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2017年2月13日 第4回生活保護受給者の宿泊施設及び生活支援の在り方に関する意見交換会 議事要旨

社会・援護局保護課

○議題

(1)行政機関との関係について
(2)地域社会との関係、基盤整備等について
(3)その他

○議事

 

 事務局から資料説明を行い、各事業者等から議題について報告を受けた後、出席者による意見交換を行った。主な意見は以下のとおり。

 

・社会福祉法第 70 条、第 72 条の適用については、局長通知において、「居室の利用及びそれ以外のサービス利用を強要し、又はあいまいな名目による不適切な金銭の支払いを求めているとき」、「居室の利用以外のサービスに係る費用の契約を締結しないことにより退去を求めているとき」、「その他利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき」が掲げられているが、なかなかそこまでの事案はない。

 

・ケースワーク業務の中で、入居者が不利益を被っていれば、住居として認めないとして、転居させた事例がある。

 

・生活保護基準の観点から、生活サービスは、住宅扶助基準、生活扶助基準の範疇に入るのか。在宅保護の扱いで住宅扶助と生活扶助の中で対人サービスコストを出すことは、保護施設の対人サービスの費用負担がないこととどう整合性をとるのか。住宅扶助、生活扶助が目的と合致するのかという点と、法的にクリアできるサービスの中身なのか、という仕切りをどう考えるのか。

 

・基本的に、国、都の指針をベースに最低基準を定めるということで良いと思う。さらにその上で、個別に施設長の基準、住民説明、入浴回数など、最低基準レベルの引上げや指導監督などで少し厳しく求めていきたい。

 

 

・原則、遵守すべき基準をつくって届出を行い、改善勧告などの規制を行うことは賛成。ただし、現行制度の通過型施設を前提にするのかどうかで枠組みや用途が違ってくる。また、 4 年前の調査研究では、一階、二階というグレードのついた基準の議論をした。

 

・通過型施設とついの住み家的な施設、シェルター的な使われ方のものと救護施設的に長期間入所するものを一緒に考えるのは難しい。

 

・最終的に何らかの基準、ルールが必要だと思う。他方、通過型と長期居住型では、食事や社会サービスへのコーディネートなどサービス内容も異なってくる。また、既存の条例の中には、設置が不可能になるような基準を設定するものもある。宿泊所は悪いイメージを帯びてしまっているが、地域のセーフティネットとして機能していることにも見合ったルールの在り方が考えられるべき。

 

・最低限の基準はつくるべき。通過型も必要だが、一度出ていった人も認知症等により一人で生活できなくなるとまた戻ってくることもある。通過型施設とついの住み家としての施設は分けて考える必要がある。

 

・東京と地方では住宅事情など異なる部分が多く、一律に考えるのは難しい。

 

・認可外保育施設は、局長通知の指導監督指針で実態把握、指導検査、勧告、改善命令、事業停止命令の要件などが示され、別紙の指導監督の基準において、設備や運営の基準が示されている。宿泊所は通知本体に指導監督指針があり、別紙が設置運営の指針となっていて、停廃止命令に至る前の勧告や改善命令がないという問題がある。

 

・若者の就労自立可能組と、高齢者組で基準を分けることも考えられる。

 

・近隣からの同意書の義務付けなど、基準を厳しくすれば厳しくするほど基準を守らずに運営する施設(無届け施設)が増える。無届けで運営している施設に届出させるようにすることが一番に解決すべき問題ではないか。

 

・地域住民の同意を求めるなど、自治体の条例やガイドラインも厳しくなっている。貧困ビジネスへの対応という観点があると思うが、新規開設をやめさせるという過度な偏りを防止する観点も必要ではないか。

 

・無料低額宿泊所も良い事業をしており、通過型でない無料低額宿泊所として新しいカテゴリーがあれば良いと思う。地域住民との関係については、例えば地域への説明会の開催を条例で義務づけられることがあるが、そのような色をつけられるようなイベントをして、その後に住む人が幸せなのか。また、 20 代、 30 代でも、様々な生きづらさを抱え、アパート等で自立した生活を送ることが困難な障害を持った方が増えている。認知症の方だけが住むところでは互助が作りにくく、長期で暮らすには互助が必要。単純に高齢者型、若者型とはちがう尺度や軸も必要になってくる。

 

