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2016年12月26日 第9回 児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成28年12月26日(月)17:00〜19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第14会議室(12階)


○出席者

吉田(恒)座長 岩崎構成員 上鹿渡構成員 久保構成員 久保野構成員
床谷構成員 藤林構成員 峯本構成員 森口構成員 山田構成員
横田構成員 吉田(彩)構成員

○議題

○林補佐 定刻となりましたので、ただいまから第9回「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組の利用促進の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 本日は杉山構成員、林構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 まず資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付しておりますが、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料1、参考資料2を配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 なお、本検討会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
○川又総務課長 総務課長の川又でございます。
 司法関与の関係の議論の整理につきまして、状況報告を1点させていただければと思っております。
 前回、12日の第8回の検討会におきまして、これまでの議論の整理ということで資料の修正について座長と御相談をして整理をして、構成員の皆様に御確認をいただくこととしておりました。その後、大臣ともいろいろ御相談をしたところ、大臣からこの司法関与のあり方というのは非常に重要な検討課題でありますので、これまでの議論を踏まえてまず事務的にしっかり検討するようにと。また、検討会では、もう一方の課題であります特別養子縁組の利用促進のあり方について、早急に議論を進めてほしいといったお話があったところでございます。
 したがいまして、司法関与に関するこれまでの議論の整理の取りまとめ作業については、一旦、事務局でお預かりをさせていただきまして、本検討会におきましては、まずは特別養子縁組制度の利用促進のあり方に関する議論を早急に進めていただければと考えているところでございます。
 座長及び構成員の皆様方におかれましては、何とぞ御理解をいただいて、引き続き御協力をお願いしたいと考えております。
 なお、今後の対応につきましては、また追って改めて御相談、御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○林補佐 それでは、これより先の議事は吉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○吉田(恒)座長 皆さん、こんばんは。それでは、本日も検討会どうぞよろしくお願いいたします。
 まず本日の議事についてでありますけれども、配付されました議事次第にもありますように、特別養子縁組にかかわる関係者からのヒアリングとして、本日、大分県中央児童相談所の河野参事と、日本財団の高橋福祉特別事業チームリーダーにお越しいただいております。後ほど御説明をお願いし、質疑応答をしたいと思います。
 その後、森口構成員、林構成員から資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。なお、林構成員の資料については藤林構成員が説明すると聞いておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 その後、事務局から改めて個別の論点について説明をしていただいた上で、各構成員の先生方におかれましては、次回の検討会で詰めた議論ができるように、制度改正についてどのような必要性があるのか。また、どういった課題や留意すべきことがあるのか。これをまず明らかにするための御意見を出していただきたいと思います。
 つまり次回以降、必要性や課題、留意点をまとめた論点ペーパーに沿って御議論いただくために、論点ペーパーの作成に資する議論ができればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず関係者からのヒアリングに入りたいと思います。本日は特別養子にかかわる関係者として、大分県中央児童相談所の河野参事にお越しいただいております。児童相談所の現場の実態についてヒアリングさせていただくと大変参考になるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に10分程度御説明いただき、その後、15分程度それぞれ構成員の方から御質問等をいただければと思います。
 それでは、河野様、よろしくお願いいたします。
○河野洋子氏 大分県中央児童相談所の参事の河野と申します。
 本日は実務者としてこの場にお呼びいただき、発言の機会をいただいたことを感謝しております。ありがとうございます。
 児童相談所の実務者としての意見を述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 さて、大分県では平成14年度以降、子どもの最善の利益確保のため、里親委託を積極的に推進してまいりました。お手元の資料、里親等委託児童数の推移をごらんください。直近、本年12月1日の里親等委託率は30.9%となっております。
 また、特別養子縁組につきましても、子どもの最善の利益確保のために特別養子縁組が最も適していると判断した場合は、新生児委託であってもためらうことなく委託を進めてきました。
 大分県の特別養子縁組の実績、取り組みについては、お手元の資料のとおりでございます。平成22年度から27年度は33人ということで、年平均5.5名の養子縁組を行ってまいりました。
 現在、私が感じている課題について述べさせていただきます。まず特別養子縁組の年齢制限の問題です。なぜ6歳までなのか、常々疑問を感じてきました。お手元の資料で非公開資料となっておりますが、里親委託後に普通養子縁組が成立した子どもの作文を本日は持ってきております。御一読いただければと思うのですが、あわせて説明させていただきます。
 実はこの子どもさんは、大分県が里親委託推進に大きくかじを切ったころに里親に委託された子どもさんです。委託当時、6歳を過ぎていました。10年近く里親家庭で養育され、進路を検討する時期になって、本人から里親夫婦の養子になりたいと強い申し出がありました。「里親を本当の親と思っている。名実とも里親家庭の家族になりたい。私のプライドがあるんです。」と語りましたが、それは単なる姓の変更ではない生活の場の一貫性や永続性、アイデンティティーなど、過酷な背景の中で出身家庭を離れて里親家庭で生活してきた本児の人生の根幹に深くかかわるものでした。家族の一員として堂々と自信を持って生きていくことを支えてくれるような心理的な足場を求めていた。そういう子どもさんでしたが、年齢制限がございまして、やむなく普通養子縁組という対応をとりました。今でもこの子どもさんについては特別養子縁組が適当だったのではないかと考えております。
 実はこうした例は、この子どもに限ったことではありません。お手元の資料に普通養子縁組が成立した子どもが26年度1名、25年度1名とありますが、実は全員が特別養子縁組を望んだ15歳以上の子どもでした。子どもには実親との法的親子関係が残る普通養子を結ぶというのにはしっくりいかない部分があったようですし、里親も縁組後のことを心配していたようですが、現行の制度ではこれしかないということで普通養子縁組を結んだ子どもたちです。年齢にかかわりなく安定した信頼関係の構築が行われ、養親も子どももそれを望み、それ相応の理由がある場合には特別養子縁組という選択肢があることが望ましいと思います。
 また、年齢制限があることは、養子縁組の可能性がある子どもの処遇に大きな影響を及ぼします。家庭分離した直後から全く面会交流がない、親の意思表示がないケースならば、児童相談所としても里親委託や養子縁組への方向転換は比較的行いやすいのですが、家庭分離後しばらく面会交流があった場合や、年に1〜2回電話をかけてくるだけのケース、突然施設などにあらわれて子どもに「また来るからね」と言い残して、また1年くらい面会に来ない。そのうちだんだんと連絡がつかなくなる。こうして時間が過ぎるケースが多くございます。当所で乳児院から施設入所が継続しているケースの経過は、こうした事例が少なくありません。
 現在、乳児院から児童養護施設で暮らし、6歳になったばかりの幼児を一時保護しております。実親の面会交流も2歳以降ほぼないため、4歳のころから里親への措置変更を検討していましたが、県外にいることが判明した親の同意が何とかとれたのが5歳の終わり。本人が6歳ということもありまして、動機づけ等を丁寧に行ったため、マッチングに時間がかかり、里親委託開始が6歳を過ぎそうなケースです。実親にも特別養子縁組ということで承諾をとっていたわけですが6歳を超えそうということで普通養子縁組に変更。するとまた再度実親への説明が必要になり話がややこしくなる。このように委託開始時の年齢によって子どもの処遇に差が出る状況があります。
 里親の中には年長の子どもを受託している方もいらっしゃるわけで、年齢制限がなくなれば、子どもには特別養子縁組の可能性が出てきます。6歳という年齢設定のため、福祉制度の恩恵を全ての子どもが受けられないというのは非常に残念です。
 それから、少数派かもしれませんが、現在の特別養子縁組制度では子ども本人の意向が反映されないことに不安を感じる里親、養親がいることも事実です。実親との関係を切ることを子ども抜きで決めていいのか、自分たちのエゴではないのか、子どもがある程度意見を言えるまで待ち、意見を踏まえて養子縁組の手続に入りたいという里親が少なからずいらっしゃいます。確かに申し立て時期が長期化する、遅滞化する可能性もありますが、子どもの権利条約第12条に保障された子どもの意見表明権の尊重を具現化する意味でも、年齢制限の撤廃が行われることを期待しております。
 実親の同意で苦労した例を申し上げます。これまでの経験で特に困ったのは3例ほどです。1例は離婚して別居している父親の同意。このケースは父親が不同意で取り下げ寸前までいきましたが、何とか最終的には同意してくれました。その他2件は、戸籍上の父の同意がとれなかったケースです。これは児童相談所で実行可能なありとあらゆる方法を駆使して、時間をかけて接触し同意をとりつけました。
 それから、成立要件についてですが、やはり福祉の要保護条件と司法の要保護条件の違いを感じております。平成15年度に特別養子縁組の申し立てを行いましたが、家庭裁判所から申し立ての理由がないから却下するという事例がありました。裁判所の見解は、実父母の存在自体が児の利益を著しく害するとは認められないということで、民法第817条の6のただし書きが適用されなかったものです。成立要件の司法と福祉の違いを痛感した事案でした。
 なお、里親や養親から実親に里親、養親の個人情報を知られるのではないかという不安の声は、多く聞かれます。審判書に本籍地や現住所等さまざまな養親の個人情報が記載され、全てが開示されるためですが、特に持ち家に居住している里親等は心配になるようです。「親が突然現れるのではないか」とか、「(親が突然現れた)事例は大分ではこれまでなかったでしょうか」というような問い合わせは、里親募集説明会の参加者からも寄せられることが多いです。
