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2016年11月29日 第17回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成28年11月29日(火)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)


○出席者

公益代表委員

宮本分科会長、岩本委員、小野委員、権丈委員、高木委員、八野委員

労働者代表委員

安藤委員、春日部委員、袈裟丸委員、須田委員代理、花井委員

使用者代表委員

井上委員、加藤委員、竹本委員、成島委員、布山委員

(事務局)

藤澤大臣官房審議官(労災、賃金担当)、平嶋勤労者生活課長、小林勤労者生活課長補佐、角南勤労者生活課長補佐

○議題

(1)財形制度をめぐる状況について
(2)当面の課題及び対策について

○議事

○宮本分科会長 それでは、定刻より少し早いですが、皆さん、おそろいですので、ただいまから第17回労働政策審議会勤労者生活分科会を始めさせていただきます。まず、前回分科会以降委員の交代と、本日の欠席状況について事務局から報告をお願いします。
○角南勤労者生活課長補佐 勤労者生活課長補佐の角南でございます。よろしくお願いいたします。座って御報告をさせていただきます。
 まず、委員の交代について御報告いたします。大塚敏夫委員の後任として、労働者福祉中央協議会事務局長の花井圭子委員が就任しておられます。大長俊介委員の後任として、全国生命保険労働組合連合会中央書記長の宮本進平委員が就任しておられます。山本昭二委員の後任として、日本ゴム産業労働組合連合中央執行委員長の春日部美則委員が就任しておられます。三原隆正委員の後任として、三菱電機株式会社人事部労政福祉グループマネージャーの竹本俊之委員が就任しておられます。なお、11月に御就任された委員については、大変恐縮ですが、お手元に辞令を置かせていただきました。よろしくお願いいたします。
 続いて、本日の出欠状況についてです。柴田委員、内藤委員、須田委員、宮本委員、上原委員が御欠席です。労働政策審議会令第9条の規定による定足数、全委員の2/3以上又は公労使委員の各1/3以上を満たしておりますことを御報告いたします。
 また、本日は日本労働組合総連合会総合労働局総合局長の須田孝委員の代理として、日本労働組合総連合会労働条件・中小労働対策局次長の久保啓子様に御出席いただいております。
○宮本分科会長 続いて、事務局にも人事異動がありますので、紹介をお願いします。
○角南勤労者生活課長補佐 それでは、事務局の御紹介をいたします。大臣官房審議官(賃金、労災担当)の藤澤です。藤澤より御挨拶を申し上げます。
○藤澤大臣官房審議官 担当の審議官の藤澤と申します。労政審の勤労者生活分科会の事務局の代表としまして、一言御挨拶申し上げたいと思います。
 今日は委員の皆様、大変お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。勤労者生活分科会は、勤労者財産形成促進制度について御審議を頂いてきております。今回、新たに委員に御就任いただいた方もおられますけれども、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 日銀のマイナス金利政策などによって、超低金利が続いているということです。一方、金融商品は多様化して、国民が資産を形成するための選択肢も広がってきているという状況ではなかろうかと思います。そういった中で、勤労者の自助努力を事業主や国が支援をして、それで計画的な財産形成を促進する勤労者財産形成促進制度は引き続き重要であると考えております。
 今日の分科会においては、財形制度をめぐる状況と、従前よりこの分科会でいろいろ御議論、御指摘を頂いておりますが、中小企業や若年労働者、あるいは非正規雇用労働者に対する我々の取組状況、また今後の対策について報告を申し上げたいと思います。委員の皆様から、是非、忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。今後とも、勤労者財産形成促進制度が一層、勤労者の生活の安定、向上に役立つものとなりますように、厚生労働省としても努力をしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本分科会長 ありがとうございます。
○角南勤労者生活課長補佐 引き続き事務局の御紹介を申し上げます。労働基準局勤労者生活課長の平嶋です。
○平嶋勤労者生活課長 平嶋です。どうぞよろしくお願いいたします。
○角南勤労者生活課長補佐 勤労者生活課勤労者福祉事業室長の田中です。
○田中勤労福祉事業室長 田中でございます。よろしくお願い申し上げます。
○角南勤労者生活課長補佐 勤労者生活課長補佐の小林です。
○小林勤労者生活課長補佐 小林です。よろしくお願いいたします。
○角南勤労者生活課長補佐 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○宮本分科会長 ありがとうございました。それでは、早速ですが、次第に沿いまして議事を進めてまいります。
 本日の議題は2つ用意されています。1つ目は「財産制度をめぐる状況」についてです。2つ目は「当面の課題及び対策」についてです。それでは、議題1「財形制度をめぐる状況」について、事務局から説明をいただきます。
○平嶋勤労者生活課長 それでは、資料2を御覧ください。次ページに目次があります。はじめに制度の概要について簡単に御紹介した後、まず勤労者の貯蓄と財形貯蓄の状況、次に持家取得と財形持家融資の状況、最後に金融機関と中小企業ヒアリング結果、それを踏まえた課題について御説明いたします。
 財形制度は主に「財形貯蓄制度」と「財形持家融資制度」から成り立っています。資料1ページ目が概要になります。財形貯蓄制度は右の図にありますように、勤労者が会社を通じて給与等の天引きにより積み立てていく点に特徴がありますが、左側にあるように、使い道を限定しない一般財形貯蓄、60歳以降の年金支払を目的とする財形年金貯蓄、住宅の取得や増改築等を目的とする財形住宅貯蓄の3つの貯蓄があります。このうち財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄については、合わせて550万円までが利子等非課税となっています。
 2ページ、「財形持家融資制度の概要」です。財形持家制度は財形貯蓄を行っている勤労者のための住宅ローンです。各財形貯蓄取扱機関にある財形貯蓄残高を原資として融資を行っており、還元融資の仕組みをとっています。
 ローン融資限度額は、財形貯蓄残高の10倍以内で最高4,000万円。最長、35年間の返済期間を設定できます。また、貸付金利は5年固定となっており、平成28年10月現在の金利は0.62%となっています。
 3ページ、国民全体の金融資産の状況についてまとめております。左側の円グラフは日銀の統計から保有資産の内訳を示したものですが、様々な金融資産がある中で、現金・預金が過半数を占めています。右は勤労者以外も含めて、2人以上の世帯における金融資産の保有額の推移を見たもので、折れ線グラフはたくさんある金融資産のうち預貯金と生命保険のみ掲載しています。「預貯金の占める率」は近年の金融商品の多様化の中でも、やはり50%を超える水準を維持しています。国民の貯蓄志向は依然として高いものと考えられます。
 4ページ、2人以上世帯における「世帯主の職業別・貯蓄額現在高の推移」を見ております。一番下の黒丸の実線が勤労者世帯ですが、1つ上の個人営業の世帯主や、その上の勤労者以外の世帯平均と比べると、勤労者世帯の貯蓄額は低い水準にあります。ただし、年齢層が勤労者以外の世帯が高いということについては留意が必要です。
 5ページ、左のグラフは先ほどの4ページの貯蓄額から負債額を差し引いた「純貯蓄額の推移」を見たものです。勤労者世帯の純貯蓄額は、近年ほぼ横ばいで、依然、勤労者以外の世帯とは開きがあります。
 右のグラフは、2人以上の勤労者世帯の家計における1ヶ月の実収入と、可処分所得の推移を見たものです。実収入から非消費支出を差し引いたものが可処分所得ですが、これについても、近年、横ばいとなっています。勤労者世帯の家計にとって、貯蓄に向けた環境には近年、大きな変化がないことがうかがわれます。
 6ページ、「企業規模別に給与水準と貯蓄額」を見たものです。左のグラフのとおり、企業規模が小さいほど給与額は少なく、同時に右のグラフのとおり、貯蓄額も少ないという状況です。勤め先の企業規模が小さいほど、勤労者の貯蓄額を取り巻く環境は厳しいということです。
 7ページ、左のグラフは「非正規雇用者の男女別の推移」を見たものです。非正規雇用者の数が男女ともに増加、また、全体での割合も増加しています。右の表は「就業形態別、男女別の労働者割合」を示したものですが、男女ともに正社員以外では、パートタイム労働者の割合が高く、女性では正社員を含めた全労働者の約4割、男性でも1割となっています。
 8ページ、左のグラフは「雇用形態別」の平成26年9月の賃金を示したもので、パートタイム労働者や臨時労働者の賃金額は相対的に少なく、貯蓄余力は低いと考えられます。また右の表にあるように、正社員以外の労働者が、自身の収入で家計を賄うケースは約5割となっています。
