ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第11回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2017年2月2日)




2017年2月2日 第11回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成29年2月2日(木)16時00分~17時30分


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 高橋直人 幸野庄司 飯山幸雄 村岡晃 宮澤誠也 後藤邦正
中村聡 往田和章 小谷田作夫 糸数三男
<事務局>
鈴木保険局長 濱谷審議官 城総務課長 矢田貝保険医療企画調査室長 他

○議題

療養費検討専門意員会における論点と前回の専門委員会における主な意見

○議事

15時59分 開会

○遠藤座長

 それでは、まだ定刻より若干、時間がございますけれども、委員の先生方、全員御着席でございますので、ただいまより第11回「社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 まず初めに、委員の出席状況について御報告をいたします。本日は、原田専門委員、河野専門委員、清水専門委員、糸数専門委員が御欠席でございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は「療養費検討専門委員会における論点と前回の専門委員会における主な意見」について議題とさせていただきます。

 事務局より資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いします。

○保険医療企画調査室長

 それでは、御説明させていただきます。

 お手元の資料のあ-1をごらんください。前回、1月18日の専門委員会で、柔道整復師の指導・監査の状況、後期高齢者医療広域連合のあはき療養費の不正事例の状況、そして、あはき療養費の不正対策の強化、償還払い・代理受領・受領委任の比較ということで前回資料を御用意させていただきましたが、今回はその中でも不正対策の強化の部分と、償還払い・代理受領・受領委任の関係につきまして、前回に引き続き御議論をいただきたいということで資料を御用意いたしました。

あ-1は、前回の議論でどのような御意見が出たかというものを事務局のほうで整理をさせていただいたものでございますので、御説明させていただきます。

 1ページ目で、論点の1番目で「架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認・署名を行うことについて、どう考えるか」という論点でございます。

 これにつきましては、前回、1つ目の○で、柔道整復は急性期なので各月の最後の回に患者が確認・署名するということに手間取るが、あはきは慢性疾患なので、解決できる。患者ができ上がった請求書の中身を見ることができれば、多くは解決できるという御意見がございました。

 一方で、2つ目の○で、柔整で患者本人による請求確認・署名を行うことを実施し、それによって不正がなくなったと見える化ができてから、あはきに関して実施してはどうかという議論になる。順番が違うのではないかという御意見をいただいております。

 また、一番下の○で、不正請求を防ぐには患者が請求することに尽きるという御意見もいただいているところでございます。

 2番目が「虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、定期的に医師が再同意する仕組みについて、どう考えるか」という論点でございます。

 前回の御意見で、1つ目の○で、医師が診察した後に同意するので、内容や病気が違うということは、あはきにはない。

 1つ飛ばしまして、3つ目の○で、一方で申請書・同意書の偽造なども多い。

 医師の同意は必要性について同意をするだけで、施術内容を担保するものではない。不正は施術内容で起きているのである。訪問看護療養費は異なるということ。

 医師が、患者の希望で、同意をしたというケースもあると聞いている。同意書を用意するというチラシをつくっている施術者もいる。

 あはきについては施術期間が長いので、一定の期間を過ぎれば再同意が必要。

 実際に診察を受けている主治医から同意をとるということが基本になるべき。

 また、高齢者は、治療というよりも療養とか緩和ということが必要。そこに医師がきちんとチェックをしながら同意書を書くことが大事ということで、医師の同意、再同意について多く御意見をいただいているところでございますので、引き続き御意見をいただけたらと考えております。

 おめくりいただきまして、3つ目の論点で「長期・頻回の定義がない中で、1年以上かつ週4日以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させその結果を分析した上で支給回数の取扱いについて検討することとされており、こうした検討を進めることにより給付の適正化を進めてはどうか」という論点でございます。

 これにつきましては、週4回というのは月16回とすることを検討すべき。

 月ベースで何回というやり方にしたほうがよいという御意見をいただいており、大きな方向性としては特に異論がないという状況なのかなと思いますが、もし御意見があれば、本日いただければと思います。

 4番目の往療につきましては「往療の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けてはどうか」。

 これに対しましては、視覚障害のある方が書きやすいものかどうかということも踏まえて検討してほしいという御意見をいただいているところでございます。このほかに御意見があれば本日いただければと考えております。

 5番目で、療養費の審査体制で「審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとすることについて、どう考えるか」という論点でございます。

 これについては、前回、御意見がございませんでしたので、もし御意見がございましたら本日いただければと考えてございます。

 おめくりいただきまして、6番目。ここからがどちらかというと対立する意見が出たものでございますが、6番目が「受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか」という論点でございます。

 前回意見では、指導監督を行うには、受領委任制度のような施術者に関して規定する制度の導入が不可欠。

 今回報告された不正請求は驚くべき数字。これがこのまま進んでいくのであれば、指導監督を導入する仕組みを考えるべき。

 また、あはき療養費の保険者別の給付割合としては、後期高齢者医療制度が大半で、はり・きゅうが64%、マッサージは89%で、全国後期高齢者医療広域連合協議会からは、あはきについて国・都道府県に指導監督権限を付与すべきという要望書も出ているという御紹介もございました。

 一方で、受領委任の前に、まず保険者が自分のところで保険者機能を発揮して、チェックするところから始めるべき。保険者機能を発揮すれば、保険者が指導監督できるという御意見がございました。

 7番目で「受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか」という論点でございます。

 不正の背景として、制度を十分理解せずに取り扱いを行っている実態があると思われるので、改善すべき。

 モラルを醸成する教育であったり、指導監督の仕組みが不正請求の抑止力として働くという御意見がございました。

 おめくりいただきまして、ここからは前回資料でいきますと、償還払い・代理受領・受領委任の比較の資料の論点立てに沿っているものでございます。8番目で「患者(被保険者)が請求するよりも、施術所等が請求(代理受領・受領委任)した方が、架空請求や水増し請求が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか」という論点でございます。

 これについては、前回、代理受領では、資格のない請求代行業者も請求できることが問題。そこが医師の同意書をとっている例もある。受領委任により、あはきの資格を持っている者のみが請求でき、厚生局からの指導監督を受ける仕組みが早急に必要という御意見をいただいております。

 9番目で「施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、給付費が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか」。

 お手元にも前回資料がありますが、例の広島の事例での、償還払いに戻したら額が減ったという資料を見ながらの御意見でございました。広島の事例では、償還払いに戻すことにより、支給額が減り不支給決定が増えた。請求者が患者だから、保険者は患者に対して指導できる。

 指導監督の権限がないというが、保険者に対しては指導監督できるので、そういうことをまずやっていくべき。保険者機能を発揮するよう指導をすべき。

10番目、患者の利便性ということで「施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、患者の利便性が高いことについて、どう考えるか」という論点でございます。

 これについては、もともとの償還払いに戻せばいいということについては、高齢の方が一回一回現金で支払って、領収書をためて、御自身で申請書を書いて、保険者に提出するのは大変だという御意見があった。

 その一方で、療養費の本質は、法87条のとおり保険者の判断でやむを得ないと認めたときに払うというもの。利便性により、法律の趣旨、療養費の趣旨を変えるのは絶対におかしいという御意見をいただいております。

11番目でございますが「柔道整復療養費の受領委任制度について、問題がある一部の患者について償還払いに戻すことについては、今後の検討課題とされていることについて、どう考えるか」。あはきについて、これについて検討することについて、どう考えるかというところでございます。

 これは前回、御意見がございませんでしたので、もしあれば今回いただければと考えてございます。

12番目の論点で、保険者の裁量ということで「いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられている。受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか」という論点でございます。

