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2020年7月31日 第3回精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

令和2年7月31日(金)14:00~16:00

 

○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14A
(東京都港区赤坂2丁目14-27 国際新赤坂ビル 東館)

 

○出席者

朝比奈構成員、伊澤構成員、岩上構成員、江澤構成員、岡部構成員
奥田構成員、小幡構成員、鎌田構成員、神庭構成員、吉川構成員
小阪構成員、櫻木構成員、櫻田構成員、田村構成員、中島構成員、
長野構成員、野口構成員、中原構成員、長谷川構成員、藤井構成員、山本構成員

○議題

(1)第2回検討会の主な意見・精神科救急医療体制整備に係るワーキンググループの開催について
(2)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける地域精神保健について
(3)その他

○議事

 

○友利精神・障害保健課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第3回精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会を開催いたします。本日司会進行をさせていただきます精神・障害保健課の友利と申します。よろしくお願いいたします。
会場及びオンラインで御出席いただいている構成員の皆様方におかれましては、貴重なお時間を確保いただきまして誠にありがとうございます。本日の会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大予防の観点から、オンライン会議システムZoomを活用しての実施とさせていただきます。また、今回は一般傍聴は設けず、動画配信システムYouTubeでのライブ配信により一般公開する形としております。
それでは、本日の構成員の出席状況について報告をさせていただきます。全構成員のうち会場にお越しいただきました構成員が7名、オンラインでの御出席は14名となっております。個別の参加状況については、お手元の座席図を御確認いただければと思います。今回、小幡構成員がオンラインでの参加という形で変更となっております。また、中谷構成員からは御都合により欠席との御連絡を頂いております。本日は、神庭座長におかれましてもオンラインで御参加いただいております。会場の都合上オンライン参加での進行が難しいため、座長と事前に相談をさせていただきまして、今回の進行については、極力事務局で行わせていただくこととさせていただきますので、御了承いただければと思います。
それでは、本日の資料を確認させていただきます。会場に御出席いただいている皆様におかれましてはタブレットの資料を、オンライン参加の皆様におかれましては、事前に電子媒体で送付させていただきました資料をそれぞれ御確認ください。資料は座席図、議事次第、資料1~5、参考資料1~3となっております。資料の不足等ございましたら事務局にお申し付けください。また、傍聴の方については、同様の資料を厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、そちらを御覧いただくようお願いいたします。
続いて、オンラインを含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言いただく際には、会場及びオンラインいずれの構成員におかれましても、挙手をお願いいたします。オンラインで御参加の構成員におかれましては、カメラは常に写る状態にしていただき、発言しないときはミュートにして、発言するときにミュートを解除するようお願いいたします。また、本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので、御了承願います。また、説明者の方についてはオンライン画面、会場ですと前にありますスクリーン画面に資料を表示いたします。ページの移動については事務局で対応いたしますので、次のページなどと御指示いただくようお願いいたします。
冒頭のカメラ撮りは今回はございませんね。それでは、引き続き事務局のほうで進行させていただき議事に入りたいと思います。まずは、議事1の「第2回検討会の主な意見の紹介について」、「精神科救急医療体制整備に係るワーキンググループの開催について」、並びに議事2の「地域精神保健について」、事務局から説明いたします。なお、事務局の後は藤井構成員、山本構成員、中原構成員、野口構成員からそれぞれの立場から御説明を頂きまして、その後に簡単に事務局で論点を整理した後で、まとめて質疑応答の時間を設けたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
○寺原精神・障害保健課長補佐 それでは、資料1について事務局より御説明いたします。資料1「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける地域精神保健について」を御覧ください。2ページになります。こちらが、前回の第2回の検討会で事務局より示しました論点及び方向性(案)の再掲になります。3ページ以降が、こちらの前回の論点及び方向性(案)に基づいて頂いた構成委員の主な意見と整理になります。3つの論点ごとに意見を抜粋させていただいております。
3ページですが、論点1の精神医療に求められる医療機能についての意見の抜粋になります。様々な御意見を頂きましたが、今回は精神科救急に関連した内容のみ抜粋といたしました。精神科救急医療体制整備に係るワーキンググループの設置については、御賛同いただきまして反対意見はありませんでした。4ページ以降が、論点2の重層的な連携による支援体制の構築になります。様々な御意見を頂いております。御説明は割愛をいたします。
9ページを御覧ください。9ページが論点3の普及啓発についてです。メンタルヘルス・ファーストエイドを活用した普及啓発等をしっかり行うべきだという御意見を、多数頂いたところです。
11ページになりますが、精神科救急医療体制整備に係るワーキンググループの開催についてです。現状と課題に書いてありますが、精神科救急医療体制の確保については、圏域の概念ですとか、常時対応型・病院群輪番型等の機能分担が不明瞭といった様々な課題があるところです。精神科救急医療体制については、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進を図るためにも必要ですので、こちらの検討会の下にワーキンググループを開催させていただきたいと考えております。実施時期は来月8月から今年の12月頃を予定しております。1から2か月ごとに議論を行いまして、今年の12月を目途に取りまとめ、報告会へ御報告ということを想定しております。12ページがそのワーキンググループの案でして、想定される主な検討事項(案)と構成員(案)です。
13ページからが、今回御議論を頂きます地域精神保健についてです。14ページは御参考です。精神保健福祉法と良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針、大臣告示ですが、これに記載されている各機関ごとの位置づけを示しております。15ページです。こちらは精神保健福祉センター運営要領です。16ページからが、保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領です。こちらの2つの運営要領は両方ともに部長通知ですが、精神保健福祉センターの運営要領については平成8年、それから保健所及び市町村の運営要領においては、平成10年に発出しており、それ以降大きな改正は行ってございません。既に多くの構成員の皆様から、本検討会を踏まえて改正すべきだという御意見を頂いているところです。
20ページを御覧ください。20ページからが、今回調査をしました概要になります。都道府県と保健所に関しましては当課から直接、精神保健福祉センターと市町村に関しましては、本構成員でもございます藤井先生と野口先生の厚労科研の研究班を通じて行っていただきました。4つの機関ともに非常に高い回答率を得たところです。
24ページを御覧ください。この4つの機関に対して行いました調査の結果を御説明いたします。24ページからが業務の現状です。まず都道府県調査です。都道府県に回答を頂いた結果になっています。各計画の作成状況を見ていただきますと、都道府県が保健所や市区町村と共同しながら作成しているということが分かります。一方で、把握・分析業務については、単独での対応傾向となっています。
25ページを御覧ください。業務の現状について、保健所から回答を得たものになります。2番目の棒グラフの把握・分析業務については、単独または本庁との共同で実施しているという回答が多くありました。普及啓発については、様々な普及啓発を保健所が行っておりますが、ボランティアの育成に関しては、実施が余りなされていないという現状です。
26ページを御覧ください。業務の現状についての市区町村の調査です。把握・分析業務については、福祉に関連する事項は実施しておりますが、精神科医療に関連する事項については、実施が低い傾向でした。
27ページを御覧ください。ここから、現状ではなく今後各業務ごとにどこの機関が実施主体となって行うべきかという役割分担について聞いております。まず27ページ、精神保健福祉センターから回答を得たものですが、精神保健福祉センター自身が実施主体と考えている業務は、上から順番に並べておりますが、依存症業務が中心となっております。
28ページを御覧ください。次は保健所から回答を得たものになっております。この棒グラフの中で赤く囲んでいる所が、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について、より密接に関連するだろうと思われるものです。保健所については、保健所自体が実施主体と考えている業務は、精神科医療、精神保健に係る業務が上位になっております。また、この赤く囲んでいる所の2番目になりますが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築については、6割強の保健所が保健所自身が行うべきと回答しております。
29ページです。市区町村に関しては、市区町村自体が実施主体と考えている業務としては、地域生活により密接に関わるものが多くありました。また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について、市区町村が自身が行うべきと回答しているものは、3割程度となっております。
30ページを御覧ください。こちらは、今御説明いたしました今後の役割分担にかけまして、各項目ごとに回答の主体によってどう認識が違うかというものを示したものです。精神保健相談に関しては、保健所及び市町村ともに、自分たちが行うべきと回答しておりますが、回答主体によって若干の認識の違いがあります。
31ページです。アウトリーチや研修等人材育成については、特に精神保健福祉センターと市区町村、保健所の間に認識の違いが出ております。
32ページを御覧ください。先ほど御説明いたしました「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」の実施主体については、保健所との回答が多くありました。「精神保健福祉資料・ReMHRAD」の分析の実施については、精神保健福祉センター、保健所、市区町村ともに、精神保健福祉センターが実施主体になるべきという回答が多くありました。
33ページを御覧ください。ここからは、保健所と市区町村の連携状況について、保健所及び市区町村に聞いたものです。保健所については、選択肢の中で「連携なし」というものも入れていましたが、市区町村に関しては、選択肢の中に「連携なし」というものを含んでおりませんでしたので、市区町村のほうの調査に関しては、回答がなかった場合には「連携なし」というふうに、このグラフではさせていただいております。保健所、市区町村における連携状況について、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの協議の場の開催・参画」については、保健所は「連携あり」との回答が8割強でしたが、市区町村では「連携なし」との回答が5割弱で、認識の違いがあります。
34ページを御覧ください。緊急対応を含む同行と困難事例への支援については、保健所、市区町村ともに「連携あり」との回答が主でした。
35ページを御覧ください。「処遇に関するコンサルテーション・事例検討会への参画」や「職員への研修」については、保健所は、市区町村あるいは精神保健福祉センターと連携ありとの回答が高いのですが、市区町村は連携なしとの回答が半数以上です。
36ページを御覧ください。保健所と市区町村に、それぞれの各業務において、精神保健(メンタルヘルス)上の問題がどの程度含まれているかということを聞いております。保健所、市区町村ともに、いずれの業務においても、精神保健上の問題が「大いにある」、あるいは「多少ある」との回答が多くを占めております。
37ページを御覧ください。市区町村に精神保健相談における困難さを聞いております。何らかの困難さを認識している市区町村は98%に上っております。特に対応が困難な個別相談が下のグラフです。38ページは市区町村の人口ごとに示したものです。
