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2017年1月24日 第100回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成29年1月24日(火)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○議題

(1)働き方改革実現会議における議論について
(2)専門実践教育訓練の拡充について
(3)平成29年度予算案及び組織の概要について
(4)その他

○議事

○小杉分科会長 ただいまから、第100回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、御出席いただきまして大変ありがとうございます。本日の出欠状況ですが、原委員、三村委員、田口委員、大隈委員、諏訪委員、中村委員が御欠席です。なお、中村委員の代理として、キヤノン株式会社人事部長人事企画部の日比野部長に御出席いただいております。それから、昨年6月に御就任された臼田委員が、本日初めての御出席です。

 それでは議事に入ります。まず、働き方改革実現会議における議論についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○木塚総務課長 資料1に基づき、御説明させていただきます。平成28927日に第1回働き方改革実現会議が開催され、現時点で第5回まで開催されているわけですが、職業能力開発関係では、平成281116日に開催された第3回働き方改革実現会議において、この資料に基づいて塩崎厚生労働大臣よりプレゼンが行われました。人材育成に係る今後の対応については、マル1として「企業による教育訓練の実施拡大」です。1つ目としては、企業による人的資本投資や人材育成を支援するため、従業員のキャリア形成を積極的に支援する企業の表彰あるいは普及、2つ目として、生産性向上のための中小企業等に対する人材育成支援です。マル2として「個人のキャリアアップへの強力な支援」です。働き方のキャリアアップを支援するため、対象講座の多様化、給付率と上限額の引上げ等により、専門実践型教育訓練給付の拡充を行います。マル3として「国による長期の離職者訓練の新設、拡充」です。能力開発の機会に恵まれない非正規雇用労働者等が安定した仕事に就けるよう、資格取得等ができる1年から2年の長期の離職者訓練を新設、拡充するということが提示されたわけです。

 裏面をお願いします。網掛けをしている所が職業能力開発関係です。安倍内閣総理大臣からもこの資料にあるとおり、子育て中の女性の復職・就職に向けたリカレント教育や、教育訓練給付制度の拡充による個人の学び直しの支援、非正規社員に対する教育訓練について言及があったところです。私ども職業能力開発局としては、第3回働き方改革実現会議での安倍総理あるいは塩崎厚生労働大臣の御発言を踏まえ、その内容を来年度の予算に盛り込んでおり、来年度以降、順次取り組んでいく予定です。

○小杉分科会長 それでは皆様から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。ただ専門実践教育訓練については議題2になっておりますので、そちらはその際に御質問いただきたいと思います。それ以外のところで皆様から御意見、御質問をお願いいたします。

○大久保委員 マル3の「国による長期の離職者訓練の新設、拡充」について、その考え方を確認したいと思います。職業訓練に関しては随分長い間、国から地方に移していく施策を続けてきたと思うのです。今回、新たに国でこの施策を充実させるということは、今までと考え方が少し変化したのかどうかというのが1つです。それから、1年とか2年にわたる長期訓練に関しても、以前は比較的多くやっていたと思うのです。それについて3か月とか6か月程度の比較的短いものを充実させていくことによって、早い段階で仕事の現場に復帰することを重視したような、そういう方向に変えていった歴史があると思うのです。この10年ぐらいの議論と少し考え方が変化しているのかなと見受けられたのですが、その辺りを確認して、どういうことか、お聞きしたいのです。

○木塚総務課長 まず、1点目の国から地方へという動きとの関係です。ここで言う長期職業訓練について、実施主体は国ではありますが、事実上、都道府県に委託をして実施するものです。要するに、1年から2年の訓練というスペックで各都道府県の実情に応じて、都道府県が実際に必要な訓練の委託先を調達します。当該地域において必要とされる有資格者等を育成するために行うので、大きな考え方としてはこれまでの考え方を踏まえたものです。

 もう1点ですが、マル1の2つ目の「中小企業の生産性向上のための新たな訓練システム」というのも、在職者訓練については、主としてポリテクセンターとか、都道府県の職業訓練施設において、そこにある施設や指導員という資源を活用してやっているわけです。しかし、それだけではなくて今後は外部、いわゆる民間の各企業の有識者を外部講師としてお願いするとか、そうした施設を使うという形で、大きく言うと民間のいろいろなノウハウも活用するということです。国から地方、それから民間へという大きな考え方自体は、今でも変わっていないし、そのままの考え方で進めていると御理解いただければと思っております。

2点目の期間の関係については御指摘のとおり、資料1にあるとおり、その対象は13万人近く委託訓練をやっているわけです。そのうち12万人ほどは3か月〜6か月です。ただ、昨今は非正規の問題があって「格差の固定化」とかいろいろ言われていて、非正規の方が正規になるのはなかなか難しいと、よく指摘されています。そのためには、やはりしっかりした資格なりを取っていただいたほうがいいのではないかということです。今は1年から2年の職業訓練というのは、年間で6,500人ぐらいの方が対象になっております。ここに0.7万人と書いておりますが、この枠をもう少し広げようということで、2万人強まで持っていきたいと考えています。

 全体で言うと13万人ぐらいのうちの2万人強の規模ですので、やはり一定程度の枠はあるわけです。キャリアコンサルティングをやるとか、その方の置かれている状況の緊要度を踏まえて交通整理をしながら、必要な方に受けていただくことで対応していきたいと思っております。対象は、やはり短期の職業訓練で早期の就職という考え方が大きく変わったわけではなく、今の社会情勢等を踏まえ、必要なものを若干補強するということです。

○大久保委員 基本的な御説明は分かりました。2番目の長期訓練の話ですが、これはこの審議会の中でも、随分長いこと議論がされたと思うのです。例えば、長期の2年という話になったときに、自費で専修学校などへ行く人たちと比較したときに、もちろん一方では無料であるというところで、このことが受益者負担の原則に余りにも遠ざかっていくことは好ましくないと思います。あるいは2年間となったときに、一般的にはそこに入ってしまうと、2年間は就職活動をしないということになるので結果的に、本来その仕事に就くというより、どうしてもモラルハザードになりやすいとか、2年間にたくさんの支援をしても、結果的に当該職種で就職率を出さないと、ほかの分野で就職をしたとしても、それが成果とはなかなか言いにくいということで、いろいろなことが議論された中でのことだったと思うのです。ですから、この枠を拡大するに当たっては、以前の議論を生かして運営のルールを作っていただきたいと思います。

○木塚総務課長 今、御指摘いただいたことについては、我々もそのとおりだと思っております。そういう意味で、いろいろ来られる方をキャリアコンサルティングとか、緊要度というものをしっかり踏まえ、対応させていただきたいと思っております。

○小杉分科会長 ほかに御意見はありますか。

○遠藤委員 大久保委員の御質問、御意見に関わることで1つと、それ以外のことを1つ発言させてください。まず、訓練自体が長期か短期かという組合せで言えば、今後は離職後にどのくらい求職活動をしているかという関係性も見ていく必要があるかと思っております。今までやってきた仕事の延長線上で対応される方ばかりでない、いわゆるキャリアチェンジしていく、変えていくという方については、長期の訓練がより有効であるという実証データが出てくるのであれば、それを活用したキャリコンを生かしていくことも含めて、今後はデータを基に、その組合せを十分御議論いただくことが必要かと思っております。

 もう1点ですが、御説明いただいた資料の左上に教育訓練費について、1991年と2011年を比較したデータが出ております。確かに、この時点を比較すると、このような数値が出てくるということは、事実として受けとめておきたいと思います。ただ、2011年という時期がどういう時期であったのかということを考えると、恐らく企業の対応からすると、前年までの状況を踏まえた動きになりますから、正にリーマンショックの後の傷跡が癒えてない、むしろ雇用の危機がまだ色濃く残っている状況下です。そういうことを考えれば、一定程度理解ができる動きと思っております。最近のデータ等を見ておりますと、法定外福利についても大分動きが出てきております。今後も動きを見るのであれば、少なくとも2013年、2014年が潮目かと思っておりますので、この辺の動きを見た形で、効果的な対応を是非お願いしたいと思っております。

○木塚総務課長 訓練については、ハローワークに受講指示をすることになると思います。その受講指示の際にキャリコンの状況とか、先ほど御指摘のあった求職活動の状況等も十分踏まえ、適切な方に受講指示するように対応していきたいと思っております。