 これに関しましては、受領委任制度を検討するには、以下の(1)~(4)を明確にクリアできなければ、入れることはできない。

 (1)で、療養費の支給は、療養の給付の補完的な役割を果たすもので、償還払いが原則である。

 (2)で、受領委任払いは、これを認めても弊害が生じる危険性が乏しく、認めるべき必要性・相当性があるなどの特別の事情がある場合に限って認められる特例的な措置である。

 (3)で、受領委任払いは、不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見過ごす危険性が大きい。

 (4)で、具体的にいかなる支給方法にするかについては、保険者の合理的な裁量に委ねられている。

 また、当事者全てが納得しなければ、制度を導入することはできないという御意見もいただいております。

 最後の6ページ目でございますが、全体としまして、特に柔道整復との比較について意見が出ておりますので、こちらにまとめて整理してございます。

 1つ目の○で、患者が請求をチェックし、医師の同意があるという意味では、柔道整復とは異なる。あはきはあはきとして支払制度を構築すべき。

 1つ飛ばしまして、不正の問題は、受領委任とは直接関係なく、代理受領であっても、同様の問題を抱えるのではないか。あはきは代理受領が広がっており、よりよく管理するには受領委任制度を積極的に検討すべき。

 超高齢化社会を迎え、高齢者の在宅生活を支える体制をどう確保するかが課題となっている中で、指導監督の制度がなく、支払いだけが代理で行われるのは難しい。高齢者の在宅生活を守り不正がなくなる体制づくりは早くやるべき。柔整と並行してやるべきという御意見でございます。

 一方で、再掲になりますが、療養費の本質は保険者の判断でやむを得ないと認めたときに払うというもので、利便性により、法律の趣旨、療養費の趣旨を変えるのはおかしい。

 柔道整復については指導監督の仕組みが機能していない。そのような中で受領委任の仕組みを入れても療養費がふえるばかりでメリットはない。

 次のところは再掲ですので、先ほど読み上げました以下の(1)~(4)を明確にクリアできなければ入れることはできないということと、当事者全てが納得しなければ制度を導入することはできないという意見も再掲で載せております。

 保険者の不正請求への対応も差がある。これは前回の広域連合の不正請求の対応のことでございますが、これを全国一律の制度にすれば同じレベルでできるのではないかという御意見。

 さらに、柔整の不正があるからあはきの不正対策は立ちどまるということではなく、並行してやらなければならない。他山の石として、反面教師として、早目にこちらで解決するという方法もあると思う。待ったなしでいかないと不正対策がおくれるということもあるので、議論を早めるべきという御意見をいただいております。

 今回もこれらにつきまして、言い足りないところの意見であったり、もしくは意見が出ていないところの意見であったり、反論であったりということで議論を深めていただければということで、このような資料を用意した次第でございます。

 参考資料といたしまして、お手元に真ん中に(参考資料)と書いてある資料があるかと思います。

 おめくりいただきますと、先ほどの御意見の御紹介の中でも御紹介いたしましたけれども、療養費の保険者別カバー率について整理いたしましたので、御紹介させていただきます。

 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの保険者別のカバー率で、これは給付費の割合でございますが、やはり高齢の方が多いということで、あん摩マッサージのほうは後期高齢者広域連合が79%、市町村国保が17%、協会けんぽが3%、組合健保が1%という状況でございます。はり・きゅうのほうにつきましても、後期高齢者が58%、市町村国保で25%、協会けんぽが11%、組合健保が4%という状況で、後期高齢者と市町村国保がそれぞれ多いという状況でございます。

 参考までに、2ページは柔道整復のほうですと、これは急性期のけがでございますので、協会けんぽ、組合健保のほうも給付がそれなりにあるという状況でございます。

 最後、前回、審査請求について御質問があったので、それを整理したものが3ページでございます。

 御紹介しますと、何で審査請求ができるのかということについてでございますが、解説本によりますと2行目からの、現物給付以外は保険者の支給決定に委ねられている。療養費も保険者の支給決定に委ねられている。だからこそ、保険給付に関して、被保険者、事業主その他の関係者において、その権利を侵害され、あるいは利益を毀損されたとして争いが生ずることも当然予測され、このような場合に、権利救済の手段として、通常の裁判制度によるべきことはもちろんであるが、これよりも、これは長期にわたることと多額の費用を要すること等で実効を期し難く、被保険者、事業主などの権利、利益の保護に欠けるところがあるので、簡易迅速にこれらの権利、利益の保護を図るべく不服申立制度が設けられているということでございます。

 事務局からの資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 前回の御議論の内容について整理をしていただいたものを資料として出していただいたわけですけれども、本日も前回同様、また御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。御質問・御意見等があればいただければと思います。

 往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 往田です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 懸案となっております、受領委任を含む、いわゆる現物給付についてでございます。

 今までの私の意見といたしまして、特にこの場ではいわゆる柔道整復の療養費の問題点について議論されることが多かったわけでございまして、それを受けて柔整以外のいわゆる現物給付についても多面的に検討していく必要があるのではないかということを提案させていただいておりました。

 その中で、過去の今までのこの委員会の中での発言を、議事録を読み取りますと、まずいわゆる医科、療養の給付では柔整のような問題は起こり得ないということが1つ。もう一つは、先日の委員会の中でいわゆる訪問看護療養費に関しては不正の起きにくい制度建てになっているという御発言がございました。これらの意見を総合的に判断しますと、この問題に関しては現物給付そのものが問題ではなくて、制度建ての問題ではないかというように思っております。

 現物給付は現物給付として完全にうまくいっているとは言い切れない部分もあろうかと思いますが、それぞれ他の現物給付に関しては不正請求を抑制するような仕組みが皆様の工夫で成立しているわけですが、ここでやはり現物給付そのものが論点となるのではなくて、どのような制度建てでこの問題を解決していくのかということ、ないしはいわゆる多数ある現物給付の制度の中で柔整の特異性は何なのかといったところを議論を深めていければと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 中村です。きょうもよろしくお願いします。

 柔道整復のほうの不正事件がなくなって、不正請求がなくなった。それが見えてから、あはきのほうを実施してはどうかという御意見をいただいていますけれども、やはりこの前、新聞の報道の中でも不正事件が挙げられたわけですので、もう柔道整復をしなければあはきのほうができないということではなくて、やはり両方並行して適正化をすべきだなと私は思います。

特にあはきは、患者のチェック、医師のチェックが働きやすいということが現行の取り扱いでもありますし、さらに今回の、前回の柔道整復師の検討専門委員会において、審査・指導監督関係を見てみますと、大分細かく、このような形で、このような支払制度については白紙をなくすための努力はされていて、私たちはさらに同意があったりということでチェックはできやすいと私は考えています。

 今後、さらに中をどんどん詰めていくとするならば、例えば訪問介護のサービスの中で行われているというのは、訪問活動記録簿などを各介護保険のサービス事業者がその都度、利用者さん宅、それから、その複写をサービス事業所が預かるという形で、後で疑義が生じたときで確認ができるような作業までできておりますので、そのような格好でやっていけるのではないかなと考えています。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 支払い側、何かコメントはありますか。

 では、小谷田専門委員、どうぞ。

○小谷田専門委員

 小谷田です。よろしくお願いします。

 前回も申し上げましたが、私はあん摩マッサージのみの施術者なのですけれども、私は17人行っておりまして、全てが後期高齢者でございます。前回も申しましたように、私自体は直接、主治医の先生に同意書及び口頭同意もお願いしていることでございますが、代理受領では資格のない請求代行業者も請求できることが問題になっていまして、資格を持っていない人もできてしまうわけです。

