上げます。開会に当たり、審議官の橋本より御挨拶を申し上げます。

○橋本大臣官房審議官 おはようございます。審議官の橋本でございます。本日の専門委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、また遠い所を当専門委員会に御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より私どもの健康行政に対しまして格別の御理解と御支援を賜っていることに対しまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 さて、国民の健康づくりということをめぐりましては、昭和50年代ぐらいから本格的な取組を始め、そして21世紀に入って平成12年から24年にかけまして、第一次の健康日本21という取組を推進してきたわけでございます。そして、その成果を踏まえて現在進めております第二次の健康日本21ということであるわけでございますが、御承知のとおり、この中では健康寿命を延伸して、平均寿命との健康格差の縮小ということを掲げているわけでございまして、言い直せば、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加ということを目指しているわけであります。そういった目標を掲げて、スマート・ライフ・プロジェクトといった取組を含め様々な取組を行政のみならず、いろいろな企業の方々あるいは団体の方々にも一緒に参加していただいて展開をしていると、今、そんな状況でございます。

 この第二次の健康日本21も、平成254月から開始したわけでございますが、来年、平成30年ということを考えますと早5年ということになるわけでございます。したがいまして、ここで一旦、中間評価を行ってみる必要がありますということですので、本日、この中間評価の進め方につきまして御審議を賜りたいというふうに考えてございます。健康日本21の第二次の計画の後半の推進ということの中に、大変重要な意味を持つ中間評価でございますので、何卒御忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、冒頭の私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○原渕課長補佐 なお、審議官の橋本でございますが、この後、公務がございますため、ここで退席をさせていただきます。前回の開催以降に委員の改選がございましたので、新しく当専門委員会の委員に御就任いただきました6名の方を御紹介させていただきます。千葉大学予防医学センター教授の近藤克則委員です。国立保健医療科学院次長の曽根智史委員です。国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所栄養疫学部長の瀧本秀美委員です。ドーミョ薬局薬剤師の道明雅代委員です。公益社団法人日本医師会常任理事の温泉川梅代委員です。国立保健医療科学院生涯健康研究部長の横山徹爾委員です。新しく任命となりました委員の方を御紹介させていただきました。また、本日は岡村委員、宮地委員、山之内委員の3名から御欠席の御連絡を受けております。全22名中19名の委員に御出席いただいておりますので、議事が成立することを御報告いたします。

 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。中に綴じてはいるのですが、見づらいために委員名簿を1枚刷って一番上に置いています。座席表、議事次第、資料1が健康日本21(第二次)の中間評価の進め方()、資料2が健康日本21(第二次)の中間評価の方法()、資料3が「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について、資料4がアルコール健康障害対策基本計画について、資料5が「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の中間評価の進め方()、このほか参考資料13を配布しています。委員の先生には、昨年11月に行われました第5回健康寿命をのばそう!アワードで受賞された団体の受賞プロジェクト、事例の御紹介という冊子をお配りしていますので、御参考までに見ていただければと思います。資料の確認は以上でございますが、もしお手元に配られていないもの、あるいは落丁等がございましたら事務局までお申し付けください。

 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。以後の進行は辻委員長にお願いしたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。本日の議題は「健康日本21(第二次)の中間評価の進め方について」と、「健康日本21(第二次)の中間評価の方法について」です。まず、事務局から資料の説明をお願いします。

○有賀女性の健康推進室長 事務局の健康局健康課の有賀と申します。私のほうから御説明をさせていただきます。資料1の「健康日本21(第二次)の中間評価の進め方()」を御覧ください。こちらには検討の方法、検討の内容、今後のスケジュールということで案を書かせていただいています。

1.検討の方法ですが、中間評価に向けた検討については、この委員会の親部会に当たります厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において行うことといたしまして、検討に当たっては、この委員会で部会と連携しながら、また検討状況に応じて専門委員を追加するなどしながら作業を進めるということで行ってはどうかと思っています。

2.検討の内容についてですが、(1)目標に対する実績値について、目標は53項目ございますが、項目ごとの直近実績値に係るデータ分析等を実施いたします。(2)諸活動の成果についてということで、国、自治体、企業や団体等、それぞれの立場の取組や成果についての評価を行ってはどうかと考えています。(3)今後取り組むべき課題についてということで提示ができればと思っています。

3.今後のスケジュールですが、1枚おめくりいただき、右側の別紙1に具体のスケジュール案を書かせていただいています。こちらは部会のほうでもお諮りしたものでございますが、左が部会の日程、右が専門委員会の予定ということで書いています。本日、217日の専門委員会において中間評価の評価方法等を行い、次回以降、年度明けを想定していますが、専門委員会を数回開かせていただきまして、実績値の評価等を行う。その後、29年の夏、秋頃をめどに報告書骨子案を作成していき、30年の12月頃に素案を作成する。その後、3056月に向けて報告書案をブラッシュアップし、最終的に30年の夏前の栄養部会にお諮りして中間評価報告書の最終審議に入っていただくことを想定しています。

 また、左側の「参考」と書かれている所ですが、こちらが健康日本21を規定している基本的な方針で、この中に目標の設定と評価ということで下から4行目の所から下線を引いていますが、「目標設定後5年を目途に全ての目標について中間評価を行うとともに、目標設定後10年を目途に最終評価を行う」とあります。この「設定後5年を目途に」という所が今回の中間評価に当たるものとなっています。事務局から以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。今、資料1について御説明いただきましたけれども、資料2の中間評価の方法についても説明していただいて、まとめて委員の先生方に御議論いただきたいと思います。資料2の説明をお願いいたします。

○有賀女性の健康推進室長 資料2の説明をさせていただきます。健康日本21(第二次)の中間評価の方法()です。1.評価、検討の方法につきましては、基本的な考え方として、目標に対する実績や取組の評価を行うとともに、その評価を通して値の動きや特徴的な取組について、「見える化・魅せる化」ということで工夫を行いながら示していくことを考えてはどうかと思っています。これらの評価結果を踏まえ、今後の社会状況の変化等も見据えた上で、重点的に取り組むべき課題について検討してはどうかと考えています。

(1)目標に対する実績値の評価方法について、指標は先ほども申し上げたとおり53項目ございますが、計画策定時の値と直近の値を比較し、分析上の課題や関連する調査・研究のデータの動向も踏まえ、目標に対する数値の動きについて、分析・評価を行うこととしてはどうかということです。その具体の方法としては以下の(1)(2)の手順ということで、(1)は直近値に係るデータ分析で、直近値が目標値に対してどのような動きになっているか、留意点を含めながら分析をしていただくということです。その次に、それを踏まえた(2)の評価ということで、直近の実績値が目標に向けて、改善したか、不変又は悪化した等を簡潔に記載する形式はどうかと考えています。

 分析・評価の結果につきましては、指標ごとに、別添の「評価シート」に記載することでどうかという御提案です。別の綴じになっていると思いますが、横紙で「参考1」と右上に四角で付されているものを御覧ください。ページ数としては6ページという通し番号が付いています。こちらの左側のほうです。指標(目標項目)ごとの評価シートの例ということで、目標項目、ベースライン値、実績値、コメント、評価ということで書いています。また、この評価についてですけれども、目標に向けて改善したか、悪化したかについては、abcd4段階で評価してはどうかと御提案しています。若しくはabcdは使わず、記述的評価にとどめることでどうかということで御議論いただければと思います。

 資料22ページを御覧ください。こちらが案ですが、もしabcdという形で分類をするとしたら、aが「改善している」で、この中では目標到達の見込みについても記載するような形ではどうかと思っています。bが「変わらない」、cが「悪化している」、dが「設定した指標又は把握方法が異なるため評価は困難」、こういった評価をするということでどうでしょうか。

 また、目標に対する実績値の動きについて、目標とする値が、一定程度の抑制を図ることを予測して設定されている場合は、その予測された動きと現状値の動きが分かるように、見える化して示してはどうかということも御提案しています。例えば、糖尿病有病者数の予測値と現状値(実績値)の動きについて、以下の図のように示すことができるかと思います。これは緑の棒になっているものが現状値、赤い四角でプロットしているものが目標値になります。予測値については青い四角でプロットされているものとなりますので、現状値の動きと予測値がどのぐらいになっているかが見える形で示すことができています。

3ページを御覧ください。実績値に加えまして、次に諸活動の成果についての評価の仕方です。諸活動については国、自治体、企業や団体等様々なお立場の取組がありますけれども、その中で特に特徴的なものを整理して評価を行うこととしてはどうかということです。例えば国ですが、健康寿命の延伸や健康格差の縮小に関してはいろいろな動きが見られますので、こうした動きでどのような動きがあるか整理してはどうかと思っています。以下は少し小さい字で書いてありますが、政府全体の動き、あとは厚生労働省内での動きです。