 9ページからは「財形貯蓄制度をめぐる状況」についてです。各財形貯蓄の契約件数と貯蓄残高を載せています。契約件数は3財形ともに減少、貯蓄残高は一般財形が増加、年金、住宅の非課税財形が減少する傾向が続いています。この減少の要因には金融商品の多様化、あるいは長期間にわたる低金利情勢によって、財形貯蓄の有利性が薄れ、認知度が低下しているということが考えられます。
 この点を「就労条件総合調査」の経年変化から、財形制度の導入割合と利用割合の推移について明らかにしたものが10ページのグラフになります。左のグラフは、財形貯蓄制度の導入企業の割合を示したものですが、15年間で3分の2に減少しています。右上のグラフは、その導入割合の推移について企業規模別に示したもので、右下のグラフは、財形制度導入企業における一般財形貯蓄を行っている常用労働者の割合の経年変化を示したものです。企業規模が小さいほど制度導入割合及び制度利用割合がともに低く、また減少幅も大きい傾向が見られます。また1,000人以上の大企業においても、財形利用労働者割合が31.7%まで低下していることが分かります。
 11ページ、左のグラフは正社員及び正社員以外の種別ごとの財形制度の適用割合を示したものです。正社員の適用率について、調査対象が5名以上ですので、前のページよりも低くなっています。正社員の適用率に近い嘱託、出向といった就業形態もあれば、パートタイム、臨時雇用では著しく低くなっています。
 右のグラフは、労働金庫における一般財形貯蓄の契約件数について、年齢階層ごとに過去3か年の推移を示したものです。折れ線グラフは、その契約件数を年齢、階層ごとの雇用者数で割って、雇用者1万人当たりの財形貯蓄契約件数として表したものです。この件数は、定年近くの60歳に近付くほど、高いということが分かります。すなわち、若年層の利用促進が全体の利用率の底上げに大きく影響すると考えられます。
 12ページ、「勤労者の持家をめぐる状況」についてです。左のグラフの「勤労者世帯の持家率」について見ると、年々上昇してきてはいますが、依然として自営業主世帯とは少なからず開きがある状況です。右は持家のない2人以上の世帯に、10年以内の持家取得予定を尋ねたものです。
 20歳代世帯は全体の8割が持家を持っていないということですが、そのうち5割の世帯が持家取得を予定しています。また30代では約5割が持家ではないということですが、そのうち4割の世帯が持家取得を予定していると回答しています。
 13ページ、「住宅ローンの新規貸出額」は平成7年をピークに徐々に減少し、近年は20兆円前後でほぼ横ばいとなっています。
 14ページ、「財形持家融資制度をめぐる状況」です。平成2年と平成15年にピークがありますが、それ以降は漸減していまして、平成27年度貸付決定額は129億円となっています。15ページ、折れ線グラフが住宅ローン全体に占める財形持家転貸融資の割合を示しています。平成27年度の貸付決定額のシェアは0.06%となっています。平成15年度のピーク時の1.98%から大きく低下しています。
 16ページ、財形持家転貸融資の最近の貸付状況を少し細かく見たものです。棒グラフは、4半期ごとの貸付決定件数を示していますが、左下の表にあるとおり、毎年4月、7月、10月、1月に貸付金利の改定を行っています。金利の上下や消費税率変更などが比較的敏感に影響しているということが読み取れます。貸付金利については民間住宅ローン金利と同様、年々低下しています。
 以上、勤労者の貯蓄及び持家の状況をまとめたのが17ページです。貯蓄に関しては、勤労者以外の世帯との貯蓄額の格差が依然ありまして、企業規模によって貯蓄水準が異なっています。また、賃金水準の低い非正規労働者の増加という背景もあります。財形貯蓄制度に関しては、件数、残高の長期的な減少傾向が続いています。減少の要因として、企業、とりわけ中小企業の制度導入率の低下と勤労者による利用率の低下があります。加えて、非正規労働者の適用率の低さや、若年層の低調な利用率が着目すべきものとなっています。
 一方、勤労者の持家に関しては、自営業主との持家取得率の格差があること、ただし、持家のない20代・30代の今後10年以内の持家取得予定の割合は4割~5割に達し、概して高くなっています。財形持家融資については、融資実績は中・長期的に減少傾向が続き、低金利状況の継続、多様化する民間住宅ローンなどの影響を受けているものと考えられます。
 次に財形制度の現状を把握するため、昨年12月以降に幾つかの金融機関や財形貯蓄制度の導入・非導入企業にヒアリング調査を行った結果について示しています。18ページ、金融機関へのヒアリング結果を記載しています。財形制度のある企業で、申込み窓口を開設して、利用勧奨したり、資産形成セミナーを行ったりしているケースがある一方、システム維持のコストで精一杯といった意見や、低金利下で非課税メリットが言えない、ほかの金融商品の販売に注力しがちといった意見から、導入勧奨には積極的でないこともあることが分かります。また導入対象企業の規模によって、コスト面等から対応が異ならざるを得ないこともあることから、中小企業にとっては導入時に金融機関の協力が十分得られないおそれがあることも推測されます。
 19ページ、中小企業に対する制度導入に関するヒアリング結果です。「制度導入に至らなかった企業5社」の全てから、「事務手続きが負担と感じる」という理由から導入を見送ったという回答がありました。一方で、「10年以内に制度導入した企業」へのヒアリングでは、「金融機関の説明に沿って対応するだけで、従業員への対応も金融機関が行ってくれたため導入時の負担は感じなかった」、「毎月の事務負担もほとんどない」との回答がありました。両者では負担感の違いが顕著に認められますので、金融機関の協力姿勢、適切なPRが制度導入の鍵であろうかと思われます。
 20ページ、非正規労働者に関するヒアリング結果です。金融機関に聞いたところ、「非正規労働者まで対象として加入を勧めるケースはない」こと。また、「制度導入当時、非正規労働者は少なく、そのまま規程を改定せず除外された形になってしまっているのではないか」といった意見もありました。
 近年、制度導入した中小企業にヒアリングしたところ、「非正規労働者が財形貯蓄をできることは初めて知った」とのことでした。このうち1社については、その後金融機関の協力を得て、非正規労働者を対象に加えたとの連絡があったため、再度ヒアリングを行っております。企業からは、「福利厚生面で他社と差別化でき求人に有利」、加入者からは、貯蓄の目標など、将来設計に関する肯定的な意見が聞かれました。
 21ページ、いくつかの観点から金融機関や企業に聞いたものです。金融機関から若年労働者に関して、「社内で先輩が新入社員に勧めることが難しくなった」ことや、「転職が増えたことから、制度を利用しづらくなっているのではないか」といった意見がありました。
 財形貯蓄に関して、金融機関からは自社内や企業内で、制度対応を十分にできる者の減少による体制上の問題の指摘がありました。また中小企業からは、非課税財形に関する手続き簡略化などの要望がありました。財形住宅の使い勝手の悪さについては、関係団体からも税制改正要望という形でいただいているところです。現在、増改築工事の払出しの要件については、住宅ローン控除との並びを取って実施しておりますが、今後、その要件についてはニーズを調査してまいりたいと思っております。
 また資料から逸れますが、関係団体からの要望という点で申し上げると、非課税財形の契約年齢が55歳未満であるという点について、雇用期間が長期化している現在において、加入年齢を引き上げたらどうかといった御指摘を頂いております。これは昨年度の分科会でも御指摘いただいている内容です。こちらについては現在、ニーズ調査を行っているところです。21ページの一番下のヒアリング内容に戻りますが、財形持家融資について尋ねたところ、金融機関では「制度のパンフレット掲載のみが対象であること」、中小企業では「制度について初めて聞いた」との意見でした。
 財形制度をめぐる状況をまとめたのが22ページの枠です。財形貯蓄の利用が低下傾向で、認知度も減少していますが、これは以前に比べて、国の周知機会の減少のほか、金融機関や企業などでの導入・利用勧奨の機会が減っていることも一因ではないかと考えます。特に中小企業の制度導入においては、金融機関の役割が大きいわけですが、全ての金融機関が懇切丁寧に対応できる状況にはないこともうかがえます。
 非正規労働者への対象拡大については、そもそも利用できることについて、企業が認知していないことが、若年労働者に対しては社内での加入勧奨機会の減少といった問題が浮き彫りになっています。このような状況から、課題として考えられることは次の3点です。
まずは、勤労者にとっての計画的な財産形成のための自助努力が重要であって、国としては制度の普及・促進を積極的に進めることで支援していく必要があると考えます。
 普及・促進にあたっては、制度導入率の低い中小企業に留意して進める必要があろうかと思いますし、非正規労働者や若年労働者へも、周知等が行き渡るよう工夫も必要だと考えます。
なお、財形持家融資の認知度は特に低いのですが、これを単独で周知するのではなく、まずは財形貯蓄制度を広く知っていただくことに重点を置くべきで、そのメリットの一つとして紹介するなどの手法を選択すべきだと考えています。議題1の「財形制度をめぐる状況」についての説明は以上でございます。