 患者のチェックも請求代行者が実際には行われていない場合も多いと思われます。そして、営業マンの方もたくさんおりまして、前回も報告されましたように、同意書もとるから委託をして営利目的でやられているような業者が多いと聞いております。ですから、今後は代理受領できちっと不正を厳格にコントロールしまして、我々の研修を重ねて不正及び不適がないような仕組みの代理受領でぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。今、施術側からは一応、意見が出ましたので、支払い側、何かあれば。

 幸野臨時委員、お願いします。

○幸野臨時委員

 今の意見に関連いたしまして申し上げますと、現在、柔道整復療養費の委員会では、受領委任制度に指導監督の仕組みがあるにもかかわらず全く不正が解決されていない中で、不正対策を議論している最中です。12月の委員会では、地方厚生局へのヒアリングにおいて、指導監督という制度を入れても解決できる問題ではなく、受領委任制度の仕組みが問題なのだということははっきりおっしゃっています。

 この事から、指導監督という制度を入れても解決しない問題を先に解決するように議論を始めるべきであり、そこがクリアにならないまま、受領委任制度をあはきに導入して問題解決を同時並行でしていけばいいという問題ではないということをまず申し上げておきます。

 あと、現物給付という意味では保険指定医と一緒ではないかというご意見があるのですが、保険指定医や訪問看護療養費はがちがちとした施設基準等々がある仕組みであります。療養費は87条の中で支給の決定は保険者の判断に委ねられております。、全く違う制度であり、同様に考えないでいただきたい。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 では、中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 療養費の取り扱いについては前回もお話をお伺いしたわけですけれども、そもそも、この療養費というものも考えると、医療保険制度の中にあるものなのではないのかなと思っています。

 それで、健康保険法の第1条で言うならば、この法律は、労働者及び被保険者の業務災害外の疾病、負傷もしくは死亡または出産に関する保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするという大前提があって、私はこの療養費の考え方というのは、さらに療養の給付の中で補完できないものを優しく包むという制度であって、優しく包むときに保険者機能の中で本当にそこで支払われるべきものなのか、そうでないものかを判断するということだと思うのです。

 ですから、保険者機能を使って切り捨てるという話ではなくて、さらに包んでいけるものかというところを判断されるものではないかなというのが私の思うところです。

○遠藤座長

 では、幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 おっしゃるとおりなのですが、療養費の支給の決定はあくまで保険者が判断するという原則は絶対変わりませんので、そこは誤認識なきようお願いします。

○遠藤座長

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 前回もお話しさせていただいたのですが、保険者様方がそれぞれ、それぞれの基準によって取り扱われていると、私どもの被保険者、患者さんを見てみますと、やはり取り扱いに差があるのです。ですから、非常に厳しく取り扱われる場合と、非常に包み込むように優しく取り扱われる場合とがあると思うのです。

 ですから、これは国民の医療という点で見るならば、やはり平均化していくべきだなと私は思っています。その辺においては、保険者機能を進めることはいいかと思いますが、それを均等化させていくことはやはり必要なのではないか。それは誰がするのかということであるならば、私は国がその調整をすべきではないかなと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 ほかに何かございますか。

 飯山専門委員、どうぞ。

○飯山専門委員

 今のお話に絡めば、資料の2ページの5番に「療養費の審査体制」という項目が出ております。「審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとすることについて、どう考えるか」ということでございますけれども、現状では審査をするに当たっても、前から話題になっていますように、基準が幅が広くて、どこに焦点を置いて決めるかというところが曖昧になっていることが結構多いと思っているのです。ですから、今の中村専門委員のお話の中で、国できちんと整理すべきだということがありましたけれども、まず一番根っこのところをきちんとしていただかないと、審査会をつくってもなかなか難しいということがございます。

 それと、自分も保険者のほうの立場で言うのもなんなのですけれども、やはり審査会をつくるとなると、それはそれだけに経費がかかりますので、保険者が支払うべき審査支払手数料について考えなくてはいけない。それは審査会をつくれば、はっきり不正が減って、費用対効果が出るということであればわかりやすいのですが、なかなかこれは難しいところがありまして、審査会で専門家がきちんと見るということで自己抑制が働いて、余りへんてこな請求が出てこないという状況、抑制効果が働くという意味もありますので、個別にどれだけの経済的効果が出るかというのはなかなか見えにくいところがあるのですけれども、それでも審査会をつくって、そういう審査体制をきちんとしたほうがいいということであれば、どういうふうにつくるか。それで、その根本となる審査基準をどうするかということの議論が必要ではないかと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 どうでしょうか。関連でも結構です。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 今の御意見ですが、1つ、市町村でいいますと、東北のある一つの市が協定を組むという格好をしました。ですが、中身を見ますと、非常に被保険者は使いにくい条件、足かせがついていたなと思います。ですから、それが独自にそこでやろうとするとそういうことが起こってしまうので、やはりこれは国が、厚生労働省が一本化すべきだというところにあったわけです。そこの事例も、結果的には協定に向けて受領委任制度を導入しようということで動きましたので、やはりそれのほうがいろいろな意味では合理的なのかなと思われた事例です。

 それで全国の、私ども公益社団法人日本鍼灸師会の各県にアンケート調査をしたのですが、そうしましたところ、ほとんどが内部で会員向けに研修を行っています。それから、遵守契約書なども用意して、保険についての認知をさせるということをしています。その結果、何が起こっているのかということなのですが、国が示していただいた償還払いの実態よりも実際、全国のほんの一部の市町村で償還払いが、健保連合会は別です。ほとんどのところで代理受領委任制度を認めてくださっているのです。それは保険者の裁量権において、それだけ研修も、または調査、努力も内部でやっているのだなということで出されているのかなと思っていますので、個人請求を行っている方々のところは保険者の裁量で償還なのだというのが合わさると、前回、国から出たような資料になるのかなと。

 ほぼ100%に近い状態が受領委任であったと思います。健康保険組合連合会について言いますと、3分の2ほどは受領委任であったと私どもはこのアンケートからは情報を得ています。

 以上です。

○遠藤座長

 いかがでしょうか。ただいまの御発言に関連してでも結構ですし、そうでなくても結構でございます。

 飯山専門委員、どうぞ。

○飯山専門委員

 審査委員会を例えば国保連合会につくって、代理受領の中でその審査を委託されるということはあるかもしれませんけれども、その審査体制をつくるということと、今、お話になりました受領委任制度に行くという、いきなりリンクするものではないと思っていますので、そこのところは誤解のないようにお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 中村専門委員、よろしいですか。

○中村専門委員

 はい。

○遠藤座長

 では、往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 先ほどの幸野臨時委員の御発言についてです。

 まさに幸野臨時委員がおっしゃるように、医科の保険医制度と訪問看護における指定基準では制度建てが全く違う。一緒に議論するのはふさわしくないというお話もありましたが、まさにこの点が私が申し上げているとおりでございまして、幸野臨時委員がおっしゃっている内容は、まさに現物給付が問題ということではなくて、私が先ほど申し上げましたように、制度建ての問題であるということにおいて共通の一致点があったのかなと思っておりますし、まさにこれも先ほど私が申し述べたように、その中での柔整の特異性というものは一体、何なのだろうかという議論を深めていくに当たって、まさに柔整の専門委員会の場で柔整の適正化についてさまざまなお話し合いがされているということだと思っております。

 さきの専門委員会で提示されました、いわゆる9億5,000万円なるものの不正請求の件について、ちょっと意見を申し述べたいと思います。

 この中で、割と不正請求の額が多かった都道府県として、私がいる神奈川県もその中に挙がっていたわけですが、これは平成20年に、まずある1件の大規模な業者さんの不正請求がこの総額を押し上げているわけでございますけれども、この不正請求が発覚した経緯は何だったかといいますと、保険者さん、横浜市国保や神奈川の後期高齢が患者さんに通知をした医療費通知を患者さんが見て、実際に受けた治療日数と違うということの申し出があったということがまず一つ、この不正の発覚につながっております。まさに先日の議論の中で保険者機能を発揮するべきだというお話がありましたが、特にこの神奈川と、もう一つは和歌山もそうなのですけれども、不正が発覚した発端はまさに保険者機能を発揮していただいた結果だったわけでございます。

