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2017年1月30日 第11回 児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成29年1月30日(月)17:00〜19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第21会議室(17階)


○出席者

吉田(恒)座長 岩崎構成員 金子構成員 上鹿渡構成員 久保構成員
床谷構成員 林構成員 藤林構成員 峯本構成員 森口構成員
吉田(彩)構成員

○議題

○林補佐 定刻となりましたので、ただいまから第11回「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は久保野構成員、杉山構成員、山田構成員、山本構成員、横田構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 まず、資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付しておりますが、資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料を付しておりますので、御確認いただければと思います。
 追加資料といたしまして、山田構成員から資料が出ておりますので、資料3関連として1枚紙をつけさせていただいております。
 なお、資料1と資料2の赤い文字につきましては、前回の御議論も踏まえまして事務局で追記させていただいている部分でございます。
 資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。
 なお、本検討会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
 それでは、これより先の議事は吉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○吉田(恒)座長 皆さん、こんにちは。本日も検討会、どうぞよろしくお願いいたします。皆さん方の御協力によって、活発な意見交換をしたいと思います。
 本日の議事についてでありますけれども、配付されました議事次第にもありますように、特別養子縁組の関係の方からヒアリングを予定しております。本日、お越しいただきましたのは、埼玉県里親会副理事長の石井敦様、奥様で埼玉県里親会南はなみずき会副会長の石井佐智子様、特別養子の石井寿紀様、お三方であります。後ほど御説明をお願いし、質疑応答をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 その後、久保先生、山田先生から資料が提出されておりますので、その御説明をお願いいたします。なお、山田先生の資料に関しましては、森口先生から説明していただけるということですので、よろしくお願いいたします。
 その後、論点1の論点ペーパーにつきまして、前回の検討会で議論が途中までになりますので、その残りの部分の論点について皆さん方の御議論をいただければと思いますので、こちらのほうもよろしくお願いいたします。
 それでは、早速でありますけれども、関係の方々からのヒアリングに入りたいと思います。本日、お三方、石井様御夫妻、そして、石井寿紀様にお越しいただいておりますので、養親として、また、養子としての御経験を踏まえたお考えについてヒアリングをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に15分程度御説明いただきまして、その後、15分程度各先生方から御質問などをいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、石井様、お願いします。
○石井敦氏 皆様初めまして。埼玉県で里親をしております石井と申します。民間企業に勤務をいたしております。
 本日は、妻と長男の3名でこの場に出席をさせていただき、まことにありがとうございます。
 事務局の御担当者を通じまして、事前に個別の論点に関する意見書、本日の資料4ということで提出をさせていただきました。特別養子縁組制度の対象となる子どもの年齢、審判の申し立て権、そして、養子縁組成立後の養親や子どもに対する支援などにつきまして、制度の利用促進の観点から見解を記載させていただきました。
 特別養子縁組や里親委託の現状につきましては、子どもの権利条約を批准している国とは思えない水準でございまして、国民の一人として強い危機感、また、重い責任を感じております。
 私たち夫婦は、こちらに同席しております特別養子の長男21歳、そして実子で19歳になります次男、同じく特別養子で14歳の三男、そして10歳になります里子の男子4人を養育中でございます。里親登録時より養子縁組を前提とはいたしておりません。これまで養育に携わりました短期、また、一時保護委託のお子様も含めまして、日本の未来を担う子どもたちの健全な成長をサポートさせていただきたいとの思いで20年以上、里親を続けております。
 長男の名前から1字を取って命名いたしました19歳になります次男も、私たちの考えを受け入れながら、血縁にとらわれない家族の一員として成長してきております。また、里親会の活動などを通じまして、養子縁組、里親委託を問わず、同じ養育仲間との連携を深めながら、特別養子や里子さんへの直接、間接の支援が充実されて、社会的養育の促進に少しでも寄与できればと考えております。
 人口減少時代を迎える中で、少子化に歯どめがかからない現状、また、子どもの貧困の連鎖に各方面から警鐘が鳴らされている現状を考えますと、どうやって担税力のある国民を育てていくのかという課題は、単に児童福祉の範疇にとどまらず、国の将来を左右する極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 子どもは生みの親を選べません。どこで、誰から、どのような状況で生まれようとも、愛情あふれる家庭で育つ権利があります。全てのお子さんが自分に対する肯定感を持って、自分のよさや特徴を生かし、人生を選択して大人になっていくための最も大切な基盤は家族であると思います。家族の一員として大切にされ、お互いに支え合うことが、地域や社会の一員を自覚する第一歩であると考えています。家族に対する肯定的なイメージが次の世代の家族へと引き継がれてつながっていくものだと思っています。
 子どもたち一人一人が持っているかけがえのない個性が、日々の暮らしの営みを通じて養われ、将来の社会や国を担っていくためには、家族の力が不可欠です。社会的養育を必要とする子どもたちを家族の一員として迎え、育てていくことが当たり前の世の中になるよう本腰を入れていくことが、一億総ての活躍が持続する前提ではないかと考えております。
 特別養子縁組制度を親になりたい方の私的養育の意味合いにとどめず、命をつなぐ国づくりの根幹に据え、制度の充実と利用促進を図っていくべきとの思いがございます。
 子どもの安心と安全がより担保される特別養子制度である一方、養育者への支援においては里親委託にほぼ限定されているという現状は、ミスマッチ状態であると思っております。子どもシェルターや子ども食堂などを初め、市民レベルの関心が高まりを見せております。この機を捉えまして、要保護児童が家庭で暮らす割合が特別養子と里親委託を合わせて50%以上、さらにファミリーホームを加えた80%以上を目指す取り組みを始めていくことが肝要だと思っています。
 官民を挙げた議論と推進体制や、速やかな政策決定と行動に期待をしているところでございます。
 続きまして、妻からお話をさせていただきます。
○石井佐智子氏 妻の石井佐智子です。
 私どもの結婚に際しまして、私のほうから里親登録を夫に提案いたしました。1982年、大学卒業の年の3月、友人と友人のおばが住んでいらっしゃるドイツに旅行をしましたら、そのおば夫婦は養子1名、里子2人を養育中でした。私には合わせまして26名のいとこがいますが、その中には養護施設で育ったり、それから、両親が離婚をして改めて再婚をしたりと、幼児期にいろいろな体験をしたいとこがおります。私自身は両親、祖父母に大変おかげさまでかわいがられて育ったのですが、そういったいとこたちが大人の都合である日突然暗くなってしまったり、とりつく島がなくなったりといった体験をしまして、そういったことを解決する方法はないものだろうかということをずっと心の中にしまって成長しました。ドイツの家庭に滞在させていただきましたら、その3人の子どもたちがとても屈託なくわがままを養父母に表現していたのです。
 私は自分のいとこたちがいろいろ心の中におさめていたものを、ここで解放している子どもたちを見て、大きな養護施設とかではなくて、これだったら自分でもできるのではないかという気持ちを持ちまして帰国しました。その時間は本当に1週間程度で大変短かったのですけれども、そういったことが心の中にありましたので、将来、里親になりたいということで、夫から結婚の申し込みがあったときにそれを条件にしました。夫のほうは余り当時は制度の理解もなく、とりあえずオーケーだよということで結婚しましたが、なかなか実子に恵まれず、不妊の治療等もありましたけれども、年齢が30代半ばを過ぎましたので、36歳のときに里親登録をさせていただきました。
 現在、私どもが育てている子ども以外に、14年前に3歳前後の5カ月弱、実母のネグレクトにより、女の子を一時保護でお預かりしました。その子が児童相談所の判断としては、私どものほうから一時保護所、それから、養護施設、実母さんに戻そうというような決定でした。私どもはそれに対してもちろん意見を申し上げることはできましたけれども、採用されず、その女児は実母さんのところに戻りました。彼女は衰弱しており、我が家に来てすぐに肺炎になってしまって、レントゲンを受けましたら鎖骨が折れていた跡がありました。それも児童相談所に申し上げたのですけれども、「そうですか……」ということで、実母と生活をしていくこと、実母がしたことではないかもしれないのですけれども、1人でほとんどネグレクト状態で置かれた段階で鎖骨が折れているようなお子さんを、どうしてすぐ帰してしまうのかなというような気持ちを持ちました。そのときの児童相談所からの説明の1つに、「実母の自立のためにもその3歳の子どもは実母と一緒に生活することが大切なんですよ」という説明を受けたのですが、なかなか腑に落ちることができず、ずっとその気持ちを持っておりました。たまたま養護施設といろいろな関係でお知り合いになることになりましたが、ある養護施設にその子が措置をされておりまして、現在高校2年生、特別支援学校に通学していることがわかりました。
 その子を我が家からお帰しするときに、ちょうど3歳ですから七五三のお祝いの写真などを持たせたのですけれども、乳幼児期の写真はきっと持っていないだろうなと思いまして、養護施設側の配慮で面会したときに、委託中の写真をアルバムにまとめて持っていきました。やはり乳幼児期の写真は1枚も持っておらず、先生方のお話を聞けば、実母のことを相当恨んでいたらしいのです。ただ、その写真をお見せして、その後、食事をしたり、2度目の面会を12月にしまして、その後担当の先生方から、「実際に写真がなければ記憶がほとんどないですから、自分の幸せだったことを実感できないのですけれども、幸せだったことがあったということで、とても自分を冷静に見ることができるようになりました」という話をいただきました。
