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2017年1月26日 第9回 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会

○日時

平成29年1月26日(木)14時00分〜17時00分


○場所

厚生労働省 専用第15会議室(12階)


○議題

関係団体等からのヒアリング

○議事

(議事概要)

各参考人から発表後、構成員から質疑応答を含め自由に発言いただいた。
(主な発言概要は以下のとおり)

 

1.地域が主導して、医療・介護と生活を支える

【地域主体の医療の確保】

○ 偏在対策がなければ、医師が増えても地方の医師不足は解消されない。プロフェッショナル・オートノミーに任せた結果が現状であり、規制も含めたある程度強力な偏在対策を国が決めていくべき。

○ 地域が廃れれば患者がいなくなり医療が廃れる。医療が廃れれば安心を求めて人がいなくなり地域が廃れる。地域と医療は表裏一体。

○ 医師の偏在対策においては、若い医師のキャリア形成に資するという視点と国民のニーズに沿うという視点が重要。

○ 医師の養成には医学部及び臨床研修で最低8年間必要であり、地方の医師確保対策として即効性がない。現在求められている医師確保と、将来を見据えた医師養成数とは、区別して議論すべき。

○ 医師の偏在解消については、医師数をただ増やすだけでなく、医師派遣などの偏在対策を工夫し、今働いている医師を有効に活用していくことが重要。

○ 地域住民にとって、強制的に地方に派遣された医師よりも、モチベーションやインセンティブによりやる気のある医師の方が望ましい。

○ 医療機関の管理者の要件として特定地域・診療科での診療に従事することを求めるとすれば、地域で求められる専門性や医療機関の特性、管理者に必要なスキルなどについて整理すべき。

○ 医師偏在対策において、既に働いている医師を対象から外すと即効性が低くなるため、それらの医師をどう取扱うかが重要。

○ 医療機関は、若い医師が求める研修を提供しつつ、地域の医療ニーズに合わせて求められる医師を養成することが重要。

○ 病院の総合診療医がチームで訪問診療、救急診療を行うことで、訪問診療による地域での看取りが可能となる。

○ 小規模な病院に内科系や外科系の専門医を派遣してもらうことは非常に困難。また、総合診療医についても、大学自体の人手不足もあり、十分に希望がかなわない。

○ 出身地が将来の勤務地選択に与える因子として、出身地への大学進学、医療機関の継承、子育てなどへの親の援助、親の介護、専門性(総合診療医)などが考えられる。

○ 時間外専門サービスについては、日本でも当直機能を地域に開放している事例があるが、日本の医療制度と親和性があるかは不明。

 

【プライマリ・ケアの確立】

○ プライマリ・ケアについては、大学にロールモデルが不在で十分な教育体制がない、臨床研修においてプライマリ・ケアが十分達成されていない、などの問題がある。

○ プライマリ・ケア医が増えると、患者の予後の改善、専門医と比較して医療の質の維持、コストの削減、公平な医療システムの構築、患者の継続した相談相手ができる、などの利点がある。また、不適切な処方の削減等による効率的な医療提供や事前指示の取得による望まない延命治療の減少も可能。

○ プライマリ・ケアは、予防から治療まで担い、全科的な医療を担うことから、従来の日本の医師では役割を果たしにくい。

○ 日本では、エビデンスに基づいて推奨されている必要な予防医療が十分患者に提供されていない。

○ コモンな疾患の医療を担う医者は、コモンな疾患の医療を担う環境で育成するのが重要。大学病院では、稀な疾患に偏ってしまい、良い研修が困難。

○ 内科医、家庭医、小児科医などの総合医は、日本では少なく見積もっても全医師の3割は必要であり、その達成には、例えば開業時に総合医の資格取得を必須とする、グループ開業の推進、地域ごとの必要医師数算定、かかりつけ医制度や pay-for-performance の導入などの政策誘導が必要。

○ 他の領域から総合医になれるキャリアパスも重要であり、その場合の教育の場所やトレーニングの期間、教育内容について検討すべき。

○ 総合医は地域に向き合うという意味で、中小病院、診療所での研修やへき地医療、在宅医療の研修が重要。

○ ジェネラリストの教育においては、人との接し方、患者の病気への関わり方の背景などについての聞き取り方といった患者への態度教育を含めるべき。

○ アメリカの内科医や家庭医は整形外科や産婦人科の診察のトレーニングも受けているため幅広い診察が可能であり、日本においても幅広い診療が可能な医師の育成が必要。

○ プライマリ・ケアについて、都市部と地方では医療のニーズが異なるが、都市部であってもプライマリ・ケアを提供する医師は必要。

○ 総合医の養成のためには、教育の核となる指導医が必要であり、予防医療、患者の全体像、エビデンス・ベースド・メディシン、必要ではない医療行為について学ぶことに加えて、自分で学習し解決策を見つけられる方法を学ぶことが重要。

○ 患者のプライマリ・ケアの需要は明らかではないが、潜在的なニーズはあるため、患者への教育や制度的な対応が必要。

○ 家庭医は患者の診察に時間をかけているが、現在の診療報酬の枠組みでは経営的に赤字となってしまう可能性がある。

 

【柔軟なタスクシフティング、タスクシェアリング】

○ 地域包括ケアシステムにおいては、看護師のような医師以外の職種に医行為の権限を委譲していくことが求められるため、NP(ナース・プラクティショナー)のような新しい医療職をつくるべき。

○ プライマリ・ケアのニーズを満たすため、日本でもPA(フィジシャン・アシスタント)やNPの養成が必要。

 