 神奈川はその後、さらに適正化を進めるために、これも以前の専門検討委員会でも申し述べているのですが、神奈川県から関東信越厚生局に対して施術者団体を1つに絞って受領委任契約を結ばせてほしい。これはまさに平成20年に起きた不正請求事件を受けて、さらなる適正化を目指す観点から出されているということでございまして、保険者さんの中にはやはり、ある程度制度化をして、これがもちろん、受領委任を導入すれば全ての問題が解決するというふうに我々も思ってはおりませんが、少しでもこの適正化のための前進の施策の一つの方法として、そういう意見を持たれている保険者さんもいらっしゃったということで、我々もこれを支持したいと考えております。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 まさにいいことをおっしゃっていただいたのですが、要は受領委任を導入する前に保険者機能を発揮することをまずやるべきなのです。先ほどおっしゃっていただいたように、医療費通知から発覚したということは、まさに保険者機能を発揮して不正を見つけたということなのです。前回の資料で広域連合の不正請求等の該当なしという回答についてはどういう状況になのか調べて欲しいとお願いしております。保険者機能を発揮して、患者調査をし、不支給通知を出すことによって不正を摘発できていることが見えてきているわけです。広域連合は患者の方も多く大変だという事は分かりますが、まずはそこから始めるべきだと思います。

 ついでに関連して申し上げますと、柔整の委員会の中で申し上げました、奈良県の橿原市の広告規制の取り組みについて説明いたします。柔整法やあはき法に基づいて、県から指導監督の権利を条例にて移譲され、適正化の取り組みを市みずからされており、かなりの効果を上げられているという実績もあります。橿原市には柔道整復師とかあはきを指導監督する権限があるので、徹底的に指導していきますと。宣言されているのです。受領委任の制度を導入しなくても、このような指導監督はできるわけです。見事に広告の規制は発揮されて、法を遵守した広告になっており、不正請求も摘発されていると聞きます。

 従いまして、行政は、受領委任制度導入しなくても、地方厚生局に伝えて、このような取組みを都道府県に行うように指導すればできるわけです。広告の規制や指導監督をやらずに、受領委任で全てが解決するのではないかということを議論しておりますが、柔整で不正対策ができ、不正がクリアになってから、あはきに導入すべきなのか、議論はそういう順番で始まるのではないかということを私は繰り返し申し上げているわけです。今、受領委任を導入することは給付費や、不正請求が増大するだけです。国を挙げて医療費適正化に取り組んでいる中で、問題のある受領委任制度を導入することを国はみずからやるのですか。その前にやることが、奈良県橿原市の例のようにあるのではないかということをまず考えていただきたい。そこを重点的に言いたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 それでは、順番にいきましょう。小谷田専門委員、それから、往田専門委員、中村専門委員の順番でお願いします。

○小谷田専門委員

 先ほど私、受領委任のことを代理受領と申しまして、修正いたしますので、よろしくお願いいたします。

 今、幸野臨時委員のほうからお話がありましたけれども、また原点に戻ると思うのですが、柔整の場合とあはきの場合は、繰り返すのですが、全く違うという状況です。患者さんのチェックも月末にありますし、また、同意書も医師の同意書があって、病名があって、しっかりと患者さんを管理して、口頭同意も3カ月ごとに主治医さんに行っていただいているということは全く違うわけです。

 それと、指導監督の体制ですけれども、受領委任制度でやらないとなかなかうまくいかないと思いますが、そういう中で保険者さんがぜひ今までの御経験とそういう機能を発揮していただいて、前回は清水先生が保険者さん側が横一線でないというお話もありましたけれども、ぜひ保険者さん側がどういったあるべき姿の指導監督制度というものを打ち出していただいて、厚生局の方とも当然、国のほうとも議論していただいて、そういう指導監督体制をぜひ確立していただきたいと思います。

 このままでは、例えばどんどん不正が起きるような、全く指導監督もされていないわけですから、早急な受領委任制度にしないとどんどん不正がふえてしまう。その最たるものが私は、何回も言いますが、請求代行業者みたいな、神奈川でも往田専門委員が言ったような大きな不正がありました。そういったものを撲滅するためにも、ぜひ受領委任制度とともに指導監督を保険者さん側にも参画してやっていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 では、往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 今、御指摘がありました奈良県橿原市の事例に関して、私もよく承知しておるところでございます。橿原市の取り組みは、今、幸野臨時委員もおっしゃっておりましたが、いわゆる柔整の広告制限の問題になっておりまして、厳密に言うと、療養費の取り扱いのところとはまた分けて議論をしなければいけないところだと思っております。

 ただ、1つ言えるのは、いわゆる保険者と施術者側の協定の中でそういった広告制限のものも盛り込むことは可能かと思いますが、現行ではなかなか、この部分、手が出しにくい。部署が違うというところもあって、制限が各自治体によってまちまちであろうかと思っております。

 ここで、いわゆる施術者側の不正の件も多々問題になっておりますが、先般の専門委員会において広島の事例がございまして、その件について少し意見を申し述べたいと思います。

 広島県の組合健保で代理受領から患者の直接請求償還払いに戻したところ、給付費は減って、不支給が多くなったということです。支払い側の委員の方の御意見ですと、患者がみずから請求することが、施術者がかわりに請求することに比べて適正な請求が多くなるという御意見でございましたが、その一方で総支給額は減ってはおりますが、不支給がふえているということになっております。

 私も現場で施術に当たっておりますので、これはこの広島の保険者さんということではないのですけれども、やはり被用者保険、特に組合健保の患者様の施術を担当しますと、なかなか厚生労働省通知から逸脱した中で不支給というものが出ることがごくまれにございます。その中で、患者さんには審査請求や再審査請求をお勧めするわけなのですけれども、なかなか被用者保険の方は勤めている会社に対して訴えを起こすことに非常に精神的な抵抗があって、ほとんどの方が不支給をそのまま受け入れてしまうということがありまして、これは一つ、資料の見方としては、適正化が図れた、支給額が減ったという見方がある一方で、これは心理的な受領抑制があるというふうに捉えることが我々にとっては自然ではないかと考えております。

 そういったことも含めて、被保険者の公平性とか不正請求の適正化もそうなのですけれども、施術を必要とされている方がルールの中できちんと施術を受けられるということを担保するといった意味でも、統一的な制度の中で運用していくことが望ましいのではないかなと考えております。

 以上です。

○遠藤座長

 では、幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 広島の例を出されましたので、私は広島県下の健保組合の方にどういう状況になっているかを聞いたのでお答えします。なぜ不支給が多くなっているかというと、患者が直接請求してくるため、保険者は患者に状況等を非常に聞きやすくなります。患者は、療養費の仕組みというものを全くわかっていないため、保険が使えるあん摩、はり・きゅうという感覚しかなく、あなたの症状には保険は使えないのですと説明いたしますと、そこで初めて、療養費というものはこういうものなのかというのを患者が知るわけなのです。

 しかし、代理受領では、請求者が施術者なので、患者が知らないところで物事が処理されており、患者は保険が使用できるかどうかを勉強せず、同じことを繰り返します。しかし、患者本人の請求に変えると保険適用の範囲を学習することから、二度と保険対象外で請求されることはなくなります。患者が学習し、療養費の本質というものを理解したことで支給額が減ってきているのです。ですから、療養費というものは87条の本質どおり、患者の請求というものが最も効果的なわけなのです。

