ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第13回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2017年3月1日)




2017年3月1日 第13回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成29年3月1日(水)13時00分 ~ 14時30分


○場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール2A(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 原田啓一郎 河野雅行 清水恵一郎
高橋直人 幸野庄司 飯山幸雄 後藤邦正
中村聡 往田和章 小谷田作夫 竹下義樹(代理)
<事務局>
鈴木保険局長 濱谷審議官 城総務課長 矢田貝保険医療企画調査室長 他

○議題

療養費検討専門委員会におけるこれまでの議論・主な論点(案)

○議事

 13時00分 開会

○遠藤座長

 それでは、まだ定刻に若干時間がございますけれども、委員の皆様全員御着席でありますので、ただいまから第13回「社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 初めに、委員の出席状況について御報告をいたします。本日は、村岡専門委員、宮澤専門委員、糸数専門委員が御欠席でございます。

 また、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りしたいと思います。糸数専門委員の代理としまして、竹下参考人の御出席につきまして、御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 本日は「療養費検討専門委員会におけるこれまでの議論・主な論点(案)」について議題としたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局から資料の説明をお願いします。

○保険医療企画調査室長

 それでは、お手元のあ-1「療養費検討専門委員会におけるこれまでの議論・主な論点(案)」と、お手元のあ-2「これまでの議論を踏まえた主な論点(案)」について、まず御説明させていただきます。

 あ-1を1枚おめくりいただきまして、これは主な論点ごとに前々回までの意見と前回の意見を青字で加えているものでございます。

 前回の意見を簡単に御説明させていただきます。

 まず、論点といたしましては「総論」の「(1)柔道整復療養費との関係」ということで、それに関する意見を右欄に整理してございます。

 青字のところ、真ん中下段のところだけ簡単に御説明いたしますが、前回の御意見として、柔道整復療養費との関係でございますが、青字の1つ目の○で、療養費は保険者がやむを得ないと認めた場合に支払う、償還払いが原則。柔道整復は、過去、整形外科が少なかったという経緯等があって例外的に受領委任が入れられているが、指導監督が機能していない実態があり、不正の温床になっているという御意見。

 次に、過去の質問主意書の答弁書において、柔整においては、例外的に受領委任払いを入れたのだとしているのに、今、これをあん摩、はり・きゅう、マッサージに入れようとしているのは、閣議決定違反になるのではないかという御意見。

 一方で、一番下でございますが、柔道整復と全く同じ受領委任制度を導入してほしいと言っているわけではない。柔道整復とは患者さんの層が異なるとともに、医師の同意書の存在が不正な給付の抑制、適正化に寄与しているという御意見がございました。

 これらにつきましては、これまでの議論を踏まえた主な論点という形で、まずあ-1の左側に主な論点として赤字で書いている「柔道整復療養費と並行して、あはき療養費の不正対策についても検討・強化することについて、どう考えるか」というふうに書いてございますが、この主な論点内に赤字で書いているものをまとめましたものがあ-2の資料に2枚にまとめているという構成になってございます。

 以下、あ-1のほうに基づきまして御説明をさせていただきます。

 おめくりいただきまして、あ-1の2ページ目でございます。「(2)保険者機能の強化と厚生局による指導監督の必要性」という論点でございます。

 前回の御意見といたしましては、一番下の○で、市町村国保ではほとんどのところが代理受領を認めている。一方で、不正が社会問題となっているので、指導監督権限を強化していくべきというのが、保険者の中にもある意見。法律的にも明確にしていく必要があると考えるが、指導監督権限を強化してほしいという要望が強い中で、現実的な意見として受領委任というのも一つの方法との意見もある。受領委任を導入する場合にも、柔整と同様ということではなく、あはきについては新しい形での契約ということになるから、合意ができればより処分の内容をきつくすることも考えられるのではないか。いろいろ地域の中で実態は違うので、基本的には保険者の裁量のもとでということと思うが、現場の中にはこういった声もあるのが現状。

 また、おめくりいただきまして、次の3ページで、町村国保で、代理受領で支払いをしている実態がある中で、不正請求を改善していく手法については、指導監督権限を強化していく制度を設けて、代理受領ではできない部分を補うような形で、指導監督、罰則規定ということをあわせていけば、適切な請求につながっていくのではないかという御意見。

 一方で、被用者保険から後期高齢者の拠出金等を出しており、この問題は地域保険だけの問題ではない。

 指導監督について、柔道整復をみていると、手技がメインなので基本的に証拠が残らないから難しい。

 まずやるべきことは保険者がきちんと見てやること。健保組合は、償還払いにどんどん戻している。これをやっていくべき。これが療養費、健康保険法の精神を守ることという意見もございます。

 これについてのこれまでの議論を踏まえたものの論点といたしまして「不正対策について、まずは保険者機能の強化を図るべきという意見と、並行して地方厚生局による指導監督を行うべきという意見について、どう考えるか」というふうにしております。

 3ページで、論点の「(3)代理受領と受領委任」でございます。

 前回出た御意見といたしまして、3ページの真ん中あたりでございますが、代理受領でも、施術者しか代理受領を認めないという契約の仕方だってある。

 代理受領でも、契約の仕方で、受領委任と同じことができる。

 柔道整復師の行政処分、業務停止13件というのでは、不正の抑止力にならないという意見がございました。

 一方で、代理受領で請求代行業者の場合、不正請求が起きたときに、施術所に責任があるのか、請求代行業者に責任があるのか、責任の所在が曖昧で、指導監督等を入れることもできない。受領委任で、現に施術を行った施術所のみが請求を行えるという制度づくりと、指導監督を実施できる枠組みづくりなどをパッケージで考えるべき。

 受領委任は、施術者が請求代行をやっているのに対し、代理受領というのは患者からの依頼によって請求代行業者が動いているので、法律的には構造と位置づけが違う。

 代理受領は、患者に利便性があるが、受領委任と異なり、国や都道府県の指導監督がない。代理受領では、行政処分はできないなどの御意見がございます。

 論点といたしましては、左側の欄で「代理受領であっても保険者機能を強化することにより、保険者が施術者を直接指導監督する方が効果的であるという意見について、どう考えるか」「代理受領から受領委任となった場合、協定・契約によりルールが明文化されるとともに、請求者が施術所とされ、施術者に対する指導監督が行われることとなることについて、どう考えるか」としております。

 おめくりいただきまして、4ページ目で「(4)あはき療養費の不正対策」ということでまとめてございます。

 前回の御意見といたしましては、真ん中あたりでございますが、不正や療養費の増加を抑制するのは償還払いで保険者がきっちりと見ること。これが正しい理解。患者の利便性で考え方を変えるのであれば、法律を変える覚悟でやるべき。指導監督を入れる前に、保険者がしっかり見るべき。不正の温床となっている例外的な受領委任を制度化するというのは委員会の結論としては間違い。

 一方で、法改正をやっていくには時間がなく、不正をブロックするために、受領委任制度でやっていただきたい。

 不正請求を防ぐための仕組みを含んだ受領委任制度の議論をぜひお願いしたい。

 また、高齢者が増えてくると、治らない疾患をお持ちになる場合があり、治療というよりも、緩和やQOLを保っていくということとなる。医師と話をして、適切なときに評価をして、続けるか、続けないかということを現場でやることが大事。柔道整復、はり・きゅう、あん摩マッサージの患者は違うことも踏まえて、契約、処罰、管理など、システムを見直していかないと、議論ばかり続いて困るのは患者となる。

 また、過渡期の中で、地域でマンパワー、総力を使わなくてはいけない。過渡期を乗り切る中で、試行的なものをやりつつ評価していくということで、絶対に白か黒かでなくて、経過措置等を入れながらやる必要もあるのではないか。

 論点としましては「あはき療養費について、不正を減らし質の高い施術を確保するため、不正対策や指導監督の強化などの見直しを総合的に行うことについて、どう考えるか」としております。

