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2016年11月30日 平成28年度第1回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

○日時

平成28年11月30日(水)13:00~14:52


○場所

経済産業省別館 各省庁共用104会議室


○議題

(1)トンネル建設工事現場における粉じん対策の現状等について
(2)切羽付近の粉じん濃度の測定方法等について
(3)その他

○議事

 

○奥野環境改善室長補佐 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから第1回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会を開催いたします。開会に当たりまして、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の田中より御挨拶申し上げます。

○田中安全衛生部長 安全衛生部長の田中でごさいます。今回、トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会を開催するということで御参集をお願いいたしましたところ、皆様方におかれましては、御多忙のところ、委員、関係省庁の皆様にはオブザーバーという形でお引き受けを頂きまして大変ありがとうございます。これまで職業病としてのじん肺を予防する観点から、昭和35年にじん肺法が施行されて以降、旧労働省、厚生労働省を通じまして、昭和54年の粉じん障害防止規則の施行、昭和56年以降の8次にわたる粉じん障害防止総合対策の推進などを通じまして、重点的に粉じん対策に取り組んでまいったところでございます。その成果につきましては、近年のトンネル建設工事業においても、じん肺の新規有所見者数の減少という形で、確実に実を結んでいるものと認識をしております。

 一方で、トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度測定につきましては、関係団体等の協力を得ながら調査研究を行ってまいりましたが、トンネル建設工事の「掘り進むに連れて作業場所が移動していく」という特殊性から、一般の工場などで行われている対策が馴染みにくいなどの様々な技術的な理由によりまして、残念ながらその実現には至っておらないところでございます。この間、トンネル建設工事における新たな工法の普及、機械の大型化などによりまして、粉じんの発生の態様が多様化してきておりまして、状況に応じた的確な対策の推進が引き続き求められるとともに、粉じん濃度測定技術においても、装置の小型化や精度の向上などによりまして、採用し得る技術的な選択肢が広がっていると聞き及んでおります。

 本検討会は、トンネル建設工事を巡る状況と、最新の粉じん濃度測定手法を総合的に勘案いたしまして、トンネル建設現場の作業環境等の改善に向けた前向きな解決策を見いだす議論を進めていただけることを期待しております。トンネル建設業は、今後とも国土の強靱化を支える重要な産業でありまして、それを支える若い有能な人材を確保・育成していくためには、施工技術の効果的な伝承等とともに、ハード面、ソフト面の両面から働く環境の整備ということが大変重要になってまいります。

 こうした観点からも、作業環境などの改善と産業自体の健全かつ安定的な発展という共通の目的のために、トンネル建設工事における粉じん対策に関わってこられたそれぞれの立場の方々にお集まりいただき、本検討会が開催されることは大変重要な意義があると考えております。

 最後に、本検討会における議論が実り多きものとなるように、皆様方それぞれの立場から忌憚のない御意見を出していただきまして、トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善につなげてまいりたいと思っておりますので、是非皆様方の御協力をお願いいたしまして私の御挨拶といたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 事務局より、まず、本検討会の委員を御紹介させていただきます。本日、お手元にお配りしております資料は、両面印刷となっておりまして、下、中央部に通し番号のページ数を示しております。51ページに参集者名簿を付けておりますので、その順に紹介をさせていただきます。阿部美行委員です。

○阿部委員 阿部でございます。どうぞよろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 井上聡委員です。

○井上委員 全国トンネルじん肺根絶弁護団の井上です。是非とも早期にこの粉じん測定の方式が確立されるよう、検討会で微力ながら力を尽くしていきたいと思います。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 及川浩委員です。

○及川委員 原告団事務局をやっている及川です。

○奥野環境改善室長補佐 大野幸次委員です。

○大野委員 全建からまいりました大野です。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 吉川直孝委員です。

○吉川委員 労働安全衛生総合研究所の吉川と申します。どうぞよろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 熊谷信二委員です。

○熊谷委員 産業医科大学の熊谷です。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 小西淑人委員でございますが、本日は御欠席でございます。

 続きまして小山幸則委員です。

○小山委員 立命館大学の小山でございます。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 佐藤恭二委員です。

○佐藤委員 日建連からまいりました佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 鷹屋光俊委員です。

○鷹屋委員 安衛研からまいりました鷹屋でございます。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 土屋良直委員です。

○土屋委員 日本トンネル技術協会の土屋です。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 土屋委員におかれましては1430分頃御退席の予定です。続きまして外山尚紀委員です。

○外山委員 労働安全衛生センターの外山です。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 野崎(崎は大が立)正和委員は本日御欠席です。続きまして、橋本晴男委員です。

○橋本委員 東京工業大学の橋本でございます。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 明星敏彦委員です。

○明星委員 産業医科大学の明星です。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 本山謙治委員ですが本日は御欠席です。続きまして、吉住正男委員です。

○吉住委員 日本労働組合総連合会の吉住です。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 続きまして、関係省庁からのオブザーバーを御紹介いたします。経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ鉱山・火薬類管理監付石炭保安室の山本晃様。

○オブザーバー(山本) 山本です。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 続きまして事務局を御紹介いたします。田中安全衛生部長です。宮本計画課長です。奥村化学物質対策課長です。木口環境改善室長です。私は環境改善室長の補佐をしている奥野です。

 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。上から順に座席表、議事次第となっています。1ページが資料1-1「作業環境測定基準の概要」、7ページ、資料1-2「地下工事における粉じん測定の指針のポイント」、13ページ、資料1-3NATM等の新技術に対応したじん肺防止対策に関する調査研究報告書のポイント」となっております。21ページ、資料1-4「トンネル建設工事における粉じん対策に係る法令等の変遷」、25ページ、資料1-5「トンネル建設工事業におけるじん肺管理区分決定件数」、31ページ、資料1-6「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの概要」、少し飛びまして47ページです。資料1-7「今後のスケジュール()について」です。49ページ、「本検討会の開催要綱」、51ページ、「参集者名簿」、53ページ、参考資料1-2「トンネル建設工事の工法等について」、59ページ、参考資料1-3「トンネル建設工事の統計資料」となっております。資料の不足、落丁等がありましたら事務局までお申し付けくださるようお願いいたします。

 なお、お手元の議事次第のほうに配布資料がありまして、資料1-2の下に資料1-2-1、また、資料1-3に資料1-3-11-3-2がありますが、これは報告書の本体のコピーとなっております。委員の皆様のお席に、とじたものを別冊として置いておりますので、必要に応じて御参照くださいますようお願いいたします。また、この綴りは、次回以降の検討会でも使用いたしますので、会議終了後は、お持ち帰りにならず、そのまま席に残していただきますようよろしくお願いいたします。別冊の資料につきましては、ページ数が多いため、傍聴者の皆様への配布は割愛させていただいておりますが、本検討会終了後に、厚生労働省ホームページに掲載されますので御了承ください。

 それでは、議事に入ります前に、本検討会を設置及び開催するに当たり、49ページの参考資料1-1(1)の開催要綱について、環境改善室長より御説明いたします。

○木口環境改善室長 環境改善室長の木口でございます。49ページの検討会の開催要綱の内容について御説明いたします。今回の検討会の開催の趣旨・目的でございますが、先ほど田中部長からも御挨拶申し上げましたとおり、ずい道等建設工事において、新たな工法の普及、機械の大型化等により、粉じんの発生の態様が多様化していること等の状況に応じた的確な対策の推進が、引き続き求められています。その中で、トンネル建設工事の作業環境を将来にわたってより良いものとするという観点から、最新の技術的な知見等に基づいて、簡便かつ負担の少ない正確なトンネル切羽付近の粉じん濃度測定・評価方法について検討し、作業環境を把握するためのより適切な手法の選択肢を広げ、確立をする。それによって、作業環境管理及び健康障害防止につなげるということを目的としています。厚生労働省労働基準局安全衛生部長の下に参集した会議でございます。

2番、検討事項ですが、大きく6点挙げています。1点目は、切羽付近における粉じん濃度の測定方法及び測定結果の評価方法について。2点目として、現地調査をするに当たりまして、作業状況、地山の状況、切羽付近の粉じん濃度等、記録すべき事項について。3点目として、切羽付近における作業環境の改善方法について。4点目として、呼吸用保護具、特にフィルターの適切な管理について。5点目として、労働者の教育について。その他必要と認められる事項でございます。

3番の構成・運営等ですが、本検討会は、厚生労働省労働基準局安全衛生部長が学識経験者、実務経験者の参集を求めて開催するとしております。検討会には座長1名を置きまして、議案を整理していただくこととしています。この検討会に座長を補佐し議事の整理を補助するものとして、副座長を若干名置けるということにしています。副座長は座長に指名していただきたいと思います。必要に応じて参集者以外の学識経験者、実務経験者等からヒアリングを行うことができるとしています。事務局は、私ども環境改善室が行いまして、議事につきましては原則公開といたします。個人情報、個別企業に係る案件を取り扱うときに限りまして非公開で実施するということです。以上でございます。