 いろいろお話したいことはあるのですけれども、大人が小さい子どもたちの将来のことを真剣に考える機会になればということで、きょうは出席させていただきました。
○石井寿紀氏 続きまして、私、石井家の長男、21歳、石井寿紀と申します。
 本日はこのような場所にお招きいただき、まことに光栄です。ありがとうございます。
 私として話すことが何かと言えば、石井家に委託されて20年たちまして、今、大学3年生になりました。大学ではスポーツ健康科学部に所属しておりまして、スポーツ系のことであったり、教育、児童のことを学んで、将来そういう職につけるような人になりたいと考え、ただいま勉強しております。
 私は、石井家に1歳半のころに委託されて、そのころの里子としての記憶はほとんどありませんし、本当に実子のように毎日毎日両親と接していました。そこで、石井家に来て何が私としてよかったか、何を得られたかというのを少しお話したいと思います。
 まず私がこのようにして皆さんの前でお話ができるようになった力であったりとか、そうした表現力を石井家に来て学んだと思います。人に接するときに、照れることなく自然と笑顔で話すようなことができたり、小さい子、幼稚園の子たちにも気さくに挨拶ができたりだとか、そういうことができるようになったことが、この21年間生きた中で磨かれたと思っています。
 私は小学校に入ってからずっと、現在もスポーツを続けてきております。小学校のころにサッカーを始めて、中高とサッカー部に所属していまして、大学ではフットサル部に所属して、もう引退したのですけれども、フットサル部の主将として、1年間チームをまとめ上げてきました。これからももちろんフットサル、スポーツにかかわっていきたいと思いますし、続けていきたいと思っております。
 私は、石井家に委託されたころは落ち着きがなく、ずっとぴょんぴょん飛び跳ね回っていたりとか、話を聞かなかったり、食べるのもすぐぺっとその場で吐いたりする子だったのですが、何が自分の中で一番人間として成長させてくれたかといったら、もう亡くなってしまったのですが、母方の祖父の存在が大きかったかなと思っております。私が1歳半で委託されて、それから祖父がすごくかわいがって、愛してくださって、自分という存在をいろいろな親戚のみんなに広めてくださったことが、自分の中ですごい大きなものだと思っております。周りの人たちも「としちゃん、としちゃん」とかわいがってくれました。自然とその中で愛することだったり、逆に愛されることだったり、人を大切に思う気持ちだったり、尊い気持ちを学んできたのかなと今も感じております。
 私には現在、下に3人弟がいますし、弟の存在というのも自分の中ではすごく大切に思っています。次男坊は実子なのですけれども、先ほど御紹介もありましたとおり19歳になっておりまして、その子と会話していく中でも、兄としてしっかりと見てもらっているところであったり、たとえ血はつながっていなくとも、石井家の長男として慕ってくれている部分もあり、とてもうれしく思っております。
 今でも里親や養子縁組を組んでいる方々と一緒に、先日、お餅つき大会を開催してみんなで遊んだときにも、小さい子どもたちの面倒を自然に見られるようになったり、危ないことをしようとした子にはそっと手を差し伸べてあげられました。そういう気を配ることが自然にできるのは、祖父が深い愛情で自分を包んでくれたことで形成されたのではないかと思っております。
 今回、私が一番関心を持ってこの場に来ておりますのは、特別養子縁組制度についてさらに深い理解を皆さんに持っていただいて、一般的な常識として頭の中に入れておくことになれば、たとえもし一般人だとしても子どもができて、できちゃった婚であったりとか、自分が意図していなくてできてしまったとしても、周りがそういう制度を知っていればサポートしてあげることによって、負担が軽減されるのではないかと思います。今、そこで捨ててしまっていく小さな子どもの命を奪うことに比べれば、失いそうな命を実親から養親につなぐことができれば、実親が育てられなくても罪ではないと思いますし、子どもにとっては私のように何よりの希望であり、幸せなのかなと私は思います。
 今回、私もこのような場で話をさせていただいたことをすごくうれしく思っております。このような機会で私がしゃべる内容をさらに皆さんに知っていただいて、世間に広めていただくことによって、このような不幸な境遇の方たちであったり、これからこうなるであろう子どもたちが自分の未来に自信を持って生きていけるように、羽ばたいていけるように願っております。私もこれからも自分自身にしっかりと毎日毎日向き合って成長して、人としてももちろん、これからフットサルのプレイヤーとしても成長していきたいと思っております。
 御清聴ありがとうございました。
○吉田(恒)座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容につきまして、構成員の先生方から御質問、御意見等をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 森口先生、お願いします。
○森口構成員 一橋大学の森口です。
 この場で論点になっているところの1つで、「普通養子縁組ではどうしていけないか、なぜ特別養子縁組が必要か」というところで伺いたいのですけれども、特別養子縁組というと実の親との法律的な関係が完全に切れてしまうので、それが非常に大きな判断であって、躊躇するところも多い、裁判所としても難しい判断だということがあるのですけれども、その点について特別養子を迎えられた経験から、実親との関係が切れることについて、あるいは普通養子縁組でもよかったのかという、その辺について何かお考えがあったら、どなたでも結構なのですけれども、お聞かせください。
○石井敦氏 おっしゃるとおりで、私どもも面会前に子どもの写真を見せられまして、この子の人生を私たちが決めてしまうことに対して、妻と、当時は2人の生活でしたが、非常に悩みました。
 1つは、子ども本人が私たちが育ての親としていいかどうかの選択をしていないということ。もう一つは、実の親との縁が完全に切れてしまうという特別養子縁組制度ということにおいて、将来この子が実は産んだ人に会いたい、産んだ人がもし困っているならば、籍は抜いたかもしれないけれども、助けたい。いろいろな場面が想定されたときに、あなたの籍を親から抜くという判断、あなたがこの家に来るという判断を1歳半のあなたではなく、周りの大人たちがしてしまうことに対してどうかということは散々悩みました。
 ただ、子どもの福祉の観点ということから見たときに、いろいろな実親がいると思いますが、実親から戸籍上切り離すことがこの子にとってより安心、安全な環境がそのことによって高まるのであれば、この制度を利用してみることも選択肢としてはあろう。まして年齢制限があるという中で愛着関係を築く上において、学校で里親の名前で通学することも可能ではありますけれども、石井敦、佐智子夫婦の子どもであることが内外にオープンにできるということも、この子の幸せにつながるのではないかという仮説のもとにお受けしたということでございます。
○石井寿紀氏 私からの意見としては、私はもちろん先ほど申し上げたとおり1歳半に石井家に委託されまして、私は当初のことはほとんど記憶にありませんが、自分としてもこちらにいる2人がお父さん、お母さんという認識が一番強く、これからも、おじいちゃん、おばあちゃんになってもお父さん、お母さんであると自分も思っております。その中で特別養子縁組としては先ほど申したとおり生みの親から縁を切るということであり、それを大人たちが決めることが小さい子の命もこれから先の人生も決めてしまうということなわけですから、より慎重に、より丁寧に今後も対応していってほしいと私は思っております。
○石井佐智子氏 私は実親さんがどのような気持ちでこれを受け入れるかということ、そこのところを一番考えたました。ただ、実親から縁を切らざるを得ない特別養子が一番いいかどうかはわからないのですけれども、特別養子になるときに手続上、1人だけの戸籍になります。1人だけの戸籍になってでも実親と縁を切らなければいけない子どもたちというのは、実はもっと多いのではないか。ですから、今回、論点が少しずれるかもしれないですけれども、実親から籍を抜くということが、その子の将来にとって、大切な一歩を踏み出すことが必要な子どもたちが20年間の里親の経験からは、もっとたくさんいるように感じます。慎重にしなくてはいけないですけれども、実親の籍から抜くということはとても大切なことだと思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○上鹿渡構成員 上鹿渡です。本日はありがとうございます。
 事前に用意していただいた資料の中で、各論点についてそれぞれ御意見をいただくことができてとても参考になりました。その中でも5番の養子縁組成立後の養親や子どもに対する支援について、最も多くのご意見をいただいております。前回この検討会のヒアリングでも子どもの虐待防止センターから、事前研修も含めての養子縁組支援が非常に重要だという意見いただきましたが、本日またこのような意見も書いていただいた中から、特にこれは伝えておきたいということがありましたら、それについて直接この場でお話をおきかせいただきたく思います。よろしくお願いいたします。
○石井敦氏 冒頭の発言でも触れましたけれども、子どもの権利条約において擁護の対象から権利の主体であるという、その子どもの権利が奪われている。家庭で育つことができない子どもの権利を擁護するということの中での養親からの切り離しを含めた大変重い制度であるということは、これは国が子どもの命を見捨てない、社会が日本の子どもたちを守っていくという基礎の制度ではないかと思いました。里親手当や生活費の一部を支給されている里親と、「特別養子が成立したのだから我が子でしょう」ということの中で、一切の支援が、里親という時期も一時期ありますけれども、すべての支援が打ち切られることにおいては、まだまだ我が国の中では特別養子縁組という制度が私的な養育の範疇から出ていないのではないか。
 すなわち社会的養育の一環として、親になりたい方のための私的な養育という要素も踏まえた、そこも包含した社会的養育の制度の根幹でないがゆえに、そのコストである、それは税制の優遇なのか、手当なのか、あるいは年齢が高くなった後、いろいろな障害などが出てきたときに困った養親さんや子どもたちを支援する仕組みなのかがありません。書面でも触れておりますように三男が特別養子という話があったときに、どうしようと。自分の年齢、企業でのこの先の年収の見込みを考えたときに、この子にとっては里子として迎えたほうが、この子にお金をかけてあげられるのではないか。ピアノやスイミングスクールやサッカースクールなど、いろいろな場面を想定したとき、お兄ちゃんたち2人と同じことをしてあげられるのだろうかと考えました。「そうだよな、特別養子縁組って私的養護だから何のバックアップもないよな」ということで、結果的には特別養子縁組を受け入れましたけれども、そこのところに一歩踏み込めば、「養子縁組が成立したから、うちは一人っ子でいいの。あとはペットの犬か猫を飼うわ」という里親もいらっしゃいますけれども、兄弟がいるほうが子どもにとっていいに決まっていますし、2人目からでもいいので何かしら特別養子縁組に対して経済的な支援を打ち出すべき時期に今、来ているのではないかと思います。
