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2017年2月20日 第13回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」

職業安定局

○日時

平成29年2月20日(月)14:00〜16:00


○場所

612会議室(中央労働委員会 6階)


○出席者

神吉 知郁子 (立教大学法学部国際ビジネス法学科准教授)
中村 天江 (リクルートワークス研究所労働政策センター長)
松浦 民恵 (ニッセイ基礎研究所生活研究部主任研究員)
水町 勇一郎 (東京大学社会科学研究所教授)
柳川 範之 (東京大学大学院経済学研究科教授)

○議題

・法制の議論

○議事

○柳川座長 ただいまから第 13 回同一労働同一賃金の実現に向けた検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところを御参集いただき誠にありがとうございます。議題に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 お手元の資料を確認させていただきます。まず資料として、本日御議論いただきます法整備に向けた論点という一枚紙があります。それから、参考資料を 2 点お出ししています。 1 つは横置き、参考資料とあります、現行制度や欧州諸国の法制度などをまとめた資料です。もう 1 つは参考資料 2 、関連条文、特に本日御議論いただきます労働者派遣法の関係情報を抜粋した資料で、この 2 点です。お手元にございますでしょうか。

○柳川座長 それでは議題に入ります。今回は法整備に向けた議論として、派遣労働者関係の司法判断の根拠規定の整備関係、説明義務の整備・いわゆる「立証責任」関係、履行確保の在り方などその他事項と、全体の「時間軸」の在り方についての議論を行いたいと思います。

 まず、派遣労働者関係の法整備に向けた議論から始めたいと思います。事務局より資料の御説明、最初の論点である司法判断の根拠規定の整備関係に関する本日御欠席の委員の方々からの御意見の御説明をお願いいたします。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 御説明いたします。まず、法整備に向けた論点というペーパーを御覧ください。本日、労働者派遣法制の関係では、 (1) から (3) までの論点を事前に先生方に伺わせていただきました。そのときの御指摘を基に用意しております。

 まず (1) 司法判断の根拠規定の整備関係です。御覧のとおりパートタイム労働者、有期雇用労働者と比べ、労働者派遣の場合には現在、均衡待遇に関する規定がありますが配慮規定にとどまっております。これをどうするか、ということが大きな論点となっております。

 具体的には 3 つポツを並べています。 1 つは、派遣先との均衡を求める必要性・考え方 ( 労働契約法の適用との関係を含め ) としています。職務待遇確保法という議員立法によって、私ども政府としては派遣先との均等・均衡を法制化するという責務を負っておりますが、これについて政策論、在るべき論としてどう考えるかということがあります。

 また労働契約法上、派遣労働者の場合、多くが派遣元において有期雇用ですので、有期雇用労働者として派遣元において労働契約法の適用を受けることになります。それとの関係もどう整理するのかということが 1 つ目のポツです。

2 つ目のポツですが、具体的制度設計 ( 均衡を判断する考慮要素、派遣労働者のキャリア形成との関係等 ) としています。均衡を判断する考慮要素につきましては、先ほど申し上げました職務待遇確保法という議員立法が今、 1 つの材料としてあります。また、現行の労働者派遣法 30 条の 3 、配慮規定において、それとは異なる、より幅の広い考慮要素を掲げております。また、直接雇用の世界でございますが、パートタイム労働法、労働契約法にそれぞれ均衡待遇を求める規定があります。そこでは職務内容、職務内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮要素としておりますが、こういったものを材料に今回どう考えるかを論点として想定しております。

 派遣労働者のキャリア形成との関係ですが、これについては 12 月にお出しいただきました中間報告でも、こういった観点があるので派遣特殊的な論点を含め、丁寧な制度設計が必要だという御指摘をいただいております。これについては欧州、例えば EU 指令では派遣先との均衡を前提としつつ、一定の例外を認めると、そのような法制度も例としてありますが、我が国において今後派遣法制を考えるときに派遣労働者のキャリア形成をどう考えるか。

3 つ目のポツ、派遣元・派遣先の責任・協力の在り方ですが、派遣元と雇用関係がありますので、賃金などの待遇決定は基本的に派遣元が行うわけです。ただ、派遣先との均衡を考慮するという観点に立つならば、派遣先から一定の情報提供がないと派遣元が待遇について均等・均衡を図ることができないという問題が生じます。こういったことが議論すべき点ではないかと思っております。

(2) 説明義務の整備・いわゆる「立証責任」関係としております。これは派遣特殊的な切り口もあるかもしれませんが、前回御議論いただきました直接雇用のパート・有期において論点として挙げたものを再掲しております。

(3) その他 ( 履行確保の在り方等 ) についても同様です。

 参考資料は事前に御覧いただいておりますのでざっと申し上げます。参考資料 1 につきましては、まず職務待遇確保法の主要条文、それから一億総活躍プランの該当部分、それから我が国の労働者派遣法の制度や運用の現状について。資料 4 ページでは派遣法の現状、元と先との責任関係、平成 27 年改正の概要が 5 ページ、それから派遣労働者のキャリアアップの推進について、 27 年改正で強化されましたが、その概要が 6 ページにございます。 7 ページは派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇の確保について、今、派遣元・先に対してどういう仕組みになっているか。 8 ページからは労働局を通じて行いました平成 24 年と 27 年の派遣法の施行状況調査の結果です。

 欧州諸国につきましては、本検討会でも何度かお出しした資料ですが、日・独・仏・英の派遣法制の比較、それから EU ・独・仏・英の待遇差、均等待遇・均衡待遇に関する現状制度となっております。

1 枚だけ、今回、新たにドイツの資料に追加をしております。資料の 17 ページを御覧ください。ドイツの労働者派遣法ですが、昨年 11 月に改正法が成立してこの 4 月から施行されることになっております。簡単に申しますと、均等待遇・均衡待遇について派遣先の比較可能な労働者の賃金水準と合わせるというのが原則であると、黒い吹き出しで書いてあるところです。

 これに対して例外を許容しています。例外の許容の仕方に 2 タイプあり、例外1とありますオレンジ色の実線で囲っている吹き出し、労働協約によって 9 か月までは派遣先との均等待遇原則の適用を除外して、派遣開始後 9 か月から均等待遇原則を適用するというやり方、これが例外1です。

 例外2、 2 タイプ目の例外として、 6 か月で派遣先との均等待遇を全面的に求めるというやり方に変えて、 6 週間目から 15 か月目にかけて段階的に派遣先との均等に近づけていくというやり方。こういったものを許容するという仕組みになる予定です。その他は既に御覧いただいた資料です、以上です。

 それから、この論点の特に (1) 司法判断の根拠規定の整備に関し、本日御欠席の皆川先生と川口先生から意見をあらかじめいただいておりますので読み上げさせていただきます。お 2 人とも、紙で配るほどまだ練れていないのでということで、こういった形を希望されております。

 まず、皆川先生の御意見ですが、今後の法整備において、司法判断の根拠規定が検討されるに当たっては以下の点に留意が必要と考える。労働者派遣に関する規制の在り方を検討する際には、労働者派遣法の目的に鑑み、労働力需給の適正な調整を図る目的と、派遣労働者の保護等、雇用の安定その他、福祉の増進に資する目的とを勘案しなければならない。

 その際、労働者派遣のそもそもの役割が、短期的な労働力の需給調整に対応するものなのか、それとも長期的な派遣労働も、それが派遣労働者の雇用の安定等につながるのであれば積極的に雇用されるものなのかについては、制定から現在までに至るまでの労働者派遣法の規制の経緯や現行法の規制を見ても、必ずしも明確ではないように思われる。今後、派遣労働者の待遇の改善や派遣先の労働者との待遇格差是正のための規制について検討するには、上記の点を踏まえ、どの目的を達成するにはどのような規制が適合かを検討する必要があると考える。

 短期的な労働力需給調整を円滑に図る観点からすると、派遣労働者の労働条件について、派遣先の直用労働者との均等待遇ないし均衡待遇を最初から厳格に求めると、派遣元事業主の負担が増大し、円滑な労働力需給調整に支障が生じる可能性がある。そのため、派遣先の労働者との均等ないし均衡待遇の規制は、労働者派遣がある程度の期間、継続して行われ、派遣元にとっても派遣先との協力を得て、派遣先の労働者の労働条件を踏まえた対応が現実に可能となる時点から検討されるべきことが望ましい。

 ドイツの場合でも、 2016 11 27 日に連邦議会、同月 25 日に連邦参議院で可決され成立した改正労働者派遣法は、 2017 4 1 日から施行となる。労働協約による派遣先の比較可能な労働者との均等待遇原則からの逸脱が原則 9 か月後、一定の条件の下での労働協約の締結による逸脱が 15 か月後まで許容されている趣旨の 1 つも、このような考慮によるものと考えられる。

 しかし、他方、派遣労働者がある程度の期間、同一の派遣先で派遣労働を継続した場合、その派遣労働者の職務内容等に鑑み、派遣先の労働者との賃金等の労働条件の均等・均衡を図ることも必要であろう。実質的に派遣先の正社員と異ならないような職務に従事しているにもかかわらず、賃金等の労働条件に格差があれば、そのことは公正とは言い難い面があるためである。

 ここで、派遣先の労働者との関係での均等・均衡の待遇の実現を図る姿勢を検討するに当たっては、現行の労働者派遣法において、派遣元に無期雇用されている派遣労働者の場合とそうではない場合とで、派遣可能期間に関する規制が異なって行われていることも考慮されるべきであろう。派遣元による無期雇用によって、派遣労働者の雇用の安定を確保する方向への誘導を考えるのであれば、派遣元での無期雇用のケースでは、派遣元との関係での賃金等の労働時間設定を尊重し、派遣先の労働者との均等・均等待遇の規制を緩和することが考えられる。

 他方、この考え方からすると、派遣元に無期雇用されているのではない派遣労働者については、同一の派遣先への派遣が一定期間に達した時点から、派遣先の労働者との均等・均衡待遇についての規制を強化していくという方法が考えられる。もっとも、その場合、いつの時点からそのような規制を及ぼすのか。及ぼすとして、均衡、均等の段階を踏むのかどうかなどの点については検討が必要であり、またそのような規制を行うことで、規制の適用を回避するために派遣労働者の入替えが促進され、かえって派遣労働者の雇用の安定を損なうことにつながらないか、といった点についての検討も必要となろう。以上が皆川先生の御意見です。

 次に川口先生の御意見、これも (1) の論点についてです。パート・有期・派遣、 3 つの雇用形態間で規制のレベルの差異があると、雇用主の立場から見て利用のしやすさに差異が生まれ、 3 つの雇用形態間での代替が生じる恐れがある。そのため、規制の強さについてバランスを考える視点が必要である。

 一方で派遣先に合わせて賃金を変えなければならないとすると、派遣業者の立場からすると、派遣先を変更して派遣労働者の技能形成を図ることが難しくなるおそれもある。正社員について、職能給的な賃金制度を取ることで配置転換を通じた技能形成を図っているという議論があり、その議論が参考になる。

 ドイツの改正派遣法のように一定の時期の到来、例えば 9 か月をもって派遣先との完全な均衡を求める制度設計とすると、その時点で派遣契約を終了させる効果を招きかねないので慎重な検討が必要である。もしも、このような制度を導入するのであれば、スムーズに派遣労働者の賃金を派遣先労働者の賃金に収束させていくような制度設計が必要である。以上です。

○柳川座長 どうもありがとうございます。それでは、今御意見があったような司法判断の根拠規定の整備関係につきまして、委員の皆様から御質問、御意見等をお出しいただければと思います。いかがでしょうか。