 次に、子どもの出自を知る権利です。これはぜひとも保障しなければならないと日々現場で感じております。養親となる方への真実告知、生い立ちの整理への理解は必要不可欠です。私どもの養子縁組ケースで予後がよいのは、適切な時期に告知をして、親子でそれを対応していったケースだと考えております。
 里親委託中の中学生の子どもから実母の名前を知りたいと言われ対応したことがあります。実母の名前という子どもが当然持っておくべき情報であるにもかかわらず、当の本人は知らず、関係者である児童相談所の職員は知っている。こんなおかしなことがあるのだろうかということを感じたことがあります。母親の名前を知りたいという子どもさんに、私はホワイトボードで母親の名前を大きく書いて、あなたのお母さんの名前ですと伝えた際、子どもがまばたきもせずにじっと食い入るようにホワイトボードを見つめていた姿は今でも忘れられません。子どもの情報は子どものものです。子どもに適切な時期に伝える義務が大人にはあるのではないかと思っています。
 また、数年前には40代の女性が自分のルーツを知りたいと問い合わせてきました。彼女は養親から育てられ、自分のルーツの手がかりが欲しいというものだったのですが、養親は死亡、何もわからない。一緒に育った養親の実子も、そのことについてはわからないということでした。
 彼女は本当にどこに尋ねていいかもわからずに、思いついたのが保健所だったそうです。保健所から連絡を受け児童相談所で対応したのですが、ケース記録は廃棄されており、唯一、出身地の市町村の大字名と当時の氏名だけが残っていました。それを伝えましたが、彼女の心中を思うと何かできなかったのだろうかと胸が痛みました。実親のことを知りたいと思う気持ちは、子どもによって程度も時期も異なります。子どもが知りたいときにアクセスできる仕組みが必要で、特に児童相談所が開示する場合は、各自治体の個人情報保護条例等々のすり合わせもあると思いますが、何らかの統一的な基準があるほうがいいと思われます。
 また、個人情報保護の関係だと思われますが、現在では特別養子縁組が成立した子どもさんは、実親の戸籍や附票を追えないと聞きます。出自を知る権利の保障を明確に位置づけることが必要と感じております。
 以上、時間が来ましたので、これで終わらせていただきたいと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいた内容、また、児童相談所の現場や特別養子縁組をめぐる課題等について御質問、御意見おありかと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょう。床谷先生、お願いします。
○床谷構成員 床谷といいます。
 大分でのやり方については、詳しく書いていただいたので読ませていただきましたけれども、今の御発表の中で幾つか事実確認をさせていただきたいと思います。1つは審判書きの記載について問題提起をされていたと思うのです。審判書きについては間に入っている児童相談所の人たちも、直接それを実際に見るということが日常的に行われているということで、そのように考えてよろしいのでしょうか。間に入って特別養子縁組を成立させたケースについては、間に入った児童相談所の職員の人がその審判書きとか附属の書類を逐一見て、どういう書き方をされているかということを確認するというやり方をされていて、だから問題を感じたということでしょうか。私の聞き間違いかもしれませんが、そういったように問題提起されていましたので、直接そういうものを当事者、つまり親以外の間に立った人が、それを全部見ていると考えていいかということなのです。児相の担当者が。
○河野洋子氏 内容は申し立てのときは支援という形で見ますけれども、実際に最終的にどういったものを出しているかというのは、私どもは見ていません。ただ、審判書の写しは参考までにいただくことがあるのですけれども、私の発言のどこがわかりにくかったですか。
○床谷構成員 以前から審判書きの書き方に問題があるという問題提起があるのですけれども。
○河野洋子氏 審判書きというのは。
○床谷構成員 審判を裁判官が書いたものです。審判書と言われているものです。読み方の問題だと思いますけれども、そこもいろいろな書き方があって、家事審判が抗告されるときのために、ある程度の事実関係を書かないと抗告審の判断に困るというような法的な説明もあれば、そういうものがなくても抗告審の判断は十分できるという見方もあるので、これは裁判官の方にお聞きしたほうがより正確だと思いますけれども、そういう書類を間に入っている児童相談所の担当者が全部見ているかということなのです。そういうものを見る必要があるのかなというところの確認もしたいということもあって、質問としては、そういうものをちゃんと全部見ていくというのは実務では通常のやり方なのでしょうかというのが1つの質問です。
○河野洋子氏 認められなかったケースについては全部見せていただいたのですけれども、それ以外についは後で審判書をいただくということで、実際に審判がおりてから見るというような状況です。いただける方のみです。全ての方が同意をもって児童相談所に提供してくれるわけではないので。
○吉田(恒)座長 いかがですか。
○床谷構成員 もう一点だけ、これは保護者にお聞きするという最後のところで指摘いただいた出自を知る権利との関係で、お子さんが自分の実親の戸籍とか附票とか、そういうものを追おうとしても追えないという扱いになっているという御指摘をいただいたわけですけれども、これについては法務省になぜそうなるのかということを補足で説明をいただけるとありがたいなということです。
○大谷法務省民事局参事官 特別養子縁組がされた場合の戸籍の取り扱いでございますけれども、戸籍法上は、特別養子の本人から申請があった場合には、戸籍謄本が交付されることとなっておりまして、個人情報の保護の観点から、本人からの請求申請にすら応じないというのは、取り扱いとしていかがなものかと思っております。
○岩崎構成員 実際は出してくれないです。特に窓口では、あなたとお母さんとの法的な親子関係が終了したので、お母さんはあなたにとって今は赤の他人です。赤の他人の個人情報についてあなたに出すわけにはいかないと、確実にうちの子どもも言われました。ただ、A戸籍にとどまっている親ですね。それは自分のB戸籍をとれば同じ本籍ですので、その件は大丈夫なのですけれども、お母さんが再婚していたり、あるいは転籍をしていたりすると、そこからはだめだと言われますので、絶対に窓口にちゃんと出してやれと指令を出していただきたいと思います。
○大谷法務省民事局参事官 今の転籍の関係は私もよく承知しておりませんでした。基本的に今おっしゃったA戸籍については、御本人の権利としてそれは請求されるべきですし、それは応じなければいけないと思います。
○岩崎構成員 そこが問題なのです。A戸籍はとれるのです。
○吉田(恒)座長 よろしいですか。
 ほかに御質問ございますでしょうか。久保先生、お願いします。
○久保構成員 先ほど作文まで示していただいて御説明いただいた点で、仕方なく普通養子縁組にされたということなのですけれども、法的なものではなくて実務的な感覚で結構なのですが、普通養子縁組と特養の大きな違いを実務で感じられたところがあれば、教えていただければと思います。
○河野洋子氏 実務上というよりも養親さんや子どもの不安です。実の親御さんとの親子関係が残るので、例えば実親から何らかの請求が来るのではないか、介護しろとか、いろいろな遺産のこととか、負の遺産だったら放棄すればいいわけですけれども、そういったことが起こってくるのではないだろうかとか、そういった不安です。また、何よりもこの子どもさんについては「本当に私はこの家の子どもになりたい」と何度も何度も児童相談所の面接で言っています。本当に名実ともにこの家庭の子どもになりたいと思っている子どもの気持ちにくめなかった、添えなかったというのが、子どもの権利擁護機関である児童相談所の職員としてはじくじたる思いがあったということでございます。
○吉田(恒)座長 横田先生、お願いします。
○横田構成員 今の作文の話に関してなのですけれども、15歳以上ということでお話をいただきましたが、これは20歳を超えてもありますね。質問の趣旨は、年齢制限撤廃と言われたのですが、これは何歳ということか、端的に言うと20歳を超えてもということなのかどうか。実際にはもし撤廃されると、それまでにそういう手続をとると思いますから、必要性は多分なくなってくると思うのですけれども、でも御主張としては年齢制限の撤廃ということの意味は、本当に上限なしということなのでしょうか。それをお聞きしたいということです。
○河野洋子氏 もちろん成人になってからということもあるかと思うのですが、私どもの中では児童福祉法の範囲にとどまる間はということを考えております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○上鹿渡構成員 先ほどお話が途中で終わってしまったのですけれども、提出していただいた資料からすると縁組成立後の支援についてもお話してくださる予定だったと思いますので、ぜひこれについて短くても結構ですので、現場の話として教えていただければと思います。
○河野洋子氏 縁組成立後でやはり問題になるのは真実告知の部分かなと思います。養親側は自分たちとは血がつながっていないということを口に出すのも不安でたまらないという方も多いので、大分県では真実告知やライフストーリーワーク等の研修会を年に一度は実施して、里親・養親に意識づけをすることと、告知を希望する里親で大人相手でもその言葉を口に出してみたいという方には、ロールプレイ等の対応も児童相談所は行っております。その他、発達の課題等で不安を感じる里親・養親もいらっしゃいます。子どもの生まれたときの状況とか実親の情報がよくわからない中、発達の不安を感じる場合には再度、児童相談所のほうが実親の情報等を調査して、提供したうえで、発達の支援をしていくこともあります。
 この件に関連してなのですけれども、民間のあっせん団体によってあっせんされた子どもさんは、同居児童の届け出ということで児童福祉法第30条の届け出がされることになっております。こうした事例が大分県でも年に1〜2例あるのですが、こうした場合、大分では児童相談所のあっせん児童と同じように、試験養育期間中の月1回の訪問であるとか、申し立て時の支援なども行っていますが、その際に養親さんが一番困るのが母子保健上の情報がなかなかとれないということです。実親にどのようなアレルギーがあるのか、妊娠中や出生時はどういう状況だったのかなどがわからないまま養育するため、予防接種の場面とか健診の場面できちんと答えられない、そういう話をよく聴きます。
 したがいまして、民間団体からのあっせんで子どもさんを引き受ける養親さんには、そういった実親の母子保健情報の提供というのはぜひお願いしたいと、現場では強く感じているところです。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。では岩崎先生、お願いします。
○岩崎構成員 今、民間のあっせん団体のお話をなさいましたけれども、私たちのような児相から依頼を受けているケースでも、児相も全然調査ができていないケースの方が多くて、特に例えば、行方不明になったから養子縁組を積極的にやってみようというときになって、結局、親の情報が皆無な場合がほとんどです。出産のときの記載があれば上出来で、病歴などをちゃんと聞くというシステムが養護ケースをとる段階でもまだまだなっていないのです。どの辺まで親の情報を最初に聞いておくことが子どものために必要かというのは、余り児相間で一定にされていることではないと思います。児童相談所において少なくとも子どもの将来のためにそれが施設で育とうが、里親で育とうが、養子になろうが、必要になるであろう親族の病歴等については、ちゃんと聞くというシステムをつくってほしいなと私などは思っています。