○宮本分科会長 ありがとうございました。ただいま事務局のほうから議題1について御説明がありました。では、これを基にして御意見、御質問などがありましたら、お出しいただきたいと思います。どなた様からでも結構です。
○権丈委員 12ページのデータのことなのですが、こちらの右側のデータ、「持家のない世帯の世代別住宅取得予定割合」を出していただきましてありがとうございます。これより、例えば30代世帯を見ると、この層では「取得予定割合」が上昇しているといった傾向が見られます。
 「取得予定割合」は、持ち家率とも関連する可能性があると思います。上のほうに、「20歳代世帯の約8割、30歳代世帯の約5割が持ち家ではなく」と書かれており、現状の世代別の持ち家率を説明してくださっているのですが、持ち家率のデータはここには掲載されていないので、その時系列の状況をもしお分かりでしたらお願いいたします。つまり年代別に見て、例えば20代、30代世帯などにおいて、持ち家率が下がっているとか、上がっているとかいうデータです。○宮本分科会長 いかがでしょうか。
○平嶋勤労者生活課長 時系列データは今、手元にありませんので、後ほどお送りします。
○権丈委員 はい、ありがとうございます。
○宮本分科会長 では、その辺はよろしくお願いいたします。そのほかいかがでしょうか。
○高木委員 質問になるのですが、18ページ、19ページのヒアリングのところです。ここの資料には何社の金融機関にヒアリングを行ったのか。また金融機関と言っても、様々な機関がありますが、どういった種類の金融機関へのヒアリングだったのかということも、一応、把握しておく必要があるのではないかと思います。
 あと、中小企業へのヒアリングですが、中小企業の規模と、「産業・業種」についても、教えていただければ幸いです。
○宮本分科会長 ただいまの質問についていかがでしょうか。
○角南勤労者生活課長補佐 まず、金融機関についてですが、これは業態別の4機関にヒアリングを行っております。具体的に申し上げますと、都市銀行、信用金庫、証券会社、そして労働金庫の4業態で、各1社ずつとなっております。
 続いて企業のほうですが、まず2社につきましては、いずれも50名以下の従業員数で、業種は、医療・福祉業と卸売業です。それから財形貯蓄未導入の企業5社に関しては、詳細把握しておりません。
○宮本分科会長 高木委員、今の件でいかがでしょうか。
○高木委員 はい、大丈夫です。
○宮本分科会長 よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。
○加藤委員 19ページの一番上のところに、財形制度について、事務負担のため導入していない企業が多かったと記載があります。しかし一方で、導入した企業は「事務負担はそれほどなかった」と挙げています。ここについて、もう少し説明を工夫すれば解決が進むと思います。何か対応はされているのでしょうか。
○宮本分科会長 いかがでしょうか。
○角南勤労者生活課長補佐 後ほどまた御説明しますが、中小企業の事業主向けに、制度導入を図るためのPRをやっております。その中では、やはり事務負担が大きなネックになると思われますので、導入事例などを紹介して、この負担感は思ったほどないということをお知らせする取組をしているところです。
○加藤委員 事務負担が「思ったほどない」という感覚は、企業それぞれで感覚が違うかもしれないですね。今の事務負担よりも更に軽減するような方法というのは工夫されているのでしょうか。
○角南勤労者生活課長補佐 制度上の工夫ということでしょうか。
○加藤委員 例えば、事務手続きにITを導入し、作業の簡素化を図るようなことはされているのかという質問です。
○角南勤労者生活課長補佐 一般財形については各金融機関で独自の形で手続きができる部分があります。一般財形では、インターネットの活用、つまりインターネットバンキングの手法とか、そういったもので簡便化が図られているという話は若干聞いております。
○加藤委員 はい、ありがとうございます。
○宮本分科会長 ということは一般財形以外の住宅財形等は、もっと煩雑な事務手続が必要になっているということですよね。
○角南勤労者生活課長補佐 はい、租税特別措置法で様式等が決まっており、そうした様式を金融機関に留め置くという措置も必要とされているため、なかなかそこを簡素化するというのはできないしくみとなっております。
○宮本分科会長 よろしいでしょうか。そのほかにいかがでしょうか。
○春日部委員 今の質疑に関連するのですが、19ページのところで、上の四角の中に、「金融機関の協力姿勢がカギだよ」と書かれていますように、ある金融機関は非常に懇切丁寧に指導されたということで、それが効果を発揮したという表現になっていますけれども、紙でのやり取りもあるにしても、最近はインターネットバンキングというものが、かなり一般的になっていると思いまして、財形とインターネットバンキングというのは、最近増えているのかどうかについて教えていただけませんでしょうか。
○宮本分科会長 いかがでしょうか。財形とインターネットバンキングについて。
○角南勤労者生活課長補佐 先ほど申しましたように、インターネットバンキングの手法を活用されている金融機関が複数あることについては承知していますが、それが今後拡大するか等については承知しておりません。
○宮本分科会長 春日部委員、よろしいでしょうか。
○春日部委員 はい。
○成島委員 同じく19ページのところで、「金融機関から導入の働きかけがあった2社は負担に思わない」と。それで、上の5社には働きかけがなかったのでしょうか。働きかけがなく、制度導入した事例は把握できなかったということだとすると、やはり金融機関の積極的な働きかけがキーだとして、金融機関が働きかけをするかしないかは、会社の規模なのか、距離なのか、どういうところでそれが決まってしまうのか、お分かりでしょうか。
○角南勤労者生活課長補佐 こちらの19ページの「導入を検討した上で、結果、断念された5社」につきましては、事務手続の負担感を原因として断念したということの把握のみで、各々が金融機関とどのように関わり合われたのかというところまでは十分に確認できていません。
 それから金融機関のヒアリング時に事業所の所在地からくる距離感などは把握しておりません。
○宮本分科会長 よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。
○小野委員 質問を1つと、あとはコメントをさせていただきたいのですが、先ほど御説明の中で指摘いただいていたかと思うのですが、金融資産の保有状況だとか、持家の状況というのは、勤労者と個人営業といいますか、自営業の人たちとの比較をする際には、基本的に人口構造が同じでないと、フラットな比較ができないのではないかと思うのです。私が知る限りでは、いわゆる自営業者の人口構造というのは、近年非常に高齢化していると思うのです。その関係で、こういった比較が年齢階層ごとに可能なのかということを質問させていただきたいということです。
 もう1つは、次の議論にも掛かってしまうのかもしれませんが、御承知のとおり、来年1月から個人型確定拠出年金というものが、大分、広範に導入可能だということになりました。こちらは基本的に課税前の所得から拠出可能という話になりますので、特に財形年金とか、やや目的が重なりそうな、それぞれメリットはお互いにあると思いますが、お互いに食い合ってしまってはいけないということが今後の方向性としては非常に重要だと思います。
 貯蓄というのは、どちらかと言うと、個々の従業員が何らかの形で背中を押されるということが結構重要なのではないかと思っております。年金の世界で言うと、欧米では確定拠出年金が普及しているといいますが、その中でイギリスとかアメリカでは、最近は自動加入というものが導入されております。基本的にはデフォルトは加入するのです。それで嫌な人は拒否するということで、加入の選択をしていただくことと、デフォルトで入っていただいたときには掛け金で幾らとあらかじめ決めることなどを行うと、かなり効果が上がるということです。ガチガチの義務化ということではない、ソフトな義務化という意味では、貯蓄が広がる1つの方策になっております。
 私は労働法制の専門家ではないので、こういうことが可能かどうかはよく分からないのですが、一応参考として情報を御提供申し上げます。○宮本分科会長 小野委員の御質問に関連する形で何か御質問等ありますか。よろしいですか。では、事務局からお願いします。
○平嶋勤労者生活課長 この4ページの資料につきまして、年齢の面は御指摘のとおりであり、勤労者世帯の年齢が48.5歳となっているのに対し、勤労者以外の世帯は68.9歳、個人営業の方は61.7歳ということで、この辺りはコントロールする必要があるかと思います。これについては、次回に向けて、少し検討したいと思っております。
 それから、確定拠出年金との関係について御質問いただきました。財形貯蓄と確定拠出年金は重なる部分もありますが、税制上は別の制度としてそれぞれ整理されているということです。財形貯蓄には550万円の非課税枠があって、また非常時には払出しが可能であるという貯蓄ならではのメリットもあるということですので、老後の生活設計の1つとして、今後ともPRしていきたいと思っております。また、義務化については、それぞれ所得の水準も違う、あるいは将来設計もそれぞれ違う中で、一律にそうやって義務化するというよりは、啓発していくことで将来のことを認識した上で判断して下さいという形が適当だろうと思っております。