○中村委員 ありがとうございました、川口先生、皆川先生の御意見も大変参考になりました。

 まず考えたいポイントがあります。川口先生からも出ているような非正規 3 形態、正社員を入れると 4 形態の中で、規制レベルのバランスという観点をどう捉えるかが重要だと考えています。

 具体的に言うと、今回、日本で同一労働同一賃金を欧州から適用するとき、最初に決めたのは欧州のような企業横断的な同一賃金のやり方ではなく、同一企業の中での均衡・均等を進めていくということです。つまり、「横」の制度を「縦」に入れるというのが、日本への適用のときの一番大きなパラダイム変更だと考えています。そのとき、派遣先均衡に関して言うと、派遣会社と派遣先の使用者企業だけ、横断で制度を入れにいくという中途半端な状態にあります。

派遣先均衡がもたらす一番のポイントというのは、今、川口先生から派遣業者の話が出ていたのですが、派遣業者よりも、本質的には、派遣先の使用者企業の労働者の調達に関する制約をかけていくことだと認識しています。そういうことが派遣先の使用者企業にとって、ほかの有期の社員、パートの社員、派遣の社員という中でバランスの取れた制度設計になっているのか、これが非常に大きな論点だと考えています。

 逆に何を懸念しているかというと、ちょうどこの後、 2018 年に無期転換が一律入ってくる中でいくと、使用者企業は無期転換の規制も入る。直接雇用の有期の社員、パートの社員に対しても待遇改善が求められる。更に外部人材である派遣についても一定の制度が求められるということをすると、雇用若しくは派遣というものを使っている限り、待遇を相当に改善していかなければいけない、そういう方向に全部の制度がいっている。そうであれば、例えば個人請負化みたいな形で雇用の傘から外すということも含めて対応するようになります。

 雇用の傘から外れた人が今、どうかというと、厚生労働省の「働き方の未来 2035 」にも出ていましたけれども、現行法制の中では一番保護が弱い状態になっていて、そこに誘導することが本当に働き手の福祉や待遇にいいのかというのは、とても大事なポイントだと思います。

 そういう意味で言うと、使用者企業側に立ったとき、いろいろな働き方の人材がいるときに一番適切なものは何なのか、どのレベルのバランスのかけ方で均等・均衡を求めるのがいいのかというのは、大きなポイントだと考えています。多分、直接雇用の有期などと同じレベルまでの均等・均衡を派遣にまで求めてしまうと、個人請負化など違う方向に副作用が出るリスクがどんどん上がっていくのではないかということを、最初にお伝えしたいと思っています。

○柳川座長 ありがとうございました、そのほかいかがでしょうか。

○松浦委員 今、中村委員がおっしゃったパラダイムが違うというのは、私も非常に重要な点だと思っています。派遣は、基本的には職種別の企業横断的な労働市場が前提になると考えられます。ヨーロッパの中でもフランスとドイツにおいては、直接雇用の労働者についても職種別の賃金相場がある程度出来ていて、職種別の労働市場であるという面で、直接雇用と派遣は共通しているため、派遣についてだけ違える理由が余り見当たらない、基本は同じでいいでしょうという話になり得ると思います。

 一方で、日本においてはそういった職種別の賃金相場がないので、中間報告の中でも、必要性は別にして、当面は一つの企業の中での均等・均衡に焦点を当てざるを得ないという整理がなされたと記憶しております。その上で、職種別の賃金相場がある程度形成され得る派遣についてまで、企業別の縦割りに合わせるという論理展開に、なぜなるのかがわかりません。

派遣先の均衡については、派遣先に同種の労働者がいる場合、その方の賃金相場が分かることによって派遣料金値上げの交渉材料になり得る面もあります。ですから、現在の労働者派遣法のように、配慮義務の中に派遣先均衡の考え方が入ることについては理解できます。

しかしながら、少なくとも派遣について、派遣先均衡をまず原則にして、一般労働者の賃金水準のほうが例外になるという佇まいにするのは、今まで同一労働同一賃金に関して議論してきたパラダイムの中からは、なかなか説明がつかないのではないかと考えています。

○柳川座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。今のお二方の話は横と縦という形、ざっくりした言い方が適切かどうか分からないですが、ヨーロッパは職種別、横の関係で賃金が決まっている。むしろ、日本がヨーロッパ型の同一労働同一賃金を目指すのであれば、その意味では派遣の形のほうが横の関係の同一労働同一賃金をかなり実現できていて、縦のほうにわざわざ合わせるのは、どういう理由かちょっと理解に苦しみますという感じの話ですか。

○松浦委員 縦割りか横割りかということは、制度設計を考える上で非常に重要な論点だと思います。

○柳川座長 なかなか、全てのものを全部変えられないところに、もう 1 つの難しさがあると思います。前回もそうですが、特にこの派遣のところは全てここで意見が一致する話だとは思っていません、論点がきちんと明確になればいいのだろうと思っています。どういう意見がそれぞれあって、何をポイントにしているかがきちんと整理できればというところは、最低限やりたいと思っています。ほかにいかがでしょうか。

○神吉委員 いろいろな側面があって私もまとめ切れてはいません。先ほど、冒頭で中村委員がおっしゃった縦割りと横並びという論点ももちろんなのですが、皆川先生の言われた短期的な需給調整なのか、それとも長期的なキャリア形成の 1 つと見るのか、その目的とも関わってくる話だと伺いました。

 皆川先生の御指摘にもあったのですが、短期的な需給調整という機能を重視すれば、ある程度企業にも円滑な需給調整ができるような余地を残しておくことが大事だろうとおっしゃっています。ただ、それは派遣だけではなく、社会的な機能からすれば正に有期契約労働者に関しても妥当します。なので、派遣の特殊性を前提としても、均等を入れてかつ例外を設けるというやり方が、本当に派遣の特殊性だけで貫けるか、疑問のあるところです。

 もう一点、派遣については派遣先との均衡から均等まで入れるかという職務待遇確保法との問題があります。その一方、事務方からも御説明があったとおり、派遣の多くは有期でもあるわけです。そうなってくると、有期契約の労働者として派遣元の無期雇用の労働者との均等・均衡待遇もかかってくる。それらはどういう関係になるのかは法的に整理が必要だと思っています。

 五月雨式なのですが、もう一点の懸念は中村委員の言われたこととかなり共通しています。前回も申し上げたとおり、雇用に関する非正規全般に対して均等・均衡待遇に関する規制強化をしていくことになれば、非労働者化の進展は免れないだろうと思っています。現行の枠組みからしても、現在非労働者と扱われている人たちの中にも、かなりは労働者として保護される人がいるのだから大丈夫という話もありますが、非常に捕捉しにくいという社会的問題がある。自分が準委任だ、請負だと契約を結んでいる人が本当は労働法に照らしたら保護されると解釈できるかというと、まずそれができないことが、現実的に問題なわけです。そういう方向に誘導しないような政策形成が非常に重要だと思っています。

 今回、非正規 3 つを規制強化したら次は請負を強化すればいい、そこを締め付けていく方向もあるかもしれません。しかし、そもそも一気に規制強化するのが本当にいいかは疑問に思っているところです。モグラ叩き理論というのは多分水町委員の理論だと思うので、水町委員がどうお考えか、伺えますか。

○柳川座長 御指名がありました、お願いします。

○水町委員 非労働者化するという問題はもちろん 1 つの問題ではありますが、労働時間に対する規制強化をするときも最低賃金を引き上げるときも、労働法を改正するときには常に同じような問題が出てきます。この問題とその問題はある程度区別して、今回の問題の改正でどういう問題が出てくるかをきちんと検討し、かつそれが脱法行為につながらないように、つまり本当は実態として労働者なのに請負や非労働者扱いをしているものをどう規制するか。これは派遣法改正だけではない、いろいろなところで出てくる問題なので、視野の中に入れながらケアしていくべき問題だと思います。

 もう 1 つ、大きな考え方としては、職務待遇確保法が述べている派遣先労働者との均等・均衡になぜこだわっているかというのは、派遣がコスト削減目的で使われることを避ける、要するにパートと有期は規制を入れたのだけれども、派遣については均等・均衡を入れていないとなると派遣だけが安い状態で、派遣にそのひずみがいってしまうという問題を避けるためです。パートと有期についてきちんとやるのだったら、派遣についても同じような視点で均等・均衡をきちんと入れることが大切というのが職務待遇確保法の大きな趣旨、観点ではないかと思います。それが今回の改革の中では、「ニッポン一億総活躍プラン」の中でも改めて確認されています。

 ただし、これまでの議論の中にもあるように、パートタイム労働者や有期契約労働者にない、派遣労働者に特殊な、固有の事情もある。例えば派遣先労働者に合わせると、非常に高い派遣先で雇われて、次に安いところに行くと、その人自体の技能は畜積しているのに派遣先と合わせて安くなってしまうというデコボコが出てくる。それに対してどうするかという、 1 か所ではないところからの視点での調整も必要ではないか。逸脱と言うか例外と言うかはいろいろ呼び方があるかもしれませんが、私は派遣先労働者との均等・均衡、コスト削減目的に使われないことに対する派遣特有の調整が、何らかの形で必要だと思っています。その視点が 1 つです。

 もう 1 つ、 2015 年法で派遣労働者について特に無期雇用派遣を促進するということでした。無期雇用派遣でいろいろなところに派遣されるけれども、派遣元が責任を持って無期雇用にし、その中で派遣先での OJT による訓練だけでなく、派遣元が視点を持って長期的に育てるというキャリア形成の視点も入っている。その視点を今回、派遣先労働者との均等・均衡を基本的に原則として位置付けながら、派遣労働者についての均等・均衡のルール中でどう調整するかという視点が必要になってくる。その点を考えると、恐らくパートや有期と全く同じものを例外なし、調整なしに入れるということは難しいのではないかという気がします。そこで、例えば皆川先生がおっしゃったようなドイツ方式がいいのか、イギリス方式がいいのか、フランス方式がいいのか、いろいろな考え方があると思います。でも、外国の方式が全てハッピーなわけではないので、日本の現状に合ったような形で、どう調整方式を決めるかというのがポイントになるかと思います。

○中村委員 ありがとうございます。非労働者化の話が、ほかの人件費を上げる各種施策とも同様だというのですが、今回の派遣労働者の均衡・均等に関してはもう一段特別の検討が必要だと思いました。理由ですが、今回の派遣労働者に関していうと、労契法とパート法で、自社の直接雇用の中での、派遣元の中での人件費のアップということが全部進んでいくわけで、最賃や労働時間など、本来派遣雇用主がやるべきものは、派遣についても労契法とかで対応します。そのベースの取組みが全部終わった後でアドオンのもう一個、派遣だけ、更に派遣先という 2 つ目の企業との話をしているので、通常の議論から外して非労働者化やその副作用に対しての目配りが今回は必要だと思います。

 目配りが必要だというときに一番に出てくるのが、キャリア形成支援、これが派遣元で、前回の 2015 年改正で入っているのですが、先ほど言ったように、派遣先の使用者企業にとってみると、外部人材である派遣労働者に対しても、自社の直接雇用の有期と同じように基本給も各種手当も教育訓練も、安全衛生とかは当然やるべきだと思いますが、全ての待遇が同じようなレベルで、両方全部フルセットでやる必要があるのです。しかし派遣労働者に関して、派遣元でもフルセットでやるのですよねという整理をしてしまうと、ここの部分だけ二重に掛けていることになるので、そのことはむしろ、何で外部人材なのに、さらにアドオンのものを自社で持っているはずなのにやるのですかと。でしたら、違う外部人材の活用の仕方を模索するという、やはり非労働者化の副作用が出る可能性があると思っています。そういう意味で言うと、自社の直接雇用の非正規に対して掛けているもの以上のものが乗ってくるとか、範囲が広くなるというのは、今回の同一賃金の枠組みで企業横断的に入れる制度の中では、無理がある気がします。

