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2017年2月1日 第17回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局 研究開発振興課

○日時

平成29年2月1日(水)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第12会議室


○出席者

【委員】

福井部会長 梅澤委員 大澤委員 岡野委員 掛江委員
紀ノ岡委員 木下委員 後藤委員 高橋委員 手良向委員
中村委員 花井委員 松山委員 南委員 山口委員
山中委員 矢守委員

【事務局】

研究開発振興課 森光課長
厚生科学課 下川研究企画官

○議題

○森光課長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第17回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催いたします。
 本日は、部会の定数25名に対しまして、現時点で17名の委員の方々に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告いたします。それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。
 冊子につづっておりますけれども、資料1「遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告について」、資料2「遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会の設置について(案)」、資料3-1は、「神戸市立医療センター中央市民病院第一種再生医療等提供計画」について3-1、3-2、3-3、3-4と4つの資料が付いています。
また、資料4-1、「福島県立医科大学第1種再生医療等提供計画事項変更届」、資料4-2「認定再生医療等委員会意見書」資料5「再生医療等技術のリスク分類に係る特殊例について」という資料を用意しておりますが、資料の不足等がありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。
 それでは、円滑な議事進行のため頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、福井部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○福井部会長
 それでは、早速議事に入らせていただきます。議事1「遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告について」です。事務局より説明をお願いします。
○下川研究企画官
 資料1を御覧ください。千葉大学医学部附属病院からの重大事態等報告の1件について御報告させていただきます。臨床研究課題名は、「切除不能悪性胸膜中皮腫を対象としたNK4遺伝子発現型アデノウイルスベクターによる臨床研究」です。今回の報告は、NK4遺伝子を発現するアデノウイルスベクターの胸腔内投与後に発生した胃がんについての報告です。
 5ページを御覧ください。ページの下半分にあります「重大事態等の内容及びその原因」の欄を御覧ください。この患者さんは、「既往歴」の所に記載されておりますが、平成20年に胃がんと診断されまして、当時、ステージ1Aの高分化型腺癌のため、腹腔鏡下幽門側胃切除術を受けて、経過は順調で通院不要となっておりました。その後7年たった平成27年に、労作時の息切等の症状が現れて上皮型中皮腫の診断を受けております。平成28年に入り、右胸腔内にウイルスベクターを投与し、血液毒性、非血液毒性、肝機能障害、腎機能障害、間質性肺炎、心電図異常を認めず、アデノウイルスベクター排泄が陰性であることを複数回確認し、約1週間後に退院されております。その後の外来でも、異常を認めず、腫瘍量は変わらず、SDでしたが、投与から5か月たった平成28月年8月8日にFDG-PETで胃に軽度の集積があったため、胃がんと診断されております。PSも0と、良好で胃切除術を実施しております。
 「重大事態と本臨床研究との関連性」について、千葉大としては、胃部のがんは病理学的にも、悪性中皮腫の転移ではなく胃がんであることが確認されており、また平成20年の胃がんは完治していることから、残胃に発生した胃がんであると判断しているとのことです。なお、被験者はピロリ菌陽性であったとのことです。今御説明しました内容につきまして、本部会に御報告する前に遺伝子治療等臨床研究に関する審査委員会の委員の先生方に御確認をいただいております。委員からは、胃がんの再発の可能性について質問がありまして、それに対して千葉大からは、平成20年のときの胃がんは、ステージ1Aで幽門側胃切除術を受けており、術後もリンパ節転移はなく、TNM分類もSMで、術後の経過も順調であり、早期胃がんの根治症例が8年後に再発したのではなく、新しく生じた残胃がんと判断しているとの回答がありました。
 また、別の委員からは、本研究では悪生胸膜中皮腫以外の同時性あるいは、異時性腫瘍を有する場合は患者登録の除外基準に当っているので、消化器内科の観点からは、この方の病歴から考える限り通常の診療として胃の内視鏡の検査を実施しておいたほうがよく、このようなことも含め、次の症例からは慎重な症例選択をするようにとの御意見があり、千葉大からは、次回からは慎重な症例選択を行う旨の回答があり、委員より御了解を得ております。説明は以上です。
○福井部会長
 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
○花井委員
 今、意見の中にもあったのですけど、アデノウイルスベクターとの関連性については、ないということでいいのですが、やはり、このような既往歴のある患者さんが対象になっているというのは、ちょっと驚いていて、もちろん治ったということで今説明があったのですけど、やはり今あったように、ちょっとそこは被験者の選択という段階で、余りにも広く入れ過ぎているのではないかという懸念をもちました。なので今後、慎重にという趣旨が、どのような感じなのか分からないのですが。完治していればいいではないかという話なのかもしれませんが、そこはやはり、慎重に被験者を選択することは必要だと思いました。以上です。