 5ページ目からが「各論」という整理をしてございます。

 「(1)患者本人による請求内容の確認」についてでございます。

 論点としましては「架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認を徹底することとしてはどうか」。

 「(2)医師の同意・再同意」。

 論点としましては「虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、再同意のあり方を検討することとしてはどうか」。

 おめくりいただきまして、6ページの「(3)長期・頻回の施術」について。

 論点としましては「1年以上かつ月16回以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させ、疾病名と合わせてその結果を分析した上で施術回数の取扱いについて検討することとしてはどうか。

 「(4)往療」。

 論点としましては「往療料の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けることとしてはどうか」。

 「(5)療養費の審査体制」。

 論点としましては「審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとしてはどうか。審査のシステム化について、どう考えるか」。

 おめくりいただきまして、7ページ目で「各論」の「(6)地方厚生(支)局による指

導監督」

 論点としましては「受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか」。

 「(7)施術管理者の登録・要件強化」。

 論点としましては「受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務経験の要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか」。

 「(8)償還払いに戻せる仕組み」。

 論点としましては「受領委任制度を導入した場合、問題がある一部の患者について償還払いに戻す仕組みについて検討することとしてはどうか」。

 おめくりいただきまして、8ページの「各論」の「(9)償還払い・代理受領・受

領委任」ということでございます。

 前回出た御意見で(請求方法・不正の発生)の欄の一番下で、お金の流れがはっきり見えるような償還払いのほうが、不正は少なくなるのではないか。本人を通さない請求を認めるのは、穴のあいたバケツになるという御意見がございました。

 論点といたしましては、左の欄で「償還払いよりも、代理受領・受領委任の方が、架空請求や水増し請求が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか」「償還払いよりも、代理受領・受領委任の方が、給付費が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか」「償還払いよりも、代理受領・受領委任の方が、患者の利便性が高いとの指摘があることについて、どう考えるか」としてございます。

 最後の論点で「各論」の「(10)保険者の裁量」でございます。

 これにつきましては、参考資料にいつもつけていますが、4つの条件、償還払いが原則というもの。受領委任払いは、これを認めても弊害が生じる危険性が乏しく、認めるべき必要性・相当性があるなどの特別の事情がある場合に限って認められる特例的な措置である。受領委任払いは、不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見過ごす危険性が大きいということ。具体的にいかなる支給方法にするかについては、保険者の合理的裁量に委ねられているとございますが、これらを全てクリアしないと受領委任制度は導入することができない。あはきについて受領委任を入れても危険性がないという証明ができるのかという意見が前回ございました。

 論点としては、左側ですが「いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられていること、受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか」というふうに整理をしてございます。

 あ-2の資料につきましては「これまでの議論を踏まえた主な論点(案)」ということで、今、読み上げました左の欄の赤字のところを整理して、総論4つ、各論10個で整理している資料でございます。

 最後に、あ-3の資料について御説明させていただきたいと思いますが、これにつきましては、これまで使ってきた主な参考資料についてまとめているものでございますので、変わったところだけ御説明したいと思います。

 1ページの療養費の概要、2ページの療養費の推移は変わってございません。

 3ページのあん摩マッサージ指圧、4ページのはり・きゅうの、どのような年齢の方が受けているかというデータについても、これまでに出したとおりの資料を載せてございます。

 また、5ページ、6ページは「療養費の請求方法等の比較」ということで、受領委任、償還払い、代理受領の図を載せています。これについても変わってはございません。

 7ページ、療養費の保険者別カバー率の数字も変わってございません。

 今回、8ページについて時点修正をしてございます。

 前回の説明でも、まず全国健康保険協会、協会けんぽ様は100%が代理受領を実施されているということで、また後期高齢者広域連合も前回の参考資料の中で調べ直したところ、現在は全ての都道府県広域連合で代理受領をされているということでございました。

 国民健康保険につきましても、全ての市町村に再調査を2月時点ということでさせていただいた結果、これまで代理受領をしている国民健康保険の保険者は7割程度であったものが、現時点では92%の市町村国保が代理受領に応じている。一部応じているが1%、応じていないが6%でございます。

 また、健保組合につきましても、平成27年度の状況について調べましたところ、代理受領に応じているものが48%、一部が13%で、応じていないが40%というふうに数字が変わってございます。

 全体の保険者数で見た全体につきましても、代理受領に応じているのがこれまで6割程度でございましたが、保険者数でいいますと77%が応じているという結果になっているということが今回、直近の数字ということで御報告をさせていただきたいと思います。

 今のは保険者全体で代理受領にどれだけ応じているかということでございますが、10ページはこれを療養費に占める代理受領の取り扱い状況ということでまとめてございます。

 まず、円グラフはそれぞれの保険者の給付費に占める割合でやってございますが、例えばあん摩マッサージ指圧のほうでございますと、79%が後期高齢者の広域連合ということで、その全てが代理受領を認めていますので、ここは全て代理受領になっているということでございます。

 また、国保の給付費割合が全体の17%でございますが、これは単純に17%の国保のうち、代理受領に応じていない保険者が6%ございますので、掛けますと大体1.1%の国保が今、代理受領に応じていない。

 同じように、健保組合につきましては、給付費シェアは1%でございますが、その約4割が代理受領に応じていないということでございますので、それで大体0.5%。

 協会けんぽは、給付費シェアは3%で、全て代理受領に応じているということでございますので、あん摩マッサージ指圧、単純な推計によれば、代理受領に応じていないのは給付費のうちの2%程度ということになってございます。

 また、右側で、はり・きゅうのほうにつきましても同様に図示いたしますと、代理受領に応じていないのは全体の3%程度でございまして、残りの給付費でいえば9798%は現在、代理受領という方式で行われている結果になってございます。

11ページ、12ページで、後期広域連合の不正請求の状況については従前の資料を載せてございます。

13ページ、14ページの「不正請求があった場合の対応」であったり、償還払い・代理受領、受領委任の関係についての図も前回提出したものでございます。

 おめくりいただきまして、15ページ、16ページの「柔道整復療養費について地方厚生局が行っていること」、また「柔道整復師に対する指導・監査等の実施状況(厚生(支)局別)」の数字につきましても前回提出したものでございます。

17ページの柔道整復療養費についての柔整審査会、保険者等、地方厚生局への情報提供の流れということで、これは今回、柔道整復の専門委員会のほうで指導監督の迅速化ということで提出して、御了解を得られている資料を参考までに載せているものでございます。

 最終の18ページの資料につきましても、先ほどあ-1の最後の欄で読み上げましたが、過去の判例を踏まえて、あはき療養費に受領委任制度を導入するには、その対応について検討が必要ということで4つの項目を掲げているというものでございます。

 事務局から提出資料の説明は以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 次に、本日御欠席されておられます村岡専門委員及び宮澤専門委員からも資料が提出されておりますので、事務局から紹介をお願いしたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 それでは、お手元の、まず村岡専門委員からの提出資料についてでございますが、読み上げさせていただきます。

 「これまでの議論・主な論点(案)に対する意見」

1 不正対策の強化等について

 マル1 療養費の支給といっても、柔道整復療養費とあはき療養費には、医師の同意などその手続きには違いがあり、あはきにはあはきでできる対策を速やかに導入していくべきと考える。

      特に、患者本人による請求内容の確認

      請求書様式の統一と往療実施場所の記載の追加等(施術者名の記載も必要と考える)

 マル2 あはき療養費の給付対象者には、高齢者が多く、疾病状況から長期頻回の施術が課題となってきている。現在の医師の同意書は、施術の内容を担保するものではないことから、特に施術の内容が、療養費支給の主旨である健康の回復を目的とするものか、療養の維持を目的とするものか等が曖昧で判断に迷う事例もあり、口頭同意ではなく医師の再同意のあり方も、見直しが必要であると考える。