39ページを御覧ください。市区町村に関して、精神保健相談における困難さをどう軽減できるのかという軽減策についてお聞きしております。複数回答ですが、「所管課の人員体制の充実」、「保健所からのバックアップ」、「精神医療の充実」の順で回答数が多くありました。40ページが市町村の人口ごとに示したものです。
41ページを御覧ください。保健所から回答を得たものですが、市区町村からの相談事例です。こちらは、先ほど御説明しました市区町村が求める軽減策と同様の内容でした。
42ページを御覧ください。こちらは都道府県の調査です。都道府県に対して精神保健福祉センターとの共同状況についてお聞きしております。「障害福祉計画の企画立案」については、約半数が「共同していない」という回答でして、また、「今後も共同して実施することが重要」という認識も低い状態です。
43ページが都道府県、精神保健福祉センター、保健所におけます精神保健業務に関する人員体制です。43ページが総数、44ページが1機関当たりの平均職員数です。都道府県、精神保健福祉センター、保健所ともに、非常に平均職員数は少ない状況が分かりますが、各機関ごとに特徴も見て取れると思います。
45ページです。保健所調査です。保健所の業務遂行について、今後どういう体制整備が必要かということを聞いておりますが、「精神科医の協力」、「精神科救急医療体制の整備」、「管内市区町村との連携強化」といったものが大変大切だという回答でした。
46ページを御覧ください。こちらは市区町村に聞いた調査です。今後の市区町村における精神保健業務の方向性として、市区町村自体が主体となって行うべきか、あるいは保健所が主体となって実施すべきかということを聞いておりますが、市区町村のどの人口規模見ましても、回答割合が約半々と拮抗しております。
最後47ページです。市区町村への調査です。市区町村が精神保健業務を担うに当たって、どういう体制が必要かということを聞いております。左の棒グラフですが、専門職の配置、人員体制の充実、相談支援体制の構築、精神保健業務を所管する組織体制の強化というものが高い回答でした。また、右側の棒グラフですが、市町村が主体ではなく、保健所または精神保健福祉センターが主体となるべきと回答した市区町村に対して聞いたところ、どういう理由で推進が困難かという回答を得ました。人材不足、業務が過大である、組織体制が確立できていないというような回答が多くありました。また、中には保健所や精神保健福祉センターからのバックアップが得られていないという回答もありました。
48ページからの課題の整理と論点については、構成員の先生方の御説明後に改めて御説明したいと思います。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。現在の事務局説明にもありましたが、今回、都道府県、精神保健福祉センター、保健所、そして市区町村の方に、大変お忙しい中アンケートに御協力を頂きまして、改めて感謝申し上げます。今後議論していく上で大変貴重なデータを頂いたと事務局は認識をしておりますので、今後、是非活用させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○寺原課長補佐 すみません、事務局から1点訂正をさせてください。33ページです。先ほど逆の説明をしておりまして、33ページの調査の中で「連携なし」というグラフが中にありますが、保健所の調査のほうには「連携なし」という選択肢がありませんでしたので、選択肢のないものを「連携なし」としております。市区町村のほうの「連携なし」というのは選択肢にありますので、そのとおりのグラフとしております。以上です。
○友利課長補佐 それでは、引き続きまして、議事2の「地域精神保健」のうち、地域精神保健に係るそれぞれの立場から御説明を頂きます。藤井構成員、山本構成員、中原構成員、野口構成員から、それぞれ15分程度で御説明を頂き、最後に簡単に事務局で論点の整理をさせていただきます。ただ今回、4名の方皆様に御発表いただきますと約1時間弱となりまして、少し長くなってしまいますので、各構成員の御発表後に、どうしてもこの場で御質問したいという方がございましたら、挙手をお願したいと思います。私のほうから順に御指名をさせていただきます。それでは、まず藤井構成員から御説明のほどよろしくお願いいたします。
○藤井構成員 ありがとうございます。今回、このような機会を頂きまして感謝申し上げます。私からは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムと自治体の精神保健について、我々の実施しております厚生労働科学研究の地域精神保健医療福祉体制の機能強化を推進する政策研究の分担研究であります、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに関する研究の中で、各自治体の好事例の分析でありますとか各調査を行った中で議論をまとめたものを、今日、御発表させていただきたいと思います。
次のスライドをお願いします。まず、全国の自治体数について、皆さんと共有をさせていただきたいと思います。現在、厚労省のほうで「にも包括」の構築推進事業の実施をしていただいております。その構築推進事業の実施主体となり得る自治体に関しては、都道府県と109の保健所設置の市区町村ということになっております。これは全体の全国の自治体数の中の8.9%であるということです。これは、ほかの市町村が「にも包括」に関係ないという意味ではもちろんないということですが、市区町村が直接的に「にも包括」の推進事業を請け負う体制にないいうことから、市区町村がこの「にも包括」においてどのような位置付けなのかというのが、ちょっと分かりにくくなっているような状況があるかと思います。
次のスライドは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築によって、目指す方向性のイメージです。この「にも包括」では地域共生社会を目指しているということを考えたときに、市区町村の役割が非常に重要ではないかということをお示ししたいと思います。
現状、2020年の段階では、保健所による介入も、市町村による精神保健サービスでありますとか、住民同士の互助というものも、もちろん取り組まれているのですが、保健所による介入等が必要な事例というのは、結構多いのではないかと思います。結果的には強制入院になることも少なくないのが現状です。
これが、2040年の共生社会を見据えたときに、どのような構成になっていくのが適切かと考えると、やはり地域共生社会というものがベースにあって、市町村単位、身近な自治体の中で保健予防にしっかり取り組んでいくことが土台になるべきではないかと考えます。そのような体制をつくることで、結果的に保健所等による危機介入等が必要な事例が減っていくという、ここを目指していく必要があるのではないかということを図に示しました身近な市区町村でしっかり保健予防を取り込んでいくということが、将来的な地域共生社会を見据えたときに重要ではないだろうかということを御提案しています。
次をお願いします。そのような「にも包括」を目指すときに、では自治体機関の役割分担、それぞれの役割はどうなっていくかということを、イメージ図としてお示しをしております。ここで重要なのは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムというのは、単に精神障害だけに特化して完結すべきものではないということかと思います。地域共生社会において重要なケアというものは、もちろん精神障害だけではなくて、高齢者、子育て世代いった、様々なサポートが必要な方々が地域にはいらっしゃるわけで、その中で精神障害にも対応したシステムを構築するということですので、精神障害だけ議論すればいいというものではないということは、基本として押さえておく必要があると考えます。そのように考えたときに、やはり地域住民を主体として、最も住民に身近な機関としての市町村が基盤を作っていく必要があると思われます。そして市町村をバックアップする形で、保健所、精神保健福祉センターがそれぞれに重層的な支援体制を構築していく必要性について表した図になっています。
次は、この「にも包括」において、市町村における精神保健体制の整備が重要であることをお示しした図です。先ほどの保健所、市町村調査の結果でも示されているように、保健所や市町村が通常の業務として行っている業務の多くの業務に、メンタルヘルス問題というのが関わってきています。対応するのに様々な調整や様々な重層的な支援が必要になるようなケースに関しては、多かれ少なかれ、やはり精神の問題というものが関わってくることが多いということは、市町村等で相談業務に当たってる方々は、実感としてあるところかと思います。
一方で、公衆衛生的な考え方でいきますと、未治療とか治療中断である精神障害の方、ひきこもりとか依存症とかセルフネグレクト、長期入院の方も含めて、精神保健、医療福祉が関係する多様な問題が深刻化することを、まず予防することが必要で、やはり予防対応のためのリソースを、しっかり確保していくというのが、これからの地域保健において非常に重要ではないかと思います。下の図で、そのような保健領域に重点を置いた活動によって、市町村の業務の中で好循環を回していく必要があるのではないかということをお示ししております。
次は、自治体の業務の中で精神保健業務、相談支援がどうあるべきかということをお示しした図です。先ほど厚労省のほうから御説明いただいた市町村や保健所の相談支援の課題の中で回答が多かったものを列挙してあります。市町村は地域の困難事例の支援にやはり苦慮しておられるわけです。特に対応が難しいのは、おそらく精神医療の対応が必要であろうと思われるのだけれども、様々な理由からなかなか受診につながらない、御本人の思いと周りが支援したいという思いが一致しないような方々です。ひきこもり事例でありますとか、虐待問題、問題行動があって、家族あるいは近隣の方が何とか支援の手を差し伸べたいと思っているけれども、なかなか支援の手を差し伸べられないような状況にあるような方々の支援、ここに苦慮しているということは、調査から明らかになっております。保健所との個別支援の協働でありますとか、医療機関からのアウトリーチ、往診や訪問診療のニーズが高いという結果になっています。同様に、保健所も困難事例の相談、訪問ニーズが高いということが分かってきており、そのため、人口規模にかかわらず、専門職の配置等の人員体制の充実というのは、これはどうしても必要であると考えられます。
自治体の精神保健における相談支援の役割ですが、これは特に自治体が重点的に行うべきところとしては医療福祉のサービス、これがなかなか届かない方への支援かと思います。支援が必要なのだけれども、明確に支援のニーズが分からなくて、どこの機関が関わっていいかというのが、はっきりしないような方だったりとか、なかなか支援にのってこれないような方、そのような方々に、ソーシャルインクルージョンの理念に基づいて、支援の手を差し伸べていくというのは、これは自治体にしかできないというところでもあるかと思います。
右のほうの囲みのほうで、支援が必要だけれどもニーズが不明確な人や支援同意は困難な方々の例として、生活困窮の方でありますとか、様々なマイノリティの方、不登校・ひきこもり、長期入院の方などを挙げています。いわゆるUnmet needsに対して対応できるのが、自治体の一種の強みとも言えるところです。そのような方々に自治体が支援をして、必要であれば医療福祉の支援につなげる、あるいは医療福祉以外の支援につなげることも、もちろん必要だと思います。
自ら受診・相談できる方は、医療機関だったり福祉機関だったりにアクセスできると思うのですが、その場合であっても、やはり自治体の支援が重層的にあったほうがいい方はいらっしゃいます。この自治体の精神保健を充実させることで、今なかなか支援の手の届いてない方に早めに支援を差し伸べる。そのことで、危機介入であるとか、そういうことを予防していこうというのが、これからの精神保健、地域共生の中で重視すべきなのではないかということを、この図で表しております。
次をお願いします。そのような精神保健の相談支援体制を作ろうとしたときに、法的なところで齟齬があるということを御説明したいと思います。精神保健福祉法における市町村の位置付けですが、福祉に関しては市町村の義務になっております。ただ、福祉業務をしていく上では精神保健的な業務も同時に必然的に行うことになるのですが、法律上は市町村は、精神保健に関しては義務ではなく努力義務ということで、ここに乖離があります。現場としては、かなりの方が実際に精神保健の業務をされているのですが、法的には義務規定ではないということで、なかなか人員体制を充実させる根拠になりにくかったりとか、様々な問題が起こってきているように伺っております。
次をお願いします。自治体業務のもう1つの大きな柱として、企画立案というものがあります。企画立案の際には、単にデータのみに基づいて企画立案するのではなくて、臨床的な視点、たとえば対応困難な方たちにどのような支援をしたらいいかとか、地域の質的な把握をしていくうえでの臨床的な視点と、公衆衛生的な視点を合わせて、地域包括ケアを作っていくための企画立案をするわけです。ですので、自治体においては、個別の支援の視点とこのような公衆衛生的な視点の両方が必要になってくるわけでして、地域精神保健というものは、個別のケースマネジメントと地域のマネジメントの両方をつなぐ上で非常に重要になってきます。このような企画立案業務をしていく上でも様々な課題があるということを、こちらのスライドでお示ししております。
