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2016年12月1日 第4回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会議事録

厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室

○日時

平成28年12月1日(木)10:00~12:30


○場所

厚生労働省 省議室


○出席者

宮本 太郎 (座長) 相澤 照代 (構成員) 朝比奈 ミカ (構成員)
大津 和夫 (構成員) 奥田 知志 (構成員) 菊池 馨実 (構成員)
櫛部 武俊 (構成員) 駒村 康平 (構成員) 生水 裕美 (構成員)
新保 美香 (構成員) 田中 弘訓 (構成員) 西岡 正次 (構成員)
野溝  守 (構成員) 前神 有里 (構成員) 森脇 俊二 (構成員)
渡辺 由美子 (構成員) 渡辺 ゆりか (構成員) 和田 敏明 (構成員)

○議題

(1)前回までの指摘事項に関して
(2)高齢者に対する支援について
(3)社会福祉法人の役割、人材養成研修、帳票、統計システム等について

○議事

 

○金井課長 皆様、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第4回「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙の折お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の皆様の出欠状況について報告をいたします。

 長岡構成員、山本構成員から、欠席との御連絡をいただいております。

 また、新保構成員は遅れての参加となります。菊池構成員は若干遅れているようでございます。
 それでは、議事に移りたいと思います。以降の進行につきましては、宮本座長の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○宮本座長 おはようございます。今日も、気がつくと師走に入ってしまいましたけれども、お忙しい中、御参加いただき、どうもありがとうございます。前回までも大変熱い議論が積み重ねられてまいりましたけれども、今日は第4回目ということになります。

 議論をより充実させていくために、幾つか運営上のお約束事についてお話をしたいと思います。

 皆さんにできるだけよいタイミングで十分納得のいく御発言をしていただくために、皆様のお席に名札と並べて赤い札があると思います。これは、文科省の中央教育審議会の委員をやらせていただいたときに、発言があるときに名札を立てるのですね。初めは違和感があったのですけれども、意外に合理的でありまして。本当は手元のスイッチかなんかでずっとライトが光っているようなローテクがあればいいですけれども、そういう設備はないということで、御発言があるときはこの赤い札をお立ていただくということにさせてください。私の方で赤い札を探しながら、立っているなと思ったら、そこに指名をするということにしたいと思います。

 それから、単に事務局との一問一答という形ではなくて、論点ごとに構成員の皆さん同士の御議論も活発にしていただければと思います。ディベート方式で議論が始まってしまうとちょっと収拾つかなくなるのですけれども、要するに、他の構成員の方が御発言されたときに、それに関連する御発言をしていただければと思います。そのためにも、複数回の発言はやむを得ないと思いますが、一回一回の発言を短く、必ず3分以内にお願いしたいと思います。資料をご提出いただいているのは大変ありがたくて、その資料を十分御説明いただきたいところなのですけれども、そこはぐっとこらえて、その回は3分以内にお話をまとめていただきたい。どうか進行に御協力をお願いしたいと思います。

 それでは、早速議事に入らせていただきます。また、前回、構成員の皆さんからいろいろ事務局に対して資料のお願い等もありました。まず、その御報告に入っていただく前に、この検討会、制度の中身に沿って順番に個々の制度について検討するということではなくて、大きな見直しも可能なように、高齢者についてだとか、生活保護との関係についてだとか、大きなくくりでの議論も設けております。したがいまして、その都度、どういう流れの中で、今どういう議論なのかということを御確認いただくことが大切かと思います。

 まず、事務局の方からその点、例えば今日は高齢者の問題等が議題になると思いますけれども、流れについて、復習を兼ねてお話をいただければと思います。

 では、室長、お願いします。

○本後室長 座長から御指摘をいただきました議事の進め方についてですけれども、まず、本日は、前々回多く御提案をいただきました高齢者に対する支援という形で、いわば横串を刺した形の御議論をお願いしたいと思っております。

 それから、前回になりますけれども、奥田構成員、それから菊池構成員から御提案いただきました生活保護とこの制度との関係、そういったところも、次回議題として追加していきたいと考えております。その他の議題は前回御説明のとおりでございます。

 以上でございます。

○宮本座長 ありがとうございました。

 それではまず、皆さんから前回御指摘いただいた論点、あるいは事務局に対してお求めいただいた資料等について、事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○渡邊室長補佐 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 まず、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。資料1、2としまして、横置きのパワーポイントの資料を御用意してございます。その後に、資料3としまして幾つかございまして、まず資料3以降が構成員から提出いただいた資料ですけれども、一番上に奥田委員提出資料という形でついていますものに、生水構成員、新保構成員からいただいておりますものも一緒にとじさせていただいております。そのほかに、渡辺由美子構成員からいただいたものと野溝構成員からいただいたものをそれぞれ別とじで御用意させていただいていまして、ちょっと編集が行き届かなくて大変申し訳ないのですけれども、大きくは3点、構成員としては5人の方から提出資料をいただいていると、そのような構成になってございます。

 それでは、資料1の御説明をさせていただきますので、1枚おめくりいただければと思います。前回までの検討会におきましていただいておりました御指摘についての資料でございます。

 まず2ページですけれども、これは前回、家計相談支援事業についての御議論をいただいた中で、家計相談の支援の中には自立相談支援事業でもできるものがあるというようなデータをお示ししてございました。それは実態、中身としてどういうものなのかという御指摘がございましたので、自立相談支援事業において取り組んでおられる家計面の支援ということで実態の確認をさせていただきました。

 まとめますと、上の枠のところでありますけれども、アセスメント段階において大まかに聞き取りをするであるとか、また、滞納、多重債務関係の機関につないでいるとか、そういうところまではできているのですけれども、家計相談支援の中核をなすような家計状況の見える化、気づきの促しですとか、家計管理できるようになるための支援といったようなことまでは行われていないということでありまして、考えられる論点といたしましては、専門的な家計相談支援については現行の自立相談の中では提供できないのではないかというような書き方をさせていただいております。

 続きまして、3ページからが就労準備支援事業でありますけれども、こちらは、座長より、前々回より継続しまして、効果的な就労準備支援事業のやり方とはどういうものなのかというお尋ねをいただいておりました。前回ちょっとまだ不十分な整理でありましたけれども、これまでもお示ししてきております新たな評価指標、これは支援対象者のステップアップを見ていく指標でありますけれども、これを暫定的に集計させていただきまして、まず効果の面から見ていただくのがこのスライドでございます。

 下の表をご覧いただきますと、大きく上半分に就労準備支援事業を使った人、下半分に使っていない人と分けまして、このステップアップを見る視点としては1から3の3つの種類がございます。指標の詳細は4ページにこれまでご覧いただいているものを載せておりますが、1から3の中で、ステップアップが見られた、変わらなかった、あるいは下がったということでそれぞれパーセンテージをとっていきますと、就労準備支援事業利用者の方が、「意欲、関係性、参加に関する状況」、あるいは「就労に関する状況」でステップアップした率が非常に高くなっています。黄色で塗ってあるところをそれぞれ2つずつ比較してご覧下さい。

 5ページをご覧いただき、この就労準備支援事業の利用者でステップアップした方が複数出ている就労準備支援事業の実施自治体にどのようなやり方でされているかということをヒアリングさせていただきました。座学や講座、あるいは就労体験の組み合わせ、それからオーダーメイドでやる部分とある程度カリキュラムを事前設定しているものとの組み合わせ、その2軸で前回整理したのですけれども、やはり効果が出ている自治体においても、この組み合わせで大体されているということが見えてきてございます。

 下のほうには支援事例も含めて載せさせていただきました。

 続きまして6ページでございます。6ページは、これまでも大分御議論いただいた「就労準備支援事業の資産収入要件」でございます。改めて事実関係の整理ということで、収入要件、資産要件いずれもどのように設定しているのかということで、特に所得が低く、支援の必要性が高い人を対象とするという考え方で、いずれも市町村民税非課税相当というものを一つのメルクマールとして設定してございます。それは就労準備支援事業だけではなくて、住居確保給付金、一時生活支援事業も含めてそのような統一的な整理をさせていただいているというようなことでございます。

 この部分については、前回までのいわゆる「準ずる者」というところの運用実態も踏まえまして、必要とする人に自治体が積極的に支援しやすい対象者要件のあり方をどう考えるかということで引き続きの論点かと思っております。

 7ページからが子どもの学習支援事業でございます。こちらについては前回もさまざま意見をいただいておりまして、高校進学、あるいは中退防止、その部分がコアとして重要なのではないかでありますとか、親支援、世帯支援というのはどこまで実際やれているのかといったような御議論をいただいておりました。

 総括的に上の枠でまとめておりますけれども、この事業は生活困窮と低学歴、低学力という問題に相関が指摘されるということで、貧困の連鎖の防止という観点から学習支援が必要だということで事業化されてきたというのが経緯でございます。

一方で、学習の支援ということを通じまして、単に学力だけではなくて、子どもの自己肯定感ですとか、自ら参加、学ぼうというような意欲的な姿勢でありますとか、何かに根気強く取り組むとか、そういう力を育てるということも実態でありまして、それは学力テストなどではかる認知能力と呼ばれるものとは異なって、非認知能力ですとか社会情動的スキルという呼ばれ方もしますけれども、こういうものも自立の上では非常に重要だということかと思います。

 それから、これも繰り返し出ている論点でありますが、学習支援だけではなくて、親への養育支援、訪問支援に取り組むことによりまして、子供の生活習慣、健康状態、こういったところにもアプローチしていくことも重要ではないかということでございます。

考えられる論点といたしましては、これはかなり議論も深まってきたかと思いますけれども、高校進学、卒業が可能となる学力のほかに、学力以外の力にも注目する。あるいは親世帯の支援を意識するというような支援に当たっての基本的な理念、具体的な留意点などを共有していく必要があるのではないかということでまとめさせていただきました。

 下に、お求めのありました高校中退率を記載してございます。これは昨年度のこの学習支援事業の中の高校中退防止の支援を行った対象者、そういう意味で非常に厳しい支援を要する子どもさんだという分母になっておりますが、その中で中退した子どもさんがどのぐらいかということを記載いたしました。社会一般の数字、それから前年度の比較する数字をあわせて記載してございます。

 それから、右側は親支援、世帯支援というのがどのぐらいまでできているのかということで、これもヒアリングさせていただいたものでありますけれども、不登校の子どもさんに対して学習支援に促しをする中での親御さんに対する養育相談であるとか、あと、学習の必要性、進学の必要性ということをしっかり理解してもらう、あるいは進学資金の相談であるとか、そういった子どもさんの教育、あるいは養育に関する御相談に乗っているというような状況でございます。

 8ページが、続きまして子どもの学習支援事業関係ですけれども、前回、この事業の利用者の属性というものを整理してお示しいたしました。それが生活保護世帯でありますとか非課税世帯、就学援助など複数回答でお示ししてございまして、その中がどういう組み合わせになっているのかということのお求めがございましたので、整理させていただいたものでございます。

 組み合わせというのが大変バリエーションがありますもので、上位からお示ししておりまして、一番多いのは生活保護受給世帯のみというところでありますが、全体で見ますと2割程度ということで、それ以外につきましては大体何らかの組み合わせになっているというようなことでご覧いただければと思います。

 9ページでございます。こちらは「一時生活支援事業について」ということで、前回、ホームレス特措法との定義の関係、少し簡略化して図式を示してございましたけれども、規定ぶりを正確に書かせていただきました。ホームレス特措法におきましても定義規定はございますけれども、そのホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある方に対する予防的な対応ということも念頭に置いて取り組んできている。それから、生活困窮者自立支援法におきましては、当然、おそれのある方というところまで対象になっている。こういう概念の整理を改めてしてございます。

 右側が、御指摘いただいておりました借り上げ型シェルターについて、一時生活支援事業の中で相談員人件費を手当てすべきではないかということでございましたが、借り上げ型でやっているような形であっても、運営主体が宿泊場所を提供して、かつ、同一の場所で相談支援もやるのであれば、設置型のシェルターとして解することも可能だと考えておりまして、そのような事例も実際にあるところでございます。

 10ページを覧ください。10ページは「一時生活支援事業と法外援護との関係」を整理いたしました。これは一時生活支援事業の広がりによりまして法外援護のほうが縮小しているのではないかという御意見を頂戴していたものでありますけれども、法外援護というのが下の方に書いてありますが、生保受給者、行旅人、中国残留法人等さまざまな対象者に対しまして、非常にいろいろなものが、当然に法外援護でありますので自治体の独自でなされているということでありまして、一時生活支援事業と重なる部分は必ずしも大きくないのではないかと思ってございます。

 幾つか自治体にヒアリングさせていただきましたけれども、その間の関係性は明らかでありませんでしたので、この点は御報告させていただきます。

 11ページでございます。いろいろなテーマがございまして恐縮でございますが、社会保障教育・金融教育ということで御紹介させていただいています。こちらは高校生のうちに社会保障制度の基本的な仕組みを学んでおくべきではないかというような御意見を前回頂戴いたしました。それから、生活費の実態だとかお金の使い方というようなことも高校生のうちに、若いうちに教えておくべきではないかという御意見も複数いただいておりまして、整理したものでございます。

