ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第53回先進医療技術審査部会(2017年2月16日)




2017年2月16日 第53回先進医療技術審査部会

(了)


第53回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成29年2月16日(木)16:00~18:25

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)

(3)出席者:
山口座長、一色座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
真田構成員、柴田構成員、関原構成員、大門構成員、
田代構成員、手良向構成員、藤原構成員、松山構成員、
山中構成員、山本構成員、斎藤技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.新規申請技術の評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.いわゆる非劣性試験の先進医療B における取り扱いについて
6.千葉県がんセンターから先進医療技術審査部会への報告について
7.先進医療会議の審査結果等について
8.平成29年度先進医療技術審査部会開催予定日について
9.その他

議事録
○山口座長 定刻になりましたので、第53回先進医療技術審査部会を始めます。本日は御多忙の折お集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日は、上村構成員、掛江構成員、田島構成員より欠席の御連絡を頂いております。本日は、17名の構成員のうち、14名の構成員にお集まりいただける予定ですが、石川先生が少し遅れていて、今は13名がおそろいですので、本会議が成立していることを申し添えます。技術専門委員として斎藤委員に、新規申請技術案件の御審査をお願いしております。配布資料と、本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿。次に新規申請技術の評価結果について資料1-1から資料1-9。先進医療Bの試験実施計画の変更について資料2-1から資料2-5。先進医療Bの協力医療機関の追加について資料3-1から資料3-4。先進医療Bの取下げについて資料4-1及び資料4-2。いわゆる非劣性試験の先進Bにおける取扱いについて(案)資料5。千葉県がんセンターから先進医療技術審査部会への報告について資料6。先進医療合同会議からの報告事項として資料7-1から資料7-3。最後に平成29年度先進医療技術審査部会開催予定表として資料8。会議資料の最終ページは209ページとなります。また、構成員のお手元に、机上配布資料として、新規申請案件に係る事前照会事項に対する申請者回答のうち、評価表を作成以降分の回答をお配りしております。本資料については、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら事務局までお知らせください。
 続いて利益相反の確認です。申請医療機関との関係や、対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1の15ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前確認をさせていただいております。今回、手良向構成員におかれましては、整理番号74の新規技術申請者と、また山本構成員におかれましては、告示番号25の実施計画書変更申請者と、それぞれ同じ施設に御所属されておりますことから、これらの技術の審議に際し、一時御退室いただきたく存じます。事前の申出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ又はタブレットの何ページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますのでよろしくお願いいたします。
○山口座長 議事に入ります。新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 傍聴の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 資料1-1の15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術が2件あります。1件目は、整理番号73「局所限局性前立腺がん中リスク症例に対する陽子線治療」です。適応症は、限局性中リスク前立腺がんです。申請医療機関は、筑波大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が山本構成員、副担当は田島構成員と大門構成員、技術専門委員として斎藤委員です。
 資料1-5の35ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。1.実施責任医師の要件として、診療科は放射線科又は放射線治療科又はそれらに相当する診療科であること。資格として、日本医学放射線学会及び日本放射線腫瘍学会共同認定放射線治療専門医であること。当該診療科の経験年数として10年以上であること。当該技術の経験年数として、陽子線治療について2年以上(ただし放射線治療(4門以上の照射、運動照射、原体照射又は強度変調放射線治療(IMRT)による体外照射に限る。)による療養について1年以上の経験を有する者については、1年以上)の経験を有すること。当該技術の経験症例数は、実施者として10例以上、ただし主担当として5例以上であること。
 2.医療機関の要件です。診療科は、放射線科又は放射線治療科又はそれらに相当する診療科を標榜していること。実施診療科の医師数は、放射線治療専従の常勤の医師が2名以上配置されていること。うち1人以上は日本医学放射線学会及び日本放射線腫瘍学会共同認定放射線治療専門医であること。他診療科医師数に要件はありません。
 その他医療従事者の配置として、1.病院内に日本放射線治療専門放射線技師認定機構の定める放射線治療専門放射線技師を含む専従の診療放射線技師が3人以上配置されていること。陽子線治療室1室当たり2名以上の診療放射線技師が配置されていること。2.放射線治療に専従する常勤の医学物理士認定機構認定医学物理士が1名以上配置されていること。病床数に要件はありません。看護配置は、放射線治療に専従する看護師が配置されていること。がん放射線療法看護認定看護師又はがん看護専門看護師であることが望ましい。当直体制及び緊急手術の実施体制、院内検査の24時間体制に関して要件はありません。
 他の医療機関との連携体制については、自施設でキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にて、その機能が果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文書にて示せること。医療機器の保守管理体制を必要とします。倫理審査委員会による審査体制は、原則2か月に1回以上の開催及び要時開催であること。医療安全管理委員会の設置を要件といたします。医療機関としての当該技術の実施症例数は、陽子線治療について10例以上であること。その他として、日本放射線腫瘍学会の指定に準拠した複数の診療科で構成されるキャンサーボードを設置すること。また、前立腺がんを専門とする泌尿器科医が参加していること。3.その他の要件として、説明と同意については、日本放射線腫瘍学会の指定した共通の同意説明書を用いること。日本放射線腫瘍学会指定の全症例登録を行い、当該学会の調査・指導に応ずること。日本放射線腫瘍学会が作成した疾患・病態ごとの統一治療方針に準拠した治療を行い、日本放射線腫瘍学会への定期的な実施報告を行うこと。以上となっております。
○山口座長 これらの要件について何か御意見はありますか。もしキャンサーボードが自施設になければ、連携拠点病院にお願いするということがありましたけれども、筑波は連携拠点病院になっていますか。
○医政局研究開発振興課専門官 すみません、事務局で確認させていただきます。
○山口座長 筑波では、前立腺がんに関するキャンサーボードはあるのでしょうか。
○斎藤技術専門委員 必ず置いていると思います。ないということはないと思いますが、確認は必要かと思います。
○山口座長 形ばかりで、作れと言われたから作っただけで、活動していない所もあるかもしれません。また、大学病院はそこまで信用されていないということがあります。それは一応、確認しておいたほうがいいかもしれません。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○山口座長 他に、要件で、これはちょっとまずいとか、きつすぎるということはないでしょうか。特にないようですので、様式9号については認めることにいたします。次に、主担当の山本構成員から概要の説明と、実施体制の評価について説明をお願いします。
○山本構成員 今回の局所限局性前立腺がん中リスク症例に対する陽子線治療です。申請機関は筑波大学附属病院。研究の概要については資料1-4を御覧ください。資料1-4の表に、この治療に関する概要がまとめてあります。よく御存じの陽子線治療です。研究概要は、そこに示されておりますけれども、限局性の前立腺がんの中リスク群の方々を240例入れて治療を行います。研究期間は7年間、登録に2年間、観察に5年間、参加施設は11施設、主要評価項目は5年間の生化学的非再発生存率です。
 裏側にロードマップがあります。これまでに「先進医療A」を幾つかしております。その上で今回「先進医療B」で、この試験が行われます。その後、治療成績の改善が認められたら、ガイドラインへの記載、保険収載検討に進みたいということが書かれています。
 1-2の評価表に戻って、私と斎藤先生で実施体制の評価をし、倫理的観点からの評価を田島構成員にしていただき、試験実施マニュアル書等の評価を大門構成員にしていただきました。
 先にコメントです。実は、かなりギリギリまで申請者とやり取りをしております。そのやり取りの途中で時間的な問題でこの評価表を作っています。その後にまだ、特に大門構成員と田島構成員には、かなりギリギリまで詰めていただきました。そのために、若干ここに書いてある暫定的な評価から変更が生じている可能性がありますので、それはそれぞれの構成員から御紹介いただきます。私の評価としては、実施体制については特段不適はないと判断いたしました。それでは斎藤先生からお願いします。
○斎藤技術専門委員 「実施体制の評価」として評価をさせていただきました。結論はここに書いてあるように、実施責任医師体制は「適」、医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性も先進医療でやっていますので「適」ということで評価させていただきました。今も出ていましたように、キャンサーボードで泌尿器科が関わることは書いてあるのですが、意外にも実施メンバーの中に泌尿器科医が入っていないのです。それが患者さんにとってデメリットにならないか。要するに、初めから放射線療法に誘導されてしまうようなものだとか、今はオプションが非常に増えています。
 ここにも記載があるのですが、例えばda Vinciという手術もあります。今までのラパロもあります。手術療法以外でも、内分泌療法とか、最近増えてきているのがPSAの監視療法です。要するに手術も治療も何もやらないと。PSAで厳重に見ていて、上がってきた段階で再生検をやって、そのグレーディングが上がっていないか、グリーソンスコアが上がっていないかを確認して、次のオプションに入るということが今は常識になっています。この申請書の中では1割と書いてあるのですが、実はもっと増えつつあります。やっている最中にもっと増えると思います。
 筑波が中心になってやりますので、筑波大学では全てのオプションがあります。その中で泌尿器科の医師と書いてある理由は、やはり11年以上の指導医が入って、前立腺がんの治療に精通した先生が入って、その中でどれを取るのがいいかを評価する必要があるというのが1つです。
 もう1つは中リスクです。タブレットの資料の111ページの右の上のほうに書いてあるように分類が2つあります。中リスクというのは、グリーソンスコアが7と決まっています。ところが、その7が問題で、110ページにも書いてありますように、病理学的に見て面積が広い所を先に書くということになっています。ということは4+3=7と、3+4=7では全然違うのです。ですから、その辺の所もちゃんと評価できる泌尿器科医が入っていないと、同じ7で中リスク群だと言われても、これはエンドポイントが全然違うと思うので、サブ解析は絶対に必要になってくる案件だと思います。評価は「適」にしましたけれども、その辺の所をもう少し詰めていただいたほうがいいかという印象を持っています。ただ、総合的には全て「適」ということで問題ないと考えました。
○山口座長 今の御発言だと、施設要件の所にそれを入れなければ駄目だということかと思います。先ほど認めてしまいましたけれども、そこの所に経験10年以上の泌尿器科の先生を要件として入れたらよいでしょうか。
○斎藤技術専門委員 実は、重粒子線のときにも私は関わったのですが、放射線の専門組織の所だと、総合病院ではないので泌尿器科医がいないのです。ですから、そこのところを補うような体制があれば、泌尿器科医が必ずいる必要はないとは思います。
○山口座長 35ページの医療機関の要件の診療科の医師数と書いてある所に入れるのでしょうか。
○斎藤技術専門委員 入れるとしたら、そこでいいですよね。
○山本構成員 ここに書かれると、実際の量子センターの中に泌尿器科がないと無理になるので、それはちょっと難しいのではないかと思います。
○山口座長 36ページのほうですか。
○山本構成員 プロトコールの中で、必ずその前に中リスクであることを泌尿科医が確認しているという、プロトコール上の文言がありますので、そこの泌尿器科医の要件を若干厳しく記載していただくということでよろしいでしょうか。プロトコールのほうの調整で、対応可能かと思います。
