ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会添加物部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(2016年12月21日)




2016年12月21日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成28年12月21日(水) 15:30~17:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 3階 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

委員

若林部会長 井手委員 井部委員 小川委員
佐藤委員 杉本委員 戸塚委員 中島委員
二村委員

事務局

山本基準審査課長 黒羽室長 鶏内補佐
中矢専門官 一戸主査 田中技官
酒井技官

○議題

(1) 炭酸カルシウムの規格基準改正について
(2) ステアリン酸マグネシウムの規格基準改正について
(3) その他

○議事

○事務局 定刻少し前ですが、皆様お集まりになりましたので、ただいまより薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催いたします。本日は年末のお忙しいところを御参集いただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず、初めに、本日の委員の皆様の出席状況を報告いたします。本日は石見委員、鎌田委員、由田委員、吉成委員より御欠席との連絡を受けております。現時点で添加物部会委員13名中9名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。

 それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○若林部会長 分かりました。それでは最初に配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○事務局 まず初めに議事次第、次に資料一覧、委員名簿、座席表があります。炭酸カルシウムの食品添加物としての規格基準の改正に関する資料として、資料1-1「諮問書」、資料1-2「部会報告書()」、資料1-3が食品安全委員会から出された「食品健康影響評価の結果の通知について」です。資料2は、ステアリン酸マグネシウムの添加物としての規格基準の改正に関する資料です。資料2-1「諮問書」、資料2-2「部会報告書()」、資料2-3「食品健康影響評価の結果の通知」になります。また、委員の先生方には当日配付資料として、消費者庁から出ている「機能性表示食品って何?」というパンフレットの抜粋を配付しております。以上が本日の資料になりますが、不足等ありませんでしょうか。

○若林部会長 皆様方、資料についてよろしいですか。大丈夫ですね。それでは、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について、報告をお願いします。

○事務局 本日の部会においては、審議対象の炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが利益相反確認対象品目となっております。当該品目について、本日の部会において退室の必要な委員、又は議決には参加できない委員がいないことを確認しております。

○若林部会長 それでは審議に入りたいと思います。議題1「炭酸カルシウムの規格基準改正について」の審議を行いたいと思います。まずは事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、炭酸カルシウムの規格基準の改正に関して、お手元の資料1-2に基づいて説明します。品目名、分子式及び分子量等については記載しているとおりです。炭酸カルシウムの分子式は、CaCOとなっております。用途については栄養強化剤、イーストフード、ガムベース、膨張剤となっております。

 4.概要及び諸外国での使用状況について説明します。()概要です。炭酸カルシウムについては、石灰石等として知られておりますが、昭和32年に添加物として指定され、パン等のカルシウム強化剤として使用されています。また、JECFAにおいては、ADIを「制限しない」と評価されております。

()諸外国での使用状況について説明します。コーデックス委員会による添加物の使用基準(GSFA)では、乾燥ホエイ及びホエイチーズを除くホエイ製品については10,000mg/kgとされておりますが、そのほかの食品については、適正製造規範(GMP)の下で必要量を食品に使用することが認められております。

 次のページ、米国においては、一般に安全と認められる、GRAS物質として、食品全般に対してGMPの下で必要量を使用することが認められております。またEUでは、ココア及びチョコレート製品には70,000mg/kgとされておりますが、そのほかの食品についてはGMPの下で必要量を使用することが認められております。

 また、我が国においては「食品の製造又は加工上必要不可欠な場合及び栄養の目的で使用する場合以外は食品に使用してはならない」とされております。カルシウムとしてチューインガムにあっては10%以下、そのほかの食品にあっては1.0%以下でなければならないとされております。

 詳細については8.の部分で説明しますが、今般、要請者よりカルシウムの摂取量が食事摂取基準における推奨量に比べ、全ての年代において下回っていることを背景に、カルシウム強化を目的として現在設けられている使用基準を削除する要請がなされましたので、御審議いただくものになります。

 2ページの5.食品添加物としての有効性について説明します。()食品添加物としての有効性ですが、炭酸カルシウムは、ほかのカルシウム強化剤と比べ、カルシウム含量が高く、使用量の低減を図ることができ、食品の味や食感への影響を低く抑えることができるものです。

()食品中での安定性です。炭酸カルシウムについては、水には難溶ということですが、二酸化炭素を含む水には溶ける。また、強熱により解離し、酸を作用させることで二酸化炭素を放出してカルシウム塩を生じることが知られております。()食品中の栄養成分に及ぼす影響ですが、こちらについては報告がないとされております。

 6.食品安全委員会における評価結果について説明します。平成28年3月3日付けで食品安全委員会に対して意見を求め、添加物関連栄養成分ワーキンググループでの議論を踏まえ、同年9月6日付けで結果通知がなされたものです。以下に評価書より抜粋しております。

 次の3ページの4行目、遺伝毒性、急性毒性、発がん性及び生殖発生毒性の試験成績を検討した結果、生体にとって特段問題となる毒性の懸念を示す知見は認められないと判断したとされております。また、ヒトにおける知見というところですが、カルシウム過剰摂取とミルクアルカリ症候群については因果関係があるものと判断しており、こちらの症例について検討を行い、NOAELを3,000mg//日としております。

 次のページ、こちらの結果から不確実係数を1.5として、食事以外からのサプリメントとしての摂取量、上限量というところですが、ULSとして2,000mg//日とすることが適当と判断したとされています。

 7.摂取量の推計について説明します。6ページの上部になります。要請者の推計によると、表34、表35に記載されているカルシウム含有添加物が全て「炭酸カルシウム」に代替されると仮定し、カルシウムとして72.10mg//日程度と考えられるとしております。中段の()製造用剤としてですが、<1>ケイ酸カルシウムを除くカルシウム塩については、カルシウムとして指定添加物由来が30.55mg//日、焼成カルシウム由来が5.32mg//日、そして生石灰由来が3.40mg//日とされており、これら全てが炭酸カルシウムに代替されるとしており、次のページに39.27mg//日とされております。<2>ケイ酸カルシウム由来のカルシウム塩については、2015年の評価書において、摂取量は600mg//日とされております。また、8ページの中段()にあるように、添加物由来のカルシウムの摂取量については、カルシウムとして711.37mg//日と推定されております。そして()にあるように、食品安全委員会としても、この推計を是認し、カルシウムとして合計で711.37mg//日と推定しております。以上を踏まえ、規格基準の改正について、8.で示しております。