     例えば、

      ・初検月から1年を超える割合が50%以上と高いことから、一定の期間を設けその期間を経過する度に再同意を求めることなど

       ※保険料や公費を投入し療養費として支払う以上、被保険者に対しその程度の負担を求めたとしても理解は得られるのではないか。

      ・同意書の内容に、施術目的や施術内容を記載すること。

      ・かかりつけの主治医の同意書を基本とすること。かかりつけの主治医でない場合は、保険者判断においてかかりつけの主治医の再同意を求めることも可能にすること、など

      ・意見書を書く主治医への教育・啓発の必要性-安易な同意も見受けられる。

      ・施術録の記載など、施術内容、往療の実態が把握できる諸記録の作成の義務化

 マル3 往療料の不正対策については、新聞報道にあるような複数の保険者にまたがる往療料の重複請求は、いくら保険者機能を強化しても是正することはできない。そのため、電子レセプト化などにより、保険者を超えた審査ができる仕組みを構築すべき。

    ・そもそも、あはき療養費の中に占める往療料の割合が高いことが不正の温床となっていることから、施術料よりも往療料が多い現状の見直し、施術料と往療料の包括化などを検討すべき。

 マル4 審査会については、審査手数料の問題など、費用対効果を充分に検討したうえで判断すべきと考える。

2 指導監督権限について

 あはきの不正問題が社会問題化している中で、あはき療養費に関して国や都道府県、保険者のどの機関にも施術所に対する指導監督権限が無い事は、極めて異常な事態と考える。何らかの方法で、速やかに指導監督権限を付与する仕組みを導入すべきである。

 法律改正により指導監督権限を明確に付与することが望ましいが、その際には、柔道整復療養費との関係や現物給付化の検討なども必要となると思われ、解決すべき課題も多く早急な対応は困難と思われる。

 一方、あはき療養費の約4分の1を占める市町村国保保険者の中には、指導監督権限強化のために受領委任制度の導入を求める声も相当程度あることから、受領委任制度を導入することも不正対策を強化する一つの方法と考える。

 ただし、導入にあたっては、

 マル1 前述のような不正対策の強化等が確実に行われること。

 マル2 市町村国保保険者や後期高齢者広域連合には、導入の意見がある一方、償還払いしか認めないなど、導入には反対の保険者もあることから、療養費の支給が、保険者の合理的な裁量に委ねられていることを踏まえ、同意が得られる保険者から実施されること。

 マル3 あはきについては、柔道整復とは違い、療養費の請求割合が低いと思われることから、不正請求が認められた場合には、施術所に対しては、より実効性のあるペナルティ(行政処分)が課せられる仕組みを構築すべき。

 などの対応が求められる。

 以上、これらの総合的な不正対策の実施や柔道整復療養費で検討がすすめられている各厚生支局による指導・監査を強化することと合わせ、あはき療養費についても受領委任制度を導入していくことが必要と考える。

 次に、宮澤専門委員からの提出資料について、同様に読み上げたいと思います。

 「『あはき療養費』における不正対策の強化について」

1.不正請求の現状と対策の強化について

 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費において不正請求が発生していることは事実であり、本町においても不正や不正が疑われる事例は見られる。

 特に、あん摩マッサージ指圧については往療料の不正が疑われる事例が多く、実際に、不正が疑われる事例について被保険者に問い合わせ、確認を行う場合がある。

 このように、保険者が不正請求を見逃さないようにすることは重要だが、一方で、そもそも不正請求の起こりにくい仕組みにすることも必要である。

 その際、本検討会の論点として挙げられている下記の項目については、有効であると考えられる。

 ・現状では、架空請求等が医療費通知等により、のちに発覚することもあるが、患者本人による請求内容の確認・署名を行うことで、架空請求・水増し請求を未然に防ぐことつながると思われる。

 ・現状でも、医師の同意の仕組みが一定の抑止力として機能しており、定期的に患者の状態を医師が確認し、再同意を行うことで、虚偽理由による保険請求に対し、より強固な抑止力として機能することが期待できる。

 ・往療については、支給申請書に同一建物往療であることと日付がわかるような欄を設けることだけでなく、施術料よりも往療料が高いことなどについても整理を行うことが必要ではないか。

2.指導監督権限の強化について

 現行では、不正が発覚した場合に、返還金を請求する以外に罰則を課すような仕組みが設けられておらず、実質的に、一部の不正を行っている施術者が不正請求を繰り返すことのできる環境となってしまっている。

 そうしたことから、上記のような予防面での不正対策とあわせて、統一的に指導・監督を行い、罰則を課せる仕組みを設ける必要があると思われる。

 その際には、受領委任制度を導入し、地方厚生(支)局による指導・監督の仕組みや、受領委任協定・契約に基づく施術所・施術管理者の登録の仕組みを設けることも、1つの有効な手段となり得る。

 不正請求の実態や対策の現状からも、他の不正対策と併せて受領委任制度の導入による指導・監督の強化などに総合的に取り組むことが必要である。

 一方で、現在、償還払いを実施している保険者も一定数存在することから、受領委任制度を導入する場合には、保険者の裁量を十分考慮することが必要だと思われる。

 村岡専門委員、宮澤専門委員からの提出資料は以上でございます。

遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 それでは、ただいまの事務局から説明のあったことにつきまして、御意見、御質問等あればいただければと思います。いかがでございましょうか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 中村です。

 この委員会も今回で13回目ということで、そもそも、あはき療養費がこのままの現状の状況でいいのかという問題提起がされて、ここに至っているなと考えます。あはきの不正についても、新聞報道もあり、不正があっても行政処分の対象になっていない現状を放置することが国民の理解を得られないのではないかと私も思っています。国民の利便性も確保しつつ、適正化の仕組みをつくり、早急に行う必要がやはりあるのかなと考えています。

 償還払いの原則とはいえ、現状の支払いというものは各保険者さんが合理的な判断のもとで代理受領を行っているわけですが、きょうの資料を見させていただきますと、7ページ目と8ページ目の資料です。これを見ますと、8割近くの保険者さん、または9割以上のお金が代理受領によってなされているのが現状なわけですので、今後の超高齢化になった我が国が今後ふえる在宅医療をどう支えていくのかということでは、清水先生からも御意見をいただきましたけれども、あはきのニーズはふえていくのかなと思っています。

 例えばはりでいいますと、慢性的疼痛が療養費の主な支払い理由でございますので、やはり痛みがあって、日常生活動作が鈍り、自宅から出ていくことが阻まれていく。それで、お医者様方はお薬を使ってくださいますけれども、そこだけで治るとよろしいのですが、胃腸障害があったり、肝機能が上がっているとお薬を控えたい。それでは、はり・きゅうはという場合もあるのではないかなと思っているのです。

 また、マッサージにつきましても、寝たきりのところを考えますと、単にあん摩をやるのだというのではないのです。私どもは研修によって機能向上するのだと。または、マッサージ師は機能訓練指導医でもあるわけですから、そういう意味においてはやはり起こしていく、立たせていくということを行っているわけですから、そういうところで療養費を使うことになるのですけれども、そういう中では、現状ではルールがなくて、こういう不正請求事件などが起こってしまう、勘違い請求が起こってしまうわけですから、やはりルールづくりというものは必要なのかなと考えておりますので、どうぞ御審議いただきたいなと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、往田専門委員、どうぞ。

往田専門委員

 きょうの資料の中の各論について、幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。

 各論の中の「(2)医師の同意・再同意」についてでございます。さきの委員会でも公益代表の先生から、同意医師に対しての報告であるとか、そういうやりとりを徹底していくということも必要で、それのツールとして同意書を再同意に当たって書面でとるのもという御意見がありました。当然、私も在宅で仕事をしておりますので、現在でも施術においては施術計画を立案して、報告についても同意医師に行っておりますので、これは当然、どの施術者も今後行っていくべきことだと思っております。

 まず、同意書のあり方についてですけれども、同意書はいわゆる訪問看護等の指示書や処方箋等と違い、施術者に対してではなくて患者に対して交付されるという制度建てになっております。ですので、さきの委員会の中でも事務方からも御説明がありましたけれども、国会答弁においても、患者の利便性を考慮するべきだということで口頭再同意が認められている。

 今後、この同意のあり方に関しては、現在のように同意が患者さんに行われるということが引き続き望ましいのか、それとも、施術者に対して行われるのが望ましいのかといったことも踏まえて、引き続き議論をしていくべきではないかと思います。