○山口座長 泌尿器科の専門医に確認しておくということよりも、やはりキャンサーボードに出てきてもらって、みんなの前でディスカッションしてもらったほうがいいのではないかと思うのです。
○山本構成員 そこは、患者さんが中リスクであって、これの適合要件があるという確認を誰がするのかというのを何回かやり取りをしております。それでキャンサーボードが必ずないといけないということ。あとは紹介されてくるときに、泌尿器科医が必ずチェックして、それで紹介されてくるということがあります。その患者さんを紹介してくる泌尿器科医について、今のところ特段の要件は決めておりませんので、そこにその泌尿器科医が専門医であるとか、10年以上の要件を満たすというようなことを追加することで対応は可能かと思います。
○山口座長 その議論は前にあって、市中の普通に開業している泌尿器科の先生も泌尿器科医なので、前立腺の治療には余り関わっていない方もおられます。そういう方でもよいということが通ってしまうのはまずいのではないかという議論もあったような気がするのです。
○山本構成員 一応やり取りはしています。そこで、きちっと要件を満たす方を必ず紹介していただくということを言っていただいています。そこにもう少し要件を付け加えていただくことは可能かと思います。
○山口座長 そこは必ず専門家の目を通すということを、どこかできちっと押えることは必要でしょうね。
○山本構成員 はい。
○山口座長 分かりました。本日は御欠席ですが、次は田島先生から、倫理的観点からの評価が来ていますので、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-2、18ページを御覧ください。倫理的観点の評価について、いずれも「適」との評価を頂いております。コメントとして、説明文書については事前の指摘に即して所要の修正がなされ、問題点が解決したので「適」と評価した。補償は保険により対応され、内容は適切と判断した。患者相談の対応は整備されている。以上です。
○山口座長 指摘した所は直していただいたということかと思います。続いて、大門構成員より、試験実施計画書等の評価について説明をお願いいたします。
○大門構成員 試験実施計画書等の評価を担当させていただきました大門です。評価表の結果は配布資料にお示ししているとおりですが、その後にいろいろやり取りがありまして、そこまでの経緯も含めて簡単に要点をお伝えします。資料1-3の21ページから27ページを御覧ください。本試験は、中リスク症例に対する陽子線治療の効果を見る試験ではあります。この対象集団の標準治療は、斎藤先生がおっしゃられたように、いろいろ多様性があるものの手術及び放射線治療ということになります。それゆえ、これは先般の陽子線治療の案件と同様に、いわゆる手術対陽子線治療、あるいは放射線対陽子線治療のランダム化比較試験を行えない等、なぜ今回のようなデザインにしたかという理由を詰めていただく必要があると考えて、その旨の照会事項を出させていただきました。
さらには、先般の陽子線治療の案件でも議論になりましたように、いわゆる手術拒否例に対する判断がきちんとできるかどうかのキャンサーボードの設置に関すること、手術拒否例を考慮したときの比較対照の設定、そのときの閾値等の論点が俎上に上がるかと思います。当初の申請書や実施計画書を拝見した限り、どうしても放射線治療ありきで、そういった問題点及び論点が詰められていない状況でした。その他にも不備が散見されました。その辺りを21ページから27ページの照会事項のやり取りを経て、一応対応していただきました。
 しかしながら、そのやり取りを経ても、幾つか対応が足りないと思われた論点が、評価表の18ページから19ページに示されている問いになります。この点がまだ詰められていないということで、更に照会をさせていただきました。その結果が本日お配りした机上配布資料に示されています。具体的には何が足りなかったのかといいますと、中央モニタリングの内容に関する記載が、「記載してあります」と書いてあったのですけれども、それがなかったりしました。さらには、例数設計の記載で、申請書類間で齟齬がありました。中間解析あるいは中間評価という言い方もあるとは思いますが、それを行わない根拠が示されていなかったりしました。それゆえ有効性の評価、モニタリングの部分で、「不適」と評価をさせていただきました。しかしながら、これらに関しては机上配布資料にあるように、回答とともに対応していただいています。
 その中で少し悩ましい点は、いわゆる先ほど申し上げましたように、標準治療というのは手術及び放射線治療であるにもかかわらず、依然としてIMRTを比較対照と設定する旨の文言が少し残っている点です。この点は議論の余地があるかもしれません。しかしながら、そのやり取りの中での申請者による回答では、いわゆる手術の成績とIMRTの成績がそれほど違わないということ、手術よりも高いIMRTの設定を閾値に用いることとあること、キャンサーボードを設置して、手術拒否例をきちんと選ぶということで、一応その部分で、この試験が終わった結果として、手術より勝っているということが言えるはずだという回答を頂いています。
 その意味では、ある程度、善処されたのではないかと思われます。それ故、「不適」とさせていただいているものの「条件付き適」か、「適」かなというところではないかというところに現時点では至っております。ただ、この最後の点については先般も議論がありましたように、構成員の先生方に是非、御意見を頂ければと思います。以上です。
○山口座長 御討議をお願いします。
○山本構成員 総評ですけれども、大門先生の不適、10.と11.の所で「不適」を頂いております。内容的に「条件付き適」にするよりも若干重い内容でしたので、暫定的に「継続審議」という総評にしております。その後のやり取りで、机上配布資料の大門構成員に対する回答5の所で、申請者から、少なくとも11.モニタリング体制については対応していただいています。10.についても、この回答の中で、一応許容可能な所まで。ですから完全に手術と、手術不能例を出してくるので、その対象をIMRTのほうでやるのだということです。現実的な運用を含め、手術不能例、又は完全に拒否している例に絞るというような、運用との組合せで適切に実施するということでお答えを頂いております。評価者の間では、一応「不適」から「適」のほうにしてもいいのではないかということがありました。
 ただ、これは全部が五月雨式に行っていて、回答5、最終の回答が返ってきたのが2月16日です。最終的な整合性を再度見る必要があると思います。現時点で、ここの評価表では「継続審議」としておりますけれども、この回答5を頂いた時点で、「条件付き適」ということでよいのではないかと私は思っています。
○山口座長 全体で御議論はありますか。
○伊藤構成員 この前から、この手の話は随分気になっています。陽子線とIMRT、若しくは手術の比較試験がなされないままに、ずうっと来ています。いつまで経ってもこのままだと、この治療法が本当に良いかどうか分からない状態が継続していくのはいかがなものか思います。例えば、今は免疫チェックポイント阻害薬にしても、個別にがん種ごとに評価が行われて、検討されております。前立腺がんの中リスクというのは、数がたくさんあるわけです。それの比較試験ができないという理由がないのではないかと思います。
 このままこの陽子線なり、重粒子線のオープン試験をこのまま、ずるずると認めていくのが、この委員会の見識として正しいのか。特に藤原先生のような、がんと抗がん剤を専門とされている人たちの目から見て、正しいのかなと思っています。そこは、このままで良いのか良くないのかを一回議論したほうがいいのではないかと思うのです。
○山口座長 今の点について議論したいと思います。どなたか御意見はありますか。
○山本構成員 もちろん伊藤先生のおっしゃることは、原理的には正しいと思います。ただ問題は、同じモダリティ、例えば薬であればプラセボを作ることで、しかも同じ医療施設の中で割り付けが可能で、それを簡単にブラインドにして出すことができます。これは、ただ放射線治療と手術を対象にするということになると、結局それを実施する医療機関が違うので、どこで割り付けるのだという問題があります。
 もう1つはオープン試験になりますので、例えば、そもそも重粒子線をしたい、手術をしたくないと思ってきている人を、手術に割り付けたときにブラインドがかけられないので、かなりの人間が手術群から粒子線群に移ってしまう、あるいは手術を拒否して、この試験から逃げてしまうという可能性が考えられます。その結果、割り付けてやったはずなのに、結果が出ないという試験が、手術関係の臨床試験で、割り付けをした試験というのがかなりたくさんそういう結果に陥っています。割り付けたほうがいいに決まっているのですけれども、モダリティの違う、特にそういう侵襲性の高いアームを含んだ試験の場合は、割り付けても結果的にバイアスを排除できない可能性が高くあります。
 もう1つ、この試験で陽子線の問題は、陽子線を受けると200数十万円かかってしまいます。受けないほうはただになってしまうところがあります。これを割り付けでやろうと思うと、ここの片方の群の経済的な負担というのを、例えば研究費で補って、どっちを受けても同じ経済的負担にする。かなりそういう環境整備をしないと、現実的に割り付けて、正しい結果を得られるかというと、そこにはかなり現実的な問題があるだろうと。もちろんその割り付けで比較試験をするのがいいに決まっているのですけれども、現状で患者さんの自己負担でやるということであれば、ちょっと現実的に難しいのではないかという気はいたします。
○伊藤構成員 それは手術との比較ではなくて、IMRTとの比較試験でもいいと思うのです。今まで、それがされていなかったがゆえに、陽子線と、通常の放射線との有効性が良いのか悪いのかというのが議論になっています。いつまでたっても保険診療にならない、というのはそこにあるのだろうと思うのです。こういうのは、早めに開発を進めるべきだろうと思います。本来、この機械を作っている会社が全くそういう負担もなく、機械だけ作って売っています、ということ自体がおかしいのです。それを容認していたら、いつまでたってもこのモダリティが国外には出ていかない。日本だけに止まっているのを打破しなければいけないのではないかと思うのです。
 プロトコールを見ても甘いです。今まで、私たちがこの部会で議論してきたものに比べて、オープン試験で甘すぎるのではないかという気がするので、1回は議論をしなければいけないのではないかと思います。
○山口座長 いかがでしょうか。藤原先生どうぞ。
○藤原委員 私も、ずっと批判的には述べています。この品目についてというか、ワンステップ良くなったかな、という理解で最近は見ています。山本先生がおっしゃったところが真実を突いていて、きれいな比較試験を組むのは、計画としては簡単なのですけれども、実施したときに実施可能性を考えると非常に難しいと思って、このデザインを許容しているところがあります。
 資料1-4のロードマップの裏を見ると分かるのですが、今回の先進医療は、国内で陽子線をやっている施設全部が参加していて、中リスクのサーティファイドをどうするかというのは、CRFに記載がないので、本当はちゃんとしてほしいところです。この先進医療Bで、11施設が全部一緒にやりますと。比較試験は、その左下に書いてあるように、今、アメリカで陽子線とIMRTのランダム化比較試験をやっていて、2018年には一旦結果が出ます。プライマリーポイントはQOLなのですけれども、私はそこが一番のタイミングかと思っています。その比較試験の結果が出てきて、QOLが優れていないという結果が出たときに、放射線腫瘍学会が、それでも日本では陽子線治療を前立腺がんに続けますと言ったら、それは厳しく、いろいろな試験をやってくださいと言おうかと思っています。それまでは、IMRTと陽子線の比較試験をアメリカでやっているものを横目で見ながら、これまで勝手に施設がやっていた陽子線が、先進医療Bの中できちっと進んでいくという、1段階目としては許容できるかとは見ています。
 重粒子線のほうも、先日、前立腺がんの高リスクについて通りました。手元の資料で確認したら、相変わらず放医研病院だけで、群馬大病院、九州国際重粒子線がん治療センター、兵庫の県立粒子線医療センターでしょうか、重粒子線を持っている施設が全部入っていないので、それはおかしいと思っています。
 伊藤先生の御指摘から少し外れますけれども、今回は陽子線ですけれども、重粒子線についてはもうちょっと早めにきちっと、日本全国の施設をグリップしていただきたいです。平成28年度の診療報酬改定のときに、重粒子線と陽子線の議論をしたときに、各施設がランニングコストを一番出しているのは、前立腺がんの粒子線治療でした。そこをやめると、各施設は息の根が止まる、運営できなくなります。
 一方で、そういうのがあるからダラダラとやりたいというのが各施設の思惑なのだと思いますけれども、それを許容していてはいけないと思うので、せめて先進医療Bにちゃんと入ってください。あるいは、放射線腫瘍学会がやっているような、先進医療Aでかなり緩いですけれども、統一的な環境下で、その先進医療Aの中で重粒子線と粒子線をやっておいて頂きたいと思うのです。次の平成30年度改定のときに、またそういう評価をすることになるでしょうし、平成32年度改定のときにも見ると思います。今すぐランダム化比較試験をやれというのは、彼らのコミュニティの中では酷すぎるのかなと。それをやらせたとしても、多分実行可能性として症例が入らずに終わってしまう可能性もあるのではないかということを懸念します。
 今走っている先進医療Bとか、先進医療Aも、それに入っていない人たちがいるわけです。多分各施設はそれでランニングコストを稼いでいる可能性はあります。でも今のところ、そこは放っておいているわけです、やさしく見てあげているわけです。そこに全部手を付けるとカオスになってしまうので、手を付けやすいところというか、一番大事なところをまず押さえていこうというのが、今回の先進医療Bではないかと思います。
