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2016年11月29日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録

○日時

平成28年11月29日(火)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

委員

大前委員(部会長)、浅見委員、春日委員、苅田委員、小西委員、阪口委員、寺嶋委員、二村委員、堀端委員

事務局

北島食品安全部長、山本基準審査課長、黒羽室長、青木補佐、新井専門官

参考人

国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 朝倉部長

○議題

1 豆腐の規格基準の改正について
2 清涼飲料水の成分規格の改正について
3 清涼飲料水の試験法の改正について
4 その他

○議事

 

○事務局 定刻前ですが、委員の皆様おそろいですので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。審議に入るまでの間、事務局にて議事を進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭に御案内させていただきますが、本日、防災訓練が実施されており、会議の途中で非常放送が流れることがありますので、あらかじめ御了承いただければと思います。

 初めに、委員の出欠状況です。本日は明石委員、阿部委員、小川委員、下村委員から御欠席の御連絡を頂いております。部会 13 名中9名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、当部会が成立していますことを御報告いたします。

 次に、平成 27 年に部会委員の改選があり、改選後初めて当部会に御出席の先生方を御紹介いたします。まず、日本生活協同組合連合会組織推進本部環境事業推進部長の二村委員です。

○二村委員 よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、女子栄養大学給食システム研究室准教授の堀端委員です。

○堀端委員 堀端でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 また、本日の議事に係る参考人として国立医薬品食品衛生研究所の朝倉食品衛生管理部長に御出席いただいております。参考人の出席について、部会の御承認を頂ければと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○事務局  続いて、事務局にも異動がありましたので御紹介いたします。生活衛生・食品安全部長の北島です。基準審査課衛生専門官の新井です。最後になりましたが、基準審査課の青木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 議事に先立ちまして、北島部長より挨拶申し上げます。

○北島部長 皆様おはようございます。大変お寒い中、そして、御多忙中のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。先生方におかれましては、日頃から食品衛生行政の推進に御尽力を頂いておりますことに、改めて深く感謝を申し上げます。

 さて、本日の議題ですが、豆腐の規格基準の改正については平成 26 年に業界からの要望を受け、その後、厚生労働省において調査を行い、今般、無菌的に充填した豆腐の保存基準の改正について御審議をお願いするものです。また、清涼飲料水の成分規格及び試験法の改正についても御審議を賜りたいと考えております。

 委員の先生方におかれましては、それぞれの御専門のお立場から忌憚のない御意見を頂戴できれば幸いです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 これから議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。また、生活衛生・食品安全部長ですが、公務のため冒頭で退席をさせていただきます。あらかじめ御了承ください。

 以後の進行につきましては大前部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○大前部会長 おはようございます。大前でございます。この部会は前にいつやったかなと、余り記憶にないのですが、確か1年以上空いていると思います。本日は審議に御協力のほどを、どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に事務局のほうから配布資料の確認をよろしくお願いします。

○事務局 お手元に議事次第、委員名簿、配席図、資料一覧を配付しております。資料一覧を見ていただきながら資料の確認を頂ければと思います。配布資料は、資料1「豆腐の規格基準の改正について」、資料2の関係は清涼飲料水、ミネラルウォーターの関係になりますが、資料2 - 1「清涼飲料水の成分規格の改正について」、資料2 - 2「ミネラルウォーター類 ( 殺菌・除菌無 ) の成分規格設定等検討項目」、資料2 - 3「ミネラルウォーター類 ( 殺菌・除菌有 ) の成分規格設定等検討項目」、資料2 - 4「ミネラルウォーター類中のセレン、ヒ素の含有濃度実態調査」、資料3「清涼飲料水の試験法の改正について」です。資料3については別紙ということで、横の表を一緒に配布しております。参考人の提出資料として朝倉部長から御用意いただいた「豆腐中の微生物に関する試験検査」という資料を配布しております。

 続いて参考資料です。参考資料1 - 1「全国豆腐連合会・日本豆腐協会要望書」、参考資料1 - 2「豆腐の規格基準」、参考資料1 - 3「容器包装詰加圧加熱殺菌食品の規格基準」をお配りしております。参考資料2は別冊ということで参考資料2 - 1~8までの資料をまとめたものをお配りしております。また、参考資料2 - 9「内閣府食品安全委員会によるセレンに関する食品健康影響評価書」、参考資料2 -10 「内閣府食品安全委員会によるヒ素に関する食品健康影響評価書」です。参考資料3「食品添加物の規格基準の改正について」を配布しております。また、委員の皆様方につきましては、机上配布資料として部会後に回収させていただきますが、無菌充填の豆腐を製造している企業から御提供いただいた資料をお配りしております。配布資料については以上です。乱丁、落丁等ありましたら事務局までお申し付けください。

○大前部会長 よろしいですか。途中でまた乱丁、落丁があれば事務局のほうによろしくお願いします。

 審議に入る前に、本日の部会の審議事項に関する利益相反の確認結果について、事務局から報告をよろしくお願いします。

○事務局 本日の部会におきましては、審議事項の「豆腐の規格基準の改正について」が企業などの申請に基づく審議になりますので、利益相反確認の対象となっております。本部会において、退出の必要な委員又は議決には参加できない委員がいらっしゃらないことについては、事前に確認を行っております。以上です。

○大前部会長 ありがとうございました。COIについては大丈夫だということですので、御自由に御意見をお願いいたします。

 最初に、本日の審議事項の第1番目「豆腐の規格基準の改正について」、事務局のほうから御説明をよろしくお願いします。

○事務局 まず、事務局より豆腐の規格基準の改正に係る概要について御説明いたします。その後、朝倉食品衛生管理部長のほうから、豆腐に係る試験検査について御説明いただきます。

 資料1です。冒頭の部長の挨拶の中にもありましたが、豆腐の常温保存を認めるか否かについての内容です。経緯について少し御説明いたします。豆腐については、食品・添加物等の規格基準の各条において、昭和 49 年に製造基準と保存基準が定められております。当時、豆腐が原因食品となり、人の健康に危害を及ぼした例のほとんどについては、腸チフス、赤痢など、いずれも病原細菌に起因するものでした。また、その発生は、製造及び保管中における食品及び機具等の取扱いが不衛生であったために豆腐が汚染されたことが原因とされております。さらに、豆腐については、ごく僅かであっても細菌が生存していれば、保管方法によっては急激な細菌増殖が起こることから、できるだけ低温で管理する必要があります。そのため、保存基準では冷蔵しなければならない旨が規定されています。

 昨今、技術の進歩に伴い、連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した後、無菌的に充填を行った豆腐、以下、無菌充填豆腐と呼ばせていただきますが、無菌充填豆腐の製造が可能となったことから、無菌充填豆腐について、常温保存が可能か否かを検証するために、製造が可能な2施設の製品に対して平成 27 年度に微生物に関する試験検査等を実施しました。

 また、事業者によると、当該無菌充填豆腐については、常温保存品として昭和 61 年から欧米等の諸外国へ幅広い輸出実績や米国の現地生産実績があり、また、これまでに当該品を原因とした食中毒等の報告はありません。今般、技術の進歩及び調査の結果等を踏まえ、豆腐に係る規格基準の改正について厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに、本年 11 22 日付けで諮問されたところです。

 続いて、2「豆腐の規格基準の検討について」です。現在、常温保存が可能である容器包装詰加圧加熱殺菌食品、いわゆるレトルト食品ですが、こちらについては、その保存特性を踏まえ、病原微生物及び腐敗細菌等の当該食品中で増殖し得る微生物が存在しない状態、いわゆる商業的無菌状態を確保するために、特に嫌気度の高いボツリヌス菌による汚染を想定した加圧加熱殺菌条件 (120 ℃・4分間 ) が設定されています。