 広島はそういう事例がありますので、ちょっと誤解されている点があるかもしれないのですが、発言させていただきました。

○遠藤座長

 関連の御発言でした。

 それでは、中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 お話ありがとうございます。そういう事例もあったということですね。

 これは逆に、被保険者教育というものは別に申請書が出てこなくてもできるのではないかなと思っています。組合連合のホームページを見させていただいても、被保険者向けにははり・きゅうまたはマッサージの取り扱い、または柔整の取り扱いはこういうことですというものを挙げていらっしゃいますし、申請が出た時点でも組合員に説明されているではないですか。ですから、その時点でその組合員は本来理解をしていると思います。

 ほかの保険者さんにつきましても、このことはホームページ上も出ておりますし、または申請が出た時点で被保険者に確認を、協会けんぽでもそうですが、どれだけの費用を使っているねと。それで、使えるのはこういう条件にはまったときに使えるのですという紙を入れているわけですから、そこのところはクリアをしていくのではないでしょうか。ですから、そこが逆に広島の事例では保険者様方が保険者機能を発揮していなかったから起こったのではないでしょうか。

 その点についてはそう思いますが、私、もう一点言わせていただきますと、私どもの日本鍼灸師会の各県の保険部長が各県における保険者さんともお話をして、このような意見をいただいているのです。非常に保険者さんが悔しく思っているという点で言っていたのですが、不正が発覚した際に、保険者としてできることは返金を求めるのみなのだと。それで、追徴金を科することもできないし、施術者を罰することもできない。今の制度のままでは非常に悔しい。お金を返してもらうだけだね。何とか変えてもらったほうがいいのではないか。罰則規定というものはぜひ必要なのではないかということを言っていました。

 そう考えますと、今、ずっとお話を聞いていますと、やはり保険者機能を発揮すべきなのだという強いお気持ちがあって、それはそのとおりだと思いますけれども、発揮するというふうにおっしゃっても、たくさんの被保険者と他の保険者さんを考えると、保険者だけでは大変なのではないでしょうか。そういう意味では保険者機能の発揮と、これは厚生労働省にお願いして、管理・監督が両方できるような制度づくりというものはやはり必要なのではないかなと私は思います。

 以上です。

○遠藤座長

 いかがでしょうか。

 それでは、村岡専門委員、お願いします。その次に、高高橋専門委員の順番でお願いします。

○村岡専門委員

 何点か、意見を申し上げたいと思います。

 論点1の架空請求・水増し請求の患者の署名の関係なのですが、基本的には前回の資料の中でも、特に架空請求・水増し請求の不正請求がこれまであったということもございますので、国保や後期で非常に医療療養費を多くの金額を使っているという実態からすれば、柔整に適用できなくても、あはきでも不正対策ということでは先行してやるべきではないかと考えております。特に医療費通知等で患者さんに知らせることによって、本市でも医療費通知をやっているのですけれども、こういう問題が解消できるということであれば先行的な導入ということも検討すべきではないかと考えています。

 論点2の虚偽理由による保険請求の関係で、今日は清水先生がおいででないのですが、特に高齢者の方が非常に多い。あん摩マッサージについては60歳以上が9割以上という現状でございますので、そういった形での療養と緩和というものの必要性からすれば、医師の同意の内容というものは非常に重要な意味を持つと考えております。そういった意味で、現状では単純に施術について必要性を認めるだけの同意になっておりますけれども、内容的な工夫、例えば施術回数であるとか、必要な状況ということを記載するとか、これは同意をするドクター側にも非常に大きな問題点はあるだろうと思いますが、ドクターに対する教育も含めて、そういうふうな仕組みが構築できないのかなと考えておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 論点4の往療料の問題なのですが、特に往療料が療養費に占める割合が非常に高いというのが全体的な問題になっておりましたので、あん摩マッサージについては多分、6割程度だったと思いますが、ここについて不正が非常に多いという現状ではないかと考えています。全国的な新聞報道にもありましたように、不正の仕組みとして、1つの事業所に対して往療に行って、何件かの保険者に分けて往療料を請求することがやられているということが載っておったわけですが、これは保険者機能を幾ら強化しても、これを確認することはできないわけですから、ある意味、往療の不正を減らすための様式の見直しということと、統一的に何らかのチェックをするような仕組みがない限り、この問題は解決できないのではないか。

 特に、この金額が非常に多いということを新聞でも指摘されておりましたので、何らかの仕組みとして、システム化も含めてチェックをできるような考え方を導入していかないと、一番大きな金額を占める不正の問題点は解消できないと考えておりますので、当然、視力障害のある方もいらっしゃいますから、システム化をした場合に課題もあろうかと思いますけれども、ぜひそういうふうな仕組みづくりということを考えていただければと思っております。

 それと、指導・監査権限につきましては、やはり保険者機能で強化をしていくことも必要なのですが、国保や後期高齢者については非常に被保険者の皆さんというのがそれぞれの地域に点在しておりますので、なかなか保険者機能を強化するといっても、被保険者への確認作業とか、非常に苦労も多いという実態もございます。特に後期高齢者につきましては県域の事業所で、各市町村からの職員で構成しているわけですけれども、例えば高知県の中でも高知市に事務所が1カ所あるだけで、県域の施術所を全部チェックできるかというと、なかなか体制的にも難しいというところもございます。

保険者としてはチェックは当然、努力をしてやっております。

 前回資料の中で、高知県は不正がないという形になっておりましたが、現実的には不正と思われるような事例は幾つかありまして、本市におきましてもマッサージの施術所で患者を呼び込んで、保険が適用になりますということで施術を行って保険請求をする。たまたま市に関係する職員が呼び込みで行きましたので、それはおかしいではないかということで事業所に対して保険者と保健所が協力しながら指導に行って、結果的には高知では勉強になりましたと言って県外の地元に帰っていかれましたけれども、そういう実態もございます。

 そういう意味で言えば、やはり指導・監査権限を保険者だけではなしにさまざまな機関、厚生支局も含めて付与していくことは必要だと思いますので、それが受領委任制度によるのかどうかというのは議論があるところだろうとは思いますが、積極的な権限付与ということをぜひお願いしたい。特に療養費といっても、やはり税金が使われているというところですから、一般的に補助金でも税金が投入されているところに対してはやはり指導なり監査のチェックはなされるわけですので、療養費についてそれがないということ自体はやはりおかしいのではないかと考えております。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 先ほど高高橋専門委員があれでしたけれども、高高橋専門委員、それから、幸野臨時委員の順番でお願いします。

○高高橋専門委員

 いろいろと話が出ていますけれども、ちょっと行政のほうにお伺いしたいのですが、今、いろいろ言われている現在のいろいろな問題点というのは受領委任制度を入れないと絶対に解決できないのですか。私は根本的にずっと理解できないのですけれども、例えば先ほど各保険者で認定基準が統一的でないという話をしていましたが、それは償還払いであっても同じことなので、受領委任制度をつくる、つくらないではなくて、そもそも保険者の判断基準を統一するという話ですから、償還払いの世界と同じことですね。

 それから、ペナルティーがないと先ほど中村専門委員がおっしゃっていましたけれども、私が不思議なのは、そのペナルティーをどうするかは今の代理受領契約も私どももやっていますが、その契約の中で通常の物品とかサービスの売買契約だったら、その契約の中で何か瑕疵があれば損害賠償を請求します、あるいはペナルティーをかけますと書くわけですから、代理受領契約の形を変えて、何か変なことがあったらペナルティーをかけますと書けばいいだけの話に思えるのです。あるいはいろいろな今、こういうふうにしたらどうかというのは契約に書けばいいような話に私には聞こえるのですけれども、何が何でも受領委任だという話が一体どこから出てくるのか、私はそこが理解できないのですが、そこはどういうふうにお考えなのか。