○宮本分科会長 いかがでしょうか。
○八野委員 今回、2年前の調査で、深掘りをしていただいたということで、ただ、対象は前回とほぼ同じような結果だと思うのです。勤労者財産形成促進法そのものの根幹に関わってくるかも分かりませんけれども、今の就労体系が変わってきて、非正規職員がこれだけ増えてきた。そういう中で幾ら企業側が制度を持ったとしても、その方の転職などが格段と増えているわけです。つまり事業者と金融機関が結び付いた形の中で動いている今の制度の、やはり、ある意味では、これは失礼ですけれども、限界もあるとは思うのです。
 ですから、勤労者が企業とは当然関係は結ぶのですが、金融機関と財形貯蓄ができていくようなものも、今後、中期的には考えていかなければ、幾らこの制度を広報しても、一定のところで伸びないのではないかと思います。
 金融機関は明らかに、今、いろいろな金融商品を取り扱っていまして、私は以前、住宅ローンに携わっておりましたが、住宅ローンでさえ、そんなに熟知した行員が少ない中で、財形をどこまで熟知しているかと思うのです。金融機関では、こういう実態がありますし、当然、大きな企業さんとであれば積極的にやりますけれども、50人、100人の所にはなかなか手が届かない。これが現実であろうと思います。逆に中小企業のほうになると、非正規の方も多いし、規模も小さいですから、その方のための事務負担というのは相当大変だと思います。
 先ほどからインターネットバンキングの話が出ていますが、これほどのカード社会になってきているわけですから、例えば、ここまで言ってしまうとちょっと言い過ぎかも分かりませんが、カード会社からの引き落としとか、そういうものが財形制度にうまく組み込めていけないのかといったようなことも、今後、考えなければいけないのではないかと思います。
 ちょっとこれは後の話だと思うのですが、また、法律に関わるような問題だと思いますけれども、実態は以上のとおりなので、制度の周知だけで本当にいいのかどうかというようなところを全体として気にしております。
○宮本分科会長 ありがとうございます。大変本質的な問題なのですが、関連する御意見はありますでしょうか。
○高木委員 
恐らくこの件は資料3のほうの、どういった課題と対策を今現在なさっているのかということのお話の後の議論かと思ったのですが、先ほど委員のほうからお話が出ましたので、私のほうでも少しだけコメントします。
 今後、財形の利用者数を伸ばしていくことを考えたときに、やはり既に出ている中小企業への呼掛け、非正規労働者や若年層への呼掛けというものが非常に重要になってくることは間違いないと思うのです。その中で非正規のお話が出たのですが、恐らく前回1年前の委員会のときに、非正規の比率を見ると、例えば資料7のパートタイム労働者の比率を見ますと、やはりパートタイム労働者は女性が主流で4割に達していて、男性は1割程度であるという確認が取れたと思うのです。
 さらに本日の会議で分かったことですが、資料2の8ページ目の中で、正社員ではなくて、つまり非正規という形で働いている人たちの中で、生活を賄い主として家計を支えていかなければならない人々の割合が男女全体で約5割、47.7%いるということは非常に大きいといえます。また、先ほどから出ているパートタイム労働者の32.5%が、やはり主として家計を支えている側にいるということもまた、大きい数字であると思うのです。
 なぜそうした非正規の人たちに呼び掛けなくてはならないかというと、前回の分科会でも述べたのですが、やはり将来的に社会保障を受ける側に回っていく、転落していく可能性が、相対的にみて少なくないかもしれない人々であると考えなければならないからです。その場合に、御自身で将来設計をするためにも、堅実に生活設計を立てていくためにも、自分の手である程度、財形なりをして、計画的に生きていかなければいけないと、その道標を示すために財形というのが有効な手段となり得るのではないでしょうか。
 そのときに、先ほど委員からも出ましたが、例えば今の会社で非正規の者が財形というものを知り、そして加入したとしても、正社員と違って、雇用保障の強度が緩いので、また次の会社に移って働くことが往々にしてあるわけです。その場合に、次に移った会社で財形制度というものを導入していないとするならば、一体どうなるのかという問題が恐らくあるのだと思います。
 それで、お伺いしたいのは、勤務先企業が変わった場合における、財形のポータビリティというものについて、どのように考えているかということです。これは今後、重要な課題になると思うわけです。その辺りのことを今後の課題として、恐らく資料3でも述べられていないと思いますので、どのように考えておられるかということを中心にお伺いできればと考えます。○宮本分科会長 よろしいでしょうか。
○平嶋勤労者生活課長 ありがとうございます。働き方が変わっていく中で、以前のように1社長期勤続というのがだんだん減っていく。これは恐らく、今後、元に戻っていくことの可能性は低いのではないかと思っておりますが、その中で財形制度がマッチしているのかということです。
 ポータビリティの話になると思いますが、財形制度を導入している企業から導入企業に移った場合は引き継ぐことは可能です。ただ、導入していない企業に移った場合は引き継げないということですので、少しでも多くの企業に導入していただくことで、より財形の効果が広がっていくということだろうと思いますが、今のところ、そういう認識の下で普及拡大のためのPRを続けているという状況です。今後ともPRをしっかりやっていくということを考えております。
○宮本分科会長 離転職がこう頻繁になってくる中で、扱う企業が少なければどこかで途切れるという問題ですよね。これに関して何か御意見あれば。よろしいでしょうか。
○加藤委員 離転職により、財形制度が引き継げないという問題を解決するためには、企業を介さず金融機関だけで財形制度の申し込みや運用をする仕組みが効果的ではないかと考えます。
○宮本分科会長 何と言うか、年々貯蓄のない人たちが増えていくわけですよね。ですから、ある意味で貯蓄を強制的にという言い方は、ちょっと語弊があるかもしれませんが、何とか貯蓄を行えるような体制を作るということが重要かと思います。
○高木委員 そうすると、例えば非正規の方たちは、そもそも貯蓄額が低い中で、大切なお金を預けてどうにか将来設計をしていこうというときに、今いる会社にずっと勤め続ける可能性はほとんどない中で、では次に移ったらどうなるのかという不安がある中では、やはり財形に加入しようということは、まず、ほぼないだろうと考えてしまうわけですね。
 その解決方法としては、先ほどから出ている金融機関に直接という形、つまり企業を介入させないという形で、財形に加入するという方法を取る、そういった新しい仕組みにシフトしていくのか。あるいは加入者数がいるかいないかは関係なくて、とにかくすべからく多くの企業にこの財形の制度を導入していただくという、恐らくその2つしかないと思うのです。どちらのほうへのシフトを考えていくのかということ、将来的な設計とか、そういったもののお考えはおありなのでしょうか。○平嶋勤労者生活課長 最初の案の「金融機関に直接」ということですが、そうなるともはや財形ではないと言いますか、普通の金融商品ということになります。2つ目の「義務化」については福利厚生の1つの形態ですので、「必ずやりなさい」というところまでは難しいと思っておりますが、財形のいいところというのは、今、金利が低くてほとんどメリットがありませんが、金利が高くなったときは非課税があります。あるいは企業が貯蓄に少し補助を付けたりすることができますので、そういう、ほかの金融商品とは違うメリットをしっかり強調しながらやっていくことがいいのではないかと思っております。
○宮本分科会長 これは大変大きな問題で、本日の委員会で何か方向を出すというような問題ではないのですが、大変重要な御指摘があったということで、ちょっとその先を進めたいと思います。そのほかいかがでしょうか。
○竹本委員 非正規の方を対象にこの財形を広げようとした場合に、やはり貯蓄余力がない方こそ、いざというときにお金が必要になってくる可能性が高い。そういう不安をお持ちになるのではないかと思うのです。その場合に財形というのは引出しにそれなりに負担と時間が掛かるということで、その点でも躊躇される方が多いのではないかと懸念するのですが、例えばそういった点で、少しでも万が一のときのために、財形を下ろしやすくする、あるいは本来の使途でない目的であっても、少し使えるようにする。このような形の融通の利かせ方というようなアイデアはないのでしょうか。
○平嶋勤労者生活課長 御指摘いただいたような財形の下ろしにくさは、財形の一方でのメリットでもあるわけですが、そうは言いつつ3財形とも貯蓄ですので、下ろす意思があれば、若干手続に負担があっても下ろせるという制度となっているわけです。その他の個人型DCなどでは確実に60歳までは下ろせませんので、そういったものと比べて、貯蓄として取り回しのしやすさは、一定程度は担保されているものと思っております。
○竹本委員 分かりました。ありがとうございました。
○宮本分科会長 よろしいでしょうか。
○権丈委員 先ほど事務局より加入年齢の引き上げについてのお話があったのですが、それについてもう少し教えていただければと思います。2つの財形で、「貯蓄開始は55歳未満」とされています。これは制度ができたときから55歳未満だったのかどうかということと、それから、高齢期まで働くようになってきている中で、貯蓄開始年齢を上げるということは確かに選択肢だと思うのですが、これまでどの程度御検討されているのかというところを、もう少し教えてください。