最後のスライドになります。精神障害にも対応した地域包括ケアの全体構造ですが、左側のバームクーヘンのような図は地域共生社会と精神障害にも対応した地域包括ケアの関係性を示しているものです。社会全体で見ますと、様々な方が包括的なケアを必要としていらっしゃいます。ですが、どのようなケアであっても、メンタルケアというものは多かれ少なかれ関わってくるもので、困りごとが大きい方ほど、心がつらくなってる方も当然多くなるわけですから、精神保健という視点は、全てのケアに入れていく必要があるだろうということです。その中で、中重度の精神障害を有する方々への重点的な支援というものも、もちろん必要ですので、そこの強化も必要なのですが、その土台となるような精神保健というものをしっかり充実していくことで、重点的なケアが必要な方にも十分なリソースを割けるような、そういう構造にしていくべきではないかというような御提案です。
そうするためには行政の構造的な課題が幾つかあります。義務規定がない中で、精神保健の取組には大きな地域差が生じているという現状でありますとか、保健所では重症化したケースへの緊急対応を優先せざるを得ないという状況などがあるかと思います。精神保健福祉センターに関しては、事業や業務が増えていまして、専門機関としての潜在能力をなかなか発揮しにくいいうような問題点もあります。精神保健の優先順位が低くなっている現状から、、今後しっかり全住民の方に精神保健が行き届くように充実させていく必要があるのではないかと考えているところです。
最後に、地域のニーズに対応した包括的支援体制の推進のために考えられることに関しまして、ポイントを絞ってまとめてみました。まずは、繰り返し申し上げてますように、保健領域を強化していくということ、これはどうしても必要だろうかと思います。そして、保健領域といいますと、相談支援と企画立案、大きく二本柱がありますが、それぞれに重層的な支援体制の構築が必要であると考えます。そのためには、精神保健業務に関しての市町村の役割についての法的根拠をしっかりしていくこと、あとは市町村・保健所・精神保健福祉センターの役割を明確にするための運営要領の改正に関する検討も行う必要があるかと思いますし、何よりも人員体制の強化ということを強調したいと思います。以上でございます。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、ここでどうしても御質問されたいという方がございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
続きまして、「市町村の現状と課題」について、山本構成員からお願いいたします。
○山本構成員 よろしくお願いいたします。全国精神保健福祉相談員会の山本と申します。職場は、埼玉県の飯能市という、人口が7万9,000人の市町村です。報告に当たり、まずもって平成の時代、保健所が半減をしておりまして、我々相談員会も、大変人数も減ってきており、このような場で申し上げるのは恐縮なのですが、相談員会では、今我々は絶滅危惧種だという認識で、皆様からの御支援、御協力を賜わりたいと思っております。本日はこのような場を提供していただきましたこと感謝申し上げます。私ども相談員会の取組と埼玉県の市町村の取組など、私自身の業務の経験も踏まえまして、御報告をさせていただきます。
市区町村による取組を深化させるためにということで、3点に絞って報告いたします。精神保健及び精神障害者の福祉という取組は、特別なことではなく、市町村が主体となり、誰もが当たり前に利用できる「市民サービス」として精神保健相談、精神障害者福祉に関する支援体制を整備することが重要と考えております。また、地域住民への普及啓発、精神保健教育、福祉教育、人権教育を効果的に実施し、精神障害のある方の意思が尊重され、社会的に包摂される地域共生社会の実現を図ることが重要です。2025年、2040年という先を見通して、現在取り組まれている福祉領域の包括的支援に内在するメンタルヘルス課題への取組を強化するためには、地域精神保健活動の充実が必要で、そのことによって、先行する地域包括ケアシステムと連動・統合していくことが必要と考えております。
次をお願いします。参考までに約30年前の1993年、公衆衛生審議会総合部会の資料を見ております。既に今後の改革方策ということで、「身近で頻度の高い保健サービスは、市町村においても保健所の協力のもとに実施することが必要」とされております。このことは、障害者基本法で三障害と規定されたことに続き、地域保健法、精神保健福祉法で、精神保健業務が市町村に移管したという流れの根底にあるものだと理解をしております。
次をお願いいたします。埼玉県ではこのような中、平成14年の市町村への業務移管に合わせて、後ほどスライド15について説明しますが、県が明確に指標を示し、保健所、精神保健福祉センターを通じて、市町村体制を整備してきました。
一方、こちらは5年前の2015年の社会保障審議会障害者部会の資料です。市町村の役割ということで示された資料ですが、地域精神保健という表記でありながら、内容的には障害福祉について市町村に相談が位置付いたということです。障害者福祉の取組は、地域援助事業者等との連携において一定程度推進されてきておりますが、特に人員配置に規定がなく、訪問なども特に法律に規定がないまま、結果として、この5年間で更に地域保健における「精神保健」は、地域での取組の格差が広がってしまったと理解しております。
次をお願いいたします。「失われた30年」ということで書かせていただきました。1990年代から検討されてきた内容が、今またこうして話されているわけですが、地域包括ケアシステム構築のために取り組むべき課題として、精神保健相談体制の再構築を一番に挙げさせていただきました。これにはやはり法的な根拠、財源の確保、人員の確保など、基盤の整備が一番ではないかと思っております。併せて精神保健教育です。市町村といたしましては、教育委員会との連携という形で、地域保健と学校保健が連動することによって、ストレスへの対処、精神疾患の正しい理解を、児童・生徒をはじめその保護者の方へも伝えることができると思います。そのことが援助希求、早期受診に向けた行動変容を促し、重症化の予防に役に立つのではないかと考えます。併せて、精神障害の回復者との交流をつうじた福祉教育によって地域住民によるの互助の強化を図っていくということで、スティグマの解消を図ることをすすめ、地域包括ケアシステムの構築につながればと思っています。
次をお願いいたします。先ほど藤井先生の報告にもありましたが、地方自治体は規模が様々で大変裾野が広いということを共有したいと思います。保健所が未設置のその他の市、町村ということで、9割ほどの自治体には専門職の配置、保健師、保育士等はおりますが、ここに精神保健福祉士、社会福祉士の配置は進んでおりません。政令市、中核市、特別区では福祉職というこことで、社会福祉士等の配置もありますが、この精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを市町村を軸に取り組むにあたっては、裾野が広い9割の「その他の市町村」へ基盤として精神保健福祉相談員の配置が必要と考えています。
次をお願いいたします。現在、市町村では福祉・介護領域で様々な包括的支援が取り組まれています。赤い枠ですが、今回、地域共生社会の実現のための社会福祉法一部改正により、市町村での様々な包括的支援について、シームレスに取り組めるよう方向付けがされております。一方、青枠の「にも包括」につきましては、全体の1割程度の保健所設置自治体での取組かつ、法的な根拠はなく予算事業としての取組になっております。
今のスライドを少しイメージ図にしてみました。市区町村では、福祉・介護領域として、重層的な支援がシームレスに取り組まれるように、道筋がつきました。これは2025年、2040年に向けた体制整備になろうかと思います。一方、保健所等で実施いただいている「にも包括」につきましては、この枠組みとは乖離しています。ここを、誰が、いかにして地域包括ケアシステムとして連動・統合させていくかということが課題と感じております。
次をお願いいたします。改めて先ほどの調査の結果をですが、様々な領域で精神保健の課題に取り組んでおり、右上のスライドですが、人口規模別に見ますと、やはり「多少の困難はあるが対応できる」、また「ある程度困難を抱えており、対応に苦慮している」ということで、多くの自治体で半分半分の回答なのですが、人口が5万-10万の中規模、私ども飯能市もそうなのですが、ここが少しだけ対応に苦慮しているという回答が多くなっているところも、少し精査をしてみたいと考えています。対応困難な個別相談については、メンタルヘルスに関して、受診の拒否、ひきこもり、虐待、問題行動などの状態像となっており、先ほど藤井先生から御説明がありましたが、援助につながらない人たち、ここにいかに行政としてアウトリーチできる精神保健サービスを届けるかが課題となります。そのための体制整備については、まず精神保健福祉相談員を配置するなどの人員体制の強化、保健所のバックアップ、精神科医療の充実、精神医療との連携の強化で、いずれの自治体も8割程度の回答になってくるということです。
次をお願いします。市町村の現状ですが、重層化支援における役割分担について、行政説明にもありましたが、市町村から見る形で順番に並べると、青枠の所は50パーセントを超えているような回答です。一時的な相談、訪問、アウトリーチも含めてということなのですが、ひきこもり、地域移行などもすでに5割を超える市町村で回答がありました。また、啓発に係るものにつきましては、6割から7割を超える回答となっています。赤枠で囲みましたが、アルコール健康障害の啓発につきましては、若干数字が落ちましたが、保健所と同等程度の回答となっています。にも包括につきましては、保健所に期待するとの回答が上回りはしたものの、すでに3割を超える自治体で法的な根拠もなく補助事業の対象ではない中、市町村の役割と回答しております。このことは、福祉・介護領域における包括支援体制と一体的に取組むことを示唆するところです。また、早期介入・危機対応に関する相談支援につきましては、保健所に協力を頂きたいという回答が見えてまいりました。
次をお願いします。市町村で精神保健並びに精神障害者の福祉と関連する主な施策・事業等を、列挙させていただきました。右の福祉については必須事業化されておりますので、いずれの市町村でも取組を始めているものです。障害者虐待防止法につきましても、施行まで2年という準備期間でしたが、いずれも自治体で防止センターの設置しています。一方では、精神保健福祉につきましては47条の4項、精神保健相談は努力義務ということですし、先ほどの調査にも出ていましたが、アルコール健康障害対策基本法の正しい知識の普及、こちらも努力義務ということですので、まだ取組には格差が生じてしまうところです。実際の現場では、様々な領域の個別支援に私ども相談員が関わることが多いです。今朝ほども、私は住宅の担当と高齢者の地域包括の職員とカンファレンスをしてからこの会場に来たのですが、日々毎日様々な領域の方と協働し対応しているところでございます。
次をお願いいたします。これは、飯能市を所管する狭山保健所の業務について、先日、開催された保健所主催の協議の場の資料にもとづき作りました。78万の管内です。管内5市は全て保健所未設置ですが、複数のPSWを配置して、平成14年以降、様々な精神保健相談業務に取り組んでおります。先日の保健所の会議では、ひきこもりのグループ相談、アルコールのグループ相談、予約制の心の健康相談について、今年度をもって保健所事業廃止ということが示されました。理由としては市町村での取組が一定程度進んできているということで、保健所としては措置入院に関連する業務、退院後支援、また医療に関するところの強化とのことで説明を受けたところでございます。特に、コロナ禍で感染症業務が最優先とされており、またここ数年来、精神保健業務は措置業務以外に手が回らないことが背景に見え隠れするところでもあります。
次をお願いします。埼玉県が平成14年の業務移管に関して県精神保健福祉審議会で指標を定め、それをもって保健所、精神保健福祉センターが市町村支援をしてきました。保健所と市町村の役割の分担を○△等で示していますが、このことから市町村で実際に人員配置がすすめられ、私も平成16年の採用なのですが、飯能市でも様々な精神保健福祉事業に今まで取り組んできて、ようやく指標達成に近い取組になってきたかなと思っております。
次をお願いします。市町村の課題、強みと弱みということでスライドを作りました。市町村につきましては、合併等もあり人員体制が充実した市町村、例えば中核市になって、保健所を設置し相談員を設置したという所もあるのですが、まだまだ小さな自治体も多くあります。一番の強みは住民サービスへのアクセシビリティがいいこと、並びに住民や職員がシビックプライドを持っている、これは我が町のことを誇りに思うということですが、「困ったときはお互い様」という互助であるとか、「我が町の健康は、私たちが護る」という公助の取組が、職員の中にあるかと思います。