 次の4ページには民間主導の活動体による取組などもありますので、そうしたものを例示させていただいています。

 自治体、企業や団体の取組ということで、健康格差の縮小に向けた取組や社会環境の整備といった健康日本21(第二次)での特に特徴的な取組、スマート・ライフ・プロジェクトで成果の上がっている取組について、特に整理するということではどうでしょうか。

 特に、健康格差の縮小に向けた取組や社会環境の整備につきましては、複合的な取組が一体となって進んでいくということで、主要な対策については取組全体が理解できるような整理をしてはどうかと考えています。

 先ほどの参考11枚おめくりいただき、参考27ページを御覧ください。社会環境の整備の取組例の1つとして、法制度を含めた環境整備の取組例ということで、健やかな心を支える社会づくりの推進の一番下に自殺対策基本法や自殺総合対策大綱で法制度の改正や設定があり、それに基づいて早期対応の中心的役割を果たす人材の養成とか、心の健康づくりの推進ということで職場の体制、あとは適切な精神科医療、社会的な取組の推進、こういうことが相まって国民一人一人の気づきと見守りを促す流れを作り、最終的に健やかな心を支える社会づくりの推進を目指す。その間に自殺者の減少ということで、健康日本21とも関係しているということで示しています。

8ページです。こちらは企業主体の取組を促進する環境整備ということで減塩を例に取り上げています。学会等の取組、国、自治体での取組があり、それに促されるような企業の取組として減塩食品・減塩メニューの開発、自発的に低減に取り組んでいただく目標、あとは企業のほうから推進していただき、それが社会環境づくりにつながっていくことを例示しています。

9ページを御覧ください。これはう蝕予防の推進を例に、地域格差の解消との関係で社会環境の整備についての事例を記載しています。こちらも学会や国の取組が基にあって、各自治体での取組、専門職種の取組、住民の取組が連携してう蝕予防が推進されるということで、左側に健康日本21における目標値がありますけれども、3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加(23都道府県)ということで、そういった地域を増やそうという目標がもともとあり、それを達成するために、こうしたいろいろな立場での取組が連携するという事例です。

10ページを御覧ください。こちらはスマート・ライフ・プロジェクト等も含まれるのですが、国の取組として普及啓発を実施し、国、自治体だけでなく企業等も取り込みながら、「健康寿命を延ばす」ことに関するメッセージと活動を見える化していくことで、自発的に健康づくりに取り組む環境づくりを推進していこうという事例です。

 資料24ページに戻っていただき、次に循環器疾患、糖尿病、こころの健康、栄養・食生活、歯・口腔の健康等の領域ごとに、指標全体の評価とともに関連した取組を整理し、今後の課題を検討することとしてはどうかという御提案です。

 参考1に戻っていただき、先ほど左側が目標項目ごとの評価シートの例ということで申し上げましたが、領域ごとの評価の取りまとめは右側になっています。各領域ごとに関連する指標が良くなったものが幾つある、変わらないものが幾つあるといった形で示しながら取組内容を記載し、その上で今後の課題について評価していくシートになっています。

 資料25ページに戻ります。最後に、今後取り組むべき課題についてです。実績値の評価、諸活動の評価を踏まえながら、今後の社会状況の変化を見据え、重点的に取り組むべき課題について検討し、整理していくことでどうか。また、その取り組むべき課題としては、このような研究が必要だといったことも含めてはどうかと考えています。事務局からは以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思いますが、幾つか論点を絞って順番にしていきたいと思いますので御協力をお願いしたいと思います。最初に御議論いただきたいのは、この目標に対する実績値の評価方法についてということです。今回、53項目の指標を設けているわけですけれども、それが今の事務局の説明のように、目標値と直近値を比べて、どういう動きになっているかを分析するということで、横長の参考1の指標ごとの評価シートの例、あるいは評価の取りまとめの例を出していただきました。この評価といたしまして4段階ですね、改善している、変わらない、悪化している、評価困難、この4段階になっていますけれども、これは健康日本21(第一次)の最終評価では、目標を達成した、達成していないけれども改善している、変わらない、悪化しているということでした。今回は中間評価で目標を達成するかどうかは別なので、基本的には第一次の最終評価の分け方を踏襲していると理解していますが、そのような4段階の評価でいいのか。そういった分類はしなくて記述的な評価にとどめるのか。あるいは、改善しているとか悪化しているという場合はきちんと統計学的な検定もしたほうがいいのか。そういった御議論があるかと思いますので、それにつきまして最初、先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○津下委員 よろしくお願いします。基本的には前回の第一次の最終評価の方法を踏襲していること、今回は最終評価ではないので達成という言葉ではなく改善という言葉で表現するとのことでよいと思います。前回の最終評価時も統計的に有意差があるものを改善としていたと思いますが、それは数字が0.1減ったから改善ということではなく、どういう基準で改善を定義しているかを明確にしていただくのが重要だろうと思います。

1点、追加ですが、今回は第一次があって第二次ということですので、第二次の中間評価においては、第一次から引き続き同じ指標を取っているものについては、第二次のベースラインと直近だけではなく、その前からのトレンドも併せて示した方がよいと思います。変化の動向にブレがないものなのかどうなのかはっきり示していただけると、考察もしやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○辻委員長 ありがとうございます。大変いい御意見を頂きました。横山先生、何かありますか。

○横山委員 私も基本的には、第一次と同じようにabcdという何らかの区分はあったほうがいいのかなと思います。ただ、この記号だけで示してしまうと、どの程度達成しているのか分かりにくいので、こちらの案にも書いてありますが「見える化・魅せる化」の所ですね、これとセットでこのabcd判定をすることが大事なのではないかと思います。具体的には糖尿病の予測値が出ていますけれども、こういうイメージの図と、これを見てこのabcdが判定として付いている形にすると、どの程度改善したか改善度も分かりやすいので、これはセットで示すのがいいのではないかと思います。

 あと、検定に関しては前回、検定もやりました。この図の中に誤差線が書いてありませんけれども、例えばここに誤差線を入れて検定と整合性が取れるような形で、つまり目標値に対して予測値がどのぐらい誤差がありそうかまで含めて図示したらいいのではないかと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。ほかの先生方から御意見、ございますか。

○若尾委員 今、abcdとあるのですが、今回は中間評価ですから最終的に目標を達成するかどうかという観点で評価することが必要で、そういった場合、例えば変わらないというのは実は進んでいないということなのです。改善していると言っても目標値より改善されているか目標値を達成していないか、そこの観点が必要です。改善しているというのは策定値の値と比較するのではなく、予測値と比較して予測値を超えているか、そこまでいっていないか比較することで、そこが今後、対策の強化が必要か、あるいは今まで十分に進んでいるという評価ができるのではないか。このabcdではaの中にまだ不十分なものも隠れてしまいますし、bcは同じ悪いほうで進むので、改善が十分かどうかという評価ができたほうがいいのではないかと考えます。

○辻委員長 要するに改善してはいるけれども、このままのペースでは目標達成には至らないものもあるのではないかということですね。大変貴重な話だと思います。ありがとうございます。ほかに、どなたかありますか。

○近藤委員 右の見出しのことですが、今、アの指標の状況とイ、ウと3つしかないのですけれども、イをいろいろ頑張ると、アが動いてこのようになるはずだと。言うならばプロセスとアウトカムだと思いますが、それが達成できた場合も、できない場合も、なぜそれが達成できたのかという関連要因の分析と言いますか、ここに成功したからうまくいったのだろうとか、逆にこれが弱いからうまくいっていないのではないかとか、言うなら考察に当たる部分がどこに書かれるのかが、この見出しですと今一つ分からない。そこから今後、こういうことを強化すべきだという課題になるのでしょうが、何か要因分析と言いますか、そういう見出しがあってもいいのではないか。あるいは、イをそういうものを含む見出しふうに表現を変えたほうがいいのではないか。それが1点です。

 もう1つ、今後の課題の中に2種類あるような気がするのですが、1つは、どういう取組を強化すべきだという施策の中身そのものみたいなものと、もう1つは、専門委員会ですので、どのようなことを分析したり研究したり評価したりすべきかというのが、少し別の軸だということを明示してもいいのではないか。それを御提案したいと思います。次、第三次というのがあると信じているのですが、そのベースラインの値がないから目標も設定できないという論議が恐らくあると思います。そのベースラインの値を取ろうと思うと、この中間評価のときに、今後、こういう要因はとても大事で、既存のデータの中にはないので、第三次のスタートラインのときまでに、それを取るべきであるというものが、直ちに施策の中身づくりではなく、それを科学的にと言いますか、きっちりと裏付けを取りながらやっていくためには、今のうちから計画的にそういうデータを取るべきだというものもないと、いつまでたっても、今あるデータの範囲内でやりましょうということを繰り返してしまう気がするので、今後の課題の中に施策として強化すべきものと、科学的な裏付けを取るためにこの辺のデータの収集を始めるべきであるというメッセージは、専門委員会としてはあってもいいのではないかと感じます。