 また、現行、患者さんに対して与えられる同意ということでございますので、再同意に際しては書面で取得することについては、この委員会の場では出席はされておりませんけれども、実際に施術を受けていらっしゃる患者さんの意見等も参考にしながら議論していくべきではないかと思っております。

 2番目に、同一建物の往療の件、(4)の件です。施術した記載欄の新しい様式欄が厚生労働省から出されておりますけれども、現在、いわゆる同一建物。これは恐らく有料老人ホーム等の施設を念頭に置いたお話だと思いますが、ここには例えば東京都による有料老人ホームにも、例えば神奈川県や千葉県、埼玉県といったところの保険証を持たれている方が入所している。それで、意図的に不正をされる方は、この保険証の発行されている、例えば都道府県が異なることを十分理解した上で、それぞれの患者さんから本来算定できない往療料を算定しているということが問題の本質でございます。きょう欠席されている委員の方のペーパーの中にもそういう記載があったかと思います。

 今回の支給申請書案では、こういうふうに制度をわかっていて、確信犯的に往療料を過剰に算定する施術者ないしは請求代行業者に関してはほぼ、これを抑止する効果が期待できない。もともとわかっていてやっているわけですから、欄を設けても記入しないということが当然予想される。一方、適切に、今までも施設に往療に行っていながら、1人の患者様からのみ往療料を算定している。適切にやっている施術者に関しては事務的な負担が非常にふえるばかりでなく、先ほどの、前の委員会でも申し上げたとおり、その専用の欄を設けることでそれぞれの欄が小さくなって、特に視覚障害者、弱者の先生方にとっては非常に記入が困難になるというデメリットのほうが大きいのかなと思っております。

 往療場所の記載に関しては、これは新たに欄を設けるということではなくて、摘要欄に記載させることをもってそのかわりにするであるとか、同一建物内で往療料を算定しているかどうかということに関しては、これはやはり保険者さんごとの壁を越える統一的な制度の中での罰則や指導の制度づくりが必要である。

 また、本会、かねてから意見を出させていただいておりますけれども、ひいては往療ないしは訪問の施術に特化した新たな訪問施術料といった料金体系の再構築みたいなこともあわせて議論をしていくべきではないかと思っておりますので、今回のこの記載欄を新たに設けるということに関しては慎重に議論を進めていっていただければと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 何点かあります。

 意見書を提出されたお2人の方々の話にも出てきますけれども、別に受領委任の話だけではなくて、療養費としてのあはきの話になりますが、医師の同意書の問題ですが、今の同意書はすごく簡単で、マルをつければいいみたいな話なのですけれども、村岡専門委員の御意見で、かかりつけ医の主治医の同意書という、全然関係ない人ではなくて、ふだん診ている方ということです。これは当然だと思います。

 もう一つは、やはり私どもの目から見ていて、専門性の担保が欲しいのです。医者だというだけではなくて、あはきの同意書で、例えば皮膚科とか眼科とかに持ってこられてもしようがないわけです。眼科はもしかしたら何かあるかもしれませんが、皮膚科などは考えられませんけれども、一種の専門性の担保、診療領域の専門性の担保はちゃんとしてほしい。全然関係ない診療科のお医者さんの同意書を持ってこられても、我々としてはやはり納得はできないと思います。これが1つ。

 それから、療養費としては償還払いであれば保険者としてもチェックはできるかと思いますけれども、仮にということですが、お二人は受領委任に賛成されていますから仮にという議論を言わせていただければ、医学的に本当にそういうものが必要かどうかというのは問題があるのだと思いまして、やはりどこかで過剰な給付についての歯止め措置を入れていただかないと、とても安心してこういうものは導入できないと思います。

 私はこれまで、別に受領委任を入れなくても代理受領契約の、今、明示的な契約書はありませんけれども、明示的な契約方式を導入して同じようなことをやれるのではないかと申し上げてきましたが、もしそういう一つの利便性を考えるようなものであれば、その利便性にのって過剰なことが行われないような措置をちゃんとしないと、結局はずるずる行ってしまって、今回のものは月16回とかと言っていますけれども、16回は私は多いのではないかと思いますが、もうちょっときちっと、根っこの償還払いを別に制限しない以上、こういう利便性を考えるのだったら、簡易にするということは、逆に言えば過剰給付を避けていただくということで、もう一つ入れていただきたい。これが2番目です。

 3つ目は、前回、柔整のほうで申し上げましたが、柔整のほうは見ていると、柔整師法で広告規制をやっていて、広告でのいろんな問題は全て医療行政の方に行ってしまうのですけれども、今の柔整の受領委任でも広告規制をやろうと思えばできるのではないでしょうか。例えば前回言いましたように、施術録は柔整師法には何も規制はないのですが、受領委任の協定では施術録をきっちり書くようにという規制が入っているわけです。

 あん摩、はり・きゅうのほうも、あはき法には広告規制の話は入っていますけれども、いずれ、そのようにやるのであればということですが、私どもは別に賛成してはいませんが、賛成している方々の話でつけさせていただければ、広告規制もむしろそういうもので、あはき法とは別の体系できちっとやるべきではないか。そうすれば、今度は厚生局のほうの認定で広告規制によっていろんな処分ができる格好になりますから、それはちょっと考えていただきたい。そういうことです。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 今の御意見なのですが、回数につきましては、やはり私どももその16回という、16回以上を超えたら、なぜ、それが必要なのか。または、それ以下についても、やはり私たちもデータ蓄積しながら、適正回数はどれぐらいなのか、どういう技術を持てばそれができるのかというのは検証していかなくてはならないというのは私どもも理解していますから、その辺については今後じっくりと詰めていけるのかなと思っています。

 それから、医師の専門性のことについてお話をされていますけれども、これについては、私、1つの専門医にお願いするだけというのはちょっと怖いなと思っています。私、過疎地にかかわることがありまして、過疎地に行きますと、お医者様というものは本当に忙しくて、全ての科のことを総合的に理解して、これは本当におかしいなと思いますと、基本的にその専門医に送っていらっしゃるのをよく見かけます。

 通常、町の中においても、多くのホームドクターはそこで生活されている方の全体像を把握されながらお話をし、これは本当におかしいぞと思われたら、その専門医に送っているわけですので、では、はり・きゅうですと痛みになりますから、痛みであるならば、では、その専門は誰なのかというところに限定されるということは、私はおかしくて、はり・きゅうにかかわる慢性疼痛の場合は、主治医、一般的な医師は全ての医療の全体像が見えた上で診療されているわけですので、そういう方でもいいのかなと考えています。

○遠藤座長

 ほかに何かございますか。

 往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 次は、総論の部分についての意見でございます。

 前回の委員会で、私は柔道整復と全く同じ受領委任の制度を求めているわけではなくて、あはきはあはきの独自の制度建てが重要ではないかという意見を申し述べております。その中で、私どもを含めて施術者4団体の中の制度づくりの意見として、あはきについての受領委任に関しては、柔整と異なって、施術所の、受領委任の指定の更新制を導入していただきたいと考えております。

 一定期間ごとに、柔整の場合ですと、今、1回指定を受けるとずっと指定が継続されるわけですけれども、あはきに関しては一定期間ごとに指定の更新を導入して、その更新に際しては更新研修の受講を義務化するということで、それ以外にも一定期間ごとに、柔整でも行われていますけれども、集団指導等を通じて療養費の取り扱いの適正な情報提供であるとか、資質向上のための研修も組み込んだ上で、やはり地域医療の中でマンパワーとして十分に力を発揮できるような、資質向上も含めた研修の受講等々を義務化していくことで、柔整とは異なった受領委任の制度をつくっていきたいと考えておりますので、これは私ども4団体の意見ということで申し述べさせていただきました。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 今の部分、細かく具体的にこんなことをやりたいというのが4団体で考えていることなのです。先ほどから、市町村の保険者さんから意見書が出ておりましたし、いろいろな適正化が必要とされているわけで、受領委任制度導入に際しては適正化もあわせて行うべきという方向性について、同じ方向は私どもも向いているわけです。ただ、具体的にどのような規制を行うかなどについて、具体策を検討する際にはぜひ現場の実態も踏まえてよく意見交換させていただいた上で、効果的な適正化になるよう調整していただきたいなと思っています。