○奥野環境改善室長補佐 ただいまの開催要綱の説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。

○井上委員 トンネルじん肺弁護団の井上と申します。貴重なお時間を頂いて、ちょっと補足説明をさせていただきたいのですが、私たち弁護団がこの会合に参加しているのは、この会合は訴訟と関連があるので開かれているというふうに理解をしているので、経過について、恐らく皆さん御存じない方が多いと思いますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。実は、全国各地にトンネルじん肺の被害者がたくさんおりまして、その被害救済を求めるための全国トンネルじん肺根絶訴訟というのを、全国11か所の地裁で取り組んできたわけですけれども、平成1877日の東京地裁の判決を皮切りに、翌年の3月までに、熊本、仙台、松山、徳島と5つの地裁で、連団で国の規制権限不行使を認める判決が出されたわけです。国は当然控訴をされて、私たちもそれに対抗する形で控訴はしたのですが、その後、漆原先生等をはじめ、トンネルじん肺被害者に御理解のある議員の先生方の御協力を頂きまして、政府と話し合いを持つことができまして、第1次安倍政権のときでしたけれども、平成19618日に政治合意ができました。内容は、トンネルじん肺を今後発生させないために国は抜本的なじん肺防止対策を講じていくということをお約束され、それを我々は受けて、双方裁判を取り下げるという形で終結を見たわけですが、その合意の中身の1つとして、トンネルじん肺を根絶するために粉じん測定を、今トンネルでは法律で義務付けられていないわけですが、法制化に向けた粉じん測定の検討を始めるという条項が入っています。

 合意書の一部を読み上げると、切羽付近における粉じん濃度測定については、的確かつ安全に測定できるよう個人サンプラーによる粉じん濃度測定の方法、及び作業環境測定方式に準じた粉じん濃度測定の方法について、本年度中に調査研究を開始する。調査研究の成果を所要の検討プロセスを経た上で、粉じん障害防止規則改正に結び付けるという内容になっています。正にこの検討の一環として、今回の検討会が開かれているというように私たちは理解をしています。

 この政治合意ができたのは既に9年前なのですが、その後、厚労省さんとは、不定期ですけれども弁護団と協議をさせていただいて、その都度検討の内容をお聞かせいただきましたけれども、正直申し上げて、この検討が現実的に進んでいるとは言えないというように理解しています。今回の検討内容を見ても、振出しに戻ったというか、正にここからスタートするような感じになっているのですが、そういう意味で、私たちは政治合意を実現するための検討会だと捉えていますし、もう既に9年もたっているということから、この検討会で1日も早く粉じん測定方式を確立して、実現に結び付けていきたい。法改正に結び付けていきたい。そういう意味付けがあるということを是非御理解いただきたいと思い、一言発言させていただきました。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見などございますでしょうか。ここで、国土交通省から御出席いただいておりますオブザーバーが業務の関係で遅れておりましが、ただいま到着されましたので紹介をさせていただきます。国土交通省大臣官房技術調査課建設システム管理企画室の桝谷有吾様です。

○オブザーバー(国土交通省) 桝谷です。遅くなり大変申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 先ほど開催要綱の説明を改善室長の木口のほうからさせていただきましたが、本検討会につきましては、トンネル建設工事の作業環境を将来にわたってより良いものとするため、大所高所、かつ中立的な立場から取りまとめていただくために、事務局といたしましては小山委員に座長をお願いしたいと存じますが、皆様よろしいでしょうか。御異存がないようでしたら、拍手で御承認いただければと思います。

(拍手多数)

 ありがとうございました。それでは、小山座長より御挨拶をお願いできればと思います。

○小山座長 ご指名を頂きましたので、座長を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 私はもとももとトンネルを建設する、あるいは維持管理するというほうが専門でございまして、トンネルの作業環境、粉じんという分野については、ほとんど専門知識がないという状態でございまして、それで座長を務めるというのは大変僭越なことだと思っております。皆様の御協力でうまくこの会が進むようにしていきたいと思っております。そういうことで、私1人でこの場を進行するのはなかなか大変だということで、先ほどの要綱の中にありましたように副座長を指名させていただけるということですので、粉じん測定にお詳しい熊谷先生と明星先生に副座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございました。では、両先生、よろしくお願いいたします。

(異議なし)

○奥野環境改善室長補佐 ありがとうございました。ただいま小山座長からの御挨拶にもありましたが、副座長につきまして、測定の専門家ということで熊谷委員、明星委員のお二人が指名されております。副座長の方から御挨拶をお願いできればと思います。まず、熊谷委員お願いいたします。

○熊谷副座長 副座長を指名されました熊谷です。よろしくお願いいたします。私は、大学に来るまで作業環境測定機関におりまして、粉じんの測定をずっといろいろな現場でやっておりました。残念ながら、トンネルの建設現場には行ったことがないのです。それでも、電車のトンネルの保線作業をやっているときの粉じん測定とかはやったことがあります。多分大分違うのでしょうけれども、いろいろ自分の経験を生かして、この検討会で、作業環境測定法、評価法がきちっと決まって、建設労働者の健康を守るという方向に進んでいくことを願っておりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 続きまして、明星委員からお願いいたします。

○明星副座長 同じく指名されました明星でございます。この資料1-3に出ている調査のときに参加いたしまして、トンネルの工事を見たということで指名されたのではないかと思います。ちょうど、平成9年から12年くらいまで、換気のガイドラインができる前までは参加していたのですが、私の職場もそのときの労働省の産業医学総合研究所から今の産業医大に変わりまして、しばらく離れておりました。その間に技術も変わりまして、測定器も代替わりしておりますので、その辺もフォローしながら、なるべくうまくいくように協力いたしたいと思います。よろしくお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 ありがとうございました。ここで、傍聴されている方々にお伝えいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほう、よろしくお願いいたします。

 以降の進行につきましては、小山座長にお願いいたします。

○小山座長 それでは議事次第に従って、進めさせていただきます。この検討会は名称からも分かるように、トンネルの切羽付近の環境測定、改善について技術的観点から検討するということで、議論を進めていく上てで共通の認識を形成するために、各委員の御専門によっては当たり前と思われるような資料もあるとは思いますが、私自身も全く知らないということもありますので、その辺も含めて資料をまとめていただいています。この資料を委員の皆様で共有した上で、これからの検討に入っていければと思っております。

 それでは早速ですが、資料の御説明を事務局からお願いします。

○木口環境改善室長 1ページの資料1-1の作業環境測定基準です。切羽付近における作業環境の把握及び改善する上で特に必要となる粉じん濃度測定全般について、まず、どのような仕組みになっているかということを御説明します。

 現在、常時、特定粉じん作業が行われ、土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発生する屋内作業場においては、労働安全衛生法に基づき作業環境測定の実施が義務付けられています。具体的な実施方法について、作業環境測定基準で定められています。ただ、トンネル建設工事については、掘り進むにつれて作業場所が移動していくという特殊性もありますので、この作業環境測定基準に基づく測定の実施は義務付けられていませんが、まず、一番ベーシックな測定方法ということで御説明したいと思います。

2ページです。作業環境測定基準に基づく測定としては、単位作業場所について、床面上に6m以下の等間隔で縦横に線を引いて、その交点で測定を行うということが基本です。単位作業場所について5以上の測定点を取るということで、私どもはA測定と言っております。それとは別に、粉じんの発散源に近い場所で作業が行われる場合においては、粉じん濃度が最も高くなると思われる時間に当該位置において測定をします。これはA測定を補完する測定ということで、私どもはB測定と言っております。測定を行う高さは、労働者の呼吸域を想定して、床上5cm以上150cm以下の位置に取るということで、これはA測定、B測定共通です。また、交点を取った結果、そこに設備があって測定が実施できない、測定が著しく困難である場所については測定点から除外することができます。

 測定を行う時間帯は、作業が定常的に行われている時間です。また、試料空気の採取時間は、1測定点について10分間以上の継続した時間が原則です。

3ページは「作業環境測定基準に基づく粉じん濃度の測定方法の概要」です。粉じん濃度の測定については、1番か2番のいずれかの方法によることとしております。1番は、分粒装置を用いるろ過捕集方法及び重量分析方法です。ろ過捕集方法というのは、試料空気をろ過材、フィルターを通じて吸引することによって、そのろ過材に測定しようとするものを捕集する方法です。分粒装置というのは、肺胞のガス交換部に沈着した場合に有害作用を発揮する粒径、細かい粒の粉じんのみを通過させる装置で、肺の奥まで入り込むような粒子の重さを測って評価するという方法です。重量分析方法は、ろ過材に捕集された粉じんを天秤で測るもので、取れた粉じんの量と、その粉じんを捕集するために要したポンプで引っ張った空気の量の両方から、環境空気中の粉じん濃度の質量濃度を求めるといった方式です。