 次のページ、まず使用基準の改正についてです。現行の基準を記載しておりますが、今回は諸外国での使用状況の項で述べたとおり、記載の現行の使用基準を削除するように使用基準を改正することになっております。改正の根拠としては、フットノートで記載しております。<1>食品安全委員会における評価結果や、摂取量の推計、結果などに加え、昭和25年1月11日付け衛食第7号「飲食物に添加する石灰類の取扱いについて」に示された、「栄養上、製造加工調理上、経済上、そのほかの理由によって食品の中に石灰類を混入し、あるいは食品の添加物の一部又は全部を石灰類をもってするような傾向にある」状況を踏まえ、「食品の製造又は加工上、必要不可欠な場合及び栄養の目的で使用する場合以外は食品に使用してはならない。使用量は、カルシウムとして、食品の1.0%以下でなければならない」という使用基準が設定されたと考えられるが、近年このような状況は想定し難いこと。また、<2>健康栄養調査でのカルシウム摂取状況から、耐容上限量に比べて十分に小さく、健康被害が発生するおそれが低いということ。また、<3>Codex規格において、GMPの原則に従い、必要量を使用することが許容されていること。こちらの3つの理由から、酢酸カルシウム及び酸化カルシウムについては使用基準が設けられていない。また、要請者によると、我が国では、使用基準が設定されていないカルシウムを含む添加物がサプリメント、ウエハース等にカルシウムの強化剤として、1.0%を超えて使用されているとのことです。炭酸カルシウムについても、現行の使用基準を超えて使用するといったような理由が根拠として挙げられます。

 ですので、これらの理由から今般、使用基準を削除することが適当であるとしております。

()成分規格については、次のページから別紙に記載しているとおり、現在、成分規格が設定されております。本規格基準の改正において変更の必要はないと考えております。炭酸カルシウムの規格基準改正についての説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○若林部会長 それでは、審議に入る前に炭酸カルシウムの食品安全委員会での評価結果の遺伝毒性の部分について、戸塚委員より解説をお願いできますでしょうか。

○戸塚委員 お手元の資料1-3の24ページを御覧ください。こちらに遺伝毒性について記載がありますけれども、炭酸カルシウムそれ自身の遺伝毒性については提出されておりませんので、その他のカルシウム塩の結果について、審議をいたしております。

 この表4に記載がありますように、DNA損傷試験とか遺伝子突然変異試験とか染色体異常試験等の in vitro の試験が主に行われており、そのほとんどで陰性という結果になっております。

1つだけ染色体異常試験で擬陽性というものが出ておりますが、こちらは最高用量でのみの擬陽性であり、こちらの擬陽性が出たものが24時間投与なのですが、同じ試験系の48時間の投与では陰性となっております。こういった結果や、擬陽性を示した用量が、当該試験の限界用量である10 mMをはるかに超える用量のみであるので、そういったことも考え、食品安全委員会では炭酸カルシウムは生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないという結論を出しました。以上です。

○若林部会長 ありがとうございました。それでは続いて遺伝毒性以外の部分について、小川委員より解説をお願いします。

○小川委員 引き続き同じ資料で25ページからになります。急性毒性についても炭酸カルシウム及びその他のカルシウム塩ということでまとめてあります。26ページの表5ですが、炭酸カルシウムとしてのものと、塩化カルシウムとがありますけれども、いずれもカルシウムとして一番低い値でも1,940 mg/kg体重(カルシウムとして528mg/kg体重)という数字で、比較的高い量が、LD 50 ということで求められております。

 また、()反復投与毒性については、炭酸カルシウムとしては幾つか試験をされています。マウスの試験が1つ、ラットの試験が5つ、イヌの試験が1つ、いずれについても1用量での試験であったり、投与量が不明瞭との理由から、NOAELが決められなかったというような状況になっております。

 続いて32ページに飛びます。その他のカルシウム塩での試験ということで実験動物を用いたものは、ラットの1試験、ブタの1試験、イヌの1試験があります。いずれも試験の内容的には高すぎる用量であることなどもあり、NOAELが設定されていないことになります。

36ページ、生殖発生毒性の試験が、こちらも炭酸カルシウムとその他のカルシウム塩ということで行われております。炭酸カルシウムについては、マウスの2試験、ラットの5試験、ヒツジの1試験が行われており、37ページの真ん中から下にあるc.のラットの生殖発生毒性試験において、SDラットを用いて炭酸カルシウムを幾つかの用量を用いて混餌にて投与する試験を行っております。この試験においては最終的な結論が38ページの一番下に、生殖発生毒性に係るNOAELが最高用量まで特に問題になるような毒性が見られなかったということで、最高用量の625mg/kg体重/(カルシウムとして)をNOAELの値として求めることでよろしいのではないかとあります。

 また、d.のラットで混餌投与による発生毒性試験が行われており、こちらについても同じ用量で最高用量である625mg/kg体重のNOAELでよろしいということで、特段、懸念するような毒性は見られていないという結果になっております。

 また、44ページの<2>その他のカルシウム塩を用いた発生毒性試験を行っておりますが、こちらもマウス2試験、ラット3試験、ウサギの1試験が行われております。こちらもNOAELが得られている試験が少ないのですが、ラットの試験については、45ページの一番下、c.のラットへの強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、硫酸カルシウムを用いた試験が行われております。こちらについても特段の懸念とされるものはないということで、NOAELが最高用量の232.8mg/kg体重(カルシウムとして)の量ということで、NOAELが求められていることになります。

48ページに()ヒトにおける知見として、まとめられております。ヒトにおける知見としては、前後して申し訳ないのですが、12ページの一番下の脚注にまとめてありますが、ミルクアルカリ症候群は、「大量の牛乳と炭酸カルシウムを含む制酸剤を主として消化性潰瘍の治療の目的で投与した症例に発症する。高カルシウム血症、高リン血症、アルカローシス、異所性の石灰化及び腎不全などを主徴とした病態」で、それが見られた症例報告や、戻っていただいて48ページ以降にありますが、腎結石や前立腺がん、循環器疾患などについてのコホートや介入試験についての結果が見られております。しかし、特段の懸念になるようなところはいずれについても見られなかったということになります。

 ヒトにおける知見をまとめたものが68ページの<5>です。特にカルシウム摂取と前立腺がん、循環器疾患等には特に関連するような知見は十分に得られていないということです。ミルクアルカリ症候群については、因果関係があることが判断されていると、69ページの中ほどに、食品安全委員会としての見解が述べられております。また、カルシウムの摂取と腎結石についても、ある程度の因果関係があるとのことですが、結石に関してはNOAEL、又はLOAELを設定するのは非常に困難であるということになりました。

 最終的にはミルクアルカリ症候群の症例報告で、これは妊婦さんでの症例報告で、70ページの上に少し記載があります。Gordonらの症例報告ということですが、食事以外に約3,000mg//日のカルシウムを1か月間摂取した結果、ミルクアルカリ症候群と診断されたということです。妊婦さんですが病歴を持っていない方で、摂取した人の中でミルクアルカリ症候群が発症した、この報告をもってLOAELを設定することが適切だろうと判断されております。