○平嶋勤労者生活課長 これは年金財形に係る部分ですが、当初から55歳が加入の上限年齢となっております。今、そのような御提案を頂き、労働金庫に御協力いただき、年齢階層ごとの初回加入の分布を取ってみて、50代においてニーズがどれぐらいあるかという調査をしていただいているところです。その結果を踏まえて、今後の対応を検討したいと思っております。
○宮本分科会長 よろしいですか。
○権丈委員 はい、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 今の点について、少し労働金庫の調査の補足なのですが、まだ資料的に十分な精査ができていないので、十分な信憑性があるかどうかは別ですが、今、言われたように、少なくとも労働金庫の新規開設口座の年齢別の推移を見てみると、50歳以降の方の財形年金の契約数や契約率というのが、比較的ほかの層よりも多いのです。
 これはなぜかと考えたときに、やはり子育ても一段落して、いよいよ自分の老後のことを真剣に考えるいいタイミングは多分50歳過ぎで、しかも積立金額も多いのです。なぜかと言いますと、賞与のほうからまとめて年金財形の積立てを始めると。短期間で比較的大きい金額を積み立てて老後に備えようという貯蓄行動が始まりますので、そういう意味でも、55歳というのは昔の55歳定年時代の名残だと思いますので、また今後60歳を過ぎて、65歳までいろいろな形で働けるとなれば、そういう要素も今後は考慮したほうがいいのかなと思います。
○宮本分科会長 この辺りはそうですね。70歳まで働くのを自明のことのような方向で動いている中で、年齢については何十年前の制度のままだという辺りは要検討で、本日というわけにはいきませんが、検討していただきたいということですね。そのほかにいかがでしょうか。
○井上委員 教えていただきたいのですが、資料の11ページの右側のグラフで、50歳以上の方の財形の契約が非常に多いと、ここで分かるのですが、今の安藤委員のお話を踏まえると、新規に加入する方で、年齢の高い方がかなりいらっしゃるということでしょうか。私はこの資料を拝見したときに、若いうちから入っていて、そのままずっと入っている方が多いのかなと思って見たのですが、必ずしもそうではないという理解でよろしいのでしょうか。
○平嶋勤労者生活課長 このデータは過去に入った人のストックとして、50代の加入が多いという解釈をしております。今、調査していただいているものは、まだ詳細なデータをもらっておりませんので。
○井上委員 では、今現在の断面ということでしかないということですね。
○平嶋勤労者生活課長 これはそうです。
○井上委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○角南勤労者生活課長補佐 あと、この資料は一般財形に関するデータですので、財形年金に特化して調査した結果とは分布が異なるかもしれません。
○井上委員 分かりました。
○八野委員 目標の推移も制度のことを言ったので、大変な話になっているかと思うのですが、ただ、この課題の分析の中で、3つの○が最後にあるのですが、広報しますということだけではなくて、つまり若年層、またその非正規雇用の方向けの新たなる財形制度みたいなものを今後考えていくことが必要なのではないか。
 法改正も必要ですから、そう簡単にできる話ではないと思いますが、ただ先ほどもありましたように、若い方、特に非正規の方などの計画的貯蓄を少しでも促していかないと、つまり自助を高めていかないと、これは大変なことになってくるので、比較的余裕のある方であるとか、正社員で大中企業に勤めておられる方は、この制度がもしなくても、一般の民間金融機関で十分貯蓄されるわけですし、計画的なローンも組まれるわけなのです。そうではない人に目を向ける時期にもう来ているのであって、そのための何か今後検討をやるのだというような一言がこの現状分析の中でないのかなというような、そういうつもりで最初言ったのです。
 これは後半の議論の中でも相当大変な話だと思うのです。事業者さんが給与天引きするということで計画的に貯蓄していたものを、それがなくなってきたときに、では、強制ではなく、どこでそのような確実な貯蓄を行っていくのか。
 先ほど私は「カード」と言いましたが、今、若い人はみんな携帯であろうが何であろうが、カードの引き落としでやっているわけです。その中で一定のものは引かれていっているわけです。滞納があったりとか、デフォルトとかいろいろあるかも分かりませんが、ただ、こういうことをやろうという方ですから、そういう中で一定額を積み立てていくような、そういうことも今後は考えなければいけないのではないかなというようなことです。
 事業者ではなくて、カード会社みたいなものを緩和していくとか、銀行であれば一般のカード金融と全く一緒なので、どこが絡むか、あるいはどのように絡んで、定期的に天引きをしてくれるか、そういうようなこともあるのではないかなということです。
 これは非常に大きな話だと思うのですが、ただ若年層向け、非正規職員が増えてくる中に、それに見合った新たなるもう一本の柱みたいなものが今後、今後の話だと思いますが、必要かな。そのための取っ掛かりをこの課題の文章の中に、何か潜り込ませていただけるといいという意味で言っているわけです。
○宮本分科会長 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思いますが、財形貯蓄制度が始まったときの時代状況と、今の時代状況は全然違うので、担うべき課題が変わってきているという辺りですね。その辺りをどうやって反映させていくかというようなことだと思います、何か事務局のほうからお話ありますか。
○平嶋勤労者生活課長 御指摘のとおり、時代の変化で構造的な条件が変わってきている部分と、それから今の金利の状況で、瞬間的には今はちょっとマイナスな状況にあると、両方あると思いますが、そういう働き方など取り巻く環境が変わってくる中で、恐らく今の御提言は財形ではなくてもいいから、何か貯蓄を奨励する方法があるのではないかということだっただろうかと思います。今後の課題として受け止めさせていただきたいと思います。
○宮本分科会長 ありがとうございました。それでは、まだ御意見があるかと思いますが、議題2に移り、また、その中でというか、終わってから気が付いたことがあったらお出しいただくことにしたいと思います。議題2の説明をお願いします。
○平嶋勤労者生活課長 それでは、議題2の資料3になります。「財形制度をめぐる当面の課題及び対策について」、とりわけ課題への対応状況について御説明します。資料3の1ページを御覧ください。まず「制度の普及・促進のための取組」に関してです。厚生労働省と所管独法である勤労者退職金共済機構が分担して普及・促進を進めてきました。しかしながら、制度利用者が多かった10年以上前まで行っていた全国規模の広報展開を現在は行っていません。また中小企業、若年労働者、非正規労働者など、ターゲットに特化した明確な広報も行っていません。これらの観点から、平成28年度からは、広報手法等を抜本的に見直しつつありまして、その普及・促進活動について御報告するのが1点目です。
 次に勤労者にとって利用しやすく、また魅力ある制度とする取組も行っています。1つには「財形持家融資の金利優遇制度の運用」です。中小企業や子育て世帯向けに行っています。もう1つは本年4月に発生した熊本地震を契機として、財形制度の災害への対応を図っています。こちらの御報告になります。
 それでは、普及活動のために実施した内容を御説明します。全体としては、2ページの(1)~(6)の観点から、普及活動の抜本的強化を行っています。(1)中小企業向け、若年労働者向けなど、普及対象向けのリーフレット・ポスターの作成・周知、(2)金融機関や労働局などにこれらを用いた積極的な活用を働きかけています。(3)厚生労働省ツイッターでの定期的配信、(4)資産形成セミナー等の開催、(5)新聞やインターネットなどを通じた広報展開なども行っています。また、(6)財形ポータルサイトとしてより機能するよう、厚生労働省や機構のホームページの見直しを行っています。
 3ページ、ここでは、今年度作成しましたリーフレットやポスターの内容を記載しています。まず、1、中小企業向けとして、制度導入のメリット等を記載したリーフレットを作成しました。また、2、若年労働者、主に新入社員に向けて、漫画を用いた親しみやすい制度利用勧奨リーフレットを作成しています。3、事業主向けリーフレットには、非正規労働者が財形制度を利用できること、またそのメリットを記載しました。また、4、先日出来上がったばかりですが、カヌースラロームのメダリスト、羽根田卓也選手を起用し、メッセージアピールを前面に出した事業主向け制度導入を勧奨するポスターを作成しています。このポスターについては、労働局、労働基準監督署、ハローワークのほか、都道府県、労働金庫などにも掲載を依頼しています。
 4ページ、金融機関、関係団体、企業等に対する積極的な働きかけについて、先ほどのリーフレットの周知・掲載依頼を行ったほか、中小企業に対する働きかけとして、2、にあるように、機構が普及・促進委託事業を行っています。この委託事業は平成25年度より実施していまして、中小企業への財形制度の導入促進を目標としています。今年度は3つの都道府県団体に委託をし、下の表のとおり、セミナーや相談業務などを通じて参加企業への普及促進に取り組んでいます。