2番の相対濃度指示方法については、幾つか種類があるのですが、粉じんのカウント数を求める。それから1点以上の測定点においては1番の方法も同時に行い、カウント数と粉じん濃度の質量濃度との変換係数を求めて、ほかの測定点における濃度を求めていくという手法です。この方法では、ろ過捕集方法による測定が1点で済みますので、1番の方法で全てやるよりも簡便な方法ということです。

 粉じん測定の具体的な測定器については456ページに付けていますが、かなり技術的なところがありますので、時間の関係でこちらは割愛させていただきます。

7ページの資料1-2です。これは、建設業労働災害防止協会が中心となって、昭和6111月に地下工事における粉じん測定の指針のポイントをまとめたものです。次の8ページに「指針『まえがき』より抜粋」とあります。こちらにありますように、トンネルの建設現場での作業環境測定基準をそのまま準用することはできないとしながらも、業界のコンセンサスが得られる粉じん濃度測定の指針の作成が望まれるという問題意識から、この段階で必要かつ可能な方法ということで取りまとめられたものです。したがって、この指針は今後の知見の集積で更なる最適化が進むという前提になっています。

 「指針の対象工事・作業等」は9ページに出ていますが、ずい道建設工事、地下発電所建設工事などが対象になっており、測定対象作業は2番にあるとおり、ずい道等の建設工事のうち、特に粉じんの多く発生する作業を測定の対象としています。測定の種類及び実施時期は3番に示しているとおりで、開始時の測定、定期の測定、随時測定が規定されています。

 具体的なやり方については10ページです。この方法は、先ほど御説明しました作業環境測定基準のやり方に準じた形で、ずい道は細長い現場になるということもありますので、縦横にそれぞれ線を引いて、その交点を測定点とする。測定点の数は6点を目途にするということとされています。現場が曲率をもって曲がっている場合は、曲がりに沿ってやってもいいということとしています。測定点が余り側壁に近すぎると、気流の乱れによる影響なども受けますので、側壁からは1m以上離すように配慮するとしております。5番と6番については、作業環境測定基準での規定と同じです。併行測定についても作業環境測定基準のやり方と同様です。

 具体的な測定点の設定標準例として11ページに書いております。一番左に「切羽」という所があります。こちらから、まず5m、そこから更に10(切羽から15)、そこからまた更に10(切羽から25)3つの地点において、それぞれ2点ずつの計6点を取るというものを標準例として挙げています。このうち15m地点の1か所に◎が付いていますが、これが併行測定点で、こちらではエアサンプラーによる測定も同時に行うということとしております。

 測定結果の評価については12ページに書いております。6点で測定した結果を幾何平均濃度と幾何標準偏差を求めて、管理目標値との比較により3つの管理区分に分類して対応を取っていくということです。これも、現在の作業環境評価基準で行っているやり方に準じたものです。

13ページの資料1-3です。この報告書は厚生労働省から建設業労働災害防止協会への委託事業として、じん肺の発生率がほかの業種よりも高いトンネル建設工事のうち、比較的硬い地盤の現場で実施される山岳工法(NATM工法)における粉じん対策について、現場における実地調査も含め、2年間にわたり調査を行ったものです。この中で建災防指針による測定についても検証を行っているところです。

14ページに「調査研究の目的」がありますが、先ほどの建災防指針の問題意識と同様で、当時の粉じん測定方法に沿って、トンネル建設工事の作業場所が時々刻々と変化していく中でどのような粉じん対策を取っていくかということについて、平成89年の2年間にわたって調査をしたということです。

 具体的な調査の実施方法は15ページです。まず、実地調査として、平成8年度と平成9年度にそれぞれ8現場、5現場で調査いたしました。それとは別にアンケート調査も実施しております。建災防指針の検証については、平成9年度の5現場で行った実地調査のところで検証しております。

 実地調査の概要については16ページです。先ほど御説明しました建災防指針のやり方に沿った形で、5か所のトンネルで切羽から5m、15m、25mの地点、それぞれ2か所の計6点で相対濃度計による測定を実施する。また、6か所のうち切羽から15m地点の測定点1点でK値を求めるための併行測定を実施する。これに加えて、換気状態確認のための測定を3つの測定点で相対濃度計を用いて実施しております。

 その結果得られた知見ですが、17ページにあります。まず、1番の建災防指針に基づく現地測定結果とアンケート調査結果の中では、各現場で実施されている粉じん濃度測定が満足できる状態にあると考えられる。特にK値については一定の数値を採用することが可能と考えられるとされています。2番として、建災防指針に基づく現地測定結果についての所見ですが、まず1点目として、建災防指針による測定を実施する場合、切羽付近での作業中は基本的に部外者は立入禁止区域となっているということで、測定者に対する安全確保に十分な配慮が必要であるとされています。また、6か所の測定点で5回の繰り返し測定を行うのは、各作業に使用する大型の重機の移動や配置状況、作業状況によっては困難であるので、各測定点の繰り返し測定は再検討の必要があるとされています。また、トンネル以外の粉じん作業場で実施されている測定方法にはとらわれず、トンネル内の粉じんの実態把握により効果的な測定法の導入を考える必要があるとしています。

18ページです。トンネル建設工事に導入可能な測定についての検討ということで3点挙がっています。1点は個人ばく露濃度測定についてです。これについては、この報告書においては、特定個人のばく露が分かるのみで、環境改善に結び付くものではないので、トンネル工事の測定としては必ずしも適切ではないとしています。2番目として、換気設備に対応した測定については、切羽で発生した粉じんと換気状態との関係を把握することが可能である。使用する測定器は相対濃度計で、一定のK値を用いることによって簡便な測定ができるとしております。3番目として、粉じん濃度の連続測定については、相対濃度計にデータの記録装置を接続することによって実施が可能で、粉じん濃度の経時変化と作業内容を関連させた調査が可能であるとしております。

4番目の作業環境中の粉じん濃度低減対策のための測定結果の利用方法として3点あります。1点は、作業環境中の粉じん濃度を低減させる方法として、有効な換気設備の設置が必要である。換気状態の確認と適切な運用のために、粉じん濃度測定結果というものが重要だとしています。もう1つは、個々の作業者の粉じんばく露濃度低減対策として、現在実行可能な換気対策とともに、呼吸用保護具の使用徹底が不可欠だということで、これはリアルタイム方式の個人サンプラーの併用によって、作業者本人に防じんマスク着用の必要性を確認することも可能ではないかとしています。また、重機の操作室内やずり運搬車の運転室の中に、もしクリーンエアーを送気可能であれば、重機の操作室内に測定器を設置することによって、粉じん濃度に対応した送気も可能になるとしております。

5番として、現行の建災防指針の問題点の検討課題ということで3点あります。1点目は、切羽付近の6地点測定の簡略化です。2点目として、風管換気の有効性評価に役立てるための、トンネル内部の現在の測定点より離れた地点での粉じん濃度計測を追加してはどうかということ。3点目は、切羽付近での粉じん濃度の自動連続測定を検討してはどうかということ。この3点が検討課題として挙がっています。

 最後は20ページに「今後の課題」として5点あります。1点目が、換気装置の稼働確認のための測定方法の導入。2点目として、粉じん濃度の継続的監視警報装置の導入。3点目は、1番、2番の測定方法の簡素化のために必要な質量濃度換算係数等の検討。4点目として、換気装置の選定及び適正な稼働方法の検討。5点目として、防じんマスクの適正な着用のための教育訓練カリキュラム及び教育内容の策定ということです。ここで一旦、説明を切らせていただきます。

○小山座長 それでは、ここまでの御説明について、御質問、御意見があればお願いします。

○熊谷副座長 17ページなのですが、6か所の測定点で5回繰り返しと書いてあるのですが、これは各測定点で5回測定ということになっていたのですか。10ページの設定の原則の所では、測定点は6点なっていますが、各測定点5回繰り返すという表現でいいのですか。10ページは測定点6点というのがあるのですが、17ページは、6か所での測定点で5回するということで、計30回測定するということでいいのでしょうか。

○明星副座長 6点を5周するという理解をしているのですが、違うのですか。

○工藤環境改善係長 委員の皆様に別冊としてお配りしている資料1-3-19ページを御覧ください。4番として「粉じん濃度測定結果」という形で調査報告が記載されています。毎分15Lで10分から60分の間で測定を実施したというのが(1)の下から4行目ぐらいに書かれており、ここが具体的な測定の方法になるかと思います。