 その他のミネラルとの相互作用です。鉄、亜鉛、マグネシウム、リンとの相互関係といったことを調べておりますが、こちらについても相互関係は特に懸念するものはないということでした。

 以上のことから、80ページに最後のまとめとして記載しています。懸念されるところとしては、動物からの数字として、先ほどの発生毒性から232mg/kg体重/日という数字がありますが、ヒトからのデータについては、LOAELが3,000mg//日となります。例えば体重を50とすると60 mg/kg体重/日ということになりますので、動物の数字よりも低い数字となります。また、栄養成分ということですので、通常の不確実係数を用いるのは不適切であるとのことで、UF1.5ということを用いており、サプリメントとしての摂取の上限という数字がULSになりますが、これを2,000mg//日とすることが適切であるというのが食品安全委員会の見解と認識しております。以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、体内動態について、本日は欠席の吉成委員より事前にコメントが届いておりますので、それを紹介していただけますでしょうか。

○事務局 それでは引き続き、お手元に資料1-3を御用意ください。それでは吉成委員からのコメントを読み上げます。資料1-3の15ページ、添加物評価書に記載されているように、炭酸カルシウムは生体内で炭酸イオンとカルシウムイオンに解離すると考えられることから、食品安全委員会では、カルシウム塩全般での評価を行っている。

 生体内のカルシウムの99%は骨に存在します。また、カルシウムの生体内レベルは副甲状腺ホルモンとビタミンDの働きにより厳密に制御されています。また、これらは教科書にも記載されている内容ですけれども、評価書15ページから16ページに抜粋されております。

 続いて、吸収についてですが、1718ページに書かれているように、カルシウムイオンは、チャネル依存的に小腸上皮細胞に取り込まれ、トランスポーターの働きにより血中に移行します。また、細胞間隙を介した吸収経路も存在します。19ページに記載されているように、一般的なヒトでの吸収率は1040%程度となっております。吸収に関して大事なことは、これらの吸収に関わる因子が、カルシウムホメオスタシスによる制御を受けるため、ばく露量、つまり摂取量が多くなるにつれて、吸収率は低下するということです。

 分布についてですが、骨以外に存在するカルシウムは、ほとんどが細胞外液に存在し、細胞内濃度は、その約10,000分の1です。また、これらのカルシウムイオンの約半分は遊離型で存在し、約半分はタンパク質に結合した状態で存在します。食事からの吸収を調べた結果が20ページに記載されていますが、400700mgが吸収されるようです。

 最後に、排泄についてです。ヒトでは1日当たり約1gのカルシウムイオンが糸球体でろ過されますが、そのほとんどは再吸収され、排泄量は150200mg(ろ過量の約20)とされています。

 評価書23ページでは、炭酸カルシウムのヒト吸収試験の結果も記載されていますが、その吸収率は先ほど述べたとおり30%でした。ほかにクエン酸カルシウムのヒト吸収試験結果が記載されておりますが、吸収率は炭酸カルシウムとほぼ同様であったと記載されています。

 以上、食品安全委員会での評価をまとめますと、薬物動態学的な観点から炭酸カルシウムの評価を行うに当たっては、摂取量が多くなるにつれて吸収率は低下すること、カルシウムの摂取は生体内のカルシウムホメオスタシス系に影響を与える可能性があることに留意する必要があるとされています。以上になります。

○若林部会長 炭酸カルシウムに関する遺伝毒性、毒性及び体内動態について、3人の委員から説明がありました。それから、通常の摂取量等を考えると炭酸カルシウムについてのいろいろな規定に関しては、削除の方向でいいのではないかということが、この報告書案で提案されております。これらに対して、委員の皆様から御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

 炭酸カルシウムは、通常、日常的に使われているものです。もう一度、確認をしますが、事務局からの説明では、カルシウムに関しては1日の推定摂取量が711.37mg//日で、毒性関係で考えて一番懸念されるミルクアルカリ症候群については、3g//日でということで、そこにかなりの開きがあり問題ないということでよろしいですか。

○事務局 はい、そのように考えております。

○若林部会長 日常の生活において、これが近づくケースは非常に考えづらいということですね。いかがでしょうか。

○井部委員 毒性等がよく分かりました。食品添加物として、わざわざ変えなければいけないメリットが、2ページにあるように食品添加物の有効性として、使用量を低減する、味や食感を良くすること以外に何かあるのでしょうか。例えば、経済的に良いとか、何か少し弱いような気もするのですが、いかがでしょうか。

○事務局 今おっしゃっていただいたように、添加物のカルシウム含有量が高いということから、まず使用量の低減ができるということと、あとは、例えば既存の天然の添加物の場合、えぐ味があるということで味への影響を低く抑えられることを踏まえ、今回、炭酸カルシウムを使用したいという要請がなされたと承知しております。

○井部委員 今までの使い方より良くなるということですね。分かりました。

○若林部会長 そのほかに何かございますか。小川委員から何か追加することは、ございますか。

○小川委員 特にはございませんが、確認です。こちらの用途としては、1ページの3ポツにある栄養強化剤は、どこに入れてもよいという意味合いになるのか、ガムに入れるものが多いのか、その他の食品では1.0というのは、1.0%以下ならば、他はどこに入れてもいいという意味合いですか。

○事務局 今回の使用基準改正に伴い、そちらの現行に設けられている使用基準がなくなります。例えば、ウエハース等に1.0%を超えて使用するということが検討されております。

○佐藤委員 直接、審議とは関係ないのですが、10ページの別紙を見てください。規格基準で炭酸カルシウムは、こういう規格があるのですが、重金属については、第9版食品添加物公定書で発表になる際には「鉛として」の規格に変更されます。ヒ素についても現在、三酸化二ヒ素として4μg/g以下という規定ですが、9版に入ると、ヒ素として3μg/g以下に自動的に修正されるということで、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 もう一度、そこを。

○佐藤委員 既に食品添加物公定書の第9版で、いろいろ説明があったように、食品添加物の規格の重金属は全て鉛の規格に変更になるということです。あと、ヒ素は三酸化二ヒ素としての規格値ではなくて、ヒ素としての規格値に変更になるということです。

○若林部会長 ここの基準、この様式は今、変える必要性があるということですか。

○佐藤委員 今は変わりませんが、このままではなく、いずれは変更に。

○若林部会長 なるということですね。杉本委員、何かありますか。

○杉本委員 そのとおりです。

○若林部会長 そのとおりですか、分かりました。そのほかはよろしいですか。井手委員、何かコメントはございますか。

○井手委員 先ほど井部委員がおっしゃった効果の点について、私も少し疑問に思っております。まず、カルシウム含有率が高いというところで、無機塩だと、ほとんど逆にこちらのほうが低いのかな、COだと60ですかね、酸化カルシウムとか水酸化カルシウムとか、ほかの無機塩に比べると逆に低くなってしまうと思います。