 いずれも、学習指導要領に定めるような形で高校において中心に取り組まれているというような経過と、厚生労働省では社会保障教育の推進ということで教材開発などもしてきておりますし、また、家計管理を含む金融教育という枠組の中で、こちらは日銀の中にあります金融広報中央委員会さんですとか、金融庁、文科省、こういったところが共同して推進されていると、そのような状況を御紹介させていただきます。

 最後に1213ページ、「生活支援コーディネーターについて」でございます。これは前々回の御指摘でありまして、配置状況をということのお求めと自立相談支援事業の相談員との兼務状況ということ、2点いただいていたかと思います。配置状況としましては、12ページに、第一層、第二層ともに社会福祉協議会を中心に設置されているという状況と、13ページの方は、人ベースで兼務しているかどうかというデータがなかなかございませんで、事例としても少し見つけるのが難しかったという状況ですが、市社協さんで一つの部門の中にその両方の機能が入っているというような形の事例が幾つかありましたので、それをお示しさせていただいているというような状況でございます。

 以上でございます。ありがとうございます。

○宮本座長 大変幅広い論点ではございましたけれども、要領よく御説明いただきました。今の宿題に対する御回答をいただいたところで、いかがでしょうか。

 では、櫛部構成員、お願いします。

○櫛部構成員 就労準備と、家計のそれぞれの効果ということが本当によくわかる説明であり、そういう意味でまさに三位一体なのだということを思うのですが、就労準備を利用できない人というのは結局お金がないのです。だから、とりあえずハローワークに行きます。そして、やはり2~3カ月で戻ってきてしまう、こういう繰り返しをしています。自分がまとまるべきこの就労準備で経なければいけないところにすぐには行けないということがあると思っています。

 それから家計の方も、野洲市、あるいはグリーンコープもそうですが、先駆的なところは減免であったり貸し付けであったり、つまり、そこのバックグラウンドというのがあるというところが非常に大きいのだと思います。ですので、そこを抜きにするとこの効果ならしめるところがなかなか使えないという、そこが実は裏側の大きな問題なのではないか。生活保護世帯が似たようなことに通う場合は、生業扶助費の中の移送費で交通費というのは出るわけです。、自立相談支援事業の場合は、そのような支援がないので、まずハローワークへ行くという人が結構多い。それでまたちょっと迷ってしまうというのがあると思います。

○宮本座長 ありがとうございました。

 生水構成員の方から、今の御説明に関する補足資料もいただいております。申しわけございませんが、3分以内ということでお願いします。

○生水構成員 わかりました。私の方、資料3の8ページからになります。これについては、第3回の資料2の11ページに、家計相談支援事業実施自治体において、家計相談支援事業を利用せずに、家計に関する支援をしている事案の有無で、あると答えた自治体が62.4%もありました。また、そのありの理由として、本人が家計相談支援事業の利用を希望しないため、また、自立相談支援事業が構築した信頼関係を生かして継続支援した方がよいため、また、自立相談支援事業で対応可能なためがそれぞれ半数挙げられていました。

 そこで、私からは、家計相談支援事業を実施している複数の自治体の協力を得まして、相談者にインタビューした資料を今回示させていただいています。家計相談を受けた相談者の生の声をお伝えしたいと思います。この資料3の9ページをご覧ください。

5事例挙げておりますが、ピックアップさせていただきます。9ページの事例は、高齢夫婦で、国民健康保険料滞納と債務を家計相談支援で解決した事例です。自営業の収入が安定しない高齢世帯2人暮らしで、国民健康保険料の支払いを滞っております。廃業後の職も安定せず、さらに困窮されていて、さらに持病で入退院を繰り返し、分納納付の約束も果たせないままになっていたといった事例です。

 これについては、一緒に分納のために付き添って、同行して、支払い金額の相談を家計相談員が行い、半年後に面談の計画を入れることによって再度の困窮に陥らないよう予防的に対応されているとか、家計の視点から見守り、またそのための体制の強化を重要視されて支援が行われました。

相談者の声として、家計相談と聞かれたときの心境は、本当にどういうことになるかと思っていたところ、市役所、自立相談の窓口で、心配しなくても、嫌だったらすぐ断ればいいしと強く勧められてその気になった。また、家計相談を受けた感想として、安心した、気分的に楽になった、家計相談支援が一生懸命に考えてくれていることが伝わった。どこに相談してもだめだったのに、窓口に同行してもらい分割納付の金額も決まっている。無理のない金額の範囲で考えてもらい、自分の就労による増収見込みまで示してもらって、目標ができた。早く終わらせて滞納を解消したいと思っている。そして、相談してとても安心した。ありがたかったと、こういうお声をいただいています。

 次の10ページをご覧ください。こちらは病気で無収入の時期があり、住居費、国民健康保険料を滞納した小学生の子どもとの母子2人世帯です。この方については、相談者の声として、家計相談と聞いたときには抵抗があった。お金がないことを相談するのは最小限の人にしたかった。話が広がることに対して恥ずかしいと思ったので悩んだが、役所(自立相談)の人から、専門の人に相談した方が解決が早いと言われて家計相談を決心したと言われています。

 そして感想として、家計相談で全てをさらけ出したことで支出を把握することができ、自分を見つめ直すきっかけとなった。誰にも相談できなかったことを聞いてくれて、信頼関係が築け、本当に心強かった。今を生きることしか考えていなかったが、将来子どもにかかるお金などを知ることができ、計画的に生活できるようになったとおっしゃっています。

 ほか、この5事例全てにおいて、相談者の声として、家計相談については抵抗があったものの、どの方も、自立相談窓口からの勧めで家計相談につながっています。結果、専門の人に相談してよかった、このように言われています。

 このように、家計相談については生活をさらけ出すことに相談者はとても抵抗があるものの、利用した相談者は満足されて、生活の立て直しに大いに役立っています。専門性の高い家計相談支援だからこそ、相談者も信頼して相談できるし、自立相談窓口においても安心して相談者をつなぐことができるのだと思います。

 家計相談支援については、専門家としての信頼、これが。

○宮本座長 そろそろおまとめください。

○生水構成員 もう終わります。もうちょっとです。

 相談者が喜んでもらえて、成果となることから、生活困窮者自立支援制度の中に家計相談支援員を専門職として位置づけて配置することが必要だと思います。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

続いて、朝比奈構成員、お願いします。

○朝比奈構成員 3点ほど申し上げたいと思います。私も、家計相談の必要性については論を待たないのですけれども、具体的にどのように実施するかというところが重要かと思います。例えば、お示しいただいた資料のA市の事例に、自らの家計を見つめ直すとか、それから、B市の事例で伴走支援による云々と書かれているところ、これをやらずして自立相談支援事業は何をやるのかなという気もしています。ですから、事業という形で切り出すのか、それとも自立相談支援の中の一つの機能として必須に位置づけるかによって展開は変わってくると思うのが1点です。

 それから、学習支援についてなのですけれども、各地域によって取り組み方がさまざまであり、いろいろな事業を相互に活用し合うというところは重要だと思うのですが、やはり一つの論点として、学校ではない、地域の場所というところがとても重要になってくると思うのが1つです。

 それから、子どものことを切り口に世帯全体をどのように把握していくかというところが重要ですが、その世帯全体にかかわるソーシャルワークを誰がやるのかというところもはっきりさせておく必要があるかと思います。これについては、一時生活支援事業についてケアの人材をつけることはとても重要だと思うのですけれども、ケアの部分と、もう少し長い期間の伴走というところを誰がどのようにやっていくかというところもしっかりと詰めておかないと展開が変わってくると思います。
 それから、最後にある高校のキャリア教育について、私どもの地域でも、関係機関が連携して高校と情報交換を始めているのですが、プログラムとして何をやるかという話だけではなくて、それを学校の先生が学校という枠組の中だけでやるのか、それとも地域と一緒に高校生に働きかけていくのか。それから、それをきっかけに、その生徒が持っている家庭の問題や背景に迫っていく一つの切り口にしていくのか。やはりここでも何をやるかだけではなくて、どのようにやっていくかということもしっかりと詰めておく必要があると思います。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。2分30秒でまとめていただき、ありがとうございます。スマホでタイマーをとっておりますので、よろしく御協力をお願いします。

 続きまして、田中構成員からお願いできますか。

○田中構成員 田中です。

私も家計相談のことですけれども、現場の方で話を聞きますと、生活相談と家計相談、これは専門家に頼んではおるのですが、やはり困窮者に対する生活の視点というのは若干ずれてくるというところがあって、高知市の事例でいきますと、相談に対してプランがたった2件しかないという実態です。そこは、相談員がスキルを持って専門家として相談を受けることができる。御指摘がありましたけれども、相談事業の中で一体的に家計相談ができていく、そういった形にするべきではないかというのが現場の意見です。さらにそのスキルを高めるための国の研修というのが、受講枠というのが非常に少なくて、なかなか受けることができない。高知市でも、そういったところをモデル事業でやっておけばよかったのですけれども、研修を受けに行きたいが受けられなかったというところがありました。今日の議題に出てきますけれども、ぜひともそこの研修というのは、国、中央だけでなくて、例えば中四国のブロックで開催するとか、そういう機会を設けていただいて、相談支援員のスキルアップを図っていくといったことを1つ足していただきたいというのが1点です。

 それと、先ほど出ました学習支援のところ、今回、高校教育の話をしっかりと書いていただきました。ありがたいことですけれども、今言われたように、現場でどういったところを支援していくのかというところもやっていかないと、7ページの中退率、5.3%全部生活保護世帯の子どもたちですね。生活保護世帯の子どもがせっかく高校に上がっても中退していくという実態がありますから、高校を卒業して身近な知識として医療保険や雇用保険等の仕組みというのも将来を見据えた形の中でしっかりと教育していくということを視点に持ってやっていただきたいというのが意見です。

以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、あと、奥田構成員。話をまた前に進めなければいけませんので、このラウンドはこのあたりにしたいと思います。奥田構成員、よろしくお願いします。

○奥田構成員 すみません。3分、自信ないのですけれども、子どもの学習支援のところがまず1つで、世帯の話がとても大事なのですけれども、一方で、子どもって誰なのかという話も大事で、地域においては、中学校までと高校以降が分かれてしまう。教育委員会担当なのか子ども・家庭局担当なのかみたいなところで分かれてしまうというところで、この子どもというのは誰なのか。どこまでいくのかという話もはっきりしなければならないなというのが1つ。あと、中退率のところのデータの中身が知りたいのですが、1,300人の対象者の、そもそも生活保護世帯の子どもがどれぐらいいるのかということ。これがないと、中退した69人全員が生活保護だったというのは100%だとわかるのだけれども、母数の中に生活保護がそもそもどれぐらいか。

それと、世帯支援の取組例のところなのですが、私が思っている世帯支援のイメージとちょっと違う。例えば就労支援とか、どうしても更生保護関係の支援なんかが入ってくるわけです。だから、これから見ると、養育相談とか学費の問題、やはり子どもにぐっと引っ張られているのだけれども、でも、入り口、子どもなのだけれども、世帯支援ということになったらもっと支援の範囲が大きいのではないか。そのあたりのキャッチの仕方というか、調査の仕方自体を広げないと実態は見えないというのが1つです。

それから、一時生活支援事業のところなのですが、まさにおっしゃるとおりで、相談をつけているというケースもありますよと言うのだけれども、これは実態的にはどれぐらいなのか。例えばホテル借り上げがどれぐらいで、相談員がついているケースがどれぐらいで、センターははっきりしていますけれども、我々のホームレス支援の全国ネットで実は去年の暮れに全国調査していますので、そのデータもよければ出しますので、よろしくお願いします。

あと最後に、一時生活支援事業と法外援護の関係のところなのですが、これも、一時生活支援と法外援護と言ってしまうと、対象がホームレスという話なのでしょうけれども、法外援護の中身を見ると、自立相談でも使えるような中身が結構あるわけで、法外援護のところは、一時生活支援とだけでなくて、全体の中で自治体が持っている法外援護どれだけ使えるかというような論点に拡大した方がいいのではないかという意見です。

以上です。

○宮本座長 ちゃんと3分以内でした。やればできるという感じで、ありがとうございます。

 皆さんから大変大事な御指摘をいただきまして、朝比奈構成員、あるいは奥田構成員のお話に引きつけてまとめさせていただきますと、どうアプローチするか、どう膨らませるかということをちゃんと教訓として抽出して、それを制度の改定につなげたり自治体に伝えていく。それをどのようにまとめ伝えるか。奥田構成員に関しては、そのためにももう少しデータが補充される必要がありはしないかということだったと思います。奥田構成員の方から、中退率の中身と、それから借り上げ方式で相談員がいる、どういうケースなのか、そのあたりももうちょっと中身が知りたいというお話もありました。このあたりも御留意いただけるでしょうか。よろしくお願いします。

続きまして、今、必ずしも御発言できなかった方も持ち越しで、次の事務局からの御説明に関連してお話しいただければと思いますが、本日の資料に沿った御説明をお願いしたいと思います。お願いします。