 一方、豆腐は大豆を主原料としますので、土壌由来の細菌の汚染を受ける可能性があります。耐熱性を示す細菌 ( バチルス属菌やクロストリジウム属菌 ) 等の芽胞形成菌の制御が可能な殺菌条件が求められているところです。そのため、主原料である豆乳の殺菌に関しては、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の殺菌条件の 120 ℃・4分間と同等以上を規定することが必要と考えられています。

 机上配布資料も一緒に見ていただくと分かりやすいのではないかと思いますので御用意ください。机上配布資料の3枚目がA社の製造の工程フローです。また、4枚進んでいただくとB社の製造工程のフローがあります。若干方法が異なりますが、どちらも大豆を殺菌する方法、その後そこに凝固剤を混ぜ、最終的に滅菌されたパックに入れていくという流れになっています。こちらのフローを見ていただきながら御説明を確認いただければと思います。

 資料1にお戻りください。まず、豆乳については 120 ℃・4分間と同等以上を規定することが必要であると。2行目の「また」以降ですが、豆腐を固めるための凝固剤についても、豆乳の殺菌後に添加されることから、適切な殺菌条件等が必要である。そのために、衛生度の高い凝固剤を用いた上で、適切なフィルターを用い、かつ、製造時にフィルターの性能を恒常的に確認する方法により除菌することが必要であると考えられています。そして、これらの加熱殺菌及び除菌によって得られた各原材料を無菌的に充填することが必要であると考えられます。そのため、豆腐の成分規格及び製造基準においては次の条件を設定することで、無菌充填豆腐を常温保存した場合の安全性が確保できるため、保存基準として常温保存を設定できるものと考えております。

 なお、無菌充填豆腐の必要な条件としては、原料管理、各製造ラインの洗浄や定期的な確認、記録の保存等が実施されていることが必要であり、製造する際には十分な衛生管理が求められることは言うまでもございません。

 無菌充填豆腐に必要な条件としては、大きく分けて3つあります。まず1点目が、 ( ) 原材料等に由来して当該食品に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させ、又は除去するのに十分な効力を有する方法で殺菌又は除菌を行うこと。1つ目のポツですが、豆乳にあっては 120 ℃・4分間と同等以上、2つ目のポツですが、凝固剤にあっては、衛生度の高い凝固剤を用いた上で、適切なフィルターを用い、かつ、製造時にフィルター性能を恒常的に確認する方法により除菌する、又はこれと同等以上。

( ) は、無菌充填にふさわしい機器を用いて、あらかじめ殺菌された適切な容器包装を用いて無菌的に充填されること。

( ) は、最終製品は容器包装詰加圧加熱殺菌食品の成分規格に規定する試験法において発育し得る微生物が陰性であること。こういった条件が必要ではないかと考えられています。

 3「対応 ( ) 」です。以上を踏まえて、次のとおり豆腐の規格基準を改正し、無菌充填豆腐について常温保存を認めることとしてはどうかと考えております。以下が告示の改正案ですが、まず、成分規格として、1「豆腐の成分規格」を新設しまして、豆腐のうち常温保存するもの ( 移動販売に係る豆腐及び成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐を除く ) にあっては、当該豆腐中で発育し得る微生物が陰性でなくてはならないという成分規格を新設してはどうかと考えております。

 2「製造基準」ですが、 ( ) を新規で追加し、無菌充填豆腐 ( 連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した豆乳に、殺菌又は除菌された凝固剤を添加して容器包装に充填した後加熱凝固させたものをいう ) は、原材料等に由来して当該食品に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させ、又は除去するのに十分な効力を有する方法で殺菌又は除菌を行ったものを用い、あらかじめ殺菌された適切な容器包装に無菌的に充填が行われなければならない。

 それに対して、今回の無菌充填豆腐も容器包装豆腐の中に含まれますので、これまでの包装豆腐とは違うということで、 ( ) についても、包装豆腐のうち無菌充填以外のものについてということで、ここはこれまでのものと書き分けて告示を作成させていただきたいと思います。

 最後に3「豆腐の保存基準」ですが、豆腐については基本的には冷蔵しなければいけないという箇所です。豆腐は冷蔵するか、又は、十分に洗浄し、かつ、殺菌した水槽内において冷水で絶えず換水をしながら保存しなければならない。ただし、移動販売に係る豆腐、成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供せられることが通常である豆腐及び無菌充填豆腐にあってはこの限りではないということで、冷蔵しなければいけないという保存基準を除外してはどうかと考えております。

 4「今後の方針」ですが、上記の対応 ( ) について本日の部会で御了承いただければ、食品健康影響評価を食品安全委員会に依頼しまして、評価結果を受けた後、特段問題がなければ、告示改正のための必要な手続を進めたいと考えております。

 5ページは、昨年度に実施した調査結果です。こちらについて、また詳しく朝倉部長から御説明いただきますが、項目のみ簡単に御紹介させていただきます。

 まず、1 施設の殺菌条件ということで、 A 社、 B 社とありますが、そちらについての条件を確認させていただきました。また、2 施設の無菌充填技術ということで、こちらについても無菌充填ラインの空間がどのような方法で衛生度が保たれているか、また、凝固剤の確認について記載をさせていただきました。3ですが、最終製品の微生物の試験についても実施をして、こちらについては全て陰性という結果でした。

 6ページです。各企業において自主的な検査をしていますが、その結果を記載しております。こちらについても A 社、 B 社があります。若干条件はありますが、3日間なり5日間、 35 ℃で保管した後、一般細菌及び大腸菌群の検査をしまして、全て陰性だったという結果を頂いております。資料1について、事務局からは以上です。

○大前部会長 続いて、朝倉部長から説明をよろしくお願いいたします。

○朝倉参考人 国立医薬品食品衛生研究所の朝倉と申します。よろしくお願いいたします。先ほど事務局から御説明いただきましたように、私どものほうで、豆腐中の微生物に関する試験検査について検討を行いましたので、本日はその成績等について御報告申し上げます。参考資料として御用意いたしましたパワーポイントベースの資料を御確認ください。

 まず「背景」として、先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、豆腐は大豆を主な原料とするため、土壌由来細菌の汚染を受ける可能性があるということ。したがって、その製造工程においては微生物の危害低減を図る必要があります。特に土壌由来細菌の汚染を受けるということも踏まえると、耐熱性の芽胞形成細菌の汚染も想定されるわけですので、一般的に申し上げて、より高い加熱条件が求められると理解されます。

 我が国で流通する豆腐そのものではありませんが、過去には、米国においては 2006 年、 2012 年に、いずれも自家製の発酵豆腐を原因食品とする食餌性のボツリヌス症が発生したとの報告があります。また、英国においては 2014 年に製造された充填豆腐製品についてボツリヌス菌汚染危害が想定され、回収命令が出ているというような経緯があります。

 次のページです。一般に流通する豆腐については、その製造実態から無菌状態を保持することが事実上不可能とされており、したがって、製造後の保存、流通等に当たっては冷蔵が求められています。しかしながら、今般、業界団体からの無菌充填技術を用いた充填豆腐について常温流通を認めてほしい旨の要望を受け、これを受けて私どもで微生物の危害に関する諸検討を行うことといたしました。具体的に検討させていただいた内容については4つ目のスライドに示しております。

 まず、それぞれここでは施設A及びBと申し上げますが、2つの無菌充填豆腐製品を製造している施設における製造工程に関して情報収集を行うとともに、その製造工程を通じた細菌汚染動態についての検討を行いました。また、無菌充填技術を用いずに製造された、以後、一般充填豆腐と申し上げますが、その製品について代表検体を用いて、その細菌汚染実態について検討を行いました。