 あと、ほかに天然由来のものでカルシウムを添加物として使われているものはあるのですか。それと比較してここをおっしゃっているのかということで、この辺を読んでいてよく分からないのです。

○事務局 説明いたします。今、御指摘の酸化カルシウムについては、吸湿性による発熱性を有しているということがあります。酢酸カルシウム、貝殻未焼成カルシウム等の既存添加物については、先ほど申し上げた食品の風味という影響があるというところから、使用できる量や食品が限定的になってくるということがあり、今回、炭酸カルシウムを用いて。

○井手委員 それだとよく分かるのですが、ですから、その辺が分かるように、このままだと話のつじつまが合っていないのです。パーセンテージとか何とかということでは逆になっておりますから、書きにくいのならばいいのですが、もし少し改善できるようなことがあれば、今、おっしゃったストーリーで書いていただければ、非常に分かりやすいです。

○若林部会長 報告書の記載についてということですか。

○井手委員 はい。

○事務局 こちらについては検討して、後日、連絡させていただきます。

○若林部会長 具体的な場所はどこですか。

○井手委員 2ページの5.の()の有効性に関して、指定添加物として使用される他のカルシウム強化剤に比べ、カルシウム含量が高いためということで、要するに、ここは分子式から比べて高いという意味ですよね。ただ、実際はそうなっていなくて、塩化カルシウムでも酸化カルシウムでも水酸化カルシウムでもみんな逆なので、含有率は一番低いのです。

 そうすると、この文章のつじつまが合わないかと。塩化カルシウムの場合は37.5だから合っている、でも、大差ないですよね。そういうことなので、少し分かりにくいと思いました。

○若林部会長 カルシウム含量が高いためという、この文章を少し修正したほうが5.の()が、より。

○井手委員 すっきりするかと。

○若林部会長 すっきり理解しやすくなるということですね。それは可能ですか。

○事務局 後ほど検討して報告させていただきます。

○若林部会長 そのほかにございますか。よろしいですか。

○中島委員 今回の規格基準の改正は問題ないと思います。1つ教えていただきたいことは、資料1-2の2ページのEUの基準で、一部の食品を除きと下を見るとココア及びチョコレート製品で70,000mg/kgとあり、これはかなり尋常ではない数字で、向こうのココア及びチョコレートには、これほどの量を設定しないと基準を超えてしまうようなチョコレート製品があって、今まで日本に入って来ていた可能性があるのでしょうか。

○事務局 こちらの基準について事務局で調べましたが、どういう経緯で設けられたものなのか確認できておりません。実際に流通しているのかということについては、現状、日本の規格基準に適合したものが国内に流通していることを考えれば、炭酸カルシウムについては、その基準を満たしたものしか入って来ていないのではないかと思います。

○中島委員 それを聞いて、今まで輸入チョコレートを喜んで食べていた身としては少し安心したかなという感じなのですが、今回の成分規格の変更はカルシウムですし、問題ないかと考えます。

○若林部会長 確かに7万は大きな数字ですね。そのほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、一通り御議論いただいたようですので、炭酸カルシウムの規格基準については、先ほど、井手委員、井部委員から御指摘のありました、5.の()を修正するということで規格基準改正について認めるということでよろしいですか。

 それでは、皆さん認めるということですので、部会報告書を取りまとめて分科会へ報告する手続を取りたいと思いますので、事務局からその旨お願いします。

○事務局 先ほど御指摘いただいた部分については、修正が必要ということで御意見を頂きましたので、この点については御意見を頂いた井手委員と事務局で修正の後、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題なければ手続を進めるということでよろしいでしょうか。

○若林部会長 それでよろしいでしょうか。では、そのように進めてください。

○事務局 本品目については規格基準改正のため、「その基原、製法、用途等からみて慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するもの」を除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされております。報告事項として進めてよろしいでしょうか。

○若林部会長 はい、分科会では報告事項でということですが、よろしいでしょうか。それでは、今後のスケジュールについてはどのようになっていますか。

○事務局 今回の審議結果について、食品衛生分科会で先ほど申し上げた報告のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 そちらについても、適切に手続をしていただきたいと思います。以上で、炭酸カルシウムについての審議は終了いたします。

 それでは、議題2、ステアリン酸マグネシウムの規格基準改正についての審議を行います。まず、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、ステアリン酸マグネシウムの規格基準の改正に関してお手元の資料2-2に基づいて説明いたします。品目名、構造式、分子式及び分子量については、記載のとおりで、ステアリン酸マグネシウムは、ステアリン酸マグネシウムとパルミチン酸マグネシウムを主成分とする脂肪酸マグネシウム塩となっております。

 次のページです。用途については、製造用剤(カプセル及び錠剤製造の滑沢剤、潤滑剤又は付着防止剤)として用いられております。続いて、概要及び諸外国での使用状況についてです。概要として、ステアリン酸マグネシウムは、我が国では平成16年に添加物として指定されており、特定保健用食品たるカプセル剤及び錠剤、並びに栄養機能食品たるカプセル剤及び錠剤の滑沢剤、潤滑剤として使用されております。JECFAでは、1969年にステアリン酸塩として、1973年にステアリン酸マグネシウムとして評価を行い、いずれにおいてもADIは「制限しない」とされております。また、1985年、2015年にステアリン酸マグネシウムについてADIを「特定しない」と確認されております。

 続いて、諸外国での使用状況についてです。米国では、GRAS物質とされ、食品全般にGMPの下で滑沢剤、離型剤、加工助剤として必要量を使用することが認められております。欧州では、脂肪酸のマグネシウム塩として添加物に指定されており、ポテトニョッキ、スピリット飲料、アルコール飲料、固形のサプリメント等に対してGMPの下で必要量を使用することが認められております。我が国では平成16年に添加物として指定され、ステアリン酸マグネシウムは特定保健用食品たるカプセル剤及び錠剤、並びに栄養機能食品たるカプセル剤及び錠剤以外の食品に使用してはならないと使用基準が設定されております。

 続いて、食品添加物としての有効性についてです。ステアリン酸マグネシウムは、滑沢剤として錠剤やカプセル剤の製造に用いられます。ステアリン酸マグネシウムは、錠剤を打錠する際に試料が臼や杵に付着することを防ぎ、錠剤の表面を滑らかにする効果があります。また、粉体表面に付着し、粉体間の付着力を弱め、顆粒の流動性を良くする性質があるためフィダーから臼への顆粒の供給が円滑となり、個々の錠剤の含量のばらつきが小さく均一な錠剤を作ることができます。