 それから里親と特別養子縁組にかかわらず、民間団体である里親会も、養子縁組の人たちも同じ社会的養育の仲間なんだということで受け入れながら、ともに研修なども重ねながら孤立を防いでいくことに取り組んでいく責任があると考えております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかにございますか。では続けて御発言お願いいたします。
○石井佐智子氏 特別養子縁組が成立した後、お子さんを育てた御夫妻の養育力が大変高まっているのです。その方たちに1人でいいじゃないのというのがもったいないと言うと語弊があるかもしれないのですが、そういった養育力をつけた安定的な家庭を持っていらっしゃる方に、私どもは里親会からやめないでもらいたい。それから、里親登録をやめないでもらいたいということでお願いをしています。現在ですと一時保護を受け入れていただいたり、それから、里子を受け入れていただいたりとかして、せっかく家族としてとてもいい形になったところ、そこを改めて社会的養護のお子さんたちの育つ場所ということで提供していただくように、仲間の里親さんたちにお願いをしております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 では、藤林先生、お願いします。
○藤林構成員 福岡市児童相談所からまいりしました藤林と申します。
 貴重なお話どうもありがとうございます。
 4ページに、子どもの出自を知る権利についてまとめていらっしゃるわけなのですけれども、石井御夫妻、御本人さん、子どもの出自を知る権利が実際にどのように児童相談所等から保障されていらっしゃったのか、そこにどのような課題とか問題点があるのかという点であるとか、また、里親会の役員さんもされていらっしゃるということで、仲間でいらっしゃる養親さん、または養子さんが子どもの出自を知る権利を埼玉県の中でどのように保障されているのかされていないのか、この辺における問題点とか、もしありましたらお教えいただきたいと思います。
○石井敦氏 埼玉県及び埼玉県内の児童相談所関係の方ともお話をする、あるいは接点がある、そういう立場でもございます。埼玉県ではいわゆる実親の情報も含めて「もし子どもが知りたいと言ってきたときに、いつまでの情報の保管をされているか」というようなことを一度質問させていただいたことがありますが、記憶が曖昧かもしれませんけれども、「埼玉県では特に年限は設けていない」という言葉は、御担当の方から聞いた記憶がございます。
 それと、例えば長男寿紀の場合ですと、産んだお母さんが当時どうしているということについては、児童相談所の担当者から聞いていた範囲になりますが、私たちは彼の成長段階を見極めながら話すようにしてきました。
 ある先輩里親さんからは、そちらは特別養子縁組ではありませんが、やはり自分のルーツを探るということで、いろいろなルートで市役所も含めて御協力いただいたようで、生みの親の家の前まで行きましたが、「ここまででいい、会わないで帰るわ」と言ってUターンして帰ってきたという過去の事例をお話しいただきました。
 質問に対するお答えになっているかどうかわかりませんが。
○石井佐智子氏 私どもは彼が二十歳を迎えたときに、自分のほうから児童相談所に訪ねて情報を求めたらどうかという話をしたのですが、本人のほうでその時期ではないという判断で、まだ問い合わせはしていないようです。
○石井寿紀氏 私は21歳になって成人になる中で、自分の過去をもちろん知りたいと思っていますし、何で私がこうなったのか、どうしてここに来たのかというのは深くは自分の中では考えなくてもいいのかなと思うことも半分あります。自分は石井家の長男であるという自覚もありますし、責任もありますので、今後もそうやって石井という名を背負って生きていくことが私の使命であるのかなと考えております。もちろん児童相談所へ電話で問い合わせて、私を産んだ人はどこに行ったんだというのを聞くことはないですけれども、もし何かで本当に運命的な、町のどこかでばったり出会えるというドラマチックな展開があれば、そういうものでも出会えればと思っています。心のどこかには産んで命をつないでくれた人であって、寿紀という名前は私もすごく気に入っておりますし、寿紀という漢字自体も、友達にも言われるのですけれども、「寿」という字がなかなかいないのです。私は「寿」がすごく好きで、寿紀という名前、結婚式場に行ってもみんな「寿」と書いてあって、全部僕だと小さいころ言っていたことがありましたし、名前に関してはすごく感謝しております。この名前は私も愛していますし、大好きですし、これからも寿紀という名前を背負って生きていきたいと思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。林先生、お願いします。
○林構成員 1点お伺いします。2ページ目の子どもの年齢についてです。ここでも子どもの年齢の引き上げについて議論されております。そこから波及してくることとして、もし引き上げた場合の養親との年齢差、試験養育期間、特にこれは今6カ月を2年延長すべきではないかという案を出されているのですけれども、このあたりというのは子どもの時間感覚を尊重するという手続のあり方と矛盾することでもありますし、しかしながら、思春期以上の子どもを考えたときに、そういう対応の難しさというのもあるので慎重にならざるを得ないという側面があるかと思います。15歳以上の年齢差とか、2年間の試験養育とか、何らかの思いをもう少し深くお聞きできたらと思うのです。今後ここであわせて議論すべきことかと思いますので、よろしくお願いします。
○石井敦氏 年齢のことについては、私たちも専門家でもないですし、知識も浅いものですから、妻ともきょうここに参加させていただくに当たり話を重ねてまいりました。年齢制限はなくてもいいのではないかという話もしました。また、今、養育しているいわゆる里子、10歳になりますけれども、いろいろな場面で本名を知ることもあるので、「何で僕だけ○○なの」と聞いてきたときには、嘘はつかず彼にわかる範囲で説明をしています。ただ、上の3人と彼との違いは私たちの心の中には全くありませんので、将来、普通養子なのかな、苗字を石井にするということは視野には入れています。
 そうなったときに、では何歳を特別養子の年齢として引き上げるバーにするのかということについては、こういう書き方はさせていただいておりますけれども、1つの目安として本人の意思で普通養子縁組ができる、後見人さえいればできるという年齢の15歳というところに上げることが、一番合意が得られやすいのではないか。ただ、非常に厳しい虐待の環境ですとか、特殊な事情がある場合には、これは法律的には問題があろうかと思いますが、一旦引き上げた15歳という年齢に特例を設けてもいいのではないかという表記をさせていただきました。
 その一方で、子どもの権利の中の意見表明権ということの観点から見ますと、では二十歳になったときに、「君、特別養子縁組をしたのだけれども、本当にいいのか」という、もう一度どこかで本人の意思確認などをするというステップも、必要なのではないかという疑問も夫婦でいたしました。15歳以上という養親との年齢差については。
○石井佐智子氏 養親との年齢差は、ゼロ歳に対して最近40歳とか45歳という考え方で進んでいらっしゃるようですけれども、15歳で考えた場合といっても15歳で引き取るわけではございませんので、そこは年齢差は40歳ぐらいかなと思っております。25歳が特別養子の親の年齢ということがありまして、そこで15歳の子どもということになりますと、そういう中で10歳しか違いませんので、そういったことが実際に起こり得ることはないとも言えません。そういった場合にはきちんと2年間という、2年がいいか悪いかわからないのですけれども、きちんとした期間をとらないとすぐに認めてしまってはいいのかどうかということが言えないので、2年という年月を入れさせていただきました。
 もう一つ、仲間の里親さんたち、特別養子の養親さんたちが、養育が難しいお子さんが多い中で、支援がなくて大変困っていらっしゃる方たちが多く、愚痴のように、それは本当にそうしたいとは思っていないのかもしれないのですけれども、養子縁組を解消したいということを口に出してしまう。そういったことも含めて今、半年ということで子どもの身分を安定的に捉えるという意味では大切なのかもしれないのですが、では、養親側のほうが半年で最初はしたいと思うのかもしれないのですけれども、もう少し客観的に物事を捉える期間というのが必要なのではないかと思いました。
 ましてや6歳以上で引き取った場合には、愛着の関係をきちんと持てるまでに半年、1年ではとても持てません。やはり2年、3年かかりますので、最低でも2年ということで年月を入れさせていただきました。
 生まれたばかりのお子さんを養子にする場合と、本人の意思が明確になってくる、小学校に入ってからのお子さんを特別養子にする場合には、その子の意思を確認しながら、愛着関係を確認しながら、それを確認する第三者として児童相談所がいいかどうかはわかりませんが、第三者の客観的な視点というのも加えていただきたいと思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 これまで育ててこられた、また、育てられた御経験をもとに大変貴重なお話を伺うことができました。私たちももっと聞きたいことがたくさんあるのですけれども、時間の関係もありますので、ヒアリングはここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。石井様、お三方におかれましては、きょういただいた御意見をもとに今後この検討会でさらに議論を深めていきたいと思いますので、本当にきょうはどうもありがとうございました。
 続きまして、藤林先生から御発言の求めがありますので、藤林先生、お願いいたします。
○藤林構成員 きょうのヒアリングは特別養子縁組を組まれて、その後の養育のプロセス、またはその後の子どもさんのお気持ちとかよく伝わってくるところがあったと思うのです。この検討部会の中でもう一つの課題である実親さんの同意が得られない、または確認ができない、そういった子どもさんを一生懸命育てていらっしゃる養親さんもいらっしゃるのではないかと思うのですが、せっかくのこういった機会ですから、実親さんの同意の得にくい、得られない、または不安定な、養親さんの話もヒアリングの機会がもしありましたらお願いしたいと思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 それでは、次回の検討会で実親さんの同意を得るというところで苦労された御経験をお持ちの方からのヒアリングを行いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、きょう藤林先生からの御提案では、固有名詞までは挙がっておりませんけれども、事務局のほうでまた調整ということになろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日皆様方のお手元にございます資料にありますように、久保先生、山田先生から資料が提出されておりますので、それぞれ5分程度御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず久保先生からお願いいたします。
○久保構成員 2ページ目のイギリスのガイダンス等の資料に基づいて、3ページ目にチャート図にしております。こちら私のところの児童相談所の英語に堪能なスタッフがこの図にしてくれています。1ページ目は英国の手続を参考にして、日本で2段階の手続を導入した場合のイメージ図として、私のほうで作成させていただきました。簡単に説明します。