○山口座長 手良向先生どうぞ。
○手良向構成員 この点については何度か議論していますけれども、肝がんのときに内科治療と比較試験ができないという議論は覚えています。そのときに、結局、観察研究でもいいから、コントロールのデータを取ってはどうかというコメントを出して、最終的にそれを並行してやるという話になったと思うのです。私はランダム化しなくてもいいという意見で、観察研究でもいいので、コントロールのデータを取って、プロペンシティ・スコアとか、いろいろな比較の方法があるので、やはり比較しないといけないと思います。単群試験よりは、その方が科学的レベルが高いのではないかと思います。
○山口座長 他にはありませんか。大門先生どうぞ。
○大門構成員 手良向構成員に御指摘を頂いた点なのですけれども、確かにそのとおりです。回答の中には、別立てでIMRTの前向きのデータを収集するというふうには回答を頂いています。一応、補足です。
○山口座長 柴田先生どうぞ。
○柴田構成員 私は、ランダム化比較試験ができない理由は、先ほど山本先生がおっしゃったとおりだと思います。一方で、こういう議論をするときに、必ずランダム化比較試験をするとしたらどういうことをやるべきか、というところから議論を始めるべきだという意味で、私は伊藤先生の御指摘は重要だと思います。
その結果として手良向先生がおっしゃったような代案が出てくるのだと思うのです。ちょっと戻って、仮にランダム化をするとしたら、この試験はどういうデザインだったかを考えてみると、まず手術可能だけれども、手術を拒否した人の比較対照は、やはり手術の成績ではないかと思います。一方で手術不能でこれをやる方に関しては、手術不能の方に対して今適応可能なIMRTとの比較になると思うのです。それを分けて実施するか、まとめて実施するかというのは、選択肢として両方あり得ると思いますけれども、現状のプロトコールの記載では、手術可能な人のときにはこのぐらいの成績で、手術不能な人のときにはこのぐらいの成績でという議論は、やはり曖昧にされているのです。両方登録されたとして、仮に手術不能例の方のほうが多かったとしたら、閾値は全然超えられないでしょうし、手術可能例の人ばかり登録されたとしたら、それはIMRTの過去の成績よりも良い成績になるでしょう。
 大門先生のコメントのところで、手術可能例を比較対照にせずに、IMRTを比較対照にすることの正当性については一定の説明はされておりましたものの、本来であれば、それぞれの閾値があって、このぐらいの構成比で登録されると思うという前提があって、総合的にこの閾値にするという設定がなされていないとおかしくて、そういう議論がされていないのは伊藤先生の議論から始まらずに、できることから先に議論をしているから、こういうまとめになっているのではないかと思います。
 これは、申請者に対してケチを付けているわけではなくて、このままやると、実際に登録された患者さんの、手術可能で拒否された人と、手術不能の人の構成比によっては閾値を超えられないことになって、この試験の結果、この対象に対しては、陽子線治療は無理ですねという結論を下すことになる、それで本当によいのかというところが詰められていないと思います。
 斎藤先生がおっしゃったグリソンスコアの7点についても、実際にサブグループ解析をするという段に問題になります。そういうところなど結構大きなファクターが曖昧にされているというのは問題です。結果としてこの試験が見込みと違って、キャンサーボードなどを導入して、登録される患者さんの集団が今まで陽子線をやられた先生方だけで決めていた集団と変わってくる可能性があります。そういう場合には全く閾値を超えられないということも起こり得るので、そこはやはり慎重に設定すべきだと思います。そういうところは、伊藤先生の甘いとおっしゃる部分の、ランダム化は無理だろうなと思うのですが、御指摘の甘いと言われるところは、やはりプロトコールを拝見するとあるかと思います。それは、どちらに転んでも、つまり良いという結果の場合でもエビデンスとして緩いと批判されますし、悪いという結果の場合では陽子線治療は諦めなさいということになって、実施者の先生方は不本意な思いをされると思いますので、やはり詰めるべきところはあると思います。
○山口座長 ありがとうございました。他にありませんか。これを見ていて、高リスクのものについては、粒子線とか陽子線と分かるのですけれども、中リスクについて世界を見回してみて、こういう治療が一般的かどうかわかりません。米国では結構いろいろなものが保険収載されていますが、前立腺はこの資料の7、8ページに書いてありますけれども、見当たりません。そもそも対象として、こういう精密なものでやるべき対象なのかという辺りは、斎藤先生いかがでしょうか。
○斎藤技術専門委員 なかなか厳しい御指摘なのですが、ただ有用性に関しては、もういいとは思うのです。余りにも中リスク群というのは幅が広すぎて、そこをきちんと決めておかないと、やはり結果として出すのは難しいなというような感じで考えています。あともう1つは、臨床をやっている者として、先ほどちょっとバイアスの話が出たのですが、最近これだけ先進医療保険というのが一般化してきて、先進医療がいいという風潮があります。実は「私は先進医療保険に入っているのですけれど、これは先進医療はできますか」と、逆に患者さんが希望していくという、これはものすごいバイアスだと思うのですね。ですから、これもやはり考慮しなくてはいけないので、かなり難しいかなという印象を受けます。
○山口座長 ありがとうございます。資料8ページのところに、米国、英国、フランス、カナダで、以下の病態が保険収載されていると書いてあるのですが、この中に前立腺はないですよね。結構、外国ではいろいろな施設でたくさんやっているのにも関わらず、その中に含まれてないものが突然日本で出てくるというのはどうでしょうか。非常に高リスクなものであって、繊細な治療が必要なものは何かコストをかけてもいいような気がするのですけれども、IMRTでもいいかもしれない、ホルモン療法でもいいかもしれない、手術でもいいかもしれない。時にはフォローアップでもいいかもしれないようなものに対して、こういうものは一律に、いいとやってしまうと、何か医療がちょっとおかしなことになる可能性があります。今先生がおっしゃった保険の問題も絡んできて、正にアメリカ型の医療になっていって、どうなってしまうのかなとちょっと不安を感じるのです。その辺り、御意見はありますか。
○斎藤技術専門委員 やはりこういう新しい技術というのは、出来てもトライアルしないと分かってこないのです。そんなことを言うと小線源治療がいいと言って、アメリカであれだけ小線源が増えたのに、現実はもう既に減ってきているのですよね。保険適用になった段階では、もう減り始めている。やはり今、非常に前立腺がんはボリューミーな話があるのですけれども、やはりまだまだ治療として確定していないというか、動きつつあるところなので、やはり1つの技術として必要かなという意見は持っています。
○関原構成員 今の斎藤先生のお話は、この治療を受けた人の中で先進医療を使わない、自費の患者がどのくらいいるのか、調べれば直ぐに分かると思います。小線源は、極端に言えば設備投資が要らないわけです。ところが陽子線や重粒子線は設備投資に何十億から数百億円かかっているから、先進医療保証付きの保険がないとワークしない、ビジネス的にはそういうシステムになっています。これは医療を超えたイシューになるなということ。
 それから山口先生が最初におっしゃった、このキャンサーボードのイメージが湧きません。今回の筑波大学はいいのですけれども、例えば九州の指宿の山の上にある施設の患者は九州各地から来ると思うのです。その都度各地のいろいろな病院とキャンサーボードなんていうのを作って、どのようにワークするのかです。大都市だと中心になる拠点病院があり、キャンサーボードもその都度設けられるが、遠隔地のセンターではキャンサーボードというイメージが湧かないのです。この2点がちょっと疑問に思いました。
○山口座長 キャンサーボードに関しては、今は普通の特定機能病院には全部ありますから、近くの大学に依頼してそこで検討してもらってもいいと思うので可能だと思います。
○関原構成員 それは例えば大分の特定機能病院、これは鹿児島の、これは宮崎のと、その都度、その患者ごとに全部ボードを設けるという話ですか。
○山口座長 やはり1例1例やらないと、駄目ではないかと思うのです。
○関原構成員 そういうことですね。それでやるわけですね。
○山口構成員 例えば、がん研でも1例1例やっているわけですから、特別な治療をする場合は。それほど手間はかからない。
○関原構成員 がん研の場合は、がん研の患者さんが多いわけですよね。
○山口構成員 どうなのでしょうね。
○関原構成員 陽子線・重粒子線センターにおける、キャンサーボードのイメージです。
○山口構成員 おっしゃるとおり、キャンサーボードという言葉ばかりが先行していて、日本ではまだ成熟していないカルチャーではあると思いますが、名前だけで本当の意味でのキャンサーボードとして動いていない施設があることは事実です。確かにそこを余り厳しくしすぎると、できなくなることも事実だと思います。
○関原構成員 そうなんです。
○藤原構成員 斎藤先生にもう一遍ちょっと確認しておきたいのですが、重粒子線だけは高リスクにしていて、今回は中リスクなのですけれども、陽子線が中リスクで、重粒子線が高リスクという必要性がよく理解できなかったのです。
○斎藤技術専門委員 すみません、その件についてはちょっとお答えできません。難しい問題だと思います。
○山口座長 今までの議論を聞いていると、放射線治療に関わる人達によって、本来であればIMRTの成績というのがきちんと評価されていなくてはいけなくて、それに対する比較試験が行われていいのですけれども、それがないままにずるずるやっているのです。今度、IMRTは観察の試験を一緒に行うのです。
○藤原構成員 アメリカのものですか。
○山口座長 日本のです。この研究は。
○藤原構成員 日本でもやっている。
○大門構成員 一応、回答の中には班研究という形で、別に走る予定になっているという回答を頂いています。この成績が出るころには、そちらも上がってくるだろうという回答は頂いています。
○山口座長 でも普通に考えたら、伊藤先生がおっしゃるように、これは極めてありふれた疾患で、IMRTもたくさん日常診療としてやっているのだったら、その成績ぐらい早く出せるはずです。それが分かりませんとか、変わっていますという話ではなくて、いつからいつまでのデータがこれで、いつからいつまでのデータがこれですということをちゃんと出さないと、コントロールにも何もならないのです。そういうものがはっきりしないまま、それをコントロールにしますと言われても困るというところが問題ではないかと思うのです。
 そういうきちんとしたものがあれば、恐らく今の難しい状況の中から、必ずしもランダマイズしなくてもいいことになったと思うのです。その辺りを少し、たがをはめないと、これが終わった時点で88%と92%ですか、そこで差が出るとか出ないとかをどう解釈していいのか、さっぱり分からなくなるような気がするのです。
○伊藤構成員 問題意識として先進医療というのは、テレビコマーシャルなども含めてたくさん出ていて、これが多くの国民に先進医療会議で評価された治療だからいいのだという誤解を招いているような気がしてしょうがないのです。これはあくまで評価をするための試験であって、これが必ずしもいいとは限らないというメッセージをどこかで出さないと、機械を作っている会社が、ぼろもうけするだけなのではないかということが問題意識としてあります。同時に、国民にきちんとした議論がされていることを伝えることが、この会議の必要性ではないかと思うのです。
○山口座長 ぼろもうけしているかどうかは分かりませんけれども、少なくとも投資したものがきちんと使われて評価されて、良いとか悪いとかがきちんとできていないのは事実で、それは無駄遣いといえば無駄遣いになるわけです。でもできてしまったものに関してはどうにか先進医療として評価してあげたいというのも事実だと思うのです。
○伊藤構成員 ただ、このまま行くと、ぼろぼろと同じ施設がたくさんできるのではないか。
○山本構成員 先進医療が保険が適用されたりしてとは思いますけれども、少なくとも先進医療Bでやってくれるだけ、ましかなと。先進医療Aのほうは結局データを集めるのも余りできていないような状況で、ずるずるやっているものが、まだたくさんあります。先進医療Bにやっと来てくれたところで、そこを締めても、むしろ意味がない。ですから先進医療Bで、きたものについて、先ほど柴田先生がおっしゃったみたいに、例えば閾値の設定をもう少し精緻化していただくとか、そういうプロトコールを精緻化していくための議論というのは前向きで建設的な議論になると私も思います。
 例えばIMRTの今までのデータが積み重ねられていないことも問題なのですけれども、それでこれが駄目ということもちょっと難しい。そう言い出すと、どの領域にもそういうことはいっぱいありますので、ここだけをもってして、この申請者に全部その責めを負わせるわけにもいかないと思います。このプロトコールはプロトコールで、できるだけ良いデータを取ってもらうために、どういう形で精緻化していくかは十分に議論すべきだと思います。
○藤原構成員 伊藤先生の今おっしゃったことは私は賛成で、先進医療技術審査部会の議論というのは非常に大事だと思うのです。その中で、ここで余り厳しくやったら、最近は患者申出療養という制度がありますから、多分そちらに行くと思います。ですから先進医療Bでちゃんと見ておくのが大事だと思います。
 もうけているのは医療機関ではなくて、都道府県の政治をやっている人達とか、作った人達で、そちらの方が、よほど問題だと思います。また、重粒子線施設とか陽子線施設の適正数を算定せずに、やみくもに作ってしまい、結局、ランニングコストが捻出出来なくなって、つぶれてしまうというのも問題です。そこは比較試験ができないとかではない問題が背景にあるので、余りそれをここで議論してもしょうがないと思います。