○福井部会長
 今の花井委員の御意見につきまして、さらに何か御意見はありますでしょうか。
○山口委員
 例えば、現にほかの対象としている中皮腫以外のところに、がんがある場合というのは、もちろんそれは対象外になってしまうのですけれども、一応、何年も前の治療歴ですと、全てのやつを、そういうふうに指定していかないといけないし、患者登録がなかなか難しくなってしまうというふうに思いますので、それ自体を。1度がんにかかった人は登録できないという話ではないような気がして、我々の委員会としてはそういう判断をしておりました。
○福井部会長
 この点につきましては、よろしいでしょうか。
○花井委員
 今、若干、意見が。何らかのやっぱり、既往があったら全然駄目というわけではなく、かつ慎重にというとちょっとグレーな感じだと思うのですけど、こういうのは、僕は素人で分からないんですけどやっぱり、何らかのクライテリアで完治後何年たったらいいとか、そういうはっきりしたのがないと、研究を進めるほうも混乱すると思うんです。何となく慎重にという意見をもらって、かつ既往があることだけでは排除しないという話なので、そういうのはどこで決めるかは知りませんが、何らかのクライデリアというのを明確にしたほうが、研究するほうも、参加するほうも分かりやすいように思いました。
○松山委員 この患者さんは、平成20年に胃がんで、平成27年に中皮腫ということなので、がんの切除が終わってから5年以上たっています。ほとんどの臨床研究の場合には、悪性腫瘍があっても、取り切れたと判断してから5年たった場合には、ないものとみなして行われます。そういう意味で恐らくクライテリアに関して満たしているんだろうと。ただ一方で、残胃からの発がんというですから、本当に残っていなかったかどうかというのは、科学的に私は個人的に興味があって。DNAのミューテーションの具合から残っていたものなのか、新たにできたものかが分かると思うので、こういうものが、もし今後、残っていたのか新たにできてきたのかを見るのであれば、そういうようなデータを蓄積していただくというのも、1つの提案としてあるのかなと思います。
○福井部会長
 それにつきましては、よろしいでしょうか。それでは、遺伝子治療と臨床研究に関する実施施設からの報告につきましては、本部会として了解することとしたいと思います。ありがとうございます。議事2に移ります。「遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見しに関する専門委員会の設置について」(案)です。事務局より説明をお願いします。
○下川研究課企画官
 資料2を御覧ください。遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会の設置案について御説明させていただきます。
 まず、設置の趣旨ですが、遺伝子治療等臨床研究に関する指針におきましては、現在、遺伝子治療の定義といたしまして、疾病の治療や予防を目的として、遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を体内に投与することになっております。
 一方、最近は従来の遺伝子治療の技術とは異なるゲノム編集技術が急速に発展しておりまして、海外では既に臨床試験も実施されております。ゲノム編集技術は、従来の遺伝子治療で行われるような遺伝子をウイルスベクターやプラスミドなどを体内に入れて、疾患の治療などに必要なタンパクを発現させるのではなくて、体内の遺伝子を切って、一部の塩基配列を変えたり、欠損させたり、目的の配列を導入したりすることによって、遺伝子を正常に戻したり、遺伝子をノックダウンさせる技術となっております。ゲノム編集技術は必ずしもウイルスベクターなどを使用せず、RNAやタンパクの形で投与される場合もあると聞いております。ゲノム編集技術を用いた疾病の治療が、海外では既に臨床研究も実施されていることを考えますと、近い将来、日本でも実施される日が来ることが想定されます。このため、ゲノム編集に対応した遺伝子医療等の臨床研究に関する指針の見直しを行う必要があるのではないかと考えられることから、本再生医療等評価部会に専門委員会を設置いたしまして、指針の改正の必要性等について検討を行いたいと考えております。
 検討課題といたしましては、遺伝子治療の定義や、適用範囲等の論点について、検討を行いたいと考えております。
 専門委員の構成ですが、遺伝子治療のほか、ゲノム編集技術の研究者、医療関係者、法学、倫理専門家等から構成し、委員、委員長は再生医療等評価部会運営規則に基づきまして、再生医療等評価部会長が指名することとなります。
 運営方法は、委員会事務局が厚生科学課で行うこととしております。本部会の御了解をいただきましたら、委員について、福井部会長と御相談をさせていただきまして、委員会を設置したいと考えております。説明は以上です。
○福井部会長
 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いします。
○岡野委員
 ここに書いてありますが、ex vivo遺伝子治療等臨床研究は、再生医療等安全性確保法に基づく規制に委ねると。要するに、一番現実で近いのは、キラーT細胞で、Tリンパ球等に抗原をアタックする。エチレンを人為的に入れて、それを増幅させる治療法の許認可は、遺伝子治療部会ではなくて、本部会でやるということだと思うのですけれども。一方、ここにも書いてありますけれども、in vivoのものは、やはり高効率にやるためには、どうしてもウイルスベクターは必要となりますので、これはどう考えても、遺伝子治療のほうに近いということなのですが、目指していらっしゃるのは、両方を統合したようなディスカッションをするということなのですか。
○下川研究企画官