 3つ目として、特に汚染が想定され得る芽胞形成菌の代表例として Bacillus 属菌株及びボツリヌス菌の代替モデルとして Clostridium sporogenes 菌株を用いて添加回収試験を行い、その豆腐中における増殖挙動について検討を行いました。また、これも添加回収試験になりますが、上記菌株を用いて耐熱性に関する知見を収集し、それに基づいた加熱条件について検討を行いました。最後に、それぞれの施設において製造され得る無菌充填豆腐製品を対象として、常温下における長期保存試験を行い、微生物挙動に関わる知見を得ましたので、以下に報告いたします。

 5ページです。無菌充填豆腐の製造工程について、これは机上配布資料に、より詳細な内容がありますが、2施設 A および B で主として共通する項目を書き出してお示ししたものです。大きく分けて、大豆から、まず前処理、洗い、水に浸すといった工程の後、これを磨砕して最終的に豆乳を作るという工程があります。その後、施設 A では、 70 ℃で約 40 分間のヒートショック処理を行って、芽胞菌を想定した発芽促進といったようなプロセスを追加しています。その後、いずれの施設でも加熱殺菌工程へと進みます。それぞれの条件については図中にお示ししたとおりです。また、その後、冷却工程の後、ろ過滅菌を行った凝固剤を添加して包装、加熱凝固、冷却、そして異物及び細菌の試験を行って包装出荷というプロセスで製造されていました。この中で、充填工程においては、特に重要な工程と両施設とも位置付けており、その製造環境については、HEPAフィルターを設置した清浄な環境を要件としている旨の情報を頂いております。

 6ページです。施設 A B において、主原料の大豆、水に浸したいわゆる浸漬大豆、その後豆乳の状態になったもの、加熱殺菌の凝固前後の中間製品、そして最終製品を対象として、それぞれの細菌汚染状況を確認しました。検討にあたっては、一般細菌、大腸菌群、好気性芽胞形成菌、嫌気性芽胞形成菌の4種類を衛生指標菌としております。

 両施設とも、原料大豆、浸漬大豆等からは一定の割合で一般細菌あるいは好気性の芽胞形成菌等が検出されています。また、加熱凝固前の中間製品の一部では細菌が検出された検体もありました。しかしながら、いずれの施設においても最終製品は、衛生指標菌は検出されない状況であることを確認いたしました。

 7ページです。当該施設内の製造環境における細菌検出状況について御報告いたします。対象とした衛生指標菌については、先ほどと同様です。その中で、特に、大豆を秤量する槽の中、水に浸漬する槽の中、そして、製造・殺菌工程の床、充填工程の床等について拭取り検査を行いました。概要として、床拭き取り検体については、一定の検出を認めていますが、充填工程室の床は、製造・殺菌工程の床に比べ、低い傾向が認められました。

 8ページでは、各検体の構成菌叢に関する概要成績をお示ししています。ここでは施設 A での成績をお示ししておりますが、施設 B についても傾向は同様でした。原料大豆、浸漬大豆、最終製品の懸濁液より全 DNA を抽出し、細菌由来の 16S rRNA 配列を増幅し、各細菌の構成比を求めた成績を意味します。したがって、この成績は、生菌だけではなく、死菌も含めた成績となっています。結果として、製造工程を通じて、構成菌叢変動も見受けられましたが、浸漬大豆と最終製品の間での変動は、原材料と浸漬大豆間の変動にに比べて相対的に小さく、浸漬大豆から豆乳を経て最終製品に至る工程において、外部からの細菌の混入等は、ほぼない状態であることが示唆されました。

 9ページです。こちらでは施設 A B において製造された無菌充填豆腐製品について細菌試験を行った結果をお示ししています。まず、一般細菌を対象とした検討を致しましたが、一般細菌陰性の成績が得られています。また、先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の無菌試験についても並行して実施しましたが、いずれの検体についても発育し得る微生物は陰性という成績を得ています。また、下の部分には、無菌試験に関する基準等を簡単にお示ししています。御参照ください。

10 ページです。こちらでは、無菌充填技術を用いないで製造された、いわゆる一般充填豆腐、計8種類の製品を対象として、細菌検出試験を行った成績をお示ししています。対象とした衛生指標菌については、先ほどと同様です。併せて、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物規格基準として設定されている試験についても、実施しており、結果は右側にお示しております。結果と致しましては、計 8 種類の製品、 24 検体のうち、 5 製品・ 13 検体から、一般細菌及び好気性芽胞形成菌が検出され、無菌試験の成績は、指標菌試験成績と非常に相関性の高いものでした。代表的な分離菌株を抽出し、 16S rRNA 配列を決定して、遺伝学的な菌種同定を行ったところ、計 5 種類の製品のうち、 4 製品からは、いずれも Bacillus 属が、残り1製品からは Brevibacillus 属菌が検出されていることがわかりました。

11 ページです。こちらでは施設 A B でそれぞれ製造された無菌充填豆腐製品に、ある一般充填豆腐製品から分離された B.  licheniformis 、を接種して、当該食品内における増殖挙動を検討した成績をお示しております。温度としては 37 ℃と 25 ℃という2種類を設定しました。結果として、 37 ℃下では約2日間の保存により、ほぼプラトーに達するほどの増殖を示し、 25 ℃下においても約7日間保存することでほぼ同等の菌数にまで増殖する状況を認めました。 また、ボツリヌス菌の代替菌株として、 C . sporogenes 、を用いた同様の検討結果として、 37 ℃下で保存した場合では、約 10 日間保存後に、およそ 10 6 乗から 10 7 乗個程度まで細菌数が増加する状況を確認しました。また、 25 ℃下で保存した場合においては、7日間後に1つの製品については約 10 6 乗個 / gにまで増殖が認められましたが、もう一方の製品では、同温度体で保存した際には明確な増殖は認められませんでした。

13 ページです。豆乳中での B. licheniformis および C. sporogenes が示す耐熱性に関する知見を得るため、芽胞菌として調整した後、 90 ℃、 100 ℃、 110 ℃、 120 ℃、 130 ℃の計5種類の温度帯を用いて、時間軸をとって検討した成績を上部にお示ししています。これらの成績を基にD値を算出し、その上で、Z値を求めました。結果として、 C. sporogenes については 9.07 ℃、 B. lichenihormis については約 7 ℃という Z 値が得られました。

 先ほどの容器包装詰加圧加熱殺菌食品の殺菌強度については、 120 ℃・4分間を満たす条件が設定されています。先ほど求めた2菌株のZ値を基に、施設 A B において設定されている豆乳の加熱殺菌条件が示すF値を求めました。その成績を下側の赤あるいは緑でお示しした数値として記載しております。また、その算定に当たって使用した式については、右下に記載がありますので御参照ください。

 結果として、施設 A で設定される加熱殺菌条件については、いずれの菌株についてもF=4を満たさない条件でした。一方、施設 B で設定される加熱殺菌条件は、いずれもF=4以上という値で、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物規格基準を十分に満たしうるものと推定されました。

14 ページです。施設Aにおける加熱殺菌条件については、F=4を満たさないということでしたが、施設Aについては、加熱殺菌工程の前にいわゆるヒートショック等の処理が実施されていました。一般的な商業殺菌の観点からは、製造工程全体を通じた温度管理を加味した検証が一般的であるという現状を踏まえ、大豆の煮沸工程から加熱殺菌工程に至る製造工程全般での加熱温度を勘案して、致死率を求め、更にF値を算出しました。用いた計算式、あるいは施設 A での煮沸から加熱殺菌に至る製造工程中の温度変化等については下側にお示ししたとおりです。施設AにおけるF値は 15.89 分となり、 120 ℃・4分間以上の殺菌効果を有すると推定されました。

