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2017年2月20日 第11回 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会

○日時

平成29年2月20日(月)18時00分~20時00分


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○議題

1.参考人からのヒアリング
2.構成員によるプレゼンテーション
3.自由討議

○議事

(議事概要)

・ 参考人から発表後、構成員から質疑応答を含め自由に発言。

・ 構成員から発表後、とりまとめに向け議論を深めるべき論点について自由討議。

(主な発言概要は以下のとおり)

 

1.地域が主導して、医療・介護と生活を支える

【地域主体の医療の確保】

○ 我が国の医療は国民が支払う保険料と税金で賄われていることから、医師はプロフェッショナルとして医師不足地域での勤務に一定程度貢献することが求められる。その際、若い医師のキャリアや意向を尊重し、彼らがインセンティブを持てるような仕組みが重要で、その議論には若い医師自身が参加することが必要。

○ 医師の地域偏在の是正については、都道府県が主体として取り組むことを基本としつつ、既存のリソースに差があることから、都道府県を越えた全国的な是正の枠組みを設けることが必要。

○ 医師の地域偏在の是正策として、保険医登録の仕組みを活用し、保険診療を行う医療機関の責任者となるための要件として医師不足地域への勤務を課すこととしてはどうか。

○ 医師を強制的に地域に送る仕組みは、医師の自律性に反しており、また、医療提供者側の意見である。地域住民の意見やニーズを踏まえつつ、やる気のある医師が長期間定着してくれる方が望ましい。

○ 若い医師の中には、地域で勤務することについて、勤務の仕組みや支援体制、期待される役割が事前に理解できれば、一定期間地域で働いてもよいと考える者が数多くいることから、何が障壁となっているのか議論することが重要。医師の地域での勤務には、疲弊しないシステム、十分な研修や支援体制の整備、適切なマッチングが必要。

○ 医療機関の責任者となるための要件については、施設を運営するためにどのような能力・経験が必要なのか、その要件が合理的に説明可能かを検討すべき。

○ 病院経営のために必要のない医療が提供される場合もあることから、地域において医療が公平に提供されるためには、患者の視点と医療提供者の視点を分けて考えることが重要。

○ 医師の地域偏在の是正策として、地域と医師が適切にマッチングする仕組みと、そのために地域がその魅力を医師に伝えるためのプロモーションが重要。

○ 今までの医師の地域偏在是正策の効果について、検証していくことが必要。

○ 都市部から指導医を含めた複数の医師が一定期間地方での診療や教育に従事し、地方の医師がさらに医師の少ない地域に行く、といった仕組みがあれば、地方の医師や地域住民が恩恵を受けることができる。

 

【プライマリ・ケアの確立】

○ 医師の地域偏在の是正のためには、強制的な手法を検討する前に、プライマリ・ケア領域の強化といった他の仕組みを検討すべき。

 

【柔軟なタスクシフティング、タスクシェアリング】

○ 医療従事者、介護従事者間のタスクシフティングについては、地域ごとに現場の従事者が話し合い、納得できる形で枠組みを検討することが重要。

○ タスクシフティングを行うに当たり、その根元となる介護職員が不足しないことが重要。

○ 医療的ケアについては、次第にタスクシフティングを図っているが、実際には、ニーズがあるのか、どのようにニーズが決まっているのか、などはちゃんと精査する必要があるのではないか。

 

【住民・患者の医療・介護への積極的な参画】

○ スマートフォンのアプリを活用することで、救急車の適正利用など患者のセルフケアが向上する。

○ 介護職員の判断・知識に頼らず要介護者の評価が可能なツールは、要介護者や住民のセルフマネジメントにも活用可能。

 

【医療・介護の一体的提供】

○ 介護を必要とする人と最も多く顔を合わせているのは介護職員であるため、介護職員が実施可能な医療ケアの範囲の拡大や、介護職員による要介護者の健康管理の推進が重要。

○ 介護職員による喀痰吸引などの医行為は、研修先が不足している、人員に余裕がなく職員を研修に出せない、介護報酬で直接評価されず大きなメリットがないことから、十分普及していない。また、医師や看護師からの権限委譲が進んでいないことも問題。

○ 介護職員による要介護者の健康管理は、介護職員のアセスメント能力や医療知識の不足が原因で進んでいないことから、主任クラスの介護職員に対して医療知識に関する研修の受講を義務付ける、介護職員の判断・知識に頼らずとも要介護者の評価が可能なツールを作る、介護職員から主治医への情報提供を行った場合に介護報酬上の評価を行うことが重要。

○ 介護職員と看護師の基礎教育課程を共通化し、介護職員も健康管理を学習し、また、医療者が介護職員をバックアップする体制を整えることで、介護職員がより積極的に看取りに関わることが可能。

○ 介護職員による医療ケアが普及していない理由として、住民のニーズという観点から評価することが必要。また、医療と介護とを統合したサービスがなぜ普及していないのかについても分析が必要。

 

2.個人の能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方を実現する

【専門性の追求】

○ 医療・介護分野で次々に出現する新しい知見や技術を研修のみで学習することは限界があるため、事例によって効果的に学び続ける仕組みが重要。

 

【人材マネジメントシステムの確立】

○ 都道府県の事務職員は、数年ごとの人事サイクルで部署が変わるため、保健医療分野の専門知識を有する職員が非常に限られており、全ての業務を達成することが困難な状況である。