○関原構成員 藤原先生のおっしゃっているのは、先進医療から外れても、患者申出制で治療をもとめることになるということなら、先進医療保険は使えない。300万円自分で払って申し出てやるかと言ったら、私はそういう患者は殆どないと思います。そうなるのだったら、陽子線・重粒子線治療はそういう治療だと思うのです。患者申出は先進医療保険が使えないわけですから。
○藤原構成員 そこは例えば今日の議題ではないですけれども、これから腹膜播種のパクリタキセルの治療が先進医療にどんどん出てきます。胃癌の場合、先進医療Bで、ある対照群と比較して勝てなかったにもかかわらず、サブ解析で有意差があるからというので患者申出療養に行って、患者申出療養では300万も払っていませんけれども数十万のお金を払って患者さんはその治療を受けている。そして、相変わらず先進医療Bにはどんどん腹膜播種の腹腔内投与のいろいろな癌種対象のレジュメが出てきています。そういうのが最近目立つので、伊藤先生がおっしゃるようにここでゲートキーパーとして是々非々を判断して、なるべく患者申出療養に逃げるようなことがないようにして、科学的な評価を平場で議論しておくのが大事だと思います。
○山口座長 石川先生。
○石川構成員 前から言っている議論ですから、何とかしてもらいたいと思っています。
○山口座長 石川先生に決めてもらおうかと思ったのですが。他に御意見はありますか。
○山中構成員 山中です。この粒子線の関係はさっき山口先生もおっしゃったように、ぐだぐだの歴史が長いので、一気に適正化するのが難しいと思うのです。ゴールは伊藤先生がおっしゃっていた方法で評価することだと思います。その前段階として、今回シングルアームの研究をする。ただ、それでもプロトコールの作りが甘いので、柴田先生がおっしゃったように手術可能なのか不能なのかはきちんと決めて、それぞれに対してシングルアームでやる以上は閾値を決めないといけないので閾値を設定する。IMRTの成績はともかく、手術の成績というのは多分きちんとあるのだと思いますので、手術の成績で閾値を決める。手術不能のほうはIMRTの成績を同時に観察研究として取っていくということなので、その部分に関してもきちんとプロトコールに書いてもらって、どういう評価方法をするのかを、きちんとオープンにしてもらう、それで公的な体制、先進医療の下で評価を続けていくというのが一番いいのではないかと思います。
○柴田構成員 既に出た議論の言い換えに過ぎないかもしれないのですが、何の評価もせずに漫然と使われ続けるのではなく、この申請者の先生方はきちんと計画を立てて期限も切って、目標も設定して評価をしようとされてこの計画を出されてきているわけです。それは今までエビデンスがなかったことに対する一歩前進ではあるので、百点満点のプロトコールではないけれども、今までエビデンスがないと批判されてきたところに新しいエビデンスをきちんと出していこうという方向には進んでいるので、そこの部分を妨げないほうがいいのではないかと思っています。
 ただし、そのときに余り緩いことをしてしまうと、今までエビデンスがなかったということの繰り返しになってしまうので、そこは一定のハードルは必要だと思います。その上で先進医療BなりAなりで評価されているというのは、治療法として確立したわけではない、治療法として確立するための評価をしている段階であるというのは、しっかりメッセージとして出さないといけないと思います。それは伊藤先生がおっしゃるとおりで、誤解されているところをきちんとこういうプロトコールでやっているのだということを、一般の方には伝わらないかもしれないですけれどもしっかり議論しておくのが大事だと思います。
 一生懸命出されて来たものを、無下に切り捨てないほうがいいのではないかと個人的には思っています。よっぽど倫理的に問題であるとか、箸にも棒にもかからないデザインであるというのだったら、ちゃんと断るべきだと思うのですが、一定の科学的水準を満たしていて、倫理的にもきちんと適切なデザインであれば、評価をしてエビデンスを出す方向に持っていく必要があるのではないかと思います。
○山本構成員 柴田先生もおっしゃったとおりで、先進医療に関しての発信というか、そこがずっと曖昧になっていると思います。先進医療というのは所詮、評価療養で、保険外併用ですので保険医療とは違うのですけれども、今までずっと保険と併用して使えるぐらい良い医療という形で、何となく厚生労働省もそういう形で曖昧な感じで言ってきた過去があると思うのです。治験も評価療養で保険外併用で同じようにやっていますので、治験と同等な扱いですよと、はっきり言っていただくべきではないか。つまり保険を使うぐらい科学的に有望ではあるけれども、現実的には保険医療にするようなエビデンスのない、要は有効性がはっきりしていない治療であることを、もうちょっと強調したほうが、医療保険がいろいろできるという方向には、それはそれで別に経済活動を止める必要はないと思いますし、そこはやっていただいたらいいですけれども、余りそういう保険に、妙な形で誘導されるような一般市民を増やさないような情報発信をしていただきたいと思います。
○山口座長 ありがとうございました。山中先生どうぞ。
○山中構成員 今のコメントに関して、あと前から思っていたことなのですけれども、公的な試験として医療技術を評価していくということですが、今後いろいろ得られた結果が報告書としてまとまってくると思うのです。ただ、なかなか国民がそれを探しにくいのです。アップロードはされていて、厚生労働省のホームページ上にはあるのですけれども、なかなか試験の結果がオープンに分かりにくいのです。なのでどこかでまとめて、そういったポータルサイトみたいなものを作って、実験的な治療なのだけれども評価してみたらこんな結果でしたというのを分かりやすくしていただけないかと前から思っていたので、コメントしました。
○山口座長 それはもうおっしゃるとおりだと思います。何かありますか。
○医政局研究開発振興課長 山中先生のお話につきましては、私どもも少し考えなければいけないと思っていましたので、検討させていただきます。
○山口座長 他にありますか。これはいろいろな議論が出るいいケースだったと思うのです。いろいろな矛盾もはらんだところですけれども、お陰様で、いい議論ができたと思うのです。そろそろまとめなくてはいけないのですが、伺っていると、百点ではないけれど75点ぐらいでいいのではないかというような印象です。先ほど山本先生がまとめられましたけれども、山本先生、総合評価をお願いします。
○山本構成員 今のところ暫定的には「継続審議」としていましたけれども、最後の回答5が出た時点で「条件付き適」でよいのではないかと考えています。
 ただ本日、具体的なプロトコールに関しての御意見としては、斎藤先生から出たプロトコールで、この患者さんをエンロールメントできるかどうかというところに一番関わる泌尿器科医の要件をプロトコール内で設定したほうがいいのではないかという点と、柴田先生がおっしゃったような閾値の設定を手術例も加味した形で設定し直したほうがいいのではないかという、この2点が確かかなり具体的なプロトコールの修正点だと思います。
 この2つをもう一度新たに考えていただくということにして、この2点であれば、私個人としては「条件付き適」の範囲内で処理できるのではないかと思います。
○山口座長 クリアカットにまとめていただき、ありがとうございます。
○手良向構成員 大門先生に1つ質問です。この症例数設定の方法ですけれども、Brookmeyer-Crowleyの方法ではmedianの信頼区間を推定すると思うのですが、割合が高く、medianをそもそも推定できないと思うのですけれども、それでいいのですか。
○大門構成員 そうですね、推定できないと思います。恐らく生存割合のほうで指数分布を仮定した下で逆算して恐らく出すのではないでしょうか。
○手良向構成員 生存率でできるのであれば、いいです。細かい話です。
○大門構成員 申請者に確認していただこうと思います。
○手良向構成員 できれば、それも今の条件に入れていただきたいと思います。
○一色座長代理 先ほど話題になったデータを並行して取るということについては、プロトコールに書き込む必要はないのでしょうか。
○山本構成員 多分それは別の班研究でされるということなので、こちらからは必ずやってくださいという形でお示しできると思うのですけれども、このプロトコールの中に書き込むのは難しいと思うのです。あるいは将来の解析をするときにそういうものを参考としてやることを少し書くことは可能ですか。難しいですか。できる範囲で反映できるかというところを申請者に照会することは可能だと思います。
○山口座長 私も非常に重要な御意見だと思います。
○山中構成員 ずっと議論を聞いていると、RCTではないにしろ、比較をするというところは1つ重要なポイントだったと思いますので、できればプロトコールの中に、そういう予定であることぐらいは書いておいてほしいと思います。
○山口座長 伊藤先生、他に、何か条件を加えますか。
○伊藤構成員 やっぱり比較対象がないままにオープンで効いたと言われるのは嫌なのです。ですから可能であればこの人達に大変気の毒ですけれど、今までの試験がそれぐらいのハードルだったような気もしますので、何らかの形で比較対照をどのように取るのかは、プロトコールの中に入れていただきたいという気はします。
○山本構成員 照会事項として投げて、検討していただこうかと思いますただ柴田先生がおっしゃったような手術例を参考にした閾値を設定し直すというところで、ある程度、事前のハードルを決めてやることになるので、この結果、単独であっても失敗か成功かということについては一定の結果は出ると思います。
○山口座長 ありがとうございました。他に何か、条件付きですので条件を言っていただけますか。それでは事務局が大変でしょうけれども、条件を整理して皆さんに確認していただき、取りまとめた結果を各委員に問い合わせたうえで、同意がえられたらこれは一応「条件付き適」としてよろしいですか。
○医政局研究開発振興課長 すみません、非常に条件が難しい感じもしましたので、事務局としてもちろんお回ししますけれども、なかなか調整できないときは、もう一度お願いする可能性もありますので、それはよろしくお願いします。
○山本構成員 ちょっと担当者だけで対応できない場合には「継続審議」に変更させていただくかもしれません。
○山口座長 最終回答がギリギリだったので、ちょっと向こうにも我慢してもらわないと駄目だと思います。
○石川構成員 これまた先進医療会議に来るのですよね。ですからそのときこの議論をちゃんと整理しておいていただかないと、また同じ議論を藤原先生もいらっしゃるし、これは落ちたら届出ですからどうのこうのとなるのは嫌ですから、ちゃんとまとめておいていただいたほうがいいと思います。是非お願いします。
○山口座長 ありがとうございます。それでは一応条件付き適ということです。ありがとうございました。続きまして、2件目の新しい申請技術の評価結果を、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1の15ページを御覧ください。御評価いただく審議技術は、整理番号74、バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生治療です。適用症はバージャー病による重症虚血死となっています。申請医療機関は京都府立医科大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当は掛江構成員、山中構成員、以上となっています。なお、手良向構成員においては、本技術申請者と同じ施設に御所属されていますことから、本技術の審議に際し一時御退席いただきたく存じます。誠に恐縮ながら御協力のほどよろしくお願いします。
(手良向構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-9の71ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明します。
 1.実施責任医師の要件です。診療科は、循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれか。資格については、循環器内科又は総合内科専門医又は心臓血管外科専門医。当該診療科の経験年数は5年以上であること、当該技術の経験年数は1年以上であること、当該技術の経験症例数は実施者として5例以上であること、その他、バージャー病以外の疾患に対する自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の経験が術者として5例以上あること。
 2.医療機関の要件です。診療科は、循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれか。実施診療科の医師数は、実施診療科において、循環器内科又は総合内科専門医又は心臓血管外科専門医が2名以上常勤として配置されていること。また、血管再生治療の経験年数として3年以上を有する医師が1名以上いること。他診療科の医師数は、経験年数5年以上の麻酔科医が1名以上いること。その他医療従事者の配置として、輸血を実施する部門が設置され、常勤の医療従事者が配置されていること。病床数は200床以上であること。看護配置に要件はありません。当直体制は、循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれかであること。緊急手術の実施体制及び院内検査(24時間実施体制)を要件とします。他の医療機関との連携体制に要件はありません。医療機器の保守管理体制を要件とします。倫理審査委員会による審査体制は、3か月に1回以上及び必要時開催が可能な施設であること。
 医療安全管理委員会の設置を要件とします。医療機関としての当該技術の実施症例数は5例以上であること。自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の経験が5例以上あることとなっています。その他の要件はありません。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。では、これらの要件について何か御意見ありますでしょうか。この様式9です。特にありませんでしたら、一応様式9号についてはこのままお認めすることにします。