また、小回りの利く行政としましたが、地域の特性を生かした事業の運営ができる。住民ニーズの把握から対応まで一貫性を持ち、様々な領域をつなぎ、フットワークよく対応ができるというふうに考えております。また、障害福祉のみならず地域の資源、特にインフォーマルなサービスに関する情報や、人的なネットワークを有しています。庁内の連携、行政内部のみならず、我が町の御町内における連携なども、市町村では取り組んでおります。さらには保健所と連携をすることによって、精神保健的には入り口の受診受療と出口の退院後の生活支援という形で分担をすることもできますし、比較的重いケースであるとか啓発などについては、協働して実施することもできます。
次をお願いします。弱みについてですが、自治体は、政令市から町、村まで様々ですので、行政サービスには財政力等に応じた取組格差が出てきています。また、昨今では家族機能が脆弱化して行政ニーズが増加傾向にあり、一人当たりの行政コストは増大している状況です。赤枠で囲みましたが、精神保健に関して見ると、やはり法的な根拠がなく、業務実施の根拠や財源が乏しく、実施体制は脆弱です。また、人員体制も脆弱であることから、障害福祉を担う相談支援事業者、地域援助事業者等に、精神保健の活動までを依存してしまう。福祉サービスを利用支援のみならず、つながらない人の精神保健相談についても、民間に依存をしてしまうというようなことでございます。また、地域包括ケアの取組は既に福祉部局で進めていますが、専門職配置がない場合には、メンタルヘルスニーズを有するケースへの対応について極めて対応力が弱くなるということです。
次をお願いします。これらにつきましては、保健所や精神保健福祉センター等のバックアップが必要で、市町村から見たときに、個別支援連携、また市町村職員への技術協力、人材の育成・研修、企画業務への支援が望まれます。個別支援につきましては、やはり協働を求める声が多いかと思います。ケースのレビューであったり、アセスメント、プランニングにおいて専門性がもとめられるため、やはり専門職配置の無い市町村では弱い部分があるかと思います。特に複合ニーズを抱える事例には、協働して訪問したりということを求めています。未治療・中断、救急受診などを繰り返す事例への多職種での訪問体制は、市町村だけでは組むことができませんので、この辺りもバックアップを要するところかと思っております。
最後になりますが、次をお願いします。先ほど藤井先生からもお話いただきましたが、やはり中心に保健予防、地域精神保健福祉システム、ここが今ある医療のシステムと地域共生の取組をつなぐ要になるのではないかと。このことを通じて、2040年の共生社会の実現に貢献していけるのではないかと考えています。
次をお願いします。今後の方向性ということで、保健領域と福祉領域に分けてまとめてみました。やはり精神保健の取組を、地域保健に位置付けていくことが大事なのではないでしょうか。予防の活動の充実を図る。そのためには、基盤の整備として法的な根拠・財源の確保、業務実施体制の構築が必要と考えます。また、人材の確保として、48条に相談員の任命という項目がありますが、こちらの取組、今、相談員会は本当に人材が減ってきておりますので、この辺りは切実なところでございます。
また、福祉領域につきましては、既に取り組まれている福祉活動の中に、メンタルヘルスの視点も、バックボーンを入れていくということになるかと思います。特に総合支援法でいうと、これからまた居住支援等の住宅政策、労働政策などとの連携、そのことによって地域移行・定着支援、自立生活援助なども更に推進が必要になるかと思いますが、併せて意思決定の支援など、権利擁護のところも必要になってくると考えております。そのためには、やはり精神保健福祉士、社会福祉士、保健師などの専門職が配置されることが必要と考えております。
最後になりますが、2020年から25年までの短期的な取組でまずは精神保健福祉相談員など専門職の配置を進め、25年から40年までに中長期的に共生社会の実現に取り組む。このようなロードマップを関係者が共有するとともに、基盤の整備を進め重層的支援体制を構築していく、そのようなことに私どもも主体的に貢献できればと思っております。また、市町村には様々な規模、地域特性がありますので、単独で取り組むことができない市区町村もありますが、それらの特性を踏まえて、広域行政の枠組みを活用することなども、基盤整備の上では重要と考えております。私からの報告は以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、ここでどうしてもという方がいらっしゃいましたらお願いいたします。それでは、引き続き、保健所の現状と課題について、中原構成員からお願いいたします。
○中原構成員 全国保健所長会から、代表として委員を務めております中原です。私は福岡県宗像・遠賀保健所の保健所長を務めております。今日は保健所の現状と課題ということで説明いたします。
まず、保健所でどういう精神保健業務をやっているのかというところを、当所の業務紹介ということで紹介いたします。次をお願いいたします。当所の精神保健を担当しているのは、健康増進課の精神保健係です。精神保健係の中の人員が7名で、そのうち6名が保健師、1名が事務という構成となっております。
次をお願いいたします。精神保健係の業務は、お分かりのとおり、地域における精神保健福祉行政の中心的な実施機関として、市町村・医療機関・社会復帰施設・関連事業所等と連携して、精神障害者の早期治療の促進及び精神障害者の社会復帰及び自立と社会参加の促進を図るとともに、地域住民の精神的健康の保持向上を図るための活動ということで、業務を行っております。根拠となる法律ですが、精神保健福祉法をはじめ、数多くの根拠となる法律の下に業務を推進しております。
次をお願いいたします。主な業務を簡単に列挙いたしました。当然、これは福岡県宗像・遠賀保健所の県型の一保健所での業務の紹介です。保健所によってやっている業務は様々ですが、1つの例として紹介しております。精神医療対策事業としては、救急医療の体制というところでの措置入院及び医療保護入院に関する業務、あるいは入院患者の現地診察、精神科病院の実地指導。こころの健康づくりという観点で、精神保健福祉相談や研修会、自殺対策事業、精神障害者への訪問指導。社会復帰の促進ということで、「にも事業」に一番関連している精神障害者の地域支援事業や地域定着推進事業、社会復帰の施設等に対する支援や、今でしたら措置入院患者の退院後支援計画の策定、家族支援や家族会の活動の支援。また、福岡は割とアルコール問題にも力を入れており、アルコール依存症の対策事業ということで、普及啓発から研修会、中小企業への減酒支援講習会、飲酒運転違反者への適正飲酒指導という様々な業務をやっております。
次をお願いいたします。これも1つの例ですが、令和元年度精神保健福祉相談ということで、延べ件数ですが、項目を決めた中でどの程度の相談があったかということを毎年集計しております。電話相談は1,750件、来所は145件ということで、合計1年間で延べ1,895件の相談を受けております。ちなみに、宗像・遠賀保健所は、圏内人口が約29万という保健所です。社会復帰や老人精神の相談が多くを占めておりますが、その他が数としては最も多くなっております。このその他の中には、病院あるいは行政からの本人への対応方法の確認、あとは在宅の患者から何ということはない相談をしたいということで1日に何回か掛かってきたり、1週間毎日掛かってくる電話相談、あるいは警察の方からの関係機関との連携ということでの御相談が入っております。
次をお願いいたします。保健所では、医療ということで、治療につなぐ、治療を継続するという精神保健福祉法関連での業務、生活の援助ということで、障害福祉サービス等の利用につなぐ業務、そのためには住居問題や就労支援等もありますが、障害者総合支援法関連というところでの業務、地域の環境づくりとして、知識の普及・啓発活動、こういったことで、保健所が地域支援という格好で、いろいろな業務を行っているところです。
次をお願いいたします。ここからは保健所の強み、弱みということで、今の保健所の課題を整理してみました。保健所の強みとしては、日頃からの保健所業務を通じて、精神科病院や精神科医師との関係性が既にできている。それから、本当に保健所は古くから精神保健業務を担ってきておりますので、職員が精神障害者に関わることに苦手感がない。それから、先ほど紹介した所内相談や精神科病院実地指導、地域の自立支援協議会等を通じて、地域の保健・医療・福祉の総合的な現状把握が行える。この強みは、市町村と比べてという書き方をしているのですが、市町村を支援するに当たっての保健所の強みかと思っているところです。
次をお願いいたします。逆に保健所の弱みと考えた場合、市町村は小さなものから政令指定都市まであり幅広いのですが、保健所も現状ではそのような状況になっており、要するに、人員や圏域の広さが、それぞれの地域で大きく異なっております。管内人口400万ぐらいを1つの保健所が管轄している所もあれば、数万という小さな管内人口を抱えている保健所もあります。また、保健所の設置形態によって機能も異なっているということで、都道府県型の保健所、指定都市型の保健所、中核市や特別区の保健所という形で、設置形態によって市町村との関係性もかなり大きく違ってきております。
次をお願いいたします。県型の保健所を考えた場合の弱みです。日頃の保健所業務では、保健医療は先ほどの強みで紹介したのですが、障害福祉や介護保健サービスになると、少し市町村との担当部署とも距離感があるし、やはり直接関与することが少ないということからも、知識を十分に持ち合わせていないというところで、介護福祉になると弱いと考えられております。包括ケアシステムの構築の主体については、高齢者は当面、市町村ということでやってあり、今回の精神の「にもの包括ケアシステム」の構築を見ても、障害者総合支援法の主体である市町村が主体ではないかという認識の中、なかなか保健所が精神保健でリーダーシップを取ろうと、あるいは取るべきだろうということは、先ほどの藤井先生のアンケートでもそういう数字が出ていたかと思いますが、いざ現実的になると、なかなかそこが難しい。あるいは、保健所が関われていたほうがいいのだろうけれども、障害部門の福祉部門などになると、自分も十分に知識を持ち合わせていないので、どういうサービスがあるのかもよく分からないといったところで、抵抗感があります。そういうところが県型の保健所の弱みとして考えられるかと思います。
次をお願いいたします。今度は、市区型の保健所です。一部の政令市型の保健所等では、精神保健業務を市役所でやっている、あるいは精神保健福祉センターがやっているということで、精神保健業務を保健所という部門ではやっていませんということになると、なかなかこの事業に関与することが難しくなっているということや、逆に、担当していても、目の前にある業務に追われて、なかなか「にも事業」の調整や会議にまで手が回っていないというところ、手が回っていないというところは県型も似たようなものなのですけれども、そういう弱みがあります。
次をお願いいたします。これは、地域保健総合推進事業で行った全国保健所長会のアンケートの2017年度の結果です。地域移行体制をつくる、要するに精神障害者の地域支援の中で地域づくりをするに当たっての課題は何ですか、保健所の抱えている課題は何ですかという質問です。制度や体制の知識や経験が不足しているが4分の1ぐらい、他の業務が忙しいので取り組めないが4分の1ぐらい、その他には、割と運営の経験が不足などといった記述がたくさんあったのですが、人や知識が不足しており、後回しになっているという実態が見られます。
次をお願いいたします。これも、同じように全国保健所長会で行った地域保健総合推進事業を利用したアンケートの結果です。措置患者を含む精神障害者の地域支援を進めるに当たって、国や都道府県や全国保健所長会に求めることや、制度の在り方についての自由記載ということで書いていただきました。人員体制の強化、医療機関の理解と体制整備、報酬・費用対効果、財源の確保等のインセンティブ、業務内容の検討、役割の明確化、これらのいろいろな求められる改善策が見られたところです。
次をお願いいたします。保健所としてやりたいことということで、考えてみました。これは、平成26年の精神保健福祉法改正に当たり、全国保健所長会の地域保健の充実強化に関する委員会で、保健所の機能ということで提言させていただいた内容です。地域精神保健福祉体制整備のための保健所活動の基盤づくりということで、関係機関や患者や家族へ改正法や指針を周知する、保健所が持っている情報の整理と分析を行う、地域移行推進協議会の開催と運営をする、市町村障害福祉計画の進捗管理と体制づくり、相談支援事業者への働き掛け、ピアサポーター養成及び雇用体制づくりへの支援、こういうことを地域精神保健福祉の整備というところでやっていこうということで、提言させていただきました。
次をお願いいたします。保健所としてやりたいことの続きです。※の所に記載しておりますが、包括ケアシステムの構築を進めていくためには、障害福祉サービスの実施主体である市町村の関与は不可欠です。ただ、先ほど市町村の現状などの話もありましたが、市町村も結構忙しくて大変で、精神科医療で見ると単位が圏域や県単位という体制になっており、市町村には精神科医療に関する業務の相談対応等は当然していただいているのですが、精神医療に関する業務には直接関与していないというところもあり、やはり救急医療体制やアウトリーチも含めたところで、包括ケアシステムの構築を進めていく必要があります。そうなると、精神医療に関与している都道府県、障害福祉サービスの実施主体である市町村が、連携・協働して包括ケアシステムを進めていく必要が当然あります。そして、地域でキーマンになれるのは、やはり保健所しかないのではないかと、保健所がリーダーシップを取っていく、そこで市町村をしっかり巻き込むための働き掛けをしていくということで、協働・連携しながら包括ケアシステムの構築を進めていく必要があると考えております。