 私どもとしても、この適正化というものは単に回数の問題だけではなくて、実際に私どもあはき師がその中で何を行うのかということも非常に大事なのではないかなと思っています。先ほどお話ししましたように、ADLが下がり、機能が低下し、在宅生活が守れなくなるといけないわけです。ですから、そこに保養的な要素の技術が入ることなく医療としてなされる技術を提供しなければなりませんので、そういう意味では今、往田専門委員から出ました研修というものは非常に大事だなと思っておりますので、これはお医者様方と連携しながら、また御指導いただきながら進めたい話だなと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 ここで今、総論のところで言いますと、保険者機能の強化と厚生局による指導・監査の必要性についてなのですけれども、保険者が施術者を直接、指導監督する方法が効果的という意見もありましたが、現実問題として各保険者が指導監督できるのかという点は、今までのお話を聞いていてもなかなか難しいのかなと。そして、難しいよというお話をいただいた方が90%を占めている実態があるなと私は感じています。

 公の場で厚生局が個別指導監督、ペナルティーを科する仕組みはやはり加えたほうが、それぞれの担当者がいろいろな角度から監視していくことが効果的な適正化につながるのかなと私は思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 御質問でも結構ですし、何かあれば。

 では、中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 前回、前々回、ちょうど、後藤専門委員がおいでにならなかったときに、私、後期高齢の要望書を実はその場で、こんな要望が出ているという発言をさせてもらいまして、その中を見ますと、やはり国なり県なりの指導・監査が必要でしょうということで要望が出されていたように思うのですが、これは委員会でそのようなことが出たということでよろしいのでしょうか。後藤専門委員にお伺いしたいなと思っています。

○遠藤座長

 後藤専門委員、どうぞ。

○後藤専門委員

 あはきを利用する被保険者を多く抱える広域に属する者の一人として申し上げるのですが、これは総論に関連してなのですが、あはきの療養費に受領委任を導入することについては、論点にあったように、柔整の療養費に不正がある。そういう中で同様の制度とすることがいいのであろうかということと、地方厚生局による指導監督が実効性のあるものとして行われるかなどの懸念が言われているところです。

 一方で、広域連合では代理受領を認めている現状がございまして、そういった中でも不正請求がある中で、広域連合を初めとしたそれぞれの保険者さんの取り組みとあわせて、国や都道府県に指導監督権限を付与すること。さらに、受領委任の協定・契約によってさまざまなルールを明文化することで不正対策の強化の一つの方策とすることができるものと考えています。

 その場合でも、前々回の繰り返しになりますが、他の不正の対策、すなわち、この間出ておりますような医師の同意ですとか、再同意のあり方や往療の不正の対策、それから、支給申請書の様式統一や見直しなど、制度の中で曖昧といっていいものに対して明確化を図り、不正を減らしていくことを並行して行う必要を感じているところです。

 先ほど意見書の発表の中にもありました、そもそも不正請求の起こりにくい仕組み。往田専門委員の更新制もそうかもしれないなと感じたところなのでございますが、そういった仕組みを構築し、給付の適正化につながるものとすることができるのであれば、導入は検討に値するものと考えているところであります。また、地方厚生局等にしっかりした指導監督を行っていただくことは当然お願いしたいところでございます。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに何か御意見はございますか。

 それでは、小谷田専門委員、どうぞ。

○小谷田専門委員

 小谷田です。

 事務局のほうからも出されていますけれども、4ページですが、あはき療養費について、不正を減らすのは当然ですが、質の高い施術を確保するため、不正対策や指導監督の強化などの見直しを総合的に行う必要があるということでいろいろ、先ほども往田専門委員のほうから更新制のことなども述べられましたけれども、私たちは患者さんに対して常に良質な施術を提供することによって、患者さんの大変な苦痛を和らげて、心身両面にわたる機能を維持、回復、そして向上させることでなければならないと思います。

 このためには、単に不正、不適切な対策というだけではなくて、私たちがみずから良質な施術者をふやして、できれば医療費削減に貢献できるような医療でなければならないと思っております。中村専門委員からも申されましたけれども、健康寿命を延ばして、薬だけでなく、介護保険費も削減ができるようなシステムを我々はつくっていくことが必要であると思います。

 一方、営利を目的とした請求代行業者による代理受領では、我々の望んでいる良質な施術の指導監督ができないような状況にあると思います。つまり、私たちは常に良質な施術者をふやして、今後の医療費削減にできれば大きく貢献していきたいと思っております。そういった中で、我々独自の団体、4団体として指導監督を強化して、質のよい施術者をふやし、できれば指定更新制をぜひ進めていく必要があると思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 それでは、飯山専門委員、どうぞ。

○飯山専門委員

 国民健康保険中央会の飯山でございます。

 まず、私どもの立場を申し上げますと、国保中央会は都道府県に設置されている国民健康保険団体連合会を会員として成立している組織であります。また、国民健康保険団体連合会は市町村の国保保険者を基盤にしてつくっている。また、後期高齢者医療の診療費の審査をお受けしている。そういう団体であります。したがいまして、先ほど来、市町村を代表する委員の意見書、あるいは広域連合の御意見が出ていますので、私どもとしてはよって立つ基盤の皆さんと同じ歩調をとらなければいけないと考えているところでございます。その上で、今、この委員会でもいろんな懸念が表明されております。そういった懸念を払拭できるような受領委任制度というものを検討することが肝心ではないかなと思っております。

 加えてもう一つは、私どもは審査支払機関という立場がありますから、そちらから申し上げたいことがあるのですけれども、現状ではあはきに関して5つの国保連合会が審査委員会を設置して審査を行っております。そしてまた、6つの連合会が柔整審査会で審査を行っております。それで、4つの連合会が個別に診療報酬審査委員会に審査を依頼している。こういう状況でございまして、47連合会中15連合会が審査を受託しているということがまず前提でございます。

 そこで、まず1点目としましては、審査基準、判断基準をできる限り明確にしていただきたいということでございます。そしてまた、実際の審査では医師の同意書と施術部位の突合等といったことで審査を行っているものが多いところがありますので、村岡専門委員の意見書にもございましたとおり、同意書の内容をできる限り具体的なものにしていただきたいと思っております。あわせて、記載要領をきちんと整理して、国から明らかにしていただければと思うところがございます。

 もう一つ、審査委員会をこれから新たに設置するとすれば、現状で行っているところも当然、検討の対象になると思うのですけれども、その構成についての標準をきちんと設けていただいて、それから、審査委員会の権限についても明確にしていただきたい。そして、保険者が安心して審査を委託できるように検討をお願いしたいと思います。

 それと、これも村岡専門委員の意見書にもございましたとおり、支給申請書の電子化について、これは早急に検討を進めていただきまして、効率的な審査及び支給事務処理が行われるようにすべきと考えているところでございます。

 最後に、本委員会で検討してきました各種の適正化対策は確実に具現化していただきたいということ。それから、国保におきましても、お示しされた資料のとおり、6%の保険者が代理受領に応じておらず、1%の保険者が一部代理受領となっておりますので、支給方法に関する保険者の合理的な裁量については、これをきちんと尊重していただきたいということでございます。

 以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 まず、結論から申し上げますと、私は受領委任制度の導入には断固反対でございます。理由は時期尚早ということでございます。導入の議論の前に、もっとやるべきことがたくさんあるということを述べさせていただきます。

 まず、資料あ-2の総論ですが、一番重要な論点が抜けております。私が委員会で毎回発言しているにもかかわらず資料に取り上げられないのですが、まず療養費の本質論というところをどう整理するかという論点が抜けております。健康保険法第87条の療養費というものは償還払いが原則であり、これに新たな特例的な措置を認めようとする場合には、その制度導入しても危険性は乏しいということを誰もがはっきりと認識できなければいけないはずですが、この委員会の中で誰もそれを証明できておりません。そんな中で仕組みだけを導入する事は非常に危険な行為です。