 次に、真田構成員より概要の説明と実施体制の評価についてお願いします。
○真田構成員 真田です。よろしくお願いします。先ほど議論が盛り上がりましたので、多少急ぎめに進めたいと思います。本技術を簡単にまとめてあるのが資料1-8の技術の概要のところです。末梢閉塞性動脈疾患と言われる、足の血流がいろいろな理由で悪くなる病気の中で、閉塞性血栓血管炎、いわゆるバージャー病という病気に対して、この図にあるように、全身麻酔下で患者さん本人の骨髄液をまず600mLほど採取したものから、自家骨髄単核球細胞を分離して濃縮するというもので、濃縮したものを、この3番の図にあるように、血流が悪くなっている足の所に直接インジェクションするわけです。それで血流の改善を期すという、ざっくり言えばこのような治療法です。この治療法は69ページのロードマップを見ていただいたらよいのですが、既に先進医療Aとして実施され、その実績もあります。ただ今回、先進医療Bへの移行を求められている技術の1つと認識しています。この技術の位置付けですが、これは再生医療等新法の管轄を受けると理解をしています。これは自己の細胞で、まず遺伝子導入をしたり培養したりせず、分離、濃縮するだけなのですが、同じ目的である相同利用ではないために2種と判定され、特定認定再生医療等委員会を経てこちらに上がってきていると理解をしています。このタブレットの資料の567ページに、彼らがPMDAに個別面談を行った記録があります。これによりますと、この技術自体は再生医療等製品、つまり薬事承認を要求されるようなものではなく技術として理解されるということですので、ロードマップに戻っていただくと、この技術は先進医療として有効性が認められた場合、直ちに保険収載が検討されることになります。
 そのような前提をお話した上で、どのような試験計画かと言いますと、届出書、タブレットで言いますと264ページに図が書いてあります。まず、標準治療で観察期間中対応可能と判断される症例を対象に、再生治療群と標準治療群13例ずつにそれぞれ割り振って、再生治療群にはこの治療をやる。標準治療群は今までの標準治療によって経過を観察して、3か月後まで観察して比較した結果をもって、この試験の結果とすることになっています。私のほうは、まず個別には体制の評価を承っていましたが、この技術を理解するのに最低限必要であることについて御説明したいと思います。まず、これは先進医療Aで実施されていましたこの試験計画書では、2008年の循環器学会ガイドラインを基にこの試験が計画されているのですが、このガイドライン自体が2015年に改定されています。改定で新しく加わった概念は、この末梢閉塞性動脈疾患というものが、ほとんど動脈硬化性の、ASOと言われるものが大半ですので、まずその疾患を中心に整理され、今回の閉塞性血栓血管炎、いわゆるバージャー病がこのガイドラインの中には少しだけ、このタブレットの694ページに述べられている割とまれな疾患として整理されています。どうして、このまれな疾患を対象としたかといいますと、彼らが2008年にTACT研究と言われる臨床試験を行っていて、これは背景のところ、実施届出書のタブレット272ページ、実施計画書のタブレット404ページに記載されています。これは、末梢閉塞性動脈疾患全てに対して、この療法をやった結果であり、国内多施設で実施した結果です。この結果を詳しく解析してみると、この末梢閉塞性動脈疾患の中でも、このバージャー病に対する効果が特に良かったということなので、そのセグメントに対してこの効果を実証しようという試験と位置付けられていると理解しています。
 もう1つこのガイドラインで変わった点は、新しいガイドラインと古いガイドラインというのは、タブレットの一番最後、664ページのところに、新しくWIfI分類という、閉塞性動脈疾患のいろいろな臨床症状を総括的に評価して、その複合評価で足の大切断リスクを評価しようという新しい分類が提唱されたというところが違うところです。あともう1つ御理解いただきたいのが、この試験の主要評価項目である、いわゆるSPP、灌流圧の評価方法です。これは、足の虚血のところの局所にレーザーセンサーを非観血的に貼り付けます。貼り付けるというか、表からペタッと当ててそれをグルグルッと巻きつけるというだけの話ですが、その貼り付けたセンサーをもって、どのぐらいの灌流圧で、その患部に血流が流れているかを非観血的に判定します。後ほど多分、申請者とのやり取りの中でも出てくるとは思いますが、この評価の値が低い値になってくると測定不能になるのです。ただ、測定不能になる値が、どのぐらいからかというところが、これは低い値だというのは分かるのですが、そこが今一つ固定していない。例えば症例によっては15で測定不能になるかもしれないし、またある別な人では10で測定不能になるかもしれないし、その辺がよく分からないということなので、例えばこれは厳しく変化量を求めたときに、それを評価しにくいということは、恐らく後で山中先生からも御言及があるものと理解しています。
 そのような前提を御理解いただいた上で、まず私の担当範囲について御説明します。資料1-6です。実施責任体制及び実施医療機関の体制というのは、今まで先進医療Aで実績のある医療機関ですし、論文の発表状況や治療の実施状況から見ても、京都府立医大さんは全国をリードしている医療機関の1つと理解することはできますので、これは「適」と考えてもよろしいと思います。それから医療技術の有用性ですが、先ほども言及しましたTACT研究というところで、多施設共同治験で特別な疾患セグメントに対する有効性が約80%と読まれていて、これがもし本当であればかなり有用性があると理解できるので、この試験を走らせる妥当性そのものについては理解できるだろうということで、私はいろいろ指摘項目を挙げましたが、主な指摘は山中先生に御担当いただいた統計のところや、掛江先生に御担当いただいた倫理のところとも多少被っていますので、私の説明は取りあえずここまでとさせていただきます。
○山口座長 分かりやすくありがとうございました。それでは次、掛江構成員の倫理的観点からの評価について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 倫理的観点からの御評価です。資料1-6の37ページを御覧ください。同意に係る手続、同意文書及び補償内容について「不適」との御評価を頂いています。コメントとして、コントロール群に割り当てられた場合にどのような治療になるのか、また標準治療で回復の見込みがないという判断が、いつ、誰によってなされているか等、被験者候補者の方々に対する本研究の説明において十分に説明されているとは判断できませんでした。さらに、採取する骨髄液の量及び細胞移植に用いる量と検体保存に供する量等についての説明がなく、唐突に検体保存の同意が求められているのは説明不足であり、また新法に基づく検体の長期保管と研究利用のための検体保存の説明が各々曖昧で被験者には理解されないと考えます。補償については具体的な記載がなく、その内容が妥当であるか判断できませんでした。以下、具体的修正すべき点をお示しいただいています。
 次に、実施条件として、コントロール群に割り当てられた場合に具体的にどのような治療になるのか、また標準治療で回復の見込みがないという判断もどこで、どのようにされていて、被験者候補の方々に本研究の説明がされているか分かりにくいので、適切に追記修正をしてください。以上のコメンドを頂いています。
○山口座長 ありがとうございました。それでは続いて、山中構成員から試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○山中構成員 山中です。私のほうは、39、40ページに評価の結果を書いています。40ページで、有効性及び安全性の評価方法を現段階では不適としています。有効性の評価方法が検討を要するかと思ったので不適にしました。その理由を以下に述べます。主要エンドポイントはSPPです。それで、SPPの30mg以下が登録されるのですが、どういったときに治療法が有効かというと、主要エンドポイントのSPPが30以上に改善した場合を有効であると定義しています。その理由は、ガイドラインでSPPが30から40以下ですと組織の治癒が困難になるということで、30未満の症例が30以上になったらいいのではないかということで有効と定義しています。30以上になったら有効ということなのですが、ただベースラインが例えば20から30に上がるのと、29から30に上がるのだとちょっと訳が違うと思うのです。例えば登録された全例が仮に29だったとして、それが全員30になったとして有効率100%ということにどれだけの意味があるのかということだと思うのです。そこを考えると、ベースラインのSPPからどれだけ治療後のSPPが変化したのかとかという、治療前後の比較で見ればいいのではないかというのはすぐ思い付くのですが、そこに1つ問題があって、20以下のSPPの症例は検出限界、統計の用語でいうと左側打切りということですが、検出限界の問題があってベースラインが幾つか分からないという問題があります。それで、治療前後の比較というのが必ずしもできないという問題があります。その辺について申請者にも照会はしたのですが、私のほうでも完全に納得がいかなかったものですから今は不適としています。一番の問題はその点です。その点を検討してほしいと思いまして「不適」にしました。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、真田構成員から事前のまとめと総合評価をお願いします。
○真田構成員 今の山中先生、掛江先生の御議論とも関連しますが、まず私がやり取りしたところが、この資料の43~59ページまでの間で、申請者との間で3回やり取りをしたわけです。そこでまず議論になったのはバージャー病の診断基準です。これは実は、ガイドラインにも塩野谷の基準というものが、今資料51ページを見てお話していますが、5つあります。これが1、2、3、4、5全てを満たすか、1、2、3、5の亜型、このいずれかがバージャー病の診断基準と認識されています。実は、閉塞性動脈疾患全体でもこの治療は、ある程度有用と言われているのですが、バージャー病に関しては欧米でも報告があって、非常に有用だと言われてはいますが、実はガイドラインの中にも、欧米の評価基準というのはこれが厳密に満たされていない試験が多いためにその評価は余り参考にならないと書いてあります。ですからエビデンスとしては、この基準をやはり厳格に満たす人に対してやってほしいということがあります。ただ、これは50歳までの若年発症ということが証明できて、そのときに血管造影検査をやっていなくてはいけないという基準があってそれを遡って完全に満たすというのは難しい。ですので、基本的にはバージャー病と診断された患者さんということで、一応、登録段階でのこの診断基準の充足状況をきちんと記録するということで妥協をしたわけです。
 次に先ほどのお話です。灌流圧(SPP)は、30未満のところが今回のトピックになっていますが、先ほども山中先生が言われたように、これを層別に20以上と20以下で分けるという話になってきたのです。20以上というのは、要は割と正確な測定は可能ですが、先ほど山中先生がおっしゃったように、30を超えるか超えないかということになってくると、コントロール値次第では増加量を見ていない限り、効果判定が曖昧になりかねない症例があるという問題がある一方で、20以下というのは、20以下から30に上がるというのは誰が見ても劇的な改善なのですが、そこを変化量に求めた場合は、測定可能限界以下というところの値を捉えにくいために、どれだけ増加したのかが分かりにくく、この2つの群で効果の評価の仕方に関する根本的な違いがあるのではないか。そこについて今一つ論理が詰められていないような印象を受けました。
 もう1つ、この試験の枠組みに関してです。実は、タブレットの278ページを見ていただくと分かるのですが、試験計画書のまとめのところに何と書いてあるかというと、再生治療群はそのままそこでやると言うのですが、標準治療群が、従来の標準治療のみで経過観察3か月やって、その観察期間の終了後に再生治療を提供すると書いてあるのです。ところが、このプロトコールでは、この観察期間の終了後の治療プロトコールについては規定しないと書いてあるのです。ですからここにまず矛盾があるのです。規定しないのにどうして再生医療を受けると決まっているのだと。では、そこから演繹すると、この再生医療を標準治療の方が受ける期間についてこれを試験期間とするのかどうか。更にこれをどういう枠組みでやるのか、それをもっと突き詰めると、これは実はシングルアームでもいいのではないかと、山中先生が御指摘をされていたようなことになるのですが、そういうかなり深い議論になってくると思うのです。そこについての考察も、まだ十分になされていないのではないかという印象を受けました。
 そういうことが諸々ありまして、私の総合評価としては「継続審議」とさせていただいています。41ページを御覧ください。先ほど申し上げたようなSPP値に関する評価方法について、やはり20未満と20以上30未満というところの発想の違いというのをどのように評価に生かすのかというところをもう少し考えていただきたいというところと。あと、これは掛江先生からも御指摘があったのですが、標準治療について、あらゆる保険収載の標準治療をやっても効果がないと確認された患者というのがこの登録基準に明記されています。確認されたということは、あらゆる標準治療で効かない。では、効かないとわかっている人に観察期間で更に何をやるのですかということが1つ問題です。それから、全部やっても効かないと分かっているということは、これは恐らく改善率0%と読めるのですが、では、改善力0%と読めるところをコントロール群にわざわざ置く必要があるのかというところも考察が必要ということになると、やはりもっと深い議論が必要になるのではないかと思います。それに関連したところで、3つ目のプロトコール試験治療と試験期間について、標準治療で3か月やられた後に再生治療をやりますというところの扱いをどうするのだということについても、これは齟齬がないようにまとめていただきたいということがあります。