 5ページ、普及活動の(3)として、ツイッターの活用を挙げています。昨年度は不定期に行っていたものを定期的に行うこととし、主に若年労働者向けにツイートしているほか、財形融資の金利の改定情報なども提供しています。また(4)として、資産形成セミナーです。これは、昨年度の分科会において、特に若年者に対しては、財形貯蓄そのものというよりも、まず貯蓄の重要性を伝える場が必要との御指摘を受けて実施しています。今年度は金融機関が行うセミナーに参加しましたが、来年度以降は厚労省での単独での実施も検討しています。(5)として、12月以降新聞やインターネットなどを通じ全国的な広報展開を予定しています。詳細は未定な部分がありますが、「財形の現在形・財形の「いま」を語ろう!」をコンセプトとして、主に若年労働者の心に残るような画像と音声による広報を行うこととしています。具体的には、本年12月以降、財形特設サイトの開設やPR映像、財形ソングの配信、1月以降は新聞や雑誌掲載などがメニューとなります。また、これらの広報についての詳細な効果検証を2月以降に行い、以降の取組に活用する予定です。
 6ページ、(6)として、財形ポータルサイトとして利用者が使いやすいよう、厚労省ホームページや機構ホームページの見直しを進めています。厚労省ホームページの財形トップ画面については、利用者目線での分類、並び替えを実施済みですが、今後も取り組んでまいります。機構ホームページの財形関連ページについては、構成も含めた改善について現在検討中です。なお機構では、資産形成の重要性をPRする趣旨から、新コンテンツの配信も行っています。このような取組を行っているところではありますが、広報事業についてはまだまだ課題があると認識しています。記載した3点については、特にこれから積極的に取り組んでいく必要があると思っています。
 まず1点目に、現在実施している広報の効果測定結果が年度末に明らかになる予定ですので、それを精査し、来年度はより効果的な広報を行っていきたいと思います。また、今年度は資産形成セミナーを初めて実施しましたが、この実施を通じて、貯蓄自体の重要性を伝えることの必要性を感じているところです。3点目としては、機構が行っている中小企業向けの普及事業では制度の情報提供止まりになっていて、導入に至ったケースがありません。今後は導入可否に係る具体的事例の収集、活用を推進するとともに、導入に結び付くためのノウハウを構築し、委託事業先への依頼内容や教育指導方法について検討するなど、情報提供の先に何ができるかを考察する必要があると考えています。
 7ページです。続いて、「勤労者にとって利用しやすい制度とするための取組」についてです。「財形持家融資」では、子育て世帯の皆様が御利用しやすいように金利の優遇措置を実施しているところです。こちらは、当初、平成27年度末までの措置としていましたが、昨年度の勤労者生活分科会において委員の皆様から御了承いただき、平成29年度末まで延長しました。延長に際しては、労働局、都道府県、商工会議所等への周知の協力依頼のほか、住宅情報誌等にも記事を掲載し周知を図りました。新規御利用者の多くが本特例措置を使われ、利用者からも「大変助かった」等のお声を頂き好評を得ているところです。また中小企業勤労者に対しても金利優遇措置を引き続き実施しているところです。
 続いて、「自然災害への対応」についてです。先の熊本地震では、家屋の倒壊をはじめ、とても多くの被害が生じました。このような災害を受けた被災者の方に対して、東日本大震災のときと同様の救済措置が必要であると考えています。財形持家融資制度では、返済中の利用者の方々に対して、返済期間の延長、返済猶予などの特例措置を地震発生後速やかに実施しました。また財形貯蓄制度では、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の両非課税財形において、被災者の方が貯蓄目的に該当しない払出しを行った場合でも、利子等について、非課税とする特例措置を今年度の税政改正要望として提出しているところです。今日も自民党の厚生労働部会での税制勉強会がありましたが、大詰めの段階になっています。
 更に、今回の熊本地震を契機として、自然災害が起きた場合、勤労者の皆様の住宅再建の手助けがよりスピーディに行えるよう、新たな特例措置を検討しています。詳細内容については現在検討中ですが、罹災した勤労者の方の負担が少しでも軽減されるような融資条件を設定していきたいと考えているところです。以上です。
○宮本分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただいた資料に基づいて、御意見、御質問等をお出しいただきたいと思います。
○布山委員 昨年、分科会で委員から出た意見を基に取組をされていると受け止めています。特に昨年は若者向けにネットやツイッターをもっと活用して広報したらどうかという御意見で、それで、今このようになっているのだと思います。具体的にその中の6ページで、厚労省のホームページや機構のホームページを分かりやすく改善したというところで、これはこれからも見直すけれども、取りあえず、今、1回実施していただいたということであれば、これでアクセス数だとかが変わったという実績はあるのでしょうか。
○平嶋勤労者生活課長 これはHPの配置の見直しを行ったところですが、まだアクセス数などのデータが取れていませんので、今後取れるようにやっていきたいと思います。
○宮本分科会長 その他いかがでしょうか。
○須田委員代理 須田の代理で出席させていただいている久保と申します。本日、須田からの意見を預かってきていますので、意見として述べさせていただきたいと思っています。まず3ページに、特に「正社員以外の従業員にも財形貯蓄を導入しませんか?」というアプローチのリーフレットを御紹介いただいていますが、こちらについては、非正規であることを理由として制度が利用できないということではなくて、機会の平等という視点からも、是非、非正規の方々も入れる制度であるというアプローチもしていただきたいというお願いです。
 それから、もう1つ、「若年労働者向けリーフレット」など、そういうところにも力を入れて御対応を頂いているところですが、1つとしては、学生時代からの社会教育ということも含めて、もう少しアプローチの幅を広げていただけないかという御意見です。
 それから、少し離れるかもしれませんが、財形住宅貯蓄の払い出しにおけるリフォームの目的についてです。これについても、昨年も触れられたと伺っていますが、払い出し対象のリフォーム工事に幅を持たせるというところについても、御検討を頂ければということで、意見と要望を述べさせていただきます。以上です。
○宮本分科会長 ありがとうございました。事務局からいかがですか。
○平嶋勤労者生活課長 非正規労働者の加入についてですが、おっしゃるとおり、この調査の中でも、非正規労働者が制度を使えることを知らない企業もありますし、先ほど来議論がありました課題でありますが、しっかり周知をしていきたいと思っています。
 それから住宅リフォームの払い出し要件の緩和ですが、これは住宅ローン減税との並びもありますが、どのようなニーズがあるかを、また御協力いただきながら把握して、今後の対応を検討していきたいと思います。
 それから学生時代からの貯蓄の重要性です。これについては、貯蓄の重要性に関してのセミナーなども開催していますが、こういうものに学生さんにも来ていただけないかなども含めて検討していきたいと思います。
○宮本分科会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。
○高木委員 
5ページの(4)の「資産形成セミナー」の件ですが、いつの時代にも、たとえツイッターとかホームページ、そういったものが重要なツールであるという中においても、「対面」ということほど強いものはないと思うのです。ホームページ、ツイッターというのは、広く行き渡らせることにおいては非常に有効かと思うのですが、セミナーという形で対面の方式をとることは、伝えることに関して強いものを持っていると考えるわけです。
 平成29年度に厚生労働省で単独でセミナーを実施するということですが、このセミナーに呼び込む方たちは企業の総務とか経理とか、そういった方たちではなくて、労働者個人を対象としているのかどうかをお伺いしたいと考えます。
 こういったセミナーをどのような手法で、どういった人々に訴え掛けて呼び寄せるのかはここに書かれていないので分からないのですが、従来から出ている非正規、若年層、こういった人たちへの呼掛けが非常に大切になっている中で、貯蓄の重要性を知らせることと同じことになるのですが、「あなたの人生は長く続くこと」をきちんと知らせて、生活設計をちゃんと見ていかなければならないことを、今の若年層に教える必要があると思っておりまして、そうした機会になり得るのではないかと思うのです。我々大学教員は毎日のように若年層に接している中で、本当に将来の生活についての展望を抱けるような、そういった堅実に生きている若者が少なくなっていくのを見ています。そのため、このセミナーが、自分の将来設計を考えることと共に財形について教えると、そういった学びの場になるような設計になっているのかどうかをお伺いしたいと思います。○高木委員 具体的にセミナーに来るようどうやって呼掛けをするのかといった手法は考えていらっしゃるのですか。