○松浦委員 先ほどの神吉委員のお話で、派遣も多くが有期契約というご指摘があったかと思いますが、その点について補足です。派遣だけではなくて、有期契約全体についての疑問点です。パート法の中の均等についてはその条件に相当きつい縛りが掛かっています。つまり、雇用契約の全期間を通じて同じといった条件のもとで均等が求められているわけです。そう考えると、派遣の場合も含めて、有期の場合に、この均等の考え方をパート法と同じように適用するというのは無理があるのではないかと懸念しています。

一番の問題は、雇用契約の全期間というのをどう捉えるのかということです。有期はそもそも、例えば 1 年という期間の就業を前提に雇用されるわけです。一方で、その 1 年間で比べれば同じ仕事をしているように見えても、直接雇用の労働者に関しては長期雇用を前提に労働条件が設計されるわけです。派遣の有期の場合はもっと複雑で、派遣先が変わって派遣元は継続、派遣元が変わって派遣先は継続等いろいろなパターンが考えられるので、パート労働法のいう全期間という概念をどうやって有期、さらには有期の派遣に適用するのか。全期間をどう捉えるかは、無期雇用派遣の場合も問題になり得ます。

まとめますと、全期間という厳しい条件付きの均等の考え方をそのまま、有期契約や派遣に適用するというイメージがよくわからないというか、無理があるのではないかと思います。待遇確保法の中には「均等」という言葉も入っているのですが。

○水町委員 パートタイム労働法第 8 条が労働契約法第 20 条と対応するもので。

○松浦委員 「不合理な格差」というものですね。

○水町委員 そうです。パートタイム労働法第 9 条はパート法にだけある差別取扱いの禁止。

○松浦委員 はい。

○水町委員 第 9 条が均等で第 8 条が均衡だというネーミングをしているからそういう誤解が生まれるのです。今、基本的に第 9 条は置いておいて、第 8 条の中で均等と均衡の両方が含まれていますという中で第 8 条の議論を今、メインにしているので、第 9 条の議論は差し当たり、派遣に第 9 条を作ろうとかいう話にダイレクトになるかどうかは、また別な話です。パートタイム労働法第 8 条とか労働契約法第 20 条みたいなものを派遣法に入れようかというイメージ、まずメインストリームはそこです。

○松浦委員 そうしたらパート労働法の第 9 条は、ここで議論している均等とは異なるということですか。

○水町委員 そうそう。あれは均等というか差別取扱禁止であって、均等と言いたければ均等と言ってもいいですが、パートタイム労働法第 8 条で我々が今、議論している均等・均衡と同じものではないということです。

○松浦委員 それでは、待遇確保法の「均等」も、そうなのですか。

○水町委員 そうです。待遇確保法も、均等・均衡って、第 9 条と第 8 条を両方入れようという趣旨のものではないと私は思います。

○松浦委員 本当に?

○水町委員 はい。

○松浦委員 第 8 条という意味。

○水町委員 はい。

○中村委員 そうなのですか。

○松浦委員 しかし、「均等」といえば普通は第 9 条の意味だと思ってしまうのでは?

○水町委員 それ、普通ではないですよと私は厚生労働省の方に言って、表も直していただいています。

○松浦委員 そうです。一般的にはそういうふうに捉えられていますね。

○水町委員 差別的取扱禁止規定を派遣に入れる議論は、私はしていないと思います。

○松浦委員 していないのですか。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 現在、法規制については、働き方改革実現会議で 1 回フリーディスカッションを行いましたが、政府としてその方向性を決めていない状態ですので、決めているのは司法判断の根拠規定を整備する、現状としては派遣は配慮義務しかありませんので、ここに何か整備をすることは決まっていますが。そのときに、パート法第 8 条的な条文、パート法第 9 条的な条文の両方を入れるのか、片方だけを入れるのか、あるいはどちらとも違う何か第三の規定を入れるのかということについては、まず政府としては公式に方針を決めていないということです。

 それからパート法の第 9 条は今、水町先生からも御説明がありましたとおり、対応関係としてはパート法第 8 条と契約法第 20 条が、一定の考慮要素を考慮して不合理な待遇差があってはならないという規定でパラレルで、パート法第 9 条は、職務内容と職務内容配置変更範囲が同一であれば差別的な取扱いをしてはならないという、概念的には第 8 条の集合の中の一部を特に取り出して規定しているという関係になっていると思います。それがパートだけにある。パートだけにあって、その条文の条件として、雇用期間の全期間を通じて変更範囲が同一かどうかを見ることになっています。

 ここから先は、もう正に論点、議論がいろいろあり得るという世界だと思うのです。仮に、パート法第 9 条を参考にしたような法的ルールを有期派遣に入れようとしますと、有期派遣の場合には、有期はもう必ず定義上有期ですし、派遣の場合にも登録型は有期ですので、そこの雇用の全期間を通じてというのを、どのように解釈ないし運用するかということは問題になってくると思います。その場合に、あくまで場合分けとして言えば、比較対象の通常労働者が、言わば 20 歳から 60 歳まで、今は 65 歳ですか、それまでの期間を想定するとして、その 40 年間の変更範囲と、有期派遣で例えば 1 年間派遣されるとか、 1 年有期であるというその 1 年間の変更、移動の範囲を比較するのか。それとも、派遣労働者が有期雇用労働者を受け入れている、その 1 年間におけるこの通常労働者側の変更範囲と比較するのかというのは、何て言うか選択肢としてはどちらもあり得て、どちらを取ったらどういう帰結が生じるか、その利害、得失なり納得性はどうかということは、議論し得るとは思います。ただいずれにせよ、そもそも第 9 条的な規定を有期派遣に入れるかどうかというのも議論としてはオープンですので、入れる選択、入れない選択はあり得るとは思います。

○水町委員 パートタイム労働法第 9 条の話だとすると、 2 要件を満たす場合にはすべての給付について差別的取扱いをしてはならないということになります。しかし、給付の中には長期雇用を前提とした給付もあるので、短期雇用を前提としているような有期契約労働者や派遣労働者についても、そういう給付も含めて差別的取扱いを禁止するというのは難しい話ですし、別問題だと思います。

○松浦委員 手当は比較的分かりやすくて、長期雇用を前提にしていなくても、通勤交通費を正規・非正規の両方に支給するというのは分かりやすいですし、実務的にも可能だと思います。ただ、有期の場合は反復更新の前に労働条件を決めるわけなので、先ほど岸本課長がおっしゃったような、例えば 1 年間の有期契約期間をもって正社員の 1 年間と比較するというのは理に適っていないでしょう。ですので、基本給等について、先ほど水町先生もそういうお考えだとおっしゃっていましたが、パート法の第 9 条を派遣や有期に適用するのは無理があると思います。

○柳川座長 非常に形式的なことを座長として言えば、第 8 条的なところから引っ張ってくるか第 9 条的なところから引っ張ってくるかも含めて、全てここで何か議論をして、どちらがいいかとか、どういう議論があるかとかという話をすればいい話ではあるのだと思うのです。先ほど岸本課長がおっしゃったように、どこかでそれが決められていて、その線でここで議論をしてくれと言われているわけではないということで。

○松浦委員 そうですね。

○柳川座長 仮にですが、水町委員が第 8 条のところから考えていってはどうかということで、皆さんがそちらのほうがいいのではないか、あるいはそれで御議論がないということであれば、ここはそういう方向でまとめるということがあり得るのだと思います。

○松浦委員 それで良いと思います。

○柳川座長 それでもなおかつ問題点があれば、そういうまた問題点なり、違う意見があれば違う意見を残すということもあるだろうと思います。そういう意味では現状はフリーハンドということで、水町先生からこういうふうに考えてはどうかという問題提起があったという感じで、形式的な議論がここは進むということなので、考えていただければと思います。

 その後もそうなのですが、ここはよくよく考えるとすごくいろいろなレベルの課題があって、皆川先生からも御意見があったように、そもそも派遣の在り方、派遣という形式は一体何のためにあるのかという、そもそも論のところをどう考えるかという話もありますし、それは結局法制度論になっていくわけです。ではそれを具体的にどうやって、どういう法律なりどういう条文を使って、あるいは先ほど出たように、どうやって具体的に実態を把握して、同一労働同一賃金を実現させていくかという HOW の部分です。こういうところでも、実際法整備と関わってくるので、どうするかと考えなければいけない。

 それからもう少し言えば、中村委員が御指摘になったように、実態論としていくと、余り大きな負担が掛かるような話であれば実務が回らなかったりとか、あるいは、非労働者化という話がありましたが、そういう方向にマイナス、副作用が大きくなるのではないかという話があって、ここの部分はもしかすると多少、制度整備上の先ほどの HOW の部分を工夫すること、あるいは最後の論点になっていますが時間軸の在り方、ある程度のタイミングを、いつのどのタイミングでやるかということを併せて考えることで、多少議論ができるかもしれません。いずれにしても、そもそも論と法的なあるいは実務的な HOW と、それから実務上どう回るかという話が混在していて今、議論が出ているのだと思います。その辺りが、これでというわけではないですが、少し整理される形で今の御議論がまとめられていいかと思っています。

○水町委員  1 点だけ補足して。

○柳川座長 どうぞ。

○水町委員 非労働者化と言ったのは、今の派遣の現場の問題と合っているかどうかというところの認識で、基本は、仮に今回の派遣先労働者との均等・均衡をガッチリ入れるとすると、現場の人の声を聞くと、派遣でなくて請負に切り替えようという話なのです。請負は別に非労働者ではなくて請負会社では労働者です。請負に切り替えるという動きはリアルに予想できるところで、請負そのものは違法ではないので、請負労働に、業務処理請負に移行する動きに対して、どう政府として対応するかというのは非常に大切な問題です。

 そこで 1 つやはり現場で問題なのが、きちんと偽装請負みたいな形を管理すること、これを同時にやっていかないといけないと思います。例えば現場で受入れ側が指揮命令をしたら派遣になって、指揮命令を送出し側にさせたら請負だというので、派遣先の社員を請負会社に転籍させて、転籍させた人に指揮命令を現場でさせることによって請負の形をとる。そういう形での形式的な偽装をするというのが非常に多いので、今回もこれをやると同じようなことが起こってしまう可能性があって、それに対しては既存の枠組みの中である程度対応できる問題もあるので、それは同時に一生懸命やっていかなければいけない問題だと私は思います。

○中村委員 なので、私も水町先生がおっしゃるように、防止策、抑止策、要は偽装若しくは悪質なものに対しての防止策が重要であるということは全く賛成です。その上で、偽装請負、派遣の問題というのはもう数年前にさんざん問題になって、一旦それで交通整理をし、さらに摘発もたくさんした状況で今にきているので、それをまた二度繰り返すような制度の設計はやはりなくて。そういう問題が起こりやすい現状の中で、どういう法律で条文を入れたら、より企業の実際が良くなり、労働者の保護もできるのかと私たち自身が交通整理をすることが重要かと思います。

○松浦委員 私も、請負に切り替わるという動きが出てくるだろうと思います。いわゆるアウトソーシングも含めて。もともと派遣法ができる前に事務のアウトソーシングが広がりつつあったところに、派遣法が施行されて事務職を含めた派遣のシステムが整備された経緯があると思うのですが、元に戻ることになるわけですね。水町委員がおっしゃったように違法ではないですし。