○熊谷副座長  (1)の下から4行目で、どこですか。数は書いていないですね。

○工藤環境改善係長 数はちょっと明記されていないのです。

○熊谷副座長 確認だけなので、測定点6点で5回測定ということで間違いないのであれば、それでいいのですが。

○工藤環境改善係長 はい。

○熊谷副座長 それでオーケーですね。

○橋本委員 この文章では、10分から60分間のサンプルですから、60分間でサンプル1つとも捉えられるので、今の数についてはちょっと確認願いたいのですが。

○小山座長 では、それはまた確認してもらうということでお願いします。

○木口環境改善室長 はい。

○土屋委員 これは、1回を10分で6か所ということで60分という理解ではないですか。それを同じように繰り返しやるので。これは最後までいったときに、その後は集じん機を3回で終わりにしようということで、これが次のガイドラインですよね。

○橋本委員 その場合、6点の数字が取れたとすると、それを平均してということですか。

○土屋委員 それがA測定の原則だったのです。6点を取って、それを平均しましょうという。スタートのこの図面であったときに、10ページの右側の図で6か所の測定点を作っていますよね。

○橋本委員 それは分かるのですが、先ほどのお話は、1つの点で5回取ったということでしたか。

○熊谷副座長 5回と書いてあるので、そこがちょっとよく分からなかったのです。例えば、作業環境の場合は、5点以上取れなくて1点しか取れなかったら、そこで5回繰り返しなどというのがあるので、「あるいは」みたいな意味かなとも思ったし、ちょっとよく分からないので確認をお願いしますという話です。

○小山座長 ほかにはいかがでしょうか。

○井上委員 資料1-117ページの1ですが、これは平成103月の調査研究報告書のまとめの部分から抜粋されたものです。要は、先ほどから説明があるように、建災防指針に基づいていろいろアンケート調査をしたり、粉じん測定を実施した結果をまとめた結論部分なのですが、ここには、「各現場で実施されている粉じん濃度測定が満足できる状態にあると考えられ、特にK値については一定の数値を採用することが可能と考えられる」とあります。今、切羽から25m、6地点、5回測定ということで測定をしていく中で、併行測定をしてK値を求めているわけですが、このK値を求めることは可能だという結論が得られているわけです。厚労省としては、このことは現在でもそういう認識であるということでよろしいのかどうか。

○木口環境改善室長 この報告書においては、そのような書き方をされておりますので、可能であると考えられるということで、更なる検証のところまでは行っていないのですが、この結論自体が変わるなどということは考えておりません。

○熊谷副座長 もう1ついいですか。18ページですが、「個人ばく露濃度は特定個人のばく露が分かるのみで環境改善の対策には結び付かない」と書いてあるのです。これは、この報告書にこう書いてあるということで、それはそれでいいのですが、今現在の学会的な考え方では、個人ばく露測定を実施して環境改善に結び付けるというのが基本的な考え方なので、ここは皆さんに認識を改めていただきたいと思っています。

○外山委員 もし分かったら教えていただきたいのですが、K値一定ということが書かれているのですが、遊離けい酸含有率については全く言及がないのです。これは大分、1か所で21.6とか、低い所だと2.6などと10倍ぐらい差があるのです。遊離けい酸含有率によって評価値が全く変わってくると思いますが、その辺りはどういう検討をされたのか、もし分かればと思うのですが、いかがでしょうか。

○木口環境改善室長 報告書においては、この時点では遊離けい酸含有率の分析もしておりますが。

○外山委員 報告書の資料1-3-120ページと26ページに遊離けい酸含有率の4つのデータがあり、2.6%、5.9%、5.6%、21.6%となっています。これは特に検討されていないということでしょうか。

○木口環境改善室長 検討されていないとは。

○外山委員 つまり、こちらがまとめの報告書ということですよね。

○木口環境改善室長 はい。

○外山委員 そちらのほうでは、遊離けい酸含有率については検討されていないということですか。

○木口環境改善室長 そこにつきましては、報告書でいうと72ページが、今、抜粋した所の細かいところなのですが、遊離けい酸含有率については4.1で、このような範囲であったというところでとどまっております。1-3-1の資料の72ページの4.1の「また」以降の所です。

○外山委員 分かりました。遊離けい酸含有率によって、当然、管理濃度や評価値が変わってくるので、その辺りはどうかなと思って確認しました。

○明星副座長 記憶が定かでないところもあるので間違いを言うかもしれませんが、一応この資料1-3のときに関わった者としては、K値を測って、ここにありますように、遊離けい酸含有率も測って、K値は一定と言い切ることはできませんが、なかなか最初の管理の、例えば、特に換気などのときに毎度毎度測るということも大変なので、ある値に決めたのです。だから、一般的に言って、K値の幅の、ここで作業環境を測定される方はほぼ御存じだと思いますが、粉じん系のK値はかなり幅があることは分かってはいるのですが、簡略化のためにこういうふうにしたということです。個別的な中で言うと、例えば20ページ等にその結果等は書いてありますので、その中で割り切った数値ということで、一定不変という意味ではないのです。特にこの時期に粉じん計が新しいタイプに変わったので、非常に混乱しました。まず根本的に感度が違うものですから、粉じん計の側の感度が違うので、質量濃度が同じでも感度が違う、要するにK値が動くということがあり、その認識が委員の中にも必ずしもなくて、ちょっと混乱したという記憶があります。

 あと、先ほどのことに戻って申し訳ないのですが、熊谷委員の何回かということに関しては、資料1-4-1の、例えば33ページを見ていただくと、測定点は6個で、1回目、2回目、3回目、4回目、5回目というふうに書いてありますから、都合30回やるという理解。少なくとも最初のガイドラインにはそう書いてあると。私たちがどうかという問題ではないのですが、そういう理解でおります。

○小山座長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。

○橋本委員 この粉じんの基準値についてはお話が出なかったかと思うのですが、3mg/m3と伺った気もするのですが、これはそれでよろしいのですか。

○木口環境改善室長 3mgについては、後ほど資料1-6で御説明したいと思いますが、資料1-6の通し番号38ページを御覧ください。現在、換気の実施の効果を確認するための粉じん濃度の測定ということでやっているのですが。

○橋本委員 この3mgは、総粉じんなのか吸入性粉じんなのか、これはいかがでしょうか。総粉じんでよろしいですか。

○明星副座長 吸入性だと思います。

○橋本委員 吸入性ですか。

○熊谷副座長 吸入性。多分、遊離けい酸がゼロの場合という仮定で3mgになっているのだと思います。

○橋本委員 吸入性ですか。

○熊谷副座長 吸入です。

○橋本委員 分かりました。もう1つなのですが、換気装置の稼働確認のためという、この測定はどの場所で行うことになるのでしょうか。換気状態確認のための測定です。

○木口環境改善室長 これについては、通し番号38ページが換気の実施等の効果を確認するための粉じん濃度の測定ということで、切羽から50mの地点で測定を行うということにしております。

○橋本委員 分かりました。ありがとうございました。

○小山座長 ほかはよろしいでしょうか。まだ資料が残っていますので、続きの説明をお願いします。

○木口環境改善室長 それでは、続きまして資料1-421ページから御説明したいと思います。「トンネル建設工事における粉じん対策に係る法令等の変遷」ということで、時系列に整理しました。

22ページの真ん中の列が法令・通達等、右側が報告書等となっています。最初に説明した作業環境測定基準は昭和51年に制定されまして、昭和54年に測定結果の評価のやり方についての検討会の第1次報告書が出ています。この第1次報告書の内容を踏まえて、現在の作業環境評価基準の基になった作業環境の評価に基づく作業環境管理要領が昭和59年に出ています。昭和61年には先ほど説明しました建災防の「地下工事における粉じん測定の指針」が出ています。

 昭和63年に労働安全衛生法の改正によって、作業環境測定結果の評価が義務付けられました。それに伴って粉じん障害防止規則に作業環境測定結果の評価に基づく措置の規定が追加されております。作業環境評価基準ということで昭和59年の通達内容の告示化がしてあります。ここで測定結果の評価方法とか管理濃度などが規定されています。

 平成10年に、先ほど御説明した建災防の委託調査研究の報告書が出ています。この中で、換気の能力を把握するための測定という話が出ていたわけですが、それを受けた形で23ページにありますが、平成12年に建災防において、「ずい道工事における換気技術委員会報告書」が取りまとめられました。これを受けて、同じ年の12月に、ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について(ガイドライン)をまとめています。このガイドラインは資料1-6に示しており、先ほど申しました切羽から50mの位置での測定で換気の能力を判断するということです。