次をお願いいたします。今後の方向性です。※にも記載しているのですが、まず、各自治体での取組の推進が図れるような仕組みづくりです。これは前回も意見として挙げておりましたが、「にも事業」の取組については、積極的に取り組む自治体も増えてきており、いろいろなノウハウも今までのモデル事業で広く周知されてきていると思います。しかし、各自治体の取組に任せているだけでは、財政基盤が違う多くの市町村があったり、保健所にも大きな差があったり、なかなか横展開していくのは難しいのではないか。そのためには、しっかりした法整備やインセンティブ制度等を検討して、横展開が確実にできる仕掛けを作っていかなければいけないのではないかと思います。
先ほどもこれは少しお話いたしましたが、保健所がリーダーシップを取る必要はある。しかし、そうするに当たっては救急対応や自殺対策に追われてしまい、後回しになっている現状があります。先ほどの保健所調査にも出ていたように、上のほうにあるのは目の前の救急医療の体制の対応の部分で、それを役割としてどこも大きく認識しているところなので、そこはせざるを得ない。どうしても人員がそこに取られてしまうと、なかなか後回しで済む話ではないのですが、後回し、後回しになっているのが今の支援体制の構築ということになるかと思います。
高齢者の包括を別の部署で進めているときもそうだったのですが、支援体制構築を本気でやろうと思ったら、とてもではないですが、片手間で取り組めるようなものではありません。ただ会議をしておけばいいとか、そんな形ではないので、市町村や関係機関ときめ細やかな情報交換をしながら、しっかり地域をつくっていかなければいけません。そうなると、保健所の人員体制の充実、あるいは企画・調整を行うことができる人材の確保が必須だと思います。そういうところもしっかりしながら、保健所がリーダーシップを取れるような体制ができればと思っております。
少し時間が過ぎまして、あとは古い資料ですが、保健所の数の推移や担当職員の配置状況を付けておりますので、御覧いただければと思います。私からは、以上です。ありがとうございました。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、ここでどうしてもという方がいらっしゃいましたらお願いいたします。それでは、引き続き、精神保健福祉センターの現状と課題について野口構成員からお願いしたいのですが、申し訳ございません、予定より少し時間が押しております。大変恐縮ですが、簡潔に御発表をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○野口構成員 よろしくお願いします。声は大丈夫でしょうか。
○友利課長補佐 はい、聞こえております。
○野口構成員 では、よろしくお願いします。私は、精神保健福祉センター長会と厚労科研の地域包括ケア分担班という立場から、お話させていただきます。まず最初に、私の経歴ですが、センターにずっといたわけではなく、総合病院の精神科に勤めながら、その後、センターに来ました。行政にずっといたわけではない経歴ですが、そういった経歴はセンターとしては非常に一般的であるということを、まず最初に申し上げておきます。
次をよろしくお願いいたします。これは精神保健福祉センターの説明です。センターは、総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動推進の中核となる機能が期待されているということが運営要領に書かれており、それぞれの都道府県、政令市に原則1か所ずつ配置されております。
次をよろしくお願いいたします。そのような技術的な中核となるセンターの陣容ですが、どういう常勤職員でやっているかをここに上げております。グラフは人口規模別に書いてあり分かりにくいので、下の赤字で囲っている所を御覧ください。センターはすごく幅がありますので平均的なものですが、合計で13名(精神科医1名、保健師3名、心理職2名、事務職4名他)でやっております。
5年間での職員体制の変化を見たものが、その右のグラフです。これを御覧になると分かりますように、精神科医以外は常勤職員が増えているというセンターが3割程度あるのですが、職員が減っているというセンターが2割以上あり、非常勤職員が増えているセンターの方が多い状況です。特に、常勤の専任の精神科医が不在のセンターが全体の4分の1を占めているのは、大きな問題であると思われます。
次をよろしくお願いいたします。今、そういう陣容でやっておりますが、センターの業務としては、運営要領に書いてあるものを抜き出して挙げております。相談であれば、例えば我々のセンターであれば来所相談が年間3,000件、電話相談が大体6,000件、訪問が約1,600件ぐらいでやっております。今後の見通しとしては精神保健相談も増えるだろうというセンターが多いですが、それよりも増えるだろうというのが審査・判定業務です。これは、自立支援医療(精神通院)や精神障害者保健福祉手帳の判定です。今、これが非常に増えており、各センターとも非常に負担を感じております。相談としては、下の事業の所にありますが、依存症、新型コロナ、ひきこもり、災害等が増えている状況です。こういういろいろな事業が増えるか、変わらないものもありますが、減少しているセンターはほとんどないというのが現状です。
次をよろしくお願いいたします。そういう状況の中、センターとしてはどういうものについて優先度を高く考えているかというのが、次の質問です。この左側を見ると、依存症、ひきこもり、自殺の優先度が高い。これは比較的新しい地域精神保健の課題と言えると思いますが、こういうものの優先度が高くなっていると言えると思います。一方、審査判定業務も優先度が高いです。これは、どちらかと言うと業務量が増えているので、やむを得ず優先度が高くなったというところもあります。
次をよろしくお願いいたします。これは自治体間の役割分担についてです。センターが中心になってというのを高いものから並べております。御覧いただくと分かりますように、先ほどの優先度と同じで、依存症関係が非常に高くなっているというのが特徴と思います。
次をよろしくお願いいたします。こういうものを踏まえて、センターとして地域包括ケアシステム構築に貢献できるものにはどういうものがあるかということを、優先度が高いものから挙げております。1番は人材育成、それから施策に対する助言・提案、そして、困難事例への技術支援を通しての包括的支援体制の構築、これがほかより際立って高いと思います。
次をよろしくお願いいたします。では、そのような体制をつくるために必要な対応策は何かということについて、優先度が高いものから挙げております。1番は人員体制の充実、そして自治体の専門職としての人材育成等の一貫した体制構築です。これはどういうことかと言うと、例えば相談拠点などをつくりそこに専門職を配置しても、2年で交代して次にやって来る人は全くその辺りが分からないなどです。これは自治体であれば異動は当然あるわけなのですが、中核的な専門機関に対してそれをやられると非常につらいところがあり、この辺りの配慮を求めるという意見が多かったです。あと、自治体としての精神保健の重要性の認識です。精神保健は限定された人の限定された問題ではないかという雰囲気があるのではないかというところと思います。それから、事業予算の確保ということで、人と予算をしっかり確保してほしいということが挙げられます。
次をよろしくお願いいたします。強みと弱みを書いてみました。強みについてです。ほかの市町村、保健所と比べると、専門多職種、特に精神科医がいるというところは1つの特徴と思います。次の相談・企画立案・審査判定・人材育成など多彩な機能は、市町村、保健所と類似の機能だと思います。それから、自治体のいろいろな機関とのつながりがある。自治体の機関の中では、依存症や自殺対策等で自治体の相談拠点等の先端を担うことが多いです。
一方、弱みについてです。先ほどの課題にもありましたが、自治体の中での位置付けが明確でなく、人員配置、予算で専門機関として必ずしも機能確保が担保されていない。人員配置基準が特にありませんので、精神科医がゼロでも、言ってしまえば大丈夫になってしまうのですね。1人のセンターも多いです。ほかの専門職も、例えばひきこもりと依存症とか、ひきこもりと自殺の兼任など、そういう形ができてしまうというところがあり、人員体制としては非常に脆弱な状況だと言えると思います。また、広域の圏域をカバーすることになりますので、支援の偏りが生じてしまいがちである。審査判定業務の増大で相談業務が圧迫されている。例えば、アウトリーチ支援の担当者が、審査判定業務が増えてきたのでアウトリーチから外されて、審査に回されるということもあるところです。
次をよろしくお願いいたします。こういう意図を踏まえて、センターとして地域包括ケアシステムについて果たせる機能、どういう形で役割を果たせるかということをまとめてみました。先ほどの藤井先生の図にもありましたが、左下の図にあるように、センターは人数としてそんなに多いわけではありませんし、非常に広域を圏域対象としており専門特化しているところがありますので、我々として単独で果たせる機能は少ない。むしろ、真ん中の青の所に書いておりますが、自治体全体の機能が活性化するためにバックアップ、補完するところが大きいと思います。2番目としては、自殺対策、依存症、ひきこもり、多職種アウトリーチなど、新しい課題についての知識、技術などを学んだり、あるいは自分たちで経験する中でブラッシュアップをして、それを自治体内で普及したり人材育成を行うということが、機能としてあるだろうと思われます。3番目としては、専門性に基づく経験と知識を生かして協議の場や企画立案へ提言するということが挙げられます。
次をよろしくお願いいたします。これをもう少し細かく見ますと、1つ目は、困難事例に対する支援を通しての技術支援です。これは精神科医として我々が一番得意なところで、実際の困難事例をいろいろな形で支援していく。その支援の経験を活用しながら、例えば、同行訪問をしたり、あるいは研修を企画、マニュアルを作成するという形で、人材育成を行う。そして、実際に一緒に同行訪問したり事例を検討する中で、支援を通してのネットワークを構築していく。さらに、そうしたいろいろな経験をいかしながら、協議の場や企画立案への提言をする。こうした支援から人材育成、ネットワーク構築、企画立案を連動させることが、センターとしての強みではないかと思われます。先ほどの藤井先生の図にありましたが、臨床的視点を生かしながらボトムアップ式に地域包括を構築していくことが、センターの強みをいかした形での「にも包括」支援、構築支援だろうと思われます。
次をよろしくお願いいたします。幾つか特徴ある取組の例を挙げております。これだけではないのですが、一部だけ取り上げております。
次をよろしくお願いいたします。そのためには課題もあり、これは弱みで挙げたところと同じです。専門機関としての位置付けが十分ではなく不明確である。例えば、本庁の出先機関であって単独の事務所としての位置付けの格がないなどです。人員配置の体制でも、例えば保健師や心理職で、センターで一時的に、勤務するのはいいけれども、保健師は保健所が、心理職は児童相談所が最終的なので、この人は是非欲しいと言っても認められない、みたいな感じで言われてしまうなどということがあります。それから、専門機関としての必要な人員体制・予算が確保されていない。3番目として、相談支援・企画立案・審査判定業務で非常に偏りがある。特に審査判定業務が非常に負担が大きくなってくる。これからさらにデータの利活用などの企画立案業務が増えてくると、困難事例支援は大変で余裕がないので、手が出せません、となりかねないのではないかと私は危惧しております。
対応策としては、専門機関としての位置付けをきちんとする。そして、人員体制の明確化、配置・予算の措置をしていただく。3番目として、それぞれの機能のバランスを取った業務配分が、専門機関としての体制強化のためには必要なのではないかと思われます。
次をよろしくお願いいたします。地域住民や関係機関のニーズをしっかり受け止めて精神保健福祉センターを作るということで、我々としては、その下にある絵のように、縁の下の力持ちであると。でも、縁の下の力持ちも力がないと持てませんので、それに必要な人員強化はしていただければというのが我々の考えです。早口で申し訳ありませんが、以上です。ありがとうございました。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、それぞれの立場からの説明を踏まえて、最後に事務局で論点の整理の説明をいたします。
○寺原課長補佐 事務局でございます。再度、資料1を御覧ください。資料1の最後に近いページ、48ページからが課題の整理と論点です。まず49ページですが、第1回と第2回で、構成員の先生方より、様々な角度、視点から多くの御意見を頂いたところですが、分かりやすいように、より簡潔にポイントのみ整理したものがこちらです。次の50ページが、先ほど御説明した今回のアンケート結果を、より簡潔にまとめたものです。