 これからお示しする食品添加物としての有効性、食品中での安定性、食品中の栄養成分に及ぼす影響の記載については、平成16年の本物質の新規指定のための審議の際に評価された内容を記載しております。添加物としての有効性の評価として、滑沢剤として用いられている添加物であるショ糖脂肪酸エステルとステアリン酸マグネシウムの滑沢性、流動性の比較を行っております。その結果、滑沢性、流動性のいずれもステアリン酸マグネシウムは、ショ糖脂肪酸エステルに比べて高い効果を持つことが示されております。 ()食品中での安定性について、ステアリン酸マグネシウムを添加した錠剤中のマグネシウム含量を測定した結果、少なくとも6か月間は安定であると示されております。()食品中の栄養成分に及ぼす影響については、ステアリン酸マグネシウムを添加した錠剤中の主剤の含有量変化を測定した結果、6か月間は含有量に大きな変化が認められないと示されております。ここまでが平成16年の本物質の新規指定のための審議の際に評価された内容です。

 続いて、()使用基準改正の必要性についてです。現行のステアリン酸マグネシウムの使用基準では、特定保健用食品たるカプセル剤及び錠剤、並びに栄養機能食品たるカプセル剤及び錠剤以外の食品に使用してはならないとされております。そのため、現行の使用基準では、平成27年に保健機能食品として規定された機能性表示食品に使用することができず、特定保健用食品及び栄養機能食品以外のカプセル及び、錠剤形状の一般の食品に使用することができません。近年、滑沢剤、潤滑剤及び付着防止剤という観点から、特定保健用食品や栄養機能食品以外のカプセルや錠剤形状の食品や錠菓への使用が期待されていることから、これらの食品に使用が認められるよう、使用基準の改正が必要と考えられます。

 続いて、食品安全委員会における食品健康影響評価についてです。4ページの食品健康影響評価の結果を御覧ください。ステアリン酸マグネシウムについては、本年、5月26日付けで食品安全委員会に健康影響評価の依頼を行っており、本年、1115日付けで評価結果が通知されております。

 評価結果の概要については下に抜粋しております。こちらについては、今回の規格基準改正に基づく評価がなされております。概要として、最終段落にあるように、ステアリン酸マグネシウムが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、本品目のADIを特定する必要はないと判断したとされております。

 続いて、摂取量の推計についてです。こちらも食品安全委員会で評価がなされており、摂取量の推計の部分を抜粋しております。添加物ステアリン酸マグネシウムの規格基準が改正された場合のステアリン酸マグネシウムの摂取量について、その使用量からカプセル、錠剤等由来のステアリン酸マグネシウムと錠菓由来のステアリン酸マグネシウムの摂取量を、それぞれ勘案して推計が行われております。

 まず、カプセル、錠剤等由来のステアリン酸マグネシウムです。5ページの()<1>の最終段落で、チュアブル錠由来の推定一日摂取量を240mg//日と推定しております。錠菓由来のステアリン酸マグネシウムの摂取量については、5ページの()<2>で6mg//日と推定しております。

 一日摂取量の推計のまとめとしては、6ページの()で、添加物ステアリン酸マグネシウムの規格基準が改正された場合のステアリン酸マグネシウムの摂取量について、チュアブル錠由来の推定摂取240mg//日と錠菓由来の推定摂取量6mg//日の合計から、246mg//日と判断しております。これを踏まえ、ステアリン酸の摂取の一日摂取量について237mg//日、マグネシウムの一日摂取量について10.2mg//日と判断されております。

 以上を踏まえ、規格基準の改正について8.に示しております。まず、()使用基準についてです。現行の「特定保健用食品たるカプセル剤及び錠剤、並びに栄養機能食品たるカプセル剤及び錠剤以外の食品に使用してはならない」という使用基準を、「カプセル・錠剤等通常の食品形態でない食品及び錠菓以外の食品に使用してはならない」という基準に改正しております。今回の改正では、現行の特定保健用食品及び栄養機能食品たるカプセル及び錠剤に加え、特定保健用食品及び栄養機能食品以外、例えば、機能性表示食品のカプセル・錠剤形状の食品や錠菓が追加されるということになります。

 ここで使用基準の範囲について、右上に当日配付資料と書かれたものを御覧ください。1枚おめくりいただき、右下の図を御覧ください。まず、現行の使用基準の範囲についてです。保健機能食品について、特定保健用食品、いわゆるトクホと栄養機能食品を合わせたものが保健機能食品とされておりましたが、平成27年に機能性表示食品制度が開始されたことから、特定保健用食品と栄養機能食品に加えて機能性表示食品を合わせたものが保健機能食品とされております。

 現行の使用基準では、保健機能食品のうち特定保健用食品と栄養機能食品であるカプセル及び錠剤に対して、使用が認められております。今回の改正では、これらに加えて錠菓に使用できるようにすること、また、錠剤などの通常の食品形態でない食品については、機能性表示食品や一般食品にも使用できるよう使用基準の改正を行うものとなります。使用基準については以上です。

 続いて、7ページの()成分規格についてです。成分規格については、8ページ以降にあるように既に設定されており、今回の改正に伴う変更はないと考えております。ステアリン酸マグネシウムの規格基準改正についての説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○若林部会長 それでは、審議に入る前にステアリン酸マグネシウムの食品安全委員会での評価結果の遺伝毒性の部分については、戸塚委員より解説をお願いいたします。

○戸塚委員 それでは、お手元の資料2-3の19ページ以降に、ステアリン酸マグネシウムの遺伝毒性についての記載があります。表3にまとめてあります。 in vitro の遺伝毒性試験と、 in vitro の染色体異常試験、 in vivo の小核試験の3点セットがそろっており、全て陰性という結果になっております。この結果から、ステアリン酸マグネシウムは、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと結論しております。以上です。

○若林部会長 はい、ありがとうございました。それでは、小川委員より遺伝毒性以外の部分、発がん性や一般毒性等について御説明をお願いいたします。

○小川委員 同じ資料の20ページ以降です。本剤については、ステアリン酸マグネシウムと、ステアリン酸と、マグネシウム塩についての評価が行われております。

 初めに、ステアリン酸マグネシウムについてですが、20ページの<2>の急性毒性から始まっております。こちらの表において、ステアリン酸マグネシウムについては、かなりの高用量でもLD 50 が求められないというか、以上であるというような数字が出ているということになります。

 反復投与毒性試験については、<3>に、aの試験があります。表5ですが、こちらは非常に高用量で、5%、10%、20%で投与しているということで、確かに高用量ではそれなりに腎臓に石灰沈着等が見られたりということはありますが、通常の添加物としては栄養のバランス等を考えると5%が最高用量として十分であるとされています。5%の用量では特段な所見はなかったということで、NOAELとしていうことはできないという判断ですが、5%の用量においては特に毒性影響はなかったということが、食品安全委員会の見解として考えられているという状況です。