 その後、作業環境評価基準やガイドラインも何度か改正されていますが、平成19年に粉じん障害防止規則等の改正がなされて、今申しました坑内作業場における換気装置による換気の実施が義務化されています。それから換気装置の排気効果を確認するための気中粉じん濃度測定も義務化されています。

 さらに、トンネル建設工事における掘削、ずり積み、コンクリート吹き付作業などにおいては、電動ファン付呼吸用保護具の使用が義務化されています。当時、電動ファン付呼吸用保護具は型式検定の対象にはなっておりませんので、JISの適合品を使うことになっていました。電動ファンについては、平成26年に労働安全衛生法に基づく型式検定の対象となり、現在は型式検定合格品が現場で使われています。

 資料1-5「トンネル建設工事におけるじん肺管理区分決定件数」です。じん肺法に基づく定期健康診断とじん肺管理区分の概要について26ページで御説明したいと思います。じん肺に関する定期健康診断においては、健康状況によって実施の頻度に違いがあります。まず管理1は所見のない方で、管理1で常時粉じん作業に従事している方は3年ごとに1回の健診です。管理2、ちょっと所見が出た方の中で、常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は粉じん作業に従事していない方も3年に1回です。管理2で、常時粉じん作業に従事している方、また管理3の方については1年以内に1回の実施です。

 じん肺管理区分に基づく就業上の措置としては、下の表にあるとおり、管理1の場合は就業上の特別の措置はありませんが、だんだん管理区分が進行するにつれて、粉じんばく露の低減措置の努力義務、作業転換の努力義務、作業転換の義務があり、管理4の方、管理2又は3で合併症罹患の方は要療養ということになります。

 じん肺の管理区分の決定については2つのルートがあって、現在雇用されている方については、事業者がじん肺法に基づく健康診断を実施します。所見を認めた場合には、X線写真等を都道府県労働局に御提出いただき、労働局で地方じん肺診査医による審査を経て、じん肺管理区分が決定されます。その決定に不服がある場合には不服申立てを厚生労働省に出すことができます。

 それとは別に、右側のルートがありまして、例えば退職をした後でじん肺の疑いがあった場合などについては、労働者が自分で検診などを受けて、その結果をもって管理区分の決定申請を労働局に出すことができます。これはいつでも出せるということで、私どもは「随時申請」と呼んでいます。

28ページが「トンネル建設工事業におけるじん肺健康管理実施状況」です。まず、昭和56年、平成5年、平成1827年は毎年の数字を出してあります。数字は基本的に雇用されている方のものですが、真ん中辺りから上の段に括弧書きで書いている数字があります。これは随時申請を行った方の数字です。

 雇用されている方のデータについて、1番、2番、3番の部分をグラフ化したものが29ページです。これを御覧いただきますと、棒グラフの色の濃いほうがトンネル建設工事業の適用事業所数です。粉じん則が全面施行された昭和56年当時は453、平成5年は104、平成1827年は250300ぐらいで推移しています。折れ線グラフのほうが、粉じん作業に従事する労働者数の推移です。昭和59年に9.705人、平成5年に1,699人ですが、ここ10年ぐらいは大体2,5003,500人ぐらいの間を上下しているという状況です。緑色のグラフ、棒グラフの色の薄いほうですが、こちらがじん肺の新規有所見労働者数。これは管理1の方が初めて管理2以上に区分された場合に、新規有所見者ということで整理していますが、この方は昭和56年当時、305人おられたのが、平成5年には20人、平成18年は8人、それ以降は0の年もありますし、1桁の前半ということで、かなり数が小さくなっています。このことから、粉じん作業に実際に従事する労働者数の推移に比べて、新規有所見者数はかなり大幅に減っており、トンネル建設工事業における粉じんの状況はかなり改善されていることが分かると思います。.

28ページに戻って、右から2列目に「有所見者数」とありまして、括弧書きの所が随時申請です。随時申請の方の有所見者の数についても、年を追うごとに徐々に減っているという状況です。

 資料1-6のガイドラインです。こちらは先ほど説明しましたが、ずい道建設工事における粉じん対策は具体的にどのようなことをやるべきかということをまとめたものです。アウトラインについては34ページにまとめてありますが、粉じん対策の計画を策定して対策を実施する。必要によっては防じんマスク等有効な呼吸用保護具の使用、労働衛生教育の実施ということが決められています。

 換気機能の効果を確認するための粉じん濃度の測定については、具体的には45ページに「空気中の粉じん濃度、風速等の測定方法」と書いてありますが、切羽から50m程度離れた位置で、測定点は3点取ると言っています。測定は基本的にはデジタル粉じん計を用いて、右側の真ん中辺にある測定機器の種類に応じた質量濃度変換係数を使って求めていくとなっています。

 参考資料についても御説明したいと思います。53ページからですが、測定の専門家の方々におかれましては、実際にトンネル工事現場に入られた経験が乏して方もおられますので、一般的なトンネル建設工事はどのようなものかについて示したものが参考資料1-2、「トンネル建設工事の工法等について」ということです。これについては、必要に応じて事務局からの説明の後、トンネル建設工事業界の皆様から補足説明などを頂ければ大変有り難いと思います。

54ページを御覧ください。トンネル建設工事については、地盤の状況、周辺環境などに応じた方法が採用されておりまして、大きくこちらに挙げた山岳トンネル、シールドトンネル、開削トンネル 沈埋トンネルに分けられるということですが、特に地盤が硬い山岳部などで採用されているのが山岳トンネルで、NATM工法がその代表例です。

NATM工法での一般的な作業工程については55ページに書いてありますが、丸1が発破あるいは機械掘削をして、崩したものをずり出しということで外に出していく。削った所を吹付けコンクリートということで崩れないように養生した後で、鋼製支保工建て込みをする。さらに吹付けコンクリートをしてロックボルトを打ち込んでいく。こういったサイクルで1mごとにこのサイクルを繰り返して、大体24時間で45m進むという形で作業が進んでいくと聞いています。

56ページはNATM工法で使われる一般的な使用機械で、このようなかなり大きな重機が現場を行き来しています。

57ページは日本建設業連合会の資料を拝借いたしましたが、山岳トンネルにおいて、生産性の向上がかなり進んでいるということで付けております。

58ページについては「山岳トンネル建設における生産性向上に関する年表」ということで、工事の方法などがいろいろと変化しているということで付けております。

 最後に参考資料1-359ページ「トンネル建設工事の統計資料」ということで付けています。60ページは全国のトンネル箇所数ということで、平成2641日現在、供用されているトンネルの数ということで出しています。上の表が道路のトンネルで、右下にありますが、全国で1102本、約1万本のトンネルが道路トンネルとして供用されています。

 下のほうに鉄道のトンネルについて書いてありまして、平成25年度のデータで、民鉄とJRをそれぞれ区別してありますが、箇所数として4,899のトンネルが供用されています。このうち道路のトンネルについては61ページで建設年度別施設数、実際の道路管理者別の施設数が記してあります。

62ページはトンネル技術協会から提供のデータですが、各年度121日現在の国内工事量、手持ち請負額の推移です。平成7年をピークとしてペースが落ちてきたのですが、平成26年、27年で道路のトンネルの件数が増えているという状況です。

63ページは施工法別の請負額とトンネル数の推移です。請負金額としてはシールドと山岳はほぼ同じぐらいですが、トンネルの本数としては約3分の2が山岳トンネルで施工されているということです。

64ページは掘削工法別で、どのような地質の所で工事がされているかということです。上のほうは粘性土で割と軟らかい土、下に行くにつれて硬い地盤になります。この5つで御覧いただきましても、山岳トンネルは圧倒的に硬い地盤の所で作業が行われていまして、粉じんの発生の量が多いと思われることから、今回の検討においては、山岳トンネルに焦点を当てて議論を進めさせていただければと思っています。

65ページは堀削工法と土被りの割合で、シールドについては比較的浅い所で工事が行われるのに対して、山岳については土被りの大きい所で作業が行われていることがあるということです。

 最後の66ページは「トンネル建設工事の安全に関する統計」です。トンネル建設工事における度数率については左上のグラフにあります。赤いほうがトンネル建設工事業の度数率のグラフです。かつて矢板工法が主流だった頃に比べて、NATM工法が主流になり、かなり度数率が低くなって、災害の発生という面でも安全率が高くなっているということが言えようかと思います。そうは言っても、死傷者数の推移ということで、右側の図3を見ていただきますと、休業4日以上の死傷者数という意味では、まだ70人、80人の方が出ています。そのうちの半分ぐらいがNATM工法を始めとする山岳工法となっています。