○渡邊室長補佐 それでは、資料2をご覧いただければと思います。今回、横断的な観点からということで、表紙に記載してありますようなものを御用意させていただきました。まずおめくりいただいて3ページから、「高齢者に対する支援について」ということでございます。これまでいただいた御意見の中で、高齢者の特に就労支援、これはただ仕事があるということだけではなくて、健康ややりがいの面にも着目した場があればいいのではないかというような御意見でありますとか、あるいは居住面の支援が必要ではないかといったような御意見をいただいておりましたので、今回は就労と居住の面に絞って支援のあり方について参考になりますようなデータを御用意してございます。

 3ページからでございますが、まず就労につきましては、60歳以上の方にお聞きしますと、65歳を超えても働きたいという方が7割弱という状況でありまして、生活の糧ということだけではなくて、健康面、生きがい面というようなことも念頭に置いてそのような御希望をいただいているというのが全体状況でございます。

 4ページにありますとおり、就業希望者としましては200万人程度ということでありまして、これは実際にお仕事を探しておられる方以外も含めて御希望のある方ということで統計がとられてございます。

 5ページですけれども、こちらはハローワークに求職のお申し込みをいただいた方の希望の職種ということで、希望としては運搬・清掃の職業、事務、サービス、そういったところが比較的多くなっているような状況でございます。

 そういう中で、6ページですけれども、困窮制度の中でどのような支援ができているかということを中心にまとめてございますが、川崎市さんの事例も挙げさせていただいていますけれども、就労支援員に企業を回っていただきまして、高齢者の求人を開拓していただいているというやり方でございます。このやり方自体は若者、現役世代も含めて同じやり方だと思いますが、特に高齢者について丁寧にしていただいているというような自治体の例でございます。

 7ページはシルバー人材センターの関係でありまして、左側、1の一番下のところに、シルバー人材センターの月の平均就業日数で10日程度ということですとか、平均の配分収入ということで4万円弱の数字も出ておりますけれども、自立相談と連携してしっかり取り組んでいただいているような事例もございます。

 8ページ、9ページですが、ハローワークの方でも、この生涯現役社会ということを掲げて窓口の対応の強化をされておりまして、全国主要なハローワーク80カ所には専門窓口が置かれているというようなことですとか、また雇用保険制度については、これは以前も御紹介いたしましたけれども、65歳以上にも拡大されてきているというような状況でございます。

 10ページからが居住の関係であります。こちらは社会全体の持ち家比率というところから入っておりますが、持ち家比率の裏返しという形で、民間の賃貸住宅に住んでいる高齢世帯というのも非常に増えています。ただ、持ち家か持ち家でないかというところは非常に地域差があるということを御紹介しております。

 この生活困窮者という観点からは主に民間賃貸住宅というところに着目していきたいと思いますけれども、11ページをごら覧いただきますと、高齢の民営借家に住んでおられる方というのは低所得層が多いということと、公営住宅というのも当然セーフティネットとして存在しておりますが、その半分程度は高齢者が居住をされているというような状況を御紹介してございます。

 12ページでございますが、民間のアパート、マンションでお暮らしになるという場合に、大家さんの方におきますと、高齢者については大分拒否感があるというようなことが出てきております。それから、例えば連帯保証人、このデータ自体は高齢者に限らないデータでありますけれども、そういうところを見てみますと、連帯保証人に困ったという経験を持たれている方はこの中で1割ぐらいはおられまして、身寄りがないだとか経済基盤が弱いという方々の場合、非常に直面しておられるのではないかと推察されるところでございます。

 13ページ、14ページですけれども、そういういろんな方向から見た場合に、住む場所として今どんなものがあって、それがどういう供給状況になっているかということを研究事業の報告書からとってきたものでございます。イメージ図で整理されておりますが、14ページで見ていただきますと、これは横軸に供給の価格をとっておりまして、縦軸に生活支援というものをとってございます。特に障害だとか介護とかそういうものは除いて考えて、一般的な像として整理されているものですけれども、当然、民間賃貸住宅というところに、主に生活支援などは要らない、現役世代を中心とする人々が住んでいるわけですけれども、家賃は高どまりしているというようなことも指摘されています。

 一方で、家賃負担を下げるものとしまして公営住宅というのを左の方に置いておりますが、ここはどんどん整備していこうというようなトレンドには今はないところでございます。

 高齢者であれば、下の方ですけれども、養護、軽費の老人ホームでありますとか、サ高住、有料老人ホームというものもありますけれども、それぞれ低価格と供給を両方実現するのはなかなか難しいという状況で、真ん中ほどに、安価な家賃の住宅、これは保証のことも含めて入りやすい住宅でありますとか、施設ほどではないけれども、何らかの見守りがあることによって保証を下げるということもできるかと思いますが、そういうところが乏しいのではないかというような状況でございます。

 これで整理をしておりますけれども、このグレーのところに人がいっぱい入っていて、住むところがないという状況ではなくて、何らか、どこかに吸収されてというか、どこかの資源に住んでいるというのが実態の多くではありますけれども、それが生活を圧迫しているような面もあるのではないかということだと考えております。

 このように居住面を支援していかないといけないということでさまざまなお取組がありまして、15ページから18ページにかけて御紹介してございます。15ページの上の枠ですけれども、支援の観点としましては、家賃の負担の点、それから保証ですとか、あるいは保証人とは別に緊急連絡先というものを求められたりもいたします。また入居拒否の問題、このようなところが課題になりますので、居住支援協議会、これは国交省さんのほうで取り組んでおられる住宅部門と福祉部門、それから行政と民間を合わせたネットワークの組織でありますとか、あるいは社会福祉法人さん、NPO法人さん、営利企業も含めてさまざまに取り組んでいただいているような実態がございます。

 詳細は触れませんけれども、いずれも居住支援という形ではありますが、先ほどの図もそうですが、生活支援も含めた形で一体的に支援がされている、そういうものが必要とされているのではないかというところが見えてくるところでございます。

 奥田構成員の資料も後ほど触れていただければと思ってございます。

 19ページ、20ページは参考でございますけれども、国交省で検討されている新たな住宅セーフティネットというものの資料をいただいてございます。こちらは、先ほど申し上げたように、民間の賃貸と公営住宅と両方合わせてセーフティネットにしていかざるを得ない状況でありますけれども、そういう中で、住宅確保が難しい方の入居を拒まないであるとか、あるいは中ほどに家賃低廉化に補助するとかいったようなことも念頭に、今、検討されているという状況を御紹介させていただきます。

 22ページからが社会福祉法人の関係でございます。これにつきましては、この会議においても野溝構成員から御紹介いただいているものもありますけれども、改正社会福祉法の中で、地域において公益的な取組を実施するようにということの責務規定が創設されています。これは基本的に各法人が創意工夫を凝らして取り組んでくださいという枠組になってございますが、23ページでありますけれども、こういう地域広域的な取組とは別に、そもそも困窮法の法律に定める各事業を受託していただくという形で、社協さんは当然ですけれども、社会福祉法人さんのほうでもかなり参画をいただいています。

それに加えて、制度外のところ、制度内のところも含めて、例えば相談・現物給付でありますとか住まい確保のための支援ということで、住まいのところはコーディネートのこともありますし、保証業務でもありますし、あるいはハードの提供ということで、空き家を借り上げた転貸というような形の取組も実際に見られてございます。認定就労訓練事業所についても、施設の作業をいろいろ聞き出していただくというような形のお取組が広く見られるところであります。

野溝構成員からいただいています資料をまた御紹介いただければと思いますが、続きまして、26ページからが人材養成研修でございます。こちらについては、先ほども話題に出ましたけれども、当面の間は国が行うということで、自立相談支援事業、就労準備支援事業、家計相談支援事業について研修をしてまいりました。各事業に従事する方々につきましてはこの研修修了ということを要件としているという状況でありまして、毎年度それぞれの研修の企画部会を開催しまして、現場の支援力、あるいは課題というところの現状把握をしながらプログラムを企画しているというような状況でございます。それとあわせまして、都道府県研修の実施のための研修という担当者研修というものも検討しているところでございます。

そのボリューム感ですけれども、27ページをご覧いただきますとそれぞれ自立相談支援事業の3職種、それから2つの任意事業について、資料にありますようなボリュームで養成してございまして、大体27年度からの制度施行後5年間実施しますと、かなりの割合の支援員さんが修了となるのではないかと。ここは現場の人材の出入りなどもありますのでなかなか単純比較は難しいわけですけれども、かなり修了するということで、未修了の方に対する国研修をやりながら、都道府県ごとに研修を企画・実施して支援力を向上させていくことも必要ではないかということを記載させていただきました。

 最後に29ページが帳票・統計システムというところで、非常に実務的な論点でありますけれども、1枚載せさせていただきました。各事業において、アセスメントでありますとか支援経過の記録のために標準的な帳票をお示ししてございます。自立相談においては一部必須ということでお示ししてありますが、一方で、世帯支援の充実というような観点で、独自様式の帳票を併用していただいているようなところもお聞きしてございます。

 統計システムが平成29年4月から本格稼働いたしますけれども、その中で帳票に入れていただくと全国的に集約できるということも今後は想定されてございます。この検討会でもさまざまなデータをお示ししておりますが、始まったばかりの制度でありまして、さまざま調査する項目がなかなかシステムで追いついていかないというようなところもありまして、現状、エクセルでかなりの事務作業を個別にしていただいているというようなところであります。将来的にはシステムの中で全て対応できるようなことが理想だとは考えておりますが、現状としてはちょっと御負担が大きい状況になっているかと思います。

 資料としては以上でございます。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答に入らせていただきます。これまた多分野にわたる御説明でもございましたので、重複する論点もありますので、包括的な御議論も構いませんけれども、まず高齢者及び居住に関する論点から入っていきたいと思います。

和田構成員、お願いします。

○和田構成員 高齢者の就労に関しての発言ですが、このデータで見られるように、7割ぐらいの人が、65歳を超えても、それから、その中を見ますと、働けるうちはいつまでもというのが3割ぐらいいらっしゃるということで、社会全体でそういう傾向が強まっていくのではないかと思っています。この中身で、生活の糧を得るためというのが一番多いのですが、健康と生きがい、社会参加は、この生活の糧を得るというのとセットなのではないか。働く、社会参加するということと就労というのはセットになっていて、それは健康にもいいとか、そのようになっているのではないかと思います。高齢者の就労で幾つか論点があると思うのですが、1つは、就労可能なのだけれども、定年のような年齢で切られて実際に仕事ができなくなっている。その方たちをちゃんと仕事ができるようにするというのは社会全体として取り組む必要があるのではないかと思っています。

 ハローワークでもいろいろ努力されているということですが、例えば70歳とか75歳ぐらいまでは働きたいという方が結構多いので、そこをちゃんと支援するというのが1つあるのと、それから2番目は、高齢者はだんだん健康とか、あるいは移動距離が短くなっていくとか、毎日は働けないということになってくるので、高齢者にふさわしい仕事というのをどう開拓するかという、これを本格的にやる必要があるのではないかと思っています。

 ここは今、データにありましたように、運搬・清掃のようなところが一番多いとなっていますけれども、仕事が非常に限られていて、すぐになかなか対応できない。恐らくここを開発すれば相当いろんなことが出てくるのではないかと思っています。

 それからもう一つは、社会参加と仕事と活動とが融合したようなものがこれから大事になると思うのですが、シルバーの取組は一つの可能性があると思うのですが、シルバー単独だけではなかなかうまくいかないので、ほかの事業体とシルバーが組むことで恐らくいろんな可能性が広がるのではないか。

 そして、その中に、前回も申し上げましたけれども、介護保険の生活支援サービス、これは今後かなり多様なものが開発できるのではないか。そうなると、あまり遠くではなくて、身近な地域でやれるというふうになって、そのことが仲間づくりとか助け合いとか人づき合いとか、そういうことにも直接関連するようになってくるのではないか。

 最後に、生活の糧といった場合、幾らぐらい必要なのかというのはそんなに高くない額ではないかと思っています。そういうことで考えると、高齢者の就労というのは、これからそこが開発されてくると、生活困窮に陥らないで、ある程度社会とのつながりも持ちながら、生きがいを持って、あるいは社会的にも評価される仕事の一端を担うような可能性というのが出てくるのではないかと思います。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

続きまして、渡辺由美子構成員、お願いします。

○渡辺由美子構成員 住居の方ですけれども、この中で少し見落とされがちなのが、若年層の方たちということで、例えば私たち、大学生のボランティアをたくさん使っているのですけれども、実は地方から出てきている学生というのは、仕送りも減っている中で大変厳しい収入の中で生活しています。生活困窮とは自分たちも思ってないと思うのですけれども、実態としては非常に大変で、それがブラックバイトになってしまって大学中退につながるとか、多分この中の簡易宿泊所のネットカフェ等に行っていらっしゃる方というのもすごく若年層であると思います。そういう若年の方たち、支援や見守りは必要ではないけれども、住居の問題で少し補助があると非常に予防的な観点でいくと効果が高い方たちの視点というのが必要だと思ったので、そういうところを少し考えていただけるとよいと思いました。