 何が言いたいかというと、請負は別の会社ですから、賃金が低くなったとしても、縦割りの同一労働同一賃金の規制ではカバーできません。ですから、もともと派遣で対応していた事務を、請負会社が安い賃金で請け負うことになった場合に、労働者の保護という観点からすると逆に賃金が下がる可能性もあるということです。

水町委員のおっしゃった、コストを下げるために派遣システムを使うことには私も反対で、それに何らかの歯止めを掛ける規制が必要だというご意見には賛成です。ただ、そのための規制が派遣先均衡だといわれると、請負になって賃金が下がる懸念が大きいことも含めて、非常に疑問です。

むしろ、派遣については、欧州の一部のように職種別の横断的な労働市場がある程度形成されているので、横断的に賃金相場を上げていく規制のほうがなじむ気がします。現状ではそういう仕組みがないのですが。

 派遣先均衡という規制に私が懐疑的なもう 1 つの理由は実務上の理由、つまり実務上、非常に無理があるのではないかという点です。たとえば、参考資料としてお配りいただいているスライド資料の 10 ページで、派遣先から情報提供を受けている割合が非常に低く、賃金水準の情報提供を派遣先から受けているというのは 27 %しかないわけです。これについて 1 つ確認しておきたいのですが、派遣先で同種の業務に従事する派遣先の労働者がいない場合はどういう情報を提供することになっているのですか。そういう人はいませんと言われたときです。派遣と直接雇用が完全に職務分離されていて、そのような派遣労働者と同種の業務の人はいませんと派遣先に言われたときには、「そうですか」で終わってしまうものなのですか。それとも、いないと言われた場合も、同種とまでいかないけれど近い雇用管理区分等の労働条件を出してもらうということになるのですか。情報提供の割合が低いというのは、単に出さないだけではなく、同種の業務の労働者がいない等いろいろな事情で出せない場合も混在していているのではないかと思うのです。

○水町委員 これ外国でもいろいろなやり方をやっていて、選択肢としてはいないという、例えば事業場であれば別の事業場でやらせておけば事業場に誰も比較している人がいないということはあり得るので、そういう場合どうするかというと、例えば事業場にいなければ企業単位、企業でいなければ同種の産業とかと探していって近い人を探すというやり方。もう 1 つは仮想直接雇用で、この人が仮に派遣先から直接雇用されたとすれば幾らの賃金を払うかという仮想でやりなさいというやり方があって、派遣先との比較をする上では、その問題は常に付きまとうのです。

○松浦委員 そうなのですね。

○水町委員 どちらをやったほうが脱法行為を生みにくいのか、規制が実効的であるのかというのを選択する問題なのだと思います。

○松浦委員 そうですね。

○水町委員 仮想はやはり難しい。

○柳川座長 その話は多分、事務局に調べていただいたみたいですが、多分 (2) の説明責任の話とか、その話と少し関連するという話なので。

○松浦委員 それも絡んできますので。

○柳川座長 ちょっと (2) のところにこの後移るので。

○松本需給調整事業課長 現行のこの情報提供の要請があった場合に対応する義務がある、これは派先にかかっているのですが、これについては募集情報、つまり今はいないけれども募集する際はこういう水準であったと、そういうことでもいいということになっているわけです。

○松浦委員 それは仮想ということですね。

○松本需給調整事業課長 はい、事実上、仮想。また、これは採用したときにこういう条件で募集を掛けましたという意味で。

○水町委員 直接雇用の採用ですか。

○松本需給調整事業課長 はい、直接雇用。

○水町委員 直接雇用の採用がなかった場合はという。

○松浦委員 さらに仮想になりますよね。

○松本需給調整事業課長 あとは市場賃金というのもその例示に挙がっている。

○柳川座長 現行法で。この後、また (2) のほうへ移って御議論いただきたいと思うのです。多少整理をすると、今のような例えば具体的にやっていくときの問題点とかがあって、そこになかなか実務上難しい面があると、余り強く求めると問題が起こるのではないかというのは、そのとおりだと思うのです。ただ、それはある意味では二次的な問題であって、そこは、工夫しようがあるのではないかと言えば工夫しようがあるのだと思うのです。ですから、恐らく意見が分かれているのは、そもそもそういう個別のところの具体的にどうやるかという部分ではなくて、もう少し根本的な問題。

 そもそもが同一企業内での同一労働同一賃金、賃金格差を埋めていく方向に持っていくことが、ある意味で我々が目指している同一労働同一賃金の姿であって、多少いろいろなところに無理が出てくるにしても、そちらのほうに、派遣は派遣先の所との同一賃金を目指していく。いろいろな問題が出てくるのであれば、例えば先ほどの請負のところの話であれば、そういう副作用が起きないように何とか手当てをして、でもそちらをできるだけ目指していくという発想。それと、そもそもが、そこのところを余り目指すことにはそれほど大きな目的はないのではないか、ある意味で極端に言えば、市場賃金で、横のところで同一労働同一賃金ができていれば、そこを無理して企業内で上げていくことに余り大きなメリットはなくて、むしろそこに副作用がいっぱい出てくるのではないかという考え方。

 今日伺っていると少しそこに 2 つ温度差があって、であるから、そもそもとにかくこちらを目指すのが大事ですという側からすれば、いろいろ出てくる問題点はある意味で対処が可能だし対処すべき問題だというのですが、それがそもそも余り大きな目指す目的でないとすると、こちらの問題があるのでしたら、無理してそちらをやることにはやはり大きな反対があるという、多分そもそも分かれているところは、そこのところかという。それは、ここでどちらがいいとか、どちらにすべきだと決める話ではないのだと思うので、恐らくその両論があったということで、それぞれに関してどう今日出てきた議論をまとめるかという作業かと思っているのが、私の今伺った感じの整理ですが、それでもし誤解があれば御指摘いただければと思います。

○中村委員 今の先生がおっしゃってくださった前段の整理、全体の意見というか整理の仕方としてそういう 2 つがあって、そこを整理しないと次へいけないというのは正しいと思うのです。その上で、派遣先均衡について職務待遇確保法で何らか要請がされているときに、派遣先均衡の HOW の在り方というのにも、重要な論点が幾つかあると思っていて、少しそこについて御意見を言ってもいいですか。

○柳川座長  HOW のところは決して余り意味がないと言っているわけではなくて、この、多分 (2) (3) 辺りに関係してくると思うので。これは一応、シナリオ上は (2) (3) を順番に御説明いただいてから議論ということになるので、ちょっとそちら、事務局の方から欠席の委員の方の御意見等を伺ってからまとめて多分、みんな関係してしまうので、それからという感じで、すみませんいきたいと思います。

 続いて、説明義務の整備・いわゆる「立証責任」関係に関する議論に入りたいと思いますので、事務局から、この論点に関する本日御欠席の委員の方からの御意見等をお願いできればと思います。それから、どうしますか、 (3) も一緒にやってしまいますか。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 そうですね。

○柳川座長  (3) も一緒に。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 それでは、資料の説明から入らせていただきます。今までの議論をお聞きしておりまして、派遣元、派遣先の責任・協力の在り方という、 (1) の最後につけた、派遣先から派遣元事業主への待遇情報の提供の話は、むしろ、 (2) と合わせて議論をしたほうがよろしいのかもしれません。整理が良くなかったことは申し訳ありません。

(2) ですが、派遣について、最終的な情報の行き先は、派遣労働者になるわけですが、派遣労働者の待遇についての、正社員と比較した合理、不合理の判断について、どのような説明義務を事業主が果たすべきか。また、それを履行するために、派遣先から派遣元には前提としてどのような情報が提供されるべきかというのが、この (2) で、派遣の仕組みの特殊性を踏まえた論点としては、そのようになると思います。併せて、小さく括弧に入れましたが、パート、有期について御議論いただいたときの論点として、「立証責任」の実態、規範の在り方、「立証責任」と説明義務の関係性を挙げておりますが、派遣特殊の議論としては、今申し上げたことではないかと思います。

(3) は、その他 ( 履行確保の在り方等 ) として、前回、パート、有期について、労使コミュニケーションの在り方、それを法的にどう位置付けるか。司法判断による待遇改善という手法と、行政による待遇改善の利点・欠点をどう考えるかということ。また、そもそも論でもありましたが、法整備とガイドラインの関係性、ガイドラインは法律とどういう根拠を持ち、どういう効力を持つものとして位置付けるかという議論がありましたので、これは前回のを再掲しております。

(2)(3) を併せまして、特に大きなフォントで書きました説明義務や待遇情報の関係について、技術論かもしれませんが、御意見を頂戴できれば有り難いと思います。

 なお、皆川先生と川口先生からは、先ほど読み上げました (1) に関する御意見のみでしたので、追加するものはありません。

○柳川座長 それでは、お待たせしました。もちろん (1) にかかっていただいても構わないのですが、 (2)(3) を含め、御自由に御意見を。

○中村委員  4 点ほどあるのですが、第 1 点、法整備とガイドライン案のところが気になっているのですが、ガイドライン案が出たときに、私の周りでは、「派遣は最後の数行ですよね」という意見が多く聞かれたのです。有期で直接雇用の人たちは有期契約労働者のものが適用されたりするので、登録型派遣の場合は、誤解のないように、派遣労働者というように書く所は、次の周知のときは是非、御配慮いただけたらと思いました。

2 点目は、派遣先の均衡・均等を考えていくときに、どこまでの待遇を均等・均衡とするのかということについては、直接雇用以上に丁寧な議論が必要だと思います。恐らく賃金ということなので、ミニマムが基本給で、次が諸手当が入り、教育訓練、その他となっていくと思うのですけれども、全てを求めるのか、それとも教育訓練等は、前回の法改正で入っているので、派遣は派遣元でというようにするか、大きな分かれ目になっていると思います。

 もう 1 つ、手当についても、ガイドライン案で、例えば家族手当や退職金が入らなかったように、判断が難しいものとか、事後払いになっているものとかというのがたくさんあるので、数種類、 10 種類以上あるような手当を、全部派遣元と派遣先で比べて乗せるというのは、とても現実味がないと思います。そういった中でいくと、基本給、手当みたいなことを幾つか主な大分類でまとめて、一定のルールで、派遣先側のこのレベルの通常労働者であれば、待遇をもらっているはずであるというのをまとめるということを含めて、比べ方の制度の設計というのが、本質的に重要だと思います。対象の話が 2 つ目です。

3 点目は、先ほど柳川先生がおっしゃってくださったように、第 1 の論点で、そもそも派遣先はやるのかやらないのかとあるのですけれども、仮にやるとした場合も、適用除外の在り方について、皆川先生や川口先生の派遣先期間に関する御意見に付け足して言うのであれば、現行の派遣法第 40 条の 2 で、派遣期間の適用除外を定めている 3 年派遣との整合性も重要だと考えています。具体的に、あそこで適用除外となっているのは、無期派遣と、実際は高齢者等が想定されていますが、雇用確保が困難な人たちです。その人たちに対しても、全てのことに優先して、賃金の均衡を求めるのか、どういう配慮をするのかということも、整理が必要だと思うので、その適用除外の期間以外のポイントで、何が入ってくるのかという整理があるといいと思いました。

4 点目は、派遣元と派遣先の役割分担、協力の仕方です。賃金なので、一義的には派遣元に努力が課せられると思いますが、派遣先からの情報提供なくして、若しくは派遣料金等の設定において、配慮なくして、決して実現しないので、ここは制度上必ず両輪として、組み込むことが必要です。以上です。

○松浦委員 先ほどの派遣先と派遣元の協力というところで議論になった、派遣先からどういう情報を開示してもらうのかという話と絡んでくるのですが、そもそも派遣先との均衡という考え方を取るかどうかというところで、検討の方向が大きく枝分かれすると思います。ただ、いずれにしても非常に懸念されるのは、実際に派遣先との均衡を担保するための実務的なプロセスのイメージが湧かないことです。