○遠藤座長

 では、事務局、コメントをお願いします。

○保険医療企画調査室長

 まず、指導監督をすれば全てが解決するかといったら決してそんなことはなくて、今回、前回の資料建ても今回の資料建てもそうなのですけれども、近畿厚生局の方に言われて、やはり指導監督だけでもだめですし、やはり根本的な制度のほうでもちゃんとやってもらわないと、全て厚生局に投げられても無理だよということだったと思いますので、前回の資料も今回の資料もそうですけれども、そういう意味でこのパッケージで、1番の架空請求・水増し請求対策をどうするか、2番の虚偽理由による保険請求をどうするか、長期・頻回の施術、往療のところをどうするのかという、指導監督に至る前のところでの不正対策もやりながら、事が起きたときの指導監督ということも付与してはどうか。

 先ほどありましたけれども、保険者機能を発揮して不正がわかったとしても、現状では9.5億円の不正請求があったとしても返金してもらったらおしまいで、そこは引き続きお店として開けるという状態で、それに指導監督権限を入れて、受領委任であれば5年間はできませんとか、そういうところはそういうものを受けた人は国家資格としての柔道整復師、あん摩、はり・きゅうのところも業務停止何カ月のようなペナルティーを付することができるのではないかということだと思います。

 保険者でできるのではないかというのは私も考えたのですけれども、やろうと思えば、例えば不正請求をした事業所に対して、あなたは不正請求をしたのだから、この先、代理受領はあなたの施術は認めませんというのはできなくはないと思うのですけれども、ただ、それはほかの保険者と連動しているかというと、例えば国保ではそうなったけれども、ほかの保険者ではそういうことは連動していないので、そっちには請求できるみたいなことが起こるので、恐らく厚生局なり都道府県知事なりという公が加わることのメリットはそれぞれの保険者機能を発揮してやることもできるのです。

 それを束ねて、要は厚生局のほうで受領委任の取り消しということをすれば、それは全ての保険者で受領委任の取り扱いができなくなるという、統一的な運用ができるということのメリットと、結局、町村の例えば国保のほうで療養費払いをどのぐらいの職員でやっているかといいますと、1人か2人とかでやっている中で、本当にそういう取り消しのところまでとかがそれぞれの小さい保険者でできるかというときに、それは保険者機能としてやるべきだ、やれというのはあると思うのですけれども、何のために都道府県なり厚生局なりの広域的な組織があるかというと、そういうところをまさに専門的に情報を集めて、保険者がまず保険者機能を発揮して、不正の請求をもらって、それを厚生局なりが専門的に発揮して指導するという仕組みのほうがよりワークするのではないかということではないかなと思っています。

 さらに、指導監督だけ厚生局ができるかというと、やはりそれは何らかの協定なりの中で指導監督権限というものを付与しなければ、もちろん、勝手に公権力が指導できないので、そういう意味でも受領委任制度を入れることでそういうことが創設できるのではないかという話ではないかなと思います。

○遠藤座長

 高高橋専門委員、どうぞ。

○高高橋専門委員

 例えば、今は、ある保険者のところで何かおかしなことをやったとして、その情報は流れない。流れないなら契約に書けばいいのです。契約書で、もしうちで不正をやったら、ほかの保険者に連絡しますと、その契約書に判こを押してもらえばいいのです。それは連絡すれば、例えば私ども健保連とか国保中央会に流せば、その情報は全部末端に行くようにすればそれだけでいいはずです。別に行政を使う必要は何もない。まして、今は行政改革の時代ですから、無理やり行政が出てくる必要はないので、保険者間の連絡でそのシステムをつくれば幾らでもできるのではないですか。

 あと、不正の認定は確かに行政権限の部分はあるのですけれども、不正と言わずに、こういうタイプの請求行為を何度も繰り返すのだったら、もう代理受領ができる業者から外しますと。そういう契約の仕方はできるはずですから。そういう途中の議論が全部抜けていて、突然、受領委任の話に飛んでいくのは、私には理解できないです。

○遠藤座長

 それでは、幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 関連してなのですが、受領委任を導入しても、今のままでは何も変わりはしないのです。結局は保険者が動き出さないと、この問題は解決しません。受領委任を入れても、保険者が事実を調査し、厚生局に情報提供をしないと指導監督は機能せず不正は防げません。今は保険者機能が余り発揮できていないという理由があるからこういった不正も起きているわけです。受領委任を入れたから今の9億5,000万円が4億5,000万円に変わるかといったら全く変わらなくて、それを変えるためには保険者がもっと機能を発揮しなければいけないと思います。受領委任は解決の手段にはならないので、行政は受領委任を検討することではなく、保険者を指導していくことが必要です。

 往療料の不正についても、保険者で解決できます。今回、一部様式を見直したため、クロスチェックができると思います。今までは、クロスチェックもできていなかったのです。例えば高齢者の多い住宅ですと、ほとんど広域連合の被保険者であると思われるので、クロスチェックをすれば解決できると思われます。それらに代表されるように、保険者機能を発揮できないと、この問題は解決できない問題であり、受領委任云々の問題ではありません。全く違う論点を議論していると思われます。

○遠藤座長

 今のような御意見で、何か支払い側で御意見がありますか。

 それでは、そういう意見が今、支払い側から出ていますので、施術側、何かあれば。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 代理受領委任と受領委任は同じ制度では全くないのはもう御存じのとおりだと思います。それで、代理受領委任の問題というのは誰が代理してもいいわけです。ですから、施術をしている人間が責任を持つ制度にしないと、施術者の不正を取り締まれないのではないのか。私はそのように思うので、受領委任制度のほうがいいと考えているのです。

 逆に言うと、私、幸野臨時委員にお伺いしたいのですけれども、幸野臨時委員が償還払いでいいということであれば、償還払いの基本的な手続はどういうふうにしていらっしゃるのですか。どうやって保険者機能を発揮していらっしゃるのですか。順番にどういう手続を踏むのか、ちょっと教えていただきたいのです。

 償還払いになると、どういう手続で被保険者もしくは患者さんは請求できるのですか。そのお金を戻してもらえるのでしょうか。現金で、3,000円なら3,000円の金額を治療に支払った。その領収書をもって、保険者さんはどうされるのですか。

○幸野臨時委員

 保険者によって違うと思いますが、給付の請求が上がってきたときに、これは保険給付は適用ができませんということで給付をしない。それだけです。

○中村専門委員

 できるかできないかというのは、保険者機能でどう判断していらっしゃるのですか。

○幸野臨時委員

 患者に対し、どういう状態なのですかということを調査したり、実際に施術所に確認したりして、保険給付の基準に当てはまらないと保険者が判断した場合は、これは対象にならないと保険者の判断で行っております。

○中村専門委員

 ありがとうございます。そのとおりだと思うのです。

 そうなりますと、個々の一人一人の患者さんが対象で、それを保険者機能で十分チェックできるのですか。まず領収書なのですけれども、その領収書は間違いなく国家資格のはり師・きゅう師、マッサージ師が発行した領収書であることは保険者が調査しなくてはならないですね。まず、そこがあります。

 では、保険者がそれぞれ個々の申請書一枚一枚について、領収書一枚一枚について、もっと正確に言いますと、その申請書についている領収書一枚一枚について確認しなくてはならないですね。ですから、1つの申請書をチェックするのではなくて、この1枚の領収書、3,000円と書いてあった領収書は本当に国家資格を持っていた人間から連絡をしなくてはいけません。2枚目の領収書が違う治療院であれば、それも確認しなくてはいけません。1カ月に頻回施術で多いという問題が出されましたけれども、26枚違う領収書であったら、別にそれは一枚一枚調べなくてはならない制度です。ですからそれは、私どもは保険者さんにとって大変だなということの中から私どもはお手伝いしたわけではないですか。