 あわせて、例えばさっきの子どもの家庭をどうするのかということともちょっと関連するのですけれども、本当に劣悪な環境に住んでいるお子さんたちで、例えば15歳、義務教育を過ぎたら、その家庭にいるよりも、家庭から自立させた方がいいようなお子さんたちがいらっしゃいます。

 働いても働いても、要は、高校に一応籍はあるのだけれども、高校に親が行かせないで、ずっとバイトをさせて、バイトの給料日になると親がお金を勤め先にとりにくる。自分はお金がないまま親のためにずっと働いていたりというところで、結局15歳で定時制の学校に行かせて自立させるみたいなことをしたという話を聞きました。そういう中で出てきたのは、そういう子たちが少し自立しやすいような家賃補助のようなものや、定時制高校に寮があればいいというようなことをその子は言っていたのですけれども、困窮世帯の中で家賃というのは非常に大きなウエートを占めます。それは今の困窮という中では見えていない、若年層とか、その子どもたちとか、そのようなところでも、もし何か使えるものがあると、将来の予防という観点では大きいということを思いました。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。渡辺構成員、若年層の居住支援、何か具体的な事例で御紹介いただけるようなケースというのはありますでしょうか。

○渡辺由美子構成員 すみません。特にありません。ただ、非常に困っていて、本当に学生たちは食パンを食べながら日々を過ごして、食費3,000円みたいなところなので、そこのところをどうやっていくのかというのをちょっと考えたいとは思います。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、菊池構成員、続きまして相澤構成員、さらに駒村構成員という順番で進めさせていただきます。よろしくお願いします。

○菊池構成員 2点、気がついた点があります。

1つ目は人材養成研修、2627ページですけれども、一定の養成がなされてきているようですが、今後に向けては、本法における事務というのは自治事務ということでもありますので、どこまでも国が全ての研修を直接担当するということは可能でもないし、また、それが本来的に望ましいということでもないのだと思います。ですので、全てなくすという意味ではありませんが、今後はやはり国研修の役割分担、見直しというのを考えざるを得ないかなと思うのが1点です。

 それからもう一つは、1314ページにイメージ図を出していただいていますが、大変参考になりますけれども、ある意味で、左上の公営住宅、それから左下の養護、軽費老人ホームといったあたりをもう少し充実できれば一定のニーズに対応できると思うのですが、しかし、これは財源的な意味でもなかなか難しい状況にあるのだろうと思います。

 例えば左下の養護老人ホームなどは、その自治体にそういう資源があれば、現実に生活困窮者を含む高齢者の方々の受け皿になっているという例を私も存じ上げていますので、これらは一定の役割を果たし得るものだとは思うのですが、なかなか地方財政等の問題もあり難しいと。

それから、右のサービス付き高齢者住宅、これはもっと左の方に寄らせることができればここで一定のニーズを果たせることができるのですが、これも難しいとなるとどういう対応になるかということで、この真ん中のゾーンのところがあいているということになるわけです。これは大きな話ですけれども、日本の社会保障が住宅保障を取り込んでこなかったというか、住宅の保障を社会保障として捉えてこなかったツケというか、その結果がこのゾーンに反映されている部分があるのではないかと思います。

 (1)(2)とありますけれども、(1)の方は、金銭、あるいは金銭的な給付という形での対応となり得る、あるいは、例えば保証人をつけることに対する支援といった物的な支援の問題かと思います。もう一つ、金銭的なもので言えば住宅手当ですね。これも自立支援法では就労を前提とした短期間のものになっていますが、本当の意味での住宅手当を日本に導入するかどうか。これもお金のかかる話ですけれども、本気でこの安価な家賃の住宅というところに金銭的な支援という形で踏み込むとすれば、住宅手当というものをどう考えるかということと無縁ではないということだと思います。それは生活保護の住宅扶助の活用というか、単給化なども含めて、住宅手当そのものではなくても、何らかここに少し範囲を広げるような施策が打てるかどうかということだと思います。

 それから(2)の方は、ここがまさにこちらで今議論している支援、見守りといったものをこのゾーンにどこまで組み込んでいくか。非常に薄いものであるとしても、この非常に幅の広い領域に、支援をどこまで実質的なものとして組み込んでいくか。私の前回のメモとも関連するのですが、法律的に言うと、ここにおられる対象者の方々がこういった支援を受けることに向けた、きつい言い方で言えば権利性がある。権利としてもらえるかとか、そういった話につながる。しかし、ここにあえて踏み込もうとしているとすれば、そこはしっかり議論していかなければいけないと思います。

 最後に1つ、公営住宅の方、ここは私も詳しくないですけれども、国交省との関係があると思うのですけれども、先ほどの、半分が高齢者という現状からすれば、ここにも、ケアつきというか、サービスつきというか、そういった形で厚労省が踏み込んでいって、この公営住宅の施策にもかかわっていくということが求められるのではないかと思いました。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

先ほど、相澤構成員、駒村構成員の順番でと申し上げたのですけれども、今、渡辺由美子構成員以来、少し住宅の方に話が来てございます。少しまとまった議論にした方がいいのかもしれない。菊池構成員から研修の話もありましたけれども、これはこれで後で取り上げたいと思いますが、今、札を掲げていらっしゃる構成員の方で住宅関連の御発言があれば。
 では、朝比奈構成員、お願いします。

○朝比奈構成員 朝比奈です。

 先ほどの図の支援や見守りという言葉をかかわりというふうに変えてみるとぐっと広まるし、様々な世代の課題が見えてくるだろうと思います。そういう意味では、生活困窮者支援にとって居住支援は必須ではないかなと思っております。例えば入居の支援をするときに、生活保護の方は身寄りがなくても入れてくれますが、収入の見通しの立ちにくい生活困窮の方は理解が得られにくいということがあります。

ここにこそ、私は地域のかかわりが求められていると思っていて、この居住支援を地域の仕組みとしっかりとかみ合わせることができれば、自立相談支援にとって有力な出口になり得ると思っております。そうした観点から、社協さんなどの取組には期待しているところです。孤立という観点から、ぜひこの居住支援の問題を位置づけていただきたいと思っております。

○宮本座長 ありがとうございました。

では、野溝構成員、居住関係ということでよろしゅうございましょうか。お願いします。

○野溝構成員 社会福祉法人といたしまして、養護老人ホーム、軽費老人ホームの運営を担わせていただいております。先ほど菊池構成員から御指摘もありましたが、まさに社会福祉法人は地域で、生活困窮者の方々、養護老人ホーム、軽費老人ホームで受け入れさせていただいておりますが、しかし、現状の軽費老人ホーム、そして養護老人ホームには制度的な課題が発生していると思います。

 軽費老人ホームにつきましては、いわゆる三位一体改革の平成16年度の事務費補助金の一般財源化がなされております。結果、自治体財政の悪化を理由に、軽費の各種加算の削減等が散見されます。その経営基盤を脅かす状態に至っておりまして、大規模修繕や、あるいは建てかえもできない軽費老人ホームも出てきておりますので、財政的な部分の改善がなされればと思っております。

 また、養護老人ホームにおきましても、支援員の処遇や、そして行政の措置控え等多くの課題が出てきております。制度的な課題への対応をすべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮本座長 ありがとうございました。

少し居住関係の御発言が続きましたけれども、恐らく、各構成員の御発言を少し深読みしますと、事務局からの御説明、新しい事務局セーフティネットや居住支援協議会のお話がございました。基本的には国交省所管の制度になっていて、この困窮者自立支援の制度として、そうした国交省ベースの制度と連携もしつつ、どのように施策を打ち出すのか、そのあたり、特に菊池構成員のお話に引きつけるならば、権利性というところにもかかわってくるし、住宅扶助の単給化や住宅手当等という繰り返されてきた課題も見え隠れするということがございます。あるいは、朝比奈構成員がおっしゃったように、孤立に対する対処という点、あるいは渡辺構成員がおっしゃったように、若年層に対する対処という点。

そもそも日本の住宅政策というのは雇用とも重なるわけですけれども、借地借家法以来、家主に借家人を保護させるということを軸に動いてきた。それが今裏目に出ていて、家主にしてみれば、一旦入居させてしまうと、なかなか御退居いただけないから、高齢者でも障害者でも母子世帯でもなかなか入れない。雇用が、一旦雇用するとなかなか馘首できないので非正規層等なかなか入っていけないということとまさにパラレルに、困窮者が居住や雇用に入っていけないという状況が今あらわれているのではないか。そこを突破するためにも、この自立支援法は何ができるのか、少し深読みし過ぎているのかもしれませんけれども、ぜひこのあたり、大変大きな問題なのでそういう方向での御議論かとも思います。

 駒村構成員、ありますか。これに関連してということで。

○駒村構成員 座長がまとめていただいたので、住宅のことで申し上げたかったのですけれども、10ページの持ち家率の展開を見ると、あたかも落ちついているかのようには見えますけれども、30代から50代のところが下に沈み始めている。これはコーホートで見ないと本当はわからないと思うのですけれども、研究や何かを見ると、明らかにローンの開始年齢が遅くなっている。持ち家というのは日本の雇用システムと一体的なところがあって、日本型雇用と年功賃金で持ち家が可能になっていたものが、明らかに持ち家が難しくなってきている。空き家があるからいいではないかと。ただ、これはミスマッチの可能性がありますので、そんなに簡単な話ではないと思います。

 したがって、社会システムが大きく変わっている中で、先ほども、菊池構成員や宮本座長からもお話がありましたけれども、やはり住宅、あるいは居住保障政策というのを非常に軽視してきたというのがこの背景にあるのかと思います。

 それで、資料の1110を組み合わせてみると、高齢、民営住宅に住んでいて、年収が200万未満の方が60%いると。これは何人いるか、世帯構成はわかりませんけれども、1人か2人かというところであろうと思いますけれども、基本的には基礎年金、終身になっている。年金の水準も今後また動きがあるわけでありますが、一方で、10ページの方を見ると、高齢者の民営住宅に住んでいる方が162万世帯と、こう見ると、恐らくこの13ページの供給が乏しいゾーンは、掛け算すると100万世帯相当ということで、非常に大きな、これは例えば4万円の住宅補助を行って、年間50万円やったら5,000億円というボリュームの政策になってきます。これは本当に政府挙げて社会保障政策が日本型雇用を前提にしていたわけですけれども、この住宅の部分から壊れ始める可能性があります。ここのところは、この議論のかなり上の議論かもしれませんけれども、そのボリューム感というのはかなり大きなボリューム感だと思っています。

 それから、高齢者雇用の方はまた別途議論でよろしいですか。

○宮本座長 はい。

○駒村構成員 では、住宅のところだけで、以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。住宅に関連して、かなりまとまった御議論をいただいたと思います。この議論、どのように反映させるか、なかなか難しい宿題とはなりますが、何か少しレスポンスをお考えいただけるとありがたいと思います。

 それでは、先ほどの議論の続きに戻ります。相澤構成員。

○相澤構成員 すみません。私もちょっと住宅に戻ってしまうのですが、川崎市の事例を紹介させていただきますと、川崎市は、平成12年から川崎市居住支援制度というものを設けて、誰もが地域で暮らせるように、高齢者、障害者、外国人などハンディを持った方もそこで暮らせるようにということで制度を立ち上げました。そして、その中の対象者が年々拡大しておりまして、ひとり親、DV被害者、一時保護施設の対象者、それからホームレスの自立支援施設対象者、児童福祉施設の対象者、特定疾患の患者の方など、拡大を続けております。

そして、川崎市では、地域包括ケアシステムの推進ビジョンの策定に伴いまして、今年度6月30日に、この居住支援制度を新たに川崎市居住支援協議会という形をとって、まさしくこの地域包括ケアとリンクした形で居住を見直ししていくという活動を始めているところです。まだ始めたばかりですので具体的なものは進んでいないのですが、今回の生活困窮者の居住にも大きくリンクしていくところだと思っていますので、参考までにお話をさせていただきました。

○宮本座長 ありがとうございました。社協が居住支援協議会の事務局をやっている大牟田市の例もございますし、今の川崎市のお話もございました。居住支援協議会を基礎自治体レベルで設置して、そこにこの自立支援制度が絡んでいくということが1つは方向性なのかと思います。
 相澤構成員、先ほど手を挙げていただいた論点はそれでもうよろしいですか。

 では、また3分以内でお話しいただければ、繰り返しの御発言も構いませんので、よろしくお願いいたします。

 では、西岡構成員、お願いします。

○西岡構成員 高齢者のことですけれども、経験的に、シルバー人材センターなどの利用とか、ある意味、少し収入や年金を補完するような就労希望多くありました。最近目立っているのが、ローンを抱えてリタイアされている方など、がっちり働きたい、例えば月10万円以上欲しいという希望が結構多く、二極化しています。もう一つ、高齢者の相談支援の現場で顕著なのが、今後は増えるのでしょうけれども、専業主婦で働いた経験のない方が何らかの事情で働きたいという場合ですが、アセスメントが特に重要です。希望だけでマッチングすると、経験のなさの中で働く現場でミスマッチを起こしてしまうことがあります。ジョブ面の見極め、キャリア面を含めたアセスメントが、シニアの場合も特に重要になる。
 そういう面で見ると、シルバー人材センターは、人材の見立てが結構粗っぽいという気がしないでもない。