○辻委員長 ありがとうございます。私も第三次はあるのだろうと信じている者の1人ですが、一次のときも二次のときも私は関わりましたけれども、実際にこれが必要だと分かっていても、では具体的な指標やデータはあるのかという議論はかなりあって苦労したところがあります。ですから、正に先生がおっしゃるように第三次を踏まえてやっていくのは必要だと思います。資料25ページを御覧いただきたいのですが、今後取り組むべき課題についてとして、「実績値の評価、諸活動の評価を踏まえつつ」うんぬんと書いていて、その一番最後の文章です。「また、取り組むべき課題には、研究もその一つとして含めてはどうか」と書いています。正に先生がお考えのとおりのことを我々も考えて、こういった中で厚労科研になるのかもしれませんし、あるいはこういった中で議論を進めていくこともいいと思いますので、それも含めて今後ともよろしくお願いしたいと思います。ほかに、どなたかありますか。

○津下委員 先ほど確認し忘れたのですが、評価シートの例は鏡的と言いますか、国民に対して発信するサマリー的な内容であって、先ほどのご議論のように、深掘りするとか、より要因を考えるための必要なデータは精緻に組み立てていくという理解でよいですね。目標項目の評価だけを挙げても次の考察につなげるとか関連の取組を挙げるのは難しいと思います。例えば自殺にしても国全体の数字だけで良かった、悪かったではなく、性・年齢や地域の状況がどうなっているとか、どこは良くて、どこがうまく進んでいないとか、がんについても種類別にみていくとか。議論のたたき台になるデータの収集と考察をシートの一つ一つに付けていく。その鏡だと私は思っていたのですが、そういう認識でよろしいのでしょうか。

○辻委員長 全くそのとおりだと思います。この参考1というのはあくまでも最大公約数で、国民に分かりやすく示すものです。特に指標については、何が良かったからうまくいったのか。あるいは何がネックになって進んでいないのか。それに加えて関連した取組とか今後の課題をしっかりと深掘りして検討すべきではないかと思います。そのための中間評価です。ただ、このシートとか深掘りは、この委員会の先生方で作っていただきますので、そのような形でよろしくお願いいたします。

○曽根委員 この4つのシートを見ると、先ほどもありましたように有意、あるいは有意でないというものもありますけれども、改善しているもの、例えば参考2の所で自殺者については直近値が目標値を上回っている。でも、それをストレートに示して、では、もうやらなくていいという話になってしまうと、これは本来の趣旨から大きく外れてしまうので、そこの表し方をもう少し考えたほうがいいのではないかと思います。それから、例えば自殺率などは地域差がかなり大きいと思います。地域差がうまく表現できるような表し方も考えたほうがいいのではないかと感じました。

○辻委員長 ありがとうございます。横山先生、どうぞ。

○横山委員 先ほどの津下先生の話に関連してですが、参考1の評価シートが第一次に比べて、ここに示されているのはかなり簡略化されていますけれども、例えば今後の課題という欄が第一次のときは個別の指標ごとに付いていたと思います。これはあくまでも国民向けにこういうことを示すのであって、専門委員会の手元資料としてはもうちょっと細かい項目が入る。そういう理解でよろしいですね。ありがとうございます。

○辻委員長 先ほどの曽根先生のお話は非常に重要なもので、53項目の中で幾つか既に目標を達成しているものがあります。これは私個人の考えですが、これから先5年、さらに改善を目指して目標を新しく提案する仕事を、我々がすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。そういう感じでよろしいでしょうか。これまでのご意見をまとめますと、基本的には計画策定のときの値と直近の値を比べて、abcdで表現する。有意差検定と誤差範囲も示すというようなこと。それから、できるだけ見える化するということ。第一次から続いているものについては長期的な推移も見ていくということ。関連した取組や今後の課題について十分分析をして深掘りをしていく。そういったところではなかったかと思いますが、よろしいでしょうか。

○樋口委員 前の第一次の健康日本21の結果もそうでしたが、こういうふうなものが表に出ると、abcdだけが表に出て良かったということになりかねない。前もそうでしたが、先ほど曽根先生の話もありました。ですから、改善の指標のabcdの所で若尾先生が、改善はしているが、目標にまだ達していない類いのものがabcdのほかに何か入っていると、一見してすぐ分かるというのですが、これだけで終わってしまうと、それだけが独り歩きするという感じがあるのですが、その辺りはいかがですか。例えば、aの中に2つか3つぐらいあって、目標にまだ達していないとか、もう少し丁寧な表記の仕方があろってもいいのかなという気がしますが。

○辻委員長 a-1、目標に達成したというようなことですか。

○樋口委員 余り細かくなると大変ですが、改善しているだけだと、これだけが表に出てきて、例えば新聞の報道でも、これは良くなっているということで終わってしまう可能性がある。そういうふうなことをちょっと。

○辻委員長 了解しました。先ほど言い漏らしたのですが、ベースライン値と実績を比べるのはもちろんですが、そのペースでいくと、目標に達成するかどうかというところをしっかりと書いていく。目標達成の見込みが少なかったら、もっと注力すべきだというコメントもするということですね。よろしいですか。

○中村委員 第三次に向けての発言にもなるのですが、私が第二次の策定に関わって、第三次に向けての課題と考えているのは、一定の数値目標は立てていますが、その数値目標を達成するためのアクションプランについては、具体的にどういうことに取り組むか検討が十分でなかった点です。本来は数値目標達成のためのアクションプランがあって、それを達成することによって、目標が達成されるという構造で策定をすべきであったと思うのです。是非、第三次に向けてどこまでやれるか、いろいろ困難はあるかと思いますが、できればそういう方向で必要な対策についても見える化されたらいいかと思っております。

 この専門委員会で作業をすることはできないので、できれば関連する研究班でアクションプランを分野別に考えてみることを第三次に向けてやるべきではないかと思っております。例えば、たばこについては比、すでに研究班として成人の喫煙率12%減のためには、具体的にどういう対策が必要か、喫煙率をモニタリングしながら検討して研究班の報告書としてまとめております。ほかの分野ではエビデンスがなかったりということはあるかと思いますが、少なくとも国、自治体、関連する団体が、どういう取組をしたらこの目標が達成しそうであるということをもう一度整理して示していくべきではないか。

 そういうことで、今日御提案があった参考資料2の辺りも、そういった検討と併せて整理しながら見える化していくことで、評価もきちんとできるようになると思います。国民運動として、更に関連団体の協働が生まれるのではないかと思いましたので、参考までに申し上げます。

○辻委員長 参考2については後で議論します。先生のおっしゃるとおりで、目標値に到達するためのアクションプラン、戦略です。これをやることによって数値が下がるのではないか、上がるのではないかというところをきちんと出すことはとても大事だと思います。関連する研究班も含めて、一緒に議論できればと思います。どうもありがとうございました。

 次は資料22ページを御覧ください。下のほうに糖尿病の有病者数の予測値と現状値ということを事務局が作っております。もう既に出ていましたが、こういった形でできる範囲で、見える化できる指標については、このような現状値、目標値、予測値をできるだけ分かりやすく示すということで、事務局から提案を頂いております。これについてはいかがですか。これは議論の余地もなく、よしということでよろしいですよね。

 次に資料23ページ、諸活動の成果ということで、国、自治体、企業や団体の取組で特徴的なものを整理して評価を行う。国については、「以下のような」と書いていますが、このようなことについて、特に今回、健康格差の縮小とか、あるいは社会環境の整備といったところが、第二次の特徴的な取組になってくるわけです。それについて、諸活動の成果としてまとめて、さらに、参考2に、今回はメンタルヘルス、減塩、う蝕予防、あるいは多様な自治体が健康づくりに取り組むということで、幾つか例を出していただきましたが、こういった形で示していくことは、ある意味優良な事例を集めて、それを国全体に横展開していくことになりますので、このようなまとめ方がいいのではないかと思いますが、これについて、更にブラッシュアップするような御意見を頂ければと思いますが、いかがですか。

○山縣委員 こういうふうな分析は非常に大切だと思います。ただ一方で、良くなった所が何をやったのかという形になっているのですが、同じようなことをやっても良くなっていない所もあるかもしれない。要するに、アクションプランのときに、それがきちんとランできているのかとか、効果的にできているのかという辺りのことを結構みんな知りたくなっていて、何をすればいいか大分、分かってきたと思います。その辺りの分析も踏まえないと、なかなか自治体での取組が効率良くできないような気がします。

○中板委員 私も山縣先生のお話と同様で、取組例を出していただいているのですが、この取組のポイント、成果を上げたのならその要因まで示したものを取組として、提示して頂けるようにしたほうが、他の自治体にとって参考になると思います。どの地域でも同じように真似れば、成果がでるとは限りませんので、地域の実情に見合ったものとしての取組なのかも示して頂けるとよいと思いました。