 それと、掛江先生のところと重複しますが、補償と賠償の考え方については、こちらは実は、試験計画書にこと細かく書いてあって、これを抜き出してみました。補償については、「試験に係る被験者に生じた健康被害によって、云々、「医療費」「医療手当」及び「補償金」からなると定議されていて、「被験者に健康被害が生じた場合、実施医療機関はその治療に関する医療の提供など必要かつ適切な処置を行う」と書いてあるのですが、この健康被害が「適正使用によって生じて試験機器との因果関係があると実施責任者が判断した場合、実施責任者はその補償費を負担する。ただし、医療費、医療手当は支払われない」と書いてあるのです。ということは、この文を念頭に同意文書をひもといても、この実施責任者がどういう基準で判断するのかということは書いていないです。これは因果関係がある場合でも医療費を提供しないと読めてしまうので、これはちょっと倫理的に少し考えたほうがいいのではないかと。今、がんなどでは臨床研究補償保険を受けてもらえないところもありますが、そのような正当な理由があるのかないのか。今、再生医療でも割と研究補償保険は認められる方向にはありますので、そういうものを検討しなくてもいいのかというところを今一つ考えていただきたいというところと、あと、掛江先生から御指摘があった詳細な項目について御検討を頂きたいということで、ちょっと検討項目が多いので「継続審議」にさせていただいたというところです。
○山口座長 ありがとうございました。何か質疑がありますか。かなり細かくお話いただきましたが、倫理的な問題とか、それから肝腎な有効性の評価も大きな問題がありますし、今、縷々述べていただきましたが、かなりこのまま、すっと通すのには難しいということが説明されましたが、どうですか松山先生。
○松山構成員 3点あります。1点目は小切断の取扱いをどうするかで、かなり私は議論になるだろうと思います。2点目は、600ccというかなり大量の骨髄液の採取に関して。3点目は、そもそもモードオブアクションが何かということが非常に曖昧。なぜ効いているのかということが、再生医療をやっている方々は、やりたいやりたいという方が結構多くて、宗教みたいなものが多いのです。私も再生医療をやっていますが、例えばASOには効かずに、本当にTAOで効いていることがある。では、なぜTAOでは効いているのかと、これは非常にサイエンスベースが弱くて、統計的に正しいことが真に正しいのかという問題があって、やはりちょっとどうかなというところがあります。小切断と骨髄液に関しては、ちょっと時間も迫っていますので事務局のほうに、取りまとめてメールで送らせていただこうと思います。
○山口座長 ほかにございませんか。
○一色座長代理 SPPの件です。臨床でやっているとSPPは非常にばらつきが大きくて、これをプライマリーエンドポイントに持ってくるということ自体にかなり難しい問題があります。血流低下がひどいほどデータが不正確になるため、きちんとした数字としてデータを出すのはほぼ不可能だと思うのです。もう1つは、プローブの位置と血流障害の位置とが一致しないと検出能力が落ちてしまうという本法の限界です。つまり、本法はフォールズネガティブとポジティブのリスクが両方あり得る検査法なのです。ただし、良い値のデータは信用できる。ですから、30以上という今回のしきい値にはそれなりの根拠があると言えると思います。SPPの幅でもって改善度を評価するということは臨床的には行われていませんので、それを求められると対応が難しいように思いました。
○山中構成員 ありがとうございます。ただ、例えばベースラインのSPPが29とかの症例をどうやって評価するかというと、例えば臨床的に意味のある差、最少の差としてやはりプラス10ぐらいは求められるのではないかと思うのです。20の症例は30に、30の症例は40に、実質、治癒が困難なのは30から40以下の場合となっていますから、29の症例はやはり39ぐらいまで求めてもいいのではないかと考えております。
○一色構成員 その値が必ずしも一致しないというところが一番問題だと思うのです。
○山中構成員 いや、そうするともうそもそもSPPを主要エンドポイントに用いることが難しくなってくると思うのです。
○一色構成員 私が申し上げたかったのは、SPPだけがプライマリーエンドポイントになっているので、これだと、例えばプライマリーエンドポイントはネガティブだったけれど潰瘍の改善は良かったとかというデータが出てきて、前の温熱療法みたいなときのと同じで、サロゲートのエンドポイントが出なかったけれど、ほかのエンドポイントでは陽性になることがあり得るのです。その辺も含めて御検討いただきたいと思います。
○山中構成員 SPPの主要エンドポイントについての私からの補足です。今回、ランダム化をすることになっています。それで、コントロールアームはすべての標準治療に耐性ができて、それでも姑息的に標準治療を、保険収載されている治療をやるという治療アームですので、主要エンドポイントが何であっても改善がなかなか見込めないのではないかと思うのです。それで、そう思って申請者にコントロールアームでSPPが30以上に改善する割合はあまりないのではないのですか、ゼロ%ではないのですか、と言ったら、通し番号の65ページを見ていただきたいのですが、申請者も、「御指摘のとおり標準治療後に関しては、SPP値の30mm以上への改善率はほぼ認めないと推察している、ただそうするとサンプルサイズがかなり少なくなってしまうので、標準治療における
30以上への改善割合を20%に設定した」という趣旨の回答をされているのです。それでは、コントロールアームが当て馬になってしまいます。一方で、介入治療群の成績として、有効率70%~80%というかなりの効果を見込んでいるのであれば、コントロールアームを置くというRCTに固執しすぎているのではないかと思います。今回、この医療技術に関しては、この先進医療を終えて保険収載するかどうかを判断することになりますので、ほかの先進医療もそうなのですが、この先進医療に関しては試験デザインが重要になってきます。シングルアームなのかランダム化なのかに関してはかなり慎重に考えるべきです。あとは、一色先生がおっしゃったように、何が治療の改善なのかを測る主要エンドポイントをもう少し議論しなければいけないかと考えております。
○山口座長 少し短くお願いします。 
○真田構成員 私も今、山中先生や一色先生と同じ意見でした。そこは45ページを御覧ください。私も指摘をしています。やはり新しいガイドラインに包括的な評価項目が加えられて、これは彼らの言い分では、まだエビデンスがないということで、彼らと何回かやり取りしたのですが、最終的にSPPを30の値で閾値にすることを保持されたのです。私は、せっかくコントロール群を置いたのであれば、このエビデンスがないにせよ、この新しい評価項目によって、これが改善したものなのかしないものなのかという、比較は少なくともこの試験でできるのではないかと考えています。ガイドラインにこの新しいものが加えられた趣旨は、やはり包括的な評価をしないといけない病気なのだという認識をしたのです。先ほども申し上げましたし、一色先生が正におっしゃるとおり、このSPPなるものは特に低値では非常に不安定な検査です。ですから、これだけをもって果たしてそのようにしていいのかということがあったのです。ですから、私はこのWIfI基準を是非評価してくださいということを申し上げたのですが、それはまずご理解頂けず、あと、回答3のところ、私もしつこく食い下がって、57~58ページのところに、包括的に評価しないといけないと書いてあり、少なくともWIfIに書いてある項目だけでも充足してくださいと書いたのですが、それもまたご理解頂けませんでしたので、ちょっとここは少し考えていただいたほうがいいのではないかということも含まれています。
○山口座長 分かりました。短くお願いします。
○藤原構成員 これだけもめるのが上がってくるのは京大の特定再生医療審査委員会がきちんと機能していないからではないでしょうか。例えばプロトコールを見たけれど、倫理の専門家の方々が、その委員会にはたくさん入っているのに、ここで相変わらずこのような指摘がでてくるようでしたら、次から再生医療を上げるときには、特定再生医療委員会のクオリティをもう少し見ていただかないと、ずっと「継続審議」ばかりになると大変になると思うので、ちょっと事務局のほうよろしくお願いします。
○山口座長 なかなか伝えにくいでしょうか。
○医政局研究開発振興課長 何とか伝えたいと思います。
○山口座長 そのあたりをうまく伝えてください。
○医政局研究開発振興課長 はい。
○柴田構成員 手短かにコメントします。エンドポイントとその対象の標準治療の考え方について、ちょっと私もよく分からないところがあります。例えば標準治療を使い果たした方に対して標準治療を姑息的にやることが妥当かどうかという話は確かに疑問には思う一方、標準治療を使い果たしたと判断するかどうかは、やはり診断であるとか判定の曖昧さによって明確ではない部分があるので、つまり、その人はもうずっと底を這った成績しか出さないのか、というのはちょっと分からないのではないかという疑問が1つあります。
 もう1つは、WIfI基準の話は確かに御指摘のとおりなのですが、診断基準としての妥当性と、効果を評価するエンドポイントとしての妥当性はやはり区別しないといけない部分はあると思うので、御回答いただくときにその辺のところもディスカッションしていただければどうすべきかという判断がしやすくなるのかなと思いました。
○山口座長 委員の先生方は大変だと思うので、この委員会で全力を尽くして対応していただいて、次回に適切な回答が返ってくるかにしたいと思います。結論としては「継続審議」、これはもうどなたも異論ないと思いますので、ここでちょっと議論を打ち切りたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、手良向先生にもお戻りいただいてください。大変でしたね、これは。何かまた更に大変になるかもしれない。
(手良向構成員着席)
○山口座長 手良向先生、ありがとうございました。
 試験実施計画の変更について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療Bの試験実施計画の変更について、5件の申請がありました。資料2-1、73ページを御覧ください。
 1件目、福島県立医科大学附属病院からの申請で、告示番号7、重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植です。試験期間は2011年2月から2019年5月まで。予定症例数は20例。今回の申請時点で6例となっています。
 御審議いただく内容は、登録期間の2年延長に伴う試験期間の2021年5月までの延長です。変更理由としては、試験期間内の目標症例数達成が困難であるため。また、症例登録が進まない原因としては、膵島移植のドナー不足であるとし、対応策として、臓器移植の同意取得時に膵島移植の承諾を取る。あるいは、ドナー情報を有効に生かす体制整備を行う。膵島移植希望者に対し、パンフレットを送付し、臨床試験参加希望者を増やし、目標症例数の達成を目指されるとのことです。以上です。
○山口座長 ただいまの御説明について、何か御質問はありますか。福島県立医大です。
○藤原構成員 私はAMEDで、当該事業のPOをやっているのですが、研究費の継続等を議論するときに、この膵島移植のものはずっと議論の対象になって、延びてきて今に至っているものです。例えば、研究開発振興課さんか医療課さんとAMEDの当該事業部などで、折衝をしていただいて、もうそろそろこの試験はさすがに継続難しいですよというようなところを、なかなかPOだけで判断するのは難しいので、検討しておいていただきたいのです。これはまた必ずPOに来て、「これ、継続するのですか」という話になるので。ずっと永遠に、この品目は繰り返しているので、そこは何か事前調整をAMEDさんと厚労省さんで話しておいていただきたいと思っています。
○山口座長 確かに先進医療でずっとやっていると、AMEDでも切れないですよね。それを盾にやってくる人もいるので、是非厳しくやっていただきたいものです。確かに遅いことは遅いのですが一応、延期についてはお認めしてよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、告示番号7の変更については認めることにいたします。
 2件目の試験実施計画変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、77ページです。大阪市立総合医療センターからの申請で、告示番号25、オクトレオチド皮下注射療法です。適応疾患は、先天性高インスリン血症です。試験期間は2014年1月から2017年3月。予定症例数は7例で、今回の申請時点で7例登録済みとなっています。
 御審議いただく変更内容は、既登録症例の試験治療継続及び評価のため、介入及び評価期間の2年間延長に伴う試験期間の2019年3月までの延長です。変更理由は、登録済みの2症例について、試験治療が有効性を認めており、試験期間内に治療中断が困難であるためとなっています。なお、新規症例登録は行わないとのことです。以上です。
○山口座長 研究自体は症例登録は終わっているのですが、効いているので続けたいので延ばしてほしいという、妥当なことかと思いますが。何か御意見はありますか。それでは、告示番号25の変更については認めるということにいたします。
 3件目の試験実施計画変更について、事務局から説明をお願いします。