 もう1つは、高齢者の問題をここまで分析されているのに比べて、例えば非正規雇用のシングル女性や若年世代などが実は困窮のリスクを抱えた横断的な層として把握されていないのではないかという気がします。非正規シングル女性という切り口で初めて調査されています。横浜と大阪と福岡の女性センターのグループが調査研究を発表されていますけれども、初めてこの層の支援ニーズにスポットが当たったような感じですね。従来、シングルマザーの支援は課題になっていたのだけれども、非正規シングル女性というアプローチは初めてでしょう。この層は結構なボリュームだと思います。

その指標の一つは、NHKの「縮小ニッポンの衝撃」という番組の中で紹介されていた東京都豊島区の人口分析ですが、20歳代の流入人口が多いけれども、所得、収入をクロスさせると平均約200万円以下という数字をみて驚いているシーンがありました。流入超過である首都圏の自治体としてはこうした若年層の実態を捕捉できてないし、相談支援の施策が認識されていないと思います。20歳代は流入しているのだけれども、収入が低い層が多いという状況の中で、例えば多くの自治体は、子育て支援策に重点を置いているが、実は世帯形成に課題を持った若年層が流入しているがその施策は取られていない。こうした施策のミスマッチは首都圏に共通しているように思います。同様の傾向は都道府県の中心都市にもあり、職を求めて、非正規を繰り返すが相談支援には繋がらず漂流といってもいいような状態の層があると思います。この制度の中ではなかなか発見できていないという問題が、高齢者の支援が重要であるという裏側にあります。自治体にとっては大きな課題ですが、これは雇用の仕組みの問題だと言ってしまう傾向が強いと思います。

最後に、家計相談の議論でもありましたけれども、確かに専門性のある支援というのは大事なのですが、どう実施するかという問題です。自治体ごと、地域ごとにその体制は吟味できるようにすべきである、もう一つは、この制度に携わっているいろんな相談員、いわゆる専門性のある人をどう位置づけているか考えてほしい。その人たちのキャリア形成をどうするかあるいは安定した形で活躍できるようにどうするかという、自治体ごとに独自に考えなさいみたいな感じになっています。専門性のある人たちがカバーするエリアが増えているとするならば、正職である自治体公務員は当然頑張らないといけないわけですが、いろんな形で従事している、あるいは外部委託したところでもそういう人材が頑張っている。経年の中でキャリアアップされているかを国でモニタリングしてほしい。専門職のキャリア形成を野放図にやっているあるいは待遇が向上しないような形になってしまっているのではないかと思うのです。

○宮本座長 ありがとうございました。

和田構成員が先ほど高齢者の就労の論点をお出しになって、それに連関する御発言だったかとも思いますが、奥田構成員、そのあたり、かかわりますでしょうか。

○奥田構成員 居住です。

○宮本座長 では、高齢者の就労に絡んで。前神構成員、お願いします。

○前神構成員 地域の動きの方からお話しさせていただこうと思います。先ほど和田構成員がおっしゃっていた高齢者の社会参加とか社会のつながりとか社会的意義なんていうところです。地域の動きとして、新しい働き方といいますか、例えばJRの駅の管理は各JRがやっているのですけれども、そこの無人駅みたいな、その地域の人たちが利用するのだけれども駅員はいないというところの管理、トイレ掃除とか、掃除とかも全部含めてJR関連会社が管理しているのですけれども、すごく地域活動が盛んなところですと、そういうところの毎日の管理、おもてなしみたいなところを含めて、老人クラブで受託させてもらっているところなんかもあるのです。

そうすると、あそこはそういうルールになっているからできないではなくて、そのまちを盛り上げていく活動の中で会社とのいろんな話ができるようになって、JRでもそういう働き方の場が提供されているところもあります。あと、地方の方では新聞販売店の維持が大変難しくなっていまして、新聞配達する人も高齢化しているとか、新聞を購読している家庭も減ってきています。しかし、なくなるとやはり困るということで、毎日健康のために散歩している高齢者の方が、どのエリアなら自分で配って回れるかというのを調査した地域があります。例えば、あなたはこのエリアの20軒配ってください、あなたはもっと歩けるので30軒配ってくださいみたいな感じで、新聞販売店が今まで全部自分でやっていたところを、そのブロックごとに持っていけばその人たちが配ってくれて、身近な地域で自分の健康を維持しながら、介護予防にもなりますし見守りにもなるという形で高齢者が活躍している事例もあります。もちろん収入にもなります。
 事業の継続ということも含めて地域の中にどういう仕事が眠っているかという、地域総合代理店といいますか、総合商社といいますか、そういうことをやっている人たちも生まれてきています。
 あと、若者が今地域で起業するということにすごく意欲を持っています。家計の補助だけではなくて、がっちり働きたいという方には、地域の中で起業する若者と一緒に組んで働くという方もあります。高齢者が一から自分で起業計画を立ててやるって大変だと思うのですけれども、その中でずっと生きてきた、何か使えるものがあるよねというところは、若い人が発見して、その人の持っているものを引き出しているような事例もあります。今、地域興しの中で、地域資源あるもの探しみたいなのがはやっているのですけれども、そうでなくて、やる人探し。そういう形の動きの人たちとうまくくっついて、その土地のことをすごく知っているだけでガイド役ができるとか、そういうので収入につながったり、今、移住の取組も進んでいます。その地域のことをよく知っている、教えてくれる人ということで、移住のコンシェルジュになったりして、そういう委嘱を受けて業にしてしまうというようなやり方もあります。今までのように、どこそこに雇ってくださいという就職先を探すだけでなくて、地域の中でそういう新しい働き方をしている人たちとくっつくことでいろんな見守りにもなっていくし、何とかネットワークをたくさんつくるよりも非常に発見も早いですし、必要なところにつなぐのも早いという実感があります。

○宮本座長 ありがとうございました。

高齢者就労にかかわってということでよろしいですか。では、駒村構成員、お願いします。

○駒村構成員 この話もまた大きい話になって、位置づけというのが大事だと思うのですけれども、この資料の前半部分から見ていって、少しフォーカスしていかなければいけないと思っているのは、これは雇用政策。それから福祉政策、生保を含めて共通する話かもしれませんけれども、従来の雇用の方は、支給開始年齢の引き上げとか、いかに定年をするのか、継続就労するのかという、このまま同じ企業で仕事を継続してもらうというところにどうしても重点がありました。ここで見ているのは、例えば東村山市の事例も、あと川崎市も、以前ヒアリングさせていただいたときにもやはり感じたのですけれども、年金だけ、特に基礎年金だけではどうも足りない、圧倒的に足りない。特に元自営、あるいは非正規が長かった人、未納が長かった人はかなり、60代でもきちんと働きたいという需要が出てきている。継続雇用中心だったものが、60代からまた新たに働きたいという需要が出てきているということにきちんと向き合わないといけないと思います。もう既に高齢化率が30%に近づいているわけですし、65歳時点の女性の余命は現時点で24年、そして男性でも21年。今度、社人研では新しい人口推計を出しますけれども、さらに延びるだろうと。

 10年後にはそれが25とか26とか、どんどん65歳以降の期間が延びていくという中で、やはり生活のめどがつかないという人が出てきているということで、60代から69歳のこの部分は高齢者雇用の、従来からよく見てなかった部分ですけれども、基礎年金だけでは足りない人たちに対してどういう就業の場を保障するのかという大きいフレームの中で、この議論があるのだと私は評価しています。

○宮本座長 ありがとうございました。

相澤構成員の前に、大津構成員、もしこの流れであるならばお願いします。

○大津構成員 構成員の方に質問してもよろしいでしょうか。

○宮本座長 結構ですよ。

○大津構成員 今の駒村先生の話を受けて、全く私も同感で、公的年金が今後目減りしていくこと、もしくは生活困窮に陥らないためには就労が重要であるということは言うまでもないと。相澤構成員に質問なのですけれども、65歳以上の方、それから、職務経験があまりなかった方、それからホワイトの職種、ここらあたりについてはどうなのでしょうか。つまり、60代前半までは法的には措置がされていて、一定程度継続雇用というのがありますけれども、65歳以上については法的には空白地帯となっていると思うのですけれども、取組の意欲とも大変関係あると思うのですけれども、その辺の実情をお聞かせいただければ幸いです。

○宮本座長 では、相澤構成員、お答え願えますか。

○相澤構成員 ここに私どもの事業の60歳以上の高齢者と書いてあるのはまさしくそういう状況で、60歳で一度定年を迎えられて、その後に仕事がないという方が、まだやはり年金もないですし、生活にお困りの方というのが一定いらっしゃいます。そしてあとは、先ほど和田構成員からあったように、年金も少ないし、体は丈夫なので働きたいという方ですね。65歳以上の方に対しての求職は、やはりハローワークに行ってもほとんどないということです。現実はそうです。ですので、私ども、平成2512月当時、モデル事業で始めたときは、3分の1の方がそういった高齢者の方でした。御相談に見えた方がそうだったのですが、こちらも求人を持っていなかった。そこで、半年が経過しました26年の5月から、高齢者に対する仕事を何とかしなければいけないというところでこの事業を始めました。

 フルタイムでなくてもいい方もたくさんいます。朝の3時間ですとか、介護施設の昼食と夕食だけつくりに行きますとか、間の時間は御自宅に帰って休まれたりとか、そのような働き方です。1日のうちの3時間だけ働けますというような多様な働き方で、地域の企業の方には努力していただいて、アンマッチをマッチングをするということがうちの事業としては一番重要なところです。今、そこはうまくいって、たくさんの方が就労をしていて、生活保護の75歳の方が自立をしたというような結果もございます。そこのマッチング、企業の方にハードルを下げていただいて、あとは求職されている方のモチベーションを上げていくというところのこの2つがうまくかみ合ったときにこの事業がうまく成り立っていくと感じているところです。

○宮本座長 ありがとうございました。

相澤構成員、その窓口になっている部局というのは川崎市の中でどういうセクションでやっていらっしゃいますか。

○相澤構成員 60歳からの仕事応援事業は、まさしくここに書いております、私どもの川崎市生活自立仕事相談センターで行っております。

○宮本座長 どこか委託ではなくて。

○相澤構成員 事業者に委託してやっております。

○宮本座長 今、高齢者の就労についても大変まとまった御議論をいただきました。日本の高齢者就業率というのは国際比較では結構高いのですけれども、その理由が、どうしても生活に困ってという、和田構成員が御指摘いただいたように、生きがいが生かせないでいる。本当に厳しいのかというと、相澤構成員の取組も説明されましたし、前神構成員の方からも、地域には実は多様な仕事が眠っていると。ただ、それをどう生かすか。西岡構成員からは、シルバー人材の話もありまして、可能性はあるのだけれども、現状ではなかなか詰め切れてない。福井の先駆的な取組もございますけれども、取り組み切れてないというお話がありました。このあたりをどう具体化するのかということだと思います。

 駒村構成員からもお話ございましたけれども、かつて評論家の堺屋太一氏が、「年金兼業型労働」というような言い方をしていて、これからそういう世代がどんどん地域に入ってくるのではないかとおっしゃいました。なかなかそのようにスムーズに地域と接合し切れてない。ここをどう切り開いていくのかというのもこの制度の課題だということが非常によく見えてまいりました。

 大変お待たせしました。では話をまた戻しまして、奥田構成員、よろしくお願いします。

○奥田構成員 まだいろいろ言いたいことがあるのですけれども、まずはちょっと1つだけ。

 先ほど朝比奈構成員がおっしゃったところが大事で、今回の生活困窮者の困窮内容としては、経済的困窮と社会的孤立。居住に関してもこの2つの面で見るべきだと。例えば就労にしてもそうだったと思うのです。孤立ということで言うか、ある意味、支援が必要だという、見守り。仕事だけだとハローワークでいいという話になる。居住だけだったら、民間不動産業者も含めた、もしくは家賃補助制度をつくるというようなことでもいいかもしれない。

我々が想定してきたところというのは、居住だけではちょっとまずいのではないのというところをどうするか。そうなると、今回の制度見直しのところで難しいなと思っているのは、どれもメニューが期間限定ことです。期間限定であるということと人が住まうということがどうも概念としてずれている。住まいというのはずっと住まいで、しかもそこに支援が必要だとなったらずっと必要になるわけで、ここのところをどう想定するのか。

 要するに、私が30年前始めたころの大昔のホームレス支援は、アパートを設定したらおしまいだった。けれども、それでは何の意味もなかったということから始まって、その後の継続ケアどうするかということで、地域生活の継続率ということをものすごく重視しました。そういうことで言うと、居住の問題とケアというか、支援の問題はセットで考えざるを得ない。