 同意がある場合と、子どもさんにとって特別養子縁組が適切ではないかという事例につきましては、まず児童相談所長から手続開始の申し立てをして、そこで子どもさんが特別養子縁組にこれが一番適しているんだということになりましたら、その審判をして、それが確定しましたら、実親の子どもに対する権利義務の停止と、同意についても不安定な同意につきましては、ここで審判が出たことによって同意の撤回が制限されることになります。
 実親の子どもに対する権利義務が停止されますので、実親にかわる子どもの権利保障をするために後見人の選任もあわせてします。その後、養親候補者に子どもさんを委託しまして、速やかな時期に縁組成立の申し立てをしていただく。その中で養親の適格性の判断等をやりまして、現在、日本では、先ほどは2年間というお話がありましたけれども、日本のシステムの中では6カ月以上の試験養育期間となっておりますので、その期間を経まして特段問題がないということになれば、特別養子縁組成立の審判をしていただくということです。
 それから、現在行われております実親の同意に基づく申し立てにつきましても、きちんと保障するために右側に太い矢印でしておりますが、この場合は2段階にせず、1段階というか養親候補者の方に委託した後、縁組成立の申し立てをしていただき、先ほどのような流れで特に問題がなければ特別養子縁組成立の審判をしていただく。2段階の場合、この特別養子縁組手続開始の審判が出ますと、その手続の中でもし適切な養親の方が見つからなければ、また再度ほかの方を探し出して委託して、同じような手続に移行していくことになっております。もし期間がたったことによって既に特別養子縁組に付するのが不適当な事情が出ました場合には、手続の開始を取り消しすることができるという流れになっております。
 私からは以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 前回出ました手続のうちの1つ、2段階の方式というのでイギリスの例を参考に御説明いただきました。ありがとうございます。
 では、続きまして、山田先生からの提出資料に関しまして森口先生から御説明をお願いします。
○森口構成員 山田不二子構成員の資料の代読をいたします。資料をご覧ください。
 山田案では、第1段階、第2段階をどう区別するかというところで、下線のところですけれども、第1段階を「養子縁組候補児の適格性を判断する手続」とするのではなくて、「実親からの同意を確定する手続」ないしは「実親の同意不要条件を認定する手続」とする。そして第2段階において「特定の養親候補者との間の養子縁組の適否を判断する手続」というような2段階の分け方を提案しています。
 どういう場合が考えられるかというので3ケースありまして、一番最初は実親が縁組に同意した場合ですが、これは比較的シンプルなケースで、一定期間の撤回可能期間を定めて、それによって第1段階は終了するということです。
 第2のケースが、実親が行方不明等のために同意の有無を確認できない場合ですが、この場合は行方不明等のため同意を確認できないために一定期間以上、音信不通の場合は「同意不要条件」を満たすものとみなす、ということで第1段階が終了します。
 一番難しいのが第3の場合で、実親が同意をしないが、同意不要だの条件を満たす場合です。ここで同意不要の条件にはどういうものがあるかということで、山田構成員が民法の「親権喪失の審判」の条文と、特別養子縁組における「子の利益のための特別の必要性」という条文と、さらに特別養子縁組の際に父母の同意が必要であるが、その例外を認めている条文、すなわち「ただし、特に父母の意思を表示することができない場合または父母による虐待、悪意の遺棄、その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は同意は不要である」という、この3つの条文を比較しています。山田構成員の御意見では、「親権喪失の条件」と「特別養子縁組の成立条件」という初めの2つについては条件がほぼ同等である一方で、最後の「同意不要条件」は厳しくて、「特別養子縁組の成立条件」と「同意不要条件」の間には乖離がある、とお考えです。
 では、その乖離をどう考えるかということで、2通りのシナリオが想定できる。1つ目がまず「親権喪失宣告」をもって、親権を喪失した実親については同意をとる必要がないとみなせるようにするかどうか。しないという判断をした場合には、「同意不要条件」を満たさない限りは「親権喪失宣告」を受けた実親であっても、やはり同意を得なければいけないということで、ここが第1段階の審査に当たる。次に、「親権喪失宣告」をもって「同意不要条件」と満たすことにした場合については、自動的に「親権喪失宣告」をもって第1段階にできる。ただし、そのようにする場合にも、民法を改正する場合としない場合に分けて、それぞれの利点と問題点を挙げていらっしゃいます。
 以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 ただいまお二人の先生から御説明いただきましたけれども、今後の議論の参考にしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、意見交換に入りたいと思います。前回の検討会では成立要件についての議論の途中で時間が来ましたので、本日はまず資料1の中の「(4)成立要件について」というものがございますけれども、ここから意見交換を始めたいと思います。
 本日の意見交換の流れで、最後の論点まで全部意見交換が終わりましたら、時間がまだあるという場合には前に戻りまして、もう一度十分意見交換できなかった論点についてより深く御議論いただければと思います。
 それでは、成立要件についての意見交換ですけれども、これまでのお話にもありましたように、審判の申し立て権の部分ともかかわりますので、若干行きつ戻りつというところもあろうかと思いますが、この成立要件を中心にまず御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 お手元の資料にありますように、資料1で赤い字で書いてある部分が前回出された部分で補われたところかと思います。
 それでは、お願いいたします。
○床谷構成員 済みません、先ほどのお二人のことお話に対すること、先に忘れないうちに述べさせていただいてよろしいですか。
 順番が狂って申しわけありません。質問的な形になるのですが、1つは久保構成員の提出されたイギリス法を参考にした仕組みの説明につきまして、この久保構成員の御提案の形は2段階方式の例なのか、1段階方式の例なのか、これはどちらの趣旨で捉えたらよろしいのでしょうか。先ほどのイギリスの例から考えると、これは一旦切って2段階という説明だとは思ったのですけれども、これまで私が理解しておりました2段階方式というのは、1段階目で子どもの適格性や親の同意不要というものを決定して、以降は養子縁組の養親を探すという段階と切り分けるという理解でしたので、この図式ですと試験養育の開始後、不調になると却下、取り下げで同意撤回可能でもう一度もとに戻るという形になっていますので、こういうやり方は1段階、1つの流れの中で同意が無効になった、もう一段もとに戻すということで、同意の効力がその当初、考えていた特別養親候補者との関係が成立しない場合に、同意の効力が無効になってもう一度やり直すという捉え方と似ているように思って、したがって、これは1段階方式の中で、ただ同意の要らない、あるいは同意があったかどうかの認証をきちんとやるという、そのことだけではないかという気がいたしました。
 それから、山田構成員のところについては、親権喪失の要件と同意不要の要件、それから、要保護要件というかかわるものがどういう関係になるかという点は、既に一度この場で私も発言いたしましたけれども、親権喪失の要件の中にある虐待とか悪意の遺棄というものと同意不要の中にある虐待、悪意の遺棄というのは、家裁の実務では同じ虐待や悪意の遺棄であっても、効果の違いによって捉え方、範囲が違う。虐待でも範囲があるし、そのことによって全く同じようには扱えないというのが家裁の考え方でしたし、実は私自身はこの案に賛成で、そういう方向で提案を学会でもしたのですけれども、かなり批判されたというようなことをそのときに私は申し上げたと思うのです。それで吉田裁判官からも、家裁の判断としては違うという御意見をいただいたかと思うのです。山田構成員の整理は、そのときの理解と少し異なるということと、いわゆる要保護要件はむしろ後半の、特に必要性があるというところに重点があると理解しておりますので、この3つの比較の仕方にはやや法律的には異論があるということをつけ加えさせていただきます。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 成立要件についての御意見ということですけれども、もう一度確認で、私は先ほど久保先生の資料について2段階という言葉であらわしましたが、正確かどうかも含めてお願いいたします。
 久保先生、お願いします。
○久保構成員 説明が足りなかったかもしれませんが、私の図は基本的には2段階を原則にしております。ただ、右側の太い矢印のところ、縁組成立の申し立てまで同意の撤回が可能としているところは、今の民間あっせん団体の手続もありますので、事実上、特に同意について問題ないケースまで、児相長からの申し立てをせずに1段階でいいのではないかということで、こちらにつくっております。
 点線があるかと思いますが、床谷先生から御指摘いただいた同意撤回可能というのは、点線よりも右側の部分についての同意撤回可能に一度はすべきではないかというところです。一旦申し立てがありますと同意撤回不可能になるのですけれども、その委託した養親さんとの関係が不調に終わってしまったり、申し立てが却下もしくは申し立てを取り下げたりした場合に、一旦、同意撤回可能にすべきではないかということでここに置いております。ですので、点線より左側の児相長からの申し立てを受けて同意の撤回についても制限される場合には、養親さんとの養育が不調に終わったとしても、基本的には同意撤回可能にはならないと考えております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかに成立要件に関しましていかがでしょうか。
 きょうの論点ペーパーの一番下に、同意の撤回に関して制限を加えるべきか。どの時点からか。どのような手段で撤回を不可能とすることが適当かという点が論点として挙げられておりますけれども、この点も含めて成立要件についての御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、峯本先生、お願いします。