・施設の枠組を考える必要はあるが、施設の属性だけで長期か短期かという単純なものではなく、若者か高齢者か 1 年で卒業を目指す者、ついの住み家となる者など、最終的には対象者に応じた支援計画で判断することになるのではないか。

 

・積極的に新しい地域資源を作るという議論にしたい。地方自治体が条例で基準を求めることは重要だが、同時に、施設の設置を後押しするような体制ができないと、地域資源となっていかない。

 

・疾患ごとに支援や治療の方向性は違うが、今どのくらいのことができている人なのかという適応行動の尺度により、一般的な適応行動と精神的な健康度合いや認知機能の状態などを一般化し把握することができる。実際に宿泊所で生活している方々の状況を調査しないと使えるか分からないが、一般的な基準とそれに追加した基準で調査するのか、高齢者と若者で分けるのか、やり方は検討する必要はある。

 

・宿泊所では、救護施設の入所者と同じような対象者が入所しており、通過型とついの住み家と両方を目指す運営は難しいのではないか。

 

・宿泊所のように小さい部屋でも単独で生活できることを望む、といった利用者の選択により、救護施設に入らないのであれば仕方ないが、自治体が負担増を嫌って、「措置控え」するという問題もあるのではないか。ケースワーカーは本人の選択だけに任せるのではなく、本人にとってどういった支援が最も適しているかという観点で、支援を行う必要がある。

 

・最終的には生活する本人の社会的な選択肢が多い方が良い。宿泊所が継続的に選択肢となっていくよう、底上げをしなければならない。

 

・一部の救護施設は中間施設としての機能を果たしているが、基本的に救護施設が中間施設の機能を果たしていくことは難しい。また、無料低額宿泊所にはついの住み家的に利用せざるを得ない者や居宅に移行する者等が一定割合ずつおり、いずれかに特化するというよりも、地方では丸ごと総合支援をやらざるを得ない。

 

・無料低額宿泊所を自ら社会福祉法人に作らせた自治体や、市が無料低額宿泊所の設置者と一緒に住民を説得する事例もある。

 

 

・福祉事務所で生活保護が必要かどうかの判断と、同時に家事や介護などどのような支援が必要なのかのアセスメントができないと、単に管理されるのが嫌な人とサービスを受けたい人の仕分けはできない。また、居宅で一定のサービスを受けながら生活できる人と明らかに居宅は難しい人の区分けをどうするのか、ということも無料低額宿泊所の職員配置をどうするのかといった規制と関係してくる。

 

・救護施設も、地域によって、例えば、精神疾患患者関係施設、知的障害者関係施設、介護保険関係施設などの代替をしている場合、利用期間が長期化するが、こういった課題がない地域は回転率が良い。こういった他法関係の配置を見ないと、救護施設の中だけでは判断ができないという問題がある。

 

・無料低額宿泊所は高額な利用料をとるならそもそも無料低額ではないので別の宿泊施設の位置づけをしなければならない。

 

・宿泊所における職員研修に関して、職員の専門性向上という観点からは、社会福祉主事、社会福祉士、介護支援専門員などの資格がある。これらに加え、宿泊所においては、当事者に向き合うことができる価値観、技術、地域の社会資源との調整能力等が必要になってくる。

 

・宿泊所の職員には、ケースワーカー的な面と同時にコミュニティーソーシャルワーカーという面を持つような複眼的な思考が求められる。ただし、こういった職員を配置するためには一定のコストが必要。

 

・事業者によっては、アセスメントを基に自立支援計画を作成したり、人材育成を行ったり、評価されるものはある。

 

・いわゆる「生活支援サービス」と、現場で実践している「生活支援」の違いを踏まえる必要がある。長年にわたり宿泊施設を運営してきた経験から、生活支援の主な内容は、基本的信頼関係の構築、生活介助、生活の互助づくり、社会サービスのコーディネート、地域の互助づくりなどに整理してきた。

 

・宿泊所にお いて、長期居住となっていくと、特に互助づくりという観点が重要であり、生活支援には独自の専門性が求められる。認知症の増加など利用者像の変化にも対応しながら、職員の人材育成などをどう発展させていくか、今後、議論が必要ではないか。

 

・施設の最低基準として、有資格者を配置することは賛成だが、その有資格者の処遇をしっかりと整えられるかは疑問。有資格者を配置することを前提に待遇面を整えるための議論をもっと深めるべき。

 


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