そのときに、期間の問題ですね。一体どこまで、何を想定するのかというところと、もう一つは、さっきおっしゃった、誰が支援するのか。ここのところはもう少し整理してやらないと、この制度でどこまで支援するのというのは、正直、どこまで議論していいのかというのはあるのですけど、それが1つ。枠の問題です。

 もう一つは具体的な話で、困窮者支援をしていると、居住に関しては家賃の滞納情報というのがアウトリーチで言うと最たるもので、ここを押さえられれば再ホームレス化というのは防げるのです。その早期発見の仕組みをどうするかということになると、大家なり不動産屋なりとのリンクをどうつくるか。今回、資料を持ってきましたので、これはまた後の3分で、今の3分でもう間に合わないのでもう一回チャンスを与えてほしいのですが、早期発見が1つ。

 それからもう一つは、今回の法にないメニューとして、借り換えですね。借り換えとか転居支援まで行くのか。家がない人に言えばわかりやすいのですけれども、さきほどの年金問題はまさにそこに来ると思うのですね。家賃をどう廉価なものに下げるかというところが勝負なので、引っ越し屋みたいな話と不動産屋みたいな話を社会化しなければいけないところに来た。これが本当にできるのという話も含めてですが、私は、もうやらざるを得ないし、それができなければ、公的扶助の方にどんどん行くだろうと思うのです。ですから、選択肢を増やす、別に公的扶助を利用さないという意味ではないですよ。生活保護を利用させないという意味ではないけれども、選択肢を増やすという意味で、借り換え、転居支援というのは非常に大事です。そのためには物件の確保をどうするのか。地方創生の議論の中でも空き家利用というのが出てきているのですが、実態的には本当にどうしていくのかというのがあって、空き家の数は把握しているのだけれども、実際にはどれぐらいそれが利用できているのかも、もしよければデータが欲しいというのはありました。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。御提出いただいている資料での御発言をもう一回御希望ということですね。わかりました。では、予約を承ります。

 いかがでしょう。事務局の方には、来週ぜひレスポンスをと申し上げたのですけれども、今の奥田構成員の御発言も、例えば家賃の滞納といったアウトリーチのための指標みたいのをどのように取り込むかということも含めて。

○奥田構成員 ちょっと言い忘れた。さっきの期間の問題で言うと、居住支援協議会の資料が出ているのですけれども、これは国交省マターだという話をさきほど宮本座長がされた。まさにそうで、でも、ここを何とか縦割りを乗り越えない限り、次はないと思います。居住支援協議会で頑張っていらっしゃるところも当然ある。今回いい事例も出てきている。でも、ここに、これは厚労省マターにならないのか、もしくは協働にならないのか。私はやはり、国交省と厚労省が居住支援協議会を拡張して、できれば居住・生活支援協議会に変えるというぐらいのことを思い切ってやるべきだと思います。困窮者支援というのは一時的なものというイメージもあるし、さらに具体的にそうなっている。居住ということで言うと、この両省がちゃんとやらないと無理なのではないか。すみません、そこまで言いたかったのです。

○宮本座長 そこまで言いたいのだろうということで、先ほど、新しい住宅セーフティネットだとか居住支援協議会の御説明のあった御趣旨といいますか、どういう接点をお考えの上での御説明だったのかということ、もちろん、次回でも結構ですけれども、今もしお伺いできればと思います。

 では、本後室長、お願いします。

○本後室長 ありがとうございます。

国交省とは、生活困窮の関係も含めまして、かなり事務的には緊密な関係で議論、あるいは情報共有を日々させていただいております。先ほどの居住支援協議会の関係でも、空き家はあるけれども、どれぐらい使えるのかと、あるいは福祉側で持っているこういうニーズとどうつなぐのか、これをどうやっていくのかというようなことは国交省の側でもかなり課題として認識していて、我々、福祉サイドと一緒にやるということは非常に重要だということは、認識は共有していると思います。

 我々、29年度の概算要求の中でも、生活困窮の制度の中に居住支援をもう少し手厚くやるためのプラスアルファの要求をして、予算折衝をしているところでもあります。さらに進んでいるところでいきますと、先日、国会の審議でのやりとりを背景といたしまして、国交省と厚労省との間で、国のレベルでしっかり連携する協議会をつくっていこうということを今検討しております。これはやるということで、どうやっていくかということを具体的に検討しているところです。今いただいた論点、課題としては我々も認識しているところでありますので、具体的にどうしていくかという議論を、これから形をつくってやっていければという段階だと考えています。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、渡辺構成員、お願いします。

○渡辺ゆりか構成員 渡辺です。よろしくお願いします。

 先ほどの奥田構成員の発言につなげてどうしても言いたくなってしまって。私も、研修のことでもお話ししたいことがあるので、短めにします。

○宮本座長 研修は後で少しまとめて扱いましょう。

○渡辺ゆりか構成員 はい。この困窮者支援法が孤立の問題を扱うものだという御発言があったのですけれども、そのとおりだと思っています。孤立の問題の解決に事業が追い付いていないという課題は、住居支援だけではなくて、子どもの学習支援についても同じことが言えるのではないかと思います。

 本当に地域から孤立している御家庭のお子さんが学習支援の場に来ていないという実態がどこの地域にもあると思います。学習支援の現場に出向いてみると、塾にはすでに通っているけれども無料だから来たとか、あるいは、そんなに困窮しているわけではないけれども、楽しそうだし来たというような子どもはよく見かけるのですけれども、本当にここに来てほしいと子たちが来れていないと思います。

だとして、本当に来てほしい地域から家族ごと孤立している子どもの御家庭に家庭訪問で出向いていくと、御両親が中学卒業で、「高校になんて行く必要ない」と子どもに言っていたり、地域になじめず孤立して浮いている御家庭や、あるいは世帯で生活保護を受けて、働かなくてもそこそこ暮らしていけるから、といったようなあきらめムードがあるといった環境の御家庭が多いです。そういうところこそ、学習支援という発見機能になりやすい事業を入り口に、御家庭の孤立の支援をしていく必要があるのではないかと思います。

 子どもだけではなく、御両親の支援。保護者に、身の丈の学びや働きといった社会とのつながりを応援していって、その家庭の中に、学びや働きがある文化をつくっていく。それがきちんと子どもにつながっていくということが子どもの貧困の連鎖の防止になると思っていて、そこを応援するために、学習支援と就労支援がつながる、あるいは相談員が連続的につながるといったような連携が必要なのだろうと思います。

○宮本座長 ありがとうございました。これも一貫したテーマでございまして、子どもから就労へ、あるいは就労から子どもへと、この回路を促すような制度づくりというのはどうすればいいのだろうかということだと思います。

 それでは、櫛部構成員。

○櫛部構成員 ページの26272829ですが、研修と帳票類の現場での話なのですけれども、今回のこの議論をしていて、全国の相談の現場は、国のこれにかける魂といいますか、それが伝わっていると思うのです。現場のことをわかってくれているのではないかという気持ちが結構あちこちからいろんな形で聞こえていまして、まずそれは大事なことではないかと思っています。

 昨日、ある町に行ってきたのですが、役場の中を案内されてぱっと見たら、そこに困窮の相談室と、もうちょっと離れたところに保護課があるのですが、見ただけで、ああ、あそこはやはり保護課だなと、説明を受けなくてもわかる。こっち側は困窮室で、何もそんなにないのだけれども、ちょっと明るい。4分の3ずつ負担をしているこの2つをどこかで、何か避けながら話をしているというか、そこのところがどこかで必ずつながっているのに、ここのところ、どうしたらいいのというところを棚上げしたまま議論しているということに不全感を感じています。

 現場では、本当にいろんなものがたまってワーカーがやはり元気でないのですよ。一方、自立相談の方は、つらいこともあるのだけれども結構元気そうに見える。ここを何とか、それこそ菊池構成員のおっしゃった憲法25条と13条でないですが、そこを本当にどうやって接合するのかということをやる課題がある。現場の職員を研修するだけにとどまらず、保護のケースワーカーと、それから都道府県、あるいは市の職員と、それから事業を受けているところと、もう少しうまくクロスオーバーするような研修なり体制というものを引き続き検討していかないといけないと思います。

生活保護では、長らく厚労省の中でもケースワークの、いわゆる分離論と統合論というのがずっとあったはずですが、今や研究者でも懐かしいような話になってしまっていて、ほとんどあまり議論されなくなってきている。けれども、そういう継続性というのは、どうしても役場はどこでもそうですが、異動があります。そういうときに、そういうものをずっと継承しながら議論していくという場をやはり研修という形か何かの形でやっていかないと、そのたびごとに議論してみたいなことは本当に無駄なことをすることになりかねない。そういう意味での研修という意味合いを考えて実施してほしいと思っております。

○宮本座長 ありがとうございました。今、研修の話の流れになってきております。先ほど菊池構成員からも自治分権という観点からの研修機能、西岡構成員からは家計相談員のキャリア形成というお話もございました。

新保構成員の方から資料の提出がございました。これも人材養成研修にかかわる資料のように思います。この御説明をいただければと思います。

○新保構成員 新保です。よろしくお願いいたします。

 私なりにこの間、人材養成研修にかかわらせていただいて見えてきたことをまとめさせていただきました。資料3の最後の1枚になります。この検討会には人材養成にかかわっていらっしゃる構成員の方もたくさんいらっしゃいますので、もし誤りなどがありましたら、補足をお願いしたいと思います。

 資料の1ですけれども、研修の目的は、「理念を具現化し、質の高い支援ができる支援員を養成すること」ということで取り組んできました。研修の方法は、一方的に話を聞くというだけではなくて、振り返ったり、協働で一緒に考えたりというようなかなり動きのあるプログラムを意図的に考えて、自分ごととして落とし込んで地域に持ち帰ることができるよう可能な限り考えてきたと思っております。

 (3)の特徴としては、マル1のところに、この国研修で学んだことを地域や職場で伝える担い手となるということで、各地で講師になっていこうではないかという目標を掲げておりました。そしてまた、情報交換、ネットワークづくりができるように、グルーピングもかなり細かく考えて工夫を凝らしてきたと思っております。

 2の成果について、(1)としては、この理念を具現化するための必要な知識、方法、優れた実践モデルを学べる場となっていたのではないか。(2)は、そういう中で、地域で、職場で研修内容を伝達したり、講師となれる人材を一定数養成できたというところ。(3)としましては、ここがとても大きいのですけれども、全国における相談支援の現状と課題を把握して、また優れた実践を発掘したり共有するということができたのではないか。さらに、(4)ですけれども、そういう状況を踏まえながら何が求められているのかということを踏まえて、毎年、本当にバージョンアップされてきたと思います。この場がネットワークづくりになったともいえます。

3の課題、(1)ですけれども、制度の理念を具現化し、質の高い支援ができる支援員の養成を実現する研修体系・内容とするためには、本当にこれはさらなる不断の努力が必要ということを実感しております。特に理念の理解については、書いてあるものを読むことはできます。しかし、それを実際にやるにあたっては、研修の中で登壇されている講師の先生方に教えていただくのですが、そうしたことを繰り返しやっていかないと、「今あること」が当たり前になってしまいます。この、理念を落とし込み、実践するということの難しさは私もかなり実感しております。ですので、研修だけではなくて、OJTやスーパービジョンの体制づくりなど、あわせて本当に質の高い支援ができる体制を考えていかないといけないというところが課題の一つです。

(2)は、人事異動が大変多くて、研修を受けて意欲を高めていただいても、来年一緒にお仕事ができるかわからないという激しい人の入れかわりもあります。担い手の方に理念を広めるとか研修の担い手になっていただきたいというお願いもしていますけれども、そういう体制を今後早い段階で実施できるのかどうかということは慎重に検討が必要と思います。

4の最後ですけれども、「今後の検討に向けて」ということで、(1)で、国研修は、単なる人材養成のみならず、この支援法第三条における「都道府県に対する必要な助言、情報の提供その他の援助」を国が行う機会としても重要な役割を果たしてきていると思います。これは先ほど櫛部構成員が「魂」という言葉をおっしゃっていましたけれども、本当に支援者の方たちを支えるということでは、この研修の中で大きな働きかけをしてくださっていたと思いますので、こういうかかわり、関与というのはぜひ継続していただきたいと思います。

最後に、(2)のところですが、この制度には、監査とか第三者評価というような、第三者が本当に質の高い支援をしているかどうかというのを検証する仕組みがまだないように思っております。こういう体制、質の高いものを維持していくための仕組みをどうしていくのかということも今後ぜひ検討する必要があると思うか、いくことができればというところです。

以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

森脇構成員、これも研修絡みということでよろしいでしょうか。その後で、渡辺ゆりか構成員も研修の話があるとおっしゃっていました。では、その順番でお願いします。

○森脇構成員 今日は都道府県を代表して、山本構成員がいらっしゃらないので、研修については多分都道府県の役割と関連してくる話になると思います。なので、そのあたりはまた次以降の話になろうかと思いますが、今、国でやっておられる研修で、私は最初の年に受けて、今年、事例を出させていただきました。