○中村委員 諸活動の成果についての最初の所に、「特徴的なものを整理し」と書いてあるのですが、整理の仕方に関連しての提案です。第一次の最終評価を読ませていただくと、年次別に主な取組が整理してあるのですが、できれば分野別に整理をすることが必要です。

 さらに、その取組がどういう質の取組かについても整理できるとよいと思います。イギリス政府がナッジという健康行動を誘導する政策を検討するにあたって、報告書をまとめているのですが、そこにポピュレーション戦略を期待されるインパクト別に分類した「介入のはしご」というものが紹介されております。一番レベルの低いものは何もしないのですが、その次が教育啓発、その次に幾つかの内容からなるナッジ(健康行動を環境を変えて誘導する、インセンティブなどの政策)レベルの高いものは行動の選択の部分禁止や全面禁止のための規制です。教育啓発から規制まで、介入の効果が、一般には上になるほど高いと言われているものを分類して、どんな取組がされたか整理しておけば、ポピュレーションストラテジーに基づいた、どのような取組が国又は自治体、企業、関連団体で実施されたかということを見える化することができます。単に特徴的な取組と言っても主観的なことなので、このような考え方で取組を分類をすると、評価の際にも使えますし、全体としてどういう取組がされたのかを示すのにも分かりやすいかと考えました。

○津下委員 今の構造的に全体像を示して、その中で特徴的なものを示すということに私も賛成です。全体像を示さないで特徴的なものだけを示すと、結局、それを真似してやってみても結果が出なくて、捨てられるという形になってしまいます。成功事例は1つの事業だけが成功しているのではなく、基盤があって、過去の事業があって、更にその上乗せでそれをやったら成果が出たという構造になっていることが多く、そこだけまねしてもなかなか足腰が弱く、すぐ落ちてしまうことがあります。その指標を改善するための全体の構造の中で、特にPDCAを回す日常の業務がしっかり存在する上で、起爆剤的にこういうものをやってみたら、更に上のレベルになったみたいな示し方、たとえば対象者が広がったとかなど、足腰の強くなるような事例の紹介の仕方がいいかと感じています。

 もう1つは、今回、健康日本21で、今までは健康指標の格差については見てきたのですが、取組の格差にも注目すべきと思います。健診実施率、保健指導実施率などは明らかですが、やはり取組の格差の可視化もあるように思います、その辺りの視点も入れて、どういう取組がなされているのか、データの関連も考えていく必要があります。

 もう1つは、景気や政治の動向などいろいろな社会情勢の変化で、健康そのものや働き方、考え方などが変わると思います。健康指標の変化を全て取組によるものと解釈するのではなく、影響があった要因などについて客観的に記載しておく必要もあるかと思います。

○西村委員 こういった国、自治体、企業の取組を取り上げて、それを評価していくのは大変大切な試みだと思います。実はこういう取組の中で陽の当たっていない分野とか、あるいはこういった動きの中で十分に取り上げられていない分野があって、そのために結果として目標に届いていない分野があるのです。私が実際に関与しているCOPDの認知度の向上は、第二次で取り上げているにもかかわらず、民間の動きとしては大変あるのですが、実は政府の動き、あるいは省内の動きというのは大変乏しいと言わざるを得ないわけです。それ以外にもそういった分野がきっとあろうかと思うので、実際に取り組んだことの評価をするだけではなく、その中でどういった分野がカバーされていないか、あるいは取り組まれていないかということも、次の「今後取り組むべき課題」とも関係しているのですが、是非どこかで触れてほしいと思います。

○村山委員 私もこういった形で、取組の全体像を表現することは非常にいいと思います。分野別に取組の全体像を表現するとよいと思います。また、先ほど中村先生が、この取組の質を評価する必要があるのではないかとおっしゃったのですが、カバレッジというか、どのぐらいの広がりを持った取組になったのか、できるだけ定量的にどのぐらいの人をカバーできたのかということが見える化できると良いと

思いました。

 もう一点は、皆さんが気にしている因果関係をどう表現できるかというところです。これは全体が全体に関係しているので、なかなか11での因果関係は難しいと思います。1つはカバレッジ、あるいは取組の質の面での評価をすれば、全体としては少し見えてくると思います。また、部分的に、例えばこれまでの研究で、この取組はこういう効果が見られたとか研究も進んできていますので、そういった研究の整理も必要かと思います。

先ほど前半で言い忘れたのですが、今の話の取組と指標の間の関連をどう見るかという点は重要ですが、それと同時に、指標間の関係をどう表現するかというのも1つ課題かと思います。特に今回の循環器疾患に関しては、私が関連している栄養・食生活の分野等の生活習慣からリスクファクター、リスクファクターから疾患に対して効果があると予測して取組をおこなっているわけですが、本当にそれがどの程度進んできているのか確認していくというように、指標間の関係も見ていけるといいと思いました。

○辻委員長 どなたかいらっしゃいますか。

○中村委員 人によって取組の整理のイメージが違っているように思ったのですが。私が先ほど発言したのは、好事例のようなものを見つけてきて、それを分析評価して紹介していくということではありません。そういうことも必要だと思いますが、私が先ほどお話ししたのは、介入のはしごといった枠組みを使って、これまでの間に実施された政策を評価して整理してはどうかということで申し上げました。2つ取組の整理の仕方があるかと思いましたので発言しました。

○辻委員長 先生の2つ目というのは、イギリスでやっているような介入のはしごがあって、どのレベルかということを考えるのですか。

○中村委員 つまり、時代とともに、国レベルでどういう政策が行われたか。また、その政策がどういう内容の政策か。自治体とか、どこまでカバーするか分かりませんが、どちらかというと全国的な規模での政策の進展を整理するということです。

 もう一方、この間にそれぞれの団体で効果を上げた、成果を上げたと思われる取組の事例を一定の分析をして紹介する。その2つがあるかと思います。

○辻委員長 分かりました。国とか自治体がやっている政策を、何をどのように、どれぐらい浸透したかという辺りをきちんとまとめるということと、もう1つは、民間とか市町村がやっている事例をまとめるとか。

○中村委員 そうです。

○辻委員長 ありがとうございます。ほかにどなたかありますか。

○高野委員 小さいエリアの事例でいくつか成功しても、例えば都道府県レベルでみた場合に全体としては成功し得ないものもありますので、好事例を横展開する際に市町村レベルでの好事例を単純に紹介するだけではなく、その周囲にも展開できるような工夫を行えるために、地域特性や社会資源を含めた実効性のある分析を加えた活用できるアクションプランの例示も是非お願いしたいと思います。

○辻委員長 ありがとうございます。ほかにはどなたかいらっしゃいますか。

○曽根委員 細かいことですが、こういう形で見せる化するというのはとても大切だと思いますが、今おっしゃったようなことを盛り込んでいきますと、ものすごくビジーなスライドになって、結局何を言っているのか分からないことになりがちなので、その辺りは見せ方にも注意が必要かと思います。

○辻委員長 これは基本的には自治体の方とか、企業の方とか、健康づくりに関わるような専門職種の方とか、そういった方々を対象としたものと私も理解しております。分かりやすくて、力が出るようなもの。そうは言っても字数は限られてくるので、この裏に紙芝居のようにいろいろなものが、具体的なバックデータがあったりする。

○曽根委員 クリックすると関連の資料が出てくるなどの工夫もあると思います。

○辻委員長 どうもありがとうございます。ほかにどなたかありますか。

○横山委員 先ほど村山先生がおっしゃった指標間の関係の見せ方ですが、健康日本21の第二次では、各分野で図で指標間の上下関係がせっかくきれいに整理されているので、例えば定性的には、先ほどのabcdを図の中の各指標について書き込むとか、あるいは色分けしてみるとか、そういう形で整理してみると、全体像が見やすいのかと思います。

○北原委員 活動に関しての話ですが、非常にいい取組をたくさん例示していただくのはすごくいいことだと思いますが、津下先生がおっしゃったように、やはり、そこには基盤があるからこそ展開していくことができると思うのです。いい事例を一生懸命取り込もうとしても、そこに人的な基盤というか、専門職が適材適所していないとか、そういうこともあるのではないかと思います。自治体の人員がよく分からないですが、できていない理由がそこにはあるのだと思うので、できている所の特徴的なアクションだけではなく、こういう体制であるからこそできるとか、そういうこともないと、できない所がどんどん追いて行かれてしまうというか、やっぱりできないという感じになってしまうように思います。企業もそういうところがあると思いますので、是非その基盤の所も、何かお示しいただくようなことがあると、体制づくりから取り組めるのではないかと思います。