51ページが、今申し上げたこれまでの第1回、第2回の構成員の先生方の御意見、それから今回のアンケートを通じた整理と論点及び方向性(案)です。まず、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関する制度上の整理ですが、地域共生社会の実現に向かっていく上では欠かせないものですので、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことのできるよう、重層的な連携による支援体制を構築することが適当と確認をしているところです。中ほどの所ですが、今回の保健所及び市区町村の調査におきまして、構築の実施主体に関しましては、保健所では自機関が実施主体と捉えている所が、6割強ありました。市区町村におきましても、3割強が自機関が実施主体と捉えているということです。また、精神障害者等に対する、より身近な支援に関しましては、保健所、市区町村ともに、自機関が実施主体であるという認識を持っております。精神保健福祉センターに関しましては、分析、把握業務に関して期待されているところですが、一方で共同、連携について、まだ課題も残っているところです。最後のハイライトしている所ですが、これらの状況を鑑みまして、市町村につきましては福祉や精神保健に関する基盤整備等を、保健所においては主として医療に関する事項の調整・対応を基本としつつ、市町村と保健所が対象者のニーズや地域課題に応じて柔軟かつ主体的に協働しながら、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進できるよう、制度上の整理をすることはいかがでしょうか。
次の52ページは、精神保健に係る相談等の業務についてです。3番目の所にありますように、市区町村の精神保健相談における対応の困難さが、今回改めて認識されたところです。そのために人員体制の充実、保健所等からのバックアップ、精神医療の充実等が望まれています。最後のハイライトしている所ですが、精神保健に係る相談等の業務につきましては、多岐にわたる対象者のニーズに対して、身近な機関において支援が可能となるよう、市町村が更に主体的に担うこととしてはどうかと思います。また、そのために必要となる精神保健福祉センターや保健所の支援体制の充実を図ることも重要でありますので、本検討会での意見や調査結果等を基に、各機関の役割を整理していただければと思っております。
最後の53ページが、今申し上げたことのイメージ図です。左側のA市町村というものが、主に自市町村の中に医療機関がある所をイメージしております。右側のB市町村というのが、自分の市町村の中に医療機関がない所を主にイメージをしております。いずれにおきましても、日常生活圏域を基本として、市町村を基礎として、基盤として進める必要があると考えますが、その中で、精神保健福祉センターや保健所等がしっかりと支援しながら、重層的な連携体制というものを構築する、そのイメージ図を示したところです。以上でございます。
○友利課長補佐 それでは、これまでの御説明を踏まえて、皆様から御質問、御意見がありましたら、オンラインの構成員の方も含めて、挙手で御発言をお願いしたいと思います。事務局から順番に指名いたします。なお、御発言につきましては、可能な限り簡潔に、2、3分程度でお願いしたいと思います。会場の方につきましては、お手元のマイクをオンにしていただきたいと思います。このマイクは、直接Zoomにつながっておりますので、御発言が終わりましたら、忘れずにオフにしていただければと思います。それでは、御質問がある方は挙手をお願いいたします。それでは、櫻木構成員、次に岩上構成員、お願いいたします。最初に、櫻木構成員お願いいたします。
○櫻木構成員 ありがとうございます。日精協の櫻木です。よろしくお願いします。第1回の検討会のときに私が質問というか危惧を申し上げたのは、精神障害にも対応したというところの意味合いですね、それに関して、お話をさせていただきました。今日、それぞれの先生方からの御発表を聞かせていただいて、安心したというか、行くべき方向というのははっきりしているなと思いました。藤井先生からは、地域共生社会に向けては、ただ単に精神障害だけに特化して完結すればよいものではないというお言葉を頂きましたし、それから山本先生からは、先行する地域包括ケアシステムと連動・統合することが必要であるというお話を頂きました。そこで興味があったのは、いわゆる住民のシビックプライド、これに先生は触れられていました。地域医療構想のガイドラインを作るときも私は検討会に入っていたのですが、やはりこの考え方というのは、どういうふうな地域を作っていくかという考え方が基本にあるのだろうと思いました。
野口先生の示された重層的な支援のイメージ、これの図の一番地域に近い所に「住民等」というふうなことが示してあって、これは非常に大事なことだなと思いました。やはり、精神障害があろうがなかろうが、その程度が重かろうが軽かろうが、地域でどういうふうに生活をしていくかということを考えて、これから地域包括ケアシステムを構築していくのだということですから、1つは提案というか質問というか、協議の場、ここにやはり住民の参加が必要ではないかと。これは、地域医療構想のときも私はお話をしましたが、やはり協議の場に主人公というか、主体となるべき住民が参加することが必要ではないかと考えているのですが、これについてどういうふうにお考えになるか、このことを考えていただきたい。それから、そういった住民が主体になるということでいえば、やはり区域というのは日常生活圏になるわけですから、主体としては市区町村、これを考えなければいけないだろうと。ほかの例えば保健所あるいは精神保健福祉センターは、縁の下の力持ちというふうなお話がありましたが、やはり専門的な立場から、この市区町村をバックアップしていく仕組み、考え方が必要ではないかなと考えました。以上です。
○友利課長補佐 それでは、岩上構成員お願いいたします。
○岩上構成員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上です。皆さん、御説明をどうもありがとうございます。大変分かりやすいお話でした。第47条の改正については、基本的に私も推進すべきだと思っておりますので、その論拠となる御説明を頂いて、とてもよかったなと思っています。業務運営要領を改正するということも必要だと思い、その辺は厚労省にも随分お願いをしてきたのですが、なかなか改正をしていただいていないので、市町村や保健所の立場は、やはりそういうものがあると非常に仕事がしやすいということについては、少し関係者の皆さんに御発言を頂きたいと思います。
次に、市町村は保健所のバックアップを期待しているという項目が出ていて、39ページには精神科医による往診を期待しているという項目がある。それに対して、45ページでは保健所も精神科医の協力が必要だということになっているので、その辺の位置付けを考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。精神保健相談は保健所も行っているけれども、基本的にはアウトリーチというよりも、むしろ来ていただいた方の御相談を受けている、それをもう少しそれをアウトリーチ型に位置付けていったほうがよいと思います。そして保健所は精神科医に行っていただく必要性を見立てる力はお持ちですが、市町村はまだそこまでお持ちではないのではない。基本的に位置づけとして相談がないわけですから無理もない。そういう意味では、市町村に精神保健相談をきちんと位置付けて、その中で往診等が必要なことについては保健所が見立て、なおかつ独自に市町村がやることもあるでしょうけれども、せっかく精神保健相談をということであれば、そういったことをお考えいただくといいのではないかと思うので、その辺に少し御意見を頂きたいのが2つ目です。
それから、野口先生に話していただいた精神保健福祉センターですが、言葉が適切かどうか分かりませんが、アンケート上は危惧するというか、皆さんそれぞれ工夫をされてお仕事をされているですが、人員が追い付いていない。そうなったときに、基盤となる仕事がいったい何なのかというのは、やはり今日も出ておりましたが、どの精神保健福祉センターも、基本的にはシンクタンクの役割をすべきだと私は思っています。それがない中で何かいろんな仕事をやっていても、センターによって違いますみたいなのは、なかなか説明が付かないのではないかと思いますので、その辺を野口先生の御意見を頂きたいです。
最後に、事務局、厚労省にですが、地域共生社会について社会・援護局がまとめた中には、基本的に精神保健は入っていないわけですね。だとすると、きちんとそれは社会・援護局と協議してください。精神保健というのは、あくまで基盤であると。基盤がない中で、それぞれの困難事例に対して対応するのが精神保健という位置づけは、それはちょっと違うと思うんです。今回の地域共生社会の考え方からすると。基盤がある中で、それぞれのことにも対応するということは、きちんと社会・援護局とお話をしていただきたいと思います。加えて言うならば、市町村の保健センターに、精神保健相談をお願いするとなると、保健センターの有り様はここ10年、15年で相当変わってきていて、業務分担になっていて、非常に忙しいというのも事実です。そこは、こちら側は是非お願いしたいと思いますが、受け手側はやっているつもりではいますが、いざ位置付けるとなると保健センターの有り様にも関わってくると思うので、その辺の調整はお願いしたいと思います。以上です。長くなりました。
○寺原課長補佐 事務局でございます。まず、櫻木構成員から御指摘のあった点ですが、協議の場について、市町村の関わりや住民の関わりについての御指摘がありました。我々もごもっともだと思っております。第6期の障害福祉計画におきまして、来年度2021年度からの3年計画ですが、5月に大臣告示を発出しております。その第6期の障害福祉計画の中では、協議の場に関して、精神に特化した活動指標を今回初めて入れました。その中に、市町村や都道府県の協議の場において、当事者や家族の参画というものをしっかりと指標として把握するようにということを入れたところですので、我々厚労省としても、しっかりと住民の皆さん、御家族の皆さんの参画を進めていきたいと思っております。
それから、岩上構成員から頂きました精神保健の相談に関しましても、ごもっともであろうと思っております。市町村の関わりが、協議の場もそうですが、まだまだ不十分だというデータが出ておりますので、我々の委託事業の中でも毎年度手引を作っておりますが、しっかりと好事例を示して、我々もそういったものの普及啓発に努めていきたいと思っています。
最後に、岩上構成員から頂きました地域共生社会の話ですが、今回社会福祉法の一部改正案が成立しました。担当の部所とも、内部では話をしております。岩上先生がおっしゃられたように、そもそもの基盤がある中で初めて地域共生社会という窓口があるのだと、そういうお話でした。担当部所も同じことを申しており、まずはしっかりと精神保健の基盤がない限りは、地域共生社会は進みませんので、その基盤を作るための御議論を今頂いているのだと認識をしております。以上でございます。
○岩上構成員 ありがとうございます。
○友利課長補佐 それでは引き続きまして、いらっしゃいますでしょうか。それでは櫻田構成員、小阪構成員、そして江澤構成員、長野構成員の順番でお願いしたいと思います。櫻田構成員、お願いいたします。
○櫻田構成員 当事者の櫻田です。皆様のお話を聞かせていただいて、当事者の立場からということで発言いたします。事前資料等を拝見して感じたことですが、各機関それぞれに役割を担っていただいているとは思いますが、当事者側から見て、役割が分かりにくいかなというところはすごく感じました。実際、御家族なり当事者なりで困っていて、相談したくても、窓口や役割がたくさんあって、どこに具体的に相談していいか分からなかったりとかというような状況もありますので、役割をもう少し明確化していただけると相談しやすかったりするのではないか。あとは、実際こういう役割をうちはしていますみたいなものを示していただけると、より間口が広くなるかなと感じています。やはり役割自体が明確化していないことによって、各機関の連携も取りづらくなっているような感じはすごく受けておりますので、スムーズに連携を取るためにも役割の明確化は必要なのではないかと感じていますし、それぞれの機関で重なる役割や、それぞれ独自でやっている役割もあると思うので、そういうものの共有もしていただいて、家族や当事者の方の支援を、より一層いいものにしていただければいいかなと思っています。
これは、この先に期待することという話にはなってしまいますが、実際、各機関に支援していただいている中で、いろいろ試行錯誤していただきながら支援を提供してくださっていることは承知していますが、地域には、まだまだ困っている方とかも非常に多いのが現状です。全てを支援につなげることはなかなか難しいとは思いますが、やはり少し気に掛けていただけるようなことや、状況を把握していただけるようなことがあるといいのかなというふうには思います。なので、それぞれの機関に窓口として役割を担っていただいて、何か関わる中で引っ掛かることがあれば、もっと、これってどういうことなんだろうと疑問を持っていただいて、実際に支援につなげていただいて、よりよい支援をしていただけると、当事者の立場としては大変有り難いかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございます。それでは、次に小阪構成員お願いいたします。