一番驚いたのは、受けている方々の反応やレベルが3年前と全く違っていたこと。私が最初受けたときは、もうみんなわからない中でやったので、講義を受けるたびに、これもやらないといけないのか、あれもやらないといけないのか、途中で思考がとまっている人も中にはいて全然議論にならなかった。しかし、今年、皆さんの反応を見ていると、もう実践されているので、そういう意味では活発な議論ができていて、かなりレベルアップが進んでいると思う反面、ではこれを都道府県レベルで落とすということになったときに、果たして研修の質を担保できるかというのが大きな問題ではないかと思います。

 新保構成員の資料にもありますが、国の研修を受けた方が講師になってということを推奨するということはあるのですけれども、これは生活支援コーディネーターの研修も同じような形態になっていますし、まさに私どもの県でも実施しています。私も国の研修を受けて、講師を県単位でやっているのですが、それを聞いている方々の反応からすると、全くイメージできない。それは伝える側にも問題があるとは思うのですが、結局、1回研修を受けただけで、県に戻って伝えられるかというと簡単な話ではないと感じています。

そういう意味では、やはり実践と研修をある程度繰り返した上でやるべきだと思ったときに、1つは、都道府県にいきなり任せるのではなくて、もっともっと都道府県に求めるべきところの役割があろうかと思います。各自治体を見る包括的な役割ということも。その延長で恐らく研修というのは出てくるとは思うのですけれども、例えばブロック単位、私どもで言えば東海・北陸になってくると、多様なすばらしい実践者もいらっしゃいますし研究者もいらっしゃいます。そうすると、今の国のやっている研修もある程度のレベルを引き継いだ状態でやっていけるという、そういう柔軟な移行を進めていただけると非常にありがたいです。とにかく都道府県のこの生活困窮の制度に対する認識の差がとても大きいので、私の立場だとすれば一番下の立場から言っていると思っていただければと思いますので、そこがある程度上がらない限り、研修はなかなかできないというのが現実ではなかろうかと思っています。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、渡辺構成員、お願いします。

○渡辺ゆりか構成員 ありがとうございます。

 私も、今年度、就労で研修の講師を務めさせていただいたのですけれども、そこを終わった後、受けた方からの反応とか、あと地域に出向いての反応を得て思うことがあります。それは、研修には3つステップをつくって段階的にきちんと伝えていく必要があるということです。1つ目は、相談の入り口で困窮に陥った人の背景をしっかりと理解して、相談者と信頼関係をつくるためのノウハウ。2つ目に各専門分野、相談とか家計・住居・学習・就労等の具体的なノウハウ。3つ目は生活困窮を生み出さないための地域アプローチの手法、この3つがセットで必要だと思いました。

 3つ目の、地域アプローチ、ソーシャルワークの手法を伝えることが難しいのは言うまでもないので、これから一生懸命考えなければいけない課題になると思うのですが、私が肌感覚で実感として思うのは、1つ目である、1番初歩的で大事な、相談者と信頼関係を結ぶことすら困難で、手も足も出なくておろおろされている相談員の方々が、とても多いということです。相談者が困窮に陥ったその背景が、イメージできなくわからないのだと思います。一人一人の、困窮に陥ってしまったプロセスや背景をきちんと解明し、その要因になった根本を支える手法を学べる研修。そこには発達障害の勉強が必ず必要で、そこは強化していただきたいと思いました。

 2番目に、そこを乗り越え、あるいはセンスがよくて、そこを自ら乗り越えてしまうような相談員が次に行き詰まっているのが、各専門分野のノウハウのところだと思います。私が思うに、やり方によっては簡単なことも、ノウハウが伝わってないがゆえに難しくやってしまっている方が結構多いと思います。例えば企業開拓を例にとると、御本人中心に企業へアプローチしていくというのは実はやり方によってはとても簡単なのですが、難しい制度の説明から入って、企業をくどき落とそうとして玉砕して疲れてしまい、スタッフが疲弊している現状があると思います。

 そこに関しては、簡単で受け取りやすいノウハウを確立してやっている方々が、その地域に出向いていって、研修のアウトリーチをして、その地域に合わせて伝えていく必要があると思っています。つまずいている課題に合わせて、地域ごとにノウハウを提供していく、渡していく。まとめると、発達障害をベースとした相談者と信頼関係の構築に関する研修メニューの強化と、その先の具体的なノウハウについて地域に出向いていって、地域の実状に合わせて伝えることの2つが必要です。

3つ目のソーシャルワークの手法も、その2つ目のノウハウと一緒に、その地域に合わせた方法で伝えることが必要なのだろうと思います。

○宮本座長 ありがとうございました。
 研修関連の御発言をまとめてしていただいておりますけれども、だんだん時間も押してまいりました。野溝構成員、後で文書での御発言ございますけれども、そことまとめてということでもよろしゅうございましょうか。
 それでは、あと、朝比奈構成員、研修関連でということですね。生水構成員も研修関連ということで。

○生水構成員 すみません。1分だけ高齢者と、あと1分半だけ、帳票類の質問。

○宮本座長 わかりました。では、その2分半はちょっと待ってください。

 それでは、朝比奈構成員、お願いします。

○朝比奈構成員 朝比奈です。

 先ほど新保構成員が研修の成果というところで挙げられて、成果までまだいかないかもしれないのですけれども、研修の役割としてぜひもう一つ位置づけていただきたいことがあると思っています。生活困窮者支援の役割は、これまでの社会保障の仕組みとか、それから地域社会の現状とか構造変化の中で取り残された人たちに対するアプローチだと考えております。そうすると、どんどん社会的に新しい課題が生み出されていっているときに、そこをキャッチするアンテナの役割だろうと思っているのです。しかし、その新しい課題が出てきたときに、それを全て自立相談支援の地域づくりのなかで解決に迫りなさいとされることがとても負担になっています。

 日本の社会全体とか、それぞれの地域社会の中で解決していく、そのために自立相談支援が触媒の役割を果たすと思うのですが、すべて、自立相談支援がやるということではないのではないか。新しい課題が何かということを、国レベル、それから都道府県の広域行政レベルでしっかりと押さえていただく。それは地域の自治体レベルの課題にとどまらないことも多くあると思います。

例えば最近社会化されてきている事柄としては、LGBTの方たち、それから私たちの窓口でも、就労ビザの在住外国人の方々もたくさん相談にお見えになっています。都市部で見えてきている課題は、恐らくどんどん地方へと移っていくと思います。そうした新しい課題をキャッチするアンテナとしてこの制度が重要な役割を持っていると位置づけたときに、国の研修が何をやっていくのかということも固有性があると思いますので、その観点からもぜひ研修のことを議論していただければと思います。

○宮本座長 ありがとうございました。

今のことにかかわって、ごく短くお願いします。

○和田構成員 国の段階の研修がかなり大きな役割を果たしているのですけれども、今お話があったように、新しい課題がどんどん現場の中で出てくるので、OJTとかOff-JTのところを本格的にきちんとするようにしていかないと、上からの研修だけではとても対応できない。そこをかなり本格的に位置づけて、どこでもそれはちゃんとやっている。日々の仕事が忙しいというだけではなくて、それがこの分野の相談事業にとっては非常に大事なのではないか。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。研修について大変大事なお話が続きまして、一方では、菊池構成員からあったように、分権の視点が大切である。ご当地モデルをどうつくっていくのかという、そういう視点が大切である。他方で、新保構成員、あるいは朝比奈構成員もそうだと思いますけれども、国の責任はきちっと果たさなければいけないのではないか。森脇構成員からは、その前提として、実は自治体、特に都道府県の力量も非常にばらけているというか、多様であるというお話がございました。

 そうした中で、事務局に1つだけ確認したいのは、都道府県の責任を強めていくというふうにも受け取れる資料の御説明ではありました。これは地域共生社会論の進行もあって、一方では、まさに自治体ごとに多様な部局がそれぞれ頑張っていて、いろんな人がいるという中で、部分的には、例えば地域包括支援センターが自立相談支援事業所のような機能も引き受けていくようなところもあるし、逆に困窮者支援が高齢者の問題を引き受けていくというようなところもある。そうした流れの中で、国と都道府県の研修をめぐる分担関係というのをどのように展望されての御説明だったのか、大変難しい話ではありますけれども、今の議論をお聞きになってのレスポンスも含めて、もし何かあればお願いしたいと思います。

 では、本後室長、お願いします。

○本後室長 研修に関しましては、今、皆さん、論点を出していただきました。まさにそこが具体的な論点だろうと思っています。国の研修、魂というお言葉もありましたけれども、率直に申し上げて、かなり魂を込めて関係の方々を含めてやらせていただいています。その中で、今、2,000人、3,000人という方、受講されているのですけれども、これが新しくこの分野で働く方を全てオンタイムでカバーできるかというと、なかなかそこには限界もある。どうしても都道府県の方と一緒にやっていく必要があるというのは正直なところだと思います。

 ただ一方で、国としての研修のあり方ということも継続していくべきではないかということは非常に強く御意見をいただいておりますし、まさにそういう役割はあるのだろうと思っています。このあたりがこの議論の中でこれからどう検討していくかということになろうと思います。もう一つは、座長から御指摘ありました地域共生との関係もあろうかと思うのですけれども、この生活困窮制度の中で生み出してきた視点というか、制度のはざまも含めてきちんとその人全体を見ていく。それから、制度でないところも含めて、地域でどうやって支えていくかというその出口みたいなところも含めて考えていく。こういう視点というのは、これからの社会福祉全体の、困窮に限らず、全体の基本的な考え方になっていくだろうと思います。地域共生社会の考え方というのはそういう中で議論が進んでいるのだろうと思っておりますので、そことの関連も含めてこの研修のあり方というのは考えていく必要があると考えています。いずれにしても、今後御議論いただきたいところだと思っております。

○宮本座長 ありがとうございました。多様に御当地モデルを発展させるためのレッスンというのをどのように構築するのかという新しい地平に挑まなければいけないのかとも思います。

 大変お待たせしました。野溝構成員の方から資料もいただいておりまして、特に社会福祉法人の役割についての論点も、これまで、それ自体としてはここでは、御説明を受けた後取り上げてこられませんでした。そのあたり含めて、野溝構成員、よろしくお願いします。

○野溝構成員 ありがとうございます。

 研修につきましては、我々、埼玉県の安心セーフティネット事業の中で、各施設のCSW、相談員の研修を数多くやっております。そういった中で、当然、制度へつなぐという観点から、この自立相談支援事業の相談員との合同の研修会も開催させていただき、また、相談員から私たちの方への紹介ということもやっておりますので、今後も連携深めた研修を行っていきたいと思います。

 それでは、本日、彩の国安心セーフティネット事業につきまして、資料をお配りさせていただきますので、少し補足の説明をさせていただきたいと思います。

 埼玉県内の社会福祉法人の協働による地域公益活動といたしまして、生活困窮者の自立を支援するために、平成26年9月1日にスタートした事業であります。事業の内容は、まず会員施設が生活相談の窓口となり、受けた相談を適切な機関や制度につないでいきます。しかし、逼迫した状況にあったり、すぐにつなげる制度がない場合など、10万円を限度とした経済的援助を行っております。

 この緊急時の経済的援助が行えることが事業の特徴の一つです。相談者の中には何日も食事をとっていなかったり、電気やガスがとめられていたり、お金がないから病院に行くのを我慢していたりと最低限度の生活を送れず、生存権が脅かされている方が多くいらっしゃいます。このような方に即日、もしくは翌日には経済的な支援、現物給付を行い、まずは緊急事態から脱していただき、落ちついていただくようにしております。

 3ページからは、これまでの支援の実績を紹介させていただいております。これまで1,061件の相談支援を行い、716件には経済的援助、現物給付等を実施してきております。10万円まで実施できる経済的援助ですが、実際には1件当たり2万6,467円の支援で緊急事態を脱し、次の支援につなげることができています。

 相談者は男性が多く、また、20代から50代の稼働世代に当たる方が7割を占めております。相談内容の主な特徴は、失業や低所得、多重債務によるものが上位を占めております。現物給付の中には医療費の給付も行っております。そういった中で、無料低額診療制度も数件使わせていただいておりますが、制度上、継続的な利用ができない等ございますので、今後、継続的な利用ができるようになればと思っております。

 5ページから、相談者のうちの65歳以上の方の支援の実績を紹介させていただいております。全体で1,061件の相談のうち、65歳以上は218件でありました。他の世代と比べると独居の割合が高く、孤立している困窮者が多い状況です。また、年金が全く受給できていない方が半数おり、この方々は生活保護につないでいくことが多くあります。

一方で、持ち家の方が他世代よりも多いため、ある程度の年金収入がある方には、短期間の就労と組み合わせるだけでも生活ができるようになる方も一定数おりますので、このような層の方に自立相談支援事業と連携した支援を行うことは有効だと考えております。