2つ目に御指摘の点については、確かに2011年は数値として若干低かったと思っております。これを決めたのは、20年というある程度長期のスパンを取るときに、ちょうど区切りが良かったのでこういう形で取っております。ここでは2時点の間しか挙げておりませんが、一般的な趨勢としては減少傾向にあるということで、御理解いただきたいと思っています。それには様々な要因があると思いますが、一応結果として、統計的にはそういう方向であるということで御理解いただければと思っております。いずれにしても2011年というのは、御指摘のとおりだろうと思いますので、今後はそこら辺を十分踏まえ、数字の取り方についてもできるだけ適切な傾向を把握できるように対応していきたいと思っております。

○小杉分科会長 この調査は2011年が最後というか、最新ですよね。そういう意味では、このデータの範囲では最新だったのですが、ほかのデータも組み合わせると、遠藤委員がおっしゃったことだと思います。景気の改善とともに教育訓練費というのは上がりますので、その辺もこれからはウォッチしていただきたいと思います。ほかにありませんか。

○高倉委員 補足していただきたい点があります。資料1のマル1の最初に「経営トップの意識改革」というのが記載されてあるのですが、これはなかなかそう簡単にはいかないし、どうやって実行するのかなという疑問があるのです。ここには先進的な事例とか、表彰とか、普及と書いてあるのですが、もうちょっと具体的なイメージができるように補足を頂きたいのです。

○木塚総務課長 一般的に私ども職業能力開発施策というのは、大きく申しますと中小企業が中心となっているわけです。ただ、一方でこの事業にもあるとおり、人的資本の減少傾向というのは大企業にも変わらずあるのです。そういう状況の中で、大企業に対しても何らかの支援なりをしていかなければいけないということになると、助成措置などは大企業にとって、是非という感じではないのです。いろいろお話をお聞きしますと、企業表彰などは企業のPRとかCSRなどの関係で、大企業も非常に取り組まれるというお話もありました。そういう意味で、これまで表彰制度をやっておりましたが、私どもも今年度より「グッドキャリア企業アワード」というロゴマークのようなものを商標登録し、受賞された所はこうしたロゴマークを企業PR等に活用していただけるような形で、少しでもインセンティブと申しますか、取り組んでいただけるように対応しているところです。

○大久保委員 先ほど発言しようと思って、1つ忘れていたことがありますので申し上げます。「企業による教育訓練の実施拡大」というのがあります。今、正しく御指摘のあった「経営トップの意識改革」という話です。これは働き方改革実現会議の文脈の中で議論されているものですよね。今まで過労死の問題とか、長時間労働の業界別の特性の問題とか、かなり論点になっているかと思うのです。昨日、基準局のほうで長時間労働の問題の検討会に参加して議論をしていたのですが、その場では、人材育成の問題が繰り返し指摘されていました。

1つは業種によってですが、美容師であればお店を閉店した後に教育研修をやっています。医療関係でも同じようなことがありますし、調理師でも同じようなことがあります。その時間が長時間労働につながっているとか、長時間労働につながっている上に、一部は「自由意思による参加なので」と言って、残業として計上されていないケースもあるという問題があります。一般の企業の中でも、いわゆるOJTだと思うのですが、新入社員に対して仕事の基本を覚えるためということで、かなり長時間の労働を強いるような傾向があり、そういうものが長時間労働の背景の理由の1つとしてあるということが指摘されています。

 それには単純に労働時間として、残業として認める認めないという問題もありますし、この審議会も含めて、日本ではOJTについては、一般的に常に良いものだと考えてきましたが、プログラム化されてないOJTというのはある意味、非常にグレーなところがあります。そういうもので実施率を高めることだけが、本当にいいことなのかどうかということとか、新入社員の教育の問題とか、人材育成に関してはいろいろな論点が出てきている。その辺り、この審議会ではほとんど議論されてないと思いますが、じっくり考えてみる必要があるのではないかと思います。これは質問と言うより意見です。

○小杉分科会長 今後の課題として受けとめていただければと思います。ほかにありますか。

○浅井委員 1番の「経営トップの意識改革」という点、教育訓練をしてくださいと言うという形になっていて、表彰をするという話ですが、世界経済の状況を見ていれば、働き方改革、教育訓練による生産性向上は喫緊の課題かと思います。

 激動の時代、教育訓練への危機意識を共有できるように、国としてメッセージを出していくことも必要ではないかと思います。

○小杉分科会長 是非、表彰と併せて、この辺のコメントもあればということですね。ほかにいかがでしょうか。ないようでしたら、この議題はここまでとさせていただきます。

 それでは第2の議題に入ります。次は専門実践教育訓練の拡充についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤キャリア形成支援課長 資料2、「働き方改革」に向けた専門実践教育訓練給付対象講座の拡充についてに基づき、議題2に関する御説明を申し上げます。この資料は、先ほど分科会長からもお話いただいたように、資料1のマル2の(1)に相当する部分の当面の具体的な取組計画と、今後見込まれる検討課題について整理した資料です。1ページの上に書いているように、この取組の着眼点は、この度の働き方改革実現に向けた人材育成の充実のうち、特に働く方の自発的な能力開発の支援という観点からの取組の拡充です。

 また、その下に囲みでお示しておりますが、この間の雇用保険部会における審議を踏まえ、専門実践教育訓練給付制度に関しても制度の改正を予定しています。ここにありますように、給付率・上限額について、現行最大6割を7割に、また支給要件緩和としてインターバル期間を現行の10年から3年に短縮する、出産・育児などにより直ちに受講が困難な方に対しては、いわゆる適用対象期間を延長するなどの措置を計画しています。これらの給付の見直しと相まって、この専門実践教育訓練の効果を最大化するという観点から、講座サイドからの拡充措置を図るというのが基本的な考え方です。

 当面の具体の取組内容として、マル1高度IT技術等に関する講座の拡充、マル2子育て女性等のリカレント講座の拡充、マル3e-ラーニング講座等の拡充です。これは先ほど資料1で申し上げた柱と同様です。これら取組に関しては、この間、本分科会においても専門実践教育訓練に関わり、様々な御指摘・問題提起等を頂戴しており、課題である生産性向上等の観点からの人材育成強化、非正規雇用の若者や子育て女性をはじめとする働く方の、再就職、キャリアアップのための受講機会の設定、更には講座の地域偏在等の実態を踏まえた上で、地方部における方々の受講機会確保等の課題への対応策という位置付けも併せ持っているものと考えております。

 マル1マル2マル3のそれぞれの取組のポイントを、この資料に書いておりますが、より具体の内容に関しては2枚目以下で1枚ずつ整理をしておりますので、主にこちらのほうでポイントを御説明申し上げたいと思います。

2枚目がマル1の高度IT技術などに関する講座の拡充に関するペーパーです。本分野の人材育成の目的については、上の囲みに書いているとおりです。この分野の取組としては、昨年度における本分科会の審議を踏まえ、高度IT(ITSSレベル3以上)の資格取得を目的とする講座について、それぞれ講座ごとの一定の要件を満たすものを本制度の対象としているわけですが、現状では、まだ指定講座数は少数にとどまるということで、その量的拡充が1つの大きな課題です。

 併せて、この度の検討の着眼点に鑑みるならば、より高度な人材育成というのも大きな課題です。この分野に関しては下の脚注にもお示しております、取り分け重要な分野であるサイバーセキュリティー分野の初めての名称独占の国家資格として、「情報処理安全確保支援士」という仕組みが創設され、新年度に第1回の試験が実施予定されております。これ以外にも高度IT分野の資格として、左下の囲みを御覧いただければと思いますがプロジェクトマネージャー資格であったり、Embedded System Specialist(組込みソフト)等々の資格が既にあります。情報処理安全確保支援士も含め、これらの資格はITSSレベルで言うと、レベル4相当以上、特に高度なレベルの資格と位置付けることが可能です。

 この間、これらの資格取得を目標とした教育訓練の実態に関して、教育訓練プロバイダー、専門家又は所管の経済産業省などからも聞き取りや実態把握を進めているところですが、こうしたレベル4相当以上の資格取得を目標とした講座に関しては、受講者自体が受講の時点で相当程度のレベルにある者、おおむねレベル3相当の者に事実上限定されます。また、それを前提に教育訓練講座の実態としても、いわゆる短期集中型、高密度の教育訓練プログラムです。時間数としては、ほぼ30数時間から40数時間というレンジに収斂しているといったことを確認しています。

 こうした講座の実態や本分野における人材育成の必要性等に鑑み、現行の高度IT資格取得目標講座の要件としては、120時間以上という要件を設定していますが、ITSSレベル4以上といった一定の要件を満たすものに限り、120時間に満たない短時間の講座も、例外的に指定対象とする見直しを行いたいという考え方です。こうした方向性については、現在予定されている専門実践教育訓練給付制度そのものの見直し、インターバル短縮により比較的短期高密度の下、比較的短いインターバルで受講することを支援するという給付の見直しの考え方にも呼応したものと考えております。