 先ほどからあがっている派遣先からの情報開示について、同種の労働者がいない場合は過去の募集実績で粗々の賃金水準を、募集実績もなければ仮想の募集賃金を、それもわからなければ市場賃金を教えてもらうということであれば、結局のところザックリとした情報しかもらえないわけなのです。さらにその情報をもとに、派遣元が派遣労働者の賃金を上げてほしいと言った場合に、一応情報として賃金水準は出したけれども人材活用の仕組み等が違うのですと回答されたら、派遣元としては「そうですか」としか言えないわけですよね。

一方、派遣先に同種の労働者がいると言われた場合も、派遣労働者の賃金をその水準に上げるためには、派遣料金をもっと上げる必要が出てくるわけですよね。でも、派遣先に、そのような高い派遣料金を支払えないと言われた場合、派遣先均衡の規制が守れないからということで、派遣労働者の意向にかかわらず派遣先から引き上げなければならないのでしょうか。あるいは、均衡を確保できるだけの派遣料金を支払わない派遣先が悪いということになるのでしょうか。そこら辺の責任の分担も曖昧なままで、何となく派遣先均衡と言われても、どう考えても混乱しますし、実効性が確保できないと思うのです。

 ちなみに、前回の検討会の議論では、同じ企業の中で、非正社員と一番近い雇用管理区分の正社員を比較して、両者の差が妥当かどうかを議論する上で、どういう材料があり得るのかということを随分議論したと記憶しているのですが、それでさえもなかなか結論が見いだせない、非常に難しいテーマでした。何らかの材料をもとに説明するという段階になっても、テクニカルに難しい面があります。このように、同じ企業の中でさえ、均衡の検証や説明は相当の大変さを伴うのに、一つの派遣元には多くの派遣先があるわけですよね。大手の派遣会社の登録型派遣社員は何万人もいるのです。何万人もいる登録型派遣労働者の派遣先の 1 つひとつについて、均衡が確保できているか検証して説明するようにと言われても、派遣元のキャパシティを超えてしまって、どこまで均衡を担保できるか、実際には難しいのではないでしょうか。現行の労働者派遣法にあるような配慮義務として、派遣先に情報を開示してもらって、それを派遣料金値上げの交渉材料にするというところまでは、実務的にもあり得ると思うのですけれども、その規制をさらに強化するというのはどういうイメージでおっしゃっているのか、よく分からないです。そういう意味で、先ほど申し上げたように、派遣先均衡の規制で歯止めを掛けるのではなく、職種別労働市場の賃金水準について、相場の底上げを図っていくというアプローチのほうが、実務的にもわかりやすいですし、実効性も期待できるのではないかというのが、私の意見です。

○柳川座長 そのほかいかがですか。

○水町委員 派遣先と派遣元の間の情報提供に関しては、派遣労働者に対する説明義務は、パートや有期に直接かかるような説明義務のように、自らの待遇がきちんと納得いくものになっているのかという観点からも重要だし、かつ、結局原則として派遣先と均等・均衡という体制を取るとすると、派遣先の労働者の条件が分からないと処遇が合わせられないので、その大切な均等・均衡を実現するという観点からも、極めて重要。有期、パートよりももっと重要な意味を持つので、これを今回やるときに、どう実効性のある形にするかというのが、恐らく規制がうまくいくかどうかの、鍵になると思います。

 現行法でも、配慮義務ですが、ある程度の事項について、情報提供するということが求められていますし、実際上、派遣元と派遣先の労働者派遣契約とか、派遣会社が派遣労働者を使うときに、ちゃんとこういう事項を明示してくださいという明示事項があるので、今回、派遣先の労働者との待遇差について説明しなければいけなくなってくるし、実際、派遣先と合わせるときに、どういうことをするかというものを、これまでの現行法にプラスして、どういう事項をプラスするべきなのか。なるべく具体的にこれとこれとこれはきちんと明示しなければいけませんよ、基本給だけではなくて、福利厚生も入ってくると思いますが、そういうことをきちんと明示するということを、派遣元と派遣先で労働者派遣契約を結ぶときに、きちんと求めて、それを基に派遣料金の話をするということになるのではないかと思います。

 そこで、派遣先にきちんと責任を取ってもらわないといけないので、どのように実効性を確保するかというと、罰則をつけられるかどうかは罪刑法定主義の観点から微妙ですが、差し当たり派遣法の中で、派遣法上の重要な責任を果たしていないとか、一定の派遣法違反について、故意、重過失があるような場合には、労働契約申込みみなしというサンクションもあるので。基本的にルールを守ってもらうことが大切ですが、ルールを守ってくれないという場合には、どういうサンクションをつけるかというのも、きちんと考えておかなければいけないと思います。

○神吉委員 基本的なことを確認したいのですが、今マージン率は、総賃金ベースで公表することになっていますよね。マージンを考慮することは、個人ベースの均衡,これからもし均等に踏み込むなら均等、現在の状況でも均衡とあるなかで、それは考慮してはいけないことになっているのですよね。例えばマージンで 2 割引かれるから、同種の労働者あるいは、従前、採用で示した条件がいくらかわかる場合、賃金に関しては、その額との均衡が要求される。だから、必ず 2 割ぐらい上乗せコストがかかるということを、派遣労働者を使う際に、今は要求しているのですよね。

 そうであると、派遣労働者を使うことは現在でもかなりコストが高いため、情報提供として余り高い賃金を出してしまうと、さらに高くつくことになってしまう。それを仮想でもいいとすれば、低めの情報提供をするインセンティブになるかと思うのですが。まだ 1 年ちょっとなので、どういう状況か、もしお分かりだったら教えていただければ。

 

○水町委員 他国での例ですが、 1 人だけ安い賃金の人を雇って、その人の情報提供をするという話を聞いたことがあるのですが、これは明らかに脱法行為で実態を伴わないので、そういうことがないように、今回もすべきだと思います。誰の情報を出すか、待遇に差があるときの説明ができるような情報をどうするかというのが、規制の在り方。実態が伴わない場合には、今言ったような、サンクションをどう掛けるかという問題になるのだと思います。

○神吉委員 イギリスでダミー比較対象者を置いている、正に同じことが起こっているということです。それは法の趣旨からすれば、もちろん脱法的行為なのですけれども、実際には比較できる人が 1 人もいない、むしろ誰もいないぐらいの状況のほうが多いわけですよね。うちの職場でも派遣労働者を雇っていますけど、比較対象者がいないレベルの仕事しか派遣には出していないので、脱法しようとしなくても、そもそもそんな人はいない状態です。そうすると、市場賃金とか、採用のときだったらこういう条件を示しただろうぐらいの仮想であったら、何とでも操作できてしまいます。制度設計上、相当な留意が必要かなと思います。

○水町委員 私も現実にいる人か仮想かというと、なるべく近い現実にいる人のほうが実効性は増すと思いますが、そこは選択の問題ですよね。

○柳川座長 この辺り、実際に制度設計はなかなか難しい問題があって、理想形でいけば全てが脱法行為もないように完璧にという話なのですけれども、そうはならないとすると、ある意味で、例えば割切りがあって、事実上、本当に大事なところを、きちっとやられるようにするというようなことも、現実論としてはあり得る。あるいは、そうではなくて、幅広くきちっとやれるようにするべきだという話とか、幾つか細かいところでいくといろいろな議論があるのだと思うのです。

 これは個人的な意見になるのですけれども、今のような話でいくと、比較対象者がいないような所であれば、ある意味でそこに関してどういう賃金が形成されていようと、今回の企業内での同一労働同一賃金という話からすれば、大きな課題ではないので、そこは仮に仮想であっても構わないと思います。実際こちら側で全く同じ仕事をしている人がいるのであれば、いる人と派遣の人と合わせて比べたときに、大きな違いがあってはならない。そこだけちゃんと見られるようにするという割切りも、発想としてはあり得るのだと思います。そうすると、いなかったときにどうするかというのは、ある意味で作ってはおくのだけれども、そんなに厳しくしなくて、ポイントはいたときの場合だけに焦点を絞るというのは 1 つ考え方だろうと思います。それがいいかどうか分からないですが、そのようなところはいろいろなパターンが。これは私がどれがいいということを言うつもりは全くないので、その辺りは少し。どういう話にしたら動くのかというようなところ、あるいはどう話にしても動かないようにするということなのか、松浦委員の話にもありましたが、その辺りのすり合わせというか、意見を出していただければと思います。

○水町委員 比較対象って、同じ職務、同じ業務というので議論をしていると思いますが、同じ職務を同じ業務で比較するというので意味があるのは、基本給、なかでも職務給と、あとは職務に関連するキャリア形成、職業訓練です。これについては、この仕事に就いているからこの賃金でしょうとか、この仕事に就いていたら、こういう職業訓練をするでしょうというところでは、誰と合わせるのだと正に問題になってきます。ただ、それ以外の福利厚生とかボーナスは、もともとの派遣先の会社だって、この仕事に就いている人にだけボーナスを払っていますとか、福利厚生でも職務によってやっているわけではなくて、給付のほとんどは職務と関連していないのです。なので、職務で誰を探すかという問題は、職務に関連した給付では問題になって、誰と比べるかということになりますが、それ以外のものについては、同じ職務の者がいなくても、この企業でどういう制度を取っていますか、職務にかかわらずいろいろな人に給付しているでしょうというものは、同じに合わせる。

 同じに全部合わせるとなると、どうかという議論があるので、先ほど言った調整方式。派遣先によってこっちの福利厚生が、次のところにいったら全然変わってくるというときに、全部そのことに合わせるのは大変だとすれば、コスト削減のために、派遣は安いから使えるというようにならないようにするための、複数にまたがったときの調整をどうするかという、その調整のやり方の問題になってくると思います。

○神吉委員 そうすると、前回は説明義務の範囲を雇用管理区分にする方向だったと思うのですが、そうではなくて、全社的にどの手当を誰に給付しているか、かなりの情報を出す必要があるということですね。○水町委員 前回の議事録を見ていないので分からないのですけれども、例えば有期とか、短時間労働者について説明義務を課すときに、基本給だけではなくて、いろいろな給付について、例えば「あなたテニスコート使えるけど、あなたはテニスコートは使えませんよ。何でテニスコート使える人と使えない人が有期と無期で分かれているのですか」という説明義務がありますよね。派遣についても基本的に同じような話になれば、その説明義務を担保するためにも、その点についての情報提供をしなければいけないので、要は均等・均衡待遇の基になるような情報は、基本的にお伝えするということだと私は認識しています。

○神吉委員 給付の在り方全体を考慮する必要があれば、そこは松浦さんがおっしゃったように、派遣元が考慮しないといけないことが、相当多岐にわたる。

○水町委員 基本的には、派遣について、派遣先で現場で支給している食堂とかロッカーの利用とか、駅から工場までのシャトルバスの利用とか、それについては、派遣先が給付するということになりますが、それ以外のお金系は派遣元なので、それについてはちゃんと派遣先から情報を出してもらわないと、派遣元は決められないですよね。

○柳川座長 だからどこまで情報を出すかというのが 1 つと、前回の有期の話と、今回の派遣と違うのは、その情報を派遣元の会社のほうに伝えて、先ほど松浦さんが言われましたが、派遣元がどういう派遣をしているかによりますけれども、すごく多様ないろいろな会社から入ってくる情報を全て処理をするということが、実務上どこまで大変かという課題があります。