15 ページでは、施設 A B で製造された無菌充填豆腐製品を対象に、長期保存試験を実施しました。施設 A で製造された製品については6か月、施設Bにおいて製造された製品については 10 か月間の賞味期限が設定されていました。そこで、それぞれの製品の賞味期限に 1.1 ないし 1.2 を乗じて、 25 ℃で長期保存を行いました。保存後、一般細菌の検出試験及び、容器包装詰加圧加熱殺菌食品に求められる無菌試験を実施したところ、いずれの試験についても、両施設の製造製品は全て陰性の結果となりました。また、検体に係る理化学性状として pH と酸化還元電位を測定しましたが、保存前後で顕著な変化は認められませんでした。

 最後にまとめを 16 ページに記載させていただいております。無菌充填豆腐を製造する施設A・Bの製品については、製造工程を通じ無菌状態を保持しているということを確認いたしました。また、上記製品の殺菌条件については、施設間で異なっているものの、いずれも容器包装詰加圧加熱殺菌食品で定められる 120 ℃・4分間の製造基準と同等以上と考えられました。一方で、大豆等を主原料としている当該製品の細菌試験に当たっては、嫌気性芽胞細菌による汚染等も考慮する必要があるため、容器包装詰加圧加熱殺菌食品に対して定められる無菌試験を用いることが望ましいと考えられました。以上になります。

○大前部会長 先生、どうもありがとうございました。今、事務局、朝倉先生から御発言がありましたが、もう既に 30 年くらい前から、この製品は日本以外でも回っているということで、私も知らなくてびっくりしました。今の御説明に関して、何か御意見、御質問があればと思いますが、いかがですか。すみません、私も余りよく分かっていないのですが、この2社で加熱殺菌の条件が違って、片や 10 秒で、その前にヒートショックという操作をしていると。それを考慮すると、条件を満たしているということですが、ヒートショック処理をすると、何がどうなって、この条件を満たすことになるのですか。その辺の理屈が分かれば教えていただきたいのですが。

○朝倉参考人 施設Aで用いられているヒートショックについては、芽胞菌を発芽させ、通常に発育し得る状態に誘導するような効果があるとされております。

 芽胞菌は御承知のとおり、非常に耐熱性が高いと考えられておりますが、一方で増殖しうるような状態の細菌については、一般的に耐熱性は低くなる傾向が認められています。したがいまして、加熱殺菌の効果を高めるという意味合いで、このヒートショックが用いられていると解釈しております。

○大前部会長 そのほか、先生方から御意見、あるいは御質問はいかがですか。

○寺嶋委員 朝倉先生に質問です。8枚目のスライドで、無菌充填豆腐の製造工程 ( A社 ) における構成菌叢動態とあります。これは原料大豆では余り構成比にバラエティーがなくて、最終製品と浸漬大豆では結構あるように見えるのですが、要するに芽胞が発芽して、それなりに増殖して、それで最終製品の中ではいろいろ菌叢が検出されたと理解してよろしいですか。

○朝倉参考人 御質問の件ですが、もともとの原料大豆に存在していた菌が起源となって、このような変化が生まれたというよりは、むしろ浸漬等の環境におきましては、解放的な環境条件でありますので、そういったところから混入というのは相応にして起こり得る。その一方で、一般的な閉鎖環境、充填以降の工程等におきましては、閉鎖環境が保持されておりますため、周辺環境からの細菌混入はないということが菌叢の成績として現れていると考えております。

○寺嶋委員 そうすると、むしろ製造工程での混入による菌叢の変化を、NGSだと思いますが、それで検出したと考えるということですね。

○朝倉参考人 原料大豆と浸漬大豆の間で生じた変化という点については、おっしゃるとおりかと思います。7ページの浸漬層の内壁等からは、一定の菌数は検出されておりますので、解放環境においては、当然周囲からの汚染も生じ得るような所ではあります。

○寺嶋委員 ありがとうございました。

○大前部会長 そのほか、御意見、あるいは御質問はいかがですか。

○春日委員 5、6ページの表記について教えていただきたいと思います。6ページの表の中で、加熱殺菌凝固前という表現がありますが、これは上の5ページと照らし合わせますと、5ページの右側の中段にある加熱凝固工程の前という意味ですか。6ページでは、「殺菌」という言葉が加わっているので、具体的にどこの段階を検査されたのか分からなかったので教えていただけますか。

○朝倉参考人 「加熱殺菌凝固前」と書かれている所は、5ページの「加熱滅菌」が「加熱殺菌」に訂正が必要かと思いますが、同処理を行った後の豆乳の状態で、ただし凝固剤を入れた直後のものが施設 A の検体であるということで御理解を頂ければよろしいかと思います。

※施設 A の検体について、「凝固剤を入れた直後のもの」と説明がありますが、実際は、「凝固剤を入れる直前のもの」でした。また、施設 B の検体についても、加熱殺菌後凝固剤添加前の豆乳を前提に質疑が進んでいますが、実際の調査結果では、各施設の検体の採取箇所が異なり、施設 B の検体は加熱殺菌前凝固剤添加前の豆乳でした。

そのため、参考人提出資料を訂正するとともに、具体的な訂正内容を次回の食品規格部会において説明を行います。

○春日委員 そうしますと、5ページの図で言いますと、凝固剤添加と充填の前。

○朝倉参考人 はい。

○春日委員 右上の枠の途中ということですね。

○朝倉参考人 はい、おっしゃるとおりです。

○春日委員 机上資料の中で、B社につきましては、充填後の加熱凝固条件が詳しく書いていないので、その充填後にどのくらいの加熱がされるか判断ができないのですが。

 つまり、5ページの右側、中段の加熱がされる前においては、B社の製品については、一般細菌、好気性芽胞形成菌の残存が認められるということですね。

○朝倉参考人 検討した結果の中では、数値として確かに出ておりますが、これは全ての検体から出てきたというものではなくて、あくまでも平均値で示しておりますので、こうした形になっております。

 ただし、出てきたのは1検体のみであったということです。これらの製品についても、その後、加熱凝固というプロセスがありますので、それ以降では出てきていないということは確認しております。

○春日委員 何検体を検査されたのですか。

○朝倉参考人 こちらは、3検体中1検体が出てきております。

○春日委員 B社の加熱凝固条件は確認されていますか。

○朝倉参考人 いわゆる温度等の管理条件については、情報としては頂いておりますが、施設Aと同等であることは確認しております。

○春日委員 分かりました。好気性芽胞形成菌が3検体中1検体の頻度で残存していたということは、ちょっと気になったので、その解釈について伺いました。ありがとうございました。

○阪口委員 内容についてはよく分かったのですが、2枚目の「背景」のところで、海外でボツリヌスの発生があったのですが、この混入経路というのは分かっているのですか。何か日本では考えづらいなと思ったのです。

○朝倉参考人 これはドキュメントからしか引用できない部分でもあったので、詳細は分かりませんが、いわゆる一般家庭で作られ、その後の温度管理も十分になされていない、発酵豆腐での危害が報告されているということは確認しております。

○阪口委員 つまり、通常の食品メーカーではなく、個人でやっていたということですね。

○朝倉参考人 そうです。

○阪口委員 分かりました。どうもありがとうございました。

○大前部会長 そのほか、いかがですか。

○二村委員 大変、素人っぽい質問ですが、資料1について質問があります。既に海外に輸出があって、これまでに当該品を原因とした食中毒等の報告はないということですが、海外でこの豆腐を食べる場合に、日本と同じような食べ方をされるものなのか確認しておきたいと思います。多分、豆腐なので、そんなに変わったバリエーションがあるとは思えないのですが、私たちが食べるのと同じような食べ方をされていて、そのうえで今までそういう事故などはないということを確認しておきたいと思います。

○事務局 事務局のほうで、製造して輸出をされている方にお伺いをする限り、サラダにするとか、炒め物にするような形で豆腐を使用されているとお伺いしております。

○大前部会長 資料1のところで、事務局の案が2、3ページに載っているのですが、この辺についてはいかがでしょうか。朝倉先生の御発表に関しては、いろいろと御意見が出ましたが、最終的に2、3ページに事務局の「対応 ( ) 」として改正案が載っておりますが、このような案でいけば大丈夫だろうという御提案ですが、この辺についても御意見があれば、よろしくお願いします。