○峯本構成員 前回の議論が私は十分に理解できていないかもしれないのですが、もともとの専門委員会報告の中で2段階説というものがありましたけれども、今、床谷先生おっしゃられたように、そもそも申し立てとしては1個の手続の中で判断する段階を2段階に分ける話なのか、もともと違う2つの手続で1個目で適格性の判断をしてしまって、この子は特別養子縁組相当ですよということになってから、今度養親を探して、それで新たに次の手続に入るというようなものが一番極端な2段階説があるのですけれども、必ずしもそれはそうではないかなと。それは私自身は少なくとも日本の現状と、この社会的養護下にいる子どもの支援を拡充するといいますか、それをリーガルパーマネンシーを保障していくという観点で言うと、今のニーズと現状からすると、完全な2段階説というのは適切ではないかなと思っているのです。まだ養親の候補がいるわけでも何でもない。適格性判断して、ある段階になったら特別養子縁組相当の子どもです。これから養親を探しますというような形の手続というのは、余り適切ではないかなと基本としては思っています。ただ、1つの手続の中で裁判所の適格性の判断段階と、この養親で妥当なのかということの判断の段階があるという意味では、あり得るのかなと思っているというのが1つです。
 それから、もともとの社会的養護下にある子どもの支援というか、リーガルパーマネンシーの保障という観点から言うと、申し立て権の絡みなのですけれども、やはりその流れで言うと28条をするとか、親権喪失の宣告の申し立てをするとかいう延長線上の中に、この特別養子縁組という選択肢も出てくることになるので、やはり児童相談所に申し立て権が必要になってくる。それは可能ではないかというのが意見としては思います。
 その上で成立要件なのですけれども、私は十分詰めて考えられているとは言えないのですが、思う中では基本的には先ほど言いましたように一応、マッチングという観点から言ったら養親の候補者が存在するということと、実親の同意の要件と、もちろん実親の同意が不要なケースのときには、いわゆる親権喪失宣告の延長線上の話として理解できるような状況がある場合となると思うのですけれども、あって、そういう要件をどう決めるのかということと、最後はある年齢以上の子どもの場合は子どもの意見、意思を聞くという手続、要件と言っていいかわかりませんけれども、必要になるのかなと。
 その中で同意要件に関して言うと、同意要件に関しては撤回のできる期限を決めるという、ひょっとしたら横田先生の言われている割とシンプル説なのかもしれないのですけれども、児童相談所に申し立て権を認めて撤回期限を定めるということを前提にしながら、親権喪失宣告と特別養子縁組に関しての要件を、虐待要件なのでしょうけれども、常識的に考えたら強める方向に働くかなと思うのです。
 ただ、長くなって申しわけないですけれども、恐らく実際のニーズで言ったら長期間社会的養護の中にいて、親御さんが全然会いに来ないとか、完全な行方不明とは言えないまでも連絡に対する応答がないとか、場合によったら同意をしてもその撤回を繰り返しているというような、子どもの最善の利益の観点からもいわゆる本当に特別養子縁組が必要だと判断されるような状況、いわゆる虐待が激しいから親権喪失の宣告の要件とも同じ虐待と言っても少しそこは違うと思うのですが、そこは要件で表現できるのか、それとも裁判所の実務の運用の中で床谷先生おっしゃられたような形になるのかというのは、どちらがいいのかというのはわからないのですが、結論から言ったらそういうことになるのかなと自分自身では思っています。
 児童相談所の申し立て権、撤回期限を定めた上で成立要件としては同意がある場合、同意がない場合の要件、ここはある年齢以上は子どもの意見、実際にはこの特別養子縁組になるといわゆる相続権自身も失って、いわゆる財産権のレベルのことにも影響を与えていくので、低年齢の子どもに関してはそのことまで考慮してということがあるかもしれませんけれども、高年齢の子どもになってきたときには、実際に子どもの意見というのはその観点からも必要かなと思います。
 私はその観点で言うと、広めるということで言うと、年齢要件については高いところまで特段限らなくていい。これを15歳で区別することが十分あり得ると思いますが、それより高い年齢の子どもでもその要件を満たすときには、選択肢としてあってもいいのかなと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 では床谷先生、どうぞ。
○床谷構成員 今の峯本構成員の御意見の中の申し立て権は児相に与えるという点なのですけれども、私も民法の研究者であることから、民法上の制度である身分関係の形成ということを児童相談所が発動していくことにはどうしても納得できない、腑に落ちないところがありまして、身分関係の形成なりの問題については、本人の意思に基づいて動かすというのが私法の原則ですので、申し立て権といいますか、養子縁組をしたいという意思そのものは養親となる者がするというのが、要するに現行法はそうなのですが、それを維持すべきだろうと思うのです。
 具体的に社会的養護にいる子どもさんを特別養子縁組に向かせるために、児童相談所がいろいろサポート、支援をして申し立てを支えていく実親との関係を調整していくことについては、その特別養子縁組法が62年にできた時点の中間試案あたりまでずっと議論していたことなので、当初からある見解ですから、そのこと自体については私は賛成なのですけれども、申し立て権そのものを児童相談所あるいは所長に与えることについては、身分関係の形成ということは前回の議事録の中にありましたけれども、養子縁組法は少なくとも大陸法、日本の民法の構造上、フランスにしろドイツにしろ、そういうところで養子縁組の請求というのは当事者が行う。
 民法上は「請求により」となっているように、実体法上の権利ですし、手続法上は審判の申し立てですけれども、審判を申し立てるということとは別に、実体的に親子関係をつくりたいという意思の発現が請求という言葉に出ていると思いますので、それが基礎になって、裁判所がそれを認めるからこそ身分関係が新しく生まれ、その効果として旧来のものが消えるという形のものを法が認めたということだと思いますので、申し立て権はあくまで当事者である養親となる者ということになるのではないかというのは、これは今までも申し上げたことの繰り返しになります。
 それから、年齢との関係なのですけれども、私はこの検討会では15歳未満という提案をいたしました。ここの中にありますように、15歳以上の場合は本人の意思をより尊重するとすれば、養親となる者の請求ではなくて、双方の請求にならないとおかしいのではないかと思っているからでして、単に同意ではなくて、請求自体を子どもがする。養親となる者もするという形の合同的な請求になるのではないかということで、そこまでいくとかなり現行法を大きく変えることになるので、15歳未満ということで意見を申し上げました。
 ただ、学会では18歳未満で提案をしておりますので、このあたりはその場に考慮する事項によって、全体をかなり根本的に変えるのであれば18歳が望ましいかなということはあるのですが、現行法に対して若干修正してほしい、民法の考え直しを少しでもしてほしいということであれば、実現可能性があるのは15歳未満ではないかということで、この場では申し上げております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。民法の立場から御発言をいただきました。
 では岩崎先生、お願いします。
○岩崎構成員 では現場の立場から申し上げたいと思うのですが、一番この問題で私たちが行き詰まったのが、ある事例でした。この事例は生まれてすぐにお母さんから養親に出してほしいという言葉をつけて乳児院に預けられました。その後、お母さんの住所変更に伴い担当児相が変更になりましたが、変更後もお母さんは、養子に出してほしいと言い続けるのですが、同意書への署名捺印を拒否していました。
 それが、お母さんの中に手放したくない思いがあったのかどうかの判断はできません。ただ、ずっと養子に出してほしいと言っておりました。
 その後、母の所在が不明になり、子どもも3歳になっていましたので、児相は養子縁組前提の子どもとして新聞に掲載をし、適当な人が決まって、試し行動は大変でしたが、里親も子どもも良く頑張り、親子関係も安定してきた頃、偶然母親の所在が判明しました。里親に委託されていたことを知った母親は激怒し、その後の生活の変化の中で、養子に出すのをやめるというのです。ではそのことについてしっかり話し合いましょうという約束の日には必ず来なく連絡が取れないまま、そしてまた1年、2年、3年とたっていくのです。
この間に何度かお母さんの行方がわからなくなりました。行方がわからないからこそ申し立てると裁判所が行方を探されるのですが、それでもわからない場合には、認容してくださる裁判官が多かったので、行方不明、いざ申し立てというのは時々あるのです。行方不明の間に審判をしてもらえれば、認めてもらえる可能性もあるかもしれないと考えていたのですが、いざ養子縁組の申し立てをしようかと思うと、このお母さんは電話をしてくるのです。
 そうすると里親の側では、幼稚園に行く時はダメだったけど、就学の手続をするまでにはやはり養子縁組をしたいと強く要請をしていましたが、最終的には養子縁組の申し立てをする前に、お母さんから突然引き取り要請が来てしまったのです。
 引き取れる条件を出されても、お母さんが育てられるかどうかということがよくわからなくて私たちも悩みました。今までの経過もありますから、しばらく様子を見てできるだけ説得をして同意をしてもらおうと考えましたけれども、逆にお母さんの方は積極的に引き取りたいと言われるために、児童相談所は里親委託を停止して、一時保護委託に切りかえ、少なくとも養子縁組については保留にするという形をとりました。
 その間に里親さんのほうはどんどん子どもも大きくなり、信頼関係が強くなっていますから、中途半端になっているのに耐えられずに、少なくとも監護者指定の申し立てをしたいというふうになったのです。里親さんもお母さんに返すしかないのかと悩み、率直に子どもにも話しましたらとても不安がって様子がおかしくなり、絶対に手放せないと決断しました。しかし、監護者指定は里親には認められがたいということは予測されましたので、私は特別養子で争うべきだ、最高裁まで争うべきだと主張していたのですけれども、弁護士さんや児童相談所は同意要件が強い特別養子も認められる可能性が低いのでそこまでの覚悟がなくて、結局、里親さんは監護者指定を申立てました。家庭裁判所はそれを認めてくれたのです。非血縁の里親子であってもとても苦労して築き上げた信頼関係から子どもを引き離すことは子どもの心を傷つけてしまうことを、また、幾ら実親だからといって引き取られた子どもは里親に引き取られた時と同じように試し行動をするが、実親はそれを引き受けてくれないので、うまくいかなかった私達の経験を、調査官に話しました。家裁は認めてくれたのですけれども、お母さんのほうから上告された高裁は、それは高裁が判断することではないと、監護者指定も母親からの上告も認めませんでした。親として認めがたい母親であるのなら、児童相談所が28条なり親権喪失なりという児童福祉法上の措置で対応するべきではないかという審判だったのです。
 最終的には引き渡し請求の裁判で子どもをお母さんに引き渡すことになり、その日のうちに連れて行かれてしまいました。引き渡した後は、私たちはとても心配をしていましたが、まだ係争中であったこともあって、何もしてやれませんでした。そして、結果として子どもは相当な虐待を受けていることを訴え、一時保護されました。後にもとの里親のところへ戻り、今、普通養子縁組が成立しております。もう既に二十歳もすぎ、結婚もし、子どもも産まれ、幸せに暮らしていますけれども、母親から受けた心身の痛みは今も彼女の心を傷つけているのは事実です。