 なお、今ほど申し上げた点に関しては、告示に定めた指定基準の改正につながる事項で、昨年度に御審議いただいたような新たな課程の追加ではなく、いささか技術的な改正ではありますが、告示の改正を予定しているということで、本日、全体的な御審議を頂いた上で、告示改正については次回の分科会において、別途お諮りしたいと考えております。

 また、本分野に関しては今ほど申し上げたセキュリティー等の分野以外に、AIIOT、ビッグデータといった人材育成の必要性が既に明らかになっていますが、必ずしも、これらの特に先端の分野については、教育訓練講座そのものが十分に開発されているという状況ではありません。さらに情報通信技術そのもの以外にもITを、ものづくり、デザイン、コンテンツ等に展開するといった、新たな人材ニーズも認められます。こうした新たな人材像に対応した質の高い高度な教育訓練プログラムについて、産業所管省庁においても、働き方改革の一環で様々な検討がなされているところです。こうした検討が具体化した暁には、専門実践教育訓練制度の中での位置付け等について、更に検討を進め、必要に応じて本分科会にお諮りしていきたいと考えております。

 また当省は、自身の予算事業の中でも、2の取組マル3にありますように、関係省庁、関係者と協力した上で、モデル的なIT分野における教育訓練プログラムの開発などにも取り組んでいきたいと考えております。

2点目は、子育て女性などのリカレント講座の拡充に関してです。3ページを御覧いただければと思います。この狙いとするところは、出産・育児等によりキャリアが中断した女性、あるいは在職中に一層のキャリアアップを目指す女性等の再就職・キャリアアップなどに資する講座の量・質両面の拡充です。この分野に関しては、文部科学大臣が認定した上で、更に専門実践教育訓練の講座要件を満たす者に関し、「職業実践力育成プログラム」としての専門実践の指定を行っております。ここに幾つかの例を挙げておりますが、子育て女性等のキャリアアップに資する講座については、それぞれ有用なものが展開されているという認識を持っています。ただ、まだまだ講座の絶対量が少ないということと、多様な受講ニーズに照らすならば、より短期間の講座の受講の開講を求める声もあると認識しているところです。

 こうしたニーズを踏まえた上で、1つには先ほど申し上げたように、当初の予算事業の枠組みを活用して、より多様で実践的なプログラムを開発します。さらに、このスキームは文部科学省との連携スキームですので、文部科学省との連携の下で、職業実践力育成プログラムの中で、子育て女性、キャリアアップを目指す女性等にとってより有用な、特に受講しやすい短期集中型の講座などの開拓に努めていきたいと。以上、事業運用上の取組を計画しているところです。

 マル3のe-ラーニング講座等の拡充に関しては、次のページを開いていただきたいと思います。この取組に関しては、教育訓練機関が必ずしも十分ではない地方部の方々、育児・介護などのために自宅を離れにくい方々、もとより在職中の方々の受講機会確保が主たる着眼点です。こうした着眼点の下で、私どもは別途、特に公共訓練に関してのe-ラーニングに係る技術的な検証等の事業も進めているところです。そうした取組の中で、e-ラーニングに関しては技術的にも、コンテンツ、利用環境についても近年は相当程度改善し、進化がなされているということを把握しています。こうした、より進化したe-ラーニングを、どのような形で活用していくかというのが基本的な問題意識です。

 現状として、今の専門実践指定基準の中では、受講者の本人確認という観点から、e-ラーニングであったとしても「スクーリング(通学)との組合せ型」を要件としています。これは告示ではなく、局長定めの運用基準として定めている事項です。ただ、e-ラーニングに関わる技術利用環境の改善等の実態を踏まえるならば、e-ラーニングの講座であったとしても、相当な精度で本人確認を行う要件が、おおむね整いつつあります。IT技術を用いた適切な方法、具体的にはIDとパスワードはもとより、Leaning Management System、動画通信、様々な手法の組合せにより、正確・的確に本人確認を行うことはもとより、e-ラーニングのもう1つの課題である教育訓練の成果の確保、あるいは検証という部分でも、必要な措置を講ずることにより、必ずしも通学を伴わないものであったとしても、e-ラーニングについて個々の課程講座ごとの要件を満たすものについては、教育訓練給付講座の指定対象とするという考えに、運用上の見直しをしていきたいということです。

e-ラーニングに関しては、正に日進月歩です。対象講座、個々の実態、e-ラーニング全体の動向なども的確に見極めた上で、運用基準等についても更に今後、具体的な見直し等を段階的に行っていきたいと考えています。

1ページに戻ってください。主要な取組のポイントは今、申し上げたマル1マル2マル3ですが、それ以外にも現在の専門実践教育訓練は、5つの課程類型の枠組みの中で様々な資格制度の創設・設定などにより、現実に専門実践教育訓練の対象になり得るものです。ここでは一例として、キャリアコンサルタント資格の養成課程を挙げております。そうしたものに関して全体としての講座の拡充を図っていくという観点から、必要な開拓、あるいはそれに向けての広報等の活動の強化も図っていきたいと考えております。

 さらに一番下に、今後見込まれる検討課題ということで書いております。「2015日本再興戦略」の中でも、その時点で検討課題として浮上してきた、文部科学省における「新たな高等教育機関」、いわゆる質の高い実践的な高等教育機関制度については、その後、中教審の審議等を踏まえ、今時の国会にも関連法案が提出予定ということを承知しているところです。今後こうした制度に関して具体化が図られ、それについては私どもとしても正確にその制度設計の内容等を把握した上で、「日本再興戦略」を踏まえた上で、専門実践教育訓練の対象講座とすることについて更に具体的な検討を行った上で、この場でも御報告していきたいと考えております。

 これ以外にも文部科学省においては現在、本制度の対象としている職業実践専門課程に関して、社会人の学び直しの観点から、様々な議論が行われています。こうした動向に関しても同省と十分連携を図りながら、今後も本分科会に更に御報告申し上げていきたいと考えております。資料2の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、これにつきまして、皆様から御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○上野委員 当面の対応策のマル1の高度IT技術等に関する講座の拡充ですけれども、こういった教育訓練というのは、どちらかと言えば基礎的なものを身に付けて働けるようにするのが基本かと思っています。この高度なものに対応できるのは、どちらかと言えば大手企業で、大手企業であればやはり自分たちで人材育成に取り組むのが本筋だと思っていますし、もしもこういった施策を国が取り組まれるのであれば、技術が海外に流出しないようにといったことに力を入れていただいたほうがいいような気はしますので、そこの民間企業との関わりを少し教えてほしいなと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 ただいまお尋ねいただきました企業の人材育成との関わりですけれども、この専門実践教育訓練に関しては、本制度に基づく要件の下で、対象講座として指定された場合の具体的な効果としては、今ほど申し上げましたように、本人の負担によって受講した場合、その受講料の一部に関して専門実践教育訓練給付として支給が受けられるということ、もちろんこれが一番の目的ですが、実はこの専門実践教育訓練の講座指定に関しては、キャリア形成促進助成金の対象訓練ともリンクしておりまして、この専門実践教育訓練実施企業に関しては、個々の企業ごとの事業内能開計画の策定との別途の要件はありますけれども、そうした要件を満たす企業が、この専門実践教育訓練を実施した場合には、教育訓練の実施経費あるいは賃金の一部を助成することによって、それぞれの企業が主体となっての実践的な教育訓練を支援促進するという仕組みを、併せて設けているところです。

 ただいま、委員に御指摘いただきましたように、現在、計画、検討してる特に高度なIT資格に関しまして、もちろん個人が受講することもあるでしょうけれども、ベンダー、ユーザー企業がそれぞれの企業ニーズに応じて、従業員を、これらの実践的な教育訓練を受講させることも大いにあり得るところですので、今後、これらの仕組みに関して、対企業助成という観点でも、必要正確な周知広報等も行った上で、個人だけではなく、企業単位の教育訓練の充実も促していくという観点からも、積極的な活用を図っていきたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかに御意見はありますか。

○臼田委員 まず資料1、マル2個人のキャリアアップの強力な支援ということで、専門実践型の教育訓練給付の助成対象講座を、2,500から5,000講座へ、今後3年から5年掛けて増やしていくようになっております。対象講座の多様化、それから利便性の向上については理解できますけれども、これは粗製濫造とならないように、現実的な課題であるとか、ニーズに即した訓練の質の確保、これは是非ともお願いしたいところです。