 仕組み導入の前に、まずは資料あ-2の各論に書いてあるとおり、審査基準の明確化、審査体制の強化を、審査のシステム化、医師の同意等々、適正化すべき事項について、議論すべきであると思います。不正対策としてできていないことがたくさんある中で、これについて、何ら是正する案もないわけです。

 例えば審査体制の強化について、事務局は案を持っていますか。

○遠藤座長

 では、事務局、コメントをお願いします。どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 この旨、御議論いただければと思いますが、例えば先ほど飯山専門委員からお話がございましたが、審査会の設置という方法。それぞれの保険者が審査するという今のやり方もあると思いますが、あるところに、例えば国保で言えば、個々の国保の保険者が、それぞれの市町村の職員が審査するという方法もあると思いますが、例えば今、15の都道府県では国保連のほうでその審査というものを受けて、そこに審査会という組織をつくって、ある程度、数も集めて審査をしている現状があるという御説明がございましたが、そのような形で審査の体制をつくっていくこともあり得るのではないかなと思っています。

 全ての案を持っているわけではないので、その辺も御意見といいますか、御議論いただければと思っているところでございます。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 不正対策に対して全く具体案のない中で、受領委任制度導入と同時並行に不正対策をやっていこうという考え方は間違いです。まずは審査の体制をきっちりとする、審査基準を明確化する、医師の再同意を徹底する、システム化を図る。それで危険性がなくなったということがみんながわかって、初めて受領委任制度による指導監督を入れることを検討してはどうかと議論するのが手順であり、両方一緒に並行してやっていこうというのは非常に危険な行為です。柔整で不正が横行している現状があるにもかかわらず、その失敗している制度をまた改めて拡大しようとしているのです。

 皆さん、わかっていただけると思うのですが、もしこれで不正がなくならずに給付費だけ増えるということになったら、また柔整の失敗を繰り返すことになります。村岡委員、宮澤委員から提出された資料においても、受領委任を導入する前に、適正化への対策をやるということがつけ加えられておりますので、まずはそこを議論すべきだと思います。

 それと、事務局の進め方に非常に問題があると思っているのですが、2月14日に医療課から広域連合にあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費への受領委任制度の導入についてという文書にて広域連合で意見を取りまとめてくれとお願いされております。いろいろ資料がついていて、受領委任制度を入れることへのメリット等が書いてあり、最後のページにあはき療養費に受領委任制度を導入することへの地域保険者としての意見について、意見のまとめ方も含めて御相談したいと書いてありました。現在、広域連合協議会が各広域連合に意見聴取をしているようですが、この文書は一体何なのですか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 この受領委任制度の検討に当たっては、それぞれの関係者とこの専門委員会の場だけではなくて、さまざまな場面で相談をさせていただいているところでございます。例えば4団体とも個別にも相談させていただいていますし、個々の保険者とも相談させていただいておりますし、幸野臨時委員とも相談はさせていただいているという状況にございます。

 そうした中で広域連合につきましては、当然、後藤専門委員と相談をしながらではございますが、給付費としても一番大きなシェアを占めておりますし、受領委任制度導入ということについては非常に一番大きな影響を受ける保険者であるということから、受領委任導入について御相談をさせていただいているというものでございまして、これは他の保険者なり他の関係者とも常日ごろやっていることと同様のことでございます。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 なぜ、特定の保険者だけに意見を聞くのですか。我々健保組合には意見は聞かないのですか。

○遠藤座長

 では、事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 先ほど申し上げましたとおり、幸野臨時委員とも何回も、専門委員会の場だけではなく、御相談はさせていただいていると思いますし、他の関係者の方々とも相談はさせていただいております。それと同様のことをそれぞれの保険者ともしているというものでございます。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 そうであれば、これに対する個々の公連合の回答について我々に公開してもらえますか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 我々はそれぞれの保険者にお願いをしているものでございまして、そのお願いに対してどのように対応されるのかということは個々の保険者であったり、相手方の考えによるところでございますので、もし広域連合さんから何かございましたら、それはもちろん、皆様にも御紹介をしたいと思っておりますが、現時点で特に何か我々のほうにいただいているものはございません。

○幸野臨時委員

 わかりました。では、協議会がまとめたものではなくて、個々の広域連合の意見を全て公開していただきますようお願いします。

○遠藤座長

 では、それも事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 今、申し上げましたとおりで、私どもは厚生労働省でございますので、いただいたものがあればそれを公開なり提出するという、相手方の御意向に沿って対応させていただければと思っております。

○遠藤座長

 関連ですので、まず後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員

 今、お話に出ました広域連合の意見につきましては、全国の広域連合協議会の事務局をしていらっしゃる佐賀の広域連合さんのほうで、佐賀県の広域連合としての判断として各広域連合に意見聴取、意見についてお尋ねしたいという形で、確かに依頼がございました。

 先ほど事務局がおっしゃったように、それぞれの保険者であったり、施術者団体さんたちに対していろいろ御相談をするのと同じようなやりとりの中で、広域連合の協議会として意見なり考え方を聞くという判断をなさったことによって、この意見聴取に至ったものと理解をしておりまして、別に厚労省の味方をするつもりはないのですけれども、厚労省に頼まれてやったという理解で少なくとも私ども東京広域は答えを出しているものではないことは補足しておきます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 では、中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 幸野臨時委員からのお話は、各保険者さんが保険者機能を推進させるべきだというお話をずっと続けていらっしゃるのはよく聞いております。ただ、現実的にはその保険者機能を発揮するには現状の体制では難しいという話をされているわけです。

 もう一つ、過去のものですが、平成271126日の規制改革会議第40回健康・医療ワーキング・グループの中で、担当される健保連合会の白川副会長が少し発言をされていますね。医療費について「審査はどうなっているかといいますと、はっきり申し上げて公的な機関での審査は一切ございません。保険者のほうが受け取って審査をして支払うかどうか決めるというのが現状です。療養費につきましては審査体制の問題、指導管理体制の問題あるいは支払い方の問題があります」「一件一件の額も小さいということから、若干管理体制が弱いと感じておりますので、こういったことも支払基金として前向きに取り組んだらどうかというのが私どもの提案です」ということでも上げられているのですけれども、やはり審査体制、それから、指導監督というものは大きな公の場で必要なのではないかなと私は感じます。

 問題は、やはりどこから見るかだと思うのです。いつまで、この議論をしていても、新聞に上げられるような不正の事件は現状のシステムで起こってしまうわけですから、それをなくそうという努力の中で私どももこのように時間をかけて今回の13回まで来ているのです。ですから、その辺は新たにやって、その中でさらにQ&A、疑義解釈の中で、問題があるところはとめていくという方法もあるのではないか。それは例えば幸野様と私どもとお話をする機会があって、とめていければいいのかなというふうにも感じます。先ほどからずっとお話を聞いていることと資料から見ましても、代理受領が大体9798%ぐらい行われているわけですので、受領委任にしても他の不正対策とあわせて、ルールを明確にして指導監督を行ったとしても、メリットがあっても害はないのではないかなと思うわけです。

 受領委任を認めるべき必要性とか相当性があるなどの特別な事情がある場合に限りとされている。これだけの代理受領が広がっている中で、また、それを償還に戻せというのはなかなか現実的なことではないと私は思っていますし、立法化には時間がかかると前回お話しさせてもらいましたけれども、受領委任にして指導・監査を強化していくことで抑えていけるのではないかなと思いますし、柔道整復の場合もその都度、こういう委員会の中で問題があったところをとめていって、実際、昨年もその前も支払額は下がっているではないですか。ですから、こういうお話の場があることでしっかりと問題のあるところはとめていくことは可能なのではないかなと思いますので、やはり私としては受領委任制度を進めていただいて、その中で問題が出るところはとめていくという方法でやっていただきたいと思います。