 それを考えると、お母さんが養子に出してほしいと言った、それが書面であれ言葉であれ、我々はそれを前提にして里親を探したにもかかわらず、同意が翻せる状況にあるということが問題です。要するに特別養子縁組の審判が確定するまでは、結局いつでも実の親は同意を翻せる余地を残している限り、子どもを実の親に帰さざるを得ない結果になるということを考えると、どこかの段階で実の親の同意が確定されて、撤回できない同意として認めてもらえる審判が少なくとも欲しいと思うのです。その審判は前回、横田先生がおっしゃってくださったような担保という形でいけるのなら、私はそれでもいいのです。少なくとも縁組を里親側が申し立てる前に、お母さんの同意がない場合でも、「同意はないが今こういう状態であって親として養育できるとは認めがたいので特別養子縁組をしたい」、あるいは「この人は1回同意しているけれども、それも何回も翻しているがその状況は子どもを養育できるとは判断できない」のでと家庭裁判所に申し立てて、その審判をもって家庭裁判所のお墨つきを得られるのなら、それでもいい。それを得るためには児相が申し立てないと、養親から申し立てることではないだろうということなのです。そこを何とかいい工夫ができないかということです。
○吉田(恒)座長 わかりました。2段階にするかどうかというよりも、撤回というところでしょうか。
○岩崎構成員 そう。撤回ができない担保。
○吉田(恒)座長 そういう仕組みが必要だということですね。
○岩崎構成員 はい。でなければ安心して里親さんから申し立てをすることができない。申し立てそのものが問題だと審判されるのは仕方がないとしても、親の同意が担保されないがゆえに認められないというのは、とても私たちにとって悔しいことになりますので、そこに何かいい工夫がしてもらえないかということです。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 次の論点もありますけれども、久保先生、簡単にお願いします。
○久保構成員 私は2段階と言っていますけれども、中心になるのは私のチャートでの真ん中の養親候補者からの縁組成立の申し立てです。ここが身分関係の構築としての申し立て審判になりますので、そこの申し立てはちゃんと養親候補者、床谷先生から言えば当事者全員からということだったら養子の方、もしくは後見人を選任すると私は言っていますので、後見人と合同申し立てもあるかもしれませんけれども、2段階にしているのは、先ほど岩崎先生からありましたように不安定な同意だったり、行方不明で突然試験養育期間の本当に最後のほうでぽつっと出てきたり、そういうことでせっかく特別養子縁組が成立しそうなのにできないというのを防ぐために1段階目を設けたいということなので、養子の適格性の認定とか文言にすればこうなっていますけれども、中心は養親候補者からの縁組成立の申し立てです。だから同意が特に問題がないようだったら1段階でもいいですと言っているのです。
 それから、峯本先生から現実と合わないとか言われていますけれども、(提出資料の1ページの)左のほうに養育里親さんに一時保護委託・措置となっていますけれども、社会的養育中で特別養子縁組をこの子にはしたいのだけれども、なかなか先ほど言ったような行方不明が心配だったりとか、同意が不安定だったりするときに、まずここを固定しましょうというのが第1段階です。やはり中心はこの養親候補者からの縁組成立の申し立てだということです。
 以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 手短にお願いします。
○岩崎構成員 特に先生方に現場の人間からわかってもらいたいのは、親子関係をつくるためにはすごく壮絶な戦いを必要とするのです。それは時間の経過とともにより親子関係は信頼関係を強めていくにもかかわらず、親の同意の担保がないためにそこが翻されること。そして、本当に実親が育てられるとしても、例えば3年、5年里親の所で安全に暮らしてきた、場合によっては里親さんとの関係がすでに安定していれば、里親から実親の所へ引き取られて関係を作りなおすことはとても難しいです。最初は実親の同意あるいは実親の状況によって、新しい里親との関係が作られたにもかかわらず、その期間が半年、1年でさえも私たちは子どもが実親側に帰ることになれば、実親子の関係を作りなおすために相当な時間をここでかけてくれる覚悟が実親になければ帰せないのです。その辺の現実的な親と子の関係をつくるところを、法律の一文で解決されてしまうようなことがないように考えていただきたいということです。
○吉田(恒)座長 わかりました。
 この点に関してはまだ成立要件が厳し過ぎるという点もありまして、議論すべき論点はたくさんあるのですけれども、まだ議論していない点もありますので先に進みたいと思います。申しわけありません。
 その次、先ほどもお話が少し出ましたが、次の論点である子どもの出自を知る権利についてというところに移りたいと思います。この資料にありますような問題意識、知る権利が必ずしも確保されていない。それから、記録・保存の問題、子どもがアクセスすることのできる仕組みとするかどうか。課題、留意点ということで出自を知る権利の保障の意義であるとか、アクセスというところでどういう資料にアクセスするのか。今度は逆に実母のプライバシーの問題というので、さまざまこの点についても議論があろうかと思いますので、まずは出自を知る権利についての御意見をいただければと思いますので、お願いいたします。いかがでしょうか。
 出自を知る権利についてこれを否定することはないわけですね。では、どうやってこれを保障するのかというので、その記録の保存のあり方であったり、いつまで保存したらよろしいのか。それから、実際にこの前もお話が出ましたけれども、自分の実の親を知ろうと思ってその照会をしたところ、断られたという事案があったという場合に、そうした扱いの見直しをどうしたらよろしいのかということもあろうかと思います。大きなところでは実母のプライバシー、要は知られない権利のほうです。そういう意向もあろうかと思いますので、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。金子先生、お願いします。
○金子構成員 何か余り定見があるわけでもないのですけれども、とりあえずやっている国を参考にするのがいいのだろうと思うのですが、どこかで集中管理するというのがよろしいかなと。あとはいつからアクセスできるかということについては、多分子どもの年齢で切る。例えば成年になってからでないとアクセスできないとかいうことが必要かなと。あと、課題の3番目の実母のプライバシーという点ですけれども、これは親子関係をつくるものではないので、その年齢要件を課せばある程度時間がたつということもありますので、そこは後退させても、知る権利を重視するということでいいのかなと漠然と思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。いいですか。床谷先生、お願いします。
○床谷構成員 今の金子構成員の意見の中にありました外国の話につき、私たちの知識の範囲で参考までにということですが、ドイツの3年前にできた内密出産法というものがあります。内密出産法というのは御存じかと思いますけれども、赤ちゃんポストのもとになったドイツで言っているベビークラッペという捨て子を預かるようなものを病院の施設に設置していくというものですが、これの対処の1つとしてつくられた法律です。これについては日本でも既に紹介がありますけれども、その中でこの制度は産んだ母親が自分の実名を明かさずに出生登録をすることを国が認めて、それで、かつ、病院の正式な治療を受けることができるということで、生まれる子どもの安全も確保する。当面、母親の自分自身の身元を隠すことができるという制度です。
 この中で出自を知る権利については、ドイツの場合は18歳が成年ですけれども、子どもさん自身が16歳になったときに本来の記録、これは出産するときに自分の実名を明かしたデータを封印したものを提出して、それを連邦の庁(家族市民社会問題局)、ケルンにあるのですけれども、そこで一括管理をいたします。そこに自分の生みの母のデータを知りたいということを16歳以降になると要求することができることになっています。
 ただし、その1年前に母親は、自分はまだ知られたくないということを申し立てすることができることになっておりまして、その両者の調整を家庭裁判所がすることになっています。家庭裁判所が何を基準に判断するかは、まだその法律ができて3年しかたっておりませんので、先の課題になっておりますけれども、こういう形でデータは公に一括管理をし、かつ、一定の時期が来れば本人、知りたい人と知られたくない人の利害調整を裁判所が行うという図式が参考になるのではないかと思います。
 この特別養子の場合も生殖補助医療の場合もドナーの問題も同じですけれども、出自を知る権利自体は賛成をする人が多いですが、知られたくない側との利害調整については、やはり一考を要することではないかと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。外国の貴重な例を御紹介いただきました。
 岩崎先生、お願いします。
○岩崎構成員 現場でやっていますと、知る権利を認めることは私は当然だと思っていますが、今、寿紀君もおっしゃったように、「僕は今、会うかどうか、会う必要性がない。」子どもによって会いたいとか、会うとか、知りたいということに非常に個人差がいろいろあるのです。そういうことを前提にしながら私は今までずっと何件かの子どもたちのルーツを探りたいということに応じてきました。
 今、床谷先生の外国の例は、日本のような戸籍制度がないために、どこかで記録を一括しておかないと追えないという体制があるからなのです。日本は幸か不幸か、あるいはどっちみち公的な機関が管理していることには間違いながないのですけれども、戸籍という制度があって、少なくとも今まではその知るべきものが追える体制になっています。
 私は今日まで子どもたちと話をしていて、子どもがその親について知りたいことの中身も、それぞれに差があるのです。それを私のほうにある児童相談所の記録ですけれども、その記録を全部開示することがその子にとっていいかどうかというのは、こちら側が判断することではないと思っています。子ども本人が知りたいことを知りたい程度に調べるためには、本人が動いて調べることだということを原則にしています。
 日本は棄子でなければ(棄子など親の戸籍がない子どもの場合にどうするかということは今は置いて)、戸籍で追えるのですから、その子どもが自分でそれを探して、どこに母が、あるいは父が住んでいるのかを突きとめることができれば、自分自身で知りたいことを訊ねることが出来ます。そこまでして何故逢いたいのか、何を確かめたいのかを考えながら行動することに意味があると思っています。それが出来るにはそれなりの成熟度が必要になります。それも個人差がありますので、とりあえず私は二十歳になればというふうに子どもたちに言っています。
 二十歳が適当な年齢かどうかは非常に疑問があるのです。二十歳にもいろいろな二十歳がありますので、本当は相手に連絡をとったら、相手から返事が来ないとか、会うことを断られることもある。そういうあなたの知りたい気持ちが相手から拒否されたときにも、自分をコントロールできるだけの成熟度がなければ、親を探すということ自体があなたにとっても幸せな結果にはならない。それは自分で決めることなんだというふうに話をして、とりあえず「二十歳まではダメだ。」ここはしっかりと言い切るのですけれども、そうするとやはり15、16から、早くければ10歳ぐらいから、親のことを知りたい知りたいと思っていた子どもたちが、具体的に私のところまで来て知りたいということを言語化できるのが早い子で中学生です。高校生や大学生、特に17、18歳ぐらいになって、一番自分の中でエネルギーが燃え上がったときに私のところにやってきます。