○吉田(恒)座長 追加の情報ありがとうございます。
 河野様、どうもありがとうございました。河野様におかれましては、本日大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 続きまして、日本財団で特別養子縁組の普及等に取り組んでおられます、高橋福祉特別事業チームリーダーにお越しいただいております。日ごろの御活躍、お考え等についてヒアリングさせていただけると大変ありがたいと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋恵里子氏 日本財団の高橋と申します。
 本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 お手元に資料がございますので、そのレジュメに沿ってお話をさせていただきます。
 「1.日本財団の家庭養護(里親・特別養子縁組)についての取り組み」ですが、これは詳細については省きますが、里親のほうは長くやっておりまして、2013年から4年ほど前、特別養子縁組に特に力を入れて推進を始めました。
 今までの活動としては、民間養子縁組団体の資金協力や彼らとの勉強会、妊娠相談ガイドブックの作成、特別養子縁組についての研修や普及啓発活動、調査研究、政策提言などをやってきております。
 「2.目指す方針」ですが、子どもたちが安全で、安心で、愛情にあふれた家庭で健やかに育つ社会を目指して活動しています。小さな子どもにとっての家庭の重要性は言うまでもありませんが、家庭は子どもが18歳になった後のセーフティーネットとして機能します。子どもの自立を支えるという意味で、大変重要な役割を果たしていると思っています。
 こうした意味で永続的、恒久的とも言いますが、パーマネントな家庭、つまり子どもにとっての実家庭または養子縁組家庭のほうが望ましいと思います。社会的養護のいわゆる里親や施設における養育は、理念的には永続的な家庭を得るまでの代替的なものでありまして、その期間はできるだけ短いほうがいいかなと思います。ただし、現実には当然全ての子が養子縁組に行けるわけではありませんので、子どもにとって最善の選択肢が長期の里親養育というケースは多くあると思っています。
 なぜ永続的な家庭が望ましいかについて、ここで長く述べるつもりはありませんが、里親や施設の子は18歳になった時点で住む場所がなくなって、自立しなければいけない。これは子どもにとっては非常に厳しいです。東京都の調査でも、養護児童の施設等の出身者の生活保護の割合は、一般に比べて4倍という調査結果もございます。これに比べますと、法的な親子関係があるというのは子どもにとって大きなメリットがあると思います。
 参考資料として、最近、日本財団が行いました養子縁組家庭に関するアンケート調査の概要を添付しております。報告書のほうは100ページもありますので、インターネットで公開しておりますので、もし御興味があれば見ていただければと思います。
 このアンケート調査は、岩崎さんいらっしゃいます家庭養護促進協会さんと、民間の環の会、この2つの団体に御協力いただいて行ったものですが、こうした養子縁組家庭の調査は日本では恐らく30年ぶりではないかと思います。
 簡単に結果を御説明いたしますと、一般家庭と比較しても養子縁組家庭の経済状況は良好でありまして、親が子どもと食事をとる回数や絵本を読み聞かせる回数も、一般より多かったです。また、習い事や塾の出費も高かったです。社会的養護、里親施設で暮らしている子どもと比較しますと、子どもの通学状況や学業の成績はよいという結果でした。
 また、養子本人、これは10歳から大体17歳までの養子縁組の告知を受けている子どもですけれども、この子どもが自分に満足している割合や自分に長所があると感じている割合も、一般家庭と比較してもやや高いという結果になりました。
 こうしたことを見ますと、養子縁組という家庭が子どもにとって経済的、精神的、生活的に良好な環境を提供できていることから、子どもにとって自尊感情が高いという結果につながっていると言っていいと思います。
 こうした養子縁組につきまして、今年児童福祉法の改正と養子縁組あっせん法が成立いたしましたので、法律的には非常に大きな進歩があったなと感じております。こちらの検討会は、児童福祉法の改正を受けて司法介入と特別養子縁組について御議論していただいていると聞いております。児童福祉法の改正によって子どもが家庭と同様の環境で養育することが原則になった中で、子どもたちが安全な家庭で暮らすためにどのようにその権利を保障できるかという点。これについては子どもの権利と親の権利が相反した場合、子どもの権利を親権が侵害したようなときに、司法の関与が必要なのではないかと感じます。行政機関である児童相談所では限界がある部分が、児童保護でも養子縁組でも出てくるのではないかと思います。
 3番目の現在の課題なのですが、先ほどから河野さんもおっしゃっていましたけれども、原則、年齢が6歳までとなっていて、その利益を受けられない子どもがいる。これについては厚生労働省さんが行った調査で、選択肢として特別養子縁組を検討すべきだが、年齢が障害となった件数が46件となっておりますし、先ほどから普通養子と特別養子の違いも指摘されておりますので、全ての子どもに特別養子の利益が与えられることが望ましいのではないかと思っております。
 (2)の永続的な家庭の優先が今、法律上、明確になっていない。家庭養護というのは明らかに児童福祉法で優先になっておりますけれども、まだ永続的な明記がされていません。これについては国連の子どもの代替養育に関するガイドラインでも、永続的な解決策が目標となっておりますし、諸外国でもパーマネンシーという概念がかなり一般的だと思いますので、児童福祉法にもこうした部分をはっきりと書いてほしいなと思っております。
 (3)の実家庭への復帰が見込めないにもかかわらず、施設で長期間生活している子どもに永続的な家庭で育つ機会が提供できていないという点。これについては2つケースがあるかなと思っておりまして、まずマル1の児童相談所がそもそも養子縁組を検討していないというケースです。林先生がされた厚労科研でも、児童相談所の4割は養子縁組をしていないという結果が出ています。これを防ぐためには一定の条件の子ども、棄児ですとか父母がともに知れない、親が無関心、面会がない子どもについては、児童相談所が必ず養子縁組を検討する義務づけが必要ではないかと思います。
 マル2の児童相談所が養子縁組を検討しても実親が同意しないケース、または同意が不明なケースなのですが、これについても厚生労働省さんの調査で、特別養子縁組を選択肢として検討すべきなのに行えていない事例は298件で、そのうち同意が問題なケースは205件とかなりの部分を占めております。これについては民法の817条の6のただし書きの解釈が厳しいという点と、日本では実親の親子関係の終了と養子縁組の成立が1つの裁判であることが大きな問題ではないかと思います。
 この結果、児童相談所が特別養子を認められるか自信を持てず、委託ができない。養親が個人情報を知られることなどを不安に思う。それから、養親の申し立て時に実親の同意が不明、一方の同意が確認できないなどで断念することがある。このような問題が起こっています。
 改善案としてはもう既に指摘されているとおり、審判手続を2つに分ける必要があるのではないかと思います。特別養子縁組候補児の適格性を判断する手続と、養子縁組成立を2つに分けるという案が専門委員会の報告でも提言されておりますし、ことし7月に行われた特別養子縁組に関するシンポジウムでも、同じような提言が書かれています。
 それから、(4)の実親が特別養子縁組の審判の確定まで養子縁組への同意を撤回できるため、既に養親と子に愛着関係ができている場合に子に不利益をなすケースがあり得るという点は、同じく実親の親子関係の終了と養子縁組成立が1つの裁判であることが問題なのではないかと思います。これについては児童相談所と民間団体が養子縁組あっせんに当たって得る実父母の養子縁組の同意を法律上、有効なものとして、ただし、そのかわり同意撤回の期限を設けるのが諸外国と同じような形になるのではないかと考えております。
 (5)として、子の出自を知る権利が保証されていない。これについては先ほど河野さんもおっしゃっていたとおりでして、児童福祉法に子の出自を知る権利をきちんと明記してほしい。それとともに記録の保管期限を永久としてほしいと思っています。
 韓国に中央養子縁組院という団体がございまして、ここは今、記録を一元化して管理しておりますが、日本でも将来的にはこうした組織の設立が望ましいと思っております。
 (6)育児介護休業法による育児休業期間が今、子の年齢が1歳までしか認められていないという点なのですけれども、これについては特別養子縁組を前提とした監護期間については来年1月から育児休業として認められるようになりましたが、特別養子縁組に来る子どもは必ずしも赤ちゃんとは限りませんので、1歳以上の子どもを迎える場合、育児休業がとれないという形になってしまいます。これについては子の年齢にかかわらず、養育を開始してから最低でも1年間育児休業がとれるようにすることが、特別養子縁組の普及につながるのではないかと考えています。
 その他として、特別養子縁組に直接関係ないのですけれども、実親が施設措置なら同意するけれども、里親委託に同意しないという理由で、児童相談所が里親委託を行っていないということを結構耳にすることがあるのですが、これは子どもが家庭で育つ権利が保証できていません。弁護士さんの意見を聞いたところ、28条を使えばできるという御意見だったので、法律的な変更は必要ないのかもしれないのですが、そうだとしたらここのところをきちんとやっていただきたいなと思っております。
 それから、児童相談所と民間の人材の育成、民間養子縁組団体及び里親機関への公的資金の投入がさらに必要ではないかと思っております。
 以上です。
○吉田(恒)座長 どうもありがとうございます。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容、また、普及活動の現場の実態等につきまして御質問、御意見ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 ほかの方は質問がないようですので私から。(4)にあります同意のところですけれども、改善案として児童相談所及び民間団体が養子縁組あっせんに当たって得る実父母の養子縁組の同意。これは得るというのは、タイミングとしてはどのタイミングを指して得たという、どのタイミングでの同意を指しておられますか。
○高橋恵里子氏 委託に進む前に、養子縁組に進んでいいかという同意を得ると思うのですけれども、その段階の同意を意味しています。
○吉田(恒)座長 一番早いところでの同意という趣旨で、ここで書かれているということですね。ありがとうございます。
 同意の撤回の期限は妊娠後8週間というのも、大分早い段階でということですか。
○高橋恵里子氏 そうですね。
○吉田(恒)座長 このあたりの理由は何かあるのですか。
○高橋恵里子氏 私は法律の専門家ではないので確たる証拠はないのですけれども、主にヨーロッパなどでこういったケースが多いと聞いておりますので、それを一例として挙げました。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
○高橋恵里子氏 ごめんなさい、間違えています。出産後です。済みません。
○吉田(恒)座長 そうですよね。安心しました。
 では床谷先生、お願いします。
○床谷構成員 今のところの1つ上のところなのですけれども、手続を2つに分けるということの議論はこれからしていくのだと思うのですが、お考えとしてこの2つに分けた場合に児童相談所、親族による特別養子縁組候補児の適格性の申し立てを可能とする。この手続により実父母の同意は必要なくなるとつながっているのですけれども、この間が私は理解できなくて、なぜ実父母の同意は必要なくなると理解されるのでしょうか。