○遠藤座長

 では、高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 今の中村専門委員のお話の中でちょっとひっかかるのは、不正対策でというお話が今出ましたけれども、初心に立ち返って議論させていただければ、不正対策をしなければいけないという観点に立てば、なぜ、そこで利便性という話から受領委任の話が出てくるのか、私はわからないということです。逆転しますね。不正対策をやるのだったら、償還払いに戻せばいいのです。それが一番いいのです。本人が真正面から向かってきて請求を出せばいいのです。業者請求を認める必要はない。それが常道なのです。それをいつの間にか、施術者側も患者さんの利便性ということをおっしゃって、別に私はあえて否定しませんけれども、ただ、不正対策が失敗したところで患者の利便性を持ち出されて話をされるのは全然お門違いだろうということはもう一回申し上げたいと思います。

 もう一つは、今日はのあ-3の資料をもう一回ごらんいただきたいのですが、改めて被用者保険の立場を申し上げれば、私どもはあはきとマッサージで多分、今日の資料を見ていると、療養費ベースで私どものシェアが出ていますから、それと2ページのあはきマッサージの全体の額を比較すると、大体、協会分は60億円ぐらいとなるのですけれども、多分、後期高齢者の拠出金の中で私どもが払っている、その中のあはき分、協会で自分たちが使っている額を超えていると思います。計算すると、そんな感じになりそうなのですけれども、かなり似たような数字になると思います。

 そういった意味で、今、当局はここの場で受領委任を御提案されていますね。これは当然、当局としては抑える、抑制する方向で御提案されているつもりだと私は理解していますが、仮にもし今後失敗して増えたら、医療費全体を管轄する立場としてどういう責任をとられるのですか。濱谷審議官にお伺いしたいけれども、どういう責任をとられるのですか。

○遠藤座長

 濱谷審議官、どうぞ。

○濱谷審議官

 今、この場では受領委任制度の導入について、どのような形で入れれば不正も防げて、適正な給付になるかということを御議論いただいているわけでありまして、そういう意味では私どもといたしましては、適正な受領委任制度の導入ということについて御議論いただきたいということでございまして、責任云々ということを議論する段階ではないと考えております。

○遠藤座長

 では、高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 もう一回、あ-3の資料の2ページをごらんいただければ、あん摩マッサージ、はり・きゅうは、これは平成20年度以降ですから、後期高齢者医療制度が導入された後の数字ですけれども、それ以前はよくわかりませんが、当初、すごく伸びているのです。最近は落ちましたが、数字としては全体の医療費、それから、高齢者の医療費の伸びよりも、このあはきは確か大きいはずです。

 そこの原因分析も何もなくて、突然、払い方の話だけ持ち出すのは、やはり私、そこはもともと何か間違っていますし、そもそも、このはり・きゅう、マッサージ、柔整もそうですけれども、その治療費をどういうふうに持っていくのか。これをやって、増えてもしようがないですと思われているのか。その辺はどういうふうにお考えなのですか。

○遠藤座長

 では、事務局、お願いします。

 失礼しました。では、濱谷審議官、どうぞ。

○濱谷審議官

 適正な伸び率というものはなかなか難しいところでございますけれども、そういう意味では結果としてどうなるかというところはありますが、伸びの原因等の分析をした上で適正な対策をそれに応じて打っていくということが基本ではないかと思います。その上で具体的にどうするかについては、いろんな分析をもとにこれから考えていくということになろうと思いますし、受領委任制度の導入によるいろんな不正対策というものもその一つになるのではないかと考えております。

○遠藤座長

 それでは、ほかに。

 高橋専門委員、どうぞ。

○高橋専門委員

 適正にやったから伸びが抑えられるという保証は、私はないと思いますけれども、医療費全体の、これは医療・介護は2025年までと言われていますが、医療費全体がそうですね。その中でこの部分だけ利便性を確保してやりましょうという話は、私はちょっと解せないので、ともかく抑える方向で、当局としてどういう御提案をされたのか。受領委任をしましょうではなくて、こういうメニューを出して抑えます。そこのメニューなくして、ただ委員だけ集めて議論させるのは、私はおかしいと思います。

○遠藤座長

 では、事務局、お願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 まさにその辺のところは御議論をいただきたいところと思っておりますが、事務局がこれまでの提出資料で御説明してきたのは、代理受領が今、9798%になっている中で、つまり既に患者の利便性という意味では9798%、1割負担なりの一部負担で受けられる仕組みがある中で、それは受領委任になったとしても一部負担が増えるということではございませんので、むしろ受領委任を入れることによりルールが明確になり指導監督という、指導監督は保険者でもちろん、保険者機能でやっていただくわけですが、その先のペナルティーも科せる、公がかむ形での制度ができるのではないかということが1点。

 それだけで給付費の適正化というものができるわけではございませんので、村岡専門委員、宮澤専門委員からも御意見がございますとおり、医師の同意のあり方の見直しであったり、患者さんの請求内容のチェックの話であったり、さらには飯山専門委員からもございますが、審査支払のところの強化であったり、幸野臨時委員からもそうしたことも必要だということを言われていますが、そうしたことをしながら、また指導監督のところも見直していくということで、打てる手はこの場でも御議論いただいて打っていくことによって給付を抑えていく。高橋専門委員の言っておられた過剰な給付を抑えるにはどうしたらいいかということも含めまして御議論いただいて、方向性を示していただければと思っているところでございます。

○遠藤座長

 高橋専門委員、よろしいですか。

 では、幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 根本的な考え方として、全部のことを同時に進めていけばいいではないかという考えが間違いだと言っているのです。まず、やるべきことをやった上で、現状の問題をクリアにして国民が納得したときに初めて、では、受領委任制度導入の議論が始まるのです。もし、受領委任制度を導入したことにより柔整のように不正が横行して、医療費が増大した場合は、本当に国に責任があると思います。

 もう一回、濱谷審議官に聞きますけれども、そうなった場合は国は責任をとれますか。これだけの反対がある中で無理やり入れて、何のほかの手だてもないまま同時にやっていこうということだけで方向性を決めて、何か不正があった場合、国は責任をとれますか。

○濱谷審議官

 繰り返しになりますが、幸野臨時委員の御意見は御意見として、論点としても上げさせていただいているわけです。まずは不正対策を先にやるべきか、並行してやるべきかということ自体も、この審議会で御議論いただくべきことだと思います。その上で賛否なり、この審議会として、どのような基礎となるかというのは、まさに今、御議論いただいているわけでございまして、その審議会の取りまとめを行った上で、それを踏まえて厚労省としては対応していきたいと考えております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 国民目線から言わせていただきますと、228日に、共同通信が本委員会の議論内容について記事を書かれたのを御存じですか。

 御存じないですか。

○濱谷審議官

 はい。

○幸野臨時委員

 御存じないのですか。

○濱谷審議官

 知らないです。

○幸野臨時委員

 国の方針、解決にならずという記事を出しているのです。対策案がずれているのではないかと言っているのです。

 一部言いますと、厚労省は、今は制度上できない指導監督が可能になると利点を強調する。だが、既に実施している接骨院などの柔道整復では患者が水増し請求に気づきにくく、不正の温床との指摘があるという制度を今、拡大しようとしているというふうに書いてあるわけです。

 その後に、導入を求める事業者団体から支援を受ける自民党の意向もありということも書かれているのです。

 最後に、後期高齢者医療を運営する都道府県の広域連合からも拙速だとの意見が出ており、厚労省の幹部は九州の広域連合まで出向くなど、関係者の説得に躍起だ。ここまで書かれているのです。見透かされているではないですか。

 これが国民の声です。これでもやるのですか。

○遠藤座長

 では、中村専門委員、関連で。

○中村専門委員

 その新聞の対象となったのは柔道整復の問題ではないですか。私どもは柔道整復の領域と現状は違うことをお話しした上で進めておりますし、今までの柔道整復師と同じような制度にしてくれというのではなく、あはきの新たな制度づくりをお願いしたいと言っているわけですので、まずもう一回、では、柔道整復の不正だと言われているところの多くの問題は、私どもは医師に同意いただき、また患者も希望し、その中でなされているわけですから、多くの不正と言われる部分は随分解消しているものだと私は考えていますので、お話が違うなと思っています。