 また、資料2の参考の欄にあります支給要件期間が10年から3年に短縮されるということです。これを受けまして、今後そういった講座が多くなるということで、それぞれの組合せができると思いますが、それぞれ今後に受講される方が、まず何か受講したら次のステップにどのようなものが用意されているのか。また、どのような形でキャリア形成が、よりスムーズにいかれるのかということのイメージを、もう少し示していただけたらと思いますので、意見として申し上げます。よろしくお願いします。

○伊藤キャリア形成支援課長 ただいま2点御指摘を頂きました。1点目はまず講座の質です。人材育成の充実という観点から資料1にありますように、講座の総量の拡充という方向性も示しておりますが、もとよりそれぞれの講座が、本制度の目的、中長期キャリア形成に資するものであるということが大前提であることは、当然、我々も認識を持っているところです。そうした観点から本制度におきましては、この分科会における審議を踏まえまして、就職・在職率、あるいは資格取得を目標とするものであれば、資格の受験率、合格率といった客観的な基準の設定をした上で指定するという運用をしているところです。

 本日、幾つかの今後の検討課題ということを申し上げましたけれども、今後、仮にこうした新たな検討課題が浮上した場合であったとしても、今ほど申し上げましたような、中長期キャリア形成の質を保証する観点からの講座ごとの要件については、当然、客観的な付与が必要になってくると思っておりますし、講座指定の事務運用の中でも正確な把握に努めていきたいと考えているところです。

 もう1点、この度、予定されております給付のほうの見直し事項、いわゆるインターバルの短縮、これと講座受講との関わりについての御質問、お尋ねです。これに関しては、様々なイメージがあり得ると思っておりますが、1つ、典型的なイメージとしては、今日、御説明申し上げました高度IT分野ということに関して申し上げるならば、先ほどもITSSといったラダーを用いて御説明申し上げたわけですけれども、レベル2から教育訓練受講を通じてレベル3に、いわゆる一人前レベルに能力を高め、更に、今日御説明申し上げておりますような教育訓練、あるいは資格取得を踏まえまして、独力で業務上の課題発見、解決をリードできる、このレベル4というのは、試験で把握し得る最高レベルと認識しているわけですが、このようにおおむね1つのキャリアパスの中で、ラダーを一歩一歩上がっていくという、そういうキャリアパス、キャリアデザインの下での計画的な教育訓練の受講ということが、一つあり得ると思っております。

 また、それ以外にも技術を高めた上で、当該分野における管理者マネージャーとしてのキャリア展開を図っていくことも大いにあり得るのであろうと。先ほど例示的に申し上げた中で言うと、例えば、このIT分野で言えば、プロジェクトマネージャー試験などがそれに相当するものの1つと認識しているところです。今、申し上げたのはあくまでも例示ですけれども、このようなキャリア設計に応じた効果的な教育訓練の受講、さらにはその成果としての資格、取得等を促していくことが大変重要であると考えております。

 こうした観点から専門実践教育訓練の受給に当たりましては、原則として我々は、訓練前キャリコンと申し上げておりますけれども、それは有資格者によるキャリアコンサルティングを受けていただき、その結果をジョブカードに落とし込んだ上で、この支給決定を行うハローワークが確認するという仕組みを設けているところです。

 こうした「訓練前キャリコン」におきましても、ただいま申し上げましたような、制度改正の狙いであるとか、あるいは様々な分野における資格や教育訓練の実態というものも正確に承知をした上で、必要なナビゲーションができるような環境整備にも一層努めていきたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかの御意見はありますか。

○大久保委員 雇用保険をベースとした教育訓練の一番の目的は、セーフティネットですから、離職者とか求職者に対して、しっかりとその予算が配分されることが重要だと思うのです。その前提で考えたときに、こういう高度なレベルのところの専門実践教育訓練給付が全体の予算の中で、どのぐらいのシェアになるのか。余りシェアが高過ぎてしまうのはバランスが悪いと思いますので、それをお聞きしたいということです。

 もう1つは、高度IT技術の訓練講座の必要性というのは、現況のテクノロジーの進化が変わり目に来ていることの中では理解ができるのですけれど、一方でこれを専門職として技術を持って担当する人だけではなくて、現場でそれのユーザーとなる人たちのリテラシー教育が非常に重要だと私は思っています。例えば一般の教育訓練給付の中であるとか、あるいは他のテーマで実施している離職者訓練や求職者訓練の中に、そういうユーザーのリテラシーに対応できるようなものが入り込んでいるというようなことが、一方のバランスで大変重要だと思っていまして、その辺りはどうなっているかということと、2つ質問させてください。

○伊藤キャリア形成支援課長 まず1点目、レベルと予算配分の関係性です。現行の予算に関しては後ほど、また、次の議題の中でも説明がありますけれども、能力開発関係予算の中で今日申し上げておりますレベル3とかレベル4などのクライテリアに応じて、レベル3の人材養成部分が何億、レベル4部分が何億ということで、明確に区分したものが現状であるわけでは必ずしもありません。

 ただ、今日御説明申し上げております専門実践教育訓練ということに取りあえず限って御説明申し上げるとするならば、現行位置付けられております5つの課程類型のうち、特に高度なものということで社会通念上認められるものとして、1つは専門職学位課程、それから、今日、御説明、御審議いただいております高度なIT資格取得を目標とした課程、この辺りが特に高度なものに該当ということになるかと思います。

 前回、この専門実践に係る講座の指定、また受給者の実態について御説明申し上げましたように、この専門職学位課程、高度IT資格取得を目標とした課程については、全体の中では、まだまだごく少数で、労働市場全体の中でも、特に高度な能力を習得している労働者の割合は必ずしも高いものではないということを反映してのものと思われます。なかなか正確に何パーセントと申し上げることは現状では難しいですが、いずれにしても専門実践という観点では、恐らく当該行政全体の施策予算という観点でも、特に高度なものに着目したものはごく少数であるという認識です。

 前回、御説明申し上げておりますように、この情報通信技術分野に関しましては、いわゆる労働市場、雇用における波及効果が大きい分野であるということに併せて着目した上で、この専門実践教育訓練制度に位置づけ、人材育成を促進している。いわば、本制度により受給をする者自身の人材育成という観点もありますが、こうした制度を活用し能力を高めた方々が、言ってみれば労働市場において雇用の波及効果、相乗効果を高めていくということも併せて狙いとし、こうした方々について、現状で言うとまだまだ少数ですけれども、一定強化を図っていく、その一環としての、この度計画しております専門実践の指定基準の改正の方向性であるということ、これが1点目です。

2点目ですけれども、このIT技術と職業能力との関係という観点で申し上げるならば、今日、御説明申し上げております高度IT分野における能力開発の必要性ということだけではなくて、IT技術が様々な職種の様々なレベルの労働者の職業能力に影響を現に与え、あるいは、今後、更にその影響は広がっていくであろうということは間違いのないところであると、私どもも明確に認識しているところです。こうした、いわばユーザーレベルのITに関わる能力の習得支援ということも、この教育訓練給付制度も含めた能力開発施策全体としての大変重要な課題であると考えているところです。

1つには、先ほども少し触れさせていただきましたような、今後、企業と所管省庁とも連携した上で、実践的な教育訓練プログラムの開発といったことに取り組んでいきたいと考えているわけです。そうした中では、狭い意味での情報通信技術者だけではなくて、ユーザーレベルでのIT活用ということも、当然、射程に入れていきたい。

 それから、教育訓練給付制度の中で、本日は直接、御説明申し上げておりませんけれども、一般教育訓練給付制度の中では、高度、あるいは特に長期なものに限定せず教育訓練プログラムについて、一定の職業実践性が確認されれば、それを指定対象するという考え方で、非常に多数の講座を現在、指定させていただいているところです。

 今、大久保委員から御指摘のあった点に関しましては、専門の中での対応、プラス今ほど申し上げました、より多様性が包含された一般教育訓練給付制度の、より有効な活用という観点も含めて的確に対応していきたいと考えております。

○大久保委員 分かりました。専門実践教育訓練給付に関しては、やはり新規予算のときに結構な規模だったという認識があって、それを拡充するということですので、今はシェアは僅かですよというお話なのですが、すぐにとは申しませんが、一度どこかでは示していただきたいなと思いますのでお願いします。

○伊藤キャリア形成支援課長 そこは工夫してみたいと思います。

○河本委員 意見なのですけれども、今回、やはりe-ラーニングの講座を拡充してくださったことについては評価したいと思っています。e-ラーニングのことを学ぶことができるということは、遠隔地の方だとか、子育て中でなかなか家を出ることが難しい、そういう条件にある男性、女性を問わず、介護とかもそうだと思うのですけれども、そういう方たちをサポートする有効な策だと思っております。