 左下のグラフですが、これは山岳工法における事故の型と起因物の関係で、事故の型として多いのは左から4番目の「飛来、落下」「挟まれ、巻き込まれ」「激突され」が多くなっています。特に「激突され」「挟まれ、巻き込まれ」については起因物が、図の所に囲みで入っていますが、動力機械を原因とするものがかなりを占めておりますので、動力機械に伴う災害が起こらないように配慮しながら、粉じん測定についても考えていく必要があろうかと思います。

 最後のグラフは山岳工法における災害発生箇所と起因物の関係です。切羽付近と坑内で、特に切羽付近は死傷者数等がかなり出ています。駆け足ですが、説明は以上です。

○小山座長 ただいまの説明で補足説明をしていただける方がいらっしゃればお願いしたいと思います。

○阿部委員 今の説明の中で、「山岳工法における一般的な作業工程について」で、説明を改めてさせていただきたいと思います。一般的なNATM工法の説明ですが、丸1の穿孔・発破or切削・堀削、発破堀削or機械掘削となっていますが、一般的にトンネルを掘る地盤が機械で削れる岩盤などの場合は丸1の右側の写真のように機械を使って掘りますが、岩盤が機械では掘れないもの、硬い場合は発破を加えながら掘っていきます。発破を行う場合には左側の絵と写真のようにドリルジャンボという機械で岩盤に穴を開けてからその穴にダイナマイトを入れて、作業員や機械類を安全な場所まで退避させてから発破をかけます。

 発破という言葉は余り聞き慣れてない方もいらっしゃると思いますが、ダイナマイトを爆発させることを発破と捉えていただいても結構です。丸2にコソク・ずり出しとありますが、発破で砕くのを一般的に「ずり」と言います。それをトンネルの外に運び出します。ずりをダンプトラックに積むのは主としてトラクタショベルが使われます。また削岩とかずり出しの補助的役割を担うために、大型ブレーカ等が使用されます。爆破も岩盤切羽付近に少し浮き出ている岩塊等を大型ブレーカで落下させる作業を、トンネル業界ではコソクと言います。言葉でコソクというと、トンネル業界の人は大体分かります。浮石を落とす作業です。

 それから、次に一次吹付けコンクリートとありますが、これは掘削直後にトンネルの地山が剥離するのを防ぐために素早く行います。これは薄いコンクリートを施工します。これを一次吹付けコンクリートと言いまして、コンクリートをコンクリート運搬車で運び込み、吹付機で吹き付けます。次に丸4の鋼製支保建て込み作業に移ります。先ほども申し上げましたが、掘ったトンネルが崩れないように鋼製、鉄の支え、支保工と言うのですが、それを一定間隔で接合します。

 絵にあるように、支保工はアーチ状で幾つかに分割されたものをボルトで接合します。支保工建て込みが終わったら、二次吹付けコンクリートです。厚さ5cmから15cmぐらいのコンクリートを吹き付けて、掘ったトンネルの壁をまた補強します。次はロックボルトです。これは3mか4mの鉄の棒を地山に突き刺して、トンネルが崩れるのを防ぎます。あとはインバート堀削です。アーチ部分の堀削がある程度進捗したらインバート、テープのことですが、堀削を行います。その堀削は、一般的には大型ブレーカで破壊してバックホウで積み込むという形です。

 これで一連の堀削作業は終わります。最終的に上の部分、アーチ部分に、写真に黄色の部分があるのですが、ビニール製の防水シートを張って、セントルという半円筒形の移動式型枠があるのですが、それを使って再度コンクリートの壁を作って、トンネルの建設作業が終わるということです。簡単ですが、以上です。

○小山座長 ほかに何かありますか。よろしければ、ただいまの御説明について、御質問、御意見を頂きたいと思います。

○橋本委員 働く方が粉じんをどこで、どのように吸い込む可能性があるか。そういう意味で中におよそ何人ぐらいの人がいて、どんな仕事の分担で、あと仕事の内容、場所、その動きの概要を御説明願えますか。1日のトンネルの中で労働している時間をお願いします。

○阿部委員 昼と夜で分かれてやるのですが、昼も夜も大体5人か6人程度で、切羽で作業します。先ほど言いました穿孔する作業、それからダイナマイトを詰める作業、ダイナマイトを爆破させるのにいろいろ結線とかをしなければなりませんので、そういうのを作業分担してやるということです。

○橋本委員 その56人の方、ほぼ半日の間、切羽付近で、その後のコンクリート吹付けとか、ずり出しとか、いろいろありますが、こういった近くでずっと作業をしているということですか。

○阿部委員 はい。ずり出し作業のときは、例えば、ずり出しのホイールローダのオペさん1人で、あとは危ないので退避して休んでいます。ですから、ずっと働くということはありません。

○橋本委員 質問のポイントとしては、切羽付近は概して粉じん濃度が高いと思うのですが、そういう所で1日何時間ぐらい滞在しているものなのですか。

○阿部委員 粉じん濃度が高いということはほとんどないですね。濃いというのはどういう意味かというのはありますが。

○橋本委員 濃いという言い方ではなくて、今、測定しようとしていますので、粉じんがあると思われる切羽付近でということでは。

○阿部委員 吹付けをしているときですから、12時間ということではないですかね。発破をかけると、かなりもうもうとなるのですが、それは全部集じん機で吸ってから、クリアにしてからでなければ仕事ができません。法令でもそれは決まっておりますので、本当に粉じんがあるという中での作業というのはほとんどないですね。ある程度の粉じんはあるのですが。

○熊谷副座長 追加の質問ですが、要は最初にドリルで穴を開けて、ダイナマイトを入れる穴を開けるのですよね。それで何分ぐらいするのですか。

○阿部委員 30分ぐらいです。(注1

○熊谷副座長 そしてダイナマイトを仕掛けるのはどのぐらいかかるのですか、結線とかいろいろするのに。

○阿部委員 それも30分ぐらいです。(注2

○熊谷副座長 爆発して、ちょっと退避しているわけですね。

○阿部委員 退避しています。

○熊谷副座長 次に入るのはどのぐらいたってからですか。

○阿部委員 次に入るのは、正確には分かりませんが。

○熊谷副座長 大体でいいです。イメージでは。

○阿部委員 退避してクリアになるまで5分か、10分たってからです。(注3

○熊谷副座長 5分か10分で入るのですか。

○阿部委員 10分ぐらいで入れます。(注4

○熊谷副座長 入って、次にその方たちは、ずり出しをやるのですか。

○阿部委員 ずり出しは1人だけ、ホイールローダのオペさんだけです。あとはダンプの運転手はいます。

○熊谷副座長 ほかの方はどうされるのですか。

○阿部委員 ほかの方は後ろのほうで休んでいます。

○熊谷副座長 見ているというか、トンネルの中にはおられるのですね。

○阿部委員 トンネルの中にはいますが、後方で次の準備とか。

○熊谷副座長 後方というのは何メートルぐらい離れていますか。

○阿部委員 100m以上離れています。

○井上委員 今は余り切羽で粉じんが出てないという話ですが、機械掘削の場合は相当粉じんが出ると思いますがどうなのでしょうか。ロードヘッダとかツインヘッダなどで切羽で掘削を行っている際ですが、オペレーターの方がやっているのでしょうが、その場合は相当の粉じんが出ないのでしょうか。

○阿部委員 そんなには出てないように感じます。

○井上委員 それは測定するのですか。

○阿部委員 私もその場には余り入ったことがないので、はっきりしたことは言えません。たまに現場に行ったときに、そういう場面ではほとんどありません。

○井上委員 そうですか。私たちが映像で見るとものすごい粉じんで、ロードヘッダで岩をガリガリ削っていくわけですから、周りが見えなくなるぐらい粉じんが出ているので、機械掘削で粉じんがほとんど出ないというのはすごく意外なのですが。

○阿部委員 私がやったのは泥岩層で、かなり水分を含んでいる所なので、硬い山を機械掘削するというのは見てないのです。硬い場合はほとんど発破です。

○井上委員 もちろんそうでしょうが。

○阿部委員 機械掘削でするということはないので。

○井上委員 乾いているような砂岩でやる場合が結構あると思うのですが、そういう場合はかなり紛じんが出るのではないでしょうかね。

○阿部委員 私にはちょっと分からないです。

○井上委員 それから、あと私たちの印象では、吹付け作業がものすごく粉じんが出るという印象があるのですが、それとともに、機械掘削の場合では、岩質によれば、かなり粉じんが出ると思いますし、ずりの積込みはものすごく粉じんが出るという印象なのですが、ローダで、ずりをすくってダンプに落とすわけですから、すくったときと落とすときにものすごく粉じんが出ると思いますが。