(山本構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-3、81ページです。国立循環器病センターからの申請です。告示番号26、アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法です。適応疾患は、急性期脳梗塞となっています。予定試験期間は2014年5月から2017年3月まで。予定症例数は300例。今回の申請時点での登録は77例となっています。
 御審議いただく変更内容は、試験期間の2020年3月までの3年間の延長です。変更理由ですが、試験期間内における目標症例登録が困難であるためとされ、症例登録が進まなかった理由として、本技術の告示後から協力医療機関の申請手続作業に時間を要してしまったとのことです。対応策として、参加施設を国内41施設まで増やされた上で、新たな参加施設を募る。また、事務局の積極的な施設訪問、症例報告メールの送付、啓発ポスター作成など、いろいろ対策を行われているとのことです。以上です。
○山口座長 何か御意見はありますか。スタートが遅れたということで、対策として施設を増やすということと、いろいろなキャンペーンをやったり、ポスターを作ったりして頑張りますという内容です。いかがでしょうか。特にこれも御意見がなければ、告示番号26の変更についても認めることといたします。
(山本構成員着席)
○山口座長 4件目をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-4、83ページです。国立長寿医療研究センターからの申請で、告示番号30、FDGを用いたポジトロン断層撮影によるアルツハイマー病の診断です。登録期間として2014年8月から2017年3月の2年7か月間。予定症例数は190例となっており、現在45例の登録があります。
 御審議いただく変更内容は、登録期間の2018年3月までの1年間の延長です。変更理由として、目標症例登録が困難であるため。また、症例登録が進まなかった理由としては、協力医療機関の申請手続作業に時間を要したこと。また、人事異動に伴う予期せぬ協力医療機関の稼働率の低下があったこと等のことです。対応策として、現在8施設の協力医療機関を11施設へ増加させることで対応するとのことです。以上です。
○山口座長 これも似たような事例ですが、申請手続の遅れ、それから、人事異動で予期せぬ稼働率の低下があったということで、先ほどと同じように、協力施設を11施設に増やすということが述べられていますが、いかがでしょうか。これはあり得ることかと思います。それでは、告示番号30の変更についても認めることといたします。
 5件目の御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-5、87ページです。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号48、骨髄由来間葉系細胞による顎骨再生療法です。適応症は広範囲の顎骨又は歯槽骨欠損となっています。予定試験期間は2016年1月から2022年7月まで。予定症例数は最大29例で83部位。現在は1例の登録となっています。
 御審議いただく変更内容は2項目です。1点目は、変更内容の3.ですが、間葉系細胞の製造工程における検査項目及び検査工程の変更に伴い、原料となる骨髄液の量を20mLから約40mLへ増加すること。また、血清の原料となる血液を、800mLから1,200mLの増加へと変更したいとのこと。2点目は、4.の血清採取のための採血基準のヘモグロビン下限値を、12g/dLから11g/dLへ変更したいとのことです。
 変更理由ですが、3.の採血量の増加については、特定認定再生医療等委員会より、品質確保を目的とした工程管理のため追加試験及び検査方法の変更指示があったため。4.のヘモグロビン下限値の変更については、特定認定再生医療等委員会より、血清採取のための採血基準のヘモグロビン下限値が12g/dL以上であることと、多血小板血漿のための採血基準のヘモグロビンの下限値が11g/dL以上であることとなっており、同一実施計画書内の基準値に乖離があると指摘を受け、こちらを自己血輸血実施基準に準じる形で、下限を11g/dLに統一することとしたとなっています。以上です。
○山口座長 ただいまの御説明に、何か御意見はありますか。
○松山構成員 申し訳ありません。血清の原料となる血液の採取量に関しては、かなり議論をさせていただいた記憶があります。これが、800mLから1,200mLに増えるというのは、かなり大きな変更であって、このままでは認めるべきではないと思います。実際、例えば何回かに分けてやっているか等のもう少し詳細な情報を頂いて、特定認定委員会の審議内容というものを、まずチェックすべきであろうと思います。
 加えて、FBSの使用は不可ということですが、これは、薬事のほうでも生物由来原料基準を満たしている場合には認められて、彼らがどのような議論でこういう形になったのか確認する必要があります。この変更は今は認められないと思います。
○山口座長 確かに1,200mL採るというのは結構大きな変更で、しかも基準も下げるということで、安全性の問題など、やはり相当議論してからやらないとまずいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本構成員 少し変更のところを確認したのですが、1,200mLについては、1回採血量は400mL以下で、回復期間を空けて複数回に分けて最大1,200mLという記載にはなっていますので、そこは一応、安全性は担保というか、確認はしているのかなとは思います。それ以外のことは確認はできないですね。
○松山構成員 この部分で、日赤の献血基準を満たすというのであれば大丈夫だと思うのですが、それと比較してどうかというのは、1,200mL採ってはいけないと言っているわけではなくて、1週間、2週間だと貧血が進行します。そこのところは、日赤の献血基準が一番参考になるので、それに適合しているのか、それよりもハードな採り方をしているのであれば認めるべきでないということです。
○山口座長 少し疑義があるようですので、一度お返しするような形になりますか。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。事務局で、今回の御指摘いただきましたことを申請者に問い合わせて、改めて御確認させていただきます。
○山口座長 また次回、新たに出すということになりますか。あるいは、皆さんに確認してという形になりますか。
○医政局研究開発振興課専門官 今回確認すべきこととしては、血清の原料となる血液を800mLから1,200mLへ増やすことについて、しっかりと安全性対策を求めることと、特定認定のほうへ再度審議を受けさせたほうが。
○松山構成員 はっきりとした根拠、了承とした科学的根拠を挙げていただくということでよろしかろうと思います。FBSのことに関しては、そういう御判断をされる委員会があっても、薬事とこちらとは違いますので、しかるべきだと思いますので、血液のボリュームのところだけお願いします。
○山口座長 安全性に関しては、山本先生がおっしゃっていただいたように、分割してやるので大丈夫ではないかということでしょうか。
○山本構成員 ただ、確認したところでは、「一定の回復期間」という書き方で、具体的に、例えばおっしゃったような献血の基準を使っているかなどというのは、今の手元では確認はできませんので、そこは照会していただいたらいいのではないかと思います。
○山口座長 分かりました。では、それを照会した上で決めるということになりますね。
○医政局研究開発振興課専門官 分かりました。幾つか指摘いただきましたので、こちらは照会事項として投げさせていただいて、次回以降、改めて変更申請でまた御審議いただきたいと思います。
○山口座長 よろしくお願いします。
 次に、協力医療機関の追加に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、91、92ページです。1月は先進医療技術審査部会の開催がなく、開催要綱8、持回り開催の規定により、持回り審議にて御承認いただいた協力医療機関の追加につき御報告いたします。
 これまで大臣告示されている9つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、93~102ページを御覧ください。事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式9号を満たしていることから、協力医療機関の追加としてお諮りし、異議なく承認されたところです。
 続いて資料3-3、103、104ページです。これまで、7つの技術について協力医療機関の追加申請がありました。資料3-4、105~114ページを御覧ください。事務局において、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届書等を確認し、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めざせていただきます。
○山口座長 御意見はありませんでしょうか。では手続を進めてください。
 次に、取下げの4のほうをお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1、115ページです。大臣告示されている1つの技術について先進医療Bの取下げ申請がありました。取下げ理由としては、実施責任医師の退職によるものです。
 資料4-2、117ページです。大臣告示されている1つの技術について協力医療機関の取下げ申請がありました。取下げ理由としては、日本大学については実施責任医師の退職があったとのこと。もう1件の熊本市立熊本市民病院では、熊本地震による施設上の問題により、乳腺内部分泌内科を休診せざるを得なくなったためとなっています。
○山口座長 今のことについて何か御意見はありませんか。では、これも手続を進めてください。
 次に、これは少し難しい問題です。いわゆる非劣性試験の先進医療Bにおける取扱いについて、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、119ページです。背景として、これまで先進医療Bとしての試験計画は保険収載されている標準治療が存在する場合、先進性の観点から、原則、有効性において標準治療に対する優越性を証明するための試験計画を求めておりました。一方で、高い有効性を有する標準治療が増えるとともに、低侵襲性等を主眼とする新規医療技術の開発も進められており、優越性試験の計画が困難である技術が増えています。こうした状況から、有効性において、いわゆる非劣性試験を選択し、事前相談に至るケースが増えています。
 これらの状況を踏まえ、対応方針として、従来どおり原則として有効性における優越性試験を求めることとした上で優越性試験を計画できない場合に、低侵襲化によるQOL改善等を先進性の1つと位置付け、これらを主眼とする新規医療技術に係る、いわゆる非劣性試験についても新たに対象とすることとしてはどうかという御提案です。
 具体的には120ページ上段にありますが、いわゆる非劣性試験を対象とする際に、以下の4つの条件を満たすこととしてはいかがでしょうか。1点目、「有効性」において優越性試験を計画することが困難な技術であること。2点目、保険収載されている標準治療と比較し、副次評価項目において優越性を示し得る試験計画であること。3点目、先進医療部分に係る費用が保険収載されている標準治療の費用と比較し、おおむね同水準以下であること。4点目、非劣性試験において設定される「非劣性マージン」が妥当である臨床的根拠が示されていること。以上、非劣性試験の取扱い案について御審議をお願いいたします。
○山口座長 御意見をどうぞ。
○山中構成員 この1から4までの条件なのですが、1は優越性試験を計画することが困難な場合に非劣性試験をする、ということなのでいいと思います。4番は、非劣性マージンの合理性というのは試験デザイン上、求められてしかるべきだと思います。
 2と3なのですが、2が、「主要エンドポイントに関して同じぐらいで、副次エンドポイントに関しては優越性を示し得ること」とあります。標準治療を新たに作るような、一律にベタッと塗り替えるようなことを狙うような試験であれば、既存の標準治療に比べて成績が同等なだけではなくて、標準治療に比べて何かほかにメリットがあるということを示す目的で、例えば、有害事象がはるかに減るとか、入院期間がはるかに減るとか、そういうことを求めるのはいいと思うのです。ただ、例えば希少疾患で、治療選択肢が少ない場合の治療オプションを増やすような場合に関しては、必ずしも副次評価項目で何か勝ちきらなくても、全て、主要エンドポイントも副次エンドポイントも同様の成績であることが担保できれば、希少疾患の治療オプションとしては成立し得る場合があるのではないかと思うのです。ですので、非劣性試験にも、標準治療をベタッと塗り替えることを目指すことが目的の場合と、同程度に良い治療法を世に出すための、治療オプションを作るための目的のものとがあると思いますので、そこは区別したほうがいいかなと思います。現行の計画は、標準治療を塗り替えるようなデザインの場合を意図しているように思えます。
 3番なのですが、費用、コストの概念を出されていますよね。標準治療の費用と比較しておおむね同水準以下であることということが求められていますが、例えば免疫チェックポイント阻害薬のように数千万円高くなるというのは明らかに分かるのですが、例えば100万円高くなる、それはやはり同水準ではないですよね。ですが、100万円のコスト増に見合うような副次評価項目が劇的に良くなるなどということもあり得ない話ではないので、非劣性試験の申請の際にコストの概念を持ち出すというのは少し難しいかなと思います。もちろん、最終的に親会議の先進医療会議で保険償還するかどうかを決める際には、コストの概念は必要になってきますが、まずは安全性と有効性の部分を先進医療技術審査部会で審査をして、その後、最終的にコストが高いかどうか、非劣性がコスト増に見合うかどうかという議論は親会議で総合的に議論をするというのがいいのではないかと思っています。入口でコストの話を持ち出すというのは、少し難しいかなと思っています。以上です。