 どういうお手伝いをしたかといいますと、申請書の中で施術者証明欄というものをつくり、少しでも保険者様の負担を減らすというのは保険者様とお話をしたからできた制度といいますか、一つの通知だったと思います。ですから、そういうお手伝いをしてきた中で、今の方法で保険者様にとっては割かし免許証の番号の確認か、もしくは施術者登録番号かを見ればできるようになったわけですので、私どもの努力もまず理解はしていただきたいと思っています。

 もう一つ、今、ここのところ、カリキュラム、はり師・きゅう師、マッサージ師のモラルの問題が上がりましたので、ここのところ、平成30年からカリキュラムが変更になりまして、特に社会保障、それから、療養費の制度とはどういうものであるのかについては、勉強の時間を長くするようにしました。ほぼ看護師と同じような時間数を単位としては、あはき師は勉強しないと取れない。その中で社会保障、特に今回、療養費の取り扱いというものはどういうべきものなのだというところがわかるようなことで、これも決定しましたのでやります。

 ですから、私どももなるべく問題が起きない努力はしてきて、ここまで来ていますので、その辺を御理解いただきたいと思っています。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 療養費の本質は保険者がやむを得ないと認めたときに支払うものです。保険者が判断するのですから、事務作業が繁雑であっても、調査決定することは保険者の義務になります。

 ほかの保険者がどうされているかわからないのですが、多くの健保組合は請求内容を厳重にチェックして、これが妥当だと認めたときには支給いたしますし、妥当でないと認めたときには返戻または不支給といたします。それがまさに療養費として支払う保険者の責務であって、それを回避しては日本の医療制度は成り立たないと思うので、そこは理屈として全然違うと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、後藤専門委員、どうぞ。

○後藤専門委員

 多くの患者さんを後期医療の対象者の方が占めている中で、先ほどから保険者機能の発揮というところに焦点が多く当たってございまして、確かに必要なことではございますけれども、御承知のように、現役で働いていて、いろいろなことの理解できる人と、もう隠居をして、75歳を過ぎて、動くことも判断することもだんだん衰えてきた人に対していろいろな事情を聞くというのは、これはやらなくてはいけないことかもしれないのですが、なかなか困難を伴うことだと言えていいのではないかなと考えますし、また、私どもは半分が税金、4割が現役の方からの支援で成り立っておりますので、保険者機能の発揮に伴う人・金・時間もやはり考えながら事業を進めていかなくてはならないのだろうなと考えます。

 それから、確かに療養費の本質的なことを考えると、縷々言われた状態の中であるべきものとは理解はできるのですが、実際に必要としている人がいる中では一概に今あるものをなしにするような議論というのはなかなか難しいので、私どもとしては制度の中で曖昧としたものをできるだけ排して、外形的に皆さんが認められるような制度にすることが第一だと考えています。先般の近畿厚生局の方々の苦悩を吐露されたことを見てもわかるように、指導監督権限はあればありがたいです。あってしかるべきだと思いますし、広域連合も要望しています。ですから、希望を当然しているのですが、実態を伴うものにはなかなかならないというのが現実的ですので、外形的にもう少し仕組みをきちっとしたものに、先ほどのお医者様の同意であるとか、申しわけないのですが、往療のあり方ですとか、それから、支払請求書の様式ですとか、そういったものを、割と曖昧模糊とした部分を排する方向で制度を改善して、このあはきについてはよりよいものにしていきたいなと考えているところです。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 ほかに御意見はございますか。

 では、往田専門委員、どうぞ。

○往田専門委員

 私、こちらの検討専門委員会の委員会を拝命してから2度同じ質問を事務方のほうに投げかけております。施術者に対して指導監督権限を行使するには、いわゆる受領委任を含む、法定代理受領であるとか、そういった制度建てが大前提となるのでしょうかという質問でして、2度とも、おおむね施術者に対して指導監督の権限を行使するには、そういった契約関係であるとかの法的な位置づけが必要なのだという御回答をいただいているので、それを前提として私どもは議論をさせていただいているのですが、きょうの先ほどの高高橋専門委員の御質問、同様の質問であったかと思いますけれども、ちょっと言いぶりが今までよりもトーンダウンしているといいますか、そういう印象を受けるのですが、再度質問させていただきます。この施術者に対して指導監督権限を行使するためには、法定代理受領ないしは受領委任といった契約関係であるとか法的な位置づけがどうしても必要なのでしょうか。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 また同じ説明をさせていただきますけれども、行政、公の機関が施術所に対して監督の権限を持つためには法律上の根拠か、もしくは協定でそういうことができるという根拠規定が必要になります。受領委任ではなくて指導監督だけのものが、協定ができるかということなのですけれども、幾つかこれまでも述べていますが、これは不正請求とかに対する、施術所が不正請求とがお金の取り扱いに関することについて指導監督をするわけですので、普通の広告とか施術の内容についての指導監督をするのではなくて、そこがお金を不正請求するということについて指導監督をするということですので、まさに受領委任ということで、そこの事業所が請求をするということが決まって、それに対して指導監督をするという協定を結ぶということによらないと、そういうことなしに、ただ単に指導監督を行政がしますという協定は結べないということをこれまでもずっと御説明をしてきているところでございます。

 加えて、ちょっと誤解があるといけないのであれですけれども、我々としても保険者機能はぜひ発揮をしていただきたいですし、保険者にもやっていただくのですけれども、さらにそれを強化する。それを保険者が不正だということになったときに、先ほど言ったのは、一律に受領委任の取り扱いを停止することについて、つまりペナルティー、罰則をちゃんとかけるように厚生局というものを、さらに保険者機能プラス厚生局にそうした権限を持たせたほうが、先ほど後藤専門委員からもあった、ほかの不正対策とあわせて保険者機能も発揮して、さらに厚生局がそういう指定の、受領委任の取り扱いの取り消しのような権限を持たせたほうがトータルとしてよい制度になるのではないかということで今回の資料をつくっております。

 もちろん、先ほど高高橋さんが言われたとおり、保険者同士で連携し合って、ここは取り消したというものを通知して流すのはあるかもしれませんけれども、現実には国保でいえば非常にたくさんの保険者もいますし、健保組合さんも非常にたくさんの健保組合がいる中で、ある組合がここを不正に認定したものを全ての保険者に流すということが現実的に保険者同士でできるのであれば、それは要は行政なんか要らないということかもしれませんけれども、恐らくそれは現実的には行政のほうで、いわゆる広域な行政のほうでやるという仕組みをつくったほうが、ほかのものと相まっていいのではないかということでこういう流れであるというものを、資料をつくっているという状況でございます。

○遠藤座長

 まず、往田専門委員、今ので何かあればコメントしてください。

○往田専門委員

 よくわかりました。

○遠藤座長

 なければ、支払い側からの意見を聞きたいと思いますので、支払い側、何かありますか。特段よろしいですか。

 では、高高橋専門委員、どうぞ。

○高高橋専門委員

 指導監督とは何だろうかと考えると、あん摩、はり、きゅうの保険上の請求を患者さんにかわって事業者が請求してくる。それがおかしいなと思ったら、今の制度では、柔道整復のほうでは、それはいろんな疑義があって、保険者から通知が行けば、行政が踏み込んでいける。そういうことですね。あん摩、はり、きゅうの方は、今は、契約ベースですから、おかしいと思ったら保険者は、健康保険法上は制度としては事業者には立入検査はできませんが、今度は、契約書の構成を変えて、要するに契約書の相手方になれるような適格な、有資格の事業者の基準みたいなものをつくり、さらに保険者が立入検査をすることを受け入れる、つまりどうぞいつでも私を調べてくださいと事業者が認めて判こを押してもらえれば、普通の指導監督とそんなに私は違いがあるとは思えないです。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 でも、それは現物給付をしないでということで、要は事業所を特定して指導監督を受けるという協定を結べば、受領委任とセットでなくても指導監督が、そういう協定ができるのではないかということだと。