<4>の生殖発生毒性については、こちらの試験は錠剤を用いた試験ということで、ステアリン酸マグネシウムの量として把握が非常に難しいということもあり、単回の単位用量ということですので、NOAELが求められておりません。また、ヒトにおける知見としては、アレルゲン性が、若干、懸念されておりましたが、特に十分な情報ではないということから、特段の懸念するところはないと考えられております。

23ページの一番下の()から、ステアリン酸の情報に関してまとめてあります。ステアリン酸に関する反復投与毒性については、十分な試験がないという状況で、NOAEL等を設定できる試験はなかったということが記載されております。

 また、25ページの()に、マグネシウム塩としての評価が記載されております。<1>急性毒性については、LD 50 がマウスで1,050、ラットで2,800という値が出ております。<2>反復投与毒性については、マウスの13週間の試験ですが、リン酸一水素マグネシウムについての試験については、2.5%以上で腎臓相対重量の増加や脾臓相対重量の減少等を根拠として、NOAELを1.25%で、雄では2,690mg/kg体重/日、マグネシウムとしては雄で317.5mg/kg体重/日という数字が出ております。その下にbとして、マウスの96週間の反復投与発がん性の併用試験が行われておりますが、こちらについては十分な情報が得られていないということで、NOAEL設定等をすることは適切ではないと判断されております。

 cの試験として、同じくリン酸一水素マグネシウムとして評価している試験があります。こちらについては2.5%の用量で、体重増加抑制が雄で見られたということを毒性の所見として、こちらの値からNOAELをその下の用量ということで、29ページの一番上にありますが、マグネシウムとして37mg/kg体重/日ということで設定しております。若干、この試験においては軟便の取扱いについて議論されておりましたが、体重減少が起こっている用量のところをNOAELと取るべきであるという議論がされております。

 その下にdとして、ラットの90日間のリン酸一水素マグネシウムの試験について検討されております。こちらについては、特段の毒性の変化がなかったということで雌雄とも30ページの真ん中の辺りにありますが、最高用量である5%、雄のほうが低い用量ですが、マグネシウムとして425mg/kg体重/日がNOAELと見られております。

 その下のeとして、90日間のラットの試験が3用量で行われており、こちらについては幾つかの毒性所見が5%で見られております。そういうことから、1.5%の投与量がNOAELということが議論されており、マグネシウムとして167mg/kg体重/日が一番低い値です。

32ページに、<3>発がん性の試験が、もう一度記載されておりますが、発がん性の懸念はないということになります。また、33ページに、<4>生殖発生毒性の試験も同じリン酸一水素マグネシウムについて検討されております。こちらについても、母動物及び胎児に対する所見は特に見られていないということで、最高用量まで特に問題ない、催奇形性は認められないという結論となっております。また、34ページの<6>ヒトにおける知見としては、下痢を指標として、患者さんによる臨床のデータとして耐容上限摂取量が350mg//日ということになっております。

 最終的なまとめとして、38ページに、()食品健康影響評価ということで、記載されてあるものと同じことになります。動物の試験で得られたマグネシウムのNOAEL値が37 mg/kg 体重/日ということと、ヒトの摂取量の値との間に大きな開きがあるということもありますので、ADIを特定する必要はないということが判断されております。以上です。

○若林部会長 引き続き、体内動態について吉成委員からのコメントを紹介していただけますか。

○事務局 それでは、資料2-3の11ページを御覧ください。食品安全委員会では、ステアリン酸マグネシウムは体内でマグネシウムイオンとステアリン酸イオンに分解すると考えて、ステアリン酸、ステアリン酸塩(ステアリン酸カルシウム)、マグネシウム塩の薬物動態試験成績を参照したことが評価書の1112ページに記載されております。

 吸収については、1215ページに記載されております。ステアリン酸のヒトでの吸収率は約80%と高いが、オレイン酸やリノール酸では約100%であるので、脂肪酸の中では低いと言えます。ステアリン酸塩のヒトでの吸収試験のデータはないが、ラットやイヌで、ステアリン酸カルシウムの吸収が調べられ、ほとんど吸収されないことが知られております。

 マグネシウムに関しては、ヒトでの吸収は良好で、食事からの摂取量の3040%が小腸から吸収されると示されております。輸送機構としては、能動輸送と受動輸送が知られております。

 体内では、全マグネシウムの半量は骨に存在します。血中では約50%が遊離型イオンとして、2030%がタンパク質と結合し、残りの1530%が低分子リガンド等と結合して存在しております。

16ページの<11>以降に、ヒトでの体内動態試験の結果が記載されております。マグネシウム摂取量が増加するにつれて見かけの吸収量は増加しますが、吸収率は4060%と一定であり、また、体内貯留増加量にも上限が認められております。このことから過剰な摂取による蓄積は起こりにくいと考えられております。

17ページです。<16>では、マグネシウムイオンのホメオスタシスについてまとめられております。ヒトでの一般的な摂取量は300mg/日であり、100mgが吸収されます。他方で、糸球体濾過量は2,0002,400mg/日であり、約96%が再吸収されるため、100mg/日程度が尿中に排泄され、ホメオスタシスが保たれております。

 以上、食品安全委員会では、ステアリン酸マグネシウムは、ヒトにおいてステアリン酸イオンとマグネシウムイオンに解離して吸収されると考え、それぞれの評価を行っております。吸収されたステアリン酸は、食品中のトリアシルグリセロールとして吸収された脂肪酸と同じ生体内運命をたどると考え、特段問題はないと評価されております。マグネシウムイオンに関しても、得られた知見からは、過剰摂取による血中マグネシウム濃度への影響はほとんどないと言えます。したがって、食品添加物として摂取される限りにおいては、ステアリン酸マグネシウムは薬物動態学的観点から、特に問題となる点はないと考えられます。以上です。

○若林部会長 どうもありがとうございました。それでは、ステアリン酸マグネシウムについて、御意見を各委員よりお伺いしたいと思います。

○井部委員 うっかり聞き漏らしたかもしれないのですが、資料2-2の1ページに、パルミチン酸マグネシウムの構造式が書いてあるのです。覚えていないのですが、この説明はしていただいたのでしょうか。これが必要かどうかが、まず一点です。それから、3ページの使用基準改正の必要性の所の下から4行目です。機能性表示食品や特定保健機能食品ですが、これは機能食品でいいのですか。特定保健用食品かと思ったのですが、その2点いかがでしょうか。

○事務局 まず、1つ目の質問については、構造式としてパルミチン酸マグネシウムを記載しているのは、ステアリン酸マグネシウムの成分規格の定義として、本品は主としてステアリン酸及びパルミチン酸のマグネシウム塩であるとありますので主成分の一部としてパルミチン酸を記載しております。2つ目の質問については、確認して修正いたします。