 現在の、この遺伝子治療の指針が、最初の総則的な部分と、その後の個別具体的にやるべき事項と、2つに分かれていまして、総則的な部分については、ex vivoも適用になっておりますので、その定義の部分については、ex vivoもin vivoも共通になります。
○岡野委員
 要は、遺伝子治療のほうで、両方ともカバーしたいということですね。そこがよく分からなかったので。
○下川研究企画官
 両方をカバーすることを想定しております。ただ、ex vivoの場合は、ゲノム編集であろうとなかろうと、法律に基づく手続が必要になるかと思うのですけれども、ex vivoのほうは、遺伝子治療になるかどうかで、第一種再生医療等になるとか、ならないとか、そこのところでも影響が出てくるのではないかと考えております。
○岡野委員
 今、Tリンパ球を使ったがん治療などは再生医療部会で、遺伝子を導入していないのは第三種になっていたりとか。遺伝子を導入するものに、かなり近いということが言えると思うのです、ゲノム編集は。これが第一種になるというのは、僕としては意義があると思います。そのとき、遺伝子治療のほうはどのように絡んでくるかということが、もうひとつ分からないので、そこら辺を体系的な決まりにしていただくと分かりやすいかなという気がします。こういう場合はこう、こういう場合はこうと、そうしないと非常に混乱した申請、あるいは混乱した審査になる。あるいは、ある課題に対しては両方に掛けてたり、ある課題には片方にしか掛けていないと。そこら辺を、統一的なルールを前もってしっかり作られるということを、多分目指しているのではないかと解釈しましたけれども、それでよろしいのでしょうか。
○下川研究企画官
 基本的には、ex vivoに関わるところは定義のところだと思っていまして、定義自体は直接何か影響があるというようには考えておりません。in vivoに関しては、従来の遺伝子治療から外れるものが今ある可能性があって、それが取り込まれて、実際に申請が出てくるようになる可能性があるのですけれども、ex vivoのほうは、定義のところは関係ありますけれども、定義を変えたからといって実際にそれとは関わりなく法律に従った手続が求められるので、ex vivoのほうは、そんなに大きな影響はないのではないかなと考えています。
○山口委員
 ちょっと事務局から説明がありましたように、まず遺伝子治療の定義のところで、例えばタンパクと外部RNAだけを入れてやるようなCRISPR-Cas(クリスパーキャス)だと、遺伝子治療にならない可能性があるのです。結局、遺伝子を導入するという定義にしていますので、細胞の中に入れるのは、タンパクと外部RNAだけの場合には、遺伝子治療に多分ならない。そうすると、どこで審査するかは別にして、そうすると、例えば遺伝子治療でない、単に自己の細胞を加工するだけだとすると、三種になったりとか、二種になったりする可能性があるのですけれども、もう1つの懸念は、クリスパーキャスを使った場合でも、タンパクと外部RNAを使っただけでも、オフターゲット効果で、どこかの遺伝子に傷を付けたりすると、そういうこと自体は、遺伝子治療の評価方法を使ったほうが多分いいだろうと。だから、定義のところから、ゲノム編集をするやつを遺伝子治療と定義としたほうがいいのではないかという意見があるということだと思います。そういうことがあるので、見直しをやりたいという。
○岡野委員
 分かりました。それでしたら、賛成でごさいます。非常によく分かりました。それはDNAでも、ちょっとでも使えば、これは遺伝子治療になりますから、境界がはっきりしませんので、少なくともゲノム編集をやるものは括くっておいたほうが安全かなと思います。
○山口委員
 そのとおりです。ちょっとFDAとも議論したのですけれども、彼らも、今のFDAの定義だと遺伝子治療に入らないものが結構出てくるのです。そういうのをどうするかというのを今、議論しているようです。
○福井部会長
 よろしいでしょうか。ほかには御質問、御意見はございませんでしょうか。この委員会のタイムスパンはどうなりますか。どれくらいの期間で見直しの意見の取りまとめをするのでしょうか。
○下川研究企画官
 基本的には、定義のところと、場合によっては試験の計画の項目のところぐらいは変わる可能性があるのかなと考えておりまして、それを考えますと、数回ぐらい委員会を開けばいいのかなと。そうすると、春から夏ぐらいまでにはまとめられるのではないかと考えておりますが、議論の具合によってはもっとかかるかもしれません。
○福井部会長
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会の設置につきましては、本部会として了解していただいたということにいたします。

(非公開部分の議事概要については以下のとおり)
議事:第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認
議事概要:
1 以下の第一種再生医療等提供計画の変更について、再生医療等提供基準に適合していることを確認した。

【再生医療等提供機関】
地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院
【提供しようとする再生医療等の名称】
滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対する他家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞懸濁液移植に関する臨床研究

2 以下の第一種再生医療等提供計画の変更について、再生医療等提供基準に適合していることを確認した。

【再生医療等提供機関】
公立大学法人福島県立医科大学附属病院
【提供しようとする再生医療等の名称】
重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植

議事:その他
議事概要:
再生医療等技術のリスク分類に対する考え方について、本部会において了解した。

(了)

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