○津下委員 これは領域ごとの評価となっていますが、肥満・メタボは、循環器、糖尿病、がん、整形外科、歯周病にも関係します。あとは食生活や運動とも関係し、睡眠時も関係します。コアになる部分ともいってよく、そこへの対策の波及効果はいろいろあると思われます。ただ、肥満・メタボについては領域として独立しておらず、いろいろな所に分散した指標となっています。例えば日本ではメタボの認知度がなぜ高いのかという話をアメリカのCDCの方とディスカッションしたときに出てきた話ですが、日本でのとらえ方は metabolic syndromeという医学用語を超えてではなく、METABOとローマ字で書くくらいだ、という話になったのです。そのときに、これだけ認知度が高いのは単にキャンペーンによるものではないでしょうと。メタボの語呂がいいだけではなく、特定健診という制度に取り込まれて、毎年健診になるとお腹周りをチェックされる。健診の前に、お腹周りはどうかなと皆さんが意識するような、医学的な概念と制度とキャンペーンが結び付いたから認知度も上がって、一定の効果が出たのではないかと、外から見てそういう御指摘がありました。アメリカでも、もちろんメタボリックシンドロームという言葉はあるが、医療の言葉の中でとどまっている。その辺りの考察は、先ほどのCOPDとか、ロコモとか、いろいろ普及したい言葉を広げる方策の1つのヒントとなるかもしれませんので、そこは整理をしてみると面白いかという気がします。領域ということではなく、指標横断的なものとして一度整理してみるのはいかがかと思います。

○近藤委員 中村先生がおっしゃられたグッドプラクティスだけつまみ食いするようなものではなく、枠組みをつくって、どこが遅れているということも、グッドプラクティスが少なくて遅れているぞというのも見えるようにしたほうがいいというのは、是非やるべきだと伺って感じました。

 違う軸で、今ここで論議しているのは、どういう取組をしたのかという取組が、良くするためにやる政策、施策、その辺の話をしていると思います。実はこの健康日本21の素晴らしいところは、ちゃんと現状をアセスメントしたり、目標を設定したり、要因分析したり、その後、取り組んで、その後評価してというPDCAサイクルをすごくきれいに入れたことだと思います。

 そうすると、PDCAで言うと、プラン、あるいはDoのところの取組の話を今していると思いますが、それ以外のチェックをちゃんとやっているかどうかとか、現状の見える化を今までできていなかったのをどのように見えるようにしてきたとか、Do以外のところでどういう取組があったのかというのも、これは今後評価していくためにもやるべきではないかと感じました。

 例えば、国がこの間やっていることでも、これは高齢者の領域になりますが、見える化システムをつくって、今、徐々に整備して、今までは、そういうデータはなかったのですが、今年の秋からどの街に認知症リスクの人が多いか公表が始まるのです。その見える化システムの検討委員長をやっているので知っているのですが、そういうことが意外と知られていないものですから、見える化するフェーズの取組、要因分析のフェーズでの取組、更に評価をするための評価計画を立てないとデータは集まらないものですから、そういう面でのグッドプラクティスとか、この領域がそういうのが遅れているのではないですかとか、そういうことを中間評価の視点として入れていただきたいと思いました。

○辻委員長 この辺はよろしいですか。大体、中間評価の方法、特に活動の成果、課題をどのように抽出していくか、また見える化するようなポンチ絵の作り方、いろいろなところでいい御意見を頂きましたので、そういった形で進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。

 次に、この御検討では最後になります。今も大分出てきましたが、今後取り組むべき課題について、改めて御議論を頂きたいと思います。今後取り組むべき課題をどのように整理していくかということですが、1つは実績値を評価して、諸活動の評価を踏まえて抽出していくということが出てくると思います。どのように課題を整理していけばいいのかということについて、先生方から御意見を頂きたいと思います。

 もう1つは、最初の頃に、近藤先生からもお話を頂きましたが、課題対応のために必要と思われる研究があれば、そういったことについても御提案いただければ大変助かりますが、いかがですか。どなたかありますか。

○近藤委員 まず1つ思いついたことを忘れないうちに。先ほども御発言がありましたが、どういう取組をしたら成果が上がって、どういう取組をしたが駄目でしたという、残念ながら効果がありませんでしたというネガティブデータも溜めないと、本当に効果が出るための必要な要件は見えてこないと思います。

 今、臨床研究の登録システムというのがありますが、市町村がどんなことを頑張られて、意図したのですがパッとしなかった所と、うまくいった所の両方のデータが溜まる仕組みをいつかはつくらないと、いつまでたっても、何をやるとどれぐらいみたいな話が分からないまま、エビデンスレベルで一番低い専門家の意見だけで政策がつくられていくのを繰り返すのはしゃくだなという感じがします。

○山縣委員 ほとんど同じことを言おうと思ったのですが、そういう意味では、やはり、ストラクチャーやプロセスがきちんとどうなのかということを書くということだろうと思います。手前味噌ですが、「健やか親子21」では、当初から取組のデータベースをつくって、毎年、自治体が「健やか親子21」にどういう取組をしているのかということを入れています。市町村別に具体的にどういうプランを立て、実際にどういうことをやり、その狙いは何か。先ほどお話があったような評価をどういうふうにしているのか。その結果、今後課題をどういうふうに見て行っているかデータベースにしています。これは20数項目で、例えば市町村規模とか、子供の生まれる出生数で検索できて、例えば小さい市町村でも、同じような所がどの程度のことができて、どんな効果を上げているのか見ることができる。先ほどのいい取組というのは、結構高嶺の花のようなところがあります。そうではなくて、自分たちの身の丈のことがどの程度できるのかといったら、このようなデータベースというのは、先ほど近藤先生が言われたような蓄積そのものではないかと思います。以上です。

○津下委員 生活習慣病や加齢に伴う指標もいろいろあるわけですが、それに対する自治体の取組はいろいろな課が担当しています。健康日本21研究班で、とくに力を入れている取組について伺ったところ、衛生部門、保健センターが実施している事業だけを書いてくる所や、国保とコラボした事業や、もっと広がりを持った市全体での取組を意識して書かれくる所など様々です。健康日本21を考えるときに、部局横断的な取組とか、ほかの課との共通の目的を持つことが把握できているかということが気になります。本当はやっていないと言っても、ほかの課でちゃんとやっていて、問題が起こっていない地域もたくさんあるかと思います。部局横断的な健康日本21の推進ということが大事になってくるかというのが1つ思うことです。それをまたさらにプッシュできたらと思います。

2点目は、話は違いますが、メタボというのは腹囲という身近で分かりやすい指標が入り口です。体重測定は健康のバロメーターということがあるのですが、もう1つすごく身近な指標で、多くの人が意識しているのが身長ではないかと思います。加齢に伴って身長が縮んできます。もちろん子供の栄養状態や、途上国の栄養評価に体重より身長を使っているという話を聞いて、身長というのは非常に重要な指標だと思いました。

 ピーク身長から、何歳から身長が縮んできたのか。骨粗鬆症や関節障害などロコモの指標として新たに何か指標を取るのもいいのですが、身長の縮む具合とかはいかがでしょうか。BMIを計算するために身長を測定していますので国民に訴求力があるかもしれません。

○辻委員長 ありがとうございました。どなたかありますか。

○谷川委員 今、先生がおっしゃった、国民に訴求力など、新しい指標というのは、私たちのやっている分野でいびきというのがあるのですが、なかなかこれがいびきと言っても、皆さんはピンとこないのです。これは今、配っていただいたものの中に、睡眠による休養が十分に取れていない人の割合を減少させようというか、取れていない人をもっとよくしようというときに、1つにはこのように睡眠時間があります。睡眠というのは大きく分けて3つで、睡眠時間若しくは不眠、そして交代勤務、睡眠時の無呼吸、この3つだけでほぼ7割から8割はカバーはできるのですが、なかなかこのいびきに対しての取組がまだ進んでいない。

 実際に参考文献の中でも、4つ、5つ書いてあるのをよく見ますと、全部これは『JAMA』とか『New England Journal』の無呼吸に関する論文が引用されています。それに関しては、ほとんどまだできていない。実際、無呼吸自体がメタボを促進したりとか、実はもっと循環器疾患との関わりも深いのですが、なかなかこれはできない。ただ、そういう中で、非常に大きないびきだけでも、持っている人の割合を減らす。そのときには肥満の解消とか、運動とか、様々な所の取組がうまくいくと思います。

 もう1つは、睡眠が取れていないとグレリンが上がり、レプチンが下がる。しかも、知らないうちに慢性睡眠不足状態が続いている人に対して、運動しろと言っても無理ですから、そういう意味では、先生がおっしゃったような身長とともに新たな、かつそれほど難しくない指標を入れていくことに私は賛成です。