 さらには、ここはちょっとお願いしたいところなのですけれども、こういうe-ラーニングを使って学んだ教育機関が少ない地方などの方は、やはり就業機会も恵まれないといったときに、こういうe-ラーニングで学んだことが、次のテレワークとかに、どのようにつながっていったかを追い掛けることが、非常に大切なのではないかなというのを1つ思っています。

 それともう1つは、以前も少しあったのですけれども、給付の前提として本人確認を的確にという、不正があるのではないかということについては、やはり大事なお金を使うわけですから、そういう不正であることが分かったときには、やはり適正な対処をするという仕組みもきちっと使っておくべきではないかなと思っております。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 1点目の教育訓練受講後の就業機会へのつながり、あるいはそれを全体として、この専門実践制度でサポートしていくことに関しましては、前回御報告申し上げました専門実践教育訓練給付制度全体の実績・検証ということとも深く関わる課題であると思っております。専門実践はまだほとんど修了者が出ていないということで、前回の報告でもあくまでも受講の受給ベースの報告に留まっていたわけですが、来年の半ば以降は順次、本制度を活用しての修了後の状況についても御報告できる段階になってくるのではないかということで、今、様々なデータ分析の準備も進めているところです。そういった中で、e-ラーニングに関わる視点も併せ持った上で、本分科会でも必要な実態等について御報告申し上げ、審議を頂ければと思っております。

 また、もう1点御指摘を頂きました本人確認、不正防止ということ。これはe-ラーニングに関わる講座をはじめとして、本制度が信頼性を得て広く普及、安定的に運営するために非常に重要な課題であると考えております。先ほども申し上げましたような運用基準の中で、予見し得る事項については、あらかじめ運用上の基準に盛り込むことはもとよりですが、安定期に移行ということで確認できるまでは、特にこのe-ラーニング講座に関しては、よりきめ細かく個別のフォローも行っていきたいと考えております。

○河本委員 1点、付け加えます。それと、是非、どのように仕事に移行したかというところでは、やはりミレニアル世代といわれている、デジタルで育ってきている世代の方たちが、どのように就業されていったかも分析の1つのテーマにしていっていただけたらと思います。以上です。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。

○村上委員 2点あります。1点目は、先ほど大久保委員が指摘された点に関連してです。専門実践教育訓練制度は雇用保険を財源にした制度であるので、離職者や求職者の再就職に結び付くような訓練となることが主眼であるといったことに対して、大変重要な指摘だと思っております。そのこととの関係で言うと、資料21ページの一番下にある、最後に触れられた点についてです。日本再興戦略の検討課題にも挙げられているという御説明もありましたけれども、文科省の検討も踏まえて、新たな高等教育機関についても、専門実践教育訓練給付の対象講座とすることを検討するとか、有識者会議における職業実践専門課程等の専門学校における社会人の学び直しに関する議論を踏まえて対応していくことを検討することについては、専門実践教育訓練給付の対象にしようとしているこれらの講座が、雇用の安定や就職の促進につながるものに本当になるのかならないのかということを、やはりきちんと見極めた上で指定しなければならないと考えています。いたずらに対象講座を拡大するということが目的ではないはずですので、その点は十分に留意していただきたいと思います。

 それから2点目です。先ほど御指摘があったe-ラーニングについてです。4ページに書かれておりますが、地方の方であるとか育児、介護など事情を抱える方、多分、病気の方も含まれると思いますけれども、そういった方々への対応として考えられているということです。ただ、本来、専門実践教育訓練制度というのは、先ほども申し上げましたが、「雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち、中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練」というのが、法令上の規定であります。そこを大事にしていただきたい、安定した雇用につながらないとか、専門的実践的な教育訓練でないものは対象にすべきではないと考えていますので、その点についても御留意いただきたいと思っております。

 また、そのe-ラーニング受講後に、きちんとキャリアアップできるとか、再就職できていくということは、とても大事な御指摘だと思います。その際に、やはり在宅でのクラウドワーク的に、ウェブ画面を請負で作成するというようなことではなくて、就職に結び付いていく、安定した雇用に結び付いていくということが重要だと思いますので、講座の指定に当たっては、そういった視点からも考えていただきたいと考えております。

 最後になりますが、今、「公的職業訓練におけるe-ラーニング手法の導入に向けた調査検証事業」というものを実施されていて、その中身自体はかなり適切に実施されていると伺っております。けれども、その成果は厳格に検証して、先ほども御指摘があったように、本人確認などについては適切に担保されることが必要だと思いますので、e-ラーニングの講座を拡張することが目的ではないということを踏まえた取組にしていただきたいと思っております。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 1点目、文科省において現在検討が進められている新たな高等教育機関ですが、先ほどもおっしゃいました「日本再興戦略2015」の中でも、より正確に申し上げますと、「仕事と両立しやすい多様で弾力的なプログラムも含め、社会人の職業実践能力形成に真に効果的なものであるかどうかの観点から検討を行う」ということで、方向性や枠組みが示されているところです。文科省から今後、具体の制度設計についての説明も受けた上で、今ほど申し上げた点、また、ただいま村上委員から御指摘があったような点を十分に吟味した上で、私ども事務局としての検討も行い、また、本分科会にもお諮りしていきたいと考えております。

 また、e-ラーニングに関しましても、何点かの御指摘を頂いたところです。本制度の目的に照らしての基準上、また運用上の担保が必要であるということは、当然、先ほど来の質疑でも申し上げておりますように、私どもも認識をし、運営にも反映していきたいと思っております。修了後の成果検証についても、このe-ラーニングに限らず、雇用保険制度としての設計・運用である以上、雇用保険被保険者としての就職あるいは在職という観点からの成果検証を行うことが基本という考え方ですので、そうした考え方から、先ほど申し上げましたように、データがそろった時点では様々な御報告を申し上げた上で、また次の別での様々な御審議を頂ければ有り難いなと思っております。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

○浅井委員 この議題は3番目の予算制度、外国人技能実習制度の課題とも強く絡んでくると思いますが、いまだに外国人技能実習制度をコスト削減のために、人件費抑制のために安価な労働力として悪用しようと考えるむきがないわけではない。技能実習制度は国際貢献であり、人材育成を通じた国際協力の推進です。一方で、人工知能、IoT、ビッグデータに象徴されるように、極めて早いスピードで、どんどん技術が変化している。この指数関数的な技術進歩に対応していかないと、目先のごく短期的には、対症療法に依存してしまうのかもしれませんけれども、第4次産業革命を支える人材育成を、本気で考えていかなければ企業経営は非常に難しくなっていく。その意味で、この専門実践教育訓練給付だけではなくて、教育訓練全般において、この技術変化の動きというのを、強く強く意識しながら、人材育成をしていくことが、極めて重要なポイントではないかと思います。

 今回、女性として極めて個人的にも嬉しい流れだなと思っているのは、安倍政権の下、女性のリカレント教育を非常に強く進める流れにある。私の高校時代くらいの日本の背景では、地方にいると、高校生のときに、大学で東京へ出てより高度な勉強機会を得るという選択肢がほぼありませんでした。ましてや子供を産み育てながら勉強する、働く、ということなかなか受け入れてもらえない、とりわけ地方の女性に対する意識の壁は強固で、女性であるというだけで、教育の機会すら男女平等でなく奪われてまいりました。今まで長い間、女性は教育の機会すら奪われ、一生懸命努力しても輝く機会を妨げられてきたのが、やっと救いの手を差し伸べてもらえるようになったのかなと思います。

安倍政権で積極的に取り組んでいただけるということを心から嬉しく思っております。

○小杉分科会長 そういったところは喜ばれている方もたくさんいるということで、お受けいただければと思います。

○永井委員 資料21枚目、課題の2つ目の枠ですが、「非正規雇用の若者・子育て女性等の再就職」との記載があります。印象になってしまいますが、非正規雇用の若者についての当面の対応策という意味では、e-ラーニングのところに少し出てくるだけです。もしかしたらそれ以外のところで記載されているかも知れませんが、要は、これは専門実践教育訓練のほうなので、非正規の若者のところまではカバーできないとか、そういう理由があるなら教えていただきたいと思います。例えば、高度ITとまではいかなくても、ITの現場では今、人材が不足しているということでありますし、非正規の若者にも、ITに関する教育訓練の機会が与えられるようなことを別に考えておられるのか、その辺を少しお伺いしたいと思いました。