 そのときに私は頭ごなしで「二十歳まで待て」と言うことにしています。そうすると非常に怒る子どももいるのです。何でいけないんだ。俺は今、暇なんだ。浪人しているから暇があって探せられるんだ。それに知りたいんだとか言うのですけれども、今もそのように怒鳴ってしまうを見ていると、まだというふうに言いますと、仕方がないので諦めて帰るのですが、今度二十歳になったら意外と言ってこないのです。二十歳になったからオーケーだよ、どうしているのかと訊いたら、子どもはこう言います。「あのとき頭ごなしに探したらいけないと言われたときは、ものすごく腹が立った。しかし、あれから2年たって二十歳になったら、俺18歳のときと今の俺とは大分違う。大分大人になった。そうすると二十歳になった自分でもまだ無理だという判断が自分自身でもつくから、もう少し先にすると言うのです。そうしたら、「あなたが探したいとき、またおいで。その時にはあなたのそばに岩崎さんはいつもついているから、何か困ったことがあれば相談に乗るし、戸籍謄本を取ってきたら、これはこういうことだ、例えばお母さんは再婚して、再婚した相手との間に子どもが1人生まれて、そして離婚しているみたいな説明を戸籍を見ながら説明してやるからな」と、子どもに言うことにしています。
 子どもが親に対して何をどこまで知りたいのかはそれぞれですので、私たちが対応すると知っていることを全部説明したくなるので、子どもの知りたい範囲にとどめるためには、知るということの主体性を本人に持たせることがいい。そのシステムをどうかしてちゃんと残してもらいたいというのが私の意見です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。子どもの知る権利については、年齢ということも考える。それから、主体的に調べるという子どもの意思を尊重するということですね。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。記録の点で、前に林先生からございませんでしたっけ。記録の保存で調査に基づいて。
○林構成員 ちょっと考えさせてください。
○吉田(恒)座長 別の機会で結構です。急で申しわけありませんでした。
 それでは、その次の養子縁組成立前後の養親、子どもに対する支援についてというので、きょうもお話が出ましたけれども、養親に対する支援、また、里親会等とのつながりということもあろうかと思いますし、また、先ほどは支援のところもお話しいただきましたけれども、こちらの点について御意見をいただきたいと思いますので、お願いします。
 私のほうから若干気になるところがありまして、問題提起だけさせていただきます。民間機関の養子あっせんの法律の33条であっせん機関が縁組成立後に養子、養親、実父母を支援するため、その求めに応じ必要な情報の提供、助言その他援助を行うよう努めるものとするという条文になっています。ですので、こうした方々が民間機関に情報をください、また、援助をくださいということがなければ、これはしなくてもよろしいという制度になっておりますけれども、この検討会での支援の必要性というお話を今まで伺っていると、これはしなくていいとか、努めるというレベルでよろしいのかどうかというのが私の疑問なのです。ですので法律がこのようになっているときに、これを義務規定と言うわけにはいきませんので、その必要性がこの検討会の中で議論されているとするのであれば、こうした支援について何らかの形で政策上これがより適切に行えるようにする仕組みが必要ではないかと私は個人的に思っておりますので、この点も含めて御意見をいただければと思います。
 支援としてもいろいろな支援があるかと思いますし、また、今の岩崎先生のお話のように、子どもの年齢に応じて必要とされる支援の中身も変わってくるかと思いますけれども、いかがでしょうか。峯本先生、お願いします。
○峯本構成員 抽象的なことしか申し上げられないのですけれども、先ほど申し上げた社会的養護の中にある子どもの支援のシステムとして、特別養子縁組を位置づけていくという観点からいくと、少なくともその観点で言うと一定期間の例えば経済的な支援であるとか、これをずっと続けるかどうかは別にしても支援であるとか、当然のことながら試し行動や見て見て行動、いわゆる愛着障害上のさまざまな症状を抱えるのが一般的だ、それが普通のことだと思いますので、そこへの一定期間の子育て支援みたいなものをシステムとして提供できる形にしておく必要があるというのは、制度の趣旨から今回の拡充するという点で言うと必要なのかなと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 社会的養護、社会的養育として特別養子を捉えれば、当然そうした支援の網の目の中に入ってもらうことは必要ですので、例えば実親子の場合であれば、こんにちは赤ちゃん事業であったり、養育支援であったりというものが出てくるとすれば、今でもやっていると思いますけれども、それの漏れのないような仕組みをつくったり、あとは親の申し出がないということで切るのではなくて、申し出てもらえるようなつながりを持ち続けるようなものも、例えば里親会等の活用もここで考えてよろしいのではないかと思っております。
 ほかにございませんか。では、なければ支援に続きまして、今度は養子縁組の民間あっせん団体についてというところが論点として挙がっております。論点7です。養親候補者の情報共有、民間あっせん団体への支援の児童相談所相互、また、民間団体と児童相談所との間での情報共有、支援というものが必要ではないか。ただ、その場合の仕組みをどのような支援にしたらいいのか。また、民間団体に対する支援、具体的にどのようなものが必要なのかというところが論点として挙がっております。
 課題として支援のあり方、特に民間団体に対する支援として件数に応じた支援ということになると、縁組という方向性、縁組は成立させるというベクトルが働いてしまうという御意見もこれまで出ているところでありますけれども、民間団体について支援のあり方の御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岩崎構成員 うちは民間なのですが、やっていることは公的機関との協働ですので、民間団体としては非常に特殊な団体だと思っています。それでも人件費も含めた活動資金のほとんどをみずから集めた寄附金で成り立たせてきました。最近は委託事業として引き受けることが多くなりましたので、確かに多少の人件費とそれに伴う事務費に当たるものはいただけますけれども、でも職員たちをしっかりと働いてもらうために必要な給与、賞与等を保障できる金額をくれるわけではありませんから、あくまでも民間団体は民間独自の活動資金の調達を前提として、今のところ成り立っているということになります。
 今回の石井さんのお話の中にも、文章の中に出ていますけれども、ちゃんとした社会福祉司を職員に置いて、その給与を国が保障するような団体でなければ、安心して子どもの養子縁組の仕事をしてもらうわけにはいかないのではないかというふうにおっしゃっています。私も当然そうだろうと思いますけれども、そうすると要するに児童相談所が、国からの予算をちゃんともらって養子縁組部門を成立させることのほうがよっぽど安心ができるわけです。私たちは発足当時から児童相談所との連携でやっていて、なおかつ今まで大阪市も大阪府も我々に年間25ケースを委託して、一番たくさんもらっていたときで大阪市が委託費として年間150万、大阪府が補助金として80万円でしかありませんでした。それで人が雇えるわけではないので、少なくとも寄付金でそれを全部賄ってきました。
 特に例えば大阪府の知事が変わり、財政立て直しのためにその補助金も一切カットされましたし、ついこの間まで大阪府からは、愛の手に掲載を依頼されて探している我々の仕事に対しては全然お金が支払われていませんでした。ただ里親事業の支援団体として認可されましたので、その費用はもらっていましたけれども、里親を探すための費用は大阪府から支払われないまま今日に至っていて、今年度になって養子縁組事業の大半の委託を受けることになりましたので、今度はびっくりするような額を提示されて、これでどれだけ働かされるんだという状態に、正直なことを言うと私たちはなりました。
 それでも大阪府からいただく2人分相当の人件費でしかありませんから、それも賞与や社会保険の事業所負担は含まれていません。それに、必要な事務費が支払われているだけですが、そのためにいろいろな事業を組まなければならないという状態になっています。
 そうすると、あっせん法ができてこれから許可される団体、今既に二十数カ所、そして多分、法律が施行されるまでに雨後の竹の子とまでは言わないまでも、各県1、2団体ぐらい申し出てもおかしくない状況がある中で、その経費を国が全部保障するようなことはできないとすると、相当厳しく許可基準を決めないといけない。
 しかし、実際に実践をしている団体に対して条件を整備することを要求することはできても、そこを切り捨てることはなかなか出来ないのではないでしょうか。すでに委託されている子どもたちのアフターケアを考えても難しいことになりますので、民間団体への協働と支援と簡単にいつもおっしゃるのですけれども、その中身をどのように皆さんが考えてくださっているのかというところのほうが、私はとても不安なのです。
 国も民間、民間とおっしゃいますけれども、その民間が活動するために必要な経費を全部見てくださるのだったら国でもできるではないかというふうに思いますし、そうでなければ我々の独自性で行こうと思えば、独自の資金源を得ながら、それが今、ほとんどの団体が育てる人の側から徴収するという形をとっている。うちは一切、育てる側からは研修費しかとりませんので、もちろん会員になってくださいという呼びかけはしますし、養子縁組成立後にたまに寄付を戴くことが無いわけではありませんがそれで成り立つほどの多大な金額が寄付していただけるわけではありません。多くの毎日新聞の読者や市民、府民の方からの貧者の一灯的な金額による寄附金が、かろうじて私たちの大きな資金源になっているという中で、だからこそある意味ではみずからの発想で、みずからの考えで事業をやっていけるということなのかもしれないと思っています。
 そこの兼ね合いを本当に民間と国との協働の中で、やっていけるのか?給与だけが保障されたとしても、では事務所の維持費や件数が多くなればなるほど人も経費も必要になってくる中で、その経費をやっぱり全部子どもをもらいたい人から徴収することになるだろうと思います。どのようなことになるのだろうと心配しながら動きを見させていただいているというのが正直なところです。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 藤林先生、お願いします。
○藤林構成員 児童相談所の立場で今の岩崎構成員の意見に少しコメントをつけたいと思います。この検討会で年齢制限の上限を上げていくとか、いろいろな虐待を受けた子どもさんであっても、同意がない場合であっても法的永続性を保障していくことを考えていきますと、現在の乳児さん中心の特別養子縁組ではなくて、もっといろいろな子どもさん、トラウマを持った子どもさんもいらっしゃれば、障害を持った子どもさんもいらっしゃる、発達障害を持った子どもさんもいらっしゃる、年齢の高い子どもさんもいらっしゃる。