○寺嶋委員 この改正案自体はこれでよろしいかと思いますが、資料1の2ページ、上から 10 行目の「なお」からのところで、無菌充填豆腐に必要な条件としてうんぬんとありますが、これは事務局としては HACCP 等の導入を積極的に取り入れてもらうというような、そういうところまで考えていらっしゃるのでしょうか。

○大前部会長 いかがでしょうか。

○事務局 可能であれば HACCP もということと思いますが、必ずしも HACCP までいかなかったとしても、今回の条件に合致するということであればよろしいのではないかと思います。

○寺嶋委員 ありがとうございます。

○浅見委員 今のと若干関連するのですが、A社のほうは、時間と温度がある程度書かれている感じですが、B社は同等ということで、それを今後、自社で確認して証明していただく形になるのか、それとも、例えば温度と時間をある程度設定して、それ以上になるという形になるのか、その辺を教えていただきたいのですが。

○事務局 こちらにつきましては、各企業が具体的に、どのぐらいの温度にするか公表を行っていないということで、同等という記載をしております。既に製造されている中で、昨年度は一定の条件で確認はさせていただいた上で、先ほど朝倉先生のほうから御発表を頂いたような結果を得たということです。

○浅見委員 今後も、その会社の中で記録をしっかり取っておいていただくということを確認されるという形でよろしいですか。

○事務局 同等かどうかという評価のところになると思いますが、そちらについては、現在使用されている方法であれば同等以上ということは言えるかと思います。もし仮に、その条件の設定を変更されるということであれば、必要に応じて私どもとしても、調査を行っていただいた朝倉先生とも御協力いただきながら、同等以上かどうかについては確認した上で対応させていただきたいと思います。

○大前部会長 そのほかはいかがですか。これが出ますと、A社、B社は、今までも十分実績があって問題なくいくと思うのですが、そのほか、新たにこれに参入する会社が出てくる可能性もあると思うのです。この辺に関しては、どのような管理なり、あるいはウォッチをするかという予定はありますか。

○事務局 現状、先生がおっしゃったように2社で製造されているということですが、仮に新規に参入されるということでも、今回設定した条件に合致すれば、その豆腐については無菌充填豆腐ということで、常温が可能ということが保証されると考えております。逆に言いますと、その条件として、今回、事務局として御提示した内容でよろしいかどうかということを、部会の皆様方に御確認を頂ければと思います。

○大前部会長 将来、新しい会社が入ってくることも想定して、この文章で十分かどうかということですが、いかがですか。

 それから、保存条件に関してです。常温保存ということですが、あちこちに輸出されているということで、ヨーロッパ、アジアへも行っていると思うのですが、そういう所の保存というのは、日本で考えるよりも温度が高い。例えば 30 ℃、 40 ℃、あるいは日本でもひょっとしたら倉庫の中はもっと高いかもしれませんが、そのような保存条件でも、今までは全然トラブルはなかったということになるのですね。

○事務局 常温の温度帯というところですが、基本的には 25 ℃を想定しつつ、製品の中にも直射日光を避けて、風通しの良い所で保管するというところで、なかなか 40 ℃、 50 ℃とか非常に高温の所まで、今回は検査を行っていないということでして、保存としても、余り高温すぎない所で保管をしていただきたいという製品と承知しております。

○大前部会長 そのほか、御意見はいかがですか。特にないようでしたら、今回の豆腐の規格基準改正については、事務局の案ということで御異論がないということでよろしいですか。

○事務局 事務局から、何点か改めて確認をさせていただきます。今回の製品については、資料1の中に入れさせていただいたとおり、常温流通品ということでボツリヌス菌を想定して、容器包装詰加圧加熱殺菌食品と比較して、 120 ℃・ 4 分という条件を設定させていただいております。そういった考え方で資料を作成しておりますが、それでよろしいかどうかということ。それから、条件として豆乳については 120 ℃・ 4 分と同等以上の条件を設定するということ、凝固剤については、凝固剤として衛生度の高いものを用いて適切なフィルターを使うということと、製造時にフィルターの性能を恒常的に確認する方法。こういったセットで凝固剤の衛生度合いを確認する。

 包材についても、過酸化水素水により殺菌をされておりますので、こういった方法でいいのかどうか。その上で、無菌充填についてはHEPAフィルターを用いた隔離空間で実施をされている点。

 基本的にこういったセットで、今回の無菌充填豆腐が常温で流通することが可能であることを事務局としては考えており、こういった条件を落とし込んだのが資料1の内容ですが、そういう内容で改めてよろしいかどうかも御確認を頂ければと思います。

○大前部会長 加熱による殺菌と物理的な除菌と、両方を使って滅菌、最終的には無菌豆腐を作るということを想定している。それを3ページの「同等な方法等」ということで落とし込んでいるということですが。滅菌、除菌の方法は、こういう形でよろしいですか。これ以外には、ないような気もいたしますが。

○春日委員 微生物規格基準だけの観点というわけではないのですが、保存期間をどのように決めているか、現状に合わせて、今回の改定にどのように反映されるのか。原案では保存期間については何も言及されていないわけですが、しなくていいのかというところだけ確認していただきたいと思います。

○大前部会長 A社、B社、各社では保存期間を決めていますが。

○春日委員 多分、品質の劣化も含めて想定されているのだとは思うのですが。

○事務局 保存期間については、各社におきまして製品の価値を損なうことがないような期間については、ある程度安全係数を用いて、現在の賞味期限ということで設定されていると承知しております。今回、規格基準の中で保存期間が、具体的にこれであれば何日ということは定めてはありませんが、こちらについては企業のほうで適切に対応いただけるものと考えております。

 ほかの食品でも、賞味期限について、規格基準の中で具体的に数字をお示ししているものは、基本的にはございません。

○大前部会長 そのほか、よろしいですか。それでは、規格基準の改正案については、事務局の案を承知したということで、それ以降、今後、食品安全委員会への食品健康影響評価など依頼したいと思っております。なお、その依頼の詳細については、座長である私に一任していただきたいと思いますが、よろしいですか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○大前部会長 どうもありがとうございます。それでは、今後の食品安全委員会の評価の依頼などについて、事務局で必要な作業をよろしくお願いいたします。これに関する件において、今後の予定について説明をよろしくお願いします。

○事務局 本日御審議を頂きましてありがとうございます。本日の御審議を踏まえて、食品安全委員会に評価の依頼をしたいと考えております。その結果が、本日御了承いただいた内容に変更を生じるものでなければ、本日の御審議の結果をもちまして、パブリックコメント等の募集の手続に進めさせていただきたいと考えております。事務局からは以上です。

○大前部会長 ありがとうございました。朝倉部長、どうもありがとうございました。それでは、これで 1 番目の審議、豆腐の規格基準については終了いたします。それでは、 2 番目の審議、「清涼飲料水の成分規格の改正について」、これに関して事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 議題2については、清涼飲料水のうち、ミネラルウォーターの成分規格について御審議いただくものです。お手元に資料2 - 1から資料2 - 4までを御用意ください。まず、資料2 - 1です。

 はじめに経緯についてです。清涼飲料水については、昭和 34 年に食品・添加物等の規格基準の第1食品の部のD各条において規定されて、これまでにも必要に応じて所要の見直しが行われてきました。平成 14 年、コーデックス委員会において、ナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準改正の動きを受けて、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会、当部会において、規格基準の改正について審議をし、平成 15 年の内閣府食品安全委員会の発足とともに、清涼飲料水の規格基準の改正に係る食品健康影響評価を依頼しました。