○高橋恵里子氏 実父母の同意がなくとも、特別養子縁組をするべきという判断をここでするのではないかと考えています。ごめんなさい、答えになっていないですかね。
○吉田(恒)座長 一応、御説明だけ承っておきます。ありがとうございます。
 横田先生、お願いします。
○横田構成員 私なりに理解したことを。これは要するに同意がなくても特別養子縁組にできるという817条の6の要件ですね。児童相談所長がこの要件に当たると思えば、手続は開始できるというニュアンスだと理解したのですけれども、違うでしょうか。
○高橋恵里子氏 そうです。
○吉田(恒)座長 ほかにいかがでしょうか。御質問ございませんか。
 それでは、御質問が特にないようですので、高橋様、どうもありがとうございました。本日は大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、御礼申し上げます。
 改めまして本日ヒアリングに御対応いただきました河野様、高橋様におかれましては、貴重な御意見、まことにありがとうございました。お二方からいただいた意見等につきましては、今後、本検討会における議論を深めるに当たって参考とさせていただきます。どうもありがとうございます。
 これからは私の提案でございますけれども、まず資料2をごらんください。こちらの内容、これまで構成員の先生方から特別養子縁組についていただいた御意見を取りまとめた資料であります。
 この中で比較的意見が少なかった部分が後ろのほう、10ページ以下「養子縁組成立後の養親や子どもに対する支援について」という部分は余り御意見をいただいておりません。他の論点に比べて情報が少ないのではないかと思われます。したがいまして、成立後の支援を検討するに当たりましては、現場の実態をお聞きしたほうがよろしいかと思っております。
 私としては成立後の家庭、養親さんの支援をされている社会福祉法人子どもの虐待防止センターの岡崎京子さんからヒアリングをしたいと思っておりますけれども、縁組後の支援のあり方、また、支援の必要性を我々もその必要性を理解するという意味で、ヒアリングを実施してはどうかという提案でございますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、岡崎さんからヒアリングをするということで、事務局の手続をよろしくお願いいたします。
 続きまして、森口構成員、林構成員から資料が提出されておりますので、それぞれ御説明いただきたいと思います。森口先生、御説明をよろしくお願いいたします。
○森口構成員 配付資料ではスライドを55枚も作ってしまい、説明に1時間ほどかかる分量なのですけれども、今日は5分でざっと見ていただくことにします。これはあくまでも個別の論点に行く前の背景として、日本の養子制度がどのように発展した結果、どのような現状にあるかを日米比較の観点から、別の研究では日韓比較もしているのですけれども、比較史の観点から考察したものです。全てお読みいただいて、もしご質問があればいつでもお答えします。ここでは要点だけを述べますが、また各論に移ったときにこれを参照して話すことがあるかもしれません。
 問題の所在は、日本では「養子縁組を児童福祉制度として考える」という観点が今まで欠落していた点にあります。養子制度というのは、先ほど高橋さんもおっしゃったように、家庭の再統合が望めない要保護児童に対してパーマメントな家庭を与える唯一の手段なのですけれども、そういう意味での養子制度の活用が、日本は本当におくれていると思います。そのことを示すためにここでは日米比較をしていますが、アメリカの制度が必ずしも模範的だとはいえませんし、日米ではいろいろな制度が異なることもあり、日本がアメリカになれといっているわけではありません。ただ、アメリカは児童の最善の利益を重視する養子制度、児童福祉制度としての養子制度を世界に先駆けて1850年代に法制化した国であり、その制度発展の経緯を見ておくことは参考になります。
 スライド6を見ていただくと、日米の他児養子縁組の比較をしています。養子縁組には通常、親族による養子縁組も含まれ、そこには連れ子を対象とする養子縁組も多く含まれています。そこで、ここでは要保護児童を対象する血縁関係に依存しない新しい親子関係の形成という意味で「他児養子縁組」に注目しています。その件数をみると、日本は出生1,000人当たり0.6で非常に小さい値です。アメリカでは出生1,000人当たり17人、つまり児童人口の2%近くが他児養子縁組という大きな値になっています。
 どのような人が養親となっているのか、ということをそれ以降のスライドで説明していますが、そこはほぼ飛ばすことにします。ただ、スライド8を見ていただくと、アメリカの他児養子縁組には3つのタイプがあることがわかります。まず、国内民間養子縁組ですが、これは主に民間のあっせん団体による健康な婚外子の新生児を対象とするものです。次に、この検討会にもっとも関連すると思われるFoster Care Adoption、里親養子縁組と訳していますが、社会的養護でいったん公的機関に保護された児童を対象とする養子縁組があります。アメリカではこの件数が近年伸びています。最後のカテゴリーが国際養子縁組、つまり海外の児童を対象とする養子縁組ですが、これは日本ではほとんど行われていません。後に示すように日本はむしろ海外に養子を送り出している方で、迎えている方ではありません。
 アメリカの養子制度の発展については飛ばしますが、スライド12の表を見ていただくと、アメリカではFoster Care Adoptionがだんだん増えてきて、2002年には他児養子縁組の44%を占めるまでになっています。その背景には制度の変化があります。スライド13にあるように、1997年のAdoption and Safety Actで初めてすべての要保護児童に恒久的な家庭を与えるという目標が設定され、養子縁組が推進されるようになりました。だから、アメリカでもパーマネンシーの考え方は比較新しい概念だといえます。
 アメリカでは新制度の導入と共にデータ収集を義務付け、進捗を評価し、さらに要保護児童のミクロデータ、つまり集計前の個人データを匿名化して公開しています。これらのデータでは毎年、公的機関における養子縁組の養親と養子の属性を細かく報告しているので、そのデータを全部集めてこの検討会のためにスライドを作りました。それがスライド14から23までです。例えば、要保護児童には2年以内に措置を解除し、再統合や新たな家庭を見つけることを目標にしていますが、スライド17によると7~8割の児童について目標が達成されていることがわかります。
 また、この検討会では縁組対象の児童の年齢を上げるかどうかが論点の一つですが、スライド20を見ると、アメリカでは里親養子縁組の養子の年齢はさまざまであり、6歳以上の子どもたちが3〜4割を占めていることがわかります。さらに、スライド22によると養親の3割は夫婦ではない未婚のカップルや単身者であり、日本の民法で定めている要件を満たさない児童や養親候補者が、積極的にFoster Care Adoptionを行っていることが見て取れます。
 スライド26以降は日本における社会的養護の展開に関するもので、ここでは戦後の早い時期に施設養護にロックインしてしまったことを述べているのですが、その過程についてはお読みいただければと思います。スライド35では、新たに出生1,000人当たりの乳児院在所児数と養子縁組数を対比しています。驚いたことに、日本は戦後初期にはたいへん貧しく、高度成長期に経済的にどんどん豊かになったのにも関わらず、乳児院で養育される乳児の割合は純増しています。これをゼロ歳児の他児養子縁組の割合と比較するとこちらは減少する一方で、二つの数値が大きく乖離していきます。これによって、社会的養護がどれほど施設に偏重しているか、いかに養子縁組が児童福祉制度として利用されていないか、がわかると思います。
 スライド36では養子法の変遷を見ていますが、日本に特別養子法ができたのは1987年とたいへん遅く、またようやくできても非常に不完全な法律だったといえます。里親制度については近年、改革が進んだと思いますが、養子縁組については、今年の改正児童福祉法を見ても、非常に限定的な意味で特別養子縁組に言及しているだけです。この点についてはまた個別の論点で述べさせていただきます。
 スライド39以降は、戦後すぐには日本でも他児養子縁組が随分あったのだけれども減少の一途をたどり、特別養子法の成立は「児童福祉としての養子縁組」の利用促進にインパクトを与えなかったことを論じています。スライド50でその理由を総括しているのですけれども、そのポイントは複数の要因が密接に関連しているという点にあります。縁組を希望する養親サイドの要因、子どもを縁組に送り出す実親サイドの要因、さらに法制度の要因が挙げられていますが、これらの要因の相互作用によって現状では特別養子制度がうまく機能していません。従って、特別養子縁組の利用促進をこの検討会で考えるに当たっては、制度の部分的な改変ではなく、総合的な改革が必要だということを強調したいと思います。
 最後に、スライド51以降では、養親サイドの要因である「日本では実子への選好が強く養子縁組を希望する夫婦が少ない」という点について分析を行っています。アメリカでは、不妊を動機とする多くのカップルが民間のあっせん団体を通じた養子縁組はもちろん、Foster Careからの養子縁組も行っています。ところが、日本ではまず不妊治療を行い、それがだめだったときに初めて養子縁組を考える、あるいは考慮さえしない、という傾向があります。実際、スライド52が示すように、体外受精を含む高度不妊治療の回数では日本は世界一、2位のアメリカをはるかに上回る断トツの1位です。しかし、スライド53と54によると、日本では治療回数は多いのだけれども、実際に生まれてくる子どもの数はアメリカよりも少なく、治療の成功率が非常に低い。これは晩婚化と治療の長期化を反映するものと思われ、不妊治療を続けても子どもを授からない夫婦も多くいるということを示唆しています。
 スライド55と56では乱暴な比較ではあるのですけれども、日米における体外受精児出生数と他児養子縁組数を比べています。日本では、特別養子法が制定された1987年の時点ではすでに体外受精が利用可能で、体外受精児の出生数の急激な増加とは対照的に、他児養子縁組はごく少数に留まっています。アメリカの場合は逆に他児養子縁組が広くおこなわれている中で体外受精が利用可能になり、その後も他児養子縁組数(国内と海外の合計)が体外受精出生数を上回っていることがわかります。すなわち、日本人の実子選好の強さは必ずしも「血縁重視の伝統」ではなく、特別養子法導入のタイミングによって説明される可能性があります。もしそうだとすると、子どもに恵まれない夫婦に特別養子縁組という選択肢があることを周知することは重要な政策となるでしょう。
 このように日本では、児童福祉としての養子縁組の法制度の整備が著しくおくれていて、特別養子法も不十分な点が多く、あっせん法もようやく制定されたばかりです。このような現状を理解した上で、この検討会でいろいろな問題点を議論していく必要があると思います。以上です。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 続きまして、林先生の資料について藤林先生から御説明をお願いいたします。資料5の1ページ以降です。
○藤林構成員 林先生から代読を依頼されまして、全部代読していますと20分、30分かかりますので、かいつまんで5分程度におさめたいと思います。