○角南勤労者生活課長補佐 具体的なセミナーの開催募集のやり方については現段階では未定です。
○安藤委員 特に中小企業への制度の導入とか、非正規職員の方への貯蓄の奨励とかということを後押し、後援する1つの仕組みとして、余りコストが掛からないことが必要だと思うのですが、例えば厚労省として、「くるみん」みたいな認定制度の仕組みを作って、例えば財形貯蓄の導入数、職員への普及率が高かったり、あるいは非正規の職員への加入を促進しているとか、そういった中小企業などに対して、厚労省として福利厚生制度に力を入れている企業として認定する。そのことによって、既にPR用リーフレットにもありますが、その企業としての魅力とか、人材の定着率のアップとか、人材確保などにも一定の効果があると、期待されるかと思います。
 一方でそういう認定制度があって、自分の会社はこういうことで福利厚生に力を入れるということで、例えば就職活動中の学生の皆さんも、そういう認定制度がある会社なのだなということで、結果として、そういう財形制度があるのだなあと周知にもつながっていく。ですので、中小企業、非正規、学生を中心とした若者にも、結果としてのそういうPRが浸透していくという効果も認められる可能性もありますから、そういった厚労省としての認定をすることにより、企業としての取組を応援していくといったことも考えていただいたらどうかというのが意見です。
 もう1点、これは資料の確認といいますか、質問ですが、最終ページの(2)「自然災害への対応」。熊本地震の問題や、一番最後にあります「財形災害融資(仮称)の創設の検討」、これは大変いいことだと私も思いますが、質問点は、最後の一般自然災害を罹災した勤労者に対する新たな特例措置があり、実は今年4月から災害救助法の適用対象地域の債務者が住宅の損壊を受けたとか、再建するときの二重ローンを回避するために、既応の債務の債務援助をしたり、減免したりという仕組みが既に特定調停という仕組みを使ってできているのですが、これは財形融資について、現状、その仕組みの中で整理することはできないので、これからこういった仕組みを作ろうという提案なのか、あるいは単に債務免除とか金利減免以外の特別融資的な新たな融資の仕組みをこれで作ろうとしているのか、その辺がよく分からなかったので補足説明いただくようお願いします。
○平嶋勤労者生活課長 最後の御質問の件ですが、これはまだ検討中ではありますが、資料7ページ上の(1)のような利子引下げをこういう自然災害の被災者を対象にしてできないかと、検討しているところです。
 最初の御提案ですが、非常に貴重な御意見をありがとうございます。「財形制度がありますよ」というマークがいいのか、「福利厚生全般が優秀ですよ」というのがいいのか、いろいろあります。どういう形で認定ができるのかということもありますが、貴重な御意見として承らせていただきたいと思います。
○八野委員 今のに関連して、これだけのマイナス金利で、今の一過性などはどうかと思うとしまして、どちらにしても住宅ローン市場は民間金融機関が相当鎬を削っている領域ですよね。かつてのような住宅公庫との連携みたいなときであれば、財形ローンも住宅ローンもかなり出ましたが、今、800件もないような件数の中で、その中でまた災害用の深堀りを作ってどれだけ効果があるのかなというのが素朴な意見です。
 例えば熊本にしても東日本にしても、住宅金融支援機構も災害融資でかなりやられていますから、今、安藤委員がおっしゃったように、前段の債権放棄といいますか、そういう制度のところであれば相当意味があると思うのですが、新規融資の深堀りについてはどうかというのがあって、御検討中ということなので、意見を少し言っておきたいのです。
 もう1つは、私は前回も言ったのですが、財形貯蓄の最大のメリットは非課税です。今、これが年金と住宅になっているのですが、一般財形で何か目的を決めて、子育て世帯に限定して非課税とか、そういうことを検討できないのかと思います。最後にいろいろな取組を書いて、今ちょこちょこといい制度ができているので、もう少し非正規だ、若年層の中でも、例えば1つの切り口として子育てを言っているのですが、つまり子育て世帯の勤労者の一般財形で、例えばある特定の学資に使う、例えばある何かに使うというものについて積み立てたものについて非課税とするとか、何かそういう制度を、これもまた中長期的な検討になるとは思いますが、御検討されたらどうかというのを言わせておいていただきます。
○春日部委員 今の点、非課税に関連して過去にも議論があったかもしれませんが、年金と住宅を合わせて550万円まで非課税ですよね。仮にそれが10万円でも超えると、例えば560万円全体に対して発生した利子に対して課税されると思うのですが、非課税限度額はそのままで、560万円の場合は10万円だけに対して課税するとか、そういった措置は考えられないものかと思うのですが、過去の議論があれば、それを教えていただきたいと思います。
○宮本分科会長 いかがですか。
○角南勤労者生活課長補佐 非課税枠の拡大の関係等々を含めですが、これはなかなか難しい問題です。もともと550万円の最大枠を目指し、計画的に貯蓄をしていくという趣旨から、そういう上限が設けられています。この枠を超えてしまうと、その際は全てオーバー枠ということで、確かに委員ご指摘のとおり、現行制度上は全て課税対象となってしまうのが現実です。非課税財形の最終目標額に向け、どう貯めていくのかというところが重要でして、簡単にオーバー枠となる計画は立てないものという考え方であって、そこの制度を変えていくのはなかなか難しいのではないかとは思います。
○平嶋勤労者生活課長 最初の御質問ですが、確かに何か子育て世帯に対する非課税の制度など、できれば非常にいいだろうなと思うのですが、近年、高齢者マル優が廃止となったのと同じ流れで、そういう一般非課税みたいな制度創設については非常に厳しい環境にあり、現実的にはなかなか難しいだろうというのが感想です。
○八野委員 一般目的で使えば、そうだと思うのです。ですから、まず子育て世帯に限定しましょうと。前回、育児休業取得者の中断延長の制度が取れているということは、そういうニーズもあるし、世の中の流れで子育て支援目的という縛りをかけるのでしょうね。一般で取り崩すときに、それを何のために使うのかと。あくまで子育てのために使う。子育てのための用途を限定しておくとか、何かそういうことでできないか。子育て世帯の人だったら何にでも使っていい、非課税ですというのではなくて、子育てのためのある一定の枠だけを決めておいて、どういうふうに担保していくかということはありますが、条件を幾つか加えていくのだと思うのです。
 だから、大きな枠で550万円とか、住宅財形みたいな、あのようなものは要らないと思うのです。例えば100万円でもいいと思うのですが、ある一定で取り崩しをしやすい、つまり財形で取り崩しのしやすいのも、1つのメリットとして維持してあげないと、年金とか住宅でうんぬんと言っていると、それまでの間は心配なわけです。非正規の人とか、パートの人とか、契約社員は一時50万円、100万円使いたいと。そのための貯蓄をさせることであれば、ある一定の条件の基でそれが取り崩しできるようにさせてあげなくてはいけないし、なおかつ、一定のものについて非課税にしてあげれば、伸びるのではないかと。だから、広報をやることは非常に大事ですが、是非、制度を議論していただいたらと思います。
○加藤委員 八野委員がおっしゃったとおり、財形制度をもっと使いやすくしてほしいというニーズは高いと思います。そのニーズに答えるために、財形のブランディング化を進めるべきではないかと思います。例えば、名前を変えてアピールする等、若者に受けるような商品としてのアピール方法があるのではないかと思います。
○宮本分科会長 広報だけではなく、もっと制度をいじって、何か魅力のあるものに改変できないかという御意見ですが、出たついでにもう少しアイディアがあれば出していただいて、本日決めることにはならないですが、中長期的には検討の材料にすることになると思いますので、どうでしょうか。
○小野委員 少し観点は違うと思うのですが、住宅財形とか年金財形は非課税という意味では税制優遇措置ですね。その税制優遇の恩典を受けられる人が、一部の裕福といいますか、恵まれた労働者だけになってしまってはやはりうまくない。今日の議論の文脈から言うと、例えば若年層とか、非正規とか、零細企業とか、あるいは転職者が転職したことによって財形制度を継続できないことになるとすれば、それも1つの不公平という話になりますので、そこら辺りを意識されていかないと、そもそも税制優遇は本当に必要なのかという話になってくることも考えられます。その辺りも十分留意していただきたいと思います。
 格差が大きいことで有名なアメリカでも、401(k)制度の中には税制優遇の基準を満たすために非差別テストがあります。これは高所得の人と低所得の人に分け、加入率を比較して、余り大きな格差ができないようにということで、一定の基準を設けたりするのです。そういう文脈で考えると、価値観は国によって、人々によって違うと思うのですが、そういった観点もあったほうがいいのではないかと思います。○宮本分科会長 その他よろしいでしょうか。
○花井委員 様々なアイディアが出されると思うのですが、その場合でも優先順位とか公平性を是非とも重視していただきたいのが1つです。