○ 厚生労働省が都道府県向けにマニュアルやガイドラインを作成することで、都道府県は対応が容易となるが、それらに頼りすぎると自分で考えられる人材の育成が困難となる。

○ 医療分野において都道府県への権限委譲や事務の移行が進んでいること、地域包括ケアシステムなど市町村が中心となる仕組みを県がサポートする必要があることから、都道府県職員の専門性の向上が重要。

○ 都道府県における公衆衛生医師の確保は困難。その原因として、公衆衛生医師の業務内容が知られていないことと、入職後どのようにキャリアアップできるのかわからないことがあることから、ウェブサイトにおける情報の充実化や育成方針の策定などの対応が重要。

○ 都道府県職員の人材育成のために、人材育成計画を作成し進捗をチェックする仕組みや、専門性向上のため若手職員や高齢職員が専門分野を選択できる制度などが重要。

○ 都道府県の業務が円滑に進むためには、中央官庁が地方行政の業務の仕組みを理解した上で業務の依頼や連絡を行うことが重要。

○ 都道府県における公衆衛生医師や保健師の確保のための全国的な宣伝を実施や社会医学系専門医制度の活用、事務系の能力向上のための地方での保健医療分野職員向け研修会の実施、結婚や出産などで退職した潜在保健師の掘り起こしや実態調査、職員の働き方の柔軟な見直しが重要。

○ 医師や看護師の養成過程において公衆衛生分野の魅力を伝えられるロールモデルが必要。

○ 公衆衛生分野で活躍する医師や看護師のキャリアパスについて、医師会を含む関係者がいる場で検討する仕組みが必要。

○ 公衆衛生分野での経験は、病院や地域のマネジメントにとって重要。

○ 医療においては、投入量による評価から結果と質による評価、統制と職業倫理による主導体制から自律的で主体的なルール作り、単能工中心の提供体制から多能工の必要性の増大などのパラダイムシフトが起こりつつある。

○ マネジメントの視点からは、医療の需要は患者ごとに画一的でない多品種少量発生モデルであり多能工が求められる一方、医療の供給は専門特化した少品種多量モデルであり単能工が提供の基本システムとなっている。

○ マネジメントとは、集団が効率的に目的を達成するため、人を活かして「個の総和」から「集の相乗」へと転換するツールである。また、マネジメントは、経営4資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を対象とする技術であり、誰でも学習することが可能。

○ 過重労働等の問題がある医療現場は未成熟であり、場の整備がないままに働き方改革は困難であるが、経営者に投資余力や投資意思がないため場の整備のための投資が十分行われていない。

○ 医療機関の勤務環境改善については、新たに制度を作るのではなく、既存の取組みを改善することが効率的。勤務環境改善マネジメントシステムについては、生き生き働く医療機関サポート Web の活用実態の調査や組織マネジメントが芳しくない医療機関への介入の検討、医療勤務環境改善支援センターについては、支援による効果検証や相談内容の分析によるニーズ発掘、支援側の評価が重要。

○ 経営者が雇用の質に対して投資に踏み切れるよう、雇用の質が高いと経営の質が向上する、というエビデンスを示すことが重要。

○ 経営指標の調査において、労務管理と経営の質の関係性についての情報も収集すべき。

○ 病院経営管理者の要件に、最低限の労務管理や人材マネジメントに関する知識を課すべき。

○ 医療機関のマネジメントにおいては、勤務環境に対する長期的な投資を行いにくい環境にあることから、労務管理や人材マネジメントに関しての「働き方優良病院」を第三者機構が評価するとともに、認定取得による制度上のメリットを与えるような枠組みが重要。

○ 多職種の連携や調整に優れ、医療・看護・介護の現場に限らず、行政・公衆衛生・経営等の幅広い分野に通じ、人材マネジメントに関する知識を習得する総合的な資格を創設し、都道府県で「医療補佐官(仮称)」として活躍できるように検討すべき。

○ 地域主体の医師確保においては、地域の魅力を伝えて医師を集めるマーケティングの発想が必要であり、「医療補佐官(仮称)」によるアドバイスが有用。

○ 地域における医師確保においては、対象となる若い医師の行動論を踏まえた戦略を練ることが必要。

○ 医療機関や福祉施設におけるマネジメントを見直すことで、今現場にいる人材や現場から離れた潜在的な人材を活かすことが重要。

○ 介護サービス事業所においても、職員の処遇改善の取組みを評価・認定し、認定取得による制度上のメリットを与えるような枠組みが重要。

 

3.高い生産性と付加価値を生み出す

【AI、ビッグデータ等の新たな情報技術の活用】

○ 医師それぞれにアカウントを配布することができれば、現場の医師に対して情報技術による支援が可能となる。

○ 臨床現場で診断困難症例に遭遇した際に、人工知能を活用した診断支援等により医師の負担を減らすことができる。さらに、こうした取組みにより、医療用の情報システムの水準が向上する。

○ 診断支援のAIといった医療の情報技術は、社会基盤として国が情報を集積し、全ての医師に提供されるべき。

○ 診断支援のAIについてのプラットフォームを作り、企業や研究者が自由に競争できる環境を社会基盤として整えると、より性能が高いシステムが開発されることとなり、このシステムは医療以外の分野にも転用可能となる。

○ 医療用ソフトウェアの品質を確保するための薬機法の規制が厳しすぎるため、中小企業の研究が阻害されている。


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