 ヒアリングの内容と重なる部分もあり、重要なポイントは繰り返しになりますが、まず子どもの年齢要件引き上げについてということですが、確かに生みの親との生活記憶や社会的な分別のある子どもについては、生みの親との関係断絶が適当でない場合があり、普通養子縁組が望ましい場合もあるということですけれども、(2)のところは、しかしながら、一方で実質的な親子関係(特別養子縁組)が必要な年長の子どもが普通養子縁組となっている場合もあるということです。今回の調査結果では、2年間で児相では34件、民間では2件の普通養子縁組が存在し、平均年齢は14歳となっている。また、選択肢として特養を検討すべきと考えられる事案については、障壁となっている事由として年齢要件が300件中46件、16.3%であるというふうに、これは繰り返しになりますけれども、指摘されております。
 下から3分の1ぐらいのところに、児童福祉法第3条の2のことがずっと書いてありますけれども、アンダーラインのところを読みますと、要するに家庭復帰が困難な子どもには、原則的には法的親子関係に基づいた養子縁組を考慮することが必要であり、特別養子縁組はこうした子どもたちにとって最も重要なパーマネンシー保障の手段と言える。あらゆる年代の家庭復帰が困難な子どもへのリーガル・パーマネンシー保障の必要性ということで、ここに書いております。
 2ページ目(3)に、引き上げによる懸念事項ということで書かれていますけれども、他方で年齢を引き上げることで縁組成立の遅滞化をもたらすことが考えられる。これは以前から林先生が指摘されていたところです。
 3ページの(1)審判の申し立て権です。これも先ほど議論にありました専門委員会報告(提言)において、審判の申し立ては養親のみしかできず、父母の同意がない場合に養親が申し立てる際の心理的負担は極めて大きいといったことが書かれているということです。そこで実親との法的養育関係を解消させる手続と、養子縁組の適否を判断する手続に分け、前者については児童相談所長に申し立て権を付与すべきであるというのが、この専門委員会報告の内容でした。
 これに関連しまして3ページの下のところです。国会厚生労働委員会答弁(2008.5.23)から、ここに引用があります。「二つの審判に分けられないかというお話がございましたけれども」ということで、アンダーラインのところを見ますと、「その結果、法律上、子に父母が存在しない時期というものが生じてしまうおそれがございます」「一方の判断と他方の判断が食い違ってくるような事態が生じたりするというような可能性がございます」ということがあったということです。
 今回の調査結果によると、特養を検討したが縁組に至らなかった事案が、実親が不同意を表明している事案が15件、実親の同意が不明な事案が16件、また、特養を検討すべきと考えられる事案について障壁となっている事由としては、実親の同意要件が207件で68.7%と最も多い。
 厚労科研(2014)における棚村政行氏へのインタビュー発言というところが引用されております。ちょっと長いですけれども、読み上げますと「親の同意に関して何らかのタイムリミットは必要ではないか。それもなければ、親の意向が最優先されることになり、子の最善の利益につながらないのではなか。実親の自己決定をサポートするため、カウンセリングなどを実施した上、同意撤回の期限や同意時期を定めるべきではないか」といったことが引用されております。
 ここから先が諸外国の状況を幾つか紹介されていますので、かいつまんで説明したいと思いますけれども、ドイツは、民法に基づき、この同意は公正証書に作成、後見裁判所に到達した時点で効力発生(親の配慮権の停止)、同意撤回不可、少年局が後見人に任命され、法定保護者となる。養親候補者に養育委託、養親申し立てというドイツの制度が紹介されています。
 オーストリアについてはアンダーラインだけ読みますと、養親となる者と養子となる者双方が申立人となるとなっています。
 フランスもアンダーラインだけ読みますけれども、養親の適格性の判断及び裁判所の養子縁組成立を求める申し立ては、いずれも養親となることを希望する者が行うというふうに紹介されています。
 5ページは韓国です。日本と同じように手続は一本化。裁判が終わるまでの養親の心理的負担などを考慮し、手続を2段構えにすべきだという主張もある。そろそろ結論が出てくるのではないかというふうになっています。2段構えにすることは養子縁組の適格性の審判が終わった時点で養子縁組対象児童になるので、養親の心理的負担は軽減される。その一方で審判が終わるまで時間がかかり、子どもが試験養育期間に移るのもその分、遅くなるのではないかと思う。ということが書かれております。
 アメリカは親権剥奪、公民機関が縁組申し立てを行うということで、アメリカの実情が書かれております。
 6ページの「3.子どもの出自を知る権利」については、一体何を具体化することなのか、その確認作業の必要性が言われています。児相や民間あっせん機関における記録のみならず、その他の情報源、例えば裁判所の審判書、家裁調査官の調査資料、戸籍等へのアクセスに関する実態把握とその改善に向けた検討の必要性、その上での課題の明確化となっています。
 時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 林先生につきましては代読ですので質問は承るのもあれでしょうから、先ほどの森口先生の御報告に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、特に御質問等ないようですので、先に進めたいと思います。
 岩崎先生、お願いします。
○岩崎構成員 ごらんになった方がこの中で何人いらっしゃるかどうかわかりませんけれども、たしか1カ月ばかり前にNHKが『養親に捨てられる養子たち』というアメリカのドキュメンタリーが放映されました。
 アメリカの場合は完璧に出生証明書が書きかえられますので、要するに養親子関係がうまくいかなくなると転養子しか、別の人に養子に出すしかないのです。それが極めて簡易にネット上で行われていたりするようです。年齢が大きくなった子どもは、より自分の生活の根拠としての家庭が必要であるにもかかわらず、養親の一方的な判断で養子に出されてしまう。新しい養親を求めてネット上で照会されるとか、それをあっせんする団体が子どもにレッドカーペットの上を歩かせて養親希望者がその周りにいて、その子どもとうまくいけばいいというような場所を提供しているようなドキュメンタリーだったのです。
 これは私たちにとってとてもショックで、子どものリーガル・パーマネンシーを保障することの大事さと、その後の養親子関係がどれだけうまくいくのか。養親になる人の規制を緩くしましたら、こういうアメリカと同じような事態が日本でも恐らく将来起こるであろうことが予測されるように思います。特別養子の年齢制限の撤廃も私も言っておりますけれども、年齢が大きくなるほどに養親子関係は難しくなりますし、養親から離縁ができないわけですから、転養子を考えるしかないということになるのでしょう。要するに里親を転々とさせられてきたアメリカの子どもたちの大きな問題は、これから養子縁組先を転々とさせられるという深刻な問題につながるのではないかと、いたく心配をさせられたドキュメンタリーでした。
 ぜひ森口先生に、この辺の実態がもう少し数字化されていないかどうかをお調べいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○吉田(恒)座長 今お答えいただけますか。
○森口構成員 アメリカは実験の国なのです。しかも、州ごとに養子法が大きく異なります。ですからNHKで報道されたようなケースがあったことは本当だと思うのですが、それが代表的だったかどうかはわかりません。そのようなケースが全縁組のどれくらいの割合を占めるのかを理解することが非常に大事で、公開されているミクロデータでは離縁のケースも記録されるので実際に確認することができるはずです。アメリカではかなり困難なバックグラウンドを持った児童についても、養子手当を出して養子縁組へと送り出したために、離縁といったような負の結果も出てきて、それも含めて実証的に検討するために政府がミクロデータを公開して、アウトカム・スタディーがおこなわれているのです。
 岩崎さんがおっしゃるように、縁組の要件を拡大すると離縁が増加してしまう危険もある。日本は、アメリカのように実験をしてみて、わぁ大変だ、変えようという国ではなくて、その逆にすごく慎重にまず民法で要件を定め、そこから様子を見ていくという国です。両方のアプローチがあるとは思うのですけれども、社会にとって最適な制度をデザインする上では、まずデータがあるということが大切です。だから、日本についてもこういうミクロデータを収集することを考えていただきたいと思います。そして、アメリカについてはNHKの報道は強い印象を与えたとは思うのですが、その事例の代表性については明確ではなく、印象よりは少ない事例である可能性も高いので、その辺りも考慮しつつ慎重に議論をすべきだと思います。ご意見ありがとうございます。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、先に進めます。森口先生、藤林先生、どうもありがとうございました。ただいま御説明のありました内容、ことし3月の専門委員会の提言、それから、この検討会でのこれまでの先生方の御意見も踏まえまして、次回、各論点について議論をしていきたいと思います。
 そのため、最初に私が申し上げましたように、制度改正についてどのような必要性があるのか、また、どういった課題、留意点があるのか、これを明らかにする必要があろうかと思います。これらの点につきまして、この場で構成員の先生方の御意見、お考えをいただきまして、次回それぞれの論点について必要性、課題、留意点、これらをまとめた論点ペーパーを事務局において作成していただき、次回の議論を深めたいと考えております。
 こうした趣旨でこの後、50分ほど構成員の皆さん方から御意見をいただきたいと思います。
 その前に、まず事務局からそれぞれの論点について改めて御説明をお願いいたします。資料2、3ですか。では、お願いいたします。
○林補佐 家庭福祉課の林でございます。
 資料2に沿って、本検討会でこれまで御議論いただいている特別養子縁組制度における個別論点について、簡単ではありますが、御説明いたします。
 1ページ目の子どもの年齢についてですが、今年3月の「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」の提言や、本検討会の各構成員からも御意見をいただいているところでございます。
 3ページ目、今後の対応方針(案)といたしまして、特別養子縁組の年齢制限について実態調査の結果も踏まえ、社会的養育の必要性との関係で、児童福祉の観点からどのような見直しが適当か検討するとさせていただいております。
 4ページ目、審判の申立権について、専門委員会の提言や本検討会の各構成員からも御意見をいただいております。
 5ページ目、今後の対応方針(案)として、実親の同意を得るのに苦労した実例や、実親の同意を得られなかった実例等の実態調査の結果も踏まえ、児童福祉の観点から実親から同意を得る手続や、特別養子縁組に係る審判手続、これらに関する運用のあり方等を検討させていただいております。
 6ページ目、成立要件について専門委員会の提言や本検討会の各構成員からも御意見をいただいております。
 7ページ目、今後の対応方針(案)として、特別養子縁組の成立に関して問題が生じた実例等の実態調査の結果も踏まえ、児童福祉の観点から実父母の同意、子の利益のための特別の必要性の要件や、これらに関する運用のあり方等を検討するとさせていただいております。
 8ページ目、子どもの出自を知る権利について、専門委員会の提言や本検討会の各構成員からも御意見をいただいております。
 9ページ目、今後の対応方針(案)として、特別養子となった子どもが自ら出自を知るための仕組みづくりに向けて、実務的な課題を明らかにした上で、児童福祉の観点から対応等を検討するとさせていただいております。