○小阪構成員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。私も、櫻田さんと同じように、当事者性を持った立場から、少し申し上げさせていただければと思います。精神保健に係る業務について、市町村における相談体制を考えてはどうかという意見には、私も賛成です。また、精神保健福祉法第47条第4項における努力義務を義務規定にするというところも賛同できますが、いずれにしても運営要領・規程等に是非、長期入院患者の予防と解消に市町村が責務を担うみたいな文言も並行して明記すべきではないかと考えております。
なお、私が最も強調したいのは、精神保健相談の中身、在り方、どういった体制が望ましいかということがとても大事になってくるという点です。私たち利用者の立場からすると、精神保健相談について、市町村が相談しやすかったかと言えば、そうではない場合もあるというふうに思います。市町村に限らず、精神保健相談については、実際に私たちが最初に相談することのハードルの高さ、相談者側である利用者が感じる不安、相談をしたはいいけど思ったのと違った等のずれが起き得るということを十分に考慮した上で、その在り方を考えなければならないと思います。サービスの提供者側だけの目線では、どうしても気付けないことがあるのではないでしょうか。
サービスの受け手だった経験において、繰り返しになりますが、精神保健相談等を行う際の多大な不安、実際に相談を行った際の違和感、ずれ感、萎縮してしまうような感覚を持つことも少なくありません。また市町村としても、市町村側としても、精神保健相談における対応の困難さについて、98%が何らかの困難さがあるとしていることの1つには、精神障害における病状等から発生する問題や課題だけでなく、内的に起きていることを理解しづらいということがあるからではないかと思います。実際に、私たち当事者も家族も、病状に限らず、自分たちに起きていることや、この先どうしていいかよく分からないというようなこともあります。さらに、国民全体でも、精神障害となるとよく分からないという不安が根強くあり、それらの解消こそが精神障害にも対応した地域包括ケアの根幹なのではないかと私は思います。
それらの解消の1つとして、精神障害からのリカバリーの実態経験を持つ当事者の力、現在進行形でリカバリーを成し遂げていっている障害者ピアサポーターの姿、その力を活用することは、もはや必定ではないかと考えます。なぜなら、本質的リカバリーにおいては、環境的な整備だけではなくて内面的なリカバリー、この両輪が整うことが必須だからであります。その内面的リカバリーを促進していく上でも、前述の精神保健相談を担う場においては、市区町村に限らず、基幹相談支援センターや精神保健福祉センター等には、障害者ピアサポーター等を必置にしていただきたいのです。それは、これまで十分に聞けてこなかったのではないかと推察できるサービスの受け手の立場の言葉、思いを、徐々に実際の地域の支援に反映していくことにもつながり、協働していく枠組みの中で、精神保健相談や各機関の連携の在り方等にも好影響をもたらすのではないかというふうに期待ができます。リカバリーの道を歩んでいる障害者ピアサポーターが、住民にとって身近な窓口である市区町村等の相談の場にもいるということが、精神保健相談のしやすさ、ひいては国民全体のスティグマの解消にもつながり、リカバリーという概念を広く共有した上での精神障害にも対応した地域包括ケアという、あるべき姿に近づけるのではないかと私は考えています。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、続きまして江澤構成員お願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。まず、地域包括ケアシステムの議論の入口は、やはり地域包括ケアシステムの本質である地域づくり、まちづくりであると思います。これは、櫻木先生はじめ複数の委員の方がおっしゃっていることと同じです。したがって、精神障害や精神疾患に対する行政の議論は、またそれぞれ専門的に行うべきで、それが地域包括ケアシステムを下支えする今日の重要な議論だと理解しております。
そういった中で、地域包括ケアシステムの主役は地域住民で、我々が持つべき視点は、その住民の生活であります。したがって、行政や関係団体等は、地域包括ケアシステムの構築にあたる、いわゆるファシリテート役になるべきではないかと常々考えています。関係団体、我々専門職等をはじめ、みんなで住民を支えるという視点が重要であり、そもそも地域包括ケアシステムは、中学校区程度を日常生活圏域として、その中にケア付きコミュニティをつくることを目的とし、なおかつ、既存のいろいろな社会資源がありますが、これから人口が減る中で、なるべく既存の機能や、そういった既存の社会資源のネットワークを有効活用するということが前提になっていますので、そういった視点での今後の議論が必要であると思っています。
それから、以前も申し上げましたが、市町村の進める地域包括ケアシステムの構築に関する基本方針が、同一の目的の達成のために関係者、地域住民等に共有されることを規範的統合と申しますが、この規範的統合を推進することが、まず初めの一歩になるかと思っております。したがいまして、規範的統合を推進するには、当然市町村が主体となって、アドバルーンを掲げて、各保健所や精神保健センター、あるいは専門医療機関等と連携することが重要になりますし、先ほど協議の場という意見が出ましたが、こういった規範的統合を推進するに当たって、協議の場も活用できると思っております。そして、精神疾患の特有の課題としては、例えば地域で孤立しないための地域の受入れ、住民の受入れ、それに対するひきこもり支援。先ほども野口先生からありましたが、ひきこもり支援やアウトリーチの取組というのは、このフィールドにおいては極めて重要で、これからまた培っていく必要があると思っています。
櫻木先生も先ほどおっしゃっていましたが、地域包括ケアシステムという柱があって、その中でたまたま精神障害を持たれている方に対する議論が、この場だと思っています。既に各市町村において、今まで培ってきたもの、ノウハウが多々蓄積されているところですので、精神障害においても例えば地域包括支援センター、あるいは地域ケア会議、そういった所と緊密に連携することも重要なことになろうかと思います。そういった中で、特性のある専門医療機関や障害福祉サービス、一部は介護保険サービスとの関係性をどう深めていくのかということが重要であると思っております。
最後にまとめますと、主体は地域住民であって、地域づくり、まちづくりをどう推進していくのか。先ほどの協議の場においても発言がありましたように、住民が入っていく、住民の声をそこで拾い上げていくことも、非常に重要なミッションになると思います。そういった中で、たまたま精神障害あるいは精神疾患を抱えている方に対する支援として、何が必要なのか。そして、これは各市町村におけるご当地システムですから、その市町村の特性あるいは市町村の社会資源の中で、何ができるのかということを、地域づくりの視点を基に考えていくことが重要だと思っております。そういった中で精神行政の在り方、専門医療の在り方というのは非常に重要な話ですので、また引き続き論点について検討いただければと思います。以上でございます。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは長野構成員、お願いいたします。
○長野構成員 長野です。よろしくお願いいたします。素晴らしいデータをありがとうございました。かねてから、本当に今の運営要綱47条が現状にそぐわない、制度にそぐわない、皆さんに手が届かないところになっていることを痛感していた、そのものがデータになってきたのではないかなというふうに思って、とても興味深く見させていただきました。ただ、とても厳しさも見える中でも、あ、もう大丈夫だなという希望も見えてきたので、それは話題提供したいなと思っています。
例えば、資料1の37ページですけれども、市区町村の調査で、98%が何らかの困難を考えているという捉え方をしているのですけれども、これを見ると、対応は困難だというふうに切り捨てているのは僅か5%です。さっきの福岡の実情もそうですけれども、実は保健所が十分機能しない。中原先生には悪いのですが、先ほどの中原先生のデータの中に、29万の所でひきこもりの相談が10数件というのがありましたけれども、恐らく2万人の人口で割った比率、私1人でももっとたくさん相談を受けていると思うのですね。実際は、今の精神保健の仕組みが実情と合わなくて、ほかの所が様々な取組をしているということも見えてきます。そういう中で、市町村であったりとか現場が非常に力をつけてきているのが分かるかなというふうにして、これは逆に見ました。さらに、対応が困難な中身ですけど、未治療とか治療中とかひきこもりとか、こういう辺りを書かれているのですけれども、この辺りは、市町村の保健師などでもやれば活路が十分見いだせてくることなので、決して課題が深くないというか、しっかり丁寧にやれば、10年もやれば十分解決していく話題なのだろうなというふうに見ています。これは、困難をサポートするという見方と、もう一方で、十分もう現場はやり始めてきているという見方もできるのではないかなというふうに思います。
そういうデータでいくと、例えば29ページ、市区町村の調査で、どこが今後その業務の中心になりますかというところのトップが、実は認知症等老年期精神保健・高齢精神障害者と明記された中で、8割近くが、市区町村がやるべきだと書ききっているわけです。また、発達障害もとても注目するのですけど、例えば10年前に、発達障害を市区町村がやるのだと言った人たちがどれぐらいいらっしゃるか。やはり実践の中で、子供からお年寄りまで地域包括ケアをやりながら、この中で培って、やはり私たちがやるべきだねと。先ほどシビックプライドの話もありましたけど、市町村ではもう主体者になりつつあるのかなと。江澤先生がおっしゃった、あのファシリテーター役ですが、もう市町村がそろそろ腹を据え始めてきているところ考えると、丁寧にやっていくと十分要領改正が可能なのじゃないかなというふうに見て取っています。
その中で、やはり人員の問題はどこでも出てきます。ちょっと調べてみると、全国に今、地域包括支援センターは5,079か所という平成30年度のデータが出ています。平均5人くらいの専門職が配置をされていく。保健所のデータと比べると、ほぼ50倍ぐらい、専門職1人当たりの担当の人口が違います。やはりその担当専門職、ファシリテーターとなるような、黒子役になって住民の方と一緒にやっていくような、そういうものに関しては、市区町村を中心に充実させていかなければいけないのだろうということが見て取れますので、しっかりとやっていきたいなというふうに思います。
運営要領ですけれども、もう25年、20数年改正できてません。今回、47条改正をした上で、運営要領全てを一括して改正していくにしても、それが完成されたものになるとは到底思えなくて、かなり定期的に、3年ごとぐらいとか、ここ10年、15年に関しては、ある程度一定の落ち着きが見られるまでは、かなり頻回に見直しをしないと、また現場にそぐわない、壊すだけというふうになってしまうと思うので、その運営要領の今後の改正に関して、オープンに議論がどんどんできていくといいのかなというふうに思っています。
最後ですけれども、実は保健所と精神保健福祉センターにとても高い期待があります。今の延長線上には、保健所と精神保健福祉センターはないと思います。現場が一番最前線で物事に対応し始めると、保健所と精神保健福祉センターはどんどんついていけなくなります。しかし、精神保健に関しては、病気がなくならない限り、幾らでもやること、高度な知識専門性が要るようになってきます。今のセンター、保健所には実は経験値の優位しかないのではないかなと思うくらい、もっと先に向いて勉強が必要だと思っていて、もっともっと高度な専門性を身に付けながら、リーダーシップを取ってほしい。現行の知識であったり、経験でリーダーシップを取ろうと思っても、もう難しい状況になっていると思いますので、もっと高い位置を目指して、日本の精神保健を高みに導いていただきたいなというふうに思って、保健所と精神保健福祉センターに関しては更に高度なところ、現場に関してはある程度削らなくてはいけないかなというふうに思ったりしますけれども、人員にも合わせながら高い専門性を身に付けていただけたら、とても有り難いなと思います。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。当初予定しておりました16時になっておりますけれども、せっかくですのでお時間の許す限り御質問、御意見を頂きたいと思っております。御質問、御意見がございます方は挙手をお願いいたします。先ほど伊澤構成員が挙手をされていたように思うのですけれども。伊澤構成員、いかがでしょうか。
○伊澤構成員 お願いいたします。
○友利課長補佐 分かりました。それでは、先に挙手をされておりました伊澤構成員を先にお願いいたします。その次に、長谷川構成員、鎌田構成員、そして中島構成員の順番でお願いいたします。