 もう1つ、今もお話があった子育て女性のリカレント講座の拡充のところについて、3ページ目に例として3つの大学で実施されているプログラムが記載されております。多様な講座があるとか、選択肢があるというのは非常にいいことだと思っておりますが、やはり6か月半、1年いう長期間となりますと、なかなか受講しようという選択に踏み切るのが難しいと考える女性も多いのではないかと思っております。その辺の実態を見させていただければと思っておりまして、各大学のコースの受験状況ですとか、また、その後の就職状況なども分かれば教えていただければと思っております。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 まず1点目ですけれども、今回御説明申し上げております当面の対応策に関しまして、今、お話ありました非正規の若者に直接対応する講座拡充策については、今回、御説明申し上げている当面の対応策では、どちらかというと薄いということについて、私ども事務局としても認識しているところです。

 既に本分科会での御審議を踏まえ、設定されております5つの課程類型のうち、業務独占・名称独占資格を目標とする養成課程、専修学校の職業実践専門課程、また、文科省と連携しての職業実践力育成プログラムの中には、非正規雇用の若者、必ずしも既に相当程度高度な専門職とか、アドバンスな職務経験を積んでいる方に限らず、資格取得等を通じて、キャリアアップが期待される講座が、今の枠組みの中でも相当程度あり、これが必ずしも十分浸透活用されていないという運用上の課題もあるという認識も持っております。

 加えて、今も御指摘いただきましたように、一般教育訓練の中では、より短期で、より多様な講座が存在する。その中には非正規雇用の若者の方々のキャリアアップに資するものも多数あるわけで、こうした現状の課程、講座の中で、非正規の方々にいろいろなものの活用を促すという視点プラス、今日幾つか、今後想定される検討課題ということを申し上げましたけれども、そうした検討課題の中でも非正規雇用の方々のキャリアアップという視点も十分併せ持った上で、関係省庁との協議を進めていきたいと考えているところです。

 それから、リカレントについても幾つかの指摘を頂きました。先ほども申し上げましたように、現在、我々が把握しているニーズからすると、より短期の講座の開拓ということは、少なくとも課題であると考えております。現在、指定しております課程については、文科大臣の認定基準の中で、授業方法、授業内容について実践性が確認されていることプラス、私どもの指定基準の中で、就職、在職率に関しまして、80%以上という条件は当然満たした上で、必ずしも統計的ではありませんが、非常に多様な受講者が業種、職種両方の観点で非常に多様な就職、職業選択に結び付いているという実態を一定の把握しているところです。

 先ほど各委員からも御指摘いただいておりますように、非常に期待、関心の高い分野ですので、このリカレント講座の実態については、今、御指摘いただいたような観点も含めて、個別のヒアリングなども交えて、より正確な実態把握を行いながら、適宜この場でも御報告させていただければと思っております。

○小杉分科会長 そろそろよろしいでしょうか。では、この議題はここまでとさせていただきます。

 では、第3の議題に移ります。平成29年度予算案及び組織の概要についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○木塚総務課長 資料3-1、平成29年度予算案の総括表です。職業能力開発局の予算案、総額は一番下の欄の3列目にあるとおり、1,886億円ということで、対前年度139億増額となっています。先ほど、大久保委員から御指摘のあった専門実践の予算というのは大体50億程度ですので、そういう意味では職業能力開発局の予算1,890億弱ということで、様々な予算がありますので、その点を御理解いただければと思っております。

 まず、内訳ですが、一般会計予算案については109億円で、対前年度1.3億円の増額となっています。増要因としては、外国人技能実習機構の運営に係る経費によるものです。外国人実習機構の交付金については、今年度は年度途中からの予算でしたけれども、来年度は年間予算を計上したためということです。

 労働保険特別会計の予算案です。労災勘定は36億円で、対前年度23億円の増額となっています。増要因は一般会計と同様、外国人技能実習機構の運営に係る経費の他、東京障害者職業能力開発校の建て替えに係る経費によるものです。雇用勘定は1,740億円で、対前年度115億円の増額となっています。主な増要因としては、先ほど御説明申し上げたように、第3回働き方改革実現会議の議論等を踏まえて、概算要求後に財務省と調整の上、新たに計上した施策です。資格取得などを可能とする、1年以上2年以内の長期の職業訓練ですとか、子育て女性のためのリカレント教育の拡充に係る短期の職業訓練、中小企業等における生産性向上のための総合的な支援のため、各地のポリテクセンターなどに、仮称ですけれども生産性向上人材育成支援センター、相談コーナーのようなものですが、これを設置するための経費によるものです。この他に、民間教育訓練機関等を活用した在職者訓練の実施であるとか、非正規雇用労働者の人材育成に取り組む企業を支援するたためのキャリアアップ助成金、人材育成コースの実施実積を踏まえた予算計上も主な増要因となっています。

 裏面の2ページ、これが予算の全体像で、「ニッポン一億総活躍プラン」などを踏まえて、ここに掲げている第1、人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備。第2、女性、若者、高齢者、障害者等の多様な働き手の参画。第3、人材育成を通じた国際協力の推進を図るための3つを柱としているところです。3ページ目をお願いします。この大きな3つの柱に沿って、まず第1の柱ですけれども、これについては714億円を計上しています。このうち1.労働生産性向上に資する人材育成の強化では、中小企業の訓練ニーズに合わせた先進企業の好事例を活用したオーダーメイド型訓練の開発や各助成金の見直し等による企業内訓練、在職者訓練の推進、労働者の自発的な能力開発支援のための教育訓練プログラムの開発、子育て女性のためのリカレント教育の拡充による短期の職業訓練や、資格職などを可能にする1年以上2年以内の長期の職業訓練など、労働生産性向上に資する人材育成に向けた取組を一層推進するための経費として、646億円を計上しています。

2.人材の最適配置のための職業能力評価制度の構築では、技能検定制度が産業界の人材ニーズに適合したものとなるよう、職種、作業の新設、統廃合、技能検定3級の設定のほかに、社内検定制度の構築に取り組む企業に対する一貫した支援等による社内検定の拡充・普及促進に取り組むための経費として、4.3億円を計上しています。

4ページをお願いします。3.若者が技能検定を受検しやすい環境の整備として、ものづくり分野など地域における人材の育成を支援するため、若者の技能検定の受検料減免措置等に係る経費として、9.7億円を計上しています。受検料減免の対象については、ものづくり分野に係る技能検定2級又は3級の実技試験を受検する35歳未満の若者を想定しています。

4.地域の創意工夫を活かした人材育成の推進では、公的職業訓練の枠組みでは対応できない人材育成の取組を行い、人手不足分野における安定的な人材の確保を目指します地域創成人材育成事業等のための経費として、64億円を計上しています。地域創成人材育成事業については、既に実施している19か所に加えて、平成29年度は新たに4か所の実施を予定しています。

 第2の大きな柱については、1,377億円を計上しています。このうち1.女性の活躍促進に向けた職業能力開発の推進では、子育て女性のためのリカレント教育の拡充に係る短期職業訓練や、託児サービス支援の提供、更に保育分野等について、求職者の特性・ニーズに合わせた訓練コースの設定等のための経費として、50億円を計上しています。

5ページ、2.若者の活躍促進として、(1)若年労働者等に対する就労支援の促進では、高校等の関係機関との連携を強化し、アウトリーチ(訪問)型等による切れ目のない就労支援を実施する等、高校中退者等をはじめとする若年無業者等に対する就労支援の一層の推進などのため、地域若者サポートステーションに係る経費として、38億円計上しています。続いて(2)技能の振興では、技能五輪国際大会の日本国内の誘致や国際大会出場者の技術力向上に向けた取組等のための経費として、14億円を計上しています。

3.中高年齢者の職業能力開発の推進では、新たな場での活躍を期する中高年に対する再就職に向けた準備支援に向けた新たな職業訓練コース等の支援等の開発のための経費として、2,100万円を計上しています。

4.精神障害者など、多様な障害者特性に応じた就労支援の推進では、精神障害者等の職業訓練を支援するため、相談等のサポートを受けながら、職業訓練を受講できるよう、職業訓練校に精神保健福祉士を配置するための経費や、東京障害者職業能力開発校の建て替え等の経費として、82億円を計上しています。

6ページ目、5.非正規雇用労働者の職業能力開発機会の充実では、職業能力開発機会の充実を図るため、キヤリアアップ助成金を活用した人材育成に取り組む企業への支援や、資格取得などを可能とする1年以上2年以内の長期の職業訓練の経費として、196億円を計上しています。

6.公的職業訓練等による、セーフティネットの確保では、地域ニーズに対応する等により、より安定した就職の実現につなげるため、公共職業訓練及び求職者支援制度を実施する費用として、1,199億円を計上しています。