 10ページ目、養子縁組成立後の養親や子どもに対する支援について、専門委員会の提言や本検討会の各構成員からも御意見をいただいております。今後の対応方針(案)としまして、養子縁組成立後の養親や子どもに対する支援の仕組みについて、児童福祉の観点からどのような内容とすることが適当か検討するとさせていただいております。
 11ページ目、養子縁組の民間あっせん団体に対する規制等について、専門委員会の提言や本検討会の各構成員からも御意見をいただいております。国会の動きといたしまして、養子縁組あっせんについて民間事業者に対する許可制の導入や、業務の適正な運営を確保するための規制等を内容とする議員立法が、平成28年12月9日に成立しております。
 12ページ目、その他、全般的な御意見として御意見をいただいてございます。
 続きまして資料3についてですが、前回の検討会と同じ有効回収率を計上してございますが、自治体からの訂正の連絡を受けまして、赤色の部分で訂正してございます。訂正が生じ、申し訳ありませんでした。
 また、前回の検討会で藤林構成員から、実親の同意を得る際に困難が生じた事案と養親の監護開始の遅れとの関係性について御照会がありましたので、資料3の6から8ページで新たにお示しをさせていただいております。
 実親の同意を得る際に困難が生じた場合、養親候補者の監護開始や成立時点の児童の年齢が相対的に高くなるという傾向がございました。
 説明は以上となります。
○吉田(恒)座長 ありがとうございました。
 それでは、それぞれの論点について改正の必要性、課題、留意点等について具体的な考え、御意見をいただければと思います。
 また、その前に特別養子縁組の利用促進というものが検討課題として挙げられておりますので、全体的なところでまず特別養子制度全般についての御意見をいただいて、その後に各論という形で論点についての御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。久保先生、お願いします。
○久保構成員 大前提として確認なのですけれども、きょうお越しいただいた河野さんとか高橋さんの話にもありましたし、これまでの検討会でも指摘されているようですが、基本的に子どもにとっていわゆるパーマネンシー、永続的に安定した養育環境というものが重要であるということと、実家庭で生活できないお子さんの場合には、このパーマネンシーが優先されるべきであるというような認識でいていいのか。先ほどの事務局からの説明で児童福祉の観点とありましたけれども、基本的にはパーマネンシーというものが含まれていると考えてよろしいか、確認したいです。
○吉田(恒)座長 確認というのは、どなたにということではなくてですか。
○久保構成員 この検討会の中では、それは当然の前提になっているのかというところです。
○吉田(恒)座長 まずこの点で、パーマネンシーにつきまして御意見ございますでしょうか。
○久保野構成員 意見というよりは、問いに対して問いで答えるような形になるのですが、今までの司法関与の議論でも、リーガル・パーマネンシーという言葉は何度か出てきたように思うのですが、日本法の中ではなじみのない言葉であると思いますので、継続性そのものについてはきょうのお話でも少し出てきまして、ある程度はぼんやりはわかるような気もするのではございますが、そのあたりのパーマネンシーと言ったときの中身についてもう少し、それ自体を御議論いただくのがよいのかと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 久保先生、お願いします。
○久保構成員 すみません、言葉足らずというか、説明があれだったのですけれども、私としては永続的に安定した養育環境と考えているのですが。
○吉田(恒)座長 そういう趣旨だということですけれども、よろしいですか。
○久保野構成員 それ自体は差し当たり「はい、わかりました」ということですが、例えば先ほど久保構成員からヒアリングの際に御質問があったときに、普通養子と特別養子の違いをどこで捉えられるのかといった御議論があって、例えば永続的な養育環境といったときに、18歳で特別養子がふさわしいといったときに想定している安定的な環境というのは何なのかですとか、具体的に議論できるとありがたいなと、差し当たり私はこれ以上は質問という形ではございません。
○吉田(恒)座長 わかりました。
 ほかにいかがでしようか。では大谷参事官、お願いします。
○大谷法務省民事局参事官 法務省でございます。
 今の点ですけれども、リーガル・パーマネンシーといった場合に、普通養子縁組も法的に親権を養親に与えるということですから、1つのリーガル・パーマネンシーなのではないかと思うところです。
 森口先生のお話にもありましたが、日本で児童福祉のための養子縁組というのは、特別養子縁組しかないという御意見もあるのは承知しておりますけれども、実際の問題として、普通養子縁組も児童の福祉のために利用可能な制度だと思っています。特別養子縁組でなければ実現できないリーガル・パーマネンシーというものがあるのか、そのあたりのところも御議論いただければと思います。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 では横田先生、お願いします。
○横田構成員 いろいろな御提案を聞いていて、普通養子縁組のほうもあわせて考えたほうがいいと思うことが結構あるのですけれども、しかし、この検討会はあくまでも特別養子縁組に限定してということなのでしょうか。それとも普通養子縁組もあわせて養子縁組全体を考えましょうということが許されるのか。その辺はどうなのでしょうか。
○吉田(恒)座長 私のこれまでの理解では、当然、普通養子縁組も視野に入れて議論しないと、例えば年齢要件のところでも6歳、15歳というのがありますし、比較しながら考えなければいけないからです。
○横田構成員 いや、要するに普通養子縁組の制度の改正までということを考えるのか。視野に入れるのはもちろん当たり前なのですけれども、普通養子縁組も一緒に変えるということを議論して考えたほうがいいように思うことが個人的にはあるのですが、改正提案ではそこは触れないのかどうかということです。
○吉田(恒)座長 いかがでしょうか。私は必要に応じて議論せざるを得ないのではないかと思っておりますので、時間の関係もありますけれども、狭める必要はないのではないかと思っています。
○大谷法務省民事局参事官 法務省でございますけれども、民法の改正のことでございますので、もちろん改正について御提案ということだろうと思っています。養子制度は家族制度の1つであり、いろいろな見方があるような分野でございますけれども、この検討会では児童福祉の観点から養子制度、特別養子制度の利用促進のあり方等について御検討いただければと思っております。
○吉田(恒)座長 おっしゃるとおりだと思います。その観点から議論するところに、この検討会の意味があると思っています。どうもありがとうございます。
 では山田先生、お願いします。
○山田構成員 森口構成員が、特別養子縁組が唯一というお話をされましたが、これは州によっていろいろ違うのでしょうけれども、第3回の資料の71、72、これは以前にも若干御説明をいたしましたが、私がこの夏にポートランドに視察に行ってきたときの聞き取りを簡単にまとめたものです。
 第3回の71ページ、72ページ、これはオレゴン州の制度ですけれども、パーマネンシー・プランニングには3種類あって、日本で言うところの特別養子縁組に相当するものが第1優先となっています。次が、未成年後見人が監護するというリーガル・ガーディアンの制度です。そして、親権等は実親に置いたまま、パーマネント・フォスター・ケアといって縁組をするのではなくて、同一の里親さんがずっと永続的に実家機能を持ちながら子どもを養育していくというものです。どれも経済的支援があります。ポートランドに視察に行ったメンバーは10人で、そのうち2人が弁護士さんでしたが、その人たちから「日本の感覚だと未成年後見人のほうが優先なのではないか。未成年後見人はアメリカでも多くは親族ですので、親族が永続的な親になるということのほうが、より子どものためなのではないか」という議論が出て、そういう質問をしました。ディペンデンシー・ケース(Dependency Cases)といって、不適切な養育環境にある子どもたちの養育者について申し立てをする検察官(Attorney)から回答は、「リーガル・ガーディアンだと、いつの間にか、子どもが実親の元に戻っていて、もとの木阿弥になっていることがあるので、実親との関係が切れるアダプション(Adoption)のほうが優先である」という話でした。
 ただし、子どもが大きくなってから「実親との関係を少し交流したい」と言う場合もあるので、それはオープン・アダプション(Open Adoption)といって、特別養子縁組なのだけれども、縁の切れた親との面会交流をしたりとか、そのようなことで完全に絶縁というわけではないケースもあるのですけれども、基本的には実親との関係を切る特別養子縁組が最優先で、これが一番安定して子どもの安全を保てるというふうに聞き取りをしてきました。
 森口構成員の補足でした。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 あとはいかがでしょうか。全体的なところで私の意見ですけれども、先ほど大谷参事官がおっしゃったように、民法改正に絡むというのは直接この検討会の責務ではありませんので、ただ、この委員会のほうの議論として今後の改正の動きが出てきたときには、御参考にしていただくことになろうかと思います。
 あと、特別養子制度の利用促進ということですけれども、言わずもがなでありますが、権利条約にあるように、まずは実親の養育をどれだけ保障するかということが大前提である。これは皆さん御理解のとおりで、ですので特別養子制度の利用促進は、必ずしも特別養子の件数をふやすことではないだろうと思っております。
 つまり、最初に申し上げましたように特別養子制度というのは、私の見ているところ劇薬だというのは、要は実親にも子どもにも傷を残し得るし、それから、子どもを受けた養親さんも大変難しい思いをされるんだという、これが前提で、これらのダメージをどれだけ少なくしていくのかということ、そして、これが安心して特別養子に出せる、特別養子を受けられる条件だと思います。というので、そこを考えていくのがこの検討会の役割ではないか。そのために児童福祉として何ができるのだろうかということで、皆さん方のお知恵をお借りしたいと私は思っております。
 先ほど岩崎先生がおっしゃったことと少しつながってきますけれども、やはり制度設計に当たっても微妙な配慮が必要だし、また、運用に当たってもきめ細かな運用が必要だろう。そこをどうするのかということを一緒に考えていきたいと思っています。
 それでは、今度は個別の論点です。特に順番は、年齢であるとか要件であるとかいうことはこちらでお示ししませんので、どうぞ御自由に、これこれの論点についてはということで、では森口先生からお願いいたします。
○森口構成員 個別の論点に出ていない点で1つ挙げたい点があるのですけれども、いいでしょうか。
 特別養子縁組によって救済できる児童がどのような児童か、ということなのですが、一つには家庭の再統合を望めないまま施設で長期的に養育されている児童です。
 もう一つ考えなければいけないのが、予期されぬ妊娠の結果、生まれてくる子どもたちです。日本でもゼロ歳ゼロ日児の虐待死が毎年起こっていて、このような事件を未然に防ぐための養子縁組の利用促進も考える必要があります。菊田医師の提言はまさにそこにあったわけですけれども、このような観点は今までほとんど考慮されていません。実母による新生児の虐待死が起こる一つの理由として、実母のプライバシーの保護の問題があります。つまり、子どもの出生の事実が戸籍等に記載されてしまうことから、それを避けたいために出生届を出す前に新生児を遺棄してしまう。そのようなことが起こらないように制度のデザインを考えるべきです。私の理解では、特別養子法の制定時には実母のプライバシーについては子の出自をたどれる方がよいという判断で、実母の戸籍に出生の事実を記載することになったはずです。先ほど出自の問題が出たときに、でも実際は養子は実母の戸籍を見ることができないというお話でしたが、実母のプライバシー保護よりも子の出自を優先して現在の制度になったのにたいへん不思議です。そういう意味では、子の出自を知る権利の保護とともに、実母のプライバシーをどう確保するかという問題も一緒に考えるべきではないかと思います。