○伊澤構成員 伊澤と申します。精神保健福祉事業団体連絡会の役員をしております。併せまして、東京都が行っております地域移行の体制整備支援事業の担い手としても動いています。その関係で、東京都内の西多摩地区、割と山間丘陵地帯のほうの自治体回りなどもさせていただいていて、そこで得た感覚といいましょうか、そういったことも少しお伝えしながらお話したいと思います。
先ほど来、たくさんの情報を頂きまして、大変刺激されました。また、啓発もされました。口々に皆様がおっしゃるように、市町村がより主体的に取り組める、そういう体制づくりというのは非常に大事だと思います。住民の身近で最寄りの公的な支援体制をつくる、図る、これは非常に大きな命題ではないかなというふうに思います。町の隅々が分かっている、シビックプライドという言葉もございましたけれども、そういう目線を持ちながら、住民に添いながらこの体制づくりをしていくというのは、とても大事だと思います。
そういう目線において協議の場に関しては、下から積み上げていくような感覚で協議を始めている自治体が割とあります。個別の対応事例を丹念に読み解きながら意見を持ち寄りながら、少しずつその要素を解いていくというのでしょうか、くみ上げていく、そういうふうな形で進めている自治体が結構ございます。一方で、大上段に振りかぶって、構造的な面から全体像をイメージしてくる、そういうやり方をしている自治体もあります。厚労省からしめされたポンチ絵に沿って、わが地域にはどのような社会資源が整備されているかを検索する形です。その双方向で形作りをしていくというところが、とても大事なのではないかなと。ボトムアップと上からのそういう俯瞰しながらの解析という、そういう両方向が必要なのではないかなということを感じたりもしております。
私が地域移行促進の関係で担当している地区で口々に出るのは、実は先ほど藤井先生のほうからお話がありました、構築推進事業の関係なのですね。8.9%の自治体のその対象で執行されているこの事業を、もうちょっと拡大できないのかという、そういう声が口々に語られております。特に、保健所未設置の市町村、非常に規模も小さいし、資源も乏しいという中で、細々とですけれども、この協議の場作りやほかの事業についても、事を進めようとしている、だけど、なかなかこの構築推進事業の執行対象になれない。この状況を何とか解消できないか、そういうお話が結構出ております。先ほど来から話が出ている精神保健福祉法47条4項の義務規定への改正、そして運営要領の見直しの方向、そういったものを通して、市町村の本課題への関与を鮮明にしていくことを通して活路を見いだしていく。そういったようなこともしっかりと認識しながら、構築推進事業はやはり拡充していく、拡大していく、普及させていくということも、非常に大きな課題かなというふうに思っております。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは長谷川構成員、お願いいたします。
○長谷川構成員 資料をどうもありがとうございました。今話し合われてきているのは、症例を認知して連携を始めるというところ、入口のところが話し合われてきているかと思います。今後どのようにその後ケアマネジメントを進めるかということ、具体的なイメージを考えなければいけないと思います。それは、例えばあらかじめ、いわゆる精神科地域共生型病院や診療所、グループホームやケアサポーターの方や訪問看護ステーションや地域の住民の方などが、そのケアマネジメントの登録に入っていまして、そこに市町村や保健所のほうから声を掛けて、チームを作っていくというようなイメージでいいのでしょうか。そのチームというのは、その当事者の方が、例えばひきこもっていた方がまたその後就労を目指したりとか、状態が変わると思いますので、そうなったときにチームの構成員も変わっていくというようなイメージでよろしいでしょうか。
○寺原課長補佐 事務局でございます。長谷川構成員、御意見ありがとうございます。本日のこれまでの議論では、そこまで踏み込んだ議論はいたしておりませんが、もし構成員の先生方から御意見あれば、お願いいたします。また、今回の地域精神保健に関しましては、本日の議論では終わらないと思っておりますので、第2ラウンドというものも考えなければならないというふうに考えています。
○友利課長補佐 ありがとうございます。それでは次に鎌田構成員、お願いいたします。
○鎌田構成員 4人の皆様、発表ありがとうございました。現在、市町村では、健康増進法に基づく様々な健康増進事業、障害者総合支援制度の地域生活支援事業、地域子育て支援拠点事業、様々な事業が複数の法令や制度ごとに会議体等の設置、構築をしています。そうした中で、地域包括ケアシステムを推進していくためには、様々な制度を集約して整理しつつ、その地域に合った保健医療福祉の関係機関や関係団体、関係者等の合意形成を図りながら、地域課題を抽出する必要があると思います。そのためには、先ほどから幾つか意見も出ておりましたが、保健所がしっかり支援をして、その地域の課題を把握することが必要になってくると思います。そこには、保健所保健師の人材確保とともに、質の向上が必要になると思っております。
今日発表いただいた山本さんは、飯能市で精神保健福祉士という資格で仕事をされております。全国の保健所保健師も含めて、保健所に勤務する新任者の多くは、精神保健福祉業務の経験が十分ではありません。私も数10年前に県の保健師として働いておりましたが、その当時は保健所保健師が精神保健福祉相談員の研修を受けて、その内容を活用し、精神保健福祉業務に従事しておりました。現在の精神保健福祉相談員の研修の実施状況はいかがでしょうか。予算についても確保されているのか疑問に思います。住民に身近なところで、支援を行うためには、保健師をはじめ精神保健福祉相談員の充実が必要かと思いますが、厚生労働省ではどのようにお考えなのか、併せて御意見いただければと思っております。よろしくお願いします。
○寺原課長補佐 事務局でございます。精神保健福祉相談員に関しましては、資格として取るべき研修に関して毎年度行っておりますが、なかなか参加の人数自体は少ない状況でございます。また、精神保健福祉相談員に限らず、精神保健相談に関する研修事業というのは、地域生活支援事業等でも行っているところでございます。
○友利課長補佐 鎌田構成員、よろしいでしょうか。
○鎌田構成員 はい。とにかく現場では力をつけていかないと、この精神にも対応した地域包括ケアシステムというのはなかなか進んでいかないのではないかと思っております。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは先ほど挙手をされておりました中島構成員、よろしくお願いいたします。
○中島構成員 どうもありがとうございます。全体としては、行政の各機関の分担とそのスムーズな連携をどういうふうにやっていくかというところに、今日の論点があったのではないかと思います。感想としては、長野構成員の御意見に、僕は全面的に賛成でございます。ただ、だんだん分からなくなったのですが、福祉というのは国のどこが担っているのですか、これが第1です。
○寺原課長補佐 事務局でございます。障害者福祉に関しましては、市町村が基本的には行うという形になっております。
○佐々木精神・障害保健課長 精神・障害保健課長の佐々木でございます。国の部署でということでの御質問でよろしいですか。そういうことであれば社会・援護局でございますし、そのうちのその障害福祉であれば、当障害保健福祉部ということになろうかと考えております。
○中島構成員 精神が社会・援護局にあるということは、福祉の側面をしっかり支えていこうということなのですから、今回の議論の仕方というのは、それにはよく沿っているお話だろうと思います。ただ1点、総合病院の精神科、総合病院の精神科病棟というものが、どうもこのデータの中にほとんど出てきていなかったように思うのですけども、ここはどこがどう管轄されていますか。
○寺原課長補佐 事務局でございます。総合病院も含めました精神科医療から見た精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに関しましては、次回以降のこの検討会において御議論いただきたいと思っています。また、精神科救急ワーキンググループの中でも身体合併症も含めて、総合病院の役割というもの、やり方をしっかり御検討いただきたいというふうにも思っています。
○中島構成員 分かりました。総合病院のことを今後しっかりやっていかないと、単科の精神病院だけの問題にしていたのでは駄目なのではないかなと思います。とにかく困っている人は放っておかないということがベースにあるわけで、そのことをきちんと守っていただけたらうまくいってるはずなのですけれど、人手が足りない。保健所は半分にしてしまったという、こういう国の方針そのものが、今回の新型コロナによって全く間違っていたということを証明してしまったようなものですよね。だから、この人員を増やし、そして保健所を増やしていく。適切に増やすということは、当たり前のことで、今こそタイミング良く増やせる時期ですよね。
このまとめ方について若干意見があるのですけど、新型コロナの災害の真っ最中にこの検討会が開かれたということをきちんと打ち出しながら、人員増、保健所増、あるいは市町村でというものを最大限、予算獲得に厚労省としては力を入れてほしいというふうに思います。アフターコロナの「にも包括」の姿を思い描きながら、意見をまとめることが大切なのじゃないかと思いました。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。大分お時間が過ぎているのですけれども、まだ御発言されてない方で、どうしても御発言という方は、ありがとうございます。それでは小幡構成員、よろしくお願いいたします。
○小幡構成員 時間がないので簡単に。全国精神保健福祉会連合会の小幡です。精神保健という側面から見ていったときに、この精神障害だけではなく、幅広の全国民に対してもこれを当てはめていくという議論にある中で、この後の議論になっていくということですけれども、精神科医療との連続性がどうなるのかということを、当事者、家族含めたところからすると、その組織図的な意味合いでの連携体制ということではなく、実質的、機能的な役割側になってもらえるというイメージを、より伝わるようにしていかなければいけないと思います。先ほど中島先生もおっしゃっておりましたけれども、精神科医療が一般医療、総合病院などとの兼合い等を含めて、この地域包括の中にどう位置付いていくのかということについては、私も非常に関心を寄せているところです。また、47条の4項ですとか運営要綱の改正については、以前は「当事者や家族に対して積極的に指導していく」というような項目が、今現在では「指導する」というところに留まっているようなこともありますし、その文言だけに囚われるわけではないですけども、総合的に本当に手を届けなければいけないところに対して、どういうふうに有効性のある改正ができるかということに期待をしていきたいと思っています。うずもれていくのではなく、手を引っ張って引き上げていけるというベースを基に、是非、次回以降の議論にも参加していきたいと思います。以上です。
○友利課長補佐 ありがとうございました。それでは、本日のこれまでの御議論を踏まえまして、座長の神庭先生のほうから一言お願いしてもよろしいでしょうか。
○神庭座長 神庭でございます。本日は大変貴重な御報告、御意見、御指摘を頂きまして、誠にありがとうございました。前回は書面会議で、また今回はWebとなってしまいましたけれども、皆様から貴重な御意見を活発にお寄せいただきました。地域精神保健を担う各組織が、大変重要な仕事を担っておられることが、現場の声でよく分かりました。また、その現場の持っている問題、それぞれの強み、あるいは不足していることなど、今後この検討班で更に検討していく必要がある課題も少し見えてきたように思います。地域の共生社会を支えるために、各機関が重層的連携あるいは協働していくその在り方、協議の場における当事者や住民の参加の重要性など、大変貴重な御指摘を頂きました。また、皆様が共通しておっしゃっていた各機関におけるマンパワー不足、法整備の問題点など、これらも喫緊の課題として検討していくことが必要だと思いました。
COVID-19のために進行が遅れがちでございますけれども、この検討会に与えられました重要な課題を、中途半端なものにならないようにまとめ上げたいと思っております。これからもWebにならざるを得ないときもあろうかと思いますけれども、今後とも活発な御議論をどうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
○友利課長補佐 神庭座長、ありがとうございました。それでは、本日の議論はここまでとしたいと思います。最後に、今後のスケジュールについて御説明をいたします。次回の検討会につきましては、現在日定を調整させていただいているところでございますけれども、予定としましては9月の上旬頃に開催をしたいというふうに考えております。そして、精神科救急医療体制整備に係るワーキンググループにつきましても、日程を調整しているところでございますけれども、こちらのワーキングについては8月の下旬頃に開催をしたいというふうに考えております。正式には、また改めて御連絡をさせていただきます。それでは、以上をもちまして本日の検討会は閉会とさせていただきます。構成員の皆様方、お忙しい中、御参画いただきまして誠にありがとうございました。

 

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