 最後に第3の柱として、39億円を計上しています。このうち、1.技能実習制度の適正かつ円滑な推進では、先ほども御説明させていただきましたが、第192回臨時国会で成立した外国人技能実習制度の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、いわゆる技能実習法による新たな技能実習制度を円滑に推進するため、外国人技能実習機構の運用に係る経費などとして、38億円を計上しています。以上が、職業能力開発局の平成29年度予算案の内容です。

 続いて、資料3-21ページ目は厚生労働省の組職・定員の査定を記載した概要です。裏面が、厚生労働省組職再編の全体像ということです。1ページに戻りまして、今回の組職再編については赤で囲っているところですけれども、若者の雇用安定や働く方の能力開発の促進を支援し、生産性の向上を図るため、職業能力開発局を廃止し、人材開発統括官を設置することとしました。また、人材開発統括官に参事官5(人材開発総務担当、人材開発政策担当、若年者・キャリア形成支援担当、能力評価担当、海外人材育成担当)を設置することとしています。具体的な業務については、現行の業務に加えて、職業安定局が所掌している若年者の雇用対策を移管するとともに、技能実習法の施行に伴い発生する同法の執行業務を追加することとなっています。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○高倉委員 多分、予算区分としては、第11「労働生産性向上に資する人材育成の強化」に関連すると思うのですが、先ほどの働き方改革に関してです。要するに第4次産業革命への対応というのが1つのキーワードになっているときに、先ほど浅井委員のお話の中にもあったのですけれども、この第4次産業革命にはいろいろな可能性があって、日進月歩でいろいろなことが起こってくるわけです。せっかく教育訓練を実施しても、技術が先に進んでしまって、教育訓練の内容がもう役に立たないようになったりとすることが起こり得ます。したがってタイムリーに、第4次産業革命の進展状況を取り入れた講座をどれだけ用意できるかということが重要になってきます。ましてや第4次産業革命は日本だけの話ではなくて、日本で進んでいる分野もありますけれども、欧米でどんどん進んでいる分野もあるわけですから、そういった情報を、いかに収集して講座に生かしていくかが非常に重要だと思うのです。それは予算的に何か反映されているのですか。

○木塚総務課長 その点については、正に御指摘のとおりで、実は「日本再興戦略2016」というものがあります。あるいは一億総活躍プランの中で、第4次産業革命に対応するための人材育成推進会議を設置するということが謳われています。それはすなわち、正に御指摘のとおり、第4次産業革命が進行すると、産業界で求められる人材層とか人材スペックも変化していく。そういうことで中長期的な産業構造の変化を踏まえて、そうした成長産業で活躍できる人材を戦略的に育成していく必要があるということで、関係省庁、経済産業省やいろいろな関係者の教育機関や訓練機関に集まっていただいて、連携しながら検討する場が作られています。その場での議論をしっかり踏まえて、今後の私どもの施策もその内容を踏まえてニーズに沿ったものになるように努力していきたいと考えています。

○高倉委員 そこで十分な連携が取れるようになっているわけですね。

○木塚総務課長 そういう場ができていますので、それに沿って対応していきたいと思います。

○臼田委員 資料3-14ページの3番です。若者が技能検定受検をしやすい環境の整備、ということですが、かねてより、これは検定費用の負担が懸念されていたこともあり、非常に有り難い措置であると考えています。受検費用の負担軽減をしっかりと図れれば、私ども中小企業としては1社から複数の受検者が出せるということもあり、結果として全社的な技量の底上げであったり、技能検定の合格者に対して、手当などの待遇等を結び付けることで、従業員そのもの自体のモチベーション向上にもつながるということで、非常に幅広い意味をもたらすと考えています。

 つきましては、今回の措置について、各地方自治体若しくは対象の企業に対し、より一層のPR告知を是非ともお願いしたいと思いますので、意見として申し上げます。よろしくお願いします。

○木塚総務課長 御指摘を踏まえて、しっかり周知広報に取り組むように、都道府県に対してお願いしていきたいと思っています。

○臼田委員 お願いします。

○大久保委員 組織再編に関して1つお聞きしたいのですが、局の体制が変更になるということなのですけれども、名称も変わりますね。職業能力開発から人材開発という名前に変わるという案なのですが、人材開発という言葉を使うときは、一般的には人材育成とかキャリア支援とか、企業の場合は採用も含んで人材開発という言葉を使うことが多いのです。職業能力開発という言葉よりも、概念的には若干、広い言葉になるだろうと思います。後は印象として、やや企業のほうに寄った言葉になるのかという感じもするのですが、職業能力開発から、人材開発という言葉に呼び方を変更する考えの背景はどういうことなのかを、ちゃんと理解しておきたいので、是非ご説明をいただきたいと思います。

○木塚総務課長 1つは、一億総活躍プラン等、いろいろな場で生産性の向上が非常に重要であると指摘されてきました。それは人口減少に伴う労働供給の制約とか、人手不足を克服するということで、働き手一人一人の職業能力開発を通じた、生産性向上を図っていくことが非常に重要であるとされています。

 このため私どもとしては、若者をまず適職にしっかり結び付ける。先ほど採用という話もありましたけれども、まずは若い方をしっかり結び付ける。それから、企業による人材育成であるとか、働く方の自発的な能力開発を支援する必要があるということで、これらの取組を一体的に推進できるような形にしようということで、これまでの職業能力開発局から若干概念的に広くなるわけですけれども、人材開発統括官という名前を付しているわけです。

 最終的な名前については、内閣法制局でいろいろ組織について検討して最終的にはそこで決まるわけですけれども、私どもとしては、この名前で法制局に御説明をし、調整を進めたいと考えています。

○大久保委員 ということは、個人のキャリアに沿って、継続的に職業能力開発を見ていくというようなニュアンスが入っているということなのでしょうか。今、生産性向上というのが強く含まれた感じで、御説明をいただいたのですけれども、生産性向上というのが何を指しているかが、よく分からないのです。先ほどの予算のところにも出てくる言葉なのですが、つまり一般的に職業能力が開発されて、知識技術レベルが上がれば、それに伴って生産性が向上するという意味だけなのか、その他にも様々な意味合いがあると思うのです。人材開発、職業能力開発のところを言うならば、先ほどの長時間労働の話とも関連するのですけれども、より効率的な学習、なるべくなら短くて同じことが覚えられるならば短いほうがいいわけです。そういうことも生産性の向上という意味ではイメージが浮かぶのですが、ここで言っている生産性向上はどの範囲のことを言っているのか教えていただけますか。

○木塚総務課長 生産性向上というのは、国民所得を600兆円程度にしていくという、大きな政府の目標がある中で、私どもが使っているのは、労働力の供給制約があるとすると、最終的に生産性の向上を図るということです。

 生産性向上というのは、いろいろな捉え方があるわけですけれども、最終的には付加価値の集合体が国民所得ということですので、付加価値を少ない労働力で生み出すということを、労働生産性向上だと理解しています。

○大久保委員 いわゆるマクロ的な意味で使っているのですね。分かりました。

○遠藤委員 今日の資料のどこということではないのですけれども、あるデータを見て、雇用者数の変化をここ10年で比較したところ、15から24歳の層が約80万人ぐらい減少しています。もちろんこれは単年で見ていくと、子どもの生まれる数が減ってきていますから、その影響はあると思うのですけれども、80万人減っています。

 それに対して、65歳以上の層が大幅に増えているのです。当然、経年でそこにシフトしている部分があります。断言するような、そこまで言えるものはないのかもしれませんけれども、やはり若年層に対するしわ寄せが見えてきているのではないかと思います。若者雇用促進法の制定過程で、若年層が他の年齢階層に比べて特異な状況にあるのであれば、そこを踏まえて手当をしようと議論が始まったのですけれども、なかなか特異性が出てこなかった。1つあり得るのは、いわゆる職業経験が乏しいということでした。

 もう少し若者ですとか、若者の一定割合が非正規雇用ということであれば、非正規雇用と若者というキーワードを結び付けるような形、あるいは、例えば大学生を見れば、既卒未就業者の話なのか、中退者の話なのか、あるいは既卒3年以内の早期離職者の話なのか、とくに既卒3年以内の早期離職者の施策が乏しいと言わざるを得ないと思います。

 今後、組織も変わるということなので、改めて若者というキーワードで、適職選択等、長く働き続けられるというポイントで議論できるように、テーマに掲げていただければと思います。

○臼田委員 関連して、現況、工業高校等々で、技能検定3級を受検させる学校が多いと聞いています。受検料を無料にしている学校が、現状どのぐらいあるかというのは、事務局で把握していますか。