○真田構成員 今の山中先生の御指摘の希少疾患のところは、私もそのとおりだと思います。それから、標準治療との比較といった場合に、私も2番と3番は、これは書きぶりの問題なのかもしれませんが、少し確認しておきたいことがあります。
 1つは、保険収載されている標準治療と比較して、副次評価項目において優越性と書いてありますが、副次評価項目は、1つの試験の中で複数立てられることがあります。こうやって技術が新規に議論される場合には、有効性に対しては同等であっても、どの副次評価項目が有効であればこの試験はサクセスとするというふうにこの先進医療では読むのかということに対しては恐らく議論がされるとは思うのですが、最終的な評価の段階は何年も先の話になります。必ずしも最初に喧々諤々と議論したことが反映されるかというと、ちゃんと書いていないと、必ずしもその限りではないのではないかという不安があるというのが私の懸念です。ですからそこは、ちゃんと事前に決めた、この副次評価項目が優越であるということが証明されることが、この試験の先進医療としてのサクセスであるということをどこかに書いておいてもらうというのがベターなのではないかと思いました。
 3番目は、もっと書きぶりの問題かもしれませんが、「先進医療にかかる費用が」という所です。これは、まずリプレイスメント治療、つまり、標準治療のところと新しい先進医療のところで何かが置き換わるということであれば理解できるのですが、アドオンの治療では、最初から高くなることが分かっているのです。そこの部分だけ余計にかかるわけですから。それに対するこの費用対効果なるものをどういうふうに解釈していくのかというところが、少し議論が必要なのではないかというところ。
 あと、「先進医療部分にかかる費用が」というのは、これは保険外併用療養の保険で給付されない部分のところですよね。一方標準治療の費用というのは、保険収載のところ全部ですよね。というふうになると、何か比較の対象が少しいびつになっているように読めないこともないので、そこは書きぶりを整理していただいたほうがいいのかなと思います。つまり、先進医療部分にかかる費用というのは、バックグラウンドについている保険の費用と先進医療の費用を足した費用が全部の治療費用で、それと標準治療の費用を恐らく比較するのだという認識でおりますので、そこの差分の書きぶりを少し考えていただいたらいいと思います。
○山本構成員 非劣性試験をしたくなる場合というのはいろいろな状況があるということで、1番と4番はいいとして、2番は、優越性と言ってしまうと、結局、単独のどれに当たるのかという話になってしまいますから、やはり保険収載されている標準治療と比較して、副次評価項目において臨床的意義、臨床的有用性を示し得る試験計画であるという言い方にしていただくほうがいいのかなとは思います。
 コストについては、臨床的意義がどのぐらいあって、それに見合うコストかというところが一番重要になってくるとは思いますので、そこも、いきなり同水準以下と言われると少し困りますので、やはり非劣性試験を組みたくなる状況というのが、標準治療はあるが、まだ十分納得できない、それではまだまだ足りないという状況があって、その上で、より使いやすいもの、あるいは非侵襲的なものを探していくということになりますので、例えば、標準治療が外科治療で、それはいいけれども、結構侵襲も高くて、その後に起こる有害事象というか、それで結局、臨床的なコストが最終的には膨らんでしまう場合には、例えば、薬や違う治療で、そこのところは膨まない、そちら側の医療コストは少し高いけれどもトータルで見たらとんとんになるのではないかとか。そこのコストの考え方はすごく難しいので、やはり臨床的意義が、ある程度あって、それに見合ったコストであるということが計画からある程度了解可能であるということが重要なのかなと思いました。
○山口座長 多分、皆さんの意見は御一緒で、同じぐらいの有効度がある薬、では何で増やすのかということがはっきり分かるようにしなさいと。それから、では、それがこれぐらいよくなる、選択肢が増えるなどというようなことがあるのだけれども、それがコストに見合うものかどうかということで言ってほしいと。高いとか安いとかではなくて、そういう評価をしてくれということですよね。
○山中構成員 その点は、優越性試験も同じだと思うのです。優越性試験については、今、コストの概念は技術評価部会には持ち込んでいませんが、モデレートな上乗せ効果の一方で、ものすごく費用がかかるということであれば、それはなかなか保険収載されにくいという判断もあり得ると思うのです。ですが、そういうことは、今、優越性試験においては議論していません。一方で非劣性試験に関してはそこを議論するというのは、少し非対称かなと思います。
○柴田構成員 今、山中先生がおっしゃったところは、私も少し気になるところで、非劣性試験の場合には問題になるけれども、優越性試験の場合にはフリーハンドになるというのは少し整合性がとりにくいのではないか。逆に言うと、全然勝つ見込みがないのだが、優越性試験だと主張して組んできてしまえば、本当は勝つ見込みもないが計画上は優越だと主張してしまえば、幾らをつけてもいいのかという話になってしまうので、山口先生が御指摘のような論点がないと、少しいびつな計画が出てくる危険性があるのではないかと1つ思います。
 もう1つ、コメントですが、「1.背景等」の○の2つ目に、「原則、有効性において、標準治療に対する優越性を証明するための試験計画を求めていた」と書いてあるのですが、これは事実関係が違うのではないかと思っています。実際には、「骨髄由来間葉性細胞を用いた顎骨欠損に対する骨再生医療」とか、「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」とか。「難治性眼表面疾患(翼状片)に対するハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建」などは、非劣性仮説を示しにいっている試験なのです。つまり、先進医療として、実は非劣性仮説を示しにいく事例というのは、既に議論して認められているものがあるので、2つ目の○については、これまでの先行の承認されてきた、告示に載っている先進医療の話とは少し不整合が生じるかもしれないと思うので、表現は変えていただく必要があるのではないかと思います。
○真田構成員 恐らく、いわゆる非劣性試験というところと、臨床的有用性というところに絡めて試験計画を認めますというふうになった途端に、多分、玉石混淆で、たくさんやってきてパンク状態になるのではないかと、元事務局メンバーとしても懸念するところです。そういう意味では、例えば1案としては、こういう試験というのは例えばどんな試験なのかというところを例示しておいてもいいのかなと。例えば、非常に困ったものは、標準治療で既に高い有効性を示していて、それよりも更に有効と言われたときに、「いや、そんな試験は組めません」というふうなものが恐らくあった。あるいは、先ほど来ありますように、有効性は同等なのだが安全性の面等々で上回るために、トータルコストや患者さんへのベネフィットとしては改善したということを主眼の目的とするというふうな、そういうものを例示してもらうのも1つの案かなとは感じました。
○山口座長 ほかにはありませんか。大体皆さんの意見は分かったと思うので、今の意見を取り入れて、少し直していただいたほうがいいかと思うのですが、何か事務局のほうでありますか。
○医政局研究開発振興課長 若干ですが、先ほどの有用性とコストの話などについても、私どもも十分にいろいろなケースがあることは承知しているのですが、実際問題として、私どものほうに相談で持ち込まれるものに関しては、正直申し上げて、普通に考えてほとんど同じようなものであって、それでこれだけの費用のものをするようなものについては、これはもう試験計画としてこちらで審議するのもちょっと、というようなものも正直ある。
 ただ、申請するという意思については逆らえない部分もあるので、ある意味、ここで多少の足切りに近いところはさせていただければ。ただ、正直、本当に臨床的な有用性なり何なりを考えた上で、費用のところは若干、今の標準治療よりも高くても、それはここで御審議してもらう、若しくは、将来的に本当に広げれば多少価格は減ってくる場合もあるというようなことも考えられれば、当然、こちらで審議をしていただくということはあると思うのです。そういう意味で、逆に「おおむね」ということで、若干そういう意味も含めて書かせていただいているので、無下に足切りするというわけではないのですが、本当にいろいろなものが御相談であるときに、ある程度ここに上がる前に、多少こちらの姿勢として示させていただきたいということで書かせていただいているので、そこを少し御配慮いただきたいと思います。
○山本構成員 事務局の状況はすごく理解するのですが、やはり「優越性」などという言葉が残ること事態が、今の事務局はそういうつもりで運用されたとしても、人が代わったときに、この文言を持ってしてやられることはあり得ることなので、文言として「優越性」や「費用が同水準以下」というものが残るのが少し気になる。
 でも、非劣性試験をやるときの臨床的意義というものが、優越性試験よりも十分高い意義があるときでないと非劣性試験をする意味がないというのは当たり前のことですので、当然、足切りのレベルは優越性試験よりも非劣性試験のほうが高くなるのは、みんな了解可能です。ですから、「明らかな臨床的意義」とか、何かそういう書き方にしていただくほうがいいのかなと。ある意味、ここで書かれたことが、例えば、ほかのクリニカル・トライアルのどこかにはねてしまって、非劣性試験をやるときというのはこういうものだよというふうになると、それはそれで困るのでということです。
○医政局研究開発振興課長 そこについては、「明らかな臨床的有用性」と変更することについては、私どもは異存はありません。
○山口座長 では、これぐらいでよろしいですか。今のようなことを入れていただいて、少し直していただくということで。ありがとうございました。 次に、千葉県がんセンターの取扱いについて、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6、121ページです。経緯について御説明いたします。平成27年12月に発生した「病理検体取違え事故」を受け、平成28年1月部会において、協力医療機関として追加に係る審査の際、千葉県がんセンターからの申請については、医療事故に対し検討した結果が出るまでは保留することとされていました。一方で、外部専門家を含む院内事故調査委員会による報告書が平成28年2月に公表され、平成28年10月部会において再発防止策等の報告を受けましたが、対策の運用状況について追加報告を求めておりました。
 今回、千葉県がんセンターより、医療安全管理体制の強化について、監査結果を含めた報酷を御提出いただきましたので、供覧いたします。資料6として122~126ページにお示ししました。千葉県がんセンターが、申請医療機関又は協力医療機関として改めて申請をしてよろしいか、御審議をお願いいたします。
○山口座長 これは、まだ実績がないと、体制を作るというだけでは駄目だということで、一度返したのですが、ちゃんとやっていますという報告が上がったということです。いかがでしょうか。千葉県がんセンターが申請医療機関又は協力医療機関として申請してよろしいかということです。
 計画もしっかり立てられて、実績もあるようですので、お認めしてよろしいでしょうか。では本件を認めることといたします。
 次に、先進医療会議の審査結果等について御報告をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料7-1、113ページです。2件の新規申請技術について、本年1月12日の先進医療合同会議にて審議されています。
 1件目、整理番号107、進行期乳房外パジェット病に対するトラスツズマブ・ドセタキセル併用療法です。申請医療機関は慶應義塾大学病院。2件目、整理番号108、治癒切除後小腸腺がんに対する術後化学療法。申請医療機関は国立がん研究センター中央病院です。これら2つの新規技術につき、合同会議にて、それぞれ「適」との御評価を受けております。
 次に資料7-2、177ページです。平成28年6月30日時点で実施された先進医療の実績報告について、先進医療会議における提示資料を供覧いたしますので、適宜御確認ください。
 続いて資料7-3、191ページです。暫定的に先進医療Aとして実施している技術の取扱いについて、先進医療会議における提示資料を供覧いたします。概要としては、平成29年4月1日以降も同技術を継続して実施している患者が存在している期間は、告示からの取消しを猶予するもの。新規患者の組入れについては今後認めないこととなっています。以上です。
○山口座長 何か御質問はありませんか。これは報告ですね。よろしいでしょうか。
 次に、平成29年度先進医療技術審査部会の開催予定日についてお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料8、195ページです。事前にお伺いしておりました日程調整の結果を踏まえ、開催日時を予定させていただきました。何とぞ皆様の御出席を賜りますよう、御予定のほど、よろしくお願いいたします。
○山口座長 本日の議題は以上です。何か皆さんから御質問などはありますか。今日は大変案件も難しかったのですが、次から時間内に終わるように努力いたしますので、御協力よろしくお願いします。
 次回の日程を、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程ですが、翌3月の開催については3月16日(木)16~18時の予定とさせていただきます。場所については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第53回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第53回先進医療技術審査部会(2017年2月16日)

ページの先頭へ戻る