○吉田(恒)座長 そういう論点もあるということですね。ありがとうございます。
 では横田先生、お願いします。
○横田構成員 審判の申し立て権の件なのですけれども、先ほどヒアリングで発表いただきました、せっかくいらっしゃいますので御意見もお聞きしたいなと思って私が考えていることを申し上げたいのですけれども、最初の出発点として専門委員会報告、これは林構成員の資料が非常にわかりやすいかなと思っているのですが、それの3ページのところです。出発点として専門委員会報告ということで、要するに申し立て権を提案される意図と具体的な提案が書かれてありますけれども、最初に私自身の基本的な立場を申し上げますと、これは最初、第1回のときに申し上げましたが、基本的に制度を分けないほうがいいのではないかと思っています。
 その観点から申し上げることですけれども、専門委員会の報告書で現状に問題点がある。下線部を引かれているところの途中に線が引かれていないところがありますが、そこに「そこで」とあります。要するに、こういう問題点がある。そこで分割するという提案なのですけれども、素朴な疑問として最初から思っていることなのですが、これは現行の制度で児童相談所長に申し立て権を付与するという制度ではだめなのでしょうかということなのです。
 このような問題、私の理解では実親と養親になる人の間でトラブルが起きないようにということがこの趣旨で、お互いの間に距離を置こうということが問題提起の趣旨ではないかと思うのですけれども、だとしたら、それは現行の制度で児童相談所長に審判の申立権を与えることではできないのか。というのは、特別養子縁組は家事事件手続法の別表第1なので、訴訟だったら対審とかいろいろ面倒なことがありますが、それが家事審判だと緩い上に、さらに別表第1なのです。別表第1というのは本当にいろいろな、中に私は憲法違反のものもあると思っていますけれども、それは言いませんが、要するにかなり柔軟にできるはずだと思っていて、それでここで分離しないといけないと思っている方が、このためにと思っている目的は、家事事件手続法の今の164条をかなり、そんなに変えなくてもいいと思っているのですけれども、工夫次第で現状で何とかなるのではないかという感触を持っているので、こういうことを申し上げるわけです。
 この考え方だと、分離の提案に対して出ているいろいろな問題点、かなりのところはクリアできるのではないかと思っていて、そうすると、それが一番話が簡単ではないかと思っているので、そういう御提案をするわけですけれども、これに対してこの提案がないというのは何か私が見落としているのかなという気がするので、それを聞きたいのです。
 要するに分離の提案をされている方に、もし現状の制度で児相長に申し立て権を与えるということで、ある程度目的が達成できるのであるならば、それでもいいのか、いやいやそれは分離手続固有の何か必要なものがあるのかということをお聞きしたいというのが1つあって、もう一つは、逆に私が提案しているものに対する反論、これは恐らく分離の提案に対しても同じ反論があるような気がしているのですけれども、ということでここからは質問を誰に投げかけているのかというのが変わるのですが、その質問の審判の申し立て権の法学研究者による指摘とありますね。幾つか、ほとんどのものが国会の話も含めて今の提案でクリアできると思っているのですけれども、林構成員の3ページの真ん中、身分変動を伴う私法、民法上の対応と、行政上の行政行為という基本的理解が欠如しているという指摘です。これは何を言っているのか私はわからないのです。
 これは行政法研究者でわかる人はいないと思うのですが、というのはこの提案されている分離手続の中のどこに行政上の行政行為があるのかということです。どこにもないではないかと思っていて、これは意味不明な指摘だと私は個人的には思っています。なので、もしかしたら民事法ではこういう議論があるのかもしれないので、ちょっとお聞きしたい。
 ひょっとしたら、これを私なりに理解すると、次の4ページのオーストリアの下線部、養子縁組とは身分関係の喪失、解消の制度なので、縁組当事者のほかに申し立て権を認めない。この話がここに来ているのかなと。つまり3ページの前半部分です。身分変動を伴う私法上の対応というのはそのことかな。だとしたら理解不可能ではないのです。
 これはここからが質問ですけれども、そんな理屈は日本法にあるのでしょうかということがわからないのです。
 確かに例えば離婚の場合に申し立て権を要するに夫婦の一方だけにしていますね。だけれども、それはそれ自体が戦後の改革なので、それ以前からの歴史はないと思うし、今、話をしている特別養子縁組は別表第1なので、しかも後見的に裁判所が関与する話なので、そしてだから要するに当事者を超えて裁判所が乗り出してくる話なので、そもそもそんなハードルがあるのか。親権喪失のときに、利害関係のよくわからない親族に申し立て権を認めている一方で、身分関係だという理屈があるかわかりませんけれども、あるということでこの特別養子縁組の申し立て権を制限するって、どれほど説得的なのだろうというふうに思っていて、ここがひょっとしたら分離の主張をされている立場、それから、私が提案した立場、どちらにとってもひょっとしたらハードルになるかもしれないけれども、しかし、そのハードルはそんなに高いハードルなのでしょうかということを、長くなりましたけれども、以上です。
○吉田(恒)座長 山田先生、お願いします。
○山田構成員 もう一回質問をさせていだたいてよろしいでしょうか。私の質問は、横田構成員がおっしゃるように児童相談所長に申し立て権を与えて、今の制度のまま分割しないでできるのだったら、多分それが一番すっきりするのだと思うのです。ただ、養親さんがそこにかかわらないで、一体、特別養子縁組が組めるのかという素朴な疑問を感じます。
○吉田(恒)座長 横田先生、お願いします。
○横田構成員 そこですけれども、対審ではないので、もちろん養親になる方に聴取はするわけです。だから申し立て権者は児童相談所長だけれども、もちろん養親になる人の意見を聞かないととてもではないけれどもできませんが、それはそれで手続の中に組み込む。ただし、実親と養親の間が離れたままでの手続が本当にできないのかなというのが、私の根本的な疑問です。
○岩崎構成員 具体的な例を申し上げたいと思うのです。私たちが1本立ての養子縁組の審判に対して疑問を持ったのは、まず私たちが養親をあっせんするときに、実親が存在する場合、まず実親の養子に出しますという同意がなければマッチングをやらないのです。
 確かに大阪では、実親の行方がわからないとか、全く面会や何かを放棄しているにもかかわらず、養子縁組に対して非常に否定的であるという場合に、実親の同意が取れてない状況でも、私たちが勇気を持って裁判所の判断を伺うという事例もありますが、その同意の確認の問題については別にして下さい。
一番最初の、親が養子に出します、あるいは養子に出したほうがいいのではないですかということに同意し、同意書を取っていても、その同意は法的な同意としては扱われず、申し立てた後に調査官から呼び出しがあって、そこで確認された実親の同意が法的な効力のある同意になるのです。
 私たちにすると、養子に出しますという同意に基づいてあっせんをし、血のつながらない里親と子どもが血みどろになって親子になるための努力をした半年間の試験養育期間を過ごした後に申し立てているにもかかわらず、改めてその時点で実親の同意が確認される。確認ならいいのですけれども、「これで決まってしまえばあなたは親で一生なくなりますよ」というふうに説明をされることによって、実の親が改めて養子に出すということの現実性の中で揺さぶられるわけです。「あなたが産んだという事実はなくならないんですよ」という説明を入れてくだされば、私はかなり違うと思うのです…。
 「この特別養子が成立してしまうと、あなたは法的にも親ではありません。そういう養子縁組なんですよ、よろしいですか。もう一度尋ねますが、同意はなさるんですね」みたいな形で調査官がやっていらっしゃることもあって、そこで揺れるお母さんが出てくる。あるいは普通養子なら自分のほうからも離縁が申し立てられるし、法的な親であることもずっと継続されるので、特別養子ではなく普通養子にしてもらいたいということが初期にはよくありました。私は決して実親の同意に対して揺さぶられることが必要でないと思っているわけではありません。しかし、申し立てたほうはこの時にはすでに親子になっているのです。
 それが揺らがされることで私たちの一番つらいのは、子どもが、産みの親よりもしっかりと育ててくれた申立人を親として受け入れたにもかかわらず、これが親の不同意によって揺さぶられることになると、誰が一番気の毒なことになるかというと子どもなので、私たちはそれを守るために、最初に私たちや児童相談所がした同意を第1同意だとして、もっと慎重に扱ってもらえないと、今まで私たちがしてきた仕事がゼロになるわけです。
 ましてや出された審判に対して2週間の即時抗告期間が置かれました。私たちの事例では即時抗告の申し立てはありませんでしたけれども、ほかの事件ではあるわけです。認容の審判が出て、いよいよ親子になったなと安心した後にまで、実の親に同意を翻せる権利を与えていることが、子どもを守ることになるのかどうかという疑問があって、この審判のやり方はおかしいのではないかということに、私たちは気づきました。それが1つです。
 もう一つは、プライバシーの保護がということについてです。審判書には、この特別養子縁組事件に関与する実の親、養親となる申立人の生年月日、住所、本籍、それに実親の養育できない理由や子どもの出生の状況等々、養親となる申立人の家族関係、夫婦関係、職業、財産等々が書かれているわけです。その審判書が双方に送られる。そのことがどれほど子どもの将来にとって意味があるのかということを考えます。とりあえず実親に、「あなたはこの子を育てられないという現状がどうあって、養子に出すことに同意をしている。その同意はこういうことを意味しているが、それを了解しているのですね」という確認を充分に揺さぶりをかけて、本当は私たちがマッチングをする前にとっておいていただいて、それに基づいて私たちの行為が始まる。そうすると「私たちはこの子の親になりたいです」という申立人からの申立てに対して裁判所が審判を下してくださることで、養子縁組は本来整うはずだ。
 そうすると、それぞれの審判に対して、それぞれの審判書が送られるのであれば、結局、双方が情報を知る必要がない。もちろんいろいろな理由から、審判書の内容が詳しくなり過ぎないように、裁判官に上申しています。聞き入れて下さる裁判官もおられます。例えば普通養子の時代でしたが、親が養親に対して「私は今、経済的にとても困っていて、あなたに私の子どもをあげたのだから、あなたから経済的な援助を受けたい。もしそれをしてくれないのであれば、あなたの地域社会、子どもの行っている学校に、この子は養子だということを言いふらしますが、よろしいでしょうか」ということを実際に云ってきた実親がいました。
 もちろんそんな親が多々いるということでは決してありませんけれども、場合によっては実の親がその同意をすることに対して、金銭の要求をするようなケースが全くないわけではないので、子の福祉の観点からはそれは認めるべきではないというところで、まず育てられない状況における特別養子への同意を先にとっておいていただいた上で、こちら側は血みどろになって親子になる。そのことが決断されたときに養親となる側から申し立てをするという2段階方式のほうが、私たちにとっては納得ができるということだったのです。