○搆主任職業能力検定官 すみません、工業高校で技能検定3級の受検料が無料ということですか。

○臼田委員 はい、無償で。

○搆主任職業能力検定官 無償。それはどこが負担するのですか。

○臼田委員 学校や自治体ということです。

○搆主任職業能力検定官 無償にしているところは承知しておりませんけれども、都道府県が大部分の検定を実施する主体となっていますが、既に在校生向けに、大幅に受検料の値段を下げているところがあります。それに今回の国の施策による減免も併せると、例えば実技試験が通常17,900円を2,900円と、大幅な減額になることもあります。○臼田委員 そういったことで、若年層に、より一層早いタイミングで、専門的な知識であるとかスキルを身に付けさせるためにも、現況政府でも高校の授業料の無料化を進めているということもありますので、是非とも今後は高校生の技能検定についても、無償化という方向の取組を、御検討いただきたいという意見です。よろしくお願いします。

○小杉分科会長 新たな課題もいくつか出てきたようです。他にこの予算案等に関して御意見等ありますか。

○村上委員 遠藤委員と大久保委員から、先程若い人達の問題について御発言がありました。私どもとしても同様の問題意識は持っています。人材育成のOJTはとても大事ですし、若い人達の職場への定着状況を見ていると、きちんと仕事を教えてもらえるとか、面倒を見てもらえるという職場であれば定着していきます。そうでないと、様々なトラブルがあったり、孤立感を抱えて辞めていくということもあります。仕事の技能を教えるということだけではなく、もう少しOJTをしていくときに、どのように若い人に接して、その能力を引き出していくのかということも含めて、人材育成の問題を考えていくべきではないかと思っています。そのようなことも今後、是非検討していただければと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。他にございますか。ないようでしたらこの議題もここまでといたします。それでは最後にその他です。事務局からの報告です。公的職業訓練の愛称・キャッチフレーズについて、事務局から説明をお願いします。

○波積能力開発課長 資料4にありますとおり、昨年1130日に、公的職業訓練の愛称・キャッチフレーズが、「ハロートレーニング〜急がば学べ〜」に決定したと、プレスリリースをいたしました。本日この場では、この資料を使って決定の経緯とマスコミの報道状況について御説明します。

3ページ目ですが、公的職業訓練の愛称・キャッチフレーズの選定についてという紙です。既に御案内のことがかなり書いてあるかと思いますけれども、一応、復習がてら御説明いたします。まず公的職業訓練ですが、公共職業訓練と求職者支援訓練の総称です。離職者訓練が代表的なものですけれども、それ以外にも在職者向けの訓練、学卒者向けの訓練、あるいは障害をお持ちの方に対する訓練と、かなり多様な中身になっています。

 実際のイメージとしては、真ん中の段にあるとおり、年間30万人という多数の方が訓練を受講されており、言ってみれば働こうとする方全てが潜在的には対象であるということです。また、実際の訓練の中身も多種多様な訓練分野を網羅し、更に一番右の訓練コースにもあるとおり、時代のニーズに即したコースを毎年創設し、国民の働くニーズに対応している形になっています。

 一方、左下にあるとおり、課題としては、国民一般になかなか中身が知られていないということ、あるいは訓練に対する世間のイメージが、つらいとか厳しいというイメージがあるということです。私も実はこのポストに就くまでは、かなり厳しいというイメージを持っていました。昨年度公開された、オダギリジョーが主演された映画を見られた方は、イメージがあるかと思いますが、ここは刑務所なのかなというイメージで描かれがちです。

 ただ実際は、毎年中身を新しくして、いろいろな訓練を網羅している。言ってみれば、現在の職業訓練という中身が名前に合った中身になっていない。旧態依然としていることが実態なのだと思います。実際に私どもがキャッチフレーズを考えるに当たり、モデルにしたのは、もちろんハローワークです。ハローワークは説明の必要がないぐらい国民に広がっています。一方で、公的職業訓練を私の友人などに話をしても、1から説明をしないと全く理解してもらえない。できればこの状況を一新したいということで、今回愛称・キャッチフレーズを公募して選ぶという段になりました。

 実際の手続きとしては、右側の今回の取組の下にあるとおり、昨年の67月にかけて2か月間公募をして、愛称としては1,400件弱、キャッチフレーズは1,400件以上ということで、合わせて3,000件近い応募を頂きました。更に選定にも、ハローワークの際は糸井重里さんに中心になっていただいたのですけれども、今回も発信力がある方を選ぼうということで、前のページに戻って、秋元康さんを選定委員長にした上で、今野浩一郎先生、俳人の神野紗希さん、落語家の三遊亭円楽師匠と、マスコミの方にもかなり受入れていただけるような方を選んだ上で、1117日に選定委員会をセットしました。

 また、発表会を1130日にしたわけですけれども、これも円楽師匠は事情があって来られなかったのですけれども、それ以外の3人の委員の方に厚生労働省に集まっていただいて、マスコミの方を招いて公表会というものをセットしたわけです。私どもも、可能な限りマスコミの方に事前に、是非来ていただきたいと営業活動をかけまして、その結果が最後の3枚の部分のマスコミの公表の状況です。

 後ろから3枚目にありますとおり、朝日、毎日といった主要紙に写真の付いた形で取り扱っていただきました。また次のページを見ていただきますと、NHKでは3時のニュースで、かなり長尺で取り上げていただきました。それ以外にも、テレビ朝日あるいはTBS系統でも流していただき、ネットニュースでもかなり取り上げていただきました。あと私どもはまだ確認はしていないのですけれども、俳句や落語の専門誌の記者も来ていまして、恐らくその辺りでも報道されているはずだと考えています。

 いずれにしても、この「ハロートレーニング〜急がば学べ〜」を使い、これは正に一億総活躍、あるいは働き方改革を推進する貴重なツールですので、今後、積極的に広報展開をしていきたいと考えている次第です。簡単ですが以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ではこの件について、皆様から御質問、御意見はありますか。

○荘司委員 今後の展開について質問です。今回、公的職業訓練の認知度を高めることを目的に、このような愛称を決められたということですが、今おっしゃったように認知度を高めていくというのは、本当に重要になると思っています。今回、愛称を決めて終わりということではなくて、今後何らかのツールとして活用していくのだと思うのですけれども、もし具体的な戦略とか戦術があればお聞かせいただきたいと思います。

○波積能力開発課長 重要な御指摘ありがとうございます。私どもは名前を決めて終わりではなくて、むしろこれは出発点、これから正にこれに魂を込めなければいけないと考えています。基本的には具体的な戦略はこれからとなるのですけれども、ハロートレーニング〜急がば学べ〜を可能な限り世間に周知したいということで、それこそポリテクとか関係機関には、既にパンフレットにはかなり入れてもらってはいるのですけれども、単発的な取組としないためにも、定期的にこの名前が出るような取組として、いいアイデアがないかと、中でも募集しているところです。

 まず手近から始めているのは名刺です。名刺にハロートレーニング〜急がば学べ〜という言葉を入れています。課としては全員に入れるようにと話をしていますし、局としても皆さんにお願いをしています。それ以外にも、今回の公表会を通じてマスコミと私どもはかなりネットワークというか伝手ができましたので、個別に話をしているところもあります。もしかしたらテレビ番組などでもうまく取り上げてもらえる可能性もあります。ただこれは相手のあることですから、私どもは約束できないのですけれども、そういうことも含めて積極的に活動していく所存です。委員の皆様方も、この名前を是非とも広げていただけるようにお願い申し上げます。

○大久保委員 例えばマザーズハロートレーニングとか、ヤングハロートレーニングみたいに使うのですか。そう使えと言っているのではないですけれども、ハローワークそのものが結構浸透しているので、ハローワークがやっている戦略とある程度歩調を揃えたほうが、効率的に浸透するかと思います。

○波積能力開発課長 はい、それも含めてありだと思いますし、またハロートレーニング〜急がば学べ〜は実は商標登録も取っていて、変な使い方はしないようにしているのです。ただ基本的に言っているのは、趣旨に合っていればどういう使い方をしても結構です、自由に使ってくださいという形でやっていますので、連携はしっかりと取ってやっていきたいと思います。

○小杉分科会長 他にございますか。それではこの議題についてもここまでといたします。そのほか、委員の皆様から何かありますか。では本日の議論はここまでとします。次回の日程については、改めて事務局から連絡いたします。議事録の本日の署名人ですが、労働側は上野委員、使用者側は遠藤委員にお願いします。それでは本日はこれで終了します。どうも皆様御協力ありがとうございました。

 


(了)

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