○若林部会長 資料の何ページですか。

○事務局 3ページの下から4行目の()の「平成27年に保健機能食品として規定された機能性表示食品や、特定保健機能食品」です。

○若林部会長 今までは、特定保健用食品と栄養機能食品に使用されていたのですよね。

○事務局 はい。

○若林部会長 それを今度は、それらも含めて機能性表示食品や、そのほかにも使用できるように提案したいということが、この議案のポイントですね。

○事務局 こちらの当日配付資料で確認しても、消費者庁から特定保健用食品と記載されておりますので、部会報告書の「特定保健機能食品」は「特定保健用食品」に改めさせていただきます。

○若林部会長 そのほかに何かございますか。

○杉本委員 規格基準の改正案の所です。資料2-2の6ページの8.の所です。現行の使用基準ですが、特定保健用食品たるカプセル剤及び錠剤並びに栄養機能食品たるカプセル剤及び錠剤以外なので、ここでくくっているのは、カプセル剤と錠剤ですよね。改正案のほうは、「カプセル・錠剤等」で、広がっているのですが、ここで言うところの「等」というのは、チュアブル錠だけの話なのですか。

○事務局 「等」については顆粒が含まれます。

○杉本委員 前は顆粒が含まれていなかったのですよね。含まれていると読めるのかな。

○若林部会長 現行のものは、顆粒が含まれているのかどうかという御質問ですね。

○杉本委員 顆粒は入っていないですよね。

○事務局 現状は入っていないと認識しております。

○杉本委員 「等」にする理由があるのかという話です。

○事務局 先ほどの顆粒、それからチュアブルとか、そういうものがズラズラ並ぶかどうかというところです。こちらの案としては、カプセル・錠剤等ということで、その辺りは把握できるのではないかと考えております。

○杉本委員 多分、摂取量的には余り大きく変わらないと思います。

○若林部会長 よろしいですか。そのほかに何かございますか。もう一度、事務局に確認します。現行のものに関しては、特定保健用食品と栄養機能食品に用いられていて、それを更に機能性表示食品などを含むようなものに改定することによって、今までのものよりも、どのくらい量が増えると予想されるのか。多分、そこだけが今回のポイントだと思います。

 毒性や他のものについては、以前これは規定として定められておりますので、そこのところは変化はないと思います。変化がある所はそこだけなのですが、それが非常に莫大に増えるということではなくて、毒性量以下の増え方であるということが分かればいいのだと思います。

○事務局 まず、ADIといいますか、食品安全委員会の評価としては、安全を見たときに、かなり高く差があるということになっております。

 現状の特定保健用食品や栄養機能食品の区別なくサプリメント全てのカプセルでステアリン酸マグネシウムの一日摂取量が100mg//日と、サプリメント全てをカプセルで摂取した場合の一日摂取量が120mg//日と推定しておりますので。その程度だと考えられております。

○若林部会長 このサプリメント3種類というのは、特定保健用食品、栄養機能食品と機能性表示食品も入ったものですか。そこのところがよく分からなくなってしまいました。

○事務局 サプリメントの摂取量については、特定保健用食品等を区別しているものではありません。

○若林部会長 分かりました。

○佐藤委員 補足します。ステアリン酸マグネシウムの使用量からの推定ということで、食品安全委員会では、資料2-3の35ページの()にあるように、ポリビニルピロリドンの評価書の摂取量推計に倣って、今回はステアリン酸マグネシウムについて摂取量を推計しております。今おっしゃったようにサプリメントということで、機能性表示とかトクホには関係なく、錠剤やチュアブル錠の一番大きいもの1粒当たりが何gで、それに添加量が何%という計算で、今回、過大な見積りを行っています。

○若林部会長 最大でいいのですね。

○佐藤委員 最大で考えているということになると思います。

○若林部会長 分かりました。

○井部委員 今のことに関連してです。その推定量は、医薬品も同じように使っているかと思うのです。これについては、考慮していないのですか。

○佐藤委員 一応、1日3種類の錠剤又はカプセルを各2錠を朝夕2回摂取すると仮定して計算を行っております。医薬品を飲む方が、サプリメントも同時にたくさん飲むということまで想定していないかと思います。

○井部委員 考慮していないのでしょうね。私はかなり飲むものですから。

○若林部会長 この2-3の35ページの所に書いてあります。1日3種類の錠剤又はカプセル(各2錠)を朝夕2回摂取するということで、これぐらいが、限度であろうという最大量を推計しているということです。

○井部委員 そういうことですね、分かりました。

○若林部会長 医薬品も含めて、はい。

○中島委員 今の議論を聞いていて、ようやく分かったかという気持ちなのですが、要するにサプリメントにはいろいろなパターンがあり、一般食品になるものや添加物になるものがあるけれど、結局、今回ポイントになるのは、錠剤やカプセルに含めるものだけであって、別にトクホとか栄養機能食品以外のものにまで広げて、ステアリン酸マグネシウムとしての摂取量が増えても、結局ステアリン酸とマグネシウムを別々に考えれば量的には大したことないと考えてよろしいわけですか。

 ステアリン酸マグネシウムの摂取量としては少々増えても全体として、前に摂取しているステアリン酸とマグネシウムを別々に考えたら、これは確かに微々たるものと考えられるので、私もようやく、これで安心してOKと言っていいかという気になりました。今の理解で大体よろしいでしょうか。

○若林部会長 2-2の5ページに、()食事由来の摂取量で、ステアリン酸の量が書いてあり、大体、1日当たり3.2gぐらいだということですね。桁が違うから実際にカプセルからくるようなものに関しては、かなり少ないだろうから、多分、全部を含めたとしてもトータルから考えれば、それほど問題にはならないということ。

○中島委員 そういうことですよね。ありがとうございました。

○若林部会長 よろしいでしょうか。そのほかに何かございますか。

○二村委員 錠菓への使用に関わる推定という所です。これは、今は使われていないのですが、もし使われるようになったとしたらという推計だと思います。ここに出ているステアリン酸マグネシウムの使用量が2%というのは、相当過大に見積もられているものなのかどうか、そこだけ確認したいと思います。

○事務局 添加物の有効性の観点から、要請者によるとステアリン酸マグネシウムの添加量については0.5~1%程度を添加するものとして上限としても2%と、それを超えると、むしろメリットよりもデメリットが出てきてしまうということから2%マックスまで使ったことを前提に摂取量を求めております。

○若林部会長 よろしいでしょうか。

○二村委員 結構です。そこを確認できれば安心です。

○若林部会長 そのほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、一通り御審議いただいたようですので、ステアリン酸マグネシウムの規格基準の改正について認めるということで、よろしいでしょうか。皆さん、お認めいただけたということで、部会報告書を取りまとめて分科会へ報告する手続を取ってください。そのほかに事務局から何かありますか。