○水町委員 現行法上、労働者派遣契約のときにいろいろしなければいけない手続はたくさんにあって、その中に何を加えていくかという問題だと思います。現行法の下でも、そんな大ざっぱに労働者派遣契約は結んでいません。

○松浦委員 いろいろあるから、更にそれがオンするという。

○水町委員 新たに加えるべきものはあると思います。

○松浦委員 だから、多分パンクしますよ。

○柳川座長 ここの辺りは余りやっても議論に意味がない。だけれども、やはりその部分がどこまで実務上、耐えられるものなのかということに関しては、多少、意見が分かれるということなのでしょう。

○松浦委員 大きな話として、派遣先均衡を本当に強化されたいということであれば、相当腹をくくる必要があると思います。先ほど神吉委員がおっしゃったように、派遣料金は賃金より高いわけですから、賃金ベースを合わせるということは、派遣先にとって、同じ仕事をしている直接雇用の労働者よりも割高な料金で派遣労働者を受け入れるということになります。それがデフォルトになるとすると、それこそフランスのように、専門的な、割高の料金を払ってでも受入れたいという一部の専門的な職種しか、派遣の受入れはしませんということになっていくことになりますが、それは今の日本における派遣の実態とはかなり乖離しています。

このような派遣システムの構造変化を伴うようなことを、均衡の規制に関する検討からアプローチして決めるというのは、私は非常に違和感があります。今後、派遣システムをどうしていくべきかという、派遣の在り方の議論として方向性を示した上で、派遣先均衡を入れるという流れであればまだ理解できるのですが、派遣先均衡を確保したら、結果として派遣労働者が大幅に減少しましたというようなことになるのは、何となく順番が違うような気がいたします。

○水町委員 その議論をここでするのです。

○松浦委員 ここでしていいのですか。

○水町委員 実態と法制度ってリンクしていますから、実態と違う法制度の話をするわけではありません。例えば、職務待遇確保法で言われている 3 年を実現するための制度を、実態を考慮しながらどう作るかという議論を、今しているわけです。

○松浦委員 職務待遇確保法の世界を。

○水町委員 はい、派遣先労働者との均等・均衡を実現するための措置を 3 年以内に講じますということを、どうやるかという問題です。

○松浦委員 待遇確保法ですよね。

○水町委員 はい、派遣先労働者との均等・均衡を実現するための措置を 3 年以内に講じますということを、どうやるかという問題です。

○松浦委員 必要があればということですよね。

○水町委員 必要な措置をどういうものにするか。

○松浦委員 必要性があるかどうかも含めて検討するのではないのでしょうか。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 この検討会の御議論をお願いする範囲に関わりますので、事務局から補足をさせていただくと、まず、我々政府は、職務待遇確保法によって、先均衡の法制化を一種責務として課されていますが、それは我々の問題であって、この検討会でそれに縛られてくださいということは申し上げていないつもりです。

 一方で、これまで (1) の議論でも、……先生からも御推理いただきましたが、派遣先均衡を目指す上での技術的な難点と、そもそも目指すかどうか、目指すことの当否の問題と、 2 つ御議論があると思うのです。目指すことが否であると考える場合に、更にそこで枝分かれとして、派遣労働者という、非正規雇用労働者の一形態でありますが、その処遇改善を進める上で、別の法的アプローチ、先均衡とは違う法的アプローチがあり得て、そちらのほうがむしろ派遣就業の実態に合っているということであれば、それがどういったものであるかというのは 1 つの論点だと思うのです。もう 1 つは、この問題は法的アプローチではなじまないのだと。法政策としてはやりようがない問題で、派遣労働者が団結してストライキを起こすとか、そのことでしか改善できないのではないかというのも、もう 1 つの御議論だとは思うのです。

 私どもとしては、先均衡を求める必要性、考え方において、それはあり得るけれども技術的に難点があるという議論もありだと思いますし、また、それをそもそも目指すべきではないという議論もあり得ると思うのですが、目指すべきではないとした場合に、逆にこういう法的アプローチで、派遣労働者の待遇改善を図ることが適当ではないかという議論も、もしあれば頂きたいと思います。それもないというか、法的アプローチになじまない、あるいは派遣だけ最賃を 1,500 円に上げるというような、全く違うアプローチというのも、それもまた 1 つの政策論だと思います。そこは先均衡をどうするかという議題の限定はしていないということは申し上げたいと思います。

○柳川座長 今岸本課長が言ったことと、ほぼ一緒なのですけれども、ちょっとだけ多分違う。もう少し別の枝が、御議論の中にあるのかなと思うのは、 1 つはそもそも大変だから無理だという議論があって、そのときに、じゃあ違う法的アプローチで何かできないかという考え方があるのが 1 つです。それともう 1 つの発想は、なかなか言いにくい話であるのだけれども、現実の法律は、厳密な均等を求めていないことによって、派遣労働市場をうまく成り立たせていく部分があると。 2 割増しというところは、本当にそこの賃金をそろえてしまったら、ある意味で、派遣労働市場が、派遣労働者がほとんどいなくなってしまうかもしれません。その当否は別にして、本当にそうかは別にして。

 そういう議論があるとすると、要するにある意味で現状の法律は、完璧にやることを求めないことによって、ある種、均衡と市場の成立とのバランスを取っているのだと。そういうことからすると、松浦委員のお話はそういう感じが強いかなと思って、そうだとすると、技術論で、別の方策でもって更に待遇改善を進めるということは、やることのマイナスが大きいのではないかという御意見かなと思ったのですよね。だから、今のやり方に問題があるのであれば、別のやり方を目指す、あるいは別のやり方を考えるという話と、これ以上、法律はそう求めているかもしれないけれども、完璧なインプリテーションをこれ以上求め過ぎると、少なくとも短期的には問題があるという話なのか。この辺り、私はそのように理解したのですが、もうちょっと追加すると。

○松浦委員 私は、派遣労働者の処遇改善を図ることは非常に重要だと思っていますし、派遣の実態が今のままでいいと思っていないです。処遇改善のアプローチとして王道なのはキャリア形成支援だと思いますが、あえて賃金からのアプローチを考えた場合でも、派遣先均衡は、非常に労が多いわりには実効性が乏しいと、これは私の個人的な意見ですが、そう思っています。

 そうしたら、賃金からのアプローチとして、他にどういうアプローチがあり得るかというと、例えば派遣は職種別の労働市場なので、職種別の賃金相場で規制をするという考え方があり得ると思いますし、そのほうが分かりやすいと思います。ただ、今までそのようなアプローチをやってきていないので、新たに作るということになります。

○中村委員 私自身は、今の話、本来の派遣の在り方でいうと、松浦委員がおっしゃるとおりだと思っていて、もともとは企業横断的にキャリア形成を積んでいくというのが、少なくとも今の派遣制度なので。ただ、その方策を目指したときに、どれだけ実効性があるかというところに対しては、多分制度の準備に、いろいろなものをやらないと、そこまではいけない。だから、段階的に進めていくということが一番気になっています。大方針としては、派遣労働者が派遣先を変えながら、ちゃんとキャリア形成と待遇が上がる仕組みというのをベースで整備しつつ、現行で足りない部分があれば、何でも全部厳しく掛けるということではなくて、ここだけは強化したほうが今の仕組みの中でよくできるという範囲に限定して、派遣先均衡に関する何らかの対応を取る。それが、職務待遇確保法がいう必要な措置、法制上の措置を講じるのが must なのではなくて、法制上の措置を含む必要な措置を何らか考慮したということだと理解をして、この場に臨んでいます。

○柳川座長 具体的には何か。

○中村委員 ここの範囲ですか。まずそれで言うと、やはり派遣先均衡について、全ての待遇を、一律で、しかもパート法 9 条のレベルのものを課して、かつ全期間にわたって、例えば日雇い派遣の人もいます、 3 か月の人もいます、みたいなところも全部含めてやる、かつ派遣先が変わっていくたびにどんどん上げていきます、下げるはない、という、フル規制みたいなものはトータルパッケージとして考えられはするのですけれども、まずもってそれはないと思っています。金銭給付に関しては、例えば派遣先に入ってからドイツの 15 か月を過ぎているとか、無期派遣ではないとか、雇用確保の困難者と認められないとか、そういう一定の条件において、全部そうではないという人たちに限って。手当についても、ある一定の手当のパッケージの中だけの情報開示の中でやっていくというのが、今やれることなのではないかなと捉えています。

○柳川座長 それは今やれることがそれで、ステップとして、例えばもう少し時間を置いたところでは、もう少しそれを広げていくというイメージなのか、それとも、ある意味で、そこだけに絞るというのが、事実上のファイナルゴールということなのかという当たりは。

○中村委員 それで言うと、やはり派遣労働者の在り方については、きちんと平場で、本来でいくと、もう 1 段整理が必要だと思っています、松浦委員が言う職種別労働市場の形成をどのように考えるかも含めて。なぜそう思っているかというと、今回、この場に対しても、参考となるデータを出してくださいということを、厚労省にもお願いしましたし、私自身でも準備する努力をしましたけれども、結局、派遣労働者の待遇を、ほかの労働者と比較して、まして派遣先で比較して、見せるというものがないのです。現状さえも正しく理解できていないのに、方針だけこうやりましょうということが出ていることが、何より問題なので、まず派遣労働者が派遣先と派遣元の中でどういう処遇状況にあるのかというファクトの把握が必要です。そのうえで、派遣の業界横断的な取組が、欧州のような形でできるのか。それには、もしかしたら厚労省の意思もあるだろうし、当事者もそれでやれるかどうかということもあると思うので、そういう議論がないと、次のことにいけないのではないかと思います。

○柳川座長 すると御意見としては、同一労働同一賃金の検討会の中で提言ができるのは、そういう手当のところ、それ以上のところに当たっては、派遣労働のそもそもの在り方、あるいは実態を踏まえた大きな検討の後に、考えないといけないのではないかという御意見ですね。

○中村委員 はい、少なくともそういう整理の中で議論されていくべきものであって、一律で規制を強化、均衡・均等を進めればいいというのは、おかしいと思います。

○水町委員 パートタイム労働法第 9 条のように、およそ 2 要件で差別的取扱いの禁止を派遣についても、ぎちぎちに入れようというのは、私もそう簡単ではないと思います。基本はパートタイム労働法第 8 条や労働契約法第 20 条を派遣に合った形で、どう入れていくかというのが問題だと思います。

 松浦さんが先ほどおっしゃった点で、私も共感するところがあり、基本は派遣先労働者との均等・均衡。そうしないと、派遣だと安いとして、派遣ばかり安く使われると、今回の正規・非正規の格差是正という大きな柱とそぐわない方向になってしまうので、派遣先労働者との均等・均衡が基本ではありますが、派遣労働者については、派遣先と派遣元の責任をどう振り分けるかとか、派遣先が変わることによって待遇に凸凹が生じるといった固有の問題がありますので。

 例えば、 1 つのやり方としては職種別で、この場合も比較する相手は正規労働者の職種別で、その賃金の水準を少なくとも下回らないようなレベルで、基本給・賞与が設定され、派遣元できちんと長期キャリア形成についての措置を取っている。福利厚生系もあり、福利厚生系についても一定のきちんとした対応を取っているとすれば、それは派遣のパッケージとして 1 つ有り得るという 1 つの調整型です。というのが、現実的な路線としてはあり得るような気もします。そのパッケージ全体にしてもやはり派遣が安いから、どんどん派遣を使ってしまうということにならないようなパッケージにすることが大切ですが、その点での調整が可能であれば、そういう選択肢も政策的にはあり得ると思います。