 その後、食品健康影響評価の答申を踏まえて、平成 21 年より当部会において、清涼飲料水の規格基準の改正について審議をし、平成 26 年厚生労働省告示第 482 号により、告示の一部を改正したところです。この際、平成 15 年に依頼した食品健康影響評価が未答申であること等から、部会で了承が得られなかった項目については、食品安全委員会からの答申状況を踏まえ、規格基準の改正を行うこととしております。今般、新たに食品安全委員会からの答申があった項目について、清涼飲料水の規格基準を改正することについて、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに平成 28 11 21 日付けで諮問されております。

 審議事項です。ミネラルウォーター類の殺菌・除菌を行わないもの ( 殺菌・除菌無 ) とミネラルウォーター類の殺菌・除菌を行うもの ( 殺菌・除菌有 ) の成分規格について、食品安全委員会での評価が終了したものについて、平成 22 12 14 日の当部会で決定した「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」に従って、別紙の成分規格の案のとおり設定をするという内容です。その内容については、この後、説明いたします。

 今後の対応としては、上記の成分規格の改正案については、食品健康影響評価を踏まえていることから、部会で了承された成分規格については、ほかの物質もありますので、ほかの物質の今後の部会での審議を踏まえて、パブリックコメント等の所要の手続を終了した後、告示の改正を行いたいと考えております。

 今回御審議いただくのが別紙です。ミネラルウォーター類の ( 殺菌・除菌無 ) の化学物質等の成分規格、物質名はセレンとヒ素です。セレンについては、現行基準が 0.01mg/ Lですが、こちらの改正案は 0.01mg/ L、同じ数字としてはどうかというものです。ヒ素については、現行基準 0.05mg/ Lという基準がありますが、こちらを 0.01mg/ Lにしてはどうかという内容です。同様に、ミネラルウォーター類の ( 殺菌・除菌有 ) についても、セレンを 0.01mg/ L、こちらは変更無しです。ヒ素について 0.05mg/ Lを 0.01mg/ Lにしてはどうかという内容です。

 資料2 - 2は、ミネラルウォーター類 ( 殺菌・除菌無 ) の成分規格です。先ほど少し御紹介させていただいた平成 22 12 14 日の当部会で決定されたミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定について、 ( 殺菌・除菌無 ) のものについては、基本的にコーデックスのミネラルウォーターの規格を導入してはどうかという内容になっております。

 セレンについて、食品安全委員会の評価結果、水質、水道法の評価結果、そしてコーデックスの状況について説明します。セレンの食品安全委員会の評価結果ですが、非発がん性について、ヒトの免疫調査において、爪の異常を含む臨床症状及び生化学指標において有意な影響が認められなかった摂取量を基に評価をするということで、 4.0 μ g/kg 体重 / 日というTDIが設定されております。また、水道法の水質基準等の評価結果ですが、平成 25 年3月に生活環境水道部会でTDIの寄与率 10 %として評価して、評価値として 0.01mg/ Lの水質基準が設定されております。コーデックスのナチュナルミネラルウォーターの規格としては 0.01mg/ Lということで、セレンについては 0.01mg/ Lをそのまま 0.01 mg/ Lとしてはどうかという内容です。

 ヒ素ですが、ヒ素の食品安全委員会の評価については、TDIは算出されておりません。理由としては、調査対象地域の総無機ヒ素摂取量を正確に推定することが困難であったこと、調査地域と日本では生活環境が大きく異なること、有害性を評価するために必要な発がん性に関するメカニズムなどの知見が不足していることから、発がんのばく露量における閾値の有無について判断できる状況にないということでした。食品安全委員会の評価の結果、TDIが算出されないということもありまして、右の水道法の水質基準についても、TDIが算出されなかったことから、水質基準の見直しについては行われておりません。

 ただ、水質基準については、平成 15 年の改正時、ヒ素の発がん性に関するリスクアセスメント関連のかなりの不確実さと、飲料水からのヒ素除去の実際的な困難さから見て、従来からの基準値 0.01mg/ Lを維持するという内容です。コーデックスについては、 0.01mg/ Lという基準です。それを受けて、ヒ素のミネラルウォーターの ( 殺菌・除菌無 ) については、 0.05mg/ Lという基準を 0.01mg/ Lにしてはどうかという内容です。

 資料2 - 3はミネラルウォーター類の ( 殺菌・除菌有 ) のものです。 ( 殺菌・除菌有 ) については、基本的には水道法の水質基準を参照しながら検討していこうという内容になっています。セレンですが、食品安全委員会の評価と水道の水質基準の評価については同様ですので、省略いたします。参考として、WHOの飲料水、水質ガイドラインをお示ししておりますが、セレンについては化学的データベースにおける不確実性のための暫定値ということで、 0.04mg/ Lという基準が置かれております。ただ、水道法の水質基準が 0.01 mg/ Lということもありますので、こちらについては現行の 0.01 mg/ Lをそのまま変更しないという取扱いとしてはどうかということで考えております。

 ヒ素については、WHOの飲料水水質ガイドラインで、処理性及び分析の達成可能性に基づき、暫定値ということで 0.01 mg/ Lが置かれております。ですので、今回のミネラルウォーター類 ( 殺菌・除菌有 ) についても、 0.05 mg/ Lという基準を 0.01 mg/ Lにしてはどうかという内容です。

 資料2 - 4は、ミネラルウォーター類中のセレン、ヒ素の含有濃度実態調査の結果です。平成 25 年に行った調査の結果ですが、対象としては国内外 115 銘柄 ( 外国産が 107 銘柄、国産が8銘柄 ) を対象として、分析方法としては誘導結合プラズマ質量分析法を用いております。セレンが定量下限が 0.00009 mg/ Lで、検出数 ( 定量下限を上回ったもの ) 52 、最小値は 0.000091 mg/ L、最大値は 0.0036 mg/ Lという結果でした。今回 0.01 mg/ Lという基準としてはどうかというものですが、その基準値案を超過した試料は0という結果です。

 また、ヒ素については定量下限値が非常に小さくなりますが、 0.0000047 mg/ Lで、検出数は 108 でした。最小値は 0.000008 mg/ Lで、最大値が 0.0059 mg/ Lという結果でした。こちらも 0.05 mg/ Lを 0.01 mg/ Lにしてはどうかという基準値の案ですが、その基準値の案を超過した試料数は0という結果でした。

 最後に、参考資料について簡単に紹介します。参考資料2別冊の 15 ページ目の参考資料2 - 3です。上の段が黄色く網掛けをしているもので、下の段が白いものです。こちらは飲料水 ( ミネラルウォーター ) の基準値の内容です。下の白い項目は基本的にこの部会での審議が終わっているもので、上の黄色い項目が、今後、審議を行っていただきたい内容です。全て食品安全委員会の評価が終わっているわけではありませんが、順次この表にある内容について御審議いただきたいと考えております。今回はセレンとヒ素ということで、先ほど御紹介した内容のとおりに改正させていただいてはどうかという内容です。事務局からは以上です。

○大前部会長 ありがとうございました。食品安全委員会でセレンとヒ素の評価が終わったので、それを基に今回、改正するということです。数値としてはセレンは今までどおり、ヒ素は 0.05 mg/ Lを 0.01 mg/ Lにするということです。他国との関連ですと、コーデックスと同じ数字になるということですが、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○大前部会長 それでは、事務局案を了承ということにしたいと思います。

 事務局のほうから、今後の予定についてお願いいたします。

○事務局 先ほど参考資料2 - 3で紹介させていただきましたが、今後、開催する部会で残りの幾つかの項目が審議終了した後、本日、御了承いただいた規格基準案と併せて、必要な手続を取らせていただきたいと考えております。事務局からは以上です。