 それから、先ほどの中でも、では、償還払いに戻せば不正はなくなるのだというのも大きな間違いで、看護療養費の問題では、テレビで出るほど大きな問題が起こったではないですか。その問題が解決できたのかというと、まだ解決はできていないではないですか。

 もう一度言いますが、では、保険者機能を推進すればいいのだと言いますけれども、保険者機能を推進ということの本当の償還に戻したときに、皆様方、保険者様方が果たして一枚一枚の領収書がはり・きゅう、マッサージ師の国家資格を持っているのかどうなのか、施術として適切だったのか、それから、医療の内容が医療であるあはきの内容であったのかの確認を一枚一枚の領収書にすることは不可能だと思うのです。ですので、公のシステムを使いながら、多くの目でチェック体制をつくっていくほうが、それが減るのではないか。これは私が見た視点ですので、先ほどの幸野臨時委員の視点もあろうかと思いますけれども、私のこういう視点もあるのではないかなと思います。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 では、お答えしますが、まず必ず給付が減るというのは広島の事例を出しましたね。あれで証明できると思います。

 それから、あはきに不正が起こっていないと言いますが、では、9億5,000万円の不正は何なのですかということです。絶対に起こっているということです。

 それから、保険者機能の発揮というのは、私は償還払いに戻せということだけ言っているわけではないのです。代理受領の中でも保険者機能を発揮すれば、保険者が指導監督できるのです。実際広域連合や国保でも取扱要領を定めて受領委任の中止など罰則を設けており保険者機能をしっかりと発揮している保険者もいます。全ての保険者が保険者機能を発揮すれば保険者が指導監督できるのです。

 それで、国に指揮監督権限を与えて遅々として進まない監査を保険者ならスピーディーに、的確にできるのに、国に情報提供した場合、指導監査がなかなか進まないというのが現実の保険者のジレンマなのです。遅々として進まぬ国からの指導監督よりも、保険者機能を発揮して、自分たちが的確に、スピーディーに解決するという仕組みを拡大したほうがよほど効果的です。これが現場の目線なのです。

 国による指導監督を、金科玉条のように言われておりますが、現在機能していないため、意味がないと思われます。そうであるならば、現場が現実的に出来ることをルール化すべきではないでしょうか。だから、償還払いに戻せということではないのです。

○遠藤座長

 両方の御意見、承りました。

 大体、意見が平行線だというところでは理解できましたので、ほかの視点からでも御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

 清水委員、どうぞ。

○清水専門委員

 私、公益の立場から発言させていただきます。

 今の議論は、このまま行くとエンドレスの議論になりかねない。それで、出す結論はどこに落ちつくか、なかなかわからないところがあります。1つ、高橋専門委員が「医療費の伸びよりもこちらの伸びのほうが大きいのはおかしい」というお話をされたのですが、これは国民の疾病構造が変化し、国民全体の医療費のかかり方が違っているわけで、医療費というものはお産の前から亡くなるまで全部入っているわけです。やはり人口構成変わって、高齢者が多くなってきているということですから、対象者が増えいるので、医療費の伸びとあはき療養費の伸びがかい離しているというのは、議論が違うかなというふうに思います。

 もう一つは、今の議論の中で、切り分けが必要か、必要でないかという問題がありますが、私がずっとお話ししている要点は、新たなチェックシステムをきちっとつくったほうが良いのですが、いまだ、つくるシステムがなかなか目に見えてこない点です。前々回ぐらいに書類で、こういった形式の書類を書いたらいいということが出たのですが、でも、そういった明確なものが事務局からなかなか出てこない。具体的に目に見えてこない。それが保険者の側で問題にされているところと思います。

 ですから、全部そろってからやるかということが一つあります。ただ、出来るものから順次やるのもいいだろうという考えもあります。それをただ、やったからといって、すぐ給付が下がるとか、あるいは不正が根絶されるかどうかを検証するため、経過措置的な方向もあっていいのかなと思います。それから、保険者機能ということを強くおっしゃるのでしたら、まずは経過措置の間は保険者別にやってもいいのかなと。私は公益代表としてはそんな感じがいたします。そうしませんと、この議論は落ちつく先がないのかなと一応考えております。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 それに関連してでも結構ですし、新たな御意見でも結構ですが、いかがでしょうか。

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 保険者別にとのご発言ですが、例えば後期広域連合の加入者が最もシェアを占めておりますが、後期広域連合には被用者保険から支援金が約4割ほど出ているわけです。そして約5割は税金で賄われておりますので、後期広域連合に医療費の適正化をしてもらうということは、被用者保険の保険者にもかかわってくることなのです。

 しかも、この支援金が被用者保険の支出に占める割合は膨大であり、前期高齢者納付金等とあわせると、保険料の5割近くがこの高齢者医療に回っている状態です。国保も昨日時点で3,000億円ぐらいの赤字だと発表されていましたが、医療費の適正化にきちんと取り組んでもらいたいと思います。利便性や100パーセント代理受領を行っているからという、そんな安易な理屈のみで受領委任制度導入について結論を出さないでいただきたい。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに何か御意見ございますか。

 河野専門委員、どうぞ。

○河野専門委員

 非常に高次元の話の途中で申しわけないのですけれども、医師の立場から、先ほどから医師の同意の問題が出ておりますが、私は整形外科でございますけれども、あそこにかかって悪くなったからという患者さんはたくさん来るのですが、前もって同意を求めて来る患者さんは私のところにいないのです。一体、何科の先生がその同意をされておるのか。整形外科の先生に聞いてみますと、どなたも来ないというお返事なのですよ。

 先ほど中村専門委員がおっしゃったように、医師だから何科でもいいではないかという意見もあるのですけれども、正直言いまして私どもは、例えば眼科の患者さんなどが来たとき、見るすべがないです。機械もないし、何もないし、自分の専門科についてはある程度のことは言えますけれども、やはり運動器などの取り扱いを見ると、やはり整形外科が妥当ではないかという気がするのですが、これはぜひ事務局としても何科の先生が同意されておるのか、一度調べていただきたいと思います。医師会としてもなかなか把握できないのですよ。

 済みません。枝葉なことで。

○遠藤座長

 事務局、いかがでしょうか。そういう調査の御要望がありますけれども、御検討はされることは可能なのかどうか。

○保険医療企画調査室長

 直ちにどういうふうにやるかというのはぱっと思いつきませんけれども、どういう方法でできるのかということを含めて検討したいと思います。お時間もちょっといただくかもしれませんけれども。

 つけ加えまして、一応、今のルールとしては、原則としては、例えばあんまであれば筋麻痺とか関節拘縮が原因であったり、はり・きゅうであれば神経痛リウマチということが原因でありますので、その当該疾病に係る主治の医師の同意というものが一応、通知でございますが、ルールとしては当該マッサージ、はり・きゅうを受けなければならない疾病に係る主治の医師の同意が原則というものが一応、現時点でのルールになっているわけでございますが、先日来の御議論の中でも、例えばそうではない医師を請求代行業者みたいな人が用意して同意しているという、本来の趣旨と違うような医師の同意があるということが問題になっているわけでございますので、まさにその辺のところの適正化ということも村岡専門委員のところなり、この場でも出ていますが、課題になっているということがございますので、実態の把握の仕方も含めて、そこは検討していきたいと思います。

○遠藤座長

 よろしくお願いします。

 ほかにございますか。大体よろしゅうございますか。

 ありがとうございます。

 非常に活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、本日いただきました御意見を踏まえまして、事務局では整理して、また今後の議論に役に立つものをつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程について、事務局から何かございますか。

○保険医療企画調査室長

 次回の日程につきましては、また日程調整の上、後日御連絡させていただきたいと思います。

○遠藤座長

 それでは、これをもちまして「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。

 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

 


(了)

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