 高齢者の支援の中で危惧する点があります。生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれのある高齢者の問題であります。つまり、国が定める最低生活保障費と同じか、それを下回る水準で生活している高齢者の方々です。低年金、住まい、病気、介護、高齢者が貧困に転落するリスクは確実に高まってきております。高齢者の貧困は当事者だけの問題ではありません。これを放置すれば、経済的、身体的負担の大きさから、親世代と現役世代の2世代が共倒れとなるおそれもあります。現役世代は自身の子育てもままならなくなってしまっているのも現実として発生しております。結果として、少子化を加速させ、老後に対する不安から現役世代の消費が抑制されるなど、社会的影響も大きなものがあろうかと思います。

 このような観点から、彩の国安心セーフティネット事業では、1,000件以上の相談に対応してまいりましたが、働く場所がない、働くことに自信がないなどの理由で働けない相談者が数多くいることが浮き彫りになってきております。相談者の7割が稼働世代である状況の中で、このような方が社会参加し、安心して仕事に着ける環境をつくるために、我々埼玉県の社会福祉法人が果たせる役割があると考え、来年度から就労支援事業に取り組めるように、現在、準備をいたしております。

 以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。今、野溝構成員から、社会福祉法人、社会福祉協議会としての取組のお話があったのですけれども、資料の23ページのところで、その社会福祉法人の取組例等の3番目ですね。雇用に関しては、認定就労訓練事業所、これはもちろん大事なのですけれども、少し狭目の課題設定と感じます。今の野溝構成員のお話の方がもっともっと地域で、特に高齢者の就労を含めていろいろな可能性を探りつつあるということで、ぜひともそういう方向で御奮闘いただいた方がいいのではないかと思います。ここで資料がこういう形で出ていくと、これがひとり歩きして、この範囲でいいんだということにならないように、ぜひ課題を少し高く設定して、社会福祉法人、社会福祉協議会の可能性を引き出していただければと思います。

 さて、お待たせしました。それでは、生水構成員、2分半というお話がございましたけれども、それから、奥田構成員も3分キープしておりますので、その順番でお願いします。

○生水構成員 わかりました。では2分半いただきます。

 まず資料2の12ページの高齢者の住居について連帯保証人の確保の課題があげられています。私も自治体職員ですが、この自治体の公営住宅というのは、困窮者、高齢者等、対象としているのにかかわらず、保証人要件が多くあります。ここは非常に矛盾しているところではあるのですが、多くの住宅担当者に聞くと、実はお金の保証人よりも本当に欲しいのは、暮らしにかかわる支援サービスで、いわゆる孤立死が一番怖いので、保証人に代わるサービスの方が本当は必要だと。これについてはアンケートをとっている弁護士もおりますので、また提示できればと思っています。行政の仕組みも生活困窮者支援の視点から保証人制度について大きく変わっていかなければととても感じて、そういったところで動いていければと思っています。
 あと1分半で帳票類について質問させてください。実はことしの10月から特定求職者雇用開発助成金という制度が始まっていて、これは自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活困窮者を雇い入れされる事業者を支援するということで、その方の雇用と職場定着を促進することを目的につくられたという制度です。

 この制度に伴って、この中で自治体が自立支援計画の作成を行った方で、計画に記載された目標の達成時期や到来していない方に限るということが、この助成金の対象ということが説明にあるのですが、このような自立支援計画の作成について、今後、帳票類の中で何か変更なり修正なり、そういうところがあるのかということ。それと、この制度は非常にいいと思いますので、労働局の方がいわゆる事業者に対して、この制度を促進するためのアナウンスをどのように行われているのかということ。また、生活困窮者自立支援室においても、全国の自立相談支援の窓口の自治体に対してどのようにこの事業についてアナウンスされているかということ。あと最後に、労働局と困窮室、この助成金を効果的に活用するためにどのような連携を具体的に行っていかれるのか、こういったことを、今日すぐには無理かと思いますが、また教えていただければと思います。

 以上です。

○宮本座長 今お答えできる範囲でよろしくお願いいたします。

○渡邊室長補佐 はい。今、御紹介いただいた特開金の生保受給者等コースというものですけれども、確かに自立支援計画をつくって、その目標時期が到来していない人ということになっているのですが、この実際の確認としては、自立のプランが立っていることとハローワークに支援要請がされていることという、その2点を確認するということでありますので、ここは帳票の見直しということは予定してございません。

この制度自体は非常に私どもも活用しやすいものということで期待しておりまして、9月に全国担当者会議というものがございましたが、そこでも、まだ施行前でしたけれども、紹介をさせていただいて、こういうものがあるので、しっかりアンテナ張っていただくようにということは現場にお願いしてございますし、実際、施行された後には事務連絡の形で通知させていただいているというような状況です。

 要件も含めて補足があれば、安定局から就労支援室長来ていただいていますので、お願いできればと思います。

○下角職業安定局就労支援室長 特開金の関係ですけれども、広報ということで御質問ありましたけれども、広報に関しては、さまざまなリーフレットを作成しまして、ハローワークに来られる事業所であるとか、あるいは事業主団体を通して傘下の事業主の方への広報をお願いしていると。あわせて、労働局、それから本省でもそうですけれども、ホームページの方にこの制度の紹介をさせていただいておりまして、そういったことを通じて積極的に、まずこれを活用いただける事業に出ていただかないと始まらない話になりますので、積極的に周知・広報を図って、御利用いただけるように取り組んでいきたいと考えています。

○宮本座長 ありがとうございました。

残りが約15分でございます。今、発言の御予約をいただいているのが奥田構成員でございまして、あと資料を渡辺由美子構成員からも提出いただいております。それ以外に、何か御発言の予定はございますでしょうか。

よろしいですか。15分だと、あとお一人ぐらいはいけるかなあというところもございますけれども、御協力いただいたということでよろしゅうございましょうか。

 それでは、決して15分をフルに使い切る必要はございませんので、そのあたり、少し柔軟に御対応いただければと思います。奥田構成員からお願いします。

○奥田構成員 はい。すみません。資料の説明の前に、「居住に関する資源の状況(イメージ)」、1314ページですが、これは居住という概念自体の課題でもあるのですけれども、例えばここに「ネットカフェ等」まで入れていいのかと。去年の検討会議、私、ここに入っていたので、今さら私がそれを言うのもまずいのですけれども、これを言い出すと、ブルーシートもよしになってしまう。一体我々は何を目指すのかということを考えると、ここに「ネットカフェ等」、これは居住ではないのではないですかという、国際的に見てもこれはまずいのではないかと私は思います。

 その点で言うと、下の無低なのですが、私は、このグレーゾーンのところのカバーという意味で、無料低額宿泊施設、要するに社会福祉法上の施設の活用ということは積極的に考えざるを得ないところに来ている。かつてこれは臨時避難的にできた法律制度でありましたけれども、今や、ここが一つの社会資源になって、受け皿になっている。

ただ一方で、かねてから、ここはいわゆる貧困ビジネス等の問題を含んでいた。ですから、ちゃんと規制をする一方で、これは本当に社会資源になるのかというところです。この絵で見ていると、無低とは違うところでもう一つつくろうみたいな感じがするのですけれども、ここのグレーとこの紫は実はものすごくかぶっている。

ただ、これは低家賃なのだけれども、ケアの対価、どこからも出てない。ではここで、いわゆる見守りなりサービスなりつけるということになるとどうなるのか。これはいわゆる二種施設なのですが、私はかねてから、一種施設の手厚さと二種施設の何もなさの落差が激し過ぎると。1.5種つくってくれという話を、ずっと無謀なことを言い続けているのですが、このグレーゾーンで言うと、無低の議論を積極的にやらないとカバーできないのではないかというのが1つ。

 2つ目、帳票のことで、これは29ページですが、これは一言だけです。今の帳票、個人ベースになっているので、家族、特に子どもの支援、家庭の支援でやってきたときに、どうしても家族という枠なり家庭という枠の帳票ということを次は考えないと難しいのではないか。

 3つ目が資料の説明です。別紙資料ですけれども、これも詳しく説明はしません。ぜひ持ち帰って、たくさんの資料持ってきて申しわけなかったのですが、一番言いたいのは、居住支援、対象者にもよるのですけれども、私たちが見てきた、私がもしくは生活困窮者支援の対象者だろうなと思っている人たちは、やはり生活支援と居住支援がセットでないといけない。そのために、この資料の1は、地域生活定着支援事業という、NPOの中で生活支援というものをつけないと、居住の確保だけでは難しいよということで、中身をわかるように資料を持ってきました。

 例えば4ページのところを見ていただきますと、当然、支える側と支えられる側が固定化していってももう限界があるので、そういう意味では、互助会というようなものをつくって、当事者同士がどう地域で支えるかというような仕組みもつくりました。

その中で6ページ、金銭管理支援という、これはメインでこの自立支援で来ているのは家計支援です。これはとても大事で、やはり自主的、自立的にやっていくということで、私は家計は、必須も含めて議論を当然深めるべきだと思っています。

ただ一方で、障害を持っている方とかアディクションの問題等々見ると、ある意味で、ちゃんと民主化された金銭管理のシステムみたいなものを国が、これは実は5年前の貧困ビジネス議論のときに、無低で金銭管理をしていることはけしからんことだという、本当に中身何も見ないで、それだけで議論された経過があって、すごくショックを受けました。だけど、この部分で再ホームレス化を防いできた。当然、これは契約概念ですから、本人が契約書を交わした上でやっていることなので、いつでもやめられるというところでやっています。

 ただ、この件数を見てもらうと、金銭管理支援ってものすごくたくさん件数が出ている必要な支援なのです。これは単にお金の関係だけでなくて、そのことによって支援員が接する、それは相談支援の場所なのです。ですから、金銭管理は何か悪で、家計管理こそいいんだというような簡単な問題ではないですよということを言うために持ってきました。

 8ページを見ていただきますと、今度は居住の方にいくのですが、私たちがホームレス支援で、居住支援で実にうまくいったのは、居宅協力者の会という不動産業者の会をつくったことでした。何よりも、大家と不動産屋を押さえることで家賃滞納情報がいち早くキャッチできた。日ごろの見守りのシステムを民間業者の方々に半分お願いできたという、ここがすごくうまくいった事業。だから、入居のときの物件情報がいち早く上がってくるとともに、その後の継続の見守りを地域でチームが組めた。一番大きかったのは家賃滞納情報です。この絵が、希望者とNPOの間の赤矢印が抜けているので、ここ、つながってないと意味がありません。

 その次の保証人バンクというのはNPOがつくった保証人制度で、今、730件ぐらいやっていますけれども、大体去年の事故率が1%くらいです。おととしも1%ぐらいの事故率です。これも詳しく説明すればいろいろあるのですけれども、利用料の中で自立支援貸付金制度という貸付金制度をつくることで、もし家賃滞納が起こっても、単に保証するだけで終わらない。そこでお金を自立支援資金として貸し付けて、そこでまたケアを始めていくというような二重、三重のセーフティネットを張ったというのが非常に大きなことでした。

その次から始まる派手な色がついている資料は、今日も来られていますが、いい事例で、民間事例でリクルートの事例報告がありましたけれども、今、私どもとリクルートとの間で、この居住支援と生活支援、組み合わせた形で新しいパイロット事業できないかという模索をしています。その資料をつけておきましたので、また見ておいてください。

以上です。

○宮本座長 ありがとうございました。

それでは、最後になりますが、今、奥田構成員の方から事務局に対する要請というのは、先ほどの「ネットカフェ等」、これはとりあえずこのままでもいいということですか。

○奥田構成員 これは去年の資料をそのまま持ってきたのでこのままでいいとは思うのですが、今後の議論の中で、これって社会資源とみなして私たち議論進めていくのかどうかということだけ、ちゃんとしておかないといけないと思います。

○宮本座長 わかりました。

それでは、渡辺構成員、お願いいたします。

○渡辺由美子構成員 簡単に。

 社会福祉法人の御支援ということで、私どもとさせていただいている生活困窮世帯の子どもに対する学習支援というのをやっているので、事例として持ってまいりました。これは同胞援護会と一緒にやらせていただいて、ことしで2年目になるのですけれども、同胞援護会の特養のホームをお借りして、あと運営にかかる費用というものも私どもに御支援いただいてやらせていただいております。

 昭島市にあるのですけれども、昭島市の方ではなかなか自分たちの自治体で生活困窮の学習支援をやり切れないというところで、昭島市と同胞援護会、非常にいい関係をとりながら、同胞援護会がやっているところに困っているようなお子さんがいると、市の方からも御紹介があったりして、今、小学生10人、中学生10人というところで20人の定員いっぱいでやっておりますという事例紹介をさせていただきました。

 以上です。

○宮本座長 大変興味深い事例の紹介をありがとうございました。

 それでは、まだ奇跡的に5分ほど時間はございますけれども、いつもどおり、非常に濃密な議論を重ねておりましたので、皆さん、相当へとへとなのではないかなと思います。少なくとも私はへとへとでございますので、それでは、この辺で締めさせていただいて、事務局から次回の会議のアナウンス等をよろしくお願いいたします。

○金井課長 どうもありがとうございました。

次回の開催につきましては、1219日(月曜日)、13時から1530分で、場所は、ここでなくて、KKR東京を予定しておりますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○宮本座長 それでは、どうも御苦労さまでした。年内にもう一回ございますけれども、よろしくお願いいたします。

 


(了)

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