○松浦委員 水町委員の意見と同じ部分もあるのですが、やはり、微妙に違うところもあり、そこははっきりしておいたほうがいいと思うので、あえて申し上げますが、私は派遣先均衡を原則にするということには反対です。報告書では 1 つの意見として書いていただければいいと思うのですが、基本的には、派遣が横断的な労働市場であることを考慮すべきだと思っています。それともう 1 つ、派遣労働者はそもそも雇用者の中の 2 %しかおらず、非正社員の中で圧倒的な割合を占めているのはパートです。ですので、派遣が安いから派遣をどんどん使うというご意見にはやや違和感があります。職種別には一部そういう傾向があるかもしれませんが、少なくとも現状においては、非正社員の中では派遣はどちらかといえば割高な労働力であり、パートより賃金水準は高いです。

○水町委員 職種別に見たときも。

○松浦委員 職種別によりますが。その前提の下で、少なくともパートや直接雇用の有期については、縦割りで見たときに人材活用の仕組みなど、いろいろなことが考慮され、基本給においては賃金格差を認めますという佇まいになっているのに、なぜ派遣労働者に限って、均衡の最低ラインが正社員の賃金水準になるのかが分かりません。少なくとも、正社員を下回らない賃金水準というのは理屈が立たないと思います。

○柳川座長  1 つは先ほど言ったように、派遣先のどのぐらいのレベルをゴールとするかの御意見の違いなのでしょうね。

○水町委員 職種別にいろいろとあるので、高い所は高いでいいですよ。でも、基本的に事務職派遣や製造業派遣では社会的に非常に問題が大きいと言われていることをどうするかというのが 1 つ。

 もう 1 つは誰と比べるかですが、今、短時間労働者・有期契約労働者と一体となった派遣労働者の問題で、短時間労働者・有期契約労働者は正規労働者との待遇格差をなくそうという中での位置付けなので、比べる相手は、私は正規労働者の水準だと思います。

○神吉委員 正規労働者と比べれば、パートと有期は一緒だという流れになり得るのかもしれないですが、ただ、コストとしては必ずそれを上回るのが派遣の構造です。そうなると、職務分離のインセンティブ化は、パートと有期以上にあります。先ほど、実際に比べられる人がいた場合だけにする選択肢もあると整理されましたが、そうだとすれば、説明しないで済む方向にいく。そうすると、派遣を長期的なキャリア形成の 1 つの要素と位置付けていこうという、前回の派遣法改正の趣旨からは外れていく可能性があるのではないかと、そこは懸念をしています。

○中村委員 正にその比較対象なのですが、今まで前提とされているのは派遣先の正社員との比較ですが、派遣先の契約社員と正社員の現実で言うと、今の派遣労働者は派遣先の中の契約社員とほぼ同様の賃金水準にあり、パート・アルバイトより高いという状態になっています。派遣先で、例えば、この契約社員自体が通常の正社員とちゃんと均等・均衡待遇になっていた状態で、派遣労働者についても求めるのはとてもよく分かるのですが、いきなり派遣だけ規制が厳しい形で、こちらだけを通常の労働者との比較でやりましょうということになると、できるのですか。

 先ほどの 3 コストの話などもそうなのですが、普通に考えると、派遣先の中でまずは派遣先の正社員と契約社員などの均衡待遇が進んだ上で、その状態の中でのしかるべき、比較すべき対象と派遣をそろえるということは、素直なやり方だと思い、違和感もないのです。しかし、直ちに、この派遣先と、しかも三者構成でもっている複雑な状況で入れるということの制度上の難しさなど、どこまでが義務的に課すべきもので、どこからは配慮や努力でやるべきかというラインの見極めは、通常の有期社員よりはるかに難しい気がします。一気にできるのだろうか。できるのですかね。

○柳川座長 最後の時間軸の在り方などにかかってくるのです。ここは何か御意見はありますか。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 今回は特にございません。

○柳川座長 特にない。では、 (2) も含めてですが、できるかできないか誰も答えられないので、そういう懸念があったという、そういうことでしかここはまとめられないのでしょうね。

○水町委員 高い所はいいですよ。プレミアムは許されているので、有期も比較して高いのは OK なのです。やはり、事務職派遣や製造業派遣などで安い人たちについて、実際、どう実効性のある規制を入れていくかというのが大切だと思います。

 それと、職務分離の話なのですが、ヨーロッパも職務給ではないのですが、典型的な職務給で同一労働同一賃金をやろうとすると、職務分離で逃げられてしまうのですが、日本流のガイドラインで示されているようなものは、職務給を採っている企業は日本にはほとんどなく、例えば、職能給を採っているときに職務が違っても職能給でちゃんと評価して払いなさいというものなので、単純に職務分離をしたからといって、同一労働同一賃金、日本でいう均等・均衡の枠外となるものではないということは、ここで申し上げておきます。

 派遣についても、職務分離によって安易に対応することができないような制度にすることが重要です。均等だけではなく均衡待遇や、職務に関連したものだけでなく、福利厚生もきちんと射程に入れて、何か操作をしても急にコストが安くならないような規制がガイドライン案の中で示されていますし、派遣についてもそういう規制の在り方にすることが大切だと思います。

○中村委員 今、低い派遣として事務系と製造業が出たのですが、構造が違うと思い、事務系派遣の場合はどちらかというと、通勤手当等の話も含め、派遣元の中で均衡することにより待遇も変わってくるはずです。

 製造業派遣についてはワークス研究所で 5 万人ぐらいのパネル調査があり、それでデータを見たのですが、製造業というか、生産工程労務職に就いている派遣やほかの雇用形態を見ると、パートもアルバイトも低いし、契約社員も低くて、それは派遣特殊的な低さというよりも、非正規全般的、若しくはその生産現場で適用される雇用管理の在り方からきている可能性が高く、それは派遣だからだという帰結は、少し乱暴かなという気がしました。

 待遇改善そのものは必要なのですが、今、時間軸の話になっていたので時間軸の観点でいうと 3 つあります。考慮するべきものがあるとしたら、まず、 1 点目が賃金表がもともとないかもしれないといっていた中小企業が 1 つと、もう 1 つのすごく大きな観点は、非正規率が高いというところだと思います。要は、 3 割の非正規の人たちを 7 割の制度に合わせるということと、サービス業で見られるように、 7 割の非正規社員を残りの 3 割に合わせるというのは、同じ同一賃金と言っても、企業側へのインパクトの出方は全く違うので、そこについてどう考えるか。

3 点目が先ほど議論になっていた派遣先と派遣先均衡を仮にやるのであれば、その入れ方、そこは、用意、スタート、ドンとできるのか、ましてや通常の労働者との比較でというので、懐疑的な部分はやはりあり、当然、派遣先の中が整っていないと、いきなり派遣だけ通常、更に義務化された状態でやるというのは、理想はいいですが、現実に混乱のほうが大きいのではないかという懸念はあります。

○柳川座長 整理の仕方としては、派遣だけが先行して求められるということでは多分なく、今の同一労働同一賃金、ガイドライン案をどうするかというのにも関わりますが、他の非正規が今のような賃金表も含めて、いろいろな形で整理されてくるのに合わせる形で、派遣も合わせてくださいというのが、少なくとも、形式的な政策なり提言の方向性だと思います。

 そのときに、改正のタイミングなどがいろいろあり、片方だけが先行してしまわないように注意しなくてはいけないということは、どこかに書いておく意義はあるのかもしれません。意図的に派遣だけを先行させるということでは、多分、今回の水町さんの話の中でもなくて、全部合わせて。

○中村委員 主にはどちらかというと、前者 2 つのほうが時期の話だと重要ということなのですか。

○柳川座長 それに合わせる形でいうと、派遣だけがそこから入らないことに対する問題点を、先ほどから水町委員が懸念されている。懸念されているのは、むしろ、そちらのところ。派遣だけが動かないというわけ、先行してしまう問題点より派遣だけが動かないことに対して、派遣も動かしたいというような御意見だったと理解しております。

○水町委員 製造業派遣で、おっしゃるように短時間、有期であっても、派遣であっても安いと。そのなかで、有期とパートについてのみ先に規制が入ってしまうと、派遣だけ安いから、では、安い派遣にしてしまおうということになってしまうのが問題なので、やるときには一緒にやるべきです。その際に、今すぐにはそう簡単にはいかないので、なるべく早く対策を打って、法の施行まで一定の時間を用意してというので準備が進められている。その流れのなかで、今、議論しています。

○柳川座長 というのが、一応、理念的な形なのだと思います。

○水町委員 その理念に立って、実際に政策を進めていくための議論です。

○柳川座長 そうですね。それが逆転しないようにということは懸念としてはあると思います。

○松浦委員 水町委員のおっしゃるように、足並みをそろえてやるということは重要だと思います。だからこそ、待遇確保法の中にある、 2015 年の派遣法改正から 3 年以内にというタイムリミットに過度に振り回されることなく、非正社員全体に対する規制の足並みをそろえていくということが重要だと。その点についてはある程度、意見が一致しているのではないかと思います。

○柳川座長 特に、そこは御異論ないと思います。全体の足並みをそろえてということですよね。それに縛られる形で派遣だけが先行してしまうということは、皆、余り意図していない、そこが少し書けることかなと思います。そのほか、履行関係のところにもありますが、 ADR とかコミュニケーションの在り方などは特に。

○松浦委員 派遣の労使コミュニケーションをどのように構築していけばいいのかと、これは本当に水町委員にお聞きしたいです。前回の検討会の中でもやはり、非正社員の集団的労使コミュニケーションを具体化するのは非常に難しいという議論があったかと思います。

 一方で非正社員の労使コミュニケーションのあり方を具体的に提示できなかったからこそ、こういう状況になっているのではないかという面もございます。特に登録型派遣の労使コミュニケーションについては、他の非正社員よりももっと難しい面があるようにも思います。

○水町委員 これ、基本的に組合で組織化するかどうか、組合を通じて協議、交渉するかどうかは労使自治なので、派遣を組織化してください、組織化しないでくださいということは法律上、書き込むことは難しいのだと思います。過半数組合があれば過半数組合と話合いの協議をして協定を結ぶという、若しくは過半数組合がなければ、過半数代表者を選んで労使協定でという方法がこれまで、法令上取られてきた調整措置ですが、派遣の場合、いろいろかもしれませんが、例えば、東京に本社があり、全国に 12,000 人の派遣労働者が行っている場合の労使協定は、東京本社に帰属しているということにして、労使協定が結ばれているのでしょうか。

○松本需給調整事業課長  36 協定だと事業所になります。

○水町委員 事業所ね。 36 協定ではない労使協定、事業所にいっていない労使協定って、例えば賃金全額払いの原則の例外はいかがですか。

○鈴木派遣・有期労働対策部長 基準法の協定は基本事業場単位ですから、広域で結ぶことも可能ですが、基本は事業場。

○水町委員 例えば、東京本社に直接雇用社員は 100 名、全国に派遣労働者が 12,000 人、北海道から沖縄まで 12,000 人働いている場合、どういう形で労使協定が結ばれていますか。

○中村委員 いろいろだと思います。

○水町委員 その場合、例えば、その本社で直接雇用 100 人、派遣が 12,000 人いて、 12,100 人分の過半数協定という形で結ばれているのでしょうか。

○松本需給調整事業課長 現行制度の話なので私から。派遣労働者の就業場所と派遣会社の事業所が基本的に遠距離の場合は、事実上、許容していないと思います。なので、北海道に派遣労働者がいる場合は、基本的に北海道に事業所がある。

○鈴木派遣・有期労働対策部長 派遣の通勤者をきちんと雇用管理できないのはアウトなのです。ですから、北海道の派遣労働者は北海道支店に所属する労働者ですから、協定はそこで結んでいると御理解いただきたい。