○大前部会長 今日の最後のテーマですが、清涼飲料水の試験法の改正について、事務局から説明をよろしくお願いします。

○事務局 お手元に資料3を御用意ください。議題3については、清涼飲料水の試験法の改正についてです。経緯についてです。食品・添加物の規格基準の第1食品の部のD各条において規定されている清涼飲料水については、大きく分けて4種類あります。先ほど御審議いただいたミネラルウォーター類、冷凍果実飲料、原料用果汁、そして、それら以外のミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水の4つに分類されております。そして、それぞれの規格基準が定められているところです。このうち、ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水においては、告示の第1食品の部のD各条の清涼飲料水において、ヒ素及び鉛を検出するものであってはならないとされております。そのヒ素の試験法として、グットツァイト法とジエチルジチオカルバミン酸銀法が規定されております。

 今般、食品添加物の規格基準の改正により、グットツァイト法については告示の第2、添加物の部Bの一般試験法の項目のヒ素の試験法から削除されることが予定されております。清涼飲料水の規格基準に規定するグットツァイト法について、今回、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに、本年 11 21 日付けで諮問されたところです。

 グットツァイト法についてです。食品衛生法第 11 条第1項に基づく食品添加物の規格基準については、告示において、通則、一般試験法、試薬・試液等、成分規格・保存基準、製造基準及び使用基準が定められております。清涼飲料水の規格基準におけるグットツァイト法は、告示の第2、添加物の部B、一般試験法の項目の 36 のヒ素試験法の項目中の装置Aを用いる方法を引用しているところです。

 事務的な内容がずっと続きますが、要約すると、2ページ目の3番の審議事項の上の3行になっております。先ほど添加物のところで、告示の改正がされるという予定を御案内しましたが、その理由としては、グットツァイト法については有害試薬である臭化第二水銀紙が使用されているということです。そのため、先ほどの告示の第2、添加物の部のB、一般試験法の項目の 36 、ヒ素試験法の項目中の装置Aを用いる方法については削除することが予定されております。それを受けて、審議事項ですが、食品添加物の規格基準の改正を踏まえて、清涼飲料水のグットツァイト法についても、別紙のとおり削除するということとしてはどうかという内容です。

 別紙ですが、左側が改正案で、右側が現行です。現行の下線を引いた箇所が今回のグットツァイト法に関するものです。2にあるように、ヒ素の試験はイに示すグットツァイト法又はロに示すジエチルジチオカルバミン酸銀法により行うということで、グットツァイト法の内容が記載されております。左にあるように、ヒ素の試験法についてはグットツァイト法を削除してジエチルジチオカルバミン酸銀法のみにしてはどうかという内容です。

 資料3に戻って、今後の対応ですが、本日の部会の中で御了承いただきましたら、所要の手続を終了した後、告示の改正を行いたいと考えております。事務局からは以上です。

○大前部会長 ありがとうございました。この試験法の削除の理由は、有害試薬である臭化第二水銀を使っているということだそうですが、この提案について、何か御意見、あるいは御質問はいかがですか。

○浅見委員 この清涼飲料水等の試験方法については、今回、グットツァイト法を削除するということで、有害試薬を使っているということと、定量下限値も、ほかの方法に比べて高いのではないかと思うのですが、そういう理由から削除されることについては同意させていただきたいと思います。

 全体的になのですが、食品関連の測定方法は、基準値を超えるかどうかということを判断されるということで、定量下限値が高いものが多いような感じがしておりまして、水道法の場合ですと、基準値よりも 10 分の1で十分な精度が取れるもののみを試験法に残していくという形になっており、随時見直しをしているのですが、今後、少し時間がかかるとは思うのですが、試験法をしっかりと、新しいものも機材もいろいろ出ておりますので、良いものを残していって、定量下限が十分取れないものは削除していく必要があるのではないかと思います。といいますのも、検出されないこととなっている場合は、定量下限値が非常に重要な役割を果たしてしまうことがありますので、古い方法で適切でないということになりましたら、それは順次見直しをしていく必要があるのではないかと思います。以上です。

○大前部会長 コメントはありますか。

○事務局 浅見委員から御指摘いただいた点も含めて、事務局のほうでも、今後少し考え方を整理させていただきたいと思います。

○大前部会長 そのほか、委員の先生方から御意見、あるいは御質問はいかがですか。検出されないことというのは、おっしゃるように定量下限で決まってしまうという、非常にあやふやなと言いますか、そのような規定ですが、これもやむを得ないだろうということです。特に御意見はありませんか。よろしいですか。

○小西委員 本題からは外れてしまうかもしれないのですが、告示法に関してのバリデーションというのは取っている試験法と考えてよろしいのでしょうか。

○大前部会長 どなたにお答えいただけばいいでしょうか。この方法に限らずということですよね。

○小西委員 はい。今後、見直していかれるということですから、その中にはバリデーションを取りながら見直していかれるということを含んでいらっしゃるのかなと思って、確認のためにお聞きしました。

○事務局 今後、見直しをする際には、そういった点も含めて検討させていただきたいと考えます。

○山本課長 非常に昔からある古典的なものはさておきですが、食品衛生法で新しく試験法を規定する際には、バリデーションを取りながら、データを取りながら公定法にするということは心掛けておりますので、先生方から御指摘がありましたように、検出限界とか、あるいは汎用性とか、いろいろな点で考慮しながら、またバリデーションを取りながら公定法を整備していきたいと考えております。

○大前部会長 そのほかよろしいですか。この測定法、試験法の改正については事務局案どおりということで了承したいと思いますが、よろしいですか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○大前部会長 ありがとうございました。今回の試験法の改正については、食品安全委員会の評価依頼などについて、事務局で必要な作業はよろしくお願いいたします。この件に関する今後の予定について、説明をお願いいたします。

○事務局 こちらについては、食品安全委員会に評価を依頼して、その結果が本日御了承いただいた内容に変更を生じるものでなければ、本日の御審議の結果をもちまして、パブリックコメントの募集等の必要な手続を進めたいと思います。事務局からは以上です。

○大前部会長 ありがとうございました。一応、今日の議事予定は以上ですが、その他というのがあります。事務局から何かありますか。あるいは先生方のほうから、今日は幸いなことに時間が多少ありますので、何か御発言があればと思いますが。

○浅見委員 先日、清涼飲料水からの臭素酸の検出という事例がありまして、回収がなされたという報道がありました。もともと清涼飲料水で消毒副生成物というのは余り出ないのかなと思っていたところもあるのですが、消毒方法に恐らくオゾンを使っていたということであったり、今後、審議に入っていく中で、塩素消毒の副生成物のこともありますので、製造方法とか消毒方法等も確認しながら、必要なものは入れていく必要があるのかなと思いますので、是非、その辺の情報も御収集をよろしくお願いしたいと思います。

○事務局 できる限り、委員の御指摘を踏まえて、対応できるものを対応していきたいと考えております。

○大前部会長 そのほか、委員の先生方から何かありますか。なければ、事務局のほうからも何かありますか。

○事務局 少し前になってしまいますが、前回の部会の中で、幾つかカビ毒に関するものが議題に上がっておりまして、その状況について少し御報告いたします。まず、食品中の汚染物質の規格基準の設定については、平成 20 年7月に当部会で決定された食品中の汚染物質に係る規格基準の設定の基本的な考え方がありますが、それに従ってコーデックスの規格が定められている食品については、我が国でも規格基準の設定を検討することとしております。