 そうすると、現在の児童相談所の行っている養子縁組に関する取り組みであるとか、また、その縁組後の支援であるとか、岩崎先生が先ほど言われた、十分な経験と専門性を持って子どもが青年期を迎えたときに、どれだけしっかりとしたことが言えるのかということを考えると、児童相談所だから決して安心とは私は思えないのです。職員の専門性、または経験、1人の児童福祉司なり児童心理司の勤務期間のスパンなんかを考えますと、児童相談所がこういった多様なニードを持った養親さん、養子さんに本当に成立前から、そして、成立後から長きにわたってしっかりとした支援ができるのかということを考えますと、できるところもあるかもしれないけれども、できないところも多いのではないかということも考えます。
 そう考えると、本当に専門性や経験を兼ね備えた、十分なソーシャルワーカーを確保された民間あっせん機関があれば、児童相談所以上のリクルートなり研修なり支援、または真実告知のプロセスを丁寧に行っていくことも可能ではないかと思うのです。それを、児童相談所を上回るものをするためには、一定のコストをかけなければ、これでは広がっていかないのではないか。あらためて、大阪の家庭養護促進協会の補助金の少なさはびっくりするわけです。本当に質の高い支援が全国どこでも受けられるようになることを考えますと、十分なあっせん団体に対するコストをかけていくという方向性を考えていくべきではないかと思います。
 以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 それだけの質と量も全国ということであれば必要になってくるかと思います。
 ほかに民間団体支援はいかがでしょうか。上鹿渡先生、どうぞ。
○上鹿渡構成員 今の民間団体支援の話とも関連して、養子縁組成立前後の支援をどのように確立していくのかがやはり非常に重要な課題で、特に赤ちゃんだけではなくてもう少し年長の子どもの養子縁組が新たな社会的養育が推進される中で増えていくとするともう少しこの支援に関する議論を深める必要も出てくると思います。
 英国での養子縁組支援に関する具体的内容について、新たな社会的養育の在り方に関する検討会ですでに提出した資料があります。イギリスの養子縁組支援、養子縁組後だけではなくてその前からも取り組まれていたりするのですが、PAC−UKという英国でもモデルとされているような養子縁組支援機関があります。その取り組みを調査した報告書を次回提出させていただき、養子縁組支援として誰のために何が必要になるかなど具体的に共有し、今後の議論に生かすことができればと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。次回ぜひよろしくお願いいたします。
 あっせん団体支援について、またその業務について論点で挙がっております情報共有の仕組みというのも、ひとつあっせん団体への支援、連携の強化につながってくると思います。この点、ほかにございますか。
 先ほどの養親さん、養子さんの支援の話とつながってくるのですけれども、今回の特別養子制度の見直しは、生まれた直後の子どもではなくて、被虐待児も対象だと。今の里親制度であれば、難しいお子さんに関しては専門里親という制度を設けておりますけれども、当然それと同じような発想で特別養子も考えなければいけないとすると、専門特別養親と言うのですかね。それくらいのレベルの高い特別養親の資質というのも求められてしまうのだろうか。とすると、そこでの研修なり支援なりは相当濃厚なもの、レベルの高いものが必要になってくるとすれば、やはりあっせん団体が研修を行うのであれば、それなりの経済的な基盤がなければその事業は行えないだろうと思います。
 あと、民間の施設、社会福祉制度の改革の中で言われましたけれども、そうした民間の力を使うときに競争という言葉を使いますが、とすると今回はあっせん団体相互の競争ということも視野に入っているのだろうか。要はいいあっせんをすれば、その団体には寄附が集まる、補助金が集まるという考え方でこの仕組みを考えてよろしいのか、それとも質のほうを重視して、認可のところでブレーキをかけるべきなのかというものも論点として残っていると思うのです。というので、これは単にお金をどうするかだけでの話ではなくて、社会的養護、社会的養育全体に影響する大きな課題だと私は思っております。
 個人的な意見で申しわけございません。
 そろそろ終わりの時間が近づいてきましたけれども、きょうの成立要件以下の論点だけではなくて、全体に関してきょうここで言っておきたいという御意見がございましたらこの時間でお願いしたいと思いますけれども、林先生、お願いします。
○林構成員 議論の進め方なのですけれども、各論的にこのように課題ごとにやっていくことも必要かと思いますが、(5)〜(7)あたりというのは前々から申し上げてきたことですが、ある程度の一元体制という中で議論すべき内容かなと認識しています。
 (1)は養子縁組全体についてと書いてあるところに本来的にはそういうものを入れ込んで、もう少し共通基盤、現在ここに書かれていることはどちらかというと理念的なことです。そうではなくて横断的な体制をどのように整えるかという議論の上で、この各論的なものが成り立つと思うので、一元体制がどれぐらいのレベルで可能かということも含めて議論する必要があるかなと思うのです。
○吉田(恒)座長 規定で言うと総則に当たるような部分なのでしょうか。そういうイメージとは違うのですか。
○林構成員 記録のところで言うと、各施設あるいは機関の記録というレベルでは、ある程度の一元化が必要だ。成立後の支援なんかも含めて、ある程度一元体制という中で考えていくということも必要かと思います。
○吉田(恒)座長 一元というのは確認ですけれども、どういう意味での一元ですか。
○林構成員 国レベルである程度その記録の保存なんかを含めて考えるのか、私はそれを理想としながら段階的に考えまず中央児相レベルでという案を出しているわけです。
○吉田(恒)座長 わかりました。
 それでは、今、林先生からいただいた御意見を少し論点の形で整理していただいて、次回お出しくださいますよう事務局のほうで御検討ください。お願いいたします。
 あとはよろしいでしょうか。ではゲストの石井さん、お願いします。
○石井敦氏 構成員ではない中での発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。いろいろと御議論を伺いまして大変勉強になりました。具体的には里親会の役員でもございますので、気づいたことを端的に2点お話させていただきたいと思います。
 申し立てについての御議論がございましたが、養子縁組を希望する里親ということで認定を受けた里親が、「養子縁組を前提としたお子様がいらっしゃいますよ」ということで面会が始まり、この子を引き受けようかどうしようか真剣に悩む中で、なぜ実親との縁を切ることまで申し立てをせねばならないのか。私たちがこの子のために養育者として適切かどうかの判断だけをしてもらいたいというのが、里親の率直な意見だと思っております。
 2点目は支援についてですが、例えばこれは養子縁組希望に限らずですが、里親はお話があって施設に面会に行きますが、多いところでは40回、50回とやはり不調があってはならないという慎重な児相側の判断もありますが、1回当たり4,000円も交通費をかけて50回も面会に行く里親もおります。施設の職員あるいは児相の職員は公務であり、出張ですが、もし社会的養育にかかわるコストということで考えるのであれば、里親が面会に行く費用等についても、やはりこれは公費で負担をしていくべきと考えます。
 一方で、特別養子縁組を私的な養育の側面のみで希望される方もいらっしゃいますが、社会的養育としての支援を受ける方に対しては何らかの報告書を提出する、家庭訪問を受ける、その後の養育がどうなのかということに対して継続的に評価を受ける、子どものために研修を受けて学びを続ける、といったミッションにも応える。それに応じることを前提に養親に対する支援をしていくべきだということを、本日のお話を伺って改めて痛感いたしました。
 以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 では金子先生、最後にお願いします。
○金子構成員 今のお話の後に大変恐縮なのですけれども、この2回いろいろあって欠席しまして、必ずしも議論についていけていないところもあるのですが、果たして社会的養護という視点から特別養子を考えるというときに、そもそも特別養子という枠組みにこだわる必要はあるのかが、私にはよくわかりません。
 特別養子制度はもともと菊田医師事件というものがあって、それの対応でできたということですが、あれは一方で出産したことを隠したいという親がいて、他方で子どもができなくて自分の子として戸籍に載せたいという親の意向があって、それがマッチして、ということでそういう事件があったわけですけれども、私は、そういう事例との関係では現行の特別養子制度というのはそれなりに合理的な制度ではないかと思っています。
しかし、社会的養護という文脈で考えたときにはどうか。先ほど峯本構成員から、特別養子の手続の2段階の極端なパターンとして、親権喪失プラス後見人の選定という枠組みがあるというご発言がありました。
 このモデルで考えてみた場合に、普通は、親権喪失させてから後見人を誰にするか探すということなのかなと思うのですけれども、そうではなくて、後見人を誰にするかが、親権喪失させる前からある程度、目星がついている。そういう方向から、社会的養護としての特別養子制度、といってもそれはもう養子制度ではなくてもいいというのが私のとらえ方ですが、それをとらえる、という視点があってもいいのではないかと何となく思っております。専門委員会のほうで特別養子制度を直せと言っているから、特別養子制度でやるんだということで、土俵の設定が予め決められているからしようがないんだということかもしれませんけれども、しかし結局、養親に相当する人が親権を排他的に行使できる枠組みが作れればいいわけで、それが親子関係を作りだすことを伴っている必要は余りないのではないかというのが率直に言って思うところです。
 どちらにしても親権制度に踏み込むことになるので、そうであれば結局、法務省を通さなければいけないわけですので、この場では思いっきり理想的な制度を論じてみたほうがいいのではないか。そのほうが生産的ではないかと個人的には思うところがあります。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 全体の議論の仕方、論点の組み立て方について最後、御意見をお二方からいただきました。ありがとうございます。
 それでは、予定の時間になりましたので、次回の開催等を含めて事務局から御案内をお願いいたします。
○林補佐 次回日程につきましては、2月13日、15時から17時を予定しております。ヒアリングと引き続き特別養子縁組に関してさらに深めた御議論をお願いしたいと考えております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 それでは、以上をもちましてきょうの検討会を閉じたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

(了)

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