 すみません、少し長くなりました。
○吉田(恒)座長 では久保先生、お願いします。
○久保構成員 横田構成員の疑問に答えられるかどうかわかりませんけれども、私も2段階の手続には賛成しております。ただし、2段階にして前者に児童相談所長の申し立て権を付与するということと、現行制度に児童相談所長の申し立て権を付与するという問題は、必ずしもリンクさせる必要はなく、別々に論点としていいのではないかと思います。
○吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。
○床谷構成員 民法の立場として、一人の民法学者として発言させていただきますけれども、先ほど御指摘いただいた林構成員のペーパーの中の3ページの申し立て権を分けることについての分離化についての法学研究者による指摘ということなのですが、この指摘のうち、前半の親権喪失要件と特養要件のそご以降の部分については、これは同意が要るか要らないかということと、親権喪失の要件がどうかというところの部分についての議論にかかわる箇所で、それから、2番目のところの親の同意に実体上の効果を持たせていないから、実親子関係の断絶と養親子関係成立を単一の審判で行う必要が生じるという見解が存在するということも、これも同意の手続の問題、同意の効果の問題だろうと思うのです。
 3番目の身分変動を伴う私法上の対応と行政上の行政行為という基本的理解が欠如しているという指摘。これは私は知りません。こういう指摘を民法学者がしているかどうかは知りません。
 民法のほうで2つに分けたほうがいいという考え方は確かにあるのですけれども、根拠というのは第1段階で養子縁組に適格な子どもをまず確定するというのが2段階にする目的であって、誰が申立権を持つかという話とか、養親の申立人に対して実方からいろいろと害が及ぶとか、そういったようなことについては余り議論というか考慮の中には出てきていません。
 やはり養子縁組をするのに適格な子どもというものをまず決めておいて、そこからある養方を探す。その養子縁組がうまくいかない場合には次を探すという、その探せるということを一からやり直すのではなくて、縁組に可能な子どもだということで、あとは養子縁組をする、誰に養子縁組先に行くかということの段階だけでするという、そういうところが大きな狙いなのだろうと思うのです。
 これはフランスの国家被後見子のような発想だと思うのですが、この場合の問題点は、そこの厚生労働委員会の中にある一時的にしろ、親がいない子になるのではないかということで、国家被後見子のように国がその子の身分や権利義務の全て責任を持つというような状態があれば可能だけれどもというのが2段階説の、そういう狙いからする2段階説に対する批判点というところだと思うのです。
 ここの議論、今している議論は、なぜ2つに分けるのかということと、同意をどの段階でとって、その同意の効果をどこまで、どういうふうにするか。同意によって同意は撤回できない状態をつくる、あるいは同意不要という状態をつくるのか、それによって親子関係が消滅するという効果までもたらすのかというようなことなので、なぜ2つに分けるかということと、誰が申し立てをするかということと、同意をどうとって、どう効果を与えるかということを分けて考えたほうがよいのではないかと思います。
 特別養子法を改正したときに、従来の許可型ではなくて裁判所の宣告型にしたのは、身分法上、私法上の権利義務関係を変動するということは、裁判でないとできないのではないかということで、許可ではなくて裁判所によって宣告するという方式としたということで、これはドイツなんかも同じですけれども、従来の当事者の契約を裁判所が承認するということでは足らないということで宣告型になったのと、発想的には同じだと思うのです。
 先ほど紹介いただいたオーストリアのケースは、契約型など保っていますけれども、オーストリアの場合は保護裁判所がそれを承認するという形をとっていますが、林構成員のペーパーには完全養子と書いてありますけれども、オーストリアの場合は実方との権利義務は家族法上の権利義務は消えますが、財産法上の権利義務は劣後して残るので、ちょっと効果が違うのだろうと思うのです。そのあたりのことも少しこのペーパーを見ていて気になったところなので、少し長くなりましたけれども、補足させていただきました。
○吉田(恒)座長 この論点についてですか。
○横田構成員 多分もう次回以降の話になると思いますけれども、幾つか教えていただいたことの中で、例えば同意の時点の話、どの同意がという話は恐らく私の議論の中でも同じ話があると思うのですが、今、出てきた中で重要だと思われるのは、まずは最初の実親子関係をきっちりそこで決着をつけておくというところが、私が先ほど言わなかった2分割説のポイントだということなので、もしそれが大事だということになると、私の話はそれに対して答えていないので、やはり2分割説に意義がある。ただ、それ以外のことは、まだわかりませんけれども、何とかなりそうな気がしているのです。
 以上です。
○吉田(恒)座長 きょうのところでは論点を出していただくということで、また改めて、より明確になったところでもう一度やりたいと思います。
 ほかにこの検討会で議論をしておくべきこと、この資料2に載っているもので、結構これまでも御意見をいただいていますけれども、このほかの部分でいかがでしょうか。より細かく論点を出していただければ。
 では床谷先生、お願いします。
○床谷構成員 これは確認的な質問なのですけれども、7ページのところに今後の対応方針というところで、専門委員会の報告、構成員の御意見ということで対応方針として特別養子縁組の要件、実父母の同意、子の利益のための特別な必要性の要件や、これらに関する運用のあり方等を検討するということなのですが、これは家族法の学会で議論しているように、この要件そのものを改正するということではなくて、要件というか条文規定はそのまま置いたままで運用上で、運用というよりも裁判官の考え方を改めろという趣旨の運用なのか、持っていき方ということの運用なのか、そこのところがわからないのですが、法改正を要求するということではなくて、よりもう少し規定を前提とした上でうまく運用できないかという趣旨と理解してよろしいですか。
○吉田(恒)座長 私に聞かれても困りますけれども、事務局から何かありますか。
○林補佐 特に明確な方向性が見えているわけではないのですが、法律事項や運用で改善できるような部分について、この議論の中で排除するというわけではなく、改善できるものがあるのではないか、という考え方から書かせていただいているところです。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 法律事項、法改正にかかわる事柄であっても、ここの委員会で決めるというよりも、最初にお話があったように、児童福祉の観点からすればこういう制度が望ましいのではないかという提案はできると思うのです。ですのでそれを妨げるという気持ちはありませんので、ぜひそちらもお願いしたいと思います。
○石井最高裁判所事務総局家庭局第二課長 運用の改善について言及がありましたけれども、要件の解釈のようなものにつきましては、個々の具体的な事例における裁判官の判断事項でございまして、これについては何か提言をすることにより統一していくような性質のものではございませんので、その点については御留意いただきたいと思います。
○吉田(恒)座長 裁判官の独立がありますからね。
 ほかにいかがでしょうか。例えば私のほうからですけれども、民間機関のあっせん法が成立したということで、きょうの資料ではとまっておりますが、今後この運用の場面が出てくると思うのです。ですので、こちらに関しましても法律はできたのだけれども、こういう観点からあっせんの仕方、また、あっせん機関に関するコントロールが必要ではないかという御意見はぜひいただきたいと思っております。
 それから、支援に関しては次回、虐待防止センターの岡崎さんから出ると思いますけれども、どういう場面で支援が必要で、それに基づいて何が必要なのかというのは出ていない分だけ皆さん方からの御意見をより積極的にいただきたいと思っております。
 あとはいかがでしょうか。藤林先生、お願いします。
○藤林構成員 今の座長のまとめ方の確認なのですけれども。例えば、縁組後の支援のあり方の中で、何かとても大きな法制度、法改正が必要な部分があるのかどうかわからないのですが、そうではなくてソフト部分だけであれば、それは私の理解では、この検討会の中の議論ではなくて、もう一つ別の社会的養育の検討会の議論になるのではないかと思っています。そこの確認と、もう一つはあっせん法関係についてもこの場で何か必要なことがあれば意見を出し合うとか、議論するというところまで含めるのですね。そういう確認なのですけれども。
○吉田(恒)座長 私は特別養子縁組の利用促進という観点で、この検討会が設けられているということでありますので、御意見をいただければ。それをまた社会的養育の委員会に反映させていただくことは可能ではないかと思っております。ですのでお互いにこれで縛るということではありませんので、こんな意見が出ましたということを御参考にくださいということです。
 ほかいかがですか。よろしいでしょうか。
○岩崎構成員 これはこの委員会としての公式的な資料ということではなく、協会が50周年に行いました20人の子どもたちと私の対談で、里子として、あるいは養子として最低で20年、最高で五十数年を生きてきた子どもたちが何を思い、何を考えてきたかというところを訊きだしました。その冊子をかなり多数つくりましたので、自前で褒めるのではないですが、とても読んでおもしろいものなので、ご参考に読んでいただければありがたいと、今日ちょっと配らせていただきました。公的な資料ではございませんので、お暇なときにお目を通していただければいかがかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田(恒)座長 どうもありがとうございました。
 それでは、予定の時間になりましたので、事務局におかれましては本日の議論を踏まえまして、次回の検討会までに論点ペーパーを作成していただければと思います。
 最後に事務局から次回の日程等、連絡事項をお願いいたします。
○林補佐 次回の日程につきましては、1月16日月曜日、17時から19時を予定してございます。ヒアリングと引き続き特別養子縁組に関して御議論をお願いしたいと考えております。
○山田構成員 事務局に1つ確認なのですけれども、前回第8回の資料3−2が、きょう川又課長のお話だと事務的に詰めるために事務方預かりとなったようなのですが、あの資料の一時保護の司法審査の部分ですけれども、あれは議論の中では一時保護そのものに対しての司法審査であって、2カ月の期限を延長する場合の司法審査という論点では一部意見は出ていましたが、主たる議論は一時保護そのものの審査だったということでよろしいのですね。
○吉田(恒)座長 川又課長、お願いします。
○川又総務課長 そこはまさにこの検討会の議論の整理なので、前回は案でしたけれども、その案で示された文章がそのものであって、我々がああだこうだと解説を加えるものではないと思っております。そこに記載された範囲内でどういう制度設計ができるかということだと思っております。
○吉田(恒)座長 ありがとうございます。
 それでは、本日も積極的な御意見をいただきまして、ありがとうございました。次回以降も特別養子縁組の利用促進に関する議論が続きますので、引き続き構成員の先生方の御協力をいただければと思います。
 それでは、本日の検討会はこれで閉会といたします。構成員の皆様、御多用のところまことにありがとうございました。

(了)

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