○水町委員 それは都道府県単位ですか、最終的に事業所で把握するというのは。

○松本需給調整事業課長 交通の事情その他から出てきた申請をもって判断するということですが、派遣元責任者が管理できる範囲ということになります。同一都道府県だったら OK というのも余り断言しにくいところがあります。

○水町委員 例えば、 1 番とも関わってくるのですが、ドイツみたいに原則は派遣先の直接雇用労働者との均等・均衡なのですが、例外として、違う調整方式を作りますというときに、労働協約を締結し、労働協約で定めがあればという方法が有り得るのです。

 日本は労働協約というのがなかなか難しい、法令上書くのが難しいので、労基法のような形で労使協定でやるとした場合に、派遣労働者に関する労使協定をどのようにして結ぶか、それを法令上どう規定するかというレベルの問題になるのだと思います。

○中村委員 無期派遣だったら、リアリティはあると思うのですが、やはり有期の派遣のときの実効性には疑問がつかざるを得ないので。

○水町委員 ただ、直接雇用でも有期労働者の場合。

○中村委員 もちろん。ですので形式上できているかと言えば、今でも過半数代表を立てていてと、形式的にはできていると思うのです。そのことだけをもって良しとするのであれば、あるかもしれませんし、無期派遣であればそれによるフリーハンドの余地が増えてくるところがあるのでいいとは思います。もう少し言うと、無期派遣と有期派遣を両方持っている派遣会社においては、そういうことが、労使協定や協約が認められることの意義があるのだと思います。

○水町委員 コミュニケーションを有期と無期で分けてやるというのは難しいので、恐らく、派遣はその所属している事業場の中で派遣の労使協定を締結するという仮定で、意見を聞くということにはなるのだと思います。例えば、そこで 1 つの論点というのは、派遣会社の直接雇用社員と派遣労働者全部を合わせて過半数カウントをするのか、それとも派遣労働者の過半数代表者にするのかというような問題もあります。

 例えば、直接雇用の人が 10 人いて、派遣労働者が 200 人いた場合、過半数代表者に直接雇用の人が選ばれることが多くなると、派遣労働者の利益に関わらない人が派遣労働者の協定を結んでしまうということになるため、そのやり方をどのようにして、派遣労働者の意見が吸い上げられるような形にするかというのが、ここでの議論だと思います。

○中村委員 その話を突き詰めていくと、先ほど松浦委員が言ったように、横断的な労働市場の中で、欧州みたいに横断的な派遣労働者の代表と、派遣事業者の代表で話し合うような制度にしていかないと、登録型派遣が主で有期で入れ替わっていく中で、個別の派遣の中でやるというのは、幾つもハードルがあるような気がします。

 ある程度、労使コミュニケーションを成立させるときに、直接雇用の有期については自社の中でというのが多少できるにしても、派遣はその意味では横断的な仕組みを形成していく方が、時間がかかっても、私自身は現実的だと考えています。

○水町委員 労使関係などで労働協約を結んだり、最賃を別に作るということは、別の制度としては有り得るにしても、今回の労働契約法やパートタイム労働法や労働者派遣法の名宛人は、使用者であり事業主なので。

○中村委員 逆に、今回の範囲の中で、今の協約や協定みたいなものをどこまで入れるかというのは、労契法の中で直接雇用の中で入るものについては、違和感がないのですが、派遣特殊的に、特に派遣先の均衡をかけるときに、機能するものとして置けるかどうかは疑問があるというのが率直なところです。

○松浦委員 派遣労働者の賃金が完全に派遣先均衡になったとしたら、派遣労働者は派遣元と交渉しても仕方ないですよね。つまり、派遣先均衡になったら、派遣労働者は集団的にならない、なり得ない気がしませんか。

○水町委員 団体交渉の在り方をどうするかというのがあり、それはまた別の問題ですが、今回は最終的に事業主に対して派遣先との均等・均衡でどういう責任を課すのかという問題の中で、労使協定なり労働協約が締結されれば、その労働協約ないし労使協定に基づいた調整方式を認める可能性があるのではないか。そのときに、派遣先ではなく派遣元の責任として、どういう協定を結び、どういう人の意見を聞き、その中でこういうパッケージの調整だったら、厳密な意味での細かい派遣先との均等・均衡ではなく、こちらのパッケージで認めますよという選択肢が、政策として有り得るのかというレベルの話です。

○松浦委員 それは、何というか、派遣先均衡というものを基本にして適用除外のようなものを作るときに、労使協定が受け皿として機能するというお話ですか。

○水町委員 適用除外というか、調整方式というか、原則に対する例外としてどういう制度の作り方があるかという話です。

○松浦委員 いや、それは非常に難しくて、例えば、大企業に派遣されている人は派遣先均衡がいいと、中小企業に派遣されている人は職種別労働市場がいいと、派遣先の状況に応じていろいろな意見が出るでしょう。それを集約してというのは、派遣先均衡を前提としたときには実際難しいのではないでしょうか。

○水町委員 最終的に労使との調整の結果、事業主の責任を違う形で調整することを認めるかの要件として、例えば、ヨーロッパ、ドイツでは労働協約が結ばれれば、労働協約の結び方として例外を作ることはあり、労働協約がなければ原則どおり派遣先労働者と同一の待遇にしてくださいという制度になっています。

○松浦委員 ドイツはもともと労働協約の地盤があるからできるというお話で、ドイツであればイメージがわくのですが、日本で、労働協約の地盤が何もない中で、派遣先均衡をデフォルトにして、適用除外の労使協定を派遣元と派遣労働者で結ぶということが、実際、可能なのかなと。

○水町委員 その点は、発想が逆じゃないかと思います。派遣先と合わせるのが難しい分、調整方式としてどのような方式をとるかが重要な問題になります。フランスのように派遣先とあわせるのが難しくなければ、特別の調整方式を定めなくても原則通りいけます。日本では派遣先と合わせるのに難しい問題があるから、派遣元で調整を行うことを 1 つの方法として認めましょうという話です。派遣元の労働者との間で労使が合意した場合、どういうパッケージであれば例外として認められるかという議論です。

○水町委員 それは、これまでも繰り返し議論されている点です。派遣労働者についても、有期やパートタイム労働者と同じように、コスト削減目的で利用されることがないように位置づけましょうという話です。

○松浦委員 いや、でも、それは労働市場で底上げしても別にコスト削減の抑制はできるわけですよね。

○水町委員 労働市場をそのレベルまで上げられればいいですが、そこまでなっていないので、どういう形で均等・均衡を実現するかという話です。

○柳川座長 最初にやってきた課題ですね。もともと縦の構造で今回、同一労働同一賃金、特に事業所内の本来の縦の構造に関して、同一であることを一緒に考えている中、横の展開をしている派遣の話をどのようにうまく折合いを付けていくかという。結局、どちら側を重視するかで意見が分かれていて、結局のところは今のコミュニケーションの取り方のところも、やはり、そもそもの目指す方向性が随分違うのだということ。これは多分、最終的に両方が 100 %満足する合意点を見い出すのは難しいのだろうと思いますので、今回の中でどこまで。御意見 2 つを大きく分けて書くのだと思います。

 いずれにしても、どこかの段階では、そもそもこの同一労働同一賃金の話が進んでいく中で、派遣という制度をどのように位置付けていくかという話は、別途、少しきちんと考えないといけないという課題が浮び上がってきているのではと思います。それは、どういう役割を果たすことを期待するのかということも含めて、ここは、ある程度、意見が一致している部分もあったと思いますが、恐らく、今のこの仕掛けの部分で全てそこを解決できるというのは、なかなか難しいのではないかというのは、御意見としては見えてきたところかなと思います。

○中村委員 水町先生がおっしゃっているコストを、人件費の圧縮にされないようにということだけに応えるのであれば、派遣先が、つまり企業が派遣労働者という理由をもって、その人の待遇、賃金をほかの労働者より低くしてはならないという規定をいれる。その 1 点、シンプルなのだと思うのです。それを派遣元に、今の派遣先均衡の枠組みに乗せているからすごく無理が出てきて、それで最後どうやって労働協約で除外するのかみたいな話になっている。外部人材なのだけどパート法第 8 条のような規制の掛け方で、派遣労働者という理由をもって不合理に低くしてはならないということを入れれば、それで今の制度などが入っていれば、ある一定以上しかいかないので、それでいいのではないかと思うのです。それ以外の諸制度、現行法での派遣先均衡の枠組みに無理して乗せて議論をしているから、コスト削減の対象にしてはいけないというのがうまく乗らないのだと思います。

○柳川座長 一応、 2 22 日に予備日を取っていただいているので、御議論をずっと続けることはできるのだと思いますが、感触としては、論点はかなり出てきたかなと思っています。多分、同じことの繰返しになってしまうという気がするので、私としては予備日 2 22 日の開催は特に必要ないかと思いますがいかがでしょうか。もし、御意見があれば開催をしたいと思いますがどうですか。

○松浦委員 議論自体はそれなりに出てきたと思うのですが、気になっているのは報告書がどのような形になるのか、今の御予定だと 3 8 日。

○柳川座長  3 8 日ですね。

○松浦委員 一回だけなのですよね。

○柳川座長 一発の予定ですかね。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 日程としては 2 22 日の予備日を使わないとすると、次は 3 8 日でございます。その場合には柳川先生とこの後の進め方を相談させていただきたいと思いますが、 8 日に、あるいはその前日に、初めて 8 日に出るものを御覧いただいてということでは、 8 日の御議論が効率的にできないと思います。

 前回、 7 日と本日の議論を基に論点整理案を作成し、事前にできるだけ早くお送りをして、前回のように 24 時間稼動ではなく、適宜、事前に御指摘いただいたものを反映させながら、反映したものを 8 日にお出しし、 8 日でまた軸整理が残るかもしれませんが、大きく言っていたことが違うということはないようにしたいと、こういう運び方でいかがかと思っています。

○柳川座長 そうですね、メールと、あるいは事務局から回っていただいて、実質上の審議をかなり 8 日までにするということで、報告書を 8 日に向けて作り上げていくというイメージですね。

○松浦委員 事前にやり取りをした上で 8 日に出していただくということであれば、一回のご議論でもいいと思うのですが、いろいろな方向性でメリット・デメリットを整理して頂くとしても、書き方によって相当ニュアンスが変わってくると思いますので、少し心配な面はあります。いずれにしてもメリット・デメリットを両論併記頂くのであれば、はっきりと違いが分かるような形で書いていただいたほうがいいというのが要望です。

○神吉委員 たたき台のときには、最後に出てくるときはともかく、誰の意見だったかというのを付けていただくと、自分の発言はこういう意図ではなかったなどチェックしやすいと思うのですが。前段階でそうしていただければと思います。

○柳川座長 イメージとしては 1 週間前ぐらいには案ができるようにすると。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 そうですね、それぐらいにしたいと思います。

○柳川座長  2 月は 28 日までしかないから、結構、厳しいスケジュールではあるのですが、あと 1 週間ぐらいある、おおよそ 2 週間後が 3 8 日なので、 1 週間後ぐらいに作っていただいて、 1 週間かけてこういうものをしていただくという感じでしょうか。よろしいですか。 22 日には報告書を出すという、案が出てくるというのは難しいので、 22 日は明後日なのでね。それでは、 22 日は開催なしで次回は 3 8 日に論点整理案を検討いただくという形でいきたいと思います。事務局で何かありますか。

○岸本派遣・有期労働対策部企画課長 そのような進め方で論点整理のたたき台を御覧いただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

○柳川座長 それでは、本日はこれで終了したいと思います。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

 


(了)

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