 非正規とか若年者に対する広報もとても大切だと思っており、6ページの1-3の1つ目の○に「効果測定結果が来年度末に明らかになる」とあるのですが、「効果測定」は、例えばセミナーに何人参加したとか、具体的にどのようなものかということと、明らかになったものの結果を精査して来年度に反映させるということであると思うのですが、その場合、それはどういった場で検討されるのでしょうかという質問です。
○平嶋勤労者生活課長 貴重な御意見をありがとうございます。最後の「効果測定結果について」は広報事業の浸透度について、アンケートを行うことを予定しており、その結果を踏まえて、どの媒体がよかったとか、どういう対象によく効いたとか、そういうことを明らかにする。これは何か委員会を開くということではなく、我々のほうでしっかり把握をして、来年度の事業につなげていきたいと思っております。
 ブランディングあるいは公平性などについても御意見を頂きました。おっしゃるとおりこの制度が不公平を助長することがあっては本末転倒ですので、その点、しっかり留意して、今、行き渡っていない所にどう行き渡らせるか、あるいはそのためにどういうふうに売り出していくかをよく考えながら進めていきたいと思っております。
○井上委員 ただいま、広報の効果測定というお話があったのですが、資料の5ページの(5)「新聞やインターネットを通じた広報展開」に関して、実際に施策を打つのが12月、1月ということのようですが、時期は、本来ならば新たに社会に出る新入社員の方が多い時期を少し意識して、広報活動を展開したほうがより効果があるのではないかと思ったのですが、この辺りはいかがですか、例えば3月とか4月とか。効果測定をするということを念頭に置くと、この時期となるのかなとも考えるのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
○角南勤労者生活課長補佐 時期については、おっしゃられるとおり、新入社員をターゲットとする若者対策ということからすれば、3、4月が最も効果的であろうかとも思うのですが、ここで書いております新聞やインターネット等による全国展開の広報事業を一括として委託でやっている関係上、今年度はこの時期の実施になったということです。ただ、手法等については、どれが最も有効かを明らかにして、今後の取組に活かしていきたいと考えています。
○井上委員 目的的に考えるならば、新入社員が多い時期のほうが予算をより有効に使えるのではないかと考えた次第です。今後、参考にしていただけると有り難いと思います。
○岩本委員 全国銀行協会の岩本です。私どもの加盟銀行からしてみれば、最近はNISAとか、個人型確定拠出年金(iDeCo)とか、新しい商品がどんどん出てきて、かつ、今のような金利環境で預金を増やして貸出しに回せば、利ざやが稼げるものではなくなってきたので、投資商品を売って手数料で利益をあげていこうという志向が強まってきているのだろうと思うのです。
 銀行側とすれば、たくさん売る商品がある中で、国も貯蓄から投資へという全体の流れの中で、確定拠出年金の制度拡充とか、NISAにしても、最近はジュニアNISAだとか、今年の税制改正では積立NISAといった新しい商品や制度がどんどんできてくる。新しいものが売りやすいというのもあって、銀行もある程度ブームに乗って、今年はNISAとか、今年はiDeCoだとかとやりますので、財形制度はあまたある商品の中で、お客様にお勧めするだけの魅力がだんだん薄れてきている部分が確かにあるのだろうと思うのです。
 一方で、事業主の方とか勤労者の方から見て、「財形はこのようなメリットがあります」というだけではなくて、iDeCoやNISAと比較しながら、財形のメリットは何だと。私はどうしても元本が保証されている商品で、老後のために、あるいは将来住宅を買うために、こつこつためていきたい、ただ自分の意思だと、意思が弱いから給料天引きのほうがいいという層は相変わらずあるとは思うのです。そういったところに財形制度が、先ほど何か愛称みたいなものを付けたらどうかというアイディアもあったと思うのですが、いろいろな商品とか非課税制度とかを横並びで比較したうえで財形のメリットをアピールしていくというアプローチも必要ではないかと思っております。
○宮本分科会長 ありがとうございました。
○高木委員 少し話が戻ってしまうのですが、先ほど金利優遇とか非課税を一般財形にも適用できないのかと。それについては制度を変えることとなり難しいというお話があったところです。例えば資料3であるような様々な取組、この制度があることを周知することによって、「あなたは財形を使うことによって、将来の生活に対する不安をある種、ある程度回避したりすること、そういう手段を持つことができるんですよ」ということを知らせることになります。これはいわば、機会の平等だと思うのです。平等とか公正には、機会の平等と結果の平等があるのですが、「そういった機会がありますよ」ということをすべからくみんなに知らせるのは、機会の平等だと思うのです。
 先ほどから出ている、これだけ格差が開き始めている世の中において、格差の上のほうにいる人たちはいいのですが、下のほうに位置付けられる人々に対しては、情報を周知して機会の平等を開くだけではなくて、もしかしたら結果の平等にテコ入れをしなければいけない、そういった時期が近々来るのではないかと考えるわけです。
 例えば金利の優遇とか非課税は、実はその結果の平等にテコ入れをすることにつながっていて、それによって格差の下のほうに転落しやすい人々の生活を救い、その人の生活設計をきちんと頑強なものにする手立てを与えるきっかけとなりうると考えます。結果の平等のテコ入れによって、全体としては社会保障の受給者になる可能性がある人々を少しでも減すことがもしもできるのであれば、そのほうがよほど有効だと考えるのです。
 何を言いたかったのかと言うと、周知して、こういうものがありますというふうに徹底して教えることは機会の平等であって、金利優遇とか非課税に関しては結果の平等であって、そこの部分について、全くできないということではなくて、もう少し考えていくことも、もしかしたら必要になっているのではないかとちょっと考えたので意見させていただきました。
○宮本分科会長 ありがとうございます。
○成島委員 事前にお話を伺ったときに、若年層は1つのキーだと思いました。私は今、中学生を担当しているのですが、義務教育の最後の中学3年生にどの程度の金融教育がなされているかを教科書で見てみますと、公民には「財形」という言葉はもちろんありません。「金融機関」という言葉と一般的な「預金」という言葉はあります。
 家庭科は今、男女ともに3年間習うのですが、資産形成は難しいかもしれませんが、貯蓄の仕組みとか、そういう本当に柔らかな言葉を使用したり、平易な漫画を活用することによって、例えばこの若年勤労者向けのリーフレットは中3生でも十分理解できると思います。今、教育は働くと学ぶのをつなげることが非常に重視していて、キャリア教育はかなり力を入れているのですが、キャリアの先にお金を貯めることがあると思うのです。
 資料の金融機関とのパッケージ講習とかを実施されたということですが、新たに開催する際に動線がなかなか難しい場合は、中学校が難しければ、実業系の高校とかは8割以上が社会に進む生徒なので、会社に入ってからももちろんですが、これから社会に向かう子たちに分かりやすいクリエイティブで、心構えを示すみたいな、教育の強化も若年層に対して重要ではないかと思って見てまいりました。
○宮本分科会長 ありがとうございます。今、私の知っている取組でも、就職する生徒の多い高校では金融教育、お金の使い方、お金をどう管理するか、そういうことを外から講師を招いて具体的に教えているようです。
○成島委員 証券会社とかは結構入っています。
○宮本分科会長 そうですね、企業の社会貢献のお金が一部入りながらですが、これなどはそういう意味では分かりやすいという感じがしましたね。
○成島委員 はい、ものすごい基礎かと思いました。
○宮本分科会長 今日はたくさん御意見が出ていい会議だったと思いますが、この辺りでよろしいでしょうか。何年も財形貯蓄の分科会を続けておりますが、本日、大変重要な確認事項は非課税という、財形貯蓄ならではの最大のメリットですね。この問題を考えると、非課税というメリットがむしろ大企業等々の恵まれている勤労者に使われ、そうでない方々に届かないという問題に関しては、もう少し真摯に取り組む必要があるということで、広報の強化も重要ですが、広報だけで問題解決できるものではないのではないかということで、短期的に直ちに改善は無理だと思いますが、少し時代状況に対応した財形貯蓄の見直し、そういうものにつながっていく必要があるのではないかと、こういう御意見がたくさん出たのではないかと思います。ということで、議題2はここまでにさせていただきまして、本日用意した議題は、以上でしょうか。事務局から何か付け足すことはありますか。よろしいですか。
 それでは、事務局においては、本日の各委員から出された大変有意義な意見を踏まえて、引き続き、勤労者財産形成促進制度の適切な運営に努めていただきたいということで、お願いします。
 本日の議事録の署名は、袈裟丸委員と井上委員のお二人にお願いします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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