○吉村委員 今、津下先生が御紹介の身長に関しては、運動器の分野ではかなり前から注目している項目です。特に骨粗鬆症に関連する椎体骨折に関しては、「いつの間にか骨折」とか、今、テレビでなかなかいいネーミングだなと思うのですが、あれは一企業が広めようとやっているのですがいい名前だなと思っています。それで、年間2cm以上の身長低下がある場合は、椎体骨折のリスクが高いとか、あるいはピークから4cm以上の身長の低下は、今持っている骨折のリスクも高いし、将来の骨折のリスクも高いということです。エビデンスが幾つか出ているのですが、実際問題、身長の重要性について、市町村にそれほど広まっているかというと、やはりメタボ健診が入っていることもあって、体重と腹囲のほうに頭が行って、どうしても身長については、BMIを測るときに測っておくかという感じになっているのが事実です。

 ロコモ関係の指標の話をしますと、ロコモというのは名前が先行して、実際、何をもってロコモと判断するのか少しまだ曖昧な部分があります。それについて日本整形外科学会が、ロコモ度1、ロコモ度2という指標を2015年に発表して、今後、本当にそれが要介護に関連するのかというのを、今、エビデンスを出していこうとしているところです。この指標では認知度を広めるのが先行しておりますが、まず認知度で知っていただくのも大事ですが、エビデンスを取るために一応定義を作ったというところがロコモ分野の現状です。

○西村委員 私は、呼吸器内科の立場でこの会議に入っています。御存じのように健康日本21の第二次でCOPDの認知率のことを取り上げていただきました。もっと大切なのは、本来の目標である健康寿命の延伸という観点からすると、そのCOPDという病気だけが大事ではなくて肺の健康という観点が、極めて重要だと思うのです。御存じのように、今は肺炎が日本人の死因の第3位になっています。死因ということだけではなくて、肺炎になった後に、そのままベッド上の生活になってしまう方もたくさんいるわけです。

COPDということと、肺炎ということが極めて密接に結び付いているデータもたくさんあります。そういう意味で、認知率ということで非常に狭い範囲でCOPDの言葉さえ分かってもらえればいいということではなくて、むしろ高齢者の肺の健康という観点から、もっと取り上げていただくということで、国民的に肺が大事なのだ、呼吸器が大事で、それが健康寿命の延伸につながるのだという認識を伝えるためにも、もうちょっと広い観点で取り組んでいただけないかと思います。

○辻委員長 他にはいかがですか。近藤先生どうぞ。

○近藤委員 3点あります。1点目は、今回取組の例としてというのが、政府全体の動きと、省庁内、厚生労働省の中の動きなのです。他省庁がやっていることでも、役立ちそうなものが幾つかあるような気がするのです。健康日本21というのは企業も巻き込み、他部門も巻き込みと言っています。そんな例も先日、課長と御一緒した限りで言うと、スポーツ庁のスポーツのガイドラインの策定の話だとか、国土交通省が「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」を出していたり、そんな取組もあります。そちらはそちらでデータを取ったりしているでしょうから、そんなのも第三次ぐらいからは利用できるのではないかというのが1点です。

2点目は、今後の取り組むべき課題の中で、特に健康格差のほうでいくと、他の一生懸命やっている国では、「ヘルス・インパクト・アセスメント」というので、事前にどういう政策を打つと、どういうことが起きそうかというのを予測して、できるだけ健康被害を減らすような取組が、環境アセスメントと同じように、健康アセスメントで、タイでは憲法か何かにまで入れてあるという話も聞いています。今回は中間報告だと言われてしまいそうなのですけれども、第三次に入れられるように、そういう準備をしっかりとする、というのは是非書き込んでいただけないかと思います。

3点目は、この研究もその1つとあって大変心強いです。専門委員の皆さんであれば共感していただけると思うのです。いわゆる質の高いエビデンスを出すためには、どうしても横断ではなくて、追跡した研究が必要で、それがないと因果が論じられないというのがあります。厚労科研費も2年ものとか3年ものが多くて、縦断研究をやろうと思うと、本当に自転車操業なのです。全てのとは言いませんが、健康日本21に関わる根幹部分のようなものについては、せめて5年ものでも設定していただいて、少し息長く因果を解き明かせるようなものを設定していただけないだろうかと思います。

○辻委員長 他にどなたかおられますか。中村先生どうぞ。

○中村委員 今後の取り組むべき課題として、先ほど先走って申し上げましたが、研究班などでアクションプランの具体的な検討をしていただくということをお願いしたいと思います。そのアクションプランについて、実際国レベル又は自治体レベルだけではなくて、企業にもお願いしたいこととか、例えば保険者のほうも今はデータヘルス計画を立てていますから保険者向けにお願いしたいアクションプランを示すことが必要と思います。

 健康日本21というのは、臨床の人と話していてもほとんど知らない人が多いです。学会や医療団体として取り組んでいただきたいこともありますので、そういう組織や団体向けにどういうことをやってほしいかということも含めて、多様な団体と言いますか、それぞれの主体がこの健康日本21に参画するようにアクションプランを示しながら巻き込んでいくということが、今後は必要かと思いました。

 さらにモニタリングということでも、既に御意見がありました。特に自治体においては、国の仕組みというか、行政の仕組みを使ってモニタリングのシステムを構築できる可能性があります。そういう意味で、第三次、第四次と続いていくとすれば、評価のときにあわてて取組の状況を調査すると言っても限界がありますから、仕組みを作っておくことが重要と思いますので、先ほどの御意見に賛成です。

 参考までに以前いた職場で、大阪府と一緒になって、循環器疾患の予防対策が中心なのですけれども、5つの政策として、高血圧、糖尿病、たばこ、特定健診の受診率向上、特定保健指導の実施率向上という5つを取り上げました。その時点で効果が上がるという取組の要素を整理し、松竹梅ということで、介入密度別に最低限、標準、充実ということで、市町村の身の丈に合った形で取り組んでいただくことを示して、市町村等の職員の研修を行い、マニュアルも作って、リーフレットなども配りました。さらに年次ごとに、その取り組みの要素ごとにどのぐらい市町村が取り組んでいるかを実態把握をして、見える化をするという取組を行い、現在も続いています。

 この健康日本21はかなり幅が広いのですけれども、今後は市町村等の関係団体の取組を定期的に把握するような仕組みを構築していくことができれば、その中で都道府県とか、保健所レベルでも一定の指標が改善した市町村を好事例として、それぞれの地域で開催される研修会などでその事例発表をしてもらったりすることができます。

 全国的にも、同じようなことができます。モニタリング・システムをつくるだけで、市町村のほうも自分の所の遅れに気づくとか、自分の所がやってきたことに対しての達成感が出る。好事例の共有も容易になります。全国的な規模で仕組みをつくるのは、それぞれの主体のやる気を高め、また問題点に気付かせるということで、非常に良いのではないかと思います。

○津下委員 この健康日本21の第二次の冊子の144ページから146ページを見ていただきますと、143ページには定期的にモニタリングを行う目標、それから参考2として144ページには地方自治体が活用可能な指標ということで、第二次のスタートのときにも、モニタリングをしていかないといけない、中間評価や最終評価だけでは駄目だということで、こういう記述がなされていると理解しています。

 この項目に更にいろいろ新しく加えるものはないか、他省庁や様々なデータが活用可能になっているのかどうなのか、この表のブラッシュアップが必要かもしれません。それぞれのデータがバラバラに存在していますので、共通に健康日本21のプラットフォームとしてちゃんと確認できるようにすることが必要ではないかと思います。素材としてはできているのだけれども、なかなかこれはまだ十分に動ききれていない可能性があると思います。

2点目は、この中間評価を国がどのようにするかというのを待ちながら、県や市町村が中間評価や、時期が遅れて最終評価というところもあるかと思います。国の評価方法だけではなく、自治体が健康日本21を評価するときにどうしたらいいのかという指針になるようなメッセージを盛り込む必要があるのかと思います。

○辻委員長 他にはよろしいですか。樋口先生どうぞ。

○樋口委員 研究の中に、健康日本21の運動をしてきて、それによって得たインパクトの大きさみたいなものが分かりやすい指標みたいな形で出てくる。例えば、これで医療費が幾ら浮いたとか、あるいはそれで何人を救えたか、というような話が出て分かると、インパクトとして非常に大きいのではないかと思います。そんなことを考えました。

○辻委員長 温泉川先生どうぞ。

○温泉川委員 初めて日本医師会から参りました。私も初めてで、健康日本21について臨床医は余り知らないかもしれません。日本医師会としても、かかりつけ医ということで、なるべく大きい病気にならないようにという、そのための講習会をやっていますので、臨床医に対しても是非絶望せずに、温かい目で見守っていただきたいと思います。私も一応説明はしていただいたのですけれども、どういうことかなというので分からなかったので、一応報告はしておきます。よろしくお願いいたします。