○高高橋専門委員

 いや、それは代理受領契約の場合です。

○保険医療企画調査室長

 これは私の考えなのですけれども、行政がある事業所について、そこをちゃんと、的確に療養費の支払いをしているというような、事業者としての指定をするということであれば、今の日本の医療保険の原則というものは現物給付が原則ですので、当然、行政がある事業所について、そこはしっかりとした施術をして、しっかりとした支払いができるところだという特定をするのであれば、そこには現物給付をさせるべきだということになって、そこについては、そのかわり、きちっと指導監督をしますというふうに多分なるのだと思っていて、まさに受領委任の仕組みというものは、ある事業所を特定して、そこは受領委任の取り扱いができるということを認定して、そこについては、そのかわり、指導監督の権限を入れるということで制度ができているということだと理解しています。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 それならば、要は受領委任を入れるメリットというのは、行政が取り消しとか個別指導とかができるということですね。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 今回の資料で立てているのも、今、代理受領を実際やっているのですけれども、そこで不正があっても指定の取り消しであったりとかペナルティーということがないので、代理受領と比べて受領委任でやることのメリットというのは、まさにそういう権限が、保険者機能プラス行政がそうした指導監督ができる権限が付与されるというのと、先ほど高高橋専門委員と議論になりました統一的な、保険者同士でやるよりは広域的な行政がかむことで広域的な取り扱いを、いろんな町村の保険者なんかもある中で、かわって行政ができるという、多分、その2つのメリットであろうかと思います。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 先ほどから申し上げているのは、行政が動くためには保険者が動かないとだめだということなのです。今、保険者が動いていない現状があるから、それが問題になっているということで、そこをまず是正しなければいけないということを言っているわけです。前回、資料では、保険者が情報提供を753件行ったうち、受領委任の取扱い取消しは25件でした。その3%のために受領委任を入れるということですか。端的に言えば、牽制効果もあるのでしょうけれども。

○遠藤座長

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 まさにそれは御指摘のとおりで、そういう不正があった。それで、保険者がそれがわかった。今、それでわかって、お金を返してくださいで終わっているところについて、厚生局に通報しますと、あなたは一律に厚生局のほうへ取り消せばペナルティーを科されて、5年間施術ができなくなりますという、まさに牽制効果でありますし、当然、この議論をしていると本当に、最初のころの議論で、厚生局がそんなに本当にやってくれるのかという議論はありました。それで柔整のほうでは人員の、今年度は8人の増であったり、もしくは個別指導、指導監督のルールといいますか、やり方を迅速化するという改善策も柔整のほうも、そういう意味では途上ではございますが、やっている。

 御議論いただきたいのは、まさに保険者機能を発揮するのが先ではないか。それで、柔整のほうで受領委任をちゃんと指導監督するのが先ではないかというのもあるのですが、それが全部できるまで待ってからあはきはスタートするというのでいろんな事業所が、さっき出た代行請求みたいな事業者も出てきている中で、そういうほかがちゃんとできるまでそういうものはしないのだということで本当にいいのだろうかというところを御議論いただければと思うのです。

○遠藤座長

 幸野臨時委員、どうぞ。

○幸野臨時委員

 ですから、中身がしっかりしていないのに家の外壁だけをつくってもだめだということなのです。その3%の取り消しのために、この受領委任を入れたらどれだけのダメージが出ると思っているのですか。医療給付費は増大しますし、不正請求も増大します。それがわかっていて、家の外壁だけつくって、中身を全然改善しないままということであれば、大変なことになります。本当に行政として間違った方向に進んでいます。そこははっきり認識していただきたいと思います。家の中身とは保険者機能のことです。行政が指導して改善して行くことだと認識していただきたいと思います。

○遠藤座長

 では関連で、高高橋専門委員、どうぞ。

○高高橋専門委員

 行政がやると本当は一番難しいのは、不正の認定なのですよ。行政だから、それこそ不正をちゃんと認定しないといけないので、そうすると、不正というものは詐欺ですから、私もいろいろな事件を扱ってきましたけれども、詐欺を構成するだまそうとする意思を証明するのは非常に難しい。すると、こういう行為は全部手技ですから、一切形に残らないから、医療機関ではいろんな検査をしたりして証拠が残りますけれども、手技行為は一切何も残らないから、どうやって詐欺を認定するか、私は非常に難しいと思います。

 そういった意味で、別に受領委任だとか代理受領だとか、そういう話ではなくて、もともと不正という話にこだわると非常に難しいから、例えばこれは便宜供与の制度ですから、便宜供与の制度だったら、柔整のほうで申し上げましたけれども、請求について、ある程度の制限を設けて、これ以下は、ある程度の少ない請求だったら、ある程度認めるけれども、非常に過剰と思われるような請求だったら、そもそもこういう便宜供与を認めない。そういうふうにすっきりつくったほうが、先ほど中村専門委員もおっしゃったと思いますし、後藤専門委員もおっしゃいましたけれども、シンプルにやれるはずなのです。

 これは、受領委任はどうかは別にして、不正対策と言った瞬間に物すごく難しい分野へ入り込みますから、多分うまくいかないです。そこは発想を変えたほうがいいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 恐らくこの議論は、あと残された時間は5分ですけれども、この議論としましてはすれ違いの議論がそのままで、恐らくおっしゃりたいことは全て、かなりのところ、両側ともおっしゃったと思います。事務局もおっしゃったと思います。

 したがいまして、この議論については、きょうはこのぐらいにさせていただいて、残り、若干時間がありますので、それ以外の視点から何か御意見があれば拾っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 中村専門委員、どうぞ。

○中村専門委員

 細かいお話はしませんが、幸野臨時委員が言われた代理受領から受領委任に変えると医療費が伸びるのだということですけれども、現行の受領委任。

○遠藤座長

 その議論はやめようという話をしたのです。

○中村専門委員

 わかりました。

○遠藤座長

 飯山専門委員、どうぞ。

○飯山専門委員

 どういう形にしろ、やはり請求書をもっときちんと統一したものにしていただくのと、難しいと思うのですけれども、先ほど話が出ましたように、システム化。電子レセプトにしていただいて、審査といいますか、保険者の審査をしやすくするようにしていただければと思います。

○遠藤座長

 ほかに何かございますか。

 それでは、宮澤専門委員、どうぞ。

○宮澤専門委員

 今、各委員から保険者機能を高めるというお話がありましたが、私ども市町村国保の保険者としては、非常に少ない人員体制でやっているのも実態としてあります。そうした中、報道されていることも事実としてありますので、どうやって適正な請求が行われる制度にしていくのか、その仕組みを考えていく必要があると思っております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。

 きょうは非常に活発な御意見をいただきました。事務局におかれましては、今回の議論をまた整理していただいて、次回以降の議論に資するような資料等々をつくっていただければと思います。

 それでは、予定した時間にそろそろなりますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 次回の日程等々について、何かございますか。

 事務局、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 次回の日程につきましては、また日程調整の上に後日御連絡させていただければと思います。

○遠藤座長

 よろしくお願いいたします。

 それでは、これをもちまして、第11回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。

 どうも、本日はお忙しい中、活発な御議論をありがとうございました。



(了)

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