○阿部委員 遠目からしか見てないのですが、余り近くに行かないので。それは出ているようには見えないのです。

○井上委員 やはり測定してみないと分からないという。見た目では分からないということですから、測定が重要だと思います。

○鷹屋委員 ちょっと教えていただきたいのです。この55ページの工程を示した絵で、機械の外に人がいる絵といない絵があるのですが、実際、重機の外で労働者の方が作業されるのがどれくらいの割合なのかが1点と、それから、重機のこういう運転台は、基本的には密閉されているのですか、それとも外気が自由に入るような形のものを使っているのか、その2点を教えてください。

○阿部委員 トラクタショベルですか。

○鷹屋委員 はい。

○阿部委員 ある程度は入ると思います。完全に密閉ではないです。

○鷹屋委員 あと、機械の外で作業されるのはどれくらいの割合があるのでしょうか。いろいろな工程があると思うのですが。

○阿部委員 機械の外で作業をするというのは、まず左側、丸1のドリルジャンボで穿孔するときです。穿孔するときはいます、外に人が。あとは、丸3の吹付けロボットで吹付けをするときです。そのときは、吹付けがきちんとできているかどうかをやはり確認する方がいます。コソク・ずり出しのときには、もうそのオペさんしかいません、危ないので。

○鷹屋委員 作業によっていたりいなかったりということは、明確に分かれているのですね。

○阿部委員 そうですね、割と分かれています。

○熊谷副座長 先ほどの質問の続きで悪いのですが、55ページで、先ほど56人でやるということで、その56人が、これ全部丸1~丸8までやるのですね、同じ人が。ということでいいのですね。

○阿部委員 そうですね。

○熊谷副座長 できたら、事務局にお願いしたいのですが、この55ページの図で、ここに何人ぐらい作業していて、大体何分ぐらいかかってこれを1周するかみたいな、表みたいなものを作ってもらっていたら有り難いのですが。イメージを頭の中でつかめるために。

○木口環境改善室長 人の張り付き状況。

○熊谷副座長 何人ぐらいいて、そこの、例えば発破の所で何分ぐらいかかって、これに何分かかって、これ24時間で45mと書いてあるので、多分、1人で、8時間労働とすると2回ぐらいあるのですか、多分。

○木口環境改善室長 はい。

○熊谷副座長 いや、何かイメージがつかめないから。ですから、ちょっとそれを何か作ってもらったら有り難いのですが。

○木口環境改善室長 時間配置のような。

○熊谷副座長 時間配分と人数の配置みたいなもの。

○木口環境改善室長 人数の配分と。

○小山座長 それはできるでしょう。

○熊谷副座長 できますね。そういうのがあったら分かりやすいかなと思いますが。 

○小山座長 では、その資料は、すみません、お願いします。

○熊谷副座長 よろしくお願いします。

○小山座長 ほか、いかがでしょうか。

○熊谷副座長 では、いいですか。64ページで、粘土とか砂質とかいろいろあるのですが、じん肺との関連で言うと、遊離けい酸というのが大事だと思うのですが、ここの中で、例えば遊離けい酸、これに多いみたいな、そのようなのがあるのですか。例えば、砂レキに遊離けい酸が多いのだとかみたいな、そういうのが分かったら教えてほしいのですが。ちょっと岩石のことはよく分からないのです。

○大野委員 基本的には、トンネルの発破や切削により粉砕されて発生した粉じん中の遊離けい酸が問題になるわけですから、中硬岩・硬岩のところの話になります。

○熊谷副座長 中硬岩・硬岩、64ページの一番下ですか。

○大野委員 そうです。

○熊谷副座長 ここが遊離けい酸が一番多いところ。

○大野委員 はい。軟岩でも、粉じん中の遊離けい酸はもちろん測定されます。軟岩の場合、風化して岩盤として柔らかくなっているので、トンネルの発破や切削の粉砕エネルギーが小さくて済む。そういう意味で、発生する粉じんが少ないから遊離けい酸は少ないだろうということです。軟岩、それから中硬岩・硬岩の順で粉じん中の遊離けい酸が多くなると思います。

○熊谷副座長 軟岩、中硬岩。分かりました。砂レキというのは、これは多くないのですか。

○大野委員 いや、もちろん砂レキ中にも遊離けい酸は含まれていますが、切削するだとか、あるいは発破をするだとか、穿孔をするという、エネルギーを岩石に与えて粉砕するので、少ないですが粉じんは発生します。砂レキ~中硬岩・硬岩(総称して、岩盤)を発破や切削して、程度の差はあるが粉じんは発生します。その粉じん中に遊離けい酸があるということです。

○熊谷副座長 基本的には入っている可能性が高い。

○大野委員 岩石中に含まれている遊離けい酸が、粉じんとして空中にばらまかれるというイメージだと思います。

○熊谷副座長 分かりました。それともう1つは、先ほどのじん肺の健診で、新規患者が出ているとかいう表がありましたね。2829ページなのです。29ページのグラフで、緑のものが新規発生で、管理1から管理2になったという説明だったですね。それで、28ページの有所見者というのは、新規という意味ではなくて有所見者という意味ですか。溜まっているというか、以前からの人も含めてということですか。これどういう意味ですか。

○木口環境改善室長 今までの方も含めて。新規有所見者は、あくまで、これまで1だった方が初めて2以上になった方ということで。

○熊谷副座長 そうすると、見方としては、例えば、平成27年は有所見者が55プラス560人ということなのですか。

○木口環境改善室長 有所見者、随時申請の方も含めてということです。

○熊谷副座長 という理解でいいのですね。

○小山座長 234の合計ですね。

○木口環境改善室長 はい。それから、じん肺管理区分決定件数ということでありますが、管理2の方、管理3の合計、それから管理4のトータルで。

○熊谷副座長 そういうことですね。

○木口環境改善室長 平成27年でしたら、4105です。

○熊谷副座長 分かりました。ありがとうございます。

○工藤環境改善係長 事務局から補足で御説明したいのです。先ほど橋本委員から、平成10年の、ちょうど資料で言いますと16ページの、換気状態確認のための測定について御意見がありました。報告書の別冊1-3-1に立ち返って御確認いただきたいのです。先ほど木口改善室長から、現行では50mの位置に限られて換気の測定をしているというところです。そこは事実ですが、この平成8年、9年の報告書では、1-3の別冊117ページを御覧ください。ここにちょうど写真2-1とありまして、その上、大体4行目ぐらいに、ここで、具体的には15m、65m、108m、この時点で換気の効果の測定をやっているということです。ちょっとまた前後して申し訳ないのですが、ちょうど法令等の変遷という形で資料1-4、具体的には23ページを御覧ください。平成12年に換気技術委員会報告書が取りまとめられていて、このときに換気が50mになっているということです。したがって、平成8年、9年のときには、具体的に測定となると、先ほどの17ページの絵はトンネル5つ掘っていますが、1つの例です。幾つか表がありますが、測定点が若干異なっているということで御了解いただきたいのが1つです。

 それから、先ほど熊谷委員から、橋本委員との議論の中で、3mg/m3今、現状のガイドラインの中では3mg/m3という換気の基準が設けられています。その中で、熊谷委員から、遊離けい酸値がゼロパーセントの場合の管理濃度の3mgではないのかというところで御発言がありました。今回の検討会は換気の話とちょっとまた毛色が違うものですから、次回以降、換気の話と混乱しないために、また事務局としては資料の整理をいたしますが、この換気の基準の3mgというのは、管理濃度から引っ張ってきているものではなくて、正に先ほど御覧いただいた23ページの平成12年の報告書を基にしていますので、そこはちょっと、何でしょう。この管理濃度の数式は、具体的には、E3.0÷(1.19×Q1)(Q:粉じんの遊離けい酸含有率(%))という数式になるのですが、この文書の部分、平成12年当時、あるいは平成8年、9年当時、私もはっきりとは、ちょっとうろ覚えなので言えないのですが、以前は3ではなくて2.9とかそういう値だったと思います。その値と皆さん混乱されると、非常に今後測定の話をしていく中で、換気の話なのか、どこから管理濃度の話なのかがごっちゃになってしまうといけないので、そこはまた次回以降、改めて誤解が生じないように事務局としては提示したいと思います。

 それから最後に、井上委員から御発言がありました。資料で言うと17ページ。この中で、厚労省の認識として、建災防指針、1番に記載されているものですが、「特にK値については一定の数値を採用することが可能」とありますが、現状を厚労省としてはどう考えているのかというところです。先ほど木口環境改善室長からも発言がありましたが、この報告書自体を直ちに否定する立場ではありません。ただ、この報告書、せっかく第1回目の検討会なのでお話させていただきますが、約20年前にまとまっているものです。ここの部分は、検証を踏まえて、到達点が一定程度今後の課題として示されています。そこの部分については、20年たった現在の知見に照らしても、ではそれが普遍的に大丈夫なのかというところは、皆さんせっかくこの場で議論を頂くことになっていますので、直ちに否定はできませんが、ここの部分についても、今後議論は及んでいくものと御承知置きいただければと思います。以上3点、事務局から補足をいたしました。