○辻委員長 よろしいでしょうか。中板先生どうぞ。

○中板委員 評価について考えると研究的なのかも知れませんが、例えば検査データも含めて、RCTなどで説明されると説得力があり、納得しやすいのですが、今回の健康格差の縮小や、ソーシャルキャピタルの醸成や活用を考えたときに、健康リスクと疾患というダイレクトな影響ではないがために、なかなか評価しづらいと思います。自治体の特に保健衛生部門などは、その健康データはもちろんなのだけれども、健康を支えて守れるような環境をどのようにつくっていくかというところに気持ちは行きます。

 今回の第二次の目標にもあるような地域のつながりなどは、例えば健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合などと連動して成果につながるものです。しかしながら、住民の主体性が確認できてもそれが生活習慣の改善につながったのか、健康推進の改善につながったのかわからずもんもんとします。その評価の示し方を示していただくことが、保健活動をより活発にする一つの道すじだとも考えます。健康づくり関連では、事業化しにくい中で、地域の働きかけなどポピュレーションアプローチは本当に心意気でやっているようなところもあります。せめてプロセス評価などに地域のつながりが強化されることによって、例えば防犯力が上がるとか、防災力が上がるとか、そういうことにもつながることもよくあり、大事ではありますので何らかのプロセス評価例も示していただき、いわゆる健康なまちづくりにつながっていくことが伝わるように望みます。

○津下委員 先ほど温泉川先生からお話がありましたけれども、今進めています糖尿病性腎症の重症予防などは、かかりつけ医と連携して血糖のコントロールを良くしようとか、治療中断者を減らそうということです。これは、健康日本21の指標の、正にその中に入っていて、行政だけの取組では絶対にできない分野といえます。この分野は、保健と医療がうまく噛み合うことで達成できる指標で、ここの部分は医師会など、より医療に近い所と一緒にしっかり対策を練っていかなければいけないものと思います。一方では国民に広く伝えるというようなものもあり、それぞれの指標に関与できるキーパーソンが違うことを意識しなくてはならないと思います。

 医師会や専門医と連携を深めることで、一緒に健康日本21の目標を達成するパートナーとして位置付けて、協力要請していくということが大事かと思います。

○温泉川委員 会長の一番のキャッチフレーズは「国民の健康を守る日本医師会」というのがありますので、是非よろしくお願いいたします。

○瀧本委員 私どもの研究所で、健康日本21第二次分析評価事業というのを、厚生労働省の委託事業で実施しています。目標項目についても、現状値と目標値を対比させる形でホームページに載せています。本日は先生方から非常に貴重な御意見を頂いたので、もしまだ御覧になっておられない先生方がいらっしゃいましたら、是非御覧になっていただいて、ここをもっとこういうふうにすれば、国民に広く伝わるというような御意見を頂ければ、より充実したホームページやデータベースにしていくことができるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○辻委員長 大分時間が迫ってきましたので、道明先生で最後にさせていただきます。

○道明委員 薬剤師の立場で少し発言させていただきます。健康日本21の中で、国レベルの部分、そして都道府県レベルの部分、そして市町村の部分ということで、その中で横断的に連携が必要であると思います。薬剤師会としても行政と連携してたとえば、市町村と特定健診の啓発であるとか、また禁煙の指導であるとか、そのような形で薬局としてそのような運動に取り組んでおります。その指標の中できちんと見せていただいて、そこで重点的に取り組むところも見ていく。また薬剤師の職能を生かした取り組みとして、今までも循環器系疾患であるとか、糖尿病であるとか、自殺予防であるといったところに啓発のポスターを貼ったりして、色々な形で取り組んでいますので、今後もやっていきたいと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。まだ御意見はあろうかと思いますけれども、時間が大分迫ってきましたのでこれぐらいにいたします。要するに今回の中間評価というのは、単にその数字の羅列で達成したかしなかったかということだけではなくて、むしろ現場の方々、市町村の方々とか職場の方々、あるいは健康関連の方々が実際に手に取って、更に健康づくりを更に更に推進できるための参考になるような資料を作ろうということで、先生方から御意見を頂きました。このような形で進めていきたいと思います。実際の進め方について事務局から追加はありますか。

○有賀女性の健康推進室長 委員の皆様の御専門分野に関連する項目であるとか、領域について、今後一般評価作業を行っていただくことになります。事務局の担当者から、各委員の先生方に直接御連絡してやり取りをさせていただくことにしたいと思っております。

○辻委員長 本日は先生方から前向きな御意見を頂きましたので、その場になってそれは違うというようなことが絶対にないようによろしくお願いいたします。報告事項が3件ありますので、順番に事務局からお願いします。

○吉見たばこ対策専門官 喫煙の健康影響に関する検討会報告書について御説明させていただきます。資料3を御覧ください。喫煙と健康問題については、昭和61年及び平成5年、平成13年にも喫煙と健康問題に関する報告書、いわゆるたばこ白書と呼ばれますけれども、そういう形で取りまとめを行ってきています。その後、受動喫煙問題を含め、喫煙に関する新たな科学的知見が蓄積されるとともに、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約が平成17年に発効し、また第二期がん対策推進基本計画の策定(平成24)、そして本日お集まりいただいております健康日本21(第二次)が平成25年から開始しているなどの大きな社会的な状況の変化がありました。

 さらに2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、受動喫煙防止対策を強化する必要があり、喫煙の健康影響と、たばこ対策の重要性について、普及啓発を一層推進する必要が出てきましたので、昨年8月、喫煙の健康影響に関する検討会報告書を取りまとめております。

 今回の報告書の特徴ですけれども、アメリカの公衆衛生総監報告書の評価報告、これは国際的に著明な報告書ですけれども、その評価方法に準じ、日本人の喫煙と、各疾患の因果関係を4段階で判定していただいております。このような形で、日本人において、喫煙と健康に関しての科学的な判定を行っていただいたのは初めてのものです。

 この検討会の報告書をまとめるに当たって検討会を設置し、本日おいでの先生方の中にも御協力を頂いた先生がおられますけれども、このような形で御議論し、作成していただき、最終的には50名を超す先生方に御協力を頂いて600ページを超すような報告書として取りまとめております。Webに掲載しておりますので御覧いただければと思います。

 本日は4ページ以降に目次及び各章の要約を添付しております。目次を簡単に解説いたします。基本的に3章の構成になっています。第1章は、たばこ製品の現状。これは生産とか、流通とか、たばこの正とか負の経済とか世論について現状としてまとめていただいています。第2章はメインディッシュと言いますか主要なもので、健康影響について先ほどのように、日本人においてどうかということを、科学的に判定していただいたものです。第3章は、たばこ対策です。健康影響に基づいて、現在WHOで、国際条約(FCTC)がありますので、その対策の項目に添った形で、日本の対策を先生方に評価していただいているという構造になっています。5ページ以降に、各節レベルからのサマリーをまとめた各章の要約を載せておりますので、後ほど御覧いただければと思います。喫煙の健康影響に関する検討会報告書についての御報告は以上です。

 引き続いてアルコール健康障害対策基本計画について御報告いたします。資料4を御覧ください。平成2661日に、アルコール健康障害対策基本法が施行されています。その基本法に基づいて、去年の531日にアルコール健康障害対策基本計画が公表されております。そちらが図で示されておりますけれども、基本理念として、アルコール健康障害の発生・進行・再発の各段階での防止対策、そして当事者やその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むための支援というのが1つ。アルコール健康障害に関連して生ずる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に関する施策の有機的な連携への配慮ということを理念として、基本的な方向性については、正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり。健康日本21はこの辺りで生活習慣病のリスクを高める飲酒であるとか、お子さんとか妊婦さんの飲酒ということで、ここで絡んでまいります。

 第2点は、誰もが相談できる相談場所と、必要な支援につなげる相談支援体制づくり。第3点は、医療における質の向上と連携の促進。第4点は、アルコール依存症者が円滑に回復・社会復帰するための社会づくり。基本理念の下で、こういう基本的な方向性の下、計画の方向性を示していて、中ほどの下の基本的施策に10分野ほど各論的なところが示されていて、それを国の基本計画として示しております。都道府県においてはこの計画に基づいて、なるべく都道府県の計画を策定して進めていただくようにということになっているものです。

 裏面にアルコール健康障害対策基本法についての概要もあります。下のほうに書いてありますけれども、去年9月に内閣府より、「アルコール健康障害対策推進ガイドブック」という基本計画と、参考資料、事例などを簡単に紹介したもののハンドブックが公開されておりますので、もしよろしければ御覧いただければと思います。以上2点御報告させていただきました。

○辻委員長 引き続き資料5をお願いします。

○高田歯科口腔保健専門官 資料5について御説明いたします。資料説明に先立ち、基本的事項というのは唐突な感じもしますので、簡単に御説明いたします。歯・口腔の健康づくりを総合的に推進することを目指し、平成238月に歯科口腔保健の推進に関する法律が公布施行されております。この法律には、行政、専門職、国民などの責務を定めるとともに、これに関連して平成247月に歯科口腔保健に関する施策を推進していくための基本的事項を取りまとめました。