○事務局 修正が必要という御意見を頂いた点については、御意見を頂いた委員と事務局で修正の後、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題なければ手続を進めるということで、よろしいでしょうか。

○若林部会長 事務局の提案ですが、それでよろしいでしょうか。少し修正がありましたが、そこを修正するということです。それでは、そのように進めてください。

○事務局 本品目については規格基準改正のため、「その基原、製法、用途等から見て慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定するもの」を除き、分科会では審議事項ではなく、報告事項とされております。報告事項として進めさせていただいてもよろしいでしょうか。

○若林部会長 この件については、前のものと同じように規格基準改正ですので、審議事項ではなくて分科会には報告事項として進めさせていただくということで、よろしいでしょうか。それでは、今後のスケジュールについてお願いします。

○事務局 今回の審議結果について、食品衛生分科会での報告のほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。

○若林部会長 それでは、そのように進めてください。本日は、この2つの審議事項がありましたが、報告事項について何か事務局から用意しておりますか。

○事務局 本日の部会において報告事項はありません。

○若林部会長 分かりました。報告事項はないということです。それでは、部会の委員の方々から何か追加発言や御意見をお願いいたします。

○中島委員 追加と申しますか、この際教えていただきたいのですが、せっかく配られた「機能性表示食品って何?」というところで、今回の機能性表示食品で重要なものは、赤字で書いてある部分の「事業者の責任において」で、実はこの事業者の責任においてというものがどのようなことなのか、私もよく質問されて困るのです。役所的には、これはどのようなことを意味するのか分かりやすく説明していただけると、とても助かります。

○事務局 機能性表示食品については、消費者庁でやっているものです。事業者の責任においてというところは、先ほど問合せがあったときの説明とかあると思いますが、消費者等に安全性、有効性をしっかり説明できる、あるいは、説明できるための根拠を、事業者において確認して、責任を持って食品を出荷できるというものだと考えております。

○中島委員 それだと、事業者の責任においてという字の付いていない栄養機能食品については、どういうことですか。

○事務局 もちろん、そこの部分は事業者において、根拠になるものを持っているということを前提にして、トクホ、あるいは栄養機能食品については、行政も関与していくものと考えております。

○中島委員 余りよく分かったような分からなかったような、なのですが、ありがとうございます。

○山本基準審査課長 私も詳しくないので、ざっくりとした説明になると思います。消費者庁が、この食品の表示の法律を所管しております。従来のトクホ、栄養機能食品というのは許可ないしは、基準があったと思います。そういうものに照らして、事業者が事前に審査して許可するという仕組みを持っております。この新しく出来た機能性表示食品は、もちろん要件は消費者庁が設定しているのですが、有効性、安全性、いろいろな要件が定められております。

 基本的に、その要件に合致したものを出すということが事業者の責任であり、また、その届出案件について、事後的に説明責任も事業者にありますというものです。行政は、それに対して要件を満たしているのかどうかだけをチェックの上、届出書を受理して、それをホームページに掲載し、公表するということで、中身を担保する、そして、それに対してきちんと外部に対しても説明するということは、全て事業者の責任で行われている仕組みが機能性食品の独自性というか、上の2つとは違い、中身に全面的に事業者が責任を負われているということの違いだと私は理解しております。

○中島委員 ありがとうございました。今ので、すごくよく分かりました。

○井部委員 私も少し分かりにくいのですが、早い話が簡単に言うと、その成分で何かあったときには、「お前」が責任を取れということですか。

○山本基準審査課長 お前がというのは、事業者ですか。

○井部委員 その事業者が責任を取るということですよね。

○山本基準審査課長 はい、それはそうだと思います。加えて言うと、食品の安全性の全体、添加物も含めて、もちろん、行政がこのように添加物の審査をして、規格も定めて、一定の責任を負っているのはそれぞれあるのですが、あまねくいろいろな食品が古今東西にあり、今は日本の中での食品法の一番の基本として、食品の安全性は、まず事業者が一義的な責任を負っています。この機能性表示食品でなくとも、安全性については事業者が責任を負う。もちろん、分野、分野で、行政の関与の程度は変わりますが、一義的には、業者が負っているものです。

 もう1つは、食品の安全は機能性も当然あるのですが、有効性と言っていいか、機能性の部分の挙証というか、証拠立てというか、そこの部分を行政の関与で事前チェックをするのかしないのかとか、あるいは形式要件のみか、中身のチェックを行政がするのか、そこはもうチェックはしないというのが機能性表示食品であり、そういうことで機能性表示食品とその他のカテゴリーでは行政の関与は違っている。有効性、機能性の部分も事業者の責任において行われているというのは、私の理解です。

○若林部会長 よろしいですか。私が知る範囲で説明を加えます。特定保健用食品は臨床試験をして、その結果を消費者庁の委員会に出して、それらについて食品安全委員会、又は消費者庁の委員会で審議して認めるということになります。

 機能性表示食品に関しては2種類方法があり、1つはトクホに準じた臨床試験をやって、そして明らかに有効性があったら、それを論文として提出して、その論文が認められるということ。もう1つは、機能性表示する成分について、過去にわたって論文検索してシステマティックレビューを行って、その成果をまとめてやるという2つの方法で届出を行います。そして消費者庁が届出を認めてホームページに公開するという方法で、特に全て認可や審査は実質的に行われていないということが建前になっていると聞いております。

○中島委員 届出業者のエビデンスとは、過去のレビューのあるそれなりの論文とか、そういうエビデンスをきちんと持っていればよろしいと、大体そういうことですか。

○若林部会長 それを資料として消費者庁に届け出て、消費者庁のホームページに公開されているということが、機能性表示食品の在り方だということです。

○中島委員 ありがとうございます。大分、分かりました。

○山本基準審査課長 すみません、拙くて。

○若林部会長 話が少し横にいきましたが、そのほかに何かございますか。多分、この機能性表示食品は、今からたくさん品目が出てくると思いますので、いろいろな所で問題になるようなことが出てくるかもしれません。よろしいでしょうか。

 特にないようなので、次回の食品添加物部会の日程調整について、事務局から何か追加発言はありますか。

○事務局 日程調整については、既に行っており、幾つか提示しております。決まりましたら改めて連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○若林部会長 確か2月の、いつですか。

○事務局 2月27日と3月10日です。

○若林部会長 そうですね。この2つが今の所、案として出ているということですね。

○事務局 はい。

○若林部会長 それ以外に何かございますか。よろしいでしょうか。ないようでしたら、以上をもちまして、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を終了いたします。御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

添加物係: 03-5253-1111(内線 2453,2459)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会添加物部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(2016年12月21日)

ページの先頭へ戻る