○小山座長 ほかに何か、御質問、御意見。

○井上委員 違うことでもよろしければ。せっかく経産省からもオブザーバーで参加していただいていますので、共通認識を深めるという意味で、是非教えていただきたいと思って発言しました。トンネル工事と同じように、やはり金属鉱山や石炭鉱山、鉱山です。鉱山も同じく土の中を掘っていく作業をするわけです。坑道などは全くトンネルの掘削と同じで、工法もほとんど同じ工法でやっていると思うのです。この鉱山では、もう既に、昭和59年に粉じん測定のマニュアルを策定して、その後、法律で粉じん測定を義務付けて、評価基準も定めて評価もして改善措置に結び付けることが法制化されているわけです。その内容というのは、正に建災防指針が定めている粉じん測定方法と同じ方法、というか、建災防は、この鉱山のやり方を参考に指針を定めたと私たちは捉えています。ですから、同じ方法で長年実施されているわけですから、そこでは多数の蓄積があると思うのです。是非教えていただきたいのは、鉱山で実施されている粉じん測定の現状と、それから問題点があるのかどうか、あるとすればどういうところなのか。今も御説明がありましたが、建災防指針と同じような相対的な測定器、デジタル粉じん計を使ってやっているわけですからK値を求めることが必要になるのですが、そういう切羽付近での測定をする際に、K値を求めることが不可能なのかどうか、そういう問題点があるのかどうか。その辺のことについて、分かる範囲で教えていただければと思います。

○オブザーバー(経済産業省) 経済産業省です。先ほどお話があった御質問の観点についてお答えするには、一言でお話することは難しいものと思っております。これまで経産省が見ている鉱山の粉じん測定、技術の問題点というのは、各産業保安監督部での検査やその検査を通じて得られているのが実際の状況です。それぞれの現場サイドの状況等で、やはり見方とか問題の認識の仕方もそれぞれ異なってくるものと思っています。あと、それぞれ測定に関する求め方に関しても、基本的にはその基準に基づいて標準的には行っておりますが、昨今の状況で言いますと、鉱山の数も減ってきている状況の中で、幾つかの測定の方法などはアウトソーシングをし始めていたりする状況もあります。そういう点で、我々の技術の把握の仕方も、過去の状況から近年の状況の中で、かなり変わってきている部分もあるかも分かりません。また、どのような形でお答えするかについては、厚生労働省の方にも御相談の上で返したいと思っています。

○小山座長 ほかにいかがでしょうか。

○吉住委員 現場を預かる労働組合から、話を聴いた感じで言いますと、労働者が切羽のところに近づくこと自体がまずないということです。それから、粉じんがモクモクと上がっている、そのような状況の中で労働者が作業をすることはないということですから、まずこの測定地点や測定条件と言うのでしょうか、実際に作業をしている状況に近い形での測定が必要であろうと思われます。むしろ、そのほかの話を聞いている中で出てきたのは、切羽のところから、かなり後方まで行って、何か先ほどだと100mぐらい離れているということでしたが、そこまで離れてしまうと結構視界がクリアになっているものですから、大丈夫だと思ってマスクを取ってしまったりとか、そういう心配もあるとのことでした。トンネルの中という意味で言うと、そういう状況も考慮した測定も必要ではないのかと思われます。実際の作業内容や、人員、配置など、次回以降に検討事項として出てくるのかもしれませんが、そういう観点も入れていただけると有り難いと思います。

○小山座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、まだちょっと時間がありますが先に進みたいと思います。もう1つ議題があります。「その他」ですか。

 それでは、最後の「今後のスケジュール()について」、資料1-7で御説明をお願いします。

○木口環境改善室長 資料1-747ページです。「今後のスケジュール()について」ということで、具体的には48ページです。本日の検討会においては、トンネル建設工事現場における粉じん対策の現状等についてということで、共通認識を形成することをメインに議論をしていただきました。次回については、いよいよ、切羽付近の粉じん濃度測定方法について具体的に検討していくことにしたいと思います。平成29年度は切羽付近の粉じん濃度測定ということで、現場測定についても書いてあります。現場に入るに際し、どのような課題があるかを次回の検討会で議論したいと思います。先ほど、委員の先生方からも宿題を頂いている工法別に、どのような作業のときにどのような人が配置になっていてということなども含めて、検討に必要な材料については、また事務局から各委員の皆様に御相談をしながら整えていきたいと思います。日程調整についてはこれからということですので、恐らく来年の2月から3月頃になるかと思います。また追って日程調整の御相談をしたいと思いますので、委員の先生方、お忙しいところ大変恐縮ですが御協力のほうよろしくお願いしたいと思います。

○小山座長 ありがとうございました。今後の予定は来年の2月か3月ということです。よろしいでしょうか。これで一応、用意した資料のお話は全部終わったはずですが、何か全体を通じて御意見等ありましたら伺いたいと思います。

○橋本委員 1つ、呼吸用保護具については、また今後の議論ということになるのでしょうか。今日、そういう話は今のところ出ていませんが。

○木口環境改善室長 28ページを御覧ください。次回は粉じん濃度の測定方法についてということでやらせていただきます。粉じん濃度測定を行った後、その結果を検討するのが平成29年度の第1回です。それ以降、作業方法の改善、呼吸用保護具の適切な管理ということで、また次の議題ということで検討を頂きたいと思います。それらの結果を踏まえて、労働者の教育についても議論をさせていただければ大変有り難いと思います。

○橋本委員 呼吸用保護具についてなのですが、今日は最初なので、ちょっと一言、言っておきたいと思います。電動ファン付呼吸用保護具が今、義務ということで使用されていることは、これは大変いいと思うのです。防護係数という、どれぐらい防げるかというデータがあって、外のものの濃度の100分の1ぐらいまで防げるという、性能の基本的に良いものなので、これは非常にいいことだと思っています。

 ただ、顔とのフィットです。隙間があると全く用を成さない。これはいろいろな測定データがありまして、私も以前いた企業で随分やりましたが、全く測定とか指導とかしていない人に、「はい、付けてください」と言って、測定器があるので測ると、20%とか40%漏れているということがよくあるのです。10人のうち、例えば3人ぐらいはそれぐらい漏れている人がいる、このような感じでした。ですから、周りの濃度を測定して管理するというのもいいのですが、このフィットテストというのは機械で測定ができるのです。私も随分やったことがありますが、労働者の人に対する教育なのです、むしろ。本人はそのようなことはやったことがないので、締めたり調整したりして一生懸命やる。例えばこういうのを年に1回ぐらいやるとか、そのフィットを確実にする。例えば少々外の濃度が高くても、十分いい環境で呼吸ができることになるので、その辺も検討していきたいとも思っています。(注5

 それから、もう1つ、先ほどの、トンネルの切羽から100mぐらいの所でマスクを外して休んでいるなどというお話もありましたが。

○阿部委員 いや、マスクは外していません。

○橋本委員 マスクは外していないのですか。

○阿部委員 はい、トンネルの中に入ったらマスクは絶対外しません。

○橋本委員 そうですか、分かりました。それなら結構です。

○阿部委員 外す話は全くないです。

○橋本委員 それなら結構です。分かりました。

○阿部委員 作業員教育でも、必ずそれは厳禁という話にしてありますので。

○橋本委員 分かりました。

○小山座長 ほかには何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、特にないようですので、今日の第1回の検討会はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

1:検討会後に委員本人からの訂正の申出。

「山の地質の硬さによりますが、11.5時間くらいです。」

2:検討会後に委員本人からの訂正の申出。

「それは45分くらいです。」

3:検討会後に委員本人からの訂正の申出。

「退避してクリアになるまで2025分たってからです。」

4:検討会後に委員本人からの訂正の申出。

2025分くらいで入れます。」

5:検討会後に委員本人からの訂正の申出。

       この部分は一般の防じんマスクに関して述べたものです。

       「電動ファン付き呼吸用保護具の場合は、マスクと顔のフィットが悪い場合であっても、漏れはあったとしても相当小さいと考えられます。したがって、電動ファン付き呼吸用保護具を必ず用いるとの前提に立てば、呼吸用保護具のフィットテストの必要性は小さいと思われ ます。 なお、この漏れが実際どの程度であるのかは重要なので、それを示すデータなどがあれば検討会の中で提示して頂けると検討会内共通の理解のために役立つと考えます。」


(了)

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