 この基本的事項には、歯科口腔保健の推進に関する基本方針又はう蝕とか、歯周病という具体的な疾患の罹患状況の目標。また、それらの目標を達成していくための行動目標。これらのものが盛り込まれています。また、この基本的事項には、健康日本21(第二次)の歯の健康についての目標が全て包含される形となっております。なお基本的事項は、平成24年に示されたと先ほど御説明いたしましたが、平成29年に中間評価、平成34年に最終評価ということで、健康日本21の第二次と同じスケジュールで進んでいます。

 これを踏まえて資料51枚目の1.検討の方法にあるとおり、歯科口腔保健の推進に関する専門委員会のほうで、具体的な議論は行わせていただきつつ、健康日本21の推進専門委員の先生からも御意見を頂戴しながら、健康日本21に示されております国民の健康づくりという大きな流れを見ながら、歯科口腔保健の中間評価も進めてまいりたいと考えております。

1枚めくって、具体的な今後の日程です。こちらは資料1に示した資料と類似しておりますので、併せて見ていただけると分かりやすいかと思います。歯科に特化して今回は御説明いたします。専門委員会のスケジュールとして、平成295月に第1回評価委員会を開くこととしております。中間評価に先立って、平成2810月に歯科疾患実態調査という全国調査をさせていただいております。この速報値を平成296月にまとめる予定としておりますので、これを踏まえて平成296月に実績評価を行うこととしております。平成2910月には、今後の方策、本日も御議論を頂いた内容にありましたが、次の5年をどうするのか、又は最終評価に向けてどうか。次の5年、最終評価に向けてどうするのか、また長期的に歯科口腔保健の推進についてどう取り組むのかというようなことについて御議論を頂く予定としております。

 最後になりますけれども、今年度内3月までを目途に、歯科口腔保健の推進に関する専門委員会の検討委員の委嘱についても事務を進める予定にしておりますので申し添えておきます。私からは以上です。

○辻委員長 それでは、この報告事項3件について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。若尾先生どうぞ。

○若尾委員 確認なのですが、最後の歯科口腔の部分と、健康日本21のデマケはどのようになるのですか。同じようなことがダブって動いているように聞こえてしまったのです。

○高田歯科口腔保健専門官 歯科口腔保健の専門委員会のほうで、具体的な到達度の評価などは行わせていただいて、部会のほうに報告をさせていただくという流れになります。それなので専門委員会のほうにも同様に報告をさせていただくような形になろうかと思います。具体的な議論は歯科の委員会のほうでさせていただきます。

○辻委員長 他にはいかがですか。曽根先生どうぞ。

○曽根委員 場違いかもしれませんけれども、たばことアルコールの話が出ましたのでうかがいます。先日、カジノの話に関連して、ギャンブル依存の話が出ました。自殺などと恐らく関係が深いのだろうと思うのです。その辺りを厚生労働省としてはどのような取組があるのか、それとも別の所で対応する話なのかを参考までにお聞かせいただけますか。

○吉見たばこ対策専門官 依存症対策として、アルコール対策もその枝のうちの1つに入ります。省内で全省的に体制を取って進めていこうというところの緒に就いたところです。これからアルコールも含めて、他の依存も含めて、恐らく障害部が中心になっていくかと思いますけれども、そういう中での対策を議論・検討していくことになっています。

○辻委員長 中村先生どうぞ。

○中村委員 喫煙の健康影響に関する検討会の報告書が10数年ぶりに改訂されて、最新のエビデンスに基づいて、喫煙と疾病の関係についての因果関係の強さも今回評価がなされました。報告書のサマリーを国民はもとより、保険医療関係者も含めて広く周知する必要があるかと思います。今回は残念ながら紙媒体として出版されないということで、ホームページでの公開という形になっています。検討会の中でも議論されていましたけれども、内容を分かりやすく国民向けに冊子としてまとめたり、自治体や企業等で啓発に使っていただけるように指導者向けにパワーポイントを配布することが必要と思います。これについては研究班でやるべき作業であれば、研究班でやることも検討できます。その後の厚生労働省の動き等も含めて教えてください。

○吉見たばこ対策専門官 検討会の際にも、是非分かりやすいものをという御指摘を頂いております。現在、がん対策の一環で国立がん研究センターのほうからいろいろな情報を出していただいております。この白書の基の案の作成にもがん研究センターには大変御尽力を頂きました。その流れで紙版と言いますか、本当にリーフレット的な形で、エッセンスが分かるようなものを御企画、御準備を頂いているところです。まとまり次第御相談できればと思います。

○樋口委員 アルコール健康障害対策基本法の基本計画に、私も深く関わらせていただきましたので、補足でちょっとだけお話をさせていただきます。たくさんの分野にわたって、いろいろな計画があります。一番大事なのは、資料4の表のページの上から2つ目に「基本計画で取り組むべき重点課題」というのがあります。この2つは5年間に達成しようということになっています。特に1番の飲酒に伴うリスクうんぬんがありますけれども、この中の5年間に達成すべき目標が、実は健康日本21(第二次)と同じ目標になっています。もしこの計画がスムーズに行くとすると、平成28年度から5年後ですから平成32年度に達成できなければいけないみたいな形になっています。できればそれが達成できるようにということで前に進めればいいと思います。

 もう1つは全くの要望なのですけれども、「課題」の右の一番最初に「アルコール健康障害への早期介入」というのがあります。この部分について一番の切り札の1つというのが、多量飲酒の方々に対する簡易介入という、簡単なカウンセリングによって飲酒量を減らすというようなものです。この計画では、研究をしてエビデンスを蓄積していくというようなところまでなのですが、エビデンスは諸外国ではかなり積み上げられていて、日本でもある程度ありますので、それから更に一歩進んで、実際にそれを広範に施行していくというようなレベルに行くことが望まれるので、是非厚生労働省のほうにも御協力を頂きたいと思います。

○辻委員長 西村委員どうぞ。

○西村委員 喫煙と健康に関する報告書を私は読んでいなくて、本日初めて見せていただきました。これを見て驚いたのは、因果関係に関してレベル1、レベル2という形で評価したのは大変適切だと思うのです。因果関係と、その構図、エフェクトというか、そのエフェクトの大きさというのは全く別です。それが書かれていないと、例えばレベル1で、糖尿病も喫煙がレベル1ですと、COPDでもレベル1ですと国民が読んだときに、同じような評価、同じような影響があるのかと思うと思うのです。実際にはその因果関係が確からしいということと、その因果関係の結果起こる影響がどのぐらい大きいかということは全く別です。その定量的な関係に全く触れていないので、読んだ方がこれはどのぐらい影響があるのかということが全く見えません。この辺に関しては、この場で発言すべきことかどうか分かりませんけれども、この報告書を読んだときに私は大変違和感があって、どうかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○吉見たばこ対策専門官 恐らくサージョンジェネラルとか、IRCなり国際的な総括報告の場合というのは、多くの場合同様の場合があるかと思うのです。まず、因果関係がどの程度要るかという判定が1つあります。特に、たばこと健康影響という形で、広範にわたるので、やはり主眼は因果関係の有る無しというところをメインにしております。本日お示しさせていただいたのは、本当に要約部分なので、御指摘のような個別の疾患に入っていくとそのリスクの大きさというか、例えばシステマティックレビューでメタアナリシスできるところは実際に出していただく、というようなところも記述する。しかも、そういうもののレビューのレビューみたいな形で、複数メタアナリシスがあって、これぐらいの数字だというような形とか。

 新たに日本人の研究でメタアナリシスしていただいて、数字を提供していただいたりと、そういうこともできる疾病ではやっていただいております。先生がおっしゃったように、疾病ごとに、例えば2倍を越すだとか、幾らだとか、そういうものもちゃんと記載はあります。ただ、この報告は全体を包括した総合的な報告書なので、主眼としてはまず因果関係の判断にさせていただきました。

○辻委員長 私自身、西村先生のような方が初めて御覧になったと聞いて大変ショックでした。中村先生もおっしゃっていましたけれども、まだ十分伝わっていないのかなというところがあります。特に今は受動喫煙防止が話題になっている御時世でもありますので、きちんと国民に分かりやすく、正確な情報を伝えることはとても大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。時間も迫ってきたので、これぐらいにしたいと思います。本日は、委員の皆様から積極的な御意見を頂きまして、中間報告の方法がかなりまとまってきたかと思います。どうもありがとうございます。最後に今後のスケジュールなどについて事務局からお願いします。

○原渕課長補佐 本日はありがとうございました。次回の専門委員会の開催日程については、資料には5月と書いてありますけれども、改めて日程調整の御連絡をさせていただきます。また、先ほどお願いをさせていただきました評価作業については、後日事務局より個別に御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○辻委員長 本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(健康日本21(第二次)推進専門委員会)> 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)(2017年2月17日)

ページの先頭へ戻る