 その際、国内に流通する食品の汚染物質の汚染実態であるとか、国民の食品摂取量等を踏まえて検討を行うということになっております。

まず、オクラトキシンAですが、こちらは平成 26 10 月の部会において、小麦、大麦、ライ麦については、コーデックスに準じて基準値を設定して、ほかにも比較的高頻度に食べられる食品については、ばく露実態を調査し、その結果に応じて、必要に応じて規制を決めるという内容になっております。このオクラトキシンAについては、偏在性が指摘されており、より正確に汚染実態を把握するという観点から、国家貿易品目である小麦と大麦については、汚染実態等のデータの収集について、農林水産省とも共同で行うこととしております。その他の品目について、例えばライ麦であるとか、インスタントコーヒー、ワイン等が挙がっておりましたが、そういった項目については厚生労働省において実態調査を実施しているところです。これらの実態調査の結果がまとまりましたら、その結果であるとか、国内経済への影響等も加味した上で、当部会において審議をお願いしたいと考えております。

 また、デオキシニバレノールですが、平成 22 年に食品安全委員会より自ら評価の結果が通知されて、当部会に報告しております。その後、平成 27 年のコーデックス委員会の総会で、加工向けの穀類ということで、小麦、大麦、トウモロコシについて2 mg/kg 、そして小麦、大麦、トウモロコシを原料とするフラワー、ミール、セモリナ及びフレークについて1 mg/kg 、乳児用穀類加工品について 0.2mg/kg の最大基準値及びサンプリングプランが採択されています。現在、こちらについては小麦に対して暫定基準値ということで 1.1ppm が設定されておりますが、コーデックスでの基準が設定されたことも受けて、日本における流通実態であるとか、ばく露評価の結果を踏まえて、今後、当部会でまた御審議いただきたいと考えております。事務局からの報告は以上です。

○大前部会長 オクラトキシンに関しては、現在調査中であるということ。そして、その結果によって、またここの委員会に出てくるということだそうです。デオキシニバレノールについては、今、 1.1 とおっしゃいましたか、 1.2 とおっしゃいましたか。

○事務局 今、日本の暫定基準値が 1.1 です。

○大前部会長 日本では、今、小麦は 1.1 ということですので、これに関しては、また後日、の委員会にかかるだろうということです。先生方から、今のことについて御意見はいかがでしょうか。

○小西委員 大きく3つあるのですが、最初オクラトキシンについて、1つ目がOTA ( オクラトキシン A) に関して調査をされるということですが、この目的です。コーデックスの基準に照らし合わせて、日本での基準値設定の有無を決定するために行うというように考えてよろしいでしょうか。

○事務局 基本的に委員がおっしゃったとおりです。

○小西委員 偏在性があるためなのですが、偏在性を見るのであれば、サンプリングプランも一緒に検討すべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 サンプリングプランについてということですが、偏在性があるということで、その点も、もちろん加味した上で、対応したいと考えております。偏在性も、年度ごとの偏在性も指摘されておりますし、大きな小麦の中で、全体が一律に均一に汚染されているということではありませんで、汚染されるとしたら部分的に汚染されるということも聞いておりますので、そういった中でしっかり汚染状況が把握できるという方法を検討した上で、汚染実態を把握したいと考えております。

○小西委員 1年ではなくて通年で調査をしたいというお話なのですが、今、市場に流通している小麦の約 90 %は、全部、輸入小麦ですよね。

○事務局 はい。

○小西委員 そうしますと、その輸入国が非常に大きな要因ではないかと思うのです。輸入国が変われば汚染実態も変わるだろうということなので、今の時点での輸入国の汚染実態は、これから調査されることでお分かりになると思うのですが、それを基準として基準値の設定を判断されるということであれば、もし輸入国が変わった場合、また同様な調査を行って判断をするというプロセスを踏むと考えてよろしいのでしょうか。

○事務局 汚染実態も踏まえてということになりますが、輸入国ごとに基準値を設定するということではないと思います。今回の実態調査で状況を把握をして、もちろん1つの輸入国ではなく複数の国があると思いますので、そういった状況も把握をしながら基準値については検討したい、この部会の中で、また御審議いただきたいと考えております。

○小西委員 2番目なのですが、デオキシニバレノールの設定は、もうコーデックスでされていますので、日本でもこれから本格的に検討されることと思うのです。子供、特に1歳から6歳の子供に関しては、体重が少ない割には摂取量が多いということで、ばく露量が大きいことが、もう既に厚生労働科学研究で明らかになっております。その際、基準を決めるときに、子供を含めた国内でのばく露評価の結果を踏まえて実施していただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 また、暫定基準値があるのは、今、原料の玄麦ですが、例えば小麦粉とか、小麦加工品等の食品を対象に加える可能性を教えていただきたいのですが。

○事務局 今、小麦の玄麦ということですが、まずコーデックスの内容を再度確認させていただきますと、加工向けの穀類ということで、小麦、大麦、トウモロコシについて、加工向けの穀類で基準値が設けられていて、それが2という数字。そして、小麦、大麦、トウモロコシを原料とする加工品について、1という数字が設けられておりますので、基本的にはそういったことも加味して、玄麦だけということではありませんで、日本の流通実態等も踏まえて、どこに基準値を設定するかということは検討させていただきたいと考えております。

○小西委員 最後ですが、食品安全委員会の自ら評価で、既にコーデックス基準が設定されておりますフモニシンと、設定されていないニバレノールについて、評価が終わっておりますが、これに対しての今後の対応を教えていただきたいと思います。

○事務局 ニバレノールについては、まだ現時点でコーデックスの基準値が設定されていないと承知しておりますが、今後のコーデックスの議論を踏まえて検討したいと考えております。ただ、現在、日本人のばく露実態については、汚染実態を並行して実施しておりますので、必要に応じてそういった結果も提示しながら、御審議いただきたいと考えております。また、フモニシンについては、コーデックスでトウモロコシとその加工品で、最大基準値が設定されているとは承知しておりますが、こちらはまだ食品安全委員会が今、自ら評価で評価をしている最中だと思いますので、その評価結果を踏まえて対応を考えたいとしております。日本の実態調査については、厚生労働省のほうで状況の把握実施をしておりますので、もし食品安全委員会の評価が終われば、その結果と私どもで実施している実態調査の結果を踏まえて、また当部会において御審議いただきたいとは考えております。

○小西委員 これは要望です。特にニバレノールは汚染地域がヨーロッパの一部と日本というように限局されておりますので、今後コーデックスで基準が設定されることはないと思うのです。 JECFA 、国際的なリスク評価も行われないと思います。しかし、国産麦を食しています我が国の健康被害ということを考慮すれば、食品安全委員会で決めたリスク評価を基準に、今後モニタリングを是非続けていただいて、何か必要であれば、基準値設定という検討も行っていただきたいと思います。

○事務局 現在、先ほど御案内させていただいたとおり、実態調査については実施しているところです。また、平成 20 年7月に決定された食品中の汚染物質に係る規格基準の設定の基本的な考え方の中にも、基本的にはコーデックスにあるものをという記載はありますが、必ずしもコーデックスで採用されているものだけを日本の規格基準に設定するという内容にはなっておりませんので、委員が御指摘の点について、私どもの調査結果等も踏まえて、今後、必要に応じて対応させていただきたいと考えております。

○大前部会長 ありがとうございました。今、4物質についてお話がありましたが、今のニバレノール、日本とヨーロッパの局所的なものだということなので、これは日本で独自に作ればいいと、そのような考え方でいいわけですね。作ったほうがいいという意味ですけれども。今、実態調査、ばく露評価をやっている最中で、食品安全委員会のリスク評価が終わったものと併せて、基準値を決めるべきものがあれば決めるという形で、これからこの委員会にもいろいろなそういう物質が出てくるものだと思います。

 そのほか、委員の先生方から何か御意見はありますか。ないようでしたら、事務局のほうから、その他ありますか。

○事務局 次回の当部会の開催日程等です。また後日、事務局のほうから追って調整させていただきたいと思います。事務局からは以上です。

○大前部会長 予定は 12 時ですが、少し早く終わりました。本日の議事は以上をもちまして終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課規格基準係

(03-5253-1111 内線4280)

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