2.個人の能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方を実現する

【個々人の能力と意欲に応じた疲弊しない体制等の整備】

○ 看護職の夜勤・交代制勤務の実態把握が必要。

○ 看護職が継続して勤務できる体制整備のため、夜勤・交代制勤務を行う看護職の所定労働時間を 40 時間以下に短縮すること、夜勤負担の軽減策として勤務間インターバルの確保や夜勤回数の上限設定を行うことが重要。

○ 勤務環境改善により医療従事者の離職が減ることから、勤務環境改善支援センターが機能することで看護師の確保が改善する。

○ 退職する看護師を登録し勤務先とマッチングする取組みや復職のための研修制度、短時間勤務者の雇用などにより看護師の離職が減っていく。

○ 看護の基礎教育において実習を充実させることで、新卒看護師の適応障害や鬱による離職を減らすことができる。

○ 看護職の労働時間や夜勤回数を減らし、人数を増やす場合、一人当たりの報酬が減ることも想定すべき。

○ 看護職の卒後キャリアとして、病院や診療所、訪問診療、介護施設など複数の施設をローテートしながら基礎的な力を身につけていくことや、同時に複数の施設で従事できるような働く場の柔軟性を考えていくことによって、4年制にせずとも看護師が力をつけていくことが可能。

○ 看護職の専門性を保つという方向性と、労働時間を一般労働者と同様に制限することとは、矛盾が存在しているのではないか。

○ 勤務のマネジメントについては、仕事量1掛ける4人体制ではなく、0.8掛ける5人体制づくりを目指し、男女問わず働きやすくすることが重要。研修時間の確保やお互いカバーできる体制、社会保障や職場の制度に精通した事務職員による面接・調整、やりがいを感じられる職場作り、給与が勤務時間によって調整された常勤枠の設定なども重要。

○ 指導医が後期研修医を教え、後期研修医が初期研修医を教える、といった屋根瓦式の教育体制は、指導医が初期研修医に一から基礎を教える必要がないため、指導医の時間と労力の確保に繋がる。

○ 総合内科の研修を受けた医師は、細分化した医療では対応が難しい併存疾患のある高齢者を診療でき、指導医や開業医、内科系の専門家といった幅広いキャリアパスや、さまざまなライフステージの変化に合わせた働き方が可能。

 

【専門性の追求】

○ 複数の疾患を持つなど複雑な状況にある患者に対して多様性・複雑性に対応した看護を提供するため、臨床推論力、総合的な実習、在宅領域に関する教育を充実できるよう、看護の基礎教育を4年制にすべき。

○ 看護師不足の中で看護教育の年限延長を行えば、看護職の確保が困難になる。全国の養成所が年限延長に対応することは現実的に困難。

○ 看護師に求められる能力は働き方や働く場所によって異なることから、全ての看護師に非常に高い能力を求める必要はない。

○ 日本でも、エビデンスに基づく標準治療が学べる教材を使用し、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを繰り返すことで、米国並みの内科専門医も育成可能。

○ 研修期間中の医師が十分なトレーニングを受けるためには、今の日本のシステムでは週80時間の労働時間では不十分。

 

3.高い生産性と付加価値を生み出す

【AI、ビッグデータ等の新たな情報技術の活用】

○ 医療情報は病院や医師のものではなく、患者のものであるということを前提にICT化を進めていくべき。

○ 病院へのICTの導入の問題点として、導入費に対する費用対効果、業務内容の効率化を見える化できるかの不安、新しいことを始めることへの抵抗感がある。

○ 脳卒中の診療に対してICT医療を導入することで、事前に専門医同士又は研修医から専門医に相談することが可能となり、診断時間や直接的医療費、入院日数が削減される。

○ ICTの導入により、診療所同士の連携や診療所と中核病院との連携、介護との連携などの地域医療連携が可能となる。

○ スマートフォンを活用したICT医療により、チーム医療に必須の迅速なコミュニケーションや、データの収集によるデータ医療の基盤構築が可能。

○ 看護師によるICTの活用により、患者への対応や看護師の配置、業務記録などの業務を、現場で効率化していくことが可能。

○ ICTの病院への導入により、患者の待ち時間の改善や院内の案内、患者による自分の医療情報の所持、効率よい患者への説明など、患者満足度の向上が可能。

○ ICTの医療への導入によりデータが集積し、治療の最適化や新しい治療の開発、予防医学の効率化などのイノベーションに繋がる。

○ 今後ICTが医療に導入されるためには、診療報酬や病院機能としての評価が必要。

○ ICTの医療への導入については、技術だけが先行するのではなく、人と人とのコミュニケーションを大切にすることが重要。

○ ICTが労働時間の短縮に効果があるかについてはまだデータがないが、医療現場の効率化には確実に繋がる。

○ ICTの活用により自宅にいても診療ができる体制となった場合、診療報酬等でどのように評価するか検討すべき。

○ ウェアラブル端末の利用や患者による医療情報の所持は、患者によるセルフマネジメントを高める。

○ AIは病因の候補の指摘や治療薬の提案はできるが、結果の解釈・判断は専門医などの解釈者が担っており、AIには病気の診断や治療法の指導はできないことから、AIはあくまでも支援ツールとして捉えるべき。

○ AIによりがん診療における遺伝子情報の活用が進むにつれ、これまでの臓器別の薬剤では対応ができなくなってきており、遺伝子別の新しい薬剤適応が必要。

○ AIの活用は、放射線診断や病理診断分野で爆発的に普及していくことが予想される。その次に、より複雑な思考過程を必要とする症状や副作用歴の分析やゲノム解析が可能になると見込まれる。

○ 遺伝子を活用した医療の中には、高額なものや日本では提供されていないものがあり、今後日本でどのように取り扱うかについて検討すべき。

○ 現在のAIでは必ずしも正確な診断ができないため、現時